(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記めっき槽には、前記カソード室をオーバフローしためっき液を溜めるオーバフロー槽と、該オーバフロー槽内のSn合金めっき液を前記カソード室に戻して循環させるめっき液循環ラインが備えられていることを特徴とする請求項1に記載のSn合金めっき装置。
アニオン交換膜で隔離されたアノード室とカソード室とを有し、前記アノード室内のアノード液中に浸漬させたSnを材質としたSnアノードと前記カソード室内のカソード液に浸漬させたカソードとの間に電圧を印加してSnイオン濃度を高めた前記アノード室内のアノード液を前記Sn合金めっき液に補給する補助電解槽を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のSn合金めっき装置。
補助電解槽のアノード室内のアノード液中に浸漬させたSnを材質としたSnアノードと、前記アノード室とアニオン交換膜で隔離されたカソード室内のカソード液に浸漬させたカソードとの間に電圧を印加してSnイオン濃度を高めた前記補助電解槽の前記アノード室内のアノード液を前記Sn合金めっき液に補給することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載のSn合金めっき方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、特許文献1の記載のように、アノード室とカソード室をアニオン交換膜で隔離し、アノード室内に貯めたSnイオン及び酸またはその塩を含む電解液(アノード液)中にSnアノードを配置してSnイオンを溶解させ、そのSnイオンをカソード側に移送する方法においては、アノード室内でSnイオンを安定してアノード液中に溶解させるために、アノード室内のアノード液の酸濃度の管理を行うことが重要であることを見出した。また、特許文献1に記載の方法では、Snイオンを移送するためにポンプ等の補給装置及び補給路を必要とする点において、装置が構造的に複雑となるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、Sn合金めっき液にSnイオンと共に供給されるアノード液のSnイオンの濃度と、2価のSnイオンと錯体を形成する酸の濃度とを適正に管理することで、Sn合金めっき液の管理を比較的容易となし、しかも装置として簡素化を図ることができるようにしたSn合金めっき装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のSn合金めっき装置
の一態様は、基板の表面にSnとSnより貴な金属との合金を電析させるSn合金めっき装置において、めっき槽の内部を、内部にSn合金めっき液を保持し該Sn合金めっき液にカソードとなる基板を浸漬させて配置するカソード室と、内部にSnイオン及び2価のSnイオンと錯体を形成する酸を含むアノード液を保持し、Snを材質としたSnアノードを前記アノード液に浸漬させて配置するアノード室とに隔離するアニオン交換膜と、
前記アニオン交換膜が組込まれ、前記アノード室内の前記アノード液を堰止める隔壁と、前記アノード室内に前記酸を含む電解液を供給する電解液供給ラインとを有し、前記アノード室内のアノード液のSnイオン濃度が所定値以上で、かつ前記酸の濃度が許容値よりも下がらないように、前記電解液供給ラインを通して前記アノード室内に前記電解液を供給
することで前記アノード室内のアノード液を増加させ、アノード液を前記隔壁の上端からオーバフローさせて前記Sn合金めっき液に供給する。
【0010】
これにより、アノード液のSnイオンの濃度と、2価のSnイオンと錯体を形成する酸の濃度とを適正に管理して、Snイオン濃度が高く、2価のSnイオンが安定して存在しているアノード液をSn合金めっき液に供給することで、Sn合金めっき液にSnイオンを安定して補給することができる。
【0011】
これにより、何ら動力を必要とすることなく、Snイオン濃度が高く、2価のSnイオンが安定して存在しているアノード液をSn合金めっき液に供給することができる。
【0012】
本発明の好ましい一態様において、前記めっき槽には、前記カソード室をオーバフローしためっき液を溜めるオーバフロー槽と、該オーバフロー槽内のSn合金めっき液を前記カソード室
に戻して循環させるめっき液循環ラインが備えられている。
これにより、カソード室内のSn合金めっき液を、めっき液循環ラインを通して循環させて攪拌することができる。
【0013】
本発明の好ましい一態様において、前記アノード室には、内部に純水を供給する純水供給ラインが接続されている。
これにより、純水供給ラインを通してアノード室内に供給される純水または電解液供給ラインを通してアノード室内に供給される電解液の液量を制御することで、アノード室内のアノード液の前記酸の濃度を好ましい範囲に調整することができる。
【0014】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき装置は、前記アノード室内のアノード液中の前記酸の濃度を測定する酸濃度測定器を有する。
【0015】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき装置は、前記カソード室からSn合金めっき液の一部を引抜き、Sn合金めっき
液から前記酸の少なくとも一部を除去して前記カソード室に戻す透析槽を有する。
これにより、Sn合金めっき液の前記酸の濃度が過剰となった時、透析槽を介して、前記酸の少なくとも一部をSn合金めっき液から除去して、該酸を好ましい範囲内に調整することができる。
【0016】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき装置は、前記アノード室内のアノード液に窒素ガスをバブリングするN
2ガス供給ラインを有する。
これにより、アノード室内のアノード液を窒素ガスで十分に撹拌して、アノード室内のアノード液中にSnイオンあるいは前記酸を均一に分布させ、しかも、アノード液中のSnイオンの酸化を防止することができる。
【0017】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき装置は、アニオン交換膜で隔離されたアノード室とカソード室とを有し、前記アノード室内のアノード液中に浸漬させたSnを材質としたSnアノードと前記カソード室内のカソード液に浸漬させたカソードとの間に電圧を印加してSnイオン濃度を高めた前記アノード室内のアノード液を前記Sn合金めっき液に補給する補助電解槽を有する。
【0018】
これにより、例えば系全体のSnイオンが不足した時、この不足したSnイオンを、Snイオン濃度を高めたアノード室内のアノード液で補うことができる。
【0019】
本発明のSnめっき方法は、基板の表面にSnとSnより貴な金属との合金を電析させるSn合金めっき方法において、アニオン交換膜で内部をカソード室とアノード室とに隔離しためっき槽を用意し、前記カソード室の内部にSn合金めっき液を収容するとともに、該Sn合金めっき液に浸漬させて基板を配置し、前記アノード室の内部にSnイオン及び2価のSnイオンと錯体を形成する酸を含むアノード液を収容するとともに、該アノード液に浸漬させてSnを材質としたSnアノードを配置し、
前記アニオン交換膜が組込まれた隔壁で前記アノード室内のアノード液を堰止め、前記アノード室内のアノード液のSnイオン濃度が所定値以上で、かつ前記酸の濃度が許容値よりも下がらないように前記アノード室内に電解液を供給
することで前記アノード室内のアノード液を増加させ、アノード液を前記隔壁の上端からオーバフローさせてSn合金めっき液に供給しながら、前記カソードと前記Snアノードとの間に電圧を印加して、基板の表面にSn合金めっきを行う。
【0021】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき方法は、前記カソード室内のSn合金めっき液を循環させる。
【0022】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき方法は、前記アノード室内のアノード液の前記酸の濃度により、前記アノード室への前記電解液または純水の供給量を制御する。
【0023】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき方法は、前記
アノード液の前記酸の濃度を、初期のアノード液の前記酸の濃度、前記Snアノードでの電解量及び電流効率、電解液の供給量、及びアニオン交換膜を透過してカソード室からアノード室へ移動してくる酸の透過率から求める。
【0024】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき方法は、前記カソード室からSn合金めっき液の一部を引抜き、Sn合金めっき液から前記酸の少なくとも一部を除去して前記カソード室に戻す。
【0025】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき方法は、前記アノード室内のアノード液中に窒素ガスをバブリングする。
【0026】
本発明の好ましい一態様において、Sn合金めっき方法は、補助電解槽のアノード室内のアノード液中に浸漬させたSnを材質としたSnアノードと、前記アノード室とアニオン交換膜で隔離されたカソード室内のカソード液に浸漬させたカソードとの間に電圧を印加してSnイオン濃度を高めた前記補助電解槽の前記アノード室内のアノード液を前記Sn合金めっき液に補給する。
本発明のSn合金めっき装置の他の態様は、基板の表面にSnとSnより貴な金属との合金を電析させるSn合金めっき装置において、内槽の内部を、内部にSn合金めっき液を保持し該Sn合金めっき液にカソードとなる基板を浸漬させて配置するカソード室と、内部にSnイオン及び2価のSnイオンと錯体を形成する酸を含むアノード液を保持し、Snを材質としたSnアノードを前記アノード液に浸漬させて配置するアノード室とに隔離するアニオン交換膜と、前記内槽の周囲を囲繞するオーバフロー槽と、前記オーバフロー槽に隣接し、前記アノード室内のアノード液を堰止める隔壁と、前記オーバフロー槽および前記カソード室に接続され、前記オーバフロー槽に供給されたSnイオンを前記カソード室に供給するめっき液循環ラインと、前記アノード室内に前記酸を含む電解液を供給する電解液供給ラインとを有し、前記アノード室内のアノード液のSnイオン濃度が所定値以上で、かつ前記酸の濃度が許容値よりも下がらないように、前記電解液供給ラインを通して前記アノード室内に前記電解液を供給し、この電解液の供給に伴って増加した前記アノード室内のアノード液を前記隔壁の上端からオーバフローさせて前記オーバフロー槽内に流入させ、前記アノード液を前記オーバフロー槽内のSn合金めっき液に供給する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アノード室内のアノード液のSnイオン濃度が所定値以上で、かつ2価のSnイオンと錯体を形成する酸の濃度が許容値よりも下がらないように、前記酸を含む電解液をアノード室内に供給することで、アノード液のSnイオンの濃度と前記酸の濃度とを適正に管理し、この電解液の供給に伴って増加したアノード室内のアノード液をSn合金めっき液に供給することで、Snイオン濃度が高く、2価のSnイオンが安定して存在しているアノード液をSn合金めっき液に供給して、Sn合金めっき液にSnイオンを安定して補給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の各例において、同一または相当部材には同一符号を付して、重複した説明を省略する。
【0030】
以下の例では、Sn(錫)より貴な金属としてAg(銀)を使用して、基板の表面にSn−Ag合金からなるめっき膜を形成するようにしている。そして、2価のSnイオンと錯体を形成する酸としてメタンスルホン酸を使用し、このため、めっき液として、めっき液中のSnイオン(Sn
2+)としてメタンスルホン酸錫を、Agイオン(Ag
+)としてメタンスルホン酸銀をそれぞれ使用したSn−Ag合金めっき液を用いている。Agイオン(Ag
+)として、アルキルスルホン酸銀を使用してもよい。
【0031】
図1は、本発明の実施形態のSn合金めっき装置を示す概要図である。
図1に示すように、このSn合金めっき装置は、ボックス状のアノード槽10を内部に配置することで、内部をカソード室12とアノード槽10の内部のアノード室14に区画されためっき槽16を備えている。
【0032】
カソード室12は、下記のオーバフロー槽36を通して、めっき液供給源18から延びるめっき液供給ライン20に接続され、内部にSn−Ag合金めっき液(以下、単にめっき液という)Qを保持するように構成されており、この内部の所定位置に、基板ホルダ22に着脱自在に保持されてめっき時にカソードとなる基板Wがめっき液Qに浸漬させて配置される。
【0033】
一方、アノード室14には、アノード液供給ライン23、電解液供給ライン24、純水供給ライン26及び排液ライン28がそれぞれ接続され、内部にアノード液Eを保持するように構成されており、この内部の所定位置に、アノードホルダ30に保持された、Snを材質とする可溶性のSnアノード32がアノード液Eに浸漬させて配置される。更に、アノード室14の底部には、アノード液E中に窒素ガスをバブリングするN
2ガス供給ライン33が配置されている。
【0034】
この例では、アノード液Eとして、2価のSnイオンと錯体を形成するメタンスルホン酸とSnイオンとを含み、Agイオンを含まない液が使用されている。アノード液E中のメタンスルホン酸イオンの一部は、Snイオンの周りを取り囲んで2価のSnイオンと錯体を形成し、他の一部は、遊離酸としてアノード液E中に存在する。なお、本明細書において、メタンスルホン酸濃度とは、特に言及しない限り、遊離酸としての酸濃度を指す。アノード液EにAgイオンは含まれていないため、アノード液E中にSnアノード32を浸漬させても、AgがSnアノード32と反応してSnアノード32の表面に置換析出することはない。また、電解液供給ライン24を通して、アノード室14に供給される電解液として、メタンスルホン酸を含む水溶液(メタンスルホン酸水溶液)が使用されている。
【0035】
めっき処理に際して、Snアノード32は、めっき電源34の陽極に接続され、基板Wの表面に形成されたシード層等の導電層(図示せず)は、めっき電源34の陰極に接続される。これによって、導電層の表面にSn−Ag合金からなるめっき膜が形成される。このめっき膜は、例えば鉛フリーのはんだバンプに使用される。
【0036】
めっき槽16には、カソード室12の上端をオーバフローしためっき液Qを流入させるオーバフロー槽36が、カソード室12に隣接して設けられている。オーバフロー槽36の底部には、ポンプ38、熱交換器(温度調整器)40、フィルタ42、及び流量計44を介装しためっき液循環ライン46の一端が接続され、このめっき液循環ライン46の他端は、カソード室12の底部に接続されている。更に、オーバフロー槽36の頂部には、めっき液供給源18から延びるめっき液供給ライン20が接続されている。
【0037】
カソード室12の内部には、この内部に配置される基板ホルダ22とSnアノード32との間に位置して、カソード室12内の電位分布を調整する調整板(レギュレーションプレート)50が配置されている。調整板50は、この例では、材質として、誘電体である塩化ビニルを用いており、電場の拡がりを十分制限できるような大きさの中央孔50aを有している。調整板50の下端は、カソード室12の底板に達している。
【0038】
カソード室12の内部には、カソード室12内に配置される基板ホルダ22と調整板50との間に位置して、鉛直方向に延び、基板Wと平行に往復運動して、基板ホルダ22と調整板50との間のめっき液Qを攪拌する攪拌具としての攪拌パドル52が配置されている。めっき中にカソード室12内のめっき液Qを攪拌パドル(攪拌具)52で攪拌することで、十分な金属イオンを基板Wの表面に均一に供給することができる。
【0039】
めっき槽16の内部をカソード室12とアノード室14に区画するアノード槽10のカソード室12側の隔壁10aの内部には、アニオン交換膜54が組込まれ、カソード室12とアノード室14は、アニオン交換膜54によって隔離されている。アニオン交換膜54として、例えばAGCエンジニアリング(株)製のAAVが使用され、メタンスルホン酸を含む水分子の透過量に合わせて、任意の枚数のアニオン交換膜54が隔壁10aに組込まれる。アニオン交換膜54の枚数及び配置は、必要な膜面積あるいは後述する水分子の透過量に合わせて任意に調整される。アニオン交換膜54は、カソード室12内のめっき液Qがアノード室14へ移動しないように、Oリングなどにより、水密的に隔壁10aに組込まれる。
【0040】
更に、隔壁10aは、アノード室14内のアノード液Eを堰止め、この隔壁10aの上端をオーバフローしたアノード液Eがカソード室12内に流入する越流堰としての役割を果たす。すなわち、アノード室14内には、隔壁(越流堰)10aに堰き止められて、所定の水位H(
図9参照)のアノード液Eが保持され、この水位Hを超えると、この超えた量のアノード液Eが、隔壁10aの上端をオーバフローして、アノード室14内に流入するようになっている。
【0041】
めっき液循環ライン46には、流量計44の下流に位置して、内部にアニオン交換膜60を組込んだ透析槽62にめっき液Qを供給するめっき液供給管64が接続され、透析槽62から延びるめっき液排出管66は、オーバフロー槽36の頂部に接続されている。このめっき液供給管64とめっき液排出管66によって、めっき液循環ライン46に接続され、該めっき液循環ライン46からめっき液Qの一部を取出して循環させるめっき液透析ライン68が構成されている。透析槽62には、この内部に純水を供給する純水供給ライン70と、内部の純水を外部に排出する純水排出ライン72がそれぞれ接続されている。
【0042】
これによって、めっき液透析ライン68に沿って流れるめっき液Qは、透析槽62内に供給され、アニオン交換膜60を用いた透析によって、遊離酸としてのメタンスルホン酸の少なくとも一部が除去された後、オーバフロー槽36に戻される。この透析によってめっき液Qから除去されたメタンスルホン酸は、純水供給ライン70を通して透析槽62内に供給される純水に拡散して、純水排出ライン72から外部に排出される。
【0043】
アニオン交換膜60として、例えばAGCエンジニアリング(株)製のDSVが使用され、めっき液の透析量(メタンスルホン酸の除去量)に合わせて、任意の枚数のアニオン交換膜60が透析槽62に組込まれる。
【0044】
なお、この例では、拡散透析法を利用した透析槽62を用いてめっき液Q中の遊離酸としてのメタンスルホン酸の少なくとも一部を除去しているが、電気透析法やイオン交換樹脂法を用いた遊離酸除去槽を用いてめっき液Q中の遊離酸としてのメタンスルホン酸の少なくとも一部を除去してもよい。
【0045】
めっき液循環ライン46には、該めっき液循環ライン46に沿って流れるめっき液QのSnイオン濃度を測定するSnイオン濃度測定器74と、該めっき液循環ライン46に沿って流れるめっき液Qのメタンスルホン酸濃度を測定するメタンスルホン酸濃度測定器76が設けられ、Snイオン濃度測定器74及びメタンスルホン酸濃度測定器76からの出力は、めっき液供給源18及び制御部80にそれぞれ入力される。
【0046】
図2は、アノード槽10を示す斜視図である。
図2に示すように、アノード槽10のカソード室12側に位置して越流堰としての役割を果たす隔壁10aの上端の一方向に偏倚した位置には、アノード室14をオーバフローしたアノード液Eの出口となる越流用切欠き10bが設けられている。この越流用切欠き10bの下端の位置によって、アノード室14内に保持されるアノード液Eの水位H(
図9参照)が決められる。
【0047】
電解液供給ライン24は、アノード槽10の側部に沿って下方に延び、その下端の電解液(メタンスルホン酸水溶液)をアノード室14に供給する電解液供給口24aは、アノード槽10の底部に達して水平方向に開口している。純水供給ライン26も、アノード槽10の側部に沿って下方に延び、その下端の純水をアノード室14に供給する純水供給口26aは、アノード槽10の底部に達して水平方向に開口している。なお、電解液供給口24a及び純水供給口26aを下方に向けて開口するようにしてもよい。そして、この電解液供給口24a及び純水供給口26aと隔壁10
aの越流用切欠き10
bは、アノード槽10の水平投影面において、互いに対角線状に位置するようになっている。これにより、純水供給ライン26を通して純水が、あるいは電解液供給ライン24を通して電解液がアノード室14に供給された時に、Snイオンを含むアノード液Eは、供給された純水あるいは電解液で十分に撹拌された後、越流用切欠き10bからオーバフローしてカソード室12に供給される。
【0048】
N
2ガス供給ライン33は、アノード槽10の側部に沿って下方に延びてアノード槽10の底部に達し、アノード槽10の長さ方向のほぼ全長に延びている。そして、N
2ガス供給ライン33に設けた噴出口33aから上方に向けて窒素ガスをバブリングすることで、アノード室14内のアノード液Eは、窒素ガスで十分に撹拌される。これによって、アノード室14内のアノード液E中に、Snイオンあるいはメタンスルホン酸が均一に分布することが促進され、また、アノード液E中のSnイオンの酸化が防止される。このため、窒素ガスのバブリングは、アノード室14の底部から行うことが好ましい。
【0049】
なお、純水あるいは電解液をアノード室14に供給する直前に窒素ガスのバブリングを止めて、純水あるいは電解液の供給中は窒素ガスのバブリングを行わないことが望ましい。これによって、供給した純水や電解液によって過度に希釈されることなく、Snイオンが充分に拡散したアノード液Eをオーバフローさせてカソード室12に供給することができる。
【0050】
アノード室14の上方には、アノード室14内のアノード液Eの液面を検知することで、アノード室14内のアノード液Eの蒸発による液量減少を検知する液面検知センサ82が設けられている。これにより、アノード液Eの蒸発による液量減少を検知した時に、純水供給ライン26からアノード室14内のアノード液Eに純水を補充
することで、アノード室14内のアノード液Eの液面を常に一定となし、カソード室12へのSnイオンの供給量をアノード室14への純水あるいは電解液の供給量で管理することができる。
【0051】
なお、アノード室14内のアノード液Eのカソード室12へのオーバフローは、機械的手段で生じさせることもできる。例えば、
図3に示すように、アノード室14内のアノード液Eにフロート84を浮かべておき、フロート84をアノード液E中に沈めることで、そのフロート84の浸漬分のアノード液Eをカソード室12にオーバフローさせても良い。この場合、純水や電解液の供給に伴う水の導入がないため、アノード液Eが希釈されること無くカソード室12に供給される。
【0052】
また、
図4に示すように、アノード槽10のカソード室12側に位置して越流堰としての役割を果たす隔壁10aの上端に設けた矩形状切欠き10cの内部に、可動堰86を上下動自在に設け、この可動堰86を下降させてその高さ分のアノード液Eをカソード室12へ供給するようにしても良い。この場合も、アノード液Eが希釈されてカソード室12に供給されることを防止できる。
【0053】
例えば、系全体のSnイオンが不足した時に、めっき液QにSnイオンを補給する必要がある。このSnイオンを補給する方法として、高濃度のSn補給液をめっき液Qに添加する方法が挙げられるが、高濃度のSn補給液は一般に高価であり、コストアップにつながる。そこで、この例では、めっき槽16とは別に、Snイオンを補給する補助電解槽100を設置している。
【0054】
補助電解槽100の内部は、内部にボックス状のカソード槽102を配置することで、アノード室104とカソード槽102の内部のカソード室106とに区画されている。そして、アノード室104とカソード室106を区画するカソード槽102のアノード室104側の隔壁102aの内部には、アニオン交換膜108が組込まれ、これによって、補助電解槽100は、アニオン交換膜108によって、アノード室104とカソード室106に隔離されている。
【0055】
アノード室104には、Snイオンとメタンスルホン酸を含みAgイオンを含まないアノード液Aを供給するアノード液供給ライン110と、メタンスルホン酸を含む水溶液(メタンスルホン酸水溶液)からなる電解液を供給する電解液供給ライン112と、Snイオン補給ライン114の一端がそれぞれ接続され、アノード室104の内部には、アノードホルダ116で保持したSnアノード118がアノード液Aに浸漬されて配置される。Snイオン補給ライン114には、ポンプ120が設置され、Snイオン補給ライン114の他端は、めっき槽16のオーバフロー槽36の上端に接続されている。
【0056】
カソード室106には、メタンスルホン酸を含む水溶液(メタンスルホン酸水溶液)からなるカソード液Bを供給するカソード液供給ライン122と、カソード液Bを排出する排液ライン124が接続され、カソード室106の内部には、カソードホルダ126で保持された、例えばSUSからなるカソード128がカソード液Bに浸漬されて配置される。
【0057】
この補助電解槽100にあっては、先ず、アノード液供給ライン110を通して、高濃度(例えば220g/L〜350g/L)のSnイオンとメタンスルホン酸を含みAgイオンを含まないアノード液Aをアノード室104内に供給し、このアノード液A中にSnアノード118を浸漬させておく。また、カソード液供給ライン122を通して、メタンスルホン酸水溶液からなるカソード液Bをカソード室106内に供給し、このカソード液B中にカソード128を浸漬させておく。
【0058】
この状態で、補助電源130の陽極をSnアノード118に、陰極をカソード128にそれぞれ接続して電解を開始する。このように電解を開始すると、Snアノード118からSnイオンが溶解してアノード液AのSnイオン濃度が増す。アノード室104とカソード室106はアニオン交換膜108で隔離されているため、Snイオンはカソード室106側に移動せず、カソード128にめっきが付着することはない。また、アノード液AにはAgイオンが含まれていないため、Snアノード118の表面にAgが置換析出することはない。アノード液Aに含まれるSnイオンは、運転開始前はアノード液供給ライン110から供給されるが、その後はSnアノード118から溶解して供給される。
【0059】
そして、所定の濃度に達したアノード液Aは、ポンプ120を駆動することで、Snイオン補給ライン114を通して、めっき槽16のオーバフロー槽36内に供給される。アノード液Aのオーバフロー槽36への供給によって、アノード室104内のアノード液Aの液量が減少するので、それを補う量の電解液が電解液供給ライン112からアノード室104に補給される。アノード液A中のSnイオン濃度が高いほうが、系全体からの排水量を抑えられるので有利である。
【0060】
カソード室106のカソード液Bに含まれるメタンスルホン酸イオンは、アニオン交換膜108を透過して、アノード室104側に移動する。このため、時間経過とともに、カソード室106のカソード液Bの導電度は低下していく。そこで、カソード室106に接続したカソード液供給ライン122を通して、カソード室106にカソード液Bを補給する。補給した分のカソード液Bが溢れないように、排液ライン124を通して、カソード室106内のカソード液Bを外部に排水する。
【0061】
基板ホルダ22は、
図5乃至
図8に示すように、例えば塩化ビニル製で矩形平板状の第1保持部材(固定保持部材)154と、この第1保持部材154にヒンジ156を介して開閉自在に取付けた第2保持部材(可動保持部材)158とを有している。なお、この例では、第2保持部材158を、ヒンジ156を介して開閉自在に構成した例を示しているが、例えば第2保持部材158を第1保持部材154に対峙した位置に配置し、この第2保持部材158を第1保持部材154に向けて前進させて開閉するようにしてもよい。
【0062】
第2保持部材158は、基部160とリング状のシールホルダ162とを有し、例えば塩化ビニル製で、下記の押えリング164との滑りを良くしている。シールホルダ162の第1保持部材154と対向する面には、基板ホルダ22で基板Wを保持した時、基板Wの表面外周部に圧接してここをシールする基板側シール部材166が内方に突出して取付けられている。更に、シールホルダ162の第1保持部材154と対向する面には、基板側シール部材166の外方位置で第1保持部材154に圧接してここをシールするホルダ側シール部材168が取付けられている。
【0063】
図8に示すように、基板側シール部材166は、シールホルダ162と、該シールホルダ162にボルト等の締結具169aを介して取付けられる第1固定リング170aとの間に挟持されてシールホルダ162に取付けられ、ホルダ側シール部材168は、シールホルダ162と、該シールホルダ162にボルト等の締結具169bを介して取付けられる第2固定リング170bとの間に挟持されてシールホルダ162に取付けられている。
【0064】
第2保持部材158のシールホルダ162の外周部には、段部が設けられ、この段部に、押えリング164がスペーサ165を介して回転自在に装着されている。なお、押えリング164は、シールホルダ162の側面に外方に突出ように取付けられた押え板172(
図6参照)により、脱出不能に装着されている。この押えリング164は、酸やアルカリに対して耐食性に優れ、十分な剛性を有する、例えばチタンから構成され、スペーサ165は、押えリング164がスムーズに回転できるように、摩擦係数の低い材料、例えばPTFEで構成されている。
【0065】
押えリング164の外側方に位置して、第1保持部材154には、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ174が円周方向に沿って等間隔で立設されている。一方、押えリング164の円周方向に沿ったクランパ174と対向する位置には、外方に突出する突起部164bが設けられている。そして、クランパ174の内方突出部の下面及び押えリング164の突起部164aの上面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面となっている。押えリング164の円周方向に沿った複数箇所(例えば3箇所)には、上方に突出するポッチ164aが設けられている。これにより、回転ピン(図示せず)を回転させてポッチ164aを横から押し回すことにより、押えリング164を回転させることができる。
【0066】
これにより、第2保持部材158を開いた状態で、第1保持部材154の中央部に基板Wを挿入し、ヒンジ156を介して第2保持部材158を閉じ、押えリング164を時計回りに回転させて、押えリング164の突起部164bをクランパ174の内方突出部の内部に滑り込ませることで、押えリング164とクランパ174にそれそれぞれ設けたテーパ面を介して、第1保持部材154と第2保持部材158とを互いに締付けてロックし、押えリング164を反時計回りに回転させて押えリング164の突起部164bを逆L字状のクランパ174から外すことで、このロックを解くようになっている。そして、このようにして第2保持部材158をロックした時、基板側シール部材166の内周面側の下方突出部下端が基板ホルダ22で保持した基板Wの表面外周部に、ホルダ側シール部材168にあっては、その外周側の下方突出部下端が第1保持部材154の表面にそれぞれ圧接し、シール部材166,168を均一に押圧して、ここをシールする。
【0067】
第1保持部材154の中央部には、基板Wの大きさに合わせてリング状に突出し、表面が基板Wの外周部に当接して該基板Wを支持する支持面180となる突条部182が設けられており、この突条部182の円周方向に沿った所定位置に凹部184が設けられている。
【0068】
そして、
図6に示すように、この各凹部184内に、ハンド190に設けた外部接点から延びる複数の配線にそれぞれ接続した複数(図示では12個)の導電体(電気接点)186が配置されて、第1保持部材154の支持面180上に基板Wを載置した際、この導電体186の端部が基板Wの側方で第1保持部材154の表面にばね性を有した状態で露出して、
図8に示す電気接点188の下部に接触するようになっている。
【0069】
導電体186に電気的に接続される電気接点188は、ボルト等の締結具189を介して第2保持部材158のシールホルダ162に固着されている。この電気接点188は、板ばね形状に形成され、基板側シール部材166の外方に位置して、内方に板ばね状に突出する接点部を有しており、この接点部において、その弾性力によるばね性を有して容易に屈曲し、しかも第1保持部材154と第2保持部材158で基板Wを保持した時に、電気接点188の接点部が、第1保持部材154の支持面180上に支持された基板Wの外周面に弾性的に接触するように構成されている。
【0070】
第2保持部材158の開閉は、図示しないシリンダと第2保持部材158の自重によって行われる。つまり、第1保持部材154には通孔154aが設けられ、通孔154aを通じて押圧棒で第2保持部材158のシールホルダ162を上方に押上げることで第2保持部材158を開き、シリンダロッドを収縮させることで、第2保持部材158をその自重で閉じるようになっている。
【0071】
基板ホルダ22の第1保持部材54の端部には、基板ホルダ22を搬送したり、吊下げ支持したりする際の支持部となる一対の略T字状のハンド90が連接されている。
【0072】
この例にあっては、ポンプ38を駆動させ、めっき液循環ライン46を通して、カソード室12内のめっき液Qを循環させて攪拌した状態で、基板ホルダ22で保持した基板Wをカソード室12内のめっき液Qに浸漬させつつ所定位置に配置する。一方、アノード室14にあっては、この内部を初期のアノード液Eで満たして、Snアノード32をアノード液Eに浸漬させておく。
【0073】
この状態で、Snアノード32をめっき電源34の陽極に、基板Wの表面に形成されたシード層等の導電層をめっき電源34の陰極に、それぞれ接続して、基板Wの表面にめっき処理を開始する。このめっき時に、必要に応じて、攪拌パドル(攪拌具)52を基板Wと平行に往復動させて、カソード室12内のめっき液Qを攪拌する。同時に、N
2ガス供給ライン33を通して、アノード室14内のアノード液Eに窒素ガスをバブリングする。
【0074】
このように、めっき処理を行うと、
図9に示すように、Snアノード32からアノード室14内のアノード液E中にSnイオンが陽極溶出する。Snイオンの溶出は、めっき処理を行うたびに生じるので、アノード室14内のアノード液EのSnイオン濃度は上昇していく。さらに、電解液供給ライン24から電解液、あるいは純水供給ライン26から純水をアノード室14内に供給すると、アノード室14内のアノード液Eが増加する。アノード室14内のアノード液Eの水位が所定の水位Hを超えてΔHだけ上昇しようとすると、この上昇する水位ΔHに見合った量のアノード液Eは、アノード室14の隔壁10aに設けた越流用切欠き10b(
図2参照)をオーバフローして、カソード室12内に流入する。これにより、アノード室14内のSnイオンの一部はカソード室12内に供給され、基板Wへのめっきにより消費されたSnイオンを補うことができる。このように、アノード液Eがめっき液Qに供給されると、めっき液Qの液量が増加するので、カソード室12内に供給されたアノード液Eに見合う量のめっき液Qは予め排液される。
【0075】
なお、Snアノード32とカソードとしての基板Wとの間に電界をかけると、カソード室12内のメタンスルホン酸は、水分子と共に、アニオン交換膜46を透過してアノード室14内に流入する。これによっても、アノード室14内のアノード液Eが増加し、水位Hを上回る分のアノード液Eは隔壁10をオーバフローして、カソード室12内に流入する。こうして、アノード室14内のSnイオンをカソード室12へ供給することができる。
【0076】
ここで、発明者らは、アノード室14内の遊離酸としてのメタンスルホン酸の濃度がSnアノードから溶解したSnイオンを安定化させるために重要であることを実験により確かめた。実験において、メタンスルホン酸濃度が100g/Lになるように、アノード室にメタンスルホン酸水溶液からなるアノード液を入れ電解を開始した場合、電解を続けていくと、アノード室内のアノード液に濁りが生じた。これは、アノード液中でSnイオンが2価のイオンとして安定して存在できず、金属Snとして析出したり、4価のSnイオンが生じていることを暗示している。
【0077】
これに対して、メタンスルホン酸濃度を140g/Lとして電解を開始した場合には、電解を継続してもアノード室内のアノード液に濁りなく、アノード液中のSnイオン濃度はSnが2価で溶解した場合の計算値に一致した。つまり、メタンスルホン酸イオンが充分に存在するため、2価のSnイオンは、その周りをメタンスルホン酸イオンで取り囲まれて錯体を形成して安定に存在していることを示している。そのため、アノード液のメタンスルホン酸濃度は、Snイオンが2価のイオンで安定して存在するのに適した濃度にすることが必要であることが分かる。
【0078】
前述したように、純水供給ライン26からアノード室14内に純水を供給することで、アノード室14内のアノード液Eをカソード室12へオーバフローさせて、Snイオンをカソード室12に供給することができる。この例では、電解液(メタンスルホン酸水溶液)をアノード室14へ供給する電解液供給ライン24を設けている。これは、以下の理由による。
【0079】
つまり、純水供給ライン26からアノード室14に純水を供給してアノード室14内のアノード液Eをオーバフローさせると、アノード室14内のメタンスルホン酸がカソード室12内へ流れ、アノード室14内のアノード液Eのメタンスルホン酸濃度が低下する。また、カソード室12内のメタンスルホン酸は、Snアノード32とカソードとしての基板Wとの間に電界をかけることにより、アニオン交換膜54を透過して、カソード室12からアノード室14に移動するが、そのメタンスルホン酸の輸率は、その条件にもよるが、100%ではなく、ロスがあるため50%から90%になる場合がある。この場合、アノード室14においては、Snアノード32から溶解するSnイオンに対する、アニオン交換膜54を透過してアノード室14に移動するメタンスルホン酸のモル濃度が1:2からずれてくる。結果として、アノード室14内のアノード液E中のメタンスルホン酸濃度は下がってしまう。これにより、前述したように、アノード室14内のSnイオンが不安定化するおそれがある。
【0080】
そのため、アノード室14内のアノード液Eのメタンスルホン酸濃度が許容値よりも下がらないように、電解液供給ライン24からメタンスルホン酸を含む電解液をアノード室14へ供給することが必要となる。
【0081】
めっき装置の効率的な運転のためには、アノード室14内のアノード液EのSnイオン濃度がなるべく高濃度になった状態で、アノード液Eをオーバフローによりカソード室12へ供給することが望ましい。それは、Snイオン濃度が低い状態でアノード液Eをカソード室12へ供給すると、ある量のSnイオンをカソード室12へ供給するためのアノード室14からのアノード液Eの供給量(オーバフロー量)が多くなり、その分、カソード室12を含む循環系から廃液するめっき液Qの液量が増え、経済的でなくなるからである。
【0082】
具体的には、アノード室14のアノード液E中のSnイオン濃度を、一般的には、80g/L〜500g/L、好ましくは200g/L〜400g/L、更に好ましくは、220g/L〜350g/Lの範囲に管理する。アノード液E中のSnイオン濃度は、例えば、運転開始前にアノード室14に新しく投入したアノード液E中のSnイオン濃度と、その後のSnアノードでの電解量から換算して求めて管理される。このアノード液EのSnイオン濃度は、めっき槽全体のSnイオン濃度を管理するために非常に重要である。
【0083】
通常使用する基板側のSn−Agめっき液Q中のSnイオン濃度は、50g/L〜80g/Lである。カソード室12中のSnイオン濃度の減少分をアノード室14のSnイオンを含むアノード液Eを供給することで補おうとする場合、アノード室14のアノード液のSnイオン濃度が高ければ高いほどカソード室12へ補給するアノード液Eの体積が少なくてすむ。通常、カソード室12のめっき液Qは、蒸発などで液量が減るが、その減量分以上にアノード室14のアノード液Eを補給した場合、減量分以上の過剰液量は、最終的にカソード室12のめっき液Qから廃液する必要が生ずる。ただし、アノード液EのSnイオンの濃度は、メタンスルホン酸錫の飽和濃度以上までは上げられない。また、安定して存在するためには、飽和濃度以下にしておく必要がある。
【0084】
純水供給ライン26は、アノード室14内の水分蒸発分を補ったり、あるいはアノード室14内のアノード液Eのメタンスルホン酸濃度が充分に高い場合に、アノード室14内のアノード液EをオーバフローさせてSnイオンをカソード室12内に供給したり、またはアノード室14内の成分濃度を調整したりする場合に、アノード室14内に純水を供給するのに使用される。
【0085】
次に、
図1に示すSn合金めっき装置の運転例を説明する。
Sn合金めっき装置の運転を開始する前に、先ず、アノード液供給ライン23を通して、高濃度のSnイオン(例えば、220g/L〜350g/L)とメタンスルホン酸を含むアノード液Eをアノード室14に供給し、アノード室14をアノード液Eで満たしておく。これは、前述したように、Snイオン濃度が高い状態で、アノード室14のアノード液Eをカソード室12に補給したほうが、めっき液Qを廃液する量を減らすことができるため有利であり、アノード液EのSnイオン濃度が低濃度の状態で運転を開始すると、アノード液EのSnイオン濃度が高濃度になるまで待つ必要があって、不利だからである。
【0086】
一方、前述のように、ポンプ38を駆動させ、めっき液循環ライン46を通して、カソード室12内のめっき液Qを循環させて攪拌した状態で、基板ホルダ22で保持した基板Wをカソード室12内のめっき液Qに浸漬させつつ所定位置に配置する。
【0087】
この状態で、Snアノード32をめっき電源34の陽極に、基板Wの表面に形成されたシード層等の導電層をめっき電源34の陰極に、それぞれ接続して、基板Wの表面にめっき処理を開始する。このめっき時に、必要に応じて、攪拌パドル(攪拌具)52を基板Wと平行に往復動させて、カソード室12内のめっき液Qを攪拌する。同時に、N
2ガス供給ライン33を通して、アノード室14内のアノード液Eに窒素ガスをバブリングする。
【0088】
このようにして、めっきを行いながら、カソード室12内を循環してめっきに使用されるめっき液QのSnイオン濃度をSnイオン濃度測定器74で測定し、その測定結果を制御部80に信号としておくる。制御部80は、この例では、アノード室14のアノード液Eのメタンスルホン酸濃度を推定し、この推定値を元に、電解液供給ライン24から電解液をアノード室14に供給するか、純水供給ライン26から純水を供給するかのどちらか、あるいはその組合せの指示を出す。つまり、アノード液Eの遊離酸としてのメタンスルホン酸濃度が下限値を下回らないように、所定の値を下回った時には電解液供給ライン24からメタンスルホン酸を含む電解液をアノード室14に供給する。アノード室14のメタンスルホン酸の濃度が充分に高い時点でカソード室12へSnイオンを補給する必要のある時は、純水供給ライン26から純水をアノード室14に供給する。アノード室14のアノード液Eは、カソード室12にオーバフローして、Snイオンがカソード室12のめっき液Qに供給される。
【0089】
これにより、アノード室14内のアノード液Eの遊離酸としてのメタンスルホン酸濃度は、例えば220g/L〜350g/Lの高濃度のSnイオンが2価のイオンとして安定して存在するように、30g/L以上になるようにコントロールされる。アノード液Eのメタンスルホン酸濃度が高いと、アノード液Eの供給によってカソード室12のめっき液Qのメタンスルホン酸濃度も上がることになり、後述するように、めっきの面内均一性が悪くなる。このため、めっき液Qのメタンスルホン酸濃度は、実際の装置の運転状況を考慮して、必要以上に高くならないように予め定められる。
【0090】
つまり、カソード室12内のめっき液Qの遊離酸としてのメタンスルホン酸濃度も、Sn
アノード32での電解量及び電流効率、アノード液Eのオーバフローによる供給量、めっき液循環ライン46からの排液(ドレインアウト)量、アニオン交換膜
54のメタンスルホン酸の透過率によって変動する。カソード室12のめっき液Qのメタンスルホン酸濃度が約250g/Lを超えると、基板Wへのめっきの面内均一性が悪くなる傾向がある。そこで、カソード室12内のめっき液Qのメタンスルホン酸濃度が上限値を上回ったことを、メタンスルホン酸濃度測定器76によって検知した時に、めっき液Qからメタンスルホン酸を除去する透析槽62を有するめっき液透析ライン68に沿ってめっき液Qを流し、このメタンスルホン酸を除去しためっき液Qをオーバフロー槽36に戻す。これによって、めっきに使用されるめっき液Qのメタンスルホン酸濃度を、例えば60〜250g/Lの好ましい範囲内に、さらに好ましくは、90〜150g/Lの範囲内に調整することができる。
【0091】
Sn合金めっき装置の運転中におけるアノード液Eの遊離酸としてのメタンスルホン酸濃度は、初期のアノード液Eのメタンスルホン酸濃度、Snアノード32での電解量及び電流効率、電解液供給ライン24からの電解液の供給量、純水供給ライン26からの純水の供給量、アニオン交換膜54を透過してカソード室12からアノード室14へ移動してくるメタンスルホン酸の透過率から理論的あるいは実験的に求められる、アノード室14のアノード液Eのメタンスルホン酸濃度(推定値)で管理しても良い。アノード室のSnイオンとメタンスルホン酸の濃度は、めっき処理の電解量に伴うSnイオン溶解量曲線及び酸のアニオン交換膜透過率から推測することができる。
【0092】
前述したように、Sn合金めっき装置の運転を開始する前に、先ずアノード室14には高濃度のSnイオン(例えば、220g/L〜350g/L)とメタンスルホン酸を含むアノード液Eが保持される。そして、Sn合金めっき装置の運転中は、アノード室14内のアノード液EのSnイオン濃度の閾値(例えば、300g/L)を決めておき、Snアノードの電解量及び電解効率等から推定されるSnイオン濃度が閾値に達したら、電解液供給ライン24から電解液をアノード室14に供給しアノード液Eをオーバフローさせてカソード室12にSnイオンを補給する。
【0093】
アノード室14のアノード液Eは、メタンスルホン酸の供給によりSnイオン濃度が低くなるが、その後、めっき処理を続けることで、またSnイオン濃度が高まり、やがて閾値に達する。その間、基板Wでのめっきによりめっき液QのSnイオンは消費されるが、仮に基板WとSnアノード32の電解効率が等しく、系外へのSnイオンの排出がなければ、基板Wでのめっきで消費されたSnイオンと同量のSnイオンがSnアノード32から溶出することになる。このため、系全体でのSnイオンの量は一定になる。しかし、アノード室14のアノード液EのSnイオン濃度が高くなってくると電解効率が低下する。このため、めっきで消耗されるSnイオン量よりもSnアノード32からの溶解で供給されるSnイオン量の方が少なくなり、系全体のSnイオンが不足していく。
【0094】
図10は、電解量から換算される理論上のアノード室14内のアノード液のSnイオン濃度と、実際に測定したSnイオン濃度とを比較したグラフを示す。
図10から、アノード室14内のアノード液EのSnイオン濃度が約130g/L程度までは電解効率はほぼ100%であるが、Snイオン濃度が約150g/Lを超えると徐々に電解効率が低下し、Snイオン濃度が300g/Lでは電解効率は約80%となることが分かる。つまり、アノード液EのSnイオン濃度を、例えば220g/L〜350g/Lの高濃度で管理しようとすると、10%から20%のSnイオンが系全体として不足することになる。また、アノード室14のアノード液Eをオーバフローによりカソード室12に導入する際、カソード室12あるいはオーバフロー槽36のめっき液Qを予め排水させるが、この排水の中にはSnイオンが含まれているので、系全体としてのSnイオン量が不足していく。
【0095】
このため、この例では、系全体としての不足したSnイオンを補充するため、補助電解槽100を備えている。つまり、Sn合金めっき装置の運転開始と同時に、または適宜、補助電解槽100の電解を開始し、例えばSnイオン濃度測定器74で測定したSnイオン濃度を基に、ポンプ120を駆動して、Snイオン濃度が高いアノード室104内のアノード液Aをめっき槽16のオーバフロー槽36に供給する。これにより、基板W上でのめっきの電解効率とアノード室14内のSnアノード32での電解効率の差から生じるSnイオンの不足や、めっき槽16からの排水によるSnイオンの不足を、補助電解槽100からのSnイオン補給によって補うことができる。
【0096】
Sn合金めっき装置を長期間運転させると、アノード室1
4内のアノード液EのSnイオン及びメタンスルホン酸の濃度が予測濃度からずれていく可能性がある。その場合は、めっき液QのSnイオン及びメタンスルホン酸の濃度をSnイオン濃度測定器74及びメタンスルホン酸濃度測定器76により測定して、その変化を記録し、運転条件から想定される濃度よりも濃度が高くなる、あるいは、低くなる傾向があれば、Snイオンの場合であれば、濃度予測に用いている溶解効率を、メタンスルホン酸の場合であれば、膜の透過率をそれぞれ変えて、Snイオン及びメタンスルホン酸の濃度管理を継続する。
【0097】
なお、アノード室14の高濃度Snを含むアノード液Eのカソード室12あるいはオーバフロー槽36への供給は、専用のポンプを用い配管を通して行うよりも、オーバフローによって行う方が装置として好ましい。その理由は、以下の通りである。
【0098】
すなわち、高濃度のSnイオンを含むアノード液を細い空間に長時間滞留させておくと、その管の壁が絶縁材であっても、その表面に金属付着(異常析出)が起こる。そして、一度金属の付着が開始すると、その表面に金属が次々と成長する傾向がある。また、管内のアノード液を常に流しておくためにアノード室からカソード室へ送液を続けると、カソード室での液の全体容量が多くなってしまい、常に送液量と同じめっき液Qを廃液する必要が生じる。
【0099】
それに対して、オーバフローでアノード液の供給を行う場合は、狭い管内で金属付着が起こる危険性が少ない。アノード室14内のアノード液Eは、窒素ガスのバブリングにより常時攪拌され続けるので、アノード室14の内壁に金属付着が起こることも避けることができる。また、電解に伴うメタンスルホン酸とそれに伴う水分子の移動によりオーバフローさせる場合も、その時のオーバフロー量は、アニオン交換膜を透過した水及びメタンスルホン酸の体積そのものであるから、カソード室12においては差し引きゼロとなり、めっき液の全体容量は変化が無いため排液する必要が無い。
【0100】
図11は、他のめっき槽16aの概要を示す。このめっき槽16aのアノード室14の内部には、円板状のSnアノード32を保持したアノードホルダ30が収容されている。アノードホルダ30の前面には、Snアノード32のアノード液Eに接する領域を規定する、円環状のアノードマスク200がSnアノード32の外周部に密着して取付けられている。アノード槽10のカソード室12側の隔壁10aには、開口部10dが設けられ、この開口部10dの縁に沿って、アニオン交換膜54が、アニオン交換膜54のめっき液Qに接する側の領域を規定するマスク部材202と隔壁10aとの間に挟まれて取付けられている。このように、隔壁10aとマスク部材202でアニオン交換膜54を挟んでシールすることにより、カソード室12とアノード室14の間の液の漏れを防止することができる。
【0101】
アニオン交換膜54と開口部10dは、例えば四角形状であり、マスク部材202は、略四角形状のリングで構成されている。開口部10d及びマスク部材202の開口寸法は、アノードマスク200の内径と同じか、より大きいことが好ましい。アニオン交換膜54のアノード液Eあるいはめっき液Qに接する領域は、アノード−カソード間の全体抵抗を抑えるために、Snアノード32のアノード液Eに接する領域の大きさよりも大きいことが望ましい。
【0102】
更に、マスク部材202の前面には、マスク部材202の外形とほぼ同一の外形で、基板Wの相似形としての円状の開口部204aを有する電場遮蔽板204が設けられる。電場遮蔽板204の開口部204aの直径は、マスク部材202の開口寸法よりも小さく設定されている。カソード室12内のSnアノード32の近傍位置に電場遮蔽板204を設けることにより、基板上に形成されるシードの厚みが薄くなり、基板の外周の膜厚が高くなる場合においても、膜厚分布を均一にすることができる。膜厚分布をコントロールするために、電場遮蔽板204は、開口面積を変化させる機構を有することが望ましい。電場遮蔽板204の開口部204aの直径は、基板WとSnアノード32の中間に位置する調整板50の中央孔50aの径と同等か、より小さく設定される。この例では、調整板50として、板体206に円筒体208を取付けたものが使用されている。
【0103】
アノード室14内のアノード液Eがオーバフローしてカソード室12に供給されると、Snイオンだけでなく余分な水分も供給されることになり、カソード室12並びにオーバフロー槽36内のめっき液Qの液量が多くなる。めっき液Qの液量が所定量を超えた分は排液しなければならず、コストアップとなる。これを極力避けるために、この例では、めっき槽16aの上部に、水分の蒸発を促進させるガス供給部210を設けている。このガス供給部210により、アノード室14から供給されるアノード液Eの量とカソード室12からの水分の蒸発量を同じにして、カソード室12のめっき液Qの成分濃度を安定的に保つことができ、排液量を無くするか、或いは減らすことができる。
【0104】
さらに、より排液量を少なくするために、めっき液循環ライン46に水だけを除去できる脱水装置を設け、めっき液Qを、脱水装置に通し循環させるようにしてもよい。
【0105】
図12は、本発明の他の実施形態のSn合金めっき装置の概要図である。この例の
図1に示す例と異なる点は、
アノード槽10と一体の内槽220の周囲をオーバフロー槽36で囲繞してめっき槽16bを形成し、この
アノード槽10のオーバフロー槽36に隣接する隔壁10eを、アノード室14内のアノード液Eを堰止め、この隔壁10eの上端をオーバフローしたアノード液Eがオーバフロー槽36内に流入する越流堰としての役割を果たすようにしている点にある。すなわち、アノード室14内には、隔壁(越流堰)10eに堰き止められて、所定の水位H(
図9参照)のアノード液Eが保持され、この水位Hを超えると、この超えた量のアノード液Eが、隔壁10eの上端をオーバフローして、めっき槽16bの周囲を囲繞するオーバフロー槽36内に流入するようになっている。オーバフロー槽36に供給されたSnイオンは、めっき液循環ライン46を経てカソード室12へ供給される。
【0106】
図13は、本発明の他の実施形態のSn合金めっき装置の概要図である。この例の
図1に示す例と異なる点は、アノード室14内のアノード液の一部をアノード槽10の底部から抜出してアノード槽10の上部に戻すアノード液循環ライン230を設け、このアノード液循環ライン230にポンプ232及びメタンスルホン酸濃度測定器234を設置した点にある。
【0107】
この例によれば、ポンプ232を駆動して、アノード室14内のアノード液Eをアノード液循環ライン230に沿って循環させながら、アノード液Eのメタンスルホン酸濃度をメタンスルホン酸濃度測定器234で常時または定期的に測定することができる。
【0108】
図14は、本発明の他の実施形態のSn合金めっき装置の概要図である。この例の
図1に示す例と異なる点は、
図1に示すめっき槽16の排液ライン28と補助電解槽100の電解液供給ライン112とを、内部にポンプ240設置した連結ライン242で結び、更に、補助電解槽100のアノード室104から延びるSnイオン補給ライン114をめっき槽1
6のアノード室14の上部に接続した点にある。
【0109】
この例によれば、めっき槽16のアノード室14内のアノード液Eを、補助電解槽100のアノード室104に供給する電解液として使用し、補助電解槽100のアノード室104内のSnイオン濃度が高いアノード液Aをめっき槽16のアノード室14に戻して循環させることができる。これによっても、不足するSnイオンを補給することができる。
【0110】
図15は、複数のめっき槽を有する本発明の更に他の実施形態のSn合金めっき装置の概要図である。
図15に示すように、このSn合金めっき装置は、
図1に示すめっき槽16と同様の構成を有する複数のめっき槽250と、単一のリザーバ槽252とを有している。そして、各めっき槽250のアノード室と
リザーバ槽252とは、アノード液供給ライン254とアノード液回収ライン256でそれぞれ結ばれている。アノード液供給ライン254には、1台のポンプ258aが設置され、アノード液供給ライン254は、ポンプ258aの下流側で各めっき槽250毎に分岐し、この各分岐部に切替バルブ260aが設置されている。アノード液回収ライン256にも、1台のポンプ258bが設置され、
アノード液回収ライン256は、ポンプ258bの上流側で各めっき槽250毎に分岐し、この各分岐部に切替バルブ260bが設置されている。
【0111】
リザーバ槽252の内部には、アノード液の温度を上げて電解効率を高めるため、アノード液を加熱するヒータ262が設置されている。アノード液は、例えば、26℃〜40℃の温度範囲で管理される。
【0112】
この例によれば、各めっき槽250のアノード室とリザーバ槽252との間をアノード液を循環させることで、各めっき槽250のアノード室内のアノード液のSnイオン濃度及びメタンスルホン酸濃度を全て同じにすることができる。これにより、各めっき槽250毎にアノード液のSnイオン濃度及びメタンスルホン酸濃度を個別に管理することに伴う煩雑さを回避することができる。
【0113】
この例では、2台ポンプ258a,258bを備え、切替バルブ260a,260bを切替ることで、
リザーバ槽252と1台のめっき槽
250のアノード室との間でアノード液が循環するようにしている。これにより、各めっき槽250のアノード室の液管理が容易となる。なお、各めっき槽250のアノード室と
リザーバ槽252との間でアノード液を循環させるためのポンプをそれぞれ設けて、他のめっき槽250のアノード室と独立してアノード液を循環させるようにしてもよい。
【0114】
さらに、前述したように、基板上でのめっきの電解効率とアノード室内のSnアノードでの電解効率の差から生じるSnイオンの不足や、めっき槽からの排水によるSnイオンの不足により、系全体のSnイオンが不足する問題に対処して、Snイオンの低下分を補うために、リザーバ槽252に、
図1に示す補助電解槽100と同様な構成を有する補助電解槽を設けて、不足のSnイオンを補うようにしてもよい。
【0115】
また、Sn合金めっき装置全体で1つの外槽(オーバフロー槽)と複数のカソード室を有するようになし、各カソード室内に、ポンプにより、外槽からアノード液を該カソード室の下から供給し、オーバフローにより、外槽に戻す構造にしてもよく、これにより、カソード室の液管理が容易となる。
【0116】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。