特許第6017922号(P6017922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017922基板乾燥方法、液処理システムおよび記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017922
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】基板乾燥方法、液処理システムおよび記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   H01L21/304 651B
   H01L21/304 651L
   H01L21/304 651M
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-237962(P2012-237962)
(22)【出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2014-90015(P2014-90015A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】南 輝臣
(72)【発明者】
【氏名】田中 満雄
(72)【発明者】
【氏名】中森 光則
(72)【発明者】
【氏名】野中 純
(72)【発明者】
【氏名】田中 暁
(72)【発明者】
【氏名】川渕 洋介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 英嗣
【審査官】 堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−212301(JP,A)
【文献】 特開2010−050143(JP,A)
【文献】 特開2007−036180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面を処理液で液処理した後、基板の表面に揮発性流体を供給して基板表面に液膜を形成する揮発性流体供給工程と、
前記基板を回転させて、前記基板における前記揮発性流体から露出した露出部を前記基板の中心から周縁部に向けて広げることによって、前記基板の表面を前記揮発性流体から露出させる露出工程と、
前記露出工程に先立って開始され、前記露出工程において前記露出部が前記基板の周縁部に到達する前までの期間において前記基板の裏面に加熱流体を供給することによって前記露出部の結露を防止する加熱流体供給工程と
を含むことを特徴とする基板乾燥方法。
【請求項2】
前記露出工程は、
前記基板を回転させつつ前記揮発性流体の供給位置を前記基板の中心から周縁部に向けて移動させることによって、前記基板の表面を前記揮発性流体から露出させること
を特徴とする請求項1に記載の基板乾燥方法。
【請求項3】
前記加熱流体は、
露点温度として予め決められた温度を超える温度に加熱された流体であること
を特徴とする請求項1または2に記載の基板乾燥方法。
【請求項4】
前記加熱流体は、
加熱された純水であること
を特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の基板乾燥方法。
【請求項5】
前記加熱流体供給工程後、前記基板の裏面に気体を供給する気体供給工程
を含むことを特徴とする請求項4に記載の基板乾燥方法。
【請求項6】
前記加熱流体供給工程は、
少なくとも、露点温度として予め決められた温度を超える温度まで前記基板の温度を上昇させるのに要する時間分だけ前記露出工程よりも前に開始されること
を特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の基板乾燥方法。
【請求項7】
前記揮発性流体供給工程に先立って、前記基板の表面に純水を供給して、前記基板に残存する残留物を前記純水で洗い流すリンス工程
をさらに含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の基板乾燥方法。
【請求項8】
基板に処理液を供給して液処理を行う液処理装置と、
前記液処理装置を制御する制御部と
を備え、
前記液処理装置は、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された基板の表面に揮発性流体を供給する第1供給部と、
前記基板保持部によって保持された基板の裏面に加熱流体を供給する第2供給部と
前記基板保持部によって保持された基板を回転させる回転機構と
を備え、
前記制御部は、
前記基板の表面を処理液で液処理した後、前記第1供給部から前記基板の表面に前記揮発性流体を供給して基板表面に液膜を形成する揮発性流体供給処理、前記基板を回転させて、前記基板における前記揮発性流体から露出した露出部を前記基板の中心から周縁部に向けて広げることによって、前記基板の表面を前記揮発性流体から露出させる露出処理、および、前記露出処理に先立って開始され、前記露出処理において前記露出部が前記基板の周縁部に到達する前までの期間において前記基板の裏面に前記第2供給部から前記加熱流体を供給することによって前記露出部の結露を防止する加熱流体供給処理を前記液処理装置に行わせること
を特徴とする液処理システム。
【請求項9】
前記液処理装置は、
前記基板保持部によって保持された基板を回転させる回転機構と、
前記第1供給部を移動させる移動機構と
をさらに備え、
前記制御部は、
前記回転機構を用いて前記基板を回転させつつ、前記移動機構を用いて前記揮発性流体の供給位置を前記基板の中心から周縁部に向けて移動させる処理を前記露出処理として前記液処理装置に行わせること
を特徴とする請求項に記載の液処理システム。
【請求項10】
前記加熱流体は、
露点温度として予め決められた温度を超える温度に加熱された流体であること
を特徴とする請求項8または9に記載の液処理システム。
【請求項11】
前記加熱流体は、
加熱された純水であること
を特徴とする請求項8〜10のいずれか一つに記載の液処理システム。
【請求項12】
前記液処理装置は、
前記基板保持部によって保持された基板の裏面に気体を供給する気体供給部
を備え、
前記制御部は、
前記加熱流体供給処理後、前記気体供給部から前記基板の裏面に前記気体を供給する気体供給処理を前記液処理装置に行わせること
を特徴とする請求項11に記載の液処理システム。
【請求項13】
前記制御部は、
少なくとも、露点温度として予め決められた温度を超える温度まで前記基板の温度を上昇させるのに要する時間分だけ前記露出処理よりも前に前記加熱流体供給処理を開始させること
を特徴とする請求項8〜12のいずれか一つに記載の液処理システム。
【請求項14】
前記液処理装置は、
前記基板の表面に純水を供給する第3供給部
をさらに備え、
前記制御部は、
前記揮発性流体供給処理に先立って、前記第3供給部から前記基板の表面に純水を供給して、前記基板に付着する残留物を前記純水で洗い流すリンス処理を前記液処理装置に行わせること
を特徴とする請求項8〜13のいずれか一つに記載の液処理システム。
【請求項15】
コンピュータ上で動作し、液処理装置を制御するプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、実行時に、請求項1〜のいずれか一つに記載の基板乾燥方法が行われるように、コンピュータに前記液処理装置を制御させること
を特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板乾燥方法、液処理システムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄処理後の基板を乾燥させる方法として、基板の表面にIPA(イソプロピルアルコール)などの揮発性流体を供給することによって基板に付着するリンス液等を揮発性流体に置換させ、揮発性流体の揮発によって基板の表面を乾燥させる方法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−227467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、揮発性流体が揮発する際に生じる気化熱によって基板の表面温度が低下し、これによって基板の表面に結露が発生するおそれがあった。基板表面に結露が発生すると、たとえば、結露した水分に大気中の酸素分子および基板表面のシリコン分子が溶存し、これらが結合して二酸化ケイ素が形成されることによって、水分が乾燥したときに二酸化ケイ素がパーティクルとして残存するおそれがある。また、パターン間に入り込んだ水分の表面張力によってパターン倒壊が引き起こされるおそれもある。このため、基板の表面には結露を生じさせないことが好ましい。
【0005】
実施形態の一態様は、基板表面の結露を防止することのできる基板乾燥方法、液処理システムおよび記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る基板乾燥方法は、揮発性流体供給工程と、露出工程と、加熱流体供給工程とを含む。揮発性流体供給工程は、基板の表面を処理液で液処理した後、基板の表面に揮発性流体を供給して基板表面に液膜を形成する。露出工程は、基板を回転させて、基板における揮発性流体から露出した露出部を基板の中心から周縁部に向けて広げることによって、基板の表面を揮発性流体から露出させる。加熱流体供給工程は、露出工程に先立って開始され、露出工程において露出部が基板の周縁部に到達する前までの期間において基板の裏面に加熱流体を供給することによって露出部の結露を防止する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、基板表面の結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る液処理システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、基板洗浄装置の構成を示す模式図である。
図3図3は、基板洗浄装置が実行する基板洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、乾燥工程の具体的な処理手順を示すタイミングチャートである。
図5A図5Aは、基板洗浄装置の動作説明図(その1)である。
図5B図5Bは、基板洗浄装置の動作説明図(その2)である。
図6A図6Aは、基板洗浄装置の動作説明図(その3)である。
図6B図6Bは、基板洗浄装置の動作説明図(その4)である。
図6C図6Cは、基板洗浄装置の動作説明図(その5)である。
図7A図7Aは、基板洗浄装置の動作説明図(その6)である。
図7B図7Bは、基板洗浄装置の動作説明図(その7)である。
図7C図7Cは、基板洗浄装置の動作説明図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<液処理システムの構成>
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板乾燥方法、液処理システムおよび記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、本実施形態に係る液処理システムの概略構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る液処理システムの概略構成を示す模式図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。また、以下では、X軸負方向側を液処理システムの前方、X軸正方向側を液処理システムの後方と規定する。
【0011】
図1に示すように、液処理システム100は、搬入出ステーション1と、搬送ステーション2と、処理ステーション3とを備える。これら搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3は、液処理システム100の前方から後方へ、搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3の順で配置される。
【0012】
搬入出ステーション1は、複数枚(たとえば、25枚)のウェハWを水平状態で収容するキャリアCが載置される場所であり、たとえば4個のキャリアCが搬送ステーション2の前壁に密着させた状態で左右に並べて載置される。
【0013】
搬送ステーション2は、搬入出ステーション1の後方に配置され、内部に基板搬送装置2aと基板受渡台2bとを備える。搬送ステーション2では、基板搬送装置2aが、搬入出ステーション1に載置されたキャリアCと基板受渡台2bとの間でウェハWの受け渡しを行う。
【0014】
処理ステーション3は、搬送ステーション2の後方に配置される。かかる処理ステーション3には、中央部に基板搬送装置3aが配置され、かかる基板搬送装置3aの左右両側にそれぞれ複数(ここでは、6個ずつ)の基板洗浄装置5が前後方向に並べて配置される。かかる処理ステーション3では、基板搬送装置3aが、搬送ステーション2の基板受渡台2bと各基板洗浄装置5との間でウェハWを1枚ずつ搬送し、各基板洗浄装置5が、ウェハWに対して1枚ずつ基板洗浄処理を行う。
【0015】
また、液処理システム100は、制御装置6を備える。制御装置6は、たとえばコンピュータであり、制御部6aと図示しない記憶部とを備える。記憶部には、基板洗浄処理等の各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部6aは記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって液処理システム100の動作を制御する。
【0016】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置6の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0017】
なお、図1では、便宜上、液処理システム100の外部に制御装置6が設けられる場合を示しているが、制御装置6は、液処理システム100の内部に設けられてもよい。たとえば、制御装置6は、基板洗浄装置5の上部スペースに収容することができる。
【0018】
このように構成された液処理システム100では、まず、搬送ステーション2の基板搬送装置2aが、搬入出ステーション1に載置されたキャリアCから1枚のウェハWを取り出し、取り出したウェハWを基板受渡台2bに載置する。基板受渡台2bに載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置3aによって搬送され、いずれかの基板洗浄装置5に搬入される。
【0019】
基板洗浄装置5に搬入されたウェハWは、基板洗浄装置5によって基板洗浄処理を施された後、基板搬送装置3aにより基板洗浄装置5から搬出され、基板受渡台2bに再び載置される。そして、基板受渡台2bに載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置2aによってキャリアCに戻される。
【0020】
<基板洗浄装置の構成および動作>
次に、本実施形態に係る基板洗浄装置5の構成および動作について具体的に説明する。図2は、基板洗浄装置5の構成を示す模式図である。なお、図2では、基板洗浄装置5の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0021】
図2に示すように、基板洗浄装置5は、チャンバ10内に、基板保持部20と、第1供給部30と、回収カップ40と、気流形成ユニット50とを備える。
【0022】
基板保持部20は、ウェハWを回転可能に保持する回転保持機構21(回転機構の一例に相当)と、かかる回転保持機構21の中空部21dに挿通され、ウェハWの裏面に流体を供給する第2供給部22とを備える。
【0023】
回転保持機構21は、チャンバ10の略中央に設けられる。かかる回転保持機構21の表面には、ウェハWを側面から支持する支持部21aが設けられており、ウェハWは、かかる支持部21aによって回転保持機構21の表面からわずかに離間した状態で水平保持される。
【0024】
また、回転保持機構21は、駆動機構21bを備え、かかる駆動機構21bによって鉛直軸まわりに回転する。具体的には、駆動機構21bは、モータ21b1と、モータ21b1の出力軸に取り付けられたプーリ21b2と、プーリ21b2および回転保持機構21の外周部に捲回されたベルト21b3とを備える。
【0025】
かかる駆動機構21bは、モータ21b1の回転によってプーリ21b2を回転させ、かかるプーリ21b2の回転をベルト21b3によって回転保持機構21へ伝達することで、回転保持機構21を鉛直軸まわりに回転させる。そして、回転保持機構21が回転することによって、回転保持機構21に保持されたウェハWが回転保持機構21と一体に回転する。なお、回転保持機構21は、軸受21cを介してチャンバ10および回収カップ40に回転可能に支持される。
【0026】
第2供給部22は、回転保持機構21の中央に形成される中空部21dに挿通された長尺状の部材であり、内部には流路22aが形成される。流路22aには、バルブ8eを介してDHF供給源7eが、バルブ8fを介してCDIW供給源7fが、バルブ8gを介してHDIW供給源7gが、バルブ8hを介してN2供給源7hが、それぞれ接続される。第2供給部22は、上記供給源7e〜7hから供給されるDHF,CDIW,HDIWまたはN2ガスを流路22aを介してウェハWの裏面へ供給する。
【0027】
なお、DHFは、フッ酸を純水で希釈した希フッ酸である。また、CDIWは、常温(23〜25度程度)の純水である。また、HDIWは、チャンバ10内における露点温度として予め決められた温度を超える温度に加熱された純水である。かかるHDIWの温度は、たとえば、80度程度である。
【0028】
また、第2供給部22は、ウェハWの受け渡しを行う際にも用いられる。具体的には、第2供給部22の基端部には、第2供給部22を鉛直方向に移動させる昇降機構22cが設けられる。また、第2供給部22の表面には、ウェハWを支持するための支持ピン22dが設けられる。
【0029】
基板保持部20は、基板搬送装置3a(図1参照)からウェハWを受け取る場合には、昇降機構22cを用いて第2供給部22を上昇させた状態で、支持ピン22dの上部にウェハWを載置させる。その後、基板保持部20は、第2供給部22を所定の位置まで降下させた後、回転保持機構21の支持部21aにウェハWを渡す。また、基板保持部20は、処理済のウェハWを基板搬送装置3aへ渡す場合には、昇降機構22cを用いて第2供給部22を上昇させ、支持部21aによって支持されたウェハWを支持ピン22d上に載置させる。そして、基板保持部20は、支持ピン22d上に載置させたウェハWを基板搬送装置3aへ渡す。
【0030】
第1供給部30は、ウェハWの外方からウェハWの上方に移動し、基板保持部20によって保持されたウェハWの表面へ向けて処理用の液体または気体を供給する。第1供給部30は、処理用の液体または気体を吐出するノズル31a〜31cと、ノズル31a〜31cを水平に支持するアーム32と、アーム32を旋回および昇降させる旋回昇降機構33とを備える。アーム32および旋回昇降機構33は、移動機構の一例に相当する。
【0031】
ノズル31aには、バルブ8aを介してDHF供給源7aが、バルブ8bを介してCDIW供給源7bが接続される。また、ノズル31bには、バルブ8cを介してN2供給源7cが接続され、ノズル31cには、バルブ8dを介してIPA供給源7dが接続される。
【0032】
第1供給部30は、ノズル31aからDHFまたはCDIWを、ノズル31bからN2ガスを、ノズル31cからIPAを、それぞれウェハWの表面へ供給することが可能である。IPAは、イソプロピルアルコールであり、本願における「揮発性流体」の一例である。また、ノズル31cは、本願における「第1供給部」の一例であり、ノズル31aは、本願における「第3供給部」の一例である。ここでは、ノズル31a,31cが1つのアーム32に設けられる場合の例を示すが、ノズル31a,31cは、別々のアームに設けられてもよい。
【0033】
回収カップ40は、処理液の周囲への飛散を防止するために、回転保持機構21を取り囲むように配置される。かかる回収カップ40の底部には、排液口41が形成されている。回収カップ40によって捕集された処理液は、かかる排液口41から基板洗浄装置5の外部に排出される。また、回収カップ40の底部には、排気口42が形成されている。第1供給部30や第2供給部22から吐出されるN2ガスあるいは後述する気流形成ユニット50から基板洗浄装置5内に供給される気体が、かかる排気口42から基板洗浄装置5の外部に排出される。
【0034】
気流形成ユニット50は、チャンバ10の天井部に取り付けられており、チャンバ10内にダウンフローを形成する気流発生部である。具体的には、気流形成ユニット50は、ダウンフローガス供給管51と、かかるダウンフローガス供給管51に連通するバッファ室52とを備える。ダウンフローガス供給管51は、図示しないダウンフローガス供給源と接続する。また、バッファ室52の底部には、バッファ室52とチャンバ10内とを連通する複数の連通口52aが形成される。
【0035】
かかる気流形成ユニット50は、ダウンフローガス供給管51を介してダウンフローガス(たとえば、清浄気体やドライエアなど)をバッファ室52へ供給する。そして、気流形成ユニット50は、バッファ室52に供給されたダウンフローガスを複数の連通口52aを介してチャンバ10内に供給する。これにより、チャンバ10内には、ダウンフローが形成される。チャンバ10内に形成されたダウンフローは、排気口42から基板洗浄装置5の外部に排出される。
【0036】
次に、基板洗浄装置5の具体的動作について説明する。図3は、基板洗浄装置5が実行する基板洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図3に示す一連の処理手順は、制御装置6の記憶部に格納されているプログラムを制御部6aが読み出すとともに、読み出した命令に基づいて基板洗浄装置5を制御することにより実行される。
【0037】
図3に示すように、基板洗浄装置5では、まず、基板搬入処理が行われる(ステップS101)。かかる基板搬入処理では、基板搬送装置3aが第2供給部22の支持ピン22d上にウェハWを載置した後、かかるウェハWを回転保持機構21の支持部21aが支持する。このときウェハWは、パターン形成面が上向きの状態で支持部21aに支持される。その後、駆動機構21bによって回転保持機構21が回転する。これにより、ウェハWは、回転保持機構21に水平保持された状態で回転保持機構21とともに回転する。なお、ウェハWの回転速度は、たとえば100〜1500rpmである。
【0038】
つづいて、基板洗浄装置5では、洗浄処理が行われる(ステップS102)。かかる洗浄処理では、第1供給部30のノズル31aがウェハWの中央上方に位置する。その後、バルブ8aおよびバルブ8e(図2参照)が所定時間開放されることによって、洗浄液であるDHFが、第1供給部30のノズル31aおよび第2供給部22の両方からウェハWの表面および裏面へ供給される。ウェハWへ供給されたDHFは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの両面に広がる。これにより、ウェハWの両面が洗浄される。
【0039】
遠心力によってウェハW上から飛散した洗浄液は、回収カップ40の排液口41から排出される。なお、洗浄処理において、第1供給部30および第2供給部22から供給されるDHFの流量は、たとえば0.1〜3L/minである。
【0040】
つづいて、基板洗浄装置5では、ウェハWの表面および裏面をCDIWですすぐリンス処理が行われる(ステップS103)。かかるリンス処理では、バルブ8bおよびバルブ8f(図2参照)が所定時間開放されることによって、CDIWが、第1供給部30のノズル31aおよび第2供給部22の両方からウェハWの表面および裏面へ供給され、ウェハWに残存するDHFが洗い流される。
【0041】
このように、本実施形態にかかる基板洗浄装置5では、置換処理に先立って、ウェハWの表面にCDIWを供給して、ウェハWに付着する残留物をCDIWで洗い流すリンス処理を行う。
【0042】
なお、リンス処理において、第1供給部30および第2供給部22から供給されるCDIWの流量はたとえば0.1〜3L/minである。
【0043】
つづいて、基板洗浄装置5では、乾燥処理が行われる(ステップS104)。ここで、かかる乾燥処理の具体的な処理手順について図4図5A図5B図6A図6C図7A図7Cを参照して説明する。図4は、乾燥工程の具体的な処理手順を示すタイミングチャートである。また、図5A図5B図6A図6C図7A図7Cは、基板洗浄装置5の動作説明図(その1)〜(その8)である。
【0044】
図4に示すように、乾燥処理では、リンス処理(図5A参照)の終了後、ウェハWの表面に残存するCDIWをIPAに置換する置換処理と、置換処理の終了後、ウェハWの表面に残存するIPAを除去してウェハWの表面を露出させる露出処理とが行われる。
【0045】
まず、置換処理では、第1供給部30のノズル31cがウェハWの中央上方に位置する。その後、バルブ8d(図2参照)が所定時間開放されることによって、ノズル31cからウェハWの表面にIPAが供給されてウェハWの表面にIPAの液膜が形成される(図5B参照)。これにより、ウェハWの表面に残存するCDIWがIPAに置換される。
【0046】
なお、置換処理において、ノズル31cから供給されるIPAの温度は、室温(たとえば25度程度)〜75度程度である。また、ノズル31cから供給されるIPAの流量は、たとえば10〜300ml/minである。
【0047】
つづいて、露出処理が行われる。なお、かかる露出処理に先立って、第2供給部22からウェハWの裏面へHDIWを供給することによってウェハWを加熱する加熱処理が行われるが(図4の(1)、図6A参照)、かかる加熱処理については後述する。
【0048】
露出処理では、IPAがノズル31cから供給されている状態で、ノズル31cがウェハWの中央から周縁部に向けて移動する(図4の「SCAN IPA」、図6B参照)。これにより、ウェハWの表面のうち、ノズル31cの移動によってIPAが供給されなくなった部分に残存するIPAが揮発し、かかる部分においてウェハWの表面が露出する。すなわち、ウェハWの表面が乾燥する。
【0049】
このように、本実施形態に係る基板洗浄装置5は、ウェハWを回転させつつIPAの供給位置をウェハWの中心から周縁部へ移動させることによって、ウェハWの表面をIPAから露出させる。
【0050】
ここで、ウェハW上でIPAが揮発すると、IPAの揮発に伴う気化熱によってウェハWの露出した部分(以下、「露出部」と記載する)の温度が低下する。そして、露出部の温度がチャンバ10内の露点温度を下回った場合、露出部に結露が発生し、これによりパーティクルやパターン倒壊等が生じるおそれがある。たとえば、結露した水分に大気中の酸素分子および基板表面のシリコン分子が溶存し、これらが結合して二酸化ケイ素が形成されることによって、水分が乾燥したときに二酸化ケイ素がパーティクルとしてウェハWの表面に残存するおそれがある。また、パターン間に入り込んだ水分の表面張力によってパターン倒壊が引き起こされるおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態に係る基板洗浄装置5では、露出処理に先立って、第2供給部22からウェハWの裏面へHDIWを供給する加熱処理を行うこととした。具体的には、加熱処理は、露出処理の直前に開始され、露出処理と重複する所定期間において行われる。これにより、ウェハWの裏面に供給されるHDIWによって露出部の温度低下が抑えられるため、結露を防止することができる。
【0052】
なお、ここでは、加熱処理を露出処理の直前に行うこととしたが、ここでいう「直前」とは、「ウェハWの温度を露点温度を超える温度にまで上昇させるのに要する時間分だけ露出処理よりも前」という意味である。すなわち、加熱処理は、少なくとも、露点温度として予め決められた温度を超える温度までウェハWの温度を上昇させるのに要する時間分だけ露出処理よりも前に開始されればよい。
【0053】
なお、加熱処理は、置換処理時に限らずリンス処理時に開始されてもよい。具体的には、リンス処理において、ウェハWの裏面へのCDIWの供給を表面よりも先に停止した後、裏面へのHDIWの供給を開始してもよい。
【0054】
ノズル31cの移動に伴いノズル31bがウェハWの中央上方まで移動すると、バルブ8c(図2参照)が開放され、ノズル31bからウェハWの表面にN2ガスが供給される。そして、N2ガスがノズル31bから供給され、かつ、IPAがノズル31cから供給されている状態で、ノズル31bおよびノズル31cがウェハWの周縁部に向けて移動する(図6C参照)。
【0055】
つづいて、ノズル31cがウェハWの周縁部に到達すると、ノズル31cからのIPAの供給が停止される。ここで、IPAの供給停止後もウェハWの裏面にHDIWを供給し続けた場合、裏面に供給したHDIWがウェハWの表面へ回り込み、ウェハWの表面に付着してパーティクルやパターン倒壊等の原因となるおそれがある。
【0056】
そこで、本実施形態に係る基板洗浄装置5では、IPAの供給停止に先立ち、HDIWの供給が停止される(図4の(2)、図7A参照)。このように、IPAの供給位置がウェハWの周縁部に到達する前に、ウェハWの裏面へのHDIWの供給を停止することにより、HDIWがウェハWの表面へ回り込んだとしても、ノズル31cから供給されるIPAによって洗い流すことができるため、ウェハWの表面にHDIWが残存することを防止することができる。
【0057】
なお、HDIWの供給停止のタイミングとしては、たとえば、ウェハWの裏面から回り込んでくるHDIWがウェハWの表面へ到達する範囲を実験やシミュレーション等に基づいて予め取得しておき、IPAの供給位置が上記の到達範囲に達する前のタイミングであればよい。
【0058】
つづいて、HDIWの供給が停止されると、バルブ8h(図2参照)が所定時間開放されることによって、第2供給部22からウェハWの裏面にN2ガスが供給される(図7B参照)。かかるN2ガスおよびウェハWの回転によって、ウェハWの裏面からHDIWが除去され、ウェハWの裏面が乾燥する。
【0059】
つづいて、ノズル31bがウェハWの周縁部に到達すると、ノズル31bからウェハWの表面へのN2ガスの供給が停止される(図7C参照)。そして、ノズル31bからのN2ガスの供給が停止された後、第2供給部22からウェハWの裏面へのN2ガスの供給が停止されて、一連の乾燥処理が終了する。その後、ウェハWの回転が停止する。
【0060】
その後、基板洗浄装置5では、基板搬出処理が行われる(図3のステップS105)。かかる基板搬出処理では、昇降機構22c(図2参照)によって第2供給部22が上昇して、支持部21aによって支持されたウェハWが支持ピン22d上に載置される。そして、支持ピン22d上に載置されたウェハWが基板搬送装置3aへ渡される。かかる基板搬出処理が完了すると、1枚のウェハWについての基板洗浄処理が完了する。
【0061】
上述してきたように、本実施形態に係る液処理システム100は、ウェハWを洗浄する基板洗浄装置5と、基板洗浄装置5を制御する制御部6aとを備える。また、基板洗浄装置5は、基板保持部20と、第1供給部30と、第2供給部22とを備える。基板保持部20は、ウェハWを保持する。第1供給部30は、基板保持部20によって保持されたウェハWの表面に揮発性流体であるIPAを供給する。第2供給部22は、基板保持部20によって保持されたウェハWの裏面に加熱流体であるHDIWを供給する。そして、制御部6aは、洗浄処理を行った後、第1供給部30からウェハWの表面にIPAを供給してウェハWの表面にIPAの液膜を形成する置換処理(揮発性流体供給処理の一例に相当)、ウェハWの表面をIPAから露出させる露出処理、および、露出処理に先立って開始され、露出処理と重複する期間においてウェハWの裏面に第2供給部22からHDIWを供給する加熱処理(加熱流体供給処理の一例に相当)を基板洗浄装置5に行わせる。
【0062】
すなわち、HDIWによってウェハWが加熱された状態で露出処理が行われるため、IPAの揮発によってウェハWの温度が露点温度を下回ることを防止することができる。したがって、本実施形態に係る液処理システム100によれば、ウェハWの表面の結露を防止することができる。
【0063】
また、HDIWは、露点温度として予め決められた温度を超える温度に加熱されるため、ウェハWの温度が露点温度を下回ることを確実に防止することができる。
【0064】
また、本実施形態では、ウェハWの裏面へHDIWを供給してウェハWを加熱する加熱処理を露出処理の直前に開始することとしたため、たとえば加熱処理をリンス処理時から開始した場合と比較して、使用するHDIWの量を節約することができる。さらには、HDIWによるチャンバ10内の湿度上昇も可及的に抑えられるため、湿度上昇によってチャンバ10内が結露し易い状態になることを抑えることができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、HDIWの温度が80度程度であることとしたが、HDIWの温度は、事前の実験やシミュレーション等により露点温度として予め決められた温度よりも高い温度に加熱されていればよい。たとえば、HDIWの温度は、室温(25度程度)〜80度程度であればよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、加熱処理に用いる加熱流体としてHDIWを用いる場合の例を示したが、加熱流体は、露点温度として予め決められた温度よりも高い温度に加熱された流体であればよく、たとえば、N2ガス等の気体を用いてもよい。加熱流体として気体を用いることで、液体を用いる場合と比較してチャンバ10内の湿度上昇を抑えることができるため、結露を生じ難くすることができる。また、液体を用いる場合と異なり、ウェハWの裏面を乾燥させる処理も不要となる。なお、加熱流体として気体を用いる場合、かかる気体の供給停止タイミングは、IPAの供給停止タイミングと同じでよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、ウェハWを回転させつつIPAの供給位置をウェハWの中心から周縁部へ移動させることによって、ウェハWの表面をIPAから露出させる場合の例を示したが、露出工程は、たとえば、ウェハWを回転させた状態でウェハWへのIPAの供給を停止させて、露出部をウェハWの中心から周縁部に向けて広げることによって、ウェハWの表面をIPAから露出させる工程であってもよい。かかる場合、露出部がウェハWの周縁部に到達する前に、加熱処理を終了すればよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、露出処理が開始される直前にウェハWの裏面へのHDIWの供給を開始することとしたが、HDIWの供給は、リンス処理の終了後すぐに行ってもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、揮発性流体の一例としてIPAを用いたが、揮発性流体は、IPAに限定されない。
【0070】
また、上述した実施形態では、液処理システムが基板洗浄装置を備える場合の例について説明したが、液処理システムは、基板洗浄装置以外の液処理装置を備えていてもよい。基板洗浄装置以外の液処理装置としては、たとえば、基板にレジストを塗布し、現像処理を行う現像装置などがある。すなわち、液処理システムにおいて行われる液処理は、上述してきた基板洗浄処理に限らず、現像処理等の他の液処理であってもよい。
【0071】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
W ウェハ
5 基板洗浄装置
6 制御装置
10 チャンバ
20 基板保持部
21 回転保持機構
22 第2供給部
30 第1供給部
31a〜31c ノズル
40 回収カップ
41 排液口
42 排気口
50 気流形成ユニット
100 液処理システム
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C