(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2対応関係は、前記第2規格化信号の信号値が一定値以上の場合に用いられる高血液量用第2対応関係と、前記第2規格化信号の信号値が一定値を下回る場合に用いられる低血液量用第2対応関係を有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
前記高血液量用第2対応関係で前記第2色情報と対応付けられている高血液量用の第1規格化信号の信号値の範囲は、前記低血液量用第2対応関係で前記第2色情報と対応付けられている低血液量用の第1規格化信号の信号値の範囲よりも広いことを特徴とする請求項2記載の内視鏡システム。
前記表示部に表示する画像を、前記第1酸素飽和度画像又は前記第2酸素飽和度画像のいずれかの画像に切り替えるためのモード切替スイッチを備えることを特徴とする請求項1または6記載の内視鏡システム。
白色光を発する白色光源、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸光係数が変化する第1波長範囲を含む第1の光を発する第1半導体光源、前記白色光を、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲を含む第2の光に波長分離し、且つ前記白色光を、血液量によって反射強度が変化する第3波長範囲を含む第3の光に波長分離する波長分離部、前記第1の光、第2の光、又は第3の光で照明中の検体を撮像する撮像素子、及び前記検体に対して前記第1の光、前記第2の光、前記第3の光で交互に照明するように、前記第1ないし第3の光の照射タイミングを制御する光源制御部を有する内視鏡システムに接続されるプロセッサ装置において、
前記第1の光の照明中に前記撮像素子で光電変換されて出力される第1画像信号を、前記第2の光の照明中に前記撮像素子で光電変換されて出力される第2画像信号で規格化して第1規格化信号を作成し、且つ前記第3の光の照明中に前記撮像素子で光電変換されて出力される第3画像信号を、前記第2画像信号で規格化して第2規格化信号を作成する規格化信号作成部と、
前記第1規格化信号と第1色情報との第1対応関係を記憶する第1色情報記憶部を有し、前記第1規格化信号及び前記第1対応関係に基づいて、前記酸素飽和度を画像化した第1酸素飽和度画像を作成する第1酸素飽和度画像作成部と、前記第1規格化信号及び前記第2規格化信号と、第2色情報との第2対応関係を記憶する第2色情報記憶部を有し、前記第1、第2規格化信号及び前記第2対応関係に基づいて、前記酸素飽和度を画像化した第2酸素飽和度画像を作成する第2酸素飽和度画像作成部を有する画像作成部と、
を備えることを特徴とするプロセッサ装置。
白色光を発する白色光源、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて吸光係数が変化する第1波長範囲を含む第1の光を発する第1半導体光源、前記白色光を、前記第1波長範囲と異なる第2波長範囲を含む第2の光に波長分離し、且つ前記白色光を、血液量によって反射強度が変化する第3波長範囲を含む第3の光に波長分離する波長分離部、及び前記第1の光、第2の光、又は第3の光で照明中の検体を撮像する撮像素子を有する内視鏡システムの作動方法において、
光源制御部が、前記検体に対して前記第1の光、前記第2の光、前記第3の光で交互に照明するように、前記第1ないし第3の光の照射タイミングを制御する制御ステップと、
規格化信号作成部が、前記第1の光の照明中に前記撮像素子で光電変換されて出力される第1画像信号を、前記第2の光の照明中に前記撮像素子で光電変換されて出力される第2画像信号で規格化して第1規格化信号を作成し、且つ前記第3の光の照明中に前記撮像素子で光電変換されて出力される第3画像信号を、前記第2画像信号で規格化して第2規格化信号を作成する規格化信号作成ステップと、
画像作成部が、前記第1規格化信号と、第1色情報記憶部に記憶された前記第1規格化信号と第1色情報との第1対応関係とに基づいて、前記酸素飽和度を画像化した第1酸素飽和度画像を作成し、且つ、前記第1規格化信号及び前記第2規格化信号と、第2色情報記憶部に記憶された前記第1、及び第2規格化信号と第2色情報との第2対応関係とに基づいて、前記酸素飽和度を画像化した第2酸素飽和度画像を作成する画像作成ステップと、
表示部が前記第1酸素飽和度画像又は前記第2酸素飽和度画像のいずれかを表示する表示ステップと、
を有することを特徴とする内視鏡システムの作動方法。
前記表示ステップでは、モード切替スイッチを用いて、前記表示部に表示する画像を、前記第1酸素飽和度画像又は前記第2酸素飽和度画像のいずれかの画像に切り替えるステップを含むことを特徴とする請求項13記載の内視鏡システムの作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態の電子内視鏡システム10は、検体内の観察部位を撮像する電子内視鏡11と、撮像により得られた信号に基づいて観察部位の観察画像を生成するプロセッサ装置12と、観察部位を照射する光を供給する光源装置13と、観察画像を表示するモニタ14とを備えている。プロセッサ装置12には、キーボードやマウスなどの操作入力部であるコンソール15が設けられている。
【0025】
電子内視鏡11は、検体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。
【0026】
挿入部16は、先端から順に連設された、先端部19、湾曲部20、可撓管部21からなる。
図2に示すように、先端部19の先端面には、観察部位に照明光を照射する照明窓22、観察部位で反射した像光が入射する観察窓23、観察窓23を洗浄するために送気・送水を行うための送気・送水ノズル24、鉗子や電気メスといった処置具を突出させる鉗子出口25などが設けられている。観察窓23の奥には、撮像素子44(
図3参照)や結像用の光学系が内蔵されている。
【0027】
操作部17には、観察モードを切り替えるためのモード切替SW17aが設けられている。このモード切替SW17aを押圧操作すると、通常観察モード、第1機能情報観察モード、第2機能情報観察モード、同時表示観察モードの順に、観察モードが切り替わる。通常観察モードは、白色光のもとで観察部位を観察するためのモードである。第1機能情報観察モードは、主として、酸素飽和度が血液量の影響をほとんど受けないと予想される場合に使用され、2波長分の画像信号を用いて、酸素飽和度を画像化して観察するためのモードである。第2機能情報観察モードは、主として、酸素飽和度が血液量の影響を受けると予想される場合に使用され3波長分の画像信号を用いて、酸素飽和度を画像化して観察するためのモードである。同時観察モードは、3波長分の画像信号を用いて、画像中の血管を血液量に応じて色付けすることで血液量を画像化した血液量画像と、同様に色付けすることで酸素飽和度を画像化した酸素飽和度画像をモニタ14に同時表示する。なお、色付けの代わりに、色の濃度を変えてもよい。
【0028】
湾曲部20は、連結された複数の湾曲駒からなり、操作部17のアングルノブ26を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部20が湾曲することにより、先端部19の向きが所望の方向に向けられる。可撓管部21は、食道や腸など曲がりくねった管道に挿入できるように可撓性を有している。挿入部16には、撮像素子44を駆動する駆動信号や撮像素子44が出力する画像信号を通信する通信ケーブルや、光源装置13から供給される照明光を照明窓22に導光するライトガイド43(
図3参照)が挿通されている。
【0029】
操作部17には、アンブルノブ26の他、処置具を挿入するための鉗子口27、送気・送水操作を行う送気・送水ボタン、静止画像を撮影するためのレリーズボタンなどが設けられている。
【0030】
ユニバーサルコード18には、挿入部16から延設される通信ケーブルやライトガイド43が挿通されており、一端には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ28が取り付けられている。コネクタ28は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、通信用コネクタには通信ケーブルの一端が、光源用コネクタにはライトガイド43の一端がそれぞれ配設される。電子内視鏡11は、このコネクタ28を介して、プロセッサ装置12および光源装置13に着脱自在に接続される。
【0031】
図3に示すように、光源装置13は、白色光源30と、半導体光源ユニット31と、これらを駆動制御する制御ユニット32とを備えている。制御ユニット32は、光源装置13の各部の駆動開始、終了、駆動タイミング、同期タイミングなどの制御を行う。
【0032】
白色光源30は、白色光BBを放射するランプ30aと、ランプ30aが放射する白色光BBを出射方向に向けて反射するリフレクタ30bとからなる。ランプ30aとしては、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、白色LEDなどが用いられ、赤色領域から青色領域(約400〜700nm)にわたる広い波長域において発光スペクトルが連続する広帯域の白色光BBを発生する。白色光源30は、既存の光源装置の多くに搭載されているものと同様であり、既存の光源装置からの部品の流用が可能である。なお、白色光源30として、青色狭帯域光で励起され、白色光を発生する蛍光体(例えば、マイクロホワイト(登録商標))を用いてもよい。
【0033】
キセノンランプやハロゲンランプなどは、点灯開始から光量が安定するまでに時間が掛かるため、ランプ30aは、光源装置13の電源が投入されると点灯を開始し、電子内視鏡11の使用中、常時点灯する。また、白色光源30の光路上には、絞り33が配置されており、白色光源30の光量制御は絞り33の開度を調節することによって行われる。
【0034】
白色光源30が発光する白色光BBの光路には、ロータリフイルタ34が配置されている。
図4に示すように、ロータリフイルタ34は、円板形状をしており、円周方向に3分割されて中心角が120°の扇形の領域に、それぞれB、G、Rの光を透過するBフイルタ部34a、Gフイルタ部34b、Rフイルタ部34cの三色のカラーフイルタが設けられている。
【0035】
ロータリフイルタ34は、Bフイルタ部34a、Gフイルタ部34b、Rフイルタ部34cが選択的に白色光BBの光路に挿入されるように回転自在に設けられている。モータ34dは、ロータリフイルタ34を回転させるための駆動源である。ロータリフイルタ34が回転すると、各フイルタ部34a、34b、34cが順次白色光BBの光路に挿入される。ロータリフイルタ34の回転速度や各フイルタ部34a、34b、34cの大きさは、撮像素子44の1画面分の画像信号を出力する間隔を規定するフレームレートに応じて決められる。
【0036】
図5に示すように、Bフイルタ部34aは380〜560nmに、Gフイルタ部34bは450〜630nmに、Rフイルタ部34cは580〜760nmに、それぞれ分光透過率を有している。各フイルタ部34a〜34cに白色光BBが入射することで、B、G、Rの各色に分離されてB色光、G色光、R色光が生成される。光源装置13は、白色光BBの下で観察部位を観察する通常観察モードにおいて、白色光源30の光をロータリフイルタ34でB、G、Rの三色の光に順次色分離して生成し、生成した三色の光を電子内視鏡11に対して順次供給する、いわゆる面順次方式である。
【0037】
白色光BBの光路において、ロータリフイルタ34の下流側には、絞り33、集光レンズ36、ロッドインテグレータ37が配置されている。絞り33は、光を遮光する遮光板と遮光板を変位させるアクチュエータ(図示せず)からなり、遮光板で白色光BBの光路の一部を遮光することにより光量を制御する。制御ユニット32は、撮像素子44が出力する画像信号をプロセッサ装置12から受け取り、画像信号から撮像素子44の撮像面における露光量を求めて、絞り33の絞り量を決定する。絞り33は、決定した絞り量に応じて絞り径や光路への挿入量を調節して光量を制御する。
【0038】
集光レンズ36は、絞り33を通過した光を集光して、ロッドインテグレータ37に入射させる。ロッドインテグレータ37は、入射した光を内部で多重反射させることにより面内光量分布を均一化して、光源装置13に接続された電子内視鏡11のライトガイド43の入射端面に光を入射させる。
【0039】
半導体光源ユニット31は、機能情報観察モードにおいて、特殊光を発する特殊光光源であり、レーザダイオード又はLED(Light Emitting Diode)からなる青色半導体光源31aとコリメータレンズ31bを有する。青色半導体光源31aは、青色領域の一部の狭い波長域の青色狭帯域光(以下、単に狭帯域光という)Nbを発光する。青色狭帯域光Nbの波長域は、
図5に示すように、波長域が470±10nmに、好ましくは473nmに制限された狭帯域である。青色半導体光源31aとしては、ブロードエリア型のInGaN系、InGaNAs系、GaNAs系のレーザダイオードを用いることができる。半導体光源ユニット31は、制御ユニット32内の半導体光源制御部32aの制御により、青色半導体光源31aの点灯、消灯、光量の制御を行う。
【0040】
青色半導体光源31aが発光する青色狭帯域光Nbは、コリメータレンズ31bに入射する。コリメータレンズ31bは、青色狭帯域光Nbを平行光束にすると共に、光束のサイズ及び形状を整形する。
【0041】
白色光BBの光路において、ロータリフイルタ34と絞り33の間には、半導体光源ユニット31が発生する青色狭帯域光Nbを白色光BBの光路に合流させる光合流部39が配置されている。半導体光源ユニット31から出射直後の青色狭帯域光Nbの出射光軸NAは、白色光BBの光軸BAと直交しており、光合流部39は、出射光軸NAを90°屈曲させて、青色狭帯域光Nbの光路を白色光BBの光路に合流させる。
【0042】
図6Aに示すように、光合流部39は、白色光BBに対する透過性を有する円形の平板部材をベースに、その片面の中央部に青色狭帯域光Nbを反射する円形の反射部材を設けたものであり、平板部材のうち反射部材が設けられていない部分が透過部39aを構成し、反射部材が設けられた部分が反射部39bを構成する。反射部39bは、青色狭帯域光Nbのみを反射し、その他の白色光BBは透過するダイクロイックミラーで形成される。
【0043】
図6Bに示すように、光合流部39は、反射部39bの中心と白色光BBの光軸BAを一致させて、かつ、白色光BBの進行方向に向けて45°傾斜して配置されている。この傾斜により光合流部39は、白色光BBの光束を斜めに横切るように配置されることになるため、その平面形状は、光束を斜めに切断したときの切断面の形状に合わせて楕円形状をしている。
【0044】
青色狭帯域光Nbの光束は、コリメータレンズ31bによって反射部39bのサイズ及び形状に整形される。光合流部39は、青色狭帯域光Nbの出射光軸NAに対しても45°傾斜して配置されるので、その傾斜に合わせて反射部39bの形状も楕円形状となっている。
【0045】
反射部39bは、白色光BBのうち青色狭帯域光Nbに対応する波長成分を透過させないため、ロータリフイルタ34のBフイルタ部34aを透過して光合流部39を透過するB色光の光量分布は不均一なものとなる。しかし、ロッドインテグレータ37の内部において光量分布が均一化されるため、電子内視鏡11に供給されるB色光の光量ムラは低減される。
【0046】
図3において、白色光源30とロータリフイルタ34の間には、シャッタ板40、41が配置されている。シャッタ板40,41は、青色狭帯域光Nbを電子内視鏡11に供給するときに、白色光BBを遮光するものである。
【0047】
図7に示すように、シャッタ板40は、白色光BBに対する遮光性を有する部材からなり、平面形状は、円形の一部を切り欠いた形状をしている。具体的には、シャッタ板40は、120°の中心角を持つ遮光部40aを有しており、残りの240°の部分が切り欠かれて白色光BBを透過する透過部40bとなっている。シャッタ板40は、回転自在に設けられており、回転により、遮光部40aと透過部40bが交互に選択的に白色光BBの光路に挿入されるようになっている。モータ40c(
図3参照)は、シャッタ板40の駆動源であり、制御ユニット32内のシャッタ制御部32bによって制御される。なお、本発明の光源制御部は、シャッタ板40、半導体光源制御部32a、シャッタ制御部32bで構成される。
【0048】
シャッタ板40は、ロータリフイルタ34とほぼ同じ半径を有しており、回転軸が一致している。シャッタ板40の遮光部40aの中心角は、ロータリフイルタ34のBフイルタ部34aの中心角とほぼ一致している。透過部40bの中心角は、Gフイルタ部34b、Rフイルタ部34cを合計した中心角とほぼ一致している。なお、本例においては、透過部40bを切り欠きで形成しているが、白色光BBを透過する透明板で透過部でもよい。
【0049】
図8に示すように、シャッタ板41は、240°の中心角を持つ遮光部41aを有しており、残りの120°の部分が切り欠かれて白色光BBを透過する透過部41bとなっている。シャッタ板41についても、シャッタ板40と同様に、モータ41cの駆動による回転により、遮光部41aと透過部41bが交互に選択的に白色光BBの光路に挿入される。モータ41cは、制御ユニット32によって制御される。
【0050】
シャッタ板41は、ロータリフイルタ34とほぼ同じ半径を有しており、回転軸が一致している。シャッタ板41の遮光部41aの中心角は、ロータリフイルタ34のBフイルタ部34a及びRフイルタ34cを合計した中心角とほぼ一致している。透過部41bの中心角は、Gフイルタ部34bの中心角とほぼ一致している。なお、シャッタ板41についても、シャッタ板40と同様、透過部41bを透明板で構成してもよい。
【0051】
シャッタ板40,41の回転制御は、モード毎に異なっている。
図9に示すように、通常観察モードにおいては、シャッタ板40,41は、遮光部40a,41aが白色光BBの光路から退避し、透過部40b,41bが光路に挿入された状態で停止している。白色光源30は常時点灯しているため、透過部40bが白色光BBの光路に進入したときに、白色光BBが透過部40bを透過する。通常観察モードにおいては、白色光BBが透過部40bを常に透過して、ロータリフイルタ34に入射する。そして、白色光BBの光路に挿入されている、B、G、Rの各フイルタ部34a、34b、34cの種類に応じて、B色、G色、R色の三色の光が順次生成される。
【0052】
第1機能情報観察モードにおいては、青色狭帯域光Nbに加えて、白色光BBから色分離されたG色光の2種類の光が用いられる。
図10に示すように、第1機能情報観察モードにおいては、シャッタ板40は白色光BBの光路から退避して透過部40bが白色光BBの光路に挿入される状態を維持する。その一方で、シャッタ板41は、遮光部41aとBフイルタ部34a、Rフイルタ34cの回転位相が一致するように、ロータリフイルタ34と同じ速度で回転する。遮光部41aが白色光BBの光路に挿入されて、透過部41bが光路から退避している間、白色光BBが遮光される。白色光BBが遮光されている間に、青色半導体光源31aが点灯して、青色狭帯域光Nbが電子内視鏡11に供給される。撮像素子44はモノクロの撮像素子であるため、シャッタ板40を設けることにより、青色狭帯域光Nbと白色光BBの混色が防止される。
【0053】
また、透過部41bが白色光BBの光路に挿入されて、遮光部41aが光路から退避している間、白色光BBは、Gフイルタ部34bを透過して、G色光が生成される。G色光は、集光レンズ36及びロッドインテグレータ37を通過して電子内視鏡11に順次供給される。電子内視鏡11は、青色狭帯域光Nb及びG色光の2種類の光に対応する画像信号を撮像素子44から出力する。
【0054】
また、第2機能情報観察モード又は同時観察モードにおいては、青色狭帯域光Nbに加えて、白色光BBから色分離されたG色光及びR色光の3種類の光が用いられる。
図11に示すように、第2機能情報観察モードにおいては、シャッタ板41は白色光BBの光路から退避して透過部41bが白色光BBの光路に挿入される状態を維持する。その一方で、シャッタ板40は、遮光部40aとBフイルタ部34aの回転位相が一致するように、ロータリフイルタ34と同じ速度で回転する。遮光部40aが白色光BBの光路に挿入されて、透過部40bが光路から退避している間、白色光BBが遮光される。白色光BBが遮光されている間に、青色半導体光源31aが点灯して、青色狭帯域光Nbが電子内視鏡11に供給される。
【0055】
また、透過部40bが白色光BBの光路に挿入されて、遮光部40aが光路から退避している間、白色光BBは、Gフイルタ部34b、Rフイルタ部34cを順次透過して、G色光及びR色光が生成される。G色光及びR色光は、集光レンズ36及びロッドインテグレータ37を通過して電子内視鏡11に順次供給される。電子内視鏡11は、青色狭帯域光Nb、G色光、R色光の3種類の光に対応する画像信号を撮像素子44から出力する。
【0056】
図3において、電子内視鏡11は、ライトガイド43、撮像素子44、アナログ処理回路45(AFE:Analog Front End)、撮像制御部46を備えている。ライトガイド43は大口径光ファイバ、バンドルファイバなどであり、コネクタ28が光源装置13に接続されたときに、ライトガイド43の入射端43aが光源装置13のロッドインテグレータ37の出射端と対向する。
【0057】
照明窓22の奥には、照明光の配光角を調整する照射レンズ48が配置されている。光源装置13から供給された光は、ライトガイド43により照射レンズ48に導光されて、照明窓22から観察部位に向けて照射される。観察窓23の奥には、対物光学系51と撮像素子44が配置されている。観察部位で反射した像光は、観察窓23を通して対物光学系51に入射し、対物光学系51によって撮像素子44の撮像面44aに結像される。
【0058】
電子内視鏡11の撮像素子44(
図3参照)は、モノクロの撮像素子であり、光源装置13から順次供給される光に対応する色の画像信号を出力する。撮像素子44は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどからなり、フォトダイオードなどの画素を構成する複数の光電変換素子がマトリックスに配列された撮像面44aを有している。撮像素子44は、撮像面44aで受光した光を光電変換して、各画素においてそれぞれの受光量に応じた信号電荷を蓄積する。信号電荷はアンプによって電圧信号に変換されて読み出される。電圧信号は画像信号として撮像素子44から出力される。画像信号は、AFE45に送られる。
【0059】
AFE45は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、撮像素子44からの画像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、信号電荷のリセットに起因するノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された画像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された画像信号を、所定のビット数に応じた階調値を持つデジタルな画像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
【0060】
撮像制御部46は、プロセッサ装置12内のコントローラ56に接続されており、コントローラ56から入力されるベースクロック信号に同期して、撮像素子44に対して駆動信号を入力する。撮像素子44は、撮像制御部46からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで画像信号をAFE45に出力する。
【0061】
撮像制御部46による撮像素子44の駆動制御は、モード毎に異なっている。通常観察モード時には、
図12Aに示すように、撮像素子44は、1フレームの取得期間内で、信号電荷を蓄積する蓄積動作と、蓄積した信号電荷を読み出す読み出し動作が行なわれる。通常観察モードにおいては、1フレーム毎にB、G、Rの三色の像光を順次撮像して、画像信号B、G、Rを順次出力する。こうした動作は、通常観察モードに設定されている間、繰り返される。
【0062】
第1機能情報観察モードにおいては、
図12Bに示すように、青色狭帯域光Nbの像光を2フレーム分撮像するとともに、G色光の像光を1フレーム分撮像して、画像信号Nb、Gを順次出力する。こうした動作が第1機能情報観察モードに設定されている間、繰り返される。第2機能情報観察モード又は同時観察モードにおいては、
図12Cに示すように、1フレーム毎に青色狭帯域光Nb、G色光、R色光の3つの光の像光を順次撮像して、画像信号Nb、G、Rを順次出力する。こうした動作が第2機能情報観察モードに設定されている間、繰り返される。
【0063】
プロセッサ装置12は、コントローラ56の他、画像処理部57と、記憶部58と、表示制御回路59を備えており、コントローラ56が各部を制御している。画像処理部57は、電子内視鏡11から出力された画像信号に対して、ガンマ補正などの画像補正を施して画像データを作成する。記憶部58は、画像処理部57で作成された画像データを記憶する。
【0064】
また、画像処理部57は、通常観察モードにおいては、順次入力される画像信号B、G、Rに対応する三色の画像データB、G、Rに基づいて、通常観察画像を生成する。フレームレートに従って画像信号B、G、Rが更新される毎に、通常観察画像を生成する。表示制御回路59は、画像処理部57で生成された画像をコンポジット信号やコンポーネント信号などのビデオ信号に変換してモニタ14に出力する。
【0065】
画像処理部57には、機能画像処理部60が設けられている。機能画像処理部60は、第1機能情報観察モード時に取得した画像信号Nb,Gに対応する画像データNb,Gに基づいて、血中ヘモグロビンの酸素飽和度を疑似カラー画像化した第1酸素飽和度画像を生成する。また、機能画像処理部60は、第2機能情報観察モード時に取得した画像信号Nb,G,Rに対応する画像データNb,G,Rに基づいて、酸素飽和度を疑似カラー画像化した第2酸素飽和度画像を生成する。また、同時観察モード時に取得した画像データNb、G、Rに基づいて、血液量を画像化した血液量画像と、酸素飽和度を画像化した第1酸素飽和度画像を作成する。第1酸素飽和度画像は、血液量の影響を考慮せずに作成される画像であり、第2酸素飽和度画像は、血液量の影響を考慮して作成された画像である。なお、同時観察モードにおいては、第1酸素飽和度画像に代えて、第2酸素飽和度画像を作成・表示してもよい。
【0066】
図13Aに示すように、機能画像処理部60は、信号比算出部64と、第1酸素飽和度画像作成部65と、第2酸素飽和度画像作成部66と、血液量画像作成部67とを備えている。信号比算出部64は、第1機能情報観察モードの場合には画像データNb、Gを照合して、同じ位置にある画素の画素値(信号値)の比である信号比を算出し、第2機能情報観察モードの場合には画像データNb、G、Rを照合して、同じ位置にある画素同士の画素値(信号値)の比である信号比を算出する。信号比は1画面分の画像データの全ての画素に対して算出される。
【0067】
本実施形態では、信号比算出部64は、第1機能情報観察モードの場合には、画像データNbと画像データGとの信号比Nb/Gを求め、第2機能情報観察モード又は同時観察モードの場合には、画像データNbと画像データGとの信号比Nb/Gと、画像データGと画像データRとの信号比R/Gとを求める。画像データGは、画像データNbと画像データRを規格化するために、観察部位の明るさレベルを表す参照信号として用いられる。このように規格化を行うことで、電子内視鏡11の先端部19と検体との距離や検体の形状などの影響を排除することができるため、酸素飽和度が変化したときの反射光の強度変化を精度良く捉えることが可能となる。なお、信号比Nb/Gは、画像データNbを画像データGで規格化した第1規格化信号であり、信号比R/Gは、画像データRを画像データGで規格化した第2規格化信号であるが、画像データNb、画像データRを規格化する方法はこれに限られない。
【0068】
第1酸素飽和度画像作成部65は、輝度信号Yと色差信号Cb、Crとからなる第1酸素飽和度画像を作成する。作成された第1酸素飽和度画像は、表示制御回路59によってモニタ14に表示される。輝度信号Yには、画像データGがそのまま割り当てられる。画像データGが輝度信号Yに割り当てられるのは、粘膜の凹凸や血管など全体的な像構造の情報を多く含んでいるため、画像の全体的な明るさを定義し易いためである。
【0069】
一方、色差信号Cb、Crに対しては、カラーテーブル65aを参照して、
図15に示すように、信号比Nb/Gの大きさに対応した信号値を割り当てることで、酸素飽和度に応じて、色差を変化させることができる。これは、以下の理由から、信号比Nb/Gが酸素飽和度と相関関係が有るためである。信号比Nb/Gの「Nb」については、酸化ヘモグロビンHbの吸光係数が還元ヘモグロビンHbO2の吸光係数よりも大きい460〜480nmの波長成分(
図14参照)を有しているため、酸素飽和度が低くなる程、「Nb」の信号値は大きくなる。一方、信号比Nb/Gの「G」は、酸化ヘモグロビンHbの吸光係数と還元ヘモグロビンHbO2の吸光係数の大小関係が入れ替わる450〜630nmの波長成分を有しているため、酸素飽和度が変化しても、「G」の信号値はそれほど変化しない。したがって、信号比Nb/Gの信号値は、酸素飽和度が低くなる程、大きくなるため、信号比Nb/Gは酸素飽和度と相関関係を有している。
【0070】
カラーテーブル65a(第1色情報記憶部)は、信号比Nb/Gと色差信号Cr、Cbの信号値との対応関係(第1対応関係)を記憶している(ただし、信号比Nb/GはlogNb/Gとして記憶されている)。このカラーテーブル65aでは、信号比Nb/Gが小さい場合には、色差信号Crの信号値が正、色差信号Cbの信号値が負となるように定義される。そして、信号比Nb/Gが中間値の場合には、色差信号Crの信号値と色差信号Cbの信号値が逆転するように定義されている。そして、信号比Nb/Gが大きい場合には、色差信号Crの信号値が負、色差信号Cbの信号値が正となるように定義されている。したがって、信号比Nb/Gが大きくなるにつれて(即ち、酸素飽和度が低くなるにつれて)、第1酸素飽和度画像での血管の色は「赤→橙→黄色→緑→水色→青」と変化する。なお、カラーテーブル65aでは、信号比Nb/Gを色差信号Cr、Cbの信号値に対応付けるが、色差信号Cr、Cbの信号値の他、色相や彩度などの第1色情報と対応付けてもよい。
【0071】
第2酸素飽和度画像作成部66は、第1酸素飽和度画像と同様、輝度信号Yと色差信号Cb、Crとからなる第2酸素飽和度画像を作成する。作成された第2酸素飽和度画像は、表示制御回路59によってモニタ14に表示される。輝度信号Yには、第1酸素飽和度画像と同様、画像データGがそのまま割り当てられる。一方、色差信号Cb、Crに対しては、信号比R/Gが一定値以上の場合には、
図16Aに示すカラーテーブル66aを参照して、信号比Nb/Gの大きさに対応した信号値を割り当てる一方で、信号比R/Gが一定値を下回る場合には、
図16Bに示すカラーテーブル66bを参照して、信号比Nb/Gの大きさに対応した信号値を割り当てる。
【0072】
なお、カラーテーブル66a,66bでは、信号比R/G及び信号比Nb/Gを、色差信号Cr、Cbの信号値に対応付けるが、色差信号Cr、Cbの信号値の他、色相や彩度などの第2色情報と対応付けてもよい。また、第2酸素飽和度画像は、第1酸素飽和度画像とモニタ14に並列表示又は選択的に表示してもよい。このように並列表示等した場合には、第1及び第2酸素飽和度画像の色などを比較することで、血液量の影響を受けているかどうかを確認することができる。両画像に色などの違いがないときには、血液量の影響は無いと考えられる。この場合には、動画性が優れている第1酸素飽和度画像の表示に切り替えることが好ましい。一方、両画像に色などの違いが有るときには、第2酸素飽和度画像の表示に切り替えることが好ましい。
【0073】
カラーテーブル66aには、信号比R/G、Nb/Gと、酸素飽和度とを対応付ける高血液量用第2対応関係が記憶されている(カラーテーブル65aと同様、信号比Nb/GはlogNb/Gとして記憶されている。これはカラーテーブル66bも同様)。この高血液量用第2対応関係は、信号比Nb/Gが大きくなるにつれて(即ち、酸素飽和度が低くなるにつれて)、第2酸素飽和度画像での血管の色は「赤→橙→黄色→緑→水色→青」と変化するように、定義されている。また、カラーテーブル66bには、信号比R/G、Nb/Gと、酸素飽和度とを対応付ける低血液量用第2対応関係が記憶されている。この低血液量用第2対応関係は、信号比Nb/Gが大きくなるにつれて(即ち、酸素飽和度が低くなるにつれて)、第2酸素飽和度画像での血管の色は「赤→橙→黄色→緑→水色→青」と変化するように、定義されている。
【0074】
また、信号比R/Gが一定値以上の場合に使用するカラーテーブル66aにおける信号比Nb/Gの範囲Ra(最小値La〜最大値Ma)は、信号比R/Gが一定値を下回る場合に使用するカラーテーブル66bにおける信号比Nb/Gの範囲Rb(最小値Lb〜最大値Mb)よりも、広くなっている。
【0075】
以上のように、信号比R/Gの大きさによって、信号比Nb/Gの範囲が異なるカラーテーブルを使い分けるのは、以下の理由による。信号比R/Gは、日本特許第3228627号公報に示すように、血液量と相関関係を有している。この信号比R/Gが一定値以上になるような高血液量下の元では、生体組織内における光散乱特性や酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンの吸光特性を鑑みると、信号比Nb/Gの信号値が変化する範囲は、低血液量の場合と比較して、広くなっている。
【0076】
例えば、高血液量下において、信号比Nb/Gの範囲が狭いカラーテーブルを用いた場合には、カラーテーブル内に、信号比Nb/Gに対応する色差信号Cr、Cbが存在しない場合がある。この場合、その領域は無彩色で表示されることになる。反対に、低血液量下において、信号比Nb/Gの範囲が広いカラーテーブルを用いた場合には、カラーテーブルで定義された色差信号Cr、Cbの信号値のうち、一定範囲の信号値しか使用されないことが起こり得る。この場合には、信号比Nb/Gに応じて多彩な色を表現できるにも関わらず、一部の色しか表示されないことになる。したがって、信号比R/Gの大きさによって、信号比Nb/Gの範囲が異なるカラーテーブル66a,66bを使い分けることで、信号比Nb/Gの変化(即ち、酸素飽和度の変化)を、色の変化として確実に表示するとともに、信号比Nb/G(即ち、酸素飽和度)に応じて、多彩な色で表示することができるようになる。
【0077】
なお、第2酸素飽和度画像作成部66では、二次元のカラーテーブル66a,66bを用いて、第2酸素飽和度画像を作成しているが、これに代えて、
図16Cに示すような3次元のカラーテーブル68を用いて、第2酸素飽和度画像を作成してもよい。この3次元のカラーテーブル68(第2色情報記憶部)では、記憶する3種類の情報をXYZ軸で表現した場合に、信号比Nb/GがX軸に割り当てられ、信号比R/GがY軸に割り当てられ、色差信号の信号値がZ軸に割り当てられる。この3次元のカラーテーブル68では、信号比Nb/G、信号比R/Gと、色差信号Cr、Cbの信号値とが対応付けられている。したがって、カラーテーブル68では、信号比Nb/G、信号比R/Gの入力に対して、色差信号Cr、Cbの信号値を出力する。なお、カラーテーブル68では、酸素飽和度が一定で、血液量が変化したような場合においても、第2酸素飽和度画像が同じ色で表示されるように、信号比Nb/G、信号比R/Gと、色差信号Cr、Cbの信号値とを対応付けている。
【0078】
また、第2酸素飽和度画像作成部66では、信号比R/Gの信号比に応じて、信号比Nb/Gと色差信号Cr、Cbの信号値との第1対応関係を変更するようにしてもよい。この場合には、
図13Aに示すように、第2酸素飽和度画像作成部66に、信号比Nb/Gと色差信号Cr、Cbの信号値との第1対応関係を記憶するカラーテーブル66c(第1色情報記憶部)と、信号比R/Gに応じてカラーテーブル66cの第1対応関係を変更する変更部66dが設けられる。変更部66dは、
図16Dに示すように、信号比Nb/Gと色差信号Cr、Cbの信号値との第1対応関係を定義する対応線L(Cr)、L(Cb)を、信号比R/Gに応じて上下左右方向にシフトする。この変更部66dでは、酸素飽和度が一定で、血液量が変化したような場合においても、第2酸素飽和度画像が同じ色で表示されるように、対応線L(Cr)、L(Cb)をシフトする。
【0079】
血液量画像作成部67は、輝度信号Yと色差信号Cb、Crとからなる血液量画像を作成する。輝度信号Yには、第1及び第2酸素飽和度画像と同様、画像データGがそのまま割り当てられる。一方、色差信号Cb、Crに対しては、カラーテーブル67aを参照して、
図17に示すように、血液量の情報を持つ信号比R/Gの大きさに対応した信号値を割り当てることで、血液量に応じて、色差を変化させることができる。
【0080】
カラーテーブル67aは、信号比R/Gが大きい部分(血液量が高い部分)では赤味を増加する一方で、信号比R/Gが低くなるにつれて赤味の彩度が下がってモノクロに近づくように、定義されている(ただし、信号比R/GはlogR/Gとして記憶されている)。したがって、このカラーテーブル67aでは、信号比R/Gの大きさに関わらず、色差信号Crの信号値を正、色差信号Cbの信号値を負に定義している。また、カラーテーブル67aでは、信号比R/Gの低下に合わせて、色差信号Crの信号値を徐々に小さくする一方で、色差信号Cbの信号値を徐々に大きくするように定義している。
【0081】
第1酸素飽和度画像作成部65での第1酸素飽和度画像の作成が完了するとともに、血液量画像作成部67での血液量画像の作成が完了すると、血液量画像と第1酸素飽和度画像はモニタ14に表示される。表示方法としては、
図18Aに示すように、血液量画像と第1酸素飽和度画像を縮小し、それら縮小した画像を並列して同時に表示してもよい。あるいは、ユーザーによるコンソール15の操作により、
図18Bに示すように、血液量画像と第1酸素飽和度画像の一方をモニタ14に選択的に表示するようにしてもよい。このように、血液量画像と第1酸素飽和度画像の両方を診断に用いることで、酸素飽和度と血液量の両方に特徴を有する未分化型早期胃がんなどの病変部に対する診断能を向上させることができる。なお、血液量画像と第2酸素飽和度画像をモニタ14に同時又は選択的に表示してもよく、また、血液量画像、第1酸素飽和度画像、第2酸素飽和度画像の3種類の画像をモニタ14に同時又は選択的に表示してもよい。
【0082】
次に、本発明を実施する場合のフローを、
図19に示すフローチャートを用いて説明する。まず、電子内視鏡システム10は通常観察モードで起動されて、白色光源30が点灯を開始するとともに、ロータリフイルタ34が回転を開始する。通常観察モードにおいては、
図9に示すように、シャッタ板40,41は回転せずに、白色光BBの光路から遮光部40a,41aが退避し、透過部40b,41bが挿入された状態で停止する。これにより、白色光BBは、ロータリフイルタ34の各フイルタ部34a〜34cに順次に入射して、白色光BBが色分離されて、B、G、Rの三色の光が順次生成される。
【0083】
三色の光は、光源装置13から電子内視鏡11に供給されて、照明窓22から観察部位に照射される。観察部位で反射した三色の像光は、観察窓23を通じて撮像素子44で撮像され、撮像素子44は、画像信号B、G、Rを順次出力する。画像処理部57は、画像信号B、G、Rに対応する画像データB、G、Rに基づいて通常観察画像を生成する。生成された通常観察画像は、記憶部58に記憶される。表示制御回路59は、通常観察画像をビデオ信号に変換してモニタ14に出力する。これによりモニタ14に通常観察画像が表示される。通常観察モードにおいては、こうした処理が繰り返されて、モニタ14に表示される通常観察画像が更新される。
【0084】
ユーザーがモード切替SW17aを押圧操作することにより、通常観察モードから第1機能情報観察モードに切り替えられる。第1機能情報観察モードに切り替えられると、シャッタ板41が、遮光部41aを、ロータリフイルタ34のBフイルタ部34a及びRフイルタ34cと回転位相を一致させた状態で、ロータリフイルタ34と同じ速度で回転を開始する。
【0085】
制御ユニット32は、シャッタ板41の遮光部41aが白色光BBの光路に挿入されている間に、青色半導体光源31aを点灯させる。青色半導体光源31aが発する青色狭帯域光Nbは、電子内視鏡11に供給されて、照明窓22から観察部位に順次照射される。青色狭帯域光Nbの像光は、観察窓23を通じて撮像素子44に入射して、撮像素子44は、青色狭帯域光Nbに対応する画像信号Nbを出力する。
【0086】
そして、制御ユニット32は、シャッタ板41の透過部41bが白色光BBの光路に挿入されている間は、青色半導体光源31aを消灯させる。透過部40bが光路に挿入されている間、白色光BBがロータリフイルタ34のGフイルタ部34bに入射してG色光が生成される。G色光は、電子内視鏡11に供給されて、観察部位に順次照射される。G色光の像光が観察窓23を通じて撮像素子44に順次入射して、撮像素子44は、G色光に対応する画像信号Gを出力する。
【0087】
機能画像処理部60では、画像データNb、G間の信号比Nb/Gを算出する。そして、この算出した信号比Nb/Gに対応する色差信号Cr、Cbの信号値を、カラーテーブル65aから特定する。そして、カラーテーブル65aで特定した信号値を色差信号Cr、Cbに割り当て、画像データGの信号値を輝度信号Yに割り当てることにより、第1酸素飽和度画像が作成される。作成された第1酸素飽和度画像は、モニタ14に表示される。
【0088】
そして、ユーザーがモード切替SW17aを押圧操作することにより、第1機能観察モードから第2機能情報観察モードに切り替えられる。第2機能情報観察モードに切り替えられると、シャッタ板41の回転駆動が停止する一方で、シャッタ板40が、遮光部40aを、ロータリフイルタ34のBフイルタ部34aと回転位相を一致させた状態で、ロータリフイルタ34と同じ速度で回転を開始する。
【0089】
制御ユニット32は、シャッタ板40の遮光部40aが白色光BBの光路に挿入されている間に、青色半導体光源31aを点灯させる。青色半導体光源31aが発する青色狭帯域光Nbは、電子内視鏡11に供給されて、照明窓22から観察部位に順次照射される。青色狭帯域光Nbの像光は、観察窓23を通じて撮像素子44に入射して、撮像素子44は、青色狭帯域光Nbに対応する画像信号Nbを出力する。
【0090】
そして、制御ユニット32は、シャッタ板40の透過部40bが白色光BBの光路に挿入されている間は、青色半導体光源31aを消灯させる。透過部40bが光路に挿入されている間、白色光BBがロータリフイルタ34のGフイルタ部34b、Rフイルタ部34cに順次入射してG色光、R色光が生成される。G色光及びR色光は、電子内視鏡11に供給されて、観察部位に順次照射される。G色光及びR色光の像光が観察窓23を通じて撮像素子44に順次入射して、撮像素子44は、G色光及びR色光に対応する画像信号G、Rを出力する。
【0091】
機能画像処理部60では、画像データNb、G間の信号比Nb/Gと、画像データG、R間の信号比R/Gを算出する。血液量に関する情報を持つ信号比R/Gが一定値以上の場合には、カラーテーブル66aを参照して、信号比Nb/Gに対応する色差信号Cr、Cbの信号値を特定する。また、信号比R/Gが一定値を下回る場合には、カラーテーブル66bを参照して、信号比Nb/Gに対応する色差信号Cr、Cbの信号値を特定する。カラーテーブル66a,66bで特定した信号値を色差信号Cr、Cbに割り当て、画像データGの信号値を輝度信号Yに割り当てることにより、第2酸素飽和度画像が作成される。作成された第2酸素飽和度画像は、モニタ14に表示される。
【0092】
そして、第2機能情報観察モードにおいて、ユーザーがモード切替SW17aを押圧操作することで、同時観察モードに切り替えられる。この同時観察モードにおける発光制御と撮像制御は第2機能情報観察モードと同様である。同時観察モード時に得られる画像データのうち、画像データNb、Gを用いて第1酸素飽和度画像を作成するとともに、画像データG、Rを用いて血液量画像を作成する。第1酸素飽和度画像の作成方法は、第1機能情報観察モード時と同様である。血液量画像の作成方法については、まず、画像データG、R間の信号比R/Gを算出する。そして、カラーテーブル67aを参照して、信号比R/Gに対応する色差信号Cr、Cbの信号値を特定する。そして、カラーテーブル67aで特定した信号値を色差信号Cr、Cbに割り当て、画像データGの信号値を輝度信号Yに割り当てることにより、血液量画像が作成される。作成された血液量画像及び第1酸素飽和度画像はモニタ14に表示される。
【0093】
そして、同時観察モードにおいて、ユーザーがモード切替SW17aを押圧操作することで、通常観察モードに復帰する。そして、観察終了時には、電子内視鏡11の挿入部16を検体から取り外した上で、電子内視鏡システム10の電源をオフにする。
【0094】
なお、本例においては、第2機能情報観察モードでは、通常観察画像の生成を行わない例で説明したが、画像データNb、G、Rから第2酸素飽和度画像を作成するだけでなく、通常観察画像と同様の作成方法で、通常観察画像に略相当する疑似通常観察画像を作成して、これら2種類の観察画像をモニタ14に同時表示してもよい。この疑似通常観察画像の青色成分は狭帯域成分であるため、通常観察画像と比較すると若干画質が落ちるものの、検体の全体像を観察するという点では、十分な画質を有している。
【0095】
以上説明したように、本発明においては、画像データNb、Rの規格化に用いる参照光として、既存の光源装置の構成である白色光源30を利用して、白色光BBから色分離されたG色光を用いているため、参照光に専用の光源を追加する場合と比べて、部品点数、設置スペースの低減が可能となる。これにより、既存の光源装置の構成が利用しやすく、コストダウンが可能となる。これに対して、酸素飽和度の変化を捉える照明光としては、青色領域の狭帯域光を発する青色半導体光源31aを使用しているため、表層血管の酸素飽和度を高い精度で画像化することができる。
【0096】
青色領域においては、
図14に示すヘモグロビンの吸光スペクトルで明らかなように、緑色領域や赤色領域と比較して、吸光度の変化が急峻であり、波長が少しずれると、吸光度が大きく変化する。また、各ヘモグロビンHb、HbO2の吸光度の大小関係に逆転が生じる等吸収点の間隔も狭い。波長域が広いと、大小関係が逆転する2つの領域の信号が混合して、輝度値が平均化されてしまうため、精度の高い情報が得られない。そのため、青色領域の光を利用して表層血管の血管情報を得るためには、2つの等吸収点の間隔に近い幅の波長域、好ましくは、2つの等吸収点の間隔に収まる波長域を持つ狭い狭帯域光を用いる必要がある。
【0097】
さらに、表層血管は、中深層血管と比較して細いため、照射される光量が不足しがちであり、表層血管を観察する場合には、光量が大きな光源が必要になる。
【0098】
このように、表層血管の酸素飽和度の測定精度を高めるには、青色領域の狭帯域光で、かつ高い光量の光を発する光源が適している。本発明においては、白色光BBから色分離する場合と比べて高い光量が得られ、単色の青色狭帯域光Nbを発光可能な青色半導体光源31aを採用することで、表層血管の酸素飽和度の測定精度を向上させている。
【0099】
参照光は、血液量及び酸素飽和度の算出処理において、青色狭帯域光NbとR色光に対応する信号を規格化するための参照信号として利用されるものである。そのため、観察部位の明るさのレベルが分かればよく、狭帯域光である必要はない。波長域を比較的広くとれるため、白色光BBから色分離したG色光を用いても光量的にも問題はない。なお、上記実施形態において、G色光を参照光として利用している例で説明しているが、参照光は明るさのレベルが分かればよいので、G色光の代わりに、Bフイルタ部34a、Rフイルタ部34cで白色光BBを色分離した、B色光やR色光を利用してもよいし、白色光BBを色分離せずに、白色光BBそのものを使用してもよい。
【0100】
ただし、酸素飽和度の画像化に、青色の青色狭帯域光Nb及びR色光を利用しているので、ロータリフイルタ34のように、B、G、Rの三色のフイルタ部を有する一般的な構成を考慮すれば、G色光を参照光として利用するのが好ましい。また、G色光に対応する画像データGは、血液量画像や酸素飽和度画像を生成する際に輝度信号Yに割り当てられるので、こうした画像処理の観点からも、参照光として画像データGを利用するのが好ましい。
【0101】
また、
図5に示すように、本例においては、Gフイルタ部34bとして、波長域が約450nm〜約620nm程度の分光透過率を有するフイルタを使用しているが、酸素飽和度の測定精度をより高めるには、Gフイルタ部34bの分光透過率を540nm〜580nmの波長域に制限するのが好ましい。
図14に示すヘモグロビンの吸光特性を鑑みると、緑色領域においては、540〜580nmの波長域で平均するのが、最も酸素飽和度の影響を受けにくいためである。
【0102】
なお、本例においては、青色狭帯域光Nbとして、波長域が470±10nm、好ましくは473nmの狭帯域光を使用しているが、波長域が440±10nm、好ましくは445nmの狭帯域光など、酸化ヘモグロビンHbO2及び還元ヘモグロビンHbの吸光度に差がある波長域の光であれば、他の波長域でもよい。
【0103】
また、上記実施形態においては、半導体光源ユニット31の青色狭帯域光Nbを、光合流部39によって、白色光源30から集光レンズ36へ向かう白色光BBの光路に合流させている。白色光源30、ロータリフイルタ34、集光レンズ36を設ける構成は、既存の光源装置では標準的な構成である。上記実施形態のような構成であれば、白色光BBの光路に大幅な変更を加えずに、光合流部39とシャッタ板40,41を追加するだけで済むため、既存の光源装置に組み込みやすい。
【0104】
また、光合流部39は、白色光BBを透過する透過部39aと、青色狭帯域光Nbを反射させる反射部39bとを有するため、構成の複雑化を防止できる。というのは、光合流部39を反射部39bのみで構成した場合には、通常観察モードにおいては光合流部39を光路から退避させ、第1及び第2機能情報観察モードにおいては光路に挿入させるというように、光合流部39を移動させるための移動機構が必要になる。光合流部39に透過部39aを設ければ、移動機構を設けずに済むため、既存の光源装置に追加する構成を簡素にできるので、既存の光源装置を利用しやすい。
【0105】
なお、反射部39bは、白色光BBに含まれる、青色狭帯域光Nbの波長域の光を透過させないため、反射部39bのサイズが大きい場合には、その波長域について無視できない程度の光量の低下を招く懸念もある。その場合には、通常観察モードにおいて、B色光を照射するときに青色半導体光源31aを点灯させて、反射部39bでカットされる光量を補ってもよい。
【0106】
また、シャッタ板40,41を回転板で構成して、回転動作により遮光部40a,41aの光路への挿入と退避を行っているが、例えば、シャッタ板40,41を直線的に移動させて挿入と退避を行ってもよい。しかし、本例のようにシャッタ板40,41を回転動作させる構成によれば、直線移動させる場合と比較して、直線移動させるためのリンク機構が不要な分、構成を簡素化できる。
【0107】
[第2実施形態]
上記実施形態では、ロータリフイルタ34とシャッタ板40とが別々に設けられているが、
図20に示すように、シャッタ板の機能を設けたロータリフイルタ91を使用してもよい。ロータリフイルタ91は、内側から、第1領域、第2領域、第3領域の3つの領域に分割された三重円で構成されている。第1領域は、通常観察モードで使用されるB、G1、Rの各フイルタ部である。第2領域は、第1機能情報観察モードで使用される遮光部、G2の各フイルタ部である。第3領域は、第2機能情報観察モード又は同時観察モードで使用される遮光部、G2、Rの各フイルタ部である。第2及び第3領域の遮光部は、上記実施形態のシャッタ板40,41として機能する。
【0108】
移動機構92は、ロータリフイルタ91の回転軸を移動させることにより、内周領域と外周領域を白色光BBの光路に選択的に挿入する。こうしたロータリフイルタ91を用いれば、ロータリフイルタ34とシャッタ板40,41を別々に設けずに済むので、部品点数や配置スペースを低減できる。また、三重円の構成にすれば、フイルタ部G1を
図5に示すGの分光透過率のフイルタで構成し、フイルタ部G2を酸素飽和度の算出に適した、540nm〜580nmの波長域の分光透過率を有するフイルタで構成するというように、モードに応じてGのフイルタ部の分光透過率を変えることができる。
【0109】
また、
図21に示すロータリフイルタ93のように、第1〜第3領域に分けずに、全周を4分割して、各分割領域にB、G、Rの各フイルタ部と、遮光部とを設けてもよい。遮光部は、シャッタ板40,41として機能する。こうした構成であれば、移動機構92は不要である。また、ロータリフイルタ93のような構成とすれば、各観察モードの切り替えの際に、第1実施形態のようにシャッタ板40,41の回転及び停止の切り替えを行ったり、
図20に示すロータリフイルタ91のように回転軸を移動させずに済む。
【0110】
[第3実施形態]
上記実施形態では、電子内視鏡11の撮像素子44としてモノクロ撮像素子を用い、光源装置13に、白色光BBをB、G、Rの三色の光に色分離するロータリフイルタ34を設けた面順次式の例が用いられるが、この代わりに、電子内視鏡11の撮像素子として、
図22に示すような、カラー撮像素子100を用いた同時式のシステムに本発明を適用してもよい。カラー撮像素子100は、撮像面を構成する各画素に、B、G、Rのいずれかのマイクロカラーフイルタが設けられており、撮像面内にB、G、Rの三色の画素が構成される。三色の画素は、例えばベイヤー形式で配列される。
【0111】
図23に示すように、同時式の場合には、光源装置13にはロータリフイルタ34が不要となる。その他の構成は、
図6A,B、
図7、
図8に示す面順次式と同様であるので、同一部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0112】
図24Aに示すように、通常観察モードにおいて、シャッタ板40,41は、遮光部40a,41aを白色光BBの光路から退避させた状態で停止させ、同時式の光源装置13は、電子内視鏡11に対して白色光BBを供給する。白色光BBは、照明窓22から観察部位に照射されて、その反射光をカラー撮像素子100で撮像する。カラー撮像素子100に入射する白色光BBは、マイクロカラーフイルタによって色分離されて、カラー撮像素子100は、B、G、Rの各色の画素に対応する三色の色信号を含んだ画像信号を出力する。B、G、Rの各マイクロカラーフイルタの分光透過率は、
図4に示すロータリフイルタ34の場合と同様である(
図5参照)。
【0113】
図24Bに示すように、第1機能情報観察モードの場合には、シャッタ板40の透過部40bを白色光BBの光路に挿入した状態にするとともに、シャッタ板41を回転させて、シャッタ板41の遮光部41aで白色光BBを遮光している間に、青色半導体光源31aを点灯させて、青色狭帯域光Nbを照射する。そして、シャッタ板41の遮光部41aが白色光BBの光路から退避している間に、白色光BBが照射される。また、青色狭帯域光Nbの照射時にカラー撮像素子100のB画素から出力する画像信号Nbと、白色光BBの照射時にカラー撮像素子100のG画素から出力する画像信号Gとが、第1酸素飽和度画像の作成に用いられる。これら画像信号Nb、Gは第1実施形態の画像信号Nb、Gに対応している。第1酸素飽和度画像の作成及び表示方法は、第1実施形態と同様である。
【0114】
図24Cに示すように、第2機能情報観察モード又は同時観察モードの場合には、シャッタ板41の透過部41bを白色光BBの光路に挿入した状態にするとともに、シャッタ板40を回転させて、シャッタ板40の遮光部40aで白色光BBを遮光している間に、青色半導体光源31aを点灯させて、青色狭帯域光Nbを照射する。そして、シャッタ板40の遮光部40aが白色光BBの光路から退避している間に、白色光BBが照射される。
【0115】
第2機能情報観察モードにおいては、青色狭帯域光Nbの照射時にカラー撮像素子100のB画素から出力する画像信号Nbと、白色光BBの照射時にカラー撮像素子100のG画素及びR画素から出力する画像信号G、Rとが、第2酸素飽和度画像の作成に用いられる。これら画像信号Nb、G、Rは第1実施形態の画像信号Nb、G、Rに対応している。また、同時観察モードにおいては、画像信号Nb、Gが第1酸素飽和度画像の作成に用いられ、画像信号G、Rが血液量画像の作成に用いられる。血液量画像及び第2酸素飽和度画像の作成及び表示方法は、第1実施形態と同様である。
【0116】
また、上記各実施形態では、ロータリフイルタの各フイルタ部や、カラー撮像素子のマイクロカラーフイルタを、B、G、Rの原色系のフイルタを使用しているが、
図25に示す分光透過率を有する、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)の補色系のフイルタを使用してもよい。この補色系フイルタを使用した場合に得られるY信号、M信号、C信号は、RGB変換により、RGBの画像信号に変換される。
【0117】
[第4実施形態]
なお、上記実施形態では、460〜480nm、540〜580nmの2波長分の光を用いて第1酸素飽和度画像を作成し、460〜480nm、540〜580nm、590〜700nmの3波長分の光を用いて第2酸素飽和度画像及び血液量画像を作成したが、第4実施形態では、530〜550nm、540〜580nmの2波長分の光を用いて第1酸素飽和度画像を作成し、530〜550nm、540〜580nm、590〜700nmの3波長分の光を用いて第2酸素飽和度画像及び血液量画像を作成する。
【0118】
第4実施形態では、
図26に示すように、半導体光源ユニット31において、青色半導体光源31aの代わりに、レーザダイオード又はLED(Light Emittig Diode)からなる緑色半導体光源31cを備えている。緑色半導体光源31cは、緑色領域の一部の狭い波長域の緑色狭帯域光Ngを発光する。緑色狭帯域光Ngの波長域は、
図5に示すように、波長域が530〜550nmに制限された狭帯域である。第4実施形態の電子内視鏡システム200は、青色半導体光源31aの代わりに、緑色半導体光源31cを設けること以外については、第1実施形態の電子内視鏡システム10と同様である。
【0119】
すなわち、第4実施形態の第1機能情報観察モード、第2機能情報観察モード、同時観察モードにおいて、青色狭帯域光Nbの代わりに、緑色狭帯域光Ngを発光する(
図12B、
図12C参照)。また、第4実施形態の機能画像処理部60では、第1、第2機能情報観察モード及び同時観察モード時には、画像信号Nbの代わりに、緑色狭帯域光Ngの反射像を撮像したときに得られる画像データNgが用いられる。
【0120】
したがって、信号比算出部64では、画像データNgと画像データG間の信号比Ng/Gを算出する。また、第1及び第2酸素飽和度画像作成部65,66では、信号比Nb/Gの代わりに、信号比Ng/Gが用いられる。また、第1及び第2酸素飽和度画像作成部内のカラーテーブル65a,66aについては、信号比Nb/Gに代えて、信号比Ng/Gと色差信号Cr、Cbの信号値の対応関係が記憶されている。
【0121】
信号比Ng/Gの「Ng」は、信号比Nb/Gの「Nb」と同様、酸化ヘモグロビンの吸光係数が還元ヘモグロビンの吸光係数よりも大きいため、酸素飽和度が低くなると、大きくなる。また、信号比Ng/Gの「G」は、信号比Nb/Gの「G」と同じ波長成分を有しているため、酸素飽和度が変化しても信号値は変化しない。したがって、酸素飽和度の変化による信号値Ng/Gの変化量は、信号比Nb/Gの場合と同様である。そのため、第1及び第2酸素飽和度画像上での酸素飽和度の変化に伴う色の変化は、第1実施形態と同様である。
【0122】
なお、上記実施形態では、第2機能情報観察モードでは、第2酸素飽和度画像のみを作成・表示したが、これに加えて、第1酸素飽和度画像を作成・表示してもよい。
【0123】
なお、上記実施形態では、血液量画像及び酸素飽和度画像を生成する際に、血液量及び酸素飽和度に関する情報に基づいて血管を疑似カラー画像化したが、これに代えて、血液量及び酸素飽和度に関する情報を、例えば白と黒のモノクロで濃淡を変化させてもよい。酸素飽和度画像には、上記実施形態で示した形態に代えて、又はそれに加えて、「血液量(酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの和)×酸素飽和度(%)」から求まる酸化ヘモグロビンインデックスを画像化したものや、「血液量×(100−酸素飽和度)(%)」から求まる還元ヘモグロビンインデックスを画像化したものも含まれる。
【0124】
上記実施形態では、半導体光源としてレーザダイオードからなるレーザ光源を用いているが、レーザダイオードの代わりにLEDを使用したLED光源でもよい。また、上記実施形態では、光源装置とプロセッサ装置が別体で構成されているが、2つの装置を一体で構成してもよい。
【0125】
なお、本発明は、撮像素子と超音波トランスデューサが先端部に内蔵された超音波内視鏡等、他の形態の内視鏡にも適用することができる。