(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抽出された前記色データ及び前記視差データに基づいて、前記色データ及び前記視差データを有さない画素に前記色データ及び前記視差データを補完する画像補完部を更に備える請求項1から13のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
撮像装置の一形態である本実施形態に係るデジタルカメラは、複数の視点数の画像を一度の撮影により生成し、RAW画像データセットとして保存する。互いに視点の異なるそれぞれの画像を視差画像と呼ぶ。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ10の構成を説明する図である。デジタルカメラ10は、一の光学系の一例である撮影光学系としての撮影レンズ20を備え、光軸21に沿って入射する入射光の一例である被写体光束を第1撮像素子100または第2撮像素子300へ導く。撮影レンズ20は、デジタルカメラ10に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。デジタルカメラ10は、分光部50、第1撮像素子100、制御部201、A/D変換回路202、メモリ203、駆動部204、画像処理部205、メモリカードIF207、操作部208、表示部209、LCD駆動回路210、AFセンサ211、保存制御部238、第2撮像素子300およびA/D変換回路302、メモリ303、駆動部304を備える。
【0010】
なお、図示するように、第1撮像素子100へ向かう光軸21に平行な方向をz軸プラス方向と定め、z軸と直交する平面において紙面手前へ向かう方向をx軸プラス方向、紙面上方向をy軸プラス方向、と定める。撮影における構図との関係はx軸が水平方向、y軸が垂直方向となる。以降のいくつかの図においては、
図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
【0011】
撮影レンズ20は、複数の光学レンズ群から構成され、被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。なお、
図1では撮影レンズ20を説明の都合上、瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで代表して表している。分光部50は、撮影レンズ20からの被写体光束を、第1分光DL1と、第2分光DL2とに分光する。第1分光DL1は、分光された後、第1撮像素子100へと進行する。第2分光DL2は、分光された後、第2撮像素子300へと進行する。これにより、複雑な光学系を設けることなく、撮影レンズ20によって視差画像を撮像することができる。例えば、分光部50は、設定された光量に基づいて光束を分光するペリクルミラー等のハーフミラー、波長帯域に基づいて光束を分光するダイクロイックミラー等の分光ミラー及びダイクロイックプリズムによって構成することができる。分光部50がハーフミラーによって構成された場合、分光部50は、被写体光束の一部を第1分光DL1として透過して、残りを第2分光DL2として反射する。これにより、分光部50は、予め定められた光量の比で被写体光束を分光する。予め定められた光量の比の一例は、1:1である。また、予め定められた光量の比の他の例は、第1撮像素子100及び第2撮像素子300のバリエーションによりホワイトバランスの適用範囲を広げる設定に対応できる任意の比率である。分光部50がダイクロイックミラーまたはダイクロイックプリズムによって構成された場合、分光部50は、被写体光束のうち、第1波長帯域の光を第1分光DL1として透過して、第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を第2分光DL2として反射する。第1波長帯域の一例は、400nmから800nmの可視光領域である。第2波長帯域の一例は、800nmから1mmの赤外光である。
【0012】
第1撮像素子100は、撮影レンズ20の焦点面近傍に配置されている。第1撮像素子100は、第1分光DL1を受光して、第1電気信号の一例である第1画像信号に光電変換する複数の光電変換素子が二次元的に配列された光電変換素子群を有する。第1撮像素子100は、例えばCCD、CMOSセンサ等のイメージセンサである。第1撮像素子100では、少なくともいずれかの光電変換素子に対してカラーフィルタが設けられている。第2撮像素子300は、第2分光DL2を受光して、第2電気信号の一例である第2画像信号に光電変換する複数の光電変換素子が二次元的に配列された光電変換素子群を有する。第2撮像素子300では、例えばCCD、CMOSセンサ等のイメージセンサである。第2撮像素子300では、少なくともいずれかの光電変換素子に対して断面領域内の特定の部分領域からの被写体光束を通過させる位置に配置された開口マスクが設けられている。第1撮像素子100と第2撮像素子300は、配列における対応する位置において、カラーフィルタの波長特性と開口マスクの位置とのうち少なくとも一方が互いに異なっている。第1撮像素子100は、駆動部204によりタイミング制御されて、受光面上に結像された被写体像を画像信号に変換してA/D変換回路202へ出力する。
【0013】
A/D変換回路202は、第1撮像素子100が出力する画像信号をデジタル信号に変換してRAW元画像データとしてメモリ203へ出力する。画像処理部205は、メモリ203をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。画像処理部205は、画像抽出部231、画像補完部232及び画像合成部233を有する。画像抽出部231は、メモリ203に記憶された第1撮像素子100の光電変換素子群の電気信号及びメモリ303に記憶された第2撮像素子300の光電変換素子群の電気信号から複数の画素の色データ及び複数の画素の視差データを抽出する。画像補完部232は、抽出された色データ及び視差データに基づいて、色データ及び視差データを有さない画素に色データ及び視差データを補完する。画像合成部233は、補完された画素の色データ及び対応する画素の視差データを合成して、メモリカード220に記憶させる。それぞれの処理の詳細については、後述する。A/D変換回路302、メモリ303、駆動部304は、それぞれA/D変換回路202、メモリ203、駆動部204と同様の構成である。
【0014】
画像処理部205は、他にも選択された画像フォーマットに従って画像データを調整するなどの画像処理一般の機能も担う。生成された画像データは、LCD駆動回路210により表示信号に変換され、表示部209に表示される。また、上記種々の画像データは保存制御部238によりメモリカードIF207に装着されているメモリカード220に記録される。
【0015】
AFセンサ211は、被写体空間に対して複数の測距点が設定された位相差センサであり、それぞれの測距点において被写体像のデフォーカス量を検出する。一連の撮影シーケンスは、操作部208がユーザの操作を受け付けて、制御部201へ操作信号を出力することにより開始される。撮影シーケンスに付随するAF,AE等の各種動作は、制御部201に制御されて実行される。例えば、制御部201は、AFセンサ211の検出信号を解析して、撮影レンズ20の一部を構成するフォーカスレンズを移動させる合焦制御を実行する。尚、後述する視差画素が、AFセンサ211の機能を兼用するように構成してもよい。この場合、AFセンサ211は、省略できる。
【0016】
次に、第1撮像素子100の構成について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る撮像素子の断面を表す概略図である。
図2(a)は、カラーフィルタ102と開口マスク103が別体で構成される第1撮像素子100の断面概略図である。また、
図2(b)は、第1撮像素子100の変形例として、カラーフィルタ部122と開口マスク部123が一体的に構成されたスクリーンフィルタ121を備える撮像素子120の断面概略図である。
【0017】
図2(a)に示すように、第1撮像素子100は、被写体側から順に、マイクロレンズ101、カラーフィルタ102、開口マスク103、配線層105および光電変換素子108が配列されて構成されている。光電変換素子108は、入射する光を電気信号に変換するフォトダイオードにより構成される。光電変換素子108は、基板109の表面に二次元的に複数配列されている。
【0018】
光電変換素子108により変換された画像信号、光電変換素子108を制御する制御信号等は、配線層105に設けられた配線106を介して送受信される。また、各光電変換素子108に一対一に対応して設けられた開口部104を有する開口マスク103が、配線層に接して設けられている。開口部104は、後述するように、対応する光電変換素子108ごとにシフトさせて、相対的な位置が厳密に定められている。詳しくは後述するが、この開口部104を備える開口マスク103の作用により、光電変換素子108が受光する被写体光束に視差が生じる。
【0019】
一方、視差を生じさせない光電変換素子108上には、開口マスク103が存在しない。別言すれば、対応する光電変換素子108に対して入射する被写体光束を制限しない、つまり有効光束の全体を通過させる開口部104を有する開口マスク103が設けられているとも言える。視差を生じさせることはないが、実質的には配線106によって形成される開口部107が入射する被写体光束を規定するので、配線106を、視差を生じさせない有効光束の全体を通過させる開口マスクと捉えることもできる。尚、開口部107は、配線層105の上層の配線106に形成してもよい。開口マスク103は、各光電変換素子108に対応して別個独立に配列しても良いし、カラーフィルタ102の製造プロセスと同様に複数の光電変換素子108に対して一括して形成しても良い。
【0020】
カラーフィルタ102は、開口マスク103上に設けられている。カラーフィルタ102は、各光電変換素子108に対して特定の波長帯域を透過させるように着色された、光電変換素子108のそれぞれに一対一に対応して設けられるフィルタである。カラー画像を出力するには、互いに異なる少なくとも3種類のカラーフィルタが配列されれば良い。これらのカラーフィルタは、カラー画像を生成するための原色フィルタと言える。原色フィルタの組み合わせは、例えば赤色波長帯を透過させる赤フィルタ、緑色波長帯を透過させる緑フィルタ、および青色波長帯を透過させる青フィルタである。これらのカラーフィルタは、後述するように、光電変換素子108に対応して格子状に配列される。カラーフィルタは原色RGBの組合せのみならず、YCMgの補色フィルタの組合せであっても良い。
【0021】
マイクロレンズ101は、カラーフィルタ102上に設けられている。マイクロレンズ101は、入射する被写体光束のより多くを光電変換素子108へ導くための集光レンズである。マイクロレンズ101は、光電変換素子108のそれぞれに一対一に対応して設けられている。マイクロレンズ101は、撮影レンズ20の瞳中心と光電変換素子108の相対的な位置関係を考慮して、より多くの被写体光束が光電変換素子108に導かれるようにその光軸がシフトされていることが好ましい。さらには、開口マスク103の開口部104の位置と共に、後述の特定の被写体光束がより多く入射するように配置位置が調整されても良い。
【0022】
このように、各々の光電変換素子108に対応して一対一に設けられる開口マスク103、カラーフィルタ102およびマイクロレンズ101の一単位を画素と呼ぶ。画素は、連続的、かつ、周期的に配列されている。特に、視差を生じさせる開口マスク103が設けられた画素を視差画素、視差を生じさせる開口マスク103が設けられていない画素を視差なし画素と呼ぶ。例えば、第1撮像素子100の有効画素領域が24mm×16mm程度の場合、画素数は1200万程度に及ぶ。
【0023】
なお、集光効率、光電変換効率が良いイメージセンサの場合は、マイクロレンズ101を設けなくても良い。また、裏面照射型イメージセンサの場合は、配線層105が光電変換素子108とは反対側に設けられる。
【0024】
カラーフィルタ102と開口マスク103の組み合わせには、さまざまなバリエーションが存在する。
図2(a)において、開口マスク103の開口部104に色成分を持たせれば、カラーフィルタ102と開口マスク103を一体的に形成することができる。また、特定の画素を被写体の輝度情報を取得する画素とする場合、その画素には、対応するカラーフィルタ102を設けなくても良い。あるいは、可視光のおよそ全ての波長帯域を透過させるように、着色を施さない透明フィルタを配列しても良い。
【0025】
輝度情報を取得する画素を視差画素とする場合、つまり、視差画像を少なくとも一旦はモノクロ画像として出力するのであれば、
図2(b)として示す撮像素子120の構成を採用し得る。すなわち、カラーフィルタとして機能するカラーフィルタ部122と、開口部104を有する開口マスク部123とが一体的に構成されたスクリーンフィルタ121を、マイクロレンズ101と配線層105の間に配設することができる。
【0026】
スクリーンフィルタ121は、カラーフィルタ部122において例えば青緑赤の着色が施され、開口マスク部123において開口部104以外のマスク部分が黒の着色が施されて形成される。スクリーンフィルタ121を採用する撮像素子120は、第1撮像素子100に比較して、マイクロレンズ101から光電変換素子108までの距離が短いので、被写体光束の集光効率が高い。
【0027】
次に、開口マスク103の開口部104と、生じる視差の関係について説明する。
図3は、第1撮像素子100の一部を拡大した様子を表す概略図である。ここでは、説明を簡単にすべく、カラーフィルタ102の配色については後に言及を再開するまで考慮しない。カラーフィルタ102の配色に言及しない以下の説明においては、同色(透明である場合を含む)のカラーフィルタ102を有する視差画素のみを寄せ集めたイメージセンサであると捉えることができる。したがって、以下に説明する繰り返しパターンは、同色のカラーフィルタ102における隣接画素として考えても良い。
【0028】
図3に示すように、開口マスク103の開口部104は、それぞれの画素に対して相対的にシフトして設けられている。そして、隣接する画素同士においても、それぞれの開口部104は互いに変位した位置に設けられている。
【0029】
図の例においては、それぞれの画素に対する開口部104の位置として、互いに左右方向にシフトした6種類の開口マスク103が用意されている。そして、第1撮像素子100の全体は、紙面左側から右側へ徐々にシフトする開口マスク103をそれぞれ有する6つの視差画素を一組とする光電変換素子群が、二次元的かつ周期的に配列されている。つまり、第1撮像素子100は、一組の光電変換素子群を含む繰り返しパターン110が、周期的に敷き詰められて構成されていると言える。
【0030】
図4は、視差画素と被写体の関係を説明する概念図である。特に
図4(a)は第1撮像素子100のうち撮影光軸21と直交する中心に配列されている繰り返しパターン110tの光電変換素子群を示し、
図4(b)は周辺部分に配列されている繰り返しパターン110uの光電変換素子群を模式的に示している。
図4(a)、(b)における被写体30は、撮影レンズ20に対して合焦位置に存在する。
図4(c)は、
図4(a)に対応して、撮影レンズ20に対して非合焦位置に存在する被写体31を捉えた場合の関係を模式的に示している。
【0031】
まず、撮影レンズ20が合焦状態に存在する被写体30を捉えている場合の、視差画素と被写体の関係を説明する。被写体光束は、撮影レンズ20の瞳を通過して第1撮像素子100へ導かれるが、被写体光束が通過する全体の断面領域に対して、6つの部分領域Pa〜Pfが規定されている。そして、例えば繰り返しパターン110t、110uを構成する光電変換素子群の紙面左端の画素は、拡大図からもわかるように、部分領域Pfから射出された被写体光束のみが光電変換素子108へ到達するように、開口マスク103の開口部104fの位置が定められている。同様に、紙面右端の画素に向かって、部分領域Peに対応して開口部104eの位置が、部分領域Pdに対応して開口部104dの位置が、部分領域Pcに対応して開口部104cの位置が、部分領域Pbに対応して開口部104bの位置が、部分領域Paに対応して開口部104aの位置がそれぞれ定められている。
【0032】
別言すれば、例えば部分領域Pfと紙面左端画素の相対的な位置関係によって定義される、部分領域Pfから射出される被写体光束の主光線Rfの傾きにより、開口部104fの位置が定められていると言っても良い。そして、合焦位置に存在する被写体30からの被写体光束を、開口部104fを介して光電変換素子108が受光する場合、その被写体光束は、点線で図示するように、光電変換素子108上で結像する。同様に、紙面右端の画素に向かって、主光線Reの傾きにより開口部104eの位置が、主光線Rdの傾きにより開口部104dの位置が、主光線Rcの傾きにより開口部104cの位置が、主光線Rbの傾きにより開口部104bの位置が、主光線Raの傾きにより開口部104aの位置がそれぞれ定められていると言える。
【0033】
図4(a)で示すように、合焦位置に存在する被写体30のうち、光軸21と交差する被写体30上の微小領域Otから放射される光束は、撮影レンズ20の瞳を通過して、繰り返しパターン110tを構成する光電変換素子群の各画素に到達する。すなわち、繰り返しパターン110tを構成する光電変換素子群の各画素は、それぞれ6つの部分領域Pa〜Pfを介して、一つの微小領域Otから放射される光束を受光している。微小領域Otは、繰り返しパターン110tを構成する光電変換素子群の各画素の位置ずれに対応する分だけの広がりを有するが、実質的には、ほぼ同一の物点と近似することができる。同様に、
図4(b)で示すように、合焦位置に存在する被写体30のうち、光軸21から離間した被写体30上の微小領域Ouから放射される光束は、撮影レンズ20の瞳を通過して、繰り返しパターン110uを構成する光電変換素子群の各画素に到達する。すなわち、繰り返しパターン110uを構成する光電変換素子群の各画素は、それぞれ6つの部分領域Pa〜Pfを介して、一つの微小領域Ouから放射される光束を受光している。微小領域Ouも、微小領域Otと同様に、繰り返しパターン110uを構成する光電変換素子群の各画素の位置ずれに対応する分だけの広がりを有するが、実質的には、ほぼ同一の物点と近似することができる。
【0034】
つまり、被写体30が合焦位置に存在する限りは、第1撮像素子100上における繰り返しパターン110の位置に応じて、光電変換素子群が捉える微小領域が異なり、かつ、光電変換素子群を構成する各画素は互いに異なる部分領域を介して同一の微小領域を捉えている。そして、それぞれの繰り返しパターン110において、対応する画素同士は同じ部分領域からの被写体光束を受光している。つまり、図においては、例えば繰り返しパターン110t、110uのそれぞれの紙面左端の画素は、同じ部分領域Pfからの被写体光束を受光している。
【0035】
撮影光軸21と直交する中心に配列されている繰り返しパターン110tにおいて紙面左端画素が部分領域Pfからの被写体光束を受光する開口部104fの位置と、周辺部分に配列されている繰り返しパターン110uにおいて紙面左端画素が部分領域Pfからの被写体光束を受光する開口部104fの位置は厳密には異なる。しかしながら、機能的な観点からは、部分領域Pfからの被写体光束を受光するための開口マスクという点で、これらを同一種類の開口マスクとして扱うことができる。したがって、
図4の例では、第1撮像素子100上に配列される視差画素のそれぞれは、6種類の開口マスクの一つを備えると言える。
【0036】
次に、撮影レンズ20が非合焦状態に存在する被写体31を捉えている場合の、視差画素と被写体の関係を説明する。この場合も、非合焦位置に存在する被写体31からの被写体光束は、撮影レンズ20の瞳の6つの部分領域Pa〜Pfを通過して、第1撮像素子100へ到達する。ただし、非合焦位置に存在する被写体31からの被写体光束は、光電変換素子108上ではなく他の位置で結像する。例えば、
図4(c)に示すように、被写体31が被写体30よりも第1撮像素子100に対して遠い位置に存在すると、被写体光束は、光電変換素子108よりも被写体31側で結像する。逆に、被写体31が被写体30よりも第1撮像素子100に対して近い位置に存在すると、被写体光束は、光電変換素子108よりも被写体31とは反対側で結像する。
【0037】
したがって、非合焦位置に存在する被写体31のうち、微小領域Ot'から放射される被写体光束は、6つの部分領域Pa〜Pfのいずれを通過するかにより、異なる組の繰り返しパターン110における対応画素に到達する。例えば、部分領域Pdを通過した被写体光束は、
図4(c)の拡大図に示すように、主光線Rd'として、繰り返しパターン110t'に含まれる、開口部104dを有する光電変換素子108へ入射する。そして、微小領域Ot'から放射された被写体光束であっても、他の部分領域を通過した被写体光束は、繰り返しパターン110t'に含まれる光電変換素子108へは入射せず、他の繰り返しパターンにおける対応する開口部を有する光電変換素子108へ入射する。換言すると、繰り返しパターン110t'を構成する各光電変換素子108へ到達する被写体光束は、被写体31の互いに異なる微小領域から放射された被写体光束である。すなわち、開口部104dに対応する108へは主光線をRd'とする被写体光束が入射し、他の開口部に対応する光電変換素子108へは主光線をRa+、Rb+、Rc+、Re+、Rf+とする被写体光束が入射するが、これらの被写体光束は、被写体31の互いに異なる微小領域から放射された被写体光束である。このような関係は、
図4(b)における周辺部分に配列されている繰り返しパターン110uにおいても同様である。
【0038】
すると、第1撮像素子100の全体で見た場合、例えば、開口部104aに対応する光電変換素子108で捉えた被写体像Aと、開口部104dに対応する光電変換素子108で捉えた被写体像Dは、合焦位置に存在する被写体に対する像であれば互いにずれが無く、非合焦位置に存在する被写体に対する像であればずれが生じることになる。そして、そのずれは、非合焦位置に存在する被写体が合焦位置に対してどちら側にどれだけずれているかにより、また、部分領域Paと部分領域Pdの距離により、方向と量が定まる。つまり、被写体像Aと被写体像Dは、互いに視差像となる。この関係は、他の開口部に対しても同様であるので、開口部104aから104fに対応して、6つの視差像が形成されることになる。
【0039】
したがって、このように構成されたそれぞれの繰り返しパターン110において、互いに対応する画素の出力を寄せ集めると、視差画像が得られる。つまり、6つの部分領域Pa〜Pfうちの特定の部分領域から射出された被写体光束を受光した画素の出力は、視差画像を形成する。
【0040】
図5は、視差画像を生成する処理を説明する概念図である。図は、左列から順に、開口部104fに対応する視差画素の出力を集めて生成される視差画像データIm_fの生成の様子、開口部104eの出力による視差画像データIm_eの生成の様子、開口部104dの出力による視差画像データIm_dの生成の様子、開口部104cの出力による視差画像データIm_cの生成の様子、開口部104bの出力による視差画像データIm_bの生成の様子、開口部104aの出力による視差画像データIm_aの生成の様子を表す。まず開口部104fの出力による視差画像データIm_fの生成の様子について説明する。
【0041】
6つの視差画素を一組とする光電変換素子群から成る繰り返しパターン110は、x軸方向に平行な紙面横一列に配列されている。したがって、開口部104fを有する視差画素は、第1撮像素子100上において、x軸方向に6画素おき、かつ、y軸方向に連続して存在する。これら各画素は、上述のようにそれぞれ異なる微小領域からの被写体光束を受光している。したがって、これらの視差画素の出力を寄せ集めて配列すると、x軸方向、つまり水平視差画像が得られる。
【0042】
しかし、本実施形態における第1撮像素子100の各画素は正方画素であるので、単に寄せ集めただけでは、x軸方向の画素数が1/6に間引かれた結果となり、y軸方向に縦長の画像データが生成されてしまう。そこで、補間処理を施してx軸方向に6倍の画素数とすることにより、本来のアスペクト比の画像として視差画像データIm_fを生成する。ただし、そもそも補間処理前の視差画像データがx軸方向に1/6に間引かれた画像であるので、x軸方向の水平解像度は、y軸方向の垂直解像度よりも低下している。つまり、生成される視差画像データの数と、解像度は相反関係にあると言える。
【0043】
同様にして、視差画像データIm_e〜視差画像データIm_aが得られる。すなわち、デジタルカメラ10は、x軸方向に視差を有する6視点の水平視差画像を生成することができる。
【0044】
上記の例では、x軸方向に平行な横一列を繰り返しパターン110として周期的に配列される例を説明したが、繰り返しパターン110はこれに限らない。
図6は、繰り返しパターン110の他の例を示す図である。
【0045】
図6(a)は、y軸方向6画素を繰り返しパターン110とした例である。ただし、それぞれの開口部104は、紙面上端の視差画素から下に向かって、紙面左側から右側へ徐々にシフトするように位置が定められている。このように配列された繰り返しパターン110によっても、x軸方向に視差を与える6視点の水平視差画像を生成することができる。この場合は、
図3の繰り返しパターン110に比較すると、y軸方向の垂直解像度を犠牲にする代わりにx軸方向の水平解像度を維持する繰り返しパターンであると言える。
【0046】
図6(b)は、紙面斜め方向に隣接する6画素を繰り返しパターン110とした例である。それぞれの開口部104は、紙面左上端の視差画素から右下に向かって、紙面左側から右側へ徐々にシフトするように位置が定められている。このように配列された繰り返しパターン110によっても、x軸方向に視差を与える6視点の水平視差画像を生成することができる。この場合は、
図3の繰り返しパターン110に比較すると、y軸方向の垂直解像度およびx軸方向の水平解像度をある程度維持しつつ、水平視差画像の数を増やす繰り返しパターンであると言える。
【0047】
図3の繰り返しパターン110、および
図6(a)、
図6(b)の繰り返しパターン110をそれぞれ比較すると、いずれも6視点の視差画像を生成する場合において、視差画像でない全体から一枚の画像を出力する場合の解像度に対し、y軸方向、x軸方向のいずれの方向の解像度を犠牲にするかの違いであると言える。
図3の繰り返しパターン110の場合は、x軸方向の水平解像度を1/6とする構成である。
図6(a)の繰り返しパターン110の場合は、y軸方向の垂直解像度を1/6とする構成である。また、
図6(b)の繰り返しパターン110の場合は、y軸方向を1/3、x軸方向を1/2とする構成である。いずれの場合も、一つのパターン内には、各画素に対応して開口部104a〜104fが一つずつ設けられており、それぞれが対応する部分領域Pa〜Pfのいずれかから被写体光束を受光するように構成されている。したがって、いずれの繰り返しパターン110であっても視差量は同等である。
【0048】
上述の例では、水平方向に視差を与える水平視差画像を生成する場合について説明したが、もちろん垂直方向に視差を与える垂直視差画像を生成することもできるし、水平垂直の二次元方向に視差を与える水平垂直視差画像を生成することもできる。
図7は、二次元的な繰り返しパターン110の例を示す図である。
【0049】
図7の例によれば、y軸6画素、x軸6画素の36画素を一組の光電変換素子群として繰り返しパターン110を形成する。それぞれの画素に対する開口部104の位置として、互いにy軸x軸方向にシフトした36種類の開口マスク103が用意されている。具体的には、各開口部104は、繰り返しパターン110の紙面上端画素から下端画素に向かって、紙面上側から下側へ徐々にシフトすると同時に、紙面左端画素から右端画素に向かって、紙面左側から右側へ徐々にシフトするように位置決めされている。
【0050】
このような繰り返しパターン110を有する第1撮像素子100は、上下方向および左右方向に視差を与える、36視点の視差画像を出力することができる。もちろん
図7の例に限らず、さまざまな視点数の視差画像を出力するように繰り返しパターン110を定めることができる。
【0051】
以上の説明においては、開口部104の形状として矩形を採用した。特に、水平方向に視差を与える配列においては、シフトさせる方向であるx軸方向の幅よりも、シフトさせないy軸方向の幅を広くすることにより、光電変換素子108へ導く光量を確保している。しかし、開口部104の形状は矩形に限定されない。
【0052】
図8は、開口部104の他の形状を説明する図である。図においては、開口部104の形状を円形とした。円形とした場合、半球形状であるマイクロレンズ101との相対的な関係から、予定外の被写体光束が迷光となって光電変換素子108へ入射することを防ぐことができる。
【0053】
次に、カラーフィルタ102と視差画像について説明する。
図9は、ベイヤー配列を説明する図である。図示するように、ベイヤー配列は、緑フィルタが紙面左上と右下の2画素に、赤フィルタが紙面左下の1画素に、青フィルタが紙面右上の1画素に割り当てられる配列である。ここでは、緑フィルタが割り当てられた紙面左上の画素をGb画素と、同じく緑色フィルタが割り当てられた紙面右下の画素をGr画素とする。また、赤色フィルタが割り当てられた画素をR画素と、青色が割り当てられた画素をB画素とする。そして、Gb画素およびB画素が並ぶ紙面横方向をGb行とし、R画素およびGr画素が並ぶ紙面横方向をGr行とする。また、Gb画素およびR画素が並ぶ紙面縦方向をGb列とし、B画素およびGr画素が並ぶ紙面縦方向をGr列とする。
【0054】
このようなカラーフィルタ102の配列に対して、視差画素と視差なし画素を、何色の画素にどのような周期で割り振っていくかにより、膨大な数の繰り返しパターン110が設定され得る。視差なし画素の出力を集めれば、通常の撮影画像と同じく視差のない撮影画像データを生成することができる。したがって、相対的に視差なし画素の割合を増やせば、解像度の高い2D画像を出力させることができる。この場合、視差画素は相対的に少ない割合となるので、複数の視差画像からなる3D画像としては立体情報が減少する。逆に、視差画素の割合を増やせば、3D画像としては立体情報が増加するが、視差なし画素は相対的に減少するので、解像度の低い2D画像が出力される。
【0055】
このようなトレードオフの関係において、何れの画素を視差画素とするか、あるいは視差なし画素とするかにより、様々な特徴を有する繰り返しパターン110が設定される。
【0056】
図10は、第1撮像素子100及び第2撮像素子300を有する視差画像の撮像処理について説明する図である。
図10に示す例においては、分光部50は、ハーフミラーによって構成される。
図10に示すように、第1撮像素子100では、紙面左上のGb画素と右下のGr画素とが、視差Lt画素に構成されているとともに、紙面左下のR画素と右上のB画素とが視差なし画素として構成されている。第1撮像素子100は、第2撮像素子300を法線の周りに180°回転させた構成と同じである。具体的には、第2撮像素子300は、紙面左上のGr画素と右下のGb画素とが視差Rt画素に構成されているとともに、右上のR画素と左下のB画素とが視差なし画素として構成されている。これにより、同じ撮像素子を第1撮像素子100及び第2撮像素子300として適用することができるので、製造工程及び製造設備を簡略化することができる。尚、
図10に示す第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、配列における対応する位置において、カラーフィルタ102の波長特性及び開口マスク103の開口部104の位置が互いに異なる例である。第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、開口マスク及びカラーフィルタが設けられている。
【0057】
この第1撮像素子100と第2撮像素子300とを有するデジタルカメラ10による視差画像の撮像処理について説明する。まず、第1撮像素子100が、分光部50によって分光された第1分光DL1によって、被写体を撮像して電気信号を出力するとともに、第2撮像素子300が、分光部50によって分光された第2分光DL2によって、被写体を撮像して電気信号を出力する。これらの電気信号は、それぞれがA/D変換回路202、302によって画像データにデジタル変換されてメモリ203、303に保存される。画像処理部205の画像抽出部231は、それぞれのデジタル化された画像データを取得する。
【0058】
画像処理部205の画像抽出部231は、抽出処理を実行する。抽出処理では、画像抽出部231は、第1撮像素子100のR画素から出力された画像データRN1と、Gb画素及びGr画素から出力された画像データGLt1と、B画素から出力された画像データBN1と、Gb画素及びGr画素から出力された画像データGLt2とを、メモリ203に保存された第1撮像素子100の画像データから分離して抽出する。画像データRN1、画像データGLt1、及び、画像データBN1は色データである。画像データGLt2は、視差データである。また、画像抽出部231は、第2撮像素子300のR画素から出力された画像データRN2と、Gb画素及びGr画素から出力された画像データGRt1と、B画素から出力された画像データBN2と、Gb画素及びGr画素から出力された画像データGRt2とを、メモリ303に保存された第2撮像素子300の画像データから分離して抽出する。画像データRN2、画像データGRt1、及び、画像データBN2は色データである。画像データGRt2は、視差データである。尚、各画像データは、色データ及び視差データの画素値のない画素である空格子を含む。
【0059】
次に、画像処理部205の画像補完部232は、補完処理を実行する。補完処理では、画像補完部232は、第1撮像素子100のRN1画像データRN1と、第2撮像素子300の画像データRN2とを合成してR画像のR色データを含むR合成データを作成する。更に、画像補完部232は、R画像のR合成データにおいて、空格子が隣接する複数の画素のR色データに基づいて、当該空格子のR色データの画素値を生成する。画像補完部232は、それぞれの空格子のR色データを生成して補完することにより、全ての画素がR色データを有するプレーン画像データRNを生成する。同様に、画像補完部232は、画像データGLt1及び画像データGRt1から、全ての画素がG色データを有するプレーン画像データGNを生成する。画像補完部232は、画像データBN1及び画像データBN2から、全ての画素がB色データを有するプレーン画像データBNを生成する。
【0060】
また、補完処理において、画像補完部232は、第1撮像素子100の画像データGLt2の空格子を補完することにより、全ての画素がLt視差データを有するプレーン画像データLtを生成する。同様に、画像補完部232は、第2撮像素子300の画像データGRt2の空格子を補完することにより、Rt視差データを有するプレーン画像データRtを生成する。
【0061】
次に、画像処理部205の画像合成部233は、合成処理を実行する。合成処理では、画像合成部233は、プレーン画像データRNと、プレーン画像データLtとを合成して、全ての画素がR色データ及びL視差データを有する画像データRLtを生成する。同様に、画像合成部233は、プレーン画像データRNと、プレーン画像データRtとを合成して、全ての画素がR色データ及びR視差データを有する画像データRRtを生成する。画像合成部233は、プレーン画像データGNと、プレーン画像データLtまたはプレーン画像データRtから、全ての画素がG色データと、L視差データまたはR視差データとを有する画像データGt及び画像データGRtを生成する。画像合成部233は、プレーン画像データBNと、プレーン画像データLtまたはプレーン画像データRtから、全ての画素がB色データと、L視差データまたはR視差データとを有する画像データBLt及び画像データBRtを生成する。これにより、画像合成部233は、全ての画素がRGB色データ及びRL視差データを有する画像データを生成する。
【0062】
図11は、別の第1撮像素子100及び第2撮像素子300を有する視差画像の撮像処理について説明する図である。
図11に示す例においては、分光部50は、ダイクロイックミラー等の分光ミラー及びダイクロイックプリズムによって構成される。
図11に示すように、第1撮像素子100では、紙面左上のGb画素、左下のR画素、右上のB画素、及び、右下のGr画素の全てが視差なし画素に構成されている。第2撮像素子300では、全ての画素が赤外線を受光可能なIR画素に構成されている。第2撮像素子300では、紙面左上のIR画素及び右下のIR画素が視差Lt画素に構成されるとともに、紙面左下のIR画素及び右上のIR画素が視差Rt画素に構成されている。分光部50は、被写体光束に含まれる可視光を第1撮像素子100に進行する第1分光DL1として、赤外光を第2撮像素子300に進行する第2分光DL2として分光する。これにより、第2撮像素子300が、第1撮像素子100が不要としている赤外光を受光して視差データを生成できるので、第1撮像素子100が受光する可視光の光量の低減を抑制できる。第2撮像素子300が、赤外光を受光して視差データを生成することができるので、被写体光束に含まれる全ての赤外光を第2撮像素子300へ分光できる。この結果、第1撮像素子100が、ノイズとなる赤外光の影響を受けにくくなる。これにより、第1撮像素子100が出力する画像データの質を向上させることができる。第2撮像素子300において、複数種類の開口マスクが周期的に配列されている。
【0063】
このデジタルカメラ10では、第1撮像素子100及び第2撮像素子300が被写体を撮像した後、画像処理部205の画像抽出部231は、抽出処理を実行する。抽出処理では、画像抽出部231は、第1撮像素子100が出力した画像データから、R色データを有する画像データRN1、G色データを有する画像データGN1、及び、B色データを有する画像データBN1を抽出して生成する。画像データRN1、画像データGN1、及び、画像データBN1は、空格子を含む。
【0064】
画像抽出部231は、第2撮像素子300が出力した画像データから、Lt視差データを含む画像データIRLt1、及び、Rt視差データを含む画像データIRRt1を抽出する。画像データIRLt1、及び、画像データIRRt1は、空格子を含む。
【0065】
次に、画像補完部232は、補完処理を実行する。補完処理では、画像補完部232は、画像データRN1、画像データGN1、及び、画像データBN1のそれぞれの空格子の色データを、各空格子と隣接する画素の色データによって補完する。これにより、画像補完部232は、全ての画素がR色データを有するプレーン画像データRN、全ての画素がG色データを有するプレーン画像データGN、全ての画素がB色データを有するプレーン画像データBNを生成する。画像補完部232は、画像データIRLt1、及び、画像データIRRt1のそれぞれの空格子の視差データを、各空格子と隣接する画素の視差データによって補完する。これにより、画像補完部232は、全ての画素がL視差データを有するプレーン画像データIRLt、及び、全ての画素がR視差データを有するプレーン画像データIRRtを生成する。
【0066】
次に、画像合成部233は、合成処理を実行する。合成処理では、画像合成部233は、プレーン画像データRNと、プレーン画像データLtまたはプレーン画像データRtから、全ての画素がR色データと、L視差データまたはR視差データとを有する画像データRLt及び画像データRRtを生成する。画像合成部233は、プレーン画像データGNと、プレーン画像データLtまたはプレーン画像データRtから、全ての画素がG色データと、L視差データまたはR視差データとを有する画像データGt及び画像データGRtを生成する。画像合成部233は、プレーン画像データBNと、プレーン画像データLtまたはプレーン画像データRtから、全ての画素がB色データと、L視差データまたはR視差データとを有する画像データBLt及び画像データBRtを生成する。これにより、画像合成部233は、全ての画素がRGB色データ及びRtLt視差データを有する画像データを生成する。
【0067】
図12は、別の第1撮像素子100及び第2撮像素子300を説明する図である。
図12に示す例においては、分光部50は、ハーフミラーによって構成される。
図12に示す第1撮像素子100と第2撮像素子300は、互いに鏡像の関係にある。
図12に示す第1撮像素子100は、
図10に示す第1撮像素子100と同じ構成である。
図12に示す第2撮像素子300は、紙面右上のGb画素及び左下のGr画素が視差Rt画素に構成されているとともに、紙面左上のB画素及び右下のR画素は視差なし画素に構成されている。
【0068】
図13は、分光部650が被写体光束を3つに分光するデジタルカメラ撮像光学部610の一部構成図である。
図13に示すように、分光部650は、被写体光束を第1分光DL1、第2分光DL2、第3分光DL3に分光する。分光部650の一例は、ダイクロイックプリズムである。分光部650は、第1分光部材652と、第2分光部材654と、第3分光部材656とを有する。第1分光部材652、第2分光部材654、第3分光部材656の各端面に対向するように、第3撮像素子400、第2撮像素子300、第1撮像素子100が配置されている。第3撮像素子400は、上述の第1撮像素子100または第2撮像素子300と同様の構成を有する。尚、第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400の構成は、適宜入れ替えてよい。
【0069】
第1分光部材652の一面は、撮影レンズ20と対向している。第1分光部材652の他面は、第2分光部材654の一面と対向している。第2分光部材654の他の面は、第3分光部材656の一面と対向している。被写体光束は、第1分光部材652に入射した後、第1分光部材652の他面によって例えば緑色の光束の一部が反射され、残りは透過する。反射された被写体光束は、第1分光部材652の一面に反射されて、第3分光DL3として第3撮像素子400へと進行する。第1分光部材652の一面を透過した被写体光束のうち例えば緑色の光束の残りが、第2分光部材654の他面によって反射された後、第2分光部材654の一面に反射される。そして、当該緑色の光束の残りは、第2分光DL2として、第2撮像素子300へと進行する。第1分光部材652の一面を透過した被写体光束の残りの青色及び赤色の光束は、第2分光部材654の他の面を透過して、第1分光DL1として第1撮像素子100に達する。
【0070】
図14は、
図13のデジタルカメラ撮像光学部610における第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400を説明する正面図である。
図14に示すように、第1撮像素子100では、全ての画素がGb画素であって、視差Lt画素に構成されている。第2撮像素子300では、全ての画素がGr画素であって、視差Rt画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左上の画素と右下の画素とがB画素であって、視差なし画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左下の画素と右上の画素とがR画素であって、視差なし画素に構成されている。
【0071】
図15は、
図13のデジタルカメラ撮像光学部610における別の第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400を説明する正面図である。
図15に示すように、第1撮像素子100では、全ての画素がG画素であって、視差なし画素に構成されている。第2撮像素子300では、紙面左上の画素と右下の画素とがB画素であって、視差なし画素に構成されている。第2撮像素子300では、紙面左下の画素と右上の画素とがR画素であって、視差なし画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左上の画素と右下の画素とがIR画素であって、視差Lt画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左下の画素と右上の画素とがIR画素であって、視差Rt画素に構成されている。
図15に示す例では、第1分光DL1及び第2分光DL2が、可視光であって、第3分光DL3が赤外光である。
【0072】
図16は、分光部750が被写体光束を4つに分光するデジタルカメラ撮像光学部710の一部構成図である。
図16に示すように、分光部650は、被写体光束を第1分光DL1、第2分光DL2、第3分光DL3、第4分光DL4に分光する。分光部750の一例は、ダイクロイックプリズムである。分光部750は、第1分光部材752と、第2分光部材754と、第3分光部材756と、第4分光部材758とを有する。第1分光部材752、第2分光部材754、第3分光部材756、及び、第4分光部材758の一例は、プリズムである。第1分光部材752、第2分光部材754、第3分光部材756、及び、第4分光部材758の各端面に対向するように、第4撮像素子500、第3撮像素子400、第2撮像素子300、第1撮像素子100が配置されている。第4撮像素子500は、上述の第1撮像素子100または第2撮像素子300と同様の構成を有する。尚、第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400、第4撮像素子500の構成は、適宜入れ替えてよい。
【0073】
第1分光部材752の一面は、撮影レンズ20と対向している。第1分光部材752の他面は、第2分光部材754の一面と対向している。第2分光部材754の他面は、第3分光部材756の一面と対向している。第3分光部材756の他面は、第4分光部材758の一面と対向している。
【0074】
被写体光束は、第1分光部材752に入射した後、第1分光部材752の他面によって一部が反射され、残りは透過する。反射された被写体光束は、第1分光部材752の一面によって反射されて、第4撮像素子500へと導かれる。透過した被写体光束の一部は、第2分光部材754の他面または第3分光部材756の他面に反射された後、第3撮像素子400または第2撮像素子300へ導かれる。第1分光部材752、第2分光部材754及び第3分光部材756を透過した被写体光束は、第1撮像素子100へと導かれる。
【0075】
図17は、
図16のデジタルカメラ撮像光学部710における第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400、第4撮像素子500を説明する正面図である。
図17に示すように、第1撮像素子100では、全ての画素がG画素であって、視差なし画素に構成されている。第2撮像素子300では、全ての画素がR画素であって、視差なし画素に構成されている。第3撮像素子400では、全ての画素がB画素であって、視差なし画素に構成されている。第4撮像素子500では、紙面左上の画素と右下の画素とがIR画素であって、視差Lt画素に構成されている。第4撮像素子500では、紙面左下の画素と右上の画素とがIR画素であって、視差Rt画素に構成されている。
図17に示す例では、第1分光DL1、第2分光DL2及び第3分光DL3が、可視光であって、第4分光DL4が赤外光である。
【0076】
図18は、
図16のデジタルカメラ撮像光学部710における別の第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400、第4撮像素子500を説明する正面図である。
図18に示すように、第1撮像素子100では、全ての画素がG画素であって、視差Lt画素に構成されている。第2撮像素子300では、全ての画素がG画素であって、視差Rt画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左上の画素と右下の画素とがB画素であって、視差なし画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左下の画素と右上の画素とがR画素であって、視差なし画素に構成されている。第4撮像素子500は、
図17の第4撮像素子500と同じ構成である。尚、
図18に示す第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、配列における対応する位置において、カラーフィルタ102の波長特性が同じであって、開口マスク103の開口部104の位置が互いに異なる例である。また、
図18に示す例では、第1分光DL1、第2分光DL2及び第3分光DL3が、可視光であって、第4分光DL4が赤外光である。
【0077】
図19は、
図16のデジタルカメラ撮像光学部710における別の第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400、第4撮像素子500を説明する正面図である。
図19に示す第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、
図18の第1撮像素子100及び第2撮像素子300と同じ構成である。第3撮像素子400では、紙面左上の画素と右下の画素とがR画素であって、視差Lt画素に構成されている。第3撮像素子400では、紙面左下の画素と右上の画素とがR画素であって、視差Rt画素に構成されている。第4撮像素子500では、紙面左上の画素と右下の画素とがB画素であって、視差Lt画素に構成されている。第4撮像素子500では、紙面左下の画素と右上の画素とがB画素であって、視差Rt画素に構成されている。尚、
図19に示す第3撮像素子400及び第4撮像素子500は、配列における対応する位置において、開口マスク103の開口部104の位置が同じであって、カラーフィルタ102の波長特性が互いに異なる例である。
【0078】
図20は、
図16のデジタルカメラ撮像光学部710における別の第1撮像素子100、第2撮像素子300、第3撮像素子400、第4撮像素子500を説明する正面図である。
図20に示す第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、
図18の第1撮像素子100及び第2撮像素子300と同じ構成である。第3撮像素子400では、全ての画素がR画素であって、視差なし画素に構成されている。第4撮像素子500では、全ての画素がB画素であって、視差なし画素に構成されている。
【0079】
視差画素の開口の大きさを各撮像素子において変更してもよい。
図21は、開口の大きさを変更した撮像素子を説明する正面図である。
図21に示すように、第1撮像素子100の紙面左上の画素及び右下の画素がGb画素及びGr画素であって、視差Lt画素である。第1撮像素子100の紙面右上の画素及び左下の画素がB画素及びR画素であって、視差Rt画素である。一方、第2撮像素子300では、第1撮像素子100と色及び視差の配置は同じである。しかしながら、第2撮像素子300の各画素の開口の面積は、第1撮像素子100の各画素の開口の面積よりも小さい。例えば、第2撮像素子300の各画素の開口の面積は、第1撮像素子100の各画素の開口の面積の半分である。これにより、第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、異なる絞りの視差画像を同時に撮像することができる。
【0080】
図22は、開口の大きさを変更した別の撮像素子を説明する正面図である。
図22に示すように、第1撮像素子100の紙面左上の画素及び右下の画素がGb画素及びGr画素であって、視差Lt画素及び視差Rt画素である。第1撮像素子100の紙面右上の画素及び左下の画素がB画素及びR画素であって、視差なし画素である。尚、視差なし画素の開口の面積は、視差Lt画素及び視差Rt画素の開口の面積の例えば2倍の大きさである。一方、第2撮像素子300では、第1撮像素子100と色及び視差の配置は同じである。しかしながら、第2撮像素子300の各画素の開口の面積は、第1撮像素子100の各画素の開口の面積よりも小さい。例えば、第2撮像素子300の各画素の開口の面積は、第1撮像素子100の各画素の開口の面積の半分である。これにより、第1撮像素子100及び第2撮像素子300は、異なる絞りの視差画像を同時に撮像することができる。
【0081】
視差画素とカラーフィルタの関係について、種々のバリエーションを記載したが、更に別のバリエーションであってもよい。それぞれのバリエーションは、同一の物点からの一の分光が入射する撮像素子の光電変換素子と他の分光が入射する撮像素子の光電変換素子の組の少なくとも一部は互いに、カラーフィルタの有無、カラーフィルタの波長特性、開口部の有無、および、開口部の位置、のうち少なくとも一つが異なっていればよい。以下、表を参考にしてバリエーションについて説明する。
【0082】
図23は、撮像素子の種類を説明する表である。
図23の表に示すように、撮像素子は、素子1から素子4の4種類である。視差画素が「○」の素子は視差画素を有し、それ以外は視差画素を有さない。色画素が「○」の素子はカラーフィルタを有し、それ以外はカラーフィルタを有さない。素子4の一例は、視差画素を有さない、白黒画像を撮像する素子である。
【0083】
図24は、分光部の種類を説明する表である。
図24の表に示すように、分光部は、分光aから分光cの3種類である。分光aは、全波長の光を波長に関わらず光量によって複数に分光する。分光bは、特定の波長帯域毎に光を分光する。分光cは、赤外線を他の波長帯域の光から分光する。
【0084】
図25は、2個の撮像素子を設ける場合の組み合せのバリエーションを説明する表である。例えば、バリエーションVa1は、素子1と、分光aと、素子1から素子4の何れかとの組み合わせである。
【0085】
図26は、3個の撮像素子を設ける場合の組み合せのバリエーションを説明する表である。例えば、バリエーションVa7は、素子1と、分光aと、素子1から素子4の何れかと、分光aから分光cの何れかと、素子1から素子4の何れかとの組み合わせである。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0087】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。