(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を用いて本発明の実施形態に係る通信システム及び通信方法について説明する。なお、以下の説明において、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
実施形態に係る通信システムは、ネットワークに接続される端末同士で通信を実現する際に、端末毎に通信で使用するメディアを制限し、予め許可されているメディアでのみ通信を可能とするものである。ここで、端末が使用するメディアとは、例えば、「音声電話」、「テレビ電話」、「データ通信」等の端末同士の通信に利用する技術である。例えば、一台の端末であっても、ある端末との間では音声通話のみが可能と設定し、別の端末との間では音声通話とビデオ通話が可能と設定することができる。
【0012】
図1に示すように、実施形態に通信システム1は、通信制御サーバ2と、端末3a〜3cと、呼制御サーバ4a、4bとがネットワーク5を介して接続されている。端末3a〜3cは、操作ボタン、表示装置、マイク、カメラ等の入出力手段を有する電話機等の端末である。具体的には、端末3a〜3cは、他の端末との通信を希望するメディアの種別を含むリクエスト信号を送信し、当該リクエスト信号に応答して通信が許可されると、送信したリクエスト信号に含まれる種別のメディアを使用して他の端末と通信を実行する通信手段を備えている。
【0013】
また、呼制御サーバ4a、4bは、予め登録されている端末からのリクエストに応じて他の端末への接続を制御する装置である。さらに、通信制御サーバ2は、呼制御サーバ4a、4bを介して端末3a〜3c間の通信を制御する装置である。また、ネットワーク5は、IP網等のネットワークである。ここでは、通信システム1は、SIP(Session Initiation Protocol)システムであって、端末3a〜3bはSIP端末、呼制御サーバ4a、4bはSIPサーバであるものとして説明する。
【0014】
図1に示す例では、端末3a、3bの通信は呼制御サーバ4aを介して実行され、端末3cの通信は呼制御サーバ4bを介して実行されるものとする。また、
図1に示す通信システム1の例では、ネットワーク5は3台の端末3a〜3cと2台の呼制御サーバ4a、4bとが接続されているが、通信システム1が有する端末及び呼制御サーバの数は限定されない。
【0015】
通信制御サーバ2は、
図2に示すように、CPU20、記憶装置21、通信インタフェース(通信I/F)22、入力装置23及び出力装置24等を有する情報処理装置である。この通信制御サーバ2は、記憶装置21に記憶される通信プログラムPが実行されることで、CPUがメディア判定手段201、信号判定手段202、発信処理部210及び着信処理部220として処理を実行する。
【0016】
具体的には、通信制御サーバ2は、通信I/F22を介して処理部接続される端末3a、3bから送信される信号を受信する。発信処理部210は、発信元の端末から送信されたリクエスト信号を受信すると、受信したリクエスト信号に含まれる端末の識別子及びメディアの種別に関する通信の制限を判定して判定結果を端末に送信する。また、発信処理部210は、発信元の端末から送信された変更要求信号を受信すると、受信した変更要求信号に含まれる端末の識別子及び実行中の通信で使用していない他のメディアに関する通信の制限を判定して判定結果を端末に送信する。この発信処理部210は、第1抽出手段211、第1判定手段212及び第1送信手段213を含んでいる。
【0017】
さらに、着信処理手段220は、着信先の端末から送信されたリクエスト信号を受信すると、受信したリクエスト信号に含まれる端末の識別子及びメディアの種別に関する通信の制限を判定して判定結果を端末に送信する。また、着信処理部210は、発信元の端末から送信された変更要求信号を受信すると、受信した変更要求信号に含まれる端末の端末の識別子及び実行中の通信で使用していない他のメディアに関する通信の制限を判定するして判定結果を端末に送信する。この着信処理部220は、第2抽出手段221、第2判定手段222及び第2送信手段223を含んでいる。
【0018】
記憶装置21は、通信プログラムPとともに、制限データD及びリストデータL1、L2を記憶している。制限データDは、端末3a〜3cと他の端末との間の通信に関し、各メディアを使用する場合の発信及び着信の制限に関するデータであって、
図3(a)に一例を示すようなデータである。また、リストデータL1、L2は、制限データDと関連付けられるデータであって、
図3(b)、3(c)に一例を示すように、メディアの発信や着信を許可する端末の識別用のリストである。ここで、端末の識別子としては、端末に割り当てられた電話番号を使用する。なお、
図3(d)は、メディアの種別の識別子の説明に使用する一覧である。
【0019】
この制限データDやリストデータL1、L2は、例えば、端末3a〜3c毎に設定される。したがって、記憶装置21では、各端末3a〜3cについて生成された複数の制限データD及びリストデータL1、L2を有している。なお、制限データD及びリストデータL1、L2は、端末毎に設定する他、複数の端末でグループを設け、グループに属する端末は同一の制限データD及びリストデータL1、L2を使用するようにしてもよい。また、以下の説明では、
図3(a)〜
図3(c)に示す例は、端末3aに設定された制限データD及びリストデータL1、L2であるものとする。
【0020】
図3(a)に示す例では、「メディア種別」毎に、発信の制限情報(発信制御)と着信の制限情報(着信制御)を関連付けるデータである。メディア種別としては、「音声電話」、「音声電話+データ通信」、「テレビ電話」、「テレビ電話+データ通信」、「データ通信」、「その他」がある。「発信制御」と「着信制御」について、「制限なし」の場合、どの端末とも制限なく通信可能であるが、「発信不可」の場合、どの端末とも通信を行うことができないことを規定している。また、「リスト適用」の場合、リストL1,L2等のリストに含まれる端末とのみ通信が可能であることを規定している。
【0021】
図3(a)に示す例では、端末3aは「音声電話」の発信と着信は制限されておらず、どの端末とも音声電話を使用できることが分かる。
【0022】
また、
図3(a)に示す例では、端末3bは「音声電話+データ通信」について制限されており、「リスト1」に含まれる識別子の端末とのみ通信が可能であることを示している。ここでは、「リスト1」は、
図3(b)に示すリストデータL1であって、「音声電話+データ通信」の発信及び着信が許可される端末の識別子のリストである。また、このリストデータL1は、制限データDと関連付けられ、
図3(b)に示すように、端末の識別子として電話番号の一部である「03」と「043211」を含んでいる。リストデータL1では、電話番号の全部を含んでいてもよいが、
図3(b)に示す一例では、前方一致検索に利用する識別子を含んでいる。したがって、端末3aは、電話番号の前方が「03」と「043211」の場合にのみ「音声通話+データ通信」を利用することができる。
【0023】
さらに、
図3(a)に示す例では、「テレビ電話」と「テレビ電話+データ通信」の発信と着信は制限されており、いずれの端末との間でも使用できないことが分かる。
【0024】
また、
図3(a)に示す例では、「データ通信」について制限されており、「リスト2」に含まれる識別子の端末とのみ通信が可能であることを示している。ここでは、「リスト2」は、
図3(c)に示すリストデータL2であって、「データ通信」の発信及び着信が許可される端末の識別子のリストである。また、このリストデータL2は、制限データDと関連付けられ、
図3(c)に示すように、端末の識別子として電話番号の一部である「03」、「042256」及び「04225562222」を含んでいる。この場合、端末3aは、電話番号の前方が「03」、「042256」又は「0433332222」の場合にのみ「データ通信」を利用することができる。
【0025】
[発信及び着信の処理]
図4に示すシーケンス図を用いて、通信システム1における発信及び着信の処理の流れと通信制御サーバ2の構成を説明する。なお、
図4に示す例では、呼制御サーバ4aに属する端末3aが呼制御サーバ4bに属する端末3cとの通信をリクエストする場合を説明する。まず、端末3aが、発信元である端末3aの電話番号、着信先である端末3cの電話番号、発着信の種別及びメディアの種別を含むリクエスト信号を生成し(S1)、呼制御サーバ4aに送信する(S2)。
【0026】
例えば、
図5(a)に示すリクエスト信号は、発信元の端末3aがステップS1で生成したSIP信号(INVITE)の一例であり、メディアを識別する方法として、信号中にRFC2327、4566で規定されるSDP(Session Description Protocol)に従い、メディア種別の識別子「audio」を含んでいる。また、
図5(a)に一例を示すリクエスト信号は、着信先の端末の電話番号として「0344445555」、発信元の端末の電話番号として「0677778888」、発信または着信の種別として、「orig」を含んでいる。
【0027】
ここで、
図5(a)に例を示すように、「orig」は、発信の種別であって、後述する
図5(b)に示すように、「term」は、着信の種別である。また、
図3(d)に示すように、例えば、メディアの種別が「音声電話」であるとき、識別子「audio」が使用され、「音声電話+データ通信」であるとき、識別子「audio」と、「data」、「application」又は「image」のいずれか1つが使用され、「テレビ電話」であるとき、識別子「audio」及び「video」が使用される。
【0028】
リクエスト信号を受信した呼制御サーバ4aは、予め有している契約者の識別子(電話番号)に関するデータを利用して、端末3aが呼制御サーバ4aに契約されている端末であるか否かを判定する(S3)。また、契約されている端末であるとき、呼制御サーバ4aはリクエスト信号を通信制御サーバ2に送信する(S4)。ここで呼制御サーバ4aが送信するリクエスト信号は、ステップS2で端末3aが送信したリクエスト信号と同一の項目の内容(例えば、「メディアの種別」、「着信先の端末の電話番号」、「発信元の端末の電話番号」及び「発信又は着信の種別」)を含む信号である。
【0029】
通信制御サーバ2は、リクエスト信号を受信すると、メディア判定手段201でリクエストされたメディアの種別を判定し、信号判定手段202で発信のリクエストであるか着信のリクエストであるかを判定する(S5)。
【0030】
具体的には、メディア判定手段201は、リクエスト信号に含まれる「メディアの種別」を抽出し、リクエストされたメディアの種別を判定する。
図5(a)に示す例では、メディア判定手段201は、「audio」を抽出することで、音声電話のリクエストであると判定することができる。
【0031】
また、信号判定手段202は、リクエスト信号に含まれる「発信または着信の種別」を抽出し、リクエストされた発信のリクエストであるか着信のリクエストであるかを判定する。
図5(a)に示す例では、メディア判定手段201は、「orig」を抽出することで、発信のリクエストであると判定することができる。
【0032】
メディア判定手段201でメディアの種別が判定され、信号判定手段202で発信のリクエストであると判定されると、発信処理部210は、発信のリクエストを受信した際に、発信許可される対象であるか否かを判定する発信制御処理を実行する(S6)。この発信処理部210における発信制御の処理は、
図6(a)に示すフローチャートを用いて後述する。
【0033】
発信許可される対象である場合には、発信処理部210は、ステップS4で受信したリクエスト信号に応答する信号として、呼制御サーバ4aに発信許可信号を送信する(S7)。また、この発信許可信号を受信した呼制御サーバ4aは、端末3cが属する呼制御サーバ4bにリクエスト信号を送信する。ここで呼制御サーバ4aが送信するリクエスト信号は、ステップS2で端末3aが送信したリクエスト信号と同一の項目の内容を含む信号である。なお、
図4では示されていないが、発信許可の対象でない場合には、発信処理部210は、呼制御サーバ4aに発信拒否信号を送信する。
【0034】
リクエスト信号を受信した呼制御サーバ4bは、予め有している契約者の識別子(電話番号)に関するデータを利用して、端末3cが呼制御サーバ4bに契約されている端末か否かを判定する(S9)。また、契約されている端末であるとき、呼制御サーバ4bはリクエスト信号を通信制御サーバ2に送信する(S10)。ここで呼制御サーバ4bが送信するリクエスト信号は、着信のリクエスト信号である。例えば、呼制御サーバ4bは、呼制御サーバ4aから受信したリクエスト信号を利用して通信制御サーバ2に送信するリクエスト信号を生成する。
【0035】
通信制御サーバ2は、リクエスト信号を受信すると、メディア判定手段201でリクエストされたメディアの種別を判定し、信号判定手段202で発信のリクエストであるか着信のリクエストであるかを判定する(S11)。ここで、
図5(b)に示すリクエスト信号を受信した場合、メディア判定手段201は「メディアの種別」(audio)を抽出して音声電話のリクエストであると判定し、信号判定手段202は、「発着信の種別」(term)を抽出して着信のリクエストであると判定することができる。
【0036】
メディア判定手段201でメディアの種別が判定され、信号判定手段202で着信のリクエストであると判定されると、着信処理部220は、着信のリクエストを受信した際に、着信許可される対象であるか否かを判定する着信制御処理を実行する(S12)。この着信処理部220における着信制御の処理は、
図6(b)に示すフローチャートを用いて後述する。
【0037】
着信許可される対象である場合には、着信処理部220は、ステップS10で受信したリクエスト信号に対応する信号として、呼制御サーバ4bに着信許可信号を送信する(S13)。また、この着信許可信号を受信した呼制御サーバ4bは、端末3cにリクエスト信号を送信する(S14)。ここで呼制御サーバ4bが送信するリクエスト信号は、ステップS10で呼制御サーバ4bが送信したリクエスト信号と同一の項目の内容を含む信号である。
【0038】
その後、ステップS14で受信したリクエスト信号に応じて端末3cが応答を送信する(S15)。また、ステップS13の着信許可信号に対応する応答(S16)、ステップS10のリクエスト信号に対応する応答(S17)、ステップS8のリクエスト信号に対応する応答(S18)、ステップS7の発信許可信号に対応する応答(S19)、ステップS84のリクエスト信号に対応する応答(S20)、ステップS2のリクエスト信号に対応する応答(S21)が送信される。なお、各応答は、対応する信号の項目の内容を含んでいる。
【0039】
その後、発信元の端末3aと着信先の端末3bとの間で通信が開始する(S22)。
【0040】
[発信制御]
図6(a)を用いて、
図4のシーケンス図のステップS6において発信処理部210で実行される発信制御の処理について説明する。まず、第1抽出手段211は、記憶装置21から発信元の端末3aに関する制限データDを読み出し、該当する発信の制限情報(発信制御)を抽出する(S30)。
【0041】
該当する制限情報を抽出すると、第1判定手段212は、制限があるか否かを判定し(S31)、制限がある場合(S31でNO)、制限がリストの適用であるか否かを判定する(S32)。また、第1判定手段212は、制限がリストの適用であるとき(S32でYES)、リストに含まれる許可番号への発信のリクエストであるか否かを判定する(S33)。
【0042】
制限がない場合(S31でYES)及びリストに含まれる許可番号への発信のリクエストである場合(S33でYES)、発信することができる「発信許可」であるため、第1送信手段213は、呼制御サーバ4aに発信許可信号を送信する(S34)。なお、ステップS34の発信許可信号の送信は、
図4のシーケンスのステップS7の処理と同一である。
【0043】
一方、制限がリストの適用でない場合(S32でNO)、制限が「発信不可」であるため、第1送信手段213は、呼制御サーバ4aに発信拒否信号を送信する(S35)。また、リストデータに含まれる許可番号への発信のリクエストでない場合(S33でNO)も同様に、呼制御サーバ4aに発信拒否信号を送信する(S35)。
【0044】
[着信制御]
続いて、
図6(b)を用いて、
図4のシーケンス図のステップ12において着信処理部220で実行される着信制御の処理について説明する。まず、第2抽出手段221は、記憶装置21から着信先の端末3cに関する制限データDを読み出し、該当する着信の制限情報(着信制御)を抽出する(S40)。
【0045】
該当する制限情報を抽出すると、第2判定手段222は、制限があるか否かを判定し(S41)、制限がある場合(S41でNO)、制限がリストの適用であるか否かを判定する(S42)。また、第2判定手段222は、制限がリストの適用であるとき(S42でYES)、リストに含まれる許可番号からの着信のリクエストであるか否かを判定する(S43)。
【0046】
制限がない場合(S41でYES)及びリストに含まれる許可番号からの着信のリクエストである場合(S43でYES)、着信を受けることができる「着信許可」であるため、第2送信手段223は、呼制御サーバ4bに着信許可信号を送信する(S44)。なお、ステップS44の着信許可信号の送信は、
図4のシーケンス図のS13の処理と同一である。
【0047】
一方、制限がリストの適用でない場合(S42でNO)、制限が「着信不可」であるため、第2送信手段223は、呼制御サーバ4bに着信拒否信号を送信する(S45)。また、リストに含まれる許可番号からの着信のリクエストでない場合(S43でNO)も同様に、呼制御サーバ4bに着信拒否信号を送信する(S45)。
【0048】
[確認処理]
図7に示すシーケンス図を用いて、
図4を用いて説明した処理の実行後、端末3aと端末3cとで通信が実行中に通信の実行を確認する確認処理の流れを説明する。
【0049】
まず、端末3aと端末3cとの間で通信が実行中(S51)には、端末3aは、例えば定期的なタイミングで呼制御サーバ4aを介して通信制御サーバ2に確認信号を送信する(S52、S53)。この確認信号は、例えば、
図5(c)に示すように「着信先の識別子」、「発信元の識別子」、「着信先であるか発信元であるかの種別」、「メディアの種別」を含んでいる。
【0050】
通信制御サーバ2は、確認信号を受信すると、これに対して呼制御サーバ4aに確認信号を送信する(S54)。確認信号を受信した呼制御サーバ4aは、通信中の端末3cが属する呼制御サーバ4bに確認信号を送信する(S55)。これらの確認信号は、例えば、ステップS52で送信された確認信号と同一の項目の内容を含んでいる。
【0051】
呼制御サーバ4bは、確認信号を受信すると、呼制御サーバ2に確認信号を送信する(S56)。通信制御サーバ2は、確認信号を受信すると、これに対して呼制御サーバ4bに確認信号を送信する(S57)。例えば、確認信号を受信した後に応答信号を送信するまでの処理は、着信処理部220によって実行される。確認信号を受信した呼制御サーバ4bは、端末3cに確認信号を送信する(S58)。これらの確認信号も、例えば、ステップS52で送信された確認信号と同一の項目の内容を含んでいる。
【0052】
その後、ステップS58で受信した確認信号に応じて端末3cが応答を送信する(S59)。また、ステップS57の確認信号に対応する応答(S60)、ステップS56の確認信号に対応する応答(S61)、ステップS55の確認信号に対応する応答(S62)、ステップS54の確認信号に対応する応答(S63)、ステップS53の確認信号に対応する応答(S64)、ステップS52の確認信号に対応する応答(S65)が送信される。なお、各応答は、対応する確認信号の項目の内容を含んでいる。
【0053】
通信制御サーバ2は、定期的に確認信号を受信している間、通信制御サーバ2の端末3a、3cが通信を行っているとし、通信中の端末に関する通信状況データとして保持している。ここで、通信制御サーバ2は、通信状況データで通信中である端末に対応する確認信号を受信(S53,S56)した場合にのみ確認信号を送信(S54,S57)する。一方、通信状況データに含まれない端末(通信中でない端末)に対応する確認信号を受信した場合、通信制御サーバ2は、この確認信号を破棄するが、これらの処理については、図示を用いた説明は省略する。
【0054】
通信制御サーバ2は、受信をしていた確認信号を受信しなくなると、通信が終了したとして通信状況データから削除する。また、通信制御サーバ2は、通信で使用されるメディアが変更した場合には、通信状況データを更新する。なお、切断要求信号を受信した場合にも同様に通信状況データから削除するが、切断要求信号を受信した際の処理については、図示を用いた説明は省略する。また、通信状況データの追加、変更及び削除等の処理については、図示を用いた説明は省略する。
【0055】
[変更処理]
図8に示すシーケンス図を用いて、通信システム1において通信で使用中のメディアを変更する変更処理の流れを説明する。
図4に示した処理が実行され、端末3aと端末3cの間で通信が通信が実行中に(S71)、通信で使用しているメディアの変更を希望するタイミングで、端末3aが呼制御サーバ4aを介して通信制御サーバ2に変更のリクエスト信号(変更要求信号)を送信する(S72、S73)。例えば、変更要求信号は、
図5(d)に一例を示すように「着信先の識別子」、「発信元の識別子」、「着信先であるか発信元であるかの種別」、「メディアの種別」を含んでいる。この要求信号を
図5(c)に示す確認信号と比較すると、確認信号では「メディアの種別」が「m=audio」であったのに対し、要求信号では「メディアの種別」が「m=audio m=video」である点で異なる。このように、通信状況データに登録されている現在使用中のメディアとは別のメディアの種別が含まれている場合に通信制御サーバ2の判定処理手段202は、確認信号と変更のリクエスト信号(変更要求信号)を区別することができる。
【0056】
通信制御サーバ2は、変更要求信号を受信すると、メディア判定手段201で信号に含まれるメディアの種別を判定し、信号判定手段202で発信元から送信された信号であるか着信先から送信された信号であるかを判定する(S74)。
【0057】
メディア判定手段201でメディアの種別が判定され、信号判定手段202で発信元から送信された信号であると判定されると、発信処理部210は、発信のリクエストを受信した際に、メディアの変更が許可される対象であるか否かを判定する発信制御処理を実行する(S75)。この発信処理部210における処理は、
図6(a)に示すフローチャートを用いて上述した発信制御の処理と同一である。
【0058】
変更が許可される場合には、発信処理部210は、ステップS76で受信した変更要求信号に応答する信号として、呼制御サーバ4aに発信許可信号を送信する(S76)。
【0059】
発信許可信号を受信した呼制御サーバ4aは、呼制御サーバ4bに変更要求信号を送信する(S77)。変更要求信号を受信した呼制御サーバ4bは、通信制御サーバ2に変更要求信号を送信する(S78)。これらの変更要求信号は、ステップS72で呼制御サーバが送信した変更要求信号と同一の項目の内容を含むが、着信先の信号である。
【0060】
通信制御サーバ2は、変更要求信号を受信すると、メディア判定手段201で変更要求信号に含まれるメディアの種別を判定し、信号判定手段202で発信元から送信された信号であるか着信先から送信された信号であるかを判定する(S79)。
【0061】
メディア判定手段201でメディアの種別が判定され、信号判定手段202で着信先から送信された信号であると判定されると、着信処理部220は、メディアの変更が許可される対象であるか否かを判定する着信制御処理を実行する(S80)。この着信処理部220における処理は、
図6(b)に示すフローチャートを用いて上述した着信制御の処理と同一である。
【0062】
変更が許可される場合には、着信処理部220は、ステップS78で受信した変更要求信号に対応する信号として、呼制御サーバ4bに着信許可信号を送信する(S81)。また、この着信許可信号を受信した呼制御サーバ4bは、端末3cに変更要求信号を送信する(S82)。ここで呼制御サーバ4bが送信する変更要求信号は、ステップS78で呼制御サーバ4bが送信した変更要求信号と同一の項目の内容を含む信号である。
【0063】
その後、ステップS82で受信した確認信号に応じて端末3cが応答を送信する(S83)。また、ステップS81の着信許可信号に対応する応答(S84)、ステップS78の変更要求信号に対応する応答(S85)、ステップS77の変更要求信号に対応する応答(S86)、ステップS76の発信許可信号に対応する応答(S87)、ステップS73の変更要求信号に対応する応答(S88)、ステップS72の変更要求信号に対応する応答(S89)が送信される。なお、各応答は、対応する信号の項目の内容を含んでいる。
【0064】
その後、ステップS89で送信された応答が端末3aで受信されると、発信元の端末3aと着信先の端末3cとの間でメディアを変更した通信が開始する(S90)。
【0065】
上述したように、実施形態に係る通信システム1では、通信制御サーバ2において各端末3a〜3cが通信に使用可能なメディアの種別を制限データDとして保存しておくことで、この制限データDに応じて端末間では許可されるメディアを使用して自由に通信を実行することができる。また、端末間で通信中に制限データDを変更することで、通信に利用するメディアを自由に追加や削除することもできる。
【0066】
[第1変形例]
図9を用いて、第1変形例に係る通信システム1Aを説明する。
図9に示す第1変形例に係る通信システム1Aのネットワーク5は、複数のネットワーク5A,5Bで構成されている。各ネットワーク5A,5Bは異なる事業者が提供するIP網である。また、このネットワーク5Aには、それぞれ、端末3a、3b、3c、3mが接続されている。
【0067】
通信システム1Aは、ネットワーク5が複数の事業者が提供するIP網で形成されている場合であっても同様に通信制御を行うことができる。
【0068】
[第2変形例]
第2変形例に係る通信システムは、制限データDに対応付けられるリストデータL1,L2として、ホワイトリストの代わりにブラックリストを使用する。すなわち、
図3(b)、3(c)を用いて上述したリストデータL1,L2は、通信を許可する端末の識別子を有していた。しかしながら、第2変形例に係る通信システムは、通信を拒否する端末の識別子を有する。
【0069】
したがって、発信制御処理の際には、第1判定手段212及び第2判定手段222は、許可番号であるか否かを判定する際、リストデータL1,L2に含まれていない場合に許可番号であると判定する。このようにブラックリストを利用する場合でも同様に通信の制限を実現することができる。
【0070】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。