(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料に含まれる蛍光物質を励起させるために、波長帯域が異なる複数種類の励起光を照射可能な光源ユニットを有し、複数種類の前記各励起光で励起された蛍光を検出して蛍光画像を撮影する蛍光撮影装置において、
前記光源ユニットは、
複数の発光素子と、
前記各発光素子の照射方向の前方に配置され、前記各発光素子が発光する光の波長帯域を制限して前記各励起光を生成するための複数種類の励起光フィルタと、
前記複数の発光素子のうちの少なくとも1つを含み、前記複数種類の各励起光フィルタをそれぞれ有する複数種類の照射部と、
光透過性を有する基材を含み、前記複数の発光素子が実装される回路基板であり、前記複数種類の照射部が一次元又は二次元に配列され、かつ、前記複数種類の照射部で共用される1枚の回路基板と、
前記回路基板に起因して発生する有害光が、前記回路基板内を伝搬して、1種類の前記照射部から種類が異なる別の前記照射部へ進入することを防止するために、前記回路基板に形成された貫通孔(開放端を有する場合を含む)で構成される遮光部と、
前記励起光フィルタが取り付けられることにより前記複数種類の照射部の照射窓を構成し、かつ、前記回路基板において前記各発光素子が実装される実装領域を含み、前記各照射部において前記各励起光フィルタと前記実装領域との間に形成される実装空間を画定する窓枠ブロックであって、隣接する前記実装空間同士の境界を画定し、隣接する前記実装空間への漏光を防止する隔壁を含む窓枠ブロックと、
前記遮光部は、隣接する複数種類の前記照射部の前記実装領域の間の境界領域に配置されていることを特徴とする蛍光撮影装置。
前記複数種類の照射部のうちの1つで発生した有害光が他の照射部に向かって直進して伝播する直線経路内には、前記貫通孔が少なくとも1個配置されていることを特徴とする請求項6ないし16のいずれか1項に記載の蛍光撮影装置。
試料に含まれる蛍光物質を励起させて、励起された蛍光を検出して蛍光画像を撮影する蛍光撮影装置に用いられ、波長帯域が異なる複数種類の励起光を照射して、前記蛍光物質を励起されるための光源ユニットにおいて、
複数の発光素子と、
前記各発光素子の照射方向の前方に配置され、前記各発光素子が発光する光の波長帯域を制限して前記各励起光を生成するための複数種類の励起光フィルタと、
前記複数の発光素子のうちの少なくとも1つを含み、前記複数種類の各励起光フィルタをそれぞれ有する複数種類の照射部と、
光透過性を有する基材を含み、前記複数の発光素子が実装される回路基板であり、前記複数種類の照射部が一次元又は二次元に配列され、かつ、前記複数種類の照射部で共用される1枚の回路基板と、
前記回路基板に起因して発生する有害光が、前記回路基板内を伝搬して、1種類の前記照射部から種類が異なる別の前記照射部へ進入することを防止するために、前記回路基板に形成された貫通孔(開放端を有する場合を含む)で構成される遮光部と、
前記励起光フィルタが取り付けられることにより前記複数種類の照射部の照射窓を構成し、かつ、前記回路基板において前記各発光素子が実装される実装領域を含み、前記各照射部において前記各励起光フィルタと前記実装領域との間に形成される実装空間を画定する窓枠ブロックであって、隣接する前記実装空間同士の境界を画定し、隣接する前記実装空間への漏光を防止する隔壁を含む窓枠ブロックと、
前記遮光部は、隣接する複数種類の前記照射部の前記実装領域の間の境界領域に配置されていることを特徴とする光源ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0025】
「第1実施形態」
図1において、蛍光撮影システム10は、蛍光撮影装置11と、画像処理装置12とを備えている。蛍光撮影装置11は、蛍光物質を有する試料PSに励起光を照射して、励起される蛍光を検出して蛍光画像を撮影する。画像処理装置12は、蛍光撮影装置11が撮影した蛍光画像に対して画像処理を施し、処理済みの蛍光画像を表示する。また、画像処理装置12は、蛍光撮影装置11を制御する制御機能を有している。
【0026】
画像処理装置12は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションで構成される本体12aに、画像処理プログラムや蛍光撮影装置11の制御プログラムを含むソフトウェアをインストールしたものである。画像処理装置12は、モニタ12bや、キーボードやマウスなどで構成される操作部12cを有している。モニタ12bには蛍光画像や操作画面などが表示される。操作部12cは、操作画面などを通じて操作指示を本体12aに入力するためのものである。画像処理装置12は、蛍光撮影装置11とケーブル13で通信可能に接続される。
【0027】
蛍光撮影装置11は、筐体16と、カメラ部17と、ステージ18と、光源ユニット19とを備えている。筐体16は、内部が中空の略直方体形状であり、前面には開閉自在な蓋21が設けられている。ステージ18は、筐体16内に設けられており、被写体となる試料PSを配置するためのものである。蓋21が閉じられると、筐体16内は遮光されて、筐体16外部の外光が筐体16内やカメラ部17に進入することが防止される。
【0028】
図2に示すように、カメラ部17は、筐体16の上部に設けられており、カメラ部17の下方部分が筐体16の上面から筐体16内に進入した状態で配置されている。カメラ部17は、試料PSが発する蛍光を検出することにより蛍光画像を撮影する。
【0029】
カメラ部17は、イメージセンサ22、撮影レンズ23及びフィルタユニット25を有している。イメージセンサ22は、受光面に複数の画素を二次元に配列した、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどの撮像素子が使用される。イメージセンサ22は、モノクロ画像を撮像するモノクロイメージセンサである。撮影レンズ23は、試料PSが発する蛍光をイメージセンサ22の受光面に結像する。
【0030】
フィルタユニット25は、撮影レンズ23の前方に配置されており、イメージセンサ22に入射する光の波長帯域を制限するためのものである。フィルタユニット25は、例えば、回転板に、光を透過する波長帯域が異なる複数種類のフィルタ25aが設けられたロータリーフィルタで構成される。フィルタ25aは、例えば4種類設けられており、イメージセンサ22の入射光路内に選択的に挿入される。フィルタユニット25はモータで駆動され、各フィルタ25aは、フィルタユニット25を回転させることにより、切り替えられる。フィルタ25aは、例えば、試料PSに照射される励起光をカットする一方、試料PSが発する蛍光以外の光をカットする励起光カットフィルタである。試料PSの種類によっては励起波長が異なり、また、試料PSが発する蛍光の波長帯域も異なる。フィルタの光透過特性は、試料PSの種類によって適宜選択される。複数種類のフィルタを設けることで、複数種類の励起光や蛍光の波長帯域に対応することが可能である。
【0031】
なお、本例において、フィルタユニット25を撮影レンズ23の前方に配置した形態で説明しているが、フィルタユニット25は、撮影レンズ23とイメージセンサ23の間に配置してもよい。また、撮影レンズ23が、複数枚のレンズで構成される場合には、複数枚のレンズの間にフィルタユニット25を配置してもよい。
【0032】
また、イメージセンサ22の背後には、イメージセンサ22を冷却して温度上昇を抑制する冷却部(図示せず)が設けられている。冷却部は、例えばペルチェ素子が使用される。イメージセンサ22は温度上昇により暗電流ノイズが増加する。冷却部によってイメージセンサ22を冷却することにより暗電流ノイズが抑制される。
【0033】
ステージ18の斜め上方には、左右の対向位置に2つの光源ユニット19が配置されている。
図3に示すように、各光源ユニット19は、緑色のG励起光を照射するG用照射部26G、青色のB励起光を照射するB用照射部26B、赤色のR励起光を照射するR用照射部26Rの3色の励起光を照射する照射部を有している。さらに、励起光の照射部に加えて、照明光として利用される白色光を照射するW用照射部26Wを有している。各照射部26は、一列(一次元)に配列されており、光源ユニット19は全体として細長形状をしている。各光源ユニット19は、光源ユニット19の長手方向とステージ18の一辺とがほぼ平行になる姿勢で配置されている。
【0034】
各光源ユニット19の前方には、光学ユニット24が配置されている。光学ユニット24は、各照射部26が照射する励起光や照明光の照射領域を拡大したり、各照射領域内の配光ムラを低減するためのものである。光学ユニット24は、例えば、光をコリメートするコリメータレンズや、光を拡散させるための拡散板などで構成される。カメラ部17の動作開始及び終了、光源ユニット19の点灯及び消灯、励起光や照明光の切り替えなどの制御は、画像処理装置12から入力される制御信号によって行われる。
【0035】
図4に示すように、4種類の各照射部26G、26B、26R、26Wは、それぞれに対応する種類の照射窓27G、27B、27R、27Wを有する。各色の励起光は、異なる種類の蛍光物質の励起波長に対応しており、光源ユニット19は、各色の励起光を選択的に照射することが可能である。各色の励起光は、分析対象の試料PSが有する蛍光物質に応じて使い分けられる。照明光(白色光)を発する照射部26Wは、各励起光の照射部26G、B、Rと同時または選択的に点灯することが可能である。
【0036】
図5及び
図6に示すように、光源ユニット19は、シャーシ31と、回路基板32と、G、B、R、Wの各色のGLED33G、BLED33B、RLED33R、WLED33Wと、G、B、R、Wの各色のフィルタ34G、34B、34R、34Wと、フィルタを取り付けるための窓枠ブロック36と、前面カバー37とで構成される。ここで、各色の照射部、照射窓、LED、フィルタなどについて、色の区別が必要な場合には、符号にB、G、R、Wの色識別符号を付して示すが、色の区別が不要な場合には、色識別符号を省略して、単に、照射部26、照射窓27、LED33、フィルタ34と呼ぶ。
【0037】
フィルタ34G、34B、34Rは、それぞれGLED33G、BLED33B、RLED33Rに対応して設けられており、蛍光物質を励起するための励起光を生成するための励起光フィルタである。フィルタ34G、34B、34Rは、各色のLED33G、33B、33Rが発光する光の波長帯域のうち、一部の波長帯域を透過する光透過特性を有している。GLED33G、BLED33B、RLED33Rが発する光は、蛍光物質の励起波長に対応して、波長帯域が広い。蛍光物質に対して励起波長以外の光成分が照射されると、励起波長以外の光成分は蛍光励起に寄与しないばかりか、蛍光画像の背景の明るさレベルを上げてしまい、蛍光画像における蛍光の識別性を低下させてしまう。各フィルタ34G、34B、34Rは、それぞれGLED33G、BLED33B、RLED33Rが発光する光の波長帯域のうち、励起波長以外の波長をカットして、波長帯域を制限する。これにより、GLED33G、BLED33B、RLED33Rがそれぞれ発光する光の波長帯域が狭帯域化されて、蛍光物質の励起波長に対応する励起光が生成される。
【0038】
フィルタ34Wは、WLED33Wの白色光に含まれる赤外光や紫外光などの照明光として不要な波長成分をカットする。なお、W用照射部26Wについては、フィルタ機能が不要な場合には、フィルタ34Wの代わりにフィルタ機能の無い光透過板を用いてもよい。
【0039】
シャーシ31は、金属製の平板であり、回路基板32の背面32b側を保持する。シャーシ31の長手方向の両端には、前面カバー37をシャーシ31に固定し、かつ、光源ユニット19を筐体16に固定するためのネジ穴31aが設けられている。
【0040】
回路基板32は、各色のLED33が実装される基板であり、LED33に駆動電流を供給するための配線パターンや駆動回路などが形成されたものである。回路基板32は、1枚板で形成されており、1枚板の上に、各色のLED33が実装されている。回路基板32は、例えば、基材32c(
図11参照)上に配線パターン32d(
図11参照)などがプリントされたプリント基板である。基材32cの材質は、例えば、ガラスエポキシなどの樹脂であり、光透過性を有している。回路基板32の表面32aには、各色のLED33の実装領域38が、各LED33の色毎に設定されている。各実装領域38は各フィルタ34と対向する領域である。本例では、フィルタ34は、平面形状が四角形をしており、実装領域38も、フィルタ34の平面形状に対応して、四角形である。1つの実装領域38には、同色のLED33が2つ1組で実装されている。各色のLED33に対応する各実装領域38は、回路基板32の長手方向に沿って1列に配列されている。回路基板32には、各実装領域38の周囲に遮光部51が設けられている。遮光部51については、後に詳述する。
【0041】
また、シャーシ31と回路基板32の間には、熱伝導シート41が介挿されている。熱伝導シート41は、各LED33が発する熱をシャーシ31に伝導して放熱する。
【0042】
窓枠ブロック36には、各色のフィルタ34を取り付けるための窓枠42が形成されている。窓枠42は、フィルタ34の形状に対応して、平面形状が四角形である。窓枠ブロック36は、上面36aが前面カバー37の内面と当接し、背面36bが回路基板32の表面32aと当接する。前面カバー37の内面には、窓枠ブロック36の位置を固定する位置決め部(図示せず)が設けられており、窓枠ブロック36が前面カバー37に取り付けられると、前面カバー37に対する窓枠ブロック36の相対位置が固定される。
【0043】
窓枠42は、回路基板32上の実装領域38を画定する機能を有している。窓枠ブロック36は、フィルタ34を回路基板32との間で間隔を空けて保持することにより、実装領域38とフィルタ34の間に形成される実装空間39を画定する機能とを有している。窓枠ブロック36において、隣接する窓枠42の間は、隣接する実装空間39を隔てる隔壁43として機能する。つまり、隔壁43によって隣接する照射部26の境界が画定される。また、隔壁43によって、各色のLED33の光が、隣接する他色のLED33の実装空間39に漏れることが防止される。窓枠ブロック36は、例えば、ゴムなどの弾性材料で形成されている。窓枠ブロック36を弾性材料で形成することにより、窓枠ブロック36の背面36bと回路基板32の表面32aとの密着度が上がる。そのため、隣接する実装空間39への漏光を防止する効果がさらに向上する。
【0044】
前面カバー37は、シャーシ31に取り付けられた回路基板32及び窓枠ブロック36を覆うカバーである。前面カバー37には、シャーシ31のネジ穴31aに対応するネジ穴37aが設けられている。また、前面カバー37には、窓枠ブロック36の各窓枠42に対応する位置に、各窓枠42に取り付けられた各フィルタ34を外部に露呈するための露呈開口44が形成されている。
【0045】
各照射窓27は、各色のフィルタ34、窓枠42、露呈開口44によって構成される。具体的には、フィルタ34G、窓枠42、露呈開口44によって、GLED33Gが発するG励起光を照射するG用の照射窓27Gが構成される。そして、フィルタ34B、窓枠42、露呈開口44によって、BLED33Bが発するB励起光を照射するB用の照射窓27Bが構成される。R用の照射窓27R、W用の照射窓27Wについても同様である。
【0046】
また、各照射部26は、各色の照射窓27と、各色のLED33と、実装領域38を含む実装空間39とで構成される。G用の照射部26Gは、G用の照射窓27Gと、GLED33Gと、GLED33Gの実装空間39とによって構成され、B用の照射部26Bは、B用の照射窓27Bと、BLED33Bと、BLED33Bの実装空間39とによって構成される。R用の照射部26R、W用の照射部26Wについても同様である。
【0047】
図7に示すように、遮光部51は、回路基板32において、各実装領域38の周囲を取り囲むように複数個設けられている。具体的には、各遮光部51は、四角形状の1つの実装領域38について、実装領域38の各辺に対応して1つずつ設けられている。これにより、隣接する複数種類の照射部26の境界領域59に、遮光部51が配置されることになる。境界領域59は、各照射部26の実装領域38の間の領域である。本例では、境界領域59は、全域が窓枠ブロック36の隔壁43と対向している(
図6参照)。遮光部51は、BLED33Bの実装領域38に示すように、回路基板32に起因して発生する有害光HLが、回路基板32を通じて他の実装領域38に伝搬するのを防止するためのものである。
【0048】
本例のように、回路基板32がガラスエポキシ製の樹脂基板である場合は、BLED33Bが発光する青色光によって、樹脂に含まれる蛍光成分が励起されて、樹脂起因の緑色の蛍光を発生する。この樹脂起因の緑色蛍光が有害光HLとなる。
【0049】
有害光HLが緑色蛍光の場合には、B用の照射部26Bにおいては、フィルタ34Bによって有害光HLはカットされるため、有害光HLが出射されることはない。しかし、回路基板32は光透過性を有するため、本例の回路基板32のように、1枚の回路基板32を複数の照射部26で共用する場合には、樹脂起因の有害光HLが、例えば、照射部26Bに隣接して存在する照射部26Gに伝搬して、照射部26Gの実装領域38及び実装空間39に進入するおそれがある。有害光HLの波長が、フィルタ34Gの透過波長帯域に含まれていると、照射部26Gの実装空間39に進入した有害光HLは、フィルタ34Gを透過して照射部26Gから出射されてしまう。
【0050】
BLED33Bが点灯して、照射部26BがB励起光を試料PSに対して照射している場合には、蛍光画像には、B励起光によって励起発光する、試料PSに含まれる蛍光物質の蛍光が良好なコントラストで描出されていることが好ましい。この蛍光画像に有害光HLが写り込むと、蛍光画像のコントラストを低下させたり、蛍光物質の蛍光に対するノイズとなってしまう。
【0051】
具体的には以下に示すとおりである。各色のフィルタ34B、34G、34Rが、
図8に示す光透過特性を有する場合を例に説明する。この場合には、各フィルタ34B、34G、34Rによって、それぞれB励起光BEL、G励起光GEL、R励起光RELが生成される。例えば、B励起光BELの中心波長は470nmであり、G励起光GELの中心波長は520nmであり、R励起光RELの中心波長は650nmである。有害光HLは、緑色光であり、例えば、約500nm〜約600nmの波長帯域を有している。
図8においてハッチングで示すように、有害光HLの波長帯域は、フィルタ34Gの光透過波長帯域と一部重なる。そのため、有害光HLが照射部26Gに進入すると、有害光HLの一部は、G励起光GELを生成するフィルタ34Gを透過して、照射部26Gから出射されてしまう。
【0052】
一方、
図9において、蛍光SFLは、B励起光BELによって励起される、蛍光物質が発する物質起因の蛍光であり、中心波長は例えば520nmである。蛍光SFLを検出する場合には、フィルタユニット25(
図2参照)において、蛍光SFLの波長帯域に対応した光透過特性を有する、フィルタ25aが選択される。
図9において、F1で示す光透過特性は、蛍光SFLの検出時に選択されるフィルタ25aの光透過特性を示す。光透過特性F1を有するフィルタ25aにより、イメージセンサ22に対しては、光の入射が制限され、B励起光BELもカットされる。
【0053】
しかし、蛍光SFLと、フィルタ34Gを透過した有害光HLの波長帯域は重なるため、有害光HLが照射部26Gから出射されてしまうと、蛍光SFLと同様に、光透過特性F1を有するフィルタ25aを透過して、イメージセンサ22に入射してしまう。イメージセンサ22に入射すると、有害光HLは蛍光画像に写り込んでしまう。蛍光画像において、有害光HLは蛍光画像の背景を明るくするため、蛍光画像のコントラスト(蛍光SFLと背景のコントラスト)を低下させてしまう。
【0054】
図10に示すように、遮光部51は、B用照射部26Bの実装領域38で発生する有害光HLが、回路基板32を通じて隣接するG用照射部26Gに伝搬するのを防止して、G用照射部26Gの実装空間39に有害光HLが進入することを防止する。上述したとおり、遮光部51は、1つの実装領域38の周囲を取り囲むように、具体的には、実装領域38の四辺の各辺に沿って4つ設けられている。境界領域59だけでなく、境界領域59以外にも遮光部51を設けることで、B用照射部26BからG用照射部26Gに向かって直線的に伝播する有害光HLに加えて、回り込んで伝播する有害光HLも遮光することができる。
【0055】
また、本例において、遮光部51は、B用照射部26BとG用照射部26Gの実装領域38の周囲だけでなく、他の照射部26R、26Wの実装領域38の周囲に設けられている。これは次の理由による。本例では、緑色光の有害光HLがB用照射部26Bで発生する例で説明しているが、有害光HLが、青色光や赤色光の波長成分を含んでいる場合もあり、緑色光であるとは限らない。また、有害光HLが発生する場所も、B用照射部26B以外の他の照射部26G、26R、26Wで発生する場合もある。
【0056】
回路基板32は、各照射部26B、26G、26R、26Wで共用されているため、いずれかの照射部26で発生した有害光は、他の照射部26に伝搬する可能性がある。有害光HLの波長帯域が、伝搬先の照射部26のフィルタ34が透過する波長帯域と重なっている場合には、そこから有害光HLが光源ユニット19の外部に出射されてしまう。本例のように、遮光部51を各照射部26B、26G、26R、26Wのすべてに設けておけば、有害光HLの波長や発生場所に関わらず、各照射部26で発生した有害光HLが、他の照射部26へ伝搬されるのを防止することができる。
【0057】
遮光部51は、回路基板32に形成された複数の貫通孔51aで構成される貫通孔群である。貫通孔51aは、スルーホール又はビアホールと呼ばれ、
図11に示すように、回路基板32の表面32aから背面32bへ回路基板32の厚み方向に貫通している。貫通孔51aの平面形状は、例えば円形である。回路基板32内において、回路基板32の厚み方向と直交する方向に光が伝搬する場合、光の進路上に貫通孔51aがあると、空気との界面となる貫通孔51aの内壁面53において光の屈折や全反射が生じて光の進路が変更される。そのため、有害光HLが隣接する照射部26に向かって進んでいても、進路に貫通孔51aが配置されていると、有害光HLの進路が変更される。進路が変更されると、隣接する照射部26への有害光HLのすべての進入が妨げられるか、あるいは、少なくとも進入する光量が減少する。
【0058】
このような遮光部51の作用により、他の照射部26への伝搬を防止する遮光効果が得られる。遮光部51を貫通孔51aで構成する理由は、こうした遮光効果を発揮するためである。例えば、貫通孔51aではなく、有底の凹部の場合は、底部から光が伝搬してしまうため、遮光効果が得られない。そのため、遮光部51は貫通孔51aで構成される。
【0059】
遮光部51は、実装領域38の外側に配置されている。というのも、遮光部51が実装領域38内に配置されていると、照射効率が低下するからである。実装領域38は、フィルタ34を含む照射窓27の大きさに対応している。そのため、遮光部51の一部である貫通孔51aが実装領域38内に配置されていると、照射窓27から照射すべきLED33の光の一部が貫通孔51aを通じて漏れてしまう。漏光は光量ロスとなり、照射効率を低下させる原因となる。もちろん、多少の光量ロスが発生しても構わないのであれば、遮光部51の一部が実装領域38に配置されていてもよい。
【0060】
また、
図11に示すように、回路基板32の背面32bには、銅線や銅箔などにより配線パターン52が形成されている。貫通孔51aであれば、回路基板32に実装される電気部品のリード端子などを挿通して、回路基板32の背面32bに形成される配線パターン52との接続に利用することも可能である。
【0061】
また、貫通孔51aの内壁面53には、光を反射又は吸収するコーティング54が施されていることが好ましい。反射や吸収により、有害光HLの遮光効果がより向上する。光反射特性を有するコーティング54としては、例えば、メッキであり、光吸収特性を有するコーティング54としては、例えば、カーボンブラックや黒色染料である。さらに、メッキを使用する場合には、金属材料などで形成される導電性メッキであることが好ましい。導電性メッキであれば、コーティング54に光を反射する特性を持たせることができることに加えて、コーティング54を配線パターン52と接続して、配線の一部として利用することもできる。
【0062】
また、遮光部51を複数の貫通孔51aで構成することにより、
図12に示すように、複数の貫通孔51aの間に配線56を敷設することができる。例えば、遮光部51が複数の貫通孔51aではなく、遮光部51とほぼ同じ面積を有する1つの長穴で形成した場合と比較すると、遮光部51を複数の貫通孔51aで構成した方が、各貫通孔51aの間に配線56を敷設することができる分、回路基板32における配線敷設の自由度が向上する。また、LED33の駆動電流は比較的大きい。配線敷設の自由度が向上すると、配線の本数や幅を大きくして配線抵抗を減らすことができるため、大電流に対応しやすい。そのため、遮光部51を複数の貫通孔51aで構成することは、駆動電流が大きなLED33を利用した場合に特に有効である。
【0063】
また、
図10及び
図13に示すように、実装領域38の1辺に対応する1つの遮光部51において、複数の貫通孔51aは、千鳥状に配列(staggered arrangement)されている。具体的には、複数の貫通孔51aは、辺方向に所定の配列ピッチで配列されており、これを1列として4列分設けられている。そして、隣接する列間において、各貫通孔51aは、貫通孔51aの中心を、半ピッチ(1列内の複数の貫通孔51aの配列ピッチの1/2)ずつ、列方向にずらして配置されている。このような千鳥配列にすることにより、正方配列の場合と比較して、光の進路が遮断される確率が上がるため、遮光効果を向上することができる。
【0064】
遮光効果をより向上させるためには、1つの実装領域38で発生した有害光HLが隣接する実装領域38に向かって直進して伝播する直進経路内に少なくとも1つの貫通孔51aを配置することが好ましい。有害光HLが伝播する直進経路が残されていると、その直進経路を通じて、有害光HLは屈折や反射をすることなく隣接する実装領域38に到達してしまうため、遮光効果が低下するからである。したがって、例えば、
図13に示すように、隣接する実装領域38を結ぶ直進経路内に、少なくとも1つの貫通孔51aが配置されるように、複数の貫通孔51aが配列されることが好ましい。
【0065】
貫通孔51aの配列ピッチ、直径、列数、1列の長さなどは、こうしたことを考慮して設定される。例えば、千鳥配列にする場合でも、
図14に示すように、貫通孔51aの直径、列数、配列ピッチなどによっては、貫通孔51aが存在しない直進経路(
図14において×で示す)が発生してしまう場合がある。そのため、貫通孔51aが存在しない直進経路が発生しないように、直径や配列ピッチなどの事項が設定されることが好ましい。具体的には、
図13に示すように、実装領域38の一辺と平行な列方向の配列ピッチをP、同方向の貫通孔51aの直径をDとしたときに、配列ピッチPと直径Dの関係は、D≧1/2Pの条件を満たすことが好ましい。
【0066】
また、同じ数の貫通孔51aを形成する場合において、1個の貫通孔51aの面積が大きいと、回路基板32の強度や剛性の低下も大きくなる。そのため、1個の貫通孔51aの面積は小さい方がよい。具体的には、本例のように、1個の貫通孔51aの面積は、1個のLED33の面積以下であることが好ましい。LED33よりも面積が小さければ、貫通孔51aの配列ピッチを小さくして、配置密度(単位面積当たりの個数)を上げても、回路基板32の強度や剛性の低下を抑制することができる。
【0067】
以下、上記構成による作用について説明する。試料PSの蛍光画像を撮影する場合には、試料PSが筐体16内のステージ18にセットされる。画像処理装置12の操作画面において、操作部12cを通じて、試料PSに含まれる蛍光物質に応じた励起光が選択され、蛍光物質が発する蛍光の波長帯域に応じて、フィルタユニット25のフィルタ25aが選択される。励起光の選択指示を含む、光源ユニット19の点灯指示が、画像処理装置12から蛍光撮影装置11に入力されると、光源ユニット19が点灯する。そして、フィルタ25aの選択指示が蛍光撮影装置11に入力されると、フィルタユニット25が回転して、選択されたフィルタ25aがイメージセンサ22の前方に挿入される。同時に、カメラ部17に対しても撮影開始指示が入力されて、イメージセンサ22が撮像動作を開始する。イメージセンサ22は、所定のフレームレートで撮像した画像を、ライブビュー画像として画像処理装置12に出力する。
【0068】
光源ユニット19において、励起光としてB励起光が選択された場合には、BLED33Bのみが点灯する。BLED33Bの青色光は、フィルタ34Bにより狭帯域化されて、B用照射窓27BからB励起光BEL(
図8参照)が試料PSに対して照射される。試料PSに含まれる蛍光物質は、B励起光によって蛍光SFL(
図9参照)を発光する。フィルタ25aとしては、蛍光SFLに対応する光透過特性F1を有するフィルタが選択される。そのため、フィルタ25aによってB励起光BELはカットされる一方、蛍光SFLはフィルタ25aを透過して、イメージセンサ22に蛍光SFLが入射する。イメージセンサ22は、蛍光SFLを検出して蛍光画像を撮像する。蛍光画像は、画像処理装置12に出力されて、モニタ12bに表示される。
【0069】
図10に示すように、B用照射部26Bの実装領域38においては、BLED33Bの青色光により、回路基板32に含まれる蛍光成分が励起されて有害光HLが発生する。しかし、実装領域38の周囲には、貫通孔51aで構成された遮光部51が設けられているため、有害光HLは遮光部51によって遮光される。そのため、隣接するG用照射部26Gに有害光HLが伝搬することはない。本例の有害光HLは、
図8に示すように、緑色蛍光であり、有害光HLの波長帯域は、G用照射部26Gのフィルタ34Gを透過する波長帯域と一部重なっている。しかし、遮光部51によって、有害光HLが発生するB用照射部26BからG用照射部26Gへの伝搬が阻止されるため、G用照射部26Gから有害光HLが外部に照射されることはない。このため、イメージセンサ22が撮像する蛍光画像に有害光HLが写り込むことがなく、ノイズが無く、かつコントラストが良好な蛍光画像を得ることができる。
【0070】
また、本例では、遮光部51を複数の貫通孔51aで構成しているため、配線敷設の自由度が高い。また、1個の貫通孔51aの面積をLED33の面積以下としているため、回路基板32の強度や剛性の低下が抑制される。また、隣接する実装領域38間での有害光HLの直進経路内に少なくとも1つの貫通孔51aが配置されているから、高い遮光効果が得られる。また、実装領域38の周囲に遮光部51が配置されているため、有害光HLの回り込みによる進入も防止することができる。
【0071】
上記実施形態は一例であり、以下に示すように種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、1枚の回路基板32を共用する、複数種類の照射部26B、26G、26R、26Wのすべての実装領域38の周囲に遮光部51を設けた例で説明したが、必ずしもすべての実装領域38の周囲に遮光部51を設けなくてもよい。上述したように、B用照射部26Bで緑色の有害光HLが発生するのみで、他の色の有害光や他の照射部26で有害光を発生しないのであれば、
図15〜
図17の例のように、B用照射部26B及びG用照射部26Gのそれぞれの実装領域38の少なくとも一方の周囲に遮光部51が設けられていればよい。
【0072】
図15に示す例は、B用照射部26BとG用照射部26Gの両方の実装領域38の周囲に遮光部51を設けた例である。
図16に示す例は、B用照射部26Bの実装領域38の周囲にのみ遮光部51を設けた例であり、
図17に示す例は、G用照射部26Gの実装領域38の周囲にのみ遮光部51を設けた例である。いわば、
図16に示す例は、有害光HLが発生場所から外部に伝搬するのを阻止する例であり、
図17に示す例は、発生場所から伝搬する有害光HLの進入を阻止する例である。
【0073】
また、
図18に示すように、回路基板32の厚み方向に延びる側端面32cに対して、光吸収特性を有する光吸収コーティング58(ハッチングで示す)を施してもよい。側端面32cは空気との界面となるため、回路基板32内を伝搬する有害光HLが側端面32cに入射すると、一部は外部に出るが、側端面32cで全反射した有害光HLは進路を変えるのみで回路基板32内に留まる。回路基板32内に留まった有害光HLは、実装領域38に進入するおそれがある。光吸収コーティング58を施すことにより、側端面32cに入射する有害光HLが吸収されるため、実装領域38への進入を防止することができる。光吸収コーティング58としては、例えばカーボンブラックや黒色染料が使用される。
【0074】
また、回路基板32の背面32b側に光吸収特性を有する平板状の遮光部材(例えば
図26の符号72参照)を設けてもよい。遮光部材を設ければ、回路基板32の背面32b側からの有害光HLの漏光を防止することができる。なお、遮光部材は、第1実施形態で示した熱伝導シート41(
図5及び
図11参照)を兼用してもよい。例えば、熱伝導シート41を熱伝導性の高いカーボン材料で形成すれば、黒色であるため光吸収特性を示すので、遮光部材としても兼用することができる。
【0075】
また、貫通孔51aの平面形状を円形としたが、円形には、真円形の他楕円形も含まれる。また、円形の他、三角形や四角形などの多角形でもよい。しかし、多角形の場合には、角が発生するため、回路基板32の強度や剛性の点で、円形と比較して不利である。そのため、円形であることが好ましい。また、加工の容易性を考えれば、楕円形よりも真円形であることが好ましい。
【0076】
「第2実施形態」
図19及び
図20に示す第2実施形態は、第1実施形態で示した遮光部51の配置位置の変形例である。第1実施形態では、実装領域38の周囲を取り囲むように、具体的には、四角形の実装領域38の四辺のそれぞれに対応する位置に遮光部51を設ける形態であったが、第2実施形態のように、隣接する実装領域38の間の境界領域59のみに遮光部51を設ける形態でもよい。
【0077】
図19の例は、各実装領域38において、隣接する実装領域38と対向する一辺にのみ遮光部51を設けた例である。遮光部51は、実装領域38毎に設けられているので、
図19の例では、1つの境界領域59に2つの遮光部51が設けられる。
図20の例は、
図19の例と異なり、境界領域59に1つずつ遮光部51を設けた例である。
【0078】
「第3実施形態」
図21及び
図22に示す第3実施形態は、貫通孔を長欠で形成した例である。
図21に示す遮光部61は複数の貫通孔61aで構成され、各貫通孔61aは長穴で形成されている。複数の貫通孔61aは、千鳥状に配列されている。また、第1実施形態において、
図13で説明したのと同様に、複数の貫通孔61aは、隣接する実装領域38間を伝播する有害光HLの直進経路内に少なくとも、1個の貫通孔61aが配置されるように、長さや配列ピッチが設定されている。このため、
図21の例においても、第1実施形態と同様の遮光効果を得ることができる。しかし、長欠の貫通孔61aと比較すると、第1実施形態の円形の貫通孔51aは、長さが短い分、回路基板32の強度や剛性の点で有利である。また、
図12で説明したように、配線敷設の自由度を考慮すると、円形の貫通孔51aの方が、隙間が多くなる分、有利である。
【0079】
図22に示す例は、遮光部が1つの貫通孔62で構成されており、貫通孔62が長穴で形成されている。遮光部は、隣接する実装領域38間の有害光HLの伝搬を防止する役割を担うため、遮光部の長さは、実装領域38の大きさに応じて決められる。貫通孔62の長さは、実装領域38の一辺の長さに相当する幅とほぼ同じ長さに形成されている。こうした貫通孔62により、隣接する実装領域38間の有害光HLの伝搬を確実に防止することができる。このように、遮光効果の点では、
図21に示す例と同等の効果が得られる。遮光部を1個の貫通孔62で構成する場合でも、貫通孔62の長さが実装領域38の幅と同じだけあれば、複数の実装領域38間で直進して伝播する有害光HLを遮光することができる。回路基板32の強度や剛性を確保するためには貫通孔の長さは短い方がよいので、遮光効果とのバランスを考慮して、貫通孔の長さの上限は、実装領域38の幅以下であることが好ましい。
【0080】
ただし、貫通孔62を1つの長欠で形成する場合には、
図21に示す例と比較して、長欠の長さがさらに長くなる。長欠の長さが長いと、回路基板32の強度や剛性、配線敷設の自由度の点では、
図21に示す例と比較して、さらに不利である。回路基板32の強度や剛性、配線敷設の自由度を重視する場合には、
図21に示す例や、さらには、第1実施形態が好ましい。
【0081】
「第4実施形態」
図23に示す第4実施形態は、遮光部を構成する貫通孔を、一端が開放端66aとなる切り欠き状のスリット66で形成した例である。こうしたスリット66によっても有害光HLの遮光効果は得られる。ただし、貫通孔を、開放端66aを有するスリット66で形成した場合には、
図23において丸印で示す開放端66a付近においては、配線を敷設することができなくなるため、
図22に示す例と比較して、配線敷設の自由度の点ではさらに不利になる。また、一端が開放端66aになることで、回路基板32の強度や剛性の点でもさらに不利になる。こうした点を重視する場合には、第1実施形態から第3実施形態に示すように、貫通孔は開放端が無いことが好ましく、具体的には、貫通孔51a、61a、62に示すように、内壁面が閉曲面で構成されていることが好ましい。
【0082】
「第5実施形態」
また、
図24に示す第5実施形態のように、第1実施形態から第4実施形態のそれぞれの貫通孔の形態を混在させてもよい。
図24に示す例は、第1実施形態〜第3実施形態の組み合わせである。もちろん、他の形態の組み合わせでもよい。
【0083】
「第6実施形態」
図25に示す第6実施形態は、各照射部26の実装空間39内に、スリーブ69を配設した例である。スリーブ69の形状及びサイズは、実装領域38の形状、面積及び実装空間39の高さに対応している。スリーブ69は、例えば、フィルタ34の高さ方向の位置を決める位置決め部材として機能する。スリーブ69の材料としては、例えば、硬質ゴム、プラスチック、金属などを使用することができる。また、スリーブ69は、光を透過しない材料であることが好ましい。スリーブ69は、フィルタ34と、窓枠ブロック36の窓枠42との隙間を塞ぐように配置されるため、スリーブ69が光を透過しなければ、フィルタ34と窓枠42の隙間からの漏光を防止することができる。
【0084】
「第7実施形態」
図26に示す第7実施形態は、複数の照射部26が共用する窓枠ブロック36の代わりに、照射部26毎に独立した窓枠ブロック71を設けた例である。このように、窓枠ブロックは複数の照射部26で共用しなくてもよい。また、第7実施形態では、回路基板32に設けられる遮光用の貫通孔として、
図23に示したスリット66が設けられている。そして、回路基板32の背面32b側には、背面32bから光源ユニット19の外部に漏れる漏光を防止するための遮光板72が配置されている。遮光板72には、スリット66に挿通されて、各照射部26の間に配置されるリブ72aが設けられている。各照射部26B、26Gの間にはスリット66が配置されているため、スリット66によって、回路基板32を通じて各照射部26B、26G間で伝搬する光は防止されるが、リブ72aによってより確実に防止することが可能である。
【0085】
「第8実施形態」
図27に示す第8実施形態の光源ユニット76のように、各色の照射部26G、26B、26R、26Wを、それぞれ複数個設けてもよい。光源ユニット76の場合には、照射部26Gが3つで、他の照射部26B、26R、26Wは2つずつ設けられている。配列は、中央に1つの照射部26Gを配置し、1つの照射部26Gを挟んで、左右に、照射部26G、26B、26R、26Wのセットが配列されている。各色の照射部26G、26B、26R、26Wの個数や配列は適宜変更が可能である。また、色の組み合わせも一例であり、例えば、照射部26Gと照射部26Bなどの2色だけでもよいし、色についても、例えば、UV(Ultra-Violet)光(紫外線)など、赤外光(Infra-Red)他の色を使用してもよい。
【0086】
なお、第1〜第7実施形態のように、1枚の回路基板32を色が異なる4種類の照射部26で共用する光源ユニットと、第8実施形態のように9種類の照射部26で1枚の回路基板32を共用する光源ユニットとを示したが、1枚の回路基板32を共用する照射部26の種類が少なくとも2つ以上ある光源ユニットに本発明を適用することができる。なお、本発明は、B用照射部26BとG用照射部26Gのように色が異なる複数種類の励起光の照射が可能な光源ユニットに関するものであり、B用照射部26Bのみを複数個有する光源ユニットのように、同種の照射部26のみを複数個有する光源ユニットは含まれない。同種の照射部の場合には、一方の照射部で発生した有害光HLに関して、他方の照射部への進入を防止する必要が無いからである。
【0087】
また、
図2に示したように、複数種類の照射部26で1枚の回路基板32を共用する光源ユニット19が、複数個設けられていてもよい。また、1枚の回路基板32をB用照射部26B、G用照射部26Gで共用する光源ユニットと、もう1枚の別の回路基板32をR用照射部26R、W用照射部26Wで共用するもう1つの光源ユニットとを組み合わせる場合のように、照射部26の色の組み合わせが異なる複数個の光源ユニットを設けてもよい。
【0088】
また、複数種類の照射部26を、一次元に配列した光源ユニット19を例に説明したが、複数種類の照射部26は、二次元に配列してもよい。
【0089】
また、上記実施形態のB用照射部26BとG用照射部26Gのように、有害光HLが発生する照射部と有害光の進入を阻止する照射部が隣接している場合には、各照射部の境界領域に遮光部が配置されることになるが、必ずしも隣接する照射部の境界領域に遮光部が配置されていなくてもよい。例えば、有害光HLが発生するB用照射部26Bと有害光HLの進入を阻止するG用照射部26Gの間にR用照射部26Rが配置される場合もある。この場合には、B用照射部26BとR用照射部26Rの間、あるいは、G用照射部26GとR用照射部26Rの間に遮光部51が設けられていればよい。
【0090】
また、上記実施形態では、複数種類の照射部に使用する発光素子として、発光波長が異なる複数種類の発光素子を使用した例で説明したが、複数種類の照射部で異なる励起光を照射することができれば、発光素子は同じ種類のものを使用してもよい。例えば、複数種類の照射部のすべてで白色光を発する同種の発光素子を使用し、各照射部で励起光フィルタを変更することにより、各照射部で異なる励起光を生成することができる。また、発光素子として、LEDを例に説明したが、レーザーダイオード、有機EL(Electro-Luminescence)素子など他の半導体光源を使用してもよい。
【0091】
また、回路基板として、ガラスエポキシ製の基材に配線パターンをプリントしたプリント基板を例示したが、プリント基板以外でも、フレキシブル基板など、光透過性を有する基材を有する回路基板あれば、本発明を適用することができる。また、イメージセンサ22に励起光が入射しないように、必要に応じて励起光をカットする励起光カットフィルタを用いてもよい。
【0092】
また、イメージセンサ22としては、モノクロイメージセンサを使用した例で説明したが、画素毎にカラーマイクロフィルタが割り当てられたカラーイメージセンサを用いてもよい。カラーマイクロフィルタとしては、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の原色系を用いてもよいし、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の補色系を用いてもよい。また、カラーイメージセンサを用いる場合には、モノクロイメージセンサと同様に、検出する蛍光SFL以外の光をカットするフィルタユニット25を組み合わせてもよいし、フィルタユニット25を使用せずに、カラーマイクロフィルタで間に合わせてもよい。
【0093】
また、本発明は、上記各実施形態に限らず、上記各実施形態の組み合わせなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形が可能である。