(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持するチャックテーブルと、前記チャックテーブルで保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段とを備えたレーザー加工装置であって、
前記レーザー光線照射手段は、レーザー光線発生手段と、加工ヘッドとを含み、
前記加工ヘッドは、
前記レーザー光線発生手段から発生されたレーザー光線を集光する集光レンズと、
前記被加工物に液体を噴射して、前記集光レンズで集光されたレーザー光線が導光される液柱を形成する液体噴射手段と、
前記液体噴射手段で形成された前記液柱が通過する少なくとも側面に透明部を有するパイプと、
前記パイプ内に前記液柱を囲繞する気体を流入させる気体流入路と、
前記パイプの側面の前記透明部から前記パイプ内を通過する前記レーザー光線及び前記液柱を撮像する撮像手段と、を有するレーザー加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係るレーザー加工装置の概略構成例を示す図である。
図1に示す実施形態に係るレーザー加工装置1は、カセットエレベータ10と、仮置き手段20と、洗浄手段30と、チャックテーブル40と、レーザー光線照射手段50と、搬送手段60と、表示手段70と、制御手段80と、を含んで構成されている。レーザー加工装置1は、被加工物Wを保持したチャックテーブル40と、レーザー光線照射手段50とを相対移動させることで、被加工物Wにレーザー加工、特に、溶解及び冷却による加工を施して、被加工物Wにレーザー加工溝又は分割溝を形成する。
【0012】
ここで、被加工物Wは、特に限定されないが、例えば、シリコン、ヒ化ガリウム(GaAs)等を母材とする板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ、チップ実装用として半導体ウエーハの裏面に設けられるDAF(Die Attach Film)等の粘着部材、半導体製品のパッケージ部品、セラミック、ガラス、サファイア(Al2O3)系の板状の無機材料基板、LCDドライバー等の各種電子部品、金属や樹脂等の板状の延性材料、ミクロンオーダーの加工精度が要求される各種加工材料等である。
【0013】
カセットエレベータ10は、装置本体2に対してZ軸方向において昇降自在であり、粘着テープTを介して環状フレームFに貼着された被加工物Wを複数枚収容するカセット11が載置される。仮置き手段20は、レーザー加工前後の被加工物Wを一対のレール21,22に一時的に載置し、搬出入手段23により、レーザー加工前の一枚の被加工物Wをカセット11から取り出し、レーザー加工後の一枚の被加工物Wをカセット11内に挿入する。洗浄手段30は、搬送手段32により搬送されたレーザー加工後の被加工物Wを保持するスピンナテーブル31を回転させつつ図示しない洗浄ノズルから被加工物Wの表面に洗浄剤を噴射し、被加工物Wの表面を洗浄する。
【0014】
チャックテーブル40は、表面(保持面に相当)を構成する部分がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない吸引源により表面に載置された被加工物Wを吸引保持し、図示しないエアーアクチュエータにより駆動するクランプ部41,42で被加工物Wの環状フレームFを挟持する。また、チャックテーブル40は、図示しないX軸移動手段およびY軸移動手段により、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ相対移動し、図示しない駆動源によりZ軸と平行である中心軸回りに回転自在である。レーザー光線照射手段50は、図示しないZ軸移動手段によりZ軸方向に相対移動する。また、レーザー光線照射手段50は、チャックテーブル40との相対位置がX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれに相対移動することで、チャックテーブル40に保持された被加工物Wの表面に所望の加工を施す。
【0015】
搬送手段60は、レーザー加工前の被加工物Wを仮置き手段20からチャックテーブル40へ搬送し、レーザー加工後かつ洗浄後の被加工物Wを洗浄手段30から仮置き手段20へ搬送する。表示手段70は、レーザー加工装置1における加工動作の状態等を表示する。また、表示手段70は、後述する加工ヘッド52の撮像手段528により撮像されたレーザー光線Lおよび液柱Cの画像を表示する。制御手段80は、コンピュータ等を有する電子制御装置である。制御手段80は、カセットエレベータ10と、仮置き手段20と、洗浄手段30と、チャックテーブル40と、レーザー光線照射手段50と、搬送手段60と、表示手段70と、にそれぞれ接続されており、これらをそれぞれ制御する。
【0016】
ここで、
図2〜
図6を参照して、実施形態に係るレーザー光線照射手段50について説明する。
図2は、実施形態に係る加工ヘッドの斜視図である。
図3は、
図2に示す加工ヘッドの固定手段の斜視図である。
図4は、実施形態に係るレーザー光線照射手段の概略構成例を示す図である。
図5は、実施形態に係るキャップ状固定部の概略構成例を示す図である。
図6は、
図4に示すレーザー光線照射手段の要部拡大図である。
【0017】
レーザー光線照射手段50は、
図2および
図4に示すように、レーザー光線発生手段51と、加工ヘッド52と、を含んで構成されている。レーザー光線照射手段50は、レーザー光線発生手段51により被加工物Wの加工に必要な波長および出力のレーザー光線Lを発生し、この発生したレーザー光線LをミラーMにより加工ヘッド52側へ全反射し、この全反射したレーザー光線Lを加工ヘッド52から被加工物Wに照射することで、被加工物Wの表面にレーザー加工を施す。
【0018】
レーザー光線発生手段51は、レーザー光線Lを発振するレーザー光線発振器511と、レーザー光線Lの周波数を設定する周波数設定手段512と、を備えている。レーザー光線発振器511は、例えば、YAGレーザー発振器やYVOレーザー発振器など、被加工物Wの表面において反射率が低くなる短波長のレーザー光線Lを発振する発振器が用いられる。周波数設定手段512は、被加工物Wの種類や加工形態などに応じて、レーザー光線発振器511が発振するレーザー光線Lの周波数を適宜設定する。
【0019】
加工ヘッド52は、
図3および
図4に示すように、集光レンズ521と、液体噴射手段522と、パイプ523と、気体流入路524と、液体流入路525と、ケーシング526と、固定手段527と、撮像手段528と、を含んで構成されている。
【0020】
集光レンズ521は、レーザー光線発生手段51から発生したレーザー光線Lを集光する。集光レンズ521は、レーザー光線Lのスポット径を液柱Cの外径よりも小さくし、かつ、レーザー光線Lの焦点を液体噴射手段522の図示しない噴射ノズルの下端の噴射口とする。集光レンズ521は、レーザー光線Lの反射、および、レーザー光線Lの光軸調整時やパイプ523の着脱時などにおいて用いられるガイド光としてのガイドレーザーの反射を抑えるための反射防止コートが施されている。また、集光レンズ521は、図示しないレンズ冷却機構により所定の温度に保たれている。
【0021】
液体噴射手段522は、被加工物Wに液体を噴射して、集光レンズ521で集光されたレーザー光線Lが導光される液柱Cを形成する。液体噴射手段522は、図示しない噴射ノズルを有しており、高圧液供給源100から供給される高圧の液体を噴射ノズルの噴射口から噴射させることにより、液柱Cを形成する。
【0022】
パイプ523は、レーザー光線Lの光軸に対して平行である液柱通過孔523aが貫通形成されており、液体噴射手段522で形成される液柱Cが液柱通過孔523aを通過する。パイプ523は、レーザー光線Lの進行方向の上流側と下流側のそれぞれの端部が円錐状となる円柱形状である。パイプ523は、透明なガラス材料で構成されており、透明なガラス材料として、石英ガラス、硼珪酸ガラス、珪酸ガラス、その他のガラスを用いることができる。また、パイプ523は、透明なガラス材料で構成されていることから、少なくとも側面523bに透明部523c(
図5参照)を有している。
【0023】
気体流入路524は、パイプ523の液柱通過孔523a中に液柱Cを囲繞する高圧の気体を流入させる。また、気体流入路524は、高圧気体供給経路91を介して、液柱Cを囲繞する高圧の気体が高圧気体供給源90から供給される。
【0024】
液体流入路525は、液体噴射手段522に高圧の液体を流入させる。また、液体流入路525は、高圧液供給経路101を介して、液体噴射手段522で液柱Cとなる高圧の純水等の液体が高圧液供給源100から供給される。
【0025】
ケーシング526は、集光レンズ521と、液体噴射手段522と、気体流入路524と、液体流入路525と、を収容する。また、ケーシング526は、レーザー光線Lが通過する、すなわち液柱Cも通過する通過孔526bが下面526aに形成されている。通過孔526bは、パイプ523が通過することができる孔径である。
【0026】
固定手段527は、ケーシング526の下端にパイプ523を着脱自在に固定する。固定手段527は、
図4および
図5に示すように、ガイド部53と、一対の挟持部材54と、キャップ状固定部55と、を備えている。
【0027】
ガイド部53は、ケーシング526の下面526aのレーザー光線Lが通過する通過孔526bの周囲で下方に突出し、ガイド部53の下面53aにガイド溝53bを備え、上方外周に雄ねじ53cが形成された円柱状である。すなわち、ガイド部53は、ケーシング526の下面526aの通過孔526bの周囲から下方に突出する円柱状に形成されており、ガイド部53の下面53aには、一対の挟持部材54を案内するためのガイド溝53bが形成され、外周面の上方には、キャップ状固定部55の雌ねじ55cと螺合する雄ねじ53cが形成されている。ガイド溝53bの溝底53dには、レーザー光線Lが通過する通過孔526bと連通する連通孔53eと、一対の挟持部材54の突起部54dと摺動可能に係合する一対の凹部53fと、が形成されている。
【0028】
一対の挟持部材54は、下端外周にテーパー面54aを有し、内側にパイプ523を側面523bから挟持する挟持部54bを備え、パイプ523を挟持した状態でガイド部53のガイド溝53bに収容される。また、一対の挟持部材54は、一方の挟持部材541と他方の挟持部材542とを備えている。各挟持部材541,542は、ガイド部53のガイド溝53b内で摺動可能に案内される。各挟持部材541,542は、下端が半円錐状のテーパー面54aとなる半円柱状に形成されている。各挟持部材541,542は、弾性部材543を挟んで挟持部54b同士が対面する。各挟持部材541,542は、弾性部材543を取り付けるための穴部54cと、ガイド部53の一対の凹部53fと摺動可能に係合する一対の突起部54dと、を有している。すなわち、各挟持部材541,542は、パイプ523を側面523bから挟持する挟持部54b同士が弾性部材543を挟んで対面することから、パイプ523に加わる挟持力とは反対方向に弾性部材543の付勢力を作用させることができるので、挟持力が必要以上にパイプ523へ加わるのを抑えることができる。一方の挟持部材541は、後述する撮像手段528のファイバースコープ528aが挿入される撮像用孔54eを有している。挟持部54b同士は、パイプ523の外周面(側面523b)に対応し、かつ、パイプ523を挟持した際に各挟持部材541,542同士を密着させない長さの円弧状である。これにより、各挟持部材541,542同士が密着する前に、この各挟持部材541,542同士でパイプ523を挟んで固定することができるため、パイプの直径のばらつきにも対応可能である。また、挟持部54b同士は、パイプ523の中央付近の外周面とそれぞれ面で当接する。
【0029】
弾性部材543は、一対の挟持部材54の挟持部54b同士が対面する方向に二つ平行に配設されている。弾性部材543は、例えば、圧縮により弾性エネルギーを蓄勢する、いわゆる圧縮コイルばねである。弾性部材543は、各挟持部材541,542同士が密着しても、さらに圧縮させることができる許容荷重高さを有している。また、弾性部材543は、互いに対面する一対の挟持部材54同士に挟まれることから、一対の挟持部材54同士の間隔を拡げる方向へ付勢力を作用させることで、パイプ523の着脱時に一対の挟持部材54同士の間隔が拡がるので、パイプ523の挿入および抜き取りを容易に行えるようにする。
【0030】
キャップ状固定部55は、ガイド部53の雄ねじ53cに螺合する雌ねじ55cが内側に形成された側壁55aと、パイプ523が通過する貫通孔55dが形成された底部55bと、を有している。すなわち、キャップ状固定部55は、貫通孔55dが開孔された有底円筒状であり、底部55bが円錐状に形成されている。キャップ状固定部55は、一対の挟持部材54のテーパー面54aに係合する逆テーパー面55eが底部55bの内側に形成されている。キャップ状固定部55は、側壁55aに形成された開口部55fを介して後述する撮像手段528のファイバースコープ528aが挿入される。キャップ状固定部55は、ガイド部53のガイド溝53bに一対の挟持部材54が収容された状態で、ガイド部53と一対の挟持部材54とを内側に収容する。また、キャップ状固定部55は、ガイド部53と一対の挟持部材54とを内側に収容した状態で、キャップ状固定部55の雌ねじ55cをガイド部53の雄ねじ53cに螺合させると、キャップ状固定部55の逆テーパー面55eと一対の挟持部材54のテーパー面54aとが係合し、一対の挟持部材54同士がガイド部53のガイド溝53bに沿って互いに接近する方向へ移動し、互いに接近した一対の挟持部材54にパイプ523を挟みつつ所定位置に位置付ける。本実施形態において、パイプ523が所定位置に位置付けられるとは、液柱通過孔523a中に液柱Cを囲繞する気体を流入させることができる位置にパイプ523が配置され、かつ、レーザー光線Lに対してパイプ523を位置合わせさせることができる位置にパイプ523が配置されることをいう。
【0031】
撮像手段528は、パイプ523の側面523bの透明部523cから前記パイプ523内を通過するレーザー光線Lおよび液柱Cをリアルタイムで撮像する。撮像手段528は、撮像したレーザー光線Lおよび液柱Cの画像を画像データとして制御手段80へ出力する。撮像手段528は、ファイバースコープ528aと、カメラ528bと、を備えている。ファイバースコープ528aは、例えば、複数本の光ファイバーが束ねられて構成されており、例えば、外径が1mm以下のものを用いることができる。ファイバースコープ528aは、一端に図示しないレンズが取り付けられ、他端にカメラ528bが接続されている。ファイバースコープ528aの図示しないレンズが取り付けられた一端側は、
図5および
図6に示すように、開口部55fを介して撮像用孔54e内に挿入されており、パイプ523の側面523bの透明部523cに対面している。カメラ528bは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを有するカメラである。
【0032】
実施形態に係るレーザー加工装置1は、以上のごとき構成であり、以下、実施形態に係るレーザー加工装置1の加工ヘッド52の固定手段527によるパイプ523の取り付けについて説明する。レーザー加工装置1の加工ヘッド52にパイプ523を装着する場合、オペレータ等の作業員によって、ガイド部53とキャップ状固定部55との締結を緩める方向へ前記キャップ状固定部55が回転される。ここで、ガイド部53とキャップ状固定部55との締結が緩む方向へ前記キャップ状固定部55が回転されると、一対の挟持部材54のテーパー面54aとキャップ状固定部55の逆テーパー面55eとの相対的な係合位置が前記逆テーパー面55eにおいて、レーザー光線Lの照射方向の上流側へ移動することから、キャップ状固定部55の逆テーパー面55eに沿って一対の挟持部材54のテーパー面54aがスライド移動され、一対の挟持部材54同士の間隔が弾性部材543の付勢力により拡げられる。次に、作業員によりキャップ状固定部55の貫通孔55dにパイプ523が通過(挿入)され、パイプ523において、レーザー光線Lの照射方向の上流側の端部がケーシング526の通過孔526bの所定位置に位置付けられるまで、パイプ523が挿入される。パイプ523が所定位置に位置付けられると、ガイド部53の連通孔53eのシール部材53gにより、連通孔53eがシールされる。
【0033】
次に、作業員によりガイド部53とキャップ状固定部55とを締め付ける方向へ前記キャップ状固定部55が回転されると、一対の挟持部材54のテーパー面54aとキャップ状固定部55の逆テーパー面55eとの相対的な係合位置が前記逆テーパー面55eにおいて、レーザー光線Lの照射方向の下流側に移動することから、キャップ状固定部55の逆テーパー面55eに沿って一対の挟持部材54のテーパー面54aがスライド移動され、一対の挟持部材54同士の間隔が狭められる。ここで、作業員により、図示しないガイド光とパイプ523との位置合わせ(すなわち、レーザー光線Lとパイプ523との位置合わせ)が行われ、一対の挟持部材54の挟持部54b同士とパイプ523の外周面とが当接するまでキャップ状固定部55が回転され、ガイド部53とキャップ状固定部55とが適度に締め付けられる。これにより、レーザー加工装置1の加工ヘッド52にパイプ523が装着されて簡単に固定されると同時に、位置合わせが簡単に行われる。
【0034】
次に、作業員により撮像手段528のファイバースコープ528aのレンズが取り付けられた一端が、キャップ状固定部55の開口部55fを介して一方の挟持部541の撮像用孔54eに挿入され、パイプ523の側面523bに対面される。これにより、撮像手段528によってパイプ523内の状態を確認することができる。また、ファイバースコープ528aのレンズが取り付けられた一端は、開口部55fに配設されたゴム等の図示しない固定手段に挟まれて固定されるため、レーザー加工装置1の運用時のパイプ523内の状態を確認することができる。
【0035】
ここで、実施形態に係るレーザー加工装置1の動作について説明する。レーザー光線発生手段51で発生したレーザー光線Lは、ミラーMで反射されて加工ヘッド52の集光レンズ521で液体噴射手段522の図示しない噴射ノズルの噴射口へ集光される。一方、高圧液供給源100から高圧液供給経路101を介して供給された純水等の高圧の液体が液体噴射手段522へ流入し、液体噴射手段522により液柱Cが形成される。液体噴射手段522により形成された液柱Cは、パイプ523の液柱通過孔523a内を高速で通過することから、吸引力が発生し、高圧気体供給源90から高圧気体供給経路91を介して供給される高圧の気体が吸引され、パイプ523の液柱通過孔523a内に吸引された高圧の気体が液柱Cを囲繞して当該液柱Cが整流される。パイプ523の液柱通過孔523a内を通過した液柱Cは、高圧の気体により整流され、拡がりを生じることなく被加工物Wの表面に衝突して飛散される。集光レンズ521で集光されたレーザー光線Lは、パイプ523の液柱通過孔523a内を通過する液柱C内を導光されて、そのビーム径が拡がらずに被加工物Wの表面に照射され、被加工物Wの表面にレーザー加工溝が形成される。これにより、被加工物Wに形成されるレーザー加工溝の幅を、例えば50μm以下という狭い幅にすることができる。
【0036】
また、撮像手段528により、パイプ523の液柱通過孔523a内を通過する液柱Cと、液柱Cを囲繞する気体と、液柱Cに導光されるレーザー光線Lと、がリアルタイムで撮像される。撮像された液柱C、気体およびレーザー光線Lの画像データは、撮像手段528から制御手段80に出力された後、表示手段70上に画像としてリアルタイムで表示される。これにより、表示手段70に表示されるパイプ523内の状態、すなわち液柱Cの形状の変動(例えば、液柱通過孔523aの正しい位置を液柱Cが通っているか、あるいは液柱Cの形状が乱れているか)を作業員が確認することができ、液柱Cの形状の変動を確認した作業員によりレーザー光線Lの照射停止操作や加工停止操作を行うことができる。したがって、出力が低下したレーザー光線Lが被加工物Wに照射されること、レーザー光線Lがパイプ523に照射されて当該パイプ523の耐久性が低下することを低減できる。
【0037】
なお、レーザー加工装置1の加工ヘッド52からパイプ523を取り外す場合、作業員により、ガイド部53とキャップ状固定部55との締結を緩める方向へ前記キャップ状固定部55が回転されると、一対の挟持部材54のテーパー面54aとキャップ状固定部55の逆テーパー面55eとの相対的な係合位置が前記逆テーパー面55eにおいて、レーザー光線Lの照射方向の上流側へ移動することから、キャップ状固定部55の逆テーパー面55eに沿って一対の挟持部材54のテーパー面54aがスライド移動され、一対の挟持部材54同士の間隔が弾性部材543の付勢力により拡げられて、一対の挟持部54の挟持部54同士によるパイプ523の挟持が解除される。次に、キャップ状固定部55の貫通孔55dからパイプ523が作業員により抜き取られる。これにより、レーザー加工装置1の加工ヘッド52からパイプ523が簡単に取り外される。
【0038】
以上のように、実施形態に係るレーザー加工装置1によれば、少なくとも側面523bに透明部523cを有するパイプ523と、このパイプ523の側面523bの透明部523cから前記パイプ523内を通過するレーザー光線Lおよび液柱Cを撮像する撮像手段528と、を有していることから、作業員の肉眼では確認することができないようなパイプ523内の状態を確認することができる。したがって、レーザー光線Lおよび液柱Cがパイプ523内の正しい位置を通っているか否か、あるいはレーザー光線Lおよび液柱Cがパイプ523内で乱れているか否かを確認することができる。
【0039】
また、撮像手段528により、液柱Cと当該液柱Cを囲繞する気体とが正確に液柱通過孔523aに注入されているか否かをリアルタイムで確認することもできるので、非常に小径のパイプ523内に高圧の液体(すなわち液柱C)と気体とを正確に注入するための調整作業を簡単に行うことができる。
【0040】
また、加工中に何らかの原因、例えば、パイプ523の詰まりや液柱Cを形成する高圧の液体の圧力変動、液柱Cを囲繞する気体の圧力変動などが発生することで、パイプ523内を通過する液柱Cおよびレーザー光線Lの状態が変動し、液柱Cの形状が乱れた場合、表示手段70を介してリアルタイムで液柱Cの形状の乱れを確認することができる。したがって、レーザー光線Lの照射を停止させることにより、パワーが低減したりスポット径が拡がったりしたレーザー光線Lを被加工物Wに照射すること、パイプ523にレーザー光線Lが照射されて前記パイプ523の耐久性が低下することを低減できる。
【0041】
なお、本実施形態においては、透明なガラス材料で構成されたパイプ523について説明したが、これに限定されず、例えば、撮像手段528のファイバースコープ528aのレンズが取り付けられた一端と対向する側面523bに透明部523cを有するステンレス鋼製のパイプ523であってもよく、パイプ523内の状態を側面523bから撮像できるものであればよい。
【0042】
また、正常時のパイプ523内の状態を撮像した画像データを制御手段80に記憶させ、レーザー加工装置1の運用時においてリアルタイムで撮像された画像データと比較する画像処理を行わせ、リアルタイムで撮像された画像データが正常時とは異なることを検出するようにしてもよい。これにより、パイプ523内の状態が正常時とは異なることを表示手段70に表示して作業員に報知すると同時に、レーザー光線Lの照射を制御手段80により停止することができる。したがって、レーザー加工装置1の運用時、作業員に代わって、パイプ523内の状態を制御手段80が監視することができる。
【0043】
また、ケーシング526の下面526aの通過孔526b付近にファイバースコープ挿通孔を開孔し、このファイバースコープ挿通孔からキャップ状固定部55内にファイバースコープ528aを挿入して、パイプ523内を撮像してもよい。これにより、ファイバースコープ528aをキャップ状固定部55内に固定することができる。
【0044】
また、パイプ523を挟んで、撮像手段528のファイバースコープ528aのレンズが取り付けられた一端と対面する位置に、パイプ523内を照明するための光ファイバーを配設してもよい。これにより、透過光を用いてパイプ523内の状態を確認することで、撮像手段528で撮像される画像のコントラスト(輝度の差)を上げることができ、パイプ523内の状態を鮮明に確認することができる。