(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記欠陥印付与工程では、1つの上記スリットラインを介して隣接する2つのフィルムのうちの一方のフィルムに存在する上記欠陥の周囲に少なくとも1つの上記印を付与するとともに、該印の位置に対応する他方のフィルムにおける位置に少なくとも1つの上記印を付与することを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のフィルム製造方法。
上記原反欠陥情報取得工程では、上記原反欠陥位置情報として、上記フィルム原反の表面の領域を幅方向に並ぶ複数の領域に分けた分割領域ごとの欠陥の有無の情報を取得し、
上記スリット工程で、上記欠陥を有する上記分割領域を分断するスリットラインで上記フィルム原反をスリットする場合に、
上記欠陥印付与工程では、該スリットラインによって該分割領域が分断されてなる領域を含んで得られる2つのフィルムのそれぞれに、上記印を付与することを特徴とする請求項7に記載のフィルム製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フィルムの製造工程において、特許文献2のように、欠陥に対応する部分に印を付すのみでは、フィルムにおける欠陥が及ぶ範囲を正確に把握することができない。そのため、例えば欠陥を排除するために印に基づいてフィルムの一部を切除しても、フィルムに存在する欠陥のサイズによっては、欠陥が及ぶ範囲を全て切除することができず、フィルムに欠陥が残ってしまう。
【0006】
本発明の目的は、フィルムにおける欠陥が及ぶ範囲を正確に示すことができるフィルム製造方法、フィルム製造装置、フィルム、及びフィルム捲回体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルム製造方法は、上記フィルムにおける欠陥の位置情報を取得する欠陥情報取得工程と、上記欠陥の周囲の複数の箇所に該欠陥の位置を示す印を付与する欠陥印付与工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記の製造方法によれば、欠陥の周囲に複数の印を付与するため、欠陥の周囲に1つの印を付与する場合に比べて、フィルムにおける欠陥が及ぶ範囲をより正確に示すことができる。これにより、例えば、上記印に基づいてフィルムを切除することによって、フィルムにおける欠陥を適切に排除することができる。
【0009】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記欠陥印付与工程では、上記欠陥からみて上記フィルムの長手方向における一方側と他方側とに一対の印を付与する製造方法であってもよい。
【0010】
上記の製造方法によれば、フィルムの長手方向において、欠陥が及ぶ範囲をより正確に示すことができる。そのため、長手方向に沿って上記印に基づく長さでフィルムを切除することによって、フィルムにおける欠陥を適切に排除することができる。
【0011】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記フィルムの長手方向における互いの間隔が所定未満である複数の欠陥が存在する場合に、上記一対の印を構成する一方の印を、上記複数の欠陥のうち最も上記一方側に位置する欠陥からみて上記一方側に付与し、上記一対の印を構成する他方の印を、上記複数の欠陥のうち最も上記他方側に位置する欠陥からみて上記他方側に付与する製造方法であってもよい。
【0012】
上記の製造方法によれば、複数の欠陥が存在する場合に、複数の欠陥が及ぶ範囲を一対の印で示すことができる。これにより、付与すべき印の数を減らすことができる。また、欠陥を排除するためにフィルムを切除する場合において、欠陥を含まない所定の長さ以上のフィルムを得るために必要な切除箇所および切除回数を減らすことができる。
【0013】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記欠陥情報取得工程では、上記位置情報として、上記フィルムの長手方向に所定長さを有する単位領域ごとの欠陥の有無の情報を取得し、上記欠陥印付与工程では、上記欠陥が含まれる上記単位領域について上記フィルムの長手方向における一方側と他方側とに上記一対の印を付与する製造方法であってもよい。
【0014】
上記の製造方法によれば、単位領域ごとの簡易な欠陥の位置情報に応じて、単位領域ごとに欠陥が及ぶ範囲を示すことができる。
【0015】
本発明に係るフィルム製造方法は、フィルム原反における欠陥の位置を示す情報である原反欠陥位置情報を取得する原反欠陥情報取得工程と、上記フィルム原反を、長手方向に沿うスリットラインでスリットして複数のフィルムを得るスリット工程と、を含む製造方法であってもよい。
【0016】
上記の製造方法によれば、1枚のフィルム原反から複数のフィルムを得ることができ、フィルムの生産性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記欠陥情報取得工程では、上記原反欠陥位置情報に基づいて上記位置情報を取得し、上記欠陥印付与工程では、上記位置情報に基づいて上記フィルムに上記印を付与する製造方法であってもよい。
【0018】
上記の製造方法によれば、複数のフィルムのそれぞれに存在する欠陥を検出して位置情報を取得する必要がなく、フィルム原反に存在する欠陥を検出してフィルム原反における位置情報を取得すればよいため、フィルムの製造工程を簡略化することができる。
【0019】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記欠陥印付与工程では、上記原反欠陥位置情報に基づいて上記フィルム原反に上記印を付与し、上記スリット工程では、上記印が付与された上記フィルム原反をスリットする製造方法であってもよい。
【0020】
上記の製造方法によれば、スリット前のフィルム原反に対して印を付与するため、スリット後のフィルムに対して印を付与する場合に比べて、正確な位置に印を付与することができる。
【0021】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記欠陥印付与工程では、上記印を、上記スリットラインに重ならないように付与する製造方法であってもよい。
【0022】
上記の製造方法によれば、スリット工程において印が切断されて欠陥が及ぶ領域の判別が困難になることを防止することができる。
【0023】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記欠陥印付与工程では、1つの上記スリットラインを介して隣接する2つのフィルムのうちの一方のフィルムに存在する上記欠陥の周囲に少なくとも1つの上記印を付与するとともに、該印の位置に対応する他方のフィルムにおける位置に少なくとも1つの上記印を付与する製造方法であってもよい。
【0024】
上記の製造方法によれば、所望のスリット位置からずれた位置でフィルム原反をスリットすることによって、隣接する2つのフィルムのうち本来欠陥が含まれるはずの一方のフィルムに欠陥が含まれず、他方のフィルムに欠陥が含まれることとなった場合であっても、上記他方のフィルムにおける欠陥の位置を示す印の付与漏れのリスクを低減することができる。
【0025】
本発明に係るフィルム製造方法は、上記原反欠陥情報取得工程では、上記原反欠陥位置情報として、上記フィルム原反の表面の領域を幅方向に並ぶ複数の領域に分けた分割領域ごとの欠陥の有無の情報を取得し、上記スリット工程で、上記欠陥を有する上記分割領域を分断するスリットラインで上記フィルム原反をスリットする場合に、上記欠陥印付与工程では、該スリットラインによって該分割領域が分断されてなる領域を含んで得られる2つのフィルムのそれぞれに、上記印を付与する製造方法であってもよい。
【0026】
分割領域を分断するスリットラインでフィルム原反をスリットする場合、欠陥を有する分割領域が分断されてなる領域を含んで得られる2つのフィルムは、何れも欠陥を含んでいる可能性が高い。上記の製造方法によれば、欠陥を含んでいる可能性が高い上記2つのフィルムに印を付与することによって、フィルムにおける欠陥の位置を示す印の付与漏れのリスクを低減することができる。
【0027】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルム製造装置は、フィルムにおける欠陥の位置情報を取得する欠陥情報取得部と、上記欠陥の周囲の複数の箇所に該欠陥の位置を示す印を付与する欠陥印付与部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルムは、欠陥の周囲の複数の箇所に該欠陥の位置を示す印が付与されていることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、欠陥の周囲に複数の印を付与するため、欠陥の周囲に1つの印を付与する場合に比べて、欠陥が及ぶ範囲をより正確に示すことができる。
【0030】
本発明に係るフィルムは、上記欠陥からみて長手方向における一方の側と他方の側とに一対の印が付与されている構成であってもよい。
【0031】
上記の構成によれば、フィルムの長手方向における欠陥が及ぶ範囲をより正確に示すことができる。
【0032】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルムは、欠陥を有するフィルム原反の表面を長手方向に沿った境界線で区画してなる領域ごとに対応して得られる複数のフィルムのうちの一つのフィルムであって、上記境界線を介して上記欠陥が含まれる領域に隣接する領域に対応して得られ、上記境界線を介して上記欠陥に対向する位置の周囲に、複数の印が付与されていることを特徴とする。
【0033】
上記の構成によれば、フィルム原反を上記境界線に沿ってスリットして各領域に対応して複数のフィルムを得る場合において、スリット位置が所望の位置からずれることによって、本来欠陥が含まれないにも関わらず欠陥が含まれることとなったフィルムにおける欠陥の位置を示す印の付与漏れのリスクを低減することができる。
【0034】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るフィルム捲回体は、上記フィルムがロール状に巻き取られてなることを特徴とする。
【0035】
このように、欠陥に対応する位置に印が付与された状態でフィルムを巻き取ってフィルム捲回体とすることにより、フィルムの取り扱いが容易になるとともに、フィルムを巻き出したときに欠陥の位置を把握することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、欠陥を有するフィルムの流出を抑制することができるフィルム製造方法、フィルム製造装置、フィルム、及びフィルム捲回体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0039】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係るフィルムの一例として、リチウムイオン二次電池などの電池用のセパレータ及び耐熱セパレータについて説明する。また、本発明に係るフィルム製造方法およびフィルム製造装置の一例として、セパレータ製造方法およびセパレータ製造装置について順に説明する。
【0040】
<リチウムイオン二次電池>
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それゆえ、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池として、また、電力の安定供給に資する定置用電池として広く使用されている。
【0041】
図1は、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す模式図である。
図1に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、カソード11と、セパレータ12と、アノード13とを備える。リチウムイオン二次電池1の外部において、カソード11とアノード13との間に、外部機器2が接続される。そして、リチウムイオン二次電池1の充電時には方向Aへ、放電時には方向Bへ、電子が移動する。
【0042】
<セパレータ>
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池1の正極であるカソード11と、その負極であるアノード13との間に、これらに挟持されるように配置される。セパレータ12は、カソード11とアノード13との間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする多孔質フィルムである。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
【0043】
図2は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の詳細構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が昇温したときの様子を示し、(c)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0044】
図2の(a)に示されるように、セパレータ12には、多数の孔Pが設けられている。通常、リチウムイオン二次電池1のリチウムイオン3は、孔Pを介し往来できる。
【0045】
ここで、例えば、リチウムイオン二次電池1の過充電、又は、外部機器の短絡に起因する大電流等により、リチウムイオン二次電池1は、昇温することがある。この場合、
図2の(b)に示されるように、セパレータ12が融解又は柔軟化し、孔Pが閉塞する。そして、セパレータ12は収縮する。これにより、リチウムイオン3の往来が停止するため、上述の昇温も停止する。
【0046】
しかし、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温する場合、セパレータ12は、急激に収縮する。この場合、
図2の(c)に示されるように、セパレータ12は、破壊されることがある。そして、リチウムイオン3が、破壊されたセパレータ12から漏れ出すため、リチウムイオン3の往来は停止しない。ゆえに、昇温は継続する。
【0047】
<耐熱セパレータ>
図3は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の他の構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0048】
図3の(a)に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、耐熱層4をさらに備えてよい。耐熱層4と、セパレータ12とは、耐熱セパレータ12a(セパレータ)を形成している。耐熱層4は、セパレータ12のカソード11側の片面に積層されている。なお、耐熱層4は、セパレータ12のアノード13側の片面に積層されてもよいし、セパレータ12の両面に積層されてもよい。そして、耐熱層4にも、孔Pと同様の孔が設けられている。通常、リチウムイオン3は、孔Pと耐熱層4の孔とを介し往来する。耐熱層4は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
【0049】
図3の(b)に示されるように、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温し、セパレータ12が融解又は柔軟化しても、耐熱層4がセパレータ12を補助しているため、セパレータ12の形状は維持される。ゆえに、セパレータ12が融解又は柔軟化し、孔Pが閉塞するにとどまる。これにより、リチウムイオン3の往来が停止するため、上述の過放電又は過充電も停止する。このように、セパレータ12の破壊が抑制される。
【0050】
<耐熱セパレータ原反(セパレータ原反)の製造工程>
リチウムイオン二次電池1の耐熱セパレータ12aの製造は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して行うことができる。以下では、セパレータ12がその材料として主にポリエチレンを含む場合を仮定して説明する。しかし、セパレータ12が他の材料を含む場合でも、同様の製造工程により、耐熱セパレータ12aを製造できる。
【0051】
例えば、熱可塑性樹脂に無機充填剤又は可塑剤を加えてフィルム成形した後、該無機充填剤及び該可塑剤を適当な溶媒で除去する方法が挙げられる。例えば、セパレータ12が、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂から形成されてなるポリオレフィンセパレータである場合には、以下に示すような方法により製造することができる。
【0052】
この方法は、(1)超高分子量ポリエチレンと、無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、シリカ)、又は可塑剤(例えば、低分子量ポリオレフィン、流動パラフィン)とを混練してポリエチレン樹脂組成物を得る混練工程、(2)ポリエチレン樹脂組成物を用いてフィルムを成形する圧延工程、(3)工程(2)で得られたフィルム中から無機充填剤又は可塑剤を除去する除去工程、及び、(4)工程(3)で得られたフィルムを延伸してセパレータ12を得る延伸工程を含む。なお、前記工程(4)を、前記工程(2)と(3)との間で行なうこともできる。
【0053】
除去工程によって、フィルム中に多数の微細孔が設けられる。延伸工程によって延伸されたフィルムの微細孔は、上述の孔Pとなる。これにより、所定の厚さと透気度とを有するポリエチレン微多孔膜であるセパレータ12が形成される。
【0054】
なお、混練工程において、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してもよい。
【0055】
その後、塗工工程において、セパレータ12の表面に耐熱層4を形成する。例えば、セパレータ12に、アラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布し、アラミド耐熱層である耐熱層4を形成する。耐熱層4は、セパレータ12の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。また、耐熱層4として、アルミナ/カルボキシメチルセルロース等のフィラーを含む混合液を塗工してもよい。
【0056】
また、塗工工程において、セパレータ12の表面に、ポリフッ化ビニリデン/ジメチルアセトアミド溶液(塗工液)を塗布(塗布工程)し、それを凝固(凝固工程)させることによりセパレータ12の表面に接着層を形成することもできる。接着層は、セパレータ12の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。
【0057】
塗工液をセパレータ12に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。耐熱層4の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中のバインダー濃度とフィラー濃度の和で示される固形分濃度、フィラーのバインダーに対する比を調節することによって制御することができる。
【0058】
なお、塗工する際にセパレータ12を固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
【0059】
以上のように、耐熱層4が積層されたセパレータ原反12cである耐熱セパレータ原反12bを製造できる(
図4)。製造された耐熱セパレータ原反12bは、円筒形状のコア53に巻き取られる(
図4)。なお、以上の製造方法で製造される対象は、耐熱セパレータ原反12bに限定されない。この製造方法は、塗工工程を含まなくてもよい。この場合、製造される対象は、セパレータ原反12cである。以下では、主に機能層として耐熱層を有する耐熱セパレータ(フィルム)を例に挙げて説明するが、機能層を有しないセパレータ(フィルム)およびセパレータ原反(フィルム原反)についても、同様の処理(工程)を行うことができる。
【0060】
<欠陥検出工程>
リチウムイオン二次電池に使用される耐熱セパレータの製造においては、セパレータ原反に耐熱層を塗工した耐熱セパレータ原反を形成する塗工工程において、検査装置により欠陥を検出すると、当該欠陥を有する原反にマーカにより線を描いて耐熱セパレータ原反を巻き取る。そして、次のスリット工程において耐熱セパレータ原反を巻出す。その後、巻き出された耐熱セパレータ原反に上記マーカによる線を作業員が視認したら、作業員は、上記耐熱セパレータ原反の巻出し動作を停止する。次に、作業員は、上記マーカによる線に対応する欠陥の耐熱セパレータ原反の幅方向の位置を目視確認する。次に、上記マーカによる線に対応する耐熱セパレータ原反の部分が、切断装置により長手方向に沿ってスリットされて複数の耐熱セパレータが形成される。その後、作業員は、上記マーカによる線に対応する欠陥の幅方向の位置に対応する耐熱セパレータの欠陥に対応する位置に、テープを当該耐熱セパレータからはみ出すように貼る。そして、上記テープをはみ出すように貼られた耐熱セパレータは巻き取りローラーに巻き取られる。
【0061】
次に、巻き取りローラーに巻き取られた上記耐熱セパレータは、巻替工程において、巻き取りローラーから巻替ローラーに巻き替えられる。その後、当該耐熱セパレータからはみ出すように貼られたテープを巻き替える途中で作業員が発見すると、巻き替え動作を停止する。そして、当該テープに対応する欠陥が存在する耐熱セパレータの個所を幅方向に沿って作業員が切断して除去する。次に、巻き取りローラー側の耐熱セパレータと巻替ローラー側の耐熱セパレータとをつなぎ合わせる。その後、巻き替え動作を再開し、耐熱セパレータをすべて巻替ローラーに巻き替える。
【0062】
しかしながら、耐熱セパレータ原反に欠陥を検出すると上記マーカによる線を描くだけなので、次のスリット工程で、作業員が上記マーカを視認したら、作業員は、上記耐熱セパレータ原反の巻出し動作を停止させて、上記欠陥の幅方向の位置を目視確認する必要がある。このため、耐熱セパレータ原反をスリットした複数の耐熱セパレータでの欠陥位置を特定するために非常に手間がかかる。
【0063】
図4は、上記耐熱セパレータ原反12bの欠陥マーキング方法の欠陥検出工程及び欠陥情報記録工程を説明するための模式図であり、
図4の(a)は両工程の正面図であり、
図4の(b)は両工程の平面図である。
図5は欠陥検出工程における基材欠陥検査装置55の構成を説明するための図である。
図6は欠陥検出工程における塗工欠陥検査装置57の構成を説明するための図である。
図7は欠陥検出工程におけるピンホール欠陥検査装置58の構成を説明するための図である。
【0064】
セパレータ原反12cに塗工部54で耐熱層が塗布された耐熱セパレータ原反12bがコア53に巻き取られる。セパレータ原反12cの欠陥Dを検査する基材検査工程(欠陥検出工程)は、セパレータ原反12cの繰り出し工程と塗工工程との間に配置された基材欠陥検査装置55(欠陥検出部、セパレータ製造装置)により実施される。基材欠陥検査装置55は、光源55aと検出器55bとがセパレータ原反12cを挟むように配置され、光源55aからセパレータ原反12cの表面、裏面に垂直な方向に出射されてセパレータ原反12cを透過した透過光を検出器55bが検出することにより、セパレータ原反12cに存在する欠陥Dを検査する(欠陥Dの位置を特定する)(欠陥検出工程)。上記セパレータ原反12cに存在する欠陥Dは、貫通孔(ピンホール)に係る欠陥、膜厚不正に係る欠陥、及び、異物に係る欠陥を含む。
【0065】
セパレータ原反12cに塗布された耐熱層4の欠陥Dを検査する塗工検査工程(欠陥検出工程)は、塗工工程と、コア53による巻き取り工程との間に配置された塗工欠陥検査装置57(欠陥検出部、セパレータ製造装置)により実施される。塗工欠陥検査装置57は、耐熱セパレータ原反12bの耐熱層4側に配置された光源57a及び検出器57bを有する。塗工欠陥検査装置57は、光源57aから出射されて耐熱層4により反射された反射光を検出器57bで検出することにより、耐熱層4に存在する欠陥Dを検出する(欠陥Dの位置を特定する)。上記耐熱層4に存在する欠陥Dは、スジに係る欠陥、剥がれに係る欠陥、弾きに係る欠陥、及び、表面不良に係る欠陥を含む。上記弾きに係る欠陥とは、異物、油分等で塗工液がセパレータ原反12cの表面から弾かれて局所的に耐熱層4が形成されないか、もしくは、形成されても、ごく薄い耐熱層4になる欠陥を意味する。上記表面不良に係る欠陥とは、耐熱層4の膜厚不良に係る欠陥を意味する。
【0066】
耐熱セパレータ原反12bに生じるピンホールによる欠陥Dを検査するピンホール検査工程(欠陥検出工程)は、塗工欠陥検査装置57と欠陥情報記録装置56との間に配置されたピンホール欠陥検査装置58(欠陥検出部、セパレータ製造装置)により実施される。ピンホール欠陥検査装置58は、耐熱セパレータ原反12bのセパレータ原反12c側に配置された光源58aと、光源58aから耐熱セパレータ原反12bの表面、裏面に垂直な方向に向かって出射した光を通過させるスリット58cと、スリット58cを通過して耐熱セパレータ原反12bを透過した光に基づいて欠陥Dを検出する(欠陥Dの位置を特定する)検出器58bとを有している。上記ピンホールによる欠陥Dは、数百μmから数mmの直径を有する。
【0067】
ピンホール欠陥検査装置58とコア53との間に欠陥情報記録装置56が配置されている。欠陥情報記録装置56は、基材欠陥検査装置55、塗工欠陥検査装置57、ピンホール欠陥検査装置58により検出された欠陥Dの位置情報などの欠陥情報が保存された欠陥コードDCを、2次元コード、QRコード(登録商標)等のコードデータにより、耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に記録する。上記位置情報は、耐熱セパレータ原反12bの長手方向及び幅方向における欠陥Dの位置を表す。上記位置情報は、欠陥Dの種類を区別できる情報を含んでもよい。欠陥Dの種類は、例えば、基材欠陥検査装置55により検査される基材の構造的欠陥、塗工欠陥検査装置57により検査される塗布に関する欠陥、ピンホール欠陥検査装置58により検査される孔あきに関する欠陥である。
【0068】
セパレータ原反12c、耐熱セパレータ原反12bのフィルム張力は、通常200N/m以下であり、好ましくは、120N/m以下である。ここで、「フィルム張力」とは、走行するフィルムの幅方向の単位長さ当たりに加わる走行方向の張力を意味する。例えばフィルム張力が200N/mなら、フィルムの幅1mに対して200Nの力が加えられる。フィルム張力が200N/mよりも高いとフィルムの走行方向にシワが入り、欠陥検査の精度が低下する虞がある。また、フィルム張力は通常10N/m以上であり、好ましくは30N/m以上である。フィルム張力が10N/mよりも低いとフィルムの弛みや蛇行が発生する虞がある。セパレータ原反12c、耐熱セパレータ原反12bには、孔Pが形成されており、そのフィルム張力は、光学フィルム等の孔が無いフィルムのフィルム張力よりも小さい。従って、セパレータ原反12c、耐熱セパレータ原反12bは、光学フィルム等の孔が無いフィルムよりも伸びやすい物性を有する。このため、耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に欠陥コードDCを記録すると、耐熱セパレータ原反12bが長手方向に伸びても、欠陥Dの長手方向の位置と欠陥コードDCの長手方向の位置とが実質的にずれない。従って、耐熱セパレータ原反12bが長手方向に伸びても、欠陥Dの長手方向の位置を容易に特定することができる。
【0069】
欠陥コードDCが端部に記録された耐熱セパレータ原反12bは、コア53に巻き取られる。耐熱セパレータ原反12bを巻き取ったコア53は、次のスリット工程に運ばれる。
【0070】
欠陥情報記録装置56(
図4)は、欠陥Dの位置情報を表す欠陥コードDCを耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に記録する。欠陥Dと欠陥コードDCとの間の長手方向に沿った距離L
MDは、例えば、好ましくは100mm以下であり、より好ましくは30mm以下である。欠陥コードDCと耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端との間の距離L
TDは、例えば、好ましくは100mm以下であり、より好ましくは30mm以下である。また、耐熱セパレータ原反12bにおいて幅方向の端部は波打ちやすいため、距離L
TDは、10mm以上であることが好ましい。
【0071】
<スリット装置>
耐熱セパレータ原反12b(以下「セパレータ原反」)から形成される耐熱セパレータ12a(以下「セパレータ」)、又は、セパレータ原反12cから形成されるセパレータ12は、リチウムイオン二次電池1などの応用製品に適した幅(以下「製品幅」)であることが好ましい。しかし、生産性を上げるために、セパレータ原反は、その幅が製品幅以上となるように製造される。そして、一旦製造された後に、セパレータ原反は、製品幅に切断(スリット)されてセパレータとなる。
【0072】
なお、「セパレータの幅」とは、セパレータが延びる平面に対し平行であり、かつ、セパレータの長手方向に対し垂直である方向の、セパレータの長さを意味する。また、スリットとは、セパレータ原反を長手方向(製造におけるフィルムの流れ方向、MD:Machine direction)に沿って切断することを意味する。カットとは、セパレータ原反又はセパレータを横断方向(TD:transverse direction)に沿って切断することを意味する。横断方向(TD)とは、セパレータの長手方向(MD)と厚み方向とに対し略垂直である方向(幅方向)を意味する。
【0073】
図8は、セパレータ原反12bをスリットするスリット装置6の構成を示す模式図であって、(a)は全体の構成を示し、(b)はセパレータ原反12bをスリットする前後の構成を示す。
【0074】
図8の(a)に示されるように、スリット装置6は、回転可能に支持された円柱形状の、巻出ローラー61と、ローラー62〜65と、複数の巻取ローラー69とを備える。スリット装置6には、後述する切断装置7(
図9)がさらに設けられている。
【0075】
<スリット前>
スリット装置6では、セパレータ原反12bを巻きつけた円筒形状のコア53が、巻出ローラー61に嵌められている。
図8の(a)に示されるように、セパレータ原反12bは、コア53から経路U又はLへ巻き出される。巻き出されたセパレータ原反12bは、ローラー63を経由し、ローラー64へ例えば速度100m/分で搬送される。搬送される工程においてセパレータ原反12bは、複数のセパレータ12aに長手方向に沿ってスリットされる。
【0076】
<スリット後>
図8の(a)に示されるように、複数のセパレータ12aの一部は、それぞれ、複数の巻取ローラー69に嵌められた各コア81(ボビン)へ巻き取られる。また、複数のセパレータ12aの他の一部は、それぞれ、複数の巻取ローラー69に嵌められた各コア81(ボビン)へ巻き取られる。なお、ロール状に巻き取られたセパレータを「セパレータ捲回体(フィルム捲回体)」と称する。
【0077】
<切断装置>
図9は、
図8の(a)に示されるスリット装置6の切断装置7(スリット部)の構成を示す図であって、(a)は切断装置7の側面図であり、(b)は切断装置7の正面図である。
【0078】
図9の(a)(b)に示されるように、切断装置7は、ホルダー71と、刃72とを備える。ホルダー71は、スリット装置6に備えられている筐体などに固定されている。そして、ホルダー71は、刃72と搬送されるセパレータ原反12bとの位置関係が固定されるように、刃72を保持している。刃72は、鋭く研がれたエッジによってセパレータの原反をスリットする。
【0079】
図10は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の読み取り工程(欠陥情報取得工程)、判定工程、目印付与工程、及び巻き取り工程を説明するための模式図である。セパレータ原反12bは、コア53(
図8)から一定速度(例えば、80m/分)で巻き出される。読み取り部73(欠陥情報取得部)は、セパレータ原反12bの幅方向の端部に記録された欠陥コードDCを読み取ることにより、セパレータ原反12bにおける欠陥情報(原反欠陥位置情報)を取得する(欠陥情報取得工程、原反欠陥情報取得工程)。そして、スリット装置6に設けられた複数の切断装置7は、セパレータ原反12bを長手方向に沿って切断して複数個のセパレータ12aを形成する(スリット工程)。
【0080】
<欠陥除去工程>
次に、判定装置75(判定部)は、読み取り部73が読み取った欠陥コードDCに基づいて、セパレータのうち、欠陥Dを有するセパレータを不良セパレータであると判定する(判定工程)。目印付与装置74は、判定装置75が不良セパレータであると判定したセパレータ12aの欠陥Dに対応する位置に1つの目印Lを付与する(欠陥印付与工程)。なお、欠陥Dが複数個存在するときは、判定装置75は、複数個のセパレータ12aを不良セパレータであると判定する。ここで、好ましい目印Lとしては、ラベルが挙げられ、好ましい目印付与装置74としては、ラベラが挙げられる。
【0081】
目印Lは、ラベルに替えて、ペンにより描画されたマークでもよく、インジェクタにより塗布されたマークでもよい。また、目印Lは、樹脂から構成されるセパレータ12aを加熱することにより印字するサーモラベルでもよく、また、セパレータ12aにレーザで穴を開けることにより目印Lを形成してもよい。
【0082】
切断装置7によりスリットされた複数個のセパレータ12aは、複数個のコア81にそれぞれ巻き取られる(巻き取り工程)。
【0083】
そして、目印付与装置74は、欠陥コードDCにより表される欠陥Dのセパレータ原反12bの長さ方向の位置情報を欠陥コードDC2として、上記特定した一つのセパレータ12aを巻き取った最外周部86及び/又はコア81に記録する。
【0084】
図11は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の目印検知工程、及び欠陥除去工程を説明するための模式図であり、
図11の(a)は目印検知工程を説明するための模式図であり、
図11の(b)は欠陥除去工程を説明するための模式図である。まず、目印検知装置83が最外周部86及び/又はコア81に記録された欠陥コードDC2を読み出す。そして、目印検知装置83が読み出した情報を受けて、目印付与装置74により目印Lを貼りつけられたセパレータ12aのコア81から、コア82への巻き替え動作を開始する。次に、目印検知装置83は、読み出した欠陥コードDC2により表される欠陥Dのセパレータ原反12bの長さ方向の位置情報に基づいて、欠陥Dの位置が近付くと、セパレータ12aの上記巻き替え動作の速度を減速する。
【0085】
そして、セパレータ12aの欠陥Dに対応する位置に張り付けられた目印Lが、目印検知装置83により検知される(目印検知工程)。目印検知装置83により目印Lが検知されると、目印検知装置83がセパレータ12aの巻き替え動作を停止する。その後、欠陥除去装置84は、目印Lに対応する欠陥Dの上流側及び下流側のセパレータ12aの箇所を幅方向に沿って切断して欠陥Dをセパレータ12aから除去する(欠陥除去工程)。かかる欠陥除去工程は、欠陥除去装置84に代えて作業者が手作業で実施してもよい。そして、繋ぎ合わせ装置85は、切断したセパレータ12aを繋ぎ合わせる(繋ぎ合わせ工程)。かかる繋ぎ合わせ工程は、繋ぎ合わせ装置85に代えて作業者が手作業で実施してもよい。次に、繋ぎ合わせ装置85は、セパレータ12aの巻き替え動作を再開する。そして、セパレータ12aのコア81からコア82への巻き替えが完了する。ここで、2つに分割されたセパレータ12aは繋ぎ合わせずに、それぞれ別のコアに巻き替えてもよい。つまり、切断される前の部分をコア82に巻き替え、切断された後の部分をコア82以外のコアに巻き替えればよい。
【0086】
〔実施形態2〕
実施形態1では、セパレータ原反12bに存在する欠陥Dの位置情報をセパレータ原反12bの端部に記録する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。欠陥Dの位置情報は、情報記憶装置に記録するように構成してもよい。
【0087】
図12は、実施形態2に係るセパレータ原反12bの欠陥マーキング方法の欠陥検出工程及び欠陥情報記録工程を説明するための模式図である。
図13は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の読み取り工程、目印貼り工程、及び巻き取り工程を説明するための模式図である。実施形態1で前述した構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は繰り返さない。
【0088】
欠陥情報記録装置56a(欠陥情報記録部、セパレータ原反製造装置)は、基材欠陥検査装置55、塗工欠陥検査装置57、ピンホール欠陥検査装置58により検出されたセパレータ原反12c・12bに存在する欠陥Dの長手方向及び幅方向における位置を表す位置情報を情報記憶装置91に記録する。そして、読み取り部73aは、欠陥Dの長手方向及び幅方向における位置情報を情報記憶装置91から読みとる(読み取り工程)。
【0089】
〔実施形態3〕
以下、本発明の他の実施形態について、
図14〜
図15に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0090】
実施形態1では、目印付与装置74は、セパレータ12aの欠陥Dに対応する位置に1つの目印Lを付与するものとして説明したが、目印付与装置74による目印Lの付与の仕方はこれに限られない。以下、本実施形態の目印付与装置74(欠陥印付与部)による目印Lの付与の仕方について説明する。
【0091】
図14は、スリット工程後の目印付与工程において目印が付与されたセパレータを示す図である。なお、説明のため、
図14中、目印LAを四角形状で表示し、目印LBを三角形状で表示するが、目印LA・LBの形状は特に限定されない。目印LAと目印LBとは互いに同じ形状(または色)であってもよいし、異なる形状(または色)であってもよい。
【0092】
図14に示されるように、本実施形態のセパレータ目印付与装置74は、欠陥Dの周囲の複数の箇所に欠陥Dの位置を示す目印LA・LB(印)を付与する(欠陥印付与工程)。このとき、特に、欠陥Dからみてセパレータ12aの長手方向における一方側に目印LAを付与するとともに、他方側に目印LBを付与することによって、一対の目印LA・LBで欠陥Dを挟むことが好ましい。なお、1つの欠陥Dの周囲に、一対の目印LA・LBに加えて別の目印(合計3個以上の目印)を付与してもよい。
【0093】
このように、欠陥Dの周囲の複数の箇所に目印LA・LBが付与されたセパレータ12aは、欠陥Dが及ぶ範囲が正確に示されている。特に、長手方向における一方側に目印LAが付与され、他方側に目印LBが付与されたセパレータ12aは、長手方向における欠陥Dが及ぶ範囲が正確に示されている。
【0094】
これにより、欠陥除去工程において、
図14中に破線で示されるように、目印LA・LBを間に挟む2本のカットラインでセパレータ12aを幅方向に沿ってカットすることによって、長手方向に沿って欠陥Dが及ぶ範囲を含む長さでセパレータ12aを切除することができ、欠陥Dを確実に切除することができる。その結果、欠陥Dを有するセパレータ12a(不良セパレータ)の流出を抑制することができる。
【0095】
図15は、セパレータにおける欠陥と目印との位置関係を示す図であり、(a)は2つの欠陥が含まれるセパレータを示す図であり、(b)は近接した複数の欠陥が含まれるセパレータを示す図である。
【0096】
図15の(a)に示されるように、本実施形態の目印付与工程を含むセパレータ12aの製造方法によれば、作業者が目視で確認できない大きさの欠陥Dが存在する場合であっても、セパレータ12aにおける欠陥Dが及ぶ範囲を正確に示すことができる。
【0097】
また、
図15の(b)に示されるように、複数の欠陥Dが近接しており、セパレータ12aの長手方向における互いの間隔が狭い場合には、長手方向における最も一方側(以下、上流側)に位置する欠陥Dからみて上流側に目印LA(一方の印)を付与し、最も他方側(以下、下流側)に位置する欠陥Dからみて下流側に目印LB(他方の印)を付与してもよい。このように、複数の欠陥Dからなる欠陥群が及ぶ範囲を一対の目印LA・LBで示すことができ、付与すべき目印の数を減らすことができる。
【0098】
また、セパレータ12aの長手方向における複数の欠陥D同士の間隔が狭い場合、セパレータ12aから上記複数の欠陥Dを切除したときに上記複数の欠陥D同士の間の領域から得られるセパレータ12aは短い。
【0099】
そのため、セパレータ12aの長手方向における複数の欠陥D同士の間隔が所定未満であり、セパレータ12aから上記複数の欠陥Dを切除したときに、上記複数の欠陥D同士の間の領域から目的とする所定の長さ(例えば、製品規格として100m)のセパレータ12aが得られない場合、
図15の(b)に示されるように、複数の欠陥Dからなる欠陥群をまとめて挟むように、一対の目印LA・LBを付与することが好ましい。
【0100】
これにより、目印LA・LBに基づいてセパレータ12aをカットする場合において、所定未満の長さのセパレータ12aを生じさせるカット回数を削減し、欠陥を含まない所定の長さ以上のセパレータ12aを得るために必要なカット回数を減らすことができる。
【0101】
〔実施形態4〕
以下、本発明の他の実施形態について、
図16に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0102】
図16は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の読み取り工程、目印付与工程、及び巻き取り工程を説明するための模式図である。
【0103】
実施形態3の製造方法は、スリット工程と目印付与工程とをこの順に処理する製造方法であったが、これら各工程の順はこれに限られない。すなわち、本実施形態の製造方法は、目印付与工程とスリット工程とをこの順に処理する点で、実施形態3の製造方法とは異なっている。以下、より詳細に説明する。
【0104】
図16に示されるように、読み取り部73が欠陥コードDCを読み取ることによってセパレータ原反12bにおける欠陥Dの位置情報(原反欠陥位置情報)を取得し(欠陥情報取得工程)、目印付与装置74は、セパレータ原反12bにおける欠陥Dの位置情報に基づいて、セパレータ原反12bに対して目印LA・LBを付与する(欠陥印付与工程)。その後、スリット装置6は、上記目印LA・LBが付与されたセパレータ原反12bをスリットする。
【0105】
また、セパレータ原反12bにおける欠陥Dの位置情報に基づいてスリット後のセパレータ12aに目印Lを付与する場合、スリット工程におけるセパレータ12aの幅方向への位置ずれの影響によって、セパレータ原反12bにおける欠陥Dの位置と、スリット後のセパレータ12aにおける欠陥Dの位置とが対応しないことがあり、欠陥Dに対して付与される目印Lの位置がずれてしまうことがある。これに対して、セパレータ原反12bにおける欠陥Dの位置情報に基づいてスリット前にセパレータ原反12bに対して目印Lを付与することにより、欠陥Dに対応する正確な位置に目印Lを付与することができる。
【0106】
なお、目印LA・LBは、スリットラインに重ならないように付与することが好ましい。これにより、スリット工程において目印LA・LBが切断されて不良セパレータの判別が困難になることを防止することができる。
【0107】
〔実施形態5〕
以下、本発明の他の実施形態について、
図17〜
図19に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0108】
実施形態1では、欠陥情報記録装置56は、欠陥コードDCを、セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する位置に記録するものとして説明したが、欠陥情報記録装置56による欠陥コードDCの記録の仕方はこれに限られない。
【0109】
以下、本実施形態の欠陥情報記録装置56による欠陥コードDCの記録の仕方について説明する。
【0110】
<単位領域>
図17は、欠陥コードDCを記録する位置を説明するためのセパレータ原反の平面図である。
図17に示されるように、本実施形態の欠陥情報記録装置56は、セパレータ原反12bの長手方向に所定長さを有する単位領域20ごとに、各単位領域20に存在する欠陥Dに対応する欠陥コードDCを記録(形成)する(欠陥情報記録工程)。セパレータ原反12bの長手方向における単位領域20の長さは、例えば250mmとすることができる。
【0111】
図17中には、セパレータ原反12bの長手方向に並ぶ6つの単位領域20a〜20fが例示されており、欠陥Dが含まれる各単位領域20a・20b・20d・20fに対応して欠陥コードDCが記録されている。なお、
図17の例では、欠陥情報記録装置56は、単位領域20c・20eのように欠陥Dが存在しない単位領域20には、対応する欠陥コードDCを記録しない。
【0112】
また、欠陥情報記録装置56は、単位領域20a・20bのように複数の欠陥Dが存在する単位領域20には、複数の欠陥Dの位置情報などを表す1つの欠陥コードDCを記録する。
【0113】
そして、読み取り部73は、単位領域20ごとに複数の欠陥Dの位置情報などを表す欠陥コードDCを読み取ることにより欠陥情報を取得し(欠陥情報取得工程)、目印付与装置74は、欠陥Dが含まれる単位領域20を挟むようにして、セパレータ12a(またはスリット前のセパレータ原反12b)の長手方向における上流側と下流側とに一対の目印LA・LBを付与する(欠陥印付与工程)。
【0114】
このように、単位領域20ごとに複数の欠陥Dの位置情報などを表す欠陥コードDCを記録し、欠陥Dが含まれる単位領域20を挟むようにして一対の目印LA・LBを付与することによって、記録する欠陥コードDCの数および目印Lの数を減らすことができ、製造工程を簡易化することができる。
【0115】
<欠陥コードに盛り込む情報>
欠陥情報記録装置56は、単位領域20に存在する欠陥Dの個数の情報、欠陥Dの種類、セパレータ原反12bの表面における欠陥Dの位置を表す座標、欠陥Dの大きさ、などの詳細情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録する。
【0116】
しかしながら、単位領域20に多数の欠陥Dが存在する場合、全ての欠陥Dの詳細情報を1つの欠陥コードDCに盛り込むことができない。そこで、欠陥情報記録装置56は、単位領域20を、セパレータ原反12bの幅方向に並ぶ複数の分割領域21に分けて、各分割領域21における欠陥Dの有無などの簡易情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録してもよい。
【0117】
例えば、
図17に例示されるように、3つの欠陥Dが含まれている単位領域20dを、セパレータ原反12bの幅方向に並ぶ分割領域21a〜21dに分けて、各分割領域21a〜21dにおける欠陥Dの有無の情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録する。具体的には、分割領域21aには欠陥Dは含まれておらず、分割領域21bには欠陥Dが含まれており、分割領域21cには欠陥Dが含まれておらず、分割領域21dには欠陥Dが含まれていない、という簡易情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録する。
【0118】
これにより、欠陥コードDCに盛り込む情報の量を低減することができる。なお、
図17に示した分割領域21は一例に過ぎず、セパレータ原反12bの幅方向に並ぶ分割領域21の数、および各分割領域21の幅は、適宜設定することができる。
【0119】
また、欠陥情報記録装置56は、単位領域20に存在する欠陥Dの個数に応じて、詳細情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録する第1モードと、簡易情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録する第2モードとを切り換えてもよい。これにより、欠陥コードDCに盛り込むことができる情報量に制約がある場合に、情報量の制約の下で適切な情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録することができる。
【0120】
<判定工程>
実施形態1では、判定装置75(判定部)が、1つの欠陥Dに基づいて1つの不良セパレータを特定するものとして説明したが、本実施形態の判定装置75による判定工程は、実施形態1および実施形態2の判定装置75による判定工程とは異なる。
【0121】
本実施形態では、読み取り部73は、セパレータ原反12bに記録された欠陥コードDCを読み取る。スリット装置6は、セパレータ原反12bを長手方向に沿うスリットラインでスリットする。判定装置75は、1つの欠陥Dに基づいて、実際に欠陥Dを含むセパレータ12aおよび該セパレータ12aに隣接する別のセパレータ12aを不良セパレータと判定する。
【0122】
そして、目印付与装置74は、スリットラインを介して隣接する2つのセパレータ12aのうち、実際に欠陥Dを含む一方のセパレータ12aに該欠陥Dの位置を示す一対の目印LA1・LB1を付与するとともに、他方のセパレータ12aにおける目印LA1・LB1に対応する位置に一対の目印LA2・LB2を付与する(欠陥印付与工程)。その後、目印LA1・LB1に基づいて一方のセパレータ12aの一部を切除するとともに、目印LA2・LB2に基づいて他方のセパレータ12aの一部を切除する。
【0123】
なお、実施形態4の製造方法のように、目印付与工程とスリット工程とをこの順に処理する場合には、目印付与装置74は、セパレータ原反12bにおける、不良セパレータと判定された2つのセパレータ12aに対応する部分に、それぞれ目印LA1・LB1を付与する。
【0124】
これにより、スリット装置6が、所望のスリット位置からずれた位置でセパレータ原反12bをスリットすることによって、本来欠陥Dが含まれるはずのセパレータ12aに欠陥Dが含まれず、該セパレータ12aに隣接する別のセパレータ12aに欠陥Dが含まれることとなった場合であっても、該別のセパレータ12aは不良セパレータ12aと判定され、欠陥Dに対応する部分が切除されるため、欠陥Dを有するセパレータ12aの流出を抑制することができる。
【0125】
なお、欠陥印付与工程の後の工程において、目印確認装置を用いて、目印付与装置74によって適切な位置に目印Lが付与されているか否かを検査してもよい。
【0126】
また、本実施形態の製造方法の他の例では、読み取り部73は、分割領域ごとの欠陥の有無の簡易情報を盛り込んだ欠陥コードDCを読み取る。判定装置75は、少なくとも1つの欠陥Dを有する分割領域21に基づいて、欠陥Dを有する分割領域21を含んで得られるセパレータ12aおよび該セパレータ12aに隣接する別のセパレータ12aを不良セパレータと判定してもよい。この場合、目印付与装置74は、欠陥Dを有する分割領域21が分断されてなる領域を含んで得られる2つのセパレータ12a(またはセパレータ原反12bにおけるセパレータ12aに対応する部分)のそれぞれに、一対の目印LA1・LB1を付与する(欠陥印付与工程)。
【0127】
なお、スリット工程の後、
図11に示されるように、上記2つのセパレータ12aのそれぞれに付与された目印L1・L2に基づいて、欠陥除去装置84が上記2つのセパレータ12aの一部を切除してもよい(欠陥切除工程)。
【0128】
以下、図面を参照してより具体的に説明する。以下の説明では、欠陥情報記録装置56が簡易情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録した場合における、判定装置75による不良セパレータの判定工程について説明する。
【0129】
図18は、欠陥に対応する位置に目印が付与されたセパレータ原反を示す斜視図であり、(a)は本来のスリットラインを破線で図示したものであり、(b)は本来の位置からずれたスリットラインを破線で図示したものである。
【0130】
なお、
図18は、目印付与工程でセパレータ原反12bに目印LA・LBを付与した後、スリット工程でセパレータ原反12bをスリットする場合の、スリット前のセパレータ原反12bを図示したものであるが、実施形態3の製造方法のようにスリット工程と目印付与工程とをこの順に処理してもよく、この場合、目印LA・LBはスリット後のセパレータ12aに付与される。
【0131】
また、
図18は、欠陥情報記録装置56が、交互に配置された幅狭の分割領域21ba・21ca・21daと、幅広の分割領域21ab・21bb・21cb・21dbとにおける簡易情報を盛り込んだ欠陥コードDCを記録したセパレータ原反12bを例示したものである。
【0132】
図18の(a)に示されるように、幅狭の分割領域21baに欠陥Dが含まれている場合、判定装置75は、分割領域21baが分断されてなる領域を含んで得られる2つのセパレータ12ab・12aaを不良セパレータと判定する。言い換えれば、判定装置75は、スリットラインに重なる分割領域に欠陥Dが含まれる場合、該分割領域に重なる2つのセパレータ12aを不良セパレータと判定する。また、図示は省略するが、スリット工程において、分割領域の境界線に沿ったスリットラインでスリットすることによって分割領域の境界線で区画される領域ごとにセパレータを得てもよい。この場合、判定装置75は、欠陥Dを有する分割領域を含んで得られるセパレータ12aと、スリットラインを介して該分割領域に隣接する分割領域を含んで得られるセパレータ12aとを、不良セパレータと判定する。
【0133】
目印付与装置74は、セパレータ原反12bにおける、不良セパレータと判定されたセパレータ12abに対応する部分に一対の目印LA1・LB1を付与するとともに、不良セパレータと判定されたセパレータ12aaに対応する部分に一対の目印LA2・LB2を付与する。そして、スリット装置6は、上記目印LA1・LB1・LA2・LB2が付与されたセパレータ原反12bを、
図18中に破線で示すスリットラインに沿ってスリットする。その後、目印LA1・LB1に基づいてセパレータ12abの一部を切除するとともに、目印LA2・LB2に基づいてセパレータ12aaの一部を切除する。
【0134】
図18の(a)に示されるように、スリット工程において、セパレータ原反12bを本来のスリットラインでスリットした場合、セパレータ12abに欠陥Dが含まれることとなる。しかしながら、
図18の(b)に示されるように、セパレータ原反12bを本来の位置からずれたスリットラインでスリットした場合、セパレータ12aaに欠陥Dが含まれることとなる。このように、欠陥Dを有する分割領域21baが分断されてなる領域を含んで得られる2つのセパレータ12aa・12abは、何れも欠陥Dを含んでいる可能性がある。
【0135】
本実施形態の製造方法によれば、セパレータ12abに対応する部分に目印LA1・LB1を付与するだけでなく、セパレータ12aaに対応する部分に目印LA2・LB2を付与する。これにより、スリットラインが本来の位置からずれてしまい、セパレータ12aaに欠陥Dが含まれることとなった場合であっても、セパレータ12aaの欠陥Dに対応する目印の付与漏れを防止することができる。
【0136】
そのため、スリットラインが本来の位置からずれてしまい、セパレータ12aaに欠陥Dが含まれることとなった場合であっても、セパレータ12aaには欠陥Dに対応する位置の周囲に目印LA2・LB2が付与されているため、セパレータ12aaに混入した欠陥Dの位置を把握することができ、目印LA2・LB2に基づいてセパレータ12aaの一部を切除することによって、不良セパレータであるセパレータ12aaの流出を抑制することができる。
【0137】
図19は、欠陥に対応する位置に目印が付与されたセパレータ原反を示す斜視図であり、(a)は各欠陥の周囲に目印が付与されたセパレータ原反であり、(b)は複数の欠陥からなる欠陥群をまとめて挟むように一対の目印が付与されたセパレータ原反である。
【0138】
図19の(a)に示されるように、欠陥D1に対応する目印LBと欠陥D2・D3に対応する目印LAとの間の距離が短い場合、セパレータ12acにおいて欠陥D1〜D3を切除すると、欠陥D1と欠陥D2との間からは十分な長さのセパレータ12acを得ることができない。
【0139】
また、欠陥D4に対応する目印LBと欠陥D5〜7に対応する目印LA2との間の距離が短い場合、セパレータ12aaにおいて欠陥D4を切除するとともに、スリット位置がずれた場合に欠陥D5〜7がセパレータ12aaに混入することを考慮して欠陥D5〜7に対応する部分を切除すると、欠陥D4と欠陥D5〜7に対応する部分との間からは十分な長さのセパレータ12aaを得ることができない。同様に、欠陥D5〜7に対応する目印LB2と欠陥D8に対応する目印LAとの間の距離が短い場合、セパレータ12aaにおいて欠陥D8を切除するとともに、スリット位置がずれた場合に欠陥D5〜7がセパレータ12aaに混入することを考慮して欠陥D5〜7に対応する部分を切除すると、欠陥D8と欠陥D5〜7に対応する部分との間からは十分な長さのセパレータ12aaを得ることができない。
【0140】
そのため、欠陥Dの間の領域から目的とする所定の長さ(例えば、100m)のセパレータ12aが得られない場合、
図19の(b)に示されるように、複数の欠陥Dからなる欠陥群をまとめて挟むように、一対の目印LA・LBを付与することが好ましい。このとき、セパレータ12aaに対する欠陥D5〜7のように、スリット位置のずれを考慮してセパレータ12aaに対応する部分に目印を付与する場合における仮想の欠陥も、上記欠陥群としてまとめて挟むように、一対の目印LA・LBを付与することが好ましい。
【0141】
これにより、目印LA・LBに基づいてセパレータ12aをカットしたときに、所定未満の長さのセパレータ12aが生じることがなく、欠陥を含まない所定の長さ以上のセパレータ12aのみを得ることができる。
【0142】
なお、上記の説明では、
図18および19を参照して、実施形態4の製造方法のように目印付与工程とスリット工程とをこの順に処理する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態の製造方法はこれに限定されない。すなわち、実施形態3の製造方法のように、スリット工程と目印付与工程とをこの順に処理してもよく、この場合、目印付与装置74は、スリット後のセパレータ12abに目印LA1・LB1を付与するとともに、セパレータ12aaに目印LA2・LB2を付与する。スリット工程の前にセパレータ原反12bに目印を付与した場合、スリット工程において目印が切断されるリスクがあるが、スリット後のセパレータ12ab・12aaに目印LA1・LB1および目印LA2・LB2を付与することにより、このようなリスクを回避することができる。
【0143】
(本発明の他の側面)
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反の製造方法は、セパレータ原反を形成する形成工程と、前記形成工程により形成したセパレータ原反に存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録する欠陥情報記録工程とを包含することを特徴とする。ここで、「セパレータ原反」とは、スリットされる前の幅広のセパレータを意味するものとする。
【0144】
この特徴によれば、セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録するので、当該記録された位置情報に基づいて、セパレータ原反に存在する欠陥を容易に特定することができる。従って、セパレータ原反に存在する欠陥を容易に除去することができる。
【0145】
本発明に係るセパレータ原反の製造方法では、前記欠陥情報は、前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置情報をさらに含むことが好ましい。ここで、「セパレータ原反の長手方向」は、セパレータの製造工程において製造対象物が搬送される方向に相当するものとする。
【0146】
上記構成によれば、前記欠陥の長手方向における位置情報に基づいて、捲回されたセパレータ原反からセパレータ原反を巻き出すときに上記欠陥を容易に発見することができる。
【0147】
本発明に係るセパレータ原反の製造方法では、前記欠陥情報は、前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置に対応する箇所に記録されていることが好ましい。
【0148】
上記構成によれば、欠陥情報が記録された位置に基づいて、セパレータ原反の長手方向における欠陥の位置を特定することができる。また、セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置に対応する箇所に欠陥情報が記録されるので、セパレータ原反が長手方向に伸びても、欠陥と欠陥情報との長手方向の位置が実質的にずれない。従って、セパレータ原反が長手方向に伸びても、欠陥の長手方向の位置を容易に特定することができる。
【0149】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータの製造方法は、セパレータ原反を形成する形成工程と、前記形成工程により形成したセパレータ原反に存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録する欠陥情報記録工程と、前記欠陥情報記録工程により前記位置情報が記録された欠陥を有するセパレータ原反を前記原反の長手方向に沿って切断した複数のセパレータを形成する切断工程と、前記位置情報を読み取る読み取り工程と、前記読み取り工程により読み取られた位置情報に基づいて、前記切断工程により切断された複数のセパレータのうちの少なくとも一つに、前記欠陥の位置を特定するための目印を付与する目印付与工程とを包含することを特徴とする。
【0150】
この特徴によれば、読み取り工程により読み取られた位置情報に基づいて、切断工程により切断された複数のセパレータのうちの少なくとも一つに、欠陥の位置を特定するための目印を付与するので、セパレータ原反をスリットした複数のセパレータのうちの当該欠陥を含むセパレータの欠陥部位を容易に除去することができる。
【0151】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記目印付与工程により欠陥の位置を特定するための目印を付与された複数のセパレータのうちの少なくとも一つを巻き取る巻き取り工程と、前記巻き取り工程により巻き取られた複数のセパレータのうちの少なくとも一つを巻き替えながら前記目印を検知する目印検知工程と、前記目印検知工程による目印の検知に応じて巻き替え動作を停止して前記欠陥を除去する欠陥除去工程とを包含することが好ましい。
【0152】
上記構成によれば、巻き取り工程の後で欠陥を除去するので、巻き取り工程で巻き取りを停止する必要が無く作業効率が向上する。
【0153】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥除去工程は、前記欠陥の長手方向の両側のセパレータの箇所を幅方向に沿って切断して前記欠陥を前記セパレータから除去した後、前記切断したセパレータをつなぎ合わせることが好ましい。
【0154】
上記構成によれば、セパレータ原反に存在する欠陥を除去したセパレータを製造することができる。
【0155】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥情報記録工程は、前記位置情報を前記セパレータ原反の幅方向の端部に記録することが好ましい。
【0156】
上記構成によれば、セパレータ原反の幅方向の端部を読み取ることにより欠陥部位を認識することができる。
【0157】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥情報記録工程は、前記位置情報を情報記憶装置に記録してもよい。
【0158】
上記構成によれば、情報記憶装置に記録された情報を読み取ることにより欠陥部位を認識することができる。
【0159】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記目印付与工程は、ラベルを貼ることによって行うことが好ましい。
【0160】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反は、自己の欠陥の幅方向における位置情報を幅方向の端部に記録したことを特徴とする。
【0161】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反製造装置は、セパレータ原反を形成する形成部と、前記形成部により形成されたセパレータ原反に存在する欠陥を検出する欠陥検出部と、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録する欠陥情報記録部とを備えることを特徴とする。
【0162】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。