特許第6025010号(P6025010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6025010活性エネルギー線硬化性組成物及びそれを用いたフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025010
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物及びそれを用いたフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20161107BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20161107BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20161107BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   C08F2/46
   C08J7/04 ACEP
   C08F290/06
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-529510(P2016-529510)
(86)(22)【出願日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】JP2015067601
(87)【国際公開番号】WO2015198959
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-132094(P2014-132094)
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】塚本 卓司
(72)【発明者】
【氏名】麸山 解
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−031297(JP,A)
【文献】 特開2013−227485(JP,A)
【文献】 特開2008−038092(JP,A)
【文献】 特開2006−213802(JP,A)
【文献】 特開2008−069270(JP,A)
【文献】 特開2002−121208(JP,A)
【文献】 特開2001−098188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
290/00−290/14
C08J 7/00−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線硬化性化合物(A)、及び、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩及びポリオキシアルキレン鎖を有する樹脂(B)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記樹脂(B)が4級アンモニウム塩を有する重合性単量体、及びポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートを必須成分とする共重合体である活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートが、数平均分子量2,000〜8,000の範囲のポリアルキレングリコールを原料とするものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアルキル基、フェニル基を表し、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基又はオキシフェニル基を表す。)
【請求項2】
前記樹脂(B)の配合量が、活性エネルギー線硬化性化合物(A)100質量部に対して、1〜30質量部の範囲である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
【請求項4】
請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有することを特徴とするフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの表面に塗工、硬化させることにより、フィルム表面に高い帯電防止性を有するハードコート層を形成することができる活性エネルギー線硬化性組成物及びそれを用いたフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種樹脂フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)表面の傷付き防止用フィルム、自動車の内外装用加飾フィルム(シート)、窓向けの低反射フィルムや熱線カットフィルムなど各種用途に用いられている。しかしながら、樹脂フィルム表面は柔らかく耐擦傷性が低いため、これを補う目的で、UV硬化性組成物等からなるハードコート剤をフィルム表面に塗工、硬化させハードコート層をフィルム表面に設けることが一般的に行われている。ハードコート層を設ける工程を概略すると、ロール状に巻いてあるフィルム原反から塗工機へ送り出され、ハードコート剤が塗工され、紫外線照射により硬化してハードコート層を形成した後、再度ロール状に巻き取られる。
【0003】
この巻き取り工程でフィルム同士の摩擦によりフィルム表面に静電気が発生するため、再加工時にフィルムをロールから繰り出した際にフィルム同士が張り付いてしまう問題や静電気によりフィルム表面に埃等が付着しやすくなる問題があった。
【0004】
このフィルム表面での静電気の発生を抑制するため、ハードコート剤に帯電防止剤を配合する手法が一般的に行われている。例えば、帯電防止剤として4級アンモニウム塩基含有ポリマーをハードコート剤に配合する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ここで用いられている4級アンモニウム塩基含有ポリマーが有する4級アンモニウム塩のカウンターアニオンはクロライドであり、環境を考慮すると好ましいものではなかった。
【0005】
そこで、クロライド等のハロゲンを用いずに、すなわちハロゲンフリーで、従来のものと同等以上の帯電防止性を有する硬化塗膜を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−332181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、クロライド等のハロゲンを用いずに、すなわちハロゲンフリーで、従来のものと同等以上の帯電防止能を有する硬化塗膜を形成できる活性エネルギー線硬化性組成物及びそれを用いたフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、活性エネルギー線硬化性組成物に、ハロゲンを有さない4級アンモニウム塩を有する特定の樹脂を配合することによりクロライド等のハロゲンを用いずに、すなわちハロゲンフリーで、従来のものと同等以上の帯電防止性を有する硬化塗膜を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)、及び、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩及びポリオキシアルキレン鎖を有する樹脂(B)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記樹脂(B)が4級アンモニウム塩を有する重合性単量体、及びポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートを必須成分とする共重合体である活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートが、数平均分子量2,000〜8,000の範囲のポリアルキレングリコールを原料とするものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物及びそれを用いたフィルムに関する。
【0010】
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアルキル基、フェニル基を表し、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基又はオキシフェニル基を表す。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、ハロゲンフリーであり、樹脂フィルム表面に塗工、硬化することで、樹脂フィルム表面に高い帯電防止性を有するハードコート層を形成することができる環境に優しい材料である。したがって、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、フィルム表面に静電気を発生することを抑制できることから、各種樹脂フィルムの張り付き防止、静電気による埃等の付着防止ができる。よって、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有するフィルムは、環境対応のものとなり、ロール状に巻き取る際、ロールから繰り出す際にも、張り付き、埃等の付着などのトラブルも回避できるため、その後のハンドリングに優れたフィルムを提供することができる。
【0012】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜からなるハードコート層を有するフィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)表面の傷付き防止用フィルムやタッチパネルの保護フィルム、自動車の内外装用加飾フィルム(シート)、窓向けの低反射フィルムや熱線カットフィルムなど各種用途に用いることができる。さらに、これらの用途に用いる際にも優れた帯電防止性があることから、埃等の付着を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性化合物(A)、及び、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩を有する樹脂(B)を含有するものである。
【0014】
【化2】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアルキル基、フェニル基を表し、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基又はオキシフェニル基を表す。)
【0015】
前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート(A1)、ウレタン(メタ)アクリレート(A2)等が挙げられる。これらは、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0016】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基とメタクリロイル基の一方又は両方をいう。
【0017】
前記多官能(メタ)アクリレート(A1)は、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。この多官能(メタ)アクリレート(a1)の具体例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート(A1)は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの多官能(メタ)アクリレート(A1)の中でも、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が向上することから、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0018】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A2)は、ポリイソシアネート(a2−1)と水酸基を有する(メタ)アクリレート(a2−2)とを反応させて得られたものである。
【0019】
前記ポリイソシアネート(a2−1)としては、脂肪族ポリイソシアネートと芳香族ポリイソシアネートとが挙げられるが、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜の着色を低減できることから、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
【0020】
前記脂肪族ポリイソシアネートは、イソシアネート基を除く部位が脂肪族炭化水素から構成される化合物である。この脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナトシクロヘキサン等の脂環式ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、前記脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートを3量化した3量化物も前記脂肪族ポリイソシアネートとして用いることができる。また、これらの脂肪族ポリイソシアネートは、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0021】
前記脂肪族ポリイソシアネートの中でも塗膜の耐擦傷性を向上させるには、脂肪族ポリイソシアネートの中でも、直鎖脂肪族炭化水素のジイソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートであるノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0022】
前記(メタ)アクリレート(a2−2)は、水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物である。この(メタ)アクリレート(a2−2)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート(a2−2)は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0023】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A2)の中でも、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜の耐擦傷性を向上できるため、1分子中に4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレート(A2)を1分子中に4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するものとするため、前記(メタ)アクリレート(a2−2)としては、(メタ)アクリロイル基は2つ以上有するものが好ましい。このような(メタ)アクリレート(a2−2)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート(a2−2)は、前記脂肪族ポリイソシアネートの1種に対して、1種を用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの(メタ)アクリレート(a2−2)の中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートは、耐擦傷性を向上できるため好ましい。
【0024】
前記ポリイソシアネート(a2−1)と前記(メタ)アクリレート(a2−2)との反応は、常法のウレタン化反応により行うことができる。また、ウレタン化反応の進行を促進するために、ウレタン化触媒の存在下でウレタン化反応を行うことが好ましい。前記ウレタン化触媒としては、例えば、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン化合物;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物などが挙げられる。
【0025】
また、必要に応じて、上記の多官能(メタ)アクリレート(A1)、ウレタン(メタ)アクリレート(A2)以外の活性エネルギー線硬化性化合物(A)として、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等を用いることができる。前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリシジルメタクリレート等に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られるものが挙げられる。また、前記ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合して得られた両末端が水酸基であるポリエステルに、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られたもの、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加したものに(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られたものが挙げられる。さらに、前記ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエーテルポリオールに(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得られたものが挙げられる。
【0026】
前記樹脂(B)は、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩を有するものである。
【0027】
【化3】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立にアルキル基、フェニル基を表し、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基又はオキシフェニル基を表す。)
【0028】
一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立にアルキル基、フェニル基であるが、アルキル基の場合、その炭素原子数は1〜6のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、メチル基がさらに好ましい。また、フェニル基の場合、ベンゼン環に置換基を有するものであってもよく、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基であってもよい。一方、Rは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基又はオキシフェニル基であるが、アルキル基又はアルコキシ基の場合、その炭素原子数は1〜6のものが好ましく、1〜3のものがより好ましい。また、フェニル基又はオキシフェニル基の場合、ベンゼン環に置換基を有するものであってもよく、例えば、フェニル基においてはメチルフェニル基、エチルフェニル基等のアルキル置換フェニル基が挙げられ、オキシフェニル基においてはオキシメチルフェニル基、オキシエチルフェニル基等のオキシアルキル置換フェニル基が挙げられる。
【0029】
さらに、一般式(1)中のR〜Rは、アルキル基であることが好ましく、すべてメチル基であることがより好ましい。また、一般式(1)中のRは、フェニル基又はアルキル置換フェニル基であることが好ましい。
【0030】
前記樹脂(B)の製造方法としては、例えば、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩を有する重合性単量体(b1)及び後述するポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートを必須成分として、これらと共重合可能な重合性単量体(b2)と共重合する方法が挙げられる。
【0031】
前記重合性単量体(b1)の具体例としては、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムメチルフェニルスルホネート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムメチルスルホネート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメチルアンモニウムメチルフェニルスルホネート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメチルアンモニウムメチルスルホネート、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、3−(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート等が挙げられる。
【0032】
前記重合性単量体(b2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0033】
前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートの中でも、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜の帯電防止性をより向上できることから、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。

【0034】
前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートの中でも、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜の帯電防止性をさらに向上できることから、前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートの原料となるポリアルキレングリコールの数平均分子量が2,000〜8,000の範囲であるが,000〜6,000の範囲のものが好ましく、2,000〜5,000の範囲のものがより好ましい。
【0035】
前記樹脂(B)の原料中の前記重合性単量体(b1)の比率は、40〜90質量%の範囲が好ましく、50〜80質量%の範囲がより好ましく、60〜70質量%の範囲がより好ましい。また、前記重合性単量体(b2)として前記ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートを用いる場合は、前記樹脂(B)の原料中のポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリレートの比率は、10〜60質量%の範囲が好ましく、20〜50質量%の範囲がより好ましく、30〜40質量%の範囲がより好ましい。
【0036】
前記樹脂(B)の配合量は、帯電防止性をより向上できることから、前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)100質量部に対して、1〜30質量部の範囲が好ましく、2〜20質量部の範囲がより好ましく、3〜15質量部の範囲がさらに好ましい。
【0037】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、基材に塗布後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線をいう。活性エネルギー線として紫外線を照射して硬化塗膜とする場合には、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中に光重合開始剤(C)を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であればさらに光増感剤(D)を添加して、硬化性を向上することもできる。一方、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線を用いる場合には、光重合開始剤(C)や光増感剤(D)を用いなくても速やかに硬化するので、特に光重合開始剤(C)や光増感剤(D)を添加する必要はない。
【0038】
前記光重合開始剤(C)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンジル(ジベンゾイル)、メチルフェニルグリオキシエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル等のベンジル系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルサルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルサルフォニル)プロパン−1−オン等が挙げられる。これらの光重合開始剤(C)は、1種で用いることも、2種以上併用することもできる。
【0039】
また、前記光増感剤(D)としては、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の3級アミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
【0040】
上記の光重合開始剤(C)及び光増感剤(D)の使用量は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中の前記活性エネルギー線硬化性化合物(A)及び前記化合物(B)の合計100質量部に対し、各々0.05〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0041】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、上記の活性エネルギー線硬化性化合物(A)及び4級アンモニウム塩を有する樹脂(B)以外に、用途、要求特性に応じて、有機溶剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、有機顔料、無機顔料、顔料分散剤、シリカビーズ、有機ビーズ等の添加剤;酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、五酸化アンチモン等の無機充填剤などを配合することができる。これらその他の配合物は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0042】
前記有機溶剤は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の溶液粘度を適宜調整する上で有用であり、特に薄膜コーティングを行うためには、膜厚を調整することが容易となる。ここで使用できる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0043】
本発明のフィルムで用いる前記基材フィルムは、フィルム状でもシート状でもよく、その厚さは、20〜500μmの範囲が好ましい。また、前記基材フィルムの材質としては、透明性の高い樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;セルロースアセテート(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂;ノルボルネン系樹脂(例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア」)、変性ノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製「アートン」)、環状オレフィン共重合体(例えば、三井化学株式会社製「アペル」)などが挙げられる。さらに、これらの樹脂からなる基材を2種以上貼り合わせたものを用いても構わない。
【0044】
また、前記樹脂フィルムの厚さは、20〜200μmの範囲が好ましく、30〜150μmの範囲がより好ましく、40〜130μmの範囲がさらに好ましい。フィルム基材の厚さを当該範囲とすることで、環状オレフィン樹脂フィルムの片面に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物によりハードコート層を設けた場合にもカールを抑制しやすくなる。
【0045】
本発明のフィルムは、当該フィルムの少なくとも1面に、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、その後活性エネルギー線を照射して硬化塗膜とすることで得られたものである。フィルムに本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等が挙げられる。
【0046】
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中に有機溶媒を含む場合は、活性エネルギー線硬化性組成物を基材フィルムへの塗工した後、活性エネルギー線を照射する前に、有機溶媒を揮発させ、また、前記樹脂(B)を塗膜表面に偏析させるために、加熱又は室温乾燥することが好ましい。加熱乾燥の条件としては、有機溶剤が揮発する条件であれば、特に限定しないが、通常は、温度50〜100℃の範囲で、時間は0.5〜10分の範囲で加熱乾燥することが好ましい。
【0047】
また、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化するために、紫外線を照射する装置としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ(フュージョンランプ)、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。
【0048】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を有するフィルムは、高いアンチブロッキング性に加え、その表面の耐擦傷性に優れることから、各種用途に適用できるが、特に、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)等の画像表示装置の画像表示部に用いる光学フィルムとして有用である。特に、薄型であっても優れた耐擦傷性を有することから、例えば、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレイヤー、モバイルパソコン、タブレット端末等の小型化や薄型化の要請の高い携帯電子端末の画像表示装置の画像表示部の光学フィルムとして好適に用いることができる。また、光学フィルムとして用いる場合、画像表示装置の画像表示部の最表面に用いる保護フィルム、タッチパネルの基材として用いることができる。さらに、保護フィルムとして用いた場合には、例えば、LCDモジュールやOLEDモジュール等の画像表示モジュールの上部に当該画像表示モジュールを保護する透明パネルが設けられた構成の画像表示装置においては、当該透明パネルの表面又は裏面に貼り付けて使用することで、傷つき防止や透明パネルが破損した際の飛散防止に有効である。
【実施例】
【0049】
以下に実施例により本発明をより具体的に説明する。
【0050】
(合成例1:4級アンモニウム塩を有する樹脂(1)の合成)
攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えたフラスコ中に、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムメチルフェニルスルホネート(以下、「DMS」と略記する。)の80質量%水溶液87.5質量部(DMSとして70質量部)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマー PME−4000」;繰り返し単位数n≒90、分子量4,000)30質量部、メタノール94.5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.45質量部、及び重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)1.08質量部を入れ、窒素雰囲気下において80℃で6時間反応させた。次いで、メタノールを加えて希釈し、4級アンモニウム塩(スルホン酸塩)を有する樹脂(1)の45質量%溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は、10,000であった。
【0051】
(合成例2:4級アンモニウム塩を有する樹脂(2)の合成)
攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えたフラスコ中に、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムメチルフェニルスルホネート(以下、「DMS」と略記する。)の80質量%水溶液87.5質量部(DMSとして70質量部)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマー PME−1000」;繰り返し単位数n≒23、分子量1,000)30質量部、メタノール94.5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.45質量部、及び重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)1.08質量部を入れ、窒素雰囲気下において80℃で6時間反応させた。次いで、メタノールを加えて希釈し、4級アンモニウム塩(スルホン酸塩)を有する樹脂(2)の45質量%溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は、10,000であった。
【0052】
(調製例1:活性エネルギー線硬化性組成物のベース樹脂の調製)
ペンタエリスリトールテトラ(トリ)アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックス M305」、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの混合物)36.64質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社「MIRAMER M3150」)9.16質量部、溶媒(アセトン/メトキシプロパノール=1/1の混合物)37.2質量部、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社「イルガキュア 184」; 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)7質量部を均一に混合して、活性エネルギー線硬化性組成物のベース樹脂を調製した。
【0053】
(実施例1)
調製例1で得られたベース樹脂90質量部(樹脂分として45.8質量部)、合成例1で得られた4級アンモニウム塩(スルホン酸塩)を有する樹脂(1)の45質量%溶液4.1質量部(樹脂として1.8質量部)を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を得た。
【0054】
(実施例2)
調製例1で得られたベース樹脂90質量部(樹脂分として45.8質量部)、合成例1で得られた4級アンモニウム塩(スルホン酸塩)を有する樹脂(1)の45質量%溶液10.2質量部(樹脂として4.6質量部)を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(2)を得た。
【0055】
参考例3)
調製例1で得られたベース樹脂90質量部(樹脂分として45.8質量部)、合成例2で得られた4級アンモニウム塩(スルホン酸塩)を有する樹脂(2)の45質量%溶液10.2質量部(樹脂として4.6質量部)を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(3)を得た。
【0056】
(合成例3:4級アンモニウム塩を有する樹脂(R1)の合成)
攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えたフラスコ中に、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド(以下、「DMC」と略記する。)の80質量%水溶液87.5質量部(DMCとして70質量部)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社製「ブレンマー PME−1000」;繰り返し単位数n≒23、分子量1,000)30質量部、メタノール94.5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.45質量部、及び重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)1.08質量部を入れ、窒素雰囲気下において80℃で6時間反応させた。次いで、メタノールを加えて希釈し、4級アンモニウム塩(塩酸塩)を有する樹脂(R1)の45質量%溶液を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は、10,000であった。
【0057】
(比較例1)
調製例1で得られたベース樹脂90質量部(樹脂分として45.8質量部)、合成例3で得られた4級アンモニウム塩(塩酸塩)を有する樹脂(1)の45質量%溶液4.1質量部(樹脂として1.8質量部)を均一に混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(R1)を得た。
【0058】
上記の実施例1、2、参考例3及び比較例1で得られた活性エネルギー線硬化性組成物(1)〜(3)及び(R1)を用いて、下記の試験、評価を行った。
【0059】
[塗材のハロゲンフリーの評価]
上記で得られた活性エネルギー線硬化性組成物中の成分にハロゲンが含まれているか否かで評価した。
○:ハロゲンが含まれない。
×:ハロゲンが含まれる。
【0060】
[塗材外観の評価]
上記で得られた活性エネルギー線硬化性組成物の外観を目視で観察し、下記の基準にしたがって塗膜外観を評価した。
○:白濁又は沈降なし。
△:ごくわずかに白濁又は沈降あり。
×:白濁又は沈降あり。
【0061】
[評価用サンプルの作製]
活性エネルギー線硬化性組成物を、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フイルム株式会社製)に、バーコーターで膜厚5μmとなるように塗工し、60℃で2分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて照射光量1.5kJ/mで照射し、硬化塗膜を有するTACフィルムを評価用サンプルとして得た。
【0062】
[塗膜外観の評価]
上記で得られた評価用サンプルの硬化塗膜の外観を目視で観察し、下記の基準にしたがって塗膜外観を評価した。
○:白化なし。
△:ごくわずかに白化あり。
×:白化あり。
【0063】
[表面抵抗値の測定(帯電防止性の評価)]
上記で得られた評価用フィルムの硬化塗膜の表面について、デジタル超高抵抗/微小電流計(株式会社アドバンテスト製「R8340A」)を用いて、印加電圧500Vで表面抵抗値を測定した。
【0064】
上記で評価又は測定した結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
表1に示した評価結果から、実施例1及び2の本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、ハロゲンフリーの環境に優しい材料であり、塗材外観にも優れる。また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜は、塗膜外観に優れ、その表面抵抗値も10の9乗オーダーで帯電防止能も高いことが分かった
【0067】
一方、比較例1は、クロライドを含む4級アンモニウム塩を有する材料を用いた例であるが、塗材外観、塗膜外観及び表面抵抗値は満足できる水準であったが、ハロゲンフリーではない問題があった。