(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粒体通路は、前記粒体が供給され、前記粒体中の前記非球形状粒体及び前記球形状粒体を1個ごとに分離し、前記非球形状粒体をその長手方向を前記一方向に向け、前記非球形状粒体及び前記球形状粒体を整列させる前記粒体の搬送上流側の整列領域と、前記複数の選択溝が形成され、前記粒体中の前記球形状粒体を選択溝に捕捉して分別する前記粒体の搬送上流側と下流側との間の分別領域と、前記球形状粒体が分別された前記非球形状粒体を搬送する前記粒体の搬送下流側の前記非球形状粒体の搬送領域とからなる請求項1〜9のいずれか1項に記載の分別装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の分別装置を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態の分別装置を示す模式図であり、(b)は、
図1(a)の分別装置に用いられるトラフを示す模式的平面図である。
【0014】
図1(a)に示す分別装置10は、形状が異なる粒体が混合された混合粒体(以下、単に混合粒体という)から、形状が異なる粒体、即ち、「非球形状粒体」と、非球形状粒体の有効長径より短い有効直径を持つ「球形状粒体」、例えば具体的には、形状の違いにより分別可能な1方向に長い非球形状粒体等の長粒体と、長粒体の有効長径より短い有効直径を持つ球形状粒体とを確実かつ高精度に分別するものである。
混合粒体としては、形状の違いにより分別可能な1方向に長い非球形状粒体等の長粒体と球形状粒体とを含むものであればどのようなものでも良く、例えば、穀物、植物種子及び植物片のうち少なくとも1つを含むものであってもよく、さらには後述するように、ライ麦Rと球
形状種子Sとを含む混合粒体であってもよい。
【0015】
なお、本発明において、非球形状粒体とは、例えば、ラグビーボール等の楕円体や、茶筒のような円筒形のような1方向に長い形状を持つ粒子であり、より詳しくは球形状粒体の直径より長い長径と長径より短い短径とを持つ非球形状粒子等の粒体である。このような非球形状粒子とは、中心を通る1方向に長径を、中心を通り、その1方向と直交する方向に短径を取ることができ、その有効長径と有効短径との比(有効長径/有効短径)が、2.5以上のものを言い、好ましくは、3以上のものを言う。非球形状粒体は、例えば、縦長の粒子や、横長の粒子等の1方向に長い粒子や、細長い粒子等の長粒体であるのが好ましい。
【0016】
なお、本発明においては、球形状粒体の有効直径とは、球形状粒体の平均直径又は最大直径を言う。また、非球形状粒体の有効長径とは、中心を通る1方向における最大長径又は平均長径を言い、非球形状粒体の有効短径とは、中心を通る直交方向における最大短径又は平均短径を言う。
本発明においては、球形状粒体の有効直径は、非球形状粒体の有効長径より短い必要がある。即ち、非球形状粒体の有効長径は、球形状粒体の有効直径より長い必要があるが、非球形状粒体の有効短径は、球形状粒体の有効直径に略等しいか、この有効直径以下であるのが好ましい。
【0017】
図1(a)に示すように、本発明の一実施形態に係る分別装置10は、平らな面Hに設置されており、混合粒体(図示せず)を搬送しつつ分別するトラフ12と、トラフ12を振動させる振動源14と、トラフ12に混合粒体を供給する供給部16と、トラフ12を振動可能に支持する支持台18と、トラフ12で分別された互いに形状の異なる粒体をそれぞれ回収する第1回収部22及び第2回収部24とを有する。
【0018】
分別装置10においては、トラフ12には振動源14が接続されており、トラフ12の基端12c側に混合粒体を供給する供給部16が設けられている。
トラフ12は、水平面に対して所定の角度θとなるように、先端12d側を下方に向けて傾斜させて振動可能に支持台18に設けられている。こうして、トラフ12は、支持台18に対して傾斜状態を維持しつつ振動することができる。なお、支持台18は、脚20により面Hに立設されている。
また、トラフ12の先端12dの下方には第1回収部22が設けられ、トラフ12の裏面12bの下方には第2回収部24が設けられている。
【0019】
図1(b)に示すように、トラフ12は、例えば縦方向Lに対して横方向Wが長い略長方形状の板で構成されている。トラフ12は、それぞれ混合粒体が搬送される一対の粒体通路32からなる複数の搬送部30と、各搬送部30の一対の粒体通路32の間に形成された長孔からなる排出開口50と、各粒体通路32に排出開口50を臨む位置に等間隔に設けられた複数の球形状粒子の選択溝40とを有する。
このトラフ12には、後に詳細に説明する一対の粒体通路32が2列並んで隣接して形成された搬送部30が
横方向Wに複数列隣接して形成されている。搬送部30の各粒体通路32は、粒体の進行方向Fに延びている。図示例では、進行方向Fは、縦方向Lに略平行な方向とされているが、本発明はこれに限定されず、横方向Wと略平行な方向としても良い。
【0020】
ここで、トラフ12の傾斜角度θは、混合粉体中の非球形状粒子及び球形状粒子が粒体通路32上を整列した状態でスムーズに搬送されると共に、混合粉体中の球形状粒子が粒体通路32の選択溝40に確実に捕捉できるように搬送されるのであれば、特に制限的では
なく、例えば、0°以上10°以下であるのが好ましい。その理由は、傾斜角度θが10°超では、混合粉体の整列搬送ができなくなったり、球形状粒子が選択溝40に確実に捕捉できなくなる恐れがあるからである。
なお、図示例においては、トラフ12は、水平面に対して所定の
傾斜角度θだけ傾斜しているが、本発明はこれに限定されず、混合粉体中の非球形状粒子及び球形状粒子が粒体通路32上を整列した状態で終端までスムーズに搬送されるのであれば、傾斜せず、水平に設けられていても良い。
【0021】
搬送部30において、一対の粒体通路32は、それぞれトラフ12の基端12c側から先端12dまで凹型溝として形成される。この搬送部30においては、混合粒体は、供給部16からトラフ12の基端12c側に供給され、一対の粒体通路32上を基端12c側から先端12d側に搬送される。なお、図示例では、一対の粒体通路32は、基端12c側においては、基端12cから少し先端12c側に入った領域から形成されているが、本発明はこれに限定されず、基端12cから先端12dまで凹型溝として形成されていても良い。
これに対し、一対の粒体通路32の間に形成される排出開口50は、トラフ12の基端12cから所定距離D1だけ先端12
d側に入った位置から先端12dから所定距離D2だけ基端12c側に入った位置までの所定長さD3の長孔として形成されている。
なお、トラフ12の形状及びサイズ(縦方向L、横方向W)、並びに、搬送部30、粒体通路32、選択溝40及び排出開口50の形状、位置、長さ及び数は、図示例のものに限定されるものではなく、分別対象となる混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子の形状、サイズ及び含有量、要求される分別処理量、及び使用条件等に応じて適宜決定されるものである。
【0022】
図2(a)は、
図1(b)に示すトラフの要部を詳細に示す模式的平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIB−IIB線断面図である。
図3(a)は、
図2(a)のIIIA−IIIA線断面図であり、
図3(b)は、
図2(a)のIIIB−IIIB線断面図である。なお、
図2(a)及び(b)において、紙面上側がトラフ12の基端12c側であり、紙面下側がトラフ12の先端12d側である。
【0023】
図2(a)に示すように搬送部30は、隣接する搬送部30との間に設けられる2つの通路壁34と34とで区画され、その間に形成されており、例えば、一対の、2つの粒体通路32を有するものである。2つの通路壁34と34との間には、排出開口50が形成されていない領域、即ち、トラフ12の基端12cから所定距離D1までの領域及び先端12dから所定距離D2までの領域においては、通路壁36が設けられており、2つの粒体通路32を分離している。即ち、2つの粒体通路32の間には、通路壁
36及び排出開口50が設けられており、各粒体通路32は、通路壁34と通路壁36とで区画されている。通路壁34と通路壁36は、トラフ12の表面12aに対して立設している(
図3(a)、(b)参照)。
【0024】
粒体通路32は、
図3(a)及び(b)に示すように、例えば、トラフ12の表面12aに対して、通路壁34の内壁面35、通路壁36の内壁面37及び内壁面35と内壁面37との間の傾斜底面33によって形成される凹型溝で構成されている。粒体通路32においては、通路壁34の内壁面35は、トラフ12の表面12aに対して略垂直な面であり、傾斜底面33とは曲面で滑らかに接続されて繋がり、傾斜底面33は、
横方向Wにおいて、通路壁34から通路壁36に向かうにつれて表面12aに近づくように、即ち上昇するように傾斜し、通路壁36の略垂直な内壁面37に曲面で滑らかに接続されて繋がっている。
【0025】
粒体通路32は、粒体を、その表面が通路壁34の内壁面35と傾斜底面33との両方に接触する状態で振動により搬送するものである。具体的には、混合粒体中の球形状粒子は、その底面を傾斜底面33に接触させ、その側端面を略垂直な内壁面35に接触させた状態で粒体通路32上を搬送される。また、混合粒体中の非球形状粒子は、その長手方向(長径方向)を粒体通路32の進行方向Fに向けた状態、好ましくは両方向を一致させた状態で、その短径側の底面を傾斜底面33に接触させ、その短径側の側端面を略垂直な内壁面35に接触させた状態で粒体通路32上を搬送される。
このため、傾斜底面33は、混合粒体中の球形状粒子の側端面及び非球形状粒子の短径側の側端面を略垂直な内壁面35に接触させることができるように、通路壁34の内壁面35に向かって下降するように傾斜している必要がある。ここで、トラフ12の表面12aに対する傾斜底面33の傾斜角度は、傾斜していれば特に制限的ではなく、予め分別する粒体、例えば、球形状粒子及び非球形状粒子の大きさに応じて適宜設定することができるが、例えば、45°以下が好ましく、15°〜45°であるのがより好ましい。
【0026】
また、粒体通路32を構成する凹型溝の深さ、即ちトラフ12の表面12aから搬送される粒体の底面が接触する傾斜底面33までの深さは、特に制限的ではないが、少なくとも混合粒体中の球形状粒子の側端面及び非球形状粒子の短径側の側面を略垂直な内壁面35に接触させることができる深さ以上の深さとするのが好ましい。
なお、粒体通路32の長さや幅は、分別対象となる混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子の形状、サイズ及び含有量、要求される分別処理量、及び使用条件等に応じて適宜決定すれば良い。例えば、粒体通路32の長さや幅を、トラフ12の縦方向Lや横方向の長さに応じて決めてもよい。
こうすることにより、粒体通路32は、粒体を、通路壁34の内壁面35に接触させた状態で振動により搬送することができる。
【0027】
なお、本発明において、粒体通路32の構成は、図示例の凹型溝に限定されず、通路壁34の内壁面35の少なくとも1部(粒体の側面が接触する部分)が略垂直な形状で、かつ傾斜底面33の少なくとも1部(粒体の底面が接触する部分)が内壁面35に向かって下降する形状であれば、どのような形状であっても良い。例えば、傾斜底面33は、平面で無く、曲面で構成されていても良いし、内壁面35と傾斜底面33との接続部分は、図示例のように滑らかな曲率半径の大きい曲面で無くても、曲率半径の小さい曲面であっても良いし、曲面で無くても良く、平面であっても良いし、鋭角に交わる角部を構成していても良い。また、通路壁36の内壁面37と傾斜底面33との接続部分も、同様に、曲率半径の小さい曲面であっても良いし、曲面で無くても良く、平面であっても良いし、鋭角に交わる角部を構成していても良い。図示例では、通路壁36の頂部は、トラフ12の表面12aと同じ高さであるが、本発明はこれに限定されず、トラフ12の表面12aより低い位置にあっても良い。例えば、両側の傾斜底面33を延長して交わった交線を通路壁36の頂部としても良い。
【0028】
図2(a)及び(b)に示すように、各粒体通路32には、排出開口50が形成されている所定距離D3の領域において、粒体通路32を形成する通路壁34の内壁面35から排出開口50に至る球形状粒子を分別するための選択溝40が進行方向Fに対して所定の間隔を開けて、例えば等間隔に複数設けられている。ここで、選択溝40には、粒体が搬送される粒体通路32の内壁面35側に、混合粒体中の球形状粒子を捕捉する窪み42、即ちトラップする落とし穴が設けられており、選択溝40は、窪み42に混合粒体中の球形状粒子を捕捉すると共に、窪み42に捕捉された球形状粒子を転動させて排出開口50まで導き、排出開口50からトラフ12の外部に排出するためのものである。排出開口50から排出された球形状粒子は、第2回収部24に回収される。
このため、選択溝40は、半円筒形状
の壁面42aを持つ窪み42から排出開口50に至る溝幅tの溝であり、その底面は、排出開口50に向かって、トラフ12の裏面12bに近づくように、即ち表面12aに対して下降するように傾斜する半円筒形状の傾斜底面44を形成する。
【0029】
選択溝40の窪み42は、通路壁34の内壁面35を少しえぐる円弧面状の壁面42aからなる直径tの半円筒形状の部分を有し、その底面42bは、粒体通路32の傾斜底面33より低い位置にあり、従って、通路壁34の内壁面35と傾斜底面33との接続部分より低い位置にあり、半球面を成し、半円筒形状の傾斜底面44の半円筒面に滑らかに繋がるように接続されている。
選択溝40の溝幅tは、窪み42の直径tに等しいのが好ましいが、混合粒体中の球形状粒子を選択溝40の窪み42に確実に捕捉できると共に、捕捉した球形状粒子を選択溝40の傾斜底面44上を転動させることができるように球形状粒子の有効直径より大きく、かつ、長手方向が進行方向Fに沿うように搬送される混合粒体中の非球形状粒子が選択溝40の窪み42を跨ぐ、即ち選択溝40の溝幅tを跨ぐように非球形状粒子の有効長径より短く設定される。
【0030】
このため、選択溝40の傾斜底面44は、窪み42に捕捉された球形状粒子を転動させて確実に排出開口50に排出できるように、排出開口50に向かって下降するように傾斜しているのが好ましい。ここで、トラフ12の表面12aに対する傾斜底面44の傾斜角度は、傾斜していれば特に制限的ではなく、予め捕捉する球形状粒子の大きさに応じて適宜設定することができるが、例えば45°以下が好ましく、15°〜45°であるのがより好ましい。
【0031】
本発明においては、以上の構成により、選択溝40の窪み42の壁面42aが通路壁34の内壁面35に円弧面状に入り込み、粒体通路32の傾斜底面33が内壁面35に向かって傾斜しているので、選択溝40の窪み42に捕捉された球形状粒子は、壁面42aに衝突し、球形状粒子に対して排出開口50に向う反力が作用し、傾斜底面44を転がり、選択溝40によって排出開口50に案内され、排出開口50から外部に排出されることになる。また、本発明においては、1つの粒体通路32に対して複数の選択溝40が設けられているので、粒体搬送の上流側で選択溝40に分別、即ち捕捉されなかった球形状粒子も、下流側のいずれか1つの選択溝40に捕捉されるので、粒体通路32を搬送される混合粉体の中から球形状粒子だけを確実に分別することができ、球形状粒子を含まない非球形状粒子を確実に得ることができる。
【0032】
このように、粒体通路32では混合粒体中の非球形状粒子が通路壁34側において複数の選択溝40を跨いで搬送され、具体的には、長手方向を進行方向Fに向けその側面を通路壁34の内壁面35に接触して状態で複数の選択溝40を跨ぐように搬送され、複数の選択溝40では混合粒体中の球形状粒子が確実にいずれかの選択溝40の窪み42に捕捉され、傾斜底面44を転動して排出開口50に移動し、排出開口50から確実に外部(第2回収部24)に排出されるように構成されている。
即ち、このようにして、混合粒体中の非球形状粒
子を選択溝40に捕捉されること無く、粒体通路32上をその終端まで搬送して外部(第1回収部22)に排出して、粒体通路32を搬送されてきた球形状粒子を確実に途中の選択溝40の窪み42に捕捉し、その傾斜底面44を転動させて排出開口50から確実に外部(第2回収部24)に排出することができる。
【0033】
なお、図示例では、選択溝40の溝幅tは一定に形成されているが、即ち選択溝40は幅方向の両側面が平行であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、通路壁34側から排出開口50に向かうにつれて選択溝40の溝幅tが広がるように、即ち、選択溝40は幅方向の両側面の間隔が広くなるように形成されていても良い。
また、図示例では、選択溝40の窪み42の壁面42aは、通路壁34にその内壁面35から入り込む構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、通路壁34の内壁面35上に壁面42aが来るように、壁面42aが内壁面35と一致する構成であってもよい。
更に、図示例では、選択溝40の底面は、排出開口50に向かって下降する傾斜底面44としているが、本発明はこれに限定されず、傾斜することなくトラフ12の表面12aと略平行であってもよい。
【0034】
図示例においては、複数の選択溝40は、1つの搬送部30の一対の粒体通路32において、進行方向Fに沿って、排出開口50を挟んでそれぞれ同じ位置に設けられている。なお、1つの搬送部30の一対の粒体通路32において選択溝40を設ける進行方向Fに沿った位置は同じでなくともよく、例えば、選択溝40を各粒体通路32で互い違いになるように設けてもよい。一対の粒体通路32において2つの選択溝40を同じ位置に設けると、球形状粒体の分別量、即ち粒体の処理量が多い場合には、2つの選択溝40から球形状粒体が同時に排出開口50に向かって排出されると衝突して球形状粒体の分別が妨げられる恐れがあるので、選択溝40を各粒体通路32で互い違いに設けるのが良い。
更に、全ての搬送
部30において、各粒体通路32において設けられる選択溝40の位置は、全て同じであっても良いし、全て異なっていても、例えば互い違いであっても良いし、一部のみ同じであっても良い。例えば、1つの搬送部30の一対の粒体通路32においては、選択溝40の位置は同じであるが、隣接する搬送部30では異なり、例えば互い違いになるようにしても良い。
1つの搬送部30において、排出開口50に対して、1つの粒体通路32に対して設ける選択溝40の数及び間隔は、特に制限的ではなく、排出開口50の長さや、混合粒体中の球形状粒子及び非球形状粒子の形状や含有量等に応じて適宜設定することができる。
【0035】
また、図示例の搬送部30では、一対の粒体通路32が2列に並ぶ構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの搬送部30に、1つの粒体通路32と、粒体通路32に形成される複数の選択溝40と、複数の選択溝40に接続され、粒体通路32に隣接する1つの排出開口50とが設けられた構成であってもよい。この搬送部30は、粒体通路32を形成する通路壁34の内側の内壁面35に対向して、排出開口50の、選択溝40と逆側に、隣接する搬送部30の1つの粒体通路32を形成する通路壁34の外側の内壁面を配置し、隣接する2つの通路壁34の間に、1つの粒体通路32、複数の選択溝40及び1つの排出開口50を形成する構成とすることができる。この場合には、通路壁36を設けなくても良い。
【0036】
図1(b)、
図2(a)、及び
図3(a)に示すように、搬送部30の所定距離D3の領域において、一対の粒体通路32の間に、複数の選択溝40が接続される長尺状の排出開口50が形成されている。この排出開口50は、一対の粒体通路32間の通路壁36の領域にトラフ12の表面12a側から裏面12b側まで貫通するように形成されるので、排出開口50が形成されている領域の通路壁36は取り除かれ、通路壁36が形成されていない領域となる。
排出開口50は、
図2(a)に示すように、粒体通路32に平行であり、粒体の進行方向Fに延在し、裏面12bまで貫通する貫通長孔からなる。排出開口50は、上述のように球形状粒子をトラフ12の外部に排出するためのものであり、
図2(b)、及び
図3(a)に示すように各粒体通路32の複数の選択溝40の出口に接続されている。
【0037】
粒体の進行方向Fに沿った排出開口50の長さは、搬送部30の所定距離D3に等しいが、混合粒体の処理量、より具体的には混合粒体中の非球形状粒子から分別される球形状粒子の処理量に対応して定まる選択溝40の数に応じて適宜設定すれば良い。一方、排出開口50の幅は、選択溝40に捕捉された球形状粒子を確実に排出することができる大きさ(サイズ)であれば、特に制限的ではなく、選択溝40の溝幅tに等しいか、少し大きいサイズであるのが好ましい。
また、図示例においては、排出開口50は、粒体通路32に設けられる複数の選択溝40の全てに対応する貫通長孔として形成されているが、本発明はこれに限定されず、複数の選択溝40の出口の1つ1つに対応する位置にそれぞれ独立した円形の貫通孔として形成される複数の開口からなるものであっても良いし、これらの複数の開口に加え、更にこれらの2つ以上開口を繋ぐ貫通接続開口を含むものであっても良い。この貫通接続開口の幅は円形の貫通孔の直径以下であれば良い。
【0038】
図1(b)に示すように、搬送部30の粒体通路32は、トラフ12の基端12cから所定距離D1までの搬送上流側の領域(D1)と、トラフ12の先端12dから所定距離D2までの搬送下流側の領域(D2)と、搬送上流側の領域(D1)と搬送下流側(D2)の領域との間の所定距離D3の中間領域(D3)とを有する。
まず、粒体通路32の内、トラフ12の基端12cから所定距離D1までの搬送上流側の領域(D1)は、排出開口50が形成されていない領域であって、供給部16からトラフ12の基端12cに供給された混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子を分別するためにそれぞれ整列させるための整列領域である。
【0039】
即ち、整列領域(D1)では、供給部16からトラフ12の基端12cに供給された混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子を、少なくとも進行方向Fとその逆方向に往復する振動する粒体通路32上において、傾斜底面33の作用により通路壁34の内壁面35の側に転がすと共に、振動により進行方向Fとその逆方向に往復運動をさせて、1個1個に分離して順序良く整列させ、非球形状粒子については分離するだけでなく、その長手方向(長径方向)が進行方向Fとなるように、即ち進行方向Fに一致するように整列させ、非球形状粒子は短径側の底面と側面とをそれぞれ、球形状粒子は底面と側面とをそれぞれ粒体通路32の傾斜底面33と通路壁34の内壁面35とに接触させて搬送する。
ここで、整列領域(D1)の長さD1は、混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子を1個1個に分離して順序良く整列させるのに必要な長さであるので、分別の対象となる混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子の形状、サイズ、処理量等に応じて適宜設定すれば良い。
【0040】
次に、粒体通路32の内、搬送上流側の領域(D1)と搬送下流側(D2)の領域との間の所定距離D3の中間領域(D3)は、排出開口50が形成されている領域であって、整列された混合粒体の中から非球形状粒子と球形状粒子とを分別するための分別領域である。
即ち、分別領域(D3)では、整列領域(D1)で整列された混合粒体の中の非球形状粒子を、短径側の底面と側面とをそれぞれ粒体通路32の傾斜底面33と通路壁34の内壁面35とに接触させた状態で、選択溝40の溝幅より長い長手方向の長さにより選択溝40を跨ぐようにして搬送すると共に、混合粒体の中の球形状粒子を、粒体通路32に設けられた選択溝40に捕捉して転動させて排出開口50に排出することにより分別する。排出開口50から排出された球形状粒子は、第2回収部24に回収される。
ここで、分別領域(D3)の長さD3は、混合粒体の中から非球形状粒子を残して球形状粒子を捕捉して分別するのに必要な長さであるので、分別の対象となる混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子の形状、サイズ、含有量、処理量等に応じて適宜設定すれば良い。
【0041】
次に、粒体通路32の内、トラフ12の先端12dから所定距離D2までの搬送下流側の領域(D2)は、排出開口50が形成されていない領域であって、混合粒体の中から球形状粒子が分別されて残った非球形状粒子を回収するためにトラフ12の先端12dまで搬送するための非球形状粒子の搬送流域である。
即ち、搬送領域(D2)では、分別領域(D3)で混合粒体の中から球形状粒子が分別されて残った非球形状粒子を整列された状態、即ち、短径側の底面と側面とをそれぞれ粒体通路32の傾斜底面33と通路壁34の内壁面35とに接触させた状態で、粒体通路32の終端(トラフ12の先端12d)まで搬送し、粒体通路32の終端からトラフ12の外部に排出する。粒体通路32の終端から排出された非球形状粒子は、第1回収部22に回収される。
ここで、搬送領域(D2)の長さD2は、混合粒体の中から球形状粒子を除去して分別されて残った非球形状粒子を搬送するのに必要な長さであるので、非球形状粒子の形状、サイズ、処理量等に応じて適宜設定すれば良い。
【0042】
図1(a)に示す振動源14は、トラフ12を少なくとも粉体の進行方向Fとその逆方向に往復振動させるものである。振動源14によるトラフ12の振動により、粒体を、
図2(a)に示す粒体通路32上に載せて整列させて搬送し、粒体中の非球形状粒子を粒体通路32の終端から排出させると共に、粒体中の球形状粒子を選択溝40に捕捉し、排出開口50から排出させることができる。
ここで、粒体を搬送するための振動源14によるトラフ12の周波数及び振幅は、粒体を粒体通路32上に載せて整列させて搬送し、粒体中の非球形状粒子を粒体通路32の終端から排出させると共に、粒体中の球形状粒子を選択溝40に捕捉し、排出開口50から排出させることができれば特に限定されるものではなく、粒体通路32、選択溝40及び排出開口50等の形状やサイズ、並びに分別の対象となる混合粒体中の非球形状粒子及び球形状粒子の形状、サイズ、処理量等に応じて適宜設定すれば良い。
【0043】
なお、トラフ12の振動は、少なくとも、粒体の進行方向F及びその逆方向を往復する振動を含んでいる必要があるが、その他の振動方向の成分を含んでいても良い。トラフ12の振動パターンは、例えば、粒体の進行方向Fの1次元方向に往復動する線状振動パターンであっても良いが、進行方向Fを含み、面Hに対して垂直(鉛直)な方向からなる面内を進行方向F及び垂直方向に往復動する2次元振動パターン、例えば、楕円振動パターンや円形振動パターン等であっても良く、進行方向Fを含み、面Hに対して水平な方向及び面Hに対して斜めの方向のうち、少なくとも1つの方向を含むものであっても良く、これらの方向を組み合わせても良い。なお、トラフ12が水平に配置されている場合や、傾斜角度θが小さい場合には、2次元振動パターンとするのが好ましい。
【0044】
また、トラフ12を振動させる際に、振動方向毎に、振動周波数及び振幅、又は振動速度(振動周波数×振幅)のうち、少なくとも1つを変えてもよい。
振動源14としては、トラフ12を振動させて粒体を搬送させることができる振動源であれば、本発明は特に制限的ではなく、どのようなものでも良く、公知のものを利用可能である。例えば、振動源14としては、公知のパーツフィーダや振動フィーダの振動源を用いることができ、これらに利用されている各種のアクチュエータを用いた振動装置、及びモータ等の駆動源とカムとを用いた振動装置等を利用することができる。公知の振動装置においても、所望のカムプロファイルによって本発明の分別装置に要求される所定の振動パターンを得ることができる。
【0045】
図示例においては、支持台18に振動可能に支持されたトラフ12の基端12cを振動源14の振動部分に取り付けて、振動源14によってトラフ12を振動させているが、本発明はこれに限定されず、振動源14の振動部分へのトラフ12の取付はどのように行っても良く、従来公知の取付方法を用いることができ、例えば、振動源14の振動部分を支持台18に組み込み、振動源14の振動部分によってトラフ12の裏面12bを支持する構成としても良い。
【0046】
供給部16は、非球形状粒体と球形状粒体との混合粒体をトラフ12の
横方向Wの略全域において均等にトラフ12の基端12c側から各粒体通路32に供給するものである。なお、供給部16としては、混合粒体をトラフ12の
横方向Wの全域において均等にトラフ12の基端12c側から各粒体通路32に供給することができるものであれば、本発明は特に制限的ではなく、どのようなものでも良く、従来公知のものを利用可能である。供給部16として、例えば、トラフ12の
横方向Wの略全域に亘り混合粒体を排出することができるホッパーと供給口とを有するロールフィーダ等を用いることができる。
【0047】
図1に示す第1回収部22は、粒体通路32を搬送され、粒体通路32の終端となるトラフ12の先端12dから排出される非球形状粒体を回収するためのものである。第1回収部22としては、非球形状粒体を回収することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。第1回収部22としては、例えば、金属、木材または紙等で構成された箱及び袋を用いることができる。
図1に示す第2回収部24は、粒体通路32中の選択溝40に捕捉され、排出開口50からトラフ12の外部に排出される球形状粒体を回収するためのものである。
第2回収部24は、第1回収部22と同じく、分別された球形状粒体を回収することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。上述の第1回収部22と同様に、例えば、金属、木材または紙等で構成された箱及び袋を用いることができる。
本発明の分別装置は、基本的に以上のように構成されるものである。
【0048】
次に、本発明の分別装置の作用について説明する。
図4(a)は、本発明の実施形態の分別装置による粒体の分別を説明するための模式的平面図であり、(b)は、
図4(a)のIVB−IVB線断面図である。
図1(a)に示す分別装置10において、まず、振動源14を駆動させてトラフ12を振動方向となる粒体の進行方向F及び逆方向に振動させ、混合粒体を一対の粒体通路32a、及び32b上を進行方向Fに沿って搬送可能な状態にする。
本実施形態では、混合粒体として、例えば、ライ麦Rと球形状種子S(以下、単に種子Sという)との混合粒体を一例として説明する。ライ麦Rが長粒体である非球形状粒子に該当し、種子Sが球形状粒子に該当する。なお、ライ麦Rの有効長径(平均長径)は、種子Sの有効直径(平均直径)より大きく、例えば約3倍程度であり、ライ麦Rの有効短径(平均短径)と種子Sの有効直径(平均直径)は略等しいものとする。
【0049】
このように、本発明の分別装置10は、非球形状粒子の有効長径と球形状粒子の有効直径とは明確に異なるが、非球形状粒子の有効短径と球形状粒子の有効直径とが略等しいライ麦Rと種子Sとの混合粒体中のライ麦Rから種子Sを分別するのに好適な分別装置である。その理由は、有効直径が異なる球形状粒子の分別や、非球形状粒子の有効短径と球形状粒子の有効直径(平均直径)とが明確に異なる粒子の分別には、強制篩等の従来公知の分別方法や分別装置により分別できるが、非球形状粒子の有効短径と球形状粒子の有効直径とが略等しい場合には、これらの従来公知の分別方法や分別装置により分別できないからである。
【0050】
ライ麦Rと
種子Sとの混合粒体を供給部16に予め充填しておく。そして、供給部16から混合粒体をトラフ12の基端12cの略全域に均等に供給する。
トラフ12の基端12cの略全域に均等に供給された混合粒体は、各搬送部30の一対の粒体通路32(32a、32b:
図4参照)上に落ちて移動する。
次いで、粒体通路32では、
図4(a)に示すように、トラフ12の基端12cから所定距離D1までの搬送上流側の整列領域(D1)において、混合粒体中の球形状粒子及び非球形状粒子を1個1個に分離すると共に、球形状粒子を、その底面及び側端面がそれぞれ傾斜底面33及び通路壁34の略垂直な内壁面35に接触した状態に整列させ、非球形状粒子を、その長手方向(長径方向)を粒体通路32の進行方向Fに向けて、その短径側の底面及び側端面がそれぞれ傾斜底面33及び内壁面35に接触した状態に整列させて搬送する。
【0051】
次に、搬送部30の一対の粒体通路32(32a、32b)では、トラフ12の中央部の所定距離D3の分別領域(D3)において、搬送されているライ麦R及び種子Sの内の種子Sを選択溝に捕捉して分別する。
例えば、
図4(a)及び(b)に示すように、粒体通路32aにはライ麦Rと種子Sとが、粒体通路32bにはライ麦Rが、それぞれ傾斜底面33及び通路壁34の内壁面35に接触した状態で搬送されているものとする。
粒体通路32a及び32bにおいて、ライ麦Rはその長手方向を進行方向Fに向け、その短径側の測端面を内壁面35に接触させて搬送されており、ライ麦Rの長径(長手方向の長さ)は、選択溝40の溝幅tに略等しいその窪み42のサイズ(円形の窪みの直径)tよりも長いので、ライ麦Rは、複数の選択溝40を跨いで通り抜けることができる。その結果、ライ麦Rは、トラフ12の先端12dから所定距離D2までの搬送下流側の搬送領域(D2)に入り、粒体通路32a及び32bの終端であるトラフ12の先端12dまで搬送されて先端12dから落下し、最終的に
図1(a)に示す第1回収部22に回収される。
【0052】
一方、
図4(a)及び(b)に示すように、種子Sは、その直径が選択溝40の溝幅tに略等しいその窪み42のサイズ(円形の窪みの直径)tよりも小さいため、ライ麦Rと共に搬送されている種子Sは、搬送されている間に選択溝40の窪み42に至ると、窪み42に捕捉される。この時、種子Sは、窪み42の壁面42aに衝突し、種子Sに排出開口50に向う力が作用する。種子Sにはこの力が作用すると共に、また、図示例では選択溝40の傾斜底面44は排出開口50に向かって傾斜しているので、選択溝40の窪み42に捕捉された種子Sは、排出開口50に向かって傾斜底面44を種子Sが転がり
、排出開口50まで案内され、排出開口50からトラフ12の外部に排出されて、最終的に
図1(a)に示す第2回収部24に回収される。分別装置10では、このようにしてライ麦Rと
種子Sとを分別し、別々に回収することができる。
【0053】
上述のように、分別装置10においては、ライ麦R等の一方向に長い非球形状粒体(長粒体)と、このような非球形状粒体の短径(有効短径)に略等しい直径(有効直径)を持つ
種子S等の球形状粒体とが混合されている場合に、従来のふるい網を用いた方法では分別できなかった、非球形状粒体と球形状粒体との分別が可能である。
なお、本実施形態の分別装置10は、ライ麦Rと種子Sとの混合粒体等の、夾雑物が混入した穀物の分別に限定されるものではない。分別装置10は、穀物以外に、工業的に利用される一方向に長い非球形状粒体と見做せる部品または部材と、球形状粒体と見做せる部品または部材の混合粒体について、一方向に長い非球形状粒体部品または部材と球形状粒体部品または部材との分別に利用することもできる。
【0054】
以上、本発明の分別装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。