(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一般式(1)中のZが、一般式(2−1)で表されるアニオン構造、または、フッ素化アルキルスルホンイミド基およびフッ素化アルキルスルホンメチド基から選択される少なくとも1つの基が解離したアニオン構造である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本明細書において、全固形分とは、着色組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
【0011】
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中における「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線または放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0012】
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
【0013】
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
【0014】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、色特性に優れたな着色組成物を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の着色組成物(以下、単に、「本発明の組成物」ということがある)は、低求核性アニオン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーアニオンと色素構造を有するカチオンを含有することを特徴とする。但し、低求核性アニオン構造とは、硫酸のpKaより低いpKaを有する有機酸が解離したアニオン構造を示す。
このような構成とすることにより、耐熱性、溶剤溶解性に優れ、且つ他のパターンへの色移りが抑制され、パターン形成性に優れたパターンを形成可能になる。
また、従来、色素多量体を配合した着色組成物では、ドライエッチング法でパターンを形成する際、フォトレジストの現像液に対する耐性や、剥離液に対する耐性が悪い場合があった。これに対し、本発明では、フォトレジストの現像液に対する耐性を向上させたり、剥離液に対する耐性を向上させることが可能になる。
【0016】
そのため、本発明によれば、色特性に優れた硬化膜および前記硬化膜を有するカラーフィルタを提供することができる。また、本発明によれば、色特性に優れた着色パターンを形成しうるパターン形成方法およびカラーフィルタの製造方法を提供することができる。さらに、本発明によれば、色特性に優れたカラーフィルタを備えた固体撮像素子および画像表示装置(液晶表示装置や有機EL表示装置等)を提供することができる。
【0017】
本発明の作用機構については未だ明確ではないが、安定な塩を形成可能な低求核性アニオンを多量化することで、局所的なアニオン濃度を上げることができ、レジスト液のような他のアニオン種が存在する侠雑系において安定な塩形成を可能にすることができたことによると考えている。
なお、本発明の着色組成物では、低求核性アニオン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーアニオンと色素構造を有するカチオンとが、別々に、存在していてもよいが、前記カチオンが、前記ポリマーアニオンの対カチオンとして存在していることが好ましい。すなわち、本発明では、前記ポリマーアニオンと前記カチオンが色素多量体を形成している態様が好ましい。最終形態であるカラーフィルタでは、少なくとも一部は色素多量体を形成している。以下、便宜上、(A)色素多量体と述べることがあるが、ポリマーアニオンと色素構造を有するカチオンが組成物中に別々に存在している態様も本発明に含まれる。
以下、本発明の詳細について説明する。
【0018】
<(A)色素多量体>
本発明の着色組成物は低求核性アニオン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーアニオンと色素構造を有するカチオンをそれぞれ1種ずつ以上含有する。
ここで、低求核アニオン構造とは、一般的に超酸(super acid)と呼ばれるpKaの低い酸がプロトンを解離してなるアニオン構造である。超酸の定義は、文献によっても異なるがメタンスルホン酸よりpKaが低い酸の総称であり、J.Org.Chem.2011,76,391-395 Equilibrium Acidities of Super acidsに記載される構造が知られている。本発明においては、低求核アニオン構造は、硫酸のpKaより低いpKaを有する有機酸が解離したアニオン構造である。なお、硫酸のpKaは、文献によっても異なるが、約−2.5(1,2−ジクロロエタン中でのpKa)である。
低求核アニオン構造のpKaは、−2.6〜−18が好ましく、−4〜−18がより好ましく、−5〜−18がさらに好ましい。なお、pKaは、例えば、J.Org.Chem.2011,76,391-395に記載の方法により測定することができる。なお、本明細書におけるpKa値は、特に断りがない場合、1,2−ジクロロエタン中でのpKaである。
【0019】
<<低求核アニオン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーアニオン>>
低求核アニオン構造を含む繰り返し単位を有するポリマーアニオン(以下、単に、「ポリマーアニオン」ということがある)としては、硫酸のpKaより低いpKaを有する有機酸が解離したアニオン構造を示していれば特に定めるものではないが、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。一般式(1)で表される繰り返し単位は、ポリマーアニオン中に1種類のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。また、後述するように、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
一般式(1)
【化3】
(一般式(1)中、Qは繰り返し単位の主鎖を表し、Lは単結合または2価の連結基を表し、Zは一般式(2−1)で表されるアニオン構造、一般式(2−2)で表されるアニオン構造、または下記一般式(2−3)で表されるアニオン構造である。)
【0020】
Qは、繰り返し単位の主鎖を表し、通常、重合によって形成される連結基を表す。具体的には、重合性基を有する化合物を、ラジカル、カチオン、アニオン重合をすることにより形成される繰り返し単位の主鎖であることが好ましい。また、重縮合、高分子反応等によって導入されることも可能である。中でも、ラジカル重合可能な不飽和結合を有する基を含む化合物を重合した形成される構造が好ましい。このような重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基)、メチロール基等が挙げられるが、特にエチレン性不飽和結合を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート由来の(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
また、Qとしては、炭素数1〜20の基が好ましく、炭素数2〜10の基がより好ましく、−CH
2−CH(−*L)−または−CH
2−C(−*L)(CH
3)−(*Lは、一般式(1)におけるLと結合する位置を示す)であることがより好ましい。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル構造を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する構造を有する基等を挙げることができる。好ましくはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アリル、ビニルエステル構造を有する基である。
【0021】
Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭化水素基、−NH−、−CO−O−、色素構造を含む2価の基等が例示され、炭素数1〜20のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)、炭素数6〜20のアリーレン基(好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基)、炭素数4〜20のヘテロ環基(好ましくは炭素数5〜10のヘテロ環基)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキルスルホニル基)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜10のアリールスルホニル基)、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキルカルボニル基)、炭素数6〜20のアリールカルボニル基(好ましくは炭素数6〜11のアリールカルボニル基)、炭素数1〜20のアルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜10のアルキルアミノ基)、炭素数6〜20のアリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜10のアリールアミノ基)、炭素数1〜2のアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜10のアルキルカルボニルオキシ基)、炭素数6〜20のアリールカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜11のアリールカルボニルオキシ基)などが挙げられる。これら2価の連結基は、電子吸引性基で置換されていることが好ましく、電子吸引性基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基(例えばトリフルオロメチル基)、ハロゲン化アリール基が挙げられる。
【0022】
Lは、後述する、一般式(1)中のZが、前記一般式(2−1)で表される低求核性アニオン構造の場合、炭素数1〜10のフッ素原子で置換されたアルキレン基(フッ素化アルキレン基)であることが好ましい。
【0023】
Zは、一般式(2−1)で表されるアニオン構造、一般式(2−2)で表されるアニオン構造、または下記一般式(2−3)で表されるアニオン構造である。
【0024】
一般式(2−1)
*−Y
1−A
1
(一般式(2−1)中、*は、一般式(1)中のLとの結合部位を表し、Y
1はフッ素化アルキレン基を表し、A
1はSO
3-を表す。)
【0025】
一般式(2−1)中、Y
1はフッ素化アルキレン基を表す。フッ素化アルキレン基としては、炭素数1〜20のフッ素化アルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のフッ素化アルキレン基がより好ましく、炭素数1〜6のフッ素化アルキレン基がさらに好ましい。また、ペルフルオロアルキレン基であることがより好ましい。
【0026】
一般式(2−2)
*−Y
2−(A
2)
n
(一般式(2−2)中、*は、一般式(1)中のLとの結合部位を表し、Y
2は、ホウ素原子、炭素原子、窒素原子、又はリン原子からなるアニオンを表す。
Y
2がホウ素原子の場合、nは3であり、A
2は、それぞれ、ハロゲン原子、シアノ基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアルキル基、または、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアリール基であり、
Y
2が炭素原子の場合、nは2であり、A
2は、それぞれ、ハロゲン原子、シアノ基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアルキル基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアリール基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含んでいてもよいアルキルスルホニル基、または、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含んでいてもよいアリールスルホニル基であり、2つのA
2は互いに結合して環を形成していてもよく、
Y
2が窒素原子の場合、nは1であり、A
2は、それぞれ、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアルキル基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアリール基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含んでいてもよいアルキルスルホニル基、または、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含んでいてもよいアリールスルホニル基であり、
Y
2がリン原子の場合、nは1または3であり、A
2は、それぞれ、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアルキル基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含むアリール基、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含んでいてもよいアルキルスルホニル基、または、フッ素原子およびシアノ基の少なくとも1つを含んでいてもよいアリールスルホニル基である。)
【0027】
Y
2がホウ素原子の場合、A
2は、それぞれ、フッ素原子、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基(好ましくは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基)、炭素数6〜10のフッ素化アリール基(好ましくは、炭素数6〜9のペルフルオロアルキル基)、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基(好ましくは炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基)で置換されたアリール基が好ましい。
【0028】
Y
2が炭素原子場合、A
2は、それぞれ、フッ素原子、シアノ基、または、下記のいずれかの置換基で置換されたアルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましい;
置換基;フッ素原子、シアノ基、フッ素化アルキル基(好ましくはペルフルオロアルキル基。
さらに好ましくは、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基(好ましくは炭素数1〜6のフッ素化アルキル基)、炭素数6〜10のフッ素化アリール基(好ましくはフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基)、炭素数1〜10の無置換のアルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜6の無置換のアルキルスルホニル基)、炭素数6〜10の無置換のアリールスルホニル基(好ましくはフェニルスルホニル基)、炭素数1〜10のフッ素化アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜6のフッ素化アルキルスルホニル基)、炭素数6〜10のフッ素化アリールスルホニル基(好ましくはフッ素化フェニルスルホニル基)が好ましく、シアノ基、フッ素化アルキル基およびフッ素化アルキルスルホニル基がより好ましく、フッ素化アルキルスルホニル基がさらに好ましい。
また、2つのA
2は互いに結合して環を形成していてもよく、炭素を骨格とする環にシアノ基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が置換している構造も好ましい。
【0029】
Y
2が窒素原子の場合、それぞれ、フッ素原子、シアノ基、または、下記のいずれかの置換基で置換されたアルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましい;
置換基;フッ素原子、シアノ基、フッ素化アルキル基(好ましくはペルフルオロアルキル基。
さらに好ましくは、炭素数1〜10のフッ素化アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜6のフッ素化アルキルスルホニル基)、炭素数6〜10のフッ素化アリールスルホニル基(好ましくはフッ素化フェニルスルホニル基)であり、中でも、フッ素化アルキルスルホニル基が好ましい。
【0030】
Y
2がリン原子の場合、nは1または3であり、A
2は、それぞれ、フッ素原子、シアノ基、または、下記のいずれかの置換基で置換されたアルキル基、アリール基、アルキルスルホニル基もしくはアリールスルホニル基が好ましい;
置換基;フッ素原子、シアノ基、フッ素化アルキル基(好ましくはペルフルオロアルキル基。
さらに好ましくは、炭素数1〜10のフッ素化アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜6のフッ素化アルキルスルホニル基)、炭素数6〜10のフッ素化アリールスルホニル基(好ましくはフッ素化フェニルスルホニル基)であり、中でも、フッ素化アルキルスルホニル基が好ましい。
nは1または3であり、3が好ましい。
【0031】
一般式(2−1)および一般式(2−2)中のZにフッ素原子を有する場合、Zを構成する全原子数に対してZに含まれるフッ素原子の割合が5〜80%が好ましく、10〜70%がより好ましい。
【0032】
これらの中でも、Zとしては、一般式(2−1)で表される基、フッ素化アルキルスルホンイミド基(一般式(2−2)中、Y
2が窒素原子、A
2がフッ素化アルキルスルホニル基を表す)、またはフッ素化アルキルスルホンメチド基(一般式(2−2)中、Y
2が炭素原子、A
2がフッ素化アルキルスルホニル基をそれぞれ表す)を表すことが好ましい。
【0033】
一般式(2−3)
【化4】
(一般式(2−3)中、*は、一般式(1)中のLとの結合部位を表し、Rは、それぞれシアノ基、またはフッ素化アルキル基を表す。)
Rは、それぞれシアノ基、またはフッ素化アルキル基を表し、シアノ基が好ましい。
【0034】
以下、本発明で用いられる一般式(1)で表される繰り返し単位の具体例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。なお、具体例は、低求核アニオン構造が解離していない状態を示しているが、低求核アニオン構造が解離している状態も本発明の範囲内であることは言うまでもない。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(X−69)中、a=3、b=1、c=4である。
【0035】
前記(X−1)〜(X−13)に代表されるフッ素化アルキルスルホン酸類のpKaは、CF
3SO
3HのpKaが−11.4であることから、硫酸よりpKaが低いことが推察される。
(X−40)〜(X−44)に代表されるフッ素化アルキルスルホンイミド類のpKaは、CF
3−SO
2−NH−SO
2−CF
3のpKaが−11.9であることから、硫酸よりpKaが低いことが推察される。
(X−59)、(X−61)に代表されるフッ素化アルキルスルホンメチド類のpKaは、(CF
3SO
2)
3−CHのpKaが−16.4であることから、硫酸よりpKaが低いことが推察される。
(X−14)、(X−15)に代表されるテトラフッ素化アリールボレート類のpKaは、硫酸アニオンが対塩となったカチオン染料とアニオン交換されることから、硫酸よりpKaが低いことが推察される。
前記J.Org.Chem.2011,76,391-395に記載がない構造であっても、(X−1)〜(X−72)の全てのアニオンは、硫酸アニオンが対塩となったカチオン染料とすぐさまアニオン交換されることから、硫酸よりpKaが低いことが推察される。
【0036】
<<色素構造を有するカチオン>>
本発明で用いる色素構造を有するカチオンは、通常、その分子構造中に、最大吸収波長が400nm〜780nmの範囲に存在する色素構造(色素構造)を有する。この部分構造は、単量体、多量体であってもよいが、通常は、単量体または2量体、3量体であり、好ましくは単量体である。
本発明では、色素構造を有するカチオン中に、1種類のカチオンを含んでいても良いし、2種類以上のカチオンを含んでいても良い。
【0037】
色素構造
色素構造としては、分子内にカチオン部位を含む構造であれば特に制限はなく、公知の色素構造を含む種々のものを適用することができる。具体的には、ジピロメテン色素、カルボニウム色素(ジフェニルメタン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アクリジン色素など)、ポリメチン色素(オキソノール色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、スチリル色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素など)、サブフタロシアニン色素、およびそれらの金属錯体色素から選ばれる色素に由来する色素構造などを挙げることができる。
【0038】
これらの色素構造の中でも、色特性の観点から、ジピロメテン色素、カルボニウム色素、およびポリメチン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、およびサブフタロシアニン色素から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましく、ジピロメテン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素およびスクアリリウム色素から選ばれる色素に由来する色素構造がさらに好ましく、キサンテン色素から選ばれる色素に由来する色素構造が特に好ましい。このような色素構造を有するカチオンを用いると耐熱性および耐光性がより向上する傾向にある。
【0039】
色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0040】
色素構造を有するカチオンにおいて、色素構造を形成しうる特に好ましい色素(色素化合物)について詳細に記述する。
【0041】
<<<ジピロメテン色素>>>
本発明に係る色素構造の態様の一つは、下記に示すジピロメテン色素構造である。
【0042】
本発明におけるジピロメテン色素としては、ジピロメテン化合物、および、ジピロメテン化合物と金属または金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物が好ましい。
なお、本発明では、ジピロメテン構造を含む化合物をジピロメテン化合物と称し、ジピロメテン構造を含む化合物に金属または金属化合物に配位した錯体をジピロメテン金属錯体化合物と称する。
【0043】
ジピロメテン金属錯体化合物としては、下記一般式(M)で表されるジピロメテン化合物と金属または金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物およびその互変異性体が好ましく、なかでも、好ましい態様として下記一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物、または、下記一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物が挙げられ、一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物がより好ましい。
【0044】
一般式(M)で表されるジピロメテン化合物と金属または金属化合物とから得られるジピロメテン金属錯体化合物、およびその互変異性体
色素構造の好ましい態様の一つは、下記一般式(M)で表される化合物(ジピロメテン化合物)またはその互変異性体が、金属または金属化合物に配位した錯体(以下、適宜「特定錯体」と称する。)を含む色素構造である。本発明では、下記化合物がカチオン構造を形成するが、例えば、一般式(M)の窒素原子に結合している亜鉛等の金属がカチオン構造を形成しうる。
【0045】
【化11】
(一般式(M)において、R
4〜R
10は、各々独立に、水素原子または1価の置換基を表す。但し、R
4とR
9とが互いに結合して環を形成することはない。)
【0046】
一般式(M)で表される化合物を、前記一般式(1)で表される構造単位に導入する場合の導入部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R
4〜R
9のいずれか1つの部位で導入されることが好ましく、R
4、R
6、R
7およびR
9のいずれか1つにおいて導入されることがより好ましく、R
4およびR
9のいずれか1つにおいて導入されることがさらに好ましい。
【0047】
一般式(M)におけるR
4〜R
9が1価の置換基を表す場合の1価の置換基としては、後述する置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられる。
【0048】
一般式(M)中のR
4〜R
9で示される1価の置換基が、さらに置換可能な基である場合には、R
4〜R
9で説明した置換基をさらに有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0049】
一般式(M)中のR
4とR
5、R
5とR
6、R
7とR
8、および、R
8とR
9は、それぞれ独立に、互いに結合して5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環を形成していてもよい。但し、R
4とR
9とが互いに結合して環を形成することはない。形成される5員、6員、および7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R
4〜R
9で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
一般式(M)中のR
4とR
5、R
5とR
6、R
7とR
8、および、R
8とR
9が、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員、または7員の飽和環、または不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、およびピリダジン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環またはピリジン環が挙げられる。
【0051】
一般式(M)におけるR
10は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。前記ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基としては、後述する置換基群Aのハロゲン原子、アルキル基、アリール基、およびヘテロ環基とそれぞれ同義であり、その好ましい範囲も同様である。
R
10がアルキル基、アリール基、または、ヘテロ環基を表す場合の、アルキル基、アリール基、および、ヘテロ環基が、さらに置換可能な基である場合には、後述する置換基群Aの項において説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
〜金属または金属化合物〜
本発明における特定錯体は、既述の一般式(M)で表されるジピロメテン化合物またはその互変異性体が金属または金属化合物に配位した錯体である。
ここで、金属または金属化合物としては、錯体を形成可能な金属または金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物が含まれる。金属または金属化合物としては、例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の金属の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl
2、SnCl
2、SiCl
2、GeCl
2などの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)
2等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、および製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、またはVOが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、またはVOがさらに好ましく、Znが特に好ましい。
【0053】
次に、一般式(M)で表される化合物の本発明における特定錯体のさらに好ましい範囲について説明する。
【0054】
本発明における特定錯体の好ましい範囲は、一般式(M)において、R
4およびR
9が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基であり;R
5およびR
8が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基であり;R
6およびR
7が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、またはホスフィノイルアミノ基であり;R
10が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり;金属または金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、またはV=Oである範囲である。
【0055】
本発明における特定錯体のより好ましい範囲は、一般式(M)において、R
4およびR
9が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基であり;R
5およびR
8が、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基であり;R
6およびR
7が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基であり;R
10が、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり;金属または金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、またはV=Oである範囲である。
【0056】
本発明における特定錯体の特に好ましい範囲は、一般式(M)において、R
4およびR
9が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはホスフィノイルアミノ基であり;R
5およびR
8が、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基であり;R
6およびR
7が、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり;R
10が、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり;金属または金属化合物が、Zn、Cu、Co、またはV=Oである範囲である。
【0057】
さらに、以下に詳述する一般式(7)または一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物も、ジピロメテン色素の特に好ましい様態である。
【0058】
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物
色素構造を有するカチオンにおける色素構造の好適な態様の一つは、下記一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物に由来する色素構造である。本発明では、下記化合物がカチオン構造を形成するが、例えば、一般式(7)のMaが亜鉛等の金属カチオン構造を形成しうる。
【0059】
【化12】
(一般式(7)中、R
4〜R
9は、各々独立に、水素原子、または1価の置換基を表し、R
10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、または金属化合物を表す。X
1は、Maに結合可能な基を表し、X
2は、Maの電荷を中和する基を表し、X
1とX
2は、互いに結合してMaと共に5員、6員、または7員の環を形成していてもよい。ただし、R
4とR
9とが互いに結合して環を形成することはない。)
なお、一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
【0060】
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物を、前記一般式(1)で表される構造単位に導入する場合の導入部位は、特に制限はないが、合成適合性の点で、R
4〜R
9のいずれか1つの部位で導入されることが好ましく、R
4、R
6、R
7およびR
9のいずれか1つにおいて導入されることがより好ましく、R
4およびR
9のいずれか1つにおいて導入されることがさらに好ましい。
【0061】
色素構造を有するカチオンが、アルカリ可溶性基を有する場合において、前記アルカリ可溶性基を導入する方法としては、前記一般式(7)におけるR
4〜R
10、X
1およびX
2のいずれか1つまたは2つ以上の置換基に、アルカリ可溶性基を持たせる方法を用いることができる。これら置換基の中でも、R
4〜R
9およびX
1のいずれかが好ましく、R
4、R
6、R
7およびR
9のいずれかがより好ましく、R
4およびR
9のいずれかがさらに好ましい。
【0062】
一般式(7)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
一般式(7)における中のR
4〜R
9は、前記一般式(M)におけるR
4〜R
9と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0063】
一般式(7)中、Maは、金属原子または金属化合物を表す。金属原子または金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子または金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、または2価の金属塩化物が含まれる。
例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等、およびAlCl、InCl、FeCl、TiCl
2、SnCl
2、SiCl
2、GeCl
2などの金属塩化物、TiO、V=O等の金属酸化物、Si(OH)
2等の金属水酸化物が含まれる。
【0064】
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、および製造適性等の観点から、金属原子または金属化合物として、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、およびV=Oが好ましく、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、およびV=Oがより好ましく、Zn、Co、V=O、およびCuがさらに好ましく、Znが特に好ましい。
【0065】
また、一般式(7)中、R
10は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子である。
【0066】
一般式(7)中、X
1は、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、さらに「金属キレート」([1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、[2](1996年)、[3](1997年)等)に記載の化合物が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類が好ましく、水、カルボン酸化合物がより好ましい。
【0067】
一般式(7)中、X
2で表される「Maの電荷を中和する基」としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基等が挙げられ、中でも、製造の点で、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基が好ましく、水酸基、カルボン酸基がより好ましい。
【0068】
一般式(7)中、X
1とX
2は、互いに結合して、Maと共に5員、6員、または7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、および7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、および7員の環は、炭素原子のみで構成されていてもよく、窒素原子、酸素原子、または/および硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環を形成していてもよい。
【0069】
一般式(7)で表される化合物の好ましい態様としては、R
4〜R
9は各々独立に、R
4〜R
9の説明で記載した好ましい態様であり、R
10はR
10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、またはV=Oであり、X
1は水、またはカルボン酸化合物であり、X
2は水酸基、またはカルボン酸基であり、X
1とX
2とが互いに結合して5員または6員環を形成していてもよい。
【0070】
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物
色素構造を有するカチオンにおける色素構造の好適な態様の一つは、下記の一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物に由来する色素構造である。本発明では、下記化合物がカチオン構造を形成するが、例えば、一般式(8)のMaが亜鉛等の金属カチオン構造を形成しうる。
【0071】
【化13】
(一般式(8)中、R
11およびR
16は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基を表す。R
12〜R
15は、各々独立に、水素原子、または置換基を表す。R
17は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Maは、金属原子、または金属化合物を表す。X
2およびX
3は、各々独立に、NR(Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。Y
1およびY
2は、各々独立に、NR
c(R
cは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。)、窒素原子または炭素原子を表す。R
11とY
1は、互いに結合して5員、6員、または7員の環を形成していてもよく、R
16とY
2は、互いに結合して5員、6員、または7員の環を形成していてもよい。X
1はMaと結合可能な基を表し、aは0、1、または2を表す。)
なお、一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、互変異性体を含む。
【0072】
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物を前記一般式(1)で表される構造単位に導入する部位は、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、R
11〜R
17、X
1、Y
1〜Y
2のいずれか1つであることが好ましい。これらの中でも、合成適合性の点で、R
11〜R
16およびX
1のいずれか1つにおいて導入されることが好ましく、より好ましくは、R
11、R
13、R
14およびR
16のいずれか1つにおいて挿入される態様であり、さらに好ましくは、R
11およびR
16のいずれか1つにおいて挿入される態様である。
【0073】
色素構造を有するカチオンが、アルカリ可溶性基を有する場合、前記一般式(8)におけるR
11〜R
17、X
1、Y
1〜Y
2のいずれか1つまたは2つ以上の置換基にアルカリ可溶性基を持たせる方法を用いることができる。これら置換基の中でも、R
11〜R
16およびX
1のいずれかが好ましく、R
11、R
13、R
14およびR
16のいずれかがより好ましく、R
11およびR
16のいずれかがさらに好ましい。
【0074】
一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、アルカリ可溶性基以外の官能基を有していてもよい。
【0075】
一般式(8)において、R
12〜R
15は、前記一般式(M)中のR
5〜R
8と同義であり、好ましい態様も同様である。R
17は、前記一般式(M)中のR
10と同義であり、好ましい態様も同様である。Maは、前記一般式(7)中のMaと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0076】
より詳細には、前記一般式(8)におけるR
12〜R
15のうち、前記R
12およびR
15としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、または、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がさらに好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
前記R
13およびR
14としては、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基が好ましく、さらに好ましくは置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基である。ここで、より好ましいアルキル基、アリール基、およびヘテロ環基の具体例は、一般式(M)の前記R
6およびR
7において列記した具体例を同様に挙げることができる。
【0077】
一般式(8)中、R
11およびR
16は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、2−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、tert−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基)、またはヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基)を表す。
【0078】
R
11およびR
16としては、上記の中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基が好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、がより好ましく、アルキル基、アルケニル基、アリール基がさらに好ましく、アルキル基が特に好ましい。
【0079】
一般式(8)中、R
11およびR
16で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはヘテロ環アミノ基が、さらに置換可能な基である場合には、後述する置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0080】
一般式(8)中、X
2およびX
3は、各々独立に、NR、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数2〜18のアシル基で、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは炭素数6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基)を表す。
【0081】
一般式(8)中、Y
1およびY
2は、各々独立に、NR
C、窒素原子、または炭素原子を表し、R
Cは、前記X
2およびX
3のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0082】
一般式(8)中、R
11とY
1は、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環)、6員環(例えば、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、ジチアン環、ベンゼン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピリダジン環、キノリン環、キナゾリン環)、または7員環(例えば、シクロヘプタン環、ヘキサメチレンイミン環)を形成してもよい。
【0083】
前記一般式(8)中、R
16とY
2は、互いに結合して炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環)、6員環(例えば、シクロヘキサン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、ジオキサン環、ペンタメチレンスルフィド環、ジチアン環、ベンゼン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピリダジン環、キノリン環、キナゾリン環)、または7員環(例えば、シクロヘプタン環、ヘキサメチレンイミン環)を形成してもよい。
【0084】
一般式(8)中、R
11とY
1、およびR
16とY
2が結合して形成される5員、6員、および7員の環が、置換可能な環である場合には、後述する置換基群Aの項で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0085】
一般式(8)中、R
11およびR
16は、各々独立に、立体パラメータである−Es'値が1.5以上の1価の置換基であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、3.5以上であることがさらに好ましく、5.0以上であることが特に好ましい。
ここで、立体パラメータ−Es’値は、置換基の立体的嵩高さを表すパラメータであり、文献(J.A.Macphee,et al,Tetrahedron,Vol.34,pp3553〜3562、藤田稔夫編 化学増刊107 構造活性相関とドラックデザイン、1986年2月20日発行(化学同人))に示されている−Es'値を用いる。
【0086】
一般式(8)中、X
1はMaと結合可能な基を表し、具体的には、前記一般式(7)におけるX
1と同様な基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
aは0、1、または2を表す。
【0087】
一般式(8)で表される化合物の好ましい態様としては、R
12〜R
15は、各々独立に、前記一般式(M)中のR
5〜R
8の説明で記載した好ましい態様であり、R
17は前記一般式(M)中のR
10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZn、Cu、Co、またはV=Oであり、X
2はNR(Rは水素原子、アルキル基)、窒素原子、または酸素原子であり、X
3はNR(Rは水素原子、アルキル基)、または酸素原子であり、Y
1はNR
C(R
Cは水素原子、アルキル基)、窒素原子、または炭素原子であり、Y
2は窒素原子、または炭素原子であり、R
11およびR
16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基であり、X
1は酸素原子を介して結合する基であり、aは0または1である。R
11とY
1とが互いに結合して5員または6員環を形成、またはR
16とY
2とが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
【0088】
一般式(8)で表される化合物のさらに好ましい態様としては、R
12〜R
15は各々独立に、一般式(M)で表される化合物におけるR
5〜R
8の説明で記載した好ましい態様であり、R
17は前記一般式(M)中のR
10の説明で記載した好ましい態様であり、MaはZnであり、X
2およびX
3は、酸素原子であり、Y
1はNHであり、Y
2は窒素原子であり、R
11およびR
16は各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、またはアルキルアミノ基であり、X
1は酸素原子を介して結合する基であり、aは0または1である。R
11とY
1とが互いに結合して5員または6員環を形成、またはR
16とY
2とが互いに結合して5員、6員環を形成していてもよい。
【0089】
前記一般式(7)および一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物のモル吸光係数は、着色力の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmがさらに好ましい。この領域にあることで、本発明の着色組成物を用いて、色再現性の良好なカラーフィルタを作製することができる。
【0090】
さらに、ジピロメテン色素に由来する色素構造を有する色素は、450nmにおける吸光度に対し、最大吸収波長(λmax)の吸光度が1,000倍以上であることが好ましく、10,000倍以上であることがより好ましく、100,000倍以上であることがさらに好ましい。この比率がこの範囲にあることで、本発明の着色組成物を用いて、特に青色カラーフィルタを作製する場合に、より透過率の高いカラーフィルタを形成することができる。なお、最大吸収波長、およびモル吸光係数は、分光光度計cary5(バリアン社製)により測定されるものである。
【0091】
前記一般式(7)および一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物の融点は、溶解性の観点から、高すぎない方がよい。
【0092】
前記一般式(7)および一般式(8)で表されるジピロメテン金属錯体化合物は、米国特許第4,774,339号明細書、同第5,433,896号明細書、特開2001−240761号公報、同2002−155052号公報、特許第3614586号公報、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。具体的には、特開2008−292970号公報の段落0131〜0157に記載の方法を適用することができる。
【0093】
以下にジピロメテン色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、式中、Xは、低求核アニオンを表す。
【0095】
上記具体例のうち、色特性および耐熱性の観点より、特に(PM−8)および(PM−10)が好ましい。
【0096】
<<<カルボニウム色素>>>
カルボニウム色素の中でも、トリアリールメタン色素、キサンテン色素が好ましい。
【0097】
トリアリールメタン色素
本発明に係る色素構造を有するカチオンの態様の一つは、トリアリールメタン色素(トリアリールメタン化合物)に由来する部分構造を有するものである。前記色素としては、下記一般式(TP)で表される化合物(トリアリールメタン化合物)に由来する部分構造を、色素構造として有する。本発明においてトリアリールメタン化合物とは、分子内にトリアリールメタン骨格を含む色素構造を有する化合物を総称するものである。
【0098】
一般式(TP)
【化15】
(一般式(TP)中、Rtp
1〜Rtp
4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Rtp
5は、水素原子、アルキル基、アリール基またはNRtp
9Rtp
10(Rtp
9およびRtp
10は水素原子、アルキル基またはアリール基を表す)を表す。Rtp
6、Rtp
7およびRtp
8は、置換基を表す。a、bおよびcは、0〜4の整数を表す。a、bおよびcが2以上の場合、Rtp
6、Rtp
7およびRtp
8は、それぞれ連結して環を形成してもよい。X
-はアニオン構造を表す。)
【0099】
Rtp
1〜Rtp
6として、好ましくは水素原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基およびフェニル基が好ましい。Rtp
5は水素原子またはNRtp
9Rtp
10が好ましく、NRtp
9Rtp
10であることが特に好ましい。Rtp
9およびRtp
10は水素原子、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基またはフェニル基が好ましい。Rtp
6、Rtp
7およびRtp
8が表す置換基は、後述する置換基群Aの項で挙げた置換基を用いることができるが、特に、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基、カルボキシル基またはスルホ基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、フェニル基またはカルボキシル基がさらに好ましい。特に、Rtp
6、Rtp
8は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、Rtp
7はアルケニル基(特に隣接した2つのアルケニル基が連結したフェニル基が好ましい)、フェニル基またはカルボキシル基が好ましい。
【0100】
a、bまたはcは、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。特にaおよびbは、それぞれ、0または1が好ましく、cは0〜2の整数が好ましい。
【0101】
下記に一般式(TP)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。Xは、低求核アニオンを表す(以下、特に述べない限り同じ。)。
【0104】
上記具体例のうち、色特性および耐熱性の観点より、特に(tp−4)、(tp−5)、(tp−6)および(tp−8)が好ましい。
【0105】
キサンテン色素
本発明における色素構造を有するカチオンの好ましい態様は、キサンテン色素(キサンテン化合物)に由来する部分構造を有するものである。前記色素としては、下記一般式(J)で表されるキサンテン化合物に由来する部分構造を、色素構造として有する。
【0106】
【化18】
(一般式(J)中、R
81、R
82、R
83およびR
84は、各々独立に、水素原子または1価の置換基を表し、R
85は、各々独立に1価の置換基を表し、mは、0〜5の整数を表す。X
-は、アニオン構造を表す。)
【0107】
一般式(J)におけるR
81〜R
84およびR
85が取りうる置換基は、後述する置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。
【0108】
一般式(J)中のR
81とR
82、R
83とR
84、およびmが2以上の場合のR
85同士は、各々独立に、互いに結合して5員、6員若しくは7員の飽和環、または5員、6員若しくは7員の不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員または7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R
81〜R
85で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(J)中のR
81とR
82、R
83とR
84、およびmが2以上の場合のR
85同士は、各々独立に、互いに結合して、置換基を有しない5員、6員並びに7員の飽和環または5員、6員並びに7員の不飽和環を形成する場合、置換基を有しない5員、6員並びに7員の飽和環または5員、6員並びに7員の不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
【0109】
特に、R
82およびR
83は水素原子または置換または無置換のアルキル基であり、R
81およびR
84は置換または無置換のアルキル基またはフェニル基であることが好ましい。また、R
85はハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基、アミド基であることが好ましく、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基、アミド基であることがさらに好ましい。R
85はキサンテン環と連結した炭素の隣接部に結合することが好ましい。R
81およびR
84のフェニル基が有する置換基は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基、スルホ基、スルホンアミド基、カルボキシル基であることが特に好ましい。
【0110】
一般式(J)で表されるキサンテン骨格を有する化合物は、文献記載の方法で合成することができる。具体的には、テトラへドロン レターズ、2003年、vol.44,No.23、4355〜4360頁、テトラへドロン、2005年、vol.61,No.12、3097〜3106頁などに記載の方法を適用することができる。
【0111】
以下にキサンテン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0113】
<<<シアニン色素>>>
本発明に係る色素構造を有するカチオンの態様の一つは、シアニン色素(シアニン化合物)に由来する部分構造を有するものである。前記色素としては、下記一般式(PM)で表される化合物(シアニン化合物)に由来する部分構造を、色素構造として有する色素が含まれる。本発明においてシアニン化合物とは、分子内にシアニン骨格を含む色素構造を有する化合物を総称するものである。
【0114】
【化21】
(一般式(PM)中、環Z1および環Z2は、それぞれ独立に置換基を有してもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。X
-はアニオン構造を表す。)
【0115】
環Z1および環Z2は、それぞれ独立して、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、ベンゾチアゾール、インドレニン、ベンゾインドレニン、1,3−チアジアジン等が挙げられる。
環Z1および環Z2が取りうる置換基は、後述する置換基群Aの項で挙げた置換基と同様である。X
-は非求核性の低求核アニオンを表す。
【0116】
一般式(PM)で表される化合物は、下記一般式(PM−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0117】
一般式(PM−2)
【化22】
(一般式(PM−2)中、環Z
5および環Z
6は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。)
X
-は、低求核アニオン構造を表す。
nは、0以上3以下の整数を表す。
A
1およびA
2は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子または窒素原子を表す。
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
R
3およびR
4は、それぞれ独立に水素原子または1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のR
3と1個のR
4とが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
aおよびbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を表す。
【0118】
以下に、シアニン化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。Xは、低求核アニオンを表す。
【0120】
上記具体例のうち、(pm−1)〜(pm−6)および(pm−9)で表される構造が好ましく、中でも、色特性および耐熱性の観点より、(pm−1)および(pm−2)で表される色素構造が特に好ましい。
【0121】
<<<サブフタロシアニン色素>>>
本発明に係る色素構造を有するカチオンの態様の一つは、サブフタロシアニン色素構造を有するものである。前記色素としては、下記一般式(SP)で表されるサブフタロシアニン色素構造を、色素構造として有する色素が含まれる。本発明においてサブフタロシアニン色素とは、分子内にサブフタロシアニン骨格を含む色素構造を有する化合物を総称するものである。本発明では、下記化合物がカチオン構造を形成するが、例えば、一般式(SP)のホウ素原子がカチオン構造を形成しうる。
【0122】
【化24】
(一般式(SP)中、Z
1〜Z
12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒロドキシ基、メルカプト基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオエーテル基を表す。Xは非求核性の低求核アニオンである。)
【0123】
一般式(SP)を詳しく説明する。
一般式(SP)中のZ
1〜Z
12が有してもよいアルキル基は直鎖または分岐の置換または無置換のアルキル基を表す。Z
1〜Z
12としては、特に、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がさらに好ましい。Z
1〜Z
12が有してもよい置換基としては後述する置換基群Aの項で挙げた置換基が挙げられるが、特にフッ素原子、ヒドロキシ基およびメルカプト基が好ましい。
【0124】
以下にサブフタロシアニン色素の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものでない。
【0126】
上記具体例のうち、色特性および耐熱性の観点より、特に(SP−2)、(SP−3)、(SP−4)、(SP−5)、(SP−6)および(SP−7)が好ましい。
【0127】
本発明に係る色素構造を有するカチオンは、本発明の趣旨を逸脱しない限り、色素構造中の水素原子が下記置換基群Aから選択された置換基により置換されていてもよい。
【0128】
<<スクアリリウム色素>>
本発明で用いる色素構造を有するカチオンは、スクアリリウム色素構造を有していてもよい。スクアリリウム色素としては、下記一般式(K)で表される色素が好ましい。
【0129】
【化26】
(式中、A及びDは、それぞれ独立にアリール基又はヘテロ環基を表し、Rは、アルキル基又はアリール基を表す。X
-は低求核アニオン構造を示す。)
【0130】
一般式(K)中、A及びDは、それぞれ独立に、アリール基又はヘテロ環基を表し、Dは、カチオン構造となっている。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは6〜24のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル等が挙げられる。ヘテロ環基としては五員環又は六員環のへテロ環基が好ましく、例えばピロイル、イミダゾイル、ピラゾイル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、トリアゾール−1−イル、チエニル、フリル、チアジアゾイル等が挙げられる。A及びBは、アリール基とヘテロ環基との縮合環であってもよい。
Rは、アルキル基又はアリール基を表す。アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としては、好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは炭素数6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0131】
一般式(K)で表される化合物としては、特に下記一般式(K−1)、又は一般式(K−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0132】
一般式(K−1)
【化27】
(一般式(K−1)中、M
1、M
2、M
3およびM
4は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、R、R
1、およびR
2は、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。X
-は低求核アニオン構造を示す。)
【0133】
一般式(K−1)中、M
1、M
2、M
3およびM
4は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、硫黄原子、窒素原子が好ましい。M
1およびM
3は同一の原子であることが好ましく、M
2およびM
4は同一の原子であることが好ましい。
一般式(K−1)中のR、R
1、およびR
2は、一般式(K)中のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0134】
一般式(K−2)
【化28】
(一般式(K−2)中、M
5およびM
6は、それぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表し、R、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。X
-は低求核アニオン構造を示す。)
【0135】
一般式(K−2)中、M
5およびM
6は、一般式(K−1)中のM
1〜M
4と同義であり、好ましい範囲も同様である。M
5およびM
6は同一の原子であることが好ましい。
一般式(K−2)中のR、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、一般式(K)中のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0136】
一般式(K−1)で表される化合物としては、下記一般式(K−3)で表される化合物であることが好ましく、一般式(K−2)で表される化合物としては、一般式(K−4)で表される化合物であることが好ましい。
【0137】
一般式(K−3)
【化29】
(一般式(K−3)中、R、R
1、およびR
2は、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。X
-は低求核アニオン構造を示す。)
【0138】
一般式(K−3)中のR、R
1、およびR
2は、一般式(K)中のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0139】
一般式(K−4)
【化30】
(一般式(K−4)中、R、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。X
-は低求核アニオン構造を示す。)
【0140】
一般式(K−4)中のR、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、一般式(K)中のRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0141】
下記に一般式(K)で表されるスクアリリウム化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。X
-は低求核アニオン構造を示す。
【0143】
本発明に係る色素は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、色素構造中の水素原子が下記置換基群Aから選択された置換基により置換されていてもよい。
【0144】
置換基群A:
色素が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。以下詳細に記述する。
【0145】
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、直鎖もしくは分岐のアルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
【0146】
直鎖もしくは分岐のアルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)やトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0147】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0148】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、tert−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0149】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0150】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、tert−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、
【0151】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0152】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0153】
アルキルまたはアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル)、
【0154】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールまたはヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0155】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0156】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、官能基中の水素原子の部分が、上記いずれかの基で置換されていてもよい。置換基として導入可能な官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0157】
<<他の官能基または他の繰り返し単位>>
本発明における色素多量体は、上記以外の他の官能基や他の繰り返し単位を有していても良い。
具体的には、色素構造を有するカチオンの色素構造が、他の官能基を有していてもよく、ポリマーアニオンの低求核性アニオン構造を含む繰り返し単位を有する部位が、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。
他の官能基としては、重合性基、酸基およびアルカリ可溶性基等が例示される。また、他の繰り返し単位としては、重合性基、酸基およびアルカリ可溶性基の少なくとも1種を含む繰り返し単位が例示される。
以下、これらの詳細について説明する。
【0158】
<<<ポリマーアニオンおよび/または色素構造を有するカチオンが有する重合性基>>>>
本発明におけるポリマーアニオンおよび/または色素構造を有するカチオンは、重合性基を含むことが好ましい。
本発明では、色素構造を有するカチオンが重合性基を含むことが好ましい。このような構成とすることにより耐熱性が向上する傾向にある。重合性基は1種類のみ含んでいても良いし、2種類以上含んでいても良い。
重合性基としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の重合性基を用いることができ、例えば、エチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基)、メチロール基等が挙げられるが、特にエチレン性不飽和結合を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート由来の(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
重合性基は、また、ポリマーアニオン中に、低求核性アニオン構造を含む繰り返し単位のほかに、重合性基を有する繰り返し単位として組み込まれることも好ましい。より好ましくは、ポリマーアニオンが低求核性アニオン構造を含む繰り返し単位とエチレン性不飽和結合を有する繰り返し単位を含有する態様である。
【0159】
重合性基の導入方法としては、(1)ポリマーアニオンおよび/または色素構造を有するカチオンを重合性基含有化合物で変性して導入する方法、(2)低求核性アニオン構造を有する重合性化合物(または低求核性アニオン構造の前駆体となる構造を有する重合性化合物)と、重合性基含有化合物を共重合して導入する方法等がある。
【0160】
色素構造が有する重合性基量は、色素構造1gに対し0.1〜2.0mmolであることが好ましく、0.2〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.3〜1.0mmolであることが特に好ましい。
また、ポリマーアニオンが重合性基を有する繰り返し単位を含有する場合、その量は、全繰り返し単位100モルに対し、例えば、1〜40モルが好ましく、5〜30モルがより好ましい。
【0161】
前記重合性基を有する繰り返し単位としては、以下のような具体例が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0164】
<<<ポリマーアニオンおよび/または色素構造を有するカチオンが有する酸基およびアルカリ可溶性基>>>
本発明におけるポリマーアニオンおよび/または色素構造を有するカチオンが有していてもよい酸基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基が例示される。また、アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸が例示される。
本発明では好ましくは、酸基および/またはアルカリ可溶性基は、酸基および/またはアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位として、ポリマーアニオン中に含まれることが好ましい。
酸基を有する繰り返し単位の酸価としては、5mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g〜180mgKOH/gであることがより好ましく、20mgKOH/g〜170mgKOH/gであることがさらに好ましい。
本発明において、ポリマーアニオンの酸価は、例えば、ポリマーアニオン中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、ポリマーアニオンを構成する酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
【0165】
色素構造を有するカチオンへのアルカリ可溶性基の導入方法としては、色素単量体にあらかじめアルカリ可溶性基を導入しておく方法が挙げられる。ポリマーアニオンへのアルカリ可溶性基の導入する方法としては、アルカリ可溶性基を有する色素単量体以外のモノマー((メタ)アクリル酸、アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水こはく酸変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの無水フタル酸変性物、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルの1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物変性物、スチレンカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、ノルボルネンカルボン酸等のカルボン酸含有モノマー、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、ビニルホスホン酸等のリン酸含有モノマー、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸等のスルホン酸含有モノマー)を共重合する方法が挙げられる。
【0166】
色素多量体が有するアルカリ可溶性基量は、色素多量体1gに対し0.3mmol〜2.0mmolであることが好ましく、0.4mmol〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.5mmol〜1.0mmolであることが特に好ましい。
また、ポリマーアニオンが、低求核性アニオン構造を有する繰り返し単位と酸基を有する繰り返し単位を含有する場合、酸基を有する繰り返し単位を含有する繰り返し単位の割合は、前記ポリマーアニオンを含む繰り返し単位100モルに対し、例えば、1〜60モルが好ましく、10〜50モルがより好ましい。
【0167】
ポリマーアニオンおよび/または色素構造を有するカチオンが有するその他の官能基として、ラクトン、酸無水物、アミド、−COCH
2CO−、シアノ基等の現像促進基、長鎖および環状アルキル基、アラルキル基、アリール基、ポリアルキレンオキシド基、ヒドロキシル基、マレイミド基、アミノ基等の親疏水性調整基等が挙げられ、適宜導入することができる。
導入方法として、色素構造を有するカチオンにあらかじめ導入しておく方法、および上記官能基を有するモノマーを共重合する方法が挙げられる。
【0168】
他の繰り返し単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0170】
また、本発明における色素多量体は、最大吸収波長が400〜650nmであることが好ましく、450〜600nmであることがより好ましい。
さらに、本発明における色素多量体の酸価は、5〜200mgKOH/gであることが好ましく、10〜180mgKOH/gであることがより好ましい。
【0171】
低求核アニオン構造を繰り返し単位に有する部分は、低求核アニオン構造を含む繰り返し単位と重合性基を有する繰り返し単位を含むことが好ましく、低求核アニオン構造を含む繰り返し単位と重合性基を有する繰り返し単位と酸基を有する繰り返し単位を含むことがさらに好ましい。
色素多量体の重量平均分子量は、2,000〜20,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることがさらに好ましく、4,000〜10,000であることが特に好ましい。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
また、色素多量体の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比〔(Mw)/(Mn)〕は1.0〜3.0であることが好ましく、1.6〜2.5であることがさらに好ましく、1.6〜2.0であることが特に好ましい。
【0172】
本発明に係る色素多量体のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。また、熱重量分析(TGA測定)による5%重量減少温度が、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。この領域にあることで、本発明の着色組成物をカラーフィルタ等の作製に適用する際に、加熱プロセスに起因する濃度変化を低減する事ができるようになる。
【0173】
また、本発明に係る色素多量体の単位重量あたりの吸光係数(以後ε’と記す。ε’=ε/平均分子量、単位:L/g・cm)が、30以上であることが好ましく、60以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。この範囲にあることで、本発明の着色組成物を適用してカラーフィルタを作製する場合において、色再現性のよいカラーフィルタを作製することができる。
【0174】
本発明の着色組成物に用いる色素多量体のモル吸光係数は、着色力の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。
【0175】
本発明に係る色素多量体は、以下の有機溶剤に溶解する化合物であることが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類(例えば、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等)、エーテル類(例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、ケトン類(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)が挙げられ、これら溶剤に対し、1質量%以上50質量%以下溶解することが好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。この領域にあることで、本発明の着色組成物をカラーフィルタ等の作製に適用する際に、好適な塗布面状や、他色塗布後の溶出による濃度低下を低減させることができるようになる。
【0176】
本発明の着色組成物においては、色素多量体を1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。2種以上用いる場合、その合計量が後述する含有量に相当することが好ましい。
【0177】
本発明の着色組成物中における色素多量体の含有量は、後述する顔料との含有比率を考慮した上で設定される。
顔料に対する色素構造を有するカチオンの質量比(色素構造を有するカチオン/顔料)としては、0.1〜5が好ましく、0.2〜2がよりに好ましく、0.3〜1がさらに好ましい。
【0178】
本発明の着色組成物は、(A)一般式(I)で表される色素以外の公知の染料を含んでいてもよい。例えば特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許4808501号明細書、米国特許5667920号明細書、米国特許505950号明細書、米国特許5667920号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に開示されている色素を使用できる。化学構造としては、ピラゾールアゾ系、ピロメテン系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系等の染料を使用できる。
【0179】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタの着色層の形成に用いられる。本発明で用いる着色組成物は、好ましくは、上記(A)色素多量体に加えて、(B)硬化性化合物および(C)顔料を含む。(B)硬化性化合物としては、重合性化合物やアルカリ可溶性樹脂(重合性基を含むアルカリ可溶性樹脂を含む)が例示され、用途や製造方法に応じて適宜選択される。さらに、本発明の着色組成物は、(D)光重合開始剤を含んでいることが好ましい。
例えば、フォトレジストによって、着色層を形成する場合、本発明の着色組成物は、本発明における(A)色素多量体、硬化性化合物としてのアルカリ可溶性樹脂、(C)顔料および(D)光重合開始剤を含む組成物が好ましい。さらに、界面活性剤、溶剤等の成分を含んでいてもよい。
また、ドライエッチングによって、着色層を形成する場合、本発明における(A)色素多量体、硬化性化合物としての重合性化合物、(C)顔料および(D)光重合開始剤を含む組成物が好ましい。さらに、界面活性剤、溶剤等の成分を含んでいてもよい。
以下、これらの詳細について説明する。
【0180】
<(B)重合性化合物>
本発明の着色組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。
ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の重合性化合物を用いることができ、例えば、エチレン性不飽和結合、環状エーテル(エポキシ、オキセタン)、メチロール等を含む重合性化合物が挙げられる。重合性化合物は、感度の観点から、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から好適に選ばれる。中でも、4官能以上の多官能重合性化合物が好ましく、5官能以上の多官能重合性化合物がさらに好ましい。
【0181】
このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマーまたはそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0182】
より具体的には、モノマーおよびそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、および不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号〔0095〕〜〔0108〕に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0183】
また、前記重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許第4364216号明細書等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
【0184】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
【0185】
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0188】
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数存在するRの少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH
2、または、−OC(=O)C(CH
3)=CH
2で表される基を表す。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0189】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載の前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
【0190】
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
【0191】
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入してもよい。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
【0192】
本発明において、酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
【0193】
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1mgKOH/g〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5mgKOH/g〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
【0194】
また、重合性化合物として、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を含有することも好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記一般式(Z−1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
【0196】
一般式(Z−1)中、6個のRは全てが下記一般式(Z−2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記一般式(Z−2)で表される基であり、残余が下記一般式(Z−3)で表される基である。
【0198】
一般式(Z−2)中、R
1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
【0200】
一般式(Z−3)中、R
1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0201】
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R
1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R
1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R
1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R
1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0202】
また、本発明における特定モノマーとしては、下記一般式(Z−4)または(Z−5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
【0204】
前記一般式(Z−4)および(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CH
2)yCH
2O)−、または−((CH
2)yCH(CH
3)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、またはカルボキシル基を表す。
前記一般式(Z−4)中、アクリロイル基およびメタクリロイル基の合計は3個または4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基およびメタクリロイル基の合計は5個または6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
【0205】
前記一般式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(Z−4)または一般式(Z−5)中の−((CH
2)yCH
2O)−または−((CH
2)yCH(CH
3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
【0206】
前記一般式(Z−4)または一般式(Z−5)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
【0207】
また、一般式(Z−4)または一般式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0208】
前記一般式(Z−4)または一般式(Z−5)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ルまたはジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)または(ii)で表される化合物を合成することができる。
【0209】
前記一般式(Z−4)または一般式(Z−5)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体および/またはジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
【0212】
一般式(Z−4)、(Z−5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
【0213】
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、重合性化合物として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
【0214】
環状エーテル(エポキシ、オキセタン)としては、例えば、エポキシ基を有するものとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、JER−827、JER−828、JER−834、JER−1001、JER−1002、JER−1003、JER−1055、JER−1007、JER−1009、JER−1010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、JER−806、JER−807、JER−4004、JER−4005、JER−4007、JER−4010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂として、JER−152、JER−154、JER−157S70、JER−157S65、(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)、脂肪族エポキシ樹脂として、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE−3150(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物)、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、デナコール EX−211L、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER−1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。このような重合性化合物は、ドライエッチング法でパターンを形成する場合に好適である。
【0215】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色組成物により形成された硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能基数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、着色組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。
また、着色組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、被分散体、アルカリ可溶性樹脂等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0216】
本発明の着色組成物中に重合性化合物を配合する場合、重合性化合物の含有量は、着色組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜60質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜40質量%が特に好ましい。
本発明の組成物は、重合性化合物を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0217】
<(C)顔料>
本発明の着色組成物は、さらに、(C)顔料を含有することが好ましい。
本発明で使用する顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができ、有機顔料を用いることが好ましい。前記顔料としては、高透過率であることが好ましい。
【0218】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0219】
有機顔料としては、例えば、
C.I.ピグメントイエロー11,24,31,53,83,93,99,108,109,110,138,139,147,150,151,154,155,167,180,185,199,;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,71;
C.I.ピグメントレッド81,105,122,149,150,155,171,175,176,177,209,220,224,242,254,255,264,270;
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,39;
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:3,15:6,16,22,60,66;
C.I.ピグメントグリーン7,36,37,58;
C.I.ピグメントブラウン25,28;
C.I.ピグメントブラック1,7;
等を挙げることができる。
【0220】
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
【0221】
C.I.ピグメントイエロー11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.ピグメントオレンジ36,71,
C.I.ピグメントレッド122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.ピグメントバイオレット19,23,32,
C.I.ピグメントブルー15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.ピグメントグリーン7,36,37,58;
C.I.ピグメントブラック1,7
【0222】
これら有機顔料は、単独もしくは、分光の調整や色純度を上げるために種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示す。例えば、赤の顔料として、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色分解性の点でC.I.ピグメントイエロー139との混合が好ましい。また、赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難であり、また100:51以上では主波長が短波長寄りになり、色分解能を上げることができない場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:30の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、求める分光に併せて調整することができる。
【0223】
また、緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.ピグメントグリーン7、36、37とC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185との混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。上記質量比としては100:30〜100:120の範囲が特に好ましい。
【0224】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料を単独で、若しくはこれとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えばC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
【0225】
また、ブラックマトリックス用の顔料としては、カーボン、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独または混合が用いられ、カーボンとチタンブラックとの組合せが好ましい。また、カーボンとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。
【0226】
本発明の着色組成物は、黒以外の顔料を配合することが好ましく、青色の顔料に適している。
【0227】
顔料の一次粒子サイズは、カラーフィルタ用として用いる場合には、色ムラやコントラストの観点から、100nm以下であることが好ましく、また、分散安定性の観点から5nm以上であることが好ましい。顔料の一次粒子サイズとしてより好ましくは、5〜75nmであり、さらに好ましくは5〜55nmであり、特に好ましくは5〜35nmである。
顔料の一次粒子サイズは、電子顕微鏡等の公知の方法で測定することができる。
【0228】
中でも、顔料としては、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、アゾメチン顔料、およびジオキサジン顔料から選ばれる顔料であることが好ましい。特に、C.I.ピグメントレッド177(アントラキノン顔料),C.I.ピグメントレッド254(ジケトピロロピロール顔料)、C.I.ピグメントグリーン7,36,58、C.I.ピグメントブルー15:6(フタロシアニン顔料)、C.I.ピグメントイエロー138(キノフタロン顔料)、C.I.ピグメントイエロー139,185(イソインドリン顔料)、C.I.ピグメントイエロー150(アゾメチン顔料)、C.I.ピグメントバイオレット23(ジオキサジン顔料)が特に好ましい。
【0229】
本発明の組成物に顔料を配合する場合、顔料の含有量は、着色組成物に含有される溶剤を除いた全成分に対して、10質量%〜70質量%が好ましく、より好ましくは20質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは25質量%〜50質量%である。
本発明の組成物は、顔料を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0230】
<(D)光重合開始剤>
本発明の着色組成物は、光重合開始剤を含有することが、さらなる感度向上の観点から好ましい。
前記光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0231】
前記光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられ、オキシム化合物が好ましい。
【0232】
また、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物およびその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0233】
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、トリアリールイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアリールイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が特に好ましい。また、トリアリールイミダゾール化合物は、ベンゾイミダゾールとの混合物であってもよい。
具体的には、トリハロメチルトリアジン化合物としては、以下の化合物が例示される。なお、Phはフェニル基である。
【化44】
トリアリールイミダゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物としては、以下の化合物が例示される。
【化45】
【0234】
トリハロメチルトリアジン化合物としては、市販品も使用でき、例えば、TAZ−107(みどり化学社製)を用いることもできる。
特に、本発明の着色組成物を固体撮像素子が備えるカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには(D)光重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが特に好ましい。
【0235】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許第3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、特に、特開2013−077009号公報の段落番号0075に記載の化合物などが挙げられる。
【0236】
また、上記以外の光重合開始剤として、アクリジン誘導体が例示される。具体的には、特開2013−077009号公報の段落番号0076に記載の化合物などが挙げられこれらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0237】
前記ケトン化合物としては、例えば、特開2013−077009号公報の段落番号0077に記載の化合物などが挙げられこれらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0238】
光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、および、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、および、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
【0239】
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報記載の化合物、特開2006−342166号公報記載の化合物を用いることができる。
【0240】
本発明における光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、および2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0241】
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。
【0242】
また上記記載以外のオキシム化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許第7626957号公報に記載の化合物、色素構造にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
【0243】
好ましくはさらに、特開2007−231000号公報、および、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
【0244】
特に好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、光重合開始剤であるオキシム化合物としては、下記一般式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0246】
一般式(OX−1)中、RおよびBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。
一般式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0247】
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、および、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0248】
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基およびp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0249】
アシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、および、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0250】
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、および、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0251】
アリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、および、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0252】
複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族または脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、および、チオキサントリル基が例示できる。
【0253】
アルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、および、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0254】
アリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、および、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0255】
一般式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、または、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0256】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、および、nは、それぞれ、後述する一般式(OX−2)におけるY、X、および、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0258】
前記式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、式(OX−1)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0259】
前記式(OX−1)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換または無置換のフェニル基が好ましい。
【0260】
式(OX−1)においては、前記式(OX−1)中のArとそれに隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0262】
オキシム化合物は、下記一般式(OX−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0264】
一般式(OX−2)中、RおよびXは各々独立に一価の置換基を表し、AおよびYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。一般式(OX−2)におけるR、A、およびArは、一般式(OX−1)におけるR、A、およびArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0265】
一般式(OX−2)中、Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0266】
これらの中でも、一般式(OX−2)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0267】
一般式(OX−2)中、Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(OX−2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0269】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0271】
さらにオキシム化合物は、下記一般式(OX−3)または(OX−4)で表される化合物であることが好ましい。
【0273】
一般式(OX−3)または(OX−4)中、RおよびXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
一般式(OX−3)または(OX−4)におけるR、X、A、Ar、および、nは、前記一般式(OX−2)におけるR、X、A、Ar、および、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0274】
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0276】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nmおよび455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0277】
オキシム化合物は、365nmまたは405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0278】
本発明の着色組成物に(D)光重合開始剤が含有する場合、光重合開始剤の含有量は、着色組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、より良好な感度とパターン形成性が得られる。
本発明の組成物は、光重合開始剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0279】
<顔料分散剤>
本発明の着色組成物が顔料を有する場合は、顔料分散剤を、所望により併用することができる。
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、および、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤、および、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造からさらに直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0280】
顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の顔料表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
【0281】
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、ポリエステル系分散剤等が挙げられ、具体的には、特開昭54−37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668号公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開平10−339949号公報、特開2004−37986号公報、国際公開パンフレットWO2010/110491等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。特に、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂は、顔料分散物の分散性、分散安定性、および顔料分散物を用いた着色組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
【0282】
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、および特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性且つ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、顔料分散物の分散性、分散安定性、および顔料分散物を用いた着色組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、さらに、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが特に好ましい。
【0283】
顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
【0284】
本発明に用いうる顔料分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、楠木化成株式会社製「DA−7301」、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110、111(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、および三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。
【0285】
これらの顔料分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。また、顔料分散剤は、前記顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂と併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004−300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7−319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
【0286】
着色組成物において、顔料分散剤を含有する場合、顔料分散剤の総含有量としては、顔料100質量部に対して、1質量部〜80質量部であることが好ましく、5質量部〜70質量部がより好ましく、10質量部〜60質量部であることがさらに好ましい。本発明の組成物は顔料分散剤を、それぞれ、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0287】
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対して、質量換算で5質量部〜100質量部の範囲が好ましく、10質量部〜80部の範囲であることがより好ましい。
また、顔料誘導体を併用する場合、顔料誘導体の使用量としては、顔料100質量部に対し、質量換算で1質量部〜30質量部の範囲にあることが好ましく、3質量部〜20質量部の範囲にあることがより好ましく、5質量部〜15質量部の範囲にあることが特に好ましい。
【0288】
着色組成物において、硬化感度、色濃度の観点から、色素および分散剤成分の含有量の総和が、着色組成物を構成する全固形分に対して50質量%以上90質量%以下であることが好ましく、55質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
【0289】
<(F)アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色組成物は、さらに、アルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の分子量としては、特に定めるものではないが、Mwが5000〜100,000であることが好ましい。また、Mnは1000〜20,000であることが好ましい。
【0290】
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0291】
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0292】
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
【0293】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類およびその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
【0294】
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N―フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0295】
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(ED)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー(a)を含むことも好ましい。
【0297】
一般式(ED)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。
【0298】
これにより、本発明の着色組成物は、耐熱性とともに透明性にも極めて優れた硬化塗膜を形成しうる。前記エーテルダイマーを示す前記一般式(1)中、R
1およびR
2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、tert−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。
【0299】
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(tert−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(tert−アミル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(tert−ブチルシクロヘキシル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記一般式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他の単量体を共重合させてもよい。
【0300】
また、本発明における着色組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂としては、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer. Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。これら重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基および重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002−229207号公報および特開2003−335814号公報に記載されるα位またはβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂を、塩基性処理することで得られる樹脂などが好ましい。
【0301】
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、(メタ)アクリル酸ベンジル/(メタ)アクリル酸共重合体や(メタ)アクリル酸ベンジル/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合した(メタ)アクリル酸ベンジル/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、特開平7−140654号公報に記載の2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられ、特に好ましくはメタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体等が挙げられる。
【0302】
アルカリ可溶性樹脂としては、特開2012−208494号公報段落0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
さらに、特開2012−32767号公報に記載の段落番号0029〜0063に記載の共重合体(B)および実施例で用いられているアルカリ可溶性樹脂、特開2012−208474号公報の段落番号0088〜0098に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012−137531号公報の段落番号0022〜0032に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2013−024934号公報の段落番号0132〜0143に記載のバインダー樹脂および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2011−242752号公報の段落番号0092〜0098および実施例で用いられているバインダー樹脂、特開2012−032770号公報の段落番号0030〜0072の記載のバインダー樹脂を用いること好ましい。これらの内容は本願明細書に組み込まれる。より具体的には、下記の樹脂が好ましい。
【0304】
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70mgKOH/g〜120mgKOH/gであることが特に好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が特に好ましい。
【0305】
着色組成物中にアルカリ可溶性樹脂を含有する場合、アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、着色組成物の全固形分に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは、2質量%〜12質量%であり、特に好ましくは、3質量%〜10質量%である。
本発明の組成物は、アルカリ可溶性樹脂を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0306】
<他の成分>
本発明の着色組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、有機溶剤、架橋剤、重合禁止剤、界面活性剤、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物などの他の成分を含んでいてもよい。
【0307】
<<有機溶剤>>
本発明の着色組成物は、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に紫外線吸収剤、アルカリ可溶性樹脂や分散剤等の溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における着色組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
【0308】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0309】
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤およびアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0310】
有機溶剤の着色組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5質量%〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%がさらに好ましく、10質量%〜50質量%が特に好ましい。
本発明の組成物は、有機溶剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0311】
<<架橋剤>>
本発明の着色組成物に補足的に架橋剤を用い、着色組成物を硬化させてなる硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物またはウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物またはヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落0134〜0147の記載を参照することができる。
本発明の着色組成物中に架橋剤を含有する場合、架橋剤の配合量は、特に定めるものではないが、組成物の全固形分の2〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましい。
本発明の組成物は、架橋剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0312】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物においては、前記着色組成物の製造中または保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
本発明の着色組成物中に重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の添加量は、全組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明の組成物は、重合禁止剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0313】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0314】
特に、本発明の着色組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0315】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0316】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0317】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレートおよびプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株))等が挙げられる。
【0318】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0319】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0320】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
本発明の着色組成物に界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量は、着色組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
本発明の組成物は、界面活性剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0321】
<<有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物>>
本発明の着色組成物は、分子量1000以下の有機カルボン酸、および/または有機カルボン酸無水物を含有していてもよい。
有機カルボン酸化合物としては、具体的には、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、グリコール酸、アクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、トリカルバリル酸、アコニット酸等のトリカルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸等のフェニル基に直接カルボキシル基が結合したカルボン酸、およびフェニル基から炭素結合を介してカルボキシル基が結合したカルボン酸類が挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には、例えば、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸が好ましい。
【0322】
有機カルボン酸無水物としては、例えば、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、具体的には、例えば、無水酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水1,2−シクロヘキセンジカルボン酸、無水n−オクタデシルコハク酸、無水5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸無水物が挙げられる。芳香族カルボン酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸等が挙げられる。これらの中では、特に分子量600以下、とりわけ分子量50〜500のもの、具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸が好ましい。
【0323】
本発明の着色組成物に有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物を含有する場合、有機カルボン酸および/または有機カルボン酸無水物の添加量は、通常、全固形分中0.01〜10重量%、好ましくは0.03〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量%の範囲である。
本発明の組成物は、有機カルボン酸および/または有機カルボン酸無水物を、それぞれ、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
これら分子量1000以下の有機カルボン酸、および/または有機カルボン酸無水物を添加することによって、高いパターン密着性を保ちながら、着色組成物の未溶解物の残存をより一層低減することが可能である。
【0324】
上記のほか、着色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落0155〜0156に記載のものを挙げることができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の着色組成物においては、特開2004−295116号公報の段落0078に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落0081に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
本発明の組成物は、上記成分を、それぞれ、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0325】
<着色組成物の調製方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合することで調製される。
なお、着色組成物の調製に際しては、着色組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された着色組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
【0326】
本発明の着色組成物は、カラーフィルタの着色層形成用として好ましく用いられる。より具体的には、本発明の着色組成物は、耐熱性および色特性に優れた硬化膜を形成することができるため、カラーフィルタの着色パターン(着色層)を形成するために好適に用いられる。また、本発明の着色組成物は、固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)や、液晶表示装置(LCD)などの画像表示装置に用いられるカラーフィルタなどの着色パターン形成用として好適に用いることができる。さらに、印刷インキ、インクジェットインキおよび塗料などの作製用途としても好適に用いることができる。なかでも、CCDおよびCMOS等の固体撮像素子用のカラーフィルタを作製用途として好適に用いることができる。
【0327】
<硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法>
次に、本発明における硬化膜、パターン形成方法およびカラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
本発明の硬化膜は、本発明の着色組成物を硬化してなる。かかる硬化膜はカラーフィルタに好ましく用いられる。
【0328】
本発明のパターン形成方法は、本発明の着色組成物を支持体上に適用して着色組成物層を形成し、不要部分を除去して、着色パターンを形成する。
本発明のパターン形成方法は、カラーフィルタが有する着色パターン(画素)の形成に好適に適用することができる。
本発明の組成物は、いわゆるフォトリソグラフィ法でパターン形成によって、カラーフィルタを製造してもよいし、ドライエッチング法によってパターンを形成してもよい。
すなわち、本発明のカラーフィルタの第一の製造方法として、着色組成物を支持体上に適用して着色組成物層を形成する工程と、前記着色組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去して着色パターンを形成する工程とを含むカラーフィルタの製造方法が例示される。
また、本発明のカラーフィルタの第二の製造方法として、着色組成物を支持体上に適用して着色組成物層を形成し、硬化して着色層を形成する工程、前記着色層上にフォトレジスト層を形成する工程、露光および現像することにより前記フォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程、および前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記着色層をドライエッチングする工程を含む、カラーフィルタの製造方法が例示される。
本発明では、フォトリソグラフィ法で製造することがより好ましい。
以下これらの詳細を述べる。
【0329】
以下、本発明のパターン形成方法における各工程については、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法を通じて詳細に説明するが、本発明はこの方法に限定されるものではない。以下、固体撮像素子用カラーフィルタを単に「カラーフィルタ」ということがある。
【0330】
<<着色組成物層を形成する工程>>
着色組成物層を形成する工程では、支持体上に、本発明の着色組成物を適用して着色組成物層形成工程を形成する。
【0331】
本工程に用いうる支持体としては、例えば、基板(例えば、シリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
本発明における着色パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子における着色パターンの間や、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。
また、支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。下塗り層には、溶剤、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、重合禁止剤、界面活性剤、光重合開始剤等を配合でき、これらの各成分は、上述の本発明の組成物に配合する成分から適宜選択されることが好ましい。
【0332】
支持体上への本発明の着色組成物の付与方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0333】
支持体上に塗布された着色組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0334】
<フォトリソグラフィ法でパターン形成する工程>
<<露光する工程>>
露光工程では、着色組成物層形成工程において形成された着色組成物層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン露光する。これにより、硬化膜が得られる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は30mJ/cm
2〜1500mJ/cm
2が好ましく50mJ/cm
2〜1000mJ/cm
2がより好ましく、80mJ/cm
2〜500mJ/cm
2が特に好ましい。
【0335】
硬化膜(着色膜)の膜厚は1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm〜0.9μmであることがより好ましく、0.2μm〜0.8μmであることがさらに好ましい。
膜厚を、1.0μm以下とすることにより、高解像性、高密着性を得られるため、好ましい。
また、本工程においては、0.7μm以下の薄い膜厚を有する硬化膜も好適に形成することができ、得られた硬化膜を、後述するパターン形成工程にて現像処理することで、薄膜でありながらも、現像性、表面荒れ抑制、およびパターン形状に優れた着色パターンを得ることができる。
【0336】
<<現像工程>>
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、露光工程における光未照射部分の着色組成物層がアルカリ水溶液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は、従来20秒〜90秒であった。より残渣を除去するため、近年では120秒〜180秒実施する場合もある。さらには、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返す場合もある。
【0337】
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、現像液には無機アルカリを用いてもよく、無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウムなどが好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0338】
次いで、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。多色の着色パターンを形成するのであれば、色ごとに前記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。これによりカラーフィルタが得られる。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
【0339】
<ドライエッチング法でパターン形成する場合>
ドライエッチングは、着色層を、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとしてエッチングガスを用いて行うことができる。具体的には、着色層上にポジ型またはネガ型の感放射線性組成物を塗布し、これを乾燥させることによりフォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層の形成においては、さらにプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジストの形成プロセスとしては、露光後の加熱処理(PEB)、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。
【0340】
フォトレジストとしては、例えば、ポジ型の感放射線性組成物が用いられる。このポジ型の感放射線性組成物としては、紫外線(g線、h線、i線)、エキシマー・レーザ等を含む遠紫外線、電子線、イオンビームおよびX線等の放射線に感応するポジ型フォトレジスト用に好適なポジ型レジスト組成物が使用できる。放射線のうち、g線、h線、i線が好ましく、中でもi線が好ましい。
具体的には、ポジ型の感放射線性組成物として、キノンジアジド化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有する組成物が好ましい。キノンジアジド化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型の感放射線性組成物は、500nm以下の波長の光照射によりキノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、結果としてアルカリ不溶状態からアルカリ可溶性になることを利用するものである。このポジ型フォトレジストは解像力が著しく優れているので、ICやLSI等の集積回路の作製に用いられている。キノンジアジド化合物としては、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。市販品としては例えばFHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)などが挙げられる。
【0341】
フォトレジスト層の厚みとしては、0.1〜3μmが好ましく、0.2〜2.5μmが好ましく、0.3〜2μmがさらに好ましい。なお、フォトレジスト層の塗布は、既述の着色層における塗布方法を用いて好適に行なえる。
【0342】
次いで、フォトレジスト層を露光、現像することにより、レジスト貫通孔群が設けられたレジストパターン(パターニングされたフォトレジスト層)を形成する。レジストパターンの形成は、特に制限なく、従来公知のフォトリソグラフィーの技術を適宜最適化して行なうことができる。露光、現像によりフォトレジスト層に、レジスト貫通孔群が設けられることによって、次のエッチングで用いられるエッチングマスクとしてのレジストパターンが、着色層上に設けられる。
【0343】
フォトレジスト層の露光は、所定のマスクパターンを介して、ポジ型またはネガ型の感放射線性組成物に、g線、h線、i線等、好ましくはi線で露光を施すことにより行なうことができる。露光後は、現像液で現像処理することにより、着色パターンを形成しようとする領域に合わせてフォトレジストが除去される。
【0344】
前記現像液としては、色素を含む着色層には影響を与えず、ポジレジストの露光部およびネガレジストの未硬化部を溶解するものであればいずれも使用可能であり、例えば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。アルカリ性の水溶液としては、アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%となるように溶解して調製されたアルカリ性水溶液が好適である。アルカリ性化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等が挙げられる。尚、アルカリ性水溶液を現像液として用いた場合は、一般に現像後に水で洗浄処理が施される。
【0345】
次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、着色層に貫通孔群が形成されるようにドライエッチングによりパターニングする。これにより、着色パターンが形成される。貫通孔群は、着色層に、市松状に設けられている。よって、着色層に貫通孔群が設けられてなる第1着色パターンは、複数の四角形状の第1着色画素を市松状に有している。
【0346】
具体的には、ドライエッチングは、レジストパターンをエッチングマスクとして、着色層をドライエッチングする。ドライエッチングの代表的な例としては、特開昭59−126506号、特開昭59−46628号、同58−9108号、同58−2809号、同57−148706号、同61−41102号などの各公報に記載の方法がある。
【0347】
ドライエッチングとしては、パターン断面をより矩形に近く形成する観点や支持体へのダメージをより低減する観点から、以下の形態で行なうのが好ましい。
フッ素系ガスと酸素ガス(O
2)との混合ガスを用い、支持体が露出しない領域(深さ)までエッチングを行なう第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、窒素ガス(N
2)と酸素ガス(O
2)との混合ガスを用い、好ましくは支持体が露出する領域(深さ)付近までエッチングを行なう第2段階のエッチングと、支持体が露出した後に行なうオーバーエッチングとを含む形態が好ましい。以下、ドライエッチングの具体的手法、並びに第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、およびオーバーエッチングについて説明する。
【0348】
ドライエッチングは、下記手法により事前にエッチング条件を求めて行なう。
(1)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)とをそれぞれ算出する。(2)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。(3)前記(2)で算出したエッチング時間に従って第1段階のエッチングを実施する。(4)前記(2)で算出したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施する。あるいはエンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施してもよい。(5)前記(3)、(4)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出し、オーバーエッチングを実施する。
【0349】
前記第1段階のエッチング工程で用いる混合ガスとしては、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、フッ素系ガスおよび酸素ガス(O
2)を含むことが好ましい。また、第1段階のエッチング工程は、支持体が露出しない領域までエッチングする形態にすることで、支持体のダメージを回避することができる。また、前記第2段階のエッチング工程および前記オーバーエッチング工程は、第1段階のエッチング工程でフッ素系ガスおよび酸素ガスの混合ガスにより支持体が露出しない領域までエッチングを実施した後、支持体のダメージ回避の観点から、窒素ガスおよび酸素ガスの混合ガスを用いてエッチング処理を行なうのが好ましい。
【0350】
第1段階のエッチング工程でのエッチング量と、第2段階のエッチング工程でのエッチング量との比率は、第1段階のエッチング工程でのエッチング処理による矩形性を損なわないように決定することが重要である。なお、全エッチング量(第1段階のエッチング工程でのエッチング量と第2段階のエッチング工程でのエッチング量との総和)中における後者の比率は、0%より大きく50%以下である範囲が好ましく、10〜20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚とエッチング前の膜厚との差から算出される量のことをいう。
【0351】
また、エッチングは、オーバーエッチング処理を含むことが好ましい。オーバーエッチング処理は、オーバーエッチング比率を設定して行なうことが好ましい。また、オーバーエッチング比率は、初めに行なうエッチング処理時間より算出することが好ましい。オーバーエッチング比率は任意に設定できるが、フォトレジストのエッチング耐性と被エッチングパターンの矩形性維持の点で、エッチング工程におけるエッチング処理時間の30%以下であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましく、10〜15%であることが特に好ましい。
【0352】
次いで、エッチング後に残存するレジストパターン(すなわちエッチングマスク)を除去する。レジストパターンの除去は、レジストパターン上に剥離液または溶剤を付与して、レジストパターンを除去可能な状態にする工程と、レジストパターンを洗浄水を用いて除去する工程とを含むことが好ましい。
【0353】
レジストパターン上に剥離液または溶剤を付与し、レジストパターンを除去可能な状態にする工程としては、例えば、剥離液または溶剤を少なくともレジストパターン上に付与し、所定の時間停滞させてパドル現像する工程を挙げることができる。剥離液または溶剤を停滞させる時間としては、特に制限はないが、数十秒から数分であることが好ましい。
【0354】
また、レジストパターンを洗浄水を用いて除去する工程としては、例えば、スプレー式またはシャワー式の噴射ノズルからレジストパターンに洗浄水を噴射して、レジストパターンを除去する工程を挙げることができる。洗浄水としては、純水を好ましく用いることができる。また、噴射ノズルとしては、その噴射範囲内に支持体全体が包含される噴射ノズルや、可動式の噴射ノズルであってその可動範囲が支持体全体を包含する噴射ノズルを挙げることができる。噴射ノズルが可動式の場合、レジストパターンを除去する工程中に支持体中心部から支持体端部までを2回以上移動して洗浄水を噴射することで、より効果的にレジストパターンを除去することができる。
【0355】
剥離液は、一般には有機溶剤を含有するが、無機溶媒をさらに含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、1)炭化水素系化合物、2)ハロゲン化炭化水素系化合物、3)アルコール系化合物、4)エーテルまたはアセタール系化合物、5)ケトンまたはアルデヒド系化合物、6)エステル系化合物、7)多価アルコール系化合物、8)カルボン酸またはその酸無水物系化合物、9)フェノール系化合物、10)含窒素化合物、11)含硫黄化合物、12)含フッ素化合物が挙げられる。剥離液としては、含窒素化合物を含有することが好ましく、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことがより好ましい。
【0356】
非環状含窒素化合物としては、水酸基を有する非環状含窒素化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミン(H2NCH2CH2OH)である。また、環状含窒素化合物としては、イソキノリン、イミダゾール、N−エチルモルホリン、ε−カプロラクタム、キノリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピリジン、ピロリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N−フェニルモルホリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジンなどが挙げられ、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルモルホリンであり、より好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。
【0357】
剥離液は、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことが好ましいが、中でも、非環状含窒素化合物として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種と、環状含窒素化合物として、N−メチル−2−ピロリドンおよびN−エチルモルホリンから選ばれる少なくとも1種とを含むことがより好ましく、モノエタノールアミンとN−メチル−2−ピロリドンとを含むことがさらに好ましい。
【0358】
剥離液で除去するときには、第1着色パターン12の上に形成されたレジストパターン52が除去されていればよく、第1着色パターン12の側壁にエッチング生成物であるデポ物が付着している場合でも、前記デポ物が完全に除去されていなくてもよい。デポ物とは、エッチング生成物が着色層の側壁に付着し堆積したものをいう。
【0359】
剥離液としては、非環状含窒素化合物の含有量が、剥離液100質量部に対して9質量部以上11質量部以下であって、環状含窒素化合物の含有量が、剥離液100質量部に対して65質量部以上70質量部以下であるものが望ましい。また、剥離液は、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物との混合物を純水で希釈したものが好ましい。
【0360】
なお、本発明の製造方法は、必要に応じ、上記以外の工程として、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法として公知の工程を有していてもよい。例えば、上述した、着色組成物層形成工程、露光工程およびパターン形成工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを加熱および/または露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0361】
また、本発明に係る着色組成物を用いる場合、例えば、塗布装置吐出部のノズルや配管部の目詰まりや塗布機内への着色組成物や顔料の付着・沈降・乾燥による汚染等が生じる場合がある。そこで、本発明の着色組成物によってもたらされた汚染を効率よく洗浄するためには、前掲の本組成物に関する溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明に係る着色組成物の洗浄除去として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートおよびアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶媒は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。なお、汚染物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加してもよい。
【0362】
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いているため、露光マージンに優れた露光ができる共に、形成された着色パターン(着色画素)は、パターン形状に優れ、パターン表面の荒れや現像部における残渣が抑制されていることから、色特性に優れたものとなる。
本発明のカラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、例えば、CCDまたはCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
【0363】
なお、本発明のカラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましい。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
【0364】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明のカラーフィルタを備える。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明におけるカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0365】
支持体上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオードおよび前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
さらに、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【0366】
<画像表示装置>
本発明のカラーフィルタは、前記固体撮像素子のみならず、液晶表示装置や有機EL表示装置などの、画像表示装置に用いることができ、特に液晶表示装置の用途に好適である。本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
【0367】
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0368】
本発明のカラーフィルタは、カラーTFT方式の液晶表示装置に用いてもよい。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、およびR−OCB等にも適用できる。
また、本発明におけるカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率および剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタにおいては、色相に優れた色素を用いることから、色純度、光透過性などが良好で着色パターン(画素)の色合いに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
【0369】
本発明におけるカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、本発明におけるカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
【0370】
本発明におけるカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、さらに、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【実施例】
【0371】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は質量基準である。
【0372】
[合成例1]
((A)色素多量体(S−1)の合成)
モノマー1の合成
【化56】
【0373】
4-アセトキシスチレン100部を酢酸エチル300部に溶解させ、その溶液に対しナトリウムメトキシド−メタノール溶液28%50部を氷浴下にて滴下し、3時間室温にて撹拌した。その後、反応液を1規定塩酸水溶液200部にて3回分液洗浄を行い、飽和食塩水200部にて更に分液洗浄を行った後、硫酸マグネシウムにて乾燥、ろ過し、ろ液得た。そのろ液に対して、EF-3000(三菱マテリアル社製)207部、トリエチルアミン99.5部を加え5℃以下を保持して1時間撹拌を行った。その後、トリフルオロメタンスルホンアミド102部、トリエチルアミン331部を添加し2時間撹拌した。反応液を1規定塩酸水溶液300部にて3回分液洗浄し、飽和食塩水300部にて3回分液洗浄を行い、硫酸ナトリウムにて乾燥させ、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製した後、10%水酸化ナトリウム水溶液200部にて分液し、更に飽和食塩水300部にて分液洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥後、ろ液を濃縮し、X-57前駆体60部(収率:17.1%)を得た。
その後、X-57前駆体60部とRhodamineB(東京化成社製)55.3部を酢酸エチル300部、水300部中で塩交換させ、酢酸エチル層を分離し、硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮し、モノマー1 110部(収率:95%)を得た。
【化57】
【0374】
上記モノマー1 7.5部、メタクリル酸0.23部、トデカンチオール0.09部をPGMEA3部に溶解させた。その溶液の半分を三口フラスコに入れ80度にて撹拌させ、残り半分の溶液に光重合開始剤V−601(和光純薬社製)0.21部を添加し1時間かけて三口フラスコ内へ滴下した。その後80度で3時間撹拌し、室温に戻した後、ヘキサン100部へ反応液を滴下し晶析し、ろ別し、送風乾燥8時間を経て重合体6.5部(Mw8200)を得た。
【0375】
[合成例2〜40]
合成例1において、下記表に示した低求核アニオン構造、色素とした以外は合成例1と同様にして、化合物(S−2)〜(S−40)を合成した。
【0376】
【表1】
【0377】
[実施例1〜実施例40および比較例1〜比較例4]
1.レジスト液の調製
下記組成の成分を混合して溶解し、下塗り層用レジスト液を調製した。
<下塗り層用レジスト液の組成>
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 19.20部
・溶剤:乳酸エチル 36.67部
・アルカリ可溶性樹脂:メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18、重量平均分子量15,000、数平均分子量9,000)の40%PGMEA溶液 30.51部
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
12.20部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0061部
・フッ素系界面活性剤:F−475、DIC(株)製 0.83部
・光重合開始剤:トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤 0.586部
(TAZ−107、みどり化学社製)
【0378】
2.下塗り層付シリコンウエハ基板の作製
6inchシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に、前記レジスト液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
【0379】
3.着色組成物の調製
3−1.青色顔料分散液の調製
青色顔料分散液1を、以下のようにして調製した。
C.I.Pigment Blue15:6を13.0部(青色顔料、平均粒子径55nm)、及び顔料分散剤であるDisperbyk111を5.0部、PGMEA82.0部からなる混合液を、ビーズミル(beads mill)(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm
3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。この分散処理を10回繰り返し、実施例又は比較例の着色組成物に用いる青色用顔料分散液1(C.I.Pigment Blue15:6分散液、顔料濃度13%)を得た。
得られた青色顔料分散液について、顔料の粒子径を動的光散乱法(Microtrac Nanotrac UPA−EX150(日機装社(Nikkiso Co., Ltd.)製))により測定したところ、24nmであった。
【0380】
前記「3−1.青色顔料分散液の調製」において、青色顔料分散液1に青色顔料として用いたC.I.Pigment Blue15:6と分散樹脂剤Disperbyk111との組み合わせに代えて、下記表に示す顔料と分散樹脂剤Disperbyk111との組み合わせにした以外は、前記青色顔料分散液1の調製と同様にして、赤色顔料分散液、緑色顔料分散液、及び黄色顔料分散液を調製した。
・C.I.ピグメントレッド254(PR254)
・C.I.ピグメントイエロー(PY139)
【0381】
3−2.着色組成物の調製
(1)実施例1〜40、比較例1〜4の着色組成物
下記の各成分を混合して分散、溶解し、実施例1〜40、比較例1〜4の各着色組成物を得た。
・シクロヘキサノン 1.133部
・アルカリ可溶性樹脂(下記J1又はJ2:下記表に記載の化合物) 0.030部
・ソルスパース20000(1%シクロヘキサン溶液、日本ルーブリゾール(株)製)
0.125部
・光重合開始剤(下記構造の化合物:下記表に記載の化合物) 0.012部
・(A)色素多量体(下記表に記載の化合物。ただし、比較例1〜4は所定の色素を用いた)
固形分として0.040部
・下記表に記載の顔料分散液(顔料濃度13.0%) 0.615部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 0.070部
・グリセロールプロポキシレート(1%シクロヘキサン溶液) 0.048部
【0382】
【化58】
【0383】
【化59】
【0384】
比較例1〜4は、(A)色素多量体として、以下の化合物を用いた。比較例4は、造塩生成物である。
【化60】
【0385】
4.着色組成物によるカラーフィルタの作製
<パターン形成>
上記のように調製した実施例及び比較例の着色組成物の各々を、前記2.で得られた下塗り層付シリコンウエハ基板の下塗り層上に塗布し、着色組成物層(塗布膜)を形成した。そして、この塗布膜の乾燥膜厚が0.6μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行なった。
【0386】
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが1.0μm四方のIslandパターンマスクを通して50〜1200mJ/cm
2の種々の露光量で露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行ない、シリコンウエハ基板に着色パターンを形成した。
【0387】
着色パターンが形成されたシリコンウエハを、真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって前記シリコンウエハ基板を回転数50r.p.m.で回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥した。
以上のようにして、実施例又は比較例の着色組成物により形成された着色パターンを有する単色のカラーフィルタを作製した。
その後、測長SEM「S−9260A」(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて、着色パターンのサイズを測定した。パターンサイズが1.0μmとなる露光量を最適露光量とした。
【0388】
5.性能評価
5−1.耐熱性
上記得た着色組成物が塗布されたガラス基板を、前記基板面で接するように200℃のホットプレートに載置して1時間加熱した後、色度計MCPD−1000(大塚電子(株)製)にて、加熱前後での色差(ΔE*ab値)を測定して熱堅牢性を評価する指標とし、下記判定基準に従って評価した。ΔE*ab値は、値の小さい方が、耐熱性が良好なことを示す。なお、ΔE*ab値は、CIE1976(L*,a*,b*)空間表色系による以下の色差公式から求められる値である(日本色彩学会編 新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
ΔE*ab={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2
【0389】
5−2.PGMEA溶解性
化合物(S−1)〜(S−42)のPGMEAに対する溶剤溶解性を以下の基準で評価した。
A:20質量以上溶解性を示した場合
B:10質量%以上、20質量%未満の場合
C:5質量%以上、10質量%未満の場合
D:5質量%未満の場合
【0390】
5−3.色移り評価
各カラーフィルタにおける着色パターンの吸光度を、MCPD−3000(大塚電子(株)製)にて測定した(吸光度A)。
カラーフィルタの着色パターン形成面に、乾燥膜厚が1μmとなるようにCT−2000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;透明下地剤)を塗布し、乾燥させて、透明膜を形成した後、280℃で5分間加熱処理を行なった。
加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜の吸光度を、MCPD−3000(大塚電子(株)製)にて測定した(吸光度B)。
得られた透明膜の吸光度Bの値について、加熱前に測定した着色パターンの吸光度Aの値に対する割合[%]を算出した〔下記(式A)〕。これを隣接ピクセルへの色移りを評価する指標とした。
(式A) 色移り(%)=吸光度B/吸光度A×100
【0391】
【表2】
【0392】
6.ドライエッチング法を適用したパターン形成
6−1.着色組成物の調製
下記成分を混合・溶解して着色組成物を調製した。
下記の各成分を混合して分散、溶解し、実施例39〜78、比較例5〜8の各着色組成物を得た。
・シクロヘキサノン 1.133部
・光重合開始剤(上記構造の化合物:下記表に記載の化合物) 0.012部
・(A)色素多量体(下記表に記載の化合物)
固形分として0.040部
・下記表に記載の顔料分散液(顔料濃度13.0%) 0.615部
・重合性化合物(EHPE-3150(ダイセル化学社製2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物)) 0.070部
・グリセロールプロポキシレート(1%シクロヘキサン溶液) 0.048部
【0393】
7.性能評価
7−1.耐アルカリ現像液性(現像液耐性)
ガラス基板上に、前記着色組成物を膜厚が0.6μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。次いで、220℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行い、硬化膜を作成した。
このようにして得られたカラーフィルタを、紫外可視近赤外分光光度計UV3600(島津製作所製)の分光光度計(レファレンス:ガラス基板)で300nm〜800nmの波長域で透過率を測定した。また、OLYMPUS製光学顕微鏡 BX60を用いて、反射観測(倍率50倍)にて微分干渉像を観察した。
次いで、アルカリ現像液FHD−5(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の中に5分間浸漬し、乾燥させた後に再度分光測定を実施し、溶剤浸漬前後の透過率変動(溶剤浸漬前の上記透過率をT0、溶剤浸漬後の上記透過率をT1とした場合に、式|T0−T1|で表される値を以下の通り評価した。
【0394】
AA:良好 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が2%未満
A:やや良好 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が2%以上5%未満
B:十分 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が5%以上10%未満
C:不十分 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が10%以上
【0395】
7−3.剥離液耐性
7−1で作製した着色膜上にポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布し、プリベークを実施し、膜厚0.8μmのフォトレジスト層を形成した。続いて、フォトレジスト層を、i線ステッパー(キャノン(株)製)を用い、350mJ/cm
2の露光量でパターン露光し、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が90℃となる温度で1分間、加熱処理を行なった。その後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施してレジストパターンを除去し、更に純水による洗浄、スピン乾燥を実施した。その後、100℃で2分間の脱水ベーク処理を行った。
【0396】
得られた着色膜を分光測定し、剥離後の透過率変動(溶剤浸漬前の上記透過率をT0、溶剤浸漬後の上記透過率をT2とした場合に、式|T0−T2|で表される値を評価した。
【0397】
AA:良好 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が2%未満
A:やや良好 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が2%以上5%未満
B:十分 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が5%以上10%未満
C:不十分 300nm〜800nmの全領域において、溶剤浸漬前後の透過率変動が10%以上
【0398】
【表3】
【0399】
実施例39〜78の組成物を用いてエッチングレジストによってカラーフィルタを作製した場合、現像液耐性および剥離液耐性に優れていることが分かった、一方、比較例5〜8の組成物は、これらが劣っていた。