特許第6025173号(P6025173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6025173HetNetにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路の設定方法およびその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025173
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】HetNetにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路の設定方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/04 20090101AFI20161107BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20161107BHJP
【FI】
   H04W36/04
   H04W16/32
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-19413(P2013-19413)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-150492(P2014-150492A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 憲一
(72)【発明者】
【氏名】安川 正祥
(72)【発明者】
【氏名】則武 克誌
【審査官】 石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−062711(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/145210(WO,A1)
【文献】 特開2011−109710(JP,A)
【文献】 特開2012−227974(JP,A)
【文献】 Intel Corporation,Scenarios and benefits of dual connectivity[online], 3GPP TSG-RAN WG2#81 R2-130570,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81/Docs/R2-130570.zip>,2013年 1月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する方法であって、
端末が、スモールセルへの接続時に帰属するマクロセルのCIDを当該スモールセルの基地局へ通知するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記端末から通知されたCIDを用いて、セル単位の識別子であるCIDとそのセルの基地局のIPアドレスとの対応関係を管理するCIDサーバから、前記端末が帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスを取得するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記取得したIPアドレスを用いて前記端末が帰属するマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定するステップとを含み、
端末が別のマクロセルにハンドオーバした場合、当該端末が、接続中のスモールセル基地局にハンドオーバ後の新たなマクロセルのCIDを通知し、当該通知を受信したスモールセルの基地局が、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する
ことを特徴とする通信路設定方法。
【請求項2】
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する方法であって、
スモールセルの基地局が、端末が接続した際、当該スモールセルと関係性の高いマクロセルの基地局のIPアドレスを記載したリスト中の各マクロセルの基地局に対し、前記端末が帰属しているか否かを問い合わせるステップと、
マクロセルの基地局のうち前記端末が帰属しているマクロセルの基地局が、前記スモールセルの基地局に対し、当該端末の帰属を回答するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記回答を受信したマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定するステップとを含み、
端末が別のマクロセルにハンドオーバした場合、当該端末が、接続中のスモールセル基地局にマクロセルハンドオーバの発生を通知し、当該通知を受信したスモールセルの基地局が、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する
ことを特徴とする通信路設定方法。
【請求項3】
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する方法であって、
端末が、マクロセルへの接続時にその基地局のIPアドレスを取得するステップと、
端末が、スモールセルへの接続時に帰属するマクロセルのIPアドレスを当該スモールセルの基地局へ通知するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記通知されたIPアドレスを用いて前記端末が帰属するマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定するステップとを含み、
端末が別のマクロセルにハンドオーバした場合、当該端末が、接続中のスモールセル基地局にハンドオーバ後の新たなマクロセルのIPアドレスを通知し、当該通知を受信したスモールセルの基地局が、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する
ことを特徴とする通信路設定方法。
【請求項4】
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する装置であって、
セル単位の識別子であるCIDとそのセルの基地局のIPアドレスとの対応関係を管理するCIDサーバと、マクロセルの基地局と、スモールセルの基地局と、端末とから構成され、
前記端末は、スモールセルへの接続時に帰属するマクロセルのCIDを当該スモールセルの基地局へ通知する手段を少なくとも有し、
前記スモールセルの基地局は、前記端末から通知されたCIDを用いて、CIDサーバから、前記端末が帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスを取得する手段と、前記取得したIPアドレスを用いて前記端末が帰属するマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定する手段とを少なくとも有し、
前記端末は、さらに、別のマクロセルにハンドオーバした場合に、接続中のスモールセル基地局にハンドオーバ後の新たなマクロセルのCIDを通知する手段を少なくとも有し、
前記スモールセルの基地局は、さらに、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する手段を少なくとも有する
ことを特徴とする通信路設定装置。
【請求項5】
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する装置であって、
マクロセルの基地局と、スモールセルの基地局と、端末とから構成され、
前記スモールセルの基地局は、端末が接続した際、当該スモールセルと関係性の高いマクロセルの基地局のIPアドレスを記載したリスト中の各マクロセルの基地局に対し、前記端末が帰属しているか否かを問い合わせる手段と、前記端末の帰属を回答したマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定する手段とを少なくとも有し、
前記マクロセルの基地局は、前記スモールセルの基地局からの端末の帰属に関する問い合わせに対し、当該端末が帰属している場合は当該端末の帰属を回答する手段を少なくとも有し、
前記端末は、さらに、別のマクロセルにハンドオーバした場合に、接続中のスモールセル基地局にマクロセルハンドオーバの発生を通知する手段を少なくとも有し、
前記スモールセルの基地局は、さらに、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する手段を少なくとも有する
ことを特徴とする通信路設定装置。
【請求項6】
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する装置であって、
マクロセルの基地局と、スモールセルの基地局と、端末とから構成され、
前記端末は、マクロセルへの接続時にその基地局のIPアドレスを取得する手段と、スモールセルへの接続時に帰属するマクロセルのIPアドレスを当該スモールセルの基地局へ通知する手段とを少なくとも有し、
前記スモールセルの基地局は、前記通知されたIPアドレスを用いて前記端末が帰属するマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定する手段を少なくとも有し、
前記端末は、さらに、別のマクロセルにハンドオーバした場合に、接続中のスモールセル基地局にハンドオーバ後の新たなマクロセルのIPアドレスを通知する手段を少なくとも有し、
前記スモールセルの基地局は、さらに、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する手段を少なくとも有する
ことを特徴とする通信路設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HetNetにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路の設定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3GやLTE等の3GPPにより規格化(例えば、非特許文献1参照)された移動無線通信は広く用いられている。3GPPでは移動無線通信の仕様を拡張するため、LTE−Advancedやそれ以降をターゲットとした技術的な議論が活発に行われている。3GPPにおける将来の移動無線通信の仕様の議論の中で、基地局とそのサービスエリアであるセルの構成に関して、HetNet(Heterogeneous Network)の概念が議論されている。
【0003】
HetNetは、広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセル(ピコセル等の呼称もあり)を必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて移動無線端末(以下、単に「端末」)に通信サービスを提供する通信方式である。この方式では通信が逼迫するエリアに対してスポット的にスモールセルを展開することで、そのエリアの収容トラフィックを増加させることができる。
【0004】
HetNetの一つの拡張的な概念として、Phantom Cellと呼ばれる構成が提案されている(非特許文献2参照)。Phantom Cellで、マクロセルがC−Planeの処理を担当し、スモールセルはU−Planeのデータ通信のみ収容する方式である。
【0005】
端末はマクロセルとスモールセルの両方に帰属(接続)し、重要な通信やハンドオーバ等の処理はマクロセル側で処理し、インターネットアクセスのようなトラフィックはスモールセルによる高速通信を活用することで、スモールセルの高速なアクセスを効率良く使用することが可能である。
【0006】
本発明は、Phantom Cellに代表されるような、マクロセルの基地局に当該マクロセルのサービスエリア内のスモールセルの基地局が収容される構成を前提とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スモールセルの基地局はマクロセルの基地局とネットワーク的に接続されているが、マクロセルの展開の仕方によっては、その対応関係は端末ごとに異なる場合がある。
【0008】
例えば図1に示すように、異なる周波数f1,f2のマクロセルの基地局(eNodeB)がそれぞれあり、サービスエリアが重なっている場合を想定する。その重複しているエリアに周波数f3のスモールセルを設ける場合、そのスモールセルは周波数f1,f2のどちらのマクロセルのサービスエリア内にもあることになり、双方と帰属することが考えられる(ここでもし、例えば一方のマクロセルに固定的に収容するとした場合、周波数f2のマクロセルを利用しているユーザはこのスモールセルを利用するためには周波数f1にハンドオーバする必要があるため繁雑となる。)。
【0009】
双方に帰属するスモールセルの接続先は、利用する端末により異なる。例えば、周波数f1のマクロセルに帰属している端末が周波数f3のスモールセルを利用する場合、周波数f3のスモールセルの基地局から元の周波数f1のマクロセルの基地局にデータを転送する必要があり、また、周波数f2のマクロセルに帰属している端末が周波数f3のスモールセルを利用する場合、周波数f3のスモールセル基地局から元の周波数f2のマクロセルの基地局へデータを転送する必要がある。
【0010】
また別の例として、図2に示すように一つのスモールセルを複数のMNO(Mobile Network Operator)で共有するケースが考えられる。この場合、スモールセルに接続する端末が契約するMNOごとにマクロセルの基地局は異なるため、端末単位で接続先のマクロセルの基地局を選択できる必要がある。現状の3GPP仕様およびそれに準じた装置ではこのような選択はできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、前記目的を達成するため、
広いサービスエリアをカバーするマクロセルを展開するとともに、高速通信が可能であるが前記マクロセルより狭いサービスエリアをカバーするスモールセルを必要に応じて前記マクロセルのサービスエリア内に重畳的に展開し、前記マクロセルの基地局および/またはスモールセルの基地局との間の無線通信を通じて端末に通信サービスを提供する通信システムにおけるマクロセルとスモールセルとの間の通信路を設定する方法であって、
端末が、スモールセルへの接続時に帰属するマクロセルのCIDを当該スモールセルの基地局へ通知するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記端末から通知されたCIDを用いて、セル単位の識別子であるCIDとそのセルの基地局のIPアドレスとの対応関係を管理するCIDサーバから、前記端末が帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスを取得するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記取得したIPアドレスを用いて前記端末が帰属するマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定するステップとを含み、
端末が別のマクロセルにハンドオーバした場合、当該端末が、接続中のスモールセル基地局にハンドオーバ後の新たなマクロセルのCIDを通知し、当該通知を受信したスモールセルの基地局が、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明では、前記目的を達成するため、
スモールセルの基地局が、端末が接続した際、当該スモールセルと関係性の高いマクロセルの基地局のIPアドレスを記載したリスト中の各マクロセルの基地局に対し、前記端末が帰属しているか否かを問い合わせるステップと、
マクロセルの基地局のうち前記端末が帰属しているマクロセルの基地局が、前記スモールセルの基地局に対し、当該端末の帰属を回答するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記回答を受信したマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定するステップとを含み、
端末が別のマクロセルにハンドオーバした場合、当該端末が、接続中のスモールセル基地局にマクロセルハンドオーバの発生を通知し、当該通知を受信したスモールセルの基地局が、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する
ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、前記目的を達成するため、
端末が、マクロセルへの接続時にその基地局のIPアドレスを取得するステップと、
端末が、スモールセルへの接続時に帰属するマクロセルのIPアドレスを当該スモールセルの基地局へ通知するステップと、
前記スモールセルの基地局が、前記通知されたIPアドレスを用いて前記端末が帰属するマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を設定するステップとを含み、
端末が別のマクロセルにハンドオーバした場合、当該端末が、接続中のスモールセル基地局にハンドオーバ後の新たなマクロセルのIPアドレスを通知し、当該通知を受信したスモールセルの基地局が、新たなマクロセルの基地局との間に当該端末向けの通信路を再設定する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マクロセルとスモールセルとの間の通信路を端末単位で設定でき、スモールセルを複数のマクロセルで共用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】マクロセルのサービスエリアが重複する場合のマクロセルとスモールセルとの間の関係の説明図
図2】異なるMNO間でスモールセルを共用する場合のマクロセルとスモールセルとの間の関係の説明図
図3】本発明の通信路設定方法の第1の実施の形態を示す構成図
図4】本発明の通信路設定方法の第2の実施の形態を示す構成図
図5】本発明の通信路設定方法の第2の実施の形態を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、端末がスモールセルに接続した際に、当該端末が接続(帰属)しているマクロセルの基地局のIPアドレスを特定し、端末ごとにスモールセル基地局とマクロセル基地局との間にデータ転送用のパス(通信路)を設定することで解決する。
【0017】
図3は本発明の通信路設定方法の第1の実施の形態、ここではCIDサーバを用いて端末が帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスを特定する形態を示すもので、図中、11はCIDサーバ、12はマクロセルの基地局、13はスモールセルの基地局、14は端末である。
【0018】
CID(Cell ID)はマクロセル、スモールセルを問わず、セル単位に設定されているID(識別子)であり、CIDサーバ11はCIDとそのセルの基地局のIPアドレスとの対応関係を管理(格納)している。
【0019】
前記構成において、端末14がスモールセルに接続した場合、端末14は帰属するマクロセルのCIDをスモールセルの基地局13に通知する(1)。スモールセルの基地局13はCIDサーバ11にCIDを問い合わせするフレームを送信し、CIDサーバ11はそのCIDに対応するマクロセルの基地局12のIPアドレスをスモールセルの基地局13に返答する(2)。
【0020】
スモールセルの基地局13は、そのマクロセルの基地局12のIPアドレスに向けてパス設定要求を出し(3)、その端末向けのデータ転送用のパスの設定を完了する(4)。ここでパスとは、何らかのトンネルプロトコル(GTP,GRE,IPsec等)、もしくは単に端末と転送先IPアドレスの対を記憶しておくことを示す。
【0021】
なお、スモールセルの基地局13は、端末14との接続が解除された場合、このパスを開放する。また、スモールセルに接続した端末14は、その後、別のマクロセルにマクロセル自体をハンドオーバした場合、接続中のスモールセルの基地局13にハンドオーバ後の新たなマクロセルのCIDを通知する。当該新たなマクロセルのCIDを受信したスモールセルの基地局13は、前記同様の手順により新たなマクロセルの基地局のIPアドレスを特定し、旧マクロセル向けのパスを開放するとともに新たなマクロセル向けにパスを再設定する。
【0022】
図4は本発明の通信路設定方法の第2の実施の形態、ここではマクロセルの基地局に端末の帰属を問い合わせることにより端末が帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスを特定する形態を示すもので、図中、21,22,23はマクロセルの基地局、24はスモールセルの基地局、25は端末である。
【0023】
スモールセルの基地局24は、予め当該スモールセルと関係性の高いマクロセルの基地局、ここでは基地局21,22,23のIPアドレスを記載したリストを保持している。
【0024】
前記構成において、端末25がスモールセルに接続した際(1)、スモールセルの基地局24は端末25の固有ID(例えば、電話番号)を用いて、前記リスト中の各マクロセルの基地局21,22,23に対し、端末25が帰属しているか否かを問い合わせるフレームを送信する(2)。端末25が帰属しているマクロセルの基地局、ここでは基地局22はスモールセルの基地局24に回答するフレームを送信する(3)。
【0025】
このようにして、端末25が帰属しているマクロセルの基地局22のIPアドレスを特定し、スモールセルの基地局24から該当するマクロセルの基地局22まで、第1の実施の形態の場合と同様にしてパスを設定する(4)、(5)。なお、パスの定義や開放手順については第1の実施の形態の場合と同様である。
【0026】
また、スモールセルに接続した端末25は、その後、別のマクロセルにマクロセル自体をハンドオーバした場合、接続中のスモールセルの基地局24にハンドオーバの発生を通知する。ハンドオーバの発生を受信したスモールセルの基地局24は、前記同様の手順により新たなマクロセルの基地局のIPアドレスを特定し、旧マクロセル向けのパスを開放するとともに新たなマクロセル向けにパスを再設定する。
【0027】
図5は本発明の通信路設定方法の第3の実施の形態、ここではマクロセルの基地局がそのIPアドレスを端末に通知することにより端末が帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスを特定する形態を示すもので、図中、31はマクロセルの基地局、32はスモールセルの基地局、33は端末である。
【0028】
前記構成において、端末33がマクロセルと接続すると、当該マクロセルの基地局31はそのIPアドレスを端末33に通知する。端末33がスモールセルに接続した場合、端末33は帰属するマクロセルの基地局のIPアドレスをスモールセルの基地局32に通知する(2)。その後、スモールセルの基地局32から該当するマクロセルの基地局31まで、第1の実施の形態の場合と同様にしてパスを設定する(3)、(4)。なお、パスの定義や開放手順については第1の実施の形態の場合と同様である。
【0029】
また、スモールセルに接続した端末33は、その後、別のマクロセルにマクロセル自体をハンドオーバした場合、新たなマクロセルの基地局から取得した新たなIPアドレスを接続中のスモールセル基地局32に通知する。新たなIPアドレスを受信したスモールセルの基地局32は、旧マクロセル向けのパスを開放するとともに前記同様の手順により新たなマクロセル向けにパスを再設定する。
【符号の説明】
【0030】
11:CIDサーバ、12,21,22,23,31:マクロセルの基地局、13,24,32:スモールセルの基地局、14,25,33:端末。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】3GPP TS 23.401 General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved niversal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access (Release 11)
【非特許文献2】NTT Docomo, "Requirements, Candidate Solutions & Technology Roadmap for LTE Rel-12 Onward," RWS-120010, 3GPP Workshop on Release 12 and onwards, Ljubljana, Slovenia, June 11-12, 2012.
図1
図2
図3
図4
図5