特許第6017538号(P6017538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6017538環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築
<>
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000007
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000008
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000009
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000010
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000011
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000012
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000013
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000014
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000015
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000016
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000017
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000018
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000019
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000020
  • 特許6017538-環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017538
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】環境の影響の変動を伴う基準スペクトルの構築
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20161020BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L21/304 622S
   B24B37/04 K
【請求項の数】15
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-506519(P2014-506519)
(86)(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公表番号】特表2014-512693(P2014-512693A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012034109
(87)【国際公開番号】WO2012145418
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年4月17日
(31)【優先権主張番号】13/091,965
(32)【優先日】2011年4月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド, ジェフリー ドリュー
【審査官】 山口 大志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0105288(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0114532(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0275265(US,A1)
【文献】 特開2003−168667(JP,A)
【文献】 特開2004−055995(JP,A)
【文献】 特表2012−507146(JP,A)
【文献】 特表2011−520264(JP,A)
【文献】 特表2009−505847(JP,A)
【文献】 特表2012−510169(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0129939(US,A1)
【文献】 特開平01−206236(JP,A)
【文献】 特開2010−014642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 37/013
B24B 49/12
G01J 3/28
G01N 21/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨を制御する方法であって、
基準スペクトルのライブラリを生成することであって、
少なくとも1つの基準スペクトルを記憶することと、
基板表面の前の光路中の構成要素の変動によってもたらされるスペクトルに対するひずみを表す、複数の異なる透過率曲線を記憶することと、
前記複数の異なる透過率曲線のうちの少なくとも2つの透過率曲線に対して、前記基準スペクトルおよび前記透過率曲線から修正された基準スペクトルを計算して、複数の修正された基準スペクトルを生成することとを含む、生成することと、
基板を研磨することと、
前記基板からの光のスペクトルのシーケンスを研磨中に測定することと、
前記スペクトルのシーケンスの測定スペクトルごとに、前記複数の修正された基準スペクトルから最も良く一致する基準スペクトルを見いだして、最も良く一致する基準スペクトルのシーケンスを生成することと、
前記最も良く一致する基準スペクトルのシーケンスに基づいて研磨終点または研磨速度調整の少なくとも一方を決定することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記異なる透過率曲線が1つまたは複数のウインドウの透過率の変動を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異なる透過率曲線が研磨パッドのウインドウの異なる経時期間におけるスペクトルに対するひずみを表すか、または前記異なる透過率曲線が異なるウインドウを表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記異なる透過率曲線が光源からのバルブの異なる経時期間におけるスペクトルに対するひずみを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記修正された基準スペクトルを計算することが前記基準スペクトルを前記透過率曲線で乗算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記透過率曲線が波長の関数として0と1の間の比として記憶される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基準スペクトルのライブラリを生成する方法であって、
少なくとも1つの基準スペクトルを記憶することと、
基板表面の前の光路中の構成要素の変動によってもたらされるスペクトルに対するひずみを表す、複数の異なる透過率曲線を生成および記憶することであって、前記複数の異なる透過率曲線を生成することが、インシトゥ光学モニタシステムを使用してテスト基板からの基本スペクトルを測定することと、異なる時間に前記インシトゥ光学モニタシステムを使用して、同一のテスト基板または同一材料の別のテスト基板からの1つまたは複数の追加のスペクトルを測定することと、前記基本スペクトルおよび前記1つまたは複数の追加のスペクトルから前記透過率曲線を計算することとを含む、生成および記憶することと、
前記複数の異なる透過率曲線からの少なくとも2つの透過率曲線ごとに、前記基準スペクトルおよび前記透過率曲線から修正された基準スペクトルを計算し、複数の修正された基準スペクトルを生成することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記透過率曲線を計算することが、前記追加のスペクトルが分子にあり、前記基本スペクトルが分母にある除算演算を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基本スペクトルとして研磨パッドのウインドウの同一経時期間における第1の暗スペクトルを測定することと、前記追加のスペクトルとして前記ウインドウの同一経時期間における第2の暗スペクトルを測定することとをさらに含み、前記透過率曲線を計算することが、

を計算することを含み、式中、Aは前記追加のスペクトル、Dは前記第2の暗スペクトル、Bは前記基本スペクトル、およびDは前記第1の暗スペクトルである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
研磨を制御するためのコンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディアであって、前記コンピュータプログラムが、
プロセッサに、基準スペクトルのライブラリを生成させるための命令であって、
少なくとも1つの基準スペクトルを記憶させ、
基板表面の前の光路中の構成要素の変動によってもたらされるスペクトルに対するひずみを表す、複数の異なる透過率曲線を記憶させ、および
前記複数の異なる透過率曲線のうちの少なくとも2つの透過率曲線に対して、前記基準スペクトルおよび前記透過率曲線から修正された基準スペクトルを計算して、複数の修正された基準スペクトルを生成させる命令を含む、生成させるための命令と、
プロセッサに、前記基板の研磨中に基板からの光のスペクトルのシーケンスの測定値を受け取らせるための命令と、
プロセッサに、前記スペクトルのシーケンスの測定スペクトルごとに、前記複数の修正された基準スペクトルから最も良く一致する基準スペクトルを見いだして、最も良く一致する基準スペクトルのシーケンスを生成させるための命令と、
プロセッサに、前記最も良く一致する基準スペクトルのシーケンスに基づいて研磨終点または研磨速度調整の少なくとも一方を決定させるための命令と、
を含む、コンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディア
【請求項11】
前記異なる透過率曲線が1つまたは複数のウインドウの透過率の変動を表す、請求項10に記載のコンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディア
【請求項12】
前記異なる透過率曲線が研磨パッドのウインドウの異なる経時期間におけるスペクトルに対するひずみを表すか、または前記異なる透過率曲線が異なるウインドウを表す、請求項11に記載のコンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディア
【請求項13】
前記異なる透過率曲線が光源からのバルブの異なる経時期間におけるスペクトルに対するひずみを表す、請求項10に記載のコンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディア
【請求項14】
基準スペクトルのライブラリを生成するためのコンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディアであって、前記コンピュータプログラムが、
プロセッサに、少なくとも1つの基準スペクトルを記憶させる命令と、
プロセッサに、基板表面の前の光路中の構成要素の変動によってもたらされるスペクトルに対するひずみを表す、複数の異なる透過率曲線を生成および記憶させる命令であって、前記複数の異なる透過率曲線を生成する命令が、インシトゥ光学モニタシステムを使用してテスト基板からの基本スペクトルの測定値を受け取らせ、異なる時間に前記インシトゥ光学モニタシステムを使用して、同一のテスト基板または同一材料の別のテスト基板からの1つまたは複数の追加のスペクトルの測定値を受け取らせ、および前記基本スペクトルおよび前記1つまたは複数の追加のスペクトルから前記透過率曲線を計算させる命令を含む、生成および記憶させる命令と、
プロセッサに、前記複数の異なる透過率曲線からの少なくとも2つの透過率曲線ごとに、前記基準スペクトルおよび前記透過率曲線から修正された基準スペクトルを計算し、複数の修正された基準スペクトルを生成させる命令と
を含む、コンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディア
【請求項15】
前記透過率曲線を計算させる命令が、前記追加のスペクトルが分子にあり、前記基本スペクトルが分母にある除算演算を実行させる命令を含む、請求項14に記載のコンピュータプログラムを記録した機械可読ストレージメディア
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、基板の化学機械研磨中の光学モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、または絶縁層を連続して堆積することによって基板上に形成される。1つの製造ステップは、非平面表面上に充填層を堆積すること、およびこの充填層を平坦化することを含む。ある用途に対して、充填層は、パターニングされた層の上面が露出されるまで平坦化される。導電性充填層は、例えば、パターニングされた絶縁層上に堆積され、絶縁層中のトレンチまたは孔を充填することができる。平坦化の後、絶縁層の隆起パターン間に残留する導電層の部分は、基板上の薄膜回路間の導電性経路を提供するビア、プラグおよび配線を形成する。酸化物研磨などの他の用途に対しては、充填層は、非平面表面上に所定の厚さが残るまで平坦化される。加えて、基板表面の平坦化は、通常、フォトリソグラフィにとって必要である。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの受け入れられている方法である。この平坦化方法は、一般に、基板がキャリアヘッド上に載置されることを必要とする。基板の露出面は、一般に、回転する研磨パッドに接して配置される。キャリアヘッドは、基板上に制御可能な負荷を与えて基板を研磨パッドに押しつける。研磨粒子を有するスラリなどの研磨液は、一般に、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPにおける1つの問題は、研磨処理が完了しているかどうか、すなわち、基板層が所望の平坦度または厚さにまで平坦化されたかどうか、または所望の量の材料がいつ取り除かれたかを判定することである。基板層の初期の厚さ、スラリ組成物、研磨パッド状態、研磨パッドと基板の間の相対速度、および基板上の負荷の変動は、材料除去速度の変動の原因となる可能性がある。これらの変動は、研磨終点に達するのに必要な時間の変動の原因となる。したがって、単に研磨時間の関数として研磨終点を決定することが不可能な場合がある。
【0005】
一部のシステムでは、基板が、研磨中インシトゥで、例えば研磨パッド内のウインドウを通して光学的にモニタされる。しかし、既存の光学モニタ技法は、半導体デバイス製造業者のますます増大する要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0006】
一部の光学モニタ処理では、インシトゥで、例えば、研磨処理中に測定されるスペクトルは、最良一致の基準スペクトルを見いだすために基準スペクトルのライブラリと比較される。1つの潜在的な問題は、基板表面の前の光路中の1つまたは複数の構成要素の光学的性質である。例えば、研磨パッド内のウインドウの透過率は、パッドの老化とともに変化する可能性があり、光学的性質がパッド間で異なる場合がある。光学モニタシステムは、ウインドウを通過する光を受け取るので、この変化は、結果として(例えば、光学モニタシステムが「新鮮な」ウインドウに対して測定するスペクトルと比較して)スペクトルのひずみとなる。このひずみは、終点検出システムの精度を低下させる可能性がある。加えて、最良一致の基準スペクトルがライブラリから選択される場合に、(例えば、正確な基準スペクトルは「新鮮な」ウインドウに対して選択されるという仮定の下では)ひずみは、正しくない基準スペクトルを最良一致として選択する可能性を増大させる。別の例として、光源内のバルブのスペクトル強度は、バルブの老化とともに変化する可能性があり、またはバルブ間で異なる場合がある。この問題に対処する1つの技法は、基板表面の前の光路中の構成要素の変動によって引き起こされるひずみを組み込んだ1つまたは複数の基準スペクトルのライブラリを築くことである。例えば、ライブラリは、異なる量のひずみを組み込んだ異なる基準スペクトルを有する複数の基準スペクトルを含むことができる。
【0007】
一態様において、基準スペクトルのライブラリを生成する方法は、少なくとも1つの基準スペクトルを記憶することと、複数の異なる透過率曲線を記憶することと、複数の異なる透過率曲線のうちの少なくとも2つの透過率曲線に対して、基準スペクトルおよび透過率曲線から修正された基準スペクトルを計算して、複数の修正された基準スペクトルを生成することとを含む。透過率曲線は、基板表面の前の光路中の構成要素の変動によってもたらされる、スペクトルに対するひずみを表わす。
【0008】
実施態様は、以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。異なる透過率曲線は、1つまたは複数のウインドウの透過率の変動、例えば、研磨パッドのウインドウの異なる経時期間(age)におけるスペクトルに対するひずみ、または異なるウインドウ間の透過率の変動を表わすことができる。異なる透過率曲線は、光源からのバルブの異なる経時期間におけるスペクトルに対するひずみを表わすことができる。ユーザ入力を受け取り、複数の異なる透過率曲線から少なくとも2つの透過率曲線を特定することができる。複数の異なる透過率曲線が生成されてもよい。複数の異なる透過率曲線を生成することは、インシトゥ光学モニタシステムを使用して、テスト基板からの基本スペクトルを測定することと、異なる時間にインシトゥ光学モニタシステムを使用して、同一のテスト基板または同一材料の別のテスト基板からの1つまたは複数の追加のスペクトルを測定することと、基本スペクトルおよび1つまたは複数の追加のスペクトルから透過率曲線を計算することとを含むことができる。異なる時間は、テスト基板とインシトゥ光学モニタシステムの光源または検出器との間の光路中にある研磨パッドのウインドウの異なる経時期間であってもよい。異なる時間は、インシトゥ光学モニタシステムの光源のバルブの異なる経時期間であってもよい。透過率曲線を計算することは、追加のスペクトルが分子にあり、基本スペクトルが分母にある除算演算を含むことができる。基本スペクトルとしてウインドウの同一経時期間における第1の暗スペクトル、および追加のスペクトルとしてウインドウの同一経時期間における第2の暗スペクトルを測定することができる。透過率曲線を計算することは、T=(A−D)/(B−D)を計算することを含むことができ、式中、Aは追加のスペクトル、Dは第2の暗スペクトル、Bは基本スペクトル、およびDは第1の暗スペクトルである。テスト基板は、ベアのシリコンウエハであってよい。複数の異なる透過率曲線を生成することは、光学モデルから透過率曲線を計算することを含むことができる。修正された基準スペクトルを計算することは、基準スペクトルを透過率曲線で乗算することを含むことができる。透過率曲線を、波長の関数として0と1の間の比として記憶することができる。少なくとも1つの基準スペクトルを、例えば、光学モニタシステムを使用して研磨作業中にテスト基板を測定することによって、または光学モデルから基準スペクトルを計算することによって生成することができる。
【0009】
別の態様において、研磨を制御する方法は、前述の方法に従って基準スペクトルのライブラリを生成することと、基板を研磨することと、研磨中に基板からの光のスペクトルのシーケンスを測定することと、スペクトルのシーケンスの測定スペクトルそれぞれに対して、最良一致の基準スペクトルを見いだし、最良一致の基準スペクトルのシーケンスを生成することと、最良一致の基準スペクトルのシーケンスに基づいて研磨終点および研磨速度に対する調節のうちの少なくとも1つを決定することとを含む。
【0010】
別の態様において、機械可読ストレージ装置において具体的に実施されるコンピュータプログラム製品は、本方法を実行する命令を含む。
【0011】
実施態様は、任意選択で以下の利点の1つまたは複数を含むことができる。光に対してウインドウの影響が及ぶ可能性のある範囲にまたがる基準スペクトルのライブラリを、光学モデルまたは実験的に収集したスペクトルのいずれかから計算することができる。ウインドウの透過率に差がある場合に、得られる基準スペクトルのライブラリにより、照合アルゴリズムを信頼できる状態にしておくことが可能である。したがって、所望の研磨終点を検出する終点システムの信頼性を改善することができ、ウエハ内およびウエハ間の厚さ不均一性(WIWNUおよびWTWNU)を低減することができる。
【0012】
1つまたは複数の実施形態の詳細は、以下の添付図面および説明において述べられる。他の特徴、態様および利点は、説明、図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】研磨パッドが老化するとともに測定されたスペクトルにおけるひずみを示す図である。
図2】研磨装置の一例の概略的な断面図である。
図3】複数のゾーンを有する基板の概略的な上面図である。
図4】研磨パッドの上面図であり、インシトゥ測定が基板上で行われる位置を示す。
図5A】基準スペクトルを生成する方法の流れ図である。
図5B】透過率曲線を生成する方法の流れ図である。
図6A】インシトゥ光学モニタシステムからの測定スペクトルを示す図である。
図6B】基準スペクトルのライブラリを示す図である。
図7】インデックスのトレースを示す図である。
図8】上層の除去を検出した後に収集されたインデックス値にフィッティングさせた線形関数を有するインデックスのトレースを示す図である。
図9】基板を製造し、研磨終点を検出するための例示的な処理の流れ図である。
図10】複数のインデックスのトレースを示す図である。
図11】基準ゾーンのインデックスのトレースが目標インデックスに達する時間に基づいた、複数の調節可能なゾーンに対する複数の所望の傾きの計算を示す図である。
図12】基準ゾーンのインデックスのトレースが目標インデックスに達する時間に基づいた、終点の計算を示す図である。
図13】複数のゾーンが目標時間においてほぼ同一の厚さを有するように複数の基板における複数のゾーンの研磨速度を調節するための例示的な処理の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な図面内の同様の参考番号および名称は、同様の要素を示す。
【0015】
1つの光学モニタ技法は、研磨中に基板から反射される光のスペクトルを測定することである。これらの測定されたスペクトルを用いて、研磨終点または研磨速度に対する調節を決定するために使用することができる値のシーケンスを生成することができる。一部の実施態様において、測定スペクトルそれぞれに対してライブラリから一致する基準スペクトルが選択され、基準スペクトルそれぞれに関連づけられた値から値のシーケンスが生成される。
【0016】
上で指摘したように、研磨パッド内のウインドウの透過率は、パッド経時期間とともに変化する可能性があり、透過率は、パッド間で異なる場合がある。透過率における変化は、波長の関数として一定ではない。一般に、研磨パッドの老化とともに、光の透過率は短波長に向かって減少し、例えば、ウインドウは、ウインドウが老化し、摩耗し、または変形するにつれ、青色光をより透過しにくくなる。特定の理論に全く限定されることなく、透過率における変化は、パッドウインドウのUV光への露出によって、高温によって、基板もしくは研磨くずによる引っ掻きによって、またはウインドウと基板の間に貯まる研磨液の量を増大させるウインドウの機械的変形によって引き起こされる場合がある。
【0017】
さらに、光学モニタシステムにおける光源、例えばキセノンバルブの経年劣化は、光学モニシステムによって測定されるスペクトルにおける変化の原因となる可能性がある。例えば、バルブは、バルブの老化とともに青色光の放射がより少なくなる可能性がある。
【0018】
基板表面の前の光路中の構成要素の変動によって引き起こされるひずみを組み込んだ基準スペクトルの1つまたは複数のライブラリを構築し記憶することができる。「基板表面の前の」光路は、光学モニタシステムの光源、検出器、ならびに基板表面と光源および/または検出器間の構成要素、例えば研磨パッド内のウインドウを含むが、必ずしも基板表面そのものは含まない。
【0019】
図1は、波長の関数としての、ある期間使用した後の測定強度対「新鮮な」(例えば、未使用のまたは1分未満使用した)ウインドウに対する強度の比の観点から、測定スペクトルにおけるひずみを概略的に示すグラフ50である。曲線52aは、パッドを5分間使用した後の比を示し、曲線52bは、パッドを4時間使用した後の比を示し、曲線52cは、パッドを8時間使用した後の比を示し、曲線52dは、パッドを12時間使用した後の比を示し、曲線52eは、パッドを16時間使用した後の比を示す。
【0020】
波長の関数としての強度の変化は、正しくない基準スペクトルが最良一致として選択される可能性を増大させる。この問題に対処する1つの技法は、研磨パッドの老化とともに蓄積するひずみを組み込んだ基準スペクトルのライブラリを築くことである。例えば、ライブラリは、異なる量のひずみを組み込んだ異なる基準スペクトルを有する複数の基準スペクトルを含むことができ、または、複数の異なるライブラリは、異なる量のひずみを組み込んだ基準スペクトルを含むことができる。
【0021】
基板は、単一の誘電体層が半導体層上に配置される程度の簡単なものであってもよく、または著しく複雑な層スタックを有してもよい。例えば、基板は、第1の層、および第2の層上に配置された第2の層を含むことができる。第1の層は、誘電体、例えば二酸化ケイ素などの酸化物、または炭素ドープされた二酸化ケイ素などの低誘電率材料、例えば、(Applied Materials,Inc.製の)ブラックダイヤモンド(商標)もしくは(Novellus Systems,Inc.製の)コラール(商標)であってよい。第2の層は、第1の層とは異なる組成物のバリア層であってよい。例えば、バリア層は、金属、または金属窒化物、例えば、窒化タンタルもしくは窒化チタンであってよい。任意選択で第1の層と第2の層の間に、1つまたは複数の追加の層、例えば低誘電率のキャッピング材料、例えばテトラエチルオルトシリケート(TEOS)から形成される材料が配置される。第1の層および第2の層は両方とも少なくとも半透明である。第1の層および1つまたは複数の追加の層(存在する場合)は、ともに、第2の層の下方に層スタックを提供する。
【0022】
化学機械研磨を用いて、第2の層が露出されるまで基板を平坦化することができる。例えば、不透明な導電性材料が存在する場合、この不透明な導電性材料を、第2の層、例えばバリア層が露出されるまで、研磨することができる。その後、第1の層上に残る第2の層の部分が取り除かれ、第1の層、例えば誘電体層が露出されるまで、基板が研磨される。加えて、目標の厚さが残るか、または目標量の材料が取り除かれるまで、第1の層、例えば誘電体層を研磨することが望まれる場合がある。
【0023】
図2は、研磨装置100の例を示す。研磨装置100は、研磨パッド110が置かれている、回転可能な円板状のプラテン120を含む。プラテンは、軸125のまわりを回転するように動作可能である。例えば、モータ121は、プラテン120を回転させるために駆動軸124を回すことができる。研磨パッド110は、外側の研摩層112およびより柔軟なバッキング層114を有する2層研磨パッドであってよい。
【0024】
研磨装置100は、スラリなどの研磨液132を研磨パッド110上に分配するためのポート130を含むことができる。また、研磨装置は、研磨パッド110の摩耗性を常に一定した状態に維持するために研磨パッド110を研削する研磨パッドコンディショナを含むことができる。
【0025】
研磨装置100は、1つまたは複数のキャリアヘッド140を含む。各キャリアヘッド140は、研磨パッド110に対して基板10を保持するように動作可能である。各キャリアヘッド140は、それぞれの対応する基板に関連づけられている研磨パラメータ、例えば圧力を独立に制御をすることができる。
【0026】
具体的には、各キャリアヘッド140は、可撓性膜144下方の基板10を保持するための保持リング142を含むことができる。また、各キャリアヘッド140は、膜によって画成された複数の独立に制御可能な圧力調節可能チャンバ、例えば、3つのチャンバ146a〜146cを含み、これらのチャンバが可撓性膜144上の、したがって基板10上の関連づけられたゾーン148a〜148cに対して独立に制御可能な圧力を印加することができる(図3参照)。図2を参照すると、中心ゾーン148aは、実質的に円形であってよく、残りのゾーン148b〜148eは、中心ゾーン148aのまわりの同心の環状ゾーンであってよい。説明を容易にするために、図2および3において3つのチャンバだけが示されているが、1つもしくは2つのチャンバ、または4つ以上のチャンバ、例えば、5つのチャンバがあってもよい。
【0027】
図2に戻ると、各キャリアヘッド140は、支持体構造150、例えばカルーセルから吊され、軸155のまわりを回転することができるように、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154に接続されている。任意選択で、各キャリアヘッド140は、例えば、カルーセル150のスライダ上で横に、またはカルーセル自体の回転振動によって振動することができる。動作において、プラテンは、プラテンの中心軸125のまわりを回転し、各キャリアヘッドは、各キャリアヘッドの中心軸155のまわりを回転し、研磨パッドの上面を端から端まで横に平行移動する。
【0028】
1つのキャリアヘッド140のみが示されているが、研磨パッド110の表面積を効率的に使用することができるように、より多くのキャリアヘッドを設けて、さらなる基板を保持することができる。したがって、同時研磨処理に対して基板を保持するようになされるキャリアヘッド組立体の数は、少なくとも一部は、研磨パッド110の表面積に基づくことができる。
【0029】
また、研磨装置は、インシトゥ光学モニタシステム160、例えば、分光モニタシステムを含み、このインシトゥ光学モニタシステム160を使用して、研磨速度の調節、すなわち以下に論じるような研磨速度に対する調節をすべきかどうかを判定することができる。研磨パッドを貫く光学アクセス部は、開口(すなわち、パッドを貫通する孔)または中実のウインドウ118を含むことによって提供される。例えば研磨パッド内の開口を埋める、例えば、モールドされるプラグとして、中実のウインドウ118を研磨パッド110に固定することができ、研磨パッドに成形または接着固定することができるが、一部の実施態様おいて、中実のウインドウを、プラテン120上で支持して、研磨パッド内の開口へ突出させることができる。
【0030】
光学モニタシステム160は、リモートコントローラ190、例えばコンピュータと光源162および光検出器164との間で信号を送受信するための光源162、光検出器64、ならびに回路166を含むことができる。1つまたは複数の光ファイバーを使用して、光源162から研磨パッド内の光学アクセス部に光を送信し、基板10から反射された光を検出器164に送信することができる。例えば、二股光ファイバー170を使用して、光源162からの光を基板10に送信し、検出器164に戻すことができる。二股光ファイバーは、光学アクセス部に近接して配置された幹線172、ならびに光源162および検出器164にそれぞれ接続された2つの分岐線174および176を含むことができる。
【0031】
一部の実施態様において、プラテンの上面は、凹部128を含むことができ、この凹部128に二股ファイバーの幹線172の一方の端部を保持する光学ヘッド168をはめ込むことができる。光学ヘッド168は、幹線172の上部と中実のウインドウ118との間の垂直距離を調節する機構を含むことができる。
【0032】
回路166の出力は、駆動シャフト124内で、回転結合器129、例えば、スリップリングから光学モニタシステム用のコントローラ190へ通り抜けるディジタル電子信号であってよい。同様に、コントローラ190から回転結合器129を通って光学モニタシステム160に抜けるディジタル電子信号の制御コマンドに応答して、光源をオンまたはオフさせることができる。あるいは、回路166は、無線信号によってコントローラ190と通信することができる。
【0033】
光源162は、白色光を放射するように動作可能であってよい。一実施態様において、放射される白色光は、200〜800ナノメートルの波長を有する光を含む。適切な光源は、キセノンランプまたはキセノン水銀ランプである。
【0034】
光検出器164は、分光計であってよい。分光計は、電磁スペクトルの一部にわたって光の強度を測定するための光学機器である。適切な分光計は、回折格子分光計である。分光計にとっての典型的な出力は、波長(または周波数)の関数としての光の強度である。
【0035】
上で指摘したように、光源162および光検出器164は、それらの動作を制御し、それらの信号を受け取るように動作可能な計算装置、例えば、コントローラ190に接続されてよい。計算装置は、研磨装置の近くに置かれたマイクロプロセッサ、例えば、プログラマブルコンピュータを含むことができる。制御に関して、計算装置は、例えば、光源の作動をプラテン120の回転と同期させることができる。
【0036】
一部の実施態様において、インシトゥモニタシステム160の光源162および検出器164は、プラテン120内に据え付けられ、プラテン120とともに回転する。この場合、プラテンの動きによって、センサが各基板の端から端までを走査することになる。具体的には、プラテン120が回転すると、コントローラ190によって、光源162は、一連の閃光の放射を光学アクセス部が基板10の下を通過する直前に開始し、通過した直後に終了することができる。あるいは、計算装置によって、光源162は、光の連続的な放射を各基板10が光学アクセス部上を通過する直前に開始し、通過した直後に終了することができる。いずれの場合も、検出器からの信号は、サンプリング周期にわたって積分され、サンプリング周波数におけるスペクトル測定値を生成することができる。
【0037】
動作において、コントローラ190は、例えば、光源の特定の閃光または検出器の時間フレームに対して光検出器によって受信された光のスペクトルを表す情報を伝える信号を受け取ることができる。したがって、このスペクトルは研磨中にインシトゥで測定されるスペクトルである。
【0038】
図4に示すように、検出器がプラテン内に据え付けられている場合、(矢印204によって示す)プラテンの回転のために、ウインドウ108がキャリアヘッドの下方を移動する際に、サンプリング周波数でスペクトル測定をする光学モニタシステムにより、基板10を横切る弧内の位置201でスペクトル測定が行われる。例えば、点201a〜201kのそれぞれは、モニタシステムによるスペクトル測定の位置を表わす(点の数は例示であって、サンプリング周波数に応じて、図示するものよりも多いまたは少ない測定を行なうことができる)。サンプリング周波数は、ウインドウ108の一掃引当たり5〜20個のスペクトルが収集されるように、選択されてよい。例えば、サンプリング周期は、3〜100ミリ秒であってよい。
【0039】
図示するように、プラテンの一回転にわたって、基板10上の異なる半径からのスペクトルが得られる。すなわち、スペクトルによっては、基板10の中心に近い位置から得られるものもあれば、エッジに近い位置から得られるものもある。したがって、基板の端から端までの光学モニタシステムの任意の所与の走査に対して、タイミング、モータエンコーダ情報、ならびに基板および/または保持リングのエッジの光学検出に基づいて、コントローラ190は、走査により測定されたスペクトルそれぞれについて(走査される基板の中心を基準とした)半径方向の位置を計算することができる。また、研磨システムは、回転位置センサ、例えば、静止した光遮断器を通過する、プラテンのエッジに取付けられたフランジを含み、どの基板であるのか、および測定スペクトルの基板上の位置を決定するための追加のデータを提供することができる。コントローラは、このようにして、様々な測定スペクトルを基板10aおよび10b上の制御可能なゾーン148b〜148eと関連づけることができる(図2参照)。一部の実施態様において、スペクトルを測定する時間を、半径方向の位置を正確に計算するための代わりとして用いることができる。
【0040】
プラテンの複数の回転にわたって、ゾーンそれぞれに対して、スペクトルのシーケンスをある時間にわたって得ることができる。特定の理論に全く限定されることなく、基板10から反射された光のスペクトルは、研磨が進行するとともに(例えば、基板の端から端までの単一の掃引中ではなく、プラテンの複数の回転にわたって)最外層の厚さの変化により進展し、したがって、時間変化するスペクトルのシーケンスを生み出す。さらに、層スタックの特定の厚さは、特定のスペクトルを呈する。
【0041】
一部の実施態様において、コントローラ、例えば、計算装置をプラグラムして、測定スペクトルを複数の基準スペクトルと比較し、どの基準スペクトルが最良一致をもたらすかを決定することができる。具体的には、コントローラをプログラムして、各ゾーンからの測定スペクトルのシーケンスの各スペクトルを複数の基準スペクトルと比較して、各ゾーンに対して最良一致の基準スペクトルのシーケンスを生成することができる。
【0042】
本明細書で使用されるように、基準スペクトルは、基板の研磨に先だって生成された所定のスペクトルである。基準スペクトルは、実際の研磨速度が予定研磨速度に追随すると仮定すると、スペクトルが現われると見込まれる研磨処理における時間を表す値と、所定の、すなわち、研磨作業に先だって規定された関連性を有することができる。あるいは、または加えて、基準スペクトルは、基板特性の値、例えば最外層の厚さと所定の関連性を有することができる。
【0043】
基準スペクトルは、例えば、テスト基板、例えば既知の初期の層厚さを有するテスト基板からのスペクトルを測定することによって実験的に生成されうる。例えば、複数の基準スペクトルを生成するために、スペクトルのシーケンスを収集する間にデバイスウエハの研磨中に使用される同一の研磨パラメータを用いてセットアップ基板を研磨する。スペクトルそれぞれに対して、スペクトルが収集された研磨処理における時間を表す値が記録される。例えば、この値は、経過時間、またはプラテンの回転数であってよい。基板は、過剰研磨、すなわち、所望の厚さを超えて研磨されてもよく、それによって目標の厚さが達成されたときに基板から反射される光のスペクトルが得られるようにすることができる。
【0044】
各スペクトルを基板特性の値、例えば最外層の厚さと関連づけるために、製品基板と同一パターンを有する「セットアップ」基板の初期スペクトルおよび特性を、研磨前に計測学ステーションで測定することができる。また、最終スペクトルおよび特性も、研磨後に同じ計測学ステーションまたは異なる計測学ステーションを使用して測定することができる。初期スペクトルと最終スペクトルとの間のスペクトルに対する特性は、補間によって、例えば、テスト基板のスペクトルが測定された経過時間に基づいて線形補間によって決定されうる。
【0045】
実験的に決定することに加えて、基準スペクトルの一部またはすべてを、理論から、例えば、基板層の光学モデルを用いて計算することができる。例えば、光学モデルを用いて、所与の外側層の厚さDに対する基準スペクトルを計算することができる。基準スペクトルが収集される研磨処理における時間を表す値を、例えば、外側層が均一の研磨速度で取り除かれると仮定することによって計算することができる。例えば、特定の基準スペクトルに対する時間Tを、開始厚さD0および均一の研磨速度Rを仮定することによって簡単に計算することができる(T=(D0−D)/R)。別の例として、光学モデル用に使用される厚さDに基づいた研磨前および研磨後の厚さD1、D2(または、計測学ステーションで測定される他の厚さ)に対する測定時間T1、T2間の線形補間を実施することができる(T=T2−T1*(D1−D)/(D1−D2))。
【0046】
一部の実施態様において、ソフトウェアを用いて、複数の基準スペクトルを自動的に計算することができる。入ってくる基板の下層の厚さには変動があるので、製造業者は、下層の少なくとも1つ、例えば複数の下層に対する厚さの範囲および厚さの増分を入力することができる。ソフトウェアは、下層の厚さの組み合わせそれぞれに対する基準スペクトルを計算する。複数の基準スペクトルは、上層の厚さそれぞれに対して計算されうる。
【0047】
基準スペクトルを計算するために、以下の光学モデルを使用することができる。薄膜スタックの最上層pの反射率RSTACKは、


として計算することができ、式中、Eは入射光ビームの電磁場の強度を表わし、Eは出射光ビームの電磁場の強度を表わす。
【0048】
値EおよびEは、
=(E+H/μ)/2 E=(E−H/μ)/2
として計算することができる。
【0049】
任意の層jにおける場EおよびHは、下層における場EおよびHから伝達マトリックス法を用いて計算することができる。したがって、層0、1、...p−1、p(ここで層0は最下層、および層pは最外層である)のスタックにおいて、所与の層j>0に対して、EおよびHは、


として計算することができ、μ=(n−ik)・cosφ、およびg=2π(n−ik)・t・cosφ/λであり、式中、nは層jの屈折率、kは層jの減衰係数、tは層jの厚さ、φは層に対する光の入射角、λは波長である。スタックにおける最下層、すなわち層j=0に対しては、E=1、およびH=μ=(n−ik)・cosφである。各層に対する屈折率nおよび減衰係数kは、科学文献から求めることができ、波長の関数になりうる。入射角φは、スネルの法則から計算することができる。
【0050】
層に対する厚さtは、その層に対してユーザが入力する厚さの範囲および厚さの増分によって計算することができ、例えばk=0、1、...、t≦TMAXjに対して、t=TMINj+k*TINCjであり、TMINjおよびTMAXjは、層jに対する厚さの範囲の下方境界および上方境界、TINCjは、層jに対する厚さの増分である。層の厚さの値の組み合わせそれぞれに対して計算を繰り返すことができる。
【0051】
この技法の潜在的な利点は、基板上の層の厚さの異なる組み合わせに対応することができる数多くの基準スペクトルを迅速に生成することであり、したがってよく一致する基準スペクトルを見いだす可能性を向上させ、光学モニタシステムの精度および信頼性を向上させる。
【0052】
層の厚さの変動に加えて、光学モデルは、金属層のスペクトル寄与の変動を含むことができる。すなわち、製造されるダイ上のパターンに応じて、スペクトルの測定は、(例えば、トレンチにおける金属材料28による)高い金属密度を有する領域で行われる場合もあれば、スペクトルの測定は、より低い金属密度を有する領域で行われる場合もある。
【0053】
ライブラリに追加されるスペクトルRLIBRARYは、


として計算することができる。
【0054】
式中、RBASELINEは、光学スタックの底部における材料、例えば、ライン処理のフロントエンドにおける基板に対しては、例えばベアの半導体の、または例えば、ライン処理のバックエンドにおける基板に対しては、ベアの金属のスペクトル反射率である。ベアの半導体は、ベアのシリコンからの反射率とすることができ、ベアの金属は銅であってよい。Xは、金属、例えば銅のスペクトルに対する百分率寄与であり、RMetalは、金属、例えば銅からの反射スペクトルである。一部の実施態様において、例えば、金属層14および金属材料28が同一材料、例えば銅である場合、RBASELINEおよびRMetalは、同一スペクトル、例えば、銅に対するスペクトルである。スペクトルRLIBRARYの計算は、Xに対する複数の値にわたって繰り返されうる。例えば、Xは、0.0と1.0の間を0.2の間隔で変化することができる。本技法の潜在的な利点は、基板上の測定点における異なる金属密度に対応することができる基準スペクトルを生成することであり、したがってよく一致する基準スペクトルを見いだす可能性を向上させ、光学モニタシステムの精度および信頼性を向上させる。
【0055】
実験的に生成されるか、理論から計算されるかにかかわらず、少なくとも1つの基準スペクトルがコンピュータシステムに記憶される。このコンピュータシステムは、コントローラ190、または異なるコンピュータシステムであってよい。
【0056】
一部のタイプの基板、例えば一部の層構造およびダイパターンに対しては、光学モデルに基づいた基準スペクトルのライブラリを生成するための上記の技法で十分な可能性がある。しかし、一部のタイプの基板に対しては、この光学モデルに基づいた基準スペクトルは、実験的に測定したスペクトルと対応しない。特定の理論に全く限定されずに、さらなる層が基板上のスタックに追加されると、例えば、基板上の異なるパターニングされた金属層からの光の散乱が増大する。要するに、金属層の数が増加するとともに、基板上の下側の層からの光が、光ファイバーに入って検出器に達するように反射されて戻る可能性が低くなる。
【0057】
一部の実施態様において、金属層の数を増加させることよって引き起こされる散乱をシミュレートするために、修正された減衰係数を、基準スペクトルを計算するための光学モデルにおいて使用することができる。修正された減衰係数は、層の材料に対する固有減衰係数よりも大きい。減衰係数に追加される量は、ウエハにより近い層に対してより大きくなる可能性がある。
【0058】
例えば、上記の式において、項μおよびgは、μ’およびg’でそれぞれ置き換えることができ、μ’およびg’は、
μ’=(n−i(k+m))・cosφ g’=2π(n−i(k+m))・t・cosφ/λ
として計算され、式中、mは層jの減衰係数を増加させる量である。一般に、mは0以上であり、最大1になりえる。スタックの上部に近い層に対しては、mは小さく、例えば0になりえる。より深い層に対しては、mはより大きく、例えば0.2、0.4または0.6になりえる。量mは、jの減少とともに単調に増加することができる。量mは、例えば、特定の層に対しては波長の関数となる場合があり、mは、より長い波長でより大きくなることがあり、またはより短い波長でより大きくなることがある。
【0059】
図5Aは、複数の基準スペクトルを構築する、例えば、1つまたは複数のライブラリを創出する方法80を示す。
【0060】
上で指摘したように、研磨パッド110内のウインドウ116(図2参照)の透過率は、研磨パッドが老化するとともに変化する可能性があり、光源162によって放射される光は、光源におけるバルブの老化とともに変化する可能性がある。複数の透過率曲線が生成される(ステップ82)。透過率曲線は、基板表面の前の光路中の構成要素の変動によってもたらされるスペクトルに対するひずみを表わす。例えば、異なる透過率曲線は、例えば、研磨パッドおよび/または光源のバルブの耐用期間における異なる時間での、研磨システムの構成要素の経年劣化によってもたらされるひずみを表わすことができる。別の例として、異なる透過率曲線は、研磨システムの構成要素間の差、例えば、ウインドウ間および/またはバルブ間の差によってもたらされるひずみを表わすことができる。複数の異なる透過率曲線をコンピュータシステムに記憶することができる。透過率曲線を波長の関数として0と1の間の比として記憶することができる。
【0061】
透過率曲線を生成する1つの手法は、実験に基づく。具体的には、図5Bを参照して、基本スペクトルは、インシトゥ光学モニタシステムを使用して、テスト基板、例えばブランクの基板、例えばベアのシリコンまたはベアの銅基板から得られる(ステップ90)。研磨パッド110および光源162のバルブの耐用期間の初めに基本スペクトルを得ることができる。1つまたは複数の追加のスペクトルが、やはりインシトゥ光学モニタシステムを使用し(ステップ92)、同一材料のテスト基板(または同一のテスト基板)を用いて、ただし研磨パッド110および/またはバルブの耐用期間中の異なる時間に得られる。例えば、パッドを5分間使用した後に、パッドを4時間使用した後に、パッドを8時間使用した後に、パッドを12時間使用した後に、およびパッドを16時間使用した後に、テスト基板を測定することによってスペクトルを得ることができる。
【0062】
また任意選択で、スペクトルは、暗条件下で(すなわち、基板がインシトゥモニタシステムによって測定されていないときに)、基本スペクトルおよび追加のスペクトルそれぞれが測定されるパッド耐用期間において同時にインシトゥモニタシステムによって測定されてよい。
【0063】
次いで、基本スペクトルおよび追加のスペクトルから透過率曲線を計算することができる(ステップ94)。例えば、追加のスペクトルそれぞれに対して透過率曲線を計算することができる。透過率曲線は、追加のスペクトルが分子にあり、基本スペクトルが分母にある除算演算によって計算することができる。具体的には、透過率曲線Tは、


として計算することができ、式中、Aは追加のスペクトル、Dは暗条件下でパッド耐用期間において追加のスペクトルと同時にインシトゥモニタシステムが受け取るスペクトル、Bは基本スペクトル、Dは暗条件下でパッド耐用期間において基本スペクトルと同時にインシトゥモニタシステムが受け取るスペクトルである。
【0064】
透過率曲線のうちの少なくとも一部は、記憶される。しかし、計算された透過率曲線Tをすべて記憶することは必ずしも必要ではない場合がある。例えば、既存の透過率曲線と実質的に類似する一部の透過率曲線は、廃棄されてもよい。
【0065】
別法として、実験的に生成される透過率曲線を記憶するというよりもむしろ透過率曲線をモデルから生成することができる。例えば、コーシーの方程式または3次の多項式を用いて、透過率曲線をモデル化することができる。多項式の係数は、コーシーの方程式また3次の多項式が実験的に生成された透過率曲線に追随するように、例えば、フィッティング手順を用いて、選択されうる。
【0066】
少なくとも1つの基準スペクトルを、上で論じたように、例えば、実験的にまたは理論から生成する(ステップ84)。少なくとも1つの基準スペクトルを、透過率曲線が生成される前に、または生成された後に、生成することができる。
【0067】
次いで、複数の異なる透過率曲線のうちの少なくとも2つの透過率曲線に対して、修正された基準スペクトルをコンピュータシステムにおいて基準スペクトルおよび透過率曲線から計算して、複数の修正された基準スペクトルを生成する。一部の実施態様において、コンピュータシステムは、複数の異なる透過率曲線のうちの少なくとも2つの透過率曲線を特定するユーザ入力を受け取ることができる。計算が行われるコンピュータは、少なくとも1つの基準スペクトルが生成されたものと同一のコンピュータ、または透過率曲線が生成されたものと同一のコンピュータである必要はなく、少なくとも1つの基準スペクトルおよび/または透過率曲線は電子的に受け取られてもよい。
【0068】
一部の実施態様において、記憶された透過率曲線それぞれについて、少なくとも1つの基準スペクトルをこの記憶された透過率曲線で乗算し、複数の修正された基準スペクトルを生成し(ステップ86)、この複数の修正された基準スペクトルをもとの少なくとも1つの基準スペクトルと同じまたは異なるライブラリに追加することができる。次いで、これらの修正された基準スペクトルは、光学モニタ手順において使用される基準スペクトルとして、例えば、コントローラ190内に記憶される。修正された基準スペクトルが少なくとも1つの基準スペクトルと同じライブラリに追加されると仮定すると、このことは、透過率曲線の数の倍数だけライブラリのサイズを増加させることになる。例えば、もとのライブラリが100個の基準スペクトルを収容し、透過率曲線の数が3つである場合、新しいライブラリのサイズは、今や400個のスペクトル(もとの100個のスペクトルに加えて規格化された300個のスペクトル)となる。
【0069】
図6Aおよび6Bを参照すると、測定スペクトル300(図5A参照)を、1つまたは複数のライブラリ310からの基準スペクトル320(図5B参照)と比較することができる。本明細書で使用されるように、基準スペクトルのライブラリは、共通に特性を共有する基板を表わす基準スペクトルの集合である。しかし、単一つのライブラリに共通に共有される特性は、複数の基準スペクトルのライブラリにわたって変わってもよい。例えば、2つの異なるライブラリは、2つの異なる下層の厚さを有する基板を表わす基準スペクトルを含むことができる。基準スペクトルの所与のライブラリに対して、上部層の厚さの変動は、(ウエハパターン、下層の厚さ、または層組成物における差などの)他の要因よりもむしろ、スペクトル強度における差の主要な原因となる可能性がある。一部の実施態様において、基準スペクトルの所与のライブラリに対して、スペクトル強度の差は、上部層の厚さの変動、および基準スペクトルを生成するために使用される透過率曲線の変動による可能性がある。一部の実施態様において、基準スペクトルの所与のライブラリに対して、スペクトル強度の差は、主に基準スペクトルを生成するために使用される透過率曲線の変動による可能性がある。
【0070】
複数のスペクトルは、ウインドウの影響が及ぶ可能性のある範囲にまたがるので、適切な一致が見いだせる可能性がより高くなる。したがって、ウインドウの透過率に差がある場合に、結果として得られる基準スペクトルのライブラリ(複数可)によって、照合アルゴリズムを信頼性のある状態にしておくことができる。したがって、所望の研磨終点を検出するための終点システムの信頼性を改善することができ、ウエハ内およびウエハ間の厚さ不均一性(WIWNUおよびWTWNU)を低減することができる。
【0071】
上で論じたように、異なる基板特性(例えば、下層の厚さ、または層組成物)を有する複数の「セットアップ」基板を研磨し、スペクトルを収集することによって、異なるライブラリ310に対する基準スペクトル320を生成することができる。1つのセットアップ基板からのスペクトルが第1のライブラリを提供することができ、異なる下層の厚さ有する別の基板からのスペクトルが第2のライブラリを提供することができる。あるいは、または加えて、異なるライブラリに対する基準スペクトルを、理論から計算することができ、例えば、第1のライブラリに対するスペクトルを、第1の厚さを有する下層を備えた光学モデルを用いて計算することができ、第2のライブラリに対するスペクトルを、異なる1つの厚さを有する下層を備えた光学モデルを用いて計算することができる。
【0072】
一部の実施態様において、基準スペクトル320それぞれに、インデックス値330が割り当てられる。一般に、各ライブラリ310は、基板の予定研磨時間にわたって各プラテンの回転に対して、多くの基準スペクトル320、例えば1つまたは複数の、例えば正確に1つの基準スペクトルを含むことができる。このインデックス330は、値、例えば、基準スペクトル320が観察されると見込まれる研磨処理における時間を表す数字であってよい。特定のライブラリにおける各スペクトルが一意のインデックス値を有するように、スペクトルにインデックスを付けることができる。このインデックス付けは、インデックス値がテスト基板のスペクトルが測定された順に順番に並ぶように実施されてよい。インデックス値は、研磨が進行するとともに単調に変化する、例えば、増加するまたは減少するように選択されてよい。具体的には、基準スペクトルのインデックス値は、(研磨速度が、ライブラリにおける基準スペクトルを生成するために使用されるモデルまたはテスト基板の研磨速度に追随すると仮定して)インデックス値が時間またはプラテンの回転数の線形関数を形成するように選択されうる。例えば、インデックス値は、基準スペクトルがテスト基板に対して測定される、または光学モデルに現われるプラテンの回転数に比例してよく、例えば、等しくてよい。したがって、各インデックス値は、整数になりえる。インデックスの数は、関連づけられたスペクトルが現われる予定したプラテンの回転を表わすことができる。
【0073】
基準スペクトルおよびそれらの関連づけられたインデックス値を、基準ライブラリに記憶することができる。例えば、各基準スペクトル320およびその関連づけられたインデックス値330を、データベース350のレコード340に記憶することができる。基準スペクトルの基準ライブラリのデータベース350は、研磨装置の計算装置のメモリにおいて実施することができる。
【0074】
上で指摘したように、それぞれの基板のそれぞれのゾーンについて、測定スペクトルのシーケンスまたはそのゾーンおよび基板に基づいて、最良一致のスペクトルのシーケンスを生成するようにコントローラ190をプログラムすることができる。最良一致の基準スペクトルは、測定スペクトルを特定のライブラリからの基準スペクトルと比較することによって求めることができる。
【0075】
一部の実施態様において、最良一致の基準スペクトルは、基準スペクトルそれぞれに対して、測定スペクトルと基準スペクトルとの差の2乗和を計算することによって求めることができる。差の2乗和が最も小さい基準スペクトルが最良一致を有する。最良一致の基準スペクトルを見いだすための他の技法、例えば、差の絶対値の最小和が可能である。
【0076】
一部の実施態様において、最良一致の基準スペクトルを、差の2乗和以外に照合技法を使用することによって求めることができる。一実施態様において、基準スペクトルそれぞれに対して、測定スペクトルと基準スペクトルとの間で相互相関が計算され、最大の相関を有する基準スペクトルが一致する基準スペクトルとして選択される。相互相関の潜在的な利点は、スペクトルの横方向偏移にそれほど敏感でなく、したがって下層の厚さの変動にそれほど敏感になりえないということである。相互相関を行なうために、測定スペクトルの先端部および後端部に「ゼロ」を当てがい、基準スペクトルが測定スペクトルに対して偏移する際に、基準スペクトルに対する比較データを提供することができる。あるいは、測定スペクトルの先端部に測定スペクトルの先端エッジの値と等しい値を当てがうことができ、測定スペクトルの後端部に測定スペクトルの後端エッジの値と等しい値を当てがうことができる。高速フーリエ変換を用いて照合技法の実時間応用にむけた相互相関の計算速度を向上させることができる。
【0077】
別の実施態様において、ユークリッドベクトルの距離の和、例えば、D=l/(λa−λb)・[Σλ=λatoλb|Ι(λ)−I(λ)|]があり、式中、λaからλbはその範囲にわたって和がとられ、計算される波長であり、Ι(λ)は測定スペクトル、I(λ)は基準スペクトルである。別の実施態様において、各基準スペクトルに対する微分の差の和、例えば、D=l/(λa−λb)・[Σλ=λatoλb|dΙ(λ)/dλ−dI(λ)/dλ|]があり、最小和を有する基準スペクトルが、一致する基準スペクトルとして選択される。
【0078】
コンピュータ処理を低減させるために適用可能な方法は、一致するスペクトルを探索するライブラリの一部を限定することである。ライブラリは、一般に基板を研磨する間に得られるスペクトルの範囲よりも広いスペクトルの範囲を含む。基板の研磨中に、ライブラリ探索を、ライブラリスペクトルの所定の範囲に限定する。一部の実施形態において、研磨されている基板の現在の回転指度Nが決定される。例えば、最初のプラテンの回転においては、Nは、ライブラリの基準スペクトルすべてを探索することによって決定されうる。続く回転中に得られるスペクトルに対しては、ライブラリは、Nの自由度の範囲内で探索される。すなわち、一回転中に、指度数がNであるとわかった場合、X回転後の、自由度がYである後続の回転中に、(N+X)−Yから(N+X)+Yまでの範囲が探索される。
【0079】
単一の基板の単一のゾーンのみに対する結果を示す図7を参照すると、シーケンスにおける最良一致のスペクトルそれぞれのインデックス値を決定して、時間変化するインデックス値212のシーケンスを生成することができる。インデックス値のこのシーケンスは、インデックストレース210と名付けることができる。一部の実施態様において、インデックストレースは、測定スペクトルそれぞれを正確に1つのライブラリからの基準スペクトルと比較することにより生成される。一般に、インデックストレース210は、基板下方の光学モニタシステムの一掃引当たり1つの、例えば、正確に1つのインデックス値を含むことができる。
【0080】
光学モニタシステムの単一の掃引において特定のゾーンに対して測定された複数のスペクトル(「現在のスペクトル」と名付ける)がある、所与のインデックストレース210に対して、現在のスペクトルのそれぞれと、1つまたは複数の、例えば正確に1つのライブラリの基準スペクトルとの間で最良一致を決定することができる。一部の実施態様において、選択された現在のスペクトルそれぞれは、選択されたライブラリ(複数可)の基準スペクトルそれぞれに対して比較される。例えば、現在のスペクトルをe、fおよびg、ならびに基準スペクトルをE、FおよびGとすると、一致係数は、現在のスペクトルと基準スペクトルとの以下の組み合わせ、eとE、eとF、eとG、fとE、fとF、fとG、gとE、gとF、およびgとGのそれぞれに対して計算されうる。一致係数が最良一致を示す、例えば、最小値となるものいずれかが最良一致の基準スペクトル、したがってインデックス値を決定する。あるいは、一部の実施態様において、現在のスペクトルを、組み合わせる、例えば、平均化することができ、結果として得られる組み合わされたスペクトルを基準スペクトルに対して比較して、最良一致、したがってインデックス値を決定する。
【0081】
一部の実施態様において、いくつかの基板の少なくともいくつかのゾーンに対して、複数のインデックストレースを生成することができる。所与の基板の所与のゾーンに対して、対象となる基準ライブラリそれぞれについてインデックストレースを生成することができる。すなわち、所与の基板の所与のゾーンに対する対象となる基準ライブラリそれぞれについて、測定スペクトルのシーケンスにおける測定スペクトルそれぞれが、所与のライブラリからの基準スペクトルと比較され、最良一致の基準スペクトルのシーケンスが決定され、最良一致の基準スペクトルのシーケンスのインデックス値が、所与のライブラリに対するインデックストレースを提供する。
【0082】
要約すると、各インデックストレースは、インデックス値212のシーケンス210を含み、このシーケンスの特定のインデックス値212それぞれが、測定スペクトルに対して最近接適合である、所与のライブラリからの基準スペクトルのインデックスを選択することによって生成される。インデックストレース210のインデックスそれぞれに対する時間値は、測定スペクトルが測定された時間と同じであってよい。
【0083】
上を覆う第2の層が存在する場合、インシトゥモニタ技法を用いて、第2の層の除去、および下層または層構造の露出を検出することができる。例えば、時間TCにおける第1の層の露出を、モータトルクもしくは基板から反射される光の強度全体における急激な変化、または以下より詳細に論じるように収集されたスペクトルの分散から検出することができる。
【0084】
図8に示すように、スペクトルのインデックス値、例えば、時間TCの後に収集されたインデックス値のシーケンスに、例えば、ロバストラインフィッティングを用いて、関数、例えば既知の次数の多項式関数、例えば、1次関数(例えば、直線214)をフィッティングさせる。時間TCの前に収集されたスペクトルに対するインデックス値は、インデックス値のシーケンスに関数をフィッティングさせるときに無視されてよい。他の関数、例えば2次の多項式関数を用いることができるが、直線が計算を容易にする。直線214が目標インデックスITを横切る終点時間TEにおいて研磨を停止することができる。
【0085】
図9は、製品基板を研磨する方法900の流れ図を示す。製品基板は、ライブラリの基準スペクトルを生成するために用いたテスト基板と少なくとも同一の層構造(しかし必ずしも同一の層厚ではない)、および同一のパターンを有することができる。
【0086】
測定スペクトルのシーケンスは、研磨中に、例えば、上記のインシトゥモニタシステムを使用して収集される(ステップ902)。
【0087】
測定スペクトルを解析して値のシーケンスを生成し、関数を、この値のシーケンスにフィッティングさせることができる。具体的には、測定スペクトルのシーケンスにおける測定スペクトルそれぞれに対して、複数の基準スペクトルから最良一致の基準スペクトルを見いだす(ステップ904)。最良一致の基準スペクトルに関連づけられた値を決定する(ステップ906)。測定スペクトルのシーケンスがあるので、最良一致の基準スペクトルのシーケンス、したがって値のシーケンスがある。関数、例えば、線形関数、または2次もしくはより高次の多項式関数を、この値のシーケンスにフィッティングさせる(ステップ912)。一部の実施態様において、時間TC、例えば、第2の層の除去が検出される時間の前に収集された値は、関数の計算において使用されない。
【0088】
値(例えば、値のシーケンスに対してフィッティングさせた関数から生成された計算値)が目標値に達すると、研磨を停止することができる(ステップ914)。研磨作業に先立ってユーザによって目標値ITを設定し、記憶することができる。あるいは、ユーザによって取り除くべき目標量を設定することができ、取り除くべき目標量から目標値ITを計算することができる。例えば、取り除くべき目標量から、例えば、その値にまで取り除かれる量の実験的に決定される割合(例えば、研磨速度)から差IDを計算することができ、この差IDを上層の除去が検出される時間TCにおけるインデックス値ICに加える(図8参照)。
【0089】
また、インデックス値にフィッティングさせた関数を用いて、研磨パラメータを調節する、例えば、基板上の1つまたは複数のゾーンの研磨速度を調節して研磨の均一性を改善することが可能である。あるいは、一部の実施態様においては、いずれの関数もシーケンスにフィッティングされず、値そのものを用いて、例えば、目標値と比較することによって研磨終点を検出する。
【0090】
図10を参照すると、複数のインデックストレースが示されている。上で論じたように、各ゾーンに対してインデックストレースを生成することができる。例えば、第1のゾーンに対して(中空の円によって示される)インデックス値212の第1のシーケンス210を生成することができ、第2のゾーンに対して(中空の正方形によって示される)インデックス値222の第2のシーケンス220を生成することができ、第3のゾーンに対して(中空の三角形によって示される)インデックス値232の第3のシーケンス230を生成することができる。3つのゾーンが示されているが、2つのゾーンまたは4つ以上のゾーンがあってもよい。ゾーンのすべては、同一基板上にあってもよく、または、ゾーンのいくつかは、同一プラテン上で同時に研磨される異なる基板からのものであってもよい。
【0091】
上で論じたように、インシトゥモニタ技法を用いて、第2の層の除去、および下層または層構造の露出を検出することができる。例えば、時間TCにおける第1の層の露出を、モータトルクもしくは基板から反射される光の強度全体における急激な変化、または以下より詳細に論じるように、収集されるスペクトルの分散から検出することができる。
【0092】
基板のインデックストレースそれぞれについて、既知の次数の多項式関数、例えば、1次関数(例えば、直線)を、例えば、ロバストラインフィッティングを用いて、関連づけられたゾーンに対するスペクトルのインデックス値のシーケンスにフィッティングさせる(これらのインデックス値は、任意で時間TCの後に収集された値に限定されてよい)。例えば、第1の直線214は、第1のゾーンに対するインデックス値212にフィッティングさせることができ、第2の直線224は、第2のゾーンのインデックス値222にフィッティングさせることができ、第3の直線234は、第3のゾーンのインデックス値232にフィッティングさせることができる。直線のインデックス値へのフィッティングには、直線の傾きS、および直線が開始インデックス値、例えば、0を横切るX軸交差時間Tの計算を含むことができる。関数は、I(t)=S・(t−T)の形態で表現することができ、式中、tは時間である。X軸交差時間Tは、負の値を有することがあり、基板層の開始厚さが見込んでいた厚さよりも薄いことを示す。したがって、第1の直線214は、第1の傾きS1および第1のX軸交差時間T1を有することができ、第2の直線224は、第2の傾きS2および第2のX軸交差時間T2を有することができ、第3の直線234は、第3の傾きS3および第3のX軸交差時間T3を有することができる。
【0093】
研磨処理中のある時点、例えば時間T0において、少なくとも1つのゾーンに対する研磨パラメータを調節して、複数のゾーンが研磨終点時にそうした調節がない場合に比べてゾーンの目標厚さにより近くなるように、基板のゾーンの研磨速度を調節する。一部の実施形態において、各ゾーンは、終点時にほぼ同じ厚さを有することができる。
【0094】
図11を参照すると、一部の実施態様において、1つのゾーンが基準ゾーンとして選択され、この基準ゾーンが目標インデックスITに達する予測終点時間TEが決定される。例えば、図11に示すように、第1のゾーンが基準ゾーンとして選択されているが、異なるゾーンおよび/または異なる基板が選択されてもよい。研磨作業に先立ってユーザによって目標厚さITを設定し、記憶することができる。あるいは、ユーザによって取り除くべき目標量TRを設定し、取り除くべき目標量TRから目標インデックスITを計算することができる。例えば、取り除くべき目標量から、例えば、インデックスまで取り除かれる量の実験的に決定された割合(例えば、研磨速度)からインデックス差IDを計算することができ、上層の除去が検出される時間TCにおけるインデックス値ICにこのインデックス差IDを加える。
【0095】
基準ゾーンが目標インデックスに達する予測時間を決定するために、基準ゾーンの直線、例えば、直線214と目標インデックスITとの交点を計算することができる。研磨速度が残りの研磨処理を通して予定研磨速度から逸脱しないと仮定すると、インデックス値のシーケンスは、実質的に直線的な進行を保持するはずである。したがって、予定終点時間TEは、目標インデックスIT、例えば、IT=S*(TE−T)への直線の単純な線形補間として計算されうる。したがって、第1のゾーンが基準ゾーンとして選択されている図11の例において、関連づけられている第1の直線214を用いて、IT=S1*(TE−T1)、すなわち、TE=IT/S1−T1である。
【0096】
基準ゾーン以外の(他の基板上のゾーンを含む)1つまたは複数のゾーン、例えば、すべてのゾーンを、調節可能なゾーンとして規定することができる。調節可能なゾーンに対する直線が、予定終点時間TEと出会う場所が、調節可能なゾーンに対する予測終点を規定する。調節可能なゾーンそれぞれの線形関数、例えば、図11における直線224および234をこのように用いて、関連づけられているゾーンに対する予定終点時間TEにおいて達成されるインデックス、例えば、EI2およびEI3を外挿して推定することができる。例えば、第2の直線224を用いて、第2のゾーンに対する予定終点時間TEにおける予定インデックスEI2を外挿して推定することができ、第3の線234を用いて、第3のゾーンに対する予定終点時間TEにおける予定インデックスEI3を外挿して推定することができる。
【0097】
図11に示すように、時間T0の後にいずれのゾーンの研磨速度に対しても調節が全く行われず、すべてのゾーンに対して強制的に同時に終点とされる場合、各ゾーンは異なる厚さを有する可能性がある(このことは欠陥およびスループットの低下につながる可能性があるため望ましくない)。
【0098】
異なるゾーンに対して異なる時間に目標インデックスに達する(言い換えると、調節可能なゾーンが基準ゾーンの予測終点時間において異なる予定インデックスを有する)場合には、研磨速度を上げるようにまたは下げるように調節することができ、それによってゾーンがそうした調節がない場合に比べて同一時間により近く、例えばほぼ同一時間に目標インデックス(したがって目標厚さ)に達し、またはそうした調節がない場合に比べて、目標時間において同一のインデックス値(したがって同一の厚さ)により近い、例えばほぼ同一のインデックス値(したがってほぼ同一の厚さ)を有するようになる。
【0099】
したがって、図11の例において、時間T0から始まって、ゾーンの研磨速度が増加するように第2のゾーンに対する少なくとも1つの研磨パラメータが修正される(その結果、インデックストレース220の傾きが増加する)。また、本例において、第3のゾーンの研磨速度が減少するように第3のゾーンに対する少なくとも1つの研磨パラメータが修正される(その結果、インデックストレース230の傾きが減少する)。その結果、ゾーンは、ほぼ同時に目標インデックス(したがって目標厚さ)に達することになる(または、ゾーンへの圧力が同時に停止する場合、ゾーンはほぼ同じ厚さで終了する)。
【0100】
一部の実施態様において、予定終点時間TEにおける予測インデックスが、基板のゾーンが目標厚さの所定の範囲内にあるということを示す場合は、そのゾーン対して調節が全く必要でない可能性がある。この範囲は、目標インデックスの2%、例えば、1%以内であってよい。
【0101】
調節可能なゾーンに対する研磨速度を調節することができ、それによってゾーンのすべてがそうした調節がない場合に比べて予定終点時間において目標インデックスにより近くなる。例えば、ゾーンのすべてが基準基板のほぼ予測時間において終点に達するように、基準基板の基準ゾーンを選び、他のゾーンのすべてに対する処理パラメータを調節することができる。基準ゾーンは、例えば所定のゾーン、例えば、中心ゾーン148aまたはこの中心ゾーンのすぐ周りを囲むゾーン148bであってよく、このゾーンは、すべての基板のすべてのゾーンのうちの最も早いもしくは最も遅い予測終点時間を有し、または基板のこのゾーンは、所望の予測終点を有する。研磨が同時に停止する場合、最も早い時間は、最も薄い基板に相当する。同様に、研磨が同時に停止する場合、最も遅い時間は最も厚い基板に相当する。基準基板は、例えば、各基板のうちの最も早いまたは最も遅い予測終点時間を備えたゾーンを有する所定の基板であってよい。研磨が同時に停止する場合、最も早い時間は、最も薄いゾーンに相当する。同様に、研磨が同時に停止する場合、最も遅い時間は、最も厚いゾーンに相当する。
【0102】
調節可能なゾーンのそれぞれについて、調節可能なゾーンが基準ゾーンと同時に目標インデックスに達するようにインデックストレースに対する所望の傾きを計算することができる。例えば、所望の傾きSDを、(IT−I)=SD*(TE−T0)から計算することができ、式中、Iは、研磨パラメータが変更されることになる時間T0における(インデックス値のシーケンスにフィッティングされた線形関数から計算された)インデックス値であり、ITは目標インデックスであり、TEは計算された予定終点時間である。図11の例において、第2のゾーンに対しては、所望の傾きSD2を、(IT−I2)=SD2*(TE−T0)から計算することができ、第3のゾーンに対しては、所望の傾きSD3を、(IT−I3)=SD3*(TE−T0)から計算することができる。
【0103】
あるいは、一部の実施態様においては、基準ゾーンがなく、予定終点時間は、例えば、研磨処理に先立ってユーザによって設定される所定の時間である場合があり、または(様々なゾーンに対する直線を目標インデックスにまで予測することによって計算されるように)1つもしくは複数の基板の2つ以上のゾーンの予定終点時間の平均もしくは他の組み合わせから計算されることがある。本実施態様において、所望の傾きは、上で論じたように実質的に計算されるが、第1の基板の第1のゾーンに対する所望の傾きも、計算されなければならず、例えば、所望の傾きSD1を、(IT−I1)=SD1*(TE’−T0)から計算することができる。
【0104】
あるいは、一部の実施態様において、異なるゾーンに対して異なる目標インデックスがある。これによって、基板上に意図的ではあるが制御可能な不均一の厚さプロファイルを創り出すことができる。例えば、コントローラ上の入力装置を使用して、ユーザによって目標インデックスを入力することができる。例えば、基板の第1のゾーンは第1の目標インデックスを有することができ、基板の第2のゾーンは第2の目標インデックスを有することができ、基板の第3の第1のゾーンは第3の目標インデックスを有することができる。
【0105】
上で説明した上記の方法のいずれに対しても、所望の傾きにより近いインデックストレースの傾きがもたらされるように研磨速度が調節される。例えば、キャリアヘッドの対応するチャンバにおける圧力を増加させるまたは減少させることによって研磨速度を調節することができる。研磨速度における変化は、圧力における変化に正比例する、例えば、単純なプレストニアンモデルであると見なすことができる。例えば、ゾーンが時間T0の前に圧力Poldで研磨された基板それぞれのゾーンそれぞれに対して、時間T0の後に印加すべき新しい圧力Pnewを、Pnew=Pold*(SD/S)として計算することができ、式中、Sは時間T0の前の直線の傾きであり、SDは所望の傾きである。
【0106】
例えば、圧力Pold1が基板の第1のゾーンに印加され、圧力Pold2が基板の第2のゾーンに印加され、圧力Pold3が基板の第3のゾーンに印加されると仮定すると、基板の第2のゾーンに対する新しい圧力Pnew2は、Pnew2=Pold2*(SD2/S2)として計算することができ、基板の第3のゾーンに対する新しい圧力Pnew3は、Pnew3=Pold3*(SD3/S3)として計算することができる。
【0107】
基板が目標厚さに達する予測時間を決定し、研磨速度を調節する処理は、研磨処理中に一度だけ、例えば指定された時間に、例えば予定研磨時間を通して40〜60%の間に行なうことができ、または研磨処理中に複数回、例えば30〜60秒ごとに行なうことができる。研磨処理中のその後の時間に、適切な場合は、速度を再び調節することができる。研磨処理中、研磨速度を数回だけ、例えば、4回、3回、2回、または1回だけ変えることができる。研磨処理のはじめ近くで、中間で、または終わりごろに調節を行なうことができる。
【0108】
研磨は、研磨速度が調節された後、例えば、時間T0の後、継続し、光学モニタシステムは、引き続き少なくとも基準ゾーンに対するスペクトルを収集し、基準ゾーンに対するインデックス値を決定する。一部の実施態様において、光学モニタシステムは、引き続きゾーンそれぞれに対するスペクトルを収集し、インデックス値を決定する。基準ゾーンのインデックストレースが目標インデックスに達すると、終点と見なされ、研磨作業はストップする。
【0109】
例えば、図12に示すように、時間T0の後、光学モニタシステムは、引き続き基準ゾーンに対するスペクトルを収集し、基準ゾーンに対するインデックス値312を決定する。(例えば図11の実施態様のように)基準ゾーンに対する圧力が変化しない場合、(TCの前を除く)T0の前およびT0の後の両方からのデータ点を用いて線形関数が計算され、更新された線形関数314を提供することができ、この線形関数314が目標インデックスITに達する時間が研磨終点時間を示す。他方、時間T0において基準ゾーンに対する圧力が変化する場合、傾きS’を有する新しい線形関数314を時間T0の後のインデックス値312のシーケンスから計算することができ、新しい線形関数314が目標インデックスITに達する時間が研磨終点時間を示す。終点を決定するために用いられる基準ゾーンは、予定終点時間を計算するために上記のように用いられた同じ基準ゾーン、もしくは異なるゾーンであってよい(または、ゾーンのすべてが、図11を参照して説明したように調節される場合は、基準ゾーンが終点を決定する目的のために選択されてよい)。新しい線形関数314が、(図12に示すように)もとの線形関数214から計算された予測時間よりもわずかに遅くまたは早く目標インデックスITに達する場合、1つまたは複数のゾーンを、それぞれわずかに過剰研磨または過少研磨することができる。しかし、予定終点時間と実際の研磨時間の差は、2〜3秒未満であるはずなので、このことは必ずしも研磨の均一性に著しく影響を与えることはない。
【0110】
一部の実施態様においては、例えば、銅の研磨については、基板に対する終点を検出した後、基板は、例えば、銅残留物を取り除くために、直ちに過剰研磨処理にかけられる。過剰研磨処理は、基板のすべてのゾーンに対して均一の圧力、例えば、1〜1.5psiでなされてよい。過剰研磨処理は、プリセット継続時間、例えば10〜15秒を有することがある。
【0111】
複数のインデックストレースが特定のゾーンについて、例えば、この特定のゾーンに対する対象となるライブラリそれぞれについて1つのインデックストレースが生成される場合、インデックストレースの1つを、特定のゾーンに対する終点または圧力制御アルゴリズムにおいて用いるために選択することができる。例えば、同一のゾーンに対して生成されたインデックストレースそれぞれについて、コントローラ190は、そのインデックストレースのインデックス値に線形関数をフィッティングさせ、インデックス値のシーケンスに対する線形関数の適合度を判定することができる。自身のインデックス値に最良の適合度を備える直線を有する生成されたインデックストレースを、特定のゾーンおよび基板に対するインデックストレースとして選択することができる。例えば、調節可能なゾーンの研磨速度を調節するやり方を、例えば時間T0において決定するとき、最良の適合度を備えた線形関数を計算において使用することができる。別の例として、最良の適合度を備えた直線に対する(インデックス値のシーケンスに対してフィッティングさせた線形関数から計算されるような)計算されたインデックスが目標インデックスと一致するまたはそれを超えたとき、終点と見なされる。また、線形関数からインデックス値を計算するのではなく、インデックス値それ自体を目標インデックスと比較して終点を決定することができる。
【0112】
スペクトルライブラリに関連づけられたインデックストレースが、このライブラリに関連づけられた線形関数に対して最良の適合度を有しているかどうかの判定には、関連づけられたスペクトルライブラリのインデックストレースが、別のライブラリに関連づけられている関連づけられたロバストな直線およびインデックストレースからの差と比較して、相対的に、関連づけられているロバストな直線からの最小の差分量、例えば、最小の標準偏差、最大の相関、または分散の他の尺度を有しているかどうかの判定を含むことができる。一実施態様において、適合度は、インデックスデータ点と線形関数との差の2乗和を計算することによって決定され、差の2乗和が最小であるライブラリが最良適合を有する。
【0113】
図13を参照すると、要約した流れ図1300が示されている。基板の複数のゾーンが、上記したように、研磨装置において同一の研磨パッドを使用して同時に研磨される(ステップ1302)。この研磨作業中、各ゾーンは、独立して変えられる研磨パラメータ、例えば、特定のゾーン上方のキャリアヘッド内のチャンバによって印加される圧力によって他の基板と無関係に制御可能な自身の研磨速度を有する。研磨作業中、基板は、上記したように、例えば、各ゾーンから得られた測定スペクトルのシーケンスを用いてモニタされる(ステップ1304)。シーケンスにおける測定スペクトルそれぞれに対して、最良一致の基準スペクトルが決定される(ステップ1306)。最良適合の基準スペクトルそれぞれに対するインデックス値が決定され、インデックス値のシーケンスを生成する(ステップ1308)。
【0114】
第2の層の除去が検出される(ステップ1310)。ゾーンそれぞれについて、第2の層の除去が検出された後、収集されたスペクトルに対するインデックス値のシーケンスに線形関数をフィッティングさせる(ステップ1302)。一実施態様において、基準ゾーンに対する線形関数が目標インデックス値に達する予定終点時間が、例えば、線形関数の線形補間によって決定される(ステップ1314)。他の実施態様において、予定終点時間は、複数のゾーンの予定終点時間の組み合わせとして前もって決められ、または計算される。必要に応じて、複数のゾーンがほぼ同時に目標厚さに達する、または複数のゾーンが目標時間においてほぼ同じ厚さ(もしくは目標厚さ)を有するように、他のゾーンに対する研磨パラメータを調節して基板の研磨速度を調節する(ステップ1316)。パラメータが調節された後、研磨は継続し、ゾーンそれぞれに対して、スペクトルを測定し、ライブラリから最良一致の基準スペクトルを決定し、最良一致のスペクトルに対するインデックス値を決定して、研磨パラメータが調節された後の時間に対するインデックス値の新しいシーケンスを生成し、このインデックス値に線形関数をフィッティングさせる(ステップ1318)。基準ゾーンに対するインデックス値(例えば、インデックス値の新しいシーケンスにフィッティングさせた線形関数から生成される計算されたインデックス値)が目標インデックスに達すると、研磨を停止することができる(ステップ1330)。
【0115】
一部の実施態様においては、インデックス値のシーケンスを用いて基板の1つまたは複数のゾーンの研磨速度を調節するが、研磨終点を検出するために別のインシトゥモニタシステムまたは技法が用いられる。
【0116】
上記の議論は、プラテン内に光学終点モニタが据え付けられた回転するプラテンを仮定しているが、システムは、モニタシステムと基板との間の他のタイプの相対運動に適用可能な場合がある。例えば、一部の実施態様、例えば、軌道運動において、光源は、基板上の様々な位置を前後左右に動き回るが、基板のエッジとは交差しない。そのような場合、収集されたスペクトルは、やはりグループ化されえて、例えば、スペクトルを、ある周波数で収集することができ、ある期間内に収集されたスペクトルをグループの一部と考えることができる。この期間は、各グループに対して5〜20個のスペクトルが収集されるよう十分な長さであるべきである。
【0117】
本明細書において使用されるように、基板という用語は、例えば、(例えば、複数のメモリまたはプロセッサダイを含む)製品基板、テスト基板、ベアの基板、およびゲーティング基板を含むことができる。基板は、集積回路製造の様々な段階にあってよく、例えば、基板は、ベアのウエハであってよく、1つまたは複数の堆積されたおよび/またはパターニングされた層を含むことができる。基板という用語は、円板および矩形シートを含むことができる。
【0118】
本明細書に記載した実施形態および機能動作のすべては、本明細書に開示された構造的手段およびその構造的均等物、もしくはそれらの組み合わせを含めて、ディジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアにおいて実施可能である。実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品、すなわち機械可読ストレージ媒体おいて具体的に実施され、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、1つのコンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータによって実行するための、あるいは例えば、プログラマブルプロセッサ、1つのコンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータの動作を制御するための1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実施されうる。(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、コンパイルされた言語またはインタープリタ型言語を含むプログラミング言語の任意の形態で記述されえて、スタンドアロンプログラムとしてもしくはモジュール、コンポーネント、サブルーチンとして、またはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットを含む任意の形態で展開されうる。コンピュータプログラムは、必ずしも1つのファイルには対応しない。プログラムは、問題とするプログラム専用の単一のファイル内に他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部に、または複数の統合されたファイル(例えば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上でもしくは1つのサイトの複数のコンピュータ上で実行されるように展開されえて、または複数のサイトにわたって分散され、通信網によって相互接続されうる。
【0119】
本明細書に記載した処理および論理の流れは、入力データに作用し、出力を生成することによって機能を行なう1つまたは複数のコンピュータシステムにおいて1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって行われうる。また、処理および論理の流れは、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途向けIC)よって行なわれえて、装置も、専用論理回路、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途向けIC)よって実施されうる。
【0120】
上記の研磨装置および方法を、様々な研磨システムにおいて適用することができる。研磨パッドもしくはキャリアヘッドのいずれか、または両方は、研磨表面と基板の間の相対運動を提供するように移動することができる。例えば、プラテンは、回転というよりもむしろ周回することができる。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(または他のなんらかの形状)のパッドであってよい。終点検出システムの一部の態様は、例えば、研磨パッドが直線状に移動する連続したまたはオープンリール式のベルトである直線状の研磨システムに適用可能であってよい。研摩層は、標準の(例えば、充填剤を有するもしくは有さないポリウレタン)研磨材料、軟化材料、または研磨剤固定材料であってもよい。相対的な位置決めの用語が使用されおり、研磨表面および基板を、垂直配向にまたは他のなんらかの配向に保持することができることを理解されたい。
【0121】
本発明の特定の実施形態について記載した。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13