特許第6019265号(P6019265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6019265撮像モジュールの製造方法及び撮像モジュールの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019265
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】撮像モジュールの製造方法及び撮像モジュールの製造装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20161020BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20161020BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20161020BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   G02B7/02 C
   G02B7/02 Z
   H04N5/225 D
   H04N5/232 Z
【請求項の数】11
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-505001(P2016-505001)
(86)(22)【出願日】2014年12月1日
(86)【国際出願番号】JP2014081710
(87)【国際公開番号】WO2015129119
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-35033(P2014-35033)
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】岸根 慶延
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−217217(JP,A)
【文献】 特開2007−225768(JP,A)
【文献】 特開2013−254184(JP,A)
【文献】 特開2012−209735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ群を有するレンズユニットと、前記レンズユニットに固定され、前記レンズ群を通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮像素子ユニットと、を有する撮像モジュールであって、前記レンズユニットが、前記レンズ群および磁性体部材を有する手振れ補正可動部と、前記手振れ補正可動部を前記レンズ群の光軸に対して垂直方向に移動自在でかつ前記光軸に対して垂直な軸の周りに傾き可能に支持する弾性支持部と、を有している撮像モジュールの製造方法において、
測定チャートに直交する軸上に前記レンズユニットおよび、前記撮像素子ユニットを保持する第1工程と、
前記測定チャートに直交する軸上に保持された前記レンズユニット、前記撮像素子ユニット、及び前記測定チャートの当該軸上の相対位置を変化させて、各相対位置において前記撮像素子により前記測定チャートを撮像させる第2工程と、
前記撮像素子により前記測定チャートを撮像して得られる撮像信号を用いて補正量を算出し、前記レンズユニットに対する前記撮像素子ユニットの傾きを調整し、前記撮像素子ユニットを前記レンズユニットに固定する第3工程と、を有し、
前記第2工程では、前記レンズユニットが磁界発生部を有する電子機器に組み込まれた場合に前記磁界発生部から前記手振れ補正可動部に印加される磁界と同じ大きさの磁界を、前記手振れ補正可動部に印加した状態で撮像を行う撮像モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記第2工程では、電磁石により前記手振れ補正可動部に前記磁界を印加する請求項1記載の撮像モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記第3工程は、前記レンズユニットと前記撮像素子ユニットとの間に供給された接着剤を、前記レンズユニットに対する前記撮像素子ユニットの傾きの調整後に硬化させることにより前記レンズユニットと前記撮像素子とを固定する請求項1または2記載の撮像モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記撮像素子の画素ピッチが1.0μm以下である請求項1から3いずれか1項に記載の撮像モジュールの製造方法。
【請求項5】
測定チャート設置部に設置された測定チャートに直交する軸上に、レンズ群を有するレンズユニットを通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮像素子ユニットを保持するための撮像素子ユニット保持部と、
前記測定チャート設置部と前記撮像素子ユニット保持部との間の前記軸上で前記レンズユニットを保持するためのレンズユニット保持部と、
前記測定チャート設置部、前記レンズユニット保持部、及び前記撮像素子ユニット保持部の前記軸上の相対位置を変化させ、各相対位置において、前記撮像素子ユニット保持部により保持された前記撮像素子ユニットの前記撮像素子により、前記レンズユニット保持部により保持された前記レンズユニットを通して、前記測定チャート設置部に設置された前記測定チャートを撮像させる制御部と、
前記撮像素子により前記測定チャートを撮像して得られる撮像信号に基づいて、前記レンズユニット保持部により保持された前記レンズユニットに対する前記撮像素子ユニット保持部により保持された前記撮像素子ユニットの傾きを調整する調整部と、
前記調整部により調整後の前記撮像素子ユニットを前記レンズユニットに固定するユニット固定部と、
前記レンズユニットが磁界発生部を有する電子機器に組み込まれた状態で前記レンズユニットに印加される磁界と同じ大きさの磁界を前記レンズユニットに印加する磁界印加部と、
を備える撮像モジュールの製造装置。
【請求項6】
前記磁界印加部は電磁石である請求項5記載の撮像モジュールの製造装置。
【請求項7】
前記磁界印加部から前記レンズユニットに印加される前記磁界の強度を測定する磁界強度測定部を備える請求項5または6に記載の撮像モジュールの製造装置。
【請求項8】
前記磁界強度測定部は、前記レンズユニットの近傍で前記レンズユニットに印加される前記磁界の強度を測定可能な測定位置と、前記測定位置から退避させた退避位置との間で移動可能である請求項7記載の撮像モジュールの製造装置。
【請求項9】
前記測定位置は、前記レンズユニットを前記レンズユニット保持部に保持した場合に、前記レンズユニットが占める空間内である請求項8記載の撮像モジュールの製造装置。
【請求項10】
前記ユニット固定部は、前記レンズユニットと前記撮像素子ユニットとの間に供給された接着剤を、前記調整部による調整後に硬化させることにより前記レンズユニットと前記撮像素子とを固定する請求項5から9のいずれか1項に記載の撮像モジュールの製造装置。
【請求項11】
前記撮像素子は、前記磁界印加部より前記レンズユニットに磁界が印加されている状態で前記測定チャートを撮像する請求項5から10のいずれか1項に記載の撮像モジュールの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学式手振れ補正機能を有する撮像モジュールの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器に組み込まれる撮像モジュールとして、近年では光学式手振れ補正(OIS:Optical Image Stabilizer)機能を有するものが良く知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示のOIS機構は、所謂サスペンション支持構造を採用しており、光学式手振れ補正機構は、手振れ補正可動部(撮影ユニット)の4隅を4本のサスペンションワイヤで支持し、光軸に垂直な2軸方向に手振れ補正可動部を駆動することによって手振れを補正する構造となっている。この手振れ補正可動部の駆動機構は、手振れ補正可動部を搭載したカバー部の4つの外周側面に設けられたマグネットと、マグネットに対向するように固定体側ヨークに設けられたコイルとにより構成されている。この駆動機構により、手振れ補正可動部が光軸に垂直な2軸に独立して手振れ補正駆動可能となる。
【0004】
このようなOIS機構(手振れ補正可動部、サスペンションワイヤ等)及びレンズ群を有するレンズユニットを、撮像素子を有する撮像素子ユニットに固定することで撮像モジュールが製造される。ここで、レンズユニットと撮像素子ユニットとを固定する際に、撮像素子に対するレンズ群の姿勢を的確に設定しないと、画像内の一部でピンボケが生じる所謂片ボケの不具合が生じる。そこで、例えば特許文献1に開示されているような冶具を用いてレンズ群を所定の基準姿勢に調整した状態でレンズユニットを撮像素子ユニットに固定する方法がある。
【0005】
また、特許文献2には、測定チャートに直交する軸上に撮像素子ユニットとレンズユニットをセットし、撮像素子ユニット、レンズユニット、及び測定チャートの軸上の相対位置を変化させ、各相対位置にて撮像素子で測定チャートを複数回撮像した結果に基づきレンズ群の基準姿勢を算出し、この結果に基づき撮像素子ユニット及びレンズユニットの傾きや位置を調整した状態で両者を固定する撮像モジュールの製造方法が開示されている。
【0006】
ところで、サスペンション支持構造のOIS機構を有する撮像モジュールは、この撮像モジュールが搭載される電子機器から発生する磁場の影響を受ける。図20は、スマートフォン2に撮像モジュール1を搭載した場合のスマートフォン2の要部断面図である。同図に示すように、撮像モジュール1の近傍には、スピーカ3が配置されており、撮像モジュール1は、スピーカ3から発生する磁力の影響を受け、レンズ群が基準姿勢から傾いてしまうという問題が発生する。
【0007】
特許文献3には、磁界発生部であるスピーカの磁力が100ガウスであった場合には、撮像モジュールをスピーカから10mm以上離すと撮像モジュールの確実な動作が保証されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−256017号公報
【特許文献2】特開2010−021985号公報
【特許文献3】特開2009−071495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載の発明のように、撮像モジュールを電子機器内の磁界発生部から距離を離して配置することが一般的に行われているが、電子機器のデザイン、スペース等の関係で撮像モジュールを電子機器内の磁界発生部の近傍に配置しなければならない場合がある。この場合には、磁界発生部から発生する磁界の影響を受けて手振れ補正可動部が傾き、これに伴い手振れ補正可動部内のレンズ群が所定の基準姿勢から傾くという問題が発生する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電子機器内における部品配置の自由度を上げることができる撮像モジュールの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するための撮像モジュールの製造方法は、レンズ群を有するレンズユニットと、レンズユニットに固定され、レンズ群を通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮像素子ユニットと、を有する撮像モジュールであって、レンズユニットが、レンズ群および磁性体部材を有する手振れ補正可動部と、手振れ補正可動部をレンズ群の光軸に対して垂直方向に移動自在でかつ光軸に対して垂直な軸の周りに傾き可能に支持する弾性支持部と、を有している撮像モジュールの製造方法において、測定チャートに直交する軸上にレンズユニットおよび、撮像素子ユニットを保持する第1工程と、測定チャートに直交する軸上に保持されたレンズユニット、撮像素子ユニット、及び測定チャートの軸上の相対位置を変化させて、各相対位置において撮像素子により測定チャートを撮像させる第2工程と、撮像素子により測定チャートを撮像して得られる撮像信号を用いて補正量を算出し、レンズユニットに対する撮像素子ユニットの傾きを調整し、撮像素子ユニットをレンズユニットに固定する第3工程と、を有し、第2工程では、レンズユニットが磁界発生部を有する電子機器に組み込まれた状態で手振れ補正可動部に印加される磁界と同じ大きさの磁界を、手振れ補正可動部に印加した状態で撮像を行う。
【0012】
本発明によれば、レンズユニットが電子機器に組み込まれた状態で手振れ補正可動部に印加される磁界と同じ大きさの磁界を手振れ補正可動部に印加した状態で算出された補正量に基づき、レンズユニットに対する撮像素子ユニットの傾きを調整しているので、撮像モジュールを電子機器に組み込んだ際に、磁界発生部からレンズユニットに印加される磁界により手振れ補正可動部が傾くことでレンズ群が基準姿勢に調整される。これにより、撮像モジュールを電子機器内の磁界発生部の近傍に配置しても、レンズ群を基準姿勢に調整することができる。その結果、撮像モジュールにより撮像される画像面内の解像度の均一性を図ることができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造方法において、第2工程では、電磁石により手振れ補正可動部に磁界を印加することが好ましい。電磁石に供給する電流を増減することで手振れ補正可動部に印加する磁界の大きさを調整することができる。これにより、電子機器の機種及び撮像モジュールの機種に対応した磁界を手振れ補正可動部に印加することができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造方法において、第3工程は、レンズユニットと撮像素子ユニットとの間に供給された接着剤を、レンズユニットに対する撮像素子ユニットの傾きの調整後に硬化させることによりレンズユニットと撮像素子とを固定する。これにより、レンズユニットに対する撮像素子ユニットの傾きを調整した後でレンズユニットと撮像素子ユニットとを固定することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造方法において、撮像素子の画素ピッチが1.0μm以下であることが好ましい。撮像素子の画素ピッチが狭くなると、許容錯乱円の半径が小さくなり、焦点深度が浅くなる。従って、画素ピッチが1.0μm以下になると、レンズ群を撮像素子に対して高い精度で位置合わせ(正対)させる必要がある。本発明で得られる撮像モジュールは、レンズ群を撮像素子に対して高い精度で位置合わせさせる。
【0016】
本発明の目的を達成するための撮像モジュールの製造装置は、測定チャート設置部に設置された測定チャートに直交する軸上に、レンズ群を有するレンズユニットを通して被写体を撮像する撮像素子を有する撮像素子ユニットを保持するための撮像素子ユニット保持部と、測定チャート設置部と撮像素子ユニット保持部との間の軸上でレンズユニットを保持するためのレンズユニット保持部と、測定チャート設置部、レンズユニット保持部、及び撮像素子ユニット保持部の軸上の相対位置を変化させ、各相対位置において、撮像素子ユニット保持部により保持された撮像素子ユニットの撮像素子により、レンズユニット保持部により保持されたレンズユニットを通して、測定チャート設置部に設置された測定チャートを撮像させる制御部と、撮像素子により測定チャートを撮像して得られる撮像信号に基づいて、レンズユニット保持部により保持されたレンズユニットに対する撮像素子ユニット保持部により保持された撮像素子ユニットの傾きを調整する調整部と、調整部により調整後の撮像素子ユニットをレンズユニットに固定するユニット固定部と、レンズユニットが磁界発生部を有する電子機器に組み込まれた状態でレンズユニットに印加される磁界と同じ大きさの磁界をレンズユニットに印加する磁界印加部と、を備える。
【0017】
本発明によれば、撮像モジュールを電子機器内の磁界発生部の近傍に配置しても、レンズ群を基準姿勢に調整することができる。その結果、撮像モジュールにより撮像される画像面内の解像度の均一性を図ることができる。
【0018】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造装置において、磁界印加部は電磁石であることが好ましい。電磁石に供給する電流を増減することでレンズユニットに印加する磁界の大きさを調整することができる。これにより、電子機器の機種及び撮像モジュールの機種に対応した磁界をレンズユニットに印加することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造装置において、磁界印加部からレンズユニットに印加される磁界の強度を測定する磁界強度測定部を備えることが好ましい。これにより、撮像モジュールを電子機器に組み込んだ際にレンズユニットに印加される磁界と同じ大きさの磁界が、レンズユニットに印加されているか否かを確認することができる。その結果、高精度に傾きを調整することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造装置において、磁界強度測定部は、レンズユニットの近傍でレンズユニットに印加される磁界の強度を測定可能な測定位置と、測定位置から退避させた退避位置との間で移動可能であることが好ましい。これにより、調整部による調整の際に磁界強度測定部が妨げになることが防止される。
【0021】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造装置において、測定位置は、レンズユニットをレンズユニット保持部に保持した場合に、レンズユニットが占める空間内であることが好ましい。これにより、磁界印加部からレンズユニットに印加される磁界の強度を正確に測定することができる。
【0022】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造装置において、ユニット固定部は、レンズユニットと撮像素子ユニットとの間に供給された接着剤を、調整部による調整後に硬化させることによりレンズユニットと撮像素子とを固定する。これにより、レンズユニットに対する撮像素子ユニットの傾きを調整した後でレンズユニットと撮像素子ユニットとを固定することができる。
【0023】
本発明の他の態様に係る撮像モジュールの製造装置において、撮像素子は、磁界印加部よりレンズユニットに磁界が印加されている状態で測定チャートを撮像する。これにより、電子機器に組み込まれたレンズユニットと同じようにレンズユニットを傾けた状態で、撮像素子による撮像を行うことができる。その結果、撮像モジュールを電子機器に組み込んだ際の磁界印加によるレンズユニットの傾きを考慮して調整部による傾き調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の撮像モジュールの製造方法及び製造装置によれば、電子機器内の部品配置自由度を高めた撮像モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】撮像モジュールの外観斜視図である。
図2】撮像素子ユニットの外観斜視図である。
図3図1に示す撮像モジュールのA−A線断面図である。
図4】OIS機構及び焦点調節機構の電気的接続構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態の撮像モジュール製造装置の概略図である。
図6図5に示す撮像モジュール製造装置の測定チャートの正面図である。
図7】撮像モジュール製造装置によるレンズユニットと撮像素子ユニットの保持状態を説明するための説明図である。
図8】撮像モジュール製造装置内の一部の拡大図であり、電磁石、ガウスメータ、及びガウスメータシフト機構を説明するための図である。
図9】電磁石からレンズモジュール(手振れ補正可動部)に印加される磁界の大きさを説明するための説明図である。
図10】撮像モジュール製造装置の電気的構成を示すブロック図である。
図11】第1実施形態の撮像モジュール製造装置のよる撮像モジュールの製造、特にレンズユニットと撮像素子ユニットとの固定処理の流れを示したフローチャートである。
図12】電子機器に組み込まれた状態の撮像モジュールを説明するための説明図である。
図13】(A)は比較例に係る従来の撮像モジュールのレンズ群と撮像素子ユニットとの関係、及び撮像素子の画面内の解像度の分布を示す図であり、(B)は本発明に係る撮像モジュールのレンズ群と撮像素子ユニットとの関係、及び撮像素子の画面内の解像度の分布を示す図である。
図14】第2実施形態の撮像モジュール製造装置の概略図である。
図15】第2実施形態の撮像モジュール製造装置により測定されるMTF値測定データを説明するための説明図である。
図16】第2実施形態の撮像モジュール製造装置により測定されるMTF値測定データのMTF値の波形がピーク位置に対して略左右非対称形状となる場合のXY方向回転角度の算出を説明するための説明図である。
図17】(A)低周波数MTFと(B)高周波数MTFを説明するための説明図である。
図18】電子機器の実施形態であるスマートフォンの外観を示す図である。
図19】スマートフォンの電気的構成を示すブロック図である。
図20】スマートフォンに撮像モジュールを搭載した場合のスマートフォンの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明に係る撮像モジュールの製造方法及び製造装置について説明する。
【0027】
<撮像モジュールの構成>
図1は、本発明に係る撮像モジュールの製造方法及び製造装置にて製造される撮像モジュール100の外観斜視図である。
【0028】
撮像モジュール100は、レンズ群12を有するレンズユニット10と、レンズ群12を通して被写体を撮像する撮像素子27(図2参照)を有する撮像素子ユニット20と、を備える。なお、図1では、撮像素子27の撮像面に垂直な軸に沿う方向をZ方向とし、Z方向に直交する2方向であって互いに直交する2つの方向をそれぞれX方向、Y方向としている。
【0029】
レンズユニット10は、後述する各構成部材を内部に収容する筐体11を備える。筐体11の天面11aには、レンズ群12の光軸Axを中心とする開口11bが形成されている。撮像モジュール100は、被写体光を開口11bからレンズ群12に取り込んで撮像を行う。
【0030】
また、天面11aには、撮像モジュール100の製造時にレンズユニット10を製造装置に保持するための位置決め用の凹部95A,95B,95Cが形成されている。天面11aの対角線上に配置される凹部95A,95Cの底面には、凹部95A,95Cよりも小さい凹部95A1,95C1が形成されている。
【0031】
筐体11の外部には、筐体11に収容されるフレキシブル基板13の一部が露出している。このフレキシブル基板13の露出部分の先端には、端子14A〜14Fを含むレンズユニット端子部14が接続されている。レンズユニット端子部14は、筐体11を構成する面のうちの天面11a以外の面から露出している。なお、レンズユニット端子部14は、後述するように、端子14A〜14F以外の端子も含むが、図1では、簡略化のために端子14A〜14Fのみを図示し、その他の端子の図示を省略している。
【0032】
図2は、図1に示す撮像モジュール100においてレンズユニット10を省略した状態の外観斜視図である。
【0033】
図2に示すように、撮像素子ユニット20は、CCD(charge coupled device)イメージセンサ又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子27が実装される基板21と、基板21と電気的に接続されるフレキシブル基板22と、を備える。
【0034】
撮像素子27の画素ピッチは特に限定されないが、本実施形態においては1.0μm以下のものが用いられる。ここで、画素ピッチとは、撮像素子27が有する画素に含まれる光電変換領域の中心間距離のうち、最も小さい距離のことをいう。
【0035】
近年、画素数の増加に伴い、撮像素子の画素ピッチは狭くなっているが、画素ピッチが狭くなると、1画素あたりの面積が小さくなる。これにより、許容錯乱円の半径が小さくなり、焦点深度が浅くなる。さらに、1画素あたりの集光量を多くする必要があるため、レンズのFナンバーも小さくなる傾向にある。これらのことから、近年の撮像モジュールは、非常に焦点深度が浅く、レンズユニットと撮像素子ユニットの位置合わせは高い精度が要求されている。画素ピッチが1.0μm以下になると、特に高い位置合わせ精度が要求される。
【0036】
基板21上には、撮像素子27に対応する開口を有する筒状のベース部材25が配設され、ベース部材25内部に撮像素子27が配置されている。ベース部材25の中空部には撮像素子27上方においてカバーガラス26(図3参照)が嵌め込まれる。
【0037】
ベース部材25の外側における基板21表面には、レンズユニット10との電気的接続をとるための端子24A〜24Fを含む撮像素子ユニット端子部24(図1参照)が設けられている。この撮像素子ユニット端子部24も、レンズユニット端子部14と同様に、一部の端子のみ図示している。
【0038】
基板21には、撮像素子27のデータ出力用端子及び駆動用端子等と接続される撮像素子用配線が設けられている。撮像素子用配線は、フレキシブル基板22に設けられた配線を経由して、フレキシブル基板22端部に設けられた外部接続用端子部23に接続されている。外部接続用端子部23は、撮像素子27と電気的に接続された電気接続部として機能する。
【0039】
また、基板21には、撮像素子ユニット端子部に含まれる各端子と接続されるレンズユニット用配線が設けられている。レンズユニット用配線は、フレキシブル基板22に設けられた配線を経由して、フレキシブル基板22端部に設けられた外部接続用端子部23に接続されている。
【0040】
レンズユニット10と撮像素子ユニット20とを固定した状態では、レンズユニット端子部の各端子とこれに対応する撮像素子ユニット端子部の各端子とが電気的に接続される。例えば図1では、端子14Aと端子24Aとが電気的に接続され、端子14Bと端子24Bとが電気的に接続され、端子14Cと端子24Cとが電気的に接続され、端子14Dと端子24Dとが電気的に接続され、端子14Eと端子24Eとが電気的に接続され、端子14Fと端子24Fとが電気的に接続されている。
【0041】
図3は、図1に示す撮像モジュール100のA−A線断面図である。図3に示すように、撮像素子27は、基板21に配置されると共に、基板21上に設けられたベース部材25及びベース部材25に嵌め込まれたカバーガラス26によって封止されている。
【0042】
また、レンズユニット10は、カバーガラス26の上方に配置された複数(図3の例では5枚)のレンズを含むレンズ群12と、レンズ群12を支持する筒状のレンズバレル15と、手振れ補正可動部30と、手振れ補正可動部30をレンズ群12の光軸Axに対して垂直方向に移動自在でかつ光軸Axに対して垂直な軸の周りに傾き可能に支持する弾性支持部40と、手振れ補正可動部30を光軸と直交する方向に移動させるOIS機構50と、レンズバレル15を光軸方向に移動させる焦点調節機構60と、を備えている。
【0043】
手振れ補正可動部30は、レンズバレル15を収納しているとともに、詳しくは後述するがマグネット等の磁性体部材を有している。なお、図示は省略するが、手振れ補正可動部30の天面には、被写体光をレンズ群12に通すための開口が形成されている。
【0044】
弾性支持部40は、手振れ補正可動部30の側方に延出する板バネ42と、一端が板バネ42に固定され、他端がベース部材25側に固定された4本のサスペンションワイヤ44と、サスペンションワイヤ44の他端が固定されると共にベース部材25上に接着固定されるワイヤ固定部46と、を有している。
【0045】
OIS機構50は、ベース部材25側(固定側)に固定されたOIS駆動用コイル52と、手振れ補正可動部30側(可動側)に固定されたOIS駆動用マグネット54と、を有している。OIS駆動用マグネット54は、後述のAF用マグネット64と共に本発明の磁性体部材に相当する。なお、レンズユニット10に他の磁性体部材が設けられていてもよい。
【0046】
また、図3には、撮像素子27の撮像面27aに垂直な方向をZ軸とする3軸直交座標系のX方向(図中の左右方向)の一対のOIS駆動用コイル52とOIS駆動用マグネット54とが図示されているが、Y方向(図中の紙面に直交する方向)にも一対のOIS駆動用コイルとOIS駆動用マグネットとが設けられている。X方向及びY方向のOIS駆動用コイルを駆動し、手振れ補正可動部30を光軸Axと直交(略直交を含む)する方向に移動させることにより手振れ補正を行うことができる。
【0047】
焦点調節機構60は、手振れ補正可動部30の内側に配設されたオートフォーカス(AF)用コイル62と、レンズバレル15の周囲に配設されたAF用マグネット64とを有するボイスコイルモータにより構成されている。ボイスコイルモータを駆動し、レンズバレル15を光軸方向に移動させることにより焦点調節を行うことができる。
【0048】
また、OIS機構50および焦点調節機構60は、レンズ群12(レンズバレル15)のXYZ方向の位置をそれぞれ検出する位置検出素子としてのホール素子を備える。
【0049】
レンズユニット10のワイヤ固定部46を、撮像素子ユニット20上のベース部材25に接着剤18(ここでは一例として紫外線硬化型接着剤)で固定することにより、レンズユニット10と撮像素子ユニット20とが固定されて、撮像モジュール100が製造される。この際には、磁界発生部を有する電子機器に撮像モジュール100が組み込まれた場合に磁界発生部からの磁界印加による手振れ補正可動部30の傾きを考慮して、この傾きの方向とは反対側の方向にレンズ群12を予め傾けた状態、すなわち、レンズ群12を磁界印加状態で定められる基準姿勢にて、レンズユニット10と撮像素子ユニット20とを接着固定する。
【0050】
ここで基準姿勢とは、レンズ群12が例えば成形、組立誤差等の製造誤差や歪み等のない理想状態である場合には、光軸Axが図中の撮像面27aに直交する点線Vに平行となる姿勢である。また、理想状態ではないレンズ群12の基準姿勢は、後述する撮像モジュール製造装置200により算出される近似結像面の姿勢であり、光軸Axが点線Vとは平行にならない場合が多い。なお、本明細書では、発明の内容の理解を容易にするために、レンズ群12は理想状態であるものとして説明を行う。
【0051】
<OIS機構及び焦点調節機構の電気的接続構成>
図4は、図3に示したOIS機構50及び焦点調節機構60の電気的接続構成を示すブロック図である。
【0052】
図4に示すように、OIS機構50は、手振れ補正可動部30をX方向に移動させるためのボイスコイルモータ50A(図3に示したOIS駆動用コイル52及びOIS駆動用マグネット54、以下、X方向VCM50Aと略す)と、手振れ補正可動部30のX方向位置を検出するためのX方向ホール素子50Bと、手振れ補正可動部30をY方向に移動させるためのボイスコイルモータ50C(以下、Y方向VCM50Cと略す)と、手振れ補正可動部30のY方向位置を検出するためのY方向ホール素子50Dとを備えている。
【0053】
また、焦点調節機構60は、手振れ補正可動部30に対してレンズ群12(レンズバレル15)を光軸方向に移動させるためのボイスコイルモータ60E(図3に示したAF用コイル62とAF用マグネット64、以下、Z方向VCM60Eと略す)と、レンズバレル15のZ方向位置を検出するためのZ方向ホール素子60Fとを備えている。
【0054】
X方向VCM50Aには2つの端子があり、この2つの端子の各々は、フレキシブル基板13に形成された配線を介して、端子14A、端子14Bと電気的に接続されている。
【0055】
X方向ホール素子50Bには4つの端子があり、この4つの端子の各々は、フレキシブル基板13に形成された配線を介して、端子14a、端子14b、端子14c、端子14dと電気的に接続されている。
【0056】
Y方向VCM50Cには2つの端子があり、この2つの端子の各々は、フレキシブル基板13に形成された配線を介して、端子14C、端子14Dと電気的に接続されている。
【0057】
Y方向ホール素子50Dには4つの端子があり、この4つの端子の各々は、フレキシブル基板13に形成された配線を介して、端子14e、端子14f、端子14g、端子14hと電気的に接続されている。
【0058】
Z方向VCM60Eには2つの端子があり、この2つの端子の各々は、フレキシブル基板13に形成された配線を介して、端子14E、端子14Fと電気的に接続されている。
【0059】
Z方向ホール素子60Fには4つの端子があり、この4つの端子の各々は、フレキシブル基板13に形成された配線を介して、端子14i、端子14j、端子14k、端子14lと電気的に接続されている。
【0060】
このようにレンズユニット端子部14の各端子は、レンズユニット10のOIS機構50及び焦点調節機構60と電気的に接続された電気接続部として機能する。なお、OIS機構50及び焦点調節機構60と各ホール素子について必要な端子の数は一例であり、上述した構成には限定されない。
【0061】
[第1実施形態の撮像モジュール製造装置の構成]
図5は、本発明の撮像モジュールの製造装置に相当する構成を示す図であり、レンズユニット10と撮像素子ユニット20とを固定して撮像モジュール100を製造する撮像モジュール製造装置200の概略図である。撮像モジュール製造装置200は、レンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の位置及び傾きを調整し、この調整後に撮像素子ユニット20をレンズユニット10に固定して撮像モジュール100を完成させる。
【0062】
撮像モジュール製造装置200は、測定チャート設置部71と、集光ユニット73と、レンズ位置決めプレート75と、レンズユニット保持部77と、撮像素子ユニット保持部79と、接着剤供給部81と、光源としての紫外線ランプ83と、これらを制御する制御部85と、を備える。測定チャート設置部71、集光ユニット73、レンズ位置決めプレート75、レンズユニット保持部77、及び撮像素子ユニット保持部79は、重力方向に垂直な軸87であって、かつ後述する測定チャート89に直交する軸87上で一方向に並べて配置されている。
【0063】
測定チャート設置部71は、箱状の筐体71aと、筐体71a内に嵌合される測定チャート89と、筐体71a内に組み込まれて測定チャート89を背面から平行光で照明する光源91とを有している。測定チャート89は、例えば、光拡散性を有するプラスチック板で形成されている。測定チャート89のチャート面は重力方向に平行となる。測定チャート89は取り外し可能として別のものに交換できるようにしてもよい。
【0064】
なお、以下の説明では、測定チャート89のチャート面の垂線(軸87に平行な垂線)であって、チャート面中心89aを通る線をZ軸とし、Z軸に直交する2軸を水平X軸、垂直Y軸(以下、適宜にX軸、Y軸と略す、図6参照)とする。
【0065】
図6は、測定チャート89のチャート面を示す図である。測定チャート89は矩形状であり、チャートパターンが設けられたチャート面には、複数のチャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5がそれぞれ印刷されている。
【0066】
複数のチャート画像は、全て同一の画像であり、黒色の線を所定の一定間隔で配列させた、いわゆるラダー状のチャートパターンである。各チャート画像は、それぞれ画像の水平方向に配列させた水平チャート画像Pxと、画像の垂直方向に配列させた垂直チャート画像Pyとを含む。
【0067】
図5に戻って、集光ユニット73は、Z軸上において測定チャート設置部71に対面配置されている。
【0068】
集光ユニット73は、軸87に固定されたブラケット73aと、集光レンズ73bとを有している。集光レンズ73bは、測定チャート設置部71から放射された光を集光し、集光した光をブラケット73aに形成された開口73cを通して、レンズ位置決めプレート75に入射させる。
【0069】
レンズ位置決めプレート75及びレンズユニット保持部77は、測定チャート設置部71と撮像素子ユニット保持部79との間のZ軸上でレンズユニット10を保持する。すなわち、レンズ位置決めプレート75は、レンズユニット保持部77と共に本発明のレンズユニット保持部を構成している。
【0070】
レンズ位置決めプレート75は、剛性を有するように形成されており、集光ユニット73により集光された光を通過させる開口75cが設けられている。レンズ位置決めプレート75は、Z軸上において集光ユニット73に対面配置されている。
【0071】
図7は、撮像モジュール製造装置200によるレンズユニット10と撮像素子ユニット20の保持状態を示す説明図である。
【0072】
図7に示すように、レンズ位置決めプレート75のレンズユニット保持部77側の面には、開口75cの周囲に3個の当接ピン93A,93B,93Cが設けられている。
【0073】
当接ピン93A,93B,93Cは図1に示したレンズユニット10の凹部95A,95B,95Cを受けると共に、挿入ピン93A1,93C1は凹部95A1,95C1に挿入されてレンズユニット10を位置決めする。このようにしてレンズユニット10が位置決めされた状態では、Z軸がレンズ群12の光軸Axと一致する。
【0074】
図5に戻って、レンズユニット保持部77は、Z方向に移動可能な第1スライドステージ99と、第1スライドステージ99のステージ部99a上に設けられたプローブユニット113及び保持プレート114と、を備える。
【0075】
第1スライドステージ99は、電動式の精密ステージであって、図示しないモータの回転によってボールネジを回転させ、このボールネジに噛合されたステージ部99aをZ方向に移動させる。第1スライドステージ99は制御部85によって制御される。
【0076】
保持プレート114は、Z軸上で測定チャート設置部71に筐体11の天面11aが向くようにレンズユニット10を保持するための構成であり、ステージ部99aをZ方向に移動させて、レンズ位置決めプレート75によって位置決めされたレンズユニット10に保持プレート114を押し当てることで、レンズユニット10を撮像モジュール製造装置200に保持する。
【0077】
プローブユニット113は、複数のプローブ113a(図5では1つのみ図示)を有する。第1スライドステージ99がZ方向に移動し、保持プレート114がレンズユニット10に押し当てられた状態で、レンズユニット10の各端子14A〜14Fにプローブ113aの接触子が接触する。
【0078】
プローブユニット113は、プローブ113aを介して各端子14A〜14Fに通電し、X方向VCM50A、Y方向VCM50C、Z方向VCM60Eを駆動する。
【0079】
プローブユニット113に含まれる各プローブ113aは、所謂スプリング式のプローブであり、被接触部位に接触させるための接触子と、プローブユニット113内の回路基板と電気的に接続される接続子と、接触子と接続子の間に設けられ、接触子を付勢するスプリング等の弾性体とを備えて構成される。プローブ113aの接触子は例えば非磁性材料からなる。プローブユニット113内の回路基板は、後述するレンズ駆動ドライバ145と電気的に接続されている。
【0080】
撮像素子ユニット保持部79は、撮像素子ユニット20をZ軸上に保持するための構成である。また、撮像素子ユニット保持部79は、制御部85の制御により、撮像素子ユニット20のZ方向位置及び傾きが変更可能となっている。ここで、撮像素子ユニット20の傾きは、Z軸に直交する平面に対する撮像素子27の撮像面27aの傾きを意味する。
【0081】
撮像素子ユニット保持部79は、Z軸上で測定チャート設置部71に撮像面27aが向くように撮像素子ユニット20を保持するチャックハンド115と、チャックハンド115が取り付けられた略クランク状のブラケット117を保持し、Z軸に直交する2軸(X軸、Y軸)の回りで傾きを調整する2軸回転ステージ119と、2軸回転ステージ119が取り付けられたブラケット121を保持してZ方向に移動させる第2スライドステージ123と、を有している。
【0082】
チャックハンド115は、図7に示すように、略クランク状に屈曲された一対の挟持部材115aと、これらの挟持部材115aをZ軸に直交するX方向で移動させるアクチュエータ115b(図5参照)とを有している。挟持部材115aは、撮像素子ユニット20の外枠を挟み込み、撮像素子ユニット20を保持する。
【0083】
図5に戻って、チャックハンド115は、レンズ位置決めプレート75及びレンズユニット保持部77により保持されているレンズユニット10の光軸Axと、撮像面27aの中心位置とが一致するように、挟持部材115aに挟持された撮像素子ユニット20を位置決めする。
【0084】
また、チャックハンド115は、Z方向にみたときに、撮像素子ユニット20の撮像素子ユニット端子部24の各端子と、保持されたレンズユニット10のレンズユニット端子部14の各端子とが重なるように、挟持部材115aに挟持された撮像素子ユニット20を位置決めする。
【0085】
2軸回転ステージ119は、電動式の2軸ゴニオステージであって、図示しない2つのモータの回転により、撮像面27aの中心位置を回転中心にして、撮像素子ユニット20を、X軸の回りのθX方向と、Z軸及びX軸に直交するY軸の回りのθY方向に傾ける(図7参照)。これにより、撮像素子ユニット20を各方向に傾けた際に、撮像面27aの中心位置とZ軸との位置関係がずれることが防止される。
【0086】
第2スライドステージ123は、電動式の精密ステージであって、図示しないモータの回転によってボールネジを回転させ、このボールネジに噛合されたステージ部123aをZ方向に移動させる。ステージ部123aにはブラケット121が固定されている。
【0087】
2軸回転ステージ119には、撮像素子ユニット20のフレキシブル基板22の先端に設けられた外部接続用端子部23と接続されるコネクタケーブル127が取り付けられている。このコネクタケーブル127は撮像素子27の駆動信号を入力したり、撮像素子27から出力される撮像画像信号を出力したりする。
【0088】
接着剤供給部81及び紫外線ランプ83は、レンズユニット10と撮像素子ユニット20を固定する本発明のユニット固定部を構成する。
【0089】
接着剤供給部81は、レンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の位置及び傾きの調整が終了した後、レンズユニット10と撮像素子ユニット20との隙間に、光によって硬化する前述の紫外線硬化型の接着剤18を供給する。
【0090】
紫外線ランプ83は、上記隙間に供給された紫外線硬化型の接着剤18に紫外線を照射することで、接着剤を硬化させる。なお、接着剤18としては、紫外線硬化型接着剤の他、瞬間接着剤、熱硬化接着剤、自然硬化接着剤等も利用可能である。
【0091】
図8は、図5に示した撮像モジュール製造装置200の一部の拡大図である。撮像モジュール製造装置200には、前述の各部の他に、電磁石210、ガウスメータ215、及びガウスメータシフト機構216が設けられている。
【0092】
電磁石210は、本発明の磁界印加部に相当する。電磁石210は、例えば磁性材料で構成される芯と、この芯の周りに巻かれたコイルとを有しており、コイルに電流供給を行うことで磁界(磁力)を発生する。電磁石210から発生する磁界の大きさ(強度)は、コイルに供給する電流の大きさに依存する。電磁石210は、制御部85の制御の下、レンズユニット保持部77等に保持されているレンズユニット10の手振れ補正可動部30に磁界を印加する。
【0093】
図9(A)は、撮像モジュール製造装置によって製造される途中のレンズユニット10を示し、図9(B)は、磁界発生部300を有する電子機器301に組み込まれた実使用環境のレンズユニット10を示す。図9(A),(B)に示すように、電磁石210からレンズユニット10の手振れ補正可動部30に印加される磁界(図9(A)の矢印「HM」で表示)は、磁界発生部300を有する電子機器301に組み込まれた実使用環境のレンズユニット10の手振れ補正可動部30に対して磁界発生部300から印加される磁界(図9(B)の矢印「HR」で表示)と同じ大きさに調整されている。ここでいう「同じ」とは、電磁石210から印加される磁界の強度がステップ状に設定できるようになっている場合にはその範囲内にあることを「同じ」という。例えば磁界の強度を小数点第1位まで設定時に入力できる場合であれば、その桁数までが同じであればよい。以下、実使用環境のレンズユニット10の手振れ補正可動部30に対して磁界発生部300から印加される磁界を「実使用環境磁界」と略す。
【0094】
撮像モジュール製造装置200内での電磁石210の取付位置は、手振れ補正可動部30に印加される実使用環境磁界の向きと、電磁石210から手振れ補正可動部30に印加される磁界の向きとが同じ(ほぼ同じを含む)になるように位置調整されている。例えば、撮像モジュール製造装置200内でのレンズユニット10と電磁石210との位置関係を、電子機器301内に撮像モジュール100を組み込んだ場合のレンズユニット10と磁界発生部300との位置関係と同じ(ほぼ同じを含む)になるように調整する。なお、手振れ補正可動部30に印加される実使用環境磁界の向きと、電磁石210から手振れ補正可動部30に印加される磁界の向きとをそれぞれ実際に測定して或いはシミュレーションで算出して、両者の磁界の向きが同じになるように撮像モジュール製造装置200内での電磁石210の取付位置を調整してもよい。
【0095】
このように電磁石210から手振れ補正可動部30に印加される磁界の大きさと向きを調整することで、撮像モジュール製造装置200内の手振れ補正可動部30を実使用環境と同じように傾けることができる。すなわち、撮像モジュール製造装置200において手振れ補正可動部30が電磁石210からの磁界の印加により傾く傾き方向及び傾き量を、実使用環境磁界の印加により手振れ補正可動部30が傾く傾き方向及び傾き量と同じ(ほぼ同じを含む)にすることができる。
【0096】
図8に戻って、ガウスメータ215は、本発明の磁界強度測定部に相当する構成であり、レンズユニット保持部77等に保持されているレンズユニット10の手振れ補正可動部30に対して電磁石210から印加される磁界の強度を測定する。なお、磁界の強度H(A/m)及び磁束密度B(T)の間には、透磁率をμとした場合にB=μHの関係が成り立つので、ここでいう磁界の強度の測定には磁束密度の測定が含まれるものとする。ガウスメータ215の測定結果に基づき、実使用環境磁界と同じ大きさの磁界が手振れ補正可動部30に対して印加されているか否かを確認することができる。
【0097】
ガウスメータシフト機構216は、制御部85の制御の下、ガウスメータ215を測定位置と退避位置との間で移動させる。測定位置は、手振れ補正可動部30の近傍でレンズユニット10の手振れ補正可動部30に印加される磁界の強度を測定可能な位置である。ここでいう「近傍」とは、レンズユニット10が撮像モジュール製造装置200に設置されたときにレンズユニット10(手振れ補正可動部30)が占める空間中である。従って、測定位置は、レンズユニット保持部77等によりレンズユニット10を保持した場合に手振れ補正可動部30が占める空間内である。これにより、レンズユニット10の手振れ補正可動部30に印加される磁界の強度を正確に測定することができる。
【0098】
また、退避位置は、レンズユニット10(手振れ補正可動部30)の近傍の測定位置から退避した位置であり、レンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の位置及び傾きの調整の妨げとならない位置である。
【0099】
<撮像モジュール製造装置の電気的構成>
図10は、撮像モジュール製造装置200の電気的構成を示すブロック図である。
【0100】
制御部85は、例えば、CPUやROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータであり、ROMに記憶されている制御プログラムに基づいて各部を制御している。また、制御部85には、各種設定を行うキーボードやマウス等の入力部131と、設定内容や作業内容、作業結果等が表示される表示部133とが接続されている。
【0101】
レンズ駆動ドライバ145は、X方向VCM50A、Y方向VCM50C、Z方向VCM60Eを駆動するための駆動回路であり、プローブユニット113を介してX方向VCM50A、Y方向VCM50C、Z方向VCM60Eの各々に駆動電流を供給する。
【0102】
撮像素子ドライバ147は、撮像素子27を駆動するための駆動回路であり、コネクタケーブル127を介して撮像素子27に駆動信号を入力する。
【0103】
合焦座標値取得回路149は、詳しくは後述するが、撮像素子27の撮像面27a上に設定された複数の撮像位置(測定チャート89の各チャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5に対応する位置)について、Z方向における合焦度合の高い位置である合焦座標値をそれぞれ取得する。
【0104】
制御部85は、複数の撮像位置の合焦座標値を取得する際に、第2スライドステージ123を制御し、Z軸上に予め離散的に設定された複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)に撮像素子ユニット20を順次に移動させる。これにより、測定チャート設置部71、レンズユニット保持部77、及び撮像素子ユニット保持部79の軸87(Z軸)上の相対位置が変化する。
【0105】
さらに、制御部85は、撮像素子ドライバ147を制御し、各測定位置(Z0,Z1,Z2,…)でレンズ群12が結像した測定チャート89の複数のチャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5を撮像素子27に撮像させる。すなわち、制御部85、第2スライドステージ123、及び撮像素子ドライバ147により本発明の制御部が構成されている。
【0106】
この際に、制御部85は、磁石駆動回路218を制御して電磁石210に電流供給を行って、電磁石210からレンズユニット10の手振れ補正可動部30に磁界を印加させる。これにより、電磁石210から手振れ補正可動部30に磁界が印加された状態で、撮像素子ユニット20がZ方向に沿って設定された複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)に順次に移動され、各測定位置において撮像素子27に測定チャート89が撮像される。すなわち、撮像モジュール製造装置200内の手振れ補正可動部30を実使用環境と同じように傾けた状態で、撮像素子ユニット20の移動と測定チャート89の撮像とが行われる。
【0107】
また、制御部85は、撮像素子ユニット20の移動と測定チャート89の撮像とを開始する前に、ガウスメータシフト機構216を制御してガウスメータ215を測定位置に移動させる。そして、制御部85は、ガウスメータ215から入力される磁界強度測定結果に基づき、電磁石210から手振れ補正可動部30に対して印加される磁界の大きさが、実使用環境磁界と同じ大きさであるか否かを判別する。なお、実使用環境磁界の強度は、同機種の電子機器301に搭載される同機種の撮像モジュール100であれば基本的には同じ値となるので、電子機器301の機種及び撮像モジュール100の機種の組み合わせごとに予め求められている。
【0108】
制御部85は、手振れ補正可動部30に対して印加される磁界の大きさが実使用環境磁界の大きさと異なる場合には、磁石駆動回路218を制御して電磁石210に対して供給する電流を増減させることで、手振れ補正可動部30に対して印加される磁界を実使用環境磁界と同じ大きさに調整する。これにより、撮像モジュール製造装置200内の手振れ補正可動部30を実使用環境と同じように傾けた状態で、撮像素子ユニット20の移動と測定チャート89の撮像とを行うことができる。
【0109】
合焦座標値取得回路149は、コネクタケーブル127を介して入力された撮像信号から上記複数の撮像位置に対応する画素の信号を抽出し、その画素信号から複数の撮像位置に対する個別の合焦評価値をそれぞれ算出する。そして、各撮像位置について所定の合焦評価値が得られたときの測定位置をZ軸上の合焦座標値としている。
【0110】
合焦評価値としては、レンズ群12の解像度を表す値、例えばコントラスト伝達関数値(Contrast Transfer Function:以下、CTF値と略す)を用いることができる。CTF値は、空間周波数に対する像のコントラストを表す値であり、CTF値が高いときに合焦度が高いとみなす。
【0111】
合焦座標値取得回路149は、複数の撮像位置の各々について、Z軸上に設定された複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)毎に、XY座標平面上で設定した複数方向のそれぞれに対してCTF値を算出している。
【0112】
CTF値が算出される方向としては、例えば、撮像面27aの横方向である水平方向(X方向)と、これに直交する垂直方向(Y方向)とし、各方向のCTF値であるX−CTF値及びY−CTF値をそれぞれ算出する。
【0113】
合焦座標値取得回路149は、各チャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5に対応する複数の撮像位置について、X−CTF値が最大となる測定位置のZ軸上の座標(Zp1、Zp2,Zp3,Zp4,Zp5)を水平合焦座標値として取得する。また同様に、Y−CTF値が最大となる測定位置のZ軸上の座標を垂直合焦座標値として取得する。
【0114】
結像面算出回路151には、合焦座標値取得回路149から各撮像位置の水平合焦座標値及び垂直合焦座標値が入力される。
【0115】
結像面算出回路151は、撮像面27aをXY座標平面に対応させたときの各撮像位置のXY座標値と、それぞれの撮像位置毎に得られたZ軸上の水平合焦座標値及び垂直合焦座標値との組み合わせで表される複数の評価点を、XY座標平面とZ軸とを組み合わせた三次元座標系に展開し、これらの評価点の相対位置に基づいて三次元座標系で一平面として表される近似結像面を算出する。この近似結像面は、前述のレンズ群12の基準姿勢を示す。
【0116】
調整値算出回路153には、結像面算出回路151から近似結像面の情報が入力される。調整値算出回路153は、近似結像面とZ軸との交点であるZ軸上の結像面座標値と、XY座標平面に対する近似結像面のX軸周り及びY軸周りの傾きであるXY方向回転角度とを算出する。XY方向回転角度は、撮像素子27に対してレンズ群12を相対的に近似結像面(基準姿勢)に傾き調整するための傾き方向と傾き量を示す指標であり、本発明の補正量に相当する。調整値算出回路153は、結像面座標値及びXY方向回転角度を制御部85に出力する。
【0117】
制御部85は、調整値算出回路153から入力された結像面座標値及びXY方向回転角度に基づき、撮像素子ユニット保持部79の2軸回転ステージ119及び第2スライドステージ123を駆動し、撮像素子ユニット20のZ方向位置及び傾きを調整する。すなわち、制御部85及び2軸回転ステージ119が本発明の調整部として機能する。
【0118】
<撮像モジュールの製造処理の流れ>
次に、図11に示すフローチャートを用いて、上記構成の撮像モジュール製造装置200による撮像モジュール100の製造、特にレンズユニット10と撮像素子ユニット20との固定処理について説明を行う。
【0119】
最初にレンズユニット10及び撮像素子ユニット20のセット作業について説明を行う(ステップS1、第1工程)。
【0120】
制御部85は、第1スライドステージ99を制御して保持プレート114をZ方向に沿って移動させることにより、レンズ位置決めプレート75と保持プレート114との間にレンズユニット10が挿入可能なスペースを形成する。レンズユニット10は、図示しないロボットにより保持されて、レンズ位置決めプレート75と保持プレート114との間に移送される。
【0121】
制御部85は、光学センサ等でレンズユニット10の移動を検知し、第1スライドステージ99のステージ部99aをレンズ位置決めプレート75に近付ける方向に移動させる。そして、レンズユニット10の凹部95A,95B,95Cが当接ピン93A,93B,93Cに当接し、凹部95C1,95A1に挿入ピン93A1,93C1が挿入される。これにより、レンズユニット10は、Z方向と、X方向及びY方向とで位置決めされる。更に、ステージ部99aをレンズ位置決めプレート75に近付ける方向に移動させると、保持プレート114とレンズ位置決めプレート75とでレンズユニット10が挟まれた状態となり、レンズユニット10がレンズユニット保持部77にセットされる。
【0122】
レンズユニット10が保持された状態で、プローブユニット113のプローブ113aの接触子をレンズユニット10の端子14A〜14Fに接触させて、X方向VCM50A及びY方向VCM50C及びZ方向VCM60Eと、レンズ駆動ドライバ145とを電気的に接続する。
【0123】
次いで、制御部85は、第2スライドステージ123を制御して2軸回転ステージ119をZ方向に沿って移動させることにより、レンズユニット保持部77と2軸回転ステージ119との間に撮像素子ユニット20が挿入可能なスペースを形成する。撮像素子ユニット20は、図示しないロボットにより保持されて、レンズユニット保持部77と2軸回転ステージ119との間に移送される。
【0124】
制御部85は、光学センサ等で撮像素子ユニット20の移動を検知し、第2スライドステージ123のステージ部123aを保持プレート114に近付ける方向に移動させる。そして、作業者は、チャックハンド115の挟持部材115aを用いて、撮像素子ユニット20を撮像素子ユニット保持部79にセットする。また、コネクタケーブル127を撮像素子ユニット20の外部接続用端子部23に接続する。これにより、撮像素子27と制御部85とが電気的に接続された状態になる。その後、図示しないロボットによる撮像素子ユニット20の保持が解除される。以上でレンズユニット10及び撮像素子ユニット20のセット作業が完了する(ステップS1、第1工程)。
【0125】
セット作業の完了後、制御部85は、磁石駆動回路218を制御して電磁石210に電流供給を行って、電磁石210からレンズユニット10(手振れ補正可動部30)に磁界を印加させる(ステップS2)。また、制御部85は、ガウスメータシフト機構216を制御してガウスメータ215を測定位置に移動させる(ステップS3)。これにより、ガウスメータ215により、レンズユニット保持部77等に保持されているレンズユニット10の手振れ補正可動部30に対して電磁石210から印加される磁界の強度が測定される(ステップS4)。
【0126】
次いで、制御部85は、ガウスメータ215から入力される磁界強度測定結果と、電子機器301の機種及び撮像モジュール100の機種の組み合わせに対応した既知の実使用環境磁界の強度とを比較する。なお、電子機器301の機種及び撮像モジュール100の機種の組み合わせについては作業者が予め入力部131に入力しており、制御部85は、入力部131に入力された組み合わせに対応する実使用環境磁界の強度を比較対象とする。そして、制御部85は、ガウスメータ215から入力される磁界強度測定結果が実使用環境磁界と同じ大きさであるか否かを判別する(ステップS5)。
【0127】
制御部85は、ステップS5でNOと判定した場合には、磁石駆動回路218を制御して電磁石210に電流供給する電流を増減させて、電磁石210からレンズユニット10の手振れ補正可動部30に印加される磁界の強度を調整する(ステップS6)。以下、ステップS5でYESと判定されるまで、ステップS4からステップS6までの処理が繰り返される。これにより、撮像モジュール製造装置200内の手振れ補正可動部30を実使用環境と同じように傾けた状態にすることができる。
【0128】
制御部85は、ステップS5でYESと判定した場合には、測定位置にあるガウスメータ215を退避位置に移動させる(ステップS7)。これにより、ガウスメータ215が後述のレンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の位置及び傾きの調整の妨げになることが防止される。
【0129】
次いで、電磁石210からの磁界印加により手振れ補正可動部30を実使用環境と同じように傾けた状態にて、各チャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5に対応する撮像面27aの各撮像位置の水平合焦座標値及び垂直合焦座標値の取得が開始される。
【0130】
制御部85は、第2スライドステージ123を制御して2軸回転ステージ119を保持プレート114に近づく方向に移動させ、撮像素子27がレンズユニット10に最も近くなる最初の測定位置に撮像素子ユニット20を移動させる。
【0131】
撮像素子ユニット20の移動後、制御部85は、測定チャート設置部71の光源91を発光させる。また、制御部85は、レンズ駆動ドライバ145によって駆動信号を端子14A〜14Fに入力させ、X方向VCM50A及びY方向VCM50C及びZ方向VCM60Eを駆動して、レンズ群12の光軸AxのX方向位置、Y方向位置、Z方向位置を基準位置(例えば実使用時の初期位置)に保持する。
【0132】
次に、制御部85は、撮像素子ドライバ147を制御して、レンズユニット10により結像したチャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5を撮像素子27に撮像させる。撮像素子27は、撮像した撮像信号を、コネクタケーブル127を介して合焦座標値取得回路149に入力する。
【0133】
合焦座標値取得回路149は、入力された撮像信号から各チャート画像CH1,CH2,CH3,CH4,CH5に対応する撮像位置における画素の信号を抽出し、その画素信号から各撮像位置についてのX−CTF値及びY−CTF値を算出する。制御部85は、X−CTF値及びY−CTF値の情報を、例えば、制御部85内のRAMに記憶する。
【0134】
制御部85は、撮像素子ユニット20をZ方向に沿って設定された複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)に順次移動させ、各測定位置において、レンズ群12の光軸AxのX方向位置、Y方向位置、Z方向位置を基準位置に維持した状態で、撮像素子27に測定チャート89のチャート画像を撮像させる(ステップS8、第2工程)。合焦座標値取得回路149は、各測定位置でそれぞれの撮像位置におけるX−CTF値及びY−CTF値を算出する。
【0135】
合焦座標値取得回路149は、撮像位置の各々について、算出された複数のX−CTF値、及びY−CTF値の中から最大値を選択し、最大値が得られた測定位置のZ軸座標をその撮像位置の水平合焦座標値及び垂直合焦座標値として取得する(ステップS9)。
【0136】
合焦座標値取得回路149において取得された水平合焦座標値及び垂直合焦座標値は、結像面算出回路151に入力される。結像面算出回路151は、例えば最小自乗法により、平面近似された近似結像面を算出する(ステップS10)。これにより、レンズ群12の基準姿勢が算出される。
【0137】
結像面算出回路151で算出された近似結像面の情報は、調整値算出回路153に入力される。調整値算出回路153は、近似結像面とZ軸との交点である結像面座標値と、XY座標平面に対する近似結像面のX軸周り及びY軸周りの傾きであるXY方向回転角度とを算出する(ステップS11)。そして、調整値算出回路153は、結像面座標値及びXY方向回転角度を制御部85に出力する。
【0138】
制御部85は、結像面座標値とXY方向回転角度とに基づいて、2軸回転ステージ119及び第2スライドステージ123を制御し、撮像素子27の撮像面27aの中心位置が結像面座標値に一致するように撮像素子ユニット20をZ方向に移動する。また、制御部85は、XY方向回転角度に基づいて、撮像素子ユニット20のθX方向及びθY方向の角度を調整することで、レンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の傾きを調整する(ステップS12)。これにより、電磁石210からレンズユニット10の手振れ補正可動部30に磁界が印加されている状態、すなわち、実使用環境と同じ状態で、撮像素子27に対してレンズ群12が基準姿勢に傾き調整される。なお、上述の通り、レンズ群12が理想状態である場合には、レンズ群12の光軸Axが撮像面27aに直交する点線V(図3参照)に平行となる。
【0139】
制御部85は、接着剤供給部81から、レンズユニット10と撮像素子ユニット20との隙間に接着剤18を供給させる(ステップS13)。そして、制御部85は、撮像素子ユニット20の移動及傾き調整後に紫外線ランプ83を点灯させる(ステップS14)。これにより、接着剤18が硬化してレンズユニット10と撮像素子ユニット20とが固定される(ステップS15)。なお、ステップS9からステップS15までが本発明の第3工程に相当する。
【0140】
レンズユニット10と撮像素子ユニット20とが固定された後、制御部85は、磁石駆動回路218を制御して電磁石210への電流供給を停止して、電磁石210からの磁界印加を停止させる(ステップS16)。磁界印加が停止されると、手振れ補正可動部30は、弾性支持部40の弾性復元力により磁界印加前の姿勢に戻る。このため、レンズ群12も基準姿勢から傾いた状態となる。
【0141】
次いで、制御部85は、ステージ部99aを撮像素子ユニット保持部79側に移動させて、プローブ113aの接触子とレンズユニット10の各端子14A〜14Fとの接触を解除する。その後、完成した撮像モジュール100は、図示しないロボットにより撮像モジュール製造装置200から取り出される(ステップS16)。
【0142】
なお、レンズユニット10と撮像素子ユニット20は、紫外線硬化型の接着剤18により固定できるが、この接着剤18による硬化をレンズユニット10と撮像素子ユニット20との仮固定として利用してもよい。例えば、撮像モジュール100は、レンズユニット10と撮像素子ユニット20とを仮固定した状態で撮像モジュール製造装置200から取り出し、清浄処理等の所望の工程を行った後にレンズユニット10と撮像素子ユニット20とを、熱硬化接着剤等によって完全に固定してもよい。
【0143】
<本発明の効果>
図12(A)に示すように、本発明で製造される撮像モジュール100では、電磁石210からレンズユニット10の手振れ補正可動部30に磁界を印加した状態で算出したXY方向回転角度に基づきレンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の傾きを調整して、レンズユニット10と撮像素子ユニット20とを固定している。このため、撮像モジュール100が電子機器301に組み込まれる前の状態では、レンズ群12は基準姿勢から傾いた状態となる。
【0144】
図12(B)に示すように、撮像モジュール100が電子機器301に組み込まれると、磁界発生部300からレンズユニット10に印加される磁界により、手振れ補正可動部30が前述の電磁石210による磁界印加時と同じ傾き方向に同じ傾き量だけ(ここでいう「同じ」には「ほぼ同じ」が含まれる)傾けられる。その結果、レンズ群12が基準姿勢に調整される。なお、本実施形態のように理想状態のレンズ群12の場合には、レンズ群12の光軸Axが撮像面27aに直交する姿勢に調整される。これにより、撮像モジュール100を電子機器301内の磁界発生部300の近傍に配置した場合でも、レンズ群12の基準姿勢からの傾きを抑えることができる。これにより、電子機器301内における部品(撮像モジュール100や磁界発生部300など)の配置の自由度を上げることができる。
【0145】
また、図13(A)に示す比較例のように、手振れ補正可動部30に磁界を印加しない状態でレンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の傾き調整を行って製造された撮像モジュールでは、磁界が印加されていない状態でレンズ群12が基準姿勢に調整されている。このため、この撮像モジュールを電子機器301に組み込むと、磁界発生部300からレンズユニット10に印加される磁界により手振れ補正可動部30が傾くことでレンズ群12が基準姿勢から傾いてしまう。その結果、この撮像モジュールにより得られる画像の画面内の解像度分布図に示されるように、レンズ群12の傾きにより画面内の解像度がばらついてしまう。なお、図13において、画面内の解像度は、明暗により表されており、明るい程、解像度が高い領域を示している。
【0146】
このような比較例に対して本発明では、レンズユニット10の手振れ補正可動部30に実使用環境磁界と同じ大きさの磁界を印加した状態でレンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の傾き調整を行って撮像モジュール100を製造している。このため、図13(B)に示すように、撮像モジュール100を電子機器301内に組み込んだ際に、磁界発生部300からレンズユニット10に印加される磁界により手振れ補正可動部30が傾くことでレンズ群12が基準姿勢に調整される。その結果、本発明の撮像モジュール100により得られる画像の画面内の解像度分布は均一になるので、良好な画像が得られる。
【0147】
なお、図13(B)に示した本発明のレンズ群12は、図13(A)に示した比較例のレンズ群12を0.26度傾けている。このように本発明では、磁界発生部300とレンズユニット10との距離や磁界発生部300から発生する磁界の強度にもよるが、上記特許文献1に記載の発明が傾斜の許容値としている0.6度よりも小さい0.2〜0.3度でのレンズ群12の傾きを調整することで、画面内の解像度分布が均一となる良好な画像を取得することができる。
【0148】
<第1実施形態の他実施例>
なお、図11のステップS8では、レンズ位置決めプレート75及びレンズユニット保持部77をZ方向に移動可能にしておき、撮像素子ユニット保持部79のZ方向位置は固定のままレンズユニット保持部77等をZ方向に移動させたり、レンズユニット保持部77等及び撮像素子ユニット保持部79をそれぞれZ方向に移動させたりすることで測定位置を変えて、各測定位置で合焦座標値を取得してもよい。
【0149】
また、レンズユニット保持部77等と撮像素子ユニット保持部79のZ方向位置は固定した状態で測定チャート設置部71をZ方向に移動させることで測定位置を変えて合焦座標値を取得してもよい。また、レンズユニット保持部77等と撮像素子ユニット保持部79と測定チャート設置部71とのそれぞれのZ方向位置を変えることで測定位置を変えて、合焦座標値を取得してもよい。つまり、レンズユニット10、撮像素子ユニット20、及び測定チャート89のZ方向の相対位置を変えることで測定位置を変え、各相対位置において、撮像素子27により測定チャート89を撮像させて、合焦座標値を取得する構成であればよい。
【0150】
上記第1実施形態では、上記相対位置を変えることで、複数の測定位置を実現し、各測定位置となったときに測定チャートを撮像する場合を説明したが、測定チャートの撮像は継続的に行い(つまり動画撮像を行い)、その撮像中に各測定位置となるように、上記相対位置を変化させていくようにしてもよい。
【0151】
上述の図11のステップS12では、レンズユニット10のZ方向位置は固定のまま、撮像素子ユニット20を動かしていくことで、レンズユニット10に対する撮像素子ユニット20のZ方向位置を調整している。この変形例として、レンズユニット保持部77等をZ方向に移動可能にしておき、撮像素子ユニット保持部79は位置固定のままレンズユニット保持部77等を移動させたり、レンズユニット保持部77等と撮像素子ユニット保持部79をそれぞれ移動させたりして、位置調整を行ってもよい。さらに、撮像素子ユニット保持部79は位置固定のままレンズユニット保持部77等でレンズユニット10の傾き調整を行ってもよい。
【0152】
また、図11のステップS12では、レンズユニット10に対する撮像素子ユニット20のZ方向位置と傾きを調整しているが、Z方向位置の調整は省略してもよい。例えば、レンズユニット10においてレンズバレル15を螺子構造等によって光軸Ax方向に摺動可能にした構成であればZ方向位置の調整を行わなくてすむ。
【0153】
なお、撮像モジュール製造装置200では、撮像素子27と撮像素子ドライバ147との電気的接続を撮像素子ユニット20の外部接続用端子部23を用いて行っているが、例えば撮像素子27の背面に接触する複数のプローブを2軸回転ステージ119に設けて両者の電気的接続を行うなど、電気的接続の方法は適宜変更してもよい。
【0154】
また、撮像モジュール製造装置200では、レンズ位置決めプレート75の当接ピン93A,93B,93Cに、レンズユニット10の凹部95A,95B,95Cを当接させ、更に、保持プレート114でレンズユニット10をレンズ位置決めプレート75側に押し当てることで、レンズユニット10をZ軸上に保持しているが、各種冶具などを用いてレンズユニット10をZ軸上に保持してもよい。
【0155】
上記実施形態では、2軸回転ステージ119を用いて撮像素子ユニット20の傾き調整を行うため、調整値算出回路153にてXY方向回転角度を算出しているが、傾き調整するための傾き方向と傾き量を示す補正量であれば特に限定はされない。また、2軸回転ステージ以外を用いて傾き調整を行ってもよい。
【0156】
[第2実施形態の撮像モジュールの製造方法及び製造装置]
次に、図14及び図15を用いて本発明の第2実施形態の撮像モジュールの製造方法及び製造装置について説明を行う。上記第1実施形態では、複数の撮像位置の各々について、Z軸上に設定された複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)毎にCTF値を算出し、この算出結果に基づきXY方向回転角度等を算出している。これに対して第2実施形態では、合焦評価値としてレンズ群12の解像度を表す変調伝達関数値(Modulation Transfer Function:以下、MTFと略す)を算出して、この算出結果に基づきXY方向回転角度等を算出する。
【0157】
なお、第2実施形態の撮像モジュールの製造方法に用いられる撮像モジュール製造装置200Aは、合焦評価値としてCTF値の代わりにMTF値を算出する点を除けば、第1実施形態の撮像モジュール製造装置200と基本的に同じ構成である。このため、上記第
1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。ただし、撮像モジュール製造装置200Aでは、MTF値の算出を行うため、例えば白黒の線を交互かつ平行に繰り返し配置した縞パターン(ラダーパターン、矩形波パターンともいう)を有する測定チャート89A(図17参照)が用いられる。
【0158】
図14に示すように、撮像モジュール製造装置200Aでは、上記第1実施形態の図11で説明したステップS1のセット作業(第1工程)後に、制御部85が第2スライドステージ123を制御し、撮像素子ユニット20をZ方向(デフォーカス方向)に沿って複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)に順次に移動させる。また、制御部85は、撮像素子ドライバ147を制御し、各測定位置(Z0,Z1,Z2,…)でレンズ群12が結像した測定チャート89Aのチャート画像を撮像素子27に撮像させる(第2工程)。この際には、上記第1実施形態で説明したステップS2からステップS7までの処理(図11参照)を行って、電磁石210からレンズユニット10の手振れ補正可動部30に磁界を印加させる。
【0159】
MTF値算出回路156は、コネクタケーブル127等を介して入力された撮像信号から複数の撮像位置(P1、P2、P3)に対応する画素の信号を抽出し、その画素信号から複数の撮像位置に対する個別のMTF値を算出する。なお、撮像位置の個数は特に限定はされない。MTF値は、レンズ群12の解像度を示す値であり、MTF値が高いときに合焦度が高いとみなす。
【0160】
MTF値算出回路156は、複数の撮像位置の各々について、Z軸上に設定された複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)毎に、XY座標平面上で設定した複数方向のそれぞれに対してMTF値を算出する。MTF値が算出される方向としては、例えば、撮像面27aの横方向である水平方向(X方向)と、これに直交する垂直方向(Y方向)とし、各方向のMTF値であるX−MTF値及びY−MTF値をそれぞれ算出する。これにより、複数の測定位置(Z0,Z1,Z2,…)ごとに複数の撮像位置(P1、P2、P3)のX−MTF値及びY−MTF値を測定してなるMTF値測定データが得られる。MTF値算出回路156は、MTF値測定データを調整値算出回路153Aへ出力する。
【0161】
図15(A)は、Y−MTF値のMTF値測定データの一例を示した図である。また、図15(B)は、レンズ群12が基準姿勢に調整されている場合のY−MTF値のMTF値測定データの一例を示した図であり、複数の撮像位置(P1、P2、P3)に対応するMTF値の波形のピークはほぼ一致している。従って、MTF値測定データから複数の撮像位置(P1、P2、P3)に対応するMTF値の波形のピークの位置を求めることで、個々のピークの位置のずれに基づき、レンズ群12を基準姿勢にするためのX軸周りの回転角度であるX方向回転角度が求められる。
【0162】
例えば、撮像位置P1と撮像位置P2とのピーク位置のずれが「z」であり、撮像位置P1と撮像位置P2とのY方向の位置ずれ量が「y」(図14参照)である場合に、X方向回転角度は式[tanθ=z/y]のθとして求められる。また、同様にして、X−MTF値に対応するMTF値測定データからY方向回転角度を算出することができる。
【0163】
なお、図15に示した複数の撮像位置(P1、P2、P3)に対応するMTF値の波形は、各々の波形のピーク位置に対して略左右対称形状であるが、例えば、図16(A)に示すように、MTF値の波形がそのピーク位置に対して左右非対称形状となる場合もある。このような場合でも、図16(B)に示すように、複数の撮像位置(図16ではP1、P2のみを表示)に対応するMTF値の波形のピーク位置が重なるようなXY方向回転角度を算出する。
【0164】
図14に戻って、調整値算出回路153Aは、上記図15を参照して説明したように、MTF値算出回路156から入力されるMTF値測定データに基づき、複数の撮像位置(P1、P2、P3)に対応するMTF値の波形のピークの位置のずれを求めることで、XY方向回転角度を算出して制御部85へ出力する。
【0165】
制御部85は、調整値算出回路153Aから入力されたXY方向回転角度に基づき、2軸回転ステージ119を制御して撮像素子ユニット20の傾き調整を行う。次いで、上記第1実施形態で説明したステップS13からステップS15までの処理(図11参照)を行って、レンズユニット10と撮像素子ユニット20とを固定する(第3工程)。
【0166】
このように第2実施形態においても、実使用環境磁界と同じ大きさの磁界をレンズユニット10の手振れ補正可動部30に印加した状態でレンズユニット10に対する撮像素子ユニット20の傾き調整を行って撮像モジュール100を製造している。このため、撮像モジュール100を電子機器301内に組み込んだ際に、磁界発生部300からレンズユニット10に印加される磁界により手振れ補正可動部30が傾くことでレンズ群12が基準姿勢に調整される。その結果、上記第1実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【0167】
<第2実施形態の他実施例:低周波数MTFの測定>
上記第2実施形態では、本発明の解像度としてMTF値を測定しているが、このMTF値は低周波数MTFであることが好ましい。
【0168】
図17(A)に示すように、「低周波数MTF」とは、撮像素子27の10画素から20画素分のパターン間隔を有する縞パターンの測定チャート89Aを撮像することにより得られるMTF値である。なお、図17(B)に示すように、「高周波数MTF」とは、撮像素子27の2画素から4画素分のパターン間隔を有する縞パターンの測定チャート89Aを撮像することにより得られるMTF値である。低周波数MTFはコントラストや黒の締まり具合の性能を示す。これに対して高周波数MTFは解像力の性能(例えば看板等に記載されている小さな文字を判別可能であるか否かの性能)を示す。上記各実施形態では理想状態のレンズ群12を用いた場合について説明しているが、理想状態ではないレンズ群12には成形、組立誤差などの製造誤差や歪み等があり、レンズ群12の製造誤差等を測定する場合にはレンズ群12の高周波数MTFの測定を行うことが一般的である。
【0169】
ここで撮像モジュール製造装置200Aでは、MTF値に基づき「XY方向回転角度」を算出できればよく、高周波数MTFを用いた場合にはレンズ群12の製造誤差等が「XY方向回転角度」の算出結果に反映されてしまう。このため、「XY方向回転角度」を正確に算出することができない。従って、特に製造誤差等の生じる実際のレンズ群12を考慮した場合、MTF値として低周波数MTFを測定することが好ましい。これにより、磁界の影響を正確に測定することができるので、レンズ群12の製造誤差の影響を抑え、より正確な「XY方向回転角度」を算出することができる。
【0170】
<第2実施形態の他実施例:その他>
上記第2実施形態では、第1実施形態で説明した結像面座標値の算出や撮像素子ユニット20のZ方向位置の調整については説明を省略しているが、第1実施形態と同様に行ってもよい。また、上記第1実施形態の他実施例で説明した内容については、第2実施形態にも適用することができる。さらに、上記各実施形態では、レンズ群12の解像度を表す値としてCTF値やMTF値を測定しているが、SFR(spatial frequency response)値などを測定してもよい。また、風景などの画像からレンズ群12の解像度を測定してもよい。
【0171】
[撮像モジュールのスマートフォンへの適用例]
上記構成の撮像モジュール100が搭載される電子機器301としては、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、メガネ型情報端末、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤ、カメラ付き時計などが挙げられる。以下、スマートフォンを例に挙げ、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0172】
図18は、撮像モジュール100が搭載されたスマートフォン500の外観を示す。図18に示すスマートフォン500は、平板状の筐体502を有し、筐体502の一方の面に表示部としての表示パネル521と、入力部としての操作パネル522とが一体となった表示入力部520を備えている。また、筐体502は、スピーカ531と、マイクロホン532、操作部540と、前述した撮像モジュール100を含むカメラ部541とを備えている。
【0173】
なお、カメラ部541は、磁界発生部であるスピーカ531の近傍であって、スピーカ531が配置されている操作側の面と対向する背面側に配設されている。また、筐体502の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成を採用することや、折り畳み構造やスライド機構を有する構成を採用することもできる。
【0174】
図19は、図18に示したスマートフォン500の構成を示すブロック図である。図19に示すように、スマートフォン500の主たる構成要素として、無線通信部510と、表示入力部520と、通話部530と、操作部540と、カメラ部541と、記憶部550と、外部入出力部560と、GPS(Global Positioning System)受信部570と、モーションセンサ部580と、電源部590と、主制御部501とを備える。また、スマートフォン500の主たる機能として、基地局装置と移動通信網とを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
【0175】
無線通信部510は、主制御部501の指示に従って、移動通信網に収容された基地局装置に対し無線通信を行う。この無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信や、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
【0176】
表示入力部520は、主制御部501の制御により、画像(静止画及び動画)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達すると共に、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル521と、操作パネル522とを備える。生成された3D画像を鑑賞する場合には、表示パネル521は、3D表示パネルであることが好ましい。
【0177】
表示パネル521は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro-Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いる。
【0178】
操作パネル522は、表示パネル521の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指や尖筆によって操作される座標を検出するデバイスである。このデバイスをユーザの指や尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部501に出力する。次いで、主制御部501は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル521上の操作位置(座標)を検出する。
【0179】
図18に示すように、スマートフォン500の表示パネル521と操作パネル522とは一体となって表示入力部520を構成しているが、操作パネル522が表示パネル521を完全に覆うような配置となっている。この配置を採用した場合、操作パネル522は、表示パネル521外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル522は、表示パネル521に重なる重畳部分についての検出領域(以下、表示領域と称する)と、それ以外の表示パネル521に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、非表示領域と称する)とを備えていてもよい。
【0180】
なお、表示領域の大きさと表示パネル521の大きさとを完全に一致させても良いが、両者を必ずしも一致させる必要はない。また、操作パネル522が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。更に、外縁部分の幅は、筐体502の大きさなどに応じて適宜設計される。更にまた、操作パネル522で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
【0181】
通話部530は、スピーカ531やマイクロホン532を備え、マイクロホン532を通じて入力されたユーザの音声を主制御部501にて処理可能な音声データに変換して主制御部501に出力したり、無線通信部510あるいは外部入出力部560により受信された音声データを復号してスピーカ531から出力したりする部分である。また、図18に示すように、例えば、スピーカ531及びマイクロホン532を表示入力部520が設けられた面と同じ面に搭載することができる。
【0182】
操作部540は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付ける部分である。例えば、操作部540は、スマートフォン500の筐体502の表示部の下部、下側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
【0183】
記憶部550は、主制御部501の制御プログラムや制御データ、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶する部分である。また、記憶部550は、スマートフォン内蔵の内部記憶部551と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部552により構成される。なお、記憶部550を構成するそれぞれの内部記憶部551と外部記憶部552は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、Micro SD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
【0184】
外部入出力部560は、スマートフォン500に連結される全ての外部機器とのインタフェースの役割を果たす部分であり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、ジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的又は間接的に接続するための部分である。
【0185】
スマートフォン500に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、イヤホンなどがある。外部入出力部は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン500の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン500の内部のデータが外部機器に伝送されるようにすることができる。
【0186】
GPS受信部570は、主制御部501の指示に従って、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、当該スマートフォン500の緯度、経度、高度からなる位置を検出する。GPS受信部570は、無線通信部510や外部入出力部560(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できるときには、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
【0187】
モーションセンサ部580は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部501の指示に従って、スマートフォン500の物理的な動きを検出する。スマートフォン500の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン500の動く方向や加速度が検出される。この検出結果は、主制御部501に出力される。
【0188】
電源部590は、主制御部501の指示に従って、スマートフォン500の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給する。
【0189】
主制御部501は、マイクロプロセッサを備え、記憶部550が記憶する制御プログラムや制御データに従って動作し、スマートフォン500の各部を統括して制御する。また、主制御部501は、無線通信部510を通じて、音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
【0190】
アプリケーション処理機能は、記憶部550が記憶するアプリケーションソフトウェアに従って主制御部501が動作することにより実現する。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部560を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
【0191】
また、主制御部501は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画や動画のデータ)に基づいて、映像を表示入力部520に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部501が、上記画像データを復号し、この復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部520に表示する機能のことをいう。
【0192】
更に、主制御部501は、表示パネル521に対する表示制御と、操作部540、操作パネル522を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。
【0193】
表示制御の実行により、主制御部501は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示し、あるいは電子メールを作成するためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル521の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
【0194】
また、操作検出制御の実行により、主制御部501は、操作部540を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル522を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、あるいは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
【0195】
更に、操作検出制御の実行により主制御部501は、操作パネル522に対する操作位置が、表示パネル521に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル521に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル522の感応領域や、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
【0196】
また、主制御部501は、操作パネル522に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、あるいはこれらを組み合わせて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
【0197】
カメラ部541は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge-Coupled Device)などの撮像素子を用いて電子撮影するデジタルカメラである。このカメラ部541に、前述した撮像モジュール100が適用されている。
【0198】
また、カメラ部541は、主制御部501の制御により、撮影によって得た画像データを、例えばJPEG(Joint Photographic coding Experts Group)などの圧縮した画像データに変換し、記憶部550に記録したり、外部入出力部560や無線通信部510を通じて出力したりすることができる。図18に示すようにスマートフォン500において、カメラ部541は表示入力部520と対向する背面に搭載されているが、カメラ部541の搭載位置はこれに限らず、表示入力部520と同一の面に搭載されてもよいし、あるいは、複数のカメラ部541が搭載されてもよい。なお、複数のカメラ部541が搭載されている場合には、撮影に供するカメラ部541を切り替えて単独にて撮影したり、あるいは、複数のカメラ部541を同時に使用して撮影したりすることもできる。
【0199】
また、カメラ部541はスマートフォン500の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル521にカメラ部541で取得した画像を表示することや、操作パネル522の操作入力のひとつとして、カメラ部541の画像を利用することができる。また、GPS受信部570が位置を検出する際に、カメラ部541からの画像を参照して位置を検出することもできる。更には、カメラ部541からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、あるいは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン500のカメラ部541の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部541からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
【0200】
[その他]
本実施形態のOIS機構は、ベース部材側(固定側)にOIS駆動用コイルが配設され、手振れ補正可動部側(可動側)にOIS駆動用マグネットが配設されているが、これとは逆に、ベース部材側にOIS駆動用マグネットを配設し、手振れ補正可動部側にOIS駆動用コイルを配設してもよい。また、レンズ群12は、5枚のレンズから構成されたものに限らず、種々のレンズが適用できる。
【0201】
本実施形態の弾性支持部は、板バネとサスペンションワイヤとにより構成されているが、手振れ補正可動部(レンズ群)をレンズ群の光軸に対して垂直方向に移動自在でかつ光軸に対して垂直な軸の周りに傾き可能に支持する各種の弾性支持部を有する撮像モジュールの製造方法及び装置にも本発明を適用することができる。
【0202】
上記各実施形態では、本発明の磁界印加部として電磁石を例に挙げて説明を行ったが、磁界の印加を可能な各種の磁界印加部を用いてよい。また、上記各実施形態では、レンズユニット10(手振れ補正可動部30)に対して電磁石210から印加される磁界の強度をガウスメータにより測定しているが、ガウスメータ以外の磁界強度測定部を用いて磁界の強度を測定してもよい。
【0203】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0204】
10…レンズユニット,18…接着剤,20…撮像素子ユニット,27…撮像素子,30…手振れ補正可動部,40…弾性支持部,50…OIS機構,71…測定チャート設置部,77…レンズユニット保持部,79…撮像素子ユニット保持部,81…接着剤供給部,83…紫外線ランプ,85…制御部,87…軸,89…測定チャート,89A…測定チャート,100…撮像モジュール,149…合焦座標値取得回路,151…結像面算出回路,153…調整値算出回路,153A…調整値算出回路,156…MTF値算出回路,200…撮像モジュール製造装置,200A…撮像モジュール製造装置,210…電磁石,215…ガウスメータ,216…ガウスメータシフト機構,300…磁界発生部,301…電子機器,500…スマートフォン
図1
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