(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のインクジェット記録方法は、基材にpH6以下の下塗り液を付与する工程、下塗り液を付与した基材上へインク組成物を吐出する吐出工程、基材上のインク組成物を熱により乾燥する乾燥工程、及び、基材上のインク組成物を活性光線の照射により硬化する硬化工程をこの順で有し、上記インク組成物が、(成分A)下記式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を含む高分子化合物、(成分B)水、及び、(成分C)顔料を含むことを特徴とする。
【0015】
【化4】
(式(1)中、R
a及びR
bは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよい。)
【0016】
なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は、「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。すなわち、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。また、「(成分B)水」等を単に「成分B」等ともいう。更に、上記成分A〜成分Cを含有するインク組成物を、「本発明のインク組成物」ともいい、pH6以下の下塗り液を「本発明の下塗り液」ともいう。
なお、「質量%」及び「質量部」は、それぞれ「重量%」及び「重量部」と同義である。また、本発明においては、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。同様に、「アクリルアミド」、「メタクリルアミド」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリルアミド」と記載することがある。
更に、本発明における化学構造式において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい。
【0017】
従来、水性インクを用いたインクジェット記録方法では、基材へのインクの着弾後、着弾干渉が生じるという問題があった。
本発明者等は鋭意検討した結果、基材上にpHが6以下の下塗り液を付与した後に、成分A〜成分Cを含有する水性インク組成物を吐出することにより、上記の課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0018】
その機構は明確ではないが、基材上にpH6以下の下塗り液が付与されていると、着弾したインク組成物中の成分Aが凝集し、あたかもピニングされたようになり、着弾干渉が抑制されると考えられる。このため、従来の水性インクに比して、画像乱れの発生が抑制され、高画質な画像が得られる。
また、その機構は明確ではないが、凝集により架橋点が近づくことにより、硬化性も良化したものと推定される。
このような方法は、着弾干渉を機械的な方法(温調、光等)により回避するものではなく、システムコストの点でも有利である。
以下、本発明のインク組成物及び本発明の下塗り液について説明した後、インクジェット記録方法について説明する。
【0019】
1.インク組成物
本発明のインク組成物は、(成分A)下記式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を含む高分子化合物、(成分B)水、及び、(成分C)顔料を含むことを特徴とする。
以下、本発明のインク組成物の含有する各成分について、詳細に説明する。
【0020】
(成分A)下記式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を含む高分子化合物
本発明のインク組成物は、(成分A)下記式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を含む高分子化合物(以下、「特定重合体」ともいう。)を含有する。
本発明のインク組成物に含まれる、特定重合体含まれる各モノマー単位及び特定重合体の物性について詳細に説明する。
【0021】
(式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1))
特定重合体は、下記式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を含む。
【0022】
【化5】
(式(1)中、R
a及びR
bは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよく、*は結合位置を表す。
【0023】
式(1)中、R
a又はR
bで表される炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても、分岐構造であってもよい。上記アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、炭素数1〜2のアルキル基(メチル基及びエチル基)であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることが特に好ましい。
【0024】
式(1)において、R
a又はR
bで表されるアルキル基は、置換基を有していても、有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
R
a及びR
bは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していてもよい。
式(1)中、R
a及びR
bの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R
a及びR
bが、いずれも水素原子であると、反応性及び安定性に劣る。
R
a及びR
bとしては、その双方が炭素数1〜4のアルキル基である態様、又は、R
a及びR
bが互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成していることが好ましく、R
a及びR
bの双方が炭素数1〜2のアルキル基であることがより好ましく、R
a及びR
bの双方が炭素数1のアルキル基(メチル基)であることが更に好ましい。
【0025】
以下に、式(1)で表される部分構造の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0027】
特定重合体は、式(1)で表される部分構造を、側鎖に複数有する態様であってもよい。
【0028】
式(1)で示される部分構造を有するモノマー単位(a−1)としては、下記式(2)で表されるモノマー単位であることが好ましい。
【0030】
式(2)中、R
a及びR
bは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bは互いに結合して4〜6員の脂環構造を形成してもよく、R
cは水素原子又はメチル基を表し、Zは、単結合、−COO−**、又は−CONR
d−**を表し、R
dは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表し、Xは2価の有機基を表す。
【0031】
式(2)において、R
a及びR
bは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R
a及びR
bの少なくとも一方は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R
a及びR
bは互いに結合して4〜6員の環構造を形成してもよい。
式(2)におけるR
a及びR
bは、上記式(1)におけるR
a及びR
bとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0032】
式(2)において、R
cは水素原子又はメチル基を表す。R
cはメチル基であることが好ましい。
式(2)において、Zは、単結合、−COO−**、又は−CONR
d−**を表し、R
dは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、**はXとの結合位置を表す。Zは−COO−**であることが好ましい。
また、上記−CONR
d−*におけるR
dは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R
dで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。R
dは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、すなわち、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。R
dがアルキル基を表す場合、上記アルキル基は置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。
【0033】
式(2)において、Xは2価の有機基を表す。2価の有機基としては、アルキレン基又はアラルキレン基が挙げられ、炭素数は2〜20のアルキレン基又は炭素数6〜12のアラルキレン基であることが好ましい。Xとしてはアルキレン基であることがより好ましい。
Xがアルキレン基を表す場合、炭素数2〜20であることが好ましく、炭素数2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが更に好ましい。Xで表されるアルキレン基の炭素数がこの範囲であることで、特定重合体における側鎖末端に存在する式(1)で示される部分構造の運動性が向上し、本発明の効果がより向上する。
Xで表されるアルキレン基は、直鎖構造であっても、アルキレン鎖中に分岐を有するものであっても、環状構造を有するものであってもよい。また、アルキレン基は、−O−、−COO−、−OC(=O)−、及び−CONH−から選択される結合をアルキレン鎖中に含んでいてもよい。また、アルキレン基は、炭素数4以下のアルキル基、水酸基、又は塩素原子で置換されていてもよい。Xとしては、アルキレン基、又は、アルキレン基及びエーテル結合(−O−)からなる基であることが好ましい。
【0034】
式(2)で表されるモノマー単位としては、R
a及びR
bが各々独立に炭素数1〜2のアルキル基であり、R
cがメチル基であり、Zが−COO−**であり、Xが炭素数2〜12のアルキレン基であることが好ましい。
【0035】
特定重合体に含まれる式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)(好ましくは式(2)で表されるモノマー単位)の含有量は、インク組成物により形成される硬化膜(画像)が目的とする性質に応じて適宜選択される。すなわち、式(1)で表されるモノマー単位(a−1)の含有量は、形成された画像の強度と、柔軟性の観点から、特定重合体の全質量に対し、20質量%〜70質量%であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましく、40質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)の含有量が上記範囲内であると、画像強度に優れるので好ましい。なお、柔軟性に優れた画像を形成する場合には、上記の範囲において、含有量が少ない方が好ましい。
特定重合体には、式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0036】
特定重合体は、式(1)で表される部分構造を1分子中に8〜200個有することが好ましい。8〜150個有することがより好ましく、8〜120個有することが更に好ましく、10〜100個有することが特に好ましい。特定重合体が1分子中に有する式(1)で表される部分構造の数が上記範囲内であると、硬化性と吐出性の観点から好ましい。
【0037】
式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)は、式(1)で表される部分構造を有する単量体を重合成分の一つとして用いて重合することにより、特定重合体に導入することができる。式(1)で表されるモノマー単位(a−1)が、式(2)で表されるモノマー単位である場合、特定重合体の合成には、下記式(2’)で表される単量体を用いることができる。
また、式(1)で表される部分構造(a−1)は、高分子反応を用いた方法により導入することもできる。そのような方法としては、例えば、1級アミノ基を有するプレポリマーに、対応する無水物を反応して得る方法や、プレポリマー中の官能基と反応し結合を形成する官能基と式(1)で表される部分構造とを有する化合物を、プレポリマーと反応させる方法などが挙げられる。
【0039】
式(2’)中、R
a、R
b、R
c、Z及びXは、上記式(2)におけるR
a、R
b、R
c、Z及びXとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0040】
式(2’)で表される単量体の好ましい例としては、以下に示す単量体(2’−1)〜(2’−11)を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0042】
単量体(2’−1)〜(2’−11)に代表される、式(1)で表される部分構造を含む単量体は、例えば、特開昭52−988号公報、特開平4−251258号公報等に記載の方法を参考に製造することができる。
【0043】
(親水性基を有するモノマー単位(a−2))
本発明において、特定重合体は、親水性基を有するモノマー単位(a−2)を含むことが好ましい。なお、親水性のモノマー単位(a−2)は、上記式(1)で表される部分構造を含むモノマー単位(a−1)を除くものであることはいうまでもない。
上記親水性基としては、特定重合体の親水性を高める機能を有する基であれば特に限定されず、ノニオン性親水性基であってもよいし、イオン性親水性基(例えば、アニオン性親水性基又はカチオン性親水性基)であってもよい。
ノニオン性親水性基としては、特に限定されないが、例えば、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、又はポリアルキレンオキシ構造を有する基等のノニオン性親水性基が挙げられる。
アルキル置換カルバモイル基としては、カルバモイル基(−C(=O)−NH
2)が有する窒素原子に結合する水素原子がアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基、又は、カルバモイル基が有する窒素原子に結合する2つの水素原子がアルキル基で置換されたジアルキルカルバモイル基が挙げられる。上記アルキル基は、更に水酸基等の置換基を有していてもよい。これらのアルキル置換カルバモイル基中でも、炭素数1〜8のアルキル基又は水酸基で置換された炭素数1〜4のアルキル基で置換されたモノアルキルカルバモイル基が好ましい。
ポリアルキレンオキシ構造を有する基としては、特に限定されないが、炭素数1〜4のアルキレンオキシ基をモノマー単位に有するポリアルキレンオキシ構造が好ましく、アルキレンオキシ基を4以上繰り返すポリアルキレンオキシ構造がより好ましい。ポリアルキレンオキシ構造中のアルキレンオキシ基は1種であってもよいし、複数種のアルキレンオキシ基が組み合わされていてもよい。ポリアルキレンオキシ構造の末端基としては、水酸基又はアルコキシ基が好ましく、水酸基又はメトキシ基がより好ましい。
【0044】
イオン性親水性基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、フェノール性水酸基、又は4級アンモニウム基等のイオン性親水性基が挙げられる。上記イオン性親水性基は塩を形成していてもよい。
イオン性親水性基が塩を形成している場合、対塩としては、アルカリ金属塩(Li、Na、K等)、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。この中でもアルカリ金属塩(Li、Na、K等)又はアンモニウム塩が好ましい。
【0045】
これらの親水性基の中でも、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルコール性水酸基、ポリアルキレンオキシ構造を有する基、カルボキシル基及びその塩が好ましく、アルコール性水酸基、アルキル置換カルバモイル基、カルボキシル基及びその塩であることがより好ましい。また、更に好ましくは、カルボキシル基及びその塩である。
なお、親水性基を有するモノマー単位(a−2)がイオン性親水性基を有する場合、インク組成物のpHによって、その状態が変化することはいうまでもなく、例えば親水性基としてカルボキシル基を有する場合、インク組成物のpHによってカルボキシル基及びその塩が共存する。
【0046】
上記親水性基を有するモノマー単位(a−2)としては、下記式(3)で表されるモノマー単位であることが好ましい。
【0048】
式(3)中、R
cyは水素原子又はメチル基を表す。Z
yは−COO−***、−CONR
dy−***、又は、単結合を表し、R
dyは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R
yは、単結合、アルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Aは親水性基を表す。なお、***は、Z
yがR
yに結合する位置を表す。
【0049】
式(3)について詳細に説明する。
式(3)中、R
cyは、水素原子又はメチル基を表す。
式(3)中、Z
yは、−COO−***、−CONR
dy−***、又は単結合を表し、−COO−***であることが好ましい。なお、***は、Z
yがR
yに結合する位置である。
R
dyは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基を表す。R
dyは、水素原子、又は、炭素数1〜2のアルキル基(すなわち、メチル基又はエチル基)であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
R
dyは、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。R
dyが有していてもよい置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
【0050】
式(3)において、R
yは、単結合、アルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表し、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数7〜20のアラルキレン基であることが好ましい。
R
yが、アルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基である場合、これらの基は、置換基を有していても、置換基を有していなくてもよい。また、R
yで表されるアルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基は、その構造中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、又はウレタン結合が存在していてもよい。
式(3)において、R
yは単結合であることが好ましい。
R
yが、アルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基である場合、これらの基は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I等)等が挙げられる。
【0051】
R
yが炭素数1〜20のアルキレン基である場合、上記アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。R
yがアルキレン基である場合の炭素数は2〜12であることがより好ましく、炭素数2〜8であることが更に好ましい。R
yのアルキレン基の具体例としては、−CH
2−、−C
2H
4−、−C(CH
3)
2−CH
2−、−CH
2C(CH
3)
2CH
2−、−C
6H
12−、−C
4H
7(C
4H
9)C
4H
8−、C
18H
36−、1,4−trans−シクロヘキシレン基、−C
2H
4−OCO−C
2H
4−、−C
2H
4−OCO−、−C
2H
4−O−C
5H
10−、−CH
2−O−C
5H
9(C
5H
11)−、−C
2H
4−CONH−C
2H
4−、−C
4H
8−OCONH−C
6H
12−、−CH
2−OCONHC
10H
20−、−CH
2CH(OH)CH
2−、等が挙げられる。
【0052】
R
yが炭素数6〜20のアリーレン基である場合、上記アリーレン基の炭素数は6〜18であることが好ましく、6〜14であることが更に好ましく、6〜10であることが特に好ましい。R
yで表されるアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、−C
6H
4−CO−C
6H
4−、ナフチレン基等が挙げられる。
【0053】
R
yが炭素数7〜20のアラルキレン基である場合、上記アラルキレン基の炭素数は7〜18であることが好ましく、7〜14であることが更に好ましく、7〜10であることが特に好ましい。R
yで表されるアラルキレン基の具体例としては、−C
3H
6−C
6H
4−、−C
2H
4−C
6H
4−C
6H
4−、−CH
2−C
6H
4−C
6H
4−C
2H
4−、−C
2H
4−OCO−C
6H
4−等が挙げられる。
【0054】
式(3)中のAで表される親水性基としては、既述の親水性基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0055】
特定重合体が、式(3)で表されるモノマー単位を有する場合、特定重合体における式(3)で表されるモノマー単位の好ましい含有量は以下の通りである。
式(3)における親水性基Aがイオン性親水性基である場合、式(3)で表されるモノマー単位の含有量は、特定重合体中、5質量%〜45質量%であることが好ましく、8質量%〜25質量%がより好ましく、10質量%〜23質量%が特に好ましい。
式(3)における親水性基Aがノニオン性親水性基である場合、特定重合体中、20質量%〜95質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%がより好ましく、30質量%〜70質量%が更に好ましい。
【0056】
式(3)で表されるモノマー単位は、下記式(3’)で表される単量体に由来するものであることが好ましく、これら単量体を共重合成分として含むことで特定重合体中にモノマー単位(a−2)が導入される。
【0058】
式(3’)における、R
cy、Z
y、R
y、及びAは、上記式(3)におけるR
cy、Z
y、R
y、及びAとそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0059】
式(3’)で表される単量体の好ましい例としては以下に示す単量体化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
具体的には、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイロキシエチルエチレンウレア、ビニルピロリドン、3−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、アクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸テトラブチルアンモニウム、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸ナトリウム、モノ(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸ナトリウム、(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニル安息香酸等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸及びその塩が好ましく、メタクリル酸及びその塩がより好ましい。対塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
【0060】
式(3’)で表される単量体としては、市販の化合物を用いることができる他、一般的に知られている公知慣用の方法により製造することができる。
また、本発明においては、式(3’)で表される単量体の他に、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその無水物、更にこれらより誘導されるジカルボン酸塩も好ましく使用することができる。
【0061】
特定重合体における親水性基を有するモノマー単位の含有量は、親水性基の種類により好ましい含有量が異なるが、特定重合体が水溶性となる含有量とすることが好ましい。
ここで、特定重合体が水溶性を示すとは、特定重合体が、25℃の水に対して3質量%以上溶解することを意味する。
【0062】
特定重合体におけるモノマー単位(a−2)の含有量は5質量%〜45質量%であることが好ましく、8質量%〜25質量%であることが好ましく、10質量%〜23質量%であることがより好ましく、10質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
モノマー単位(a−2)の含有量が上記範囲であることで、特定重合体の極性が適切に維持され、好適な耐水性が得られる。
特定重合体には、親水性基を有するモノマー単位(a−2)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0063】
(疎水性のモノマー単位(a−3))
特定重合体は、疎水性のモノマー単位(a−3)を含むことが好ましい。ここで、疎水性のモノマー単位とは、上記式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)、及び、上記親水性基を有するモノマー単位(a−2)を除くモノマー単位であり、親水性基を有しないモノマー単位である。
疎水性のモノマー単位を含むことで、特定重合体の極性が適切に維持され、インク組成物により形成されたインク画像は、耐水性に優れると共に、非吸収性の記録媒体への密着性に優れるものとなる。
疎水性のモノマー単位(a−3)としては、(a−3)のみで構成される重量平均分子量が10,000以上のホモポリマーの水への溶解度が1.0質量%未満であることが好ましい。
【0064】
疎水性のモノマー単位としては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル及び、アラルキルエステルから選ばれるモノマー由来のモノマー単位が好適に使用され、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルがより好ましい。
中でも、特定重合体の極性を適切な範囲に調整するという観点から、アルキルエステルのアルキル基は、炭素数1〜30であることが好ましく、炭素数2〜24であることがより好ましく、炭素数3〜18であることが更に好ましい。
アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖を有するものであって、環状であってもよい。
また、疎水性のモノマー単位は、ベンジル基やフェノキシエチル基などを有する、(メタ)アクリル酸のアラルキルエステルに由来するモノマー単位であってもよい。アラルキルエステルの場合、アラルキル基の炭素数は6〜30であることが好ましく、6〜24であることがより好ましく、6〜18であることが更に好ましく、7〜12であることが特に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルの総炭素数は、4〜22であることが好ましく、5〜20であることがより好ましく、5〜18であることが更に好ましい。
【0065】
本発明に係る特定重合体が含みうるモノマー単位(a−3)を以下に例示するが、本発明の(a−3)はこれらに限定的されない。(a−3)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレンやα−メチルスチレン、4−メチルスチレン等のスチレン類、クロロエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基で置換された、総炭素数が4〜22の(メタ)アクリル酸エステル類である、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどが好ましく、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがより好ましい。また、n−ブチルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0066】
特定重合体には、モノマー単位(a−3)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
疎水性のモノマー単位(a−3)は、共重合体の極性を低下させる観点から、特定重合体中、5質量%〜72質量%の範囲が好ましく、20質量%〜65質量%がより好ましく、25質量%〜60質量%が最も好ましい。
【0067】
(特定重合体のSP値)
本発明において、特定重合体は、SP値が20.7MPa
1/2〜23.0MPa
1/2であることが好ましく、21.2MPa
1/2〜22.8MPa
1/2がより好ましく、21.5MPa
1/2〜22.5MPa
1/2が更に好ましい。
本発明において、「SP値」とは、「溶解度パラメータの値」を意味する。本発明でいうSP値とは、沖津法(接着38巻6号6頁(1994年)高分子刊行会)によって算出される溶解性パラメータであり、分子構造中のユニット毎にモル引力定数、モル体積を与えて得られる沖津により提唱された推算値を示す。なお、ポリマーのSP値を算出する際には、(メタ)アクリル酸におけるカルボン酸は未中和の状態で計算を行うものとし、本明細書におけるSP値はこの方法で算出した値を用いている。
【0068】
以下に本発明で用いた代表的なモノマー単位のSP値を記載する。モノマー名の後の括弧内に記載した数値がSP値であり単位はMPa
1/2である。
下記モノマー1(24.41)、下記モノマー2(23.22)、下記モノマー3(22.75)、メタクリル酸(24.02)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.89)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(32.87)メチルメタクリレート(19.5)、n−ブチルメタクリレート(18.33)、イソブチルメタクリレート(17.76)、tert−ブチルメタクリレート(17.97)、2−エチルヘキシルメタクリレート(17.30)、ステアリルメタクリレート(17.08)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.89)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(21.29)、シクロヘキシルメタクリレート(18.79)、ベンジルメタクリレート(20.21)、2−フェノキシエチルメタクリレート(20.23)、イソボロニルメタクリレート(18.09)
【0070】
本発明のインク組成物は、上記各構成単位を含み、特定の範囲のSP値を示す特定重合体を含有するために、耐水性及び耐溶剤性のいずれにも優れるインク画像を形成しうる。
特定重合体が式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を有しない非架橋性の重合体を用いた場合は極性の調整による耐水性と耐溶剤性の両立は困難である。しかし、本発明のインク組成物は、特定重合体中に、式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を含むため、架橋効果と極性による不溶化効果を共に奏しうる。そのため、耐水性と耐溶剤性との双方の効果を両立することができる。更に、特定重合体の極性(SP値)を特定の範囲に制御することで、記録媒体への密着性に優れたインク組成物を得ることができた。
【0071】
本発明のインク組成物に含まれる特定重合体の重量平均分子量は5,000以上であり、5,000〜150,000の範囲であることが、耐水性の観点から好ましく、吐出性を高める観点から、5,000〜100,000の範囲であることがより好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、カラムオーブンの設定温度を40℃として測定する。分子量の算出には標準ポリスチレンを用いる。
【0072】
以下に、本発明に使用しうる特定重合体の具体例〔例示化合物(A−1)〜(A−25)〕を、上記特定重合体が含むモノマー単位を構成する原料モノマー、その質量基準の含有率、及び得られた特定重合体の重量平均分子量を記載することで示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記表1に記載された「SP値」は特定重合体のSP値を示し、それぞれ既述の測定方法又は算出方法により得た値を記載している。また、「−」は当該成分を含有しないことを意味する。
【0074】
なお、表1中、の略称は以下の通りである。
MAA:メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)
MAA−Na:メタクリル酸ナトリウム塩(メタクリル酸を共重合したポリマーを中和することで生成する。)
BMA:n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
iBMA:イソブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
tBMA:tert−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
IBOMA:イソボロニルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
C18MA:オクタデシルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
CyHMA:シクロヘキシルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
PEMA:フェノキシエチルメタクリレート(NKエステルPHE−1G、新中村化学(株)製)
EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
BnMA:ベンジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
【0075】
本発明において、特定重合体は、例えば、式(1)で表される部分構造を有するモノマー単位(a−1)を形成するための単量体と、親水性基を有するモノマー単位(a−2)を形成するための単量体と、疎水性基を有するモノマー単位(a−3)を形成するための単量体とを、公知の重合方法により重合し、必要に応じて酸性基をアルカリ金属の水酸化物等により中和することにより得ることができる。具体的には、例えば、特開昭52−988号公報、特開昭55−154970号公報、Langmuir 18巻14号5414〜5421頁(2002年)等に記載の重合方法準じた方法で、特定重合体を製造することができる。
【0076】
本発明において、特定重合体の含有量は、インク組成物全体の1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましく、3〜20質量%が更に好ましい。含有量が上記範囲内であると、吐出性に優れると共に、膜強度及び延伸性に優れた画像が得られるので好ましい。
【0077】
(成分B)水
本発明のインク組成物は、(成分B)水を含有する。
(成分B)水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水を使用することが好ましい。
本発明のインク組成物における水の含有量は、10〜97質量%であることが好ましく、30〜95質量%であることがより好ましく、50〜85質量%であることが更に好ましい。
水の含有量が上記範囲内であると、吐出性に優れると共に、膜強度及び延伸性に優れた画像が得られるので好ましい。
【0078】
(成分C)顔料
本発明のインク組成物は、(成分C)顔料を含有する。顔料は顔料分散物としてインク組成物に含有させることができる。顔料分散物を用いることは、耐溶剤性向上の観点から好ましい。顔料分散物としては、顔料を顔料分散剤で分散したものの他、自己分散顔料も用いることができる。
【0079】
顔料としては、一般に用いられる有機顔料、無機顔料、更には、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。通常、市販されている顔料はいずれも使用でき、更に、市販の顔料分散体や表面処理剤などで予め処理された顔料、例えば、顔料を分散媒としての不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0080】
本発明に用いうる有機顔料及び無機顔料としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー219の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー166の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー24(フラバントロンイエロー)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントイエロー138(キノフタロンイエロー)の如きキノフタロン顔料、C.I.ピグメントイエロー139(イソインドリンイエロー)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料、C.I.ピグメントイエロー120(ベンズイミダゾロンイエロー)C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー194等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントイエロー150の如きニッケルアゾ顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180などが好ましく用いられる。
【0081】
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド6等の如きB−ナフトール顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B等)、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド48(B−オキシナフト酸レーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッド等)、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)、C.I.ピグメントレッド172(エリスロシンレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、
【0082】
C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド224の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料及び、上記複数のキナクリドン顔料の固溶体であるキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド208の如きナフトロン顔料、C.I.ピグメントレッド247の如きナフトールAS系レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド27の如きジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料及び、これらのキナクリドン顔料を複数含む固溶体であるキナクリドン顔料等が好ましい。
【0083】
青あるいはシアン色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6などの銅フタロシアニン顔料等が好ましい。
【0084】
緑色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)、C.I.ピグメントグリーン10等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5の如きΒ−ナフトール顔料、C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等の如きナフトールAS顔料、C.I.ピグメントオレンジ61等の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等の如きアセトロン顔料、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等の如きピラゾロン顔料、が挙げられる。
茶色を呈する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。
【0085】
黒色を呈する顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック)等の如きインダジン顔料、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32の如きペリレン顔料等が挙げられる。これらの中でも、C.I.ピグメントブラック7が好ましい。
白色顔料としては、例えば、塩基性炭酸鉛(2PbCO
3Pb(OH)
2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO
2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能であり、これらの中でも、酸化チタンが好ましい。白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。従って、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0086】
白色以外の顔料は、平均粒径が小さいほど発色性に優れるため、顔料分散物を白色以外の顔料分散物に適用する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、0.01μm〜0.4μm程度であることが好ましく、更に好ましくは0.02μm〜0.3μmの範囲である。
また、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下がより好ましい。顔料の粒径は、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件の設定などにより調整することができる。また、本発明のインク組成物を、白色のインク組成物として調製する場合であれば、顔料分散物に含有される顔料の平均粒径は、充分な隠蔽性を与える観点から、0.05μm〜1.0μm程度であることが好ましく、更に好ましくは0.1μm〜0.4μm程度である。白色の顔料分散物とする場合についても、顔料の最大粒径は、3μm以下、好ましくは1μm以下であることが好ましい。
【0087】
(分散剤)
顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることができる。
【0088】
また、本発明のインク組成物には、自己分散顔料を用いることもできる。本発明でいう自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有している顔料粒子である。
本発明でいう表面に極性基を有する顔料粒子とは、顔料粒子表面に直接極性基で修飾させた顔料、あるいは有機顔料母核を有する有機物で直接に又はジョイントを介して極性基が結合しているもの(以下、顔料誘導体という)をいう。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
このような表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、例えば、WO97/48769号公報、特開平10−110129号公報、特開平11−246807号公報、特開平11−57458号公報、特開平11−189739号公報、特開平11−323232号公報、特開2000−265094公報等に記載の顔料粒子表面を適当な酸化剤で酸化させることにより、顔料表面の少なくとも一部に、スルホン酸基もしくはその塩といった極性基を導入する方法が挙げられる。具体的には、カーボンブラックを濃硝酸で酸化したり、カラー顔料の場合は、スルフォランやN−メチル−2−ピロリドン中で、スルファミン酸、スルフォン化ピリジン塩、アミド硫酸などで酸化することにより調製することができる。これらの反応で、酸化が進みすぎ、水溶性となってしまった物は除去、精製することにより、顔料分散体を得ることができる。また、酸化によりスルフォン酸基を表面に導入した場合は、酸性基を必要に応じて、塩基性化合物を用いて中和してもよい。
【0089】
そのほかの表面に極性基を有する顔料粒子を得る方法としては、特開平11−49974号公報、特開2000−273383号公報、特開2000−303014号公報等に記載の顔料誘導体をミリングなどの処理で顔料粒子表面に吸着させる方法、特開2002−179977号公報、特開2002−201401号公報に記載の顔料を顔料誘導体と共に溶剤で溶解した後、貧溶剤中で晶析させる方法等を挙げることができ、いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
【0090】
顔料表面における極性基は、フリーでも塩の状態でもよいし、あるいはカウンター塩を有していてもよい。カウンター塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有するカウンター塩である。
【0091】
本発明におけるインク組成物全量に対する顔料の含有量は、0.5質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
顔料の含有量が上記範囲内であると、高画質の画像が得られる。
【0092】
(その他の添加剤)
本発明のインク組成物には、必須成分である上記成分A〜成分Cに加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、公知の添加剤を併用することができる。以下、インク組成物に使用しうる添加剤について説明する。
(成分D)水溶性有機溶剤
本発明のインク組成物は、主たる溶剤して水を含有するが、更に(成分D)水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。ここで水溶性有機溶剤とは、25℃の水に対する溶解度が10質量%以上である有機溶剤をいう。
【0093】
本発明で用いることのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、下記のものが挙げられる。
・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
【0094】
・アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、メトキシプロピオンアミド、N−メチルメトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチルメトキシプロピオンアミド、n−ブトキシプロピオンアミド、N−メチルn−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチルn−ブトキシプロピオンアミド等)、・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンウレア等)、
・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、
・スルホン類(例えば、スルホラン等)、
・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等)
【0095】
好ましい水溶性有機溶剤としては、多価アルコールエーテル類、複素環類が挙げられ、これらを併用することが好ましい。
【0096】
多価アルコールエーテル類では、いわゆるグリコールエーテル類が好ましく、具体的には、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましく、2−ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが更に好ましい。
複素環類としては、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンウレア等が好ましく、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
特に沸点の高い溶剤は好ましく用いることができ、常圧での沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。
【0097】
水溶性有機溶剤は、単独もしくは複数を併用してもよい。水溶性有機溶剤のインク組成物中の添加量としては、総量で1質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは2質量%〜35質量%である。
【0098】
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0099】
また、本発明においては、高分子界面活性剤も用いることができ、以下の水溶性樹脂が、好ましい高分子界面活性剤として挙げられる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、本発明において、ポリアルキルシロキサンを有するシリコーン系界面活性剤や、フッ化アルキル基を有するフッ素系界面活性剤も好ましく用いることができる。
【0100】
本発明のインク組成物において、界面活性剤を用いる場合、その添加量は、固形分添加量で0.1質量%以上5質量%以下となるように添加されることが好ましく、界面活性剤の固形分添加量を0.5質量%以上2質量%以下とすることが特に好ましい。
【0101】
<増感色素>
本発明においては、公知の増感色素を併用してもよい。溶解性としては蒸留水に対して室温において、0.5質量%以上溶解するものが好ましく、1質量%以上溶解するものがより好ましく。3質量%以上溶解するものが更に好ましい。また、増感色素としては、非水溶性の重合開始剤を分散した光重合開始剤も用いることができる。
【0102】
増感色素は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる。
増感色素は、活性エネルギー線の波長に応じた化合物を使用すればよい。一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
具体的には、多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)等が挙げられ、多核芳香族類及びチオキサントン類が好ましい類として挙げられ、中でも、チオキサントン類が好ましく、イソプロピルチオキサントンが最も好ましい。
【0103】
また、増感色素の他の例としては、N−[2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアルミウムクロリド、ベンゾフェノン、3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンや、これらを水溶化した変性体やこれらの分散体などが挙げられる。また、特開2010−24276号広報に記載の一般式(i)で表される化合物や、特開平6−107718号広報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。
【0104】
<共増感剤>
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有してもよい。本発明において共増感剤は、増感色素の活性エネルギー線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0105】
共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Science」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0106】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
【0107】
<重合性化合物>
本発明においては他の重合性化合物を併用することも可能である。併用する化合物としては水溶性であることが好ましく、水性溶媒中での安定性の観点から(メタ)アクリルアミド化合物、多価アリル化合物、単官能のN−ビニルラクタム化合物、カチオン性の重合性化合物が好ましく、(メタ)アクリルアミド化合物が特に好ましい。
以下に本発明で使用しうる重合性化合物について詳しく説明する。
多価(メタ)アクリルアミド化合物としては、高い重合能及び硬化能を備える点で、下記式(2)で表される化合物が好ましい。この化合物は、分子内に重合性基として4つのアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を有している。また、この化合物は、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線等の活性エネルギー線や熱等のエネルギーの付与による重合反応に基づく硬化性を示す。下記式(2)で表される化合物は、水溶性を示し、水やアルコール等の水溶性有機溶剤に良好に溶解するものである。
【0109】
式(2)において、R
1は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
【0110】
R
2は、それぞれ独立に炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。R
2は、炭素数3〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3の直鎖のアルキレン基であることが特に好ましい。R
2のアルキレン基は、更に置換基を有していてもよく、上記置換基としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0111】
但し、R
2において、R
2の両端に結合する酸素原子と窒素原子とがR
2の同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。R
2は、酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とを連結する直鎖又は分岐のアルキレン基である。ここで、アルキレン基が分岐構造をとる場合、両端の酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とがアルキレン基中の同一の炭素原子に結合した−O−C−N−構造(ヘミアミナール構造)をとることが考えられるが、式(2)で表される化合物はこのような構造の化合物を含まない。分子内に−O−C−N−構造を有する化合物は、炭素原子の位置で分解が起こりやすいため、保存中に分解されやすく、インク組成物に含有した場合に保存安定性が低下する要因となる点で好ましくない。
【0112】
R
3は、2価の連結基を表し、複数のR
3は、互いに同じでも異なっていてもよい。R
3で表される2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、複素環基、又はこれらの組み合わせからなる基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。なお、2価の連結基がアルキレン基を含む場合、上記アルキレン基中には更に−O−、−S−、及び−NR
a−から選ばれる少なくとも1種の基が含まれていてもよい。R
aは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0113】
R
3がアルキレン基を含む場合、アルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。R
3のアルキレン基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。R
3のアルキレン基には、更に−O−、−S−、及び−NR
a−から選ばれる少なくとも1種が含まれていてもよい。−O−が含まれるアルキレン基の例としては、−C
2H
4−O−C
2H
4−、−C
3H
6−O−C
3H
6−等が挙げられる。R
3のアルキレン基は更に置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0114】
R
3がアリーレン基を含む場合、アリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる、R
3のアリーレン基の炭素数は、6〜14であることが好ましく、6〜10であることが更に好ましく、6であることが特に好ましい。R
3のアリーレン基は更に置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0115】
R
3が複素環基を含む場合、複素環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、複素環は、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。複素環基としては、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。中でも、芳香族複素環基が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが好ましい。なお、上記で示した複素環基は、置換位置を省略した形で例示しているが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能で、これらの置換体を全て含みうるものである。
複素環基は、更に置換基を有してもよく、置換基の例としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0116】
上記式(2)中のkは、2又は3を表す。複数のkは、互いに同じでも異なっていてもよい。また、C
kH
2kは、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
また、x、y、及びzは、各々独立に0〜6の整数を表し、0〜5の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましい。x+y+zは、0〜18を満たし、0〜15を満たすことが好ましく、0〜9を満たすことがより好ましい。
【0117】
上記のうち、R
1が水素原子又はメチル基を表し、R
2が炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R
3が炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基を表し、kが2又は3を表し、x、y、及びzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zが0〜15を満たす場合が好ましい。
【0118】
上記式(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0120】
上記一般式(2)で表される化合物の合成方法には特に制限はないが、例えば、特開2013−18846号公報の段落0028〜0033及び段落0123〜0139に記載されている方法によって合成できる。
【0121】
多価(メタ)アクリルアミドのインク組成物中における含有量は、インク組成物の総量に対して、3質量%以上15質量%以下とし、5質量%以上12.5質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が更に好ましい。多価(メタ)アクリルアミドの含有量が3質量%未満であると、硬化反応性自体が不足し、画像全体における硬化の均一化が達成されず、一様な光沢が得られない。また、多価(メタ)アクリルアミドの含有量が15質量%を超えた場合も、同様に画像全体に亘る硬化反応性の均一化が図れず、一様な光沢が得られない。
【0122】
本発明においては、上記の多価(メタ)アクリルアミドと共に、多価アリル化合物を併用した態様も好適である。
多価アリル化合物の例としては、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリスルトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどのアリルエーテル化合物及びそのアルキレンオキシド誘導体、トリアリルイソシアネートが挙げられる。
【0123】
本発明においては、上記の多価(メタ)アクリルアミドと共に、単官能の(メタ)アクリルアミドを併用した態様も好適である。単官能の(メタ)アクリルアミドを含めることで、塗工紙における顔料層への浸透性に優れたインクが得られる。これにより、画像のみならず、顔料層も硬化され、より密着性が向上する。
単官能の(メタ)アクリルアミドとしては、上記式(1)において、n=1である場合の化合物が挙げられる。n=1である場合の基Qは、(メタ)アクリルアミド構造と連結可能な1価の基であればよく、n=1である場合の基Qは水溶性を有する基が好適である。具体的には、以下の化合物群Xから選ばれる化合物から1以上の水素原子又はヒドロキシル基を除いた1価の残基が挙げられる。
化合物群X:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール,1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、チオグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びこれらの縮合体、低分子ポリビニルアルコール、又は糖類などのポリオール化合物、並びに、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンジアミンなどのポリアミン化合物
【0124】
単官能の(メタ)アクリルアミドの例としては、下記化合物が挙げられる。
【0126】
本発明においては、上記の多価(メタ)アクリルアミドと共に、単官能アリルエーテルを併用した態様も好適である。
単官能アリルエーテルの例としては、エチレングリコールアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、トリメチルプロパンモノアリルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテルが挙げられる。
【0127】
また、本発明においては、上記の多価(メタ)アクリルアミドと共に、単官能のN−ビニルラクタム化合物を併用した態様も好適である。
N−ビニルラクタム化合物としては、特に限定はないが、単官能のN−ビニルラクタム化合物(すなわちエチレン性二重結合を1つ有するN−ビニルラクタム化合物)が好ましい。N−ビニルラクタム化合物の好ましい例として、下記式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0129】
式(A)において、mは、1〜5の整数を表す。
インク組成物が硬化した後の柔軟性、被記録媒体との密着性、及び原材料の入手性の観点から、mは、2〜4の整数が好ましく、2又は4がより好ましい。すなわち、式(A)で表される化合物としては、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムの少なくとも一方であることが特に好ましい。中でも、安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の被記録媒体への密着性が得られる点で、N−ビニルカプロラクタムが好ましい。
【0130】
また、N−ビニルラクタム化合物は、ラクタム環上にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、飽和又は不飽和環構造が連結されていてもよい。
【0131】
N−ビニルラクタム化合物は、インク組成物中に1種のみ含有されていてもよいし、複数種を組み合わせて含有されていてもよい。
【0132】
更に、上記の多価(メタ)アクリルアミドと共に、カチオン性の重合性化合物を併用してもよい。カチオン性の重合性化合物は、カチオン基と不飽和二重結合等の重合性基とを有する化合物であり、例えば、エポキシモノマー類、オキタセンモノマー類などを好適に用いることができる。カチオン性の重合性化合物を含有すると、カチオン基を有することでインク組成物のカチオン性が強くなり、アニオン性インクを用いたときの混色がより効果的に防止される。
【0133】
本発明に係るインクには、上述した各構成要素に加えて、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、防腐剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤、固体湿潤剤、シリカ微粒子等を適宜選択して用いることができ、例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報及び特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報及び特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等が挙げられる。
【0134】
本発明のインク組成物は、重合開始剤を含有しないことが好ましい。本発明において、成分Aは2+2環化付加反応での重合が可能であり、重合開始剤を添加することなく、紫外線の照射により重合反応を生起させることができる。重合開始剤を含有する場合、硬化後に重合開始剤や、その解裂物等が硬化膜に残存し、このような低分子化合物が硬化膜(画像)から滲みだすという、所謂マイグレーションの問題を生じる場合があり、特に食品用途では問題となる場合がある。
また、同様に未重合モノマーが残留する可能性があることから、本発明のインク組成物はラジカル重合可能なエチレン性不飽和モノマー、や、カチオン重合可能なエポキシ化合物、オキセタン化合物等を含有しないことが好ましい。
本発明で使用する成分Aは、熱的に比較的安定であり、また、比較的短波の紫外線の照射により硬化することから、本発明のインク組成物は、保存安定性に優れる。ラジカル重合性化合物や、カチオン重合性化合物を併用した場合、このような特性が損なわれる可能性がある。
【0135】
(インク組成物の調製方法)
本発明のインク組成物の調製方法としては、特に制限はなく、各成分を、ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルなどの高速回転ミル、撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミル、ディスパーなどの簡単な分散機により撹拌、混合し、分散させることにより調製することができる。各成分の添加順序については任意である。好ましくは、成分C、高分子分散剤及び有機溶剤をプレミックスした後に分散処理し、得られた分散物を成分Aと成分Bと共に混合する。この場合、添加時や添加後、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザーなどの簡単な撹拌機にて均一に混合する。ラインミキサーなどの混合機を用いて混合してもよい。また、分散粒子をより微細化するために、ビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて混合してもよい。また、顔料や高分子分散剤の種類によっては、顔料分散前のプレミックス時に樹脂を添加するようにしてもよい。
【0136】
本発明のインク組成物は、25℃における表面張力が45mN/m以下であることが好ましく、20mN/m〜40mN/mであることがより好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。表面張力が上記範囲内であると、プラスチック基材上での濡れ性が良好であり、画像の滲みや着弾干渉が抑制されるために好ましい。
また、粘度は、1mPa・s〜40mPa・sが好ましく、5mPa・s〜30mPa・sがより好ましい。インク組成物の粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYOCO.LTD製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。粘度が上記範囲内であると、インク吐出性に優れるので好ましい。
【0137】
2.下塗り液
本発明の下塗り液は、pHが6以下である。下塗り液のpHが6を超えると、着弾干渉が十分に抑制されない。
下塗り液のpHは、0.3〜6.0であることが好ましく、0.4〜5.0であることがより好ましく、0.5〜4.0であることが更に好ましく、0.5〜2.0であることが特に好ましい。
なお、下塗り液のpHは25℃におけるpHである。
【0138】
上記下塗り液のpHを得るために、下塗り液は酸性化合物を含有することが好ましい。酸性化合物としては、無機の酸性化合物及び有機の酸性化合物のいずれでもよく、特に限定されないが、有機の酸性化合物が好ましく、有機酸が特に好ましい。
無機酸性化合物としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸及びこれらの塩が例示される。
また、有機酸性化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、及びこれらの化合物の誘導体、並びに、これらの塩が例示される。
【0139】
これらの中でも、酸性化合物として有機カルボン酸(カルボキシ基を有する有機酸)又はその塩であることが好ましく、有機カルボン酸としては、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸が好ましく例示される。
下塗り液は、所望のpHを得る観点から、2価又は3価の有機カルボン酸又はその塩を含有することが好ましく、2価の有機カルボン酸又はその塩を含有することがより好ましい。2価の有機カルボン酸(有機2塩基酸)としては、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸が好ましい。
【0140】
上記酸性化合物の含有量は、下塗り液の全質量に対して、3〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが更に好ましい。酸性化合物の含有量が上記範囲内であると、成分Aの凝集を生じさせ、着弾干渉を抑制することができる。
【0141】
また、酸性化合物の基材への付与量は、インク組成物の着弾干渉を抑制する観点と、残留する酸性化合物の影響を抑制する観点から、0.01mmol・eq/m
2〜5mmol・eq/m
2であることが好ましく、0.05mmol・eq/m
2〜2.5mmol・eq/m
2であることがより好ましく、0.1mmol・eq/m
2〜2mmol・eq/m
2であることが更に好ましい。
【0142】
下塗り液のpHを所望の値とするために、必要に応じて塩基性化合物によりpHを調整してもよい。塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物が例示され、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
【0143】
下塗り液は、上記酸性化合物を水に溶解したものであることが好ましい。水としては、不純物を含まないイオン交換水、蒸留水を使用することが好ましい。
下塗り液には、上記の成分に加え、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、界面活性剤、及び水溶性有機溶剤が挙げられる。
【0144】
(水溶性有機溶剤)
本発明の下塗り液は、主たる溶剤して水を含有するが、更に水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。ここで水溶性有機溶剤とは、25℃の水に対する溶解度が10質量%以上である有機溶剤をいう。
【0145】
本発明で用いることのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、下記のものが挙げられる。
・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、
・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、
・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、
【0146】
・アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、メトキシプロピオンアミド、N−メチルメトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチルメトキシプロピオンアミド、n−ブトキシプロピオンアミド、N−メチルn−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチルn−ブトキシプロピオンアミド等)、・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンウレア等)、
・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、
・スルホン類(例えば、スルホラン等)、
・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等)
【0147】
好ましい水溶性有機溶剤としては、多価アルコールエーテル類、複素環類が挙げられ、これらを併用して使用することが好ましい。
【0148】
多価アルコールエーテル類では、いわゆるグリコールエーテル類が好ましく、具体的には、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましく、2−ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが更に好ましい。
複素環類としては、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンウレア等が好ましく、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
特に沸点の高い溶剤は好ましく用いることができ、常圧での沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることが更に好ましい。
【0149】
水溶性有機溶剤は、単独もしくは複数を併用してもよい。水溶性有機溶剤の下塗り液中の添加量としては、総量で1質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは2質量%〜35質量%である。
【0150】
(界面活性剤)
本発明の下塗り液には、界面活性剤を添加してもよい。
好ましく使用される界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
【0151】
また、本発明においては、高分子界面活性剤も用いることができ、以下の水溶性樹脂が、好ましい高分子界面活性剤として挙げられる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
また、本発明において、ポリアルキルシロキサンを有するシリコーン系界面活性剤や、フッ化アルキル基を有するフッ素系界面活性剤も好ましく用いることができる。
【0152】
本発明の下塗り液において、界面活性剤を用いる場合、その添加量は、固形分添加量で0.1質量%以上5質量%以下となるように添加されることが好ましく、界面活性剤の固形分添加量を0.5質量%以上2質量%以下とすることが特に好ましい。
【0153】
本発明における下塗り液は、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0154】
本発明において、下塗り液の25℃における表面張力は、45mN/m以下であることが好ましく、20mN/m〜40mN/mであることがより好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学(株)製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。表面張力が上記範囲内であると、プラスチック基材上での濡れ性が良好である。
表面張力を上記範囲内とするために、界面活性剤の種類、及び添加量を適宜調整することが好ましい。
【0155】
3.インクジェット記録方法
本発明のインクジェット記録方法は、基材に本発明の下塗り液を付与する工程、下塗り液を付与した基材上へ本発明のインク組成物を吐出する吐出工程、基材上のインク組成物を熱により乾燥する乾燥工程、及び、基材上のインク組成物を活性光線の照射により硬化する硬化工程をこの順で有することを特徴とする。
また、基材に本発明の下塗り液を付与する工程の後、吐出工程の前に、下塗り液を乾燥する工程を有していてもよい。
また、硬化工程の前に、基材表面を拭き取る第1の拭き取り工程を有することが好ましく、硬化工程の後に、基材表面を拭き取る第2の拭き取り工程を有することが好ましい。
以下、それぞれの工程について説明する。
【0156】
(基材上に下塗り液を付与する工程)
上記基材上に下塗り液を付与する工程において、下塗り液は、基材上にインク組成物の液滴の吐出によって形成される画像と同一領域もしくは画像より広い領域に付与されることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法においては、基材上に下塗り液を付与する手段としては、塗布装置又はインクジェットノズル等を用いることができる。
上記塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
中でも、装置コストの点で、下塗り液の基材上への付与は、比較的安価なバーコーター又はスピンコーターを用いた塗布、あるいはインクジェット法による付与が好ましい。
下塗り液は、塗布装置又はインクジェットノズル等を用いて、画像層を含む領域(画像層よりも広い領域)に、一層の下塗り層として付与してもよく、また、インクジェットノズルを用いて、画像領域にのみ付与してもよい。
【0157】
下塗り液の基材への付与量は特に限定されず、酸性化合物の記録媒体への付与量が所望の範囲となるよう、適宜調整すればよいが、膜厚の均一性等を考慮して、0.1g/m
2以上となる量とすることができる。中でも、凝集剤の付与量が0.1〜0.7g/m
2となる量が好ましい。凝集剤は、付与量が0.1g/m
2以上であるとインク組成物の種々の使用形態に応じ良好な高速凝集性が保てる。また、凝集剤の付与量が0.7g/m
2以下であることは、付与した記録媒体の表面性に悪影響(光沢の変化等)を与えない点で好ましい。
【0158】
<下塗り液を乾燥する工程>
本発明において、基材上に下塗り液を付与する工程の後、インク組成物の吐出工程の前に、下塗り液を乾燥する工程を有していてもよい。インク組成物が吐出される基材表面が下塗り液により濡れていると、インク滲み等が発生して、画質が低下する恐れがある。下塗り液の乾燥工程を有することにより、インク組成物が吐出される基材表面が乾燥され、良好な画質が得られる。なお、下塗り液の付与量が少ない場合等は、乾燥工程を設けなくてもよい。
乾燥工程において、記録媒体上に吐出されたインク組成物は、加熱手段により、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発されることが好ましい。
【0159】
下塗り液は、熱を加えて乾燥させることが好ましい。
加熱手段としては、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。なお、乾燥/加熱時間は、用いる下塗りの組成・下塗り液の付与速度、及び印字速度等を加味して適宜設定することができる。
【0160】
なお、基材上に下塗り液を付与する工程、及び、任意である下塗り液を乾燥する工程は、後述する吐出工程と連続的に行ってもよく、また、予め基材上に下塗り液を付与し、必要に応じて乾燥させたものを基材として用いてもよく、特に限定されない。
これらの中でも、予め処理した基材を調製する必要がないことから、吐出工程と連続的に行うことが好ましい。
【0161】
(吐出工程)
本発明における吐出工程は、基材上の下塗り液が付与された領域に、インク組成物を吐出する吐出工程であれば特に限定されず、基材上に本発明のインク組成物をインクジェット法によって吐出する。
【0162】
本発明のインクジェット記録方法において、吐出工程に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明のインクジェット記録方法における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
【0163】
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。
インク供給系としては、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルタ、ピエゾ型のインクジェットヘッド等が挙げられる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi(dot per inch)、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
【0164】
吐出工程において、吐出されるインク組成物は、一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0165】
上記のインクジェット記録装置を用いたインク組成物の吐出において、インク組成物を好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3mPa・s〜15mPa・s、より好ましくは3mPa・s〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク組成物の粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
【0166】
吐出時のインク組成物の温度は一定であることが好ましく、インク組成物の温度の制御幅は、より好ましくは設定温度の±5℃、更に好ましくは設定温度の±2℃、最も好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
【0167】
なお、本発明において、吐出工程はシングルパス方式により行われることが好ましい。近年、従来より一般的に用いられているシャトルスキャン方式ではなく、一回のヘッド操作で記録可能なシングルパス方式で高速記録することが求められている。従来のシャトルスキャン方式では、印字速度が遅いため、印字中にインク組成物中の溶媒が乾燥されることで、着弾干渉が生じにくい。一方、シングルパス方式では、印字速度が高速化され、結果として着弾干渉がより問題となる。本発明のインクジェット記録方法は、高速で印字した場合でも着弾干渉を十分に抑制することができる点で、シングルパス方式に特に好適である。
【0168】
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
なお、上記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0169】
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
なお、上記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
【0170】
インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているライン(シングルパス)ヘッドを用いたライン(シングルパス)方式とがある。
本発明のインクジェット記録方法は、上述のように、このシングルパスヘッドを用いてシングルパス方式で記録媒体上にインク組成物を付与することが好ましい。
ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と基材との複雑な走査制御が不要になり、基材だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物及び本発明の下塗り液を用いることにより着弾干渉の発生を抑制することができ、また、上記インク組成物をシングルパス方式で吐出することにより、吐出精度の向上が図れ、また、ノズルプレートとインクとの接触による侵食の抑制効果も大きい。
【0171】
更には、本発明における吐出工程では、ライン方式によるために、インク組成物を1種のみ用いるのみならず2種以上のインク組成物を用い、先に吐出するインク組成物(第n色目(n≧1)、例えば第2色目)とそれに続いて吐出するインク組成物(第n+1色目、例えば第3色目)との間の吐出(打滴)間隔を1秒以下にして好適に記録を行うことができる。本発明においては、ライン方式で1秒以下の吐出間隔として、インク滴間の干渉で生じる滲みや色間混色を防止しつつ、従来以上の高速記録下で耐擦過性に優れ、着弾干渉が抑えられた画像を得ることができる。また、色相及び描画性(画像中の細線や微細部分の再現性)に優れた画像を得ることができる。
【0172】
また、吐出工程において、インク組成物は、基材上の下塗り液が付与された領域に吐出される。基材上の下塗り液が付与された領域には、酸性化合物が存在し、当該領域に吐出されたインク組成物中の成分Aが酸性化合物の影響で凝集することによって着弾干渉が抑制されると推定される。
【0173】
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、高精細な画像を得る観点で、0.5〜6pl(ピコリットル)が好ましく、1〜5plがより好ましく、更に好ましくは2〜4plである。
【0174】
(乾燥工程)
本発明の画像形成方法は、吐出工程後であって硬化工程前に、乾燥工程を有することが好ましい。
乾燥工程において、基材上に吐出されたインク組成物及び下塗り液は、加熱手段により、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発されることにより定着されることが好ましい。
【0175】
乾燥工程は、吐出された本発明のインク組成物に熱を加えて乾燥させることが好ましい。
加熱手段としては、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。なお、乾燥/加熱時間は、用いるインク組成物の組成・印刷速度を加味して適宜設定することができる。
【0176】
加熱により定着されたインク組成物は、硬化工程においてピーク波長が200nm〜300nmである光源により紫外線を照射して、更に硬化される。
【0177】
(硬化工程)
以下、本発明のインクジェット記録方法における、硬化工程について説明する。
本発明における硬化工程は、上記基材上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程であれば限定されない。
照射工程で用いることができる活性エネルギー線としては、ピーク波長が200nm〜300nmである光源を使用する。ピーク波長としては、200nm〜280nmがより好ましい。このような波長を有する活性エネルギー線の照射により、特定重合体中の式(1)で表される部分構造の2+2環化付加反応が生起され、インク組成物が硬化する。
【0178】
UV光は、露光面照度が、例えば、10mW/cm
2〜3,000mW/cm
2で照射されることが好ましく、20mW/cm
2〜2,000mW/cm
2で照射されることがより好ましい。
【0179】
光源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、水銀ランプ、メタルハライドランプやUV蛍光灯が広く知られている。また、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用であり、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、UV光源として期待されている。
本発明では増感色素や光重合開始剤を併用しないことが好ましく、光源としては中圧水銀ランプや低圧水銀ランプが好ましく、低圧水銀ランプがより好ましい。
【0180】
硬化工程においては、記録媒体上に付与された本発明のインク組成物が、このようなUV光に、例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.1秒間〜90秒間照射されることが適当である。
また、活性エネルギー線の照射は、インク着弾、加熱乾燥後、一定時間(例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.01秒間〜60秒間)をおいて行われることになる。
照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているに開示されている照射条件及び照射方法を本発明においても同様に適用することができる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって行われる方式が挙げられる。
【0181】
(第1の拭き取り工程、及び、第2の拭き取り工程)
本発明のインクジェット記録方法は、吐出工程の後、硬化工程の前に、基材表面を拭き取る第1の拭き取り工程を有することが好ましい。第1の拭き取り工程は、乾燥工程の前でもよく、また、乾燥工程の後でもよく、特に限定されない。
また、硬化工程の後に、基材表面を拭き取る第2の拭き取り工程を有することが好ましい。以下、第1の拭き取り工程及び第2の拭き取り工程を総称して、単に「拭き取り工程」ともいう。
拭き取り工程を有することにより、効果的にインク組成物及び下塗り液中の水、及び、必要に応じて使用される水溶性有機溶剤が除去される。また、非画像部の下塗り液が除去され、酸性化合物の基材上への残留量が軽減される。
なお、第1の拭き取り工程は、硬化工程の前であるため、画像の乱れを発生させる場合があり、第2の拭き取り工程を有することがより好ましい。
【0182】
拭き取り工程は、不織布、織布等の布、スポンジ等の弾性体、及び、それらを水等で濡らした拭き取り手段により、基材表面を拭き取る工程であることが好ましい。また、例えば、硬化画像に水及び/又は溶剤を与えながら拭き取るローラ(例えば、ウェブローラ)等であってもよい。また、水及び/又は溶剤を与える部材と、拭き取り部材との2つの部材を含む拭き取り手段により拭き取る工程であってもよい。
なお、特に第2の拭き取り工程は、水等で濡らした拭き取り手段によって基材表面を拭き取る工程であることが好ましい。これにより、基材表面に残存する下塗り液に含まれていた酸性物質が効果的に除去されるので好ましい。
【0183】
<基材>
本発明において、基材としては、特に限定されず、支持体や記録媒体として公知の基材を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ABS樹脂等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明において、基材としては、非浸透性基材が好ましく、プラスチック基材(プラスチックフィルム)がより好ましい。
【0184】
なお、本発明のインクセットは、少なくとも1つのインク組成物及び下塗り液を含むことが好ましい。本発明において、複数種のインク組成物と、1種の下塗り液とを含むインクセットであることがより好ましい。なお、複数種のインク組成物は、各色のインク組成物であることが好ましく、例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色インクが例示されるが、これに限定されず、ライトシアン、ライトマゼンタ等の淡色インク組成物を含む態様や、ホワイトのインク組成物を含む態様、グリーン、オレンジ等の特色インクを含む態様、金属色のメタルインク組成物を含む態様等であってもよい。
なお、複数種のインク組成物を有する場合、いずれかのインク組成物が成分A〜成分Cを含有していればよいが、全てのインク組成物が成分A〜成分Cを含有する、本発明のインク組成物であることが好ましい。
【0185】
本発明において、吐出する各インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高いインク組成物から基材に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で基材上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で基材上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれる本発明のインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で基材上に付与することが好ましい。
【実施例】
【0186】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示すものとする。
【0187】
(化合物A−1〜A−4及びC−1の合成)
以下に示す化合物A−1〜A−4及びC−1は、特開昭52−988号公報に記載の事項に準拠して合成を行った。合成した各高分子化合物は、大量のヘキサン中に再沈殿後、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)水溶液で溶解して用いた。
化合物A−1〜A−4及びC−1中、a、b、c及びdは、それぞれの単量体単位の質量%を意味する。
【0188】
【化17】
【0189】
【化18】
【0190】
(インク組成物の調製)
以下に示す成分をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて室温で3,000回転/分にて20分撹拌し、インク組成物を調製した。なお、表中、「−」は、当該成分を含有していないことを意味する。また、表中の粘度、表面張力及びpHは、25℃において測定した。
【0191】
【表2】
【0192】
【表3】
また、シアン分散物をマゼンタ分散物に変更した以外は同様にしてシアン色及びマゼンタ色からなるインクセットとした。
【0193】
表2及び3で使用した成分は以下の通りである。
・M分散物:マゼンタ色の顔料分散物 Projet Magenta APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント(株)製)
・C分散物:シアン色の顔料分散物 Projet Cyan APD 1000(富士フイルムイメージングカラーラント(株)製)
・2−ピロリドン(2−pyrollidone、和光純薬工業(株)製)
・2−メチル−1,3−プロパンジオール(2−methyl−1,3−propanediol、東京化成工業(株)製)
・Capstone FS31(フッ素系界面活性剤、DuPont社製)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)
・水は、イオン交換水を用いた
・HEAA(ヒドロキシエチルアクリルアミド、興人(株)製)
・HMA(ヘキシルメタクリレート、東京化成工業(株)製)
・BzMA(ベンジルメタクリレート、和光純薬工業(株)製)
・MAA(メタクリル酸、和光純薬工業(株)製)
・EHMA(2−エチルへキシルメタクリレート)
【0194】
(比較例で使用したポリマーの合成)
<HMA/BzMA/MAA=40/44/16(質量比)の合成>
撹拌羽根を具備した200mLの三ツ口フラスコに、2−ブタノン(和光純薬工業(株)製)10.0gを添加した後、窒素気流下で80℃で10分間加熱撹拌した。次いで、メタクリル酸ベンジル(和光純薬工業(株)製)13.2g、メタクリル酸ヘキシル(東京化成工業(株)製)12.0g、メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)4.8g、3−メルカプトプロピオン酸(東京化成工業(株)製)0.11g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業(株)製)46mg、2−ブタノン25g、2−プロパノール(和光純薬工業(株)製)5gの混合溶液を2時間かけて滴下した。更に2時間撹拌後、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル46mgを加え還流下で3時間加熱撹拌した。得られたポリマー溶液にアセトン200gを加え、3Lのn−ヘキサン中に再沈殿した。生じた沈殿物をろ別後、真空下で乾燥し、28gの白色固体を得た。その後、重曹2.5gで中和しながら、水で希釈して17.5%の濃度のポリマー水溶液を得た。
得られたポリマーのSP値は、沖津法を用いて評価したところ19.9であり、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(EXTAR DSC6220(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製))を用いて測定した。また、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8020GPC(東ソー(株)製))を用いて下記の条件で測定した。
GPCのカラム:TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)
GPCの測定条件:温度40℃、溶離液:テトラヒドロフラン
得られたポリマーの重量平均分子量は50,000、SP値は19.9、Tgは62℃であった。
【0195】
<EHMA/MAA=20/80(質量比)の合成>
上記の合成方法において、原料であるHMA、BzMA及びMAAをEHMA及びMAAに変更した以外は上記の合成方法と同様にしてポリマーを得た。
得られたポリマーの重量平均分子量は50,000、SP値は22.7、Tgは151℃であった。
【0196】
(下塗り液の調製)
<下塗り液1>
マロン酸10部、リンゴ酸10部を75部の純水に添加し、TPGmME(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル)5部を添加し下塗り液1を100部得た。下塗り液1はpH1.3、表面張力42mN/mであった。
【0197】
<下塗り液2>
マロン酸10部、リンゴ酸10部を74.9部の純水に添加し、TPGmME 5部、CapstoneFS31を0.1部添加し下塗り液1を100部得た。下塗り液2はpH1.3、表面張力24mN/mであった。
【0198】
<下塗り液3、4、及び、5>
マロン酸5部、リンゴ酸5部を30部の純水に添加し、0.1mol/L NaOHaqでpHを調整し、TPGmME 5部を添加し、全量が100部になるよう純水を添加し下記の下塗り液3、4、及び、5を得た。
下塗り液3はpH4.0、表面張力42mN/mであった。
下塗り液4はpH5.7、表面張力44mN/mであった。
下塗り液5はpH7.0、表面張力47mN/mであった。
【0199】
<下塗り液6>
マロン酸7部、リンゴ酸7部を81部の純水に添加し、TPGmME 5部を添加し下塗り液6 100部を得た。下塗り液6はpH1.8、表面張力47mN/mであった。
【0200】
<下塗り液7>
酢酸20部を75部の純水に添加し、TPGmME 5部を添加し下塗り液7 100部を得た。下塗り液6はpH3.2、表面張力45mN/mであった。
【0201】
下塗り液で使用した成分は以下の通りである。
・マロン酸(東京化成工業(株)製)
・リンゴ酸(東京化成工業(株)製)
・TPGmME(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:243℃)
【0202】
(基材)
・YUPO#80 食品用 GS(マルウ接着(株)製)
・PET#50溶剤強粘 厚口B(マルウ接着(株)製)
【0203】
(画像サンプルの作製)
画像形成に際しては、まず、上記基材(記録媒体、A5サイズにカットした紙片)を、500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージ上に固定し、ステージ温度を30℃に保持した。これに、上記で得た下塗り液をバーコーターで約1.2μmの厚み(0.5g/m
2)となるように塗布し、塗布直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、マゼンタ及びシアンの2色分のインクジェットヘッドを、それぞれ、上記ステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に対して、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)が75.7度傾斜するように固定配置し、基材を副走査方向に定速移動させながらマゼンタ及びシアンのインクをそれぞれライン方式で吐出し、得られた画像を70℃で2秒間乾燥した後、低圧水銀灯(発光波長254nm)で1W/cm
2照射し、サンプルを得た。また水準によっては吐出乾燥後、不織布のWebロールにより画像面を拭き取る工程、水銀灯照射後湿らせた不織布のWebロールにより画像面を拭き取る工程を追加しサンプルを作製した。
【0204】
得られたサンプルの評価は、以下のように行った。
<着弾干渉>
PET#50溶剤強粘 厚口B(マルウ接着(株)製)を使用し、マゼンタ、シアンの順で吐出した。このとき各ノズルからの吐出条件は、それぞれ、インク液滴量2.8pL、吐出周波数25.5kHz、解像度1,200dpi×1,200dpiとした。上記作成法でマゼンタ、シアン、ブルーの鷹文字(3,4,5pt)を順次印刷下記基準で評価した。C以上は実用上問題ない。
〔評価基準〕
A:隣接する液滴同士による干渉がなく、きれいに3,4,5pt鷹文字が可読できる。
B:隣接する液滴同士による干渉は発生しているが、3,4,5pt鷹文字が可読できる。
C:隣接する液滴同士による干渉は発生しているが、4,5pt鷹文字が可読できる。
D:隣接する液滴同士による干渉が発生し、4,5pt鷹文字が可読できない。
【0205】
<硬化性>
サンプルはPET#50溶剤強粘 厚口B(マルウ接着(株)製)を使用し、マゼンタ、シアンの順で吐出した。このとき各ノズルからの吐出条件は、それぞれ、インク液滴量2.8pL、吐出周波数25.5kHz、解像度1,200dpi×1,200dpiとした。上記作成法でマゼンタ、シアンのベタ画像を順次印刷し、3分以内に硬化性を評価した。硬化性はコピー用紙C2(富士ゼロックス(株)製)を加重1kg/m
2で画像面に押し付け、2秒間加圧し、剥がした場合の状態を観察した。C以上は実用上問題ない。
〔評価基準〕
A:塗膜にはがれがなく、剥がす際に音が生じない。
B:塗膜にはがれがないが、剥がす際に音が生じる。
C:塗膜にはがれはないが、塗膜に若干の転写が見られる。
D:塗膜にはがれが生じる
【0206】
<密着性:テープ剥離試験>
硬化性と同様に作成したサンプルを用い、テープ剥離試験を行った。粘着テープ(商標名:セロテープ(登録商標)、ニチバン(株)製)を、それぞれプリントサンプルにテープが全面に貼り付くように貼った後、直ちに剥がした。剥がしたテープへの色移り及びテープ剥離部の紙面を観察し、下記評価基準に従って耐テープ密着性を評価した。
〔評価基準〕
A:粘着テープに、色移りが認められず、紙面の画像剥離もなかった。
B:粘着テープに、色移りがわずかに認められたが、紙面の画像剥離は視認できなかった。
C:粘着テープに、色移りがわずかに認められ、紙面の画像剥離もわずかに視認できた。
D:粘着テープに、色移りが少なからず認められ、紙面の画像剥離も容易に視認できた。
E:全面的に粘着テープに色移りし、紙面の画像剥離が起こった。
A〜Cが実用に問題がない範囲である。
【0207】
<非画像部の残像化合物量の評価方法>
印刷物表面に水:エタノール=70:30混合液10mLを滴下し、混合溶媒が揮発しないように、印刷物全体をガラス密閉容器に入れて、40℃で10日間放置した。その後、水、エタノール混合溶液中に含有する、フィルムからの全溶出量(オーバーオールマイグレーション量:OML)を算出し、4段階で評価を行った。なお、全溶出量の測定は、10日間放置後に、回収した水エタノール混合液を揮発させ、残存成分の質量を測定することにより行った。
〔評価基準〕
A:溶出量が50ppb以下
B:溶出量が50ppbを超え、200ppb以下
C:溶出量が200ppbを超え、2,000ppb以下
D:溶出量が2,000ppbを超える
【0208】
【表4】