(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、本明細書における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0027】
(隔壁形成材料)
本発明の隔壁形成材料は、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)チオール化合物、及び、(E)シランカップリング剤を含有してなる。かかる隔壁形成材料は、光により硬化する感光性樹脂組成物である。
【0028】
上記構成を有することによる効果の発現機構は必ずしも明らかではないが、本発明者は以下のように推察している。即ち、メルカプト基を含むチオール化合物が光重合開始剤へ水素供与することにより、感度を使用可能な範囲内に維持しつつ、シランカップリング剤と無機基材とのカップリング作用により、基材への密着性が向上したものと推察している。ガラスやPETなど表面が平滑な基材では、隔壁形成材料と基板との物理的な密着性が期待できるアンカー効果が発揮されないため、従来の隔壁形成材料では密着性が弱まるが、本発明の隔壁形成材料は、これらのような平滑面を有する基材に対しても高密着性を達成できる。
【0029】
以下、各成分について詳細に説明する。
【0030】
(A)成分:バインダーポリマー
上記隔壁形成材料は、(A)成分としてバインダーポリマーの少なくとも1種を含む。バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体(モノマー)をラジカル重合させることにより得られる。
【0031】
重合性単量体(モノマー)としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモアクリル酸、α−クロルアクリル酸、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシプロピルオキシエチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルオキシプロピルオキシエチル、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン;ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル化合物;マレイン酸;マレイン酸無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル;フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等の不飽和カルボン酸誘導体などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0032】
(A)成分は、現像性、感度、ガラスへの密着性の見地から、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体、スチレン及びスチレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性単量体に由来する構成単位を有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸ベンジル及び(メタ)アクリル酸ベンジル誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、スチレン及びスチレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種とを双方含むことがより好ましい。すなわち、(A)成分は、これらの重合性単量体を含む2種以上の重合性単量体をラジカル重合させることにより得られるものであることが好ましく、これらの重合性単量体に由来する構成単位を有するものであることが好ましい。
【0033】
(A)成分が、(メタ)アクリル酸ベンジル又はその誘導体に由来する構成単位を有する場合、その含有率は、密着性に優れる点では、(A)成分を構成する重合性単量体の全質量を基準(100質量%、以下同様)として3質量%〜85質量%であることが好ましく、5質量%〜75質量%であることがより好ましく、10質量%〜70質量%であることが更に好ましく、10質量%〜50質量%であることが特に好ましい。解像度に優れる点では、この含有量が3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。また、剥離性、密着性に優れる点では、この含有量が85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
【0034】
(A)成分が、スチレン又はその誘導体に由来する構成単位を有する場合、その含有率は、密着性に優れる点では、(A)成分を構成する重合性単量体の全質量を基準として10質量%〜70質量%であることが好ましく、15質量%〜60質量%であることがより好ましく、20質量%〜55質量%であることが更に好ましい。密着性に優れる点では、この含有量が10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。また、剥離性に優れる点では、この含有量が70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることが更に好ましい。
【0035】
また、(A)成分は、アルカリ現像性及び剥離性を向上させる観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することが好ましい。
【0036】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0037】
(A)成分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有する場合、その含有率は、剥離性、解像度及び密着性に優れる点では、(A)成分を構成する重合性単量体の全質量を基準として1質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましく、3質量%〜10質量%であることが更に好ましい。剥離性に優れる点では、この含有量が1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。また、解像度及び密着性に優れる点では、この含有量が30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
【0038】
(A)バインダーポリマーの酸価は、解像性の観点から30mgKOH/g以上であることが好ましく、耐現像液性及び密着性の観点から250mgKOH/g以下であることが好ましく、40〜230mgKOH/gであることがより好ましく、50〜210mgKOH/gであることがさらに好ましく、60〜190mgKOH/gであることが特に好ましい。現像工程として溶剤による現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体の使用量を抑えて調製することが好ましい。
【0039】
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算)は、耐現像液性の観点から5,000以上であることが好ましく、現像時間を短くできる観点から300,000以下であることが好ましく、10,000〜100,000であることがより好ましく、20,000〜60,000であることが特に好ましい。
【0040】
(A)バインダーポリマーの配合量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部であることが好ましく、35〜65質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であることが特に好ましい。この配合量が30質量部以上であると良好な隔壁形状を得られ易くなる傾向があり、70質量部以下であると良好な感度や解像性、密着性が得られ易くなる傾向がある。
【0041】
(B)成分:エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物
本発明における(B)成分の光重合性化合物としては、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ有する化合物、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上有する化合物等が挙げられる。
【0042】
上記(B)成分は、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上有する化合物の少なくとも1種を含むことが好ましい。上記(B)成分が、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上有する化合物を含む場合、その含有量は(A)成分及び(B)成分の総量100質量部中に、5質量部〜60質量部であることが好ましく、5質量部〜55質量部であることがより好ましく、10質量部〜50質量部であることが更に好ましい。
【0043】
分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート化合物(2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパン)、水添ビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート化合物(2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)シクロヘキシル)プロパン)、分子内にウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート化合物、分子内に(ポリ)オキシエチレン基及び(ポリ)オキシプロピレン基の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
分子内にエチレン性不飽和結合を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の構成単位数が1〜5のもの)、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート及びテトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
(B)成分である光重合性化合物の配合量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部であることが好ましく、35〜65質量部であることがより好ましく、40〜60質量部であることが特に好ましい。この配合量が30質量部以上であると良好な感度や解像性、密着性が得られ易くなる傾向があり、70質量部以下であると良好な隔壁形状を得られ易くなる傾向がある。
【0046】
(C)成分:光重合開始剤
上記隔壁形成材料は、(C)成分として光重合開始剤の少なくとも1種を含む。(C)成分である光重合開始剤としては、特に制限はなく、通常用いられる光重合開始剤から適宜選択することができる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;アルキルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
(C)成分は、感度及び密着性を向上させる観点から、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体の少なくとも1種を含むことが好ましく、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体を含むことがより好ましい。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体は、その構造が対称であっても非対称であってもよい。
【0048】
上記隔壁形成材料における(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1質量部〜10質量部であることが好ましく、1質量部〜7質量部であることがより好ましく、2質量部〜6質量部であることが更に好ましく、3質量部〜5質量部であることが特に好ましい。この含有量が0.1質量部以上であると良好な感度、解像度又は密着性が得られ易くなる傾向があり、10質量部以下であると良好なレジスト形状を得られ易くなる傾向がある。
【0049】
本実施形態の隔壁形成材料は、増感色素の少なくとも1種を含有することができる。
【0050】
増感色素としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
特に、340〜430nmの活性光線を用いて隔壁形成材料を含む塗膜の露光を行う場合には、感度及び密着性の観点から、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、トリアリールアミン化合物、チオキサントン化合物及びアミノアクリジン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の増感色素を含むことが好ましく、中でもジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、及びトリアリールアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、ピラゾリン化合物の少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
【0052】
上記隔壁形成材料における増感色素の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01質量部〜10質量部とすることが好ましく、0.05質量部〜5質量部とすることがより好ましく、0.1質量部〜3質量部とすることが更に好ましい。この含有量が0.01質量部以上であると、感度及び解像度が得られ易くなる傾向があり、10質量部以下であると、十分に良好なレジスト形状が得られ易くなる傾向がある。
【0053】
上記ピラゾリン化合物としては、特に制限なく用いることができるが、具体的には、1−フェニル−3−(4−イソプロピルスチリル)−5−(4−イソプロピルフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−メトキシスチリル)−5−(4−メトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(3,5−ジメトキシスチリル)−5−(3,5−ジメトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(3,4−ジメトキシスチリル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,6−ジメトキシスチリル)−5−(2,6−ジメトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,5−ジメトキシスチリル)−5−(2,5−ジメトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,3−ジメトキシスチリル)−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(2,4−ジメトキシスチリル)−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−ピラゾリンが挙げられる。
【0054】
また、1−フェニル−3,5−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3,5−ビス(4−メトキシフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチルフェニル)−ピラゾリンが挙げられる。
【0055】
ここで(C)成分の光重合開始剤である2,4,5−トリアリールイミダゾールニ量体は、単独若しくは上記増感色素共存下において、露光によって化学変化が生起されて開裂し、ラジカルが生成される化合物と考えられる。生成されたラジカルはチオール化合物など水素供与体となりえる化合物から水素を引き抜き、そこから生成するSラジカルが重合性化合物を反応させ、露光領域を光硬化させると考えられる。そのため本発明の隔壁形成材料は、上述の(A)〜(C)成分に加えて、(D)チオール化合物を含有する。
【0056】
(D)成分:チオール化合物
上記隔壁形成材料は、(D)成分としてチオール化合物の少なくとも1種を含む。(D)成分であるチオール化合物としては、脂肪族チオール化合物が好ましい。
上記脂肪族チオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジチオエリスリトール、2,3−ジメルカプトサクシン酸、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ベンゼンチオール、2,4,6−トリメチル−1,3−ベンゼンジメタンチオール、4,4’−チオジフェノール、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン)等の2官能のチオール化合物;1,2,6−ヘキサントリチオールトリチオグリコレート、1,3,5−トリチオシアヌル酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート等の3官能のチオール化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等の4官能のチオール化合物が挙げられる。
【0057】
また(D)成分であるチオール化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1〜15質量部であることが好ましく、0.5〜12質量部であることがより好ましく、1〜9質量部であることが特に好ましく、2〜8質量部であることが極めて好ましい。この配合量が0.1質量部以上であると期待される感度の向上や解像性、密着性が得られ易くなる傾向があり、15質量部以下であると所望通りの良好な形状のレジストパターンを得られ易くなる傾向がある。なお、この配合量が15質量部を超えると、臭気が悪化し、パターンの線幅が太ってしまうなど所望通りの良好な形状のレジストパターンを得られない傾向がある。(D)成分であるチオール化合物は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0058】
(E)成分:シランカップリング剤
前記(E)成分のシランカップリング剤としては、例えば、アミノ系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、グリシド系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤及びイソシアネート系シランカップリング剤が挙げられ、それらの加水分解基としてはアルコキシ基、クロル基、アセトキシ基、オキシム基、イソプロペノキシ基、アミド基等が挙げられる。
上記の中でも、光反応性基を有するシランカップリング剤が好ましく、ビニル系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤又はエポキシ系シランカップリング剤を含むことが好ましく、ビニル系シランカップリング剤又はメタクリル系シランカップリング剤を含むことがより好ましく、メタクリル系シランカップリング剤を含むことがさらに好ましい。
上記シランカップリング剤としては、具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
本実施形態に係る(E)成分は、加水分解反応の制御範囲が広く、ハンドリングが容易であることから、アルコキシ基を加水分解基とするシランカップリング剤であることが好ましい。
【0060】
また(E)成分であるシランカップリング剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.1〜15質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましく、1〜6質量部であることが特に好ましい。この配合量が0.1質量部以上であると高い密着性が得られ易くなる傾向があり、15質量部以下であると特性の安定性が向上する傾向にある。
【0061】
以上のような成分を含む隔壁形成材料は、さらに必要に応じて、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを、(A)成分および(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0062】
以上のような成分を含む本発明の隔壁形成材料(以下、「感光性樹脂組成物」とも言う)は、たとえば、含有成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。また、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤またはこれらの混合溶剤に溶解して、固形分30〜60質量%程度の溶液として用いることができる。
【0063】
得られた感光性樹脂組成物を用いて画像表示装置用基板上に塗膜(以下、「感光性樹脂組成物層」とも言う)を形成する方法としては、特に制限はないが、前記基板上に感光性樹脂組成物を液状レジストとして塗布して乾燥する方法を用いることができる。また、必要に応じて感光性樹脂組成物層上に保護フィルムを被覆することができる。さらに、後に詳しく述べるが感光性樹脂組成物層を感光性エレメントの形態で用いることが好ましい。塗布される感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。液状レジストとして塗布後、保護フィルムを被覆して用いる場合の保護フィルムとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムが挙げられる。
【0064】
(感光性エレメント)
図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
図1に示すように、本発明の感光性エレメント10は、支持体1と、その上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層2と、感光性樹脂組成物層2上に形成された保護フィルム3と、を備える。なお、保護フィルム3は、必要に応じて設けられる。
【0065】
支持体1としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムを好ましく用いることができる。重合体フィルムの厚みは、1〜100μm程度とすることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
【0066】
支持体1上への感光性樹脂組成物層2の形成方法は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の溶液を塗布、乾燥することにより好ましく実施できる。塗布される感光性樹脂組成物層2の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。本用途に使用する場合は、感光性樹脂組成物層2の厚みは、乾燥後の厚みで10〜100μmであることがより好ましく、20〜90μmであることがさらに好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
【0067】
塗布は、たとえば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物層2中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0068】
支持体1として用いられる上記重合体フィルムを保護フィルム3として用いて、感光性樹脂組成物層2表面を被覆してもよい。保護フィルム3としては、感光性樹脂組成物層2と支持体1との間の接着力よりも、感光性樹脂組成物層2と保護フィルム3との間の接着力の方が小さくなるものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。さらに、感光性エレメント10は、感光性樹脂組成物層2、支持体1及び任意の保護フィルム3の他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
【0069】
製造された感光性エレメント10は、通常、円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際、支持体1が外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。上記巻芯としては、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
【0070】
(画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法)
次に、本発明の画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法について説明する。画像表示装置の隔壁の形成方法は、画像表示装置の基板上に、感光性樹脂組成物、又は感光性エレメントを用いて感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、上記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、上記感光性樹脂組成物層の上記露光部以外の部分を除去して光硬化物パターンを形成する現像工程と、を有する。
【0071】
まず、上述した本発明の感光性樹脂組成物を用いて、感光性樹脂組成物層を画像表示装置の基板上に積層する。上記基板としては、ガラス基板若しくはポリマー基板のような絶縁基板又はシリコン基板などの半導体基板若しくはITOのような電極が形成された基板若しくはカラーフィルターが形成されたガラス基板が挙げられる。積層方法としては、上述した塗布方法が用いられる他、感光性エレメントを用いることもできる。
【0072】
感光性エレメントを用いる積層方法は、感光性樹脂組成物層上に保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去しながら基板上へ積層する。上記積層条件としては、例えば、感光性樹脂組成物層を70〜130℃程度に加熱しながら、基板上に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm
2程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することも可能である。基板表面の形状は、通常は平坦であるが、必要に応じて凹凸や電極パターンが形成されていてもよい。
【0073】
感光性樹脂組成物の積層後、感光性樹脂組成物層に画像状に活性光線を照射して、露光部を光硬化させる。画像状に活性光線を照射させる方法としては、感光性樹脂組成物層上にマスクパターンを設置して画像状に活性光線を照射し、露光部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる方法がある。マスクパターンは、ネガ型でもポジ型でもよく、一般に用いられているものを使用できる。活性光線の光源としては、公知の光源、たとえば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、露光方法としては、マスクパターンを用いずにレーザーで直接パターンを描画する、直接描画露光法を用いることもできる。
【0074】
露光後に未露光部の感光性樹脂組成物層を現像により選択的に除去することにより、画像表示装置用の基板上に光硬化物パターンが形成される。なお、現像工程は、支持体が存在する場合は、現像に先立ち、支持体を除去する。現像は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去することにより行われる。本発明においては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。このアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、たとえば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0075】
現像後の処理として、形成された上記光硬化物パターンを、必要に応じて60〜250℃程度の加熱処理によりさらに硬化してもよい。
【0076】
本発明の画像表示装置の製造方法は、粒子等の表示媒体を上記工程で得た隔壁内に充填する工程と、一方の基板に対向するように隔壁の反対側に基板を貼り付ける工程と、を有する。上記基板としては、ガラス基板若しくはポリマー基板のような絶縁基板又はシリコン基板などの半導体基板若しくはITOのような電極が形成された基板が挙げられる。
【0077】
以下、上述した画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法について、感光性エレメントを用いた場合の一実施形態を、図面を用いて説明する。
【0078】
まず、
図2(a)に示すように、電極4と基板5とからなる画像表示装置用の電極基板30を用意する。電極4は予めパターニングしておく。
【0079】
次に、
図2(b)に示すように、この電極基板30上に、上述した感光性エレメント10における感光性樹脂組成物層2及び支持体1を積層する(積層工程)。感光性樹脂組成物層2の積層後、
図2(b)に示すように、マスクパターン7を用いて、感光性樹脂組成物層2に画像状に活性光線8を照射して、露光部を光硬化させる(露光工程)。
【0080】
露光後、
図2(c)に示すように、未露光部の感光性樹脂組成物層2を現像により選択的に除去することにより、基板5上に光硬化物パターン20が形成される(現像工程)。
【0081】
その後、
図2(d)に示すように、上記現像工程で形成した光硬化物パターン20内に、粒子等の表示媒体50を充填する。表示媒体としては特に限定されないが、電子粉粒体、顔料インク、白色微細粒子等が挙げられる。電子粉粒体や白色微細粒子等を用いる場合、それら以外の光硬化物パターン20内の空間には、空気、オレフィン系溶剤、シリコーンオイル等が充填される。
【0082】
その後、上記光硬化物パターン20に別の電極基板30を貼り付ける工程(
図2の(d)及び(e))等を経て、画像表示装置の隔壁の形成、及び、画像表示装置の製造を完了することができる。
【0083】
光硬化物パターン20に別の電極基板30を貼り付ける工程は、以下のようにして行うことができる。すなわち、上記工程は、
図2(d)に示すように、光硬化物パターン20上に接着剤40を積層し、
図2(e)に示すように、接着剤40によって電極基板30と光硬化物パターン20とを接着することにより行うことができる。なお、接着剤40を用いることなく、光硬化物パターン20に直接電極基板30を接着してもよい。
【0084】
画像表示装置の少なくとも表示面側の電極基板には、透明な電極基板が用いられる。画像表示装置の好ましい態様としては、基板5として透明なガラス基板を用い、電極4として透明なITO電極を用いた態様が挙げられる。
【0085】
本実施形態の製造方法で作製される画像表示装置においては、
図2に示されるように、ガラス基板等の表面が平滑な基板5上に、隔壁となる光硬化物パターン20が形成されるが、本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、幅の細い光硬化物パターン20を密着性良く形成することができる。
【実施例】
【0086】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0087】
(実施例1〜7及び比較例1〜3)
表1に示す材料を撹拌混合し、隔壁形成材としての感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、表1中の(A)成分である樹脂(1)〜(3)は、下記の合成例1〜3に従って合成した。また、表1中、各材料の配合量の単位はgであり、樹脂(1)〜(3)の配合量は、固形分の配合量を示す。
【0088】
[バインダーポリマーの合成]
(合成例1)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えた加圧合成用フラスコに、アセトン71.5g、メタノール5g、プロピレングリコールモノメチルエーテル18.5g、メタクリル酸5g、スチレン5g、メタクリル酸ベンジル5gを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、圧力を1.2kg/cm
2に上げた。この溶液aを85℃まで加熱し30分保温した。一方、メタクリル酸19g、メタクリル酸メチルエステル2.5g、スチレン5g、メタクリル酸ベンジル58.5g、及びアゾビスイソブチロニトリル0.65gを混合した溶液(以下、「溶液b」という)を用意し、溶液aに溶液bを4時間かけて滴下した後、85℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、アセトン7.8gにアゾビスイソブチロニトリル0.1gを溶解した溶液を、40分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら85℃で3時間保温した後、冷却して不揮発分(固形分)が51質量%になるように、アセトンで希釈してバインダーポリマー(樹脂(1))を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は45000、分散度は2.0、酸価は77mgKOH/gであった。
【0089】
なお、バインダーポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は、以下に示す。
【0090】
[GPC測定条件]
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400M
カラム仕様:10.7mmφ × 300mm
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:室温(20〜25℃)
流量:2.05mL/分
濃度:120mg/5mL
注入量:200μL
圧力:49Kgf/cm
2
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製)
【0091】
(合成例2)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、100℃まで加熱した。一方、重合性単量体としてメタクリル酸20g、メタクリル酸メチル30g、メタクリル酸ブチル30g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20gと、アゾビスイソブチロニトリル0.85gとを混合した溶液を、上記フラスコ内の100℃に加熱されたプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに2時間かけて滴下した後、100℃で撹拌しながら0.5時間保温した。さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12gにアゾビスイソブチロニトリル0.25gを溶解した溶液を、5分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら100℃で0.5時間保温した後、0.5時間かけて140℃まで昇温し、攪拌しながら2時間保温した。さらに、0.5時間かけて70℃まで冷却し、窒素ガスから乾燥空気に切り替え吹き込みながら攪拌し、メトキノン0.2g、ジブチルスズラウレート0.02g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25gを混合した溶液を添加し攪拌しながら70℃で0.5時間保温した。最後に、イソシアネートエチルメタクリレート23.4gを2時間かけて滴下した後、冷却して不揮発分(固形分)は41質量%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈してバインダーポリマー(樹脂(2))を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は50000、分散度は2.0、酸価は75mgKOH/gであった。
【0092】
(合成例3)
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比3:2であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物500gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、85℃まで加熱した。一方、重合性単量体としてメタクリル酸150g、メタクリル酸メチルエステル110g、アクリル酸エチルエステル65g、メタクリル酸ブチルエステル50g及びスチレン125gと、アゾビスイソブチロニトリル2.5gとを混合した溶液(以下、「溶液c」という)を用意し、85℃に加熱された質量比3:2であるメチルセロソルブ及びトルエンの上記配合物に溶液cを4時間かけて滴下した後、85℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、質量比3:2であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物150gにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら85℃で5時間保温した後、冷却して不揮発分(固形分)が43質量%になるように、質量比3:2であるアセトン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶媒で希釈してバインダーポリマー(樹脂(3))を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は50000、分散度は2.0、酸価は195mgKOH/gであった。
【0093】
【表1】
(A)成分は固形分量、各成分の数値は質量比を示す。
【0094】
表中の各成分は下記の通りである。
*1;EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(1分子中にエチレンオキサイド(EO)基を10モル付加させたもの)、日立化成工業株式会社製 商品名:FA−321M
*2;ペンタエリスリトールトリアクリレート、日本化薬株式会社製 商品名:PET−30
*3;ポリオキシアルキレングリコールジメタクリレート、日立化成工業株式会社製 商品名;FA−023M
*4;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの変性物、日本化薬株式会社製 商品名:DPEA−12
*5;ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、東亜合成株式会社製 商品名:M−215
*6;アクリル樹脂溶液、日立化成工業株式会社製 商品名:HT−9082−95
*7;γ−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−β’−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート、大阪有機化学工業株式会社製 商品名:FA−MECH
*8;ノニルフェニルEO変性モノアクリレート(1分子中にエチレンオキサイド(EO)基を4モル付加させたもの)、日立化成工業株式会社製 商品名:FA314A
*9;トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(1分子中にエチレンオキサイド(EO)基を21モル付加させたもの)、日立化成工業株式会社製 商品名:TMPT−21
*10;2−(2−クロロフェニル)−1−[2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル]−4,5−ジフェニルイミダゾール、保土ヶ谷化学工業株式会社製 商品名:B−CIM
*11;ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、昭和電工株式会社製 商品名:PE−1
*12;メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング株式会社製 商品名:SZ−6030
*13;1−フェニル−3−(4−メトキシスチリル)−5−(4−メトキシフェニル)ピラゾリン、株式会社日本化学工業所製 商品名:NF−PZ−501D
*14;N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、保土ヶ谷化学工業株式会社製 商品名:EAB
*15;2−メルカプトベンゾイミダゾール、アルドリッチ社製 商品名:2−MBI
【0095】
表1で得られた感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、商品名:FB−40)上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(フィルム長手方向の引張強さ:16MPa、フィルム幅方向の引張強さ:12MPa、商品名:NF−15、タマポリ株式会社製)で保護して感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、50μmであった。
【0096】
一方、ガラス基板(SiO
2ディップ;長さ370mm、幅480mm、厚さ0.7mm、株式会社倉元製作所製)を80℃に加温し、そのガラス表面(SiO
2ディップ面)上に、上記感光性エレメントを、感光性樹脂組成物層がガラス表面に接するように、ポリエチレン製保護フィルムを剥離しながら110℃に加熱したラミネートロールを通してラミネートした。できあがった積層物の構成は、下からガラス基板、感光性樹脂組成物層、ポリエチレンテレフタレートフィルムとなる。得られた積層物についてガラス基板上での感度及び密着性の評価を行った。
【0097】
<感度の評価>
得られた積層基板を放冷し、23℃になった時点で、上記積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、濃度領域0.00〜2.00、濃度ステップ0.05、タブレットの大きさ20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。次いで、高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機(オーク製作所株式会社製)EXM−1201を用いて露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒間スプレーすることにより未露光部を除去した。この際に、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が26.0となるエネルギー量を測定することにより感度の評価とした。表2に評価結果を示す。
【0098】
<密着性の評価>
高圧水銀灯ランプを有する平行光露光機(オーク製作所株式会社製)EXM−1201を用いて、密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が6/400〜47/400(単位:μm、ライン幅2μmまたは3μm毎に増加、スペース幅一定)の配線パターンを有するフォトツールと、41段ステップタブレットを有するフォトツールとを上記積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が26.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で樹脂が現像できる(未露光部を除去できる)最小の時間(最小現像時間)の1.5倍の時間でスプレーすることにより、未露光部分を除去して密着性を評価した。密着性は現像液により剥離されずに残った最も細いラインの幅(μm)で表され、この数値が小さい程、細いラインでもガラス基板から剥離せずに密着していることから、密着性が高いことを示す。表2に評価結果を示す。また、実施例1の感光性エレメントを用いて形成したライン幅8μmの光硬化物パターンの走査型電子顕微鏡(SEM)写真を
図3に示す。なお、アスペクト比は、レジストパターンの膜厚(μm)/レジストパターンの線幅(μm)から算出される。
【0099】
【表2】
比較例1は、パターン形成不可であった。
【0100】
表2より、実施例1〜7は、平滑なガラス上でも良好な密着性を有し、アスペクト比が3以上の光硬化物のパターンを形成可能なことが明らかである。