特許第6019212号(P6019212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019212
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電池システム及びその冷却方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6569 20140101AFI20161020BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161020BHJP
   H01M 10/6552 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20161020BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   H01M10/6569
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/633
   H01M10/6568
   H01M10/6551
   H01M10/647
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
   H01M10/6552
   H01M10/6554
   H01M10/48 301
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-501604(P2015-501604)
(86)(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公表番号】特表2015-515093(P2015-515093A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2013002597
(87)【国際公開番号】WO2013147531
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】13/433,649
(32)【優先日】2012年3月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ・ガダウスキー
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・ケトカー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ニールソン
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−018915(JP,A)
【文献】 特開2001−023703(JP,A)
【文献】 特開2009−238644(JP,A)
【文献】 特開2012−015096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60 − 10/667
H01M 2/10
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管を含む蒸発式冷却部材と、
電池セル、ハウジング及び固体冷却フィンを含む電池モジュールであって、前記ハウジングは電池セルを収容するように構成されており、前記固体冷却フィンは第1及び第2パネル部を有しており、前記第1パネル部は、前記電池セルに対向して位置し、前記第2パネル部は、前記ハウジングを通じて延びており、前記蒸発式冷却部材上に位置しており、前記固体冷却フィンは、前記電池セルから前記蒸発式冷却部材に熱エネルギーを伝導するように構成されている電池モジュールと、
前記蒸発式冷却部材及び前記電池モジュールを収容するように構成され、下端密封部位を有する外装部材と、
前記下端密封部位と前記蒸発式冷却部材の第1の面との間に位置し、これらと接触する絶縁層と、
を含んでおり、
前記蒸発式冷却部材は、ガス体の液体冷媒を前記導管の内部に収容し、前記固体冷却フィンから収容された熱エネルギーを用いて、ガス体の液体冷媒をガス冷媒に転移するように構成され
前記外装部材が、前記下端密封部位に結合される第1及び第2内壁と、第1及び第2上端密封部位とを有し、
前記第1上端密封部位は、前記第1及び第2内壁と前記下端密封部位とに連結されて、第1密封部位を設定し、前記電池モジュールは、前記第1密封部位内に位置している、電池システム。
【請求項2】
前記蒸発式冷却部材は、プレート部及び導管を含んでおり、前記プレート部は、第1及び第2の面を有しており、前記第1の面から前記プレート部内に延びたチャネルをさらに備えており、前記導管は、チャネルに位置し、前記プレート部に熱的に連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
前記チャネルは蛇行チャネルであり、前記導管は蛇行導管であることを特徴とする、請求項2に記載の電池システム。
【請求項4】
前記プレート部はアルミニウムからなり、前記導管は銅からなることを特徴とする、請求項2に記載の電池システム。
【請求項5】
前記第1密封部位は気密の密封部位であることを特徴とする、請求項1に記載の電池システム。
【請求項6】
前記第2上端密封部位は、前記第1内壁と前記下端密封部位に連結されて、圧縮機及び凝縮器を収容するための第2密封部位を設定することを特徴とする、請求項1に記載の電池システム。
【請求項7】
前記電池システムは、
前記蒸発式冷却部材に流動的に連結されており、ガス冷媒を凝縮器にポンピングするように構成された圧縮機と、
前記圧縮機及び前記蒸発式冷却部材に流動的に連結されており、前記圧縮機からガス冷媒を受け取るように構成された凝縮器とをさらに含んでおり、
前記凝縮器は、ガス冷媒から熱エネルギーを抽出することによって、ガス冷媒を液体冷媒に転移するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池システム。
【請求項8】
前記電池システムは、前記凝縮器と前記蒸発式冷却部材との間に連結されている膨張弁をさらに含んでおり、前記膨張弁は、前記凝縮器から液体冷媒を受け取り、液体冷媒がガス体液体冷媒に転移するように液体冷媒の圧力水準を降下し、前記ガス体液体冷媒は、前記膨張弁から前記蒸発式冷却部材に流れることを特徴とする、請求項7に記載の電池システム。
【請求項9】
前記電池システムは、
1番目に、電池モジュールの第1温度を示す第1信号を発生させるように構成された温度センサと、
前記温度センサに作動可能に連結されており、前記第1信号に対応して、前記圧縮機が第1作動速度で作動するように誘導する第2信号を発生させるように構成されたマイクロプロセッサとをさらに含んでおり、
前記温度センサは、2番目に、前記電池モジュールの前記第1温度よりも高い第2温度を示す第3信号を発生させるように構成されており、
前記マイクロプロセッサは、前記第2信号に対応して、前記圧縮機が前記第1作動速度よりも速い第2作動速度で作動するように誘導する第4信号を発生させるように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の電池システム。
【請求項10】
電池セル、ハウジング及び固体冷却フィンを含む電池モジュール及び蒸発式冷却部材を含む電池システムであって、前記電池モジュールは、ハウジング、電池セル及び固体冷却フィンを有しており、前記蒸発式冷却部材は導管を含んでおり、前記固体冷却フィンは第1及び第2パネル部を有しており、前記第1パネル部は、前記電池セルに対向して位置し、第2パネル部は、前記ハウジングを通じて延びており、前記蒸発式冷却部材上に位置しており、
前記電池システムはさらに、前記蒸発式冷却部材及び前記電池モジュールを収容するための外装部材を含み、前記外装部材は下端密封部位を有しており、前記電池システムは、前記下端密封部位と前記蒸発式冷却部材の第1の面との間に位置し、これらと接触する絶縁層をさらに含んでいる、電池システムを冷却する方法であって、
ガス体液体冷媒を前記蒸発式冷却部材の前記導管に収容するステップと、
前記固体冷却フィンを用いて、前記電池セルから蒸発式冷却部材に熱エネルギーを伝導して、電池モジュールを冷却するステップと、
固体冷却フィンから前記蒸発式冷却部材によって収容された熱エネルギーを用いて、前記蒸発式冷却部材内のガス体の液体冷媒をガス冷媒に転移するステップとを含み、
前記外装部材が、前記下端密封部位に結合される第1及び第2内壁と、第1及び第2上端密封部位とを有し、
前記第1上端密封部位は、前記第1及び第2内壁と前記下端密封部位とに連結されて、第1密封部位を設定し、前記電池モジュールは、前記第1密封部位内に位置していることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記電池システムは、前記蒸発式冷却部材に流動的に連結された圧縮機、前記圧縮機と前記蒸発式冷却部材に流動的に連結された凝縮器、マイクロプロセッサ、及び温度センサをさらに含み、
前記温度センサを用いて、1番目に、前記電池セルの第1温度を示す第1信号を発生させるステップと、
前記マイクロプロセッサを用いて、前記第1信号に対応して、前記圧縮機が第1作動速度で作動するように誘導する第2信号を発生させるステップと、
前記温度センサを用いて、2番目に、前記電池モジュールの前記第1温度よりも高い第2温度を示す第3信号を発生させるステップと、
前記マイクロプロセッサを用いて、前記第2信号に対応して、前記圧縮機が前記第1作動速度よりも速い第2作動速度で作動するように誘導する第4信号を発生させるステップとを含むことを特徴とする、請求項10に記載の電池システムの冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池システム及びその冷却方法に係り、より詳細には、導管を含む蒸発式冷却部材と;電池セル、ハウジング及び固体冷却フィンを含む電池モジュールであって、前記ハウジングは電池セルを収容するように構成されており、前記固体冷却フィンは第1及び第2パネル部を有しており、前記第1パネル部は電池セルに対向して位置し、前記第2パネル部はハウジングを通じて延びており、蒸発式冷却部材上に位置しており、前記固体冷却フィンは、電池セルから蒸発式冷却部材に熱エネルギーを伝導するように構成されている電池モジュールと;を含んでおり、前記蒸発式冷却部材は、ガス体の液体冷媒を導管の内部に収容し、固体冷却フィンから収容された熱エネルギーを用いて、ガス体の液体冷媒をガス冷媒に転移するように構成されている電池システム、及びその冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池システムを構成する電池は充放電過程で発熱をもたらし、このような熱が除去されずに蓄積される場合には、電池が劣化して性能の低下が発生し、安全性の面でも深刻な問題を誘発することがある。
【0003】
これによって、電池システムには必ず冷却が要求されるが、従来の電池システムは、所望の水準の冷却を達成できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本出願の発明者らは、向上した電池システム及びその冷却方法に対する必要性を認識した。
【0005】
本出願の発明者らは、鋭意研究と様々な実験を重ねた結果、後述するような特定の構造の蒸発式冷却部材及び電池モジュールで構成された電池システムを開発するに至った。このような電池システムは、所望の水準の冷却を達成できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの例示的な実施例に係る電池システムを提供する。前記電池システムは、導管を含んでいる蒸発式冷却部材を含んでいる。前記電池システムは、ハウジング、電池セル及び固体冷却フィンを有する電池モジュールをさらに含んでいる。前記ハウジングは、電池セルを収容するように構成されている。前記固体冷却フィンは第1及び第2パネル部を有している。前記第1パネル部は、電池セルに対向して位置している。前記第2パネル部は、ハウジングを通じて延びており、蒸発式冷却部材上に位置している。前記固体冷却フィンは、電池セルから蒸発式冷却部材に熱エネルギーを伝導するように構成されている。前記蒸発式冷却部材は、ガス体の液体冷媒を導管の内部に収容し、固体冷却フィンから収容された熱エネルギーを用いて、ガス体の液体冷媒をガス冷媒に転移するように構成されている。
【0007】
一つの例示的な実施例に係る電池システムの冷却方法を提供する。前記電池システムは、電池モジュール及び蒸発式冷却部材を含んでいる。前記電池モジュールは、ハウジング、電池セル、及び固体冷却フィンを有している。前記蒸発式冷却部材は導管を含んでいる。前記固体冷却フィンは第1及び第2パネル部を有している。前記第1パネル部は、電池セルに対向して位置している。前記第2パネル部は、ハウジングを通じて延びており、蒸発式冷却部材上に位置している。前記電池システムの冷却方法は、ガス体液体冷媒を蒸発式冷却部材の導管の内部に装着する過程を含んでいる。前記方法は、電池モジュールを冷却するために、固体冷却フィンを用いて、電池セルから蒸発式冷却部材に熱エネルギーを伝導する過程をさらに含んでいる。前記方法は、固体冷却フィンから蒸発式冷却部材によって収容された熱エネルギーを用いて、蒸発式冷却部材内のガス体の液体冷媒をガス冷媒に転移する過程をさらに含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る電池システムのブロック図である。
図2図1の電池システムに使用される外装部材の模式図である。
図3図1の電池システムの一部の模式図である。
図4図1の電池システムの一部の拡大模式図である。
図5図1の電池システムの一部の断面模式図である。
図6図1の電池システムの一部の拡大断面模式図である。
図7図1の電池システムの一部の他の拡大断面模式図である。
図8図1の電池システムの一部の模式図である。
図9図1の電池システムの一部の更に他の模式図である。
図10図1の電池システムの一部の更に他の模式図である。
図11図1の電池システムの一部の断面模式図である。
図12】本発明の他の実施例に係る図1の電池システムを冷却するための方法のフローチャートである。
図13】本発明の他の実施例に係る図1の電池システムを冷却するための方法のフローチャートである。
図14】本発明の他の実施例に係る図1の電池システムを冷却するための方法のフローチャートである。
図15図1の電池システムに使用される圧縮機と関連する作動曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1乃至図6を参照すると、本発明の実施例に係る電力を生産するための電池システム10が示されている。電池システム10は、圧縮機22、凝縮器23、膨張弁24、蒸発式冷却部材26、絶縁層28、電池モジュール40,42,44,46,48,49、導管50,51,52,53、温度センサ60、固体冷却フィン70,71、マイクロプロセッサ80及び外装部材90を含んでいる。電池システム10の長所は、以下に詳細に説明するように、システム10が電池モジュール40〜49を冷却するために蒸発式冷却部材26を使用することである。
【0010】
理解の目的で、“冷媒”という用語は、熱循環過程で液体とガスとの間に可逆的に転移することができる物質に対応する。例示的な冷媒はR−11、R−12、R−22、R−134A、R−407C及びR−410Aを含む。また、“ガス体液体冷媒”という用語は、ガス及び液体の混合物を含む冷媒に対応する。
【0011】
圧縮機22は、マイクロプロセッサ80の制御信号に対応して、ガス冷媒91を導管51を介して凝縮器23へポンピングし、圧縮するように構成されている。図示のように、導管51は、圧縮機22と凝縮器23との間に流動的に連結されている。
【0012】
凝縮器23は、導管51を経由して、圧縮機22からガス冷媒91を受け取って、ガス冷媒91から熱エネルギーを抽出することによって、ガス冷媒91を液体冷媒92に転移させるために提供される。図示のように、導管52は、凝縮器23と膨張弁24との間に流動的に連結されている。液体冷媒92は、凝縮器23を抜け出た後、導管52を介して膨張弁24へさらにポンピングされる。
【0013】
膨張弁24は、導管52,53を経由して、凝縮器23と蒸発式冷却部材26との間に流動的に連結されている。膨張弁24は、凝縮器23から液体冷媒92を受け取り、液体冷媒92がガス体液体冷媒93に転移するように液体冷媒92の圧力水準を降下するように構成されている。ガス体液体冷媒93は、導管53を経由して、膨張弁24から蒸発式冷却部材26の導管110に流れるようになる。
【0014】
図1図5及び図7乃至図11を参照すると、蒸発式冷却部材26は、ガス体の液体冷媒93を収容し、電池モジュール40〜49内の固体冷却フィン230〜244から収容された熱エネルギーを用いて、ガス体液体冷媒93をガス冷媒91に転移するように構成されている。結果的に、蒸発式冷却部材26は、電池モジュール40〜49から蒸発式冷却部材26に熱エネルギーを伝導する固体冷却フィン230〜244を通じて電池モジュール40〜49を冷却する。蒸発式冷却部材26はプレート部100及び導管110を含んでいる。プレート部100は第1の面120及び第2の面122を有している。プレート部100は、第1の面120からプレート部100内に延びているチャネル123をさらに備えている(図11参照)。導管11は、チャネル123内に位置し、プレート部100に熱的に連結されている。一つの実施例において、チャネル123は蛇行チャネルであり、導管110は蛇行導管である。導管100は、圧縮機22にさらに流動的に連結されている導管50に流動的に連結されている。作動中に、蒸発式冷却部材26からのガス冷媒91は、導管50を介して圧縮機22に流れる。一つの実施例において、プレート部100はアルミニウムからなり、導管110は銅からなっている。他の実施例において、プレート部100及び導管110は、当業界で公知の他の熱伝導性素材からなってもよいことは勿論である。図示のように、蒸発式冷却部材26は絶縁層28上に位置している。絶縁層28は、下端密封部位350上に位置しており、蒸発式冷却部材26を支持する。絶縁層28は、下端密封部350から蒸発式冷却部材26を熱的に断熱する。
【0015】
図5乃至図7を参照すると、電池モジュール40,42,44,46,48,49は、電気自動車またはハイブリッド自動車に対して作動電圧を生成するために提供される。一つの実施例において、電池モジュール40〜49は互いに直列に接続されている。電池モジュール40〜49の各構造は互いに同一である。したがって、簡素化の目的で、電池モジュール40の構造のみを、以下にさらに詳細に説明する。電池モジュール40は、電池セル180,182,184,186,188,190,192,196,198,200,202,204,206,208、固体冷却フィン230,232,234,236,238,240,242,244、及びハウジング270を含んでいる。
【0016】
電池モジュール40のそれぞれの電池セル180〜208は同じ構造を有するので、電池セル180の構造のみをより詳細に説明する。図示のように、電池セル180は、ボディー部271と、第1及び第2電極(図示せず)を含んでいる。ボディー部271は全般的に長方形であり、第1及び第2電極はボディー部271の上部から延びている。一つの実施例において、それぞれの電池セル180〜208は、リチウム−イオン電池セルまたはニッケル金属ハイブリッド電池セルであってもよい。勿論、当業界で公知の他の形態の電池セルが使用されてもよい。
【0017】
電池モジュール40内の固体冷却フィン230〜244は、電池セル180〜208から蒸発式冷却部材26に熱エネルギーを伝導するために提供される。それぞれの固体冷却フィン230〜240の構造は互いに同一である。したがって、固体冷却フィン230の構造のみを、以下にさらに詳細に説明する。固体冷却フィン230は、第1パネル部280及び第2パネル部282を含んでいる。第1パネル部280は、全般的に長方形の構造であり、電池セル180,182の隣接した長方形の表面に対向して位置するように形成されている。第1パネル部280は、電池セル180の全ての隣接した長方形の表面を覆い、電池セル182の全ての隣接した長方形の表面を覆うように十分な大きさを有している。作動中に、第1パネル部280は、電池セル180,182から第2パネル部282に熱エネルギーを伝導する。第2パネル部282は、第1パネル部280に実質的に垂直な第1パネル部280から延びている。第2パネル部282は、蒸発式冷却部材26のプレート部100の第2の面122上に位置している。作動中に、第2パネル部282は、電池セル180,182の第1パネル部280から蒸発式冷却部材26のプレート部100に熱エネルギーを伝導する。一つの実施例において、固体冷却フィン230〜244は黒鉛からなっている。他の実施例において、固体冷却フィン230〜244は、アルミニウム、銅、またはこれらの組み合わせのような他の熱伝導性物質からなることができる。
【0018】
電池モジュール40のハウジング270が、電池セル180〜208及び固体冷却フィン230〜244の第1パネル部280を収容するために提供される。固体冷却フィン230〜244の第2パネル部282はハウジング270から延びており、蒸発式冷却部材26上に位置している。ハウジング270は、互いに固定結合されているハウジング部300,302,304,306,308,310,312からなっている。一つの実施例において、ハウジング部300〜312はプラスチックからなっている。勿論、当業界で公知の他の素材がハウジング部300〜312を形成するために使用されてもよい。
【0019】
図1を参照すると、温度センサ60は、マイクロプロセッサ80によって受信される電池モジュール40〜49のうち少なくとも一つの温度レベルを示す信号を発生させるために提供される。
【0020】
凝縮器ファン70,71が、マイクロプロセッサ80からの制御信号に応答して、凝縮器23を冷却するために凝縮器23を通る空気を送風するために提供される。図示のように、凝縮器ファン70,71は凝縮器23の近くに位置している。
【0021】
マイクロプロセッサ80が、電池システム10の作動を制御するために提供される。特に、マイクロプロセッサ80は、以下にさらに詳細に説明するように、温度センサ60の信号に応答して、凝縮器ファン70,71及び圧縮機22の作動を制御するための制御信号を発生させるように構成されている。マイクロチップ80は、ソフトウェア命令及び後述する方法を実行するための関連データを格納する記憶装置81を使用する。
【0022】
図1図2図4図5及び図11を参照すると、外装部材90が、電池システム10の残りの構成部材を収容するために提供される。外装部材90は、下端密封部位350、第1及び第2内壁354,356、第1上部密封部位360、第2上部密封部位362及び第3上部密封部位364を含んでいる。
【0023】
第1上部密封部位360は、第1及び第2内壁354,356と下端密封部350に連結されて、第1の密閉された密封部位370を設定する。電池モジュール40,42,44,46,48,49及び温度センサ60は、第1の密閉された密封部位370内に位置している。
【0024】
前記第2上部密封部位362は、第1内壁354及び下端密封部位350と連結されて、第2密封部位372を設定する。圧縮機22、凝縮器23、膨張弁24、及び凝縮器ファン70,71は第2密封部位内に位置している。
【0025】
第3上部密封部位364は、第2内壁365及び下部密封部位350に連結されて、第3密封部位374を設定する。マイクロプロセッサは第3密封部位374内に位置している。
【0026】
図1図10及び図12乃至図14を参照して、本発明の更に他の例に係る電池システム10を冷却するための方法のフローチャートを説明する。次の方法は、簡素化の目的で、単一の電池モジュールを用いて述べる。しかし、前記方法は、多数の電池モジュールを用いて実行できるものと解釈しなければならない。
【0027】
ステップ450において、電池システム10は、電池モジュール40、蒸発式冷却部材26、圧縮機22、凝縮器23、膨張弁24、温度センサ60、凝縮器ファン70、及びマイクロプロセッサ80を備えている。圧縮機22は、凝縮器23、膨張弁24、及び蒸発式冷却部材26に流動的に連結されている。電池モジュール40は、ハウジング270、電池セル180及び固体冷却フィン230を備えている。蒸発式冷却部材26は導管110を備えている。固体冷却フィン230は第1及び第2パネル部280,282を備えている。第1パネル部280は、電池セル180に対向して位置している。第2パネル部は、ハウジング270を通じて延びており、蒸発式冷却部材26上に位置している。ステップ450の後に、前記方法はステップ452に進行する。
【0028】
ステップ452において、温度センサ60は、1番目に、電池モジュール40の第1温度を示す第1信号を発生させる。ステップ452の後に、前記方法はステップ454に進行する。
【0029】
ステップ454において、マイクロプロセッサ80は、第1信号に対応して、圧縮機22が第1作動速度で作動するように誘導する第2信号を発生させる。圧縮機22は、ガス冷媒91を凝縮器23内にポンピングする。ステップ454の後に、前記方法はステップ456に進行する。
【0030】
ステップ456において、マイクロプロセッサ80は、凝縮器ファン70が凝縮器23側に空気を送風するように誘導する第3信号を発生させる。ステップ456の後に、前記方法はステップ458に進行する。
【0031】
ステップ458において、凝縮器23は、ガス冷媒91から熱エネルギーを抽出することによって、ガス冷媒91を液体冷媒92に転移させ、液体冷媒92を膨張弁24に流れるようにする。ステップ458の後に、前記方法はステップ460に進行する。
【0032】
ステップ460において、膨張弁24は、液体冷媒92がガス体液体冷媒93に転移するように圧力水準を降下し、ガス体液体冷媒93が蒸発式冷却部材26に流れるようにする。ステップ460の後に、前記方法はステップ462に進行する。
【0033】
ステップ462において、固体冷却フィン230は、電池セル180から蒸発式冷却部材26に熱エネルギーを伝導して、電池セル180を冷却させる。ステップ462の後に、前記方法はステップ464に進行する。
【0034】
ステップ464において、蒸発式冷却部材26は、固体冷却フィン230から受け取った熱エネルギーを用いて、ガス体液体冷媒93をガス冷媒91に転移させ、ガス冷媒91を圧縮機22に流れるようにする。ステップ464の後に、前記方法はステップ466に進行する。
【0035】
ステップ466において、温度センサ60は、2番目に、電池セル40の第2温度を示す第4信号を発生させる。第2温度は第1温度よりも高い。ステップ466の後に、前記方法はステップ468に進行する。
【0036】
ステップ468において、マイクロプロセッサ80は、第4信号に対応して、圧縮機22が第2作動速度で作動するように誘導する第5信号を発生させる。第2作動速度は第1作動速度よりも速い。ステップ468の後に、前記方法はステップ470に進行する。
【0037】
ステップ470において、マイクロプロセッサ80は、凝縮器ファン70が凝縮器23側に空気を送風するように誘導する第6信号を発生させる。ステップ470の後に、前記方法はステップ472に進行する。
【0038】
ステップ472において、圧縮機23は、ガス冷媒91から熱エネルギーを抽出することによって、ガス冷媒91を液体冷媒92に転移させ、液体冷媒92を膨張弁24に流れるようにする。ステップ472の後に、前記方法はステップ474に進行する。
【0039】
ステップ474において、膨張弁24は、液体冷媒92がガス体液体冷媒93に転移するように圧力水準を降下し、ガス体液体冷媒93が蒸発式冷却部材26に流れるようにする。ステップ474の後に、前記方法はステップ476に進行する。
【0040】
ステップ476において、固体冷却フィン230は、電池セル180から蒸発式冷却部材26に熱エネルギーを伝導して、電池セル180を冷却させる。ステップ476の後に、前記方法はステップ478に進行する。
【0041】
ステップ478において、蒸発式冷却部材26は、固体冷却フィン230から受け取った熱エネルギーを用いて、ガス体液体冷媒93をガス冷媒91に転移させ、ガス冷媒91を圧縮機22に流れるようにする。
【0042】
図15を参照して、電池システム10に使用された圧縮機22(図1参照)と関連する作動曲線500が示されたグラフを説明する。マイクロプロセッサ80が電池モジュール40の温度を温度レベルTemp1と決定するとき、マイクロプロセッサ80は、圧縮機22が作動速度S1で作動するように誘導する制御信号を発生させる。また、マイクロプロセッサ80が電池モジュール40の温度を温度レベルTemp1よりも高い温度レベルTemp2と決定するとき、マイクロプロセッサ80は、圧縮機22が作動速度S1よりも速い作動速度S2で作動するように誘導する制御信号を発生させる。また、マイクロプロセッサ80が電池モジュール40の温度を温度レベルTemp2よりも高い温度レベルTemp3と決定するとき、マイクロプロセッサ80は、圧縮機22が作動速度S2よりも速い作動速度S3で作動するように誘導する制御信号を発生させる。
【0043】
たとえ、本発明は、ただ、制限された数の例示にのみ関連して具体的に記述されたが、本発明が上記に表現された例示にのみ限定されるものではないという点を認識しなければならない。より正確には、本発明は、変形、変更、交替、またはここに表現されたものだけでなく、本発明の意図と範疇に適するように相応する組み合わせでいくらでも符合するように修正することができる。さらに、たとえ、本発明の様々な例示が表現されたが、本発明の様相は、ただ、表現された例示の一部のみを含むことができるという点を認識しなければならない。したがって、本発明は、上記の表現によって限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明の電池システム及びそれを冷却させる方法は、他の電池システム及び方法に比べて相当な利点を提供する。特に、前記電池システムは、電池システム内の電池モジュールを効果的に冷却させるために蒸発式冷却部材を使用する。
【符号の説明】
【0045】
10 電池システム
22 圧縮機
23 凝縮器
24 膨張弁
26 蒸発式冷却部材
28 絶縁層
40、42、44、46、48、49 電池モジュール
50、51、52、53 導管
60 温度センサ
70、71 冷却フィン
80 マイクロプロセッサ
90 外挿部材
91 ガス冷媒
92 液体冷媒
93 ガス対液体冷媒
100 プレート部
110 導管
123 チャネル
180、182、184、186、188、190、192、196、198、200、202、204、206、208 電池セル
230、232、234、236、238、240、242、244 固体冷却フィン
270 ハウジング
280 第1パネル部
282 第2パネル部
300、302、304、306、308、310、312 ハウジング部
350 下端密封部位
354 第1内壁
356 第2内壁
360 第1上部密封部位
362 第2上部密封部位
364 第3上部密封部位
370 第1の密封された密封部位
372 第2密封部位
374 第3密封部位
450、452、454、456、458、460、462、464、466、468、470、472、474、476、480 電池システムを冷却するための方法の各ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15