【実施例】
【0082】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
〔金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板の作製〕
<実施例1>
直流マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下記の条件で、ソーダガラス基板上に、銀粒子を極めてゆっくりと成長させ、基板表面の全面に金属系粒子集合体の薄膜を形成して、金属系粒子集合体層積層基板を得た。
【0084】
使用ガス:アルゴン、
チャンバ内圧力(スパッタガス圧):10Pa、
基板・ターゲット間距離:100mm、
スパッタ電力:4W、
平均粒径成長速度(平均粒径/スパッタ時間):0.9nm/分、
平均高さ成長速度(=平均堆積速度=平均高さ/スパッタ時間):0.25nm/分、
基板温度:300℃、
基板サイズおよび形状:一辺が5cmの正方形。
【0085】
図2は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像である。
図2(a)は10000倍スケールの拡大像であり、
図2(b)は50000倍スケールの拡大像である。また
図3は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を示すAFM画像である。AFM像撮影にはキーエンス社製「VN−8010」を用いた(以下同様)。
図3に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
【0086】
図2に示されるSEM画像より、本実施例1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は335nm、平均粒子間距離は16.7nmと求められた。また
図2に示されるAFM画像より、平均高さは96.2nmと求められた。これらより銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は3.48と算出され、また、取得した画像からも銀粒子は扁平形状を有していることがわかる。さらにSEM画像より、本実施例1の金属系粒子集合体は、約6.25×10
10個(約25個/μm
2)の銀粒子を有することがわかる。
【0087】
また、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
【0088】
<比較例1および2>
直流マグネトロンスパッタリング法における堆積時間を変更することにより、比較例1および2の金属系粒子集合体膜積層基板を得た。比較例1の金属系粒子集合体膜積層基板は、金属系粒子の平均高さが約10nmであること以外は実施例1と略同じ粒子形状、アスペクト比および平均粒子間距離を有し、比較例2の金属系粒子集合体膜積層基板は、金属系粒子の平均高さが約30nmであること以外は実施例1と略同じ粒子形状、アスペクト比および平均粒子間距離を有するものであった。
【0089】
〔散乱強度比S
1/S
0の測定〕
図4は、実施例1および比較例1〜2の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図4に示されるグラフの縦軸は、上述の測定方法によって求めた散乱強度比S
1/S
0(ただし、百分率で示している。)である。
図4に示されるとおり、実施例1、比較例1、比較例2におけるプラズモン散乱ピークの散乱強度比S
1/S
0はそれぞれ、22.4%(極大波長:458nm)、0.1%(極大波長:652nm)、1.9%(極大波長:730nm)であった。このように、比較例1および2の金属系粒子集合体膜積層基板は、実質的にプラズモン散乱ピークを有しないものであった。
【0090】
散乱強度比S
1/S
0の測定にあたっては、分光装置(日本分光株式会社製 紫外可視分光光度計 V−650)を用い、白色光である入射光を入射し、該入射光から30°の角度で散乱する散乱光の散乱スペクトルを取得した(以下の実施例、比較例においても散乱スペクトルおよび散乱強度比S
1/S
0の測定方法は同じである。)。
【0091】
参照系積層基板には、硫酸バリウム粉末を平坦に固めたものが硫酸バリウム層としてソーダガラス基板上に形成された標準拡散板を使用した。
【0092】
〔吸光スペクトルの測定〕
図5は、実施例1および比較例1〜2の金属系粒子集合体膜積層基板の吸光光度法により測定された吸光スペクトルである。非特許文献(K. Lance Kelly, et al., "The Optical Properties of Metal Nanoparticles: The Influence of Size, Shape, and Dielectric Environment", The Journal of Physical Chemistry B, 2003, 107, 668)に示されているように、実施例1のような扁平形状の銀粒子は、平均粒径が200nmのとき約550nm付近に、平均粒径が300nmのときは650nm付近にプラズモンピークを持つことが一般的である(いずれも銀粒子単独の場合である)。
【0093】
これに対して、実施例1の金属系粒子集合体膜積層基板は、これを構成する銀粒子の平均粒径が約300nm(335nm)であるにもかかわらず、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長は約450nm付近と、短波長側にシフトしていることがわかる。プラズモンピークの極大波長は金属系粒子の平均粒径に依存する。比較例1および2では、平均粒径が小さいために実施例1と比較してかなり長波長側にプラズモンピークを有しており、その極大波長は、それぞれ約510nm、約470nmである。
【0094】
なお、吸光スペクトルは、金属系粒子集合体膜積層基板の裏面(金属系粒子集合体膜とは反対側)側であって、基板面に垂直な方向から紫外〜可視光領域の入射光を照射し、金属系粒子集合体膜側に透過した全方向における透過光の強度Iと、前記金属系粒子集合体膜積層基板の基板と同じ厚み、材質の基板であって、金属系粒子集合体膜が積層されていない基板の面に垂直な方向から先と同じ入射光を照射し、入射面の反対側から透過した全方向における透過光の強度I
0を、それぞれ積分球分光光度計を用いて測定することによって得られたものである。縦軸の吸光度は、下記式:
吸光度=−log
10(I/I
0)
で表される。
【0095】
〔光励起発光素子の作製および発光増強の評価〕
<実施例2−1>
実施例1とほぼ同じ条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例1と同様の金属系粒子集合体膜を形成した。この金属系粒子集合体膜は、金属系粒子の平均高さが66.1nmであること以外は実施例1と同じ粒子形状(平均粒径:約330nm、アスペクト比:約3.5)および平均粒子間距離を有するものであった。
【0096】
図6は、本実施例2−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図6に示されるとおり、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S
1/S
0は、19.0%(極大波長:451nm)であった。
【0097】
次に、金属系粒子集合体膜上にクマリン系発光層用溶液を3000rpmでスピンコートし、極薄い(単分子膜スケールの)クマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。クマリン系発光層用溶液は次のように調製した。まずクマリン色素(Exciton社 Coumarin503)をエタノールに溶解し5mMクマリン溶液とした。また別途、有機系スピンオングラス(SOG)材料(東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」)をエタノールで33体積%に希釈した。この33体積%有機系SOG材料希釈液、5mMクマリン溶液、エタノールを、体積比が1:5:5となるように混合し、クマリン系発光層用溶液を得た。
【0098】
<実施例2−2>
実施例2−1と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例2−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、SOG溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み10nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。ここでいう「平均厚み」とは、金属系粒子集合体膜上に形成するときと同じ条件で(同じ面積に、同じ組成の塗布液を同じ塗布量で)、ソーダガラス基板上に直接スピンコートしたときの、任意の5点における厚みの平均値である。(以下の実施例、比較例についても同様)。
【0099】
次に、上記の絶縁層を有する金属系粒子集合体膜の最表面に、実施例2−1で用いたものと同じクマリン系発光層用溶液を3000rpmでスピンコートし、極薄い(単分子膜スケールの)クマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。
【0100】
<実施例2−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0101】
<実施例2−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0102】
<実施例2−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0103】
<実施例2−6>
絶縁層の平均厚みを350nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0104】
<実施例3−1>
銀ナノ粒子分散液(三菱マテリアル株式会社製「銀ナノコロイド A−2 反射膜形成用インク」)をエタノールを用いて1/40に希釈し、銀ナノ粒子塗工液を調製した。
【0105】
次に、表面をアセトン拭きした1mm厚のソーダガラス基板上に上記銀ナノ粒子塗工液100μLを1000rpmでスピンコートした後、280℃のホットプレートを用い、空気雰囲気下で2分間熱処理(焼成)を行なった。スピンコートによる銀ナノ粒子塗工液の塗工およびそれに続く熱処理の一連の工程を合計20回繰り返して、金属系粒子集合体膜積層基板を得た。
【0106】
図7は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像である。
図7(a)は10000倍スケールの拡大像であり、
図7(b)は50000倍スケールの拡大像である。また
図8は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を示すAFM画像である。
図8に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
【0107】
図9は、本実施例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図9に示されるとおり、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S
1/S
0は、33.5%(極大波長:420nm)であった。また、本実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルを
図10に示した(吸光スペクトルの測定方法は上記のとおりである)。
【0108】
図7に示されるSEM画像より、本実施例3−1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は323nm、平均粒子間距離は63.0nmと求められた。また
図8に示されるAFM画像より、平均高さは94.6nmと求められた。これらより銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は3.41と算出され、また、取得した画像からも銀粒子は扁平形状を有していることがわかる。さらにSEM画像より、本実施例3−1の金属系粒子集合体は、約21×10
10個(約5.3個/μm
2)の銀粒子を有することがわかる。
【0109】
また、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
【0110】
本実施例3−1の吸光スペクトル(
図10)における最も長波長側のピーク(プラズモンピーク)の吸光度は、実施例1(
図5)と比べて低いが、
図9に示されるように、プラズモン散乱ピークの散乱強度比は比較的高い。これは、熱処理温度を低めに設定し、金属系粒子の形状をややいびつにしたことが一因である(
図7に示されるSEM画像および
図8に示されるAFM画像参照)。
【0111】
なお、本実施例3−1の吸光スペクトル(
図10)の吸光度は、実施例1(
図5)と比べ、可視光波長域全体にわたって低い。これは、本実施例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板が実施例1と比べて、相対的に光透過性に優れていることを意味している。このような光透過性に優れる金属系粒子集合体膜積層基板は、適用する光学素子の光透過性を悪化させにくいため、とりわけ透明ディスプレイ等の光学素子に好適に用いられる。
【0112】
次に、本実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板を用いたこと以外は、実施例2−2と同様にして、平均厚み10nmの絶縁層およびクマリン系発光層を形成し、発光素子を得た。
【0113】
<実施例3−2〜3−4>
実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板を用いたこと以外は、それぞれ実施例2−3〜2−5と同様にして、平均厚み30nm、80nm、150nmの絶縁層およびクマリン系発光層を形成し、発光素子を得た。
【0114】
<比較例3−1>
銀ナノ粒子水分散物(三菱製紙社製、銀ナノ粒子濃度:25重量%、銀ナノ粒子の平均粒径:15nm)を純水で、銀ナノ粒子濃度が6重量%となるように希釈した。次いで、この銀ナノ粒子水分散物に対して1体積%の界面活性剤を添加して良く攪拌した後、得られた銀ナノ粒子水分散物に対して80体積%のアセトンを添加して常温で十分撹拌し、銀ナノ粒子塗工液を調製した。
【0115】
次に、表面をアセトン拭きした1mm厚のソーダガラス基板上に上記銀ナノ粒子塗工液を1500rpmでスピンコートした後、そのまま大気中で1分間放置した。その後、銀膜が形成されたソーダガラス基板を550℃の電気炉内に入れ、空気雰囲気下で5分間熱処理(焼成)を行ない、金属系粒子集合体膜積層基板を得た。
【0116】
図11は、本比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像であり、10000倍スケールの拡大像である。
図12は、本比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を示すAFM画像である。
図12に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
【0117】
図13は、本比較例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図13には、比較のため、実施例1のグラフ(
図4と同じもの)を併せて示している。また、上記実施例2−1および本比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルを
図14に示した(吸光スペクトルの測定方法は上記のとおりである)。
【0118】
図11に示されるSEM画像より、本比較例3−1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は278nm、平均粒子間距離は195.5nmと求められた。また
図8に示されるAFM画像より、平均高さは99.5nmと求められた。これらより銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は2.79と算出され、また、取得した画像からも銀粒子は扁平形状を有していることがわかる。さらにSEM画像より、本比較例3−1の金属系粒子集合体は、約2.18×10
10個(約8.72個/μm
2)の銀粒子を有することがわかる。
【0119】
図13に示されるとおり、本比較例3−1の金属系粒子集合体のプラズモン散乱ピークの散乱強度比S
1/S
0は、12.5%(極大波長:619nm)であった。本比較例3−1の金属系粒子集合体の散乱強度比S
1/S
0は、各実施例とは異なり、15%未満であった。
【0120】
また
図14に示される吸光スペクトルおよび
図10に示される吸光スペクトルより、実施例2−1および実施例3−1の最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長は、比較例3−1に比べブルーシフトしており、かつ、プラズモンピークが先鋭化し、その極大波長における吸光度が高くなっていることがわかる。
【0121】
次に、実施例2−1と同様にして、金属系粒子集合体膜上にクマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。
【0122】
<比較例3−2>
比較例3−1と同じ方法で、1mm厚のソーダガラス基板上に比較例3−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、SOG溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み10nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
【0123】
次に、実施例2−2と同様にして、上記の絶縁層を有する金属系粒子集合体膜の最表面にクマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。
【0124】
<比較例3−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0125】
<比較例3−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0126】
<比較例3−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0127】
<比較例3−6>
絶縁層の平均厚みを350nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0128】
<比較例4>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例2−1と同様にして発光素子を得た。
【0129】
<実施例4−1>
実施例2−1と同じ方法で、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例2−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。
【0130】
次に、金属系粒子集合体膜上にAlq
3発光層用溶液をスピンコートして、平均厚み30nmのAlq
3発光層を形成した。Alq
3発光層用溶液は、Alq
3(シグマアルドリッチ社 Tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)を、濃度が0.5重量%となるようにクロロホルムに溶解して調製した。
【0131】
<実施例4−2>
実施例2−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例4−1と同じ方法で平均厚み30nmのAlq
3発光層を形成して、発光素子を得た。
【0132】
<実施例4−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は実施例4−2と同様にして、発光素子を得た。
【0133】
<実施例4−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は実施例4−2と同様にして、発光素子を得た。
【0134】
<実施例4−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は実施例4−2と同様にして、発光素子を得た。
【0135】
<比較例5−1>
比較例3−1と同じ方法で、1mm厚のソーダガラス基板上に比較例3−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例4−1と同じ方法で平均厚み30nmのAlq
3発光層を形成して、発光素子を得た。
【0136】
<比較例5−2>
比較例3−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例4−1と同じ方法で平均厚み30nmのAlq
3発光層を形成して、発光素子を得た。
【0137】
<比較例5−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は比較例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0138】
<比較例5−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は比較例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0139】
<比較例5−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は比較例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0140】
<比較例6>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例4−1と同様にして発光素子を得た。
【0141】
<実施例5−1>
実施例2−1と同じ方法で、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例2−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。
【0142】
次に、金属系粒子集合体膜上にF8BT発光層用溶液をスピンコートした後、ホットプレートで170℃、30分間焼成して、平均厚み30nmのF8BT発光層を形成した。F8BT発光層用溶液は、F8BT(Luminescence Technology社)を、濃度が1重量%となるようにクロロベンゼンに溶解して調製した。
【0143】
<実施例5−2>
実施例2−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例5−1と同じ方法で平均厚み30nmのF8BT発光層を形成して、発光素子を得た。
【0144】
<実施例5−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は実施例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0145】
<比較例7−1>
比較例3−1と同じ方法で、1mm厚のソーダガラス基板上に比較例3−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例5−1と同じ方法で平均厚み30nmのF8BT発光層を形成して、発光素子を得た。
【0146】
<比較例7−2>
比較例3−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜積層基板を形成した後、実施例5−1と同じ方法で平均厚み30nmのF8BT発光層を形成して、発光素子を得た。
【0147】
<比較例7−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は比較例7−2と同様にして、発光素子を得た。
【0148】
<比較例8>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例5−1と同様にして発光素子を得た。
【0149】
実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、実施例3−1、3−2、3−3、3−4、実施例4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、実施例5−1、5−2、5−3、比較例3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、比較例4、比較例5−1、5−2、5−3、5−4、5−5、比較例6、比較例7−1、7−2、7−3、比較例8のそれぞれの光励起発光素子について、次のようにして発光増強の程度を評価した。
【0150】
光励起発光素子の発光スペクトルの測定系を示す
図15(a)および光励起発光素子の断面模式図である
図15(b)を参照して、光励起発光素子1の発光層2側に、発光層2の表面に対して垂直な方向から励起光3を照射することにより光励起発光素子1を発光させた。励起光源4にはUV−LED(サウスウォーカー社製 UV−LED375−nano、励起光波長375nm)を用い、励起光源4からの発光をレンズ5で集光して励起光3とし、これを照射した。励起光3の光軸に対して40°の方向に放射される光励起発光素子1からの発光6をレンズ7で集光し、励起光の波長の光をカットする波長カットフィルタ8(シグマ光機社製 SCF−50S−44Y)を通して、分光測定器9(大塚電子社製 MCPD−3000)により検出した。
図15(b)は実施例および比較例で作製したソーダガラスからなる基板100上に、金属系粒子集合体200からなる膜、絶縁層300、発光層2をこの順に備える光励起発光素子1を示す断面模式図である。
【0151】
検出された発光のスペクトルについて発光波長領域における積分値を求めた。実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、実施例3−1、3−2、3−3、3−4、および、比較例3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較例4の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値を「発光増強倍率」とし、これを縦軸としたグラフを
図16に示した。
【0152】
実施例4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、および、比較例5−1、5−2、5−3、5−4、5−5の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較例6の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値を「発光増強倍率」とし、これを縦軸としたグラフを
図17に示した。
【0153】
実施例5−1、5−2、5−3、および、比較例7−1、7−2、7−3の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較例8の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値を「発光増強倍率」とし、これを縦軸としたグラフを
図18に示した。
【0154】
図16〜
図18に示されるとおり、実施例2−1の金属系粒子集合体は強いプラズモン共鳴を示すため、これを備える発光素子は、発光層を構成する発光材料の種類にかかわらず、顕著な発光増強効果を示した。また、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)が著しく伸長されているため、絶縁層の厚みが350nmと厚い場合であっても、発光増強効果が認められている。
【0155】
実施例3−1の金属系粒子集合体においても、プラズモンピーク(吸光スペクトルにおける最も長波長側のピーク)の吸光度は比較的低いものの、プラズモン散乱ピークの散乱強度比が15%以上(33.5%)であるため、十分に高い発光増強効果が見られた。また、プラズモン共鳴の作用範囲の伸長も認められ、絶縁層の厚みが80nmと厚い場合であっても、発光増強効果が得られている。
【0156】
〔有機EL素子の作製および発光強度の評価〕
<実施例6>
実施例1と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、スピンオングラス(SOG)溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み80nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
【0157】
次に、イオンスパッタリング法により、アノード極としてのIZO層(厚み22nm)を絶縁層上に積層した後、正孔注入層形成用溶液をアノード極上にスピンコートして、平均厚み20nmの正孔注入層を積層した。正孔注入層形成用溶液には、PLEXTRONICS社製、商品名「Plexcore AQ 1200」を、エタノールを用いて所定濃度に希釈したものを用いた。絶縁層、アノード極および正孔注入層の合計平均厚み(すなわち、金属系粒子集合体膜表面から発光層までの平均距離)は122nmである。
【0158】
ついで、有機溶媒に溶解可能な高分子発光体を、所定濃度で有機溶媒に溶解し、これを正孔注入層上にスピンコートして、100nm厚の発光層を形成した。その後、真空蒸着法により、電子注入層としてのNaF層(2nm厚)、カソード極としてのMg層(2nm厚)およびAg層(10nm厚)をこの順で発光層上に積層した。得られた素子を表面側から封止剤(ナガセケムテックス社製 紫外線硬化性樹脂「XNR5516ZLV」)を用いて封止し、有機EL素子を得た。
【0159】
<比較例9>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例6と同様にして有機EL素子を作製した。
【0160】
実施例6の有機EL素子に、ソースメーター(ケースレーインスツルメンツ株式会社製 ソースメーター 2602A 型)により15Vの一定電圧を印加し、電極間に流れる電流値を2.3mAとして素子を発光させた。発光スペクトルをコニカミノルタ社製 分光測定装置「CS−2000」を用いて測定し、得られた発光スペクトルを可視光波長域で積分して、発光強度を求めた。電極間に流れる電流値を2.7mAとしたこと以外は実施例6の有機EL素子と同様にして(印加電圧は、実施例6の有機EL素子と同じく15Vである)、比較例9の有機EL素子についても発光強度を求めた。その結果、実施例6の有機EL素子は、比較例9の有機EL素子と比較して約3.8倍の発光強度を示すことが確認された。
【0161】
<実施例7>
実施例1と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、スピンオングラス(SOG)溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み30nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
【0162】
次に、イオンスパッタリング法により、アノード極としてのIZO層(厚み22nm)を絶縁層上に積層した後、正孔注入層形成用溶液をアノード極上にスピンコートして、平均厚み20nmの正孔注入層を積層した。正孔注入層形成用溶液には、PLEXTRONICS社製、商品名「Plexcore AQ 1200」を、エタノールを用いて所定濃度に希釈したものを用いた。絶縁層、アノード極および正孔注入層の合計平均厚み(すなわち、金属系粒子集合体膜表面から発光層までの平均距離)は72nmである。
【0163】
ついで、真空蒸着法によって正孔注入層上に発光層としてAlq
3を80nm成膜した。その後、真空蒸着法により、電子注入層としてのNaF層(2nm厚)、カソード極としてのMg層(2nm厚)およびAg層(10nm厚)をこの順で発光層上に積層した。得られた素子を表面側から封止剤(ナガセケムテックス社製 紫外線硬化性樹脂「XNR5516ZLV」)を用いて封止し、有機EL素子を得た。
【0164】
<比較例10>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
【0165】
実施例7の有機EL素子に、ソースメーター(ケースレーインスツルメンツ株式会社製 ソースメーター 2602A 型)により11Vの一定電圧を印加し、電極間に流れる電流値を0.7mAとして素子を発光させた。発光スペクトルをコニカミノルタ社製 分光測定装置「CS−2000」を用いて測定し、得られた発光スペクトルを可視光波長域で積分して、発光強度を求めた。電極間に流れる電流値を1.1mAに調節したこと以外は実施例7の有機EL素子と同様にして(印加電圧は、実施例7の有機EL素子と同じく11Vである)、比較例10の有機EL素子についても発光強度を求めた。その結果、実施例7の有機EL素子は、比較例10の有機EL素子と比較して約2.6倍の発光強度を示すことが確認された。