(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、詳細に本発明を説明する。
上記のように、本発明のトナーは、非晶性ポリエステル及び、または、結晶性ポリエステルを含むトナーであり、トナーの揮発分測定試験においてトナーに含まれる、オクタメチルシクロテトラシロキサン量が1ppm〜30ppm以下であり、有機溶媒が10〜100ppmであることを特徴とするものである。
ここで、揮発分測定試験とは、トナー1mgをGC/MSにより測定を行いトナーに含まれるオクタメチルシクロテトラシロキサン量と酢酸エチル量を測定する試験である。
【0009】
電子写真方式のプリンタは、長時間の使用等によりトナーは、外添剤の遊離、埋没等によりトナーの劣化が発生する。特に1成分現像方式を用いてプリンタでは、トナーを規制ブレード等によりトナーを帯電させる必要があり、より高い耐久性が求められる。オクタメチルシクロテトラシロキサンは、滑剤として効果があるだけではなく、トナーの保護膜として作用し内部のトナー母体粒子表面をオクタメチルシクロテトラシロキサンで覆うことで、定着時にトナー内部の酢酸エチル等の有機溶媒の抜けが、オクタメチルシクロテトラシロキサン無しのものに比べ遅くなり、結晶性ポリエステルに作用しトナーのシャープメルト性が上昇する。
本発明のトナーは、「粉砕法トナー」であっても、重合トナーや噴霧乾燥トナー等の溶媒又は分散媒を用いてトナー母体粒子を作製する所謂「ケミカル法トナー」であってもよい。しかし、トナー母体粒子をオクタメチルシクロテトラシロキサンで均一に覆うことを考慮すると、ケミカル法がより簡便適切ともいえる。以下、主に、ケミカル法トナーの場合について説明する。
【0010】
(溶解懸濁法)
溶解懸濁法を用いてトナーを製造する方法としては、例えば、少なくとも、樹脂(樹脂前駆体を含む)及び着色剤からなるトナー組成物を、有機溶媒に溶解又は分散させることにより得られる溶解液又は分散液を、分散剤の存在する水性溶媒中で、通常の撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて、所望の粒度分布を有するトナーが得られるように分散させた後、有機溶媒を除去することによりトナースラリーを得る方法が挙げられる。トナーは、公知の方法に従い、洗浄・濾過により回収し、乾燥させることにより単離することができる。
【0011】
(使用される樹脂について)
溶解懸濁法では、溶媒に溶解させることができる樹脂であれば製造上利用することができる。具体的には、従来よりトナーに用いられている樹脂が挙げられ、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリオール樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などがある。定着性の観点から、ポリエステル樹脂が好適に用いられる。
また、良好な粘弾性特性を有するトナーを得るためには、ポリエステル樹脂の末端にイソシアネート基を有するイソシアネート変性ポリエステル樹脂を用い、トナーの製造過程でイソシアネート基同士を反応させて伸長させてトナー中に適度な架橋構造を持たせることが好ましい。
【0012】
(イソシアネート変性ポリエステル)
イソシアネート変性ポリエステルとしては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0013】
(ポリオール)
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。 ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
【0014】
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
【0015】
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0016】
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、または(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0017】
(ポリオールとポリカルボン酸の比)
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0018】
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0019】
(イソシアネート基と水酸基の比)
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
[NCO]/[OH]が5を超えると残留するポリイソシアネート化合物がトナーの帯電性に悪影響を及ぼす。
【0020】
(伸長剤)
イソシアネート変性ポリエステルを伸長させるために、伸長剤としてアミン類(B)を用いてもよい。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミンなど)、脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
【0021】
(アミノ基とイソシアネート基の比率)
アミン類(B)の比率は、イソシアネート変性ポリエステル中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満では、イソシアネート変性ポリエステルの伸長反応が十分に進行せず、本発明の粘弾性特性が得られないおそれがある。
【0022】
(イソシアネート変性ポリエステルの併用に関して)
イソシアネート変性ポリエステルは、1種類のみ用いてもよいが、例えば1種類以上の直鎖上のイソシアネート変性ポリエステルと、1種類以上の分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルを組み合わせて使用することにより、トナーの粘弾性設計を好ましく行うことができる。特にトナー中に架橋点間距離を広く取った架橋構造を均一に存在させるためには、分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルは比較的低分子量に設計し、それとともに直鎖上のイソシアネート変性ポリエステルを併用するのが好ましい。イソシアネート変性ポリエステルの分子鎖を長く設計すると、トナーの熱特性が悪化することがあるからである。その原因としては、トナー製造過程の油相中において分子鎖がランダムコイル状に収縮し、局所的に架橋構造を形成するか、分子内でイソシアネート基が反応を完結してしまい、トナー全体にわたって架橋構造を持たせることができないためであると考えられる。
【0023】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、イソシアネート変性ポリエステルとともに、イソシアネート変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル)を用いてもよい。未変性ポリエステルを用いることにより、トナーの粘弾性の設計がより行いやすくなる。未変性ポリエステルとしては、前述のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられる。
【0024】
(有機溶媒)
有機溶媒は、容易に除去することを可能とするため、沸点が100℃未満であるものを用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
水性溶媒は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶媒を併用することもできる。混和可能な溶媒としては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられる。トナー材料100質量部に対する水性溶媒の使用量は、通常、50〜2000質量部であり、100〜1000質量部が好ましい。水性溶媒の使用量が50質量部未満では、トナー材料の分散状態が悪くなるおそれがある。また、2000質量部を超えると経済的でない。
【0025】
(樹脂微粒子)
本発明に用いられる樹脂微粒子は、少なくともスチレン系モノマーからなるモノマー混合物を重合させて得られるビニル系樹脂を有することが好ましい。
【0026】
(無機分散剤)
無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ及びヒドロキシアパタイト等を用いることができる。
【0027】
(ワックス)
本発明に使用する離型剤としては、公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。上記の内、極性が小さく溶融粘度が低いという理由から好ましいものはポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素であり、特に好ましいものはパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスである。
【0028】
(着色剤)
本発明のトナーにおいて、従来からフルカラートナーで使用されている公知の着色剤を用いても良い。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。トナー粒子中における着色剤の含有量としては全バインダー樹100重量部に対し2〜15重量部の範囲が好ましい。着色剤は、使用される第1バインダー樹脂と第2バインダー樹脂との混合バインダー樹脂中に分散されたマスターバッチの形態で使用されることが分散性の観点から好ましい。マスターバッチの添加量は含有される着色剤の量が上記範囲内となるような量であればよい。マスターバッチ中の着色剤含有率は20〜40質量%が好適である。
【0029】
(ビニル系樹脂微粒子)
本発明に用いられるビニル系樹脂微粒子は、主としてビニル重合性官能基を有する芳香族化合物をモノマーとして含むモノマー混合物を重合させて得られるビニル系樹脂からなる。
トナーとして用いる着色樹脂粒子表面は帯電しやすい構造を有しているのがよく、そのためには芳香環構造のように電子を安定に存在できるような電子軌道を持つビニル重合性官能基を有する芳香族化合物がモノマー混合物のうち50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%である。ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物が50質量%未満であると、得られた着色樹脂粒子の帯電性が乏しくなる。
【0030】
ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物における重合可能な官能基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
具体的なモノマーとしては、スチレン、αメチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−カルボキシスチレンもしくはその金属塩、4−スチレンスルホン酸もしくはその金属塩、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、アリルベンゼン、フェノキシアルキレングリコールアクリレート、フェノキシアルキレングリコールメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールアクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
この中では、入手が容易で反応性に優れ帯電性の高いスチレンを主に用いるのが好ましい。
【0031】
また、本発明に用いられるビニル系樹脂には、酸モノマーを使用しないのが良い。酸モノマーを使用すると、得られるビニル系樹脂微粒子はそれ自身の分散安定性が高いため、油滴が水相中に分散された分散液中にこのようなビニル系樹脂微粒子を添加しても、常温では付着しにくいか、付着をしても脱離しやすい状態にあり、溶媒除去、洗浄、乾燥、外添処理を行う過程で容易に剥がれてしまう。さらに、酸モノマーを使用しないことで、得られる着色樹脂粒子が使用される環境によって帯電性の変化が少なくすることができる。
【0032】
(酸モノマーについて)
ビニル重合性官能基と酸基を有する化合物における酸基としては、カルボキシル酸、スルホニル酸、ホスフォニル酸などが挙げられる。
ビニル重合性官能基と酸基を有する化合物としては、例えばカルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩((メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、桂皮酸等)、スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩、リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩などがある。この中では、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキルが好ましい。
【0033】
(エステル基系のモノマーについて)
ビニル重合性官能基とエステル基を有する化合物としては、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等。ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン。ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン;ビニルスルホン、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等。
【0034】
ビニル系樹脂微粒子を得る方法としては特に限定されないが、以下の(a)〜(f)が挙げられる。
(a)モノマー混合物を懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により反応させ、ビニル系樹脂微粒子の分散液を製造する。
(b)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を製造する。
(c)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を製造する。
(d)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を製造する。
(e)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する。
(f)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する。
この中で、製造が容易であり、樹脂微粒子を分散液として得られることから次工程への適用がスムーズに行うことができる(a)の方法が好ましい。
【0035】
(a)の方法において、重合反応を行う際には、水系媒体中に分散安定剤を添加する、もしくは重合反応を行うモノマー中に、重合してできた樹脂微粒子の分散安定性を付与できるようなモノマー(いわゆる反応性乳化剤)を添加する、またはこれら2つの手段を併用し、できあがったビニル系樹脂微粒子の分散安定性を付与するのがよい。分散安定剤や反応性乳化剤を使用しないと、粒子の分散状態を維持できないためにビニル系樹脂を微粒子として得ることができなかったり、得られた樹脂微粒子の分散安定性が低いために保存安定性に乏しく保管中に凝集してしまったり、あるいは後述の樹脂微粒子付着工程での粒子の分散安定性が低下するために、芯粒子同士が凝集・合一しやすくなり最終的に得られる着色樹脂粒子の粒径や形状・表面などの均一性が悪くなるため、好ましくない。
【0036】
分散安定剤としては、界面活性剤、無機分散剤などが挙げられ、界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
【0037】
シェルを形成するビニル系樹脂は、重量平均分子量が5,000に満たないと力学的強度が弱く脆弱であるため、トナー粒子の表面が容易に変化してしまい、例えば帯電性の著しい変化や周辺部剤への付着などの汚染、それに伴う品質問題の発生を引き起こすため好ましくない。また、400,000を超えるような場合は、定着性能が悪化するため好ましくない。よって定着と耐久性を考慮した場合において、分子量は、1,0000〜50000が特に好ましいといえる。
コア表面にビニル系樹脂が付着しているかどうかは、SEMを観察することで確認することができる。
【0038】
<製造方法>
次に、トナーの製造工程に関して説明する。
(油相作成工程)
有機溶媒中に樹脂、着色剤などを溶解あるいは分散させた油相を作成する方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら樹脂、着色剤などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させればよい。ただし、着色剤として顔料を用いる場合や、ワックスや帯電制御剤などのなかで有機溶媒に溶解しにくいようなものを添加する場合、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておいてもよい。
さらに別の手段として、有機溶媒の沸点未満で溶融するようなものを分散するのであれば、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行い、一旦溶解させた後、攪拌もしくはせん断しながら冷却を行うことによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法を行っても良い。
以上の手段を用いて分散された着色剤、ワックス、帯電制御剤は、有機溶媒中に樹脂とともに溶解あるいは分散された後、さらに分散を行っても良い。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
【0039】
(トナー母体粒子作製工程)
本発明においては、芯粒子に樹脂微粒子が付着した状態のものをトナー母体粒子という。
少なくとも界面活性剤を有する水系媒体中に前述の工程で得られた油相を分散させ、油相からなるコア粒子が分散した分散液を作成する方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。5分を超えて分散を行うと、望ましくない小径の粒子が残存してしまったり、分散が過分散状態になって系が不安定になり凝集体や粗大粒子が発生したりすることがあるので好ましくない。
【0040】
分散時の温度としては、通常、0〜40℃、好ましくは10〜30℃である。40℃を超えると分子運動が活発になることから分散安定性が低下し凝集体や粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。また、0℃未満になると分散体の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため製造効率が低下する。
【0041】
界面活性剤は、前述の樹脂微粒子の製造法に関する説明で記載したものと同じものが使用できるが、溶媒を含む油滴を効率よく分散するためには、HLBが高めのジスルホン酸塩のものが好ましい。界面活性剤は、水系媒体中での濃度が1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、より好ましくは3〜7質量%の範囲にあるのが良い。10質量%を超えると、油滴が小さくなりすぎたり、逆ミセル構造を形成して逆に分散安定性が低下して油滴の粗大化が発生したりするため好ましくない。また1質量%未満では油滴の分散を安定に行うことができずに油滴が粗大化してしまうため好ましくない。
【0042】
(樹脂微粒子付着工程)
得られた芯粒子分散液は、攪拌を行っている間は安定に芯粒子の液滴を存在させておくことができる。その状態に前述のビニル系樹脂微粒子分散液を投入して芯粒子上に付着させる。ビニル系樹脂微粒子分散液の投入は、30秒以上かけて行うのが良い。30秒未満で投入を行うと、分散系が急激に変化するために凝集粒子が発生したり、ビニル系樹脂微粒子の付着が不均一になったりするため好ましくない。一方闇雲に長い時間、例えば60分を超えて添加するのは生産効率の面から好ましくない。
【0043】
ビニル系樹脂微粒子分散液は、芯粒子分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈あるいは濃縮しても良い。ビニル系樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30質量%が好ましく、8〜20質量%がより好ましい。5%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。また30質量%を超えるような場合、樹脂微粒子が芯粒子分散液中に偏在しやすくなり、その結果樹脂微粒子の付着が不均一になるため避けたほうが良い。
【0044】
ビニル系樹脂微粒子分散液は、低分子量樹脂微粒子の分散液と高分子量の樹脂微粒子の分散液を添加前に混合した、分散液を添加してもよく、好ましいのは、低分子量樹脂微粒子の分散液添加後5分〜60分の間に高分子量の樹脂微粒子の分散液を添加するのが好ましい。添加前の事前混合でも良い理由として、溶媒を含んだ芯粒子表面上で芯粒子と相溶性の高い低分子の樹脂微粒子が先にシェル層を形成する。低分子量の樹脂微粒子がシェル層を形成したのち高分子量の樹脂微粒子が芯粒子表面上にシェル層を形成するためである。
【0045】
本発明の方法によって芯粒子に対してビニル系樹脂微粒子が十分な強度で付着するのは、ビニル系樹脂微粒子が芯粒子の液滴に付着したときに、芯粒子が自由に変形できるためにビニル系樹脂微粒子界面と接触面を十分に形成すること、および、有機溶媒によってビニル系樹脂微粒子が膨潤もしくは溶解し、ビニル系樹脂微粒子と芯粒子内の樹脂とが接着しやすい状況になるためであると思われる。したがって、この状態において有機溶媒は系内に十分に存在することが必要である。具体的には、芯粒子分散液の状態において、固形分(樹脂、着色剤、および必要に応じてワックス、帯電制御剤など)に対して50質量%〜150質量%、好ましくは70質量%〜125質量%の範囲にあるのがよい。150質量%を超えると、一度の製造工程で得られる着色樹脂粒子が少なくなり生産効率が低いこと、また有機溶媒が多いと分散安定性が低下して安定した製造が難しくなることなどから好ましくない。
【0046】
芯粒子にビニル系樹脂微粒子が付着するときの温度としては、10〜60℃、好ましくは20〜45℃である。60℃を超えると、製造に必要なエネルギーが増大するために製造環境負荷が大きくなることに加え、低酸価のビニル系樹脂微粒子が液滴表面に存在することもあり分散が不安定になり粗大粒子が発生する可能性もあるため好ましくない。一方10℃未満では分散体の粘度が高くなり、樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。
このほかに芯粒子と樹脂微粒子を混合攪拌し、機械的に付着、被覆させる方法がある。
【0047】
<脱溶工程>
得られたトナー母体粒子分散体から有機溶剤を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
あるいはまた、得られたトナー母体粒子分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶剤を完全に除去することも可能である。もしくはトナー母体粒子分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去しても良い。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレードライヤー、ベルトドライヤー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。また、脱溶工程における脱溶時間を制御することで、残留酢酸エチルの量を制御することができる。
トナー中の酢酸エチル量は好ましくは、10〜100ppmであり、より好ましくは、15から80ppmである。
【0048】
<熟成工程>
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行っても良い。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜65℃、好ましくは35〜50℃である。
【0049】
<洗浄工程>
上記の方法で得られたトナー母体粒子の分散液には、トナー母体粒子のほか、界面活性剤などの分散剤などの副材料が含まれているため、これらからトナー母体粒子のみを取り出すために洗浄を行う。トナー母体粒子の洗浄方法としては、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などの方法があるが、本発明においては特に限定されるものではない。いずれの方法によってもトナー母体粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにして上記のいずれかの方法でトナー母体粒子を取り出す工程を繰り返しても良いし、減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行うのであれば、水系溶媒をケーキに貫通させて着トナー母体粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を採っても良い。この洗浄に用いる水系溶媒は水あるいは水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒を用いるが、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水を用いるのが好ましい。
【0050】
<乾燥工程>
洗浄されたトナー母体粒子は水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥を行い水系媒体を除去することでトナー母体粒子のみを得ることができる。乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。乾燥された着色樹脂粒子は最終的に水分が1%未満になるまで乾燥を行うのが好ましい。また、乾燥後のトナー母体粒子は軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしても良い。
【0051】
<外添処理>
得られた乾燥後のトナー粉体と前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0052】
<外添剤>
(無機微粒子)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0053】
(高分子系微粒子)
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0054】
<画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ>
[画像形成装置、プロセスカートリッジ]
本発明の画像形成装置は、本発明のトナーを用いて画像を形成する。なお、本発明のトナーは、一成分現像剤及び二成分現像剤のいずれにも用いることができるが、一成分現像剤として用いることが好ましい。また、本発明の画像形成装置は、無端型の中間転写手段を有することが好ましい。さらに、本発明の画像形成装置は、感光体と、感光体及び/又は中間転写手段に残存したトナーをクリーニングするクリーニング手段を有することが好ましい。このとき、クリーニング手段は、クリーニングブレードを有してもよいし、有さなくてもよい。また、本発明の画像形成装置は、加熱装置を有するローラ又は加熱装置を有するベルトを用いて画像を定着する定着手段を有することが好ましい。さらに、本発明の画像形成装置は、定着部材にオイル塗布を必要としない定着手段を有することが好ましい。さらに、必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなることが好ましい。
【0055】
本発明の画像形成装置は、感光体と、現像手段、クリーニング手段等の構成要素をプロセスカートリッジとして構成し、プロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、分離手段及びクリーニング手段の少なくとも1つを感光体と共に支持してプロセスカートリッジを形成し、画像形成装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、画像形成装置本体のレール等の案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0056】
図1に、本発明の画像形成装置の一例を示す。この画像形成装置は、図示を省略している本体筐体内に、
図1中、時計方向に回転駆動される潜像担持体1が収納されており、潜像担持体1の周囲に、帯電装置2、露光装置3、本発明の静電荷像現像用トナーTを有する現像装置4、クリーニング部5、中間転写体6、支持ローラ7、転写ローラ8、除電手段(不図示)等を備えている。
この画像形成装置は、記録媒体例としての複数枚の記録紙Pを収納する給紙カセット(不図示)を備えており、給紙カセット内の記録紙Pは、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、転写手段としての転写ローラ8と、中間転写体6の間に送り出される。
この画像形成装置は、潜像担持体1を
図1中、時計方向に回転駆動して、潜像担持体1を帯電装置2で一様に帯電した後、露光装置3により画像データで変調されたレーザーを照射して潜像担持体1に静電潜像を形成し、静電潜像の形成された潜像担持体1に現像装置4でトナーを付着させて現像する。次に、現像装置4でトナー像を形成した潜像担持体1から中間転写体6に転写バイアスを付加してトナー像を中間転写体6上に転写し、さらに該中間転写体6と転写ローラ8の間に記録紙Pを搬送することにより、記録紙Pにトナー像を転写する。さらに、トナー像が転写された記録紙Pを定着手段(不図示)に搬送する。
定着手段は、内蔵ヒータにより所定の定着温度に加熱される定着ローラと、定着ローラに所定圧力で押圧される加圧ローラとを備え、転写ローラ8から搬送されてきた記録紙を加熱、加圧して、記録紙上のトナー像を記録紙に定着させた後、排紙トレー(不図示)上に排出する。
一方、画像形成装置は、転写ローラ8でトナー像を記録紙に転写した潜像担持体1をさらに回転して、クリーニング部5で潜像担持体1の表面に残留するトナーを掻き落として除去した後、不図示の除電装置で除電する。画像形成装置は、除電装置で除電した潜像担持体1を帯電装置2で一様に帯電させた後、上記と同様に、次の画像形成を行う。
【0057】
以下、本発明の画像形成装置に好適に用いられる各部材について詳細に説明する。
潜像担持体1としては、その材質、形状、構造、大きさ等について、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としては、ドラム状、ベルト状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体等が挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点で、アモルファスシリコンや有機感光体が好ましい。
潜像担持体1に静電潜像を形成する際には、例えば、潜像担持体1の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成手段により行うことができる。静電潜像形成手段は、例えば、潜像担持体1の表面を帯電させる帯電装置2と、潜像担持体1の表面を像様に露光する露光装置3を少なくとも備える。
【0058】
帯電は、例えば、帯電装置2を用いて潜像担持体1の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
帯電装置2としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた、それ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器等が挙げられる。
帯電装置2の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等の形態を採ってもよく、電子写真装置の仕様や形態に合わせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは、例えば、Zn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。また、ブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで構成される。
帯電装置2は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
【0059】
露光は、例えば、露光装置3を用いて感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。露光装置3としては、帯電装置2により帯電された潜像担持体1の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器が挙げられる。
【0060】
現像は、例えば、本発明のトナーを用いて静電潜像を現像することにより行うことができ、現像装置4により行うことができる。現像装置4は、例えば、本発明のトナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明のトナーを収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
現像装置4としては、周面にトナーを担持し、潜像担持体1に接して回転すると共に、潜像担持体1上に形成された静電潜像にトナーを供給して現像を行う現像ローラ40と、現像ローラ40の周面に接し、現像ローラ40上のトナーを薄層化する薄層形成部材41を有する態様が好ましい。
【0061】
現像ローラ40としては、金属ローラ及び弾性ローラのいずれかが好適に用いられる。金属ローラとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルミニウムローラ等が挙げられる。金属ローラは、ブラスト処理を施すことで、比較的容易に任意の表面摩擦係数を有する現像ローラ40を作製することができる。具体的には、アルミニウムローラにガラスビーズブラストで処理することにより、ローラ表面を粗面化でき、現像ローラ上に適正なトナー付着量が得られる。
【0062】
弾性ローラとしては、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらに、表面にはトナーと逆の極性に帯電しやすい材料からなる表面コート層が設けられる。弾性ゴム層は、薄層形成部材41との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止するために、JIS−Aで60度以下の硬度に設定される。表面粗さ(Ra)は、0.3〜2.0μmに設定され、必要量のトナーが表面に保持される。また、現像ローラ40には、潜像担持体1との間に電界を形成させるための現像バイアスが印加されるので、弾性ゴム層は、10
3〜10
10Ωの抵抗値に設定される。現像ローラ40は、時計回りの方向に回転し、表面に保持したトナーを薄層形成部材41及び潜像担持体1との対向位置へと搬送する。
【0063】
薄層形成部材41は、供給ローラ42と現像ローラ40の当接位置よりも低い位置に設けられる。薄層形成部材41は、ステンレス(SUS)、リン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ40の表面に10〜40N/mの押圧力で当接させたもので、その押圧下を通過したトナーを薄層化するとともに摩擦帯電によって電荷を付与する。さらに、薄層形成部材41には摩擦帯電を補助するために、現像バイアスに対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の規制バイアスが印加される。
【0064】
現像ローラ40の表面を構成するゴム弾性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム又はこれらの2種以上のブレンド物等が挙げられる。これらの中でも、エピクロロヒドリンゴムとアクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ゴムのブレンドゴムが特に好ましい。
現像ローラ40は、例えば、導電性シャフトの外周にゴム弾性体を被覆することにより製造される。導電性シャフトは、例えば、ステンレス(SUS)等の金属で構成される。
【0065】
転写は、例えば、潜像担持体1を帯電することにより行うことができ、転写ローラにより行うことができる。転写ローラとしては、トナー像を中間転写体6上に転写して転写像を形成する第一次転写手段と、転写像を記録紙P上に転写する第二次転写手段(転写ローラ8)を有する態様が好ましい。このとき、トナーとして、二色以上、好ましくは、フルカラートナーを用い、トナー像を中間転写体6上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、複合転写像を記録紙P上に転写する第二次転写手段を有する態様がさらに好ましい。
なお、中間転写体6は、特に制限はなく、目的に応じて、公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0066】
転写手段(第一次転写手段、第二次転写手段)は、潜像担持体1上に形成されたトナー像を記録紙P側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有することが好ましい。転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。転写手段としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器等が挙げられる。
なお、記録紙(P)としては、代表的には、普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0067】
定着は、例えば、記録紙Pに転写されたトナー像に対して、定着手段を用いて行うことができ、各色のトナー像に対して、記録紙(P)に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナー像を積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトの組み合わせ等が挙げられる。なお、加熱加圧手段による加熱温度は、80〜200℃が好ましい。
【0068】
定着装置としては、
図2に示すようなフッ素系表層剤構成のソフトローラタイプの定着装置であってよい。これは、加熱ローラ9は、アルミ芯金10上にシリコーンゴムからなる弾性体層11及びPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)表層12を有しており、アルミ芯金内部にヒータ13を備えている。加圧ローラ14は、アルミ芯金15上にシリコーンゴムからなる弾性体層16及びPFA表層17を有している。なお、未定着画像18が印字された記録紙Pは図示のように通紙される。
なお、本発明においては、目的に応じて、定着手段と共に、又は、これに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0069】
除電は、例えば、潜像担持体に対して、除電バイアスを印加することにより、行うことができ、除電手段により好適に行うことができる。除電手段は、特に制限はなく、潜像担持体に対して、除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0070】
クリーニングは、例えば、感光体上に残留するトナーを、クリーニング手段により除去することにより、好適に行うことができる。クリーニング手段は、特に制限はなく、感光体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0071】
リサイクルは、例えば、クリーニング手段により除去したトナーを、リサイクル手段により現像手段に搬送することにより、好適に行うことができる。リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0072】
制御は、例えば、制御手段により各手段を制御することにより、好適に行うことができる。制御手段は、各手段を制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジによれば、定着性に優れ、現像プロセスにおけるストレスに対して割れなどの劣化のない静電潜像現像用トナーを用いることで、良好な画像を提供することができる。
【0073】
[多色画像形成装置]
図3は、本発明を適用した多色画像形成装置の一例を示す概略図である。この
図3はタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
この
図3において、画像形成装置は、図示しない本体筐体内に、
図3中時計方向に回転駆動される潜像担持体1が収納されており、潜像担持体1の周囲に、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、中間転写体6、支持ローラ7、転写ローラ8等が配置されている。画像形成装置は、図示しないが複数枚の記録紙を収納する給紙カセットを備えており、給紙カセット内の記録紙Pは、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、中間転写体6と転写ローラ8の間に送り出され、定着手段19によって定着される。
【0074】
画像形成装置は、潜像担持体1を
図3中時計方向に回転駆動して、潜像担持体1を帯電装置2で一様に帯電した後、露光装置3により画像データで変調されたレーザーを照射して潜像担持体1に静電潜像を形成し、静電潜像の形成された潜像担持体1に現像装置4でトナーを付着させて現像する。画像形成装置は、現像装置4で潜像担持体にトナーを付着して形成されたトナー画像を、潜像担持体1から中間転写体に転写させる。これをシアンC、マゼンタM、イエローY、及びブラックKの4色それぞれについて行い、フルカラーのトナー画像を形成する。
【0075】
次に、
図4は、リボルバタイプのフルカラー画像形成装置の一例を示す概略図である。この画像形成装置は、現像装置の動作を切り替えることによって1つの潜像担持体1上に順次複数色のトナーを現像していくものである。そして、転写ローラ8で中間転写体6上のカラートナー画像を記録紙Pに転写し、トナー画像の転写された記録紙Pを定着部に搬送し、定着画像を得る。
【0076】
一方、画像形成装置は、中間転写体6でトナー画像を記録紙Pに転写した潜像担持体1を更に回転して、クリーニング部5で潜像担持体1表面に残留するトナーをブレードにより掻き落として除去した後、除電部で除電する。画像形成装置は、除電部で除電した潜像担持体1を帯電装置2で一様に帯電させた後、上記同様に、次の画像形成を行う。なお、クリーニング部5は、ブレードで潜像担持体1上の残留トナーを掻き落とすものに限るものではなく、例えばファーブラシで潜像担持体1上の残留トナーを掻き落とすものであってもよい。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置では、前記現像剤として本発明の前記トナーを用いているので良好な画像が得られる。
【0077】
<プロセスカートリッジ>
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、本発明のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなり、画像形成装置本体に着脱自在なものである。
【0078】
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンタに着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
【0079】
前記プロセスカートリッジは、例えば、
図5に示すように、潜像担持体1を内蔵し、帯電装置2、現像装置4、転写ローラ8、クリーニング部5を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
図5中、Lは露光装置からの露光、Pは記録紙をそれぞれ示す。前記潜像担持体1としては、前記画像形成装置と同様なものを用いることができる。前記帯電装置2には、任意の帯電部材が用いられる。
【0080】
次に、図に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、潜像担持体1は、矢印方向に回転しながら、帯電装置2による帯電、露光手段(図示せず)による露光Lにより、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4でトナー現像され、該トナー現像は転写ローラ8により、記録紙Pに転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の潜像担持体表面は、クリーニング部5によりクリーニングされ、更に除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例及び比較例を示すことにより更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
以下では、「部」及び「%」は特にことわらない限り質量部及び質量%を示す。
【0082】
まず、実施例及び比較例において得たトナー等についての分析及び評価の方法について述べる。
また、以下では本件発明のトナーを一成分現像剤として用いた場合についての評価を行ったが、本発明のトナーは、好適な外添処理と好適なキャリアを使用することにより、二成分現像剤としても使用することができる。
【0083】
<ビニル系樹脂微粒子の粒径測定>
樹脂微粒子の粒径はUPA−150EX(日機装社製)を用いて測定を行った。
<分子量測定(GPC)>
樹脂の分子量測定は、GPC(gel permeation chromatography)によって、以下の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入した。
以上の条件で測定した樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して樹脂の数平均分子量および重量平均分子量を算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0084】
<ガラス転移温度(Tg)測定(DSC)>
Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
【0085】
<加熱脱着装置を用いたオクタメチルシクトテトラシロキサンの揮発成分濃度の測定>
本発明におけるオクタメチルシクロテトラシロキサンの揮発成分濃度は以下の方法で測定する。
測定装置としては以下の測定装置を用いる。
加熱脱着装置:Thermal Desorption System TDS3(Gerstel社製)
GC/MS :GC:Agilet Technology社製 7890A 、MS:Agilent Technology社製 5975C
加熱脱着装置:Thermal Desorption System TDS3の条件を以下の通りとする
TDS parameters :
Initial:Initial:initial temp(℃) 30℃、Delay time(min)1.0、Initial time 2.0
Ramp1:Rate(℃/min)60℃、End temp(℃)150、Hold time(min) 2.0
Settings: Transfer temp(℃)350
Desorption Mode:Splitless
Sample Mode:Remove tube-nocooling
Ramp2: Rate(℃)0
CIS parameters:
USE CISへチェック
Actual temp 40℃
Heatmode standard
Initial: Initialtemp -75℃、Equilibr.time(min)0.1、initial time(min) 0.2
Use cryo coolingへチェック
Ramp1:Rate(℃/min)12℃、End temp(℃)350、Hold time(min) 5.0
Ramp2:Rate(℃/min)0℃、
GC/MS :GC:Agilet Technology社製 7890A 、MS:Agilent Technology社製 5975C
の測定条件は以下の通りとする
圧力設定
スプリット/スプリットレス注入口
注入モードスプリットレス
注入口圧力:60.688
パージ流量《ml/min》:50
パージ時間《min》:2.0
四重極温度:150℃
イオン源温度:230℃
インターフェース:280℃
キャリアガス: He
モード:SCAN
カラム温度条件:40℃(5min)→4℃/min→150℃→10℃/min→255℃(測定終了まで)
マスレンジ:35.00−400.00amu
【0086】
<解析>
オクタメチルシクロテトラシロキサンのピークを積分し測定着後に作製したオクタメチルシクロテトラシロキサンの検量線(0 ng,1 ng.10 ng,20 ng,50 ng,100 ngの標準溶液を用いて作製したもの)
酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、メタノールなどの有機溶媒も同様に0 ng,1 ng.10 ng,20 ng,50 ng,100 ngの標準溶液を用いて作製したもの、
【0087】
<帯電性(地汚れ)>
IPSiO SP C220のBkカートリッジにトナーを入れ、白紙をプリントアウ
トしたときの白紙上および感光体上を観察した。実験は、温度27度湿度40%の環境で
行った。
〔評価基準〕
◎:白紙上にも感光体上にもトナーの付着は見られない
○:白紙上にはトナーの付着は見られないが、感光体を斜めにして観察するとうっす
らとトナーの付着が見られる。
△:白紙を斜めにして観察するとうっすらとトナーの付着が見られる。
×:白紙に明らかにトナーの付着が見られる。
【0088】
<耐固着性(HH環境)>
改造したリコー製IPSiO SP C220(弾性ローラに、アスカーC硬度が72°、表面粗さが1.1μmのものを使用)を用いて、白ベタ画像2千枚出力後、規制ブレードの付着トナーを4段階で評価した。実験は、温度28度湿度80%の環境で行った。
◎:トナー付着がなく非常に良好なレベル
○:トナー付着が目立たず、画質に影響しないレベル
△:トナー付着があり、画質に影響するレベル
×:トナー付着が目立ち、画質に大きく影響するレベル
【0089】
<感光体フィルミング評価方法>
リコー製IPSiO SP C220を用いて、印字率1%の所定のプリントパターンをHH環境下(温度28℃、湿度80%)で連続印字した。5000枚連続印字後に、感光体及びベタ画像を目視で観察評価した。判断基準は以下の通りである。
◎:感光体上にフィルミングの発生がなく、全く問題ない。
○:感光体上に若干フィルミングが発生しているが、画像は問題ない
△:感光体上に若干フィルミングが発生しており、画像上に問題あり
×:感光体上に多くのフィルミングが発生しており、画像にも問題がある。
【0090】
<定着下限温度>カラー電子写真装置(IPSiO SP C220)の定着ユニットを用いて、普通紙に1.0mg/cm
2の黒ベタ未定着画像を形成した。
加熱温度を変えて通紙し、画像品質に問題のない温度を定着下限温度とした。
結果を表2に示す。
◎・・・135℃未満
○・・・135℃以上155℃未満
×・・・155℃以上
【0091】
<ベタ追従性評価方法>
リコー製カラーレーザープリンタIPSiO SP C220を用いて32℃/80%RHにて5%チャートを1000枚連続印字した後、黒ベタ画像上の追従性不良による画像カスレを目視で評価しランク付けを行った。
◎:全く問題のないレベル
○:若干のカスレが見られるが画像品質上問題のないレベル
△:若干のカスレが見られ画像品質上問題のあるレベル
×:カスレがひどく実使用上問題のあるレベル
【0092】
次に実施例、比較例において用いた各種材料の製造例について述べる。
[ビニル系樹脂微粒子分散液1の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管のついた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部、イオン交換水498部をいれ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー180部、アクリル酸n−ブチル20部、n−オクタンチオール1.4部の単量体混合液を90分かけて滴下し、その後さらに60分間80℃に保ち重合反応をさせた。その後、冷却してTg:75℃、Mw :40000、体積平均粒子径105nmの白色の[樹脂分散体1]を得た。
上記で得たビニル系樹脂微粒子分散液1のビニル系樹脂微粒子のモノマー組成、分子量を表1に示す。
【0093】
(結着樹脂の合成)
[ポリエステル樹脂1]
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物400部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部、及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜18mmHgの減圧下で、7時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸20部を添加し、常圧下、180℃で軟化点が110℃になるまで反応させて、[ポリエステル1]を合成した。得られた[ポリエステル1]は、ガラス転移温度が63℃であった。
【0094】
[ポリエステル樹脂2]
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物1210部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物2750部、テレフタル酸910部、アジピン酸190部およびジブチルチンオキサイド10部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜18mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸220部を入れ、常圧下、180℃で軟化点が95℃になるまで反応させて、[ポリエステル2]を合成した。得られた[ポリエステル2]は、ガラス転移温度が49℃であった。
【0095】
[プレポリマーの合成]
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
【0096】
[マスターバッチ1の製造]
C.I.ピグメント・レッド122:40部、ポリエステル1:60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
【0097】
[実施例1]
(水相の調整)
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液95部、酢酸エチル98部を混合撹拌したところpH6.2となった。これに、10%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH9.5に調整し、[水相1]を得た。
【0098】
<WAX分散液作製工程>
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル樹脂1]20部、[パラフィンワックス(融点72℃)]12部、酢酸エチル100部、ワックス分散剤として、スチレン・ポリエチレンポリマー(Tg=72℃、数平均分子量7100)6部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、WAXの分散を行い、[WAX分散液1]を得た。
【0099】
<油相作製工程>
[ポリエステル樹脂1]90部、[ポリエステル樹脂2]10部、[結晶性ポリエステル]7部、[マスターバッチ1]12部、[WAX分散液1]33部、酢酸エチル80部をTKホモミキサー(特殊機化製)で8,000rpmにて30分間混合した後、[プレポリマー1]15部を加えTKホモミキサーで8,000rpmにて2分間混合して[油相1]を得た。得られた[油相1]の固形分を測定したところ58質量%であった
【0100】
<芯粒子作成工程>
[油相1]100部を[水相1]100部を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより液中温度を20〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数8,000〜15,000rpmで調整して2分間混合したのち、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整しながら10分間攪拌し、芯粒子となる油相の液滴が水相に分散された[芯粒子スラリー1]を得た。
【0101】
<樹脂微粒子付着工程>
[芯粒子スラリー1]をアンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整して攪拌しながら、液温が22℃の状態で[樹脂分散体1]11.6部とイオン交換水20.8部を混合した[ビニル系樹脂微粒子分散液1]を3分間かけて滴下した。回転数を200〜450rpmの間に調整して30分間攪拌を続け、[複合粒子スラリー1]を得た。
【0102】
<脱溶工程>
撹拌機および温度計をセットした容器に、[複合粒子スラリー1]を投入し、攪拌を行いながら30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
【0103】
<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>
エタノール(関東化学 鹿特級)999gへ、オクタメチルシクロテトラシロキサン1g(和光純薬工業者株式会社製)を加え0.1wt%のオクタメチルシクロテトラシロキサンのエタノール溶解液を作製した。
[分散スラリー1]へ、0.1wt%溶解液を0.3g加えてスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整して30分攪拌を行い[オクタメチルシクロテトラシロキサン添加後分散スラリー1]を得た。
【0104】
<洗浄・乾燥工程>
[オクタメチルシクロテトラシロキサン添加後分散スラリー1]100部を減圧濾過した後
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体粒子1]を得た。
【0105】
〈外添工程〉
[トナー母体粒子1]100部に対し、市販のシリカ微粉体NAX50 [日本アエロジル社製; 平均一次粒径30nm]2.8部、H20TM [クラリアント社製; 平均一次粒径12nm]0.9部をヘンシェルミキサーにより混合し、目開き60μmの篩を通過させることにより粗大粒子や凝集物を取り除くことで、[トナー1]を得た。
このトナーについて、上記評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0106】
[実施例2]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー2]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0107】
[実施例3]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー3]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0108】
[実施例3]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー3]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0109】
[実施例4]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー4]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0110】
[実施例5]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー5]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0111】
[実施例6]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー6]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0112】
[実施例7]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー7]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0113】
[実施例8]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー8]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0114】
[実施例9]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー9]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0115】
[実施例10]
実施例1における<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間、を表1に示すようなものに変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー10]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0116】
[実施例11]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー11]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0117】
[実施例12]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー12]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0118】
[実施例13]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー12]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0119】
[実施例14]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー14]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0120】
[実施例15]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー15]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0121】
[実施例16]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー11]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0122】
[実施例17]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー17]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0123】
[実施例18]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー18]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0124】
[実施例19]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー19]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0125】
[実施例20]
実施例1における<油相作製工程>の使用溶剤の種類と量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[トナー20]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0126】
[比較例1]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー1]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0127】
[比較例2]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー2]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0128】
[比較例3]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー3]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0129】
[比較例4]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー4]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0130】
[比較例5]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー5]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0131】
[比較例6]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー6]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0132】
[比較例7]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー7]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0133】
[比較例8]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー8]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0134】
[比較例9]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー9]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0135】
[比較例10]
実施例1における結晶性ポリエステル樹脂使用の有無、<油相作製工程>の酢酸エチルの使用量、<オクタメチルシクロテトラシロキサンの添加>の添加量、及び特に脱溶工程の脱溶時間を表1に示すように変更した他は、実施例1と同様にして、[比較用トナー10]を得た。このトナーについて実施例1と同様の評価試験を行った。結果は表1に示される。
【0136】
【表1-1】
【0137】
【表1-2】
【0138】
上記結果から、オクタメチルシクロテトラシロキサンの量は、多すぎると規制ブレードなどの部材汚染を引き起こし耐固着性が悪化することが分かる。また、多すぎると、トナー母体粒子の表面状態が大きく変化し外添剤の付着など変化し、地汚れ、固着、感光体フィルミングも悪化することが分かった。さらに、少なすぎると、劣化時のトナーの凝集性が上昇し、追従不良などを引き起こすことが理解される。