特許第6019752号(P6019752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6019752導電性樹脂組成物、電子写真用転写ベルトおよび画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6019752
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】導電性樹脂組成物、電子写真用転写ベルトおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   C08L 81/02 20060101AFI20161020BHJP
   C08L 81/06 20060101ALI20161020BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20161020BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C08L81/02
   C08L81/06
   C08K3/04
   G03G15/16
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-119629(P2012-119629)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-245288(P2013-245288A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−290328(JP,A)
【文献】 特開平06−049359(JP,A)
【文献】 特許第4844559(JP,B2)
【文献】 特開2010−285552(JP,A)
【文献】 特開平04−218566(JP,A)
【文献】 特開平06−220323(JP,A)
【文献】 特開平04−103658(JP,A)
【文献】 特開2009−256480(JP,A)
【文献】 特開2011−225832(JP,A)
【文献】 特開平09−302227(JP,A)
【文献】 特開2001−146637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08K 3/00−13/08
G03G 13/02−13/16
15/00−15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、非晶性ポリマー(B)と導電性材料(C)とを必須成分とする導電性樹脂組成物を成形したフィルム又はシートであって、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をマトリックスとして、前記非晶性ポリマー(B)が粒子状に分散したミクロ相分離構造を有し、
300℃で測定したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度(V6p)と、300℃で測定した非晶性ポリマー(B)の溶融粘度(V6a)との比率V6p/V6aが0.005〜0.2の範囲にあり、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して前記非晶性ポリマー(B)が10〜100質量部の範囲、かつ導電性材料(C)が1〜30質量部の範囲となる割合である、
ことを特徴とする導電性樹脂組成物を成形したフィルム又はシート。
【請求項2】
前記導電性材料(C)の平均一次粒径が0.5〜50nmである請求項1記載のフィルム又はシート。
【請求項3】
前記導電性樹脂組成物の300℃で測定した溶融粘度(V6c)が300〜2000〔Pa・s〕の範囲である請求項1又は2記載のフィルム又はシート。
【請求項4】
非晶性ポリマー(B)の300℃で測定した溶融粘度(V6a)が20〜5000〔Pa・s〕の範囲である請求項1記載のフィルム又はシート。
【請求項5】
前記粒子状に分散した非晶性ポリマー(B)が平均粒径1〜100〔μm〕の範囲を有する請求項1記載のフィルム又はシート。
【請求項6】
粒子状に分散した非晶性ポリマー(B)中に、さらに導電性材料(C)が分散している請求項1記載のフィルム又はシート。
【請求項7】
前記非晶性ポリマー(B)が、ポリエーテルスルフォン樹脂である請求項1記載のフィルム又はシート。
【請求項8】
前記導電性材料(C)がカーボンブラックである請求項1記載のフィルム又はシート。
【請求項9】
請求項1記載のフィルム又はシートを環状に成形して得られる電子写真用転写ベルト。
【請求項10】
請求項9記載の電子写真用転写ベルトを備えた画像形成装置。
【請求項11】
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、非晶性ポリマー(B)と導電性材料(C)とを溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を成形するフィルム又はシートの製造方法であって、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をマトリックスとして、前記非晶性ポリマー(B)が粒子状に分散したミクロ相分離構造を有し、
300℃で測定したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度(V6p)と、300℃で測定した非晶性ポリマー(B)の溶融粘度(V6a)との比率V6p/V6aが0.005〜0.2の範囲にあり、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して前記非晶性ポリマー(B)が10〜100質量部の範囲、かつ導電性材料(C)が1〜30質量部の範囲となる割合である、
ことを特徴とするフィルム又はシートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性樹脂組成物、電子写真用転写ベルトおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「PPS樹脂」と略すことがある)に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、「PAS樹脂」と略すことがある)は、優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬品性、電気絶縁性など、エンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有しており、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに使用されている。
【0003】
このポリアリーレンスルフィド樹脂を電子写真用転写ベルトや帯電防止トレーなどの導電性用途に適用する場合、カーボンなどの導電性材料を添加し、樹脂の導電性を均一な半導体領域にする必要があるが、ポリアリーレンスルフィド樹脂はカーボンの分散性が必ずしも優れているとは言えず、押出し成形時にカーボンの分散状態が変化し、導電性が不均一となる問題を抱えている。転写ベルトにおいて導電性が不均一であると、耐刷時において文字の中抜けやトナーの飛び散りが発生する。また、ポリアリーレンスルフィド樹脂は靱性が不十分であることから、多くの場合ガラス繊維などの強化剤を併用して強度を向上させて用いられてきたが、電子写真用転写ベルトなどのように表面平滑性が求められる用途ではガラス繊維などを用いない非強化材料が求められている。
【0004】
そこで、ポリアリーレンスルフィド樹脂にポリアミド樹脂を配合することで、樹脂の靱性を高めつつ、かつ樹脂組成物中のカーボンの分散状態を均一にして、比較的均一な導電性が付与された電子写真用転写ベルトが得られることが報告されている(特許文献1、2参照)。しかしながら、ポリアミド樹脂による導電性材料の分散性能は十分なものとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−20154号公報
【特許文献2】特開2010−143970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、導電性材料の分散性が良く、導電性に優れた導電性樹脂組成物、該導電性樹脂組成物を成形して得られる導電性に優れた成形体、該導電性樹脂組成物を環状に押出成形して得られる導電性に優れた電子写真用転写ベルトおよび該転写ベルトを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記の課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、非晶性ポリマーと、導電性材料とを特定の条件下で溶融混練することで、ポリアリーレンスルフィド樹脂をマトリックスとして、前記非晶性ポリマーが粒子状に分散した海島構造を形成させることができ、一方の相の導電性材料濃度が高まり、効率的な導電ネットワークが形成され、樹脂組成物の導電性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を達成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、非晶性ポリマー(B)と導電性材料(C)とを必須成分とする導電性樹脂組成物であって、
300℃で測定したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度(V6p)と、300℃で測定した非晶性ポリマー(B)の溶融粘度(V6a)との比率V6p/V6aが0.005〜0.2の範囲にあることを特徴とする導電性樹脂組成物に関する。
【0009】
また本発明は、前記記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体、特にシート又はフィルム、さらには前記記載の導電性樹脂組成物を環状に押出成形して得られる電子写真用転写ベルト、また、前記記載の電子写真用転写ベルトを備えた画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、導電性材料の分散性に優れ、優れた導電性を呈する導電性樹脂組成物、該導電性樹脂組成物を成形して得られる導電性に優れた成形体、該導電性樹脂組成物を環状に押出成形して得られる導電性に優れた電子写真用転写ベルトおよび該転写ベルトを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例1で得られた導電フィルム(1)の顕微鏡写真である。
図2図2は、実施例2で得られた導電フィルム(2)の顕微鏡写真である。
図3図3は、比較例1で得られた導電フィルム(3)の顕微鏡写真である。
図4図4は、比較例2で得られた導電フィルム(4)の顕微鏡写真である。
図5図5は、比較例3で得られた導電フィルム(5)の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、 ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、非晶性ポリマー(B)と導電性材料(C)とを必須成分とする導電性樹脂組成物であって、300℃で測定したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度(V6p)と、300℃で測定した非晶性ポリマー(B)の溶融粘度(V6a)との比率V6p/V6aが0.01〜0.2の範囲である。
【0013】
<ポリアリーレンスルフィド樹脂>
本発明に使用するポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
【0014】
【化1】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位を繰り返し単位とする樹脂である。
【0015】
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(2)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(3)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
【0016】
【化2】
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(2)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
【0017】
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、前記式(1)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(4)〜(7)
【0018】
【化3】
で表される構造部位を、前記式(1)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記式(4)〜(7)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)中に、上記式(4)〜(7)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
【0019】
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、その分子構造中に、下記式(8)
【0020】
【化4】
で表される3官能性の構造部位、或いは、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
【0021】
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、300℃で測定した溶融粘度(V6p)が5〜1,000〔Pa・s〕の範囲のものを用いることができるが、より高分子量のものを用いることが成形時の吐出むらをより抑制することができ、均一な厚みの成形品を得ることが容易となる傾向にあることから、100〔Pa・s〕以上が好適な範囲である。一方、溶融混練時のゲル化傾向をおさえ、表面平滑性に優れた成形品が得られやすくなる傾向にあることから、500〔Pa・s〕以下の範囲、さらには300〔Pa・s〕の範囲が好ましい。
【0022】
ただし、本発明において、「300℃で測定した溶融粘度」とは、高化式フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度を表す。
【0023】
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の末端カルボキシ基数は本発明の効果を損ねないものであれば特に制限されるものではないが、末端にカルボキシ基を該樹脂中25〜60(μmol/g)の割合で含有するものを用いることが好ましい。末端カルボキシ基が25(μmol/g)以上であれば、各種添加剤との反応性がより十分なものとなり、耐冷熱衝撃性などの機械的強度など目的とする効果がより発揮されやすく、一方、60(μmol/g)を以下であれば、溶融混練時のゲル化傾向をおさえ、表面平滑性に優れた成形品が得られやすくなる。
【0024】
さらに、該ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の形状も本発明の効果を損ねないものであれば特に制限されるものではないが、非ニュートン指数が0.90〜1.25の範囲であり、いわゆるリニア型構造を有するものを用いることが好ましい。非ニュートン指数が1.25以下であれば分岐度をおさえ、末端カルボキシ基の割合を適切な範囲に調整することが容易となる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、式SR=K・SS[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]を用いて算出したN値である。
【0025】
前記のように本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、リニア型構造の中でも非ニュートン指数が0.90〜1.25の分岐度の低い直鎖構造を有するものが好ましく、このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は柔軟性に優れるだけでなく、機械的強度、とくに耐冷熱衝撃性を改善することができる。
さらに非晶性ポリマー(B)との相溶性が改善し、成形性と耐冷熱衝撃性が一層良好となることから、樹脂(A)中のアルカリ金属塩が樹脂中20〔μmol/g〕以下の割合のものを用いることが好ましい。
【0026】
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)は、例えば、国際公開2010/58713号パンフレットなどに記載された以下の方法によって製造することができる。すなわち、非加水分解性有機溶媒の存在下、含水アルカリ金属硫化物、又は、含水アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物と、加水分解によって開環し得る脂肪族系環状化合物とを、含水アルカリ金属硫化物の沸点以上で、かつ、水が共沸により除去される温度、具体的には80〜220℃の範囲で脱水させながら反応させて固形のアルカリ金属硫化物と前記脂肪族環状化合物の加水分解物のアルカリ金属塩を含むスラリー(I)を製造し、得られたスラリー(I)を、更に非プロトン性極性有機溶媒を加え、反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下まで留去して脱水を行う。
【0027】
次に、前記脱水工程を経て得られたスラリー(I)中で、ポリハロ芳香族化合物と、アルカリ金属水硫化物と、前記脂肪族系環状化合物の加水分解物のアルカリ金属塩とを、非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して反応系内に現存する水分量が0.02モル以下で180〜300℃の範囲で反応させて重合を行う。
【0028】
上記の反応系内の前記脂肪族系環状化合物の加水分解物のアルカリ金属塩の存在割合は、反応系内に存在する硫黄原子の1モルに対して0.01モル以上0.9モル未満であるが、特に0.04〜0.4モルの範囲であることが副反応抑制の効果が顕著なものとなる点から好ましい。
【0029】
また、重合反応を行う際のポリハロ芳香族化合物の量は、具体的には、反応系内の硫黄原子1モル当たり、0.8〜1.2モルの範囲が好ましく、特に0.9〜1.1モルの範囲がより高分子量の粗ポリアリーレンスルフィド樹脂を得られる点から好ましい。
【0030】
重合反応において、更に非プロトン性極性有機溶媒を加えてもよい。反応内に存在する非プロトン性極性有機溶媒の総使用量は、特に制限されるものではないが、反応系内に存在する硫黄原子1モル当たり0.6〜10モルとなる様に非プロトン性極性有機溶媒を追加することができる。
【0031】
次に、重合反応により得られた粗ポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物を精製処理する。その方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、又は酸あるいは塩基を加えた後、減圧下又は常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコールなどの溶媒で1回又は2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過及び乾燥する方法、あるいは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともポリアリーレンスルフィド樹脂(A)に対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)や無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、あるいは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコールなどの溶媒で1回又は2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過及び乾燥をする方法等が挙げられる。
本発明には市販されているポリアリーレンスルフィド樹脂を使用することができ、このような市販ポリアリーレンスルフィド樹脂(いずれも商品名)として、例えば、DIC株式会社製のMA−505、MA−510、MA−520等が挙げられる。
【0032】
<非晶性ポリマー(B)>
本発明の導電性樹脂組成物はポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をマトリックスとして、前記非晶性ポリマー(B)が粒子状に分散したミクロ相分離構造、いわゆる海島構造を形成させることができ、一方の相の導電性材料濃度が高まり、効率的な導電ネットワークが形成されることから、導電性が飛躍的に向上する。
【0033】
前記導電性樹脂組成物は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をマトリックスとして、前記非晶性ポリマー(B)が粒子状に分散しているミクロ相分離構造を有しており、さらに、粒子状に分散している非晶性ポリマー(B)中に、導電性材料(C)が分散している。
【0034】
このようなミクロ相分離構造をとるためには、非晶性ポリマー(B)の300℃で測定した溶融粘度(V6a)は20〜5000〔Pa・s〕の範囲、好ましくは500〜4500〔Pa・S〕の範囲である。さらに、前記ミクロ相分離構造を形成させるためには、溶融混練時にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)との溶融粘度の差が少ないことが望ましい。このため、300℃で測定したポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の溶融粘度(V6p)と、300℃で測定した非晶性ポリマー(B)の溶融粘度(V6a)との比率V6p/V6aが0.005以上の範囲であり、好ましくは0.01以上の範囲である。
V6p/V6a値が0.005より小さいと、溶融混練時における導電性粒子の分散性が悪くなり、粗大粒子が生成する傾向にある。このため、V6p/V6a値が0.005以上の範囲であれば、導電性粒子(C)の粗大粒子は生成されず、該導電性粒子(C)の粒径は20〔μm〕以下、好ましくは0.005〜5〔μm〕の範囲のものとなる。なお導電性粒子(C)の粒径値0.005〔μm〕は、顕微鏡を用いた観察の限界値である。一方、V6p/V6a値の上限値はポリアリーレンスルフィド樹脂が相対的に高分子量物となる傾向となるためゲル化しやすく、このため、V6p/V6a値は0.2以下の範囲が好ましく、さらに0.1以下の範囲がより好ましい。
【0035】
本発明の樹脂組成物中の非晶性ポリマー(B)の組成比率はポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、10〜100質量部、好ましくは10〜50質量部の範囲である。
【0036】
本発明で用いる非晶性ポリマーとしては、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリエーテルスルフォン樹脂(PES)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、が挙げられ、このうち、導電性により優れることからポリエーテルスルフォン樹脂が好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエーテルスルフォン樹脂としては、下記式(9)
【0037】
【化5】

で表される繰返し単位(以下、「式(9)単位」という。)を、全繰返し単位の合計に対して、80モル%以上含むポリエーテルスルフォン樹脂であり、このようなポリエーテルスルフォン樹脂は、より耐熱性に優れるという利点がある。かかる観点から、式(9)単位が90モル%以上であると、より好ましく、実質的に式(9)単位からなるポリエーテルスルフォン樹脂が特に好ましい。ポリエーテルスルフォン樹脂には製造条件などから末端基に、例えば、塩素原子、水酸基、金属アルコキシド基、アルコキシ基等が結合していてもよい。
【0038】
本発明には市販されているポリエーテルスルフォン樹脂を使用することができ、このような市販ポリエーテルスルフォン樹脂(いずれも商品名)として、例えば、住友化学株式会社製のスミカエクセルPES3600P、4100P、4800P、5200P等、ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社 ベラデルA−201,A−301等、BASF社製ウルトラゾーンE1010、E2010、E3010等が挙げられる。
【0039】
また、本発明で好ましく用いられるポリフェニレンエーテル樹脂としては、下記式(10)で示される繰返し単位を有するホモ重合体及び/又は共重合体のポリフェニレンエーテル樹脂が挙げられる。
【0040】
【化6】
(ここで、R,R,R及びRはそれぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級又は第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0041】
このうち具体的な例としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0042】
<導電性材料(C)>
本発明に用いる導電性材料(C)としては、配合されることによって導電性を付与できるものであれば特に制限されない。例えば、電子写真用転写ベルトや帯電防止トレーなどの電子部品の分野で従来から使用されている公知の導電性材料料が使用可能である。導電性材料(C)の具体例としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、低温焼成カーボンなどの易黒鉛化性カーボンや有機物を炭化させた難黒鉛化性カーボン、金属の複合酸化物、例えばペロブスカイト群などの化合物や、亜鉛、スズ、インジウム、アンチモンなどの結晶性あるいは非晶性の酸化物、あるいはこれらの元素の組合せから成る酸化物等の金属酸化物微粒子、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、スルフォン酸もしくはカルボン酸を側鎖に有するポリマーなどの導電性もしくは半導電性高分子等が挙げられ、このうちカーボンが好ましい。導電性材料、特にカーボンの平均一次粒径は通常、0.5〜50〔nm〕、好ましくは15〜40〔nm〕である。
【0043】
本発明の導電性樹脂組成物中の導電性材料(C)の組成比率はポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは5〜25質量部の範囲である。特に樹脂組成物に10の9乗〜11乗Ω/□程度の優れた表面抵抗を付与する観点から、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して、5〜20質量部が好ましい。2種類以上の導電性材料を併用することも可能であるが、その場合は、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0044】
<その他成分>
本発明の導電性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などの通常の添加剤および少量の他種ポリマーを配合することができる。更に、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の架橋度を制御する目的で、通常の過酸化剤および特開昭59−131650号公報に記載されているチオホスフィン酸金属塩などの架橋促進剤または特開昭58−204045号公報、特開昭58−204046号公報などに記載されているジアルキル錫ジカルボキシレート、アミノトリアゾールなどの架橋防止剤を配合することもできる。
【0045】
本発明の導電性樹脂組成物において、繊維状および/または粒状の強化剤は必須成分ではないが、必要に応じて配合することが可能である。強化剤は、転写ベルト中の樹脂成分100質量に対して400質量部を越えない範囲で配合することが可能である。強化剤を通常は、1〜300質量部の範囲で配合することにより強度、剛性、耐熱性、寸法安定性などのさらなる向上を図ることが可能である。
【0046】
繊維状強化剤としては、ガラス繊維、シラスガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの無機繊維および炭素繊維等が挙げられる。
【0047】
粒状の強化剤としては、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどが挙げられ、これらは中空であってもよい。
【0048】
強化剤は2種以上を併用することが可能であり、必要によりシラン系、チタン系などのカップリング剤で予備処理して使用することができる。
【0049】
<樹脂組成物の製造>
本発明の導電性樹脂組成物は、例えば、以下に示す方法によって製造できる。
まず、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、非晶性ポリマー(B)および導電性材料(C)、ならびに所望により他の添加剤や強化剤を含む混合物を溶融混練し、押出した混練物を冷却する。
【0050】
溶融混練を行う温度は、ポリアリーレンスルフィド樹脂および非晶性ポリマーの融点以上の温度であり、例えば、非晶性ポリマーがポリエーテルスルフォン樹脂であれば、通常270〜380℃の範囲である。
【0051】
具体的には、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)、非晶性ポリマー(B)および導電性材料(C)を、更に必要に応じてその他の配合成分をタンブラー又はヘンシェルミキサーなどで均一に混合、次いで、2軸押出機に投入し、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02〜0.2(kg/hr/rpm)なる条件下に溶融混練する方法が挙げられる。かかる条件下に製造することによって前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をマトリックスとして、前記非晶性ポリマー(B)が平均粒径1〜100〔μm〕の粒子状に微分散された海島構造を形成させることができるだけでなく、さらに前記導電性材料(C)が、一方の相に積極的に侵入し、均一に分散することが可能となる。その際、非晶性ポリマー(B)に分散した導電性材料(C)の粒径は、SEMによる測定法で0.005〜5〔μm〕、好ましくは0.005〜1〔μm〕の範囲である。このように、海島構造を形成させることによって、一方の相の導電性材料濃度が高まり、効率的な導電ネットワークが形成され、高導電性を発現する。
【0052】
上記製造方法につき更に詳述すれば、前記した各成分を2軸押出機内に投入し、設定温度310℃、樹脂温度330℃程度の温度条件下に溶融混練する方法が挙げられる。この際、樹脂成分の吐出量は回転数200rpmで4〜40kg/hrの範囲となる。なかでも特に分散性の点から10〜25kg/hrであることが好ましい。よって、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)は、特に0.05〜0.125(kg/hr/rpm)であることが好ましい。また、2軸押出機のトルクは最大トルクが20〜100(A)、特に25〜80(A)となる範囲であることが前記導電性材料(C)のポリアリーレンスルフィド樹脂(A)をマトリックスとして、前記非晶性ポリマー(B)が微分散された海島構造を形成させること、および、当該導電性材料(C)の分散性が良好となる点から好ましい。
【0053】
また、前記配合成分のうち強化剤や添加剤を添加する場合は、前記2軸押出機のサイドフィーダーから該押出機内に投入することが分散性の観点から好ましい。かかるサイドフィーダーの位置は、前記2軸押出機のスクリュー全長に対する、押出機樹脂投入部から該サイドフィーダーまでの距離の比率が、0.1〜0.6であることが好ましい。中でも0.2〜0.4であることが特に好ましい。
【0054】
このようにして溶融混練された樹脂組成物はペレットとして得られ、次いで、室温で放置すればよいが、混練物をそのまま5〜60℃の水に浸漬することによって急冷などの冷却を行う。これにより、溶融混練物中のモルフォロジーが有効に維持される。
【0055】
このようにして得られた導電性樹脂組成物は、300℃における溶融粘度が10〜2000〔Pa・s〕の範囲のものとなるが、特に射出成形用には10〜300〔Pa・s〕のものを好適に用いることができ、さらにフィルムまたはシート用途には300〜2000〔Pa・s〕のものを好適に用いることができる。
【0056】
<成形体>
本発明の導電性樹脂組成物は、射出成形法、圧縮成形法、押出し成形法、中空成形法などの公知慣用の成形法により、様々な部品・部材に成形することができ、例えば、コネクター、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、プリント配線板、コンピュータ関連部品、等の電気・電子部品;ICトレー、ウエハーキャリヤー、等の半導体製造プロセス関連部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具、等の家庭電気製品部品;ランプリフレクター、ランプホルダー、等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザディスク(登録商標)、スピーカー、等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、電話機部品、ファクシミリ部品、モデム、等の通信機器部品;分離爪、ヒータホルダー、等の複写機関連部品;インペラー、ファン、歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース、等の機械部品;自動車用機構部品、エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品、等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器、等の調理用器具;床材、壁材などの断熱、防音用材料、梁、柱などの支持材料、屋根材、等の建築資材または土木建築用材料;航空機部品、宇宙機部品、原子炉などの放射線施設部材、海洋施設部材、洗浄用治具、光学機器部品、バルブ類、パイプ類、ノズル類、フィルター類、膜、医療用機器部品及び医療用材料、センサー類部品、サニタリー備品、スポーツ用品、レジャー用品などが挙げられる。
【0057】
<電子写真用転写ベルトの製造>
冷却を行い、所望により粉砕して得た樹脂組成物のペレットは、樹脂組成物中の導電性材料の均一分散が達成され、導電性に優れた熱可塑性樹脂組成物となる。目的とする電子写真用転写ベルトに成形するためには、これをさらに成形機に供して押出成形法、射出成形法、圧縮成形法、吹込成形法、射出圧縮成形法などの公知の各種成形法に適用して、シートまたはフィルムとして得る(成形工程)。シートまたはフィルムの形状は特に制限されず、例えば、環状に押出成形してシームレス環形状、シート状形状を円筒に加工したもの等が挙げられる。本発明の転写ベルトはシームレス環状形状を有することが好ましい。
【0058】
次いで、成形したベルト形状物を冷却することによって、導電性材料の分散形態が有効に維持され、導電性に優れた電子写真用転写ベルトが得られる。冷却は、ベルト形状物を室温で放置すればよいが、5〜60℃の水に浸漬することによって急冷することが好ましい。
【0059】
なお、前記添加剤や強化剤は通常、樹脂組成物を溶融混練する際に添加、混合するが、樹脂組成物のベルト形状への成形工程でサイドフィーダーを用いて添加・混合してもよい。特に配合量が少ない添加剤は、ベルト形状への成形工程直前に添加・混合してもよい。
【0060】
本発明の転写ベルトは、感光体上に形成されたトナー像を自己の表面に一旦、転写させた後、転写されたトナー像を紙等の記録材にさらに転写させるための中間転写ベルトであってもよいし、または紙を静電気により吸着し感光体上に形成されたトナー像をその紙に直接転写する直接転写ベルトであってもよい。
【0061】
本発明の転写ベルトは、前記樹脂組成物からなるベルトをそのまま用いても良いが、転写効率を高めるために、表面だけを硬くすると、本発明の効果をさらに有効に得ることができる。表面だけを硬くする方法として無機材料をコーティングする方法がよいが、その方法は特に限定されるものではない。例えば、「ゾル−ゲル法応用技術の新展開」(CMC出版)に記載されているような塗布による方法、「薄膜材料入門」(裳華房)に記載されたCVD、PVD、プラズマコーティングなどの物理化学的方法など、公知の方法を採用できる。表面にコーティングされる無機材料は、本発明の目的を達成できる限り特に制限されず、物性と経済性を考慮すると、Si、Al、Cを含む酸化物系材料が特に好ましい。例えば、アモルファスシリカ薄膜、アモルファスアルミナ薄膜、アモルファスシリカアルミナ薄膜、アモルファスダイヤモンド薄膜などが推奨される。このようなPPSよりも硬度の高い無機薄膜を本発明のベルトにコーティングすることにより、ブレードとの摩擦磨耗寿命が改善されるだけでなく、転写性も向上する。
【0062】
本発明の転写ベルトは、中間転写方式の画像形成装置に用いられる転写ベルト、特に継ぎ目のないシームレスベルトに適用できる。本発明に係る転写ベルトは、現像装置に単色トナーのみを持つモノカラー画像形成装置、1つの潜像担持体に対してY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の現像器が備わり、各色の現像器ごとに潜像担持体上での現像およびトナー像の転写ベルトへの一次転写を行うサイクル方式フルカラー画像形成装置、1つの潜像担持体に対して1つの現像器が備わった各色の画像形成ユニットが直列に配置され、各色の画像形成ユニットごとに潜像担持体上での現像およびトナー像の転写ベルトへの一次転写を行うタンデム方式フルカラー画像形成装置などに適用することができる。本発明の転写ベルトを適用することにより文字の中抜けやトナーの飛び散りを抑制できる画像形成装置とすることができる。
【実施例】
【0063】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0064】
〔実施例1〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂(DIC株式会社製「MA−520」300℃における溶融粘度V6p約120〔Pa・s〕、非ニュートン指数0.99、カルボキシ基含有量44μmol/g、アルカリ金属塩9.6μmol/g)3330質量部、ポリエーテルスルフォン樹脂(BASF社製「PES E1010」300℃における溶融粘度(V6a)約4000〔Pa・s〕)370質量部、カーボン(電気化学工業株式会社製「デンカブラック」)300質量部をタンブラーで均一に混合し、配合材料とした。その後、株式会社日本製鋼所製ベント付き2軸押出機「TEX−30」に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量15kg/hr、スクリュー回転数200(rpm)、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)=0.075(kg/hr/rpm)、最大トルク40(A)、設定樹脂温度310℃で溶融混練して樹脂組成物のペレット(1)を得た。なお、樹脂組成物の300℃における溶融粘度〔Pa・s〕を表1に示した。
得られた樹脂組成物のペレット(1)を室温で24時間放置した後、Tダイ押出機にて設定樹脂温度310℃でフィルム化し、厚み80μmの導電フィルム(1)を作製した。
【0065】
〔実施例2〕
配合比率を、ポリフェニレンスルフィド樹脂1850質量部、ポリエーテルスルフォン樹脂1850質量部、カーボン300gとしたこと以外は実施例1と同様にしてペレット(2)、導電フィルム(2)を作成した。
【0066】
〔比較例1〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂(DIC株式会社製「MA−520」)3453質量部、ポリアミド樹脂(宇部興産株式会社製「1011FB」)247質量部、カーボン(電気化学工業株式会社製「デンカブラック」)300質量部をタンブラーで均一に混合し、配合材料とした。その後、株式会社日本製鋼所製ベント付き2軸押出機「TEX−30」に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量15kg/hr、スクリュー回転数200rpm、樹脂成分の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)=0.075(kg/hr/rpm)、最大トルク40(A)、設定樹脂温度300℃で溶融混練して樹脂組成物のペレット(3)を得た。得られた樹脂組成物のペレット(3)を室温で24時間放置した後、Tダイ押出機にて設定樹脂温度300℃でフィルム化し、厚み80〔μm〕の導電フィルム(3)を作製した。
【0067】
〔比較例2〕
得られた樹脂組成物のペレットを24℃の水で直ちに急冷したこと以外は比較例1と同様にしてペレット(4)、導電フィルム(4)を作製した。
【0068】
〔比較例3〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂として(DIC株式会社製「MA−501」300℃における溶融粘度V6p約15〔Pa・s〕)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてペレット(5)、導電フィルム(5)を作製した。
【0069】
〔実施例3〜4、比較例3〜5〕
実施例1〜2、比較例1〜3で作製した導電性フィルム(1)〜(5)を用いて以下の分散性試験および導電性試験の各測定試験を行った。その結果を表1に示した。
【0070】
(溶融粘度)
フローテスター(島津製作所製高化式フローテスター「CFT−500D型」)を用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持後の溶融粘度を測定した。
【0071】
(分散性)
導電フィルムを株式会社キーエンス製顕微鏡(VHX-2000)にて測定し、0.5cm当たりの凝集粒子数、凝集粒子の最大粒子径を測定した。
【0072】
(導電性)
導電フィルムの表面抵抗を測定した。測定は、試験片の幅方向、長さ方向において40mm間隔にて9点で、抵抗計(ハイレスタ:株式会社三菱化学アナリテック製)により測定した。
試験片・・・100mm(幅)×100mm(長)
【0073】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5