(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
個別液室の隔壁部を形成する基板に各個別液室を駆動するための吐出駆動手段を一体に形成した個別液室基板と、該個別液室基板の該吐出駆動手段が形成された側に接合される保持基板と、該吐出駆動手段を外部からの信号に基づき駆動する駆動ICと、該駆動ICの周囲を液状の樹脂硬化剤を用いて封止した封止部と、該個別液室基板の該液室の隔壁部が形成された側に接合される複数のノズルを有するノズル基板とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて
該保持基板は該駆動ICを該個別液室基板上に設置するための開口部を有し、該開口部を形成する側面が撥水性を有することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、上記開口部を形成する側面にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテルによる撥水膜を形成することで撥水性を付与することを特徴とする液吐出ヘッド。
請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、上記開口部を形成する側面にロータス効果を発生させるための周期的な微細構造を形成することにより撥水性を付与することを特徴とする液吐出ヘッド。
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、上記吐出駆動手段は、上記個別液室の一面を形成する振動板と、該振動板上に積層された圧電素子からなるアクチュエータであり、該圧電素子から引き出された配線部材で形成した電極面にバンプを介して上記駆動ICを接合したことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
媒体を搬送しながら、液滴吐出手段により吐出した液滴を前記媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置において、前記液滴吐出手段として請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを採用したことを特徴とする画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、画像形成装置としてのインクジェット記録装置と、インクジェット記録装置に採用される、ピエゾアクチュエータ方式の吐出駆動手段を用いた液滴吐出ヘッドとを用いて説明を行う。
【0019】
図1は、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略構成図である。この液滴吐出ヘッドは、主にノズル基板1、個別液室3を形成する基板5上に振動板6と各個別液室3を駆動する各圧電素子7とを積層した個別液室基板10、個別液室基板10を保持する保持基板11、圧電素子7を駆動する駆動IC12とからなる。
図2(a)は、液滴吐出ヘッドの個別液室基板10の概略構成を示す上面図であり、(b)は液滴吐出ヘッドの保持基板10の概略構成を示す上面図である。この液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを配列した2つのノズル列を有しており、
図1は、多数のノズルの並び方向と垂直となるノズル列幅方向で、
図2(a)のA−A´ラインの断面図を示すものである。
【0020】
液滴吐出ヘッドでは、ノズル基板1と、個別液室基板10と、保持基板11と、図示しない共通液室基板とを積層して、インク流路を形成している。図示しないインクタンクから、共通液室基板と保持基板11とで形成される共通液室内にインクが供給され、共通液室から個別液室基板10に形成されるインク供給口22、流体抵抗部23を介して、個別液室3内に供給される。個別液室3の一壁面を形成する振動板6上に形成された圧電素子7を駆動して振動板6を変位することで、個別液室3内を昇圧させて、ノズルからインクを吐出する。圧電素子7は、圧電体7bを下部電極7aと上部電極7cで挟んだ構成である。圧電素子7の駆動は、上部電極7cから引き出された個別の配線部材と下部電極か7aから引き出された共通の配線部材とで形成される電極面である電極パッドに接続された駆動IC12によりおこなう。
【0021】
従来、アクチュエータを用いた吐出駆動手段では、幅広い物性のインクに対応可能である反面、個別液室の配列の高密度化・ヘッドの小型化が困難とされてきた。しかし、近年、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いることにより、高密度化・小型化する方法が確立されてきている。すなわち、個別液室に薄膜形成技術を用いて振動板6、電極層、圧電体層などを形成したユニモルフ型アクチュエータ形成する。これを、フォトリソグラフィ等の半導体デバイス製造プロセスを用いて個別の圧電素子と電極・配線部材等にパターニングすることで高密度化・小型化を図っている。
【0022】
また、駆動IC12を電極パッド9に接続する方法としては、例えばFPC(Flexible Printed Circuits: フレキシブルプリント基板)を用いたACF接合,ハンダ接合や、ワイアボンディング法、駆動IC12の出力端子と直接接合するフリップチップ法等を選択できる。ただし、FPCを用い接合は、FPCの部品費がかかるため、ワイアボンディング方やフリップチップ法に比べてコストが高い。また、ワイアボンディング法はフリップチップ法と比較してタクトが遅いために生産性が悪く、狭ピッチ化も不利である。そこで、駆動IC12を電極パッド9上に形成されたバンプを介してフィリイプチップ接合により直接接合する方法が用いられている。
【0023】
以下、本実施形態の液滴吐出ヘッドの構成部材について詳細に説明する。
<ノズル基板>
ノズル基板1は、インク吐出用のノズル1aが配列されている基板であり、材料は必要な剛性や加工性から任意のものを採用することができる。例えば、SUS,ニッケル等の金属または合金、シリコン、セラミックス等の無機材料、ポリイミド等の樹脂材料などを挙げることができる。ノズル1aの加工方法は、基板の材料の特性と要求される精度・加工性から任意のものを選ぶことができ、電鋳めっき法、エッチング法、プレス加工法、レーザ加工法等、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。ノズル1aの開口径、配列数,配列密度は、インクヘッドに要求される仕様に合わせて最適な組み合わせを設定することができる。
【0024】
<個別液室基板>
個別液室基板10を構成する基板5には、個別液室3の隔壁部4、流体抵抗部23、インク供給口22が形成される。基板5の材料は加工性・物性から任意のものを用いることができるが、例えば、300dpi(約85[μm]ピッチ)ではフォトリソグラフィ法を利用できるシリコン基板を用いることが好ましい。個別液室3の加工は任意のものを用いることができるが、前述のフォトリソグラフィ法を用いる場合は、ウェットエッチング法、ドライエッチング法のいずれかを用いることができる。いずれの手法でも、振動板6の個別液室3側を二酸化シリコン膜等とすることで、エッチストップ層とできるため、個別液室3の高さを高精度に制御することができる。
【0025】
個別液室3はインクに圧力を加え、ノズル1aから液滴を吐出させる機能を有する。基板5上には、個別液室3の一壁面を形成する振動板6が形成され、振動板6上には下部電極7a、圧電体7b、上部電極7cが積層された圧電素子7が形成される。振動板6は任意のものを用いることができるが、シリコンや窒化物、酸化物、炭化物等の剛性の高い材料とすることが好ましい。また、これらの材料の積層構造としても良い。積層膜とする場合は、それぞれの材料の内部応力を考慮し、残留応力が少ない構成とすることが好ましい。例えば、Si
3N
4とSiO
2の積層の場合は、引張り応力となるSi
3N
4と圧縮応力となるSiO
2を交互に積層し、応力緩和する構成が例として挙げられる。
【0026】
振動板6の厚さは、所望の特性に応じて選択できるが、概ね、0.5〜10[μm]の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0[μm]の範囲である。振動板6が薄すぎる場合はクラック等により振動板6が破損しやすくなり、厚すぎる場合は変位量が小さくなり吐出効率が低下してしまう。また、薄すぎる場合は、振動板6の固有振動数が低下し、駆動周波数が高められない課題がある。
【0027】
下部電極7a、上部電極7cは導電性のある任意の材料を用いることができる。例えば、金属,合金,導電性化合物が上げられる。これらの材料の単層膜でも積層膜でも良い。また、圧電体7bと反応したり、拡散したりしない材料を選定する必要があるため、安定性の高い材料を選定する必要がある。また、必要に応じて圧電体7b、振動板6との密着性を考慮し、密着層を形成しても良い。電極材料の例としては、Pt,Ir,Ir酸化物,Pd,Pd酸化物等が安定性の高い材料として挙げられる。また、振動板6との密着層としては、Ti,Ta,W,Cr等が例示できる。
【0028】
圧電体7bを構成する圧電体材料は圧電性を示す強誘電体材料を用いることができる。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムが一般的に用いられる。圧電体の成膜方法は任意の手法を用いることができ、例としてはスパッタリング法、ゾルゲル法が挙げられ、成膜温度の低さからゾルゲル法が好ましい。上部電極7c、圧電体7bは個別液室3ごとにパターニングする必要がある。パターニングは通常のフォトリソグラフィ法を用いることができる。また、圧電体7bの成膜をゾルゲル法にて行う場合は、スピンコーティング法や印刷法を用いることもできる。
【0029】
上記の下部電極7aと上部電極7cとに挟まれた圧電体7bから構成される圧電素子7は個別液室3の上部に形成される必要がある。個別液室3を区画する隔壁部4上に形成した場合、振動板6の変形を阻害してしまうため、吐出効率の低下や応力集中による圧電素子7の破損等の原因となる。
【0030】
個別液室基板10には、個別液室3に連通する流体抵抗部が形成される。流体抵抗部23は共通液室から個別液室3にインクを供給する機能を有する。同時に、圧電素子7を駆動することにより個別液室3に発生する圧力により、インクの逆流を防止しノズル1aから吐出させる機能を有する。そのため、個別液室3のインク流動方向の断面積を小さくし、流体抵抗を高くする必要がある。個別液室基板10にシリコンを用い、個別液室3と流体抵抗部23をフォトリソグラフィ法によるエッチングを用いて形成した場合、個別液室3と同一の条件で加工できるメリットがある。流体抵抗部23の高さを個別液室3より低くすることで、流体抵抗を高めるためには、個別液室3のオーバーエッチング量を時間管理で制御する必要がある。このため、エッチングレートのばらつきにより、流体抵抗を均一にすることができない。その結果、吐出均一性が悪化する。
【0031】
流体抵抗部23は振動板6が開口するインク供給口22を通じて共通液室基板(不図示)と保持基板11の開口部27により形成される共通液室に連通する。個別液室3は隔壁部4により区画されており、それぞれに対応する圧電素子7が形成される。個別液室3の高さはヘッド特性から任意に設定できるが、20〜100[μm]の範囲とすることが好ましい。また、個別液室3の隔壁部4は配列密度に合わせて任意に設定することが可能であるが、隔壁部4の幅は10〜30[μm]とすることが好ましい。また、隔壁部4の幅が狭い場合は、隣接する個別液室3の圧電素子7を駆動した場合に、隣接する個別液室3間の相互干渉が発生し、吐出ばらつきが大きくなる。隔壁部4の幅を狭くする場合は、液室高さを低くすることで対応する。
【0032】
個別液室3の上部に配列した圧電素子7に駆動信号を入力するために、上部電極7cから個別配線8を引き出し、下部電極7aから共通配線(不図示)を引き出す構成をとる。上部電極7cから引き出されたメタル層の一部である個別配線8は個室液室基板10の中央部に個別配線パッドを形成する。下部電極7aは、下部電極7aから引き出された共通配線(不図示)は個室液室基板10の中央部に共通配線パッドを形成する。個別配線8、共通配線(不図示)は同一材料・同一工程で形成することが好ましい。
【0033】
配線材料としては、抵抗値の低い金属・合金・導電性材料を用いることができる。また、上部電極7c、下部電極7aとコンタクト抵抗の低い材料を用いることが必要である。例えば、Al,Au,Ag,Pd,Ir,W,Ti,Ta,Cu,Crなどが例示でき、コンタクト抵抗を低減するために、これらの材料の積層構造としても良い。コンタクト抵抗を下げる材料としては、任意の導電性化合物を用いても良い。例えば、Ta
2O
5,TiO
2,TiN,ZnO,In
2O
3,SnO等の酸化物、窒化物およびその複合化合物が挙げられる。
【0034】
膜厚は任意に設定できるが、3[μm]以下とすることが好ましい。また、成膜には真空成膜法等の膜厚均一性が高い成膜方法を採用することが好ましい。これらの配線は、後述の保持基板11との接合面にもなるため、高さ均一性を確保できる膜厚・成膜方法を取る必要がある。また、インク供給口22付近は保持基板11と個別液室基板10の開口部同士が接合されるため、シール性が要求される。そこで個別液室基板10側の高さ均一性を高めるためにインク供給口22周囲に、配線部材と同一工程でメタル層18を形成し、信頼性を高めた。
【0035】
また、個別配線パッドおよび共通配線パッドからなる電極パッド9には、駆動IC12を接続するためのバンプ20を形成しておく。バンプ形成方法としては、電解めっき法、無電解メッキ法及びスタッドバンプ法などがある。バンプ材料としては、Au、Ag、Cu、Ni、はんだなどがある。
【0036】
<保持基板>
上記個別液室基板10は20〜100[μm]厚と薄いため、個別液室基板10の剛性を確保するために保持基板11をノズル基板1と対向する側に接合する。保持基板11の材料は任意の材料を用いることができるが、個別液室基板10の反りを防止するために熱膨張係数の近い材料を選定する必要がある。例えば、ガラス、シリコンやSiO
2、ZrO
2、Al
2O
3等のセラミクス材料とすることが好ましい。
【0037】
保持基板11は共通液室の一部を形成する開口部27を有する。また、個別液室3に対向する領域に、圧電素子7を駆動し振動板6が変位できる空間を確保するための凹部26を形成する。保持基板11の凹部26は、個別液室3ごとに区画し、個別液室基板10の隔壁部4に対応する位置に接合されることが好ましい。これにより、板厚の薄い個別液室基板10の剛性を高めることができ、圧電素子7を駆動した際の隣接する個別液室3間の相互干渉を低減することが可能となる。このような効果を得るためには、保持基板11は樹脂などの低剛性材料ではなく、シリコンなどの高剛性材料が好ましい。また、保持基板11の凹部26は個別液室3ごとに区画されるため、高密度化のためには高度な加工精度が要求される。例えば、300dpiのヘッドにおいては、凹部26の隔壁幅を5〜20[μm]とすることが望ましい。
【0038】
さらに、保持基板11は幅方向中央部に駆動IC12を設置するための開口部13を有している。この開口部13を形成する側面は、後述するように撥水性を有している。
【0039】
<駆動IC>
駆動IC12は、ウェハプロセスで形成し、駆動IC12の電極パッド9にもバンプ21を形成する。その後、チップごとにダイシングなどによって分割形成される。
【0040】
次に、実施例1、2を用いて、本実施形態の液滴吐出ヘッドをさらに詳細に説明する。
<実施例1>
実施例1では、個別液室基板10と保持基板11とのウェハを作成して、ウェハレベル接合する例を、
図3(a)〜(d)を用いて説明する。
【0041】
図3(a)に示すように、個別液室基板10と保持基板11とをウェハを用いて作成する。
個別液室基板10は、以下のようにして作成した。直径6インチ、厚み600[μm]のシリコンウェハ上に、SiO
2 0.6[μm]、Si 1.5[μm]、SiO
2 0.4[μm]を積層することで、3層構成の振動板6を形成する。振動板6上に、下部電極7aを形成する膜として、Ti 20[nm]、Pt 200[nm]をスパッタリング法で成膜した。この下部電極7aを形成する膜上に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を有機金属溶液に用いたゾルゲル法で厚さ2[μm]を成膜した後、700℃で焼成し、PZTの圧電体7bの膜を形成した。その後、圧電体7bの膜上に、Ptを200[nm]をスパッタリング法で成膜し、上部電極7cを形成する膜を形成した。
【0042】
次に、上部電極7aを形成する膜、圧電体7bの膜、下部電極7aを形成する膜をドライエッチング法でパターニングすることで、各個別液室3に対応した圧電素子7を形成した。圧電素子7の配列ピッチは85[μm]とし、圧電体の幅は40[μm]とした。圧電素子7の長手方向の長さは1000[μm]とした。圧電素子7の配列数は300個とした。なお、
図1〜3では、ノズル列は2列配置としているが、4列配置や8列配置、その他でも構わない。
【0043】
次に、プラズマCVD法により、絶縁膜14を成膜し、上部電極7c上に個別配線のコンタクトホール17と、下部電極7aに連通する共通配線コンタクトホール(不図示)を形成した。この後、Ti 50[nm]とAl 2[μm]を順次積層し、ドライエッチングすることでメタル層を形成した。このメタル層により個別配線8、共通配線(不図示)、電極パッド9、および、インク供給口22まわりのメタル層18が形成される。共通配線の幅は300[μm]とした。さらに、プラズマCVD法により絶縁膜19をメタル層上に形成した。
【0044】
その後、共通液室に連通するインク供給口22となる部分の振動板6をドライエッチングで除去し、個別液室基板10にインク供給口を形成する。そして、各圧電素子7から引き出された個別配線および共通配線の端部である電極パッド9上に、Auからなるスタッドバンプ20を形成する。
【0045】
一方、保持基板11を直径6インチのシリコンウェハを用いて作成した。保持基板11には、各圧電素子7の変位を阻害しないような空隙を形成する凹部26と、インク供給口22に連通する開口部27と、駆動IC12を設置する開口部13とを形成する。まず、シリコンウェハを厚さ400[μm]に研磨し、個別液室基板側に酸化膜などを形成する。その後、酸化膜を、凹部26および開口部27、13を形成するように、フォトリソグラフィイによりパターニングする。そして、さらにその上にレジストを形成し、開口部27、13だけが開口するようにレジストをフォトリソグラフィイでパターニングする。そしてICP(誘導結合型)エッチングで個別液室基板側から開口部を貫通形成する。その後、個別液室基板側のレジストのみを除去し、はじめにパターニングした酸化膜パターンをマスクとして、基板側をICPエッチングでハーフエッチングする。最後に酸化膜を除去すると、個別液室基板側の凹部26と開口部27,13を形成することができる。
【0046】
さらに、駆動IC12を設置するための開口部13を形成する側面に、撥水膜13aを形成する。撥水膜としては、例えば、アルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテルとしてオプツール、シリコーンなどが挙げられる。オプツールを成膜する方法としては、オプツールDSX(ダイキン工業社製)を200〜400℃で真空蒸着することで、後述する封止材としての液状の硬化性樹脂に対する必要な撥水性を有する撥水膜13aを形成できる。蒸着の具体的な条件は、オプツールDSX原液をロータリーポンプにより10
−1Pa程度まで減圧し、その状態で室温から徐々に約450℃まで昇温させることで蒸着する。蒸着後、およそ70℃で10分間加熱乾燥処理を施すことで、オプツールの撥水膜13aが得られる。なお、開口部13を形成する側面以外に撥水膜が形成されると、接合や共通液室の充填性などに悪影響が及ぶので、開口部13を形成する側面以外に撥水膜を形成しない。これは、上記撥水膜の成膜時に開口以外をDFR(ドライフィルムレジスト)やフィルムマスクなどで覆う方法によりおこなう。
【0047】
次に、
図3(b)に示すように、上記個別液室基板10と上記保持基板11とを接合する。保持基板11の接合面にエポキシ系接着剤をフレキソ印刷機で膜厚2[μm]で塗布し、接着剤を硬化することで、保持基板11を個別液室基板10に接合した。
【0048】
次に、
図3(c)に示すように、駆動IC12を、保持基板11の開口部13で形成される、個別液室基板10の幅方向中央部の個別配線パッドと共通配線パッドとからなる電極パッド9上の空間に設置する。駆動IC12の電極面上には、Auのスタッドバンプ21が形成されており、個別液室基板10の電極パッド9上のスタッドバンプ20上に接合する。接合方法は超音波法を用いた。その後、保持基板11の開口部13を形成する側面との隙間に、ニードルを用いて液状の封止材を注入する。封止材としては、熱硬化型のエポキシ樹脂を用いた。注入後、100℃以上の条件に1時間以上保持したあと、室温にもどすことにより、駆動IC12の周囲に封止部15を形成する。
【0049】
ここで、封止材は個別液室基板10や保持基板11に対して収縮率が高い。このため、封止部により収縮応力が生じる。しかし、保持基板11の開口部13を形成する側面には撥水膜13aが形成されているため、開口部13を形成する側面は液状の硬化性樹脂を弾いて濡れない状態、すなわち、封止材の膜がほとんど形成されない状態となる。このため、駆動IC12の周囲に封止部15を形成しても、開口部13を形成する保持部材11の側面に係る収縮応力は、撥水膜を形成しない場合に比べて小さくなる。なお、この時点では個別液室基板10の厚みが600[μm]と厚いため、個別液室基板10自体も十分な剛性を有している。
【0050】
次に、
図3(d)に示すように、個別液室基板10を構成する基板5を個別液室3の高さに研磨し、さらに、隔壁部4を形成するよう加工して個別液室3を形成する。具体的には、600[μm]の個別液室基板を80[μm]まで研磨した後に、個別液室3、流体抵抗部23をICPドライエッチング法で形成した。個別液室3の幅は60[μm]とし、流体抵抗部23の幅は30[μm]、長さは300[μm]とした。流体抵抗部23、個別液室3のエッチングは振動板6に到達するまで行い同一の高さとした。また、インク供給口部の振動板は、事前にエッチングしたため、貫通口を形成することができる。
【0051】
このように、個別液室3を作成するために個別液室基板10を研磨すると、個別液室基板10と保持基板11とを合わせた厚みが1000[μm]から480[μm]とおよそ半減し、曲げ剛性がおよそ1/8程度に低下する。このため、撥水膜13aを設けていない構成では、反りが大きかった。これに対し、実施例1では、保持基板11の開口部13を形成する側面には撥水膜13aが形成されているため、収縮応力が格段に小さくなり、個別液室基板を研磨しても反りはほとんど発生しなくなった。
【0052】
個別液室基板10と保持基板11とが接合された状態のウェハをダイシングによりチップに切り出した後に、保持基板11と同様の手法でノズル基板1と個別液室基板10を接合した。ノズル基板は厚さ30[μm]のSUS材にプレス加工で直径20[μm]のノズル1aを85[μm]ピッチで形成したものを用いた。
【0053】
さらに、保持基板11上に、図示しないSUS製の共通液室基板を接合し、インクタンクと接続することで液滴吐出ヘッドとした。
【0054】
<実施例2>
上記実施例1では、保持基板11の開口部13を形成する側面に撥水膜を成膜することにより撥水性を付与したが、実施例2は保持基板11の開口部13を形成する側面に撥水性を付与する方法が異なるものである。それ以外は実施例1と同じであるので説明を省略する。
実施例2では、保持基板11の開口部13を形成する側面に撥水性を付与するために、ハスの葉に代表されるロータス効果を用いたものである。これは開口部13を形成する側面の表面に、ミクロオーダーの周期的な微細構造を形成することにより、撥水性を付与するものである。周期的な微細構造を形成する方法しては、たとえばフェムト秒レーザによるアブレーションや、フォトリソグラフィイによるエッチングなどがある。
【0055】
次に、実施形態に係る液滴吐出ヘッド50を備える画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置の構成例について説明する。
図4は、本実施形態の一例のインクジェット記録装置201の全体構成を示す側面図である。
図5は、
図4のインクジェット記録装置201の要部構成を示す平面図である。
このインクジェット記録装置201はシリアル型のインクジェット記録装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主ガイドロッド231、従ガイドロッド232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持する。そして、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して
図5中の矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本実施形態に係る上記液滴吐出ヘッド50からなるユニットが装着されている。
【0056】
この液滴吐出ヘッドのユニットは、記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けている。記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液滴吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成している。そして、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液滴吐出ヘッドを備えることもできる。また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0057】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向している。そして、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。この給紙部から給紙された用紙242が記録ヘッド234の下方側に送り込まれる。このために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とが備わっている。また、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。
【0058】
また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備えている。そして、排紙ローラ262の下方には排紙トレイ203が備わっている。
【0059】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて 再度、カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0060】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置している。そして、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0061】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド部材245で案内される。そして、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加される。この場合、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0062】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
このように、インクジェット記録装置201では、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、信頼性の高い安定した滴吐出を行なうことができて、高速で、高画質画像を形成することができる。
【0063】
次に、実施形態に係る液滴吐出ヘッド50を備える画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置の他の構成例について説明する。
図6は本実施形態の他の例のインクジェット記録装置401の全体構成を示す側面図である。このインクジェット記録装置401はライン型のインクジェット記録装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402等を有し、装置本体401の下方側に多数枚の記録媒体(用紙)403を積載可能な給紙トレイ404を備えている。この給紙トレイ404から給紙される用紙403を取り込み、搬送機構405によって用紙403を搬送しながら画像形成部402によって所要の画像を記録する。その後、装置本体401の側方に装着された排紙トレイ406に用紙403を排紙する。また、装置本体401に対して着脱可能な両面ユニット407を備えている。両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、搬送機構405によって用紙403を逆方向に搬送しながら両面ユニット407内に取り込む。そして、反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度、搬送機構405に送り込み、他面(裏面)印刷終了後、排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0064】
ここで、画像形成部402は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液滴を吐出する、フルライン型の4個の液滴吐出ヘッド50で構成した記録ヘッド411k、411c、411m、411yを備えている。なお、記録ヘッド411k、411c、411m、411yの色を区別しないときには、以下、「記録ヘッド411」という。各記録ヘッド411は液滴を吐出するノズルを形成したノズル面を下方に向けてヘッドホルダ413に装着している。
【0065】
また、各記録ヘッド411に対応して記録ヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構412k、412c、412m、412yを備えている。なお、維持回復機構412k、412c、412m、412yの色を区別しないときには、以下、「維持回復機構412」という。パージ処理、ワイピング処理などのヘッドの性能維持動作時には、記録ヘッド411と維持回復機構412とを相対的に移動させて、記録ヘッド411のノズル面に維持回復機構412を構成するキャッピング部材などを対向させる。ここでは、記録ヘッド411は、用紙搬送方向上流側から、ブランク、シアン、マゼンタ、イエローの順に各色の液滴を吐出する配置としているが、配置及び色数はこれに限るものではない。
【0066】
更に、ライン型記録ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で設けた1又は複数の記録ヘッドを用いることもできる。また、記録ヘッドとこの記録ヘッドにインクを供給する記録液カートリッジを一体とすることも別体とすることもできる。給紙トレイ404の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)421と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離され装置本体401内に給紙される。そして、搬送ガイド部材423のガイド面423aに沿ってレジストローラ425と搬送ベルト433との間に送り込まれ、所定のタイミングでガイド部材426を介して搬送機構405の搬送ベルト433に送り込まれる。
【0067】
また、搬送ガイド部材423には両面ユニット407から送り出される用紙403を案内するガイド面423bも形成されている。更に、両面印刷時に搬送機構405から戻される用紙403を両面ユニット407に案内するガイド部材427も配置している。搬送機構405は、搬送ベルト433、帯電ローラ434、プラテン部材435及び押さえコロ436を有している。そして、搬送ベルト433は、駆動ローラである搬送ローラ431と従動ローラ432との間に掛け渡した無端状の搬送ベルトである。帯電ローラ434は、搬送ベルト433を帯電させるための帯電ローラである。プラテン部材435は、画像形成部402に対向する部分で搬送ベルト433の平面性を維持する部材である。押さえコロ436は、搬送ベルト433から送り出す用紙403を搬送ローラ431側に押し付けている。その他図示しないが、搬送ベルト433に付着したインクを除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなるクリーニングローラなども有している。この搬送機構405の下流側には、画像が記録された用紙403を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ438及び拍車439を備えている。
【0068】
このように構成した画像形成装置において、搬送ベルト433は矢示方向に周回移動し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ434と接触することで帯電される。そして、この高電位に帯電した搬送ベルト433上に用紙403が給送されると、用紙403は搬送ベルト433に静電的に吸着される。このようにして、搬送ベルト433に強力に吸着した用紙403は反りや凹凸が校正され、高度に平らな面が形成される。そして、搬送ベルト433を周回させて用紙403を移動させ、記録ヘッド411から液滴を吐出する。これにより、用紙403上に所要の画像が形成され、画像が記録された用紙403は排紙ローラ438によって排紙トレイ406に排紙される。
【0069】
このように、インクジェット記録装置401では、本実施形態に係る液滴吐出ヘッド50を記録ヘッドとして備えているので、信頼性の高い安定した滴吐出を行なうことができて、高画質画像を形成することができる。
【0070】
なお、上記実施形態では本発明に係る液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液体の滴、例えばパターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどにも適用することできる。
【0071】
また、上述では、個別液室3を昇圧して、ノズル1aからインク滴を吐出する吐出駆動手段として、圧電素子7を用いた圧電アクチュエータ方式を採用している。しかし、これに限らず、静電アクチュエータ方式、また、ヒータなどを用いて個別液室3内に気泡を発生させて、個別液室を昇圧させてノズルからインク滴を吐出するサーマル方式を用いることができる。
【0072】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様ごとに特有の効果を奏する。
(態様A)
個別液室3の隔壁部4を形成する基板5に各個別液室を駆動するための吐出駆動手段を一体に形成した個別液室基板10と、個別液室基板の吐出駆動手段が形成された側に接合される保持基板11と、吐出駆動手段を外部からの信号に基づき駆動する駆動IC12と、駆動ICの周囲を液状の樹脂硬化剤を用いて封止した封止部15と、個別液室基板の液室の隔壁部が形成された側に接合される複数のノズルを有するノズル基板1とを備えた液滴吐出ヘッドである。この液滴吐出ヘッドにおいて、保持基板は駆動ICを個別液室基板上に設置するための開口部13を有し、開口部を形成する側面が撥水性を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、液滴吐出ヘッドを構成する基板上に設置される駆動ICの周囲に封止部を形成する液滴吐出ヘッドにおいて、基板の反りを抑制して基板との接合信頼性を高めることができる。
【0073】
(態様B)
(態様A)において、開口部を形成する側面にアルコキシシランを有するパーフルオロポリエーテルによる撥水膜13aを形成する。これによれば、開口部を形成する側面に撥水性を付与することができる。
【0074】
(態様C)
(態様A)において、開口部を形成する側面にシリコーンによる撥水膜13aを形成する。これによれば、開口部を形成する側面に撥水性を付与することができる。
【0075】
(態様D)
(態様A)において、開口部を形成する側面に、ロータス効果を発生させるための周期的な微細構造を形成することにより撥水性を付与する。これによれば、開口部を形成する側面に撥水性を付与することができる。
【0076】
(態様E)
(態様A)、(態様B)、(態様C)または(態様D)において、吐出駆動手段は、個別液室の一面を形成する振動板6と、振動板上に積層された圧電素子7からなるアクチュエータであり、圧電素子から引き出された配線部材で形成した電極面にバンプを介して圧電素子を駆動する駆動ICを接合する。これによれば、小型で信頼性の高い液滴吐出ヘッドを得ることができる。
【0077】
(態様F)
媒体を搬送しながら、液滴吐出手段により吐出した液滴を前記媒体に付着させて画像形成を行う画像形成装置において、液滴吐出手段として(態様A)乃至(態様E)の液滴吐出ヘッドを採用する。これによれば、高信頼性を有する画像形成装置を得ることができる。