特許第6018504号(P6018504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018504アクリルアミド誘導体、高分子化合物およびフォトレジスト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018504
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】アクリルアミド誘導体、高分子化合物およびフォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/58 20060101AFI20161020BHJP
   C07D 327/04 20060101ALI20161020BHJP
   C07D 307/93 20060101ALI20161020BHJP
   C07D 493/18 20060101ALI20161020BHJP
   C07D 497/18 20060101ALI20161020BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C08F20/58
   C07D327/04
   C07D307/93
   C07D493/18
   C07D497/18
   G03F7/004
【請求項の数】6
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2012-536285(P2012-536285)
(86)(22)【出願日】2011年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2011069213
(87)【国際公開番号】WO2012043102
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2010-220054(P2010-220054)
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 一弘
(72)【発明者】
【氏名】福本 隆司
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−256011(JP,A)
【文献】 特開2011−085913(JP,A)
【文献】 特開昭57−141644(JP,A)
【文献】 特開昭61−275280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 20/00−20/70
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

{式中、Rは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表す。Wは、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数3〜10のシクロアルキレン基を表す。Rは、下記一般式(2)
【化2】

(式中、Xは、酸素原子、または>N−Rを表し、Rは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。Yは、>C=Oまたは>S(=O)nを表し、nは、2を表す。但し、Xが酸素原子であり、且つYが>S(=O)nである場合を除く。)で表される環形成原子数3〜20の環状基を示す。但し、一般式(2)中、Xが酸素原子、且つYが>C=Oを表す場合には、前記Rは環形成原子数6の環状基を示す。
で表されるアクリルアミド誘導体。
【請求項2】
記一般式(3)
【化3】

(式中、RおよびWは、請求項1に記載の通りである。Xは、酸素原子、または>N−Rを表し、Rは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。Yは、>C=Oまたは>S(=O)nを表し、nは、2を表す。但し、Xが酸素原子であり、且つYが>S(=O)nである場合を除く。
、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または−COORを表し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。Zは、メチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。波線は、RとRのいずれがエンドまたはエキソであってもよいことを表す。但し、Xが酸素原子、且つYが>C=Oを表す場合には、Zは酸素原子または硫黄原子を表す。
で表される、アクリルアミド誘導体。
【請求項3】
下記一般式(1)
【化4】

{式中、Rは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表す。Wは、炭素数3〜10のシクロアルキレン基を表す。Rは、下記一般式(2)
【化5】

(式中、Xは、酸素原子、または>N−Rを表し、Rは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。Yは、>C=Oまたは>S(=O)nを表し、nは、2を表す。)で表される環形成原子数3〜20の環状基を示す。}
で表されるアクリルアミド誘導体。
【請求項4】
前記アクリルアミド誘導体が、下記一般式(3)
【化6】

(式中、R、W、XおよびYは、請求項3に記載の通りである。R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または−COORを表し、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。Zは、メチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。波線は、RとRのいずれがエンドまたはエキソであってもよいことを表す。)
で表される、請求項3に記載のアクリルアミド誘導体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリルアミド誘導体に基づく構成単位を含有する高分子化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の高分子化合物、光酸発生剤および溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリルアミド誘導体、該アクリルアミド誘導体を含有する原料を重合することにより得られる高分子化合物、およびラインウィドゥスラフネス(LWR)が改善されて高解像度のレジストパターンが形成されるフォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィー技術は、例えば基板上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程を有する。なお、露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型レジスト材料、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型レジスト材料という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などを用いたリソグラフィーについても検討されている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えばポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するレジスト組成物が一般的に用いられている。該レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
【0004】
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂、いわゆるアクリル系樹脂が、フォトレジスト組成物の1成分である高分子化合物として一般的に用いられている。該高分子化合物の中でも、ノルボルナンラクトンを有する構成単位を含有する高分子化合物を用いることにより、エッチング耐性が高く、且つ基板密着性の向上したフォトレジスト組成物が得られることが知られている(特許文献1参照)。また、フォトレジスト組成物用の高分子化合物としては、アクリロイルオキシ基から連結基を介してノルボルナンラクトン骨格やノルボルナンスルトン骨格を有する構成単位を含む高分子化合物なども提案されている(特許文献2および3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−26446号公報
【特許文献2】特開2001−188346号公報
【特許文献3】国際公開第2010/001913号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでおり、解像性、ラインウィドゥスラフネス(LWR)等の種々のリソグラフィー特性およびパターン形状がこれまで以上に改善されるようなレジスト材料の開発が切望されている。そのため、フォトレジスト組成物に含有させる高分子化合物の構成単位となり得る新規なアクリル酸エステル誘導体の開発そのものが重要となっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フォトレジスト組成物に含有させる高分子化合物の構成単位となり得るアクリル酸アミド誘導体を提供すること、該アクリル酸アミド誘導体を含有する原料を重合することにより得られる高分子化合物を提供すること、および該高分子化合物を含有する、従来よりもLWRが改善されて高解像度のレジストパターンが形成されたフォトレジスト組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定構造のアクリルアミド誘導体を含有する原料を重合して得られる高分子化合物を用いたフォトレジスト組成物であれば、従来よりもLWRが改善されて高解像度のレジストパターンが形成されることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、下記[1]〜[4]を提供するものである。
[1]下記一般式(1)
【化1】
{式中、R1は、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表す。Wは、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数3〜10のシクロアルキレン基を表す。R2は、下記一般式(2)
【化2】
(式中、Xは、酸素原子、または>N−R3を表し、R3は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。Yは、>C=Oまたは>S(=O)nを表し、nは、0〜2の整数を表す。)で表される環形成原子数3〜20の環状基を示す。}
で表されるアクリルアミド誘導体。
【0009】
[2]前記アクリルアミド誘導体が、下記一般式(3)
【化3】
(式中、R1、W、XおよびYは、前記定義の通りである。R4、R5、R6、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基またはエステル基を表す。R7は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または−COORaを表し、Raは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。Zは、メチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。波線は、R6とR7のいずれがエンドまたはエキソであってもよいことを表す。)
で表される、上記[1]に記載のアクリルアミド誘導体。
[3]上記[1]または[2]に記載のアクリルアミド誘導体を含有する原料を重合して得られる高分子化合物。
[4]上記[3]に記載の高分子化合物、光酸発生剤および溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアクリルアミド誘導体を含有する原料を重合して得られる高分子化合物を用いたフォトレジスト組成物によれば、LWRが改善され、高解像度のレジストパターンが形成される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[アクリルアミド誘導体(1)]
LWRを改善するフォトレジスト組成物を得るためには、下記一般式(1)で示されるアクリルアミド誘導体(以下、アクリルアミド誘導体(1)と称する。)が有用である。
アクリルアミド誘導体(1)は、分子末端の特定の環状構造に加え、その環状構造がアミド結合を介して重合性基に結合していることに特徴がある。該アクリル酸アミド誘導体を含有する原料を重合して得られる高分子化合物を用いたフォトレジスト組成物であれば、従来よりもLWRが改善されて高解像度のレジストパターンが形成される。本発明の効果の原因は明らかではないが、本発明のアクリルアミド誘導体(1)における末端の環状構造に含まれる極性基およびアミド結合が、光酸発生剤から発生した酸と相互作用することで、酸の拡散長が適度に短くなっているためではないかと推定される。
【0012】
【化4】
【0013】
1は、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表す。これらの中でも、水素原子またはメチル基が好ましい。
Wは、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数3〜10のシクロアルキレン基を表す。該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、トリメチレン基、ペンタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などが挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基などが挙げられる。これらの中でも、Wとしては、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基が特に好ましい。
【0014】
2は、下記一般式(2)
【化5】
【0015】
で表される環形成原子数3〜20の環状基を示す。
一般式(2)中のXは、酸素原子、または>N−R3を表す。該R3は、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。R3が表す炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などが挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、分岐状の炭素数3または4のアルキル基がより好ましく、t−ブチル基がさらに好ましい。また、R3としては、水素原子またはt−ブチル基が好ましい。
一般式(2)中のYは、>C=Oまたは>S(=O)nを表し、nは0〜2の整数を表す。nは、1または2が好ましく、2がより好ましい。
一般式(2)において、XとYの組み合わせに特に制限はなく、Xが酸素原子であるとき、Yは>C=Oまたは>S(=O)nのいずれでもよいし、Xが>N−R3であるとき、Yは>C=Oまたは>S(=O)nのいずれでもよい。なお、Xが酸素原子であり、かつYが>S(=O)nであると、LWRおよび解像度の改善効果が一層優れる。
LWRおよび解像度の観点から、一般式(2)で表される環形成原子数3〜20の環状基は、ノルボルナン構造を含有することが好ましい。また、環形成原子数は5〜10であることが好ましい。さらに、一般式(1)で示される本発明のアクリルアミド誘導体の中でも、下記一般式(3)で示されるアクリルアミド誘導体がより好ましい。
【0016】
【化6】
【0017】
前記一般式(3)中、R1、W、X、Yおよび波線は前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。
Zは、メチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。Zとしては、LWRおよび解像度の観点から、メチレン基または酸素原子が好ましい。
4、R5、R6、R8、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。
以上の中でも、R4、R5、R6、R8、R9およびR10としては、好ましくはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基であり、より好ましくはいずれも水素原子である。
【0018】
7は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基または−COORaを表し、Raは、炭素数1〜3のアルキル基を表す。該炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基および炭素数1〜6のアルコキシ基としては、いずれも前記R4、R5、R6、R8、R9およびR10の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
また、Raが表す炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
なお、一般式(3)中の波線は、R6とR7のいずれがエンドまたはエキソであってもよいことを表す。特に、R7がエンドであることが好ましい。
アクリルアミド誘導体(1)の具体例を以下に示すが、特にこれらに限定されるものではない。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
(アクリルアミド誘導体(1)の製造方法)
本発明のアクリルアミド誘導体(1)の製造方法に特に制限はないが、例えば、以下に示すように、カルボン酸誘導体(以下、カルボン酸誘導体(4)と称する。)とアルコール誘導体(以下、アルコール誘導体(5)と称する。)とを反応させることにより製造することができる。
以下、まずR11が水素原子の場合の反応について説明し、この反応を「反応(a)」と称する。
【0025】
【化12】
(式中、R1、R2、W、XおよびYは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
【0026】
カルボン酸誘導体(4)としては、N−アクリロイルグリシン、N−メタクリロイルグリシン、N−(2−トリフルオロメチルアクリロイル)グリシン、N−アクリロイル−β−アラニン、N−メタクリロイル−β−アラニンが上げられる。この中でも入手容易性の観点から、N−アクリロイルグリシン、N−メタクリロイルグリシンが好ましい。
カルボン酸誘導体(4)の使用量としては、アルコール誘導体(5)1モルに対して、好ましくは0.1〜5モル、より好ましくは0.8〜5モル、経済性および後処理の容易さの観点から、さらに好ましくは1〜3モルである。
アルコール誘導体(5)の入手方法に特に制限はなく、工業的に容易に入手することができるものもある。また、例えば、シクロペンタジエン、フランなどのジエン化合物と、アクリル酸クロリド、ビニルスルホン酸クロリドなどとの環化付加反応により得られるノルボルネン誘導体を加水分解処理した後、m−クロロ過安息香酸などを用いた酸化反応に付することによって製造することも可能である。
【0027】
アルコール誘導体(5)の中で、例えば、下記一般式で示されるアルコール誘導体(以下、アルコール誘導体(6)と称する。)
【化13】
で表されるものに関しては、対応するジエンとジエノフィルとをディールス−アルダー反応させた付加体をもとに、必要に応じた中間体を経由、エポキシ化反応によって目的物を製造することもできるし、あるいは、エポキシ化反応によってエポキシ化合物を一度形成した後、該エポキシ化合物を塩基性物質などで処理することなどにより、目的物を製造することもできる。
【0028】
具体例として、アルコール誘導体(6)の構造式において、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子で、且つXが−O−、Yが>S(=O)2、Zがメチレン基である5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトンについては、次のようにして製造することができる。シクロペンタジエンと系内で発生させたビニルスルホニルクロリドとをディールス−アルダー反応させて5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドを得、次いで水酸化ナトリウム水溶液を接触させることにより5−ノルボルネン−2−スルホン酸ナトリウム塩とし、さらに過ギ酸によるエポキシ化反応に供し、得られたエポキシ化合物をカリウム−t−ブトキシドなどの塩基性物質と反応させることにより、目的物を製造することができる(特開2010−83873号公報参照)。
その他にも、アルコール誘導体(6)の構造式において、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子で、且つXが>N−R3、該R3がt−ブチル基であり、Yが>C=O、Zがメチレン基であるものについては、次のようにして製造することができる。シクロペンタジエンと塩化アクリロイルをディールス−アルダー反応させ、得られた生成物にt−ブチルアミンを反応させることにより、N−t−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキサミドを得る。これを、炭酸カリウム等の塩基性化合物の存在下にm−クロロ過安息香酸と接触させてエポキシ化反応を行うことにより、N−t−ブチル−5,6−エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−カルボキサミドを得る。該エポキシ化合物を、カリウム−t−ブトキシドなどの塩基性物質と反応させることにより、目的物を製造することができる。
さらに、アルコール誘導体(6)の構造式において、R4、R5、R6、R7、R8、R9およびR10が水素原子で、Xが−O−、Yが>C=O、Zがメチレン基であるものについては、「J.Chem.Soc., H.B.Henbestら、p.221−226(1959年)」に開示された方法により製造することができる。
以上の方法や公知の方法、さらには本明細書の合成例などを参照することにより、そのほかのアルコール誘導体(5)も製造することができる。
【0029】
反応(a)は、触媒の存在下または非存在下に実施できる。触媒としては、塩酸、硫酸などの鉱酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸;三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、ジブチル錫ジラウレートなどのルイス酸などが挙げられる。これらの中でも、鉱酸、有機酸が好ましい。
反応速度の観点からは、触媒の存在下に実施することが好ましい。また、触媒は、1種を単独で使用してもよいし、酸と塩基を混合しない限りにおいて、2種以上を併用してもよい。
触媒の存在下に実施する場合、触媒の使用量は、アルコール誘導体(5)1モルに対して、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.005〜2モル、さらに好ましくは0.005〜0.5モルである。
【0030】
反応(a)は、重合禁止剤の存在下または非存在下に実施できる。重合禁止剤に特に制限はなく、例えばヒドロキノン、メトキシフェノール、ベンゾキノン、トルキノン、p−t−ブチルカテコールなどのキノン系化合物;2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノールなどのアルキルフェノール系化合物;フェノチアジンなどのアミン系化合物;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、後述する溶媒を除いた反応混合物全体の質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、さらに好ましくは0.005〜0.5質量%である。
【0031】
反応(a)は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。溶媒としては、反応を阻害しない限り特に制限はないが、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;クロロベンゼン、フルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンズニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒の存在下に実施する場合、溶媒の使用量は、アルコール誘導体(5)1質量部に対して好ましくは0.5〜100質量部、後処理の容易さの観点から、より好ましくは0.5〜20質量部である。
【0032】
反応(a)の反応温度は、使用するカルボン酸誘導体(4)、アルコール誘導体(5)、必要に応じて用いる触媒や溶媒の種類などによっても異なるが、好ましくは概ね−30〜120℃、より好ましくは−10〜60℃である。
また、反応圧力に特に制限は無いが、製造コスト等の観点から、常圧以下であることが好ましい。
反応時間は、使用するカルボン酸誘導体(4)、アルコール誘導体(5)、必要に応じて用いる触媒や溶媒の種類などによっても異なるが、好ましくは概ね0.5時間〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。
反応(a)の操作方法に特に制限はないが、反応中に副生する水を除去することで反応進行が早まることから、蒸留により水を留去しながら反応を行うか、脱水剤の存在下に反応を行うか、またはこれら2つの方法を併用することが好ましい。脱水剤としては、反応を阻害しない限り特に制限は無いが、無水硫酸ナトリウムや、無水硫酸マグネシウムなどの無機化合物や、無水酢酸などの酸無水物などが挙げられる。
また、各試薬の投入方法および順序には特に制限はなく、例えば、カルボン酸誘導体(4)およびアルコール誘導体(5)、並びに必要に応じて用いる触媒、溶媒および脱水剤などを全て反応器に投入してから攪拌することにより、反応(a)を実施することもできる。
【0033】
なお、前記一般式(4)中のR11が水素原子の化合物をエステル化剤によってエステル化することにより、該カルボン酸誘導体(4)のカルボキシル基を活性化してから、アルコール誘導体(5)と反応させてもよい。以下、この反応を「反応(b)」と称する。
エステル化剤としては、アセチルクロライド、ピバロイルクロライド、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロライドなどのカルボン酸塩化物;メタンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライドなどのスルホン酸塩化物;ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミド類;N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)などのトリアゾール類;N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)などのイミド類などが挙げられる。
【0034】
前記エステル化剤によって活性化された一般式(4)中のエステル基は、R11が、−C(=O)R12、−S(=O)213、−C(=NR14)−NHR15、または下記一般式(7)で表される基に相当する。
【化14】
(式中、Aは、炭素原子または窒素原子を表す。)
【0035】
前記R12は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基または置換若しくは無置換のフェニル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、前記R4、R5、R6、R8、R9およびR10の場合と同じものが挙げられる。それらの中でも、メチル基、t−ブチル基が好ましい。炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、前記R4、R5、R6、R8、R9およびR10の場合と同じものが挙げられる。R12が表すフェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば炭素数1〜6のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
13は、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基または置換若しくは無置換のフェニル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、前記R4、R5、R6、R8、R9およびR10の場合と同じものが挙げられる。それらの中でも、メチル基が好ましい。R13が表すアルキル基が有してもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。また、R13が表すフェニル基が有していてもよい置換基としては、例えばメチル基、エチル基などの炭素数1〜5のアルキル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
【0036】
14およびR15は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基またはジアルキルアミノアルキル基を表す。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、イソプロピル基がより好ましい。炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。ジアルキルアミノアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基(好ましくはメチル基)が2つ置換したアミノ基を有する、炭素数1〜5(好ましくは炭素数3)のアルキル基である。
以上の中でも、R14、R15としては、いずれも炭素数1〜5のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、イソプロピル基またはシクロヘキシル基であることがより好ましい。
一般式(6)中、Aは炭素原子または窒素原子を表す。
【0037】
11が水素原子のカルボン酸誘導体(4)とエステル化剤との反応条件については、公知の一般的条件を採用することができ、特に制限はない。かかるエステル化反応後、得られた反応混合液からエステル化されたカルボン酸誘導体(4)を精製することなくアルコール誘導体(5)との反応に用いてもよいし、精製してから用いてもよい。なお、操作の簡便性および製造コストの観点から、未精製のまま用いることが好ましい。
【0038】
反応(b)は、触媒の存在下または非存在下に実施できる。触媒としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどの第三級アミン;ピリジン、2−メチルピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどの含窒素複素環式芳香族化合物などが挙げられる。これらの中でも、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンが好ましい。
反応速度の観点からは、触媒の存在下に実施することが好ましい。また、触媒は、1種を単独で使用してもよいし、酸と塩基を混合しない限りにおいて、2種以上を併用してもよい。
触媒の存在下に実施する場合、触媒の使用量は、アルコール誘導体(5)1モルに対して、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.005〜2モル、さらに好ましくは0.1〜2モルである。
【0039】
反応(b)は、重合禁止剤の存在下または非存在下に実施できる。重合禁止剤については、前記した反応(a)の場合と同じものが挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、後述する溶媒を除いた反応混合物全体の質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.001〜1質量%、さらに好ましくは0.005〜0.5質量%である。
【0040】
反応(b)は、溶媒の存在下または非存在下に実施することができる。溶媒としては、前記した反応(a)の場合と同じものが挙げられる。溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶媒の存在下に実施する場合、溶媒の使用量は、アルコール誘導体(5)1質量部に対して好ましくは0.5〜100質量部、後処理の容易さの観点から、より好ましくは0.5〜20質量部である。
【0041】
反応(b)の反応温度は、使用するカルボン酸誘導体(4)、アルコール誘導体(5)、必要に応じて用いる触媒や溶媒の種類などによっても異なるが、好ましくは概ね−30〜120℃、より好ましくは−10〜60℃である。
また、反応圧力に特に制限は無いが、操作の簡便性から、常圧であることが好ましい。
反応時間は、使用するカルボン酸誘導体(4)、アルコール誘導体(5)、必要に応じて用いる触媒や溶媒の種類などによっても異なるが、好ましくは概ね0.5時間〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。
反応(b)は、カルボン酸誘導体(4)の安定性の観点から、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
反応(b)の操作方法に特に制限はないが、例えば、不活性ガス雰囲気下、カルボン酸誘導体(4)、触媒および溶媒など仕込み、該混合物にアルコール誘導体(5)、溶媒を添加することにより、実施することができる。
反応(b)は、水を添加することによって停止することができ、溶媒抽出の後、有機層を濃縮することによってアクリルアミド誘導体(1)を単離することができる。
【0042】
上記の反応(a)または(b)で得られた反応混合物からのアクリルアミド誘導体(1)の分離および精製は、有機化合物の分離および精製に一般的に用いられる方法により行うことができる。
例えば、反応終了後、反応混合物に水を添加した後、有機溶媒で抽出し、得られた有機層を濃縮することによりアクリルアミド誘導体(1)を分離することができる。さらに、必要に応じて、再結晶、蒸留、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製することにより、純度の高いアクリルアミド誘導体(1)を得ることができる。
【0043】
また、必要に応じて、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤の添加後にろ過、または「ゼータプラス(登録商標)」(商品名、住友スリーエム株式会社製)やプロテゴ(商品名、日本インテグリス株式会社製)やイオンクリーン(商品名、日本ポール株式会社製)などの金属除去フィルター処理することにより、得られたアクリルアミド誘導体(1)中の金属含量を低減することも可能である。
【0044】
[高分子化合物]
本発明のアクリルアミド誘導体(1)を単独で重合してなる重合体またはアクリルアミド誘導体(1)と他の重合性化合物とを共重合してなる共重合体は、フォトレジスト組成物用の高分子化合物として有用である。
本発明の高分子化合物は、アクリルアミド誘導体(1)に基づく構成単位を、0モル%を超え100モル%含有し、LWRおよび解像度の観点からは、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%、さらに好ましくは30〜70モル%含有する。
アクリルアミド誘導体(1)と共重合させることができる他の重合性化合物(以下、共重合単量体と称する。)の具体例としては、例えば下記の化学式で示される化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0045】
【化15】
【0046】
上記式(I)〜(XII)中、R19は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、R20は、重合性基を表す。R21は、水素原子または−COOR22を表し、R22は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。また、R23は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
共重合単量体において、R19およびR22がそれぞれ独立して表す炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。R23が表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。また、R20が表す重合性基としては、例えばアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニル基、クロトノイル基などが挙げられる。
以上の中でも、共重合単量体としては、好ましくは、上記式(I)、(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XI)または(XII)で表される共重合単量体であり、より好ましくは、式(I)で表される共重合単量体と式(II)で表される共重合単量体との併用である。
【0047】
(高分子化合物の製造方法)
高分子化合物は、常法に従って、ラジカル重合により製造することができる。特に、分子量分布が小さい高分子化合物を合成する方法としては、リビングラジカル重合などを挙げることができる。
一般的なラジカル重合方法は、必要に応じて1種以上のアクリル酸エステル誘導体(1)および必要に応じて1種以上の上記共重合単量体を、ラジカル重合開始剤および溶媒、並びに必要に応じて連鎖移動剤の存在下に重合させる。
ラジカル重合の実施方法には特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法など、アクリル系樹脂を製造する際に用いる慣用の方法を使用できる。
【0048】
前記ラジカル重合開始剤としては、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド化合物;ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチル−α−クミルペルオキシド、ジ−α−クミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド化合物;ベンゾイルペルオキシド、ジイソブチリルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド化合物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合反応に用いるアクリル酸エステル誘導体(1)、共重合単量体、連鎖移動剤、溶媒の種類および使用量、重合温度などの重合条件に応じて適宜選択できるが、全重合性化合物[アクリル酸エステル誘導体(1)と共重合単量体の合計量であり、以下同様である。]1モルに対して、通常、好ましくは0.005〜0.2モル、より好ましくは0.01〜0.15モルである。
【0049】
前記連鎖移動剤としては、例えばドデカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、全重合性化合物1モルに対して、通常、好ましくは0.005〜0.2モル、より好ましくは0.01〜0.15モルである。
前記溶媒としては、重合反応を阻害しなければ特に制限はなく、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、メチルイプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。
溶媒の使用量は、全重合性化合物1質量部に対して、通常、好ましくは0.5〜20質量部、経済性の観点からは、より好ましくは1〜10質量部である。
【0050】
重合温度は、通常、好ましくは40〜150℃であり、生成する高分子化合物の安定性の観点から、より好ましくは60〜120℃の範囲である。
重合反応の時間は、アクリル酸エステル誘導体(1)、共重合単量体、重合開始剤、溶媒の種類および使用量、重合反応の温度などの重合条件により異なるが、通常、好ましくは30分〜48時間、より好ましくは1時間〜24時間である。
重合反応は、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に実施することが好ましい。
【0051】
こうして得られる高分子化合物は、再沈殿などの通常の操作により単離可能である。単離した高分子化合物は真空乾燥などで乾燥することもできる。
再沈澱の操作で用いる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタンなどのニトロ化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;酢酸などのカルボン酸;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール;水が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
再沈澱の操作で用いる溶媒の使用量は、高分子化合物の種類、溶媒の種類により異なるが、通常、高分子化合物1質量部に対して0.5〜100質量部であるのが好ましく、経済性の観点からは、1〜50質量部であるのがより好ましい。
【0052】
高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は特に制限は無いが、好ましくは500〜50,000、より好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは5,000〜15,000であると、後述するフォトレジスト組成物の成分としての有用性が高い。かかるMwは、実施例に記載の方法に従って測定した値である。
また、高分子化合物の分子量分布(Mw/Mn)は、LWRおよび解像度の観点から、好ましくは3以下であり、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下である。
【0053】
[フォトレジスト組成物]
前記高分子化合物、光酸発生剤および溶剤、並びに必要に応じて塩基性化合物、界面活性剤およびその他の添加物を配合することにより、本発明のフォトレジスト組成物を調製する。以下、各成分について説明する。
【0054】
(光酸発生剤)
光酸発生剤としては特に制限は無く、従来、化学増幅型レジストに通常用いられる公知の光酸発生剤を用いることができる。該光酸発生剤としては、例えばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系光酸発生剤;オキシムスルホネート系光酸発生剤;ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン系光酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系光酸発生剤;イミノスルホネート系光酸発生剤;ジスルホン系光酸発生剤などが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、オニウム塩系光酸発生剤が好ましく、さらに、発生する酸の強度が強いという観点から、フッ素含有アルキルスルホン酸イオンをアニオンとして含む下記の含フッ素オニウム塩が好ましい。
上記含フッ素オニウム塩の具体例としては、例えばジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート;トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
光酸発生剤の配合量は、フォトレジスト組成物の感度および現像性を確保する観点から、前記高分子化合物100質量部に対して、通常、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
【0055】
(溶剤)
フォトレジスト組成物に配合する溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル;乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶剤の配合量は、高分子化合物1質量部に対して、通常、1〜50質量部であるのが好ましく、2〜25質量部であるのが好ましい。
【0056】
(塩基性化合物)
フォトレジスト組成物には、フォトレジスト膜中における酸の拡散速度を抑制して解像度を向上するために、必要に応じて塩基性化合物をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。かかる塩基性化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(1−アダマンチル)アセトアミド、ベンズアミド、N−アセチルエタノールアミン、1−アセチル−3−メチルピペリジン、ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、2−ピロリジノン、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、ニコチン、キノリン、アクリジン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラジン、ピラゾール、ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、ピペリジン、テトラゾール、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミンを挙げることができる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物を配合する場合、その配合量は使用する塩基性化合物の種類により異なるが、光酸発生剤1モルに対して、通常、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.05〜1モルである。
【0057】
(界面活性剤)
フォトレジスト組成物には、塗布性を向上させるため、所望により、さらに界面活性剤をフォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。
かかる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン−n−オクチルフェニルエーテルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、高分子化合物100質量部に対して、好ましくは2質量部以下である。
【0058】
(その他の添加剤)
さらに、フォトレジスト組成物には、その他の添加剤として、増感剤、ハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤などを、フォトレジスト組成物の特性が阻害されない範囲の量で配合することができる。
【0059】
(フォトレジストパターンの形成方法)
フォトレジスト組成物を基板に塗布し、通常、好ましくは70〜160℃で1〜10分間プリベークし、所定のマスクを介して放射線を照射(露光)後、好ましくは70〜160℃で1〜5分間ポストエクスポージャーベークして潜像パターンを形成し、次いで現像液を用いて現像することにより、所定のレジストパターンを形成することができる。
露光には、種々の波長の放射線、例えば、紫外線、X線などが利用でき、半導体レジスト用では、通常、g線、i線、XeCl、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーが使用されるが、これらの中でも、微細加工の観点から、ArFエキシマレーザーを使用するのが好ましい。
露光量は、0.1〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、1〜500mJ/cm2であるのがより好ましい。
現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水などの無機塩基;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩などを溶解したアルカリ性水溶液などが挙げられる。これらの中でも、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩を溶解したアルカリ性水溶液を使用するのが好ましい。
現像液の濃度は、通常、0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがより好ましい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、MwおよびMnの測定並びに分子量分布の算出は、以下の通りに行なった。
【0061】
(MwおよびMnの測定並びに分子量分布の算出)
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、検出器として示差屈折率計を用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定を下記条件にて行ない、標準ポリスチレンで作成した検量線による換算値として求めた。また、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除することにより、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
GPC測定:カラムとして、「TSK−gel SUPER HZM−H」(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)2本および「TSK−gel SUPER HZ2000」(商品名:東ソー株式会社製、4.6mm×150mm)1本を直列に連結したものを使用し、カラム温度40℃、示差屈折率計温度40℃、溶離液の流速0.35mL/分の条件で測定した。
【0062】
<合成例1>5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトンの合成
攪拌装置、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの四つ口フラスコに、フェノチアジン0.40g、テトラヒドロフラン(THF)1154.0gおよびシクロペンタジエン87.0g(1.32mol)を仕込み、攪拌しながら5℃以下に冷却した。次いで、別々の滴下漏斗に、2−クロロエタンスルホニルクロリド195.7g(1.20mol)、トリエチルアミン146.0g(1.45mol)をそれぞれ入れ、内温を5〜10℃に保ちながら3時間かけて同時に滴下を行った。
滴下終了後、反応混合物を5〜10℃に保ちながら3時間攪拌した後、析出している塩を減圧ろ過し、続いて、ろ別した塩にテトラヒドロフラン(THF)600.0gを注いで、ろ液1632.8gを得た(該ろ液を「ろ液(A)」と称する)。ろ液(A)をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドを178.2g(0.925mol)含んでいた(2−クロロエタンスルホニルクロリドに対して収率77.1%)。
【0063】
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積3Lの三つ口フラスコに、水920gを入れ、20℃以下に冷却した。攪拌しながら、水酸化ナトリウム80.30g(2.01mol)を内温が20℃以下になるように入れた。ここに、ろ液(A)1300g(5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドの量は、141.9g(0.737mol))を、内温20〜25℃で、4時間かけて滴下した。
滴下終了から1時間後に反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドは完全に消失していた。反応混合液を減圧下に濃縮し、THFを除去した後、2Lの分液漏斗に移してトルエン300gで3回洗浄し、5−ノルボルネン−2−スルホン酸ナトリウム塩を含む水溶液(該水溶液を「水溶液(A)」と称する)1065.3gを得た。
【0064】
攪拌装置、温度計を取り付けた内容積3Lの三つ口フラスコに、水溶液(A)を全て入れ、10℃に冷却した。99%ギ酸93.27g(2.01mol)を内温を11〜15℃に保ちながら滴下した後、加熱して内温を50〜53℃としたところに、30%過酸化水素水162.50g(1.43mol)を3時間かけて滴下した。滴下終了後も内温を50℃前後に維持し、滴下終了から17時間後に反応混合液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、5−ノルボルネン−2−スルホン酸の転化率は98.7%であった。
反応混合液を15℃まで冷却後、亜硫酸ナトリウム36.55g(0.29mol)を内温15〜18℃でゆっくり加え、デンプン紙により過酸化水素が検出されないことを確認し、炭酸水素ナトリウム140.95g(1.68mol)を内温を15〜17℃に保ちながらゆっくり加え、反応混合液のpHを7.3とした。酢酸エチル900gで2回抽出を行い、得られた有機層を合わせて減圧下に濃縮し、黄白色の固体69.15gを得た。
この固体を酢酸エチル140gに50℃で溶解させた後、10℃までゆっくり冷却し、析出した結晶をろ過した。ろ別した結晶を5℃の酢酸エチル30gで洗浄し、40℃で2時間減圧下に乾燥することで、下記構造の5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン53.9g(純度99.1%、0.28mol)を得た(5−ノルボルネン−2−スルホニルクロリドに対して収率38.1%)。
【0065】
【化16】
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm):1.72(1H,dd,J=11.6、1.6Hz)、2.06−2.10(3H,m)、2.22(1H,dd、J=11.2、1.6Hz)、2.44(1H,m)、3.44(1H,m)、3.50−3.53(1H,m)、3.93(1H,brs)、4.61(1H,d,J=4.8Hz)
【0066】
<合成例2>5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンの合成
攪拌装置、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの四つ口フラスコに、p−メトキシフェノール0.40g、アクリル酸108.1g(1.50mol)およびトルエン300mLを仕込み、滴下漏斗からシクロペンタジエン109.1g(1.65mol)を攪拌下、40℃以下で2時間かけて滴下した。滴下後室温で10時間攪拌を続け、その後減圧下に濃縮することにより、5−ノルボルネン−2−カルボン酸167.3g(1.21mol)を得た。
攪拌装置、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの四つ口フラスコに、上記で得られた5−ノルボルネン−2−カルボン酸全量と88%ギ酸94.6g(1.81mol)を20〜30℃で混合した後、加熱して内温を48〜50℃としたところに、30%過酸化水素水162.5g(1.43mol)を6時間かけて滴下した。滴下終了後も内温を50℃前後で10時間攪拌した。反応混合液を15℃まで冷却後、亜硫酸ナトリウム30.5gを内温15〜20℃の範囲で添加し、デンプン紙により過酸化水素が検出されなくなることを確認した後、20%水酸化ナトリウム水溶液で反応混合液のpHを7.5とした。酢酸エチル400gで3回抽出を行い、得られた有機層を合わせて減圧下に濃縮した。得られた固体に、酢酸エチル150gおよびトルエン750gを添加し、加温して固体が完全に溶解してから0℃までゆっくりと冷却し、析出した結晶をろ過した。ろ別した結晶を5℃のトルエン200gで洗浄し、40℃で2時間減圧下に乾燥することで、下記構造の5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン117.9g(純度99.3%、0.76mol)を得た。
【0067】
【化17】
【0068】
<合成例3>5−ヒドロキシ−2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトンの合成
攪拌装置および温度計を取り付けた内容積100mLの四つ口フラスコに、フラン48.0g(0.705mol)およびアクリル酸メチル20.0g(0.232mol)を入れ、−20℃に冷却した。そこへ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体3.0mLを、内温−15〜−18℃を保持しながら滴下した。滴下終了後、内温0〜5℃で14時間攪拌を継続した。反応混合液を減圧下に濃縮し、得られた濃縮物を酢酸エチル300gに溶解し、水50g、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50g、飽和食塩水50gで順次洗浄した後、減圧下に濃縮することにより油状物28.3gを得た。
該油状物に10%水酸化ナトリウム水溶液93.6g(0.234mol)を加え、室温にて24時間攪拌した後、濃塩酸でpHを2.0とした。酢酸エチル300gで3回抽出した後、得られた抽出層を合わせて減圧下にて濃縮することにより固体21.5gを得た。
攪拌装置、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積200mLの四つ口フラスコに、上記で得られた固体全量と88%ギ酸12.0g(0.232mol)を20〜30℃で混合した後、加熱して内温を45〜46℃としたところに、30%過酸化水素水26.1g(0.232mol)を6時間かけて滴下した。滴下終了後も内温を45℃前後で20時間攪拌した。反応混合液を15℃まで冷却後、亜硫酸ナトリウム9.7gを内温15〜20℃の範囲で添加し、デンプン紙により過酸化水素が検出されなくなることを確認した後、20%水酸化ナトリウム水溶液で反応混合液のpHを7.8とした。酢酸エチル400gで3回抽出を行い、得られた有機層を合わせて減圧下に濃縮した。得られた固体にエタノール30gを添加し、加温して固体が完全に溶解してから0℃までゆっくりと冷却し、析出した結晶をろ過した。ろ別した結晶を0℃のエタノール10gで洗浄し、40℃で2時間減圧下に乾燥することで、下記構造の5−ヒドロキシ−2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン10.8g(純度98.9%、0.068mol)を得た。
【0069】
【化18】
【0070】
<合成例4>5−ヒドロキシ−7−オキサノルボルナン−2,6−スルトンの合成
原料となるビニルスルホン酸メチルは、Angew.Chem.,77(7),291−302(1965)に記載された合成例に準じて合成した。まず、攪拌機、温度計、滴下漏斗、三方コックを取り付けた内容積2Lの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下、2−クロロエタンスルホニルクロリド326.0g(2.00mol)を入れ、氷浴にて冷却し、次いで25wt%ナトリウムメトキシド(メタノール溶液)を滴下漏斗から内温が2〜5℃の範囲になるように滴下した。滴下終了後、氷浴を外して室温にて1時間攪拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮して、濃縮物を単蒸発操作することにより、ビニルスルホン酸メチル197.2g(純度97.3%、1.571mol)を得た(2−クロロエタンスルホニルクロリドに対して収率78.5%)。
次に、5−ヒドロキシ−7−オキサノルボルナン−2,6−スルトンは、特開2007−31355号公報の実施例2に準じて合成した。攪拌装置、滴下漏斗および温度計を取り付けた内容積300mLの四つ口フラスコに、フラン150g(2.20mol)、ヨウ化亜鉛15.0gを入れ、25〜27℃にて滴下漏斗からビニルスルホン酸メチル41.5g(0.34mol)を加えた。そのままの温度で2日間攪拌を継続した後、反応液を1Lの分液漏斗に移した。水300mLで2回洗浄した後、減圧下に未反応のフランを留去して7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル22.0gを得た。
攪拌装置、滴下漏斗および温度計を取り付けた内容積1000mLの四つ口フラスコに、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル22.0gと塩化メチレン450gを順次入れ、4℃まで冷却し、撹拌下にm−クロロ過安息香酸22.9g(0.17mol)を10℃以下になるようにゆっくりと投入した。5〜7℃にて4時間攪拌した後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液100gを添加し、30分間攪拌した。静置して分液した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液水100gで3回洗浄した。得られた有機層を減圧下に濃縮して2,3−エポキシ−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル20.2gを得た。
攪拌装置、滴下漏斗および温度計を取り付けた内容積300mLの四つ口フラスコに、5.0(mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、滴下漏斗から2,3−エポキシ−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−エン−5−スルホン酸メチル29.5gを内温が20〜23℃の範囲で滴下した。滴下終了から4時間撹拌した後、氷水で冷却しながら濃塩酸を滴下してpHを7.3とした後に、酢酸エチル300mLで4回抽出した後、得られた有機層を合わせて濃縮後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、下記構造の5−ヒドロキシ−7−オキサノルボルナン−2,6−スルトン4.75g(純度98.8%、0.024mol)を得た。
【0071】
【化19】
【0072】
<実施例1−(a)>2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラートの合成(反応(a))
温度計、攪拌装置、ディーンスターク蒸留装置および圧力調整装置を取り付けた内容積5Lの四つ口フラスコに、合成例1で得た5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン231.8g(1.219mol)、p−トルエンスルホン酸1水和物394.4g(2.074mol)、N−メタクリロイルグリシン191.7g(1.338mol)、p−メトキシフェノール2.79g(0.0225mol)およびトルエン2038gを仕込んだ。内温80〜83℃、圧力250〜260torrで反応させながら、生成した水54.95gをディーンスターク蒸留装置にて除去した。その後室温まで冷却し、二層分離した内液のうち、上層を廃棄した。下層に室温にて2−ブタノン2041gを加えた後、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら、滴下した。滴下終了後、反応液のpHを測定したところ7.99であった。
反応混合液を静置した後、有機層を抜き取り、残りの水層を2−ブタノン2000gで2回再抽出を行った。得られた有機層を、イオン交換水1000gで4回水洗した。水洗後の有機層を減圧下に濃縮した後、ジイソプロピルエーテルを加え、再結晶を行うことで、2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラートを249.0g(0.790mol、白色固体)を得た(5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトンに対して収率64.8%)。
【0073】
【化20】
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm):1.79(1H,dd,J=17.2、1.6Hz)、1.98(3H,s)、2.07(1H,d,J=12.0Hz)、2.12−2.20(2H,m)、2.61(1H,m)、3.48−3.52(1H,m)、3.56−3.58(1H,m)、4.05(1H,dd,J=18.4,5.2Hz)、4.12(1H,dd,J=18.4、5.6Hz)、4.74(1H,d,J=4.8Hz)、4.79(1H,d,J=1.6Hz)、5.41(1H,m)、5.77(1H,m)、6.42(1H,br)
【0074】
<実施例1−(b)>2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラートの合成(反応(b))
温度計、攪拌装置、窒素導入管および滴下漏斗を取り付けた内容積10Lの四つ口フラスコに、N−メタクリロイルグリシン143.1g(1.00mol)、トリエチルアミン106.1g(1.05mol)、テトラヒドロフラン(THF)1288gおよびチオジフェニレンアミン0.77g(3.85mol)を仕込み、滴下漏斗から塩化ピバロイル140.2g(1.09mol)を内温10℃以下を維持するように滴下した。滴下終了後、さらに滴下漏斗より5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン190.2g(1.00mol)、4−ジメチルアミノピリジン2.44g(0.02mol)およびテトラヒドロフラン(THF)760.9gの混合溶液を、内温10℃以下を維持する速度で滴下した。滴下終了後、酢酸エチル5700gを加えた後、10質量%塩酸水溶液を加え、反応液のpHが4〜5の範囲になるように調整した。反応液を30分攪拌後、30分静置し、二層分離した下層(水層)を廃棄した。上層(有機層)を、5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、およびイオン交換水で洗浄した溶液を濃縮、冷却して再結晶を行ない、2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート126.1g(0.400mol、白色固体)を得た(5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトンに対して収率40%)。
【0075】
<実施例2>2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラートの合成
実施例1−(a)において、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン231.8g(1.219mol)を、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン188.1g(1.220mmol)に変更した以外は同様の方法にて、2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート202.1g(0.723mmol、白色固体)を得た(5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトンに対して収率59.3%)。
【0076】
【化21】
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm):1.66(1H,dd,J=12.0,1.2Hz)、1.99(3H,s)、2.01−2.11(2H,m)、2.54−2.59(1H,m)、3.21−3.23(1H,m)、4.08(1H,dd,J=18.4,5.6Hz)、4.10(1H,dd,J=18.4,5.6Hz)、4.56(1H,d,J=4.8Hz)、4.66(1H,m)、5.41(1H,m)、5.78(1H,m)、6.41(1H,br)
【0077】
<実施例3>2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラートの合成
実施例1−(a)において、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン231.8g(1.219mol)を、5−ヒドロキシ−2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン192.1g(1.230mmol)に変更した以外は同様の方法にて、2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート172.4g(0.613mmol、白色固体)を得た(5−ヒドロキシ−2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトンに対して収率49.8%)。
【0078】
【化22】
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm):1.99(3H,s)、2.09(1H,dd,J=14.0,2.0Hz)、2.23−2.31(1H,m)、2.74−2.68(1H,m)、4.10(1H,dd,J=18.4,5.6Hz)、4.14(1H,dd,J=18.4,5.6Hz)、4.67(1H,d,J=4.8Hz)、4.73(1H,d,J=5.2Hz)、4.82(1H,s)、5.37(1H,m)、5.41(1H,m)、5.78(1H,m)、6.40(1H,br)
【0079】
<実施例4>2,6−(7−オキサノルボルナン)スルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラートの合成
実施例1−(a)において、5−ヒドロキシ−2,6−ノルボルナンスルトン231.8g(1.219mol)を、5−ヒドロキシ−7−オキサノルボルナン−2,6−スルトン240.2g(1.250mmol)に変更した以外は同様の方法にて、2,6−(7−オキサノルボルナン)スルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート150.0g(0.473mmol、白色固体)を得た(5−ヒドロキシ−7−オキサノルボルナン−2,6−スルトンに対して収率37.9%)。
【0080】
【化23】
1H−NMR(400MHz、CDCl3、TMS、ppm):1.99(3H,s)、2.29−2.39(2H,m)、3.65−3.70(1H,m)、4.12(1H,dd,J=18.4,5.6Hz)、4.13(1H,dd,J=18.4,5.6Hz)、4.76(1H,d,J=4.8Hz)、4.83(1H,d,J=4.8Hz)、4.95(1H,s)、5.41(1H,m)、5.54(1H,m)、5.75(1H,m)、6.22(1H,br)
【0081】
<実施例5>高分子化合物(a)の合成
攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン4.0g(17.2mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル=メタクリラート1.4g(6.0mmol)、2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート6.2g(19.8mmol)および2−ブタノン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間行なった。窒素雰囲気下で2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。
得られた反応混合液を、室温下、メタノール200gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.0Pa)下、50℃で8時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(a)を6.0g得た。得られた高分子化合物(a)の重量平均分子量(Mw)は9,000、分子量分布は1.6であった。
【0082】
【化24】
【0083】
<実施例6>高分子化合物(b)の合成
実施例5において、2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート6.2g(19.8mmol)を、2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート5.8g(20.0mmol)に変更した以外は同様の方法によって、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(b)を6.2g得た。得られた高分子化合物(b)の重量平均分子量(Mw)は8,800、分子量分布は1.6であった。
【0084】
【化25】
【0085】
<実施例7>高分子化合物(c)の合成
実施例5において、2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート6.2g(19.8mmol)を、2,6−(7−オキサノルボルナン)カルボラクトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート6.2g(22.0mmol)に変更した以外は同様の方法によって、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(b)を6.0g得た。得られた高分子化合物(c)の重量平均分子量(Mw)は8,700、分子量分布は1.8であった。
【0086】
【化26】
【0087】
<実施例8>高分子化合物(d)の合成
実施例5において、2,6−ノルボルナンスルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート6.2g(19.8mmol)を、2,6−(7−オキサノルボルナン)スルトン−5−イル=(2−メタクリロイルアミノメチル)カルボキシラート6.6g(20.8mmol)に変更した以外は同様の方法によって、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(d)を6.5g得た。得られた高分子化合物(d)の重量平均分子量(Mw)は9000、分子量分布は1.7であった。
【0088】
【化27】
【0089】
<比較合成例1>高分子化合物(e)の合成
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン4.0g(17.2mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル=メタクリラート1.4g(6.0mmol)、5−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−2,6−ノルボルナンサルトン6.3g(19.8mmol)および2−ブタノン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下で2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。
得られた反応混合液を、室温下、メタノール220gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で8時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(e)を7.3g得た。得られた高分子化合物(e)の重量平均分子量(Mw)は9400、分子量分布は1.9であった。
【0090】
【化28】
【0091】
<比較合成例2>高分子化合物(f)の合成
電磁攪拌装置、還流冷却器および温度計を備えた内容積50mlの三口フラスコに、2−メタクリロイルオキシ−2−メチルアダマンタン4.0g(17.2mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル=メタクリラート1.4g(6.0mmol)、5−(メタクリロイルオキシアセトキシ)−2,6−ノルボルナンカルボラクトン5.5g(19.8mmol)および2−ブタノン36.4gを仕込み、窒素バブリングを10分間おこなった。窒素雰囲気下で2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.36g(2mmol)を仕込み、80℃にて4時間重合反応を行なった。
得られた反応混合液を、室温下、メタノール220gに撹拌しながら滴下し、生成した沈殿物をろ取した。該沈殿物を、減圧(26.7Pa)下、50℃で8時間乾燥して、以下の繰り返し単位(数値はモル比を表す。)からなる高分子化合物(f)を7.0g得た。得られた高分子化合物(f)の重量平均分子量(Mw)は8900、分子量分布は1.8であった。
【0092】
【化29】
【0093】
<実施例9〜12および比較例1〜2>
実施例5〜8または比較合成例1〜2で得た高分子化合物(a)〜(f)を100質量部、光酸発生剤として「TPS−109」(製品名、成分;ノナフルオロ−n−ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、みどり化学株式会社製)4.5質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/シクロヘキサノン混合溶剤(質量比=1:1)1896質量部を混合し、フォトレジスト組成物3種類を調製した。
これらのフォトレジスト組成物を孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過した。クレゾールノボラック樹脂「PS−6937」(群栄化学工業株式会社製)6質量%濃度のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をスピンコーティング法により塗布して、ホットプレート上で200℃、90秒間焼成することにより膜厚100nmの反射防止膜(下地膜)を形成させた直径10cmのシリコンウェハー上に、該ろ液をそれぞれスピンコーティング法により塗布し、ホットプレート上で130℃、90秒間プリベークして膜厚300nmのレジスト膜を形成させた。このレジスト膜に波長193nmのArFエキシマレーザーを用いて二光束干渉法で露光した。引き続き、130℃、90秒間ポストエクスポージャーベークした後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて60秒間現像処理することにより、1:1のラインアンドスペースパターンを形成させた。現像済みウェハーを割断したものを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、線幅100nmのラインアンドスペースを1:1で解像した露光量におけるパターンの形状観察と線幅の変動(LWR)の測定を行った。
LWRは、測定モニタ内において、線幅を複数の位置で検出し、その検出位置のバラツキの分散(3σ)を指標とした。また、パターンの断面形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、矩形性が高いものを「○」、矩形性が低いものを「×」として評価した。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
以上より、本発明のアクリルアミド誘導体(1)を含有する原料を重合して得られた高分子化合物(高分子化合物(a)〜(d))を利用したレジスト組成物は、本発明のアクリルアミド誘導体(1)を用いずに重合して得られた高分子化合物(高分子化合物(e)および(f))を利用したレジスト組成物に比べ、良好な形状のレジストパターンを形成できることに加え、LWRが改善されており、高解像度のレジストパターンの形成とLWRの低減とを両立させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明のアクリルアミド誘導体は、LWRを改善し、良好な形状のレジストパターンを形成するレジスト組成物用の高分子化合物の原料などとして有用である。