(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バインダー樹脂の総重量を基準に、前記アクリル系バインダーの含量は50重量%以上90重量%未満であり、前記フルオレン系バインダーの含量は10〜50重量%である請求項4に記載のタッチパネル。
前記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、前記バインダー樹脂の含量は1〜20重量%であり、前記重合性化合物の含量は1〜10重量%であり、前記着色剤の含量は5〜30重量%であり、前記開始剤の含量は0.1〜10重量%であり、前記溶媒の含量は60〜90重量%である請求項6または7に記載のタッチパネル。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態をより詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、不飽和結合を含む化合物、側鎖が長い化合物および酸基を含む化合物を含むモノマーから重合された1種以上のアクリル系バインダーを含むバインダー樹脂を含む。
【0018】
前記バインダー樹脂は、不飽和結合を含む化合物;側鎖が長い化合物;および酸基を含む化合物を含むモノマーから重合された1種以上のアクリル系バインダーを含む。
【0019】
具体的には、前記バインダー樹脂は、1つのアクリル系バインダーを含むか、2つ以上のアクリル系バインダーを含むことができる。
【0020】
前記不飽和結合を含む化合物は、バインダー樹脂に機械的強度を付与できる化合物であれば特に限定されないが、具体的には、不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類、不飽和エーテル類、不飽和イミド類および無水マレイン酸類のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0021】
前記不飽和カルボン酸エステル類はベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα−ヒドロキシメチルアクリレートおよびブチルα−ヒドロキシメチルアクリレートのうちいずれか1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0022】
前記芳香族ビニル類はスチレン、α−メチルスチレン、(o、m、p)−ビニルトルエン、(o、m、p)−メトキシスチレンおよび(o、m、p)−クロロスチレンのうちいずれか1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0023】
前記不飽和エーテル類はビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびアリルグリシジルエーテルのうちいずれか1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0024】
前記不飽和イミド類はN−フェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドのうちいずれか1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0025】
前記無水マレイン酸類は無水マレイン酸および無水メチルマレイン酸のうちいずれか1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0026】
前記モノマーの総モル数を基準に、前記不飽和結合を含む化合物の含量は20〜80モル%であってもよい。
【0027】
前記側鎖が長い化合物はエチレン性不飽和結合を含み、側鎖に置換されたアルキル鎖の炭素数が8〜18である化合物であれば、特に限定されない。前記アルキル鎖の炭素数が8〜18である化合物は直鎖または分枝鎖であってもよい。前記炭素数が8〜18であるアルキル鎖はC
8〜C
18のアルキル基またはC
8〜C
18のアルキレン基を含むことができる。
【0028】
前記アルキル鎖の炭素数が8〜18である化合物は、アルキル基またはアルキレン基が連続する鎖であるか、炭素が酸素などで置換されて非連続的な鎖であってもよい。前記アルキル鎖が非連続的な場合にも、1つの側鎖においてアルキレン基およびアルキル基である炭素数の合計は8〜18である。
【0029】
例えば、前記側鎖が長い化合物は、ラウリルメタクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシヘプチル(メタ)アクリレート、エトキシオクチル(メタ)アクリレートおよびメトキシノニル(メタ)アクリレートのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0030】
前記モノマーの総モル数を基準に、前記側鎖が長い化合物の含量は1〜30モル%であってもよく、この場合に、後述するベゼルパターンのテーパー角を制御できるという長所がある。
【0031】
必要に応じ、前記モノマーの総モル数を基準に、前記側鎖が長い化合物の含量は5〜30モル%であってもよい。側鎖が長い化合物の含量が5モル%未満である場合は、現像マージンおよび感度は良くなるが、テーパー角が高くなって、後工程に行われる酸化インジウム(ITO)配線を形成する時、短絡をもたらす可能性が高くなって不良が発生し得る。また、その含量が30モル%超過である場合は、テーパー角は低くなり得るが、ブラックマトリックスパターンを形成する現像工程において現像マージンが小さくて量産性に問題があり、酸化インジウム(ITO)配線の形成時に行われるエッチング工程やストリップ工程において耐化学性が弱くてパターンの損失をもたらす。
【0032】
前記酸基を含む化合物は(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタルレート、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルサクシネートおよびω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートのうちいずれか1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
前記モノマーの総モル数を基準に、前記酸基を含む化合物の含量は5〜50モル%であってもよく、必要に応じ、5〜40モル%であってもよい。
【0034】
前記アクリル系バインダーの重量平均分子量は1,000〜50,000であってもよく、必要に応じ、2,000〜30,000であってもよいが、これに限定されない。
【0035】
前記アクリル系バインダーの酸価は10KOHmg/g〜200KOHmg/gであってもよく、必要に応じ、30KOHmg/g〜150KOHmg/gであってもよい。
【0036】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記アクリル系バインダーを含む場合は、後述するベゼルパターンの厚さを調節することができる。具体的には、ベゼルパターンの厚さを薄く調節できるという長所がある。
【0037】
前記バインダー樹脂の総重量を基準に、前記アクリル系バインダーの含量は50〜90重量%であってもよい。
【0038】
前記バインダー樹脂は、当技術分野で一般的に用いられるバインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0039】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記バインダー樹脂は、不飽和結合を含む化合物および酸基を含む化合物から重合された追加のアクリル系バインダーをさらに含むことができる。前記追加のアクリル系バインダーは、側鎖が長くないバインダー、すなわち、側鎖が長い化合物から由来しないアクリル系バインダーを意味する。
【0040】
本発明の一実施形態に係るバインダー樹脂が追加のアクリル系バインダーをさらに含む場合は、前記バインダー樹脂の総重量を基準に、前記アクリル系バインダーの含量は50〜90重量%であり、前記追加のアクリル系バインダーの含量は10〜50重量%であってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物において、前記バインダー樹脂は、下記化学式1で表される繰り返し単位を有するフルオレン系バインダーをさらに含むことができる。
【0043】
前記化学式1において、
Rxは、C
1〜C
10のアルキレン基;C
1〜C
5のアルキル基で置換もしくは非置換されたC
3〜C
10のシクロアルキレン基;C
1〜C
5のアルキル基で置換もしくは非置換されたC
6〜C
10のアリーレン基;またはC
1〜C
5のアルキル基で置換もしくは非置換された−NH−R−NH−であり、
Rは、C
1〜C
10のアルキレン基;C
1〜C
5のアルキル基で置換もしくは非置換されたC
3〜C
20のシクロアルキレン基;またはC
1〜C
5のアルキル基で置換もしくは非置換されたC
6〜C
10のアリーレン基であり、
Ryは、水素、アクリロイルまたはメタアクリロイルであり、
nは、1〜5,000の整数である。
【0044】
本発明の一実施形態に係るバインダー樹脂が前記フルオレン系バインダーを含む場合は、前記バインダー樹脂の総重量を基準に、前記アクリル系バインダーの含量は50〜90重量%であり、前記フルオレン系バインダーの含量は10〜50重量%であってもよい。
【0045】
本発明の一実施形態に係るバインダー樹脂が前記フルオレン系バインダーと追加のアクリル系バインダーをさらに含む場合は、前記バインダー樹脂の総重量を基準に、前記アクリル系バインダーの含量は50〜90重量%であり、前記追加のアクリル系バインダーの含量は1〜50重量%であり、前記フルオレン系バインダーの含量は1〜50重量%であってもよい。
【0046】
前記フルオレン系バインダーの重量平均分子量は1,000〜30,000であってもよく、必要に応じ、1,500〜10,000であってもよいが、これに限定されない。
【0047】
本発明の一実施形態において、重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー、すなわち、GPCによって測定された結果値を意味する。
【0048】
前記フルオレン系バインダーの酸価は10KOHmg/g〜200KOHmg/gであってもよく、必要に応じ、30KOHmg/g〜150KOHmg/gであってもよい。
【0049】
前記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、前記バインダー樹脂の含量は1〜20重量%であってもよい。
【0050】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、重合性化合物、着色剤、開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。
【0051】
前記重合性化合物は、エチレン性不飽和二重結合を有する多官能性モノマーであり、架橋剤として役割を果たすことができるものであれば特に限定されず、当技術分野で一般的に用いられる化合物を用いることができる。
【0052】
例えば、前記重合性化合物は、付加重合可能な不飽和基を有する化合物およびカプロラクトンを導入した多官能性モノマーのうちいずれか1つ以上であってもよい。
【0053】
前記付加重合可能な不飽和基を有する化合物は、具体的には、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能性モノマー、およびポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチルロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能性モノマー、からなる群から選択される1種以上を用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0054】
前記カプロラクトンを導入した多官能性モノマーはジペンタエリスリトールにカプロラクトンを導入したKAYARAD DPCA−20、30、60、120、テトラヒドロフリルアクリレートにカプロラクトンを導入したKAYARAD TC−110S、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートにカプロラクトンを導入したKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620など;共栄社化学社製のエポキシエステル200PA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル3000M;およびウレタンアクリレート系としてUA306H、UA306T、UA306I、UA510H、UF8001、U−324A、U15HA、およびU−4HA;からなる群から選択される1種以上を用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一実施形態において、特定化合物を導入したということは、特定化合物が化学反応によって他の化合物と結合した状態を持つようになったことを意味するものとして当業者は理解することができる。
【0056】
前記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、前記重合性化合物の含量は1〜10重量%であってもよく、この場合に、光感度やコーティングフィルムの強度が低下せず、コーティングフィルムの強度が充分であり、現像時にパターンが失われないという長所がある。
【0057】
前記着色剤としては1種以上の顔料、染料またはこれらの混合物を用いることができ、必要に応じた色を発現することができるものであれば特に限定されない。
【0058】
具体的に例示すれば、黒色顔料としてはカーボンブラック、黒鉛、金属酸化物などを用いることができる。
【0059】
カーボンブラックの例としては、シースト5HIISAF−HS、シーストKH、シースト3HHAF−HS、シーストNH、シースト3M、シースト300HAF−LS、シースト116HMMAF−HS、シースト116MAF、シーストFMFEF−HS、シーストSOFEF、シーストVGPF、シーストSVHSRF−HSおよびシーストSSRF(東海カーボン社製);ダイヤグラムブラックII、ダイヤグラムブラックN339、ダイヤグラムブラックSH、ダイヤグラムブラックH、ダイヤグラムLH、ダイヤグラムHA、ダイヤグラムSF、ダイヤグラムN550M、ダイヤグラムM、ダイヤグラムE、ダイヤグラムG、ダイヤグラムR、ダイヤグラムN760M、ダイヤグラムLR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA40、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30BおよびOIL31B(三菱化学社製);PRINTEX−U、PRINTEX−V、PRINTEX−140U、PRINTEX−140V、PRINTEX−95、PRINTEX−85、PRINTEX−75、PRINTEX−55、PRINTEX−45、PRINTEX−300、PRINTEX−35、PRINTEX−25、PRINTEX−200、PRINTEX−40、PRINTEX−30、PRINTEX−3、PRINTEX−A、SPECIAL BLACK−550、SPECIAL BLACK−350、SPECIAL BLACK−250、SPECIAL BLACK−100、およびLAMP BLACK−101(デグサ社製);RAVEN−1100ULTRA、RAVEN−1080ULTRA、RAVEN−1060ULTRA、RAVEN−1040、RAVEN−1035、RAVEN−1020、RAVEN−1000、RAVEN−890H、RAVEN−890、RAVEN−880ULTRA、RAVEN−860ULTRA、RAVEN−850、RAVEN−820、RAVEN−790ULTRA、RAVEN−780ULTRA、RAVEN−760ULTRA、RAVEN−520、RAVEN−500、RAVEN−460、RAVEN−450、RAVEN−430ULTRA、RAVEN−420、RAVEN−410、RAVEN−2500ULTRA、RAVEN−2000、RAVEN−1500、RAVEN−1255、RAVEN−1250、RAVEN−1200、RAVEN−1190ULTRA、RAVEN−1170(コロンビア・カーボン社製)またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0060】
前記黒色顔料として、カーボンブラックを用いる場合は、高抵抗処理されたカーボンブラックを用いることができ、この時、高抵抗処理は、高分子樹脂を用いた処理や、アゾカップリング反応などを介して図ることができるが、これに限定されない。
【0061】
前記黒色顔料は有機ブラック顔料を含むことができる。前記有機ブラック顔料はアニリンブラック、ラクタムブラックまたはペリレンブラック系などを用いることができるが、これらに限定されない。
【0062】
また、色を帯びる着色剤の例としてはカーミン6B(C.I.12490)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ペリレンブラック(BASF K0084.K0086)、シアニンブラック、リオノールイエロー(C.I.21090)、リオノールイエローGRO(C.I.21090)、ベンジジンイエロー4T−564D、ビクトリアピュアブルー(C.I.42595)、C.I.PIGMENT RED 3、23、97、108、122、139、140、141、142、143、144、149、166、168、175、177、180、185、189、190、192、202、214、215、220、221、224、230、235、242、254、255、260、262、264、272;C.I.PIGMENT GREEN 7、36;C.I.PIGMENT blue 15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、28、36、60、64;C.I.PIGMENT yellow 13、14、35、53、83、93、95、110、120、138、139、150、151、154、175、180、181、185、194、213;C.I.PIGMENT VIOLET 15、19、23、29、32、37などが挙げられ、この他に白色顔料、蛍光顔料なども用いることができる。顔料として用いられるフタロシアニン系錯化合物としては、銅の他に亜鉛を中心金属とする物質も使用可能である。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記着色剤は高抵抗着色剤であってもよく、この時、着色剤の表面抵抗値は10
12Ω/square以上であってもよく、前記表面抵抗値は高いほど良いが、必要に応じ、10
12〜10
20Ω/squareであってもよい。表面抵抗値が10
12Ω/square未満である場合は、絶縁特性が低下して、後工程に行われる金属配線の電界に影響を及ぼして不良をもたらし得る。
【0064】
前記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、前記着色剤の含量は5〜30重量%であってもよい。
【0065】
前記開始剤は、光によってラジカルを発生させて架橋を起こさせる材料として、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、およびオキシム系化合物からなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。
【0066】
前記アセトフェノン系化合物は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルホリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−ブロモ−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンまたは2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
前記ビイミダゾール系化合物としては2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4,5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
前記トリアジン系化合物としては3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル−3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、2−エポキシエチル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル−2−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}アセテート、3−{クロロ−4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3,−ブタジエニル−s−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
前記オキシム系化合物としては1,2−オクタンジオン,−1−(4−フェニルチオ)フェニル−,−2−(o−ベンゾイルオキシム)(チバ−ガイキー社製、CGI 124)、エタノン,−1−(9−エチル)−6−(2−メチルベンゾイル−3−イル)−1−(O−アセチルオキシム)(CGI 242)、N−1919(アデカ社製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
前記感光性樹脂組成物のうち前記重合性化合物とバインダー樹脂の合計100重量部に対し、前記開始剤の含量は1〜300重量部であってもよい。
【0071】
前記開始剤として、アセトフェノン系化合物を用いる場合は、前記感光性樹脂組成物のうち前記重合性化合物とバインダー樹脂の合計100重量部に対し、前記アセトフェノン系化合物の含量は1〜200重量部であってもよい。
【0072】
前記開始剤として、ビイミダゾール系化合物を用いる場合は、前記感光性樹脂組成物のうち前記重合性化合物とバインダー樹脂の合計100重量部に対し、前記ビイミダゾール系化合物の含量は1〜100重量部であってもよい。
【0073】
前記開始剤として、トリアジン系化合物を用いる場合は、前記感光性樹脂組成物のうち前記重合性化合物とバインダー樹脂の合計100重量部に対し、前記トリアジン系化合物の含量は1〜100重量部であってもよい。
【0074】
前記開始剤として、オキシム系化合物を用いる場合は、前記感光性樹脂組成物のうち前記重合性化合物とバインダー樹脂の合計100重量部に対し、前記オキシム系化合物の含量は1〜50重量部であってもよい。
【0075】
前記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、前記開始剤の含量は0.1〜10重量%であってもよい。
【0076】
前記溶媒は、メチル−3−メトキシプロピオネート(144℃)、エチレングリコールメチルエーテル(125℃)、エチレングリコールエチルエーテル(135℃)、エチレングリコールジエチルエーテル(121℃)、ジブチルエーテル(140℃)、エチルピルベート(144℃)、プロピレングリコールメチルエーテル(121℃)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(146℃)、n−ブチルアセテート(125℃)、イソブチルアセテート(116℃)、アミルアセテート(149℃)、イソアミルアセテート(143℃)、ブチルプロピオネート(146℃)、イソアミルプロピオネート(156℃)、エチルブチレート(120℃)、プロピルブチレート(143℃)、メチル−3−メトキシイソブチレート(148℃)、メチルグリコレート(150℃)、メチルラクテート(145℃)、エチルラクテート(154℃)、メチル−2−ヒドロキシイソブチレート(137℃)、エチルエトキシアセテート(156℃)、2−メトキシエチルアセテート(145℃)、エチレングリコールメチルエーテルアセテート(145℃)、2−エトキシエチルアセテート(156℃)、ジブチルエーテル(140℃)、シクロペンタノン(131℃)、シクロヘキサノン(155℃)、2−ヘキサノン(127℃)、3−ヘキサノン(123℃)、5−メチル−2−ヘキサノン(145℃)、2−ヘプタノン(150℃)、3−ヘプタノン(148℃)、4−ヘプタノン(145℃)、2−メチル−3−ヘプタノン(159℃)、1−メトキシ−2−プロパノール(118℃)、エチル−2−ヒドロキシ−プロピオネート(154℃)、エチル−3−メトキシプロピオネート(158℃)、2−メトキシエチルエーテル(162℃)、3−メトキシブチルアセテート(170℃)、2−エトキシエチルエーテル(185℃)、2−ブトキシエタノール(171℃)、3−エトキシ−プロパノール(161℃)、ジエチレングリコールドデシルエーテル(169℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(188℃)、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン(169℃)、2−オクタノン(173℃)、3−オクタノン(168℃)、3−ノナノン(188℃)、5−ノナノン(187℃)、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(166℃)、2−メチルシクロヘキサノン(163℃)、3−メチルシクロヘキサノン(170℃)、4−メチルシクロヘキサノン(170℃)、2,6−ジメチルシクロヘキサノン(175℃)、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン(179℃)、シクロヘプタノン(179℃)、ヘキシルアセテート(169℃)、アミルブチレート(185℃)、イソプロピルラクテート(167℃)、ブチルラクテート(186℃)、エチル−3−ヒドロキシブチレート(170℃)、エチル−3−エトキシプロピオネート(170℃)、エチル−3−ヒドロキシブチレート(180℃)、プロピル−2−ヒドロキシ−プロピオネート(169℃)、プロピレングリコールジアセテート(186℃)、プロピレングリコールブチルエーテル(170℃)、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート(160℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテルアセテート(165℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(188℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(171℃)、エチレングリコールブチルエーテル(171℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(176℃)、ジエチレングリコールメチルイソプロピルエーテル(179℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(189℃)、ブチルブチレート(165℃)、エチル−3−エトキシプロピオネート(170℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、4−エチルシクロヘキサノン(193℃)、2−ブトキシエチルアセテート(192℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ブチロラクトン(204℃)、ヘキシルブチレート(205℃)、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート(209℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(212℃)、トリプロピルグリコールジメチルエーテル(215℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート(217℃)、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート(245℃)、3−エポキシ−1,2−プロパンジオール(222℃)、エチル−4−アセチルブチレート(222℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(231℃)、トリプロピルグリコールメチルエーテル(242℃)、ジエチレングリコール(245℃)、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート(245℃)、カテコール(245℃)、トリエチレングリコールメチルエーテル(249℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(256℃)、トリエチレングリコールエチルエーテル(256℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(260℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(261℃)、トリエチレングリコールブチルエーテル(271℃)、トリプロピルグリコール(273℃)、およびテトラエチレングリコールジメチルエーテル(276℃)のうちから選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。
【0077】
前記感光性樹脂組成物の総重量を基準に、前記溶媒の含量は60〜90重量%であってもよい。
【0078】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、密着促進剤、光架橋増感剤、硬化促進剤、界面活性剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱重合防止剤およびレベリング剤のうちいずれか1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0079】
前記密着促進剤はメタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタアクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン、メタアクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタアクリロイルオキシプロピルジメトキシシランなどのメタアクリロイルシランカップリング剤のうち1種以上を選択して用いることができ、アルキルトリメトキシシランとしてオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどから1種以上を選択して用いることができる。
【0080】
前記光架橋増感剤は、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2−メチル−9−フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2−メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2,6−ジクロロ−9,10−アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス(9−アクリジニルペンタン)、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;ベンジル、1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジオン、9,10−フェナントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;メチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのベンゾエート系化合物;2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)−4−メチル−シクロペンタノンなどのアミノシナジスト;3,3−カルボニルビニル−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−ベンゾイル−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシ−クマリン、10,10−カルボニルビス[1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−C1]−ベンゾピラノ[6,7,8−ij]−キノリジン−11−オンなどのクマリン系化合物;4−ジエチルアミノカルコン、4−アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;2−ベンゾイルメチレン;および3−メチル−b−ナフトチアゾリン;からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0081】
前記硬化促進剤としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−4,6−ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール−トリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン−トリス(2−メルカプトアセテート)、およびトリメチロールプロパン−トリス(3−メルカプトプロピオネート)からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0082】
前記界面活性剤は、シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であり、具体的には、シリコン系界面活性剤としてはBYK−Chemie社製のBYK−077、BYK−085、BYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−335、BYK−341v344、BYK−345v346、BYK−348、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358、BYK−361、BYK−370、BYK−371、BYK−375、BYK−380、BYK−390などを用いることができ、フッ素系界面活性剤としてはDIC(DaiNippon Ink & Chemicals)社製のF−114、F−177、F−410、F−411、F−450、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−446、F−470、F−471、F−472SF、F−474、F−475、F−477、F−478、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−484、F−486、F−487、F−172D、MCF−350SF、TF−1025SF、TF−1117SF、TF−1026SF、TF−1128、TF−1127、TF−1129、TF−1126、TF−1130、TF−1116SF、TF−1131、TF1132、TF1027SF、TF−1441、TF−1442などを用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0083】
前記分散剤は、予め顔料を表面処理する形態で顔料に内部添加させる方法、または顔料に外部添加させる方法によって用いることができる。前記分散剤としては化合物型、非イオン性、アニオン性またはカチオン性の分散剤を用いることができ、その例としてはポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物およびアルキルアミンからなる群から選択される1種以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
前記熱重合防止剤としては、例えば、p−アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t−ブチルカテコール(t−butyl catechol)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩およびフェノチアジン(phenothiazine)からなる群から選択される1種以上を含むことができるが、これらのみに限定されるものではなく、当技術分野で一般的に周知のものを含むことができる。
【0085】
前記酸化防止剤、紫外線吸収剤、およびレベリング剤なども当技術分野に含まれてもよい全ての化合物が用いられることができる。
【0086】
前記添加剤の含量は、各々独立に、感光性樹脂組成物の総重量を基準に0.01〜10重量%であってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0087】
また、本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、カーボンブラック分散物、機能性を有する樹脂バインダー、モノマー、放射線感受性化合物、およびその他の添加剤のうちから選択される1種以上の2次添加剤をさらに含むことができる。
【0088】
本発明の一実施形態に係るタッチパネルは、基板;および前記基板上に前記感光性樹脂組成物から製造されたベゼル(bezel)パターンを含む。
【0089】
前記基板上にベゼルパターンを形成する方法としてはフォトリソグラフィ法によって形成されることができる。具体的には、前記感光性樹脂組成物を基板に塗布した後、塗布された前記組成物を露光し現像して製造することができる。
【0090】
前記基板上に感光性樹脂組成物を塗布する方法は特に制限されないが、スプレー法、ロールコーティング法、スピンコーティング法などを利用することができ、一般的にスピンコーティング法を広く利用する。また、塗布膜を形成した後、場合によっては、減圧下で残留溶媒を一部除去することができる。
【0091】
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物を硬化させるための光源としては、例えば、波長が250〜450nmの光を発散する水銀蒸気アーク(arc)、炭素アーク、Xeアークなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0092】
前記ベゼルパターンのテーパー角は0°超過60°以下であってもよく、具体的には、0°超過40°以下であってもよく、必要に応じ、0°超過30°以下であってもよい。この場合に、前記ベゼルパターン上にセンサ層を適用する時、なだらかなテーパー角によって配線の短絡が発生しないという長所がある。
【0093】
前記ベゼルパターンの厚さは0.3μm〜5μmであってもよく、必要に応じ、0.8μm〜3μmであってもよい。この場合に、前記ベゼルパターン上にセンサ層を適用しても、基板との高さ差によって配線の短絡が発生しないという長所がある。
【0094】
前記ベゼルパターンの表面抵抗値は10
12Ω/square以上であり、前記表面抵抗値は高いほど良いが、必要に応じ、10
12〜10
20Ω/squareであってもよい。この場合に、前記ベゼルパターン上に金属膜の蒸着または接着を通じて金属配線を形成することが容易であるという長所がある。
【0095】
前記ベゼルパターンの厚さ(1μm)当たりの光学密度は1〜5であり、必要に応じ、2〜4であってもよい。この場合に、ベゼルパターンによる遮蔽特性に優れるという長所がある。光学密度が単位厚さ当たり5を超過する場合は、抵抗が低下する恐れがあり、この光学密度を実現するためには含まれる遮光材料の含量が増加してパターンの形成が難しくなり得る。
【0096】
本発明の一実施形態に係るタッチパネルは、ベゼルパターンの厚さは薄いつつ遮蔽特性に優れるという長所がある。
【0097】
本発明の一実施形態に係るタッチパネルは高抵抗性を有している。
【0098】
本発明の一実施形態に係るタッチパネルは、ベゼルパターン上に位置した配線の駆動が容易であるという長所がある。
【0099】
本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置は、基板、および前記基板上に前記感光性樹脂組成物から製造されたベゼル(bezel)パターンを含む。
【0100】
前記ディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diode、OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin Film Transistor− Liquid Crystal Display、LCD−TFT)および陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)のうちのいずれか1つであってもよい。
【0101】
前記ベゼルパターンのテーパー角は0°超過60°以下であってもよく、具体的には、0°超過40°以下であってもよく、必要に応じ、0°超過30°以下であってもよい。この場合に、前記ベゼルパターン上にセンサ層を適用する時、なだらかなテーパー角によって配線の短絡が発生しないという長所がある。
【0102】
前記ベゼルパターンの厚さは0.3μm〜5μmであってもよく、必要に応じ、0.8μm〜3μmであってもよい。この場合に、前記ベゼルパターン上にセンサ層を適用しても、基板との高さ差によって配線の短絡が発生しないという長所がある。
【0103】
前記ベゼルパターンの表面抵抗値は10
12Ω/square以上であり、前記表面抵抗値は高いほど良いが、必要に応じ、10
12〜10
20Ω/squareであってもよい。この場合に、前記ベゼルパターン上に金属膜の蒸着または接着を通じて金属配線を形成することが容易であるという長所がある。
【0104】
前記ベゼルパターンの厚さ(1μm)当たりの光学密度は1〜5であり、必要に応じ、2〜4であってもよい。この場合に、ベゼルパターンによる遮蔽特性に優れるという長所がある。光学密度が単位厚さ当たり5を超過する場合は、抵抗が低下する恐れがあり、この光学密度を実現するためには含まれる遮光材料の含量が増加してパターンの形成が難しくなり得る。
【0105】
本発明の一実施形態において、ベゼルパターンは、時計、ディスプレイ装置などの各種装置のエッジ部分に形成されるパターンをいう。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。下記の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲は下記の特許請求の範囲に記載された範囲およびその置き換えおよび変更を含み、実施例の範囲に限定されるものではない。
【0107】
<実施例1>
カーボン分散液(トクシキ社製、BK_8115、カーボン含量20%)600g、アルカリ可溶性アクリル系バインダー1としてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリシジルメタクリレートが付加されたメタクリル酸/メタクリル酸{(モル比38/7/7/17/31、Mw=9000、124KOHmg/g)、固形分含量30%}70g、アクリル系バインダー2としてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/ラウリルメタクリレート/メタクリル酸{(モル比44/7/8/14/27、Mw=19000、105KOHmg/g)、固形分含量30%}130g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35g、光重合開始剤としてN−1919(アデカ社製)20g、密着促進剤として3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5gおよびレベリング剤としてF−475(DIC社製)1g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート530g、3−メトキシブチルアセテート100gを混合した。
【0108】
その次、前記混合物を5時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した。
【0109】
<実施例2>
カーボン分散液(トクシキ社製、BK_8115、カーボン含量20%)600g、アルカリ可溶性アクリル系バインダー1としてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリシジルメタクリレートが付加されたメタクリル酸/メタクリル酸{(モル比38/7/7/17/31、Mw=9000、124KOHmg/g)、固形分含量30%}70g、アクリル系バインダー2としてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/ラウリルメタクリレート/メタクリル酸{(モル比44/7/8/14/27、Mw=19000、105KOHmg/g)、固形分含量30%}100g、フルオレン系バインダー{アクリル酸が付加されたビスフェノールフルオレンエポキシアクリレート/1,3−シクロヘキシルジイソシアネート(モル比65/35、Mw=5000、酸価80KOHmg/g)固形分含量35%}30g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35g、光重合開始剤としてN−1919(アデカ社製)20g、密着促進剤として3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5gおよびレベリング剤としてF−475(DIC社製)1g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート530g、3−メトキシブチルアセテート100gを混合した。
【0110】
その次、前記混合物を5時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した。
【0111】
<実施例3>
カーボン分散液(トクシキ社製、BK_8115、カーボン含量20%)600g、アルカリ可溶性アクリル系バインダーとしてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/ラウリルメタクリレート/グリシジルメタクリレートが付加されたメタクリル酸/メタクリル酸{(モル比35/7/7/14/12/25、Mw=18000、105KOHmg/g)、固形分含量30%}150g、フルオレン系バインダー{アクリル酸が付加されたビスフェノールフルオレンエポキシアクリレート/1,3−シクロヘキシルジイソシアネート(モル比65/35、Mw=5000、酸価80KOHmg/g)固形分含量35%}40g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35g、光重合開始剤としてN−1919(アデカ社製)20g、密着促進剤として3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5gおよびレベリング剤としてF−475(DIC社製)1g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート530g、3−メトキシブチルアセテート100gを混合した
【0112】
その次、前記混合物を5時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した。
【0113】
<比較例1>
カーボン分散液(トクシキ社製、BK_8115、カーボン含量20%)600g、アルカリ可溶性アクリル系バインダーとしてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリシジルメタクリレートが付加されたメタクリル酸/メタクリル酸{(モル比38/7/7/17/31、Mw=15000、124KOHmg/g)、固形分含量30%}200g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35g、光重合開始剤としてN−1919(アデカ社製)20g、密着促進剤として3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部およびレベリング剤としてF−475(DIC社製)1g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート530g、3−メトキシブチルアセテート100gを混合した。
【0114】
その次、前記混合物を5時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した。
【0115】
<比較例2>
カーボン分散液(トクシキ社製、BK_8115、カーボン含量20%)600g、アルカリ可溶性アクリル系バインダーとしてベンジルメタクリレート/ラウリルメタクリレート/グリシジルメタクリレートが付加されたメタクリル酸/メタクリル酸{(モル比30/35/8/27、Mw=13000、105KOHmg/g)、固形分含量30%}200g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35g、光重合開始剤としてN−1919(アデカ社製)20g、密着促進剤として3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部およびレベリング剤としてF−475(DIC社製)1g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート530g、3−メトキシブチルアセテート100gを混合した。
その次、前記混合物を5時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した。
【0116】
<比較例3>
カーボン分散液(トクシキ社製、BK_8115、カーボン含量20%)600g、アルカリ可溶性アクリル系バインダー1としてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/グリシジルメタクリレートが付加されたメタクリル酸/メタクリル酸{(モル比38/7/7/17/31、Mw=9000、124KOHmg/g)、固形分含量30%}50g、アクリル系バインダー2としてベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド/スチレン/ラウリルメタクリレート/メタクリル酸{(モル比44/7/8/14/27、Mw=19000、105KOHmg/g)、固形分含量30%}50g、フルオレン系バインダー{アクリル酸が付加されたビスフェノールフルオレンエポキシアクリレート/1,3−シクロヘキシルジイソシアネート(モル比65/35、Mw=5000、酸価80KOHmg/g)固形分含量35%}100g、多官能性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート35g、光重合開始剤としてN−1919(アデカ社製)20g、密着促進剤として3−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン5gおよびレベリング剤としてF−475(DIC社製)1g、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート530g、3−メトキシブチルアセテート100gを混合した。
その次、前記混合物を5時間攪拌して感光性樹脂組成物を製造した。
【0117】
<実験例1>
実施例1〜3および比較例1〜3の感光性樹脂組成物をガラスにスピンコーティングを用いてコーティングした後、約100℃で2分間前熱処理して約1.42μm厚さの塗膜を形成した。その次、室温で冷却した後、フォトマスクを用いて高圧水銀ランプ下で100mJ/cm
2のエネルギーで露光させた。前記露光された基板を25℃の温度で0.04%のKOH水溶液においてスプレー方式で現像した後、純水で洗浄して乾燥し、230℃の対流式オーブンで20分間ポストベーク(post−bake)を行った。
【0118】
【表1】
【0119】
実施例1〜3によって収得したフィルムは、各工程による表面欠点が全くないきれいな塗膜が得られた。
【0120】
前記実施例1のフィルムは、膜厚さは1.31μm、ODは5.0、テーパー角は40度を有しており、良好な直進性を有するベゼル膜を確保することができた。
【0121】
前記実施例2のフィルムは、膜厚さは1.32μm、ODは5.0、テーパー角は50度を有しており、良好な直進性を有するベゼル膜を確保することができた。
【0122】
前記実施例3のフィルムは、膜厚さは1.30μm、ODは5.0であって、きれいな塗膜が得られ、テーパー角が40度であって、直進性に優れるベゼル膜を得ることができた。
【0123】
比較例1〜3によって収得したフィルムは、各工程による表面欠点が全くないきれいな塗膜が得られた。
【0124】
しかし、前記比較例1では、アクリル系バインダーを重合するためのモノマーとして側鎖が長い化合物を含んでいないため、前記比較例1のフィルムは現像マージンが少なく、後工程において金属配線の短絡をもたらす逆テーパー(T字形)のテーパーが得られ、ベゼル膜としての使用が不可であった。
【0125】
前記比較例2では、アクリル系バインダーを重合するためのモノマーとして側鎖が長い化合物を過量に含んでおり、パターン直進性が悪化して良好なパターンを得ることができなかった。
【0126】
前記比較例3では、バインダー樹脂として、フルオレン系バインダーを過量に用いて、テーパー角が80度に高くなって、後工程において金属配線の短絡をもたらすテーパー形態であって、ベゼル膜としての使用が不可であった。
【0127】
結果的に、本実施形態によれば、タッチパネルのカバーガラスに直接に適用可能なベゼル用感光性樹脂組成物は、用いられるバインダー樹脂の成分と組成比率を最適化することによって理想的なテーパー角を確保することができ、これを適用して優れたタッチパネルを確保することができた。