特許第6020557号(P6020557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6020557ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁および光学素子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6020557
(24)【登録日】2016年10月14日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁および光学素子
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/28 20060101AFI20161020BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20161020BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20161020BHJP
   C09D 201/02 20060101ALI20161020BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20161020BHJP
   C09D 183/08 20060101ALI20161020BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20161020BHJP
   G03F 7/075 20060101ALI20161020BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20161020BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C08G77/28
   C08F290/06
   C09K3/18 104
   C09D201/02
   C09D4/00
   C09D183/08
   C09D5/00 Z
   G03F7/075 511
   G03F7/027 502
   G03F7/038 501
【請求項の数】15
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-512620(P2014-512620)
(86)(22)【出願日】2013年4月23日
(86)【国際出願番号】JP2013061949
(87)【国際公開番号】WO2013161829
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-102984(P2012-102984)
(32)【優先日】2012年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】川島 正行
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/126851(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/027
G03F 7/038
G03F 7/075
C08G 77/28
C09D 5/00
C09D 183/08
C09D 201/02
C09K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥インク剤、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)、光重合開始剤(B)および溶媒(D)を含むネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記撥インク剤が、
フルオロアルキレン基および/またはフルオロアルキル基と、加水分解性基とを有し、メルカプト基を有しない第1の加水分解性シラン化合物と、
メルカプト基と加水分解性基とを有し、フルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を有しない第2の加水分解性シラン化合物とを含む混合物の部分加水分解縮合物からなることを特徴とするネガ型感光性樹脂組成物
【請求項2】
前記混合物中の第2の加水分解性シラン化合物の含有割合は、第1の加水分解性シラン化合物の1モルに対して、0.125〜18モルである請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物
【請求項3】
前記第1の加水分解性シラン化合物が下式(c−1)で表される化合物である、請求項1または2に記載のネガ型感光性樹脂組成物
(A−RF1−Si(RH1(4−a−b)・・・(c−1)
(式(c−1)中、各記号は以下の通りである。
F1は、少なくとも1つのフルオロアルキレン基を含む、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜16の2価の有機基を示す。
H1は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
aは1または2、bは0または1、a+bは1または2である。
Aはフッ素原子または下式(I)で表される基である。
−Si(RH2(3−b)・・・(I)
H2は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
bは0または1である。
およびXは加水分解性基を示す。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
A−RF1が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【請求項4】
前記第1の加水分解性シラン化合物が下式(c−1a)で表される化合物である、請求項3に記載のネガ型感光性樹脂組成物
D−RF2−Q−SiX・・・(c−1a)
(式(c−1a)中、各記号は以下の通りである。
F2は炭素原子数2〜15のエーテル性酸素原子を含んでいてもよいペルフルオロアルキレン基である。
Dはフッ素原子または下式(Ia)で表される基である。
−Q−SiX・・・(Ia)
およびXは加水分解性基を示す。
3個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
3個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
およびQは炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。)
【請求項5】
前記第2の加水分解性シラン化合物が下式(c−2)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物
(HS−Q−Si(RH3(4−p−q)・・・(c−2)
(式(c−2)中、各記号は以下の通りである。
は炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
H3は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
pは1または2、qは0または1、p+qは1または2である。
HS−Qが複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【請求項6】
前記混合物がさらに下式(c−3)で表される第3の加水分解性シラン化合物を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物
SiX・・・(c−3)
(式(c−3)中、Xは加水分解性基を示し、4個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【請求項7】
前記混合物がさらに下式(c−4)で表される第4の加水分解性シラン化合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物
(Y−Q−Si(RH4(4−g−h)・・・(c−4)
(式(c−4)中の記号は、以下の通りである。
Yはエチレン性二重結合を有する基を示す。
は炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
H4は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
gは1または2、hは0または1、g+hは1または2である。
Y−Qが複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【請求項8】
前記混合物がさらに下式(c−5)で表される第5の加水分解性シラン化合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物
(RH5−SiX(4−j)・・・(c−5)
(式(c−5)中、各記号は以下の通りである。
H5は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
jは2または3である。
H5が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【請求項9】
フッ素原子の含有割合が10〜55質量%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物
【請求項10】
数平均分子量が500以上、10,000未満である請求項1〜9のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物
【請求項11】
さらに、架橋剤(E)を含み、当該架橋剤(E)が1分子中に2つ以上のエチレン性二重結合を有し、酸性基を有しない化合物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板表面に塗布し、露光してなることを特徴とする、硬化膜。
【請求項13】
請求項12に記載の硬化膜からなることを特徴とする、隔壁。
【請求項14】
複数のドットと請求項13に記載の隔壁とを備えることを特徴とする、光学素子。
【請求項15】
前記隔壁が、前記複数のドットを区画する隔壁、もしくは、導体パターンまたは半導体パターンのインクジェット法によるパターン印刷用の隔壁である、請求項14に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分加水分解縮合物、並びに、これを用いた撥インク剤、ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁および光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro-Luminescence)素子においては、発光層等の有機層をインクジェット(IJ)法にてパターン印刷する方法がある。かかる方法においては、ドットの輪郭に沿って隔壁を設け、その内部に、形成する層の材料を含むインクを注入し、これを乾燥および/または加熱等することにより所望のパターン膜を形成する。
上記方法においては、隣接するドット間におけるインクの混色防止とドット内におけるインクの均一塗布のため、隔壁上面は撥インク性を有する一方、隔壁側面は親インク性を有する必要がある。すなわち、隔壁はその上面が選択的に撥インク性を有する必要がある。
【0003】
上記隔壁は例えば、感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィ法によりパターン形成される。
例えば、感光性樹脂組成物に表面自由エネルギーが小さい撥インク剤を含ませると、塗膜を乾燥させる際に溶媒が蒸発する過程で、撥インク剤がその他の固形成分との間に働く斥力によって空気側(塗膜の上面側)に移行することを利用して、得られる隔壁の上面に対して選択的に撥インク性を付与することができる。かかる方法では、撥インク剤の上面移行性が重要である。また、現像後にドット内に撥インク剤が残存しないことが重要である。
【0004】
有機EL素子においては、現像後にドット内に残る感光性樹脂組成物の残渣によって、発光層等の有機層が劣化しやすくなる。そこで、ドット内の現像残渣除去のため、インク注入前に基材の表面全体に対して通常、UV(紫外線)/O(オゾン)照射処理を行う。UV/O照射処理後も、隔壁上面の撥インク性が良好に保持されることが重要である
【0005】
特許文献1には、表面自由エネルギーが充分に小さく、形成される隔壁は上面が良好な撥インク性を有し、かつ、UV/O照射処理を経ても、その撥インク性が良好に保持される含フッ素加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物からなる撥インク剤を含むネガ型感光性樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/013816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フォトリソグラフィ法による隔壁形成においては、製造時間および製造コストの低減の観点から、露光時間の短縮化が求められている。露光時間の短縮化の観点から、隔壁形成用の感光性樹脂組成物は、より低露光量で露光可能なものが好ましい。
【0008】
本発明は、撥インク性に優れる、加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物、および該縮合物からなる、隔壁上面に選択的に良好な撥インク性を付与することができる撥インク剤の提供を目的とする。
さらに、本発明は、低露光量で露光を行っても、隔壁上面に選択的に良好な撥インク性を付与することができ、また、ドット内に撥インク剤が残存しにくい特性を有するネガ型感光性樹脂組成物、該ネガ型感光性樹脂組成物から形成される、UV/O照射処理を経てもその撥インク性が良好に保持できる硬化膜および隔壁、および該硬化膜および隔壁を有する、ドット内にインクを均一塗布できる、光学素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下[1]〜[15]の構成を有する部分加水分解縮合物、撥インク剤、ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、隔壁および光学素子を提供する。
【0010】
[1]フルオロアルキレン基および/またはフルオロアルキル基と、加水分解性基とを有し、メルカプト基を有しない第1の加水分解性シラン化合物と、
メルカプト基と加水分解性基とを有し、フルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を有しない第2の加水分解性シラン化合物と
を含む混合物の部分加水分解縮合物。
[2]前記混合物中の第2の加水分解性シラン化合物の含有割合は、第1の加水分解性シラン化合物の1モルに対して、0.125〜18モルである前記[1]に記載の部分加水分解縮合物。
【0011】
[3]前記第1の加水分解性シラン化合物が下式(c−1)で表される化合物である、前記[1]または[2]に記載の部分加水分解縮合物。
(A−RF1−Si(RH1(4−a−b)・・・(c−1)
(式(c−1)中、各記号は以下の通りである。
F1は、少なくとも1つのフルオロアルキレン基を含む、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜16の2価の有機基を示す。
H1は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
aは1または2、bは0または1、a+bは1または2である。
Aはフッ素原子または下式(I)で表される基である。
−Si(RH2(3−b)・・・(I)
H2は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
bは0または1である。
およびXは加水分解性基を示す。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
A−RF1が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
【0012】
[4]前記第1の加水分解性シラン化合物が下式(c−1a)で表される化合物である、前記[3]に記載の部分加水分解縮合物。
D−RF2−Q−SiX・・・(c−1a)
(式(c−1a)中、各記号は以下の通りである。
F2は炭素原子数2〜15のエーテル性酸素原子を含んでいてもよいペルフルオロアルキレン基である。
Dはフッ素原子または下式(Ia)で表される基である。
−Q−SiX・・・(Ia)
およびXは加水分解性基を示す。
3個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
3個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
およびQは炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。)
【0013】
[5]前記第2の加水分解性シラン化合物が下式(c−2)で表される化合物である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物。
(HS−Q−Si(RH3(4−p−q)・・・(c−2)
(式(c−2)中、各記号は以下の通りである。
は炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
H3は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
pは1または2、qは0または1、p+qは1または2である。
HS−Qが複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【0014】
[6]前記混合物が、さらに下式(c−3)で表される第3の加水分解性シラン化合物を含む、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物。
SiX・・・(c−3)
(式(c−3)中、Xは加水分解性基を示し、4個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【0015】
[7]前記混合物が、さらに下式(c−4)で表される第4の加水分解性シラン化合物を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物。
(Y−Q−Si(RH4(4−g−h)・・・(c−4)
(式(c−4)中の記号は、以下の通りである。
Yはエチレン性二重結合を有する基を示す。
は炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
H4は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
gは1または2、hは0または1、g+hは1または2である。
Y−Qが複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【0016】
[8]前記混合物が、さらに下式(c−5)で表される第5の加水分解性シラン化合物を含む、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物。
(RH5−SiX(4−j)・・・(c−5)
(式(c−5)中、各記号は以下の通りである。
H5は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
jは2または3である。
H5が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。)
【0017】
[9]フッ素原子の含有割合が10〜55質量%である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物。
[10]数平均分子量が500以上、10,000未満である、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物。
【0018】
[11]前記[1]〜[10]のいずれかに記載の部分加水分解縮合物からなる撥インク剤。
【0019】
[12]前記[11]に記載の撥インク剤、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)、光重合開始剤(B)および溶媒(D)を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【0020】
[13]さらに、架橋剤(E)を含み、当該架橋剤(E)が1分子中に2つ以上のエチレン性二重結合を有し、酸性基を有しない化合物である、前記[12]に記載のネガ型感光性樹脂組成
物。
【0021】
[14]前記[12]または[13]に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板表面に塗布し、露光してなる硬化膜。
【0022】
[15]前記[14]に記載の硬化膜からなる隔壁。
【0023】
[16]複数のドットと前記[15]に記載の隔壁とを備える光学素子。
【0024】
[17]前記隔壁が、前記複数のドットを区画する隔壁、もしくは、導体パターンまたは半導体パターンのインクジェット法によるパターン印刷用の隔壁である、前記[16]に記載の光学素子。
【発明の効果】
【0025】
本発明の加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合物は、撥インク性に優れ、該縮合物からなる撥インク剤は、隔壁上面に選択的に良好な撥インク性を付与することができる。
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、撥インク剤として上記縮合物を含むものであり、低露光量で露光を行っても、隔壁上面に選択的に良好な撥インク性を付与することができ、ドット内に撥インク剤が残存しにくい特性を有する。
さらに、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜および隔壁は、UV/O照射処理を経てもその撥インク性が良好に保持され、該硬化膜および隔壁を有する光学素子は、ドット内に撥インク剤が残存しにくいので、ドット内にインクを均一塗布できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本発明に係る硬化膜からなる隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。
図1B】本発明に係る硬化膜からなる隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。
図1C】本発明に係る硬化膜からなる隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。
図1D】本発明に係る硬化膜からなる隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。
図1E】本発明に係る硬化膜からなる隔壁の製造方法を模式的に示す工程図である。
図2A】本発明に係る硬化膜からなる隔壁を用いたパターン膜の製造方法を模式的に示す工程図である。
図2B】本発明に係る硬化膜からなる隔壁を用いたパターン膜の製造方法を模式的に示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」は、「メタクリロイル基」と「アクリロイル基」の総称である。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリル樹脂もこれに準じる。
【0028】
本明細書において、式(x)で表される基を、単に基(x)と記載することがある。
本明細書において、式(y)で表される化合物を、単に化合物(y)と記載することが
ある。
ここで、式(x)、式(y)は、任意の式を示している。
【0029】
本明細書における「側鎖」とは、繰り返し単位が主鎖を構成する重合体において、主鎖を構成する炭素原子に結合する、水素原子またはハロゲン原子以外の基である。
【0030】
本明細書における「感光性樹脂組成物の全固形分」とは、感光性樹脂組成物が含有する成分のうち後述する硬化膜を形成する成分を指し、感光性樹脂組成物を140℃で24時間加熱して溶媒を除去した残存物から求める。なお、全固形分量は仕込み量からも計算できる。
【0031】
本明細書においては、感光性樹脂組成物を塗布した膜を「塗膜」、それを乾燥させた膜を「乾燥膜」、さらにそれを硬化させて得られる膜を「硬化膜」という。
本明細書において、隔壁の「上面」は、隔壁の側面を除く、上表面のみを示す用語として用いる。したがって、隔壁の「上面」には、隔壁の側面は含まれない。
【0032】
本明細書における「インク」には、ドット内に注入する、光学的および/または電気的な機能を有する液体全般が含まれる。
本明細書における「インク」には、インクジェット(IJ)法によるパターン印刷に用いられるインク全般が含まれる。
近年、有機EL素子、液晶素子のカラーフィルタおよび有機TFT(Thin Film Transistor)アレイ等の光学素子において、各種構成要素をIJ法によりパターン印刷できる。
本明細書における「インク」には、かかる用途に用いられる原料のインクが含まれる。
【0033】
本明細書における「撥インク性」とは、上記インクをはじく性質であり、撥水性と撥油性の両方を有する。撥インク性は例えば、インクを滴下したときの接触角により評価できる。
【0034】
本明細書における「ドット」とは、光学素子における光変調可能な最小領域を示す。有機EL素子、液晶素子のカラーフィルタ、および有機TFTアレイ等の光学素子においては、白黒表示の場合に1ドット=1画素であり、カラー表示の場合に例えば3ドット(R(赤)、G(緑)、B(青)等)=1画素である。
【0035】
本明細書における「露光量」とは、単位面積当たりの露光量(mJ/cm)である。露光に用いられる光は照度分布があり、照度の時間変動もあるため、露光量を厳密に求めることは難しいが、本明細書においては、露光量を露光パワー(露光出力)と露光時間の積から求める。
同一箇所に対して複数回に分けて露光できる。この際、複数回の露光条件は同一でも同一でなくても構わない。同一箇所に対して複数回に分けて露光する場合、「露光量」は複数回露光の露光量の合算とする。
【0036】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に説明のない場合、%は質量%を表す。
【0037】
[部分加水分解縮合物]
本発明の部分加水分解縮合物は、フルオロアルキレン基および/またはフルオロアルキル基と、加水分解性基とを有し、メルカプト基を有しない第1の加水分解性シラン化合物と、メルカプト基と加水分解性基と有し、フルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を有しない第2の加水分解性シラン化合物とを含む混合物(以下、加水分解性シラン化合物混合物ともいう。)の部分加水分解縮合物である。
本発明の部分加水分解縮合物は、通常、分子量分布を有する組成物である。
なお、本発明の加水分解性シラン化合物混合物は、第1の加水分解性シラン化合物と第2の加水分解性シラン化合物とを必須成分として含み、任意に、後述する第3〜5の加水分解性シラン化合物を含む。さらに、第1〜5の加水分解性シラン化合物以外の加水分解性シラン化合物を含んでもよい。
【0038】
本発明の部分加水分解縮合物は撥インク剤として好適である。ネガ型感光性樹脂組成物に撥インク剤として含有させた場合、低露光量で露光を行っても、隔壁上面に選択的に良好な撥インク性を付与することができ、かつ、UV/O照射処理を経ても、その撥インク性が良好に保持され、また、ドット内に撥インク剤が残存しにくい特性を有するものである。
【0039】
本発明の部分加水分解縮合物は撥インク剤として好適であるが、他の用途にも使用可能である。
本発明の部分加水分解縮合物はネガ型感光性樹脂組成物用として好適であるが、ポジ型感光性樹脂組成物にも使用可能である。
本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含む感光性樹脂組成物は、光学素子の各種構成要素のIJ法によるパターン形成における隔壁形成用の組成物として好適である。
【0040】
本発明の部分加水分解縮合物におけるフッ素原子の含有割合(以下、フッ素原子含有率ともいう。)は、撥インク性、その耐UV/O性および加水分解性シラン化合物混合物における相溶性の点から、10〜55質量%が好ましく、12〜40質量%がより好ましく、15〜30質量%が特に好ましい。
【0041】
(第1の加水分解性シラン化合物)
第1の加水分解性シラン化合物は、フルオロアルキレン基および/またはフルオロアルキル基と、加水分解性基とを有し、メルカプト基を有しない化合物である。
加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基、イソシアナート基、アミノ基、およびアミノ基の少なくとも1つの水素がアルキル基で置換された基等が挙げられる。加水分解反応により水酸基(シラノール基)となり、さらに分子間で縮合反応してSi−O−Si結合を形成する反応が円滑に進みやすい点から、炭素原子数1〜4のアルコキシ基およびハロゲン原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基および塩素原子がより好ましく、メトキシ基およびエトキシ基が特に好ましい。
第1の加水分解性シラン化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0042】
フルオロアルキレン基および/またはフルオロアルキル基を含む第1の加水分解性シラン化合物を用いることで、本発明の部分加水分解縮合物に撥インク性を付与できる。さらに、良好な撥インク性はUV/O照射処理を経ても保持される。
第1の加水分解性シラン化合物を用いることで、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物は、硬化してなる隔壁の上面に選択的に良好な撥インク性を付与できる。さらに、良好な撥インク性はUV/O照射処理を経ても保持される。
なお、第1の加水分解性シラン化合物が有する効果をより発現するためには、第1の加水分解性シラン化合物がフルオロアルキル基、ペルフルオロアルキレン基またはペルフルオロアルキル基を有することがより好ましく、ペルフルオロアルキル基を有することが特に好ましい。また、第1の加水分解性シラン化合物は、エーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキル基を有することが好ましい。
すなわち、第1の加水分解性シラン化合物として最も好ましい化合物は、ペルフルオロアルキル基および/またはエーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキル基を有する化合物である。
【0043】
第1の加水分解性シラン化合物としては、下式(c−1)で表される化合物が好ましい。
(A−RF1−Si(RH1(4−a−b)・・・(c−1)
式(c−1)中、各記号は以下の通りである。
F1は、少なくとも1つのフルオロアルキレン基を含む、エーテル性酸素原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜16の2価の有機基を示す。
H1は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
aは1または2、bは0または1、a+bは1または2である。
Aはフッ素原子または下式(I)で表される基である。
−Si(RH2(3−b)・・・(I)
H2は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
bは0または1である。
およびXは加水分解性基である。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
A−RF1が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
【0044】
化合物(c−1)は、2または3官能性の加水分解性シリル基を1個または2個有する含フッ素加水分解性シラン化合物である。
【0045】
H1およびRH2は、炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、炭素原子数1〜3の炭化水素基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(c−1)中、aが1であり、bが0または1であることがより好ましい。
およびXはケイ素原子に結合する加水分解性基であり、好ましい様態は上記の通りである。
【0046】
第1の加水分解性シラン化合物としては、下式(c−1a)で表される化合物が特に好ましい。
D−RF2−Q−SiX・・・(c−1a)
式(c−1a)中、各記号は以下の通りである。
F2は炭素原子数2〜15のエーテル性酸素原子を含んでいてもよいペルフルオロアルキレン基である。
Dはフッ素原子または下式(Ia)で表される基である。
−Q−SiX・・・(Ia)
およびXは加水分解性基である。
3個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
3個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
およびQは炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
【0047】
式(c−1a)においてDがフッ素原子である場合、RF2は、炭素原子数4〜8のペルフルオロアルキレン基、および、炭素原子数4〜10のエーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素原子数4〜8のペルフルオロアルキレン基がより好ましく、炭素原子数6のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。
また、式(c−1a)においてDが基(Ia)である場合、RF2は、炭素原子数3〜15のペルフルオロアルキレン基、および、炭素原子数3〜15のエーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキレン基が好ましく、炭素原子数4〜6のペルフルオロアルキレン基が特に好ましい。
【0048】
F2が上記例示した基であると、本発明の部分加水分解縮合物が良好な撥インク性とその耐UV/O性を有し、かつ、化合物(c−1a)は溶媒への溶解性に優れる。
【0049】
F2の構造としては特に制限されない。RF2の構造としては、直鎖構造、分岐構造、環構造、および部分的に環を有する構造等が挙げられ、直鎖構造が好ましい。
【0050】
F2の具体例としては、以下の基が挙げられる。
−(CF−、−(CF−、−(CF−、
−CFCFOCFCFOCF−、−CFCFOCFCFOCFCF−、−CFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCF−、−CFCFOCFCFOCFCFOCFCFOCFCF−。
−CFCFCFOCF−、−CFCFCFOCFCF−、−CFCFCFOCF(CF)−、−CFCFCFOCF(CF)CF−、−CFCFCFOCF(CF)CFOCFCF−、−CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−、−CFCFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CF−、−CFOCF(CF)CFOCF(CF)−、−CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)−。
【0051】
式(c−1a)中のQおよび式(Ia)中のQは、RF2と加水分解性シリル基(−SiX)または(−SiX)をそれぞれ連結する2価の有機基であり、炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基である。
【0052】
およびQは、右側の結合手にSiが、左側の結合手にRF2がそれぞれ結合するとして表示した場合、具体的には、−(CHi1−(i1は1〜5の整数。)、−CHO(CHi2−(i2は1〜4の整数。)、−SONR−(CHi3−(Rは水素原子、メチル基、またはエチル基であり、i3は1〜4の整数であり、Rと(CHi3との炭素原子数の合計は4以下の整数である。)、−(C=O)−NR−(CHi4−(Rは上記同様であり、i4は1〜4の整数であり、Rと(CHi4との炭素原子数の合計は4以下の整数である。)で表される基が好ましい。QおよびQとしては、i1が2〜4の整数である−(CHi1−がより好ましく、−(CH−が特に好ましい。
【0053】
なお、RF2がエーテル性酸素原子を含まないペルフルオロアルキレン基である場合、QおよびQとしては、−(CHi1−で表される基が好ましい。i1は2〜4の整数がより好ましく、i1は2が特に好ましい。
F2がエーテル性酸素原子を含むペルフルオロアルキル基である場合、QおよびQとしては、−(CHi1−、−CHO(CHi2−、−SONR−(CHi3−、および−(C=O)−NR−(CHi4−で表される基が好ましい。この場合においても、−(CHi1−がより好ましく、i1が2〜4の整数がさらに好ましく、i1は2が特に好ましい。
【0054】
Dがフッ素原子の場合、化合物(c−1a)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
F(CFCHCHSi(OCH
F(CFCHCHSi(OCH
F(CFCHCHCHSi(OCH
F(CFCHCHSi(OCH
F(CFOCF(CF)CFO(CFCHCHSi(OCH
F(CFO(CFO(CFCHCHSi(OCH
【0055】
Dが基(Ia)である場合、化合物(c−1a)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(CHO)SiCHCH(CFCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFCHCHCHSi(OCH
(CHO)SiCHCH(CFOCF(CF)CFO(CFOCF(CF)CFO(CFCHCHSi(OCH
【0056】
本発明において、化合物(c−1a)としては、なかでも、F(CFCHCHSi(OCHおよびF(CFOCF(CF)CFO(CFCHCHSi(OCHが特に好ましい。
【0057】
加水分解性シラン化合物混合物における第1の加水分解性シラン化合物の含有割合は、該混合物から得られる部分加水分解縮合物におけるフッ素原子含有率が10〜55質量%、より好ましくは12〜40質量%、特に好ましくは15〜30質量%となる割合であることが好ましい。第1の加水分解性シラン化合物の含有割合が上記範囲の下限値以上となる割合であると、硬化膜の上面に良好な撥インク性を付与でき、上限値以下となる割合であると、他の成分との相溶性が良好になる。
【0058】
(第2の加水分解性シラン化合物)
第2の加水分解性シラン化合物は、メルカプト基と加水分解性基を有し、フルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を有しない化合物である。
加水分解性基としては、第1の加水分解性シラン化合物の加水分解性基と同様のものを用いることができる。
第2の加水分解性シラン化合物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
メルカプト基を含む第2の加水分解性シラン化合物を用いることで、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型のネガ型感光性樹脂組成物において、低露光量での露光が可能となる。第2の加水分解性シラン化合物中のメルカプト基が連鎖移動性を有し、後述するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)の有するエチレン性二重結合等と結び付きやすく、光硬化を促進させるためと考えられる。
また、メルカプト基を含む第2の加水分解性シラン化合物はpKaが10程度であり、アルカリ溶液中で脱プロトン、すなわち解離しやすい。ここで、pKa=−log10Kaで表され、式中、Kaは酸解離定数を示す。そのため、メルカプト基が、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物の現像時のアルカリ可溶性を高めると考えられる。
【0060】
第2の加水分解性シラン化合物としては、下式(c−2)で表される化合物が好ましい。
(HS−Q−Si(RH3(4−p−q)・・・(c−2)
式(c−2)中、各記号は以下の通りである。
は炭素原子数1〜10のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
H3は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
pは1または2、qは0または1、p+qは1または2である。
HS−Qが複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
【0061】
としては、前記XおよびXと同様の基が用いられる。
としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基が特に好ましい。
H3としては、前記RH1と同様の基が用いられる。
【0062】
化合物(c−2)の具体例としては、HS−(CH−Si(OCH、HS−(CH−Si(CH)(OCH等が挙げられる。
【0063】
加水分解性シラン化合物混合物における第2の加水分解性シラン化合物の含有割合は、第1の加水分解性シラン化合物の1モルに対して、0.125〜18モルが好ましく、0.125〜8モルが特に好ましい。
【0064】
(第3の加水分解性シラン化合物)
第3の加水分解性シラン化合物は、下式(c−3)で表される化合物である。
SiX・・・(c−3)
式(c−3)中、Xは加水分解性基を示し、4個のXは互いに異なっていても同一であってもよい。
としては、前記XおよびXと同様の基が用いられる。
【0065】
化合物(c−3)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。また、化合物(c−3)として、必要に応じて、その複数個を予め部分加水分解縮合して得た部分加水分解縮合物を用いてもよい。
Si(OCH、Si(OCHCH
Si(OCHの部分加水分解縮合物(例えば、コルコート社製のメチルシリケート51(商品名))、
Si(OCHCHの部分加水分解縮合物(例えば、コルコート社製のエチルシリケート40、エチルシリケート48(いずれも商品名))。
【0066】
化合物(c−3)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0067】
加水分解性シラン化合物混合物に化合物(c−3)を含ませることで、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜において、撥インク剤が上面移行した後の造膜性を高められる。すなわち、化合物(c−3)中の加水分解性基の数が多いことから、上面移行した後に部分加水分解縮合物同士が良好に縮合し、上面全体に薄い膜を形成できると考えられる。
【0068】
また、加水分解性シラン化合物混合物に化合物(c−3)を含ませることで、加水分解性シラン化合物混合物の均質性を高められる。化合物(c−3)の存在によって、第1の加水分解性シラン化合物と第2の加水分解性シラン化合物とが、互いに結び付きやすくなり混ざりやすくなるためと考えられる。加水分解性シラン化合物混合物の均質性が良好であると、加水分解性シラン化合物混合物中に含まれる加水分解性シラン化合物の効果をバランスよく発現できる部分加水分解縮合物が得られると考えられる。
さらに、加水分解性シラン化合物混合物に化合物(c−3)を含ませることで、本発明の部分加水分解縮合物は炭化水素系の溶媒に溶解しやすくなる。
【0069】
加水分解性シラン化合物混合物における化合物(c−3)の含有割合は、第1の加水分解性シラン化合物と第2の加水分解性シラン化合物との合計1モルに対して、0.01〜5モルが好ましく、0.05〜3モルが特に好ましい。含有割合が上記範囲の下限値以上であると造膜性が良好であり、上限値以下であると第1の加水分解性シラン化合物および第2の加水分解性シラン化合物の効果が充分に発現できる。
【0070】
(第4の加水分解性シラン化合物)
第4の加水分解性シラン化合物は、下式(c−4)で表される加水分解性シラン化合物である。
(Y−Q−Si(RH4(4−g−h)・・・(c−4)
式(c−4)中の記号は、以下の通りである。
Yはエチレン性二重結合を有する基を示す。
は炭素原子数1〜6のフッ素原子を含まない2価の有機基を示す。
H4は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
gは1または2、hは0または1、g+hは1または2である。
Y−Qが複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
【0071】
H4としては、前記RH1と同様の基が用いられる。
としては、前記XおよびXと同様の基が用いられる。
【0072】
Yとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基およびビニルフェニル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
の具体例としては、炭素原子数2〜6のアルキレン基およびフェニレン基等が挙げられる。なかでも、−(CH−が好ましい。
gが1であり、hが0または1であることが好ましい。
【0073】
化合物(c−4)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
CH=C(CH)COO(CHSi(OC
CH=CHCOO(CHSi(OCH
CH=CHCOO(CHSi(OC
[CH=C(CH)COO(CH]CHSi(OCH
[CH=C(CH)COO(CH]CHSi(OC
【0074】
化合物(c−4)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0075】
加水分解性シラン化合物混合物にエチレン性二重結合を有する基Yを含む化合物(c−4)を含ませることで、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物を硬化してなる隔壁の製造において、主に撥インク剤同士の露光による縮合反応を促進し、撥インク剤の隔壁上面での定着性を向上できる。
【0076】
上記したように、第2の加水分解性シラン化合物はメルカプト基を有し、その連鎖移動性によって、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物において、従来よりも低露光量の露光を可能とする。しかしながら、メルカプト基が多すぎると、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる他成分のエチレン性二重結合と反応して結合しやすく、撥インク剤の上面移行性を低下させる恐れがある。
化合物(c−4)はエチレン性二重結合を有する基Yを有し、これが第2の加水分解性シラン化合物に含まれるメルカプト基の一部と反応することから、第2の加水分解性シラン化合物のメルカプト基とネガ型感光性樹脂組成物に含まれる他成分のエチレン性二重結合との反応を制御できる。第2の加水分解性シラン化合物に含まれるメルカプト基とネガ型感光性樹脂組成物に含まれる他成分のエチレン性二重結合との反応を制御することで、ネガ型感光性樹脂組成物において、従来よりも低露光量での露光が可能になり、かつ、撥インク剤の上面移行性も良好になると考えられる。また、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が良好になると考えられる。
【0077】
また、化合物(c−4)はエチレン性二重結合を有する基Yを有するため、本発明の部分加水分解縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物の露光時に、この基を介して撥インク剤同士あるいは撥インク剤とネガ型感光性樹脂組成物が含有するエチレン性二重結合を有する他成分と共重合することができる。この作用効果によって、露光後に、撥インク剤が硬化膜上面に留まりやすくなると考えられる。
【0078】
加水分解性シラン化合物混合物における化合物(c−4)の含有割合は、第1の加水分解性シラン化合物と第2の加水分解性シラン化合物との合計1モルに対して、0.1〜5モルが好ましく、0.5〜4モルが特に好ましい。含有割合が上記範囲の下限値以上であると、撥インク剤の上面移行性が良好であり、また、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が良好である。上限値以下であると第1の加水分解性シラン化合物および第2の加水分解性シラン化合物の効果が充分に発現できる。
【0079】
(第5の加水分解性シラン化合物)
第5の加水分解性シラン化合物は、下式(c−5)で表される化合物である。
(RH5−SiX(4−j)・・・(c−5)
式(c−5)中、各記号は以下の通りである。
H5は炭素原子数1〜6の炭化水素基を示す。
は加水分解性基を示す。
jは2または3である。
H5が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていても同一であってもよい。
【0080】
H5としては、前記RH1と同様の基が用いられる。
としては、前記XおよびXと同様の基が用いられる。
【0081】
化合物(c−5)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
(CH−Si−OCH、(CHCH−Si−OCHCH、(CH−Si−OCHCH、(CHCH−Si−OCH、(CH−Si−(OCH、(CH−Si−(OCHCH、(CHCH−Si−(OCHCH、(CHCH−Si−(OCH
【0082】
化合物(c−5)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0083】
本発明の部分加水分解縮合物が化合物(c−3)に由来する成分を多量に含有する場合、該縮合物を撥インク剤として含むネガ型感光性樹脂組成物を硬化してなる隔壁において、その上面の端部に盛り上がりが形成される場合がある。これは、走査型電子顕微鏡(SEM)等によって観察されるレベルの微小なものである。本発明者は、この盛り上がりにおいて、他の部分よりもFおよび/またはSiの含有量が多いことを確認した。
上記盛り上がりは隔壁等として特に支障を来すものではないが、本発明者は、化合物(c−3)の一部を加水分解基の数の少ない化合物(c−5)に置き換えることで、上記盛り上がりの発生が抑えられることを見出した。
加水分解基の数の多い化合物(c−3)によって生成されるシラノール基同士の反応により、撥インク剤の造膜性が増す。しかしながら、その反応性が高いが故に、上記盛り上がりが起こると考えられる。すなわち、化合物(c−3)の一部を加水分解基の数の少ない化合物(c−5)に置き換えることで、シラノール基同士の反応が抑えられ、上記盛り上がりの発生が抑えられると考えられる。
【0084】
加水分解性シラン化合物混合物における化合物(c−5)の含有割合は、第1の加水分解性シラン化合物と第2の加水分解性シラン化合物との合計1モルに対して、0.05〜5モルが好ましく、0.3〜3モルが特に好ましい。
(その他の加水分解性シラン化合物)
前記の加水分解性シラン化合物の他にも共縮合可能な加水分解性シラン化合物を含ませることもできる。例えば、トリメトキシフェニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0085】
(好ましい加水分解性シラン化合物の組み合わせ)
本発明の部分加水分解縮合物は、化合物(c−1a)と化合物(c−2)とを含む混合物の部分加水分解縮合物であることが好ましく、化合物(c−1a)と化合物(c−2)と化合物(c−3)とを含む混合物の部分加水分解縮合物であることがより好ましく、化合物(c−1a)と化合物(c−2)と化合物(c−3)と化合物(c−4)とを含む混合物の部分加水分解縮合物であることがさらに好ましく、化合物(c−1a)と化合物(c−2)と化合物(c−3)と化合物(c−4)と化合物(c−5)とを含む混合物の部分加水分解縮合物であることが特に好ましい。
【0086】
本発明の部分加水分解縮合物が、化合物(c−1a)と化合物(c−2)とを含み、化合物(c−3)と化合物(c−4)と化合物(c−5)とを任意で含み、化合物(c−1a)中の基Dがフッ素原子である混合物の部分加水分解縮合物である場合の、平均組成式を下式(II)に示す。
【0087】
[D−RF2−Q−SiO3/2n1・[(HS−Q−Si(RH3(4−p−q)/2n2・[SiOn3・[(Y−Q−Si(RH4SiO(4−g−h)/2n4[(RH5−SiO(4−j)/2n5・・・(II)
式(II)中、n1〜n5は構成単位の合計モル量に対する各構成単位のモル分率を示す。
n1>0、n2>0、n3≧0、n4≧0、n5≧0、n1+n2+n3+n4+n5=1である。その他の各符号は、上述の通りである。ただし、Dはフッ素原子である。
【0088】
なお、実際は加水分解性基またはシラノール基が残存した生成物(部分加水分解縮合物)であるので、この生成物を化学式で表すことは困難である。
式(II)で表される平均組成式は、本発明の部分加水分解縮合物において、加水分解性基またはシラノール基の全てがシロキサン結合となったと仮定した場合の化学式である。
また、式(II)において、化合物(c−1a)、および化合物(c−2)〜(c−5)にそれぞれ由来する単位は、ランダムに配列していると推測される。
【0089】
式(II)で表される平均組成式中の、n1:n2:n3:n4:n5は、加水分解性シラン化合物混合物における化合物(c−1a)、および化合物(c−2)〜(c−5)の仕込み組成と一致する。
各成分のモル比は、各成分の効果のバランスから設計される。
n1は、0.05〜0.4が好ましい。
n2は、0.05〜0.9が好ましく、0.05〜0.4が特に好ましい。
n3は、0〜0.8が好ましく、0.05〜0.6が特に好ましい。
n4は、0〜0.8が好ましく、0.2〜0.5が特に好ましい。
n5は、0〜0.5が好ましく、0.05〜0.3が特に好ましい。
なお、上記各成分の好ましいモル比は、化合物(c−1a)中のDが基(Ia)である場合も同様である。
【0090】
本発明の部分加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は、500以上が好ましく、1,000,000未満が好ましく、10,000未満が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が下限値以上であると、ネガ型感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する際に、蒸発しにくい。上限値未満であると、本発明の部分加水分解縮合物の溶媒への溶解性が良好になる。
本発明の部分加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は、製造条件により調整できる。
【0091】
(部分加水分解縮合物の製造)
本発明の部分加水分解縮合物は、上述した加水分解性シラン化合物混合物を、日本特開2002−53805号公報などに記載される公知の方法により加水分解および縮合反応させることで製造できる。
この反応には、通常用いられる塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、あるいは、酢酸、シュウ酸、マレイン酸等の有機酸を触媒として用いることが好ましい。
上記反応には公知の溶媒を用いることができる。溶媒の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が好ましく用いられる。
【0092】
[撥インク剤]
本発明の撥インク剤は、上記の本発明の部分加水分解縮合物からなる。
本発明の撥インク剤は、ネガ型あるいはポジ型の感光性樹脂組成物の添加剤として使用することができ、ネガ型感光性樹脂組成物用として特に好適である。
【0093】
[ネガ型感光性樹脂組成物]
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)、光重合開始剤(B)、上記の本発明の部分加水分解縮合物からなる撥インク剤(C)および溶媒(D)を含有する。必要に応じて、架橋剤(E)および着色剤(F)を含有してもよい。
以下、各成分について説明する。
【0094】
(アルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、光硬化性を有するアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)を含有する。
以降、アルカリ可溶性樹脂には符号(AP)、アルカリ可溶性単量体には符号(AM)を付して、それぞれ説明する。
【0095】
アルカリ可溶性樹脂(AP)としては、1分子中に酸性基とエチレン性二重結合とを有する感光性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂(AP)が分子中にエチレン性二重結合を有することで、ネガ型感光性樹脂組成物の露光部は、光重合開始剤(B)から発生したラジカルにより重合して硬化する。このように硬化した露光部はアルカリ現像液にて除去されない。また、アルカリ可溶性樹脂(AP)が分子中に酸性基を有することで、アルカリ現像液にて、硬化していないネガ型感光性樹脂組成物の非露光部を選択的に除去することができる。その結果、所望のパターンの硬化膜、すなわち隔壁を形成できる。
【0096】
酸性基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
エチレン性二重結合としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルオキシ基、ビニルオキシアルキル基等の付加重合性を有する二重結合が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、エチレン性二重結合が有する水素原子の一部または全てが、メチル基等のアルキル基で置換されていてもよい。
【0097】
アルカリ可溶性樹脂(AP)としては、酸性基を有する側鎖とエチレン性二重結合を有する側鎖とを有する樹脂(A−1)、およびエポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とが導入された樹脂(A−2)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0098】
樹脂(A−1)は、例えば、以下の(i)または(ii)の方法で合成できる。
(i)側鎖に酸性基以外の反応性基、例えば、水酸基、エポキシ基等の反応性基を有する単量体と、側鎖に酸性基を有する単量体とを共重合させ、反応性基を有する側鎖と、酸性基を有する側鎖とを有する共重合体を得る。次いで、この共重合体と、上記反応性基に対して結合し得る官能基およびエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる。または、側鎖にカルボキシ基等の酸性基を有する単量体を共重合させた後、酸性基に対して結合し得る官能基およびエチレン性二重結合を有する化合物を反応後に酸性基が残る量、反応させる。
【0099】
(ii)上記(i)と同様の酸性基以外の反応性基を側鎖に有する単量体と、この反応性基に対して結合し得る官能基および保護されたエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる。次いで、この単量体と側鎖に酸性基を有する単量体とを共重合させた後、エチレン性二重結合の保護を外す。または、側鎖に酸性基を有する単量体と、側鎖に保護されたエチレン性二重結合を有する単量体とを共重合させた後、エチレン性二重結合の保護を外す。
なお、(i)および(ii)は溶媒中で実施することが好ましい。
【0100】
上記方法のうちでも、(i)の方法が好ましく用いられる。以下、(i)の方法について具体的に説明する。
【0101】
反応性基として水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0102】
反応性基として水酸基を有する単量体を用いる場合、共重合させる酸性基を有する単量体は、後述のカルボキシ基を有する単量体の他に、リン酸基を有する単量体として、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。水酸基を反応性基として有する単量体と酸性基を有する単量体との共重合は、従来公知の方法で行うことができる。
【0103】
得られた共重合体と反応させる、水酸基に対して結合し得る官能基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、エチレン性二重結合を有する酸無水物、イソシアナート基とエチレン性二重結合とを有する化合物、塩化アシル基とエチレン性二重結合とを有する化合物等が挙げられる。
エチレン性二重結合を有する酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2−ブテン−1−イルサクシニックアンハイドライド等が挙げられる。
イソシアナート基とエチレン性二重結合とを有する化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
塩化アシル基とエチレン性二重結合とを有する化合物としては、(メタ)アクリロイルクロライド等が挙げられる。
【0104】
反応性基としてエポキシ基を有する単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。
反応性基としてエポキシ基を有する単量体と共重合させる酸性基を有する単量体としては、上記水酸基を反応性基として有する単量体で説明したのと同様の単量体が使用でき、エポキシ基を反応性基として有する単量体と酸性基を有する単量体の共重合についても、従来公知の方法で行うことができる。
【0105】
得られた共重合体と反応させる、エポキシ基に対して結合し得る官能基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、カルボキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物等が挙げられる。かかる化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸およびこれらの塩、並びに二塩基酸の場合はモノエステル等が挙げられる。なお、ここで生じた水酸基とカルボン酸の脱水縮合部分が環状構造の一部をなす酸無水物とを反応させ、樹脂(A−1)中にカルボキシ基を導入してもよい。
【0106】
反応性基としてカルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸およびこれらの塩、並びに二塩基酸の場合はモノエステル等が挙げられる。なお、これらの単量体は上述した酸性基を有する単量体としても用いられる。
【0107】
反応性基としてカルボキシ基を有する単量体を用いる場合、上記の通り、この単量体を重合させる。得られた重合体と反応させる、カルボキシ基に対して結合し得る官能基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、エポキシ基とエチレン性二重結合とを有する化合物が挙げられる。かかる化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられる。なお、この場合、カルボキシ基を有する重合体と反応させる、カルボキシ基に対して結合し得る官能基およびエチレン性二重結合を有する化合物の量は、反応後に重合体においてカルボキシ基が酸性基として側鎖に残る量とする。
【0108】
樹脂(A−2)は、エポキシ樹脂と、後述するカルボキシ基とエチレン性二重結合とを有する化合物とを反応させた後に、多価カルボン酸またはその無水物とを反応させることにより合成することができる。
具体的には、エポキシ樹脂と、カルボキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物とを反応させることにより、エポキシ樹脂にエチレン性二重結合が導入される。次に、エチレン性二重結合が導入されたエポキシ樹脂に多価カルボン酸またはその無水物を反応させることにより、カルボキシ基を導入することができる。
【0109】
エポキシ樹脂としては特に限定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、下式(A−2a)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、下式(A−2b)で表されるフルオレニル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、下式(A−2c)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0110】
【化1】
(式(A−2a)中、vは1〜50の整数であり、2〜10の整数が好ましい。またベンゼン環の水素原子は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、または、一部の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基で置換されていてもよい。)
【0111】
【化2】
(式(A−2b)中、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ独立に、水素原子、塩素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基であり、wは0または1〜10の整数である。)
【0112】
【化3】
(式(A−2c)中、ベンゼン環の水素原子は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、または、一部の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基で置換されていてもよい。zは0または1〜10の整数である。)
【0113】
なお、式(A−2a)〜(A−2c)で表されるエポキシ樹脂と、カルボキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物とを反応させた後に、多価カルボン酸無水物を反応させる場合、多価カルボン酸無水物として、ジカルボン酸無水物およびテトラカルボン酸二無水物の混合物を用いることが好ましい。
【0114】
カルボキシ基とエチレン性二重結合とを有する化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸およびこれらの塩、並びに二塩基酸の場合はモノエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好まし
い。
【0115】
アルカリ可溶性樹脂(AP)としては、現像時の硬化膜の剥離が抑制されて、高解像度のパターンを得ることができる点、ラインパターンの直線性が良好である点、平滑な硬化膜表面が得られやすい点で、樹脂(A−2)を用いることが好ましい。
樹脂(A−2)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂、式(A−2a)〜(A−2c)で表されるエポキシ樹脂に酸性基とエチレン性二重結合とを導入した樹脂が特に好ましい。
【0116】
アルカリ可溶性単量体(AM)としては、例えば、酸性基を有する側鎖とエチレン性二重結合を有する側鎖とを有する単量体(A−3)が好ましく用いられる。酸性基およびエチレン性二重結合は、アルカリ可溶性樹脂(AM)と同様である。
単量体(A−3)としては、2,2,2−トリアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸等が挙げられる。
【0117】
ネガ型感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中のアルカリ可溶性樹脂またはアルカリ可溶性単量体(A)の含有割合は、5〜80質量%が好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。含有割合が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性および現像性が良好である。
【0118】
(光重合開始剤(B))
本発明における光重合開始剤(B)は、光重合開始剤としての機能を有する化合物であれば特に制限されず、光によりラジカルを発生する化合物が好ましい。
【0119】
光重合開始剤(B)としては、メチルフェニルグリオキシレート、9,10−フェナンスレンキノン等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類;アントラキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物;アシルホスフィンオキシド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、アセチルオキシム等のオキシムエステル類、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート等の脂肪族アミン類;2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、1,4−ブタノールビス(3−メルカプトブチレート)、トリス(2−メルカプトプロパノイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール化合物等が挙げられる。
【0120】
光重合開始剤(B)のなかでも、ベンゾフェノン類、アミノ安息香酸類、脂肪族アミン類およびチオール化合物は、その他のラジカル開始剤と共に用いると、増感効果を発現することがあり好ましい。
光重合開始剤(B)としては、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、および2,4−ジエチルチオキサントンが好ましい。さらに、これらとベンゾフェノン類、例えば、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとの組み合わせが特に好ましい。
【0121】
光重合開始剤(B)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0122】
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の光重合開始剤(B)の含有割合は、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。含有割合が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の光硬化性および現像性が良好である。
【0123】
(撥インク剤(C))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物における撥インク剤(C)の含有割合は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜6質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。含有割合が上記範囲であると、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が良好になり、またネガ型感光性樹脂組成物からなる隔壁上面の撥インク性およびその耐UV/O性が良好となる。
【0124】
(溶媒(D))
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、溶媒(D)を含有することで粘度が低減され、ネガ型感光性樹脂組成物の基材表面への塗布がしやすくなる。その結果、均一な膜厚のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜が形成できる。
溶媒(D)としては公知の溶媒が用いられる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、2−プロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましく用いられる。
【0125】
ネガ型感光性樹脂組成物における溶媒(D)の含有割合は、50〜99質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、65〜90質量%が特に好ましい。
【0126】
(架橋剤(E))
本発明における架橋剤(E)としては、1分子中に2個以上のエチレン性二重結合を有し、酸性基を有しない化合物が好ましい。ネガ型感光性樹脂組成物が架橋剤(E)を含むことにより、露光時におけるネガ型感光性樹脂組成物の硬化性が向上し、低い露光量でも隔壁を形成することができる。
【0127】
架橋剤(E)としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N'−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0128】
光反応性の点からは、多数のエチレン性二重結合を有することが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ウレタンアクリレート等が好ましい。
【0129】
架橋剤(E)は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0130】
ネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の架橋剤(E)の含有割合は、10〜60質量%が好ましく、20〜55質量%が特に好ましい。
【0131】
(着色剤(F))
本発明における着色剤(F)としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等が挙げられる。また、赤色顔料、青色顔料および緑色顔料等の有機顔料および/または無機顔料の混合物を用いることもできる。
着色剤(F)を含有する場合、本発明のネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の着色剤(F)の含有割合は、15〜65質量%が好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。上記範囲であると、得られるネガ型感光性樹脂組成物は感度が良好であり、また、形成される隔壁は遮光性に優れる。
【0132】
(その他の成分)
本発明のネガ型感光性樹脂組成物はさらに、必要に応じて、酸化防止剤、熱架橋剤、高分子分散剤、分散助剤、シランカップリング剤、微粒子、リン酸化合物、硬化促進剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を1種または2種以上含有してもよい。
(酸化防止剤(G))
酸化防止剤(G)としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのヒンダードフェノール系、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、2−メチルハイドロキノン、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、テトラメチルピペリジン−N −オキシル類、ピロガロール、P−ベンゾキノン、クペロン、N-ニトロソフェニィル- β- ナフチルアミン等が挙げられる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物における全固形分中の酸化防止剤(G)の含有割合は、0.01〜0.1質量%の範囲であることが好ましい。
【0133】
本発明によれば、従来よりも低露光量で露光を行っても、露光および現像後に得られる隔壁の上面に、選択的に良好な撥インク性を付与することができ、かつ、UV/O照射処理を経ても、その撥インク性が良好に保持され、また、ドット内に撥インク剤が残存しにくい特性を有するネガ型感光性樹脂組成物を提供できる。
【0134】
[隔壁]
本発明の隔壁は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基材表面に塗布し、露光および現像してなるパターンを有する硬化膜である。
以下、隔壁の製造方法の1例を、図1A〜1Eを用いて説明するが、隔壁の製造方法は以下に限定されない。
【0135】
図1Aに示すように、基材10の表面全体にネガ型感光性樹脂組成物を塗布して、塗膜21を形成する。このとき、塗膜21中には撥インク剤(C)が全体的に溶解し、均一に分散している。なお、図中、撥インク剤(C)は模式的に示してあり、実際にこのような粒子形状で存在しているわけではない。
【0136】
次に図1Bに示すように、塗膜21を乾燥させて、乾燥膜22とする。乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等が挙げられる。
溶媒(D)の種類にもよるが、加熱乾燥の場合、加熱温度は50〜120℃が好ましいく、80〜120℃がより好ましい。
この乾燥過程において、撥インク剤(C)は乾燥膜の上面およびその近傍に移行する。
【0137】
次に、図1Cに示すように、所定パターンの開口部31を有するフォトマスク30を介して、乾燥膜22に対して、光Lを照射し、露光する。乾燥膜22を露光した後の膜を露光膜23と称す。露光膜23において、符号23Aは露光部、符号23Bは非露光部である。この工程において、露光部23Aが光硬化する。
【0138】
照射する光Lとしては、可視光;紫外線;遠紫外線;KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、Fエキシマレーザ光、Krエキシマレーザ光、KrArエキシマレーザ光、Arエキシマレーザ光等のエキシマレーザ光;X線;電子線等が挙げられる。
照射する光Lとしては、波長100〜600nmの光が好ましく、300〜500nmの光がより好ましく、i線(365nm)、h線(405nm)またはg線(436nm)を含む光が特に好ましい。
【0139】
露光方式としては、全面一括露光、スキャン露光等が挙げられる。同一箇所に対して複数回に分けて露光してもよい。この際、複数回の露光条件は同一でも一でなくても構わない。
露光量は、上記いずれの露光方式においても、例えば、5〜1,000mJ/cmが好ましく、5〜500mJ/cmがより好ましく、5〜300mJ/cmがさらに好ましく、5〜200mJ/cmが特に好ましく、5〜50mJ/cmが最も好ましい。なお、露光量は、照射する光の波長、ネガ型感光性樹脂組成物の組成および塗膜の厚さ等により、適宜好適化される。
【0140】
単位面積当たりの露光時間は特に制限されず、用いる露光装置の露光パワーおよび必要な露光量等から設計される。なお、スキャン露光の場合、光の走査速度から露光時間が求められる。
単位面積当たりの露光時間は通常0.01〜60秒、好ましくは1〜60秒、特に好ましくは0.1〜5秒程度である。
低露光量で露光を行えることは、露光時間(露光工程)の短縮化に繋がり、製造コストの低減を図ることができる。
例えば、従来、100mJ/cmの露光量が必要であったところを50mJ/cmの露光量で済めば、単純計算で、基材一枚当たりの露光時間を半減できる。
特に、スキャン露光では、全面一括露光よりも基材全面処理に時間を要するため、単位面積当たりの露光時間が秒オーダーであっても、露光時間の短縮化の効果が大きい。
【0141】
次に、図1Dに示すように、アルカリ現像液を用いた現像を行い、所望パターンを有する硬化膜24が形成される。硬化膜24においては、先の露光における露光部23Aが凸部24Aとなり、非露光部23Bがパターン開口部24Bとなる。
硬化膜24の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
なお、この工程において、非露光部23Bの撥インク剤(C)はアルカリ現像液に良好に溶解し、パターン開口部24Bには残存しない。
【0142】
パターンを有する硬化膜24は、図1Eに示すように、さらに加熱してもよい。加熱温度は130〜250℃が好ましく、200〜240℃がより好ましい。加熱により撥インク剤(C)は硬化膜内に強固に結合し、より表面近くで薄い層を形成する。
【0143】
上記加熱後、有機EL素子の発光層等の有機層をIJ法にてパターン印刷するための隔壁等の用途では、通常、パターン開口部24B内に残るネガ型感光性樹脂組成物の現像残渣を除去するために、基材10に対してUV/O照射処理がなされる。
【0144】
本発明によれば、その製造において、従来よりも低露光量で露光を行うことができ、その上面が選択的に良好な撥インク性を有し、かつ、UV/O照射処理を経ても、その撥インク性を良好に保持され、ドット内に撥インク剤が残存しない特性を有する隔壁を提供できる。
【0145】
本発明の隔壁は、IJ法にてパターン印刷を行う際に、インク注入領域を画定する隔壁として利用できる。
本発明の隔壁は、その上面が選択的に良好な撥インク性を有するので、IJ法にてパターン印刷を行う際に、隔壁で囲まれた領域内に均一にインクを塗布できる。また、隔壁を超えて所望しない領域にインクが注入されることを抑制し、インクを所望パターンで良好に印刷することが可能となる。
図2Aに示すように、硬化膜24を形成した後(図1E)、インクジェットヘッド40からインク51を滴下して、硬化膜24のパターン開口部24Bにインク51を注入する。次いで、乾燥および/または加熱等により溶媒を除去し、図2Bに示すように、所望のパターン膜52が得られる。
【0146】
[光学素子]
本発明の光学素子は、複数のドットと上記の本発明の隔壁とを備えるものである。
光学素子としては、有機EL素子、液晶素子のカラーフィルタ、有機TFTアレイ素子等が挙げられる。
【0147】
有機TFTアレイ素子とは、複数のドットが平面視マトリクス状に配置され、各ドットに画素電極とこれを駆動するためのスイッチング素子としてTFTが設けられ、TFTのチャネル層を含む半導体層として有機半導体層が用いられる素子である。
有機TFTアレイ素子は、有機EL素子、あるいは液晶素子等に、TFTアレイ基板として備えられる。
【0148】
有機EL素子は例えば、以下のように製造できる。
ガラス等の透光性基板にスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性電極をスパッタ法等によって成膜する。この透光性電極は必要に応じてパターニングされる。
次に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用い、塗布、露光および現像を含むフォトリソグラフィ法により、各ドットの輪郭に沿って、平面視格子状に隔壁を形成する。
次に必要に応じて、公知方法により隔壁で囲まれたドットに対して親インク化処理を施す。
次に、ドット内に、IJ法により、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層および電子注入層の材料をそれぞれ塗布および乾燥して、これらの層を順次積層する。ドット内に形成される有機層の種類および数は適宜設計される。
最後に、アルミニウム等の反射電極を蒸着法等によって形成する。
【実施例】
【0149】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例1〜9および例11〜19が実施例であり、例10および20が比較例である。
【0150】
各測定は以下の方法で行った。
[数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)]
分子量測定用の標準試料として市販されている重合度の異なる複数種の単分散ポリスチレン重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を、市販のGPC測定装置(東ソー社製、装置名:HLC−8320GPC)を用いて測定した。ポリスチレンの分子量と保持時間(リテンションタイム)との関係をもとに検量線を作成した。
各試料について、テトラヒドロフランで1.0質量%に希釈し、0.5μmのフィルタを通過させた後、上記装置を用いてGPCを測定した。上記検量線を用いて、GPCスペクトルをコンピュータ解析することにより、試料の数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を求めた。
【0151】
[PGMEA接触角]
静滴法により、JIS R3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、基材上の測定表面の3ヶ所にPGMEA滴を載せ、各PGMEA滴について測定した。液滴は2μL/滴とし、測定は20℃で行った。接触角は、3測定値の平均値(n=3)から求めた。なお、PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの略号である。
【0152】
各例で用いた化合物の略語は以下の通りである。
(撥インク剤(C)の原料としての加水分解性シラン化合物)
化合物(c−1a)に相当する化合物(c−11):CF(CFCHCHSi(OCH(旭硝子社製)。
化合物(c−2)に相当する化合物(c−21):SH(CHSi(OCH(KBM−803:商品名;信越化学工業社製)。
化合物(c−3)に相当する化合物(c−31):Si(OC(コルコート社製)。
化合物(c−3)に相当する化合物(c−32):Si(OCの部分加水分解縮合物(商品名:エチルシリケート48 コルコート社製)。
化合物(c−3)に相当する化合物(c−33):Si(OCH3)4の部分加水分解縮合物(商品名:メチルシリケート51 コルコート社製)。
化合物(c−4)に相当する化合物(c−41):CH=CHCOO(CHSi(OCH(東京化成工業社製)。
化合物(c−5)に相当する化合物(c−51):(CHSiOCH(東京化成工業社製)。
化合物(c−6)に相当する化合物(c−61):トリメトキシフェニルシラン(東京化成工業社製)。
化合物(c−6)に相当する化合物(c−62):3−グリシドキシプロピル(東京化成工業社製)。
【0153】
(アルカリ可溶性樹脂(AP))
A−11: クレゾールノボラック型エポキシ樹脂をアクリル酸、次いで1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と反応させて、アクリロイル基とカルボキシル基とを導入した樹脂をヘキサンで精製した樹脂、固形分70質量%、酸価60mgKOH/g。
A−21:ZAR2002(商品名;KAYARAD ZAR−2002H、日本化薬社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にカルボキシル基とエチレン性二重結合を導入した樹脂、固形分70質量%、酸価60mgKOH/g。
A−31:式(A−2a)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂に、エチレン性二重結合と酸性基とを導入した樹脂(固形分:70質量%、PGMEA:30質量%。MW=4000、酸価70mgKOH/g。)。
A−41:式(A−2b)で表されるエポキシ樹脂に、エチレン性二重結合と酸性基とを導入した樹脂(固形分:70質量%、PGMEA:30質量%。MW=3000、酸価50mgKOH/g。)。
【0154】
(光重合開始剤(B))
IR907:商品名;IRGACURE907、BASF社製、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン。
IR369:商品名:IRGACURE369、BASF社製、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン。
EAB:4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業社製)。
OXE01:1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(0−ベンゾイルオキシム)BASF社製、商品名:OXE01)。
OXE02:エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾイル−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:OXE02)。
【0155】
(溶媒(D))
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル、
EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、
IPA:2−プロパノール、
EDGAC:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート。
【0156】
(架橋剤(E))
A9530:商品名;NKエステル A−9530、新中村化学工業社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合品。V802:商品名;V#802 大阪有機化学工業社製、ペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、テトラペンタエリスリトールアクリレートの混合品。
(酸化防止剤(G))
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、
MHQ:2−メチルハイドロキノン、
MEHQ:4−メトキシフェノール。
【0157】
[例1:撥インク剤(C1)液の調製]
撹拌機を備えた1,000cmの三口フラスコに、化合物(c−11)の32.3g、および化合物(c−21)の67.7gを入れて、加水分解性シラン化合物混合物を得た。次いで、この混合物にPGMEの569.4gを入れて、原料溶液とした。
得られた原料溶液に、0.1質量%塩酸水溶液を44.7g滴下した。滴下終了後、40℃で5時間撹拌して、撥インク剤(C1)のPGME溶液(撥インク剤(C1)濃度:10質量%)を得た。以降、この溶液を(C1)液という。
なお、反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィを使用して測定し、原料としての各化合物が検出限界以下になったことを確認した。
撥インク剤の仕込み量組成(モル%)を表1に示す。
【0158】
[例2〜10:撥インク剤(C2)〜(C9)、および(H1)液の調製]
撥インク剤の仕込み量組成(モル%)と溶媒の種類を表1に示すものとした以外は、例1と同様にして、撥インク剤(C2)〜(C9)、および(H1)の溶液(撥インク剤濃度:10質量%)を得た。以降、各溶液を(C2)〜(C9)、(H1)液という。
なお、例10では化合物(c−2)を用いずに撥インク剤(H1)液を調製した。この撥インク剤は本発明の撥インク剤(C)ではないので、撥インク剤の符号を変えている。比較用の撥インク剤全体を(H)とし、例10の撥インク剤は(H1)としている。
【0159】
(評価)
例1〜10において得られた撥インク剤について、以下の評価を実施した。
<数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)>
例1〜10において得られた各撥インク剤について、上記方法により、数平均分子量(Mn)と質量平均分子量(Mw)を測定した。
<フッ素原子含有率>
例1〜10において得られた各撥インク剤について、仕込み組成からフッ素原子含有率を求めた。
例1〜10で得られた撥インク剤の評価結果を表1に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
[例11:ネガ型感光性樹脂組成物の製造および硬化膜の製造]
(ネガ型感光性樹脂組成物の製造)
上記例1で得られた(C1)液の0.23g(撥インク剤(C1)を固形分として0.023g含有、残りは溶媒のPGME)、A−11の16.1g(固形分は11.3g、残りは溶媒のEDGAC)、IR907の1.1g、EABの1.1g、A9530の11.3g、PGMEAの65.2g、IPAの2.5g、および水の2.5gを200cmの撹拌用容器に入れ、5時間撹拌してネガ型感光性樹脂組成物を製造した。
なお、撥インク剤(C1)に関して、仕込み換算では固形分は0.026gと算出されるが、加水分解性基が脱離してメタノールあるいはエタノール等が生成されるので、実際には0.026g以下となる。どのくらいの加水分解性基が脱離したかを求めることは難しいので、ほぼすべての加水分解性基が脱離したと仮定して、固形分を0.023gとしている。
【0162】
(隔壁の製造)
10cm四方のガラス基板をエタノールで30秒間超音波洗浄し、次いで、5分間のUV/O処理を行った。UV/O処理には、UV/O発生装置としてPL2001N−58(センエンジニアリング社製)を使用した。254nm換算の光パワー(光出力)は10mW/cmであった。なお、以下の全てのUV/O処理においても本装置を使用した。
上記洗浄後のガラス基板表面に、スピンナを用いて、上記ネガ型感光性樹脂組成物を塗布した後、100℃で2分間ホットプレート上で乾燥させ、膜厚2.4μmの乾燥膜を形成した。得られた乾燥膜に対して、開口パターン(2.5cm×5cm)を有するフォトマスクを介して、365nm換算の露光パワー(露光出力)が25mW/cmである超高圧水銀ランプのUV光を全面一括照射した。露光の際に、330nm以下の光はカットした。また、乾燥膜とフォトマスクとの離間距離は50μmとした。
各例において、下記2の露光条件で、露光を実施した。
<露光条件1>露光時間を2秒とし、露光量を50mJ/cmとした。
<露光条件2>露光時間を4秒とし、露光量を100mJ/cmとした。
次いで、上記露光処理後のガラス基板を2.38質量%テトラメチル水酸化アンモニウム水溶液に40秒間浸漬して現像し、非露光部を水により洗い流し、乾燥させた。次いで、ホットプレート上、230℃で60分間加熱することにより、フォトマスクの開口パターンに対応したパターンを有する硬化膜(隔壁)を得た。
【0163】
[例12〜20]
上記例11において、ネガ型感光性樹脂組成物を表2に示す組成に変更した以外は、同様の方法で、ネガ型感光性樹脂組成物および隔壁を製造した。
【0164】
(評価)
例12〜20において得られた隔壁について、以下の評価を実施した。
<硬化膜の膜厚>
レーザ顕微鏡(キーエンス社製、装置名:VK−8500)を用いて測定した。
<隔壁上面の撥インク性>
得られた硬化膜上面のPGMEA接触角を上記の方法で測定した。
<隔壁上面の撥インク性の耐UV/O性>
硬化膜が形成されたガラス基板に対して、表面全体に、UV/O照射処理を3分間(光量は254nm換算で1,800mJ/cm)行った後、再度、硬化膜上面のPGMEA接触角を測定した。
各例において、撥インク性の耐UV/O性の評価は、露光量を50mJ/cmとしたサンプルについてのみ実施した。
<ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性>
各例で製造したネガ型感光性樹脂組成物を常温で1ヶ月保持した後、該組成物を用いて、例11と同様に隔壁を製造した(露光量は50mJ/cmとした)。隔壁上面のPGMEA接触角から初期のネガ型感光性樹脂組成物を用いて得られた隔壁上面のPGMEA接触角を差し引いた値を求め、下記基準に基づき評価した。
○(良好):−5°以上。
△(可):−10°以上かつ−5°未満。
×(不可):−10°未満。
<隔壁上面の端部のSEM観察>
得られた隔壁上面のSEM観察を行い(5,000倍)、隔壁上面の端部の盛り上がりの有無を観察し、下記基準に基づき評価した。装置としては、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡 VE−9800(キーエンス社製)を用いた。隔壁上面の端部の盛り上がりは特に隔壁として支障を来すものではないので、隔壁上面の端部の盛り上がりありの場合の評価を△としてある。
○(良好):隔壁上面の端部に盛り上がりが見られなかった。
△(可):隔壁上面の端部に盛り上がりが見られた。
例12〜20において得られた隔壁の評価結果を表2に示す。
【0165】
【表2】
【0166】
例11〜19のネガ型感光性樹脂組成物は、本発明の撥インク剤(C)を使用したため、低露光量でも得られた隔壁上面は優れた撥インク性を有し、その撥インク性はUV/O処理後も良好に維持された。
一方、例20のネガ型感光性樹脂組成物は、化合物(c−2)を用いないで製造した撥インク剤(H1)を使用したため、低露光量での硬化膜上面の撥インク性が不充分であった。
【0167】
本発明の化合物(c−4)を用いた撥インク剤(C)を用いた例13〜16では、化合物(c−4)を用いない撥インク剤(C)を用いた例11,12、17〜19よりも、ネガ型感光性樹脂組成物の貯蔵安定性、隔壁上面の撥インク性に優れていた。
本発明の化合物(c−5)を用いた撥インク剤(C)を用いた例16では、隔壁上面の端部の盛り上がりが見られず、きれいな形状の隔壁を形成することができた。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の部分加水分解縮合物は、有機EL素子、液晶素子のカラーフィルタ、および有機TFTアレイ等の光学素子において、インクジェット法によるパターン印刷を行う際の隔壁形成用の感光性樹脂組成物等に含ませる撥インク剤等として好適に用いることができる。
また、本発明の隔壁は、有機EL素子において、発光層等の有機層をIJ法にてパターン印刷するための隔壁(バンク)、あるいは液晶素子においてカラーフィルタをIJ法にてパターン印刷するための隔壁(この隔壁はブラックマトリクス(BM)を兼ねることができる。)、有機TFTアレイにおいて導体パターンまたは半導体パターンをIJ法にてパターン印刷するための隔壁、TFTのチャネル層をなす有機半導体層、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート配線、およびソース配線等をIJ法にてパターン印刷するための隔壁等として利用できる。
なお、2012年4月27日に出願された日本特許出願2012−102984号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【符号の説明】
【0169】
10:基材、21:塗膜、22:乾燥膜、23:露光膜、23A:露光部、23B:非露光部、24:硬化膜、24A:凸部、24B:パターン開口部、30:フォトマスク、52:パターン膜、L:光。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B