特許第6018857号(P6018857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018857
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】金属系粒子集合体
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0216 20140101AFI20161020BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161020BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20161020BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01L31/04 240
   H05B33/14 A
   H05B33/14 Z
   H05B33/02
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-204493(P2012-204493)
(22)【出願日】2012年9月18日
(65)【公開番号】特開2014-60273(P2014-60273A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福浦 知浩
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−192829(JP,A)
【文献】 特開2012−124290(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/117280(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
H01L 31/10
H01L 33/00−33/64
H01L 51/50
H05B 33/02
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体であって、
前記金属系粒子は、その平均粒径が200〜1600nmの範囲内、平均高さが55〜500nmの範囲内、前記平均高さに対する前記平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1〜8の範囲内にあり、
前記金属系粒子集合体の表面に対してその法線方向から入射光を入射したときに前記入射光から30°の角度で散乱する光の散乱スペクトルにおいて、ピーク強度が最も高いピークの極大波長における散乱強度をS1とし、硫酸バリウム層からなる参照系についての前記ピークの散乱強度をS0とするとき、散乱強度比S1/S0が0.15以上であり、
前記金属系粒子は、その隣り合う金属系粒子との間に関して非導電性である金属系粒子集合体。
【請求項2】
前記金属系粒子は、前記アスペクト比が1を超える扁平状の粒子である請求項1に記載の金属系粒子集合体。
【請求項3】
前記金属系粒子は、銀からなる請求項1または2に記載の金属系粒子集合体。
【請求項4】
基板と、前記基板上に積層される請求項1〜のいずれかに記載の金属系粒子集合体からなる膜とを備える金属系粒子集合体膜積層基板。
【請求項5】
可視光領域における吸光スペクトルにおいて、最も長波長側にあるピークが350〜550nmの範囲内に極大波長を有する請求項に記載の金属系粒子集合体膜積層基板。
【請求項6】
可視光領域における吸光スペクトルにおいて、最も長波長側にあるピークの極大波長における吸光度が1以上である請求項またはに記載の金属系粒子集合体膜積層基板。
【請求項7】
前記膜を構成するそれぞれの金属系粒子の表面を覆う絶縁層をさらに備える請求項のいずれかに記載の金属系粒子集合体膜積層基板。
【請求項8】
10nm以上の厚みを有する活性層と、請求項1〜のいずれかに記載の金属系粒子集合体または請求項のいずれかに記載の金属系粒子集合体膜積層基板とを備える光学素子。
【請求項9】
前記活性層が示す発光スペクトルまたは吸光スペクトルにおける少なくとも1つのピークの極大波長と、前記金属系粒子集合体が示す前記散乱スペクトルにおける前記極大波長との差の絶対値が200nm以下である請求項に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子(有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、無機EL素子、無機LED(ライトエミッティングダイオード)素子等)の発光効率向上や光電変換素子(太陽電池素子)の変換効率向上等に有用なプラズモン材料(プラズモニックマテリアル)である金属系粒子集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属粒子をナノサイズにまで微細化すると、バルク状態では見られなかった機能を発現するようになることが従来知られており、なかでも応用が期待されているのが「局在プラズモン共鳴」である。プラズモンとは、金属ナノ構造体中の自由電子の集団的な振動によって生起する自由電子の粗密波のことである。
【0003】
近年、上記プラズモンを扱う技術分野は、「プラズモニクス」と呼ばれ大きな注目を集めているとともに活発な研究が行なわれており、かかる研究は金属ナノ粒子の局在プラズモン共鳴現象を利用した発光素子の発光効率向上や、光電変換素子(太陽電池素子)の変換効率向上を目的とするものを含む。
【0004】
たとえば特許文献1〜3には、局在プラズモン共鳴現象を利用して蛍光を増強させる技術が開示されている。また非特許文献1には、銀ナノ粒子による局在プラズモン共鳴に関する研究が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−139540号公報
【特許文献2】特開平08−271431号公報
【特許文献3】国際公開第2005/033335号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Fukuura and M. Kawasaki, "Long Range Enhancement of Molecular Fluorescence by Closely Packed Submicro-scale Ag Islands", e-Journal of Surface Science and Nanotechnology, 2009, 7, 653
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属ナノ粒子の局在プラズモン共鳴現象を利用した従来の発光増強には次のような課題があった。すなわち、金属ナノ粒子による発光増強作用の要因には、1)金属ナノ粒子中に局在プラズモンが生起されることによって粒子近傍の電場が増強される(第1の因子)、および、2)励起された分子からのエネルギー移動により金属ナノ粒子中の自由電子の振動モードが励起されることによって、励起された分子の発光性双極子よりも大きい発光性の誘起双極子が金属ナノ粒子中に生起し、これにより発光量子効率自体が増加する(第2の因子)、という2つの因子があるところ、より大きな要因である第2の因子における発光性誘起双極子を金属ナノ粒子に有効に生じさせるためには、金属ナノ粒子と励起される分子(蛍光物質等)との距離を、電子の直接移動であるデクスター機構によるエネルギー移動が起こらない範囲であって、フェルスター機構のエネルギー移動が発現する範囲内(1nm〜10nm)にすることが求められる。これは、発光性誘起双極子の生起がフェルスターのエネルギー移動の理論に基づくためである(上記非特許文献1参照)。
【0008】
一般に、上記1nm〜10nmの範囲内において、金属ナノ粒子と励起される分子との距離を近づけるほど、発光性誘起双極子が生起しやすくなり、発光増強効果が高まる一方、上記距離を大きくしていくと、局在プラズモン共鳴が有効に影響しなくなることによって発光増強効果は徐々に弱まり、フェルスター機構のエネルギー移動が発現する範囲を超えると(一般に10nm程度以上の距離になると)、発光増強効果をほとんど得ることはできなかった。上記特許文献1〜3に記載の発光増強方法においても、効果的な発光増強効果を得るために有効な金属ナノ粒子と励起される分子との間の距離は10nm以下とされている。
【0009】
このように従来の金属ナノ粒子を用いた局在プラズモン共鳴においては、その作用範囲が金属ナノ粒子表面から10nm以下と極めて狭い範囲内に限定されるという本質的な課題があった。この課題は必然的に、金属ナノ粒子による局在プラズモン共鳴を発光素子や光電変換素子等に利用して発光効率や変換効率向上を図る試みにおいて、ほとんど向上効果が認められないという課題を招来する。すなわち、発光素子や光電変換素子は通常、厚みが数十nmまたはそれ以上の活性層(たとえば発光素子の発光層や光電変換素子の光吸収層)を有しているが、仮に金属ナノ粒子を活性層に近接、あるいは内在させて配置することができたとしても、局在プラズモン共鳴による直接的な増強効果は、活性層のごく一部でしか得ることができない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、極めて強いプラズモン共鳴を示すとともに、プラズモン共鳴の作用範囲が極めて長距離まで伸長された新規なプラズモン材料(プラズモニックマテリアル)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記特許文献1(段落0010〜0011)では、局在プラズモン共鳴による発光増強と金属ナノ粒子の粒径との関係についての理論的な説明がなされており、これによれば、粒径が約500nmの真球状の銀粒子を用いる場合、理論上、発光効率φはおよそ1となるものの、実際にはこのような銀粒子は発光増強作用をほとんど示さない。このような大型銀粒子が発光増強作用をほとんど示さないのは、銀粒子中の表面自由電子があまりにも多いために、一般的なナノ粒子(比較的小粒径のナノ粒子)で見られる双極子型の局在プラズモンが生起し難いためであると推測される。しかしながら、大型ナノ粒子が内包する極めて多数の表面自由電子を有効にプラズモンとして励起することができれば、プラズモンによる増強効果を飛躍的に向上できると考えられる。
【0012】
鋭意研究の結果、本発明者は、所定形状を有する大型金属系粒子の所定数以上を互いに離間して二次元的に配置してなり、所定の光散乱特性を示す金属系粒子集合体によれば、極めて強いプラズモン共鳴を示すだけでなく、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)を著しく伸長できることを見出した。
【0013】
すなわち本発明は以下のものを含む。
[1] 30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなる金属系粒子集合体であって、
前記金属系粒子は、その平均粒径が200〜1600nmの範囲内、平均高さが55〜500nmの範囲内、前記平均高さに対する前記平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1〜8の範囲内にあり、
前記金属系粒子集合体の表面に対してその法線方向から入射光を入射したときに前記入射光から30°の角度で散乱する光の散乱スペクトルにおいて、ピーク強度が最も高いピークの極大波長における散乱強度をS1とし、硫酸バリウム層からなる参照系についての前記ピークの散乱強度をS0とするとき、散乱強度比S1/S0が0.15以上である金属系粒子集合体。
【0014】
[2] 前記金属系粒子は、前記アスペクト比が1を超える扁平状の粒子である[1]に記載の金属系粒子集合体。
【0015】
[3] 前記金属系粒子は、銀からなる[1]または[2]に記載の金属系粒子集合体。
【0016】
[4] 前記金属系粒子は、その隣り合う金属系粒子との間に関して非導電性である[1]〜[3]のいずれかに記載の金属系粒子集合体。
【0017】
[5] 基板と、前記基板上に積層される[1]〜[4]のいずれかに記載の金属系粒子集合体からなる膜とを備える金属系粒子集合体膜積層基板。
【0018】
[6] 可視光領域における吸光スペクトルにおいて、最も長波長側にあるピークが350〜550nmの範囲内に極大波長を有する[5]に記載の金属系粒子集合体膜積層基板。
【0019】
[7] 可視光領域における吸光スペクトルにおいて、最も長波長側にあるピークの極大波長における吸光度が1以上である[5]または[6]に記載の金属系粒子集合体膜積層基板。
【0020】
[8] 前記膜を構成するそれぞれの金属系粒子の表面を覆う絶縁層をさらに備える[5]〜[7]のいずれかに記載の金属系粒子集合体膜積層基板。
【0021】
[9] 10nm以上の厚みを有する活性層と、[1]〜[4]のいずれかに記載の金属系粒子集合体または[5]〜[8]のいずれかに記載の金属系粒子集合体膜積層基板とを備える光学素子。
【0022】
[10] 前記活性層が示す発光スペクトルまたは吸光スペクトルにおける少なくとも1つのピークの極大波長と、前記金属系粒子集合体が示す前記散乱スペクトルにおける前記極大波長との差の絶対値が200nm以下である[9]に記載の光学素子。
【0023】
本明細書では、基板上に積層された金属系粒子集合体を金属系粒子集合体膜積層基板と称する。また、本明細書において活性層とは、たとえば光電変換素子(太陽電池素子)の活性層である光吸収層および発光素子の活性層である発光層を含む概念である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板は、従来のプラズモン材料と比較して、極めて強いプラズモン共鳴を示すとともに、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)が著しく伸長されている。かかる本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板は、発光素子、光電変換素子(太陽電池素子)等を含む光学素子の増強要素として極めて有用であり、適用した光学素子の発光効率や変換効率を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】金属系粒子集合体の散乱強度S1および参照系の散乱強度S0の測定方法を説明するための模式図である。
図2】実施例1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像(10000倍および50000倍スケール)である。
図3】実施例1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜のAFM画像である。
図4】実施例1および比較例1〜2の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図5】実施例1および比較例1〜2の金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルである。
図6】実施例2−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図7】実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像(10000倍および50000倍スケール)である。
図8】実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜のAFM画像である。
図9】実施例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図10】実施例3−1のの金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルである。
図11】比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像(10000倍スケール)である。
図12】比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜のAFM画像である。
図13】比較例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。
図14】実施例2−1および比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルである。
図15図15(a)は光励起発光素子の発光スペクトルの測定系を示す模式図であり、図15(b)は金属系粒子集合体膜および絶縁層を有する光励起発光素子を示す断面模式図である。
図16】実施例2−1〜2−6および実施例3−1〜3−4の光励起発光素子における発光増強効果と、比較例3−1〜3−6の光励起発光素子における発光増強効果とを比較する図である。
図17】実施例4−1〜4−5の光励起発光素子における発光増強効果と、比較例5−1〜5−5の光励起発光素子における発光増強効果とを比較する図である。
図18】実施例5−1〜5−3の光励起発光素子における発光増強効果と、比較例7−1〜7−3の光励起発光素子における発光増強効果とを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板>
本発明の金属系粒子集合体は30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されてなる粒子集合体であり、金属系粒子集合体膜積層基板はこの金属系粒子集合体を基板上に積層(担持)させてなるものである。金属系粒子集合体を構成する金属系粒子は、その平均粒径が200〜1600nmの範囲内、平均高さが55〜500nmの範囲内、平均高さに対する平均粒径の比で定義されるアスペクト比が1〜8の範囲内とされる。
【0027】
本発明の金属系粒子集合体は、表面に対してその法線方向から入射光を入射したときに該入射光から30°の角度で散乱する散乱光の散乱スペクトル(横軸を散乱光の波長、縦軸を散乱強度とする関係曲線)を測定したとき、該散乱スペクトルにおいてピーク強度(極大波長における散乱強度)が最も高いピークの極大波長における散乱強度S1と、硫酸バリウム層からなる参照系について同測定条件で測定して得られた散乱スペクトルにおけるピーク強度が最も高いピークの極大波長における散乱強度S0との比(散乱強度比)S1/S0が0.15以上であることを特徴とする。
【0028】
所定形状を有する金属系粒子の所定数以上を互いに離間して二次元的に配置してなり、所定の光散乱特性を示す本発明の金属系粒子集合体によれば、極めて強いプラズモン共鳴を示すだけでなく、プラズモン共鳴の作用範囲を著しく伸長できる。これは、所定形状を有する金属系粒子の所定数以上を互いに離間して二次元的に配置した構造に起因して、個々の金属系粒子で生起した局在プラズモンが相互作用し合うことによって、比較的大型の金属系粒子表面が個々に内包する極めて多数の表面自由電子が、その粒子集合体において特異的なプラズモンとして励起されるためであると考えられる。
【0029】
本発明の金属系粒子集合体が示すプラズモン共鳴の強さは、特定波長における個々の金属系粒子が示す局在プラズモン共鳴の単なる総和ではなく、それ以上の強さである。これは、個々の金属系粒子で生起した局在プラズモンの相互作用によるものであると考えられる。一般にプラズモン材料は、吸光光度法で吸光スペクトルを測定したとき、紫外〜可視領域における先鋭なピークとしてプラズモン共鳴ピーク(以下、「プラズモンピーク」ともいう。)が観測され、このプラズモンピークの極大波長における吸光度値の大小から、そのプラズモン材料のプラズモン共鳴の強さを略式に評価することができるが、本発明の金属系粒子集合体は、これを基板(ガラス基板)上に積層した状態で(すなわち、金属系粒子集合体膜積層ガラス基板として)吸光光度法で吸光スペクトルを測定したとき、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長における吸光度が1以上、さらには1.5以上、なおさらには2程度となり得る。
【0030】
本発明の金属系粒子集合体によれば、従来では概ねフェルスター距離の範囲内(約10nm以下)に限定されていたプラズモン共鳴の作用範囲を、たとえば数百nm程度まで伸長することができる。プラズモン共鳴の作用範囲の伸長は、発光素子や光電変換素子等の光学素子の増強に極めて有利である。すなわち、この作用範囲の大幅な伸長によって、通常数十nmまたはそれ以上の厚みを有する活性層(発光素子における発光層や光電変換素子における光吸収層等)の全体を増強させることが可能になるため、光学素子の発光効率や変換効率等を著しく向上させることができる。
【0031】
また、従来のプラズモン材料においては、これを活性層との距離がフェルスター距離の範囲内となるように配置する必要があったが、本発明によれば、活性層から、たとえば10nm、さらには数十nm(たとえば20nm)、なおさらには数百nm離れた位置に配置してもプラズモン共鳴による増強効果を得ることができる。このことは、たとえば発光素子であれば、発光層からかなり離れた光取り出し面近傍にプラズモン材料(金属系粒子集合体)を配置することが可能になることを意味しており、これにより光取り出し効率を大幅に向上させることができる。従来のプラズモン材料を利用した発光素子では、プラズモン材料を発光層の極めて近傍に配置せざるを得ず、プラズモン材料と光取り出し面との距離が大きく離れていたため、生じた光が光取り出し面に到達するまでの間に、その多くが、通過する各種発光素子構成層の界面で全反射されてしまい、光取り出し効率が極めて小さくなることがあった。
【0032】
図1を参照して、金属系粒子集合体の散乱強度S1および参照系の散乱強度S0の測定方法を説明する。図1(a)を参照して、散乱強度S1の測定においては、基板(ガラス基板)100上に金属系粒子集合体200からなる膜を積層した金属系粒子集合体膜積層基板を用意し、金属系粒子集合体200からなる膜の表面に対して、その法線方向(該表面に対して垂直な方向)から白色光である入射光500を入射する。この際に生じる散乱光のうち、入射光500から30°の角度で散乱する散乱光510の散乱スペクトル(横軸を散乱光の波長、縦軸を散乱強度とする関係曲線)を取得する。得られた散乱スペクトルにおいて、ピーク強度が最も高いピークの極大波長における散乱強度が金属系粒子集合体の散乱強度S1である。本発明においては、入射光500から30°の角度で散乱する散乱光510のうちいずれか1つの散乱光について、散乱強度比S1/S0が0.15以上であればよい。
【0033】
参照系の散乱強度S0の測定においては、図1(b)を参照して、基板100上に硫酸バリウム層400を積層した参照系積層基板を用意し、この参照系積層基板について散乱強度S1と同じ測定条件で入射光500から30°の角度で散乱する散乱光520の散乱スペクトルを取得する。得られた散乱スペクトルにおいて、ピーク強度が最も高いピークの極大波長における散乱強度が参照系の散乱強度S0である。この参照系積層基板は、一般に「標準拡散板」と呼ばれているものであり、硫酸バリウム粉末を平坦に固めたものを硫酸バリウム層400として基板上に形成したものである。
【0034】
本発明の金属系粒子集合体は、上記散乱スペクトルの紫外〜可視領域においてプラズモン共鳴に起因する先鋭なピーク(以下、「プラズモン散乱ピーク」ともいう。)をピーク強度が最も高いピークとして有しており、このプラズモン散乱ピークの散乱強度S1と散乱強度S0との比(散乱強度比)S1/S0が0.15以上である。本願所定の形状を有する金属系粒子の所定数以上を互いに離間して二次元的に配置してなる金属系粒子集合体において、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0が大きいほどプラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲が向上する傾向にあることが本発明者によって見出されており、したがって散乱強度比S1/S0は、0.17以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましい。
【0035】
プラズモン散乱ピークの極大波長は、金属系粒子集合体を構成する金属系粒子の平均粒径や隣り合う金属系粒子との間の平均距離(以下、「平均粒子間距離」ともいう。)、金属系粒子の形状等の調整によって制御することができる。具体的には、本発明の金属系粒子集合体において平均粒子間距離を小さく保ち、かつ本願所定の範囲内(200〜1600nmの範囲内)で金属系粒子の平均粒径を大きくするに従い、プラズモン散乱ピークの極大波長は長波長側にシフトする。また、個々の金属系粒子が、微細凹凸を有する等のいびつな形状を有していると、プラズモン散乱ピークの極大波長は短波長側にシフトする。プラズモン散乱ピークの極大波長は、たとえば300〜900nmの波長領域内で制御し得る。
【0036】
後でも触れるように、プラズモン共鳴による増強効果をより効果的に得るためには、金属系粒子集合体のプラズモン散乱ピークの極大波長と、これを増強要素として用いる光学素子の活性層が示す発光スペクトルのいずれかのピークの極大波長とはできるだけ近いことが好ましい。両者の極大波長をできるだけ近づけるための手段として、上述の平均粒径および/または平均粒子間距離の調整によるプラズモン散乱ピークの極大波長の制御を利用することができる。
【0037】
上記のように本発明によれば、プラズモン散乱ピークの極大波長を短波長側にシフト(ブルーシフト)させることが可能であるが、このような金属系粒子集合体は、たとえば次の点で極めて有利である。すなわち、高い発光効率を示す青色(もしくはその近傍波長領域。以下同様。)の発光材料(特に青色燐光材料)の実現が強く求められている一方で、十分実用に耐えるこのような材料の開発が現状では困難であるところ、青色の波長領域にプラズモン散乱ピークを有する本発明の金属系粒子集合体を増強要素として発光素子に適用することにより、比較的発光効率の低い青色発光材料を用いる場合であっても、その発光効率を十分な程度にまで増強させることができる。また、光電変換素子(太陽電池素子)に適用した場合には、たとえば共鳴波長をブルーシフトさせることによって活性層自体では利用できなかった波長領域を有効利用できるようになり、変換効率を向上させ得る。
【0038】
一方、本発明ではプラズモン散乱ピークの極大波長を長波長側にシフト(レッドシフト)させることも可能であり、このような金属系粒子集合体は、たとえば光電変換素子に適用したときには、一般的な光電変換素子の活性層(光吸収層)が吸収しにくい波長の光を効率良く吸収し得るため、変換効率を向上させ得る。
【0039】
本発明の金属系粒子集合体においては、プラズモン散乱ピークの極大波長に応じて、吸光スペクトルにおける最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長に変化が生じることが本発明者によって見出されており、したがって該プラズモンピークもまた、ブルーシフトし得る。本発明の金属系粒子集合体は、これを基板(ガラス基板)上に積層した状態で(すなわち、金属系粒子集合体膜積層ガラス基板として)吸光光度法により可視光領域における吸光スペクトルを測定したとき、最も長波長側にあるプラズモンピークが、たとえば350〜550nmの波長領域に極大波長を示し得る。また、本発明の金属系粒子集合体は、金属系粒子が十分に長い粒子間距離(たとえば1μm)を置いて配置される場合と比較して、30〜500nm程度(たとえば30〜250nm)のブルーシフトを生じ得る。
【0040】
以下、本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板についてさらに詳細に説明する。
【0041】
金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板を構成する金属系粒子は、ナノ粒子としたときにプラズモン効果を示し得る材料からなる限り特に限定されず、たとえば、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属や、アルミニウム、タンタル等の金属;該貴金属または金属を含有する合金;該貴金属または金属を含む金属化合物(金属酸化物、金属塩等)を挙げることができる。これらのなかでも、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属が好ましく、安価で、吸収が小さい(可視光波長において誘電関数の虚部が小さい)ことから銀であることがより好ましい。
【0042】
金属系粒子の平均粒径は200〜1600nmの範囲内であり、プラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲をより向上させるために、好ましくは200〜1200nm、より好ましくは250〜500nm、さらに好ましくは300〜500nmの範囲内である。200〜1600nmの範囲内で平均粒径が大きいほど、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0は大きくなる傾向にある。
【0043】
金属系粒子の平均粒径とは、二次元的に金属系粒子が配置された金属系粒子集合体(膜)の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、各粒子像内に無作為に接線径を5本引き(ただし、接線径となる直線はいずれも粒子像内部のみを通ることができ、このうち1本は粒子内部のみ通り、最も長く引ける直線であるものとする)、その平均値を各粒子の粒径としたときの、選択した10個の粒径の平均値である。接線径とは、粒子の輪郭(投影像)をこれに接する2本の平行線で挟んだときの間隔(日刊工業新聞社 「粒子計測技術」,1994,第5頁)を結ぶ垂線と定義する。
【0044】
金属系粒子の平均高さは55〜500nmの範囲内であり、プラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲をより向上させるために、好ましくは55〜300nm、より好ましくは70〜150nmの範囲内である。金属系粒子の平均高さとは、金属系粒子集合体(膜)のAFM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、これら10個の粒子の高さを測定したときの、10個の測定値の平均値である。
【0045】
金属系粒子のアスペクト比は1〜8の範囲内であり、プラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲をより向上させるために、好ましくは2〜8、より好ましくは2.5〜8の範囲内である。金属系粒子のアスペクト比は、上記平均高さに対する上記平均粒径の比(平均粒径/平均高さ)で定義される。金属系粒子は真球状であってもよいが、アスペクト比が1を超える扁平形状を有していることが好ましい。
【0046】
金属系粒子は、効果の高いプラズモンを励起する観点から、その表面が滑らかな曲面からなることが好ましく、とりわけ表面が滑らかな曲面からなる扁平形状を有していることがより好ましいが、表面に微小な凹凸(粗さ)を幾分含んでいてもよく、このような意味において金属系粒子は不定形であってもよい。
【0047】
金属系粒子集合体(膜)面内におけるプラズモン共鳴の強さの均一性に鑑み、金属系粒子間のサイズのバラツキはできるだけ小さいことが好ましい。ただし、粒径に多少バラツキが生じたとしても、大型粒子間の距離が大きくなることは好ましくなく、その間を小型の粒子が埋めることで大型粒子間の相互作用を発現しやすくすることが好ましい。
【0048】
本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板において金属系粒子平均粒子間距離(隣り合う金属系粒子との間の平均距離)は、たとえば0.2〜150nmの範囲内であることができ、プラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲をより向上させるために、好ましくは1〜150nm、より好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜50nm、特に好ましくは1〜20nmの範囲内である。平均粒子間距離が150nmを超えると、個々の金属系粒子で生起した局在プラズモンが相互作用しにくくなる結果、プラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲の向上効果が得られにくくなる。平均粒子間距離が0.2nm未満であると、金属系粒子間でのデクスター機構に基づく電子移動、ひいては局在プラズモンの失活が顕著となり、同様にプラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲の向上効果が得られにくくなる。
【0049】
平均粒子間距離とは、二次元的に金属系粒子が配置された金属系粒子集合体(膜)の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を30個選択し、選択したそれぞれの粒子について、隣り合う粒子との粒子間距離を求めたときの、これら30個の粒子の粒子間距離の平均値である。隣り合う粒子との粒子間距離とは、すべての隣り合う粒子との距離(表面同士間の距離である)をそれぞれ測定し、これらを平均した値である。
【0050】
金属系粒子集合体(膜)に含まれる金属系粒子の数は30個以上であり、好ましくは50個以上である。金属系粒子を30個以上含む集合体を形成することにより、金属系粒子の局在プラズモン間の相互作用が働き、極めて強いプラズモン共鳴およびその作用範囲の伸長効果が発現する。
【0051】
金属系粒子集合体または金属系粒子集合体膜積層基板を増強要素として光学素子に適用する場合、光学素子の一般的な素子面積に照らせば、金属系粒子集合体に含まれる金属系粒子の数は、たとえば300個以上、さらには17500個以上となり得る。
【0052】
金属系粒子集合体(膜)における金属系粒子の数密度は、7個/μm2以上であることが好ましく、15個/μm2以上であることがより好ましい。金属系粒子の数密度が大きいほど、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0は大きくなる傾向にある。
【0053】
本発明の金属系粒子集合体において、金属系粒子間は互いに絶縁されている、換言すれば、隣り合う金属系粒子との間に関して非導電性(金属系粒子集合体膜として非導電性)であることが好ましい。一部もしくは全ての金属系粒子間で電子の授受が可能であると、上記所定の光散乱特性が弱まり、その結果、プラズモン共鳴の強さおよびその作用範囲の十分な向上効果が得られにくくなる。したがって、金属系粒子間は確実に離間されており、金属系粒子間には導電性物質が介在されないことが好ましい。
【0054】
本発明の金属系粒子集合体膜積層基板に用いられる基板は、金属系粒子集合体膜の非導電性を確保する観点から、非導電性基板を用いることが好ましい。非導電性基板としては、ガラス、各種無機絶縁材料(SiO2、ZrO2、マイカ等)、各種プラスチック材料を用いることができる。なかでも、たとえば発光素子に適用したときに、基板表面(金属系粒子集合体膜とは反対側の面)からの光取り出しが可能になることから、透光性の基板を用いることが好ましく、光学的に透明な基板を用いることがより好ましい。
【0055】
金属系粒子集合体膜積層基板は、各金属系粒子の表面を覆う絶縁層をさらに備えることが好ましい。このような絶縁層は、上述した金属系粒子集合体膜の非導電性(金属系粒子間の非導電性)を担保するうえで好ましいだけでなく、次の理由から、当該積層基板を光学素子に適用するうえでも好ましいものである。すなわち、電気エネルギー駆動の発光素子のような光学素子では、これを構成する各層に電流が流れるが、金属系粒子集合体膜に電流が流れてしまうと、プラズモン共鳴による発光増強効果が十分に得られないおそれがある。金属系粒子集合体膜をキャップする絶縁層を設けることにより、光学素子に適用した場合においても金属系粒子集合体膜と、これに隣接する光学素子の構成層との間の電気的絶縁を図ることができるため、金属系粒子集合体膜を構成する金属系粒子に電流が注入されることを防止することができる。
【0056】
絶縁層を構成する材料としては、良好な絶縁性を有するものであれば特に制限されず、たとえば、スピンオングラス(SOG;たとえば有機シロキサン材料を含有するもの)のほか、SiO2やSi34等を用いることができる。絶縁層の厚みは、所望の絶縁性が確保される限り特に制限はないが、後述するように光学素子に適用したときの活性層(たとえば発光素子の発光層や光電変換素子の光吸収層)と金属系粒子集合体膜との距離は近いほど好ましいことから、所望の絶縁性が確保される範囲で薄いほどよい。
【0057】
本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板は、発光素子、光電変換素子(太陽電池素子)等の光学素子のための増強要素として極めて有用であり、これにより光学素子の発光効率や変換効率を顕著に向上させることができる。上述のように、本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板は、極めて強いプラズモン共鳴を示し、さらにはプラズモン共鳴の作用範囲が著しく伸長されているため、たとえば、10nm以上、さらには20nm以上、なおさらにはそれ以上の厚みを有する活性層の全体を増強させることが可能である。また上述のように、たとえば10nm、さらには数十nm(たとえば20nm)、なおさらには数百nm以上離れた位置に配置された活性層をも、極めて効果的に増強することができる。
【0058】
なお、プラズモンによる増強効果は、その性質上、活性層と金属系粒子集合体との距離が大きくなるほど小さくなる傾向にあることから、当該距離は小さいほど好ましい。活性層と金属系粒子集合体との距離は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。
【0059】
プラズモン共鳴による増強効果をより効果的に得るためには、活性層が示す発光スペクトル(活性層がたとえば発光素子の発光層である場合)または吸光スペクトル(活性層がたとえば光電変換素子の光吸収層である場合)における少なくとも1つのピークの極大波長Aと、金属系粒子集合体が示す散乱スペクトルにおける極大波長B(すなわち、紫外〜可視領域においてピーク強度が最も高いピークであるプラズモン散乱ピークの極大波長)とは、できるだけ近いことが好ましく、一致またはおよそ一致していることがより好ましい。具体的には、極大波長Aと極大波長Bとの差の絶対値は、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下であり、特に好ましくは20nm以下である。
【0060】
活性層が示す発光スペクトルまたは吸光スペクトルが複数のピークを有する場合、極大波長Aを有するピークとしていずれのピークが選択されてもよいが、通常は活性層の機能に対して主要な役割を果たすピーク(たとえば発光層であれば、目的とする発光波長を含むピーク)が選択され、目的によっては副次的な役割を果たすピークが選択されてもよい(たとえば、発光色を目的とする色に調節する場合など)。
【0061】
上述のように、極大波長Aと極大波長Bとの差の絶対値は、金属系粒子の平均粒径および/または平均粒子間距離の調整によりプラズモン散乱ピークの極大波長Bを調整することにより制御することができる。
【0062】
発光素子の活性層である発光層は、たとえば、1)色素分子を平面状に配置した単分子膜からなるもの、2)マトリックス中に色素分子をドープしてなるもの、3)発光性低分子からなるもの、4)発光性高分子からなるもの、等であることができる。
【0063】
1)の発光層は、色素分子含有液をスピンコートした後、溶媒を除去する方法により得ることができる。色素分子の具体例は、Exciton社から販売されているローダミン101、ローダミン110、ローダミン560、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン640、ローダミン700等のローダミン系色素、Exciton社から販売されているクマリン503等のクマリン系色素などを含む。
【0064】
2)の発光層は、色素分子およびマトリックス材料を含有する液をスピンコートした後、溶媒を除去する方法により得ることができる。マトリックス材料としては、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチルのような透明高分子を用いることができる。色素分子の具体例は1)の発光層と同様であることができる。
【0065】
3)の発光層は、スピンコート法、蒸着法をはじめとするドライまたはウェット成膜法によって得ることができる。発光性低分子の具体例は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体〔トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体;Alq3〕、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体〔BeBq〕などを含む。
【0066】
4)の発光層は、スピンコート法など、発光性高分子含有液を用いたウェット成膜法によって得ることができる。発光性高分子の具体例は、F8BT〔ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−alt−ベンゾチアジアゾール)〕、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリアルキルチオフェンのようなπ共役系高分子などを含む。
【0067】
<金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板の製造方法>
本発明の金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板は、たとえば次のような方法によって作製することができる。
【0068】
(1)基板上において微小な種(seed)から金属系粒子を成長させていくボトムアップ法、
(2)所定の形状を有する金属系粒子を所定の厚みを有する両親媒性材料からなる保護層で被覆した後、LB(Langmuir Blodgett)膜法により、これを基板上にフィルム化する方法、
(3)その他、金属ナノ粒子を含有する分散液を用いたウェット成膜、または、蒸着もしくはスパッタリング等のドライ成膜により作製した薄膜を後処理(たとえば熱処理)する方法、レジスト加工、エッチング加工、金属系粒子が分散された分散液を用いたキャスト法等。
【0069】
上記方法(1)においては、所定温度に調整された基板上に、極めて低速で金属系粒子を成長させる工程(以下、「粒子成長工程」ともいう。)を含むことが肝要である。かかる粒子成長工程を含む製造方法によれば、30個以上の金属系粒子が互いに離間して二次元的に配置されており、該金属系粒子が所定の形状(平均粒径200〜1600nm、平均高さ55〜500nmおよびアスペクト比1〜8)を有し、さらに所定の光散乱特性を有する金属系粒子集合体の薄膜を制御良く得ることができる。
【0070】
粒子成長工程において、基板上に金属系粒子を成長させる速度は、平均高さ成長速度で1nm/分未満であることが好ましく、0.5nm/分以下であることがより好ましい。ここでいう平均高さ成長速度とは、平均堆積速度または金属系粒子の平均厚み成長速度とも呼ぶことができ、下記式:
金属系粒子の平均高さ/金属系粒子成長時間(金属系材料の供給時間)
で定義される。「金属系粒子の平均高さ」の定義は上述のとおりである。
【0071】
粒子成長工程における基板の温度は、好ましくは100〜450℃の範囲内、より好ましくは200〜450℃、さらに好ましくは250〜350℃、特に好ましくは300℃またはその近傍(300℃±10℃程度)である。
【0072】
100〜450℃の範囲内に温度調整された基板上に、1nm/分未満の平均高さ成長速度で金属系粒子を成長させる粒子成長工程を含む製造方法では、粒子成長初期において、供給された金属系材料からなる島状構造物が複数形成され、この島状構造物が、さらなる金属系材料の供給を受けて大きく成長しながら、周囲の島状構造物と合体していき、その結果、個々の金属系粒子が互いに完全に分離されていながらも、比較的平均粒径の大きい粒子が密に配置された金属系粒子集合体層が形成される。
【0073】
平均高さ成長速度、基板温度および/または金属系粒子の成長時間(金属系材料の供給時間)の調整によって、基板上に成長される金属系粒子の平均粒径、平均高さ、アスペクト比および/または平均粒子間距離を所定の範囲内で制御することが可能である。
【0074】
また、上記粒子成長工程を含む製造方法は、粒子成長工程における基板温度および平均高さ成長速度以外の諸条件を比較的自由に選択できることから、所望のサイズの基板上に所望のサイズの金属系粒子集合体膜を効率的に形成できるという利点を有している。
【0075】
平均高さ成長速度が1nm/分以上である場合や、基板温度が100℃未満または450℃を超える場合には、島状構造物が大きく成長する前に周囲の島状構造物と連続体を形成し、互いに完全に分離された大粒径の金属系粒子からなる金属系集合体を得ることができないか、または、所望の形状を有する金属系粒子からなる金属系集合体を得ることができない(たとえば平均高さや平均粒子間距離、アスペクト比が所望の範囲から外れてしまう)。
【0076】
金属系粒子を成長させる際の圧力(装置チャンバ内の圧力)は、粒子成長可能な圧力である限り特に制限されないが、通常、大気圧未満である。圧力の下限は特に制限されないが、平均高さ成長速度を上記範囲内に調整し易いことから、好ましくは6Pa以上、より好ましくは10Pa以上、さらに好ましくは30Pa以上である。
【0077】
基板上に金属系粒子を成長させる具体的方法は、1nm/分未満の平均高さ成長速度で粒子成長できる方法である限り特に制限されないが、スパッタリング法、真空蒸着等の蒸着法を挙げることができる。スパッタリング法のなかでも、比較的簡便に金属系粒子集合体を成長させることができ、かつ、1nm/分未満の平均高さ成長速度を維持しやすいことから、直流(DC)スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタンリング方式は特に制限されず、イオンガンやプラズマ放電で発生したアルゴンイオンを電界で加速してターゲットに照射する直流アルゴンイオンスパッタリング法などを用いることができる。スパッタリング法における電流値、電圧値、基板・ターゲット間距離等の他の諸条件は、1nm/分未満の平均高さ成長速度で粒子成長がなされるよう適宜調整される。
【0078】
なお、金属系粒子が所定の形状(平均粒径、平均高さおよびアスペクト比)を有し、さらに所定の光散乱特性を有する金属系粒子集合体を制御良く得るためには、粒子成長工程において平均高さ成長速度を1nm/分未満とすることに加えて、平均粒径成長速度を5nm未満とすることが好ましいが、平均高さ成長速度が1nm/分未満である場合、通常、平均粒径成長速度は5nm未満となる。平均粒径成長速度は、より好ましくは1nm/分以下である。平均粒径成長速度とは、下記式:
金属系粒子の平均粒径/金属系粒子成長時間(金属系材料の供給時間)
で定義される。「金属系粒子の平均粒径」の定義は上述のとおりである。
【0079】
粒子成長工程における金属系粒子の成長時間(金属系材料の供給時間)は、少なくとも、基板上に担持された金属系粒子が所定の形状、さらに好ましくは望ましい平均粒子間距離に達する時間であり、かつ、当該所定の形状、平均粒子間距離から逸脱し始める時間未満である。たとえば、上記所定範囲内の平均高さ成長速度および基板温度で粒子成長を行なっても、成長時間が極端に長すぎる場合には、金属系材料の担持量が多くなり過ぎて、互いに離間して配置された金属系粒子の集合体とはならずに連続膜となったり、金属系粒子の平均粒径や平均高さが大きくなり過ぎたりする。
【0080】
したがって、金属系粒子の成長時間を適切な時間に設定する(粒子成長工程を適切な時間で停止する)必要があるが、このような時間の設定は、たとえば、あらかじめ予備実験を行なうことにより得られる、平均高さ成長速度および基板温度と、得られる金属系粒子集合体における金属系粒子の形状および平均粒子間距離との関係に基づいて行なうことができる。あるいは、基板上に成長された金属系材料からなる薄膜が導電性を示すまでの時間(すなわち、薄膜が金属系粒子集合体膜ではなく、連続膜となってしまう時間)をあらかじめ予備実験により求めておき、この時間に達するまでに粒子成長工程を停止するようにしてもよい。
【0081】
金属系粒子を成長させる基板表面は、できるだけ平滑であることが好ましく、とりわけ、原子レベルで平滑であることがより好ましい。基板表面が平滑であるほど、基板から受け取った熱エネルギーにより、成長中の金属系粒子が別の周囲の隣接金属系粒子と合体成長しやすくなるため、より大きなサイズの金属系粒子からなる膜が得られやすい傾向にある。
【実施例】
【0082】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
〔金属系粒子集合体および金属系粒子集合体膜積層基板の作製〕
<実施例1>
直流マグネトロンスパッタリング装置を用いて、下記の条件で、ソーダガラス基板上に、銀粒子を極めてゆっくりと成長させ、基板表面の全面に金属系粒子集合体の薄膜を形成して、金属系粒子集合体層積層基板を得た。
【0084】
使用ガス:アルゴン、
チャンバ内圧力(スパッタガス圧):10Pa、
基板・ターゲット間距離:100mm、
スパッタ電力:4W、
平均粒径成長速度(平均粒径/スパッタ時間):0.9nm/分、
平均高さ成長速度(=平均堆積速度=平均高さ/スパッタ時間):0.25nm/分、
基板温度:300℃、
基板サイズおよび形状:一辺が5cmの正方形。
【0085】
図2は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像である。図2(a)は10000倍スケールの拡大像であり、図2(b)は50000倍スケールの拡大像である。また図3は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を示すAFM画像である。AFM像撮影にはキーエンス社製「VN−8010」を用いた(以下同様)。図3に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
【0086】
図2に示されるSEM画像より、本実施例1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は335nm、平均粒子間距離は16.7nmと求められた。また図2に示されるAFM画像より、平均高さは96.2nmと求められた。これらより銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は3.48と算出され、また、取得した画像からも銀粒子は扁平形状を有していることがわかる。さらにSEM画像より、本実施例1の金属系粒子集合体は、約6.25×1010個(約25個/μm2)の銀粒子を有することがわかる。
【0087】
また、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
【0088】
<比較例1および2>
直流マグネトロンスパッタリング法における堆積時間を変更することにより、比較例1および2の金属系粒子集合体膜積層基板を得た。比較例1の金属系粒子集合体膜積層基板は、金属系粒子の平均高さが約10nmであること以外は実施例1と略同じ粒子形状、アスペクト比および平均粒子間距離を有し、比較例2の金属系粒子集合体膜積層基板は、金属系粒子の平均高さが約30nmであること以外は実施例1と略同じ粒子形状、アスペクト比および平均粒子間距離を有するものであった。
【0089】
〔散乱強度比S1/S0の測定〕
図4は、実施例1および比較例1〜2の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。図4に示されるグラフの縦軸は、上述の測定方法によって求めた散乱強度比S1/S0(ただし、百分率で示している。)である。図4に示されるとおり、実施例1、比較例1、比較例2におけるプラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0はそれぞれ、22.4%(極大波長:458nm)、0.1%(極大波長:652nm)、1.9%(極大波長:730nm)であった。このように、比較例1および2の金属系粒子集合体膜積層基板は、実質的にプラズモン散乱ピークを有しないものであった。
【0090】
散乱強度比S1/S0の測定にあたっては、分光装置(日本分光株式会社製 紫外可視分光光度計 V−650)を用い、白色光である入射光を入射し、該入射光から30°の角度で散乱する散乱光の散乱スペクトルを取得した(以下の実施例、比較例においても散乱スペクトルおよび散乱強度比S1/S0の測定方法は同じである。)。
【0091】
参照系積層基板には、硫酸バリウム粉末を平坦に固めたものが硫酸バリウム層としてソーダガラス基板上に形成された標準拡散板を使用した。
【0092】
〔吸光スペクトルの測定〕
図5は、実施例1および比較例1〜2の金属系粒子集合体膜積層基板の吸光光度法により測定された吸光スペクトルである。非特許文献(K. Lance Kelly, et al., "The Optical Properties of Metal Nanoparticles: The Influence of Size, Shape, and Dielectric Environment", The Journal of Physical Chemistry B, 2003, 107, 668)に示されているように、実施例1のような扁平形状の銀粒子は、平均粒径が200nmのとき約550nm付近に、平均粒径が300nmのときは650nm付近にプラズモンピークを持つことが一般的である(いずれも銀粒子単独の場合である)。
【0093】
これに対して、実施例1の金属系粒子集合体膜積層基板は、これを構成する銀粒子の平均粒径が約300nm(335nm)であるにもかかわらず、可視光領域において最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長は約450nm付近と、短波長側にシフトしていることがわかる。プラズモンピークの極大波長は金属系粒子の平均粒径に依存する。比較例1および2では、平均粒径が小さいために実施例1と比較してかなり長波長側にプラズモンピークを有しており、その極大波長は、それぞれ約510nm、約470nmである。
【0094】
なお、吸光スペクトルは、金属系粒子集合体膜積層基板の裏面(金属系粒子集合体膜とは反対側)側であって、基板面に垂直な方向から紫外〜可視光領域の入射光を照射し、金属系粒子集合体膜側に透過した全方向における透過光の強度Iと、前記金属系粒子集合体膜積層基板の基板と同じ厚み、材質の基板であって、金属系粒子集合体膜が積層されていない基板の面に垂直な方向から先と同じ入射光を照射し、入射面の反対側から透過した全方向における透過光の強度I0を、それぞれ積分球分光光度計を用いて測定することによって得られたものである。縦軸の吸光度は、下記式:
吸光度=−log10(I/I0
で表される。
【0095】
〔光励起発光素子の作製および発光増強の評価〕
<実施例2−1>
実施例1とほぼ同じ条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例1と同様の金属系粒子集合体膜を形成した。この金属系粒子集合体膜は、金属系粒子の平均高さが66.1nmであること以外は実施例1と同じ粒子形状(平均粒径:約330nm、アスペクト比:約3.5)および平均粒子間距離を有するものであった。
【0096】
図6は、本実施例2−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。図6に示されるとおり、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0は、19.0%(極大波長:451nm)であった。
【0097】
次に、金属系粒子集合体膜上にクマリン系発光層用溶液を3000rpmでスピンコートし、極薄い(単分子膜スケールの)クマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。クマリン系発光層用溶液は次のように調製した。まずクマリン色素(Exciton社 Coumarin503)をエタノールに溶解し5mMクマリン溶液とした。また別途、有機系スピンオングラス(SOG)材料(東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」)をエタノールで33体積%に希釈した。この33体積%有機系SOG材料希釈液、5mMクマリン溶液、エタノールを、体積比が1:5:5となるように混合し、クマリン系発光層用溶液を得た。
【0098】
<実施例2−2>
実施例2−1と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例2−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、SOG溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み10nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。ここでいう「平均厚み」とは、金属系粒子集合体膜上に形成するときと同じ条件で(同じ面積に、同じ組成の塗布液を同じ塗布量で)、ソーダガラス基板上に直接スピンコートしたときの、任意の5点における厚みの平均値である。(以下の実施例、比較例についても同様)。
【0099】
次に、上記の絶縁層を有する金属系粒子集合体膜の最表面に、実施例2−1で用いたものと同じクマリン系発光層用溶液を3000rpmでスピンコートし、極薄い(単分子膜スケールの)クマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。
【0100】
<実施例2−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0101】
<実施例2−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0102】
<実施例2−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0103】
<実施例2−6>
絶縁層の平均厚みを350nmとしたこと以外は実施例2−2と同様にして、発光素子を得た。
【0104】
<実施例3−1>
銀ナノ粒子分散液(三菱マテリアル株式会社製「銀ナノコロイド A−2 反射膜形成用インク」)をエタノールを用いて1/40に希釈し、銀ナノ粒子塗工液を調製した。
【0105】
次に、表面をアセトン拭きした1mm厚のソーダガラス基板上に上記銀ナノ粒子塗工液100μLを1000rpmでスピンコートした後、280℃のホットプレートを用い、空気雰囲気下で2分間熱処理(焼成)を行なった。スピンコートによる銀ナノ粒子塗工液の塗工およびそれに続く熱処理の一連の工程を合計20回繰り返して、金属系粒子集合体膜積層基板を得た。
【0106】
図7は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像である。図7(a)は10000倍スケールの拡大像であり、図7(b)は50000倍スケールの拡大像である。また図8は、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を示すAFM画像である。図8に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
【0107】
図9は、本実施例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。図9に示されるとおり、プラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0は、33.5%(極大波長:420nm)であった。また、本実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルを図10に示した(吸光スペクトルの測定方法は上記のとおりである)。
【0108】
図7に示されるSEM画像より、本実施例3−1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は323nm、平均粒子間距離は63.0nmと求められた。また図8に示されるAFM画像より、平均高さは94.6nmと求められた。これらより銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は3.41と算出され、また、取得した画像からも銀粒子は扁平形状を有していることがわかる。さらにSEM画像より、本実施例3−1の金属系粒子集合体は、約21×1010個(約5.3個/μm2)の銀粒子を有することがわかる。
【0109】
また、得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜の表面にテスター〔マルチメーター(ヒューレット・パッカード社製「E2378A」〕を接続して導電性を確認したところ、導電性を有しないことが確認された。
【0110】
本実施例3−1の吸光スペクトル(図10)における最も長波長側のピーク(プラズモンピーク)の吸光度は、実施例1(図5)と比べて低いが、図9に示されるように、プラズモン散乱ピークの散乱強度比は比較的高い。これは、熱処理温度を低めに設定し、金属系粒子の形状をややいびつにしたことが一因である(図7に示されるSEM画像および図8に示されるAFM画像参照)。
【0111】
なお、本実施例3−1の吸光スペクトル(図10)の吸光度は、実施例1(図5)と比べ、可視光波長域全体にわたって低い。これは、本実施例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板が実施例1と比べて、相対的に光透過性に優れていることを意味している。このような光透過性に優れる金属系粒子集合体膜積層基板は、適用する光学素子の光透過性を悪化させにくいため、とりわけ透明ディスプレイ等の光学素子に好適に用いられる。
【0112】
次に、本実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板を用いたこと以外は、実施例2−2と同様にして、平均厚み10nmの絶縁層およびクマリン系発光層を形成し、発光素子を得た。
【0113】
<実施例3−2〜3−4>
実施例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板を用いたこと以外は、それぞれ実施例2−3〜2−5と同様にして、平均厚み30nm、80nm、150nmの絶縁層およびクマリン系発光層を形成し、発光素子を得た。
【0114】
<比較例3−1>
銀ナノ粒子水分散物(三菱製紙社製、銀ナノ粒子濃度:25重量%、銀ナノ粒子の平均粒径:15nm)を純水で、銀ナノ粒子濃度が6重量%となるように希釈した。次いで、この銀ナノ粒子水分散物に対して1体積%の界面活性剤を添加して良く攪拌した後、得られた銀ナノ粒子水分散物に対して80体積%のアセトンを添加して常温で十分撹拌し、銀ナノ粒子塗工液を調製した。
【0115】
次に、表面をアセトン拭きした1mm厚のソーダガラス基板上に上記銀ナノ粒子塗工液を1500rpmでスピンコートした後、そのまま大気中で1分間放置した。その後、銀膜が形成されたソーダガラス基板を550℃の電気炉内に入れ、空気雰囲気下で5分間熱処理(焼成)を行ない、金属系粒子集合体膜積層基板を得た。
【0116】
図11は、本比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を直上から見たときのSEM画像であり、10000倍スケールの拡大像である。図12は、本比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板における金属系粒子集合体膜を示すAFM画像である。図12に示される画像のサイズは5μm×5μmである。
【0117】
図13は、本比較例3−1の金属系粒子集合体膜積層基板について得られた散乱光の波長と散乱強度比との関係を示す図である。図13には、比較のため、実施例1のグラフ(図4と同じもの)を併せて示している。また、上記実施例2−1および本比較例3−1で得られた金属系粒子集合体膜積層基板の吸光スペクトルを図14に示した(吸光スペクトルの測定方法は上記のとおりである)。
【0118】
図11に示されるSEM画像より、本比較例3−1の金属系粒子集合体を構成する銀粒子の上記定義に基づく平均粒径は278nm、平均粒子間距離は195.5nmと求められた。また図8に示されるAFM画像より、平均高さは99.5nmと求められた。これらより銀粒子のアスペクト比(平均粒径/平均高さ)は2.79と算出され、また、取得した画像からも銀粒子は扁平形状を有していることがわかる。さらにSEM画像より、本比較例3−1の金属系粒子集合体は、約2.18×1010個(約8.72個/μm2)の銀粒子を有することがわかる。
【0119】
図13に示されるとおり、本比較例3−1の金属系粒子集合体のプラズモン散乱ピークの散乱強度比S1/S0は、12.5%(極大波長:619nm)であった。本比較例3−1の金属系粒子集合体の散乱強度比S1/S0は、各実施例とは異なり、15%未満であった。
【0120】
また図14に示される吸光スペクトルおよび図10に示される吸光スペクトルより、実施例2−1および実施例3−1の最も長波長側にあるプラズモンピークの極大波長は、比較例3−1に比べブルーシフトしており、かつ、プラズモンピークが先鋭化し、その極大波長における吸光度が高くなっていることがわかる。
【0121】
次に、実施例2−1と同様にして、金属系粒子集合体膜上にクマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。
【0122】
<比較例3−2>
比較例3−1と同じ方法で、1mm厚のソーダガラス基板上に比較例3−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、SOG溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み10nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
【0123】
次に、実施例2−2と同様にして、上記の絶縁層を有する金属系粒子集合体膜の最表面にクマリン系発光層を形成して、発光素子を得た。
【0124】
<比較例3−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0125】
<比較例3−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0126】
<比較例3−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0127】
<比較例3−6>
絶縁層の平均厚みを350nmとしたこと以外は比較例3−2と同様にして、発光素子を得た。
【0128】
<比較例4>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例2−1と同様にして発光素子を得た。
【0129】
<実施例4−1>
実施例2−1と同じ方法で、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例2−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。
【0130】
次に、金属系粒子集合体膜上にAlq3発光層用溶液をスピンコートして、平均厚み30nmのAlq3発光層を形成した。Alq3発光層用溶液は、Alq3(シグマアルドリッチ社 Tris−(8−hydroxyquinoline)aluminum)を、濃度が0.5重量%となるようにクロロホルムに溶解して調製した。
【0131】
<実施例4−2>
実施例2−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例4−1と同じ方法で平均厚み30nmのAlq3発光層を形成して、発光素子を得た。
【0132】
<実施例4−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は実施例4−2と同様にして、発光素子を得た。
【0133】
<実施例4−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は実施例4−2と同様にして、発光素子を得た。
【0134】
<実施例4−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は実施例4−2と同様にして、発光素子を得た。
【0135】
<比較例5−1>
比較例3−1と同じ方法で、1mm厚のソーダガラス基板上に比較例3−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例4−1と同じ方法で平均厚み30nmのAlq3発光層を形成して、発光素子を得た。
【0136】
<比較例5−2>
比較例3−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例4−1と同じ方法で平均厚み30nmのAlq3発光層を形成して、発光素子を得た。
【0137】
<比較例5−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は比較例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0138】
<比較例5−4>
絶縁層の平均厚みを80nmとしたこと以外は比較例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0139】
<比較例5−5>
絶縁層の平均厚みを150nmとしたこと以外は比較例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0140】
<比較例6>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例4−1と同様にして発光素子を得た。
【0141】
<実施例5−1>
実施例2−1と同じ方法で、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例2−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。
【0142】
次に、金属系粒子集合体膜上にF8BT発光層用溶液をスピンコートした後、ホットプレートで170℃、30分間焼成して、平均厚み30nmのF8BT発光層を形成した。F8BT発光層用溶液は、F8BT(Luminescence Technology社)を、濃度が1重量%となるようにクロロベンゼンに溶解して調製した。
【0143】
<実施例5−2>
実施例2−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例5−1と同じ方法で平均厚み30nmのF8BT発光層を形成して、発光素子を得た。
【0144】
<実施例5−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は実施例5−2と同様にして、発光素子を得た。
【0145】
<比較例7−1>
比較例3−1と同じ方法で、1mm厚のソーダガラス基板上に比較例3−1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した後、実施例5−1と同じ方法で平均厚み30nmのF8BT発光層を形成して、発光素子を得た。
【0146】
<比較例7−2>
比較例3−2と同じ方法で、平均厚み10nmの絶縁層を有する金属系粒子集合体膜積層基板を形成した後、実施例5−1と同じ方法で平均厚み30nmのF8BT発光層を形成して、発光素子を得た。
【0147】
<比較例7−3>
絶縁層の平均厚みを30nmとしたこと以外は比較例7−2と同様にして、発光素子を得た。
【0148】
<比較例8>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例5−1と同様にして発光素子を得た。
【0149】
実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、実施例3−1、3−2、3−3、3−4、実施例4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、実施例5−1、5−2、5−3、比較例3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、比較例4、比較例5−1、5−2、5−3、5−4、5−5、比較例6、比較例7−1、7−2、7−3、比較例8のそれぞれの光励起発光素子について、次のようにして発光増強の程度を評価した。
【0150】
光励起発光素子の発光スペクトルの測定系を示す図15(a)および光励起発光素子の断面模式図である図15(b)を参照して、光励起発光素子1の発光層2側に、発光層2の表面に対して垂直な方向から励起光3を照射することにより光励起発光素子1を発光させた。励起光源4にはUV−LED(サウスウォーカー社製 UV−LED375−nano、励起光波長375nm)を用い、励起光源4からの発光をレンズ5で集光して励起光3とし、これを照射した。励起光3の光軸に対して40°の方向に放射される光励起発光素子1からの発光6をレンズ7で集光し、励起光の波長の光をカットする波長カットフィルタ8(シグマ光機社製 SCF−50S−44Y)を通して、分光測定器9(大塚電子社製 MCPD−3000)により検出した。図15(b)は実施例および比較例で作製したソーダガラスからなる基板100上に、金属系粒子集合体200からなる膜、絶縁層300、発光層2をこの順に備える光励起発光素子1を示す断面模式図である。
【0151】
検出された発光のスペクトルについて発光波長領域における積分値を求めた。実施例2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6、実施例3−1、3−2、3−3、3−4、および、比較例3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較例4の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値を「発光増強倍率」とし、これを縦軸としたグラフを図16に示した。
【0152】
実施例4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、および、比較例5−1、5−2、5−3、5−4、5−5の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較例6の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値を「発光増強倍率」とし、これを縦軸としたグラフを図17に示した。
【0153】
実施例5−1、5−2、5−3、および、比較例7−1、7−2、7−3の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値を、比較例8の光励起発光素子について測定した発光スペクトルから求めた積分値で除した値を「発光増強倍率」とし、これを縦軸としたグラフを図18に示した。
【0154】
図16図18に示されるとおり、実施例2−1の金属系粒子集合体は強いプラズモン共鳴を示すため、これを備える発光素子は、発光層を構成する発光材料の種類にかかわらず、顕著な発光増強効果を示した。また、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)が著しく伸長されているため、絶縁層の厚みが350nmと厚い場合であっても、発光増強効果が認められている。
【0155】
実施例3−1の金属系粒子集合体においても、プラズモンピーク(吸光スペクトルにおける最も長波長側のピーク)の吸光度は比較的低いものの、プラズモン散乱ピークの散乱強度比が15%以上(33.5%)であるため、十分に高い発光増強効果が見られた。また、プラズモン共鳴の作用範囲の伸長も認められ、絶縁層の厚みが80nmと厚い場合であっても、発光増強効果が得られている。
【0156】
〔有機EL素子の作製および発光強度の評価〕
<実施例6>
実施例1と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、スピンオングラス(SOG)溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み80nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
【0157】
次に、イオンスパッタリング法により、アノード極としてのIZO層(厚み22nm)を絶縁層上に積層した後、正孔注入層形成用溶液をアノード極上にスピンコートして、平均厚み20nmの正孔注入層を積層した。正孔注入層形成用溶液には、PLEXTRONICS社製、商品名「Plexcore AQ 1200」を、エタノールを用いて所定濃度に希釈したものを用いた。絶縁層、アノード極および正孔注入層の合計平均厚み(すなわち、金属系粒子集合体膜表面から発光層までの平均距離)は122nmである。
【0158】
ついで、有機溶媒に溶解可能な高分子発光体を、所定濃度で有機溶媒に溶解し、これを正孔注入層上にスピンコートして、100nm厚の発光層を形成した。その後、真空蒸着法により、電子注入層としてのNaF層(2nm厚)、カソード極としてのMg層(2nm厚)およびAg層(10nm厚)をこの順で発光層上に積層した。得られた素子を表面側から封止剤(ナガセケムテックス社製 紫外線硬化性樹脂「XNR5516ZLV」)を用いて封止し、有機EL素子を得た。
【0159】
<比較例9>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例6と同様にして有機EL素子を作製した。
【0160】
実施例6の有機EL素子に、ソースメーター(ケースレーインスツルメンツ株式会社製 ソースメーター 2602A 型)により15Vの一定電圧を印加し、電極間に流れる電流値を2.3mAとして素子を発光させた。発光スペクトルをコニカミノルタ社製 分光測定装置「CS−2000」を用いて測定し、得られた発光スペクトルを可視光波長域で積分して、発光強度を求めた。電極間に流れる電流値を2.7mAとしたこと以外は実施例6の有機EL素子と同様にして(印加電圧は、実施例6の有機EL素子と同じく15Vである)、比較例9の有機EL素子についても発光強度を求めた。その結果、実施例6の有機EL素子は、比較例9の有機EL素子と比較して約3.8倍の発光強度を示すことが確認された。
【0161】
<実施例7>
実施例1と同条件で銀粒子を成長させることにより、0.5mm厚のソーダガラス基板上に実施例1に記載の金属系粒子集合体膜を形成した。その後直ちに、スピンオングラス(SOG)溶液を金属系粒子集合体膜上にスピンコートして、平均厚み30nmの絶縁層を積層した。SOG溶液には、有機系SOG材料である東京応化工業株式会社製「OCD T−7 5500T」をエタノールで希釈したものを用いた。
【0162】
次に、イオンスパッタリング法により、アノード極としてのIZO層(厚み22nm)を絶縁層上に積層した後、正孔注入層形成用溶液をアノード極上にスピンコートして、平均厚み20nmの正孔注入層を積層した。正孔注入層形成用溶液には、PLEXTRONICS社製、商品名「Plexcore AQ 1200」を、エタノールを用いて所定濃度に希釈したものを用いた。絶縁層、アノード極および正孔注入層の合計平均厚み(すなわち、金属系粒子集合体膜表面から発光層までの平均距離)は72nmである。
【0163】
ついで、真空蒸着法によって正孔注入層上に発光層としてAlq3を80nm成膜した。その後、真空蒸着法により、電子注入層としてのNaF層(2nm厚)、カソード極としてのMg層(2nm厚)およびAg層(10nm厚)をこの順で発光層上に積層した。得られた素子を表面側から封止剤(ナガセケムテックス社製 紫外線硬化性樹脂「XNR5516ZLV」)を用いて封止し、有機EL素子を得た。
【0164】
<比較例10>
金属系粒子集合体膜を形成しないこと以外は実施例7と同様にして有機EL素子を作製した。
【0165】
実施例7の有機EL素子に、ソースメーター(ケースレーインスツルメンツ株式会社製 ソースメーター 2602A 型)により11Vの一定電圧を印加し、電極間に流れる電流値を0.7mAとして素子を発光させた。発光スペクトルをコニカミノルタ社製 分光測定装置「CS−2000」を用いて測定し、得られた発光スペクトルを可視光波長域で積分して、発光強度を求めた。電極間に流れる電流値を1.1mAに調節したこと以外は実施例7の有機EL素子と同様にして(印加電圧は、実施例7の有機EL素子と同じく11Vである)、比較例10の有機EL素子についても発光強度を求めた。その結果、実施例7の有機EL素子は、比較例10の有機EL素子と比較して約2.6倍の発光強度を示すことが確認された。
【符号の説明】
【0166】
1 光励起発光素子、2 発光層、3 励起光、4 励起光源、5,7 レンズ、6 光励起発光素子からの発光、8 波長カットフィルタ、9 分光測定器、100 基板、200 金属系粒子集合体、300 絶縁層、400 硫酸バリウム層、500 入射光、510,520 入射光から30°の角度で散乱する散乱光。
図1
図4
図5
図6
図9
図10
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図2
図3
図7
図8
図11
図12