(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリビニルアルコール系重合体を主成分とする原反フィルムを架橋剤を含む水浴中で一軸延伸する工程を含む偏光フィルムの製造方法であって、前記ポリビニルアルコール系重合体の重合度が1000〜2400である、下記式(1)および(2)を満たす、製造方法。
1≦A≦50 ・・・(1)
−0.0725×A+63.0≦B≦−0.0725×A+67.3 ・・・(2)
[上記式(1)および(2)中、Aは前記原反フィルムの厚み(単位:μm)を表し、Bは前記一軸延伸を行う温度(単位:℃)を表す。]
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において使用される原反フィルムはPVA系重合体を主成分とする。PVA系重合体を主成分とする原反フィルムを用いることにより、高倍率での延伸が可能になり偏光性能に優れた偏光フィルムを円滑に低コストで製造することができる。得られる偏光フィルムの偏光性能などの観点から原反フィルムにおけるPVA系重合体の含有率は75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
【0013】
原反フィルムが含むPVA系重合体は、ビニルエステルを重合して得られるポリビニルエステル系重合体をけん化することにより製造することができ、その具体例としては、ポリビニルエステルのホモポリマーをけん化することにより製造されるPVA(未変性PVA);PVAの主鎖にコモノマーを少量(ビニルアルコール単位に対し好ましくは5モル%未満)グラフト共重合させた変性PVA;コモノマーを少量(ビニルエステルに対し好ましくは15モル%未満、より好ましくは5モル%未満)共重合させた変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造される変性PVA;未変性または変性PVAの水酸基の一部をホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類で架橋したいわゆるポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。
【0014】
前記したビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。これらの中でも、入手性などの観点から酢酸ビニルが好ましい。
【0015】
上記のコモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のα−オレフィン類;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールアクリルアミドまたはその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩若しくはエステル;イタコン酸またはその塩若しくはエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げることができ、これらの内の1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、α−オレフィン類が好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0016】
PVA系重合体がエチレン単位を含むことにより、得られる偏光フィルムの偏光性能や耐久性能を向上させ、また色斑を低減させることができる。PVA系重合体におけるエチレン単位の含有率は、当該PVA系重合体を構成する全構造単位のモル数に基づいて、好ましくは1〜4モル%であり、より好ましくは1.5〜3モル%であり、さらに好ましくは2〜3モル%である。エチレン単位の含有率が1モル%以上であることにより、得られる偏光フィルムにおける偏光性能および耐久性能の向上効果や色斑の低減効果がよりいっそう発揮される。一方、エチレン単位の含有率が4モル%以下であることにより、PVA系重合体の水との高い親和性を維持することができ、得られる偏光フィルム膜面の均一性を向上させ、また偏光フィルムの色斑をより効果的に解消することができる。
【0017】
PVA系重合体のけん化度は、偏光フィルムひいてはそれから製造される偏光板の偏光性能および耐久性の点から、95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましく、99.3モル%以上が最も好ましい。
PVA系重合体のけん化度とは、PVA系重合体が有する、けん化によりビニルアルコール単位に変換されうる構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)を示したものである。なお、PVA系重合体のけん化度は、JIS K6726−1994に記載の方法により測定することができる。
【0018】
PVA系重合体の重合度は、偏光フィルムひいては偏光板の偏光性能と耐久性の点から、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましい。PVA系重合体の重合度の上限としては8000が好ましく、6000がより好ましい。
PVA系重合体の重合度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。すなわち、PVA系重合体を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から求めることができる。
【0019】
原反フィルムは、可塑剤として、多価アルコールを含むことが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、原反フィルムの延伸性の向上効果の点から、ジグリセリン、エチレングリコールまたはグリセリンが好適に使用される。
【0020】
原反フィルムにおける多価アルコールの含有量としては、PVA系重合体100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。多価アルコールの含有量が1質量部以上であることにより、偏光フィルム製造時の染色性や延伸性が低下するのを抑制することができる。一方、多価アルコールの含有量が30質量部以下であることにより、原反フィルムが柔軟になり過ぎて、取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
【0021】
原反フィルムは界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが好適である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが好適である。
これらの界面活性剤は1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
【0022】
界面活性剤の含有量としては、PVA系重合体100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、0.02〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.3質量部がさらに好ましい。界面活性剤の含有量が0.01質量部以上である原反フィルムは、その製膜時における製膜性や製膜に使用するドラム等の基体からの剥離性に優れるため、結果としてより高品位の偏光フィルムを得ることができる。一方、界面活性剤の含有量が1質量部以下であることにより、界面活性剤が原反フィルムの表面に溶出してブロッキングの原因になって取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
【0023】
原反フィルムは、上記したPVA系重合体、可塑剤および界面活性剤以外の他の成分、例えば、二色性染料、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、相溶化剤、ブロッキング防止剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、流動化剤、抗菌剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤などを含んでいてもよい。これらの他の成分は1種を単独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。
【0024】
原反フィルムの製膜方法としては、含水状態のPVA系重合体を溶融してなる製膜原液を用いて溶融押出製膜法により製膜する方法の他に、例えば、PVA系重合体を液体媒体に溶解してなる製膜原液を使用した、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中に吐出する方法)、ゲル製膜法(製膜原液を一旦冷却ゲル化した後、液体媒体を抽出除去し、原反フィルムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法などが挙げられる。これらの中でも、溶融押出製膜法および流延製膜法が、良好な偏光フィルムを得る観点から好ましい。
【0025】
上記液体媒体としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、グリセリン、水などを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、ジメチルスルホキシド、水、またはグリセリンと水との混合物が好適に使用される。
【0026】
上記製膜原液におけるPVA系重合体の濃度は、PVA系重合体の重合度などによっても変化するが、20〜70質量%が好適であり、25〜60質量%がより好適であり、30〜55質量%がさらに好適であり、35〜50質量%が最も好適である。PVA系重合体の濃度が70質量%以下であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎて製膜原液の濾過や脱泡が困難になるのを抑制することができ、異物や欠点の少ない原反フィルムを得やすくなる。また、PVA系重合体の濃度が20質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が低くなり過ぎず、目的とする厚みを有する原反フィルムが得やすくなる。なお、製膜原液には、必要に応じて、上記した可塑剤、界面活性剤、その他の成分のうちの1種または2種以上が含有されていてもよい。
【0027】
本発明において使用される原反フィルムの厚みを表す上記A(単位:μm)は、以下の式(1)を満たすことが必要である。Aが1(μm)未満であると、原反フィルムの強度が低すぎて、均一な一軸延伸を行いにくく、偏光フィルムに色斑が発生しやすい。一方、Aが60(μm)を超えると、薄型の偏光フィルムを得るのが困難になると共に、原反フィルムを一軸延伸した際に、端部のネックインによりフィルムの厚みに変動が生じ易くなり、偏光フィルムの色斑が強調されやすくなる。その上、延伸性も低下する。当該Aは以下の式(1’)を満たすことが好ましく、以下の式(1”)を満たすことがより好ましい。
1≦A≦60 ・・・(1)
10≦A≦50 ・・・(1’)
20≦A≦40 ・・・(1”)
【0028】
原反フィルムは単層フィルムであっても複層フィルムであってもどちらでもよいが、単層フィルムであることが製造コストの低下の観点から好ましい。原反フィルムが複層フィルムである場合においては、当該複層フィルムが全体としてPVA系重合体を主成分とすることが必要であり、当該複層フィルム全体に対するPVA系重合体の含有率が75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
【0029】
原反フィルムから偏光フィルムを製造する方法としては、当該原反フィルムを架橋剤を含む水浴中で一軸延伸する工程を含む本発明の規定を満たす方法である限り特に制限されず、例えば、原反フィルムに対して、予備膨潤、染色、一軸延伸、色相調整、乾燥処理などを施すことにより偏光フィルムを製造することができる。
【0030】
予備膨潤は、原反フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水に浸漬する際の水の温度としては、20〜40℃の範囲内であることが好ましく、25〜35℃の範囲内であることがより好ましく、30〜35℃の範囲内であることがさらに好ましい。また、水に浸漬する時間としては、例えば、0.1〜5分間の範囲内であることが好ましく、0.5〜3分間の範囲内であることがより好ましい。なお、水に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
【0031】
染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれの段階で行うことも可能であるが、PVA系重合体は一軸延伸により結晶化度が上がりやすくて、染色性が低下することがあるため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一軸延伸工程中において染色するのが好ましい。染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107などの二色性染料などが挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。原反フィルムの染色は、通常原反フィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行われるが、原反フィルムの製造に用いられる製膜原液に染料を混合するなどの方法によってもよい。
【0032】
本発明の製造方法は、原反フィルムを架橋剤を含む水浴中で一軸延伸する工程を含むと共に、後述する式(2)を満足することが必要である。原反フィルムを架橋剤を含む水浴中で一軸延伸することにより、染料の吸着が強固な偏光フィルムが得られる。当該架橋剤としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂をはじめとするホウ酸塩等のホウ素化合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等の多価アルデヒド化合物などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもどちらでもよい。これらの架橋剤の中でも、得られる偏光フィルムの光学特性や入手性などの観点からホウ素化合物が好ましく、ホウ酸がより好ましい。架橋剤を含む水浴における架橋剤の濃度は、得られる偏光フィルムの光学特性を向上させ、また収縮を効果的に防止することができることから、1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましく、3〜6質量%がさらに好ましい。架橋剤を含む水浴中において、架橋剤は全てが水に溶解していても一部または全部が溶解せずに分散していてもどちらでもよいが、全ての架橋剤が水に溶解していることが、均一な性能を有する偏光フィルムが容易に得られることから好ましい。
【0033】
架橋剤を含む水浴は、架橋剤に加えてさらに助剤を含むことが好ましい。架橋剤を含む水浴がさらに助剤を含むことにより光学特性が面内においてより均一な偏光フィルムを得ることができる。当該助剤としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもどちらでもよい。架橋剤を含む水浴中における助剤の濃度は、0.05〜15質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜8質量%の範囲内であることがより好ましく、2〜5質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
また上記のように一軸延伸は染色と同時に行うこともでき、この場合には架橋剤を含む水浴はさらに染料を含むことが好ましい。
【0034】
原反フィルムから偏光フィルムを製造する際の一軸延伸は1段で行っても、あるいは多段に分けて行ってもどちらでもよく、多段に分けて行う場合には、少なくとも1段が架橋剤を含む水浴中で行われると共に、後述する式(2)を満足していればよい。
【0035】
一軸延伸の延伸倍率(一軸延伸を多段に分けて行う場合には合計の延伸倍率、すなわち元長に基づく倍率)は、偏光フィルムひいては偏光板の偏光性能の点から、一軸延伸前の原反フィルムの長さに基づいて5倍以上が好ましく、6倍以上がより好ましい。延伸倍率について厳密な意味での上限はないが、8倍以下であると均一に延伸しやすいので好ましい。延伸倍率が過度に高いと、フィルムが破断しやすくなる傾向がある。また、延伸倍率が低すぎると、偏光板の偏光度が不十分となる場合がある。
【0036】
また本発明の製造方法においては、原反フィルムの厚みを表す上記A(単位:μm)と一軸延伸を行う温度を表すB(単位:℃)が以下の式(2)を満たすことが必要である。Bが式(2)で示される下限値を下回る場合、限界延伸倍率が低下し得られる偏光フィルムの偏光性能が低下する。また、Bが式(2)で示される上限値を上回る場合、延伸切れが起こり偏光フィルムを円滑に製造するのが困難になる。当該Bは以下の式(2’)を満たすことが好ましく、以下の式(2”)を満たすことがより好ましい。
−0.0725×A+63.0≦B≦−0.0725×A+67.3 ・・・(2)
−0.0725×A+63.1≦B≦−0.0725×A+66.3 ・・・(2’)
−0.0725×A+63.3≦B≦−0.0725×A+66.0 ・・・(2”)
【0037】
色相調整は、染色および一軸延伸後に行うのが好ましく、染色および一軸延伸後の原反フィルムを色相調整浴中に浸漬することにより行うことができる。色相調整浴としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等のヨウ化物を含む水浴が挙げられる。当該水浴におけるヨウ化物の濃度は、最終的に得られる偏光フィルムを直交配置した際の色相を向上させることができることから、0.05〜15質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜8質量%の範囲内であることがより好ましく、2〜5質量%の範囲内であることがさらに好ましい。また当該色相調整浴は、必要に応じて、ホウ酸、ホウ酸塩等のホウ素化合物をさらに含んでいてもよい。
【0038】
色相調整浴の温度は、通常、20〜70℃程度、好ましくは25〜65℃、より好ましくは30〜60℃の範囲内である。また色相調整浴中に浸漬する際の浸漬時間は特に限定されないが、最終的に得られる偏光フィルムを直交配置した際の色相を向上させることができることから、1〜60秒間が好ましく、2〜30秒間がより好ましく、3〜20秒間がさらに好ましい。色相調整浴への浸漬時間、ヨウ化物等の濃度を前記範囲とすることは、偏光板を直交配置した場合における色相調整の観点において好ましい。
【0039】
乾燥処理により、予備膨潤、染色、一軸延伸、色相調整などの工程中で吸収された水を除去することができる。乾燥温度は、通常、20〜150℃の範囲内であるが、40〜100℃の範囲内であることが好ましい。乾燥温度が低すぎると、乾燥時間が長くなり、製造効率が低下する場合がある。一方、乾燥温度が高すぎると得られる偏光フィルムが劣化し、偏光性能および色相が不十分となる場合がある。加熱乾燥時間は、通常、1〜5分間程度である。
【0040】
本発明の製造方法によれば薄型の偏光フィルムを製造することができる。当該偏光フィルムの厚みとしては、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
【0041】
本発明の製造方法により得られた偏光フィルムは、その両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせた偏光板の形態で好ましく使用することができる。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、偏光フィルムと保護フィルムを貼り合わせるための接着剤としては、ポリビニルアルコール系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、中でもポリビニルアルコール系の接着剤が好適である。
【0042】
以上のようにして得られた偏光板は、アクリル系等の粘着剤を被覆した後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの構成要素として使用することができる。偏光板をガラス基板に貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等を同時に貼り合わせてもよい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、偏光フィルムの偏光性能および色相は以下の方法により測定または評価した。
【0044】
(1)偏光フィルムの偏光性能:
以下の実施例または比較例で得られた偏光フィルムの幅方向の中央部から、偏光フィルムの配向方向に平行に約4cm×4cmの正方形のサンプルを採取し、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製「V7100」)を用いて、このサンプルの単体透過率Ts’および偏光度Pを求め、単体透過率Ts’から表面反射率を除くことにより、視感度補正した単体透過率Tsを算出した。
また、下記式により偏光フィルムの二色性比Rdを算出した。下記式において、Tsは前記視感度補正した単体透過率(%)、Pは偏光度(%)を表す。
Rd=log(Ts/100−Ts/100×P/100)/log(Ts/100+Ts/100×P/100)
【0045】
(2)偏光フィルムの色相:
上記(1)の偏光性能の測定においてハンターLab表色系に基づくb値を求めて色相評価の指標とした。b値が0に近いほどニュートラル性の高い偏光フィルムであって色相が良好であると評価される。
【0046】
[実施例1]
けん化度99.95モル%、重合度2400のPVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み20μmのPVAフィルム(PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.3倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が5質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.4倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを61.8℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.3倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み8μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.9%、偏光度(P)が99.99%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は75.6であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0047】
[実施例2]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み20μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.3倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が5質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.4倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを64.2℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.2倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み8μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.8%、偏光度(P)が99.99%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は74.3であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0048】
[実施例3]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み30μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.3倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が5質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.4倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを62.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.2倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み12μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.6%、偏光度(P)が99.99%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は75.0であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0049】
[実施例4]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み30μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.5倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が5質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.6倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを63.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.2倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み12μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が44.1%、偏光度(P)が99.98%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は73.2であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0050】
[実施例5]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み40μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.5倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が4質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.6倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを60.5℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.5倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み17μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.9%、偏光度(P)が99.99%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は77.1であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0051】
[実施例6]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み40μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の2.2倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が4質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の3.3倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを63.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.5倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み16μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.7%、偏光度(P)が99.99%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は76.1であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0052】
[実施例7]
けん化度99.95モル%、重合度2400のPVA100質量部に対してグリセリンを12質量部含む厚み50μmのPVAフィルム(PVAの含有率82質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.6倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が3質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.7倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを60.7℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に元長の6.5倍となるように一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み20μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、良好な色相を有していた。また、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.7%、偏光度(P)が99.99%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は76.7であり偏光性能は非常に良好であった。さらに、偏光フィルムの製造中に延伸切れなどは見られず、偏光フィルムを円滑に製造することができた。
【0053】
[比較例1]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み20μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.3倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が5質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.4倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを58.5℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に一軸延伸したが、予備試験の段階で延伸切れが発生したため、延伸切れする直前の合計の延伸倍率である元長の5.6倍まで一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み9μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、視感度補正した単体透過率(Ts)が44.0%、偏光度(P)が99.92%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は62.1であり偏光性能は不十分なレベルであった。また、実施例1〜7の偏光フィルムと比較して、色相が劣っていた。
【0054】
[比較例2]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み30μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.5倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が5質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.6倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを59.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に一軸延伸したが、予備試験の段階で延伸切れが発生したため、延伸切れする直前の合計の延伸倍率である元長の6.2倍まで一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み12μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、視感度補正した単体透過率(Ts)が44.0%、偏光度(P)が99.94%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は64.2であり偏光性能は不十分なレベルであった。また、実施例1〜7の偏光フィルムと比較して、色相が劣っていた。
【0055】
[比較例3]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み40μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.8倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が4質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.9倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを59.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に一軸延伸したが、予備試験の段階で延伸切れが発生したため、延伸切れする直前の合計の延伸倍率である元長の6.2倍まで一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み18μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.7%、偏光度(P)が99.97%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は66.7であり偏光性能は不十分なレベルであった。また、実施例1〜7の偏光フィルムと比較して、色相が劣っていた。
【0056】
[比較例4]
けん化度99.9モル%、重合度2400のPVA100質量部に対してグリセリンを12質量部含む厚み40μmのPVAフィルム(PVAの含有率82質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.8倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が4質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.9倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを65.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に一軸延伸したが、原反フィルムが高温に耐え切れず溶断が発生したため、偏光フィルムを得ることができなかった。
【0057】
[比較例5]
けん化度99.3モル%、重合度2400、エチレン単位の含有率2モル%の変性PVA100質量部に対してグリセリンを6質量部含む厚み40μmのPVAフィルム(変性PVAの含有率88質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.8倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が4質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.9倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを63.0℃の水中で、前記一軸延伸と同じ方向に一軸延伸したが、予備試験の段階で延伸切れが発生したため、延伸切れする直前の合計の延伸倍率である元長の5.0倍まで一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み25μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、視感度補正した単体透過率(Ts)が43.7%、偏光度(P)が99.41%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は43.3であり偏光性能は不十分なレベルであった。また、実施例1〜7の偏光フィルムと比較して、色相が劣っていた。
【0058】
[比較例6]
けん化度99.9モル%、重合度2400のPVA100質量部に対してグリセリンを12質量部含む厚み75μmのPVAフィルム(PVAの含有率82質量%)を原反フィルムとして用いて、これを予備膨潤、染色、一軸延伸および乾燥処理して、偏光フィルムを製造した。すなわち、前記PVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸漬して予備膨潤させながら、PVAフィルムの長さが元長の1.8倍となるように一軸延伸した。ついで、ヨウ素/ヨウ化カリウムの濃度比(質量比)が1/100で両者の合計の濃度が3質量%の30℃の水溶液中に1分間浸漬し、前記一軸延伸と同じ方向に元長の2.9倍となるように一軸延伸しながらフィルムを染色した。続いて、PVAフィルムを60.0℃の4質量%ホウ酸水溶液中で、前記一軸延伸と同じ方向に一軸延伸したが、予備試験の段階で延伸切れが発生したため、延伸切れする直前の合計の延伸倍率である元長の6.3倍まで一軸延伸した。その後、PVAフィルムを取り出し、60℃の温風で乾燥して、厚み30μmの偏光フィルムを得た。
得られた偏光フィルムは、視感度補正した単体透過率が44.3%、偏光度(P)が99.30%であり、計算により求めた二色性比(Rd)は46.4であり偏光性能は不十分なレベルであった。また、実施例1〜7の偏光フィルムと比較して、色相が劣っていた。
【0059】
以上の結果を以下の表1に示した。
【0060】
【表1】