(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルが直線部及び湾曲部を備え、前記コイルと同一平面の平面に垂直な方向の前記磁石ユニットの投影像が前記コイルの前記直線部のみを覆っている、請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
前記コイルが第1のコイル及び第2のコイルを備え、前記コイルアセンブリがさらに、前記第1及び第2のコイル間に配置された内側冷却部材と、第1及び第2の外側冷却部材とを備え、前記第1及び第2のコイル及び前記内側冷却部材が、前記第1及び第2の外側冷却部材間に積み重ねられている、請求項1から9の何れかに記載の電磁アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0026]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射又は他のいずれかの適切な放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1の位置決めデバイスPMに接続された支持構造又はパターニングデバイス支持体(例えばマスクテーブル)MTと、を含む。また、この装置は、基板(例えばレジストでコーティングしたウェハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2の位置決めデバイスPWに接続された基板テーブル(例えばウェハテーブル)WT、又は「基板支持体」も含む。装置はさらに、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSも含む。
【0013】
[0027] 照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気型等の光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
【0014】
[0028] 支持構造は、パターニングデバイスを支持、すなわちその重量を支えている。支持構造は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0015】
[0029] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0016】
[0030] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0017】
[0031] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
【0018】
[0032] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0019】
[0033] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル又は「基板支持体」(及び/又は2つ以上のマスクテーブル又は「マスク支持体」)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブル又は支持体を並行して使用するか、又は1つ以上の他のテーブル又は支持体を露光に使用している間に1つ以上のテーブル又は支持体で予備工程を実行することができる。
【0020】
[0034] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用可能である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0021】
[0035]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0022】
[0036] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0023】
[0037] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2の位置決めデバイスPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)の助けを借りて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1の位置決めデバイスPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造(例えばマスクテーブル)MTの移動は、第1の位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWT又は「基板支持体」の移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造(例えばマスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MA及び基板Wは、パターニングデバイスマスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイス(例えばマスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスマスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0024】
[0038] 本発明の一実施形態によれば、第1又は第2の位置決めデバイスPM、PWは、コイルアセンブリ及び磁石アセンブリを有する1つ以上の電磁アクチュエータを備えることができる。本発明の一実施形態によれば、コイルアセンブリに対する磁石アセンブリの重量比は、電力に対する力の比が最大化された場合のコイルアセンブリに対する磁石アセンブリの重量比よりも小さい。本発明の一実施形態によれば、そのようなアクチュエータを、例えば支持体を位置決めするためにリソグラフィ装置に適用する場合、アクチュエータの磁石アセンブリを支持体に搭載し、コイルアセンブリを、(静止)フレームか、又はロングストローク位置決めデバイス(例えばH−ドライブ又は平面モータ)等の可動部材に搭載する。以下で詳述するように、上述の重量比を低減させるために様々な対策を講じることができる。そのような対策をとることで、加速される総質量を減少させることができる。この質量は、支持体と、支持される物体(例えば基板又はパターニングデバイス)と、適用されるアクチュエータの1つ又は複数の磁石アセンブリと、を含む。以下で例示するように、多数のアクチュエータを適用する(例えば異なる方向の力を発生させるため)必要がある場合、これらのアクチュエータの磁石アセンブリ(このような磁石アセンブリは支持体に接続又は搭載されている)の重量は、達成可能な加速度レベルを制約する要素となり得る。このため、電力に対する力の比が最大化された既知のアクチュエータを再設計することで、加速される質量すなわちアクチュエータの磁石アセンブリの質量の減少によって、いっそう高い加速度レベルを可能とするアクチュエータを提供することができる。
【0025】
[0039] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
1.ステップモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」及び基板テーブルWT又は「基板支持体」は基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWT又は「基板支持体」がX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
2.スキャンモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」及び基板テーブルWT又は「基板支持体」は同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」に対する基板テーブルWT又は「基板支持体」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
3.別のモードでは、支持構造(例えばマスクテーブル)MT又は「マスク支持体」はプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWT又は「基板支持体」を移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWT又は「基板支持体」を移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0026】
[0040] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0027】
[0041]
図2に、2種類のモータについて、加速される総質量及び加速されるモータ質量を加速度の関数として示す。2種類のモータとは、
−単位電力当たりの発生力に関して最適化された典型的な電磁アクチュエータ、及び
−本発明による電磁アクチュエータ、である。
【0028】
[0042]
図2において、グラフ120は、本発明の一実施形態による典型的なアクチュエータを用いた場合の、8.5kgの所与のペイロード質量(ペイロード質量とは、加速される質量から、適用されるモータ又はアクチュエータを除いたものを示す)について、加速される総質量Mを加速度Aの関数として表す。グラフ130は、加速されるアクチュエータ(又はモータ)の対応する質量を表す。同様に、グラフ100及び110は、既知のアクチュエータについて、加速される総質量及び対応するモータ質量を表す。これらを見てわかるように、本発明の一実施形態に従ってアクチュエータを最適化すると、加速する必要のあるモータ質量が小さくなり、高い加速度レベルを得ることができる。グラフ140及び150は、本発明の一実施形態による典型的なアクチュエータ及び既知のアクチュエータのそれぞれについて、達成可能な最大加速度を示す。
図2では、支持質量が8.5kgで、加速度が一方向のみ(例えばY方向又はスキャン方向)において必要であるという、パターニングデバイスの典型的な装填状況を示している。
] このような状況において、加速される総質量は以下のように求めることができる。
【0029】
【数1】
ここで、M
pay=加速される質量ペイロード(kg)、
M
motor=加速されるモータ質量(kg)、
Acc=加速度設定点(m/s2)
Kmotor=Kgモータ当たりのモータ力(N/kg)である。
【0030】
[0043]
図3に、2方向(x、y)で加速される基板支持体について、同様のグラフが示されている。グラフ220は、本発明の一実施形態による典型的なアクチュエータを用いた場合の、36.5kgの所与のペイロード質量(ペイロード質量とは、加速される質量から、適用されるモータ又はアクチュエータを除いたものを示す)について、加速される総質量Mを加速度Aの関数として表す。グラフ230は、加速されるモータの対応する質量を表す。同様に、グラフ200及び210は、既知のアクチュエータを用いて加速される総質量及び対応するモータ質量を示す。
図2の装填状況に比べ、基板支持体は、Y方向(又はスキャン方向)及びスキャン方向に垂直なX方向の双方において加速度を必要とする。従って、少なくとも2つのアクチュエータが必要である。このため、加速される総質量は以下のように求めることができる。
【0031】
【数2】
式(2)からわかるように、モータ質量自体は総質量において2倍に増大する。従って
図2及び
図3は、加速する必要があるモータ部分の質量の重要性を示している。本発明の一実施形態によれば、本発明の一実施形態に従ったアクチュエータの磁石アセンブリの重量を最小限に抑えるための対策が提案される。そのような磁石アセンブリを例えば本発明による支持体に用いる場合、従来の支持体に比べて、加速される質量が減少する。
【0032】
[0044]
図4に、本発明の一実施形態による電磁アクチュエータを概略的に示す。左側に、磁石アセンブリ及びコイルアセンブリを備えたアクチュエータのYZ断面図を示す。図示のように、磁石アセンブリは第1及び第2の磁石ユニット360、370を備え、これらの各々は、磁石ヨーク365、375及び複数の永久磁石366、376を備えている。磁石アセンブリの磁石ユニットは磁石回路380を形成し、ここにコイルアセンブリ350が配置されている。コイルアセンブリは、図示する例において2つの冷却部材356間に積層されたコイル355を備えている。
図4の右側に、コイル355のXY断面を概略的に示す。これと共に図示する輪郭線390は、コイル355の平面上の、1つの磁石ユニットに含まれる複数の永久磁石の外形の投影像を表す。この図を見てわかるように、コイル355は典型的に、コイルを形成する導体がX方向に延出している直線部357と、湾曲部358と、を有する。本発明の一実施形態によれば、コイルと同一平面の平面(すなわち
図4のXY平面)に垂直な方向の磁石ユニットの投影像は、コイルの湾曲部358を覆わずに、コイル355の直線部357のみを覆う。典型的には、電磁アクチュエータの磁石ユニット(又はその永久磁石)は、コイルの大部分を覆うように延出するので、1つ又は複数のコイルの湾曲部分(の一部)を含む。しかしながら、これらの部分は、所望の方向(すなわち
図4のY方向)に力を発生させることには有効でない。これを概略的に表す
図5に、コイル400及び磁石ユニット(又はその永久磁石)の典型的な輪郭線410が示されている。図からわかるように、輪郭線410は、コイルの湾曲部及び直線部の双方を覆っている。矢印420は、コイルが励磁された場合にコイルの右側で発生する力を示す。これを見てわかるように、X方向の力の成分は打ち消し合うので、X方向では正味の力は得られないことに留意すべきである。Y方向の力の成分、すなわちY方向の力の発生に寄与する成分は、湾曲部の方が小さいことがわかる。このため、コイルアセンブリのコイルの直線部の外まで磁石ユニットを延出させると、磁石アセンブリの重量が、得られる力に対して不釣り合いに増大することが避けられなくなる可能性がある。
【0033】
[0045] 本発明の一実施形態によれば、磁石アセンブリの磁石ユニットは、
図4には示していないホルダによって保持される。本発明の一実施形態では、ホルダは、磁石ユニットを保持するためのC形状の部材を備えている。
【0034】
[0046] 一実施形態において、ホルダは、支持体又は物体ホルダに実質的に堅固に搭載されるように適合されている。典型的に、アクチュエータは、リーフスプリング又は板ばね等を用いて支持体に搭載される。支持体(より具体的には、支持体に磁石ユニットを保持するホルダ)にアクチュエータを直接搭載すること(又は実質的に堅固に搭載すること)によって、加速する質量をいっそう減少させることが可能となる。さらに、例えばホルダを支持体に糊付け又はボルト留めすることで実現可能である直接搭載は、比較的高い固有振動数を達成することができるので、動的挙動の向上が得られる。この結果、支持体の正確な位置決めを可能とする高いサーボ帯域幅がもたらされる。
図6a及び
図6bに、ホルダ600を含む本発明の一実施形態によるアクチュエータを概略的に示す。図示する実施形態において、ホルダ600はC形状の部材を有し、例えば糊付けによって支持体610に堅固に搭載されている。図示する実施形態では、ホルダに搭載された磁石ユニット360及び370の双方を見ることができる。一実施形態において、磁石ユニットは、例えば糊付け、ボルト留め、又は他のタイプの接合によって、実質的に堅固にホルダに搭載することができる。
図6a及び
図6bはコイルアセンブリ350も示す。これは、
図6aで見られる通り、磁石アセンブリよりも(X方向に)実質的に長いので、磁石ユニットが磁石アセンブリの1つ又は複数のコイルの湾曲部に重ならないことが示される。
【0035】
[0047] ホルダ600を介してアクチュエータを支持体に対して実質的に堅固に搭載するので、アクチュエータの磁石アセンブリと、例えば基板又はパターニングデバイスを支持する支持体との間の熱的接触が増大する。このため、支持体に対する熱負荷が確実に許容可能範囲内に収まるように注意しなければならない。本発明の一実施形態によって、支持体に対するアクチュエータの熱負荷、特にアクチュエータの磁石アセンブリの熱負荷の悪影響を軽減するために、いくつかの対策を提案する。このようなアクチュエータの熱負荷の悪影響には、支持体が変形することや、支持された物体に望ましくない熱負荷が加わって、例えば望ましくない熱膨張が起こることが含まれ得る。
【0036】
[0048] このような影響を軽減するために、一実施形態におけるホルダは、ゼロデュア(Zerodur)又はコーディエライト等の熱膨張率が低い材料から作成される。熱膨張率が低いので、ホルダは支持体610をほとんど変形させない。
【0037】
[0049] 支持体に起こり得る変形に関して、本発明の一実施形態ではさらに、特定の搭載順序が与えられる。磁石ユニット間の磁気吸引力によって生じる支持体の変形を回避又は軽減するため、支持体にホルダを搭載する前に、ホルダにアクチュエータの双方の磁石ユニットを搭載することが提案される。この点において、磁石ユニット間には数N〜100Nの吸引力が生じる可能性があり、これがホルダを変形させ得ることに留意すべきである。これは静的で、(時間に関して)一定の変形であるので、この後ホルダを支持体に搭載すると必ずしも支持体の変形が起こるわけではない。そういった支持体の変形は以下の理由で回避するべきである。通常、このような支持体には、基板等の物体を支持するための平坦な支持面が設けられ、これは表面の平坦性についての厳しい要求を満足させなければならない。支持体にホルダを搭載した後でホルダに磁石ユニットを搭載すると、支持体表面に変形が生じ得る。
【0038】
[0050] 上述のように、支持体にアクチュエータのホルダを堅固に直接搭載するので、アクチュエータの熱負荷の悪影響を最小限に抑えるように注意しなければならない。
【0039】
[0051] 本発明の一実施形態に従って、アクチュエータの熱負荷を軽減するためにいくつかの対策を提案する。
【0040】
[0052] 永久磁石又は磁石ヨークにおける渦電流の発生を抑制するため、永久磁石に1つ以上のスリットを設けること、又は永久磁石を小さい部分に分割することが提案される。これは例えば
図6a及び
図6bで見ることができ、磁石ユニットの永久磁石はいくつかの小さい磁石620を備えている。同様に、磁石ヨーク365及び375にスリットを設けることができる。特定の実施形態では、磁石ユニットは、ホルダに別個に搭載される2つ以上の別個の部分を備えている。これは
図6aで見ることができ、各磁石ユニット(磁石ヨーク365、375及び永久磁石620を備える)は、スリット630で分離された2つのユニットを備えている。こうすることで、ホルダ600に加わる熱応力(これは支持体の変形を引き起こす恐れがある)をさらに軽減することができる。渦電流は、磁石ヨークに積層鉄を適用することでさらに抑制可能である。これらの対策を講じることにより、磁石ユニットにおける渦電流の発生を大きく抑制することができる。
【0041】
[0053] 支持体に対するアクチュエータの熱負荷をさらに軽減するため、磁石ユニットに冷却部材を設けることができる。そのような構成を
図7に概略的に示す。
図7は、本発明の一実施形態による電磁アクチュエータの一部のYZ図(
図6bのYZ図と類似のもの)を示す。このアクチュエータは2つの磁石ユニットを備え、そのうち上側の磁石ユニット(磁石ヨーク365及び永久磁石アレイ366を備える)のみが見えている。磁石ユニットはホルダ600に搭載されている。このアクチュエータはさらに、磁石ユニットの磁石ヨーク365の外面に搭載された冷却部材710を備えている。冷却部材は、例えばXZ平面に垂直なY方向で磁石ヨークの全長に沿って延出することができる。冷却部材710は、例えば水等の冷却流体を冷却部材710に供給するための入口及び出口を設けることができる。任意選択として、磁石ヨーク365の外面に第2の冷却部材715を搭載することも可能である。双方の冷却部材は、共通の又は別個の冷却液供給部を有することができる。
【0042】
[0054] 本発明の一実施形態によって、さらに、コイルアセンブリの冷却を向上させることを提案する。一実施形態では、コイルアセンブリは第1のコイル及び第2のコイルを備え、コイルアセンブリはさらに、第1及び第2のコイル間に配置された内側冷却部材と、第1及び第2の外側冷却部材とを備え、第1及び第2のコイル及び内側冷却部材は、第1及び第2の外側冷却部材間に積層されている。
図8に、そのような構成の断面図を示す。これと共に、この構成の内側又は外側冷却部材として適用可能な冷却部材の断面図も示す。
図8の右側に、第1のコイル810及び第2のコイル820を備えるコイルアセンブリを概略的に示す。第1及び第2のコイル間に内側冷却部材830が積層され、第1及び第2の外側冷却部材840及び850がコイル810及び820を囲んでいる。
図8の左側に、(ライン860で切断した)冷却部材840の断面図を概略的に示す。この断面図では、矢印880が、供給部882から排出部884までの冷却液が流れ得る方向を示す。冷却部材は、2枚の板を分離させることで冷却液の冷却経路を形成するための複数のスペーサ845を備えている。一実施形態では、特に外側冷却部材について、スペーサ845の断面積は比較的小さい。外側冷却部材の外面842及び852は、(例えば放射による)熱負荷を生じないように、実質的に冷却流体の温度に維持されなければならない。従って、冷却部材の内面(これはコイルに近く、従って高温である)間の熱的な短絡は、できる限り小さく抑えなければならない。
【0043】
[0055] 一実施形態において、内側及び外側冷却部材は、冷却液のための共通の供給システムを有することができる。このような構成では、冷却液は最初に外側冷却部材に供給され、その後、冷却液は内側冷却部材830に供給される。
【0044】
[0056] コイルは、例えば直列に接続された銅の巻きコイルから成ることができる。
【0045】
[0057]
図9に、本発明の一実施形態による支持体900を概略的に示す。これと共に、本発明に従った4つの電磁アクチュエータの4つの磁石アセンブリ360、370及びホルダ600を図示する。4つのアクチュエータによって、支持体をX方向及びY方向に正確に位置決めすることが可能となる。XY平面は支持体の支持表面920と同一平面であり、支持体の回転はXY平面に垂直なZ軸を中心としたものである。
図9では、アクチュエータによって発生することができる力の方向を矢印930で示す。この力が支持体の重心を通らないようにすることで、Z軸を中心とする回転を実現可能である。図示のような4つのアクチュエータの適用に対する代替案として、例えば支持体を加速するための力の要求に応じて、各々の側又は2つの対向側に、1つでなく少なくとも2つのアクチュエータを設けてもよい。
【0046】
[0058] 磁石ユニットをC形状のホルダに搭載することの代替案として、開口部を有するホルダに磁石ユニットを搭載し、続いてホルダの側面を支持体に搭載することも可能である。
【0047】
[0059]
図10に、そのようなアクチュエータを概略的に示す。
図10の上側に、アクチュエータの磁石アセンブリ360、370及びコイルアセンブリ350のXZ図を示す。磁石アセンブリはホルダ1000に搭載され、ホルダ1000は側面1010によって支持体に搭載することができる。
図11も参照のこと。下側に、アクチュエータの磁石アセンブリ360、370及びコイルアセンブリ350のYZ図を示す(Yは、アクチュエータが発生することができる力の方向である。この図を見てわかるように、磁石アセンブリ360、370は内面1020に搭載されている。
【0048】
[0060]
図11は、
図10に示すようなアクチュエータが4つ搭載されている支持体を概略的に示す。
【0049】
[0061] 上側に、支持体1100の正面図を示し、支持体1100に側面1010を介して搭載されたアクチュエータホルダ1000の切取図も示す。
図11の下側には、発生することができる力の方向(矢印1030で示す)を含むアクチュエータ及び支持体の上面図を示す。
【0050】
[0062]
図12に、本発明の一実施形態による支持体1200を概略的に示す。これと共に、本発明の一実施形態による8つの電磁アクチュエータの8つの磁石アセンブリ360、370及びホルダ600を示す。8つのアクチュエータは、支持体の4つの側に対になって配置され、支持体をX方向及びY方向に正確に位置決めすることを可能とする。XY平面は支持体の支持表面1220と同一平面であり、支持体の回転はXY平面に垂直なZ軸を中心としたものである。
図12では、アクチュエータが発生することができる力の方向を矢印1230で示す。代替的な実施形態では、同時焼成(co-fired)支持体1200と組み合わせて、プルオンリーリラクタンスアクチュエータ(pull-only reluctance actuator)を用いることができる。
【0051】
[0063] 前述のように、例えば支持体にホルダを糊付け又はボルト留めすることで実現可能である、支持体へのアクチュエータの実質的に堅固な搭載によって、比較的高い固有振動数を実現することができるので、動的挙動の向上が得られる。この結果、支持体の正確な位置決めを可能とする高いサーボ帯域幅がもたらされる。この堅固な搭載のために、熱伝達について追加の対策を講じる必要があり得る。そのような対策は例えば、スリットを形成した磁石又は磁石ヨークを用いること、磁石アセンブリ又はコイルアセンブリ上で冷却部材を用いること、積層鉄又は鉄合金を用いることを含む。
【0052】
[0064] 一実施形態において、本発明による支持体は、上述したアクチュエータのような1対のアクチュエータを備え、このアクチュエータ対の第1のアクチュエータの磁石アセンブリの磁界分布は、アクチュエータ対の第2のアクチュエータの磁界分布の鏡像となる。そのような構成を
図13に概略的に示す。
図13は、1対のアクチュエータ1310.1及び1310.2を搭載した支持体1300の断面図を概略的に示す。対又はアクチュエータの各アクチュエータは、コイルアセンブリ1320.1及び1320.2と、磁石アセンブリ1330.1及び1330.2とを備えている。本発明のこの実施形態によれば、磁石アセンブリの永久磁石は、第1のアクチュエータ1310.1の磁石アセンブリにより発生される磁界分布が、第2のアクチュエータ1310.2の磁石アセンブリにより発生される磁界分布の鏡像となるように配置されている。本発明によれば、鏡像は、アクチュエータの公称力方向に実質的に垂直な平面、すなわち先に示したx方向を基準として考えられる。例えば
図13に示すようなアクチュエータ及び支持体の断面について考えると、第1のアクチュエータの磁石アセンブリの磁石は反時計方向の磁束1340.1を発生し、第2のアクチュエータの磁石アセンブリの磁石は時計方向の磁束1340.2を発生する。これは、(磁石内の矢印で示すような)永久磁石の磁極の向きと、対応する磁束1340.1及び1340.2とから見ることができる。
【0053】
[0065] 本発明者等によって、1対のアクチュエータをこのように配置することで、いくつかの寄生効果を打ち消すことができると考えられている。これは以下のように理解することができる。
最適な動作のため、支持体の制御性に関して、磁界分布は均質かつコイルアセンブリの1つ又は複数のコイルに対して垂直な方向でなければならない。このような磁界に、コイルを流れる電流が印加されると、力が発生する。この力は、コイル及び磁石アセンブリの相対的な位置に関係なく実質的に一定のままであり、コイルに印加された電流に実質的に比例する。しかしながら実際には、磁界は少なくともある程度は非均一な場(field)である。さらに、コイル又はコイルアセンブリを流れる電流によっても磁界が発生し、この磁界は磁石アセンブリにより発生する磁界と相互作用するので、磁界は一定でない。磁石アセンブリにより発生する磁界が非均一であると共に、磁石アセンブリにより発生する磁界とコイルを流れる電流が発生する磁界との間の相互作用があるので、以下の寄生効果が発生する可能性がある。
−所与の電流について、アクチュエータが発生する力は、磁石アセンブリに対するコイルアセンブリの位置に依存し得る。
−アクチュエータが発生する力は、印加された電流に比例しないことがある。
寄生効果は、以下の式を用いて数学的にモデル化することができる。
【0054】
【数3】
ここで、
Fh=水平方向hで発生した力、
Fv=垂直方向vで発生した力、
h、v=磁石アセンブリに対するコイルアセンブリの水平位置及び垂直位置のオフセット、
i=コイルアセンブリに印加される電流、
Ai、Bi=パラメータh、v、i、及び力成分の間の比率を表す係数である。
図14に電磁アクチュエータ1410を概略的に示す。この図において、軸h及びvは、それぞれ水平方向h及び垂直方向vを表す。
図示するアクチュエータ1410は、コイルアセンブリ1420及び磁石アセンブリ1430を備えている。コイルアセンブリに電流iを印加すると、式(1)で与えられる力成分Fh及びFvを発生させることができる。ここでh及びvは、
図14に示すような公称(中央)位置に対するコイルアセンブリ1420のオフセットを表す。従って、アクチュエータの非線形性は、アクチュエータ電流並びにコイルアセンブリ1420及び磁石アセンブリ1430の相対位置の関数であり、上に示した係数Ai及びBiを用いた多項関数として記述することができる。
【0055】
[0066] 上の式(3)から、得られる力(Fh、Fv)は、アクチュエータ電流iに対して部分的に一次であり電流に対して部分的に二次である寄生効果を含むと結論付けることができる。さらに、磁石アセンブリに対する水平方向h及び垂直方向vのコイルアセンブリのオフセットの結果として、位置に依存した一次及び二次の妨害的な(disturbing)力成分が生じる。このため、上の式(3)は以下のように再編して表すことができる。
【0056】
【数4】
ここで、
Km0=定数、
Km
1=電流iに比例する寄生力成分を表す第1の(寄生)係数、
Km
2=電流i
2に比例する寄生力成分を表す第2の(寄生)係数である。導出された式(3)(4)が与えられれば、1対のアクチュエータを適用して力を発生させる場合にアクチュエータの向きが発生する寄生力に影響を及ぼすことがわかる。これは以下のように理解することができる。すなわち、
図13を参照し、式(4)を適用すると、第1のアクチュエータ1310.1の力F1は以下によって表すことができる。
【0057】
【数5】
図13の第2のアクチュエータ1310.2の磁石アセンブリの向きが異なる(対称である(mirrored))ので、第2のアクチュエータ1310.2が発生する力F2は以下によって表すことができる。
【0058】
【数6】
このため、双方のアクチュエータに同一の公称電流iを印加すると、対向する力が発生する。アクチュエータが共働して力Frを発生するように構成され、各アクチュエータが発生する力を半分ずつ供給する場合(これは、例えば第2のアクチュエータに電流−iを印加することで実現可能である)、得られる力Frは以下のように与えられる。
【0059】
【数7】
図を見てわかるように、向きが対称である(すなわち、第2のアクチュエータにおける磁界分布の鏡像である磁界分布を第1のアクチュエータにおいて適用する)ので、電流i
2に比例する寄生力成分は相互に打ち消し合う。
図15は、電流i
2に比例する寄生力成分を打ち消す効果を例示するため、異なる構成のアクチュエータ対を概略的に示す。明確さのために、磁石アセンブリの磁石は図示せず、磁束分布(参照番号1500で示す)及びアクチュエータのコイルアセンブリ1520のみを図示する。図において、矢印1550は発生した力の方向を示す。
図15(a)では、単一のアクチュエータを適用して支持体1505に力を加える。このため、アクチュエータの力は、式(4)によって記述されるような力成分を含む。
図15(b)では、磁束分布について同一の向きを有する2つのアクチュエータを適用する。従って、発生した力は、
図15(a)の状況と同一の力成分を含む。
しかしながら
図15(c)では、下側のアクチュエータの磁界分布は、上側のアクチュエータの磁界分布の鏡像である。下側のアクチュエータに適切な向きの電流を印加することで、発生する力を、(上述したように)上側のアクチュエータと実質的に同一の方向とすることができる。異なる(対称な)磁界分布のため、電流i
2に比例する寄生力成分は相互に打ち消し合う。
アクチュエータ対を支持体の対向側に搭載すると、
図15(c)に示すものと同一の効果が得られることに留意すべきである。
図16に、このような構成を概略的に示す。
図16では、2つのアクチュエータ1610.1及び1610.2が支持体1605の対向側に搭載され、ここでは、アクチュエータ対の第1のアクチュエータ1610.1の磁石アセンブリの磁界分布1640.1が、アクチュエータ対の第2のアクチュエータ1610.2の磁界分布の鏡像であるように、アクチュエータの磁石アセンブリが構築されている。このため、双方のアクチュエータの発生した力において、電流i
2に比例する寄生力成分は、
図15(c)の構成と同様に、相互に打ち消し合うことができる。
本発明の一実施形態において、本発明に従う
図4から
図8に図示したアクチュエータを、例えば
図9、
図11、又は
図12に示すような本発明による支持体に適用することができ、この場合はアクチュエータを上述のように対に配置して、アクチュエータ対の第1のアクチュエータの磁石アセンブリの磁界分布をアクチュエータ対の第2のアクチュエータの磁界分布の鏡像とする。
この文書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及することができるが、本明細書に記載するリソグラフィ装置は、例えば集積光学システム、磁気ドメインメモリのための誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドの製造等、他の用途を有し得ることは理解されよう。このような代替的な用途の状況において、本明細書において「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を用いた場合は、それぞれ、より一般的な用語である「基板」又は「ターゲット部分」と同義と見なし得ることは、当業者には認められよう。本明細書において言及される基板は、露光の前又は後に、例えばトラック(典型的に、基板にレジスト層を塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又は検査ツールにおいて処理することができる。適用可能な場合、本明細書の開示は、そのような基板処理ツール及び他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために複数回にわたって処理することができるので、本明細書で用いられる基板という用語は、すでに多数の処理された層を含む基板も指し示す場合がある。
【0060】
[0067] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0061】
[0068] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0062】
[0069] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組合せを指すことができる。
【0063】
[0070] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。例えば、本発明の実施形態は、上記で開示したような方法を述べる機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又はこのようなコンピュータプログラムを内部に記憶したデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形態をとることができる。
【0064】
[0071] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。