(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外筒部の内周面において、前端側に前記内筒部の外周面に形成した段差部を係止する係止用固定段差を設けることにより、前記収容ポケット内に収容された組織片により、前記内筒部が前端側に押し出されたとき、前記係止用固定段差により係止され、前記ドリル状切除具の先端部周辺を覆うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用組織片採取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のものでは、外筒管を、その側壁に設けた組織格納口が組織片内に埋没するまで挿通する必要があり、周囲の組織片に対する損傷度が大きく、過度な侵襲を防止するため高度のテクニックが要求される。
しかも、内針と外筒管の内壁との間で引きちぎられた組織片を採取するため、採取片の全量を採取できず、操作を誤ると、切除した組織片を体内に拡散させる可能性も否定できない。さらに、組織片が硬化している場合、円滑に切除することができず、生検に必要な量の組織片を採取することができないという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2のものは、ブラシに付着した粘膜を収容部材の内部に採取することを基本としているため、硬化した組織片を採取することができず、しかも十分な量を採取することが不可能である。
【0009】
例えば、胃腸等の消化管は、その内面側からみて、粘膜層、粘膜筋層、粘膜下層、固有筋層からなり、癌細胞の場合、基本的に表層である粘膜層から露出した状態になり、進行度に応じて、固有筋層まで浸食する。各層は、それぞれ、厚さ、硬度、柔軟性が異なるため、剪断等により確実に採取することはきわめて困難である。
そこで、本発明の目的は、硬化した組織片や柔軟性のある層に対しても高い切除特性を備えながら、切除した組織片を確実に体外へ取り出せるようにするとともに、切除具の侵襲の程度に物理的な制限を与えることにより、安全性を高めた内視鏡用組織片採取装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明の内視鏡用組織片採取装置は、外筒部に挿通したワイヤの先端に切除具を取り付け、該切除具により組織片を採取する内視鏡用組織片採取装置であって、前記外筒部
の前端側に設けた開口部に内筒部が嵌入され、前記内筒部が前記外筒部に対し回り止め結合さ
れるとともに、
前記外筒部の後端側に組織片収容ポケットが形成されており、前記切除具を、螺旋状の刃を備え、かつ、その外周が前記内筒部の内周と略一致する外径を有するドリル刃とし、該ドリル刃を前記内筒部の内周壁に挿通し、前記ワイヤを介して回転駆動することにより、ドリル刃の螺旋状溝と前記内筒部の内周面によって形成させる螺旋状通路に沿って、切除された組織片を前記収容ポケットに送給するようにした。
【0011】
また、上記の内視鏡用組織片採取装置において、外筒部の内周面において、前端側に前記内筒部の外周面に形成した段差部を係止する係止用固定段差を設けることにより、前記収容ポケット内に収容された組織片により、内筒部が前端側に押し出されたとき、係止用固定段差により係止され、ドリル状切除具の先端部周辺を覆うようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡用組織片採取装置によれば、内筒部の前端から調整された長さだけ突出するドリル刃の刃先端により、切り裂かれた組織片は、体内に拡散することなく、螺旋状に形成される刃先間の溝に沿って案内され収容ポケットに蓄積されていく。そして、収容ポケットの内部に採取した組織片が満たされると、最終的に、螺旋状に形成される刃先間の螺旋溝にも組織片が満たされ、ドリル刃が回転を継続しても、その刃先端は、組織片に接触するだけで、組織片の体内への拡散を防止するとともに、それ以上組織の内部に侵襲することを効果的に防止することができる。
【0013】
さらに、収容ポケット内に収容された組織片により、内筒部が前端側に押し出されるようにし、ドリル状切除具の先端部周辺を覆うようにすれば、組織片の飛散をさらに確実に抑止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。
図1は、本実施例の内視鏡用組織片採取装置の組立前の構造を示しており、外筒部1、内筒部2、ワイヤ
5の先端に取り付けられるドリル刃3を主要部品としている。なお、以後、
図1において、左端にあるドリル刃先側を前端側、その反対側を後端側と称することとする。
【0016】
内筒部2は、その後端側の一部が外筒部1の前端側に嵌入されるようになっており、その内部に挿通されたワイヤ
5を後端側に引き込み、ストッパ4により、外筒部1の後端側底壁に固定することで、
図2に示されるように、内視鏡用組織片採取装置の組立が完了する。ワイヤ
5として、内視鏡に広く採用されている、中心にガイドワイヤを挿入できるものを採用してもよい。この場合、ドリル刃3の回転中心に、ガイドワイヤ挿入用の穿孔を形成する必要がある。
【0017】
内筒部2の後端側に、ドリル刃3の後端面と当接するドリル刃固定段差2aが形成されている。一方、外筒部1の前端側には、内筒部2を嵌入する開口部1aが設けられており、組立時は、先端にドリル刃3を取り付けたワイヤ
5の他端を、内筒部2の前端側から底部に挿通した上で、ワイヤ
5を後端側に引き込み、ドリル刃固定段差2aを開口部1aの底面に当接させる。その際、内筒部2の外周に形成した凸部を、開口部1aの内周に形成した凹部に嵌入することで、スプライン結合を行い、内筒部2が外筒部1に相対回転しないよう結合される。もちろん、内筒部2の外周に凹部を形成し、開口部1aの内周に凸部を形成したスプライン結合でもよいし、内筒部2の後端に突起を設け、開口部1aの後端に形成した孔部に嵌め込むようにしてもよい。
なお、ドリル刃3の外径は、刃先側先端部を除いて、内筒部2の内径とほぼ等しく設定されており、刃先の外端が内筒部2の内周を摺接し、螺旋状に形成される刃先間の溝に進入してくる組織片は、逆流することなく、外筒部1の内部に設けた収容ポケット6に搬送される。
【0018】
このように、組み立てた際、軸方向からみて、開口部1aの深さ、内筒部2の長さにより、内筒部2の外筒部1の先端からの突出量を調整することができ、また、ドリル刃3の後端面から刃の先端部までの長さと、内筒部2に形成したドリル刃固定段差2aまでの嵌入の深さにより、内筒部2の前端からのドリル刃3の突出量を調整することができる。
【0019】
組織片採取時は、ワイヤ5の他端側を手動または電動で回転させることになるが、組織片採取の態様によって、開口部1aの深さ、内筒部2の長さや深さ、さらには、ドリル刃3の長さを様々に組み合わせることで最適かつ安全で、後述するように、組織片を周囲に飛び散らせない採取が可能となる。
例えば、内筒部2の前端からのドリル刃3の突出量を零、あるいは若干引き込んだ状態として、内筒部2の前端で組織片を押圧しながら、組織片を採取することも可能である。
【0020】
このように組み立てた内視鏡用組織片採取装置は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通され、
図3のように、外筒部1の後端側が外套管7の前端側に嵌入させることで、外套管7の内部に組み込まれる。
なお、内視鏡用組織片採取装置が外套管7から抜き出ないよう、収納ストッパ8が、外套管7の後端側から突出するワイヤ5に取り付けられており、さらに、万一収納ストッパ8が破損したときに備え、安全ストッパ10がワイヤ5に取り付けられている。
【0021】
なお、
図4に示すように、外筒部1を外套管7の後端から突出するよう、外套管7より長くし、前端側から順に、収容ストッパ8、安全ストッパ9、ストッパ4を配置するようにしてもよい。こうすることで、内筒部2にドリル刃固定段差2aを設けなくても、収納ストッパ8と安全ストッパ9の距離でドリル刃、管状部材の進入深さを設定することが可能となる。
【0022】
以上のように組み立てられた内視鏡用組織片採取装置を用いて組織片を採取する際、ワイヤ4を介してドリル刃3を回転させるが、内筒部2の前端から調整された長さだけ突出する刃先端により、組織片を円周方向に切り裂く。切り裂き片は、体内に拡散することなく、螺旋状に形成される刃先間の溝に沿って案内され、
図2に示される収容ポケット6の内部に蓄積されていく。
【0023】
ここで、収容ポケット6の内部に採取した組織片が満たされると、最終的に、螺旋状に形成される刃先間の螺旋溝にも組織片が満たされ、ドリル刃3が回転を継続しても、内筒部2の前端から突出する刃先端は、組織片に円周に沿って組織片に接触するだけで、それ以上組織片に侵襲することはない。また、この時点で、内視鏡用組織片採取装置を取り扱う施術者にとっても、いわゆる手応えが急変するので、収容ポケット6の内部に組織片が満たされたことが確認でき、直ちに、内視鏡用組織片採取装置のさらなる刺入を中止し、ドリル刃3の回転を停止する必要があることを感知することができる。
【0024】
ドリル刃3は、採取する組織片や病巣の種類によって様々なタイプを選択することができ、
図5は、先端まで、螺旋溝の軸方向に対する角度を大きくして、刃先尖端を針状にした形態1を示している。
このタイプのドリル刃3は、特に固い組織片に適し、針状の刃先尖端を、採取すべき組織片に突き刺し、この部分を中心として、ドリル刃3の最先端側の面が、円周を描きながら回転し、eの方向に進行する。その際、ドリル刃の尖端側の面の外周端に沿って形成した薄刃により組織片を切り裂き、刃先間の螺旋溝に導かれていく。
このように、回転によるドリル刃3の組織片の切除により、収容ポケット6の内部に組織片が満たされ、深さ方向進行が抑止されると、ドリル刃3の螺旋刃と内筒部2の内周面との間に作用する柔軟材の摩擦によって柔軟材が引っぱられてテンションが作用する。
【0025】
図5において、aはドリル刃の直径を示し、適用される部位の内径、検体対象の大きさに応じて、適切な直径aを有するドリル刃3を選択する。
また、bは螺旋構造のピッチを示し、ピッチbを選定することにより、単位回転当たりに柔軟材が引き込まれる距離を調整することができる。
すなわち、ピッチbが小さいドリル刃3を選定すれば、組織片は、連続的に溝内に満たされて収容ポケット6に供給される。
一方、ピッチbが大きいドリル刃3を選定すれば、組織片が引き裂かれた後、ドリル刃に切断されることになり、組織片を断続的に収容ポケット6に供給される。
【0026】
cはドリル刃螺旋部分の幅を示し、幅cを大きくすることでドリル刃3の剛性を高めることができるが、反面、組織片案内用の溝幅が減少し、組織片の引き込み力が減少する。
【0027】
dはドリル刃軸径を示し、ドリル刃軸径dが大きいドリル刃3を選定すれば、剛性を高めることができ、ガイドワイヤ用の穿孔がしやすい、腰のある大径ガイドワイヤを使用できる等のメリットがある。一方、組織片の保持量が少なくなり、スムースに組織片を収容ポケット6側に送ることができず、目詰まりを引き起こす可能性がある。
【0028】
この場所にドリル刃の尖端側外周端の薄刃が通過することにより、組織片の末端部が切断されて分離される。また、組織片に直角に近い状態で接するので、収容ポケット6の内部に組織片が満たされたときの抵抗力を増大させ、さらなる侵襲を効果的に抑止するとともに、施術者に対する手応えの変化をより明確にすることができる。
【0029】
また、
図6は、尖端からドリル刃3の外径を次第に大きくするとともに、螺旋溝の軸方向に対する傾斜角度を大きくすることで高めて、木ねじ状にした形態2を示す。
このタイプのドリル刃3は、特に柔らかい組織片に適し、ドリル刃3の径が徐々に大きくなるため、組織片を拡散することなく、ドリル刃3の螺旋溝に沿って、収容ポケット6の内部に導入することができる。
【0030】
回転によるドリル刃3の組織片の切除により、収容ポケット6の内部に組織片が満たされ、深さ方向進行が抑止されると、ドリル刃3の螺旋刃と内筒部2の内周面との間に作用する摩擦によって、組織片が引っぱられ、剪断される。また、木ねじ状であるため、施術者にとっては、刺入深さを直感的に予測することが可能となる。
【0031】
aはドリル刃3の直径を示し、適用される部位の内径、検体対象の大きさに応じて、適切な直径aを有するドリル刃3を選択する。
bは螺旋構造のピッチを示し、単位回転当たりにドリル刃3の進入深さを調整することができる。
【0032】
cはドリル刃3の螺旋部分の幅を示し、螺旋部分の幅cが大きいドリル刃3を選択すると、剛性をあげることができる一方、組織片案内用の溝幅が減少し、組織片の引き込み力が減少する。
【0033】
dはドリル刃軸径を示し、ドリル刃軸径dが大きいと剛性を上昇させることができ、ガイドワイヤ用の穿孔がしやすい、腰のある大径ガイドワイヤを使用できる等のメリットがあるが、組織片の保持量が少なくなり、組織片がスムースに収容ポケット6側に送られず目詰まりを引き起こす可能性がある。
【0034】
なお、いずれの場合も、回転によるドリル刃3の組織片の切除により、収容ポケット6の内部に組織片が満たされ、深さ方向進行が抑止されると、ドリル刃を駆動する駆動モータの電流量が急速に減少することから、これを検知して、駆動モータを停止するとともに、アラームランプを点灯させることもできる。
【0035】
なお、外筒部1については、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン、フッ化エチレン等の合成樹脂により成型され、内視鏡の処置具挿通チャンネルにスムースに挿入可能な径(3mm程度)に設計され、挿通時にも、内視鏡の柔軟性を妨げない程度の弾力性を有している。外筒部1自体は、先端に刃を備えず、採取したい組織片に、先端が圧着され、組織片の飛散を防止するカバーとなる。
外筒部1を、外套管7の前端側に嵌入させる場合は、数mmないし10mm程度の長さが好適である。
【0036】
また、ドリル刃3については、ニッケル・チタン合金、ステンレススチール、コバルトクロム合金等の合金、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなどの合成樹脂で形成されている。
【0037】
本発明は、以上の実施例に限らず、様々な態様を採用することできる。
すなわち、実施例では、ドリル刃3の後端面を内筒部2の内周面に形成したドリル刃固定段差2aに当接させた状態で、ワイヤ5をストッパ4により係止したが、
図7に示すように、ストッパ4と外筒部1の後端面との間に若干の間隙を形成し、ドリル刃3を、外筒部1の前端に設けた、係止用固定段差1bにより、前方への移動を制限するようにしてもよい。
【0038】
そして、内筒部2の後端側に、収容ポケット6に面するよう、フランジ状の受圧部2cを周方向に設けることにより、組織片の切除を行っている際は、切除抵抗により、フランジ状の受圧部2cが、開口部1aの底面1cに当接し、切除に最適な位置に維持される。
一方、内筒部2の中央部付近には、段差2dが設けられている。このため、収容ポケット6の内部に組織片が満たされていくにつれ、受圧部2cが内筒部2を前端側に押し出されていき、段差2dが、外筒部1の係止用固定段差1bに当接するまで突出させることができる。このような構成により、切除作業の終盤には、ドリル刃3の全体を内筒部2の内部に収容することができ、組織片の飛散をさらに確実に抑止することができる。
【0039】
また、ドリル刃3を導電性の金属で形成し、10W、1MHzの高周波を与えることにより、周辺の組織片を100℃程度に加熱して、止血機能を与えてもよい。
さらに、内筒部2は、採取する組織片の量に応じて、様々な容量の収容ポケット6を備えたものを用意し、交換可能とする。組織片を連続的に、且つ大量に採取する場合は、収容ポケットを大容量化するとともに、外筒部を、内視鏡の筒長(1.5m程度)より長くして、外部に取り出すようにしてもよい。
【0040】
また、外筒部、外套管を透明の樹脂で構成し、別の挿通チャンネルから挿通した照明部、撮影部をセットにした撮像装置により、ドリル刃3による切除位置や切除の様子を可視化するのも好適である。また、X線などで透過して、ドリル刃3の先端位置を可視化できるよう、ドリル刃3の先端等に、X線透過性の低い材料でマーカなどを取り付けるのもよい。