(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シートが、基材の一方の面上に着色インク組成物を硬化した画像層が形成され、かつ前記基材及び/又は前記画像層上にクリアインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を有するシートである、請求項1に記載の成形加工方法。
前記着色インク組成物における単官能重合性化合物の含有量が、重合性化合物の全質量に対し、50質量%以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の成形加工方法。
前記着色インク組成物及び/又は前記クリアインク組成物が、重合性化合物として、シリコーン系アクリレートオリゴマーを含有する、請求項2〜7のいずれか1項に記載の成形加工方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において、数値範囲を表す「X〜Y」の記載は「X以上Y以下」(X<Y)又は「X以下Y以上」(X>Y)と同義である。なお、「質量%」は「重量%」と同義であり、「質量部」は「重量部」と同義である。また、「(成分A)単官能重合性化合物」等を、単に「成分A」等ともいう。
以下の説明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
(成形加工方法、及び、成形印刷物)
本発明の成形加工方法は、基材の一方の面上にインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を有するシートを準備する準備工程、上記シートの凹凸模様を有する面を金型に向けて設置する設置工程、及び、上記シートと上記金型とを接触させ成形加工する成形工程、をこの順で有することを特徴とする。
また、本発明の成形印刷物は、本発明の成形加工方法によって製造された成形印刷物である。
上記インク組成物は、クリアインク組成物であることが好ましい。また、上記インク組成物は、インクジェットインク組成物であることが好ましい。
上記凸部が、基材の一方の面上において非連続な凸部であることが好ましい。
また、少なくとも一部の上記凸部は、30μm以上の高さを有することが好ましい。
上記インク組成物及び上記凸部の態様であると、より本発明の効果を発揮することができる。
【0013】
従来、成形品に凹凸を出すには金型から作り直す必要があり、コストと時間が多くかかっていた。
また、インクジェットの普及に伴い、成型品の上に直接UV(紫外線)インクジェット印刷をし、凹凸感のある画像を作製していたが、膜強度が弱いことや経時で剥がれ落ちるなどの劣化があることが欠点となっていた。
本発明の成形加工方法は、基材上にインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を作製し、その後成形するため、当該箇所のみが盛り上がり凹凸を作ることが容易であり、更に基材が最表面となるため、強度や劣化を懸念する必要がなくなる。
これにより、金型を作り直す必要もなく、また、インク膜強度や経時の劣化を考慮することなく凹凸感のある成形品を画像データのみで容易に作製することが可能となった。
具体的には例えば、本発明の成形加工方法によれば、梨地加工を施してない金型を使用して成形加工を行っても、安価かつ容易に梨地のようなザラザラした凹凸感のある表面が形成された成形印刷物(加飾シート成形物)を得ることができる。
【0014】
<準備工程>
本発明の成形加工方法は、基材の一方の面上にインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を有するシートを準備する準備工程を含む。
上記シートは、基材の一方の面上にインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を有するものである。本発明において、上記シートを「加飾シート」ともいう。
また、上記シートは、基材の一方の面上に凸部による凹凸模様を少なくとも有するものであるが、基材の他方の面にも凸部による凹凸模様を有していてもよい。延伸性や経時における成形印刷物の耐久性の観点からは、基材の他方の面には凸部による凹凸模様を有していないことが好ましい。
上記シートの凹凸模様は、得られる成形印刷物において凹凸感が必要な部分に少なくとも有していればよい。すなわち、上記シートは、凸部による凹凸模様を一部のみに有していても、一方の面の全面に有していてもよい。
【0015】
本発明において、基材としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の基材を使用することができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明における基材として、非吸収性記録媒体を好適に使用することができる。また、透明の記録媒体が好適である。
このような基材としては、プラスチックフィルムが好ましく挙げられ、ポリカーボネートが特に好ましく挙げられる。
また、基材は、画像を形成した場合における鮮明性の観点から、透明であることが好ましい。
【0016】
少なくとも一部の上記凸部の高さは、30μm以上であることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましく、30〜100μmであることが更に好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。上記範囲であると、得られる成形印刷物において十分な凹凸感を形成することができる。
上記凸部が、基材の一方の面上において、非連続な凸部であることが好ましい。上記態様であると、延伸性に優れ、また、得られる成形印刷物において十分な凹凸感を形成することができる。
上記凸部の形状は、特に制限はなく、例えば、角柱状、円柱状、半球状等、種々の形状であってもよい。また、上記凸部の形状は、所望の凹凸感にあわせ、適宜選択することもできる。
上記凸部同士の平均した間隔は、5〜500μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、20〜100μmであることが更に好ましい。上記範囲であると、得られる成形印刷物において十分な凹凸感を形成することができる。
また、凹凸模様を形成する凸部の配置は、特に制限はなく、規則的に配置しても、ランダムに配置してもよく、また、全てが同一形状の凸部により形成されていても、様々な形状の凸部により形成されていてもよい。
【0017】
上記凸部は、クリアインク組成物により形成されたものであることが好ましい。
また、上記凸部は、インクジェットインク組成物により形成されたものであることが好ましい。
更に、上記凸部は、活性光線硬化型インク組成物により形成されたものであることが好ましい。
上記凸部を形成するインク組成物については、後述する。
また、上記凸部は、基材の一方の面の上に形成されていればよく、例えば、基材と凸部とが接触して形成されていてもよいし、基材と凸部との間に後述する画像層等が形成されていてもよい。
【0018】
上記シートは、基材の一方の面上に、30μm以上の高さの凸部が形成されている領域と、30μm未満の高さの凸部が形成されている領域(以下、「貼りつき防止領域」ともいう。)とを少なくとも有することが好ましい。上記態様であると、成形加工時における金型への貼りつき防止性に優れる。
これら2つの領域は、基材の一方の面上の一部にそれぞれ形成されていてもよいし、2つの領域で全面を占めていてもよい。
上記貼りつき防止領域における凸部は、非連続な凸部であることが好ましく、基材表面に散在した非連続な凸部であることがより好ましい。
【0019】
図1は、本発明に好適に使用される凸部による凹凸模様を有するシートの一例を示す断面模式図である。
図1に示すシート100は、基材102上に画像層104が形成されており、また、画像層104上には30μm以上の高さの凸部106a、及び、30μm未満の高さの凸部106bが形成されている。
凸部106aは、形状が直方体で形成されており、シート上に凹凸模様を形成している。また、凸部106bは、形状が半球状に形成されており、シート上に貼りつき防止領域を形成している。
【0020】
上記貼りつき防止領域における凸部が形成されている面積は、0.1〜80面積%であることが好ましく、1〜78面積%であることがより好ましく、5〜76面積%であることが更に好ましく、10〜75面積%であることが特に好ましい。上記範囲であると、非連続な凸部となり、金型への貼りつきがより抑制される。
当該領域の凸部の面積は、以下のようにして測定される。
具体的には、形状測定レーザマイクロスコープ((株)キーエンス製、VK9700)を用いて、顕微鏡写真を撮り、俯瞰図で観察して上記貼りつき防止領域及び当該領域における凸部を特定し、その面積を解析することで求められる。より具体的には、倍率200倍で画像を測定し、測定された画像から1,350μm×1,012μmの領域を任意に選択し、上記領域を全体画像とした上で、全体画像中から確認できる凸部の面積を特定して、凸部が占める面積を解析し、(凸部の面積/全体画像中の面積×100)とすることで算出される。なお、画像から任意の10点を選出し、それぞれ上記のようにして凸部の面積比を算出し、これらの平均値を求める。
【0021】
上記貼りつき防止領域における凸部の高さは、1μm以上30μm未満であることが好ましく、3〜28μmであることがより好ましく、5〜25μmであることが更に好ましい。上記範囲であると、金型への貼りつきが抑制され、また、上記貼りつき防止領域における凸部が基材に転写されることが抑制される。
本発明における凸部の高さは、上記の紫レーザー顕微鏡による高さ方向の解析から算出され、具体的には、形状測定レーザマイクロスコープ((株)キーエンス製、VK9700)を使用し、倍率200倍で画像を測定する。上記貼りつき防止領域における凸部の場合は、1,350μm×1,012μmの画像中に存在する凸部10個を選択し、数平均して算出する。
【0022】
上記シートは、基材の一方の面上に着色インク組成物を硬化した画像層が形成され、かつ上記基材及び/又は画像層上にクリアインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を有するシートであることが好ましい。上記態様であると、所望の画像を有する成形印刷物を得ることができる。
本発明における着色インク組成物は、着色剤を含有するインク組成物である。
一方、クリアインク組成物は実質的に着色剤を含有しないが、クリアインク組成物の黄色味の改良目的に着色剤が使用される場合もある。そのような場合でも、クリアインク組成物中の着色剤の含有量は1質量%以下である。また、クリアインク組成物は、着色剤を含有しないことが好ましい。
また、着色インク組成物は、インクジェットインク組成物により形成されたものであることが好ましい。
更に、着色インク組成物は、活性光線硬化型インク組成物により形成されたものであることが好ましい。
上記画像層は、所望の画像となるように形成すればよく、1種の着色インク組成物により形成されていても、2種以上の着色インク組成物により形成されていてもよい。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色の着色インク組成物のインクセットや、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック及びホワイトの5色の着色インク組成物のインクセットが好ましく挙げられる。
また、本発明の成形加工方法における上記準備工程は、少なくとも1つの着色インク組成物を基材上に吐出して、画像層を形成する画像層形成工程、及び、クリアインク組成物を基材及び/又は画像層上に吐出して凸部を形成する凸部形成工程をこの順で含んでいてもよい。
【0023】
上記シートにおいて、上記画像層が、n色の着色インク組成物を硬化した層であり、上記クリアインク組成物を硬化した凸部の単位面積当たりの質量をX(g)、画像層の単位面積当たりの質量をY(g)としたとき、下記条件を満たすことが好ましい。
・n=1のとき、40/100<X/Y≦100/100
・n=2のとき、30/100<X/Y≦100/100
・n=3のとき、25/100<X/Y≦100/100
・n=4のとき、20/100<X/Y≦100/100
・n≧5のとき、15/100<X/Y≦100/100
画像層と凸部との質量比が上記範囲であると、凹凸感により優れた画像が得られる。
【0024】
網点状にクリア画像を作製したとき、X/Yの値、及び、高さ条件を表1に記載のような値としたときに、表1に示すような凹凸感のある画像を容易に作製することが可能である。
下記に、5色の着色インク組成物(ホワイト(W)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)(Y+M+C+K+W))で描画した画像層上に、クリアインク組成物(Cl)で凹凸模様を形成した場合の関係図を示す。また、1〜4色で画像を形成した場合にも、同様の傾向を示す。
【0026】
表1に示すように、凸部の最大高さが30μm未満であると、得られる成形印刷物において凹凸感のある画像が得られない。また、表1における「不可」とは、着色インク組成物の総量が少なすぎ、十分なカラー画像すら形成できないことを示す。
凸部の最大高さが30μm以上であり、かつX/Yの値が15/100未満の場合は、凸部の高さに応じた凹凸感のある突起状の模様が形成された成形印刷物が容易に得られる。
また、表1における「エンボス状」とは、エンボス加工を行わなくとも、エンボス加工を行ったかのような凹凸感のある成形印刷物が容易に得られることを示す。
更に、表1における「光沢のある凹凸」とは、凹凸感があるだけでなく、光沢もある成形印刷物が容易に得られることを示す。
【0027】
上記シートが、基材の一方の面上に、30μm以上の高さの凸部が形成されている領域と、30μm未満の高さの凸部が散在して形成されている領域とを少なくとも有するシートである場合において、上記画像層が、n色の着色インク組成物を硬化した層であり、上記シート上の30μm未満の高さの凸部が散在して形成されている領域における上記クリアインク組成物を硬化した凸部の単位面積当たりの質量をX’(g)、画像層の単位面積当たりの質量をY(g)としたとき、下記条件を満たすことが好ましい。
・n=1のとき、1/10,000≦X’/Y≦40/100
・n=2のとき、1/10,000≦X’/Y≦30/100
・n=3のとき、1/10,000≦X’/Y≦25/100
・n=4のとき、1/10,000≦X’/Y≦20/100
・n≧5のとき、1/10,000≦X’/Y≦15/100
上記条件を満たすと、金型への貼りつきが効果的に抑制され、また、延伸性に優れる画像が得られる。
【0028】
上記貼りつき防止領域における凸部を形成するクリアインク組成物の単位面積あたりの打滴量は、0.001〜10g/m
2であることが好ましく、0.01〜9g/m
2であることがより好ましく、0.5〜8g/m
2であることが特に好ましい。
着色インク組成物として、1色のみを使用する場合には、着色インク組成物の単位面積当たりの総打滴量は、0.001〜10g/m
2であることが好ましく、0.01〜9g/m
2であることがより好ましく、0.5〜8g/m
2であることが特に好ましい。
着色インク組成物として、2色以上を使用する場合には、着色インク組成物の単位面積当たりの総打滴量は、0.001〜10g/m
2であることが好ましく、0.01〜9g/m
2であることがより好ましく、0.5〜8g/m
2であることが特に好ましい。
【0029】
<設置工程及び成形工程>
本発明の成形加工方法は、上記シートの凹凸模様を有する面を金型に向けて設置する設置工程、及び、上記シートと上記金型とを接触させ成形加工する成形工程を含む。
シートの凹凸模様を有する面を金型に向けて成形加工を行うことにより、上記凹凸模様に対応して形成される成形印刷物における凹凸部分の強度や劣化を懸念することなく凹凸感のある成形印刷物が得られる。また、金型への貼りつき防止性、及び、室温(25℃)における成形印刷物の耐ブロッキング性にも優れる。
また、上記金型は、その表面に成形印刷物に凹凸感を形成する加工、例えば、梨地加工を施してない金型であることが好ましい。本発明の成形加工方法は、金型表面に凹凸感を形成する加工を施さなくとも、梨地のような表面がざらざらした凹凸感のある成形印刷物が得られる。もちろん、上記金型は、成形印刷物の形状を形成する型であり、上記のような成形印刷物に凹凸感を形成する表面加工は必要としないが、所望の形状の型となるように形成されていることは言うまでもない。
【0030】
上記成形工程における成形加工は、シートの一方の面のみを金型に接触させて加工する成形加工であることが好ましく、真空成形、圧空成形、又は、真空圧空成形であることがより好ましい。なお、シートの他方の面の多くは特に固体と接触せず成形加工されることが好ましいが、シートの他方の面の一部は、固定や系中の気密のため、成形装置や金型等が接触していてもよい。
【0031】
真空成形加工は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却し成形する方法である。真空成形加工には、凸金型及び凹金型を組み合わせて使用することが好ましい。
圧空成形加工は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却し成形する方法である。
真空圧空成形加工は、上記減圧及び加圧を同時に行い成形する方法である。
詳しくは、高分子大辞典(丸善(株)p.766〜768)に記載されている「熱成形」の項目及び当該項目に引用されている文献を参照することができる。
加工温度は支持体種、支持体によって適宜決定されるが、支持体温度が60℃〜180℃で成型加工することが好ましく、80℃〜160℃であることがより好ましく、80℃〜150℃であることが更に好ましい。上記範囲において、画像の色味変化が少なく、型への離型性に優れる加工が可能である。
また、金型の温度は、80℃〜120℃であることが好ましい。
【0032】
図2は、本発明の成形加工方法の一例を示す断面模式図であり、
図2(A)は設置工程、
図2(B)は成形工程、
図2(C)は得られた成形印刷物を特に示している。
図2(A)に示すように、シート100は、凸部106により形成されている凹凸模様を有する面を金型110に向けて設置されている。シート100は、事前にヒーター等により加熱しておくことが好ましい。金型110は、成形加工機下部112に設置されており、成形加工機上部114と共に成形加工を行う密閉空間を形成する。また、シート100の取り扱い性からクランプ116がシート100の端部に設けられている。
図2(A)に示すように成形加工機内に設置されたシート100は、
図2(B)に示すように成形加工が行われる。成形加工機下部112、及び、成形加工機上部114により、密閉空間が形成され、成形加工機下部112側からは減圧Vし、真空成形を行い、成形加工機上部114側からは加圧Pし、圧空成形を行い(真空圧空成形)、シート100の成形加工を行う。その際、シート100において、凸部106が形成されている部分は、凸部106の分、基材102(不図示)及び画像部104(不図示)が盛り上がって成形され、凹凸が形成される。
成形加工後、
図2(C)に示すように、成形加工機下部112及び成形加工機上部114を開き、成形印刷物118を取り出す。
【0033】
<トリミング工程>
また、本発明の成形加工方法は、トリミングによる穴あけ加工を行うトリミング工程を更に含むことが好ましく、上記成形工程の後に、トリミングによる穴あけ加工を行うトリミング工程を更に含むことがより好ましい。
なお、「トリミング」とは、加飾シートや、成形後の加飾シート成形物の不用になった部分を取り除くことを意味し、「トリミングによる穴あけ加工」とは、不用になった箇所を穴あけにより取り除くことを意味するものである。なお、上記穴あけ加工は、生産性の観点から、打ち抜きにより行うことが好ましい。
穴あけ加工は、成形加工前のシートに対して行ってもよく、成形加工後のシート(成形印刷物)に対して行ってもよく、特に限定されない。また、後述するインモールド成形後に穴あけ加工を行ってもよい。中でも、成形加工後に穴あけ加工を行うことが好ましい。
【0034】
<その他の工程>
本発明の成形加工方法は、上記工程以外のその他の公知の工程を含んでいてもよい。
例えば、得られた成形印刷物を金型から取り外す工程や得られた成型印刷物の不要な部分を除去する工程等が挙げられる。
【0035】
<インク組成物>
本発明の成形加工方法に使用される、着色インク組成物、及び、クリアインク組成物について説明する。なお、以下の説明において、単に「インク組成物」という場合には、着色インク組成物及びクリアインク組成物の総称である。
本発明の成形加工方法は、着色インク組成物によって画像層を形成し、クリアインク組成物によって凸部を形成することが好ましい。
本発明において、着色インク組成物及びクリアインク組成物は、いずれも活性光線硬化型インク組成物であることが好ましく、また、活性光線の照射により硬化可能な油性のインク組成物であることが好ましい。「活性光線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる放射線であり、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
また、インク組成物は、高揮発性溶剤を含まず、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に高揮発性溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。水を含む溶剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ただし、通常の使用形態において、インク組成物が空気中の湿気を吸収するなどして、若干の水分等を含有することを排除するものではない。
更に、本発明において、着色インク組成物及びクリアインク組成物は、いずれもインクジェットインク組成物であることが好ましい。
以下、着色インク組成物及びクリアインク組成物の特徴的な成分である、重合性化合物について、それぞれのインク組成物に分けて説明した後、それ以外の成分について説明する。
【0036】
1.着色インク組成物
本発明において使用される着色インク組成物は、重合性化合物を含有し、重合性化合物として、単官能重合性化合物を含有することが好ましい。
また、着色インク組成物における単官能重合性化合物の含有量は、組成物中に含まれる重合性化合物の全質量100質量%に対し、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
また、着色インク組成物における多官能重合性化合物の含有量は、組成物中に含まれる重合性化合物の全質量100質量%に対し、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物の含有量が上記範囲であると、基材との密着性に優れ、かつ、延伸性に優れる画像層が得られる。
なお、着色インク組成物は、重合性化合物をインク組成物全体の50〜98質量%含有することが好ましく、55〜96質量%含有することがより好ましく、60〜95質量%含有することが更に好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲であると、硬化性に優れ、また、基材密着性及び延伸性に優れる画像層が得られる。
【0037】
なお、重合性化合物とは、重合性基を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されず、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態をも包含するものである。
重合性基としては、カチオン重合性基及びラジカル重合性基のいずれでもよく、カチオン重合性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等が例示され、ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基(エチレン性不飽和結合)が例示される。
重合性基としては、エチレン性不飽和基であることが好ましい。
本発明において、着色インク組成物及びクリアインク組成物は、重合性化合物として、エチレン性不飽和化合物を含有することが好ましく、ラジカル重合性化合物を含有することがより好ましい。
【0038】
本発明において、「モノマー」とは、分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)が1,000以下の化合物を意味する。分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、50〜1,000であることが好ましい。
また、「オリゴマー」とは、一般に有限個(一般的には5〜100個)のモノマーに基づく構成単位を有する重合体であり、オリゴマーの重量平均分子量は1,000より大きく20,000未満である。
更に、「ポリマー」とは、オリゴマー領域以上の重量平均分子量を有する化合物であり、重量平均分子量は20,000以上である。
なお、重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフ法)にて測定し、標準ポリスチレンで換算して求める。例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
【0039】
本発明において、着色インク組成物は、単官能重合性化合物として、単官能重合性モノマーを含有することが好ましい。単官能重合性化合物の50質量%以上が単官能重合性モノマーであることが好ましく、70質量%以上が単官能重合性モノマーであることがより好ましく、90質量%以上が単官能重合性モノマーであることがより好ましく、単官能重合性化合物の全量(100質量%)が単官能重合性モノマーであることが更に好ましい。
また、着色インク組成物は、多官能重合性化合物として、多官能重合性オリゴマーを含有することが好ましい。多官能重合性化合物の50質量%以上が多官能重合性オリゴマーであることが好ましく、70質量%以上が多官能重合性オリゴマーであることがより好ましく、多官能重合性化合物の全量(100質量%)が多官能重合性オリゴマーであることが更に好ましい。
なお、着色インク組成物として、複数の着色インク組成物を使用する場合、各色のインク組成物が、全て、上述の条件を満たすことが好ましい。
【0040】
(成分A)単官能重合性化合物
本発明において、着色インク組成物は、単官能重合性化合物として、(成分A−1)N−ビニル化合物を含有することが好ましい。
【0041】
(成分A−1)N−ビニル化合物
本発明において、着色インク組成物は、重合性化合物として、(成分A−1)N−ビニル化合物を含有することが好ましい。なお、クリアインク組成物がN−ビニル化合物を含有することを排除するものではない。
N−ビニル化合物としては、N−ビニルラクタム類が好ましく、N−ビニルカプロラクタム又は1−ビニル−2−ピロリドンがより好ましく、N−ビニルカプロラクタムであることが特に好ましい。N−ビニルカプロラクタムは安全性に優れ、汎用的で比較的安価に入手でき、特に良好なインク硬化性、及び硬化膜の記録媒体への密着性が得られるので好ましい。
【0042】
着色インク組成物における成分A−1の含有量は、着色インク組成物全体の質量に対して、5〜60質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることが特に好ましい。含有量が5質量%以上であると、記録媒体への密着性に優れ、また、含有量が60質量%以下であると、保存安定性に優れる。
【0043】
(成分A−2)単官能(メタ)アクリレート
本発明において、着色インク組成物は、重合性化合物として、(成分A−2)単官能(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。着色インク組成物が成分A−2を含有するとにより、硬化性に優れ、また、基材との密着性及び延伸性に優れた着色インク組成物が得られるので好ましい。
【0044】
本発明において、着色インク組成物は、成分A−2として、以下の(a−1)〜(a−8)よりなる群から選択された少なくとも1つの単官能重合性モノマーを含有することが好ましい。
【0045】
【化2】
(式中、R
11は水素原子又はメチル基を表し、R
12は炭素数4〜12のアルキル基を表す。)
【0046】
着色インク組成物は、(a−1)〜(a−8)よりなる群から選択される少なくとも1つの単官能モノマーを含有することが好ましい。R
11は水素原子であることが好ましい。
着色インク組成物は、少なくとも、フェノキシエチルアクリレート(a−3)及び/又はイソボルニルアクリレート(a−7)を含有することが好ましく、フェノキシエチルアクリレート(a−3)を少なくとも含有することがより好ましい。また、フェノキシエチルアクリレート(a−3)及び/又はイソボルニルアクリレートと併用して、(a−1)、(a−2)、(a−4)〜(a−6)及び(a−8)よりなる群から選択される少なくとも1つの単官能モノマーを含有することが好ましく、イソボルニルアクリレート(a−7)及びフェノキシエチルアクリレート(a−3)を含有することが特に好ましい。イソボルニルアクリレート(a−7)及びフェノキシエチルアクリレート(a−3)を併用することにより、硬化性に優れ、基材密着性及び延伸性に優れる硬化画像が得られる。
【0047】
着色インク組成物は、(a−1)〜(a−8)よりなる群から選択される単官能モノマーを合計して、着色インク組成物全体の10〜85質量%含有することが好ましく、20〜75質量%含有することがより好ましく、30〜65質量%含有することが更に好ましい。上記範囲であると、延伸性に優れ、また、穴あけ加工適正に優れる。
【0048】
着色インク組成物は、成分A−2以外のその他の単官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。成分A−2以外の単官能(メタ)アクリレートとしては、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、時シクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
(成分B)多官能重合性化合物
本発明において、着色インク組成物は、重合性化合物として、(成分B)多官能重合性化合物を含有してもよく、多官能重合性化合物としては、多官能ラジカル重合性化合物が好ましく、ラジカル重合性基として、エチレン性不飽和基を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがより好ましい。
すなわち、成分Bとしては、多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、特に、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
【0050】
オリゴマーとしては、官能基として(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。オリゴマーとしては、アクリロイル基を有するもの、すなわち、アクリレートオリゴマーが特に好ましい。
オリゴマーに含まれる官能基数は、柔軟性と硬化性のバランスの観点から、1分子あたり2〜15が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が更に好ましく、2が特に好ましい。
【0051】
本発明におけるオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート系、オレフィン系(エチレンオリゴマー、プロピレンオリゴマーブテンオリゴマー等)、ビニル系(スチレンオリゴマー、ビニルアルコールオリゴマー、ビニルピロリドンオリゴマー、(メタ)アクリレートオリゴマー等)、ジエン系(ブタジエンオリゴマー、クロロプレンゴム、ペンタジエンオリゴマー等)、開環重合系(ジ−,トリ−,テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチルイミン等)、重付加系(オリゴエステル(メタ)アクリレート、ポリアミドオリゴマー、ポリイソシアネートオリゴマー)、付加縮合オリゴマー(フェノール樹脂、アミノ樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂等)、アミン変性ポリエステルオリゴマー、シリコーン系(シリコーン(メタ)アクリレートオリゴマー)等を挙げることができる。これらの中でも、シリコーン系オリゴマーが好ましく、シリコーン系(メタ)アクリレートオリゴマーが特に好ましい。
オリゴマーは、1種単独で用いる以外に、複数種を併用してもよい。
【0052】
シリコーン系オリゴマーとしては、分子末端又は側鎖に、アクリロイル基、メタクリロイル基又はビニル基を有する含シリコーン化合物(主にポリジアルキルシロキサン)が挙げられ、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するものが好ましい。シリコーン系オリゴマーを使用すると、耐ブロッキング性、硬化膜の伸長性に優れる画像が得られる。
具体的には、特開2009−185186号公報の段落0012〜0040に記載されている化合物が挙げられる。
本発明において、シリコーン系オリゴマーとして、下記市販材料を用いることもできる。
EVERCRYL 350、エバークリル4842(以上、ユー・シー・ビー・ケミカルズ社製)、PERENOL S−5(以上、コグニス社製)、RC149、RC300、RC450、RC709、RC710、RC711、RC720、RC802(以上、ゴールドシュミット・ケミカル・コーポレーション社製)、FM0711、FM0721、FM0725、PS583(以上、チッソ(株)製)、KP−600、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E(以上、信越化学工業(株)製)、BYK UV3500、BYK UV3570、BYK Silclean3700(以上、BYK Chemie社製)、Tegorad2010、Tegorad2100、Tegorad2200N、Tegorad2250N、Tegorad2300、Tegorad2500、Tegorad2600、Tegorad2700(以上、デグサ社製)、DMS−V00、DMS−V03、DMS−V05、DMS−V21、DMS−V22、DMS−V25、DMS−V25R、DMS−V31、DMS−V33、DMS−V35、DMS−V41、DMS−V42、DMS−V46、DMS−V52、DMS−V25R、DMS−V35R、PDV−0325、PDV0331、PDV0341、PDV0346、PDV0525、PDV0541、PDV1625、PDV1625、PDV1631、PDV1635、PDV1641、PDV2331、PDV2335、PMV−9925、PVV−3522、FMV−4031、EDV−2025、VDT−123、VDT−127、VDT−131、VDT−153、VDT−431、VDT−731、VDT−954、VDS−2513、VDV−0131、VGM−021、VGP−061、VGF−991、VQM−135、VQM−146、VQX−221、VMS−005、VMS−T11、VTT−106、MTV−124、VAT−4326、VBT−1323、VPT−1323、VMM−010、VEE−005、VPE−005(以上、Gelest社製)。
【0053】
また、上記のシリコーン系オリゴマー以外に、他のオリゴマーを含有していてもよく、例えば、例えば、分子量がオリゴマー領域であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等が例示される。
ポリウレタンオリゴマーとしては、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、脂肪族系ポリウレタン(メタ)アクリレート、芳香族系ポリウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。詳しくは、オリゴマーハンドブック(古川淳二監修、(株)化学工業日報社)を参照することができる。
ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、新中村化学工業(株)製のU−2PPA、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、U−324A、UA−122P、UA5201、UA−512等;サートマー・ジャパン(株)製のCN964A85、CN964、CN959、CN962、CN963J85、CN965、CN982B88、CN981、CN983、CN996、CN9002、CN9007、CN9009、CN9010、CN9011、CN9178、CN9788、CN9893、ダイセル・サイテック(株)製のEB204、EB230、EB244、EB245、EB270、EB284、EB285、EB810、EB4830、EB4835、EB4858、EB1290、EB210、EB215、EB4827、EB4830、EB4849、EB6700、EB204、EB8402、EB8804、EB8800−20R等が挙げられる。
ポリエステルオリゴマーとしては、アミン変性ポリエステルオリゴマーが好ましく例示され、ダイセル・サイテック(株)製のEB524、EB80、EB81、サートマー・ジャパン(株)製のCN550、CN501、CN551、Rahn A.G.社製のGENOMER5275が挙げられる。
【0054】
多官能重合性化合物の含有量は、硬化性と密着性の両立という観点から、インク組成物の総質量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜5質量%がより好ましく、0.05〜1質量%が更に好ましい。
【0055】
本発明において、着色インク組成物は、上記の以外の多官能重合性化合物を含有していてもよく、多官能重合性モノマーが例示される。
着色インク組成物が多官能重合性モノマーを含有することにより、高い硬化性が得られる。多官能重合性モノマーの具体例としては、後述するクリアインクに使用される多官能重合性モノマーが例示され、特に、多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
【0056】
2.クリアインク組成物
本発明において使用されるクリアインク組成物は、重合性化合物を含有し、重合性化合物として、単官能重合性化合物を含有することが好ましく、単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物を含有することがより好ましい。
本発明において使用されるクリアインク組成物における単官能重合性化合物の含有量は、組成物中に含まれる重合性化合物の全質量100質量%に対し、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、クリアインク組成物における多官能重合性化合物の含有量は、組成物中に含まれる重合性化合物の全質量100質量%に対し、1〜50質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、5〜10質量%であることが特に好ましい。
単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物の含有量が上記範囲であると、凹凸感に選り優れた成形印刷物が得られ、また、成形加工時の金型への貼りつきが効果的に抑制される。
クリアインク組成物として、複数のクリアインク組成物を使用してもよいが、クリアインク組成物の全てが、上記の条件を満たすことが好ましい。
なお、クリアインク組成物は、重合性化合物をインク組成物全体の50〜98質量%含有することが好ましく、60〜95質量%含有することがより好ましく、70〜90質量%含有することが更に好ましい。上記範囲であると、硬化性に優れ、また、基材密着性及び延伸性に優れる。
【0057】
本発明において、クリアインク組成物は、多官能重合性化合物として、多官能重合性モノマーを含有することが好ましい。多官能重合性化合物の50質量%以上が多官能重合性モノマーであることが好ましく、70質量%以上が多官能重合性モノマーであることがより好ましく、90質量%以上が多官能重合性モノマーであることが更に好ましい。
また、クリアインク組成物は、単官能重合性化合物として、単官能重合性モノマーを含有することが好ましい。単官能重合性化合物の50質量%以上が単官能重合性モノマーであることが好ましく、70質量%以上が単官能重合性モノマーであることがより好ましく、単官能重合性化合物の全量(100質量%)が単官能重合性モノマーであることが更に好ましい。
【0058】
(成分A’)単官能重合性化合物
クリアインク組成物は、(成分A’)単官能重合性化合物を含有してもよく、成分A’を含有することが好ましい。
成分A’としては、着色インク組成物において(成分A−2)単官能(メタ)アクリレートとして説明した単官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、これらの中でも、(a−1)〜(a−8)よりなる群から選択される単官能(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。
これらの中でも、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニルアクリレートがより好ましい。
【0059】
(成分B’)多官能重合性化合物
クリアインク組成物は、(成分B’)多官能重合性化合物を含有することが好ましい。成分B’としては、多官能重合性モノマーが好ましく例示され、特に、多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を合計して2以上有するモノマーであれば特に制限はなく、公知の多官能(メタ)アクリレートモノマーから適宜選択して使用すればよい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリロイル基を合計して2以上有していればよいが、2〜6有することが好ましく(2〜6官能)、2〜4有することがより好ましく(2〜4官能)、2又は3有することが更に好ましい(2官能又は3官能)。
また、クリアインク組成物は、多官能重合性化合物として、2官能重合性化合物を少なくとも含むことが好ましく、2官能重合性化合物及び3官能重合性化合物を少なくとも含むことがより好ましい。
【0060】
クリアインク組成物は、多官能重合性モノマーとして、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上の多官能重合性化合物を含有することが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上の多官能重合性モノマーを有することがより好ましい。Tgが80℃以上の多官能重合性化合物を含有することにより、凹凸感により優れた成形印刷物が得られ、また、金型への貼りつきがより抑制される。
ここで、多官能重合性化合物のガラス転移温度とは、当該多官能重合性化合物のホモポリマーのガラス転移温度を意味する。具体的には、多官能重合性化合物に重合開始剤を添加して、重量平均分子量10,000以上のホモポリマーを得る。ガラス転移温度(Tg)は、例えば、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計により測定される。
なお、分子量によってガラス転移温度(Tg)が変化するが、重量平均分子量10,000以上の場合には、分子量によるTgの変動は無視できる程度である。
上記ガラス転移温度は、80℃以上であることが好ましく、80℃〜300℃であることがより好ましく、85℃〜300℃であることが更に好ましく、90℃〜300℃であることが特に好ましい。
【0061】
クリアインク組成物は、Tgが80℃以上の多官能重合性化合物、好ましくは、Tgが80℃以上の多官能重合性モノマーをインク組成物中に30質量%以上含有することが好ましい。40〜90質量%含有することがより好ましく、55〜85質量%含有することが更に好ましい。
また、クリアインク組成物が含有する多官能重合性モノマーのうち、50質量%以上がTgが80℃以上である多官能重合性モノマーであることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。上記範囲であると、硬度に優れ、金型への貼りつきが効果的に抑制される。
【0062】
多官能重合性化合物としては、以下の多官能重合性モノマーが好ましく例示されるが、本発明はこれらの例示化合物に何ら限定されるものではない。
・b−1:3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(Tg:105℃)
・b−2:ジプロピレングリコールジアクリレート(Tg:101℃)
・b−3:トリプロピレングリコールジアクリレート(Tg:90℃)
・b−4:ネオペンチルグリコールジアクリレート(Tg:117℃)
・b−5:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Tg:186℃)
・b−6:トリメチロールプロパントリアクリレート(Tg:>250℃)
・b−7:ジオキサンジアクリレート(Tg:156℃)
・b−8:1,10−デカンジオールジアクリレート(Tg:91℃)
・b−9:ペンタエリスリトールトリアクリレート(Tg:>250℃)
・b−10:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(Tg:>250℃)
・b−11:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(Tg:>250℃)
・b−12:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Tg:>250℃)
【0063】
クリアインク組成物は、b−1〜b−12よりなる群から選択されるTgが80℃以上である多官能重合性モノマーを少なくとも1つ含有することが好ましく、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、クリアインク組成物は、b−5を含有することがより好ましく、b−5及びb−6を含有することが特に好ましい。上記態様であると、凹凸感により優れた成形印刷物が得られ、また、金型への貼りつきがより抑制される。
【0064】
クリアインク組成物は、上述の多官能重合性モノマーに加え、他の多官能重合性モノマーを含有していてもよい。
具体例としては、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エトキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド2モル付加物をジアクリレート化した化合物)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0065】
また、クリアインク組成物は、上述の着色インク組成物で述べた、多官能重合性オリゴマーを含有することも好ましく、多官能重合性オリゴマーとしては、シリコーン系オリゴマーが好ましい。
シリコーン系オリゴマーとしては、シリコーン系(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、硬化性と密着性の両立という観点から、シリコーン系(メタ)アクリレートオリゴマーを、クリアインク組成物中に0.01〜10質量%含有することが好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が更に好ましい。
【0066】
(成分C)重合開始剤
本発明において、インク組成物(着色インク組成物及びクリアインク組成物)は、(成分C)重合開始剤を含有することが好ましく、重合開始剤として、ラジカル重合開始剤を含有することがより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができるラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明に用いることのできるラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
【0067】
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を単独もしくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
【0068】
本発明において、成分Cとして、アシルホスフィンオキサイド化合物が好ましく、(成分C−1)ビスアシルホスフィンオキサイド化合物及び/又は(成分C−2)モノアシルホスフィンオキサイド化合物がより好ましい。
成分C−1及び後述する成分C−2としては、特開2009−096985号公報の段落0080〜0098に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物及びモノアシルホスフィンオキサイド化合物が好ましく挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE819、BASFジャパン(株))が好ましい。
モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO:BASFジャパン(株)製)が好ましい。
【0069】
本発明において、着色インク組成物は、(成分C−1)ビスアシルホスフィンオキサイド化合物及び(成分C−2)モノアシルホスフィンオキサイド化合物を含有することが特に好ましい。
また、着色インク組成物は、成分Cとして、少なくとも(成分C−1)ビスアシルホスフィンオキサイド化合物を含有することが好ましい。着色インク組成物が成分C−1を含有することにより、少ない添加量でも高い感度が得られる。なお、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物はモノアシルホスフィンオキサイド化合物と比較して、低添加量でインクの感度を向上させることが可能であるが、一方、印刷物が黄色に着色される場合があるため、クリアインク組成物と比較して画像が黄色に変化することが目立ちにくいカラーインク組成物においてはビスアシルホスフィンオキサイド化合物とモノアシルホスフィンオキサイド化合物とを併用することが好ましい。
着色インク組成物において、ラジカル重合開始剤の総量を100質量部としたとき、成分C−1及び成分C−2の総量は、20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることが更に好ましい。
【0070】
また、本発明において、クリアインク組成物は、(成分C)重合開始剤として、(成分C−2)モノアシルホスフィンオキサイド化合物を含有することが好ましい。
クリアインク組成物が(成分C)重合開始剤として(成分C−2)モノアシルホスフィンオキサイド化合物を含有することにより、画像の黄変が抑制されると共に、優れた硬化性が得られる。
クリアインク組成物において、ラジカル重合開始剤の総量を100質量部としたとき、モノアシルホスフィンオキサイド化合物を50質量部以上含有することが好ましく、60〜100質量部含有することが好ましく、70〜100質量部以上含有することがより好ましく、実質的には100質量部であることが好ましい。
【0071】
本発明のインク組成物は、(成分C−3)チオキサントン化合物及び/又はチオクロマノン化合物を含有することが好ましい。特に、着色インク組成物は、硬化性の観点から、成分C−3を含有することが好ましい。
【0072】
チオキサントン化合物としては、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリドが例示できる。
これらの中でも、入手容易性や硬化性の観点から、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、及び、4−イソプロピルチオキサントンがより好ましい。
【0073】
チオクロマノン化合物としては、特開2009−084423号公報の段落0039〜0054に記載のチオクロマノン化合物が好ましく例示できる。
これらの中でも、(I−14)、(I−17)、及び、(I−19)がより好ましく、(I−14)が特に好ましい。
【0075】
<その他の重合開始剤>
本発明のインク組成物は、成分C−1〜成分C−3以外の他の重合開始剤を含有していてもよい。他の重合開始剤としては、(成分C−4)アルキルフェノン化合物が好ましい。
アルキルフェノン化合物としては、例えば、市販品として、IRGACURE184(BASFジャパン社製)、IRGACURE369(BASFジャパン社製)、IRGACURE379(BASFジャパン社製)、IRGACURE907(BASFジャパン社製)、IRGACURE2959(BASFジャパン社製)などが好適に挙げられる。
【0076】
硬化性の観点から、(成分C−4)アルキルフェノン化合物の含有量は、インク組成物中0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
【0077】
その他の重合開始剤としては、更に、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、及び、炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。上記重合開始剤の詳細については、当業者に公知であり、例えば、特開2009−185186号公報の段落0090〜0116に記載されている。
【0078】
着色インク組成物におけるラジカル重合開始剤の含有量は、着色インク組成物中、1〜20質量%であることが好ましく、2〜18質量%であることがより好ましく、3〜16質量%であることが更に好ましい。
また、クリアインク組成物におけるラジカル重合開始剤の含有量は、1〜20量%であることが好ましく、3〜18質量%であることがより好ましく、5〜16質量%であることが更に好ましい。
着色インク組成物及びクリアインク組成物におけるラジカル重合開始剤の含有量が上記範囲であると、硬化性に優れる。
【0079】
(成分D)着色剤
本発明における着色インク組成物は各色に応じた(成分D)着色剤を含有する。
なお、クリアインク組成物は、(成分D)着色剤を実質的に含有しない。前述したように、「実質的に含有しない」とは、成分Dの含有量がクリアインク組成物の1質量%以下であることを意味する。クリアインク組成物における成分Dの含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることが更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。ただし、本発明において、色相調整のために、クリアインク組成物が微量(1質量%以下)の青色顔料等を含有することを排除するものではない。
【0080】
用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。中でも、着色液体組成物に含まれる着色剤としては特に耐光性に優れるとの観点から顔料であることが好ましい。
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。更に、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
【0081】
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
【0082】
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G'レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
【0083】
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
【0084】
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO
3Pb(OH)
2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO
2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。従って、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
【0085】
着色剤の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
着色剤の分散を行う際には、界面活性剤等の分散剤を添加することができる。
また、着色剤を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種着色剤に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
【0086】
着色インク組成物において着色剤などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である上記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、着色インク組成物は、活性光線硬化型の液体であることが好ましく、着色インク組成物を被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化された着色インク組成物から形成された画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、粘度が低い重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
【0087】
ここで用いる着色剤の平均粒径は、微細なほど発色性に優れるため、0.01〜0.4μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02〜0.2μmの範囲である。最大粒径は好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下となるよう、着色剤、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、着色液体組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができる。本発明においては分散性、安定性に優れた上記分散剤を用いることにより、微粒子着色剤を用いた場合でも、均一で安定な分散物が得られる。
着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
【0088】
着色インク組成物における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、画像濃度及び保存安定性の観点から、着色インク組成物全体の質量に対し、0.5〜30質量%であることが好ましく、1.0〜20質量%であることが更に好ましく、2.0〜20質量%であることが特に好ましい。
【0089】
−その他の成分−
インク組成物には、必要に応じて、上記各成分以外に、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を含有することができる。これらは、特開2009−185186号公報に記載されており、本発明においても使用できる。
【0090】
本発明において、インク組成物は界面活性剤を含有してもよい。
本発明に使用される界面活性剤としては、下記の界面活性剤が例示できる。例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、上記公知の界面活性剤として、有機フルオロ化合物を用いてもよい。上記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。上記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8から17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
特に本発明において使用される界面活性剤は、上記界面活性剤に限定されることはなく、添加濃度に対して効率的に表面張力を低下させる能力のある添加剤であればよい。
【0091】
界面活性剤の添加量は特に限定されないが、安定した吐出性及び表面張力を所望の範囲にする観点から、インク全体の0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましく、0.3〜2質量%であることが特に好ましい。
【0092】
インク組成物は、保存性を高める観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
インク組成物をインクジェットインク組成物として使用する場合には、25℃〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐために、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は1種単独で使用してもよく、2種以上併用していてもよいが、2種以上併用することが好ましい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、N−オキシル系重合禁止剤(TEMPO、TEMPOL(4−ヒドロキシTEMPO)等)、クペロンAl、ヒンダードアミン等が挙げられ、中でもニトロソ系重合禁止剤、ヒンダードアミン系重合禁止剤、フェノール系重合禁止剤、N−オキシル系重合禁止剤が好ましい。好ましい重合禁止剤の組み合わせとしては、着色インク組成物では、ニトロソ系重合禁止剤、ヒンダードアミン系重合禁止剤、フェノール系重合禁止剤、N−オキシル系重合禁止剤よりなる群から選択された重合禁止剤の組み合わせが好ましく、ニトロソ系重合禁止剤とN−オキシル系重合禁止剤との組み合わせが特に好ましい。
本発明に好ましく使用されるニトロソ系重合禁止剤の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0094】
ニトロソ系重合禁止剤の市販品として、FIRSTCURE ST−1(Chem First社製)、UV−12(トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩、Kroma Chem社製)等が挙げられる。ヒンダードアミン系重合禁止剤の市販品としてTINUVIN292、TINUVIN770DF、TINUVIN765、TINUVIN123が挙げられる。フェノール系重合禁止剤の市販品として、MEHQ(4−メトキシフェノール)が挙げられる。N−オキシル系重合禁止剤の市販品として、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)、TEMPOL(4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
インク組成物中における重合禁止剤の含有量は0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜4質量%が好ましく、0.5〜4質量%が特に好ましい。上記範囲であると、インク組成物の調製時、保管時の重合を抑制でき、インクジェットノズルの詰まりを防止できる。
【0095】
インク組成物は、分散剤を含有することが好ましい。特に顔料を使用する場合において、顔料をインク組成物中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
【0096】
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。
【0097】
−インク物性−
インク組成物は、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、更に好ましくは7〜30mPa・sである。また吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。インク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体を用いた場合でも、記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となるので好ましい。更に、インク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
なお、粘度は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10rpmの回転数にて測定を行った。ただし、60mPa・sより高粘度なものについては、必要により回転数を5rpm、2.5rpm、1rpm、0.5rpm等に変化させて測定を行った。
【0098】
インク組成物の25℃における表面張力は、18〜40mN/mであることが好ましい。より好ましくは20〜35mN/mである。上記の範囲であると金型への貼りつきが抑制される。
ここで、上記表面張力は、一般的に用いられている表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で25℃にて測定した値である。
【0099】
本発明において、着色インク組成物として、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及び、ブラックインク組成物を少なくとも使用することが好ましく、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、及び、ホワイトインク組成物を少なくとも使用することがより好ましく、他色のインク組成物を更に使用してもよい。
具体的には、ライトシアン、ライトマゼンタのインク組成物を更に使用することも好ましく、この場合、着色インク組成物は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク組成物、ライトシアンインク組成物、ライトマゼンタインク組成物の計6色で構成されることが好ましい。
なお、本発明における「濃色インク組成物」とは、着色剤の含有量がインク組成物全体の1質量%を超えているインク組成物を意味する。上記着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤を用いることができ、顔料や分散染料が例示できる。
また、着色インク組成物として、少なくとも1つの濃色インク組成物、及び、少なくとも1つの淡色インク組成物を使用し、濃色インク組成物と淡色インク組成物とが同系色の着色剤を用いている場合、濃色インク組成物と淡色インク組成物との着色剤濃度の比が、濃色インク組成物:淡色インク組成物=15:1〜4:1であることが好ましく、12:1〜4:1であることがより好ましく、10:1〜4.5:1であることが更に好ましい。上記範囲であると、粒状感の少ない、鮮やかなフルカラー画像が得られる。
【0100】
更に、着色インク組成物として、ホワイトインク組成物を使用することも好ましい。ホワイトインク組成物は、白色顔料を含有するインク組成物である。
ホワイトインク組成物は、前述したように、画像層の最上層に略均一な層として形成することも好ましい。
【0101】
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明においては、クリアインク組成物及び着色インク組成物が共にインクジェットインク組成物であることが好ましい。
本発明において、着色インク組成物を吐出するノズルの最小液滴体積は、5pL以上40pL未満であることが好ましく、クリアインク組成物を吐出するノズルの最小液滴体積は20pL以上60pL以下であることが好ましい。
クリアインク組成物は、高精細なカラー画像を形成するものでなく、高い解像度は要求されない。一方、着色インク組成物は、カラー画像を形成するので、高い解像度が要求される。着色インク組成物を吐出するノズルの最小液滴体積と比較して、クリアインク組成物を吐出するノズルの最小液滴体積を大きくすることによって、高い生産性が得られる。
【0102】
上記画像層形成工程及び/又は上記凸部形成工程が、(a
1)基材上に、インクジェットインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、及び、(b
1)吐出されたインクジェットインク組成物に活性光線を照射して、上記インクジェットインク組成物を硬化させる工程、を含むことが好ましい。
また、上記画像層形成工程及び/又は上記凸部形成工程が、(a
2)基材上に、インクジェットインク組成物をインクジェット方式により吐出する工程、(b
2)吐出されたインクジェットインク組成物に活性光線を照射して、上記インクジェットインク組成物を仮硬化させて仮硬化膜を形成する工程、及び、(c
2)上記仮硬化膜に活性光線を照射し、完全硬化させる工程、を含むことがより好ましい。
本発明において、上記画像層形成工程及び/又は上記凸部形成工程が、上記(a
1)及び(b
1)工程、又は、上記(a
2)〜(c
2)工程を含むことにより、基材上において硬化したインク組成物により画像層や凸部が形成される。
また、本発明のインクジェット記録方法は、記録媒体上の同一部分において、上記(a
1)及び(b
1)工程、又は、(a
2)〜(c
2)工程を2回以上行うこと、すなわち、同一部分を重ね打ちにより印刷するマルチパスモードで行ってもよく、また、一回の走査で画像を形成するシングルパスモードで行ってもよいが、マルチパスモードで行うことが好ましい。
上記(a
1)工程及び(a
2)工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。
【0103】
本発明に用いることができるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、上記(a
1)工程及び(a
2)工程における記録媒体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
【0104】
本発明で用いることができるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性光線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi(dot per inch)、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、更に好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
【0105】
上述したように、インク組成物は、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが好ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断又は断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは、熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うと共に、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0106】
インクジェット方式によるインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、好ましくは3〜15mPa・s、より好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
活性光線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インク組成物で使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
【0107】
次に、(b
1)工程、(b
2)工程及び(c
2)工程について説明する。
基材上に吐出されたインク組成物は、活性光線(活性線)を照射することによって硬化する。これは、インク組成物に含まれる重合開始剤が活性光線の照射により分解して、ラジカルやカチオンなどの重合開始種を発生し、その開始種の機能に重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性光線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
【0108】
ここで、使用される活性光線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用されうる。活性光線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、320〜420nmであることが更に好ましく、活性光線が、ピーク波長が340〜400nmの範囲の紫外線であることが特に好ましい。
【0109】
また、インク組成物の重合開始系は、低出力の活性光線であっても十分な感度を有するものである。従って、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm
2、より好ましくは20〜2,500mW/cm
2で硬化させることが適当である。
【0110】
活性光線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性光線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、米国特許第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性光線を放出しうるLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。中でも、好ましい活性光線源はUV−LEDであり、特に好ましくは340〜400nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの記録媒体上での最高照度は、10〜2,000mW/cm
2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm
2であることがより好ましく、50〜800mW/cm
2であることが特に好ましい。
【0111】
インク組成物は、このような活性光線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性光線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インク組成物の吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性光線の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。国際公開第99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
【0112】
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインク組成物のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインク組成物から順に重ねることにより、下部のインク組成物まで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することしてもよく、1色毎に露光してもよい。
また、後述するように、インク組成物を吐出後に、吐出されたインク組成物に活性光線を照射して、インク組成物を仮硬化(部分的に硬化)させて仮硬化膜を形成したのち、仮硬化膜に活性光線を照射し、完全硬化させることも好ましい。なお、仮硬化(半硬化)に関しては、特開2008−248070号公報、特開2009−221416号公報等が参照される。
このようにして、インク組成物は、活性光線の照射により高感度で硬化することで、記録媒体表面に画像を形成することができる。
【0113】
以下に、図面を参照して、インクジェット方式による好適な画像形成及び凸部の形成について説明する。
<インクジェット記録装置の全体構成>
図3は本発明に好適に使用されるインクジェット記録装置10の一例を示す外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体(基材)12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンターである。ワイドフォーマットプリンターは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」と呼ぶ。
【0114】
インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド24と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段(走査手段)としてのガイド機構28及びキャリッジ30が設けられている。
【0115】
ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向)に直交し、かつプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ30には、インクジェットヘッド24が搭載されると共に、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源(ピニング光源)32A,32Bと、本硬化光源(キュアリング光源)34A,34Bとが搭載されている。
【0116】
仮硬化光源32A,32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A,34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。詳細は後述するが、本硬化光源34A,34Bのいずれか一方又は両方は、インクジェットヘッド24及び仮硬化光源32A,32BとY方向について並ぶように、X方向へ移動可能に構成されている。
【0117】
キャリッジ30上に配置されたインクジェットヘッド24、仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30と共に一体的に(一緒に)移動する。キャリッジ30の往復移動方向(Y方向)を「主走査方向」、記録媒体12の搬送方向(X方向)を「副走査方向」と呼ぶ場合がある。
【0118】
記録媒体12は、装置の背面側からロール紙状態(
図4参照)で給紙され、印字後は装置正面側の巻き取りロール(
図3中不図示、
図4の符号44)で巻き取られる。プラテン26上に搬送された記録媒体12に対して、インクジェットヘッド24からインク滴が吐出され、記録媒体12上に付着したインク滴に対して仮硬化光源32A,32B、本硬化光源34A,34Bから紫外線が照射される。
【0119】
図3において、装置本体20の正面に向かって左側の前面に、インクカートリッジ36の取り付け部38が設けられている。インクカートリッジ36は、紫外線硬化型インクを貯留する交換自在なインク供給源(インクタンク)である。インクカートリッジ36は、本例のインクジェット記録装置10で使用される各色インクに対応して設けられている。色別の各インクカートリッジ36は、それぞれ独立に形成された不図示のインク供給経路によってインクジェットヘッド24に接続される。各色のインク残量が少なくなった場合にインクカートリッジ36の交換が行われる。
【0120】
また、図示を省略するが、装置本体20の正面に向かって右側には、インクジェットヘッド24のメンテナンス部が設けられている。メンテナンス部には、非印字時におけるインクジェットヘッド24の乾燥を防止するためのキャップと、インクジェットヘッド24のノズル面(インク吐出面)を清掃するための払拭部材(ブレード、ウエブ等)が設けられている。インクジェットヘッド24のノズル面をキャッピングするキャップは、メンテナンスのためにノズルから吐出されたインク滴を受けるためのインク受けが設けられている。
【0121】
−記録媒体搬送路の説明−
図4は、インクジェット記録装置10における記録媒体搬送路を模式的に示す説明図である。
図4に示すように、プラテン26は逆樋状に形成され、その上面が記録媒体12の支持面(媒体支持面)となる。プラテン26の近傍における記録媒体搬送方向(X方向)の上流側には、記録媒体12を間欠搬送するための記録媒体搬送手段である一対のニップローラ40が配設される。このニップローラ40は記録媒体12をプラテン26上で記録媒体搬送方向へ移動させる。
【0122】
ロール・ツー・ロール方式の媒体搬送手段を構成する供給側のロール(送り出し供給ロール)42から送り出された記録媒体12は、印字部の入り口(プラテン26の記録媒体搬送方向の上流側)に設けられた一対のニップローラ40によって、記録媒体搬送方向に間欠搬送される。インクジェットヘッド24の直下の印字部に到達した記録媒体12は、インクジェットヘッド24により印字が実行され、印字後に巻き取りロール44に巻き取られる。印字部の記録媒体搬送方向の下流側には、記録媒体12のガイド46が設けられている。
【0123】
印字部においてインクジェットヘッド24と対向する位置にあるプラテン26の裏面(記録媒体12を支持する面と反対側の面)には、印字中の記録媒体12の温度を調整するための温調部50が設けられている。印字時の記録媒体12が所定の温度となるように調整されると、記録媒体12に着弾したインク液滴の粘度や、表面張力等の物性値が所望の値になり、所望のドット径を得ることが可能となる。なお、必要に応じて、温調部50の上流側にプレ温調部52を設けてもよいし、温調部50の下流側にアフター温調部54を設けてもよい。
【0124】
−インクジェットヘッドの説明−
図5は、キャリッジ30上に配置されるインクジェットヘッド24と仮硬化光源32A,32B及び本硬化光源34A,34Bの配置形態の例を示す平面透視図である。
【0125】
インクジェットヘッド24には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、クリア(透明)(CL)、ホワイト(白)(W、任意)の各色のインクごとに、それぞれ色のインクを吐出するためのノズル列61Y、61M、61C、61K、61LC、61LM、61CL、61Wが設けられている。
図5ではノズル列を点線により図示し、ノズルの個別の図示は省略されている。また、以下の説明では、ノズル列61Y、61M、61C、61K、61LC、61LM、61CL、61Wを総称して符号61を付してノズル列を表すことがある。
【0126】
インク色の種類(色数)や色の組み合わせについては本実施形態に限定されない。例えば、LC、LMのノズル列を省略する形態、Wのノズル列を省略する形態、メタルインクのノズル列を追加する形態、特別色のインク(特色インク)を吐出するノズル列を追加する形態などが可能である。また、色別のノズル列の配置順序も特に限定はない。ただし、複数のインク種のうち紫外線に対する硬化感度の低いインクを仮硬化光源32A又は32Bに近い側に配置する構成が好ましい。
【0127】
色別のノズル列61ごとにヘッドモジュールを構成し、これらを並べることによって、カラー描画が可能なインクジェットヘッド24を構成することができる。例えば、イエローインクを吐出するノズル列61Yを有するヘッドモジュール24Yと、マゼンタインクを吐出するノズル列61Mを有するヘッドモジュール24Mと、シアンインクを吐出するノズル列61Cを有するヘッドモジュール24Cと、黒インク(ブラックインク)を吐出するノズル列61Kを有するヘッドモジュール24Kと、LC、LM、CL、Wの各色のインクを吐出するノズル列61LC、61LM、61CL、61Wをそれぞれ有する各ヘッドモジュール24LC、24LM、24CL、24Wとをキャリッジ30の往復移動方向(主走査方向、Y方向)に沿って並ぶように等間隔に配置する態様も可能である。色別のヘッドモジュール24Y、24M、24C、24K、24LC、24LMのモジュール群(ヘッド群)を「インクジェットヘッド」と解釈してもよいし、各モジュールをそれぞれ「インクジェットヘッド」と解釈することも可能である。あるいはまた、1つのインクジェットヘッド24の内部で色別にインク流路を分けて形成し、1ヘッドで複数色のインクを吐出するノズル列を備える構成も可能である。
【0128】
各ノズル列61は、複数個のノズルが一定の間隔で記録媒体搬送方向(副走査方向、X方向)に沿って1列に(直線的に)並んだものとなっている。本例のインクジェットヘッド24は、例えば、各ノズル列61を構成するノズルの配置ピッチ(ノズルピッチ)が254μm(100dpi)、1列のノズル列61を構成するノズルの数は256ノズル、ノズル列61の全長Lw(ノズル列の全長)は約65mm(254μm×255=64.8mm)である。また、吐出周波数は15kHzであり、駆動波形の変更によって10pl、20pl、30plの3種類の吐出液滴量を打ち分けることができる。
【0129】
インクジェットヘッド24のインク吐出方式としては、圧電素子(ピエゾアクチュエータ)の変形によってインク滴を飛ばす方式(ピエゾジェット方式)が採用されている。吐出エネルギー発生素子として、静電アクチュエータを用いる形態(静電アクチュエータ方式)の他、ヒータなどの発熱体(加熱素子)を用いてインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばす形態(サーマルジェット方式)を採用することも可能である。ただし、紫外線硬化型インクは、一般に溶剤インクと比べて高粘度であるため、紫外線硬化型インクを使用する場合には、吐出力が比較的大きなピエゾジェット方式を採用することが好ましい。
【0130】
−作画モードについて−
本例に示すインクジェット記録装置10は、マルチパス方式の描画制御が適用され、印字パス数の変更によって印字解像度を変更することが可能である。例えば、高生産モード、標準モード、高画質モードの3種類の作画モードが用意され、各モードでそれぞれ印字解像度が異なる。印刷目的や用途に応じて作画モードを選択することができる。
【0131】
高生産モードでは、600dpi(主走査方向)×500dpi(副走査方向)の解像度で印字が実行される。高生産モードの場合、ヘッドが10往復することにより、600dpi×500dpiの解像度を得ている。
標準モードでは、900dpi×800dpiの解像度で印字が実行され、ヘッドが16往復することにより900dpi×800dpiの解像度を得ている。
高画質モードでは、1,200×1,200dpiの解像度で印字が実行され、ヘッドが24往復することにより1,200dpi×1,200dpiの解像度を得ている。
【0132】
−紫外線照射部の配置−
図5に示すように、インクジェットヘッド24のキャリッジ移動方向(Y方向)の左右両脇に、仮硬化光源32A,32Bが配置される。更に、インクジェットヘッド24の記録媒体搬送方向(X方向)の下流側に本硬化光源34A,34Bが配置されている。本硬化光源34A,34Bは、インクジェットヘッド24からY方向に仮硬化光源32A,32Bよりも外側(更に遠くの位置)に配置される。本硬化光源34A,34Bは、記録媒体搬送方向と反対方向(−X方向)へ移動可能に構成されており、キャリッジ移動方向に沿って、仮硬化光源32A,32B及びインクジェットヘッド24と並ぶように配置を変更することができる。
【0133】
インクジェットヘッド24の着色インク組成物(カラーインク)用のノズル(ノズル列61Y,61M,61C,61K,61LC,61LMに含まれるノズル)から吐出されて記録媒体12上に着弾したカラーインク滴は、その直後にその上を通過する仮硬化光源32A(又は32B)によって仮硬化のための紫外線が照射される。
また、記録媒体12の間欠搬送に伴ってインクジェットヘッド24の印字領域を通過した記録媒体12上のインク滴は、本硬化光源34A,34Bにより本硬化のための紫外線が照射される。このようにして、インク液滴を一旦仮硬化状態にすることで、着弾干渉を防止しつつ、ドットの展開時間(ドットが所定のサイズに広がる時間)を取ることができ、ドットの高さの均一化が図れると共に、液滴と媒体との相互作用を促進して、密着性を増すことができる。
【0134】
また、同様に、インクジェットヘッド24のクリアインク組成物(クリアインク)用のノズル(ノズル列CL)から吐出されて記録媒体に着弾したクリアインク滴は、その直後に通過する仮硬化光源32A(又は32B)によって仮硬化のための紫外線が照射されてもよい。
また、記録媒体の間欠搬送に伴ってインクジェットヘッド24の印字領域を通過した記録媒体12上のインク滴は、本硬化光源34A,34Bにより本硬化のための紫外線が照射される。
【0135】
また、本実施形態では、任意のホワイトインク用のノズル(ノズル列61Wに含まれるノズル)から吐出されて記録媒体12上に着弾するホワイトインク滴に対しても、仮硬化のための紫外線を照射する構成とすることが好ましい。
【0136】
なお、仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24による印字動作中、2つ同時に点灯してもよいが、主走査方向のキャリッジ移動において後側となる仮硬化光源のみ点灯させることで光源の寿命を延ばすことを図ってもよい。また、本硬化光源34A、34Bは、インクジェット記録装置10の印刷動作中、2つ同時に点灯されることが好ましい。走査速度の遅い作画モードでは、片方を消灯することも可能であり、仮硬化光源32A、32Bと、本硬化光源34A、34Bの発光開始タイミングは、同時でもよいし、異なっていてもよい。
【0137】
−画像形成プロセスの説明−
本例に示すインクジェット記録装置10は、着色インク組成物(Y、M、C、K、W、LC、LMなど)により形成される画像層と、クリアインク組成物により形成される凸部とを積層させ、複層構造を形成するように構成されている。また、層形成の順番とインクの紫外線吸収特性(インクの硬化特性)に応じて、紫外線照射量が制御される。
【0138】
例えば、任意成分のホワイトインク組成物は、顔料として酸化チタンや酸化亜鉛などを含有しているために、他の着色インク組成物やクリアインク組成物に比べて紫外線の透過性が劣り、他の着色インク組成物やクリアインク組成物と単位体積あたり同量の紫外線を照射したときには硬化時間が長くなる。これら紫外線透過特性に起因する硬化特性の違いを解消するために、他の着色インク組成物やクリアインク組成物よりもホワイトインク組成物に対する単位時間あたりの紫外線照射量が多くなるように紫外線照射が制御される。かかる画像形成の具体例は後述する。
【0139】
なお、ブラックインク組成物は、紫外線透過性の観点によれば硬化時間が長くなるインク組成物に分類されるが、画像層の形成に用いられ、打滴直後に仮硬化させて打滴干渉を防止する必要があることからカラーインクに分類される。
【0140】
実験によれば、画像層及び凸部はピニング光として、単位面積あたり、1〜20mJ/cm
2が打滴直後に照射されることが好ましく、2〜6mJ/cm
2が打滴直後に照射されることがより好ましい。
【0141】
ピニング光は、インクの打滴直後に他のインクとの合一、干渉によって滴形状が崩れること、あるいは滴が移動することを回避するために、キャリッジ走査によって1回から複数回露光される。キュアリング光は画像形成されたインクを完全に硬化させる露光をいう。キュアリング光もキャリッジ走査によって、複数回に渡って照射される。1回から複数回のピニング露光と、複数回のキャリング露光によって、全ての積算の露光量は200mJ/cm
2から1,000〜3,000mJ/cm
2の光量に達する。紫外線硬化型インクに含まれる開始剤、増感剤の照射波長に対する感度とその含有量よって、インク感度の傾向が決定され、ラジカル重合又はカチオン重合、好ましくはラジカル重合によってインクは硬化する。
【0142】
本実施形態では、画像層、凸部など、各層を形成する分割ノズル領域の描画範囲に対応して適切なピニング光を照射できるように、分割ノズル領域に合わせて仮硬化光源の照射領域が分割され、各領域の光量(照度分布)が調整される。詳細については後述する。
【0143】
画像層を形成するインク組成物は、複数のインクジェットインク組成物からなるインクセットとして使用することが好ましい。
インクジェット記録において、吐出する各着色インク組成物の順番は、特に限定されるわけではないが、明度の高い着色インク組成物から基材に付与することが好ましく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックを使用する場合には、イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で基材上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えて使用する場合にはホワイト→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で基材上に付与することが好ましい。更に、本発明はこれに限定されず、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトのインク組成物との計7色が少なくとも含まれるインクセットを好ましく使用することもでき、その場合には、ホワイト→ライトシアン→ライトマゼンタ→イエロー→シアン→マゼンタ→ブラックの順で基材上に付与することが好ましい。
【0144】
(インモールド成形品及びその製造方法)
本発明のインモールド成形品の製造方法は、本発明の成形印刷物を複数の金型により形成された空洞部の内壁に配置する工程、及び、ゲートから上記空洞部内に溶融樹脂を射出する工程、を含むことが好ましい。
また、本発明のインモールド成形品は、本発明の成形印刷物を用いて得られたインモールド成形品であり、上記製造方法により得られたインモールド成形品であることが好ましい。
本発明において、インモールド成形品の製造方法は、(工程1)複数の金型により形成された空洞部の内壁に、成形印刷物を配置する工程、及び、(工程2)ゲートから上記空洞部内に溶融樹脂を射出する工程を含むことがより好ましい。
また、本発明において、成形加工を行う装置と、インモールド成形を行う装置とは、異なっていても、同じであってもよい。
【0145】
工程(1)として、成形印刷物を成形金型内に配し、挟み込む工程が例示される。具体的には、成形印刷物を、可動型と固定型との複数の金型からなる成形用金型内に、好ましくは画像層を内側にして、成形印刷物を送り込む。この際、枚葉の成形印刷物を1枚ずつ送り込んでもよいし、長尺の成形印刷物の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。
【0146】
成形加工とインモールド成形とを同じ装置で行う場合は、例えば、上記シートを成形金型内に配する際、(i)単に金型を加熱し、金型に真空吸引して密着するように配する、あるいは(ii)画像層側から熱盤を用いて加熱し軟化させて、上記シートが金型内の形状に沿うように予備成形して、金型内面に密着させる型締を行って、配することができる。(ii)の時の加熱温度は、基材フィルムのガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(又は融点)未満の範囲であることが好ましく、より好ましくはガラス転移温度近傍の温度で行う。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲であり、好ましくは70℃〜130℃程度である。また、(ii)の場合には、加飾シートを成形金型表面により密着させる目的で、上記シートを熱盤で加熱し軟化させる際に、真空吸引することもできる。
【0147】
工程(2)は、キャビティ(空洞部)内に溶融樹脂を射出し、冷却・固化して、樹脂成形体と成形印刷物とを積層一体化させる射出工程である。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、成形印刷物が、形成された樹脂成形体と一体化して貼りつき、インモールド成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、180℃〜280℃程度であることが好ましい。
【0148】
<射出樹脂>
インモールド成形品に用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であればよく、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0149】
なお、上記の工程に加えて、金型から樹脂成形体の成形印刷物が一体化した成形体を取り出す工程を有することが好ましい。
【0150】
(加飾シート)
本発明の加飾シートは、基材の一方の面上に着色インク組成物を硬化した画像層が形成され、上記基材及び/又は画像層上にクリアインク組成物を硬化した凸部による凹凸模様を有することを特徴とする。
本発明の加飾シートは、基材の一方の面上に、30μm以上の高さのクリアインク組成物を硬化した凸部が形成されている領域と、30μm未満の高さのクリアインク組成物を硬化した凸部が散在して形成されている領域とを少なくとも有することが好ましい。
また、本発明の加飾シートの好ましい態様は、前述した本発明の成形加工方法に使用するシートの好ましい態様と同様である。
【実施例】
【0151】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
【0152】
本実施例で使用した化合物を以下に記載する。
<顔料>
・CINQUASIA MAGENTA RT−355D(マゼンタ顔料、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202との混晶、BASFジャパン(株)製)
・IRGALITTE BLUE GLVO(シアン顔料、C.I.ピグメントブルー15:4、BASFジャパン(株)製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、C.I.ピグメントイエロー120、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、C.I.ピグメントブラック7、BASFジャパン(株)製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
【0153】
<分散剤>
・BYKJET9151(顔料分散剤、BYK Chemie(株)製)
・SOLSPERSE 32000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・SOLSPERSE 41000(顔料分散剤、日本ルーブリゾール(株)製)
・EFKA 7701(顔料分散剤、BASF社製):アクリルブロックコポリマー
【0154】
<モノマー・オリゴマー>
・NVC(BASF社製):N−ビニルカプロラクタム
・EOEOEA(商品名SR256、Sartomer社製):エトキシエトキシエチルアクリレート
・CTFA(商品名SR256、Sartomer社製):サイクリックトリメチロールプロパンフォルマルアクリレート
・TBCHA(商品名SR217、Sartomer社製):t−ブチルシクロヘキシルアクリレート
・PEA(商品名EBECRYL114、ダイセル・サイテック(株)製):フェノキシエチルアクリレート
・CHA(東京化成工業(株)製):シクロヘキシルアクリレート
・CD420(Sartomer社製):イソホリルアクリレート(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート)
・THFA(商品名SR285、Sartomer社製):テトラヒドロフルフリルアクリレート
・IBOA(商品名SR506、Sartomer社製):イソボルニルアクリレート
・ODA(商品名SR484):オクチルアクリレートとデシルアクリレートとの混合物
【0155】
【化5】
(Rは炭素数8又は10のアルキル基を表す。)
【0156】
<多官能モノマー>
使用した多官能モノマーは以下の通りである。
・A1000(新中村化学工業(株)製):ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート(分子量≒1,108)
・SR508(Sartomer社製):ジプロピレングリコールジアクリレート
・SR341(Sartomer社製):1,3−ペンタンジオールジアクリレート
・SR351(Sartomer社製):トリメチロールプロパントリアクリレート
・SR833(Sartomer社製):トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
・SR454(Sartomer社製):エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート
・SR238(Sartomer社製):1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
【0157】
その他に、使用した多官能重合性化合物は以下の通りである。
・TEGO Rad 2010(Evonik社製):多官能重合性オリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマー
・TEGO Rad 2100(Evonik社製):多官能重合性オリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマー
・TEGO Rad 2700(Evonik社製):多官能重合性オリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマー
【0158】
<重合開始剤>
・DAROCUR TPO(BASFジャパン(株)製):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
・Irg819(IRGACURE819、ビスアシルホスフィン光重合開始剤、BASFジャパン(株)製):ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
・Irg184(IRGACURE184、BASFジャパン(株)製):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
・Irg369(IRGACURE369184、BASFジャパン(株)製):2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1
・Irg907(IRGACURE907184、BASFジャパン(株)製):2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
・ITX(光重合開始剤、シェルケミカルズジャパン(株)製):イソプロピルチオキサントン
【0159】
<その他>
・BR113(三菱レイヨン(株)製):アクリル樹脂
・OH−TEMPO(重合禁止剤):4−ヒドロキシTEMPO(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)
・UV−12(重合禁止剤、Kroma Chem社製):トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩)
【0160】
(ミルベースの調製)
<シアンミルベースMの調製>
・C顔料(シアン顔料):IRGALITE BLUE GLVO (BASFジャパン(株)製):30質量部
・PEA:60質量部
・ソルスパース32000:10質量部
上記の成分を撹拌し、シアンミルベースCを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
【0161】
<マゼンタミルベースMの調製>
・M顔料(マゼンタ顔料):CINQUASIA MAGENTA RT−355D(BASFジャパン(株)製):30質量部
・PEA:60質量部
・ソルスパース32000:10質量部
上記の成分を撹拌し、マゼンタミルベースMを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
【0162】
<イエローミルベースYの調製>
・Y顔料(イエロー顔料):NOVOPERM YELLOW H2G(クラリアント社製):30質量部
・PEA:60質量部
・ソルスパース32000:10質量部
上記の成分を撹拌し、イエローミルベースYを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
【0163】
<ブラックミルベースKの調製>
・K顔料(ブラック顔料)MogulE(Cabot社製):30質量部
・PEA:60質量部
・EFKA7731:10質量部
上記の成分を撹拌し、ブラックミルベースKを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
【0164】
<ホワイトミルベースWの調製>
・W顔料(ホワイト顔料):KRONOS 2300(ホワイト顔料、KRONOS社製):45質量部
・PEA:50質量部
・ソルスパース41000:5質量部
上記の成分を撹拌し、ホワイトミルベースWを得た。なお、顔料ミルベースの調製は、分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
【0165】
<インク組成物の調製>
下記表に記載の成分を、ミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて2,500回転/分にて15分撹拌した。その後、日本ポール(株)製カートリッジフィルター(製品名プロファイルII AB01A01014J)を用いてろ過することで、各色のインク組成物を得た。
【0166】
(インクジェット記録方法)
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置Acuity LED1600を用いて、記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜60plのマルチサイズドットを1,200×1,200dpi、900×800dpi、600×500dpiの解像度で吐出できるよう駆動した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。記録媒体として、ポリカーボネート基材(帝人化成(株)製、商品名:パーンライトPC−1151、厚さ400μm)を用いた。
上記解像度で画像形成するときのヘッドの往復数としては、
1,200×1,200dpiが24往復
900×800dpiが16往復
600×500dpiが10往復
となる。
ヘッドが往復をする際に使用するノズル数は画像形成モードによって異なっており、
・YMCKカラーを1層のみ画像形成するときは256ノズルをYMCK用に用い、
・YMCKカラーとWを2層1Passで画像形成するときは256ノズルのうち128ノズルをYMCK用に使用、256ノズルのうち128ノズルをW用に使用し、
・YMCKカラーとCLを2層1Passで画像形成するときは256ノズルのうち128〜255ノズルをYMCK用に使用、256ノズルのうち128〜1ノズルをCL用に使用し、
・YMCKカラーとWとCLを3層1Passで画像形成するときは256ノズルのうち85〜127ノズルをYMCK用に使用、256ノズルのうち85〜127ノズルをW用に使用、256ノズルのうち85〜1ノズルをCL用に使用した。
クリアインクを吐出する場合は使用するノズルを自由に変えることができるが、どのノズル数で吐出しても形成した画像膜質には影響を与えなかった。
【0167】
(評価方法)
<評価用画像形成方法>
上記インクジェット記録方法に従い、A4サイズのポリカーボネート基材のうち半分(A5サイズ)を、凹凸を出すためのクリア層を形成するために使用し、残り半分(A5サイズ)を、凹凸を出さないクリア層を形成するために使用した。
各箇所にカラーのベタ画像とクリアの網点模様のクリア画像とを下記条件で印刷し、評価を行った。
【0168】
<型への貼りつき性>
上記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(上記ポリカーボネート基材)に対し、実施例及び比較例でベタ画像のインク描画及び上記のようにクリア層形成を行い、真空成形機(CUVF−1216−PWB、布施真空(株)製)で成形した。成形条件は型の温度は80℃と130℃の2条件(130℃は、80℃より貼りつきが厳しい条件である。)、基材温度が150℃で、金型はアルミニウム製であり、500mlペットボトルをキャップ側から底部にかけて半分切断したものと同様な形状の凹部を有するものを使用した。
型への貼りつきの評価基準は下記の通りである。
5:型の温度が80℃、130℃共に貼りつき音・転写なし
4:型の温度が80℃のときは貼りつき音・転写なし、型の温度が130℃のときは貼りつき音がする
3:型の温度が80℃、130℃共に貼りつき音はするが、型への転写はない
2:貼りつき音、型への転写あり
1:型に画像が貼りついて取れない、又は、成形物上に凹凸ができ評価不能
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
【0169】
<凹凸性>
上記「型への貼りつき性」試験にて作製した成型品を用いて、基材側からの凹凸高さを形状測定レーザマイクロスコープ VK9700((株)キーエンス製)を用いて測定及び目視による評価で総合的に行った。
凹凸性の評価基準は下記の通りである。
3:45μm以上の高さ(光沢のある凹凸が形成された。)
2:30μm以上の高さ(エンボス状の凹凸が形成された。)
1:30μm未満の高さ(凹凸感のない成形印刷物であった。)
評価3が最も優れており、評価2以上で目視可能となり、実用上問題のない範囲である。
【0170】
<加熱延伸率の測定(延伸性)>
上記インクジェット記録方法に従い、樹脂シートとして透明基材(上記ポリカーボネート基材)に対し、実施例及び比較例で作製したインク組成物を用いて、平均膜厚が30μmのベタ画像のインク描画及び上記のようにクリア層形成を行い、そのインク画像を5cm×2cmにカットし、下記延伸機械・温度条件で引っ張り、延伸率を測定した。
使用機械:テンシロン((株)島津製作所製)
条件:温度180℃、引張り速度50ミリメートル/分、破断時の長さを測定し延伸率を算出した。ここで延伸率は、
{(破断時の長さ−延伸前の長さ)/延伸前の長さ×100}
により求めた。例えば、10cmで破断した場合、延伸率は{(10cm−5cm)/5cm}×100=100%と算出される。
加熱延伸性の評価基準は下記の通りである。
5:延伸率150%以上
4:延伸率100%以上150%未満
3:延伸率50%以上100%未満
2:延伸率30%以上50%未満
1:延伸率30%未満
評価5が最も優れており、評価3以上が実用上問題のない範囲である。
【0171】
単色〜5色で形成した画像層に対し、画像層に対するクリア層の面積比及び質量比を変化させてクリア層形成し、評価を行った。なお、表15〜表19において、Yが「1」、Clが「7」とは、イエローインクNo.1、クリアインクNo.7を使用したことを意味する。
クリア層の質量比は、100cm
2のポリカーボネート基材を用意し、基材の質量を測り、4カラーブラック及びホワイト(Y+M+C+K+W)の100cm
2ベタ画像を作製した後、その基材及び画像の総質量を測定し、更にクリア画像を作製した後にその基材及び画像の総質量を測定し、各々の質量を算出して、質量比を導いた。
使用したプリンターはAcuityLED1600(富士フイルム(株)製)であり、クリアインク組成物の質量はクリア画像濃度によって調節した。
画像濃度に対する重量は、下記表のように比例関係となる。クリアインク組成物の画像濃度は900×800dpiモードのベタ画像100%で作画したときを100と換算し計算した。
【0172】
【表2】
【0173】
表中の「Cl/(Y+M+C+K+W)凹凸用」の値は、画像層(Y+M+C+K+W)の質量(Y)に対する高さ30μm以上の凸部のクリアインク(X)の質量比を表し、X/Yで表される。
表中の「Cl/(Y+M+C+K+W)貼りつき用」の値は画像層の質量(Y)に対する高さ30μm未満の凸部のクリアインク(X’)の質量比を表し、X’/Yで表される。
【0174】
【表3】
【0175】
【表4】
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
【表7】
【0179】
【表8】
【0180】
【表9】
【0181】
【表10】
【0182】
【表11】
【0183】
【表12】
【0184】
【表13】
【0185】
【表14】
【0186】
【表15】
【0187】
【表16】
【0188】
【表17】
【0189】
【表18】
【0190】
【表19】
【0191】
表3〜表14に記載の各成分欄に記載の数値の単位は、質量部である。また、表15〜表19に記載のClの高さ(μm)は、クリアインク組成物により形成された凸部の最大高さである。なお、当該高さの測定は、形状測定レーザマイクロスコープ VK9700((株)キーエンス製)を用いて行った。
なお、比較例1については、貼りつき用部分において凹凸性評価も行った。
実施例1〜90で得られた成形印刷物(加飾シート成形物)におけるクリア層により凹凸が形成された部分の基材表面は、凹凸性評価結果に示されるような種々の凹凸感のある表面が形成されていた。