(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目印検知工程では、前記第1欠陥コードを読み出し、前記読み出した第1欠陥コードが含まれる前記長手方向における前記欠陥の前記位置情報に応じて、前記セパレータを巻き替える際に、前記欠陥の位置が近づくと巻き替え動作を減速する請求項5に記載のセパレータの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リチウムイオン二次電池に使用されるセパレータの製造において、セパレータ原反に欠陥が発生し、セパレータ原反に発生した当該欠陥の位置を特定するために多大の労力が投入されている。
【0005】
特許文献1に記載の片端面に形成されたコードデータは、コア及びコアに巻き取られたセパレータからなる捲回体の内側に位置し得るため、捲回体の状態で読み取ることができず、コアに巻き取られたセパレータの欠陥位置を特定することが困難である。
【0006】
本発明の目的は、コアに巻き取られたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができるセパレータ原反の製造方法、セパレータの製造方法、セパレータ捲回体、セパレータ原反捲回体、及びセパレータ原反製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータの製造方法は、欠陥が検出されたセパレータをコアに巻き取る巻き取り工程と、前記セパレータの長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードを、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に付与する第1欠陥コード付与工程とを包含することを特徴とする。
【0008】
この特徴によれば、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に、セパレータの長手方向における欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードが付与される。このため、捲回体の外側に露出可能な第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができる。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反の製造方法は、欠陥が検出されたセパレータ原反をコアに巻き取る巻き取り工程と、前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードを、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に付与する第1欠陥コード付与工程とを包含することを特徴とする。
【0010】
この特徴によれば、前記コア、前記巻き取られたセパレータ原反の側面、前記巻き取られたセパレータ原反の外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータ原反からなる捲回体の包装体に、セパレータ原反の長手方向における欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードが付与される。このため、捲回体の外側に露出可能な第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータ原反の欠陥位置を容易に特定することができる。
【0011】
本発明に係るセパレータ原反の製造方法では、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む第2欠陥コードを、前記セパレータ原反の幅方向の両端の箇所に付与する第2欠陥コード付与工程をさらに包含することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、両端の第2欠陥コードのうちのいずれかを正常に読み取れば良くなるので、第2欠陥コードの読み取りの信頼性が向上する。例えば、セパレータ原反の幅方向の一方の端部に皺が生じたり、形成された一方の第2欠陥コードが欠けたりしても、他方の第2欠陥コードを読み取ることができる。
【0013】
本発明に係るセパレータ原反の製造方法では、前記第2欠陥コードの形成位置によって前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置が表わされることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、多孔質で長手方向に伸びやすいセパレータ原反の長手方向における欠陥の位置を第1欠陥コードによって大まかに特定し、第2欠陥コードの形成位置によって前記欠陥の位置を精密に特定することができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータの製造方法は、欠陥が検出されたセパレータ原反を前記セパレータ原反の長手方向に沿って切断した複数のセパレータを形成する切断工程と、前記切断工程により切断された複数のセパレータのうちの前記欠陥が存在するセパレータをコアに巻き取る巻き取り工程と、前記セパレータの長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードを、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に付与する第1欠陥コード付与工程とを包含することを特徴とする。
【0016】
この特徴によれば、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に、セパレータの長手方向における欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードが付与される。このため、巻き取られた捲回体の外側に露出可能な第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができる。
【0017】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む第2欠陥コードを、前記セパレータ原反の幅方向の両端の箇所に付与する第2欠陥コード付与工程をさらに包含することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、両端の第2欠陥コードのうちのいずれかを正常に読み取れば良くなるので、第2欠陥コードの読み取りの信頼性が向上する。例えば、セパレータ原反の幅方向の一方の端部に皺が生じたり、形成された一方の第2欠陥コードが欠けたりしても、他方の第2欠陥コードを読み取ることができる。
【0019】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記第2欠陥コードの形成位置によって前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置が表わされることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、多孔質で長手方向に伸びやすいセパレータの長手方向における欠陥の位置を第1欠陥コードによって大まかに特定することができ、前記セパレータ原反の幅方向の両端の第2欠陥コードの形成位置に基づいて、切断された複数のセパレータのうちの前記欠陥が存在するセパレータの欠陥の位置に、前記セパレータの長手方向における欠陥の位置を精密に特定するための目印を容易に付与することができる。
【0021】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥が存在するセパレータに、前記欠陥の位置を特定するための目印を付与する目印付与工程と、前記第1欠陥コード付与工程により欠陥コードが付与された後のセパレータを巻き替えながら前記目印を検知する目印検知工程と、前記目印検知工程による目印の検知に応じて巻き替え動作を停止して前記欠陥を除去する欠陥除去工程とを包含することが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、多孔質で長手方向に伸びやすいセパレータの長手方向における欠陥の位置を第1欠陥コードによって大まかに特定し、目印の形成位置によって前記欠陥の位置を精密に特定することができる。
【0023】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記目印検知工程では、前記第1欠陥コードを読み出し、前記読み出した第1欠陥コードが含まれる前記長手方向における前記欠陥の前記位置情報に応じて、前記セパレータを巻き替える際に、前記欠陥の位置が近づくと巻き替え動作を減速することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、セパレータを巻き替える際にセパレータの長手方向における欠陥の位置を容易に特定することができる。
【0025】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記目印付与工程は、ラベルを貼ることによって行うことが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、貼られたラベルにより、セパレータの欠陥の位置を容易に特定することができる。
【0027】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ捲回体は、コアと、欠陥が存在して前記コアに巻き取られたセパレータと、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に付与され、長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードとを備えることを特徴とする。
【0028】
この特徴によれば、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に、長手方向における欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードが付与される。このため、捲回体の外側に露出可能な第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができる。
【0029】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反捲回体は、コアと、欠陥が存在して前記コアに巻き取られたセパレータ原反と、前記コア、前記巻き取られたセパレータ原反の側面、前記巻き取られたセパレータ原反の外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータ原反からなる捲回体の包装体に付与され、長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードとを備えることを特徴とする。
【0030】
この特徴によれば、前記コア、前記巻き取られたセパレータ原反の側面、前記巻き取られたセパレータ原反の外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータ原反からなる捲回体の包装体に、長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードが付与される。このため、捲回体の外側に露出可能な第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータ原反の欠陥位置を容易に特定することができる。
【0031】
本発明に係るセパレータ原反捲回体では、前記セパレータ原反の幅方向の両端の箇所に付与され、幅方向における前記欠陥の位置情報を含む第2欠陥コードをさらに備えることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、両端の第2欠陥コードのうちのいずれかを正常に読み取れば良くなるので、第2欠陥コードの読み取りの信頼性が向上する。例えば、セパレータ原反の幅方向の一方の端部に皺が生じたり、形成された一方の第2欠陥コードが欠けたりしても、他方の第2欠陥コードを読み取ることができる。
【0033】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反製造装置は、欠陥が検出されたセパレータ原反をコアに巻き取る巻き取り部と、前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードを、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に付与する第1欠陥コード付与部とを備えることを特徴とする。
【0034】
この特徴によれば、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に、セパレータ原反の長手方向における欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードが付与される。このため、捲回体の外側に露出可能な第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータ原反の欠陥位置を容易に特定することができる。
【0035】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータの製造方法は、欠陥が検出されたセパレータ原反を前記セパレータ原反の長手方向に沿って切断した複数のセパレータを形成する切断工程と、前記切断工程により形成されて前記欠陥が存在するセパレータに、前記欠陥の位置を特定するための目印を付与する目印付与工程と、前記目印付与工程により目印が付与されたセパレータをコアに巻き取る巻き取り工程とを包含することを特徴とする。
【0036】
この特徴によれば、欠陥の位置を特定するための目印が付与されたセパレータがコアに巻き取られる。このため、欠陥が現れる箇所まで巻き出されると目印が現れることにより、コアから巻き出されたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができる。
【0037】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ捲回体は、コアと、欠陥が存在して前記コアに巻き取られたセパレータと、前記欠陥の位置を特定するために前記セパレータに付与された目印とを含むことを特徴とする。
【0038】
この特徴によれば、欠陥の位置を特定するための目印が、コアに巻き取られたセパレータに付与される。このため、欠陥が現れる箇所まで巻き出されると目印が現れることにより、コアから巻き出されたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、コアに巻き取られたセパレータの欠陥位置を容易に特定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0042】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係るリチウムイオン二次電池、セパレータ、耐熱セパレータ、耐熱セパレータの製造方法、スリット装置、切断装置について順に説明する。
【0043】
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それゆえ、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池として、また、電力の安定供給に資する定置用電池として広く使用されている。
【0044】
図1は、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す模式図である。
【0045】
図1に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、カソード11と、セパレータ12と、アノード13とを備える。リチウムイオン二次電池1の外部において、カソード11とアノード13との間に、外部機器2が接続される。そして、リチウムイオン二次電池1の充電時には方向Aへ、放電時には方向Bへ、電子が移動する。
【0046】
(セパレータ)
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池1の正極であるカソード11と、その負極であるアノード13との間に、これらに挟持されるように配置される。セパレータ12は、カソード11とアノード13との間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
【0047】
図2は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の詳細構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が昇温したときの様子を示し、(c)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0048】
図2の(a)に示されるように、セパレータ12には、多数の孔Pが設けられている。通常、リチウムイオン二次電池1のリチウムイオン3は、孔Pを介し往来できる。
【0049】
ここで、例えば、リチウムイオン二次電池1の過充電、または、外部機器の短絡に起因する大電流等により、リチウムイオン二次電池1は、昇温することがある。この場合、
図2の(b)に示されるように、セパレータ12が融解または柔軟化し、孔Pが閉塞する。そして、セパレータ12は収縮する。これにより、リチウムイオン3の往来が停止するため、上述の昇温も停止する。
【0050】
しかし、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温する場合、セパレータ12は、急激に収縮する。この場合、
図2の(c)に示されるように、セパレータ12は、破壊されることがある。そして、リチウムイオン3が、破壊されたセパレータ12から漏れ出すため、リチウムイオン3の往来は停止しない。ゆえに、昇温は継続する。
【0051】
(耐熱セパレータ)
図3は、
図1に示されるリチウムイオン二次電池1の他の構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
【0052】
図3の(a)に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、耐熱層4をさらに備えてよい。耐熱層4と、セパレータ12とは、耐熱セパレータ12a(セパレータ)を形成している。耐熱層4は、セパレータ12のカソード11側の片面に積層されている。なお、耐熱層4は、セパレータ12のアノード13側の片面に積層されてもよいし、セパレータ12の両面に積層されてもよい。そして、耐熱層4にも、孔Pと同様の孔が設けられている。通常、リチウムイオン3は、孔Pと耐熱層4の孔とを介し往来する。耐熱層4は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
【0053】
図3の(b)に示されるように、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温し、セパレータ12が融解または柔軟化しても、耐熱層4がセパレータ12を補助しているため、セパレータ12の形状は維持される。ゆえに、セパレータ12が融解または柔軟化し、孔Pが閉塞するにとどまる。これにより、リチウムイオン3の往来が停止するため、上述の過放電または過充電も停止する。このように、セパレータ12の破壊が抑制される。
【0054】
(耐熱セパレータ原反(セパレータ原反)の製造工程)
リチウムイオン二次電池1の耐熱セパレータ12aの製造は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して行うことができる。以下では、セパレータ12がその材料として主にポリエチレンを含む場合を仮定して説明する。しかし、セパレータ12が他の材料を含む場合でも、同様の製造工程により、セパレータ12を製造できる。
【0055】
例えば、熱可塑性樹脂に可塑剤を加えてフィルム成形した後、該可塑剤を適当な溶媒で除去する方法が挙げられる。例えば、セパレータ12が、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂から形成されてなる場合には、以下に示すような方法により製造することができる。
【0056】
この方法は、(1)超高分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウム等の無機充填剤とを混練してポリエチレン樹脂組成物を得る混練工程、(2)ポリエチレン樹脂組成物を用いてフィルムを成形する圧延工程、(3)工程(2)で得られたフィルム中から無機充填剤を除去する除去工程、および、(4)工程(3)で得られたフィルムを延伸してセパレータ12を得る延伸工程を含む。
【0057】
除去工程によって、フィルム中に多数の微細孔が設けられる。延伸工程によって延伸されたフィルムの微細孔は、上述の孔Pとなる。これにより、所定の厚さと透気度とを有するポリエチレン微多孔膜であるセパレータ12が形成される。
【0058】
なお、混練工程において、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してもよい。
【0059】
その後、塗工工程において、セパレータ12の表面に耐熱層4を形成する。例えば、セパレータ12に、アラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布し、アラミド耐熱層である耐熱層4を形成する。耐熱層4は、セパレータ12の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。また、耐熱層4として、アルミナ/カルボキシメチルセルロースを塗工してもよい。
【0060】
塗工液をセパレータ12に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。耐熱層4の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中のバインダー濃度とフィラー濃度の和で示される固形分濃度、フィラーのバインダーに対する比を調節することによって制御することができる。
【0061】
なお、塗工する際にセパレータ12を固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
【0062】
以上のように、耐熱層4が積層されたセパレータ原反12cである耐熱セパレータ原反12b(セパレータ原反、セパレータ)を製造できる(形成工程)(
図4)。製造された耐熱セパレータ原反12bは、円筒形状のコア53に巻き取られる(
図4)。なお、以上の製造方法で製造される対象は、耐熱セパレータ原反12bに限定されない。この製造方法は、塗工工程を含まなくてもよい。この場合、製造される対象は、セパレータ原反12cである。
【0063】
リチウムイオン二次電池に使用される耐熱セパレータの製造においては、セパレータ原反に耐熱層を塗工した耐熱セパレータ原反を形成する塗工工程において、検査装置により欠陥を検出すると、当該欠陥を有する原反にマーカにより線を描いて耐熱セパレータ原反を巻き取る。そして、次のスリット工程において耐熱セパレータ原反を巻出す。その後、巻き出された耐熱セパレータ原反に上記マーカによる線を作業員が視認したら、作業員は、上記耐熱セパレータ原反の巻出し動作を停止する。次に、作業員は、上記マーカによる線に対応する欠陥の耐熱セパレータ原反の幅方向の位置を目視確認する。次に、上記マーカによる線に対応する耐熱セパレータ原反の部分が、切断装置により長手方向に沿って切断されて複数の耐熱セパレータが形成される。その後、作業員は、上記マーカによる線に対応する欠陥の幅方向の位置に対応する耐熱セパレータの欠陥に対応する位置に、テープを当該耐熱セパレータからはみ出すように貼る。そして、上記テープをはみ出すように貼られた耐熱セパレータは巻き取りローラーに巻き取られる。
【0064】
次に、巻き取りローラーに巻き取られた上記耐熱セパレータは、巻替工程において、巻き取りローラーから巻替ローラーに巻き替えられる。その後、当該耐熱セパレータからはみ出すように貼られたテープを巻き替える途中で作業員が発見すると、巻き替え動作を停止する。そして、当該テープに対応する欠陥が存在する耐熱セパレータの個所を幅方向に沿って作業員が切断して除去する。次に、巻き取りローラー側の耐熱セパレータと巻替ローラー側の耐熱セパレータとをつなぎ合わせる。その後、巻き替え動作を再開し、耐熱セパレータをすべて巻替ローラーに巻き替える。
【0065】
しかしながら、耐熱セパレータ原反に欠陥を検出すると上記マーカによる線を描くだけなので、次のスリット工程で、作業員が上記マーカを視認したら、作業員は、上記耐熱セパレータ原反の巻出し動作を停止させて、上記欠陥の幅方向の位置を目視確認する必要がある。このため、耐熱セパレータ原反を切断した複数の耐熱セパレータでの欠陥位置を特定するために非常に手間がかかる。
【0066】
図4は、上記耐熱セパレータ原反12bの欠陥マーキング方法の欠陥検出工程及び欠陥情報記録工程を説明するための模式図であり、
図4の(a)は両工程の正面図であり、
図4の(b)は両工程の平面図である。
図5は欠陥検出工程における基材欠陥検査装置55の構成を説明するための図である。
図6は欠陥検出工程における塗工欠陥検査装置57の構成を説明するための図である。
図7は欠陥検出工程におけるピンホール欠陥検査装置58の構成を説明するための図である。
【0067】
セパレータ原反12cに塗工部54で耐熱層が塗布された耐熱セパレータ原反12bがコア53に巻き取られる。セパレータ原反12cの欠陥Dを検査する基材検査工程(欠陥検出工程)は、セパレータ原反12cの繰り出し工程と塗工工程との間に配置された基材欠陥検査装置55により実施される。基材欠陥検査装置55は、光源55aと検出器55bとがセパレータ原反12cを挟むように配置され、光源55aからセパレータ原反12cの表面、裏面に垂直な方向に出射されてセパレータ原反12cを透過した透過光を検出器55bが検出することにより、セパレータ原反12cに存在する欠陥Dを検査する(欠陥検出工程)。上記セパレータ原反12cに存在する欠陥Dは、貫通孔(ピンホール)に係る欠陥、膜厚不正に係る欠陥、及び、異物に係る欠陥を含む。
【0068】
セパレータ原反12cに塗布された耐熱層4の欠陥Dを検査する塗工検査工程(欠陥検出工程)は、塗工工程と、コア53による巻き取り工程との間に配置された塗工欠陥検査装置57により実施される。塗工欠陥検査装置57は、耐熱セパレータ原反12bの耐熱層4側に配置された光源57a及び検出器57bを有する。塗工欠陥検査装置57は、光源57aから出射されて耐熱層4により反射された反射光を検出器57bで検出することにより、耐熱層4に存在する欠陥Dを検出する。上記耐熱層4に存在する欠陥Dは、スジに係る欠陥、剥がれに係る欠陥、弾きに係る欠陥、及び、表面不良に係る欠陥を含む。上記弾きに係る欠陥とは、異物、油分等で塗工液がセパレータ原反12cの表面から弾かれて局所的に耐熱層4が形成されないか、もしくは、形成されても、ごく薄い耐熱層4になる欠陥を意味する。上記表面不良に係る欠陥とは、耐熱層4の膜厚不良に係る欠陥を意味する。
【0069】
耐熱セパレータ原反12bに生じるピンホールによる欠陥Dを検査するピンホール検査工程(欠陥検出工程)は、塗工欠陥検査装置57と欠陥情報記録装置56との間に配置されたピンホール欠陥検査装置58により実施される。ピンホール欠陥検査装置58は、耐熱セパレータ原反12bのセパレータ原反12c側に配置された光源58aと、光源58aから耐熱セパレータ原反12bの表面、裏面に垂直な方向に向かって出射した光を通過させるスリット58cと、スリット58cを通過して耐熱セパレータ原反12bを透過した光に基づいて欠陥Dを検出する検出器58bとを有している。上記ピンホールによる欠陥Dは、数百μmから数mmの直径を有する。
【0070】
ピンホール欠陥検査装置58とコア53との間に欠陥情報記録装置56が配置されている。欠陥情報記録装置56は、基材欠陥検査装置55、塗工欠陥検査装置57、ピンホール欠陥検査装置58により検出された欠陥Dの位置情報を表す欠陥コードDC(第2欠陥コード)を、2次元コード、QRコード(登録商標)等のコードデータにより、耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に記録する。上記位置情報は、耐熱セパレータ原反12bの長手方向及び幅方向における欠陥Dの位置を表す。上記位置情報は、欠陥Dの種類を区別できる情報を含んでもよい。欠陥Dの種類は、例えば、基材欠陥検査装置55により検査される基材の構造的欠陥、塗工欠陥検査装置57により検査される塗布に関する欠陥、ピンホール欠陥検査装置58により検査される孔あきに関する欠陥である。
【0071】
欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に欠陥情報記録装置56により形成される欠陥コードDCの長手方向に沿った位置は、耐熱セパレータ原反12bの搬送速度に応じて±ΔXの範囲内でばらつく。例えば、搬送速度が80m/分であるとき、欠陥コードDCの長手方向に沿った位置は、±30mm程度の範囲でばらつく(ΔX=30mm)。搬送速度が速くなると欠陥コードDCの位置のバラツキ範囲は広くなり(ΔXが大きくなり)、搬送速度が遅くなると欠陥コードDCの位置のバラツキ範囲は狭くなる(ΔXが小さくなる)。このように、耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する欠陥コードDCの長手方向に沿った位置の範囲は、耐熱セパレータ原反12bの搬送速度に応じた範囲でばらつく。
【0072】
欠陥情報記録装置56(
図4)は、欠陥Dの位置情報を表す欠陥コードDCを耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に記録する。欠陥Dと欠陥コードDCとの間の長手方向に沿った距離L
MDは、例えば、好ましくは100mm以下であり、より好ましくは30mm以下である。欠陥コードDCと耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端との間の距離L
TDは、例えば、好ましくは100mm以下であり、より好ましくは30mm以下である。また、耐熱セパレータ原反12bにおいて幅方向の端部は波打ちやすいため、距離L
TDは、10mm以上であることが好ましい。
【0073】
セパレータ原反12c、耐熱セパレータ原反12bのフィルム張力は、通常200N/m以下であり、好ましくは、120N/m以下である。ここで、「フィルム張力」とは、走行するフィルムの幅方向の単位長さ当たりに加わる走行方向の張力を意味する。例えばフィルム張力が200N/mなら、フィルムの幅1mに対して200Nの力が加えられる。フィルム張力が200N/mよりも高いとフィルムの走行方向にシワが入り、欠陥検査の精度が低下する虞がある。また、フィルム張力は通常10N/m以上であり、好ましくは30N/m以上である。フィルム張力が10N/mよりも低いとフィルムの弛みや蛇行が発生する虞がある。セパレータ原反12c、耐熱セパレータ原反12bには、孔Pが形成されており、そのフィルム張力は、光学フィルム等の孔が無いフィルムのフィルム張力よりも小さい。従って、セパレータ原反12c、耐熱セパレータ原反12bは、光学フィルム等の孔が無いフィルムよりも伸びやすい物性を有する。このため、耐熱セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する耐熱セパレータ原反12bの幅方向の端部に欠陥コードDCを記録すると、耐熱セパレータ原反12bが長手方向に伸びても、欠陥Dの長手方向の位置と欠陥コードDCの長手方向の位置とが実質的にずれない。従って、耐熱セパレータ原反12bが長手方向に伸びても、欠陥Dの長手方向の位置を容易に特定することができる。
【0074】
欠陥コードDCが端部に記録された耐熱セパレータ原反12bは、コア53に巻き取られる。耐熱セパレータ原反12bを巻き取ったコア53は、次のスリット工程に運ばれる。
【0075】
(スリット装置)
耐熱セパレータ原反12b(以下「セパレータ原反」)から形成される耐熱セパレータ12a、または、セパレータ原反12cから形成されるセパレータ12(以下「セパレータ」)は、リチウムイオン二次電池1などの応用製品に適した幅(以下「製品幅」)であることが好ましい。しかし、生産性を上げるために、セパレータ原反は、その幅が製品幅以上となるように製造される。そして、一旦製造された後に、セパレータ原反は、製品幅に切断(スリット)されてセパレータとなる。なお、「セパレータの幅」とは、セパレータが延びる平面に対し平行であり、かつ、セパレータの長手方向に対し垂直である方向の、セパレータの長さを意味する。
【0076】
図8は、セパレータ原反12bをスリットするスリット装置6の構成を示す模式図であって、(a)は全体の構成を示し、(b)はセパレータ原反12bをスリットする前後の構成を示す。
【0077】
図8の(a)に示されるように、スリット装置6は、回転可能に支持された円柱形状の、巻出ローラー61と、ローラー62〜65と、複数の巻取ローラー69とを備える。スリット装置6には、後述する切断装置7(
図9)がさらに設けられている。
【0078】
(スリット前)
スリット装置6では、セパレータ原反12bを巻きつけた円筒形状のコア53が、巻出ローラー61に嵌められている。
図8の(a)に示されるように、セパレータ原反12bは、コア53から経路UまたはLへ巻き出される。巻き出されたセパレータ原反12bは、ローラー63を経由し、ローラー64へ例えば速度100m/分で搬送される。搬送される工程においてセパレータ原反12bは、複数のセパレータ12aに長手方向に沿ってスリットされる。
【0079】
(スリット後)
図8の(a)に示されるように、複数のセパレータ12aの一部は、それぞれ、複数の巻取ローラー69に嵌められた各コア81へ巻き取られる。また、複数のセパレータ12aの他の一部は、それぞれ、複数の巻取ローラー69に嵌められた各コア81へ巻き取られる。なお、ロール状に巻き取られたセパレータを「セパレータ捲回体」と称する。
【0080】
(切断装置)
図9は、
図8の(a)に示されるスリット装置6の切断装置7の構成を示す図であって、(a)は切断装置7の側面図であり、(b)は切断装置7の正面図である。
【0081】
図9の(a)(b)に示されるように、切断装置7は、ホルダー71と、刃72とを備える。ホルダー71は、スリット装置6に備えられている筐体などに固定されている。そして、ホルダー71は、刃72と搬送されるセパレータ原反12bとの位置関係が固定されるように、刃72を保持している。刃72は、鋭く研がれたエッジによってセパレータの原反をスリットする。
【0082】
図10は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の読み取り工程、目印付与工程、及び巻き取り工程を説明するための模式図である。セパレータ原反12bは、コア53(
図8)から一定速度(例えば、80m/分)で巻き出される。読み取り部73は、セパレータ原反12bの幅方向の端部に記録された欠陥コードDCを読み取る(読み取り工程)。そして、スリット装置6に設けられた複数の切断装置7は、セパレータ原反12bを長手方向に沿って切断して複数個のセパレータ12aを形成する(切断工程)。
【0083】
次に、目印付与装置74は、読み取り部73により読み取られた欠陥コードDCにより表される欠陥Dの幅方向の位置情報に基づいて、切断装置7により切断された複数個のセパレータ12aのうちの一つを特定し、上記特定した一つのセパレータ12aの欠陥Dに対応する位置に目印Lを付与する(目印付与工程)。なお、欠陥Dが複数個存在するときは、目印付与装置74は、複数個のセパレータ12aを特定する。ここで、好ましい目印Lとしては、ラベルが挙げられ、好ましい目印付与装置74としては、ラベラが挙げられる。
【0084】
目印Lは、ラベルに替えて、ペンにより描画されたマークでもよく、インジェクタにより塗布されたマークでもよい。また、目印Lは、樹脂から構成されるセパレータ12aを加熱することにより印字するサーモラベルでもよく、また、セパレータ12aにレーザで穴を開けることにより目印Lを形成してもよい。
【0085】
切断装置7により切断された複数個のセパレータ12aは、複数個のコア81にそれぞれ巻き取られる(巻き取り工程)。
【0086】
そして、目印付与装置74は、欠陥コードDCにより表される欠陥Dのセパレータ原反12bの長さ方向の位置情報を欠陥コードDC2(第1欠陥コード)として、上記特定した一つのセパレータ12aを巻き取った最外周部86及び/又はコア81に記録する。
【0087】
欠陥コードDC2は、巻き取られたセパレータ12aの側面に形成してもよいし、巻き取られたセパレータ12aの外層に形成してもよい。また、コア81及び前記巻き取られたセパレータ12aからなる捲回体の包装体に形成してもよい。また、コア81が内筒と外筒の2重構造であり、その間に空間を有する場合は、その空間内に面する部位に欠陥コードDC2を形成してもよい。欠陥コードDC2をセパレータ12aの外層に形成する場合は、
図10に示すように最外層表側の最外周部86に形成することが好ましい。但し、最外層よりも1、2層程度内側等、捲回体の外側に露出させることが容易な箇所に形成すればよい。欠陥コードDC2を形成する箇所は、セパレータ12aの表側に限らず、裏側であってもよい。欠陥コードDC2は、巻き取られた捲回体の外側から視認可能な態様で形成されることが好ましい。
【0088】
また、欠陥コードDC2は、タグのような部材に形成し、当該タグをコア81等に取り付けてもよい。
【0089】
欠陥コードDC2は、欠陥コードDCにより表される欠陥D(
図4)のセパレータ原反12bの位置情報に基づく欠陥Dのセパレータ12aにおける位置情報を含む。欠陥コードDCは、セパレータ原反12bの長手方向及び幅方向における欠陥Dの位置情報を表す。欠陥コードDCは、欠陥Dの検出に応じてセパレータ原反12bの全長に渡って複数個形成され得る。従って、欠陥コードDC2は、セパレータ12aの全体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含むことができる。このように、欠陥コードDC2は、コア81及び巻き取られたセパレータ12aからなる捲回体全体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含む。欠陥コードDC2は捲回体全体に含まれる全ての欠陥Dの位置情報を含むことが好ましい。なお、捲回体全体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含む欠陥コードDC2を、セパレータ12aまたはコア81の任意の箇所に付与してもよい。
【0090】
コア81に巻き取られたセパレータ12aは内層と外層とより成る。欠陥コードDC2は、コア81に巻き取られたセパレータ12aの内層と外層との少なくとも一方に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含んでいればよい。
【0091】
以上のように、捲回体に付与された欠陥コードDC2を読み取ることにより、セパレータ12aの内層と外層との少なくとも一方に含まれる複数の欠陥Dの位置を容易に特定することができる。また、捲回体の外側に露出させることが容易な箇所に形成され、捲回体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含む欠陥コードDC2を読み取ることにより、捲回体の内部に位置する複数の欠陥Dの位置を容易に特定することができる。
【0092】
図11は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の目印検知工程、及び欠陥除去工程を説明するための模式図であり、
図11の(a)は目印検知工程を説明するための模式図であり、
図11の(b)は欠陥除去工程を説明するための模式図である。まず、目印検知装置83が最外周部86及び/又はコア81に記録された欠陥コードDC2を読み出す。そして、目印検知装置83が読み出した情報を受けて、目印付与装置74により目印Lを貼りつけられたセパレータ12aのコア81から、コア82への巻き替え動作を開始する。次に、目印検知装置83は、読み出した欠陥コードDC2により表される欠陥Dのセパレータ原反12bの長さ方向の位置情報に基づいて、欠陥Dの位置が近付くと、セパレータ12aの上記巻き替え動作の速度を減速する。
【0093】
そして、セパレータ12aの欠陥Dに対応する位置に張り付けられた目印Lが、目印検知装置83により検知される(目印検知工程)。目印検知装置83により目印Lが検知されると、目印検知装置83がセパレータ12aの巻き替え動作を停止する。その後、欠陥除去装置84は、目印Lに対応する欠陥Dの上流側及び下流側のセパレータ12aの箇所を幅方向に沿って切断して欠陥Dをセパレータ12aから除去する(欠陥除去工程)。かかる欠陥除去工程は、欠陥除去装置84に代えて作業者が手作業で実施してもよい。そして、繋ぎ合わせ装置85は、切断したセパレータ12aを繋ぎ合わせる(繋ぎ合わせ工程)。かかる繋ぎ合わせ工程は、繋ぎ合わせ装置85に代えて作業者が手作業で実施してもよい。次に、繋ぎ合わせ装置85は、セパレータ12aの巻き替え動作を再開する。そして、セパレータ12aのコア81からコア82への巻き替えが完了する。ここで、2つに分割されたセパレータ12aは繋ぎ合わせずに、それぞれ別のコアに巻き替えてもよい。つまり、切断される前の部分をコア82に巻き替え、切断された後の部分をコア82以外のコアに巻き替えればよい。
【0094】
(実施形態2)
実施形態1では、セパレータ原反12bに存在する欠陥Dの位置情報をセパレータ原反12bの端部に記録する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。欠陥Dの位置情報は、情報記憶装置に記録するように構成してもよい。
【0095】
図12は、実施形態2に係るセパレータ原反12bの欠陥マーキング方法の欠陥検出工程及び欠陥情報記録工程を説明するための模式図である。
図13は、セパレータ12aの欠陥位置特定方法の読み取り工程、目印貼り工程、及び巻き取り工程を説明するための模式図である。実施形態1で前述した構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は繰り返さない。
【0096】
欠陥情報記録装置56a(欠陥情報記録部、セパレータ原反製造装置)は、基材欠陥検査装置55、塗工欠陥検査装置57、ピンホール欠陥検査装置58により検出されたセパレータ原反12c・12bに存在する欠陥Dの長手方向及び幅方向における位置を表す位置情報を情報記憶装置91に記録する。そして、読み取り部73aは、欠陥Dの長手方向及び幅方向における位置情報を情報記憶装置91から読みとる(読み取り工程)。
【0097】
(実施形態3)
図14は、実施形態3に係るセパレータ原反12bの欠陥マーキング方法の欠陥検出工程及び欠陥情報記録工程を説明するための模式図であり、
図14の(a)は両工程の正面図であり、
図14の(b)は両工程の平面図であり、
図14の(c)は両工程が実施された後に巻き取られたセパレータ原反捲回体87b(セパレータ捲回体)の斜視図である。実施形態1で前述した構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は繰り返さない。
【0098】
実施形態1の
図4で示した例では、欠陥Dの位置情報を表す欠陥コードDCを、セパレータ原反12bの幅方向の一端に形成する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図14(a)(b)に示すように、セパレータ原反12bの幅方向の両端に対応する位置に一対の欠陥情報記録装置56bを設け、セパレータ原反12bの幅方向の両端に欠陥コードDCを形成してもよい。2個の欠陥コードDCは、セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置に対応する、幅方向の両端の箇所に形成されてもよい。これにより、欠陥コードDCが形成された位置によって、セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置が表される。
【0099】
セパレータ原反12bの幅方向の両端に欠陥コードDCを記録することにより、2個の欠陥コードDCのうちのいずれかを正常に読み取れば良くなるので、
図10に示す読み取り部73による欠陥コードDCの読み取りの信頼性が向上する。例えば、セパレータ原反12bの幅方向の一方の端部に皺が生じたり、印字された一方の欠陥コードDCが欠けたりしても、読み取り部73は他方の欠陥コードDCを読み取ることができる。
【0100】
また、実施形態1の
図10で示した例では、コア81に巻き取られた欠陥Dが存在するセパレータ12aの最外周部86、及び/又は、セパレータ12aが巻き付けられたコア81に欠陥コードDC2を形成する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図14(c)に示すように、コア53に巻き取られたセパレータ原反12bの最外周部86b、及び/又は、セパレータ原反12bが巻き付けられたコア53に、セパレータ原反12bの長さ方向の欠陥Dの位置情報を表す欠陥コードDC2を形成したセパレータ原反捲回体87b(セパレータ捲回体)を構成してもよい。
【0101】
欠陥Dが検出されたセパレータ原反12bが巻き取り部88によりコア53に巻き取られる。そして、欠陥コード形成部89(第1欠陥コード付与部)により、セパレータ原反12bの長手方向における欠陥Dの位置情報を含む欠陥コードDC2が、コア53に巻き取られたセパレータ原反12bの最外周部86b、又は、セパレータ原反12bが巻き付けられたコア53に形成される。
【0102】
欠陥コードDC2は、巻き取られたセパレータ原反12bの側面に形成してもよいし、巻き取られたセパレータ原反12bの外層に形成してもよい。また、コア53及び前記巻き取られたセパレータ原反12bからなるセパレータ原反捲回体87bの包装体に形成してもよい。また、コア53が内筒と外筒の2重構造であり、その間に空間を有する場合は、その空間内に面する部位に欠陥コードDC2を形成してもよい。欠陥コードDC2をセパレータ原反12bの外層に形成する場合は、
図14(b)に示すように最外層表側の最外周部86bに形成することが好ましい。但し、最外層よりも1、2層程度内側等、セパレータ原反捲回体87bの外側に露出させることが容易な箇所に形成すればよい。欠陥コードDC2を形成する箇所は、セパレータ原反12bの表側に限らず、裏側であってもよい。欠陥コードDC2は、巻き取られたセパレータ原反捲回体87bの外側から視認可能な態様で形成されることが好ましい。
【0103】
また、欠陥コードDC2は、タグのような部材に形成し、当該タグをコア53等に取り付けてもよい。
【0104】
なお、巻き取られたセパレータ原反12bの最外周部86bに欠陥コードDC2が位置するように、欠陥情報記録装置56bにより、巻き取られる前の搬送されているセパレータ原反12bに、欠陥コードDC2を形成してもよい。この場合、セパレータ原反12bがコア53に巻き取られた後、巻き取られたセパレータ原反12bの最外周部86bに欠陥コードDC2が位置するように、セパレータ原反12bを幅方向に沿ってカットしてもよい。
【0105】
欠陥コードDC2は、欠陥コードDCにより表される欠陥Dのセパレータ原反12bの位置情報を含む。欠陥コードDCは、セパレータ原反12bの長手方向及び幅方向における欠陥Dの位置情報を表す。欠陥コードDCは、欠陥Dの検出に応じてセパレータ原反12bの全長に渡って複数個形成され得る。従って、欠陥コードDC2は、セパレータ原反12bの全体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含むことができる。このように、欠陥コードDC2は、コア53及び巻き取られたセパレータ原反12bからなるセパレータ原反捲回体87b全体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含む。欠陥コードDC2はセパレータ原反捲回体87b全体に含まれる全ての欠陥Dの位置情報を含むことが好ましい。なお、セパレータ原反捲回体87b全体に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含む欠陥コードDC2を、セパレータ原反12bまたはコア53の任意の箇所に付与してもよい。
【0106】
コア53に巻き取られたセパレータ原反12bは内層と外層とより成る。欠陥コードDC2は、コア53に巻き取られたセパレータ原反12bの内層と外層との少なくとも一方に含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含んでいればよい。
【0107】
以上のように、セパレータ原反捲回体87bに付与された欠陥コードDC2を読み取ることにより、セパレータ原反12bの内層と外層との少なくとも一方に含まれる複数の欠陥Dの位置を容易に特定することができる。また、セパレータ原反捲回体87bの外側に露出させることが容易な箇所に形成され、セパレータ原反12bに含まれる複数の欠陥Dの位置情報を含む欠陥コードDC2を読み取ることにより、セパレータ原反捲回体87bの内部に位置する複数の欠陥Dの位置を容易に特定することができる。
【0108】
図15は、実施形態3に係る欠陥コードDCの態様を示す図である。実施形態1及び2に係る欠陥コードDCも同様の構成を有する。また、欠陥コードDC2も、同様の構成であってもよい。欠陥コードDC(
図15(b))は、欠陥D(
図15(a))に対応するX座標の最小値X1及び最大値X2、並びに、Y座標の最小値Y2及び最大値Y1を含む。欠陥コードDCは、欠陥Dの個数及び種類を含む。欠陥Dの種類は、前述したように、貫通孔(ピンホール)に係る欠陥、膜厚不正に係る欠陥、及び、異物に係る欠陥を含む。欠陥Dの個数が複数のときは、X座標の最小値X1及び最大値X2、並びに、Y座標の最小値Y2及び最大値Y1をそれぞれ複数含む。
【0109】
1個の欠陥Dに対して1個の欠陥コードDCを形成すると、セパレータの長手方向に沿った短い距離間隔で複数の欠陥Dが連続して現れた場合に、欠陥コードDCが重なって形成されてしまうという不都合が生じる。そこで、これよりも狭い間隔では欠陥コードDCを連続して形成しないという最小間隔を設定して欠陥コードDCをセパレータに形成する。
【0110】
欠陥コードDCは、二次元バーコードにより構成される。二次元バーコードの種類には、例えば、QRコード(登録商標)、データマトリックス等がある。
【0111】
(実施形態4)
図16は、実施形態4に係るセパレータの欠陥位置特定方法の読み取り工程、目印付与工程、及び巻き取り工程を説明するための模式図である。
【0112】
前述した
図10、
図14(c)では、欠陥コードDC2を、セパレータ12aの最外周部86及び/又はコア81に形成する例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図16に示すように、最外周部86及び/又はコア81に欠陥コードDC2を形成せず、単に、目印Lが付与されたセパレータ12aをコア81に巻き取ったセパレータ捲回体87cを構成してもよい。
【0113】
このように欠陥が除去されず目印Lが付与された状態で出荷されたセパレータ捲回体87cは、出荷先のユーザにより欠陥が切除されてリチウムイオン2次電池の電極と一体化される。この際、欠陥が存在するセパレータ捲回体87cは、巻き換えられたり、欠陥を切除した後に繋ぎ合わされたりすることなく、欠陥が現れる箇所まで巻き出されて使用され、現れた欠陥が切除され、欠陥が存在しない部分を引き出して電極と一体化される工程が再開されてもよい。このように、欠陥を切除しないセパレータ捲回体87cは、欠陥を切除する場合に比較して、巻き替え工程が不要になる。このため、柔らかく皺等の欠陥が生じやすいセパレータの工程負荷が軽減されるという効果が奏される。
【0114】
(本発明の他の側面)
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反の製造方法は、セパレータ原反を形成する形成工程と、前記形成工程により形成したセパレータ原反に存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録する欠陥情報記録工程とを包含することを特徴とする。ここで、「セパレータ原反」とは、スリットされる前の幅広のセパレータを意味するものとする。
【0115】
この特徴によれば、セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録するので、当該記録された位置情報に基づいて、セパレータ原反に存在する欠陥を容易に特定することができる。従って、セパレータ原反に存在する欠陥を容易に除去することができる。
【0116】
本発明に係るセパレータ原反の製造方法では、前記欠陥情報は、前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置情報をさらに含むことが好ましい。ここで、「セパレータ原反の長手方向」は、セパレータの製造工程において製造対象物が搬送される方向に相当するものとする。
【0117】
上記構成によれば、前記欠陥の長手方向における位置情報に基づいて、捲回されたセパレータ原反からセパレータ原反を巻き出すときに上記欠陥を容易に発見することができる。
【0118】
本発明に係るセパレータ原反の製造方法では、前記欠陥情報は、前記セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置に対応する箇所に記録されていることが好ましい。
【0119】
上記構成によれば、欠陥情報が記録された位置に基づいて、セパレータ原反の長手方向における欠陥の位置を特定することができる。また、セパレータ原反の長手方向における前記欠陥の位置に対応する箇所に欠陥情報が記録されるので、セパレータ原反が長手方向に伸びても、欠陥と欠陥情報との長手方向の位置が実質的にずれない。従って、セパレータ原反が長手方向に伸びても、欠陥の長手方向の位置を容易に特定することができる。
【0120】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータの製造方法は、セパレータ原反を形成する形成工程と、前記形成工程により形成したセパレータ原反に存在する欠陥を検出する欠陥検出工程と、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録する欠陥情報記録工程と、前記欠陥情報記録工程により前記位置情報が記録された欠陥を有するセパレータ原反を前記原反の長手方向に沿って切断した複数のセパレータを形成する切断工程と、前記位置情報を読み取る読み取り工程と、前記読み取り工程により読み取られた位置情報に基づいて、前記切断工程により切断された複数のセパレータのうちの少なくとも一つに、前記欠陥の位置を特定するための目印を付与する目印付与工程とを包含することを特徴とする。
【0121】
この特徴によれば、読み取り工程により読み取られた位置情報に基づいて、切断工程により切断された複数のセパレータのうちの少なくとも一つに、欠陥の位置を特定するための目印を付与するので、セパレータ原反をスリットした複数のセパレータのうちの当該欠陥を含むセパレータの欠陥部位を容易に除去することができる。
【0122】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記目印付与工程により欠陥の位置を特定するための目印を付与された複数のセパレータのうちの少なくとも一つを巻き取る巻き取り工程と、前記巻き取り工程により巻き取られた複数のセパレータのうちの少なくとも一つを巻き替えながら前記目印を検知する目印検知工程と、前記目印検知工程による目印の検知に応じて巻き替え動作を停止して前記欠陥を除去する欠陥除去工程とを包含することが好ましい。
【0123】
上記構成によれば、巻き取り工程の後で欠陥を除去するので、巻き取り工程で巻き取りを停止する必要が無く作業効率が向上する。
【0124】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥除去工程は、前記欠陥の長手方向の両側のセパレータの箇所を幅方向に沿って切断して前記欠陥を前記セパレータから除去した後、前記切断したセパレータをつなぎ合わせることが好ましい。
【0125】
上記構成によれば、セパレータ原反に存在する欠陥を除去したセパレータを製造することができる。
【0126】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥情報記録工程は、前記位置情報を前記セパレータ原反の幅方向の端部に記録することが好ましい。
【0127】
上記構成によれば、セパレータ原反の幅方向の端部を読み取ることにより欠陥部位を認識することができる。
【0128】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記欠陥情報記録工程は、前記位置情報を情報記憶装置に記録してもよい。
【0129】
上記構成によれば、情報記憶装置に記録された情報を読み取ることにより欠陥部位を認識することができる。
【0130】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記目印付与工程は、ラベルを貼ることによって行うことが好ましい。
【0131】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反は、自己の欠陥の幅方向における位置情報を幅方向の端部に記録したことを特徴とする。
【0132】
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータ原反製造装置は、セパレータ原反を形成する形成部と、前記形成部により形成されたセパレータ原反に存在する欠陥を検出する欠陥検出部と、前記セパレータ原反の幅方向における前記欠陥の位置情報を含む欠陥情報を記録する欠陥情報記録部とを備えることを特徴とする。
【0133】
(本発明のさらに他の側面)
上記の課題を解決するために、本発明に係るセパレータの製造方法は、複数の欠陥が検出されたセパレータをコアに巻き取って、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体を形成する捲回体形成工程と、前記コアに巻き取られたセパレータの内層と外層との少なくとも一方に含まれる前記複数の欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードを前記捲回体に付与する第1欠陥コード付与工程とを包含することを特徴とする。
【0134】
この特徴によれば、捲回体に付与された第1欠陥コードを読み取ることにより、セパレータの内層と外層との少なくとも一方に含まれる複数の欠陥の位置を容易に特定することができる。
【0135】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記第1欠陥コードが、前記セパレータから検出された全部の欠陥の位置情報を含んでも良い。
【0136】
上記構成によれば、捲回体に付与された第1欠陥コードを読み取ることにより、コアに巻き取られたセパレータの全部の欠陥の位置を容易に特定することができる。
【0137】
本発明に係るセパレータの製造方法では、前記第1欠陥コードが、前記コア、前記巻き取られたセパレータの側面、前記巻き取られたセパレータの外層、又は、前記コア及び前記巻き取られたセパレータからなる捲回体の包装体に付与されることが好ましい。
【0138】
上記構成によれば、捲回体の外側に露出させることが容易な箇所に形成され、セパレータに含まれる複数の欠陥の位置情報を含む第1欠陥コードを読み取ることにより、捲回体の内部に位置する複数の欠陥の位置を容易に特定することができる。
【0139】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。