(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態による焦点調節装置を搭載したレンズ交換式デジタルカメラのブロック図である。
図1のレンズ交換式デジタルカメラは、カメラボディ100と撮影レンズ200とを備える。撮影レンズ200は、カメラボディ100に着脱可能に装着される。
【0014】
撮影レンズ200は、焦点調節を行うためのフォーカスレンズ210と、それを駆動するためのモータおよび駆動回路で構成されるフォーカスレンズ駆動部211と、フォーカスレンズ210の光軸方向の位置を検出する位置検出部212とを有する。また、撮影レンズ200は、ウォブリング動作を行うためのウォブリングレンズ220と、それを駆動するためのモータおよび駆動回路で構成されるウォブリングレンズ駆動部221と、ウォブリングレンズ220の光軸方向の位置を検出する位置検出部222とを有する。なお、フォーカスレンズ210のパワーの正負(フォーカスレンズ210が凸レンズであるか凹レンズであるか)とウォブリングレンズ220のパワーの正負(ウォブリングレンズ220が凸レンズであるか凹レンズであるか)とは一致するものとする。
【0015】
さらに、撮影レンズ200は、レンズコントローラ250を有する。レンズコントローラ250は、カメラボディ100からの指示に従って、撮影レンズ200内のフォーカスレンズ210およびウォブリングレンズ220の目標位置または駆動速度を算出し、各レンズの位置検出部212および222より出力されるレンズの位置情報をフィードバックしながらフォーカスレンズ210およびウォブリングレンズ220の位置決め制御を実行する。
【0016】
レンズコントローラ250は、フォーカスレンズ駆動部211でフォーカスレンズ210を駆動するか、もしくはウォブリングレンズ駆動部221でウォブリングレンズ220を駆動することにより焦点調節を行う。
【0017】
カメラボディ100は、撮像素子101とアナログ信号処理部102とA/D変換器103とデジタル信号処理部111とバッファメモリ112とEnc/Dec処理部113と外部記憶媒体115とVRAM120とLCDモニタ121とボディコントローラ150と操作部180とを有する。
【0018】
撮像素子101は、CCD撮像素子やMOS型撮像素子などによって構成される。撮影レンズ200により結像される被写体像は撮像素子101の撮像面上に投影される。撮像素子101は撮像面上に結像された被写体像の光強度に応じた電気信号(撮像信号)をアナログ信号処理部102へ出力する。
【0019】
アナログ信号処理部102は、CDS回路、AGC回路および色分離回路などを備えており、撮像素子101から出力された撮像信号に対して各種アナログ信号処理を行う。アナログ信号処理部102で処理された撮像信号は、A/D変換器103へ出力される。A/D変換器103は、アナログ信号処理部102で処理された撮像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。A/D変換器103によりA/D変換された撮像信号は、デジタル信号処理部111およびボディコントローラ150に入力される。
【0020】
デジタル信号処理部111は、ゲイン制御回路、輝度信号生成回路、および色差信号生成回路などの信号処理回路を備えている。デジタル信号処理部111は、A/D変換器103によりA/D変換された撮像信号に対して輪郭強調やガンマ補正やホワイトバランス調整などの種々の画像処理を行う。
【0021】
バッファメモリ112は、撮像素子101で撮像された複数フレーム分のデータを記憶することができるフレームメモリである。デジタル信号処理部111は、輪郭強調やガンマ補正やホワイトバランス調整などの種々の画像処理を実行する際にバッファメモリ112を作業領域として用いる。デジタル信号処理部111に入力された撮像信号は、バッファメモリ112に記憶される。そして、バッファメモリ112に記憶された撮像信号は、輪郭強調やガンマ補正やホワイトバランス調整などの種々の画像処理を行うたびに読み出され、処理後の撮像信号はバッファメモリ112に格納される。デジタル信号処理回部111による一連の処理が施されてバッファメモリ112に格納された撮像信号は、Enc/Dec処理部113に出力される。
【0022】
Enc/Dec処理部113は、デジタル信号処理回部111による一連の処理が施されてバッファメモリ112に格納された撮像信号を所定のデータ形式にデータエンコード処理し、画像データとしてメモリカード等の外部記憶媒体115に記録する。Enc/Dec処理部113がエンコードするデータ形式は、例えば、静止画ではJPEG形式であり、動画ではMPEG2やH264/AVC等の形式である。また、Enc/Dec処理部113は、外部記憶媒体115からエンコード処理済の画像データを読み込む際にデータデコード処理を行う。Enc/Dec処理部113には、外部記憶媒体115とデータ通信を行うためのインタフェースも含まれている。
【0023】
撮像素子101により所定時間間隔毎に撮像された撮像信号は、アナログ信号処理回路102、A/D変換器103、デジタル信号処理回路111により信号処理された後、VRAM120にも転送される。転送された画像データは、VRAM120に記憶される。LCDモニタ121は、撮影時にEVF(Electronic View Finder)として機能し、VRAM120に記憶された画像データがスルー画像と呼ばれる画像として表示される。また、LCDモニタ121は、外部記憶媒体115に記憶された画像データを画像表示することができる。LCDモニタ121は、外部記憶媒体115から読み出された画像データがVRAM120に転送され、LCDモニタ121に再生表示される。
【0024】
ボディコントローラ150は、焦点評価演算部151とAE演算部152とAWB演算部153とその他の演算部とを備えており、カメラ全体の制御を行う。ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を介してフォーカスレンズ210およびウォブリングレンズ220の駆動指示を行うことができる。
【0025】
焦点評価値演算部151は、撮像画面上に予め設定されたAFエリアの画像データの空間周波数から所定の高周波成分を抽出し、抽出された高周波成分の絶対値を積算することにより、焦点評価値を算出する。撮像画面内の所定位置に所定の大きさのAFエリアが複数配置されている場合、これらの複数のAFエリアの積算値が焦点評価値であり、AFエリアまたはAFエリアとして設定された特定被写体エリア内の画像のコントラストを表している。
【0026】
AE演算部152は、A/D変換器103からの撮像信号に基づき、被写体を適正露出で撮影するための自動露出演算を行う。AWB演算部153は、A/D変換器103からの画像信号(R,G,Bの各信号)に基づいてホワイトバランス調整用ゲインの設定を行う。
【0027】
操作部180は、ユーザによる動作指示や各種設定を行うための操作部材であって、例えばレリーズボタンや動画記録開始・停止ボタン、各種設定等を行うための設定ボタン等である。
【0028】
図2は、第1の実施の形態におけるフォーカスレンズ210およびウォブリングレンズ220の駆動について説明するための図である。
図2(a)には、フォーカスレンズ210の駆動範囲21と、ウォブリングレンズ220の駆動範囲22とが示されている。駆動範囲21は、被写体側に無限遠側端21bを有し、撮像素子側に至近端21aを有する。駆動範囲22は、被写体側に無限遠側端22bを有し、撮像素子側に至近端22aを有する。
【0029】
フォーカスレンズ210は、光軸20に沿って撮像素子101側に駆動すると至近側の被写体に合焦し、反対に光軸20に沿って被写体側に駆動すると無限遠側の被写体に合焦するものとする。撮影レンズ200の合焦位置は、フォーカスレンズ210の駆動によって単純に移動するものとする。同様に、ウォブリングレンズ220も光軸20に沿って撮像素子101側に駆動すると至近側の被写体に合焦し、光軸20に沿って被写体側に駆動すると無限遠側の被写体に合焦するものとする。以降、フォーカスレンズ210やウォブリングレンズ220が光軸20に沿って撮像素子101側に駆動する方向を至近方向と称する。また、フォーカスレンズ210やウォブリングレンズ220が光軸20に沿って被写体側に駆動する方向を無限遠方向と称する。
【0030】
図2(a)では、ウォブリングレンズ220は、ウォブリングレンズ220の駆動範囲22の中心位置に位置決めされている。以降、ウォブリングレンズ220の駆動範囲22の中心位置を、ウォブリングレンズ220の基準位置23と称する。撮影レンズ200の光学特性(収差特性等)は、ウォブリングレンズ220が基準位置23にあるとき最適となるように設計されている。
【0031】
ウォブリングレンズ220は、フォーカシングレンズ210が駆動を開始するとき、基準位置23からオフセットする。
図2(b)に示すように、フォーカシングレンズ210が撮像素子側(至近方向)に駆動を開始するときは、ウォブリングレンズ220は基準位置23よりも所定のオフセット量D
OFSだけ至近方向に駆動して、合焦動作検出位置24aに位置付ける。
図2(c)に示すように、フォーカシングレンズ210が被写体側(無限遠方向)に駆動を開始するときは、ウォブリングレンズ220は基準位置23よりも所定のオフセット量D
OFSだけ無限遠方向に駆動して、合焦動作位置24bに位置付ける。
【0032】
図3を用いて、第1の実施の形態によるレンズ交換式デジタルカメラの焦点検出処理について説明する。
図3は山登りコントラスト方式の焦点検出処理のフローチャートである。
図3の処理は、ユーザがレリーズボタンを半押しするなどの焦点検出動作に対応する操作を行うと開始される。ステップS101では、ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定する。ステップS101では、フォーカスレンズ210の駆動方向を、たとえば「駆動しない」と「無限遠方向」と「至近方向」とのいずれかに決定する。
【0033】
ステップS101におけるフォーカスレンズ210の駆動方向の決定は、たとえば次の方法で決定することができる。まず、ボディコントローラ150がレンズコントローラ250を経由してウォブリングレンズ220を基準位置23に位置決めする。次に、ボディコントローラ150がウォブリングレンズ220を往復駆動(ウォブリング動作)させながら焦点評価値演算部151より焦点評価値を取得する。ボディコントローラ150は、ウォブリングレンズ220が基準位置23より被写体側にあるときの焦点評価値と、基準位置23より撮像素子側にあるときの焦点評価値とを比較する。ウォブリングレンズ220の往復駆動により焦点評価値が変化しない場合、ボディコントローラ150はフォーカスレンズ210の駆動方向を「駆動しない」に決定する。ウォブリングレンズ220が撮像素子側より被写体側にあるときの焦点評価値が大きい場合、ボディコントローラ150はフォーカスレンズ210の駆動方向を「無限遠方向」に決定する。ウォブリングレンズ220が被写体側より撮像素子側にあるときの焦点評価値が大きい場合、ボディコントローラ150はフォーカスレンズ210の駆動方向を「至近方向」に決定する。
【0034】
ステップS102では、ボディコントローラ150は、ステップS101で決定されたフォーカスレンズ210の駆動方向が「駆動しない」と「無限遠方向」と「至近方向」のいずれであるかを判断する。ボディコントローラ150は、ステップS101でフォーカスレンズ210を駆動しないことに決定された場合は、
図3の焦点検出処理をステップS101からステップS110に処理を進める。ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動方向が「無限遠方向」に決定された場合は、
図3の焦点検出処理をステップS101からステップS103bに処理を進める。ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動方向が「至近方向」に決定された場合は、
図3の焦点検出処理をステップS101からステップS103aに処理を進める。
【0035】
ステップS103aでは、ボディコントローラ150は、下式(1)によりオフセット量D
OFSを算出し、算出したオフセット量D
OFSを基準位置23に加算することで、合焦動作位置24aの位置を算出する。式(1)中のL
OVSは、焦点検出処理の山登り動作により焦点評価値のピークが検出されたときにフォーカスレンズ210がピーク位置をオーバーシュート(オーバーラン)した量の推定値であり、下式(2)により算出できる。αはフォーカスレンズ210の像面移動係数であり、下式(3)で表されるような像面位置の移動量に対するフォーカスレンズ210の移動量の比である。βはウォブリングレンズ220の像面移動係数、下式(4)で表されるような像面位置の移動量に対するウォブリングレンズ220の移動量の比である。下式(1)では、オフセット量D
OFSは、フォーカスレンズ210のオーバーシュート量の推定値を、ウォブリングレンズ220による移動量に換算している。式(2)のT
Sは、ボディコントローラ150が焦点評価値演算部151より焦点評価値を取得するサンプリング周期である。nは、焦点評価値がピークか否かを判断するためにサンプリングする後続サンプル数である。V
FOCUSは、焦点評価値のピークを検出したときのフォーカスレンズ210の駆動速度であり、予め定められている。L
0は、焦点評価値のピークを検出した際、レンズコントローラ250が駆動速度V
FOCUSのフォーカスレンズ210を減速させて停止させるまでの間にフォーカスレンズ210が駆動してしまう推定距離である。
D
OFS=L
OVS/α×β ・・・(1)
L
OVS=(T
S×n×V
FOCUS+L
0) ・・・(2)
α=フォーカスレンズの移動量/フォーカスレンズの移動に伴う像面位置の移動量 ・・・(3)
β=ウォブリングレンズの移動量/ウォブリングレンズの移動に伴う像面位置の移動量 ・・・(4)
【0036】
ステップS103bでは、ボディコントローラ150は、上式(1)によりオフセット量D
OFSを算出し、算出したオフセット量D
OFSを基準位置23から減ずることで、合焦動作位置24bの位置を算出する。
【0037】
ステップS104では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してウォブリングレンズ220の位置を合焦動作位置に駆動する。ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動方向が至近方向のときはステップS103aで算出した合焦動作位置24aの位置に駆動し、フォーカスレンズ210の駆動方向が無限遠方向のときはステップS103bで算出した合焦動作位置24bの位置に駆動する。
【0038】
ステップS105では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由して、ステップS101で決定した駆動方向へのフォーカスレンズ210の駆動を開始する。ステップS105で駆動を開始したフォーカスレンズ210は、ピーク時のV
FOCUSよりも速い駆動速度に設定される。フォーカスレンズ210の駆動を開始したボディコントローラ150は、ステップS106に進み、焦点評価値演算部151から焦点評価値を取得する。ステップS106での焦点評価値の取得は、上式(2)のサンプリング周期T
Sで行われる。ステップS105にてフォーカスレンズ210の駆動が開始し、ステップS106での焦点評価値の取得が行われることにより、山登りコントラスト方式のピーク検出動作が開始される。
【0039】
図4を用いて、ボディコントローラ150が実行するピーク検出動作について説明する。
図4は、焦点評価値の時間変化を例示した図である。
図4の横軸は時間であり、縦軸は焦点評価値である。
図4には、焦点評価値演算部151から取得された焦点評価値X
p―1〜X
p+4が図示されている。焦点評価値X
p―1〜X
p+4は、サンプリング周期T
Sごとに取得されている。
図4では、X
pがピークの焦点評価値である。ボディコントローラ150は、焦点評価値X
pの後に取得されたn個(nは式(2)の後続サンプル数)の焦点評価値X
p+1〜X
p+nが焦点評価値X
pよりも小さいとき、焦点評価値X
pを焦点評価値のピーク値として検出する。
図4の例においてn=1とすると、焦点評価値X
p―1は焦点評価値X
pと比較されて、X
p―1<X
pであるため焦点評価値X
p−1はピークとして検出されず、焦点評価値X
pは焦点評価値X
p+1と比較されて、X
p>X
p+1であるためピークとして検出される。なお、後続サンプル数nは、ノイズの影響を考慮してn>1としてもよい。たとえば、後続サンプル数n=4のとき、焦点評価値X
pは、後続の4個の焦点評価値X
p+1〜X
p+4より大きい場合にピークとして検出される。
【0040】
図5は、ピーク検出動作時のフォーカスレンズ210やウォブリングレンズ220の動作を説明するための図である。
図5(a)は、ピーク検出動作における焦点評価値の時間変化の一例を表すグラフである。
図5(b)は、ピーク検出動作におけるフォーカスレンズ210の駆動速度の時間変化の一例を表す。
図5(c)は、ピーク検出動作におけるフォーカスレンズ210の位置の時間変化の一例を表す。
図5(d)は、ピーク検出動作におけるウォブリングレンズの位置の時間変化の一例を表す。
図5(a)〜
図5(d)は、ステップS101でフォーカスレンズ210を至近方向に駆動させると決定された場合のピーク検出動作例を示している。
【0041】
時間T0は、ステップS105にてフォーカスレンズ210の駆動を開始した時間である。フォーカスレンズ210の駆動速度は、
図5(b)に示されるように、時間T0から徐々に加速される。そして、
図5(c)に示されるように、時間T0からフォーカスレンズの位置が徐々に至近方向に駆動される。
図5(d)に示されるように、ウォブリングレンズ220の位置は、時間T0の時点ですでに基準位置23からオフセット量D
OFSだけ至近方向に駆動した合焦動作位置24aに位置付けられている。
【0042】
時間T1は、焦点評価値がピークとなる時間である。時間T2は、ピークの焦点評価値がピーク値として検出される時間である。ピークの焦点評価値が実際にピーク値であったと検出されるまでには、後続サンプル数n個の焦点評価値をサンプリング周期T
Sで取得する。すなわち、時間T1と時間T2との差は、後続サンプル数nとサンプリング周期T
Sとに基づいた値となる。フォーカスレンズ210は、時間T1のように焦点評価値がピークとなる時間に所定速度V
FOCUSになるように速度制御される。
図5(b)に示されるように、フォーカスレンズ210は、時間T2でピーク値が検出されると減速を開始し、時間T3はで停止する。
【0043】
図5(b)のグラフには、時間T1で焦点評価値がピーク値となってから時間T3でフォーカスレンズ210が停止するまでの範囲に網掛けが施されている。
図5(b)に示されるこの網掛け部を積算すると、フォーカスレンズ210が実際にオーバーシュートしたオーバーシュート量L
1となる。
【0044】
時間T4は、フォーカスレンズ210の駆動速度を、ピーク検出時の所定の駆動速度V
FOCUSに向けて減速を開始する時間である。時間T4のとき、フォーカスレンズ210は位置P4の位置にある。位置P4は、フォーカスレンズ210がピークとなる位置P1よりもフォーカスレンズ210の駆動方向の反対方向側に所定量離れた位置にある。
図5(c)の例では、フォーカスレンズ210の駆動方向が至近方向であるため、位置P4は位置P1よりも被写体側にある。
【0045】
図3のステップS107では、ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動速度を所定の駆動速度V
FOCUSに減速するか否かを判定する。すなわち、フォーカスレンズ210の位置が
図5(c)の位置P4に至ったか否かを判定する。ボディコントローラ150は、時間T0からサンプリング周期T
Sで繰り返し取得している焦点評価値およびその変化量(微分値)から総合的に位置P4を推定する。たとえば、焦点評価値の変化量が減少を始めた位置を位置P4と推定する。
【0046】
ステップS107でボディコントローラ150がフォーカスレンズ210の駆動速度を減速すると判定したときはステップS108に進み、フォーカスレンズ210の駆動速度を減速しないと判定したときはステップS106に進んで次の焦点評価値を取得する。ステップS108では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してフォーカスレンズ210の駆動速度を駆動速度V
FOCUSに減速する。以降、時間T2で焦点評価値のピーク値が検出されるまでフォーカスレンズ210の駆動速度は駆動速度V
FOCUSに維持される。
【0047】
ステップS109では、ボディコントローラ150は、焦点評価値のピーク値が検出されたか否かを判定する。すなわち、
図4の焦点評価値X
pのように、後続のn個の焦点評価値X
p+1〜X
p+nが焦点評価値X
pよりも小さいか否かを判定する。ステップS109でボディコントローラ150が焦点評価値のピーク値が検出されたと判定した場合はステップS110に進み、焦点評価値のピーク値が検出されなかったと判定した場合はステップS106に進んで次の焦点評価値を取得する。
【0048】
ステップS110では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してフォーカスレンズ210を停止させる(
図5(b)の時間T2から時間T3まで)。このとき、フォーカスレンズ210は、レンズコントローラ250により精度よく速度制御されて減速し、最終的に停止する。
【0049】
ステップS111では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してウォブリングレンズ220を駆動し、ウォブリングレンズ220を基準位置23まで駆動させる(
図5(d)の時間T2から時間T5まで)。
【0050】
ステップS112では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してフォーカスレンズ210とウォブリングレンズ220とが停止していることを確認する。フォーカスレンズ210の停止は、レンズコントローラ250がフォーカスレンズ位置検出部212から取得したフォーカスレンズ210の位置の変化に基づいて確認する。ウォブリングレンズ220の停止は、レンズコントローラ250がウォブリングレンズ位置検出部222から取得したウォブリングレンズ220の位置の変化に基づいて確認する。
【0051】
ステップS113では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してウォブリングレンズ220によるウォブリング動作を行い、合焦位置の微調整を行う。そして、合焦位置の微調整が完了したら
図3の処理を終了する。
【0052】
図3の焦点検出処理では、時間T3でフォーカスレンズ210はオーバーシュート量L
1だけオーバーシュートした状態で停止している。そのオーバーシュートに起因する合焦ずれは、ステップS111でのウォブリングレンズ220の駆動により補正される。フォーカスレンズ210がオーバーシュート量L
1だけ移動すると、像面位置はL
1/αだけ移動する。ステップS111のように、ウォブリングレンズ220がフォーカスレンズ210の駆動方向とは反対方向にオフセット量D
OFSだけ駆動すると、像面位置はD
OFS/β=L
OVS/αだけ移動する。フォーカスレンズ210のオーバーシュートに起因する像面位置のずれと、ステップS111でのウォブリングレンズ220の駆動に起因する像面位置のずれが略一致すれば合焦ずれが補正されていると言える。
【0053】
フォーカスレンズ210がオーバーシュートしている時間T1から時間T3までの期間を、時間T1から時間T2までの期間と時間T2から時間T3までの期間とに分けて考える。ステップS108において、時間T1から時間T2までの間のフォーカスレンズ210の駆動速度は所定の駆動速度V
FOCUSに維持されている。そのため、実際にフォーカスレンズ210が時間T1から時間T2までの間にオーバーシュートした距離は、後続サンプル数n個の焦点評価値がサンプリング周期T
Sで取得されるまでの時間に所定の駆動速度V
FOCUSでフォーカスレンズ210が駆動した距離であるため、上式(2)中のT
S×n×V
FOCUSで精度よく推定される。
【0054】
時間T2から時間T3までの間、フォーカスレンズ210は、レンズコントローラ250により所定の駆動速度V
FOCUSから停止(駆動速度が零)するまで減速されている。レンズコントローラ250が常に一定の速度遷移で減速するようにフォーカスレンズ210を速度制御ができる場合、時間T2から時間T3までの間のオーバーシュート量は、撮影レンズ200の設計段階において測定できる。前述の推定距離L
0をそのように測定した値とすれば、時間T2から時間T3までのフォーカスレンズ210のオーバーシュート量を精度よく推定できる。
【0055】
したがって、時間T1から時間T3までの期間にフォーカスレンズ210が実際にオーバーシュートしたオーバーシュート量L
1は、上式(2)で算出されるオーバーシュート量の推定値L
OVSで精度よく推定される(L
OVS=L
1)。そのため、ウォブリングレンズ220を合焦検出動作位置から基準位置23に駆動することにより像面位置が移動する移動量D
OFS/βの大きさと、フォーカスレンズ210の実際のオーバーシュートにより移動する像面位置の移動量L
1/αの大きさとは一致する(D
OFS/β=L
OVS/α=L
1/α)。
【0056】
したがって、ステップS111においてウォブリングレンズ220をフォーカスレンズ210の駆動方向とは反対方向に所定のオフセット量D
OFSだけ駆動させることによって、フォーカスレンズ210のオーバーシュートに起因する合焦ずれを補正することができる。
【0057】
以上で説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
図1のカメラは、フォーカスレンズ210と、フォーカスレンズ210より質量の小さいウォブリングレンズ220とを有する撮影レンズ200を備える。カメラボディ100は、ボディコントローラ150が撮影レンズ200のレンズコントローラ250を介してフォーカスレンズ駆動部211を制御し、フォーカスレンズ210を駆動している。さらに、カメラボディ100は、ボディコントローラ150がレンズコントローラ250を介してウォブリングレンズ駆動部221を制御し、ウォブリングレンズ220を駆動している。ボディコントローラ150は、
図3のステップS101において、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定する。カメラボディ100は、撮影レンズ200により結像した被写体像を受光して画像信号を出力する撮像素子101を備える。また、カメラボディ100は、撮像素子101から出力された画像信号に基づいて撮影レンズ200の焦点調節状態を表す焦点評価値を検出する焦点評価値演算部151を備える。ボディコントローラ150は、ウォブリングレンズ220を合焦動作検出位置に停止させた(
図3のステップS104)後に、フォーカスレンズ210を駆動方向に駆動させて(
図3のステップS105)、焦点評価値がピーク値となったとき(時間T1)のフォーカスレンズ210の位置より所定量(L
1)離れた位置にフォーカスレンズ210を停止させる(
図3のステップS110)。その後、ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210が停止した状態で、ウォブリングレンズ220を駆動方向の反対方向に駆動して基準位置23まで駆動させる(
図3のステップS111)。本発明によれば、焦点評価値のピーク検出後はフォーカスレンズ210を駆動させず、フォーカスレンズ210よりも質量の小さいウォブリングレンズ220を駆動させて合焦ずれを補正するため、駆動音や振動の発生を抑制することができる。
【0058】
以上で説明した第1の実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例1−1)
図3のフローチャートを用いた説明では、ステップS104でウォブリングレンズ220を合焦検出動作位置に駆動して、ステップS105でフォーカスレンズ210による山登り動作を開始し、ステップS111でウォブリングレンズ220を基準位置32に戻した。しかし、ウォブリングレンズ220を、焦点評価値のピーク値が検出されたときの位置から、フォーカスレンズ210の駆動方向とは反対方向に所定のオフセット量D
OFSだけ駆動させる処理を有すれば、山登り動作を開始するときのウォブリングレンズ220の位置は基準位置のままでよい。
【0059】
図6は、
図3に示される山登りコントラスト方式の焦点検出処理の変形例である。
図6の例では、フォーカスレンズ210による山登り動作を開始するとき(ステップS105)、ウォブリングレンズ220は基準位置23の位置にある。
図6の各フローのうち、
図3と同様のフローについてはその説明を省略する。
【0060】
図6のステップS121では、ボディコントローラ150は、ウォブリングレンズ220のウォブリング動作によりフォーカスレンズ210を駆動させる必要があるか否かを判定する。すなわち、すでに合焦状態にあるか否かを判定する。ステップS121では、ステップS101でフォーカスレンズ210の駆動方向が「駆動しない」に決定された場合はフォーカスレンズ210を駆動する必要がないとして
図6のステップS110に進む。一方、ステップS101でフォーカスレンズ210の駆動方向が「無限遠方向」または「至近方向」に決定された場合はフォーカスレンズ210を駆動する必要があるとして
図6のステップS105に進み、山登り処理を開始する。
図6のステップS122では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由して、ステップS101で決定されたフォーカスレンズ210の駆動方向とは反対方向に、所定のオフセット量D
OFSだけウォブリングレンズ220を駆動する。
【0061】
なお、
図6のフローチャートに従って山登りコントラスト方式の焦点検出処理を行う場合は、ウォブリングレンズ220が基準位置23から所定のオフセット量D
OFSだけずれた位置であっても、撮影レンズ200の光学特性(収差特性等)が良好となるように設計することが望ましい。
【0062】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態による焦点調節装置は、山登りコントラスト方式の焦点検出処理が第1の実施の形態と異なる。本発明の第2の実施の形態での焦点検出処理は、
図1のレンズ交換式デジタルカメラを用いて実施できる。
【0063】
本発明の第2の実施の形態での焦点検出処理では、フォーカスレンズ位置検出部212からフォーカスレンズ210の光軸方向の位置を検出し、フォーカスレンズ210が実際にオーバーシュートした距離、すなわちオーバーシュート量L
1を検出する。そして、検出されたオーバーシュート量L
1を下式(5)に代入して、合焦ずれ補正のためにウォブリングレンズ220を駆動する合焦位置補正量D
ARを算出する。そして、フォーカスレンズ210が停止した後に、フォーカスレンズ210の駆動方向とは反対方向にウォブリングレンズ220を合焦位置補正量D
ARだけ駆動する。ウォブリングレンズ220を合焦検出動作位置から合焦位置補正量D
ARだけ駆動すると、像面位置はD
AR/βだけ移動する。この移動量は、フォーカスレンズ210の実際のオーバーシュートにより移動する像面位置の移動量L
1/αの大きさと一致する(D
AR/β=(L
1/α×β)/β=L
1/α)。したがって、このウォブリングレンズ220の駆動により、フォーカスレンズ210のオーバーシュートに起因する合焦ずれを補正することができる。
D
AR=L
1/α×β ・・・(5)
【0064】
図7は、第2の実施の形態において、ピーク検出動作時のフォーカスレンズ210やウォブリングレンズ220の動作を説明するための図である。
図7(a)は、ピーク検出動作における焦点評価値の時間変化の一例を表すグラフであり、
図5(a)と同一の例を示している。
図7(b)は、ピーク検出動作におけるフォーカスレンズ210の駆動速度の時間変化の一例を表し、
図5(b)と同一の例を示している。
図7(c)は、ピーク検出動作におけるフォーカスレンズ210の位置の時間変化の一例を表し、
図5(c)と同一の例を示している。
図7(d)は、ピーク検出動作におけるウォブリングレンズ220の位置の時間変化の一例を表す。
図7(d)は、時間T3以降にウォブリングレンズ220をオフセット量D
OFSではなく合焦位置補正量D
ARだけ駆動させている点だけが
図5(d)と異なる。
【0065】
第2の実施の形態における山登りコントラスト方式の焦点検出処理のフローチャートを
図8に示す。
図8の各フローのうち、
図3と同様のステップについてはその説明を省略する。
【0066】
ステップS201では、ボディコントローラ150は、ステップS101で決定されたフォーカスレンズ210の駆動方向が「駆動しない」と「無限遠方向」と「至近方向」のいずれであるかを判断する。ボディコントローラ150は、ステップS101でフォーカスレンズ210を駆動しないことに決定された場合は、
図8の焦点検出処理をステップS101からステップS113に処理を進める。ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動方向が「無限遠方向」に決定された場合は、
図8の焦点検出処理をステップS101からステップS103bに処理を進める。ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210の駆動方向が「至近方向」に決定された場合は、
図8の焦点検出処理をステップS101からステップS103aに処理を進める。
【0067】
ステップS202では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を介してフォーカスレンズ位置検出部212により検出されたフォーカスレンズ210の位置に関する情報を取得する。
【0068】
ステップS203では、ボディコントローラ150は、合焦位置補正量D
ARを算出する。まずボディコントローラ150は、ステップS110でフォーカスレンズ210が停止した後のフォーカスレンズ210の位置に関する情報をレンズコントローラ250から取得する。次に、ボディコントローラ150は、焦点評価値がピークとなったときにステップS202で取得したフォーカスレンズ210の位置と、フォーカスレンズ210が停止した後に取得したフォーカスレンズ210の位置とに基づいて、オーバーシュート量L
1を取得する。そして、ボディコントローラ150は上式(5)により合焦位置補正量D
ARを算出する。ステップS204では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250を経由してウォブリングレンズ220をステップS203で算出した合焦位置補正量D
ARだけ駆動させる。
【0069】
以上で説明した第2の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
第2の実施の形態の焦点調節装置を備えたカメラは、フォーカスレンズ210と、フォーカスレンズ210より質量の小さいウォブリングレンズ220とを有する撮影レンズ200を備える。カメラボディ100は、ボディコントローラ150が撮影レンズ200のレンズコントローラ250を介してフォーカスレンズ駆動部211を制御し、フォーカスレンズ210を駆動している。さらに、カメラボディ100は、ボディコントローラ150がレンズコントローラ250を介してウォブリングレンズ駆動部221を制御し、ウォブリングレンズ220を駆動している。ボディコントローラ150は、
図8のステップS101において、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定する。カメラボディ100は、撮影レンズ200により結像した被写体像を受光して画像信号を出力する撮像素子101を備える。また、カメラボディ100は、撮像素子101から出力された画像信号に基づいて撮影レンズ200の焦点調節状態を表す焦点評価値を検出する焦点評価値演算部151を備える。ボディコントローラ150は、ウォブリングレンズ220を合焦動作検出位置に停止させた(
図8のステップS104)後に、フォーカスレンズ210を駆動方向に駆動させて(
図8のステップS105)、焦点評価値がピーク値となったとき(時間T1)のフォーカスレンズ210の位置より所定量(L1)離れた位置にフォーカスレンズ210を停止させる(
図8のステップS110)。その後、ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210が停止した状態で、ウォブリングレンズ220を駆動方向の反対方向に合焦位置補正量D
ARだけ駆動させる(
図8のステップS204)。本発明によれば、焦点評価値のピーク検出後はフォーカスレンズ210を駆動させず、フォーカスレンズ210よりも質量の小さいウォブリングレンズ220を駆動させて合焦ずれを補正するため、駆動音や振動の発生を抑制することができる。また、合焦位置補正量D
ARは、実際に測定したオーバーシュート量L
1に基づいて算出されているため、第1の実施の形態よりさらに精度よくフォーカスレンズ210のオーバーシュートによる合焦ずれを補正することができる。第2の実施の形態は、レンズコントローラ250がフォーカスレンズ210の駆動速度を精度よく制御できない場合にも利用できる。
【0070】
以上で説明した第2の実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例2−1)
図8のフローチャートを用いた説明では、ステップS104でウォブリングレンズ220を合焦検出動作位置に駆動した後にステップS105でフォーカスレンズ210による山登り動作を開始して、ステップS110でフォーカスレンズ210が停止した後にステップS204でウォブリングレンズ220を合焦位置補正量D
ARだけ駆動した。しかし、ウォブリングレンズ220を、焦点評価値のピーク値が検出されたときの位置から、フォーカスレンズ210の駆動方向とは反対方向に合焦位置補正量D
ARだけ駆動させる処理を有すれば、山登り動作を開始するときのウォブリングレンズ220の位置は基準位置のままでよい。
【0071】
図9は、
図8に示される山登りコントラスト方式の焦点検出処理の変形例である。
図9の例では、フォーカスレンズ210による山登り動作を開始するとき(ステップS105)、ウォブリングレンズ220は基準位置23の位置にある。
図9の各フローは、
図6および
図8のフローと同様であるため説明を省略する。
【0072】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について説明する。本発明の第3の実施の形態による焦点調節装置は、山登りコントラスト方式の焦点検出処理が第1の実施の形態と異なる。本発明の第3の実施の形態での焦点検出処理は、
図1のレンズ交換式デジタルカメラを用いて実施できる。本発明の第3の実施の形態では、駆動速度V
FOCUS(>0)へのフォーカスレンズ210の減速を開始した後、フォーカスレンズ210を駆動しながら焦点評価値のピーク値が検出されるまでウォブリングレンズ220によるウォブリング動作を行う。
【0073】
図10は、第3の実施の形態において、ピーク検出動作時のフォーカスレンズ210やウォブリングレンズ220の動作を説明するための図である。
図10(d)は、ピーク検出動作におけるウォブリングレンズ220の位置の時間変化の一例を表す。
図10(d)では、所定の駆動速度V
FOCUS(>0)へのフォーカスレンズ210の減速を開始する時間T4からフォーカスレンズ210が停止する時間T3までの間、ウォブリングレンズ220によるウォブリング動作が行われている。
図10(a)は、ピーク検出動作における焦点評価値の時間変化の一例を表すグラフであり、ウォブリングレンズ220がウォブリング動作をしている時間T4から時間T3までの部分が
図5(a)と異なる。
【0074】
第3の実施の形態における山登りコントラスト方式の焦点検出処理のフローチャートを
図11に示す。
図1の各フローのうち、
図3および
図8と同様のステップについてはその説明を省略する。
【0075】
ステップS301では、ボディコントローラ150は、ウォブリングレンズ220によるウォブリング動作がまだ開始していない場合は、レンズコントローラ250へウォブリング動作の開始指示を行う。
【0076】
ステップS302では、ボディコントローラ150は、焦点評価値のピーク値が検出されたか否かを判定する。焦点評価値のピーク値が検出された場合はステップS303に進み、焦点評価値のピーク値が検出されなかった場合はステップS106に進み、次の焦点評価値を取得する。ステップS303では、ボディコントローラ150は、レンズコントローラ250へウォブリング動作の停止指示を行う。
【0077】
以上で説明した第3の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
第3の実施の形態の焦点調節装置を備えたカメラは、フォーカスレンズ210と、フォーカスレンズ210より質量の小さいウォブリングレンズ220とを有する撮影レンズ200を備える。カメラボディ100は、ボディコントローラ150が撮影レンズ200のレンズコントローラ250を介してフォーカスレンズ駆動部211を制御し、フォーカスレンズ210を駆動している。さらに、カメラボディ100は、ボディコントローラ150がレンズコントローラ250を介してウォブリングレンズ駆動部221を制御し、ウォブリングレンズ220を駆動している。ボディコントローラ150は、
図11のステップS101において、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定する。カメラボディ100は、撮影レンズ200により結像した被写体像を受光して画像信号を出力する撮像素子101を備える。また、カメラボディ100は、撮像素子101から出力された画像信号に基づいて撮影レンズ200の焦点調節状態を表す焦点評価値を検出する焦点評価値演算部151を備える。ボディコントローラ150は、ウォブリングレンズ220を合焦動作検出位置に停止させた(
図11のステップS104)後に、フォーカスレンズ210を駆動方向に駆動させて(
図11のステップS105)、焦点評価値がピーク値となったとき(時間T1)のフォーカスレンズ210の位置より所定量(L1)離れた位置にフォーカスレンズ210を停止させる(
図11のステップS110)。その後、ボディコントローラ150は、フォーカスレンズ210が停止した状態で、ウォブリングレンズ220を駆動方向の反対方向に合焦位置補正量D
ARだけ駆動させる(
図11のステップS204)。本発明によれば、焦点評価値のピーク検出後はフォーカスレンズ210を駆動させず、フォーカスレンズ210よりも質量の小さいウォブリングレンズ220を駆動させて合焦ずれを補正するため、駆動音や振動の発生を抑制することができる。
【0078】
また、第3の実施の形態では、駆動速度V
FOCUS(>0)へのフォーカスレンズ210の減速を開始した後、フォーカスレンズ210を駆動しながら焦点評価値のピーク値が検出されるまでの間、ウォブリングレンズ202によりウォブリング動作を行う。これにより、山登り動作中により精度よく早く焦点評価値のピーク値を検出することができる。
【0079】
以上で説明した第3の実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例3−1) 第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に、山登り動作を開始するときのウォブリングレンズ220の位置は合焦検出動作位置だけに限定しない。たとえば、山登り動作を開始するときのウォブリングレンズ220の位置は基準位置23であってもよい。
【0080】
(変形例3−2)
図11に示した焦点検出処理は、実質上
図8に示した焦点検出処理にステップS301とステップS303とを追加した処理である。
図3のステップS108とステップS109との間にステップS301を挿入し、
図3のステップS110の直前にステップS303を挿入し、
図3のステップS109をステップS302に置換した処理も第3の実施の形態の範囲内である。
【0081】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について説明する。
図12は、第4の実施の形態による焦点調節装置を搭載したレンズ交換式デジタルカメラのブロック図である。
図12のレンズ交換式デジタルカメラは、カメラボディ300と撮影レンズ400とを備える。撮影レンズ400は、カメラボディ300に着脱可能に装着される。
図12に含まれる各部位のうち、
図1と同様の部位についてはその説明を省略する。
【0082】
撮影レンズ400は、焦点調節を行うためのフォーカスレンズ210と、それを駆動するためのモータおよび駆動回路で構成されるフォーカスレンズ駆動部211と、フォーカスレンズ210の光軸方向の位置を検出する位置検出部212と、レンズコントローラ450とを有する。ウォブリングレンズ220が存在しない点が第1の実施の形態での撮影レンズ200との相違点である。
【0083】
カメラボディ300は、カメラボディ100に含まれていたアナログ信号処理部102とA/D変換器103とデジタル信号処理部111とバッファメモリ112とEnc/Dec処理部113と外部記憶媒体115とVRAM120とLCDモニタ121と操作部180とを有する。また、カメラボディ300は、撮像素子301と、撮像素子駆動部302と、撮像素子位置検出部303とを備える。
【0084】
撮像素子301は、CCD撮像素子やMOS型撮像素子などによって構成される。撮像素子301はその撮像面上に結像された被写体像の光強度に応じた電気信号(撮像信号)をアナログ信号処理部102へ出力する。撮像素子301は、撮像素子101と異なり、撮像素子駆動部302により光軸方向に駆動される。また、撮像素子301は、撮像素子位置検出部303により光軸方向の位置を検出される。撮像素子駆動部302は、モータおよび駆動回路で構成される。
【0085】
ボディコントローラ350は、焦点評価演算部151とAE演算部152とAWB演算部153と、その他の演算部とを備えており、カメラ全体の制御を行う。ボディコントローラ350は、レンズコントローラ250を介してフォーカスレンズ210の駆動指示を行うことができる。また、ボディコントローラ350は、撮像素子301の駆動を制御することができる。
【0086】
図13は、第4の実施の形態におけるフォーカスレンズ210および撮像素子301の駆動について説明するための図である。
図13(a)には、フォーカスレンズ210の駆動範囲21と、撮像素子301の駆動範囲32とが示されている。駆動範囲21は、
図2と同様に被写体側に無限遠側端21bを有し、撮影者側に至近端21aを有する。駆動範囲32は、被写体側に至近端32bを有し、撮影者側に無限遠側端32aを有する。
【0087】
フォーカスレンズ210は、光軸40に沿って撮影者側に駆動すると至近側の被写体に合焦し、反対に光軸40に沿って被写体側に駆動すると無限遠側の被写体に合焦するものとする。撮影レンズ200の合焦位置は、フォーカスレンズ210の駆動によって単純に移動するものとする。一方、撮像素子301は、反対に光軸40に沿って被写体側に駆動すると至近側の被写体に合焦し、反対に光軸40に沿って撮影者側に駆動すると無限遠側の被写体に合焦するものとする。
【0088】
図13(a)では、撮像素子301は、その駆動範囲32の中心位置に位置決めされている。以降、撮像素子301の駆動範囲32の中心位置を、撮像素子301の基準位置33と称する。
【0089】
撮像素子301は、フォーカシングレンズ210が駆動を開始するとき、基準位置33からオフセットする。
図13(b)に示すように、フォーカシングレンズ210が撮像素子側(撮像素子301における至近方向)に駆動を開始するときは、撮像素子301は基準位置33よりも所定の第2オフセット量D
OFS2だけ至近端32b側(至近方向)に駆動して、合焦動作検出位置34bに位置付ける。一方、
図13(c)に示すように、フォーカシングレンズ210が被写体側(撮像素子301における無限遠方向)に駆動を開始するときは、撮像素子301は基準位置33よりも所定の第2オフセット量D
OFS2だけ無限遠側端32a側(無限遠方向)に駆動して、合焦動作位置34aに位置付ける。
【0090】
図14を用いて、第4の実施の形態によるレンズ交換式デジタルカメラの焦点検出処理について説明する。
図14は山登りコントラスト方式の焦点検出処理のフローチャートである。
図14の処理は、ユーザがレリーズボタンを半押しするなどの焦点検出動作に対応する操作を行うと開始される。
図14の各フローのうち、
図3と同様のステップについてはその説明を省略する。
【0091】
ステップS401では、ボディコントローラ350は、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定する。ステップS401では、フォーカスレンズ210の駆動方向を、たとえば「駆動しない」と「無限遠方向」と「至近方向」とのいずれかに決定する。
【0092】
ステップS401におけるフォーカスレンズ210の駆動方向の決定は、たとえば次の方法で決定することができる。まず、ボディコントローラ350が撮像素子301を基準位置33に位置決めする。次に、ボディコントローラ350が撮像素子301を往復駆動させながら焦点評価値演算部151より焦点評価値を取得する。ボディコントローラ350は、撮像素子301が基準位置33より被写体側にあるときの焦点評価値と、基準位置33より撮影者側にあるときの焦点評価値とを比較する。撮像素子301の往復駆動により焦点評価値が変化しない場合、ボディコントローラ350はフォーカスレンズ210の駆動方向を「駆動しない」に決定する。撮像素子301が撮影者側より被写体側にあるときの焦点評価値が大きい場合、ボディコントローラ350はフォーカスレンズ210の駆動方向を「至近方向」に決定する。撮像素子301が被写体側より撮影者側にあるときの焦点評価値が大きい場合、ボディコントローラ350はフォーカスレンズ210の駆動方向を「無限遠方向」に決定する。
【0093】
ステップS402では、ボディコントローラ350は、ステップS401で決定されたフォーカスレンズ210の駆動方向が「駆動しない」と「無限遠方向」と「至近方向」のいずれであるかを判断する。ボディコントローラ350は、ステップS401でフォーカスレンズ210を駆動しないことに決定された場合は、
図14の焦点検出処理をステップS401からステップS110に処理を進める。ボディコントローラ350は、フォーカスレンズ210の駆動方向が「無限遠方向」に決定された場合は、
図14の焦点検出処理をステップS401からステップS403bに処理を進める。ボディコントローラ350は、フォーカスレンズ210の駆動方向が「至近方向」に決定された場合は、
図14の焦点検出処理をステップS401からステップS403aに処理を進める。
【0094】
ステップS403aでは、ボディコントローラ350は、下式(6)により第2オフセット量D
OFS2を算出し、算出した第2オフセット量D
OFS2を撮像素子301の基準位置33から減ずることで、合焦動作位置34bの位置を算出する。式(6)中のL
OVSは、焦点検出処理の山登り動作により焦点評価値のピークが検出されたときにフォーカスレンズ210がピーク位置をオーバーシュート(オーバーラン)した量の推定値であり、上式(1)により算出できる。αはフォーカスレンズ210の像面移動係数であり、上式(3)で表されるような像面位置の移動量に対するフォーカスレンズ210の移動量の比である。
D
OFS2=L
OVS/α ・・・(6)
【0095】
ステップS403bでは、ボディコントローラ350は、上式(6)により第2オフセット量D
OFS2を算出し、算出した第2オフセット量D
OFS2を撮像素子301の基準位置33に加算することで、合焦動作位置34aの位置を算出する。
【0096】
ステップS404では、ボディコントローラ350は、撮像素子駆動部302により撮像素子301の位置を合焦動作位置に駆動する。ボディコントローラ350は、フォーカスレンズ210の駆動方向が至近方向のときはステップS303aで算出した合焦動作位置34bの位置に駆動し、フォーカスレンズ210の駆動方向が無限遠方向のときはステップS303bで算出した合焦動作位置34aの位置に駆動する。ボディコントローラ350は、撮像素子301を合焦動作検出位置に駆動させると、
図14のステップS105にてフォーカスレンズ210の駆動を開始し、ステップS106での焦点評価値の取得を開始することにより、山登りコントラスト方式のピーク検出動作が開始される。
【0097】
図15は、ピーク検出動作時のフォーカスレンズ210や撮像素子301の動作を説明するための図である。
図15(a)は、ピーク検出動作における焦点評価値の時間変化の一例を表すグラフであり、
図5(a)と同一の例を示している。
図15(b)は、ピーク検出動作におけるフォーカスレンズ210の駆動速度の時間変化の一例を表し、
図5(b)と同一の例を示している。
図15(c)は、ピーク検出動作におけるフォーカスレンズ210の位置の時間変化の一例を表し、
図5(c)と同一の例を示している。
図15(d)は、ピーク検出動作における撮像素子301の位置の時間変化の一例を表す。
図15(a)〜
図15(d)の例では、ステップS401でフォーカスレンズ210を至近方向に駆動させると決定された場合のピーク検出動作を表す。
【0098】
図15(d)に示されるように、撮像素子301の位置は、時間T0の時点ですでに基準位置33から第2オフセット量D
OFS2だけ至近端32b側に駆動した合焦動作位置34bに位置付けられている。時間T2において、焦点評価値のピーク値が検出されると(
図14のステップS109 YES)、
図14のステップS405で撮像素子301は無限遠側端32a側に第2オフセット量D
OFS2だけ駆動されて基準位置33まで駆動される。
【0099】
図14のステップS406では、ボディコントローラ350は、フォーカスレンズ210と撮像素子301とが共に停止していることを確認する。フォーカスレンズ210の停止は、レンズコントローラ450がフォーカスレンズ位置検出部212から取得したフォーカスレンズ210の位置の変化に基づいて確認する。撮像素子301の停止は、撮像素子位置検出部303から取得した撮像素子301の位置の変化に基づいて確認する。
【0100】
ステップS407では、ボディコントローラ350は、撮像素子301によるウォブリング動作を行い、合焦位置の微調整を行う。そして、合焦位置の微調整が完了したら
図14の処理を終了する。
【0101】
第4の実施の形態では、撮像素子301を、フォーカスレンズ210の駆動方向に第2オフセット量D
OFS2だけ駆動させ、撮影レンズ400の像面位置に撮像素子301を移動させる。第1の実施の形態でも説明したように、オーバーシュート量の推定値L
OVSは、実際のフォーカスレンズ210のオーバーシュート量L
1を精度よく推定している。そのため、第2オフセット量D
OFS2は、D
OFS2=L
OVS/α=L
1/αが成立する。したがって、撮像素子301をフォーカスレンズ210の駆動方向に第2オフセット量D
OFS2だけ駆動させることによって、フォーカスレンズ210のオーバーシュートに起因する合焦ずれを補正することができる。
【0102】
以上で説明した第4の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
図12のカメラは、フォーカスレンズ210を有する撮影レンズ400を備える。カメラボディ300は、ボディコントローラ350が撮影レンズ400のレンズコントローラ450を介してフォーカスレンズ駆動部211を制御し、フォーカスレンズ210を駆動している。カメラボディ300は、撮影レンズ400により結像した被写体像を受光して画像信号を出力する撮像素子301を備える。カメラボディ300は、ボディコントローラ350が撮像素子駆動部302を制御し、撮像素子301を光軸方向に駆動している。ボディコントローラ350は、
図14のステップS401において、撮像素子301のウォブリング動作によりフォーカスレンズ210の駆動方向を決定する。また、カメラボディ300は、撮像素子301から出力された画像信号に基づいて撮影レンズ400の焦点調節状態を表す焦点評価値を検出する焦点評価値演算部151を備える。ボディコントローラ350は、撮像素子301を合焦動作検出位置に停止させた(
図14のステップS404)後に、フォーカスレンズ210を駆動方向に駆動させて(
図14のステップS105)、焦点評価値がピーク値となったとき(時間T1)のフォーカスレンズ210の位置より所定量(L
1)離れた位置にフォーカスレンズ210を停止させる(
図14のステップS110)。その後、ボディコントローラ350は、フォーカスレンズ210が停止した状態で、撮像素子301を駆動方向に駆動して基準位置33まで駆動させる(
図14のステップS405)。本発明によれば、焦点評価値のピーク検出後はフォーカスレンズ210を駆動させず、撮像素子301を駆動させて合焦ずれを補正するため、駆動音や振動の発生を抑制することができる。
【0103】
以上で説明した第4の実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例4−1)
図14のフローチャートを用いた説明では、ステップS403で撮像素子301を合焦検出動作位置に駆動した後にステップS105でフォーカスレンズ210による山登り動作を開始して、ステップS110でフォーカスレンズ210が停止した後にステップS404でウォブリングレンズ220を基準位置33に駆動した。しかし、撮像素子301を、焦点評価値のピーク値が検出されたときの位置から、フォーカスレンズ210の駆動方向に対応した方向に第2オフセット量D
OFS2だけ駆動させる処理を有すれば、山登り動作を開始するときの撮像素子301の位置は基準位置33のままでよい。
【0104】
図16は、
図14に示される山登りコントラスト方式の焦点検出処理の変形例である。
図16の例では、フォーカスレンズ210による山登り動作を開始するとき(ステップS105)、撮像素子301は基準位置33の位置にある。
図16の各フローは、
図6および
図14のフローと同様であるため説明を省略する。
【0105】
(変形例4−2)
図14のステップS405では、撮像素子301を第2オフセット量D
OFS2だけ駆動して基準位置33まで移動させた。しかし、第2の実施の形態のように、フォーカスレンズ210の実際のオーバーシュート量L
1を検出して、そのオーバーシュート量L
1に基づいた合焦位置補正量(第2の実施の形態の合焦位置補正量D
ARに対応)だけ駆動するようにしてもよい。
【0106】
(変形例4−3) 第3の実施の形態のように、フォーカスレンズ210が駆動速度V
FOCUSへの減速を開始して後、フォーカスレンズ210を駆動しながら焦点評価値のピーク値が検出されるまでの間、ボディコントローラ350は撮像素子301によるウォブリング動作を行うことにしてもよい。
【0107】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例5−1)第1〜第3の実施の形態におけるステップS101、第4の実施の形態におけるステップS401において、ウォブリングレンズ220や撮像素子301によるウォブリング動作によって、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定した。しかし、フォーカスレンズ210の駆動方向を決定する方法は、ウォブリング動作に基づく方法だけに限定しない。たとえば、位相差検出方式の焦点検出処理を行うための焦点検出素子をカメラボディ100や300にさらに設けて、その焦点検出素子から出力される焦点検出信号に基づいて算出されるデフォーカス量の正負からフォーカスレンズ210の駆動方向を決定してもよい。この焦点検出素子を用いる駆動方向の決定方法は、ステップS101やステップS401において、ウォブリング動作により焦点評価値が変化しないときにフォーカスレンズ210を駆動しなくてもよいことを確認するために補助的に実施することにしてもよい。
【0108】
(変形例5−2) 第1〜第4の実施の形態では、ステップS105において、フォーカシングレンズ210を所定の駆動速度V
FOCUSよりも速い速度に設定することにしたが、所定の駆動速度V
FOCUSに設定することにしてもよい。これにより、ステップS107やステップS108を省略することができ、フォーカスレンズ210を加減速する回数をさらに低減することができ、駆動音や振動の発生をさらに抑制することができる。
【0109】
(変形例5−3) 第1〜第4の実施の形態では、フォーカスレンズ210やウォブリングレンズ220の像面移動係数は一定値であるとしたが、撮影距離や焦点距離によって像面移動係数が変化する場合も考えられる。この場合は、像面移動係数をボディコントローラ150で演算し、その像面移動係数に基づいてオフセット量D
OFSや合焦位置補正量D
ARや第2オフセット量D
OFS2を算出することにしてもよい。
【0110】
(変形例5−4) 第1〜第4の実施の形態では、ボディコントローラ150または350とレンズコントローラ250または450とが個々に存在する場合を示したが、ボディコントローラ150または350がフォーカスレンズ駆動部211、フォーカスレンズ位置検出部212、ウォブリングレンズ駆動部221、ウォブリングレンズ位置検出部222を直接制御することにしてもよい。
【0111】
(変形例5−5) 第1〜第3の実施の形態では、フォーカスレンズ210のパワーの正負とウォブリングレンズ220のパワーの正負とが一致するものとした。しかし、フォーカスレンズ210のパワーの正負とウォブリングレンズ220のパワーの正負とは、必ずしも一致しなくてもよい。なお、フォーカスレンズ210とウォブリングレンズ220のパワーの正負が一致しないときは、
図2(b)、
図2(c)、
図3、
図6、
図8、
図9、
図11においてウォブリングレンズ220を駆動させる方向は、反転する。
【0112】
上記の実施の形態は、発明の特徴が損なわれない限り、組み合わせて実行してよい。また、上記の実施の形態はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。