(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性物品は、完成前の状態において、液体を吸収する吸収性本体と、前記吸収性本体に重ね合わせられつつ、前記吸収性本体の長手方向と交差する幅方向に並んで配された伸縮性の一対のベルト部材と、を有し、
前記吸収性本体は、脚回り開口部と、前記吸収性本体の前記幅方向の端部を前記幅方向の内側に折り返すための折り返し線と、をそれぞれ前記幅方向の両側に有するとともに、折り返された前記端部の固定対象部分に、それぞれ前記一対のベルト部材のうちの対応するベルト部材が固定されており、
前記吸収性本体を形成するための前記長手方向に連続した基材シートにおける前記幅方向の両側の各部分にそれぞれ前記脚回り開口部を形成することと、
前記基材シートにおける前記幅方向の端部を前記折り返し線で前記幅方向の内側に折り返すことと、を有することを特徴とする吸収性物品の製造方法である。
【0014】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上記の折り返し線は、吸収性本体に係る基材シートに設定されている。そして、ベルト部材を折り返す代わりに、上記基材シートの端部を折り返し線で折り返すことにより、当該端部に上記固定対象部分を形成可能である。よって、伸縮性を有したベルト部材を折り返さずに済んで、これにより、吸収性物品の製造の容易化を図ることができる。
【0015】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記折り返し線は、前記基材シートにおいて前記ベルト部材よりも前記長手方向の伸縮性が低い部分に設定されているのが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上記の折り返し線は、吸収性本体に係る基材シートにおいてベルト部材よりも長手方向の伸縮性が低い部分に設定されている。よって、当該折り返し線で折り返す際に伸縮性の影響を受け難くなって、それにより、折り返し処理を安定して行えるようになる。
【0017】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記基材シートにおいて前記折り返し線が設定されている部分に対して、前記幅方向に25mmの長さ当たり1Nの外力が前記長手方向に作用した際の伸び率が、0%以上20%以下であるのが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品の製造方法によれば、上記基材シートにおいて折り返し線が設定されている部分の伸び率は、上記範囲に収まっている。よって、当該折り返し線で折り返す際に、上記の折り返し線が設定された部分は伸び難く、これにより、折り返し処理を安定して行えるようになる。
【0019】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記脚回り開口部を形成することにおいては、前記折り返し線を前記幅方向に跨ぐように前記脚回り開口部を形成するのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品の製造方法によれば、折り返し線を幅方向に跨ぐように脚回り開口部を吸収性本体の基材シートに形成しているので、吸収性本体とベルト部材とが互いに共同して形成する着用対象者の胴回り部を覆う部分の寸法を、適度な大きさに設定し易くなる。
【0021】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記脚回り開口部を形成することの後に、前記折り返すのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品の製造方法によれば、脚回り開口部を形成した後に折り返し線で基材シートの上記端部を折り返す。よって、少なくとも折り返し線を跨ぐように脚回り開口部を形成する場合に、長手方向に沿った直線に関して線対称ではない非対称形状の脚回り開口部も形成可能となって、これにより、脚回り開口部の形状の選択の自由度を高めることができる。
【0023】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記脚回り開口部は、前記長手方向に沿った直線に関して線対称でない非対称形状に形成されているのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品の製造方法によれば、脚回り開口部を非対称形状に形成するので、着用対象者の脚回りへの脚回り開口部のフィット性を向上することができる。
【0025】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記脚回り開口部の前記長手方向の長さが最大となる前記幅方向の位置から前記幅方向にずれた位置に前記折り返し線が設定されているのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品の製造方法によれば、折り返し線で折り返す際に円滑に折ることができる。例えば、基材シートを折り返す際に折り返し線にガイド部材を当てる場合があるが、その際に、折り返し線を上記のようなずれた位置に設定していれば、基材シートにおいてガイド部材を当てる部分を大きく確保することができて、その結果、折り返し線で円滑に折ることが可能となる。
【0027】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記脚回り開口部のうちで前記折り返し線よりも前記幅方向の内側に位置する開口部分の面積の方が、前記幅方向の外側に位置する開口部分の面積よりも小さくなっているのが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品の製造方法によれば、折り返し線で折り返す際に円滑に折ることができる。例えば、基材シートを折り返す際に折り返し線よりも上記幅方向の内側の部分にガイド部材を当てることが多いが、上記のような面積の大小関係にしていれば、ガイド部材を基材シートに当てる際に、基材シートにおいてガイド部材を当てる部分の面積を大きく確保することができて、その結果、折り返し線で円滑に折ることが可能となる。
【0029】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記脚回り開口部の前記長手方向の長さは、前記基材シートにおいて前記長手方向に隣り合う前記脚回り開口部同士の間に位置する前記脚回り開口部が形成されない部分の前記長手方向の長さよりも大きいのが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品の製造方法によれば、脚回り開口部の長さの方が、上記の脚回り開口部が形成されない部分の長さよりも大きい。よって、基材シートを折り返し線で折り返した後に、基材シートの折り返し線での曲げ剛性が低下し易くなって、これにより、同シートを折り返した状態に維持し易くなる。そして、その結果、折り返し状態の基材シートに対して適宜な処理を行う際に同処理を行い易くなる。
【0031】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性本体を形成するための前記基材シートを第1基材シートとした場合に、
前記ベルト部材を形成するための前記長手方向に連続した第2基材シートの前記幅方向の端部を、前記第1基材シートにおける前記幅方向の端部の前記固定対象部分に固定することを有し、
前記固定することの後で、前記折り返すのが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品の製造方法によれば、第1基材シートを上記の第2基材シートに固定一体化した状態で同第1基材シートを折り返す。そのため、当該折り返しの際に、第1基材シートの不用な変形を上記の第2基材シートで規制しながら、第1基材シートを折り返すことができて、その結果、第1基材シートを安定して折り返し可能となる。
【0033】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性本体を形成するための前記基材シートを第1基材シートとした場合に、
前記ベルト部材を形成するための前記長手方向に連続した第2基材シートの前記幅方向の端部を、前記第1基材シートにおける前記幅方向の端部の前記固定対象部分に固定することを有し、
前記折り返すことの後で、前記固定することを行うのが望ましい。
【0034】
このような吸収性物品の製造方法によれば、第1基材シートを折り返した後に、当該第1基材シートを上記第2基材シートに固定するので、同第1基材シートを折り返すための装置のコンパクト化を図れて、その結果、設備費を抑制可能となる。
【0035】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性本体は、液体を吸収する吸収性コアと、前記吸収性コアの厚さ方向の肌側に配された肌側シートと、前記吸収性コアの前記厚さ方向の非肌側に配された非肌側シートと、を有し、
前記第1基材シートは、前記肌側シートが前記長手方向に連続した連続シートであるのが望ましい。
【0036】
このような吸収性物品の製造方法によれば、肌側シートにベルト部材を固定した形態の吸収性物品を製造可能となる。
【0037】
かかる吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性本体は、液体を吸収する吸収性コアと、前記吸収性コアの厚さ方向の肌側に配された肌側シートと、前記吸収性コアの前記厚さ方向の非肌側に配された非肌側シートと、を有し、
前記第1基材シートは、前記非肌側シートが前記長手方向に連続した連続シートであるのが望ましい。
【0038】
このような吸収性物品の製造方法によれば、非肌側シートにベルト部材を固定した形態の吸収性物品を製造可能となる。
【0039】
また、
吸収性物品の製造装置であって、
前記吸収性物品は、完成前の状態において、液体を吸収する吸収性本体と、前記吸収性本体に重ね合わせられつつ、前記吸収性本体の長手方向と交差する幅方向に並んで配された伸縮性の一対のベルト部材と、を有し、
前記吸収性本体は、脚回り開口部と、前記吸収性本体の前記幅方向の端部を前記幅方向の内側に折り返すための折り返し線と、をそれぞれ前記幅方向の両側に有するとともに、折り返された前記端部の固定対象部分に、それぞれ前記一対のベルト部材のうちの対応するベルト部材が固定されており、
前記吸収性本体を形成するための前記長手方向に連続した基材シートにおける前記幅方向の両側の各部分にそれぞれ前記脚回り開口部を形成する形成装置と、
前記基材シートにおける前記幅方向の端部を前記折り返し線で前記幅方向の内側に折り返す折り返し装置と、を有することを特徴とする吸収性物品の製造装置。
【0040】
このような吸収性物品の製造装置によれば、前述した製造方法の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0041】
更には、
吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、完成前の状態において、液体を吸収する吸収性本体と、前記吸収性本体に重ね合わせられつつ、前記吸収性本体の長手方向と交差する幅方向に並んで配された伸縮性の一対のベルト部材と、を有し、
前記吸収性本体は、脚回り開口部と、前記吸収性本体の前記幅方向の端部を前記幅方向の内側に折り返すための折り返し線と、をそれぞれ前記幅方向の両側に有するとともに、折り返された前記端部の固定対象部分に、それぞれ前記一対のベルト部材のうちの対応するベルト部材が固定されていることを特徴とする吸収性物品。
【0042】
このような吸収性物品によれば、上記の折り返し線は、吸収性本体に設定されている。そして、ベルト部材を折り返す代わりに、上記吸収性本体の端部を折り返し線で折り返すことにより、当該端部に上記固定対象部分を形成可能である。よって、伸縮性を有したベルト部材を折り返さずに済んで、これにより、吸収性物品の製造の容易化を図ることができる。
【0043】
===第1実施形態===
第1実施形態の吸収性物品の製造方法及び製造装置は、例えば、吸収性物品の一例としての使い捨ておむつ1の製造ラインで使用される。
図2は、第1実施形態に係る完成状態のおむつ1を腹側から見た概略正面図である。
図3は、完成前の状態たる延板状態のおむつ1をベルト部材30側から見た概略平面図であり、
図4は、同おむつ1を吸収性本体10側から見た概略平面図である。また、
図5は、
図3中のV−V断面図である。
【0044】
このおむつ1は、製造工程の最終段階において
図3のような平坦に延びた延板状態(完成前の状態に相当)になっている。詳しくは、先ず、着用対象者の股間に配されるべき吸収性本体10は、互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有したシート状部材であり、長手方向の各端部10eLa,10eLbがそれぞれ略V字形の先細り形状となっている。また、吸収性本体10は、幅方向の両側に、脚回り開口部10HL,10HLと、折り返し線L10,L10とをそれぞれ有し、各折り返し線L10,L10で、吸収性本体10の幅方向の各端部10ew,10ewがそれぞれ幅方向の内側に折り返されている。
【0045】
一方、着用対象者の主に胴回り部に配されるべき一対のベルト部材30,30は、
図5のように吸収性本体10の肌側面に重ね合わせられつつ、
図3のように吸収性本体10の長手方向と交差する上記幅方向に並んで配置されている。そして、この配置状態において、それぞれ一対のベルト部材30,30のうちの対応する各ベルト部材30の幅方向の外側の端部30ew2が、それぞれ、吸収性本体10の折り返された上記各端部10ewの接合対象部分j10w(固定対象部分に相当)にホットメルト接着剤等で固定の一例として接合されている。また、各ベルト部材30,30は、吸収性本体10の略V字形の上記各端部10eLa,10eLbでも溶着等で接合されている。
【0046】
そして、このような延板状態から、一対のベルト部材30,30において幅方向の内側に位置する各端部30ew1,30ew1同士を幅方向の両側に開きながら(
図3)、各ベルト部材30を長手方向の略中央位置CLL30で二つ折りする過程で、吸収性本体10を長手方向の略中央位置CLL10で二つ折りすれば、各ベルト部材30,30における幅方向の内側の端部30ew1,30ew1同士が互いに共同しておむつ1の胴回り開口部1HBを形成するとともに、各ベルト部材30,30の脚回り開口部10HL,10HLがそれぞれ吸収性本体10の幅方向の両側に位置した状態となって、これにより、
図2に示すようなパンツ型のおむつ1として着用可能な状態となる。
【0047】
なお、以下では、主に
図3の延板状態のおむつ1を参照しながら、各構成部品10,30,30について説明するが、この延板状態における吸収性本体10の長手方向、幅方向、及び厚さ方向は、それぞれ、同延板状態のおむつ1の長手方向、幅方向、及び厚さ方向と概ね一致している。そのため、以下の説明では、これらの各方向のことを単に「長手方向」、「幅方向」、及び「厚さ方向」と言う。また、長手方向については、一方側が着用対象者の腹側に位置し、他方側が着用対象者の背側に位置することから、一方側のことを「腹側」又は「前側」とも言い、他方側のことを「背側」又は「後側」とも言う。更に、厚さ方向に関しては、着用対象者に接触する側のことを「肌側」とも言い、その逆側のことを「非肌側」とも言う。また、幅方向のことを「左右方向」とも言う。
【0048】
図6Aは、説明の都合上、
図3の延板状態のおむつ1において一部の接合を解いて肌側面が見えるように展開した状態の概略平面図である。すなわち、同
図6Aは、吸収性本体10の長手方向の両端部10eLa,10eLbと各ベルト部材30,30との接合を解くとともに、各ベルト部材30,30をそれぞれ幅方向の外側に開いた展開状態の概略平面図である。そして、同
図6Aでは、吸収性本体10の肌側及びベルト部材30の肌側が見えている。また、
図6Bは、
図6A中のB−B断面図である。ちなみに、これら
図6A及び
図6Bは、皺などのギャザーが無くなるまでおむつ1を長手方向及び幅方向に伸長した状態の図であり、このことは、前述の
図3乃至
図5、後述の
図16A及び
図16B、並びに後述の
図18A乃至
図18Dについても同様である。
【0049】
図3、
図5、
図6A、及び
図6Bに示すように、吸収性本体10は、長手方向の各端部10eLa,10eLbがそれぞれ平面視略V字形に先細った形状のシート状部材であり、吸収体11と、同吸収体11を肌側から覆って設けられたトップシート13(肌側シートに相当)と、同吸収体11を非肌側から覆って設けられたバックシート15(非肌側シートに相当)と、を有する。
そして、これら各部材13,11,15は、それぞれ、厚さ方向に隣接する部材と、ホットメルト接着剤等で接合されている。なお、同接着剤の塗布パターンとしては、Ωパターンやスパイラルパターン、ストライプパターン等を例示できて、このことは、後で出てくる他の接着剤についても同様である。
【0050】
吸収体11は、液体吸収性の吸収性コア11cと、同コア11cの外周面を被覆する不図示のコアラップシートと、を有する。吸収性コア11cは、所定の液体吸収性素材を所定形状の一例としての平面視略砂時計形状に成形した成形体である。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を例示できて、この例では、同素材として所定範囲の坪量(g/m
2)のパルプ繊維と所定範囲の坪量(g/m
2)のSAPとの両者を混合して使用しているが、何等これに限らない。また、コアラップシートには、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを使用可能である。更に、吸収性コア11cの形状は、何等上記の平面視略砂時計形状に限らず、他の形状でも良い。
【0051】
トップシート13は、例えばエアスルー不織布等の液透過性シートで形成され、その平面サイズは、吸収体11の長手方向の両側及び幅方向の両側から突出するようなサイズである。また、長手方向の各端部は、それぞれ吸収性本体10の各端部10eLa,10eLbを構成することから、その形状は、それぞれ長手方向の腹側又は背側に進むに従って幅方向の寸法が小さくなった前述の略V字形の先細り形状をなしている。
【0052】
また、バックシート15も、吸収体11の長手方向の両側及び幅方向の両側から突出するような平面サイズのシートであり、そして、トップシート13と同様に、長手方向の各端部はそれぞれ吸収性本体10の各端部10eLa,10eLbを構成していることから、その形状は、それぞれ長手方向の腹側又は背側に進むに従って幅方向の寸法が小さくなった前述の略V字形の先細り形状をなしている。そして、これらトップシート13とバックシート15とは、互いの両端部の略V字形が概ね揃うように厚さ方向に重ね合わせられていて、これにより、これらシート13,15同士の間に吸収体11が保持されている。
【0053】
なお、バックシート15の素材例としては、
図5に示すように、ポリエチレン(PE)フィルム又はポリプロピレン(PP)フィルム等の液不透過性の防漏シート15fと、防漏シート15fの非肌側に貼り合わされた不織布製の外装シート15nとを有した二層構造のラミネートシート15を挙げることができて、ここでは、これが使用されているが、一定の防漏性を有していれば、何等これに限らない。また、この例では、外装シート15nの平面サイズよりも防漏シート15fの平面サイズの方が小さくなっていて、これにより、外装シート15nの外周縁よりも長手方向の内側及び幅方向の内側に防漏シート15fが収まっているが、何等これに限らず、互いに同サイズでも良い。
【0054】
一方、
図6A及び
図6Bに示すように、トップシート13は、バックシート15よりも幅方向の両側(外側)に突出するような平面サイズとされていて、これにより、トップシート13の幅方向の各端部13ew,13ewが、吸収性本体10の幅方向の各端部10ew,10ewをなしている。そして、これら各端部13ewは、それぞれ、トップシート13における幅方向の所定位置に長手方向に沿って設定された折り返し線L10,L10によって、
図6A及び
図6Bの状態から
図3及び
図5の状態へと幅方向の内側に折り返されている。そして、これら折り返された各端部13ewのうちの幅方向の先端部には、それぞれ、一対のベルト部材30,30のうちの対応するベルト部材30を接合するための接合対象部分j10wが設定されている。そして、この接合対象部分j10wには、
図3及び
図5に示すように、ベルト部材30の幅方向の両端部30ew1,30ew2のうちの外側に位置する端部30ew2がホットメルト接着剤等で長手方向の略全長に亘って接合されている。よって、この構成によれば、伸縮性を有したベルト部材30の幅方向の外側の端部30ew2を折り返さずに済んで、その結果、おむつ1の製造を容易に行うことができる。
【0055】
また、かかる折り返し線L10は、トップシート13においてバックシート15よりも幅方向の外側に突出した部分13outに設定されているとともに、当該折り返し線L10が設定された当該部分13outの長手方向の伸縮性は、ベルト部材30の長手方向の伸縮性よりも低くなっている。より詳しくは、この例では、トップシート13の幅方向の全域に亘って、トップシート13の長手方向の伸縮性は、ベルト部材30の長手方向の伸縮性よりも低くされている。よって、後述する製造方法においては、当該伸縮性が低いことに基づいて、当該折り返し線L10でトップシート13を折り返す処理を、ベルト部材30のそれよりも安定して行うことができて、これにより、おむつ1の製造の容易化を図ることができる。
但し、必ずしも上記の幅方向に突出した部分13outの全域に亘って、上記の伸縮性が低くなっていなくても良い。すなわち、折り返し線L10を含む幅方向に所定寸法で長手方向に沿った帯状領域の伸縮性が低くなっていれば、相応の折り返し処理の安定化作用を奏することができる。
【0056】
なお、ここで言う伸縮性とは、外力が作用した際に自然長から速やかに外力の作用方向に略弾性的に伸長する一方、外力が解除されると、速やかに概ね自然長(少なくとも自然長の1.1倍以下の長さ)まで略弾性的に短縮する性質のことである。そして、二つのシートの伸縮性の大小比較は、例えば、次のようにしてなされる。すなわち、二つのシートが破損しない程度の互いに同値の外力を長手方向に沿って且つ幅方向に均等に自然長の各シートに対して作用した際に、大きな伸び率で伸びた方のシートが、小さな伸び率で伸びたシートよりも、伸縮性が高いということになる。例えば、この例では、自然長のベルト部材30に対して所定値の外力を長手方向に沿って且つ幅方向に均等に作用した場合の伸び率よりも、自然長のトップシート13に対して上記所定値と同値の外力を長手方向に沿って且つ幅方向に均等に作用した場合の伸び率の方が小さいということである。なお、ここで言う伸び率(%)とは、上記の外力の作用下での長手方向の長さから長手方向の自然長を減算してなる減算値を、上記自然長で除算した値の百分率表記値のことである。
【0057】
ここで望ましくは、トップシート13において折り返し線L10が設定されている部分に対して、幅方向に25mmの長さ当たり1Nの外力が長手方向に作用した際の上記伸び率が、0%以上20%以下であると良く、より望ましくは10%以下であると良く、更に望ましくは5%以下であると良い。そして、このような範囲に収まっていれば、上記の折り返し処理の安定化作用をより確実に奏することができる。
【0058】
一方、かかるトップシート13には、上記の折り返し線L10を幅方向に跨ぐように脚回り開口部10HLが厚さ方向に貫通して形成されている。そして、このように形成されていれば、ベルト部材30と吸収性本体10とが互いに共同して形成する着用対象者の胴回り部を覆う部分30pの寸法S30p(
図2を参照)を、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさに設定可能となる。なお、これについては後述する。
【0059】
また、当該脚回り開口部10HLが重なる上記の折り返し線L10は、
図6A及び
図6Bを参照して既述のように、トップシート13においてバックシート15よりも幅方向の外側に突出した部分13outに設定されている。そのため、当該脚回り開口部10HLについても、上記突出した部分13outに形成されているが、このようになっていれば、バックシート15で脚回り開口部10HLが塞がれてしまうという不具合についても、未然に回避することができる。そして、これにより、当該脚回り開口部10HLは、着用対象者の脚を通すという本来機能を確実に果たすことができる。
【0060】
更に、
図6A及び
図6Bに示すように折り返し線L10でトップシート13の端部13ewを折り返す前の状態においては、脚回り開口部10HLは、上記端部13ewのうちでベルト部材30と接合されるべき前述の接合対象部分j10wよりも幅方向の内側の部分を形成対象部分として、トップシート13を貫通して形成されている。そして、これにより、脚回り開口部10HLが、仮にトップシート13における上記接合対象部分j10wよりも幅方向の外側の部分に形成された場合に起こり得る不具合、つまり、ベルト部材30によって脚回り開口部10HLが塞がれてしまうという不具合についても、未然に回避することができて、このことも、上記の脚回り開口部10HLの本来機能の発揮に有効に寄与し得る。
【0061】
また、同脚回り開口部10HLは、上記の折り返し線L10に関して線対称ではない非対称形状に形成されている。そして、この非対称形状は、着用対象者の脚回り形状を考慮して決定される。よって、着用対象者の脚回りへのフィット性を良好にすることができる。ちなみに、かかる脚回り開口部10HLの形状が対称形状なのか或いは非対称形状なのかの判定については、例えば、
図6Aの展開状態において脚回り開口部10HLに皺などのギャザーが無くなるまで長手方向及び幅方向におむつ1を伸長した状態で脚回り開口部10HLの形状を目視するか、或いは、後述するダイカッター装置の抜き刃の形状を目視することで行うことができる。
【0062】
更に、望ましくは、
図6Bに示すように、トップシート13において防漏シート15fよりも幅方向の外側に突出する部分13outfについては、適宜な撥水剤を塗布などして疎水処理が施されていると良い。そして、このようにされていれば、トップシート13を幅方向の外側に伝ってバックシート15の外装シート15n経由でバックシート15の非肌側に尿が回り込んでしまう不具合を有効に防ぐことができる。
【0063】
また、この例では、
図5に示すようにトップシート13に折り返し線L10が設定されているので、冒頭で説明した
図1Cの例たるベルト部材30’に折り返し線L30’が設定されている場合と比べて、接合対象部分j10w(j30w’)を吸収体11からより遠方に離すことができて、これにより、接合対象部分j10w(j30w’)からの尿漏れを効果的に防ぐことができる。
【0064】
一方、
図6A及び
図6Bに示すように、一対のベルト部材30,30は、それぞれ、長手方向に長いシート状部材であり、この例では、不織布31,32を厚さ方向に二枚重ねにして形成されている。そして、ベルト部材30に伸縮性を付与する目的で、これら2枚の不織布31,32同士の間には、長手方向に沿って糸ゴム等の複数の糸状弾性部材35,35…が幅方向に並んで介挿されている。すなわち、かかる糸状弾性部材35,35…は、長手方向に例えば1.8倍〜4.0倍の伸長倍率まで伸長された状態で同不織布31,32にホットメルト接着剤等で固定されていて、これにより、各ベルト部材30,30には長手方向の伸縮性が付与されている。
【0065】
そして、かかる一対のベルト部材30,30は、
図5に示すように、吸収性本体10の肌側から同吸収性本体10に重ね合わせられている。詳しくは、一対のベルト部材30,30のうちの一方のベルト部材30の肌側面が、吸収性本体10の肌側面における左側部分に当接するように重ね合わせられ、また、他方のベルト部材30の肌側面が、同吸収性本体10の肌側面における右側部分に当接するように重ね合わせられている。そして、これにより、これら一対のベルト部材30,30同士は、
図3及び
図5に示すように、吸収性本体10の幅方向の中心位置CLW10に関して鏡像関係となっている。
【0066】
また、
図3及び
図5を参照して既述のように、ベルト部材30の幅方向の両端部30ew1,30ew2のうちの幅方向の外側に位置する端部30ew2は、吸収性本体10における上記の折り返された端部10ew(トップシート13の端部13ew)の接合対象部分j10wに当該吸収性本体10の肌側から重ねられていて、当該端部30ew2は上記接合対象部分j10wに長手方向の略全長に亘ってホットメルト接着剤等で接合されている。
【0067】
更に、これも一部既述の内容であるが、
図3に示すように各ベルト部材30の長手方向の両端部30eLa,30eLbは、それぞれ、吸収性本体10の略V字形の両端部10eLa,10eLbにおける幅方向の各半部に重ね合わせられて固定されている。そのため、ベルト部材30の両端部30eLa,30eLbの形状は、それぞれ、上記の略V字形の両端部10eLa,10eLbにおける幅方向の各半部に重なるように傾斜形状をなしていて、これにより、ベルト部材30の長手方向の各端部30eLa,30eLbは、対応する吸収性本体10の各端部10eLa,10eLbと厚さ方向に重なった状態で溶着等により接合されている。
【0068】
図7乃至
図13は、このおむつ1の製造方法の説明図である。このおむつ1は、製造ラインにおいて所謂「縦流し法」で製造される。縦流し法では、吸収性本体10の長手方向を搬送方向としておむつ1の中間製品を搬送する間に、順次種々の加工や他の部品の接合等を行って、最終的に前述の延板状態のおむつ1を製造する。なお、
図7乃至
図13中では、紙面の都合上、中間製品をおむつ一つ分の単票状に図示しているが、実際の中間製品は、搬送方向に連続した連続体又は連続シートの状態にある。
また、中間製品の搬送は、サクションベルトコンベア等のベルトコンベアや搬送ローラー等の周知の搬送装置(不図示)を用いてなされる。そして、以下では、特段の説明が無い限り、これらの搬送装置が適宜使用されているものとする。更に、既述のように、搬送方向は吸収性本体10の長手方向に沿っていることから、当該搬送方向は、吸収性本体10の厚さ方向及び幅方向と直交している。そして、ここでは、この製造ラインにおいて、上記の幅方向に対応する方向のことを「CD方向」とも言う。
【0069】
この第1実施形態の製造方法では、以下の第1工程〜第7工程を経て、前述の
図6の延板状態のおむつ1を製造する。
第1工程:トップシートの連続シート13aの生成工程
第2工程:一対のベルト部材の連続体30a,30aの生成工程
第3工程:トップシートの連続シート13aと一対のベルト部材の連続体30a,30aとの接合工程
第4工程:吸収体11付きバックシートの連続シート15aの生成工程
第5工程:ベルト部材の連続体30a,30a付きトップシートの連続シート13aと吸収体11付きバックシートの連続シート15aとの接合工程
第6工程:一対のベルト部材の連続体30a,30aと吸収性本体の連続体10aとを腹側の端部10eLa及び背側の端部10eLbで接合する接合工程
第7工程:製品ピッチP1での分断工程
以下、各工程について説明する。
【0070】
<<第1工程:トップシートの連続シート13aの生成工程>>
この工程では、
図7の右図に示す状態のトップシート13、すなわち、一対の脚回り開口部10HL,10HLを有するとともに、幅方向の各端部13ew,13ewがそれぞれ幅方向の内側に折り返されたトップシート13が長手方向に複数連続してなるトップシートの連続シート13aを生成し、生成された連続シート13aをその連続方向を搬送方向として搬送する。
【0071】
詳しくは、先ず、この工程では、
図7の左図のように、トップシート13の基材シート13sa(第1基材シートにも相当)としてのエアスルー不織布等の液透過性シートが、搬送方向に連続した連続シート13saの形態で同搬送方向に沿って搬送されている。また、同搬送方向の所定位置には、ダイカッター装置(不図示)が配置されている。よって、基材シート13saが同ダイカッター装置を通過する際に、同装置は、同
図7の中央図に示すように、基材シート13saにおけるCD方向の両側の各部分にそれぞれ搬送方向に製品ピッチP1で脚回り開口部10HL,10HLを厚さ方向に貫通して形成する(「脚回り開口部を形成すること」に相当)。
【0072】
なお、ここで、同中央図に示すように、この脚回り開口部10HLの形成時には、かかる基材シート13saに対しても前述の折り返し線L10が仮想的に設定されていて、これにより、ダイカッター装置は、当該折り返し線L10をCD方向に跨ぐように脚回り開口部10HLを形成する。よって、
図2を参照して前述した寸法S30p、すなわち、おむつ1の完成状態において吸収性本体10とベルト部材30とが互いに共同して形成する着用対象者の胴回り部を覆う部分30pの寸法S30pを、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさに設定可能となる。
【0073】
また、この脚回り開口部10HLを形成する時点というのは、折り返し線L10で基材シート13saを折り返すよりも前の時点である。よって、搬送方向に沿った直線に関して線対称でない非対称形状の脚回り開口部10HLを同基材シート13saに何等問題なく形成することができて、これにより、脚回り開口部10HLの形状の選択の自由度を高めることができる。
【0074】
かかるダイカッター装置の一例としては、抜き刃態様のカッターロール及びアンビルロールを有した周知の装置を挙げることができるが、何等これに限らない。
【0075】
そうしたら、基材シート13saは、ダイカッター装置よりも搬送方向の下流に配された折り返し装置(不図示)を通過する。そして、その通過時に当該折り返し装置は、同シート13saのCD方向の各端部13saew,13saewを各折り返し線L10,L10に基づいてそれぞれCD方向の内側に折り返し(「折り返すこと」に相当)、これにより、各端部13saew,13saewの接合対象部分j10w,j10w(
図7の右図中ハッチングで示す部分)は、後述するベルト部材の連続体30a,30aのCD方向の端部30aew2,30aew2に対向可能な状態となる。そして、以上をもってトップシートの連続シート13aが生成される。
【0076】
ここで、上述の折り返しの際には、トップシート13の上記基材シート13saを折り返し、高い伸縮性を有したベルト部材30の幅方向の外側の端部30aew2については折り返さない。よって、前述のようにおむつ1の製造の容易化を図れる。
また、これも前述しているが、同基材シート13saの長手方向たる搬送方向の伸縮性は、ベルト部材30の長手方向たる搬送方向の伸縮性よりも低くなっている。よって、伸縮性に富んだベルト部材の連続体30aをCD方向に折り返す場合と比べて、トップシート13の基材シート13saの折り返し処理を安定して行うことができて、このことも上記の製造の容易化に有効に寄与する。
【0077】
かかる折り返し装置の一例としては、搬送方向の所定位置に配された折り返し用プレート部材を有した周知の装置を挙げることができる。すなわち、当該折り返し用プレート部材の位置をトップシートの基材シート13saが通過する際には、同シート13saの各折り返し線L10,L10或いはその近傍部分に折り返し用プレート部材が当たることにより、当該折り返し線L10,L10で同シート13saの各端部13saew,13saewは速やかに折り返される。
【0078】
また、この場合には、この基材シート13saの各端部13saewを折り返した後に同基材シート13saをベルト部材の連続体30a、30aに接合することになる。よって、この順番を逆にした場合と比べて、同基材シート13saを折り返すための上記折り返し用プレート部材のコンパクト化を図れて、その結果、設備費を抑制可能となる。
【0079】
ここで、この折り返しをより円滑に行う観点からは、望ましくは、
図8の概略拡大図に示すように、脚回り開口部10HLの搬送方向の長さが最大となるCD方向の位置PmaxからCD方向にずれた位置に折り返し線L10が設定されていると良い。そして、このようになっていれば、前述のように基材シート13saを折り返すべく折り返し線L10に折り返し用プレート部材を当てる際に、基材シート13saにおいて折り返し用プレート部材を当てる部分を大きく確保することができて、その結果、折り返し線L10で円滑に折り返し可能となる。
【0080】
また、かかる折り返しの際には、当該折り返し用プレート部材は、折り返す前の状態の基材シート13saにおいて折り返し線L10よりもCD方向の内側の部分の方に当接されることが多い。そのため、同折り返し用プレート部材に当てる部分の面積を基材シート13sa上において大きく確保する観点からは、望ましくは、
図8のような折り返し前の状態の脚回り開口部10HLのうちで、折り返し線L10よりもCD方向の内側に位置する開口部分10HL1の面積の方が、同線L10よりもCD方向の外側に位置する開口部分10HL2の面積よりも小さくなっていると良い。ちなみに、かかる脚回り開口部10HLに係る上記面積の大小比較や、前述のPmaxとなる位置が折り返し線L10からずれているか否かの判定については、例えば、
図6Aの展開状態において脚回り開口部10HLに皺などのギャザーが無くなるまで長手方向(搬送方向)及び幅方向(CD方向)におむつ1を伸長した状態にして、これを目視することで行うことができる。
【0081】
<<第2工程:一対のベルト部材の連続体30a,30aの生成工程>>
図9に示すように、この工程は、上述の第1工程の「トップシートの連続シート13aの生成工程」とは、上下流関係の無い同時並行処理可能な工程とされている。そして、この工程では、一対のベルト部材の連続体30a,30aを生成するとともに、一対のベルト部材の連続体30a,30a同士の間に所定の間隔D30aを形成した状態で当該一対のベルト部材の連続体30a,30aを搬送方向に沿って搬送する。なお、ベルト部材の連続体30aとは、概ね複数のベルト部材30,30…が長手方向に連続したものである。
【0082】
先ず、
図9の左図に示すように、ベルト部材の連続体30aを形成するための第2基材シート30shaとして前述の二枚重ねの不織布31, 32が、搬送方向に連続した連続シート31a,32aの形態で上流工程から搬送される。そして、この第2基材シート30shaからは、最終的に一対のベルト部材の連続体30a,30aが生成されることから、当該第2基材シート30shaのCD方向の寸法は、ベルト部材の連続体30aのCD方向の寸法の概ね二倍の大きさの広幅サイズとされている。
また、この時点では、広幅の同第2基材シート30shaたる二枚重ねの不織布の連続シート31a,32a同士の間には、複数の糸状弾性部材35,35…が搬送方向に連続した連続体35a,35a…の形態で、且つ搬送方向に所定の伸長倍率まで伸長された状態で介挿されていて、そして、この状態で同糸状弾性部材の連続体35a,35a…が第2基材シート30shaにホットメルト接着剤等で固定されている。
【0083】
そして、同
図9の左図に示すように、先ず、かかる状態の広幅の第2基材シート30shaは、搬送方向の所定位置に配されたスリッター装置(不図示)を通過する。すると、その通過時には、スリッター装置によって、広幅の第2基材シート30shaは、CD方向の中央位置で二分割されて、これにより、同
図9の中央図に示すように、CD方向の寸法が第2基材シート30shaの半分の大きさの狭幅の一対の第2基材シート30sa,30saが生成される。そして、上述のように、かかる一対の狭幅の第2基材シート30sa,30saには、それぞれ、既に糸状弾性部材の連続体35a,35a…を配置済みであることから、これら各第2基材シート30sa,30saは、それぞれベルト部材の連続体30a,30aとなる。すなわち、以上をもって一対のベルト部材の連続体30a,30aが生成される。
【0084】
なお、スリッター装置の一例としては、回転刃を有した周知の装置を挙げることができるが、何等これに限らない。
【0085】
そうしたら、生成された一対のベルト部材の連続体30a,30aは、スリッター装置よりも搬送方向の下流に配された拡幅装置(不図示)を通過する。そして、その通過時には、拡幅装置によって、狭幅の各ベルト部材の連続体30a,30aはそれぞれCD方向の外側に若干移動されて、これにより、同右図に示すように、各ベルト部材の連続体30a,30a同士の間には、間隔D30aが形成される。ここで、この間隔D30aの大きさは、
図3の延板状態における一対のベルト部材30,30同士の間の幅方向の間隔D30と同値とされているが、これは、この後になされるトップシートの連続シート13aの合流時に、同連続シート13aの折り返されたCD方向の各端部13saew,13saewの接合対象部分j10w,j10wに、各ベルト部材の連続体30a,30aのCD方向の外側の端部30aew2,30aew2を接合するためである。
【0086】
なお、拡幅装置の一例としては、回転方向が搬送方向よりもCD方向の外側に傾いたローラーをCD方向の両側の各位置にそれぞれ有した周知の装置を挙げることができるが、何等これに限らない。
【0087】
<<第3工程:トップシートの連続シート13aと一対のベルト部材の連続体30a,30aとの接合工程>>
図10に示すように、この工程では、トップシートの連続シート13aと一対のベルト部材の連続体30a,30aとを接合する。そのため、この工程は、トップシートの連続シート13aの搬送路と、一対のベルト部材の連続体30a,30aの搬送路との合流位置に設定されている。そして、当該合流位置では、一対のベルト部材の連続体30a,30aは、トップシートの連続シート13aの肌側面に重ね合わせられる。また、このときには、各ベルト部材の連続体30aにおけるCD方向の外側の端部30aew2は、トップシートの連続シート13aのCD方向の内側に折り返された各端部13saewに重ねられて、同端部13saewにおける接合対象部分j10wにホットメルト接着剤等で接合される(「固定すること」に相当)。
【0088】
なお、この合流を行う装置(不図示)の一例としては、トップシートの連続シート13aを外周面に当接させて回転する案内ローラーと、各ベルト部材の連続体30aを外周面に当接させて回転する案内ローラーとを有した装置を挙げることができるが、何等これに限らない。
【0089】
<<第4工程:吸収体11付きバックシートの連続シート15aの生成工程>>
この工程は、上述の第1工程たる「トップシートの連続シート13aの生成工程」及び第2工程たる「一対のベルト部材の連続体30a,30aの生成工程」とは、上下流関係の無い同時並行処理可能な工程とされている。そして、この工程では、搬送方向に製品ピッチP1で複数の吸収体11,11…が並んで固定されたバックシートの連続シート15aを生成する。
【0090】
先ず、この工程では、
図11の左図のように、バックシート15の連続シート15aが、その連続方向を搬送方向として搬送されている。詳しくは、バックシート15に係る外装シート15nは、搬送方向に連続した連続シート15naの形態で搬送されているが、防漏シート15fは単票状シートになっていて、同シート15fは、上記の外装シート15nの連続シート15na上に製品ピッチP1で離散的に固定されている。但し、何等これに限らない。すなわち、防漏シート15fも、搬送方向に連続した連続シートであっても良い。
【0091】
かかるバックシートの連続シート15aは、搬送方向の所定位置に配された不図示の回転ドラム装置を通過する。そして、その通過時に回転ドラム装置は、不図示の積繊装置等が生成した吸収体11を、同
図11の左図のように各防漏シート15fに一つずつ載置してホットメルト接着剤等で接合し、これにより、複数の吸収体11,11…が固定されたバックシートの連続シート15a、すなわち吸収体11付きバックシートの連続シート15aを生成する。
【0092】
なお、積繊装置の一例としては、回転ドラムの外周面に形成された凹部の底面にダクトから散布される液体吸収性素材を吸着させて吸収性コア11cを生成する周知の装置を挙げることができ、また、回転ドラム装置の一例としては、吸収体11を吸着保持可能な外周面を有した周知の回転ドラムを挙げることができるが、何等これに限らない。
【0093】
<<第5工程:ベルト部材の連続体30a,30a付きトップシートの連続シート13aと吸収体11付きバックシートの連続シート15aとの接合工程>>
図12に示すように、この工程では、第3工程で形成されたベルト部材の連続体30a,30a付きトップシートの連続シート13aと、第4工程で生成された吸収体11付きバックシートの連続シート15aとを接合する。そのため、この工程は、上記のベルト部材の連続体30a,30a付きトップシートの連続シート13aの搬送路と、上記の吸収体11付きバックシートの連続シート15aの搬送路との合流位置に設定されている。そして、当該合流位置では、トップシートの連続シート13aの非肌側面とバックシートの連続シート15aの肌側面とが当接するように重ね合わせられてホットメルト接着剤等で接合される。そして、これにより、複数の吸収性本体10,10…が搬送方向に連続してなる吸収性本体の連続体10aが生成されて、以降、当該吸収性本体の連続体10aにベルト部材の連続体30a,30aが重ね合わせられてなる積層体1aの形態で、搬送方向に沿って搬送される。
【0094】
<<第6工程:ベルト部材の連続体30a,30aと吸収性本体の連続体10aとを吸収性本体10の腹側の端部10eLa及び背側の端部10eLbに相当する位置で接合する接合工程>>
図13の左図に示すように、この工程では、上述の第5工程から搬送される吸収性本体の連続体10aとベルト部材の連続体30a,30aとの積層体1aに対して、吸収性本体10の腹側の端部10eLa及び背側の端部10eLbに相当する各位置に接合部ja,jbを形成することにより、当該各位置で吸収性本体の連続体10aとベルト部材の連続体30a,30aとを接合する。
【0095】
かかる接合処理は、例えば、エンボスロール及びアンビルロールを有した周知のヒートシール装置(不図示)でなされる。すなわち、上記の積層体1aが、搬送方向におけるヒートシール装置の位置を通過する際には、エンボスロールの外周面の凸部及びアンビルロールの外周面が、吸収性本体10の腹側の端部10eLa及び背側の端部10eLbに相当する位置で、吸収性本体の連続体10aと一対のベルト部材の連続体30a,30aとを一緒に厚さ方向に挟圧して溶着等の圧着で接合する。そして、当該接合がなされた痕跡として、当該積層体1aにおいて吸収性本体10の腹側の端部10eLa及び背側の端部10eLbに相当する位置には、それぞれ略V字形の接合部ja,jbが形成される。
【0096】
ここで、この例では、
図14に示すように、搬送方向の長さで比べた場合に、脚回り開口部10HLの長さL10HLの方が、上記の脚回り開口部10HLが形成されない部分の長さL10HLNよりも大きくなっている。よって、折り返し線L10での曲げ剛性の低下を通して、当該折り返し線L10で折り返した状態にトップシートの連続シート13aは維持され易くなっている。そして、その結果、上述のヒートシール装置による接合処理を安定して行うことができる。
【0097】
<<第7工程:製品ピッチP1での分断工程>>
図13の左図に示すように、この工程では、第6工程で略V字形の接合部ja,jbが形成された上記の積層体1aを搬送方向に沿って搬送中に、
図13の右図に示すように、当該積層体1aをおむつ1の製品ピッチP1で分断するとともに、同右図に示すように、略V字形の接合部ja,jbの近傍位置で略三角形の端材T,T…を切除する。そして、これにより、
図3の延板状のおむつ1が製造される。
なお、かかる分断・切除処理は、カッターロールとアンビルロールとを有した周知のカッター装置(不図示)で行うことができるが、何等これに限らない。
【0098】
===第2実施形態===
図15は、第2実施形態の製造方法の手順を示す概略平面図である。
前述の第1実施形態では、
図7及び
図10に示すように、トップシート13の基材シート13saのCD方向の各端部13saew,13saewをそれぞれ各折り返し線L10,L10でCD方向の内側に折り返した後に、当該折り返された各端部13saew,13saewの接合対象部分j10w,j10wに対して、各ベルト部材の連続体30a,30aの各端部30aew2,30aew2をそれぞれ重ね合わせてホットメルト接着剤等で接合していた。この点につき、この第2実施形態では、
図15の左図に示すように、トップシートの連続シート13aのCD方向の各端部13saew,13saewの接合対象部分j10wにそれぞれ各ベルト部材の連続体30a,30aの各端部30aew2,30aew2を重ね合わせてホットメルト接着剤等で接合(固定に相当)した後に、
図15の右図に示すように、上記各端部13saew,13saewをそれぞれ折り返し線L10でCD方向の内側に折り返している。そして、主にこの点で上述の第1実施形態と相違し、これ以外の点は概ね同じである。そのため、以下では、その作用効果についてのみ説明し、それ以上の詳細な説明については省略する。
【0099】
すなわち、この第2実施形態の製造方法によれば、トップシートの基材シート13saとベルト部材の連続体30a,30aとが接合一体化した状態で同基材シート13saの各端部13saew,13saewを折り返す。そのため、当該折り返しの際に、基材シート13saの不用な変形を上記のベルト部材の連続体30a,30aで規制しながら、同基材シート13saを折り返すことができて、その結果、基材シート13saを安定して折り返し可能となる。
【0100】
なお、この
図15の例では、同基材シート13saへの脚回り開口部10HLの形成処理を、ベルト部材の連続体30a,30aとの接合前に行っているが、何等これに限らない。例えば、脚回り開口部10HLの形成処理を、基材シート13saとベルト部材の連続体30a,30aとの接合後に行っても良い。つまり、脚回り開口部10HLの形成処理を折り返し処理よりも前に行うのであれば、脚回り開口部10HLの形成処理と、基材シート13saとベルト部材の連続体30a,30aとの接合処理との間の前後関係については、順不同である。
【0101】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0102】
上述の実施形態では、
図6Aに示すように、折り返し線L10を幅方向(CD方向)に跨ぐように吸収性本体10のトップシート13に脚回り開口部10HLを形成していたが、何等これに限らず、折り返し線L10を跨がないように脚回り開口部10HLを形成しても良い。すなわち、
図16Aに示すように、折り返し線L10で折り返された端部13ewにおいて折り返し線L10と接合対象部分j10wとの間の部分に収まるように脚回り開口部10HLを形成しても良いし、或いは、
図16Bに示すように、トップシート13において折り返し線L10と吸収体11との間の部分に収まるように脚回り開口部10HLを形成しても良い。
但し、ベルト部材30と吸収性本体10とが互いに共同して形成する着用対象者の胴回り部を覆う部分30pのCD方向の寸法S30p(
図2を参照)を、大き過ぎず小さ過ぎない適度な大きさに設定可能にする観点からは、
図6Aのように折り返し線L10を幅方向(CD方向)に跨ぐように脚回り開口部10HLを形成するのが望ましい。
【0103】
上述の実施形態では、トップシート13の幅方向の各端部13ew,13ewが、吸収性本体10の幅方向の各端部10ew,10ewをなしていたことから、当該トップシート13の端部13ewに設定された接合対象部分j10wに、ベルト部材30における幅方向の外側の端部30ew2が肌側から接合されていたが、何等これに限らない。
図17Aは、その一例を示す
図6Bと同じ展開状態のおむつ1の概略断面図である。同
図17Aに示すように、この例では、吸収性本体10の幅方向の各端部10ewが折り返されていない状態において、バックシート15が、トップシート13よりも幅方向の外側に突出するような平面サイズとされている。そして、その場合には、バックシート15の幅方向の各端部15ewが、吸収性本体10の幅方向の各端部10ewをなすことになる。よって、その場合には、バックシート15においてトップシート13よりも幅方向の外側に突出する部分15out,15outに脚回り開口部10HL,10HLが形成されるとともに、バックシート15の幅方向の両側にそれぞれ折り返し線L10,L10が長手方向に沿って設定される。なお、ここで、折り返し線L10、L10は、バックシート15においてベルト部材30よりも長手方向の伸縮性が低い部分に設定されており、この例では、バックシート15の幅方向の全域に亘ってバックシート15の長手方向の伸縮性が、ベルト部材30の長手方向の伸縮性よりも低くなっている。そして、当該折り返し線L10,L10でバックシート15の幅方向の各端部15ew,15ewが幅方向の内側に折り返されるとともに、折り返された各端部15ew,15ewに、各ベルト部材30,30を接合するための接合対象部分j10wが設定される。
ちなみに、この例では、バックシート15の外装シート15nの方が防漏シート15fよりも幅方向の外側に突出していて、この突出した部分に脚回り開口部10HLが貫通形成されているが、何等これに限らない。例えば、防漏シート15fと外装シート15nとが、互いに幅方向に同寸とされていても良く、その場合には、これら両シート15f,15nに脚回り開口部10HLが貫通形成されることになる。また、この例では、防漏シート15fがトップシート13よりも幅方向の外側に突出しているが、何等これに限らず、突出関係を逆にしても良い。但し、前者のようにしている方が、バックシート15の非肌側への尿の回り込みを防漏シート15fで確実に防ぐことができるので好ましい。
【0104】
また、この
図17Aのおむつ1を製造する際には、トップシートの基材シート13saに代えてバックシートの連続シート15aに対して脚回り開口部10HLの形成処理やCD方向の各端部15aewの折り返し処理を行うことになるのは、言うまでもない。但し、そのときには、望ましくは、前述の第1実施形態及び第2実施形態の何れの製造方法に準拠する場合でも、トップシートの連続シート13aとバックシートの連続シート15aとを接合した後に、バックシートの連続シート15aのCD方向の各端部15aew,15aewをCD方向の内側に折り返す方が、おむつ1を速やかに製造できて好ましい。そして、これ以外の内容については、上述の第1実施形態及び第2実施形態の記載内容から容易に想到可能であるので、その説明については省略する。
【0105】
上述の実施形態では、吸収性本体の連続体10aを生成する前のトップシートの基材シート13saに対して一対のベルト部材の連続体30a,30aを接合していたが、何等これに限らない。すなわち、吸収性本体の連続体10aを生成した後に、同連続体10aにおけるトップシートの基材シート13saの各端部13saew,13saewにそれぞれベルト部材の連続体30a,30aを接合しても良い。
【0106】
上述の実施形態では、トップシートの基材シート13saに脚回り開口部10HLを形成した後に、同基材シート13saのCD方向の各端部13saew,13saewを折り返していたが、何等これに限らない。例えば、折り返した後に、折り返し線L10を含むように脚回り開口部10HLを形成しても良い。そして、この場合には、搬送方向たる長手方向に沿った直線に関して線対称な形状の脚回り開口部10HLが形成されることになる。
【0107】
上述の実施形態では、脚回り開口部10HLの形状は、吸収性本体10の長手方向に沿った直線に関して非対称形状とされていたが、何等これに限らず、対称形状でも良い。また、上述の実施形態では、脚回り開口部10HLは、ダイカッター装置の抜き刃等で打ち抜かれて形成されていた。すなわち、脚回り開口部10HLと同形状の抜き屑を生じながら、同脚回り開口部10HLは形成されていたが、何等これに限らない。すなわち、場合によっては、脚回り開口部10HLを、スリットSLの形態、つまり、直線、曲線、ジグザク線、及び波線等の切断線SLの形態で形成しても良く、この場合には、脚回り開口部10HLを形成する際に抜き屑は生じない。
図18A乃至
図18Dに、上記の四つのスリットSL態様の脚回り開口部10HLを示す。なお、これら
図18A乃至
図18Dでは、前述の
図6Aと同様の展開状態でおむつ1を示している。先ず、
図18Aの例では、スリットSLは、吸収性本体10の長手方向から0°以外の所定角度で傾いた斜め直線状の切断線SLの形態で形成されている。また、
図18Bの例では、スリットSLは、長手方向に沿った円弧状の切断線SLの形態で形成されている。更に、
図18Cの例では、スリットSLは、長手方向に沿ったジグザグ形状の切断線SLの形態で形成されている。また、
図18Dでは、スリットSLは、長手方向に沿った波形状の切断線SLの形態で形成されている。そして、これら
図18A乃至
図18Dの何れの例も、当該スリットSLたる脚回り開口部10HLは、長手方向に沿った直線に関して線対称でない非対称形状に形成されているとともに、折り返し線L10を幅方向に跨ぐように形成されている。
【0108】
上述の実施形態では、不織布31,32を二枚重ねにしてベルト部材30を形成していたが、何等これに限らない。すなわち、一枚の不織布で形成しても良いし、三枚以上の不織布を重ね合わせて形成しても良い。更に言えば、不織布に代えて織布やフィルムを用いてベルト部材30を形成しても良い。
【解決手段】完成前の状態において吸収性本体と吸収性本体に重ね合わせられつつ吸収性本体の長手方向と交差する幅方向に並んで配された伸縮性の一対のベルト部材とを有する吸収性物品の製造方法であって、吸収性本体は脚回り開口部と吸収性本体の幅方向の端部13saewを幅方向の内側に折り返すための折り返し線L10とをそれぞれ幅方向の両側に有するとともに折り返された端部13ewの固定対象部分j10wにそれぞれ一対のベルト部材のうちの対応するベルト部材が固定されており吸収性本体を形成するための長手方向に連続した基材シート13saにおける幅方向の両側の各部分にそれぞれ前記脚回り開口部を形成することと基材シートにおける幅方向の端部を折り返し線で幅方向の内側に折り返すこととを有する。