特許第6025571号(P6025571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025571
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】センサモジュール及びセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20161107BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G08C17/00 Z
   G08C15/00 E
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-151(P2013-151)
(22)【出願日】2013年1月4日
(65)【公開番号】特開2014-132386(P2014-132386A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】窪田 和之
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−079322(JP,A)
【文献】 特開平08−251098(JP,A)
【文献】 特開2014−107767(JP,A)
【文献】 特開2007−108884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、
当該センサモジュールの動作を制御する制御部と、
当該センサモジュールに電力を供給する第一及び第二の二次電池と、
前記第一及び第二の二次電池による電力の供給を制御する電源制御部と、
前記センサにより検出されたデータを無線通信により送信する出力部と、を有し、
前記電源制御部は、
前記制御部により、前記センサにより検出されたデータが異常値と判断された場合、少なくとも前記第二の二次電池に電力を供給させ
前記出力部は、
前記第二の二次電池により前記センサモジュールに電力が供給された後に、前記データを送信する、センサモジュール。
【請求項2】
記制御部は、
前記データを異常値と判断したとき、前記出力部による前記データの出力レベルを、前記データが正常値と判断された場合の出力レベルよりも高くする出力レベル調整部を有する請求項1記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記制御部は、前記データの送信を制御する送信制御部を有し、
前記送信制御部は、
前記データが異常値と判断された場合に、前記出力部がデータの送信中か否かを判断し、前記出力部がデータの送信中であった場合に前記データの送信を中断させ、前記出力レベル調整部により前記出力部の出力レベルが高くされた後に、前記異常値と判断されたデータを送信する請求項2記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記電源制御部は、
前記データが異常値と判断された場合、前記第一及び第二の二次電池に電力を供給させ、
前記データが正常値と判断された場合、前記第一の二次電池にのみ電力を供給させる請求項1ないし3の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記第一及び第二の二次電池を充電する環境発電装置を有する請求項1ないし4の何れか一項に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記環境発電装置は、
前記第二の二次電池が満充電の状態を維持するように前記第二の二次電池を充電する請求5記載のセンサモジュール。
【請求項7】
センサと、前記センサが検出したデータを無線通信により送信する出力部と、を有するセンサモジュールと、ホストとを含むセンサシステムであって、
前記センサモジュールは、
前記センサと、
前記センサモジュールの動作を制御する制御部と、
前記センサモジュールに電力を供給する第一及び第二の二次電池と、
前記第一及び第二の二次電池による電力の供給を制御する電源制御部と、を有し、
前記電源制御部は、
前記制御部により、前記センサにより検出されたデータが異常値と判断された場合、少なくとも前記第二の二次電池に電力を供給させ、
前記出力部は、
前記第二の二次電池により前記センサモジュールに電力が供給された後に、前記データを前記ホストへ送信するセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサと、センサが検出したデータを無線通信により送信する出力部と、を有するセンサモジュール及びセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば充放電可能な二次電池とセンサを搭載し、センサが検出したデータを無線通信にてホストコンピュータへ送信するセンサモジュールが知られている。
【0003】
近年のセンサモジュールでは、小型化に伴い二次電池も小さいものが使用されため、データ送信に係る消費電力の削減が望まれている。例えば特許文献1には、省電力のために外部からの無線伝送要求を受信した場合に、データを送信するシステムが記載されている。
【0004】
また上記技術以外にも、消費電力を削減する手法として、例えばセンサで取り込んだデータをメモリに格納し、所定タイミング毎にまとめてデータを送信することで、データの送信回数を減らし、送信に係る消費電力を削減する手法が知られている。また消費電力を削減する別の手法として、例えばセンサで取り込んだデータを一つ前に取り込んだデータとの差分データとして送信するデータ量を削減し、送信に係る消費電力を削減する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−234622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センシングの技術では、センサが検出したデータが異常値であった場合、直ちに異常値をホスト側へ送信することが望まれる。
【0007】
しかしながら上記従来の技術では、センサが検出したデータはリアルタイムではホストコンピュータ側に送信されない。よってセンサが検出したデータに異常値が含まれる場合にも、異常値をリアルタイムでホストコンピュータ側へ送信することができない。
【0008】
そこで、例えばセンサが検出したデータを全てリアルタイムにホストコンピュータ側へ送信した場合、二次電池の残容量が少なくなるとセンサモジュールはホストコンピュータと通信できなくなる。このためセンサモジュールは、センサが異常値を検出した際にホストコンピュータと通信できず、異常値が検出されたことをホストコンピュータへ通知できい可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべく成されたものであり、異常値が検出された際にこの異常値をリアルタイムでホストコンピュータへ送信することが可能なセンサモジュール及びセンサシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成すべく以下の如き構成を採用した。
【0011】
本発明は、センサと、当該センサモジュールの動作を制御する制御部と、当該センサモジュールに電力を供給する第一及び第二の二次電池と、前記第一及び第二の二次電池による電力の供給を制御する電源制御部と、前記センサにより検出されたデータを無線通信により送信する出力部と、を有し、前記電源制御部は、前記制御部により、前記センサにより検出されたデータが異常値と判断された場合、少なくとも前記第二の二次電池に電力を供給させ、前記出力部は、前記第二の二次電池により前記センサモジュールに電力が供給された後に、前記データを送信する。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術によれば、異常値が検出された際にこの異常値をリアルタイムでホストコンピュータへ送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一の実施形態のセンサシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】第一の実施形態のセンサモジュールを説明する図である。
図3】MCUと発電部の機能を説明する図である。
図4】第一の実施形態のセンサモジュールの動作を説明するフローチャートである。
図5】第一の実施形態のホストの動作を説明する図である。
図6】第一の実施形態のセンサモジュールの通信を説明する図である。
図7】第一の実施形態との比較例を示す図である。
図8】第二の実施形態のセンサモジュールの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態のセンサシステムのシステム構成の一例を示す図である。
【0015】
本実施形態のセンサシステム100は、センサモジュール200と、ホスト300とを含む。本実施形態のセンサモジュール200と、ホスト300とは、無線通信を行う。また本実施形態のセンサシステム100は、複数のセンサモジュールを有していても良い。
【0016】
本実施形態のセンサモジュール200は、例えば温度データ等を検出するセンサと自身を駆動させる電源とを有し、検出した検出データをホスト300へ送信する。
【0017】
本実施形態のホスト300は、センサモジュール200から送信される検出データを受信する受信部310と、受信した検出データを管理するコンピュータ320とにより構成されても良い。具体的には本実施形態のホスト300は、センサモジュール200から送信される検出データを受信手段が設けられたコンピュータであっても良い。本実施形態のコンピュータ320は、演算処理部と記憶部とを有する一般のコンピュータとした。
【0018】
以下に図2を参照して本実施形態のセンサモジュール200について説明する。図2は、第一の実施形態のセンサモジュールを説明する図である。本実施形態のセンサモジュール200は、後述する充放電可能な第一の電源と第二の電源とにより駆動される。また本実施形態のセンサモジュール200は、環境発電により電力を得る発電源を有し、第一及び第二の電源は発電源により充電される。
【0019】
本実施形態のセンサモジュール200は、検出データが正常値である場合には第一の電源により駆動され、検出データから異常値が検出されたとき、第二の電源も用いて駆動される。
【0020】
本実施形態の第一及び第二の電源は、例えば二次電池やキャパシタ等により実現されても良い。以下の説明では、第一及び第二の電源を第一及び第二の二次電池として説明する。
【0021】
本実施形態のセンサモジュール200は、センサ210、ADC(analog to digital converter)220、MCU(Micro Control Unit)230、RF(Radio Frequency)出力部240、メモリ250、発電部260、二次電池270、280を有する。
【0022】
本実施形態のセンサ210は、例えばアナログデータ(検出データ)を取得するセンサである。具体的には本実施形態のセンサ210は、温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ、パルスオキシメータ等である。
【0023】
ADC220は、センサ210から出力される検出データをデジタル値に変換し、MCU230へ渡す。
【0024】
MCU230は、検出データのメモリへの格納や、RF出力部240を介した検出データの送信等を制御する。MCU230は、検出データに基づき二次電池270及び二次電池280との接続を後述する電源制御部に指示する。MCU230の機能の詳細は後述する。
【0025】
RF出力部240は、MCU230から出力された検出データをホスト300へ送信する。メモリ250は、MCU230がADC220から受け取った検出データ等が格納される。
【0026】
発電部260は、二次電池270と二次電池280の充放電を制御する。また発電部260は、MCU230からの接続指示に基づき二次電池270と二次電池280とセンサモジュール200内の各部との接続を制御する。発電部260の詳細は後述する。
【0027】
二次電池270は、センサモジュール200を駆動する電源である。本実施形態の二次電池280は、検出データが異常値であった場合にセンサモジュール200の有する各部に接続され、電源を供給する。本実施形態の二次電池270と二次電池280は、例えばリチウムイオン電池等であっても良いし、全固体薄膜二次電池等であっても良い。
【0028】
以下に図3を参照して本実施形態のMCU230と発電部260の機能の詳細を説明する。図3は、MCUと発電部の機能を説明する図である。
【0029】
本実施形態のMCU230は、データ管理部231、異常値判断部232、送信制御部233、接続指示部234、出力調整部235を有する。
【0030】
本実施形態のデータ管理部231は、例えばADC220から出力された検出データを管理する。具体的にはデータ管理部231は、例えば検出データをメモリ250に格納しても良い。またデータ管理部231は、例えば検出データを圧縮してメモリ250に格納しても良い。
【0031】
またデータ管理部231は、例えばADC220から受け取った検出データと直前に受け取った検出データとの差分をとり、この差分を検出データとしても良い。またデータ管理部231は、ADC220から出力される検出データをそのままRF出力部240へ渡しても良い。本実施形態では、データ管理部231による検出データの扱いは、例えば上述した何れかに予め設定されていても良い。
【0032】
異常値判断部232は、検出データの値が異常値であるか否かを判断する。具体的には本実施形態では、例えば検出データが異常値か否かを判断するための閾値がメモリ250に格納されており、異常値判断部232は、検出データが閾値を越えたとき検出データを異常値と判断しても良い。以下の説明では、異常値の検出データを異常データと呼ぶ。
【0033】
送信制御部233は、RF出力部240による検出データの送信を制御する。
【0034】
接続指示部234は、異常値判断部232による検出結果に基づき、二次電池270及び二次電池280と、センサモジュール200の各部との接続を発電部260に指示する。出力調整部235は、異常値判断部232による検出結果に基づき、RF出力部240の出力レベルを調整する。
【0035】
本実施形態の発電部260は、発電源261と、電源制御部262とを有する。本実施形態の発電源261は、環境発電により電力を得るものである。本実施形態の発電源261は、例えば光エネルギーを使用する光発電を行う太陽電池等でも良い。また本実施形態の発電源261は、例えば熱エネルギーを使用する熱発電を行うものであっても良いし、振動エネルギーを使用する振動発電を行うものであっても良い。また本実施形態の発電源261は、例えば電波エネルギーを使用した電波発電を行うものであっても良い。
【0036】
本実施形態の電源制御部262は、二次電池270、二次電池280の充電及び接続を制御する。本実施形態の電源制御部262は、接続制御部263、充電制御部264を有する。
【0037】
本実施形態の接続制御部263は、MCU230からの接続指示を受けて二次電池270、二次電池280と各部との接続を制御する。充電制御部264は、発電源261による二次電池270と二次電池280の充電を制御する。
【0038】
以下に本実施形態の充電制御部264による二次電池270と二次電池280の充電制御について説明する。本実施形態の充電制御部264は、二次電池270については、例えば二次電池270の残容量が所定の閾値以下となった場合に発電源261が得た電力により二次電池270を充電する。
【0039】
また本実施形態の充電制御部264は、発電源261が得た電力により、二次電池280が満充電を維持するように充電を行う。具体的には本実施形態の充電制御部264は、例えば二次電池280がセンサモジュール200の各部と接続されたとき、二次電池280に対する充電を開始しても良い。また本実施形態の充電制御部264は、二次電池280とセンサモジュール200の各部との接続が遮断されたとき、二次電池280に対する充電を開始しても良い。また本実施形態の充電制御部264は、例えば二次電池280の残容量が自然放電等により所定値以下となったとき、二次電池280に対する充電を開始しても良い。
【0040】
以下に図4を参照して本実施形態のセンサモジュール200の動作について説明する。図4は、第一の実施形態のセンサモジュールの動作を説明するフローチャートである。
【0041】
本実施形態のセンサモジュール200において、センサ210が検出データを読み取ると(ステップS401)、異常値判断部232は、読み取った検出データが異常データか否かを判断する(ステップS402)。
【0042】
尚本実施形態の異常値判断部232は、例えば検出データが異常データであった場合、異常データに異常データであることを示すフラグを付与しても良い。
【0043】
ステップS402において検出データが異常データでない場合、データ管理部231は検出データをメモリ250へ蓄積する(ステップS403)。続いて送信制御部233は、メモリ250に格納された検出データをホスト300へ送信する(ステップS404)。本実施形態の送信制御部233は、例えばメモリ250に蓄積された検出データを所定間隔毎にホスト300に送信しても良い。また本実施形態の送信制御部233は、メモリ250に検出データが蓄積される度にメモリ250に格納された検出データをホスト300へ送信しても良い。本実施形態の送信制御部233による検出データの送信の形態は、例えばセンサモジュール200において予め設定されていても良い。
【0044】
ステップS402において検出データが異常データである場合、接続指示部234は、電源制御部262に二次電池280の接続を指示する。電源制御部262は、この指示を受けて、二次電池280をセンサモジュール200の各部と接続する(ステップS405)。より具体的には電源制御部262は、二次電池280をセンサ210、ADC220、MCU230、RF出力部240、メモリ250と接続する。
【0045】
本実施形態では、このように各部を二次電池280と接続することで、センサモジュール200の各部は、二次電池270、280の2つの電源から電力が供給され、電力不足を回避できる。尚本実施形態では、検出データが異常データでない場合は、二次電池280は上記各部と接続されておらず、二次電池270のみでセンサモジュール200が駆動される。
【0046】
続いてMCU230は、送信制御部233により、RF出力部240において検出データが送信中であるか否かを判断する(ステップS406)。
【0047】
ステップS406において検出データの送信中であった場合、送信制御部233は検出データの送信を中断させる(ステップS407)。続いて出力調整部235は、RF出力部240の出力レベルを最大とする(ステップS408)。続いて送信制御部233は、検出された異常データをホスト300へ送信する(ステップS409)。
【0048】
本実施形態では、異常データをホスト300へ送信する際にRF出力部240の出力レベルを最大とすることで、異常データを確実にホスト300へ送信することができる。尚本実施形態の出力調整部235は、RF出力部240の出力レベルを最大とするものとしたが、これに限定されない。
【0049】
出力調整部235は、例えばRF出力部240の出力レベルを正常値の検出データを送信する際の通常時の出力レベルより大きくすれば良い。センサモジュール200は、RF出力部240の出力レベルを通常時より大きくすれば、異常データを確実にホスト300へ送信することができる。尚異常データを送信する際のRF出力部240の出力レベルは、例えばセンサモジュール200とホスト300との距離等により予め設定されていても良い。
【0050】
続いて出力調整部235は、送信制御部233による異常データの送信が完了すると、RF出力部240の出力レベルを元のレベルへ戻す(ステップS410)。続いて接続指示部234は、二次電池280とセンサモジュール200の各部との接続の切断を電源制御部262へ指示する。電源制御部262は、この指示を受けて二次電池280とセンサモジュール200の各部との接続を遮断する(ステップS411)。
【0051】
続いて送信制御部233は、ステップS407で送信を中断した検出データをホスト300へ再送する(ステップS412)。
【0052】
ステップS406において検出データの送信中でない場合、出力調整部235によりRF出力部240の出力レベルを最大とする(ステップS413)。ステップS413からステップS416までの処理は、ステップS408からステップS411までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0053】
以上のように本実施形態では、センサ210により異常データが検出された場合は、二次電池280がセンサモジュール200の各部に接続される。本実施形態では、二次電池280は、満充電を維持するように充電制御部264により制御されているため、本実施形態では電力不足により異常データの送信が行えないという事態を回避できる。
【0054】
また本実施形態のMCU230は、検出データの送信中に異常データが検出されたとき、送信制御部233により割り込みを発生させて検出データの送信を中断させ、異常データをホスト300へ送信する。よって本実施形態では、異常データが検出された際にリアルタイムにホスト300へ異常データを送信することができる。
【0055】
図5は、第一の実施形態のホストの動作を説明する図である。
【0056】
本実施形態のホスト300は、受信部310により、センサモジュール200から送信される検出データを受信する(ステップS51)。続いてホスト300は、コンピュータ320により受信した検出データが異常データであるか否かを判断する(ステップS52)。尚本実施形態のホスト300では、例えば受信した検出データに、異常データであることを示すフラグが付与されていた場合に、検出データを異常データと判断しても良い。また本実施形態のホスト300は、例えば自身で検出データが異常データか否かを判断する閾値を保持しており、この閾値に基づき検出データが異常データか否かを判断しても良い。
【0057】
ステップS52において検出データが異常データであった場合、ホスト300は異常時処理を行う(ステップS53)。本実施形態の異常時処理とは、例えばコンピュータ320の有するディスプレイ等に異常データを検出したことを表示させたり、異常データを検出したことを通知するアラーム等を鳴らしたたりする処理である。
【0058】
ステップS52において検出データが異常データでなかった場合、ホスト300は、検出データに対して所定の処理を行う(ステップS54)。所定の処理とは、例えば検出データの保存処理や、検出データの解析処理等である。所定の処理は、センサモジュール200により検出する検出データの種類や用途に応じて、予めホスト300において決められた処理である。
【0059】
以下に図6を参照して本実施形態のセンサモジュールによる通信について説明する。図6は、第一の実施形態のセンサモジュールの通信を説明する図である。図6では、センサモジュール200は、センサ210が検出データを検出する度にホスト300と通信を行い、検出データをホスト300へ送信する場合を示している。
【0060】
本実施形態のセンサモジュール200では、検出データの送信時の消費電流と比較して、異常データの送信時の方が消費電流が大きくなる。これは、異常データを送信する際にRF出力部240の出力レベルを上げるからである。
【0061】
しかしながら本実施形態のセンサモジュール200では、異常データを送信する際には、二次電池270に加えて二次電池280からも電力が供給されるため、図6に示すように通信を行っても電力不足に陥ることがない。
【0062】
図6の例は、検出データの送信周期のタイミングとセンサによる検出データのサンプリング周期とが同じ例としたが、検出データの送信周期は、サンプリング周期と比べて長い期間であっても良い。
【0063】
本実施形態では、例えば検出データの送信周期がサンプリング周期と比べて長い場合でも、異常データが検出された場合には割り込みを発生させて異常データをホスト300へ送信するため、リアルタイムにホスト300へ異常データを送信することができる。
【0064】
図7は、第一の実施形態との比較例を示す図である。図7では、二次電池が1つしか設けられていないセンサモジュールの通信の状態を示している。
【0065】
図7の例では、検出データを検出する度にホスト300へ送信した場合、消費電力が大きく、途中から十分な出力を得ることができなくなり、ホスト300との通信が行えなくなることがわかる。この場合センサモジュールは、異常データを検出してもホストへ異常データを送信することができない。
【0066】
本実施形態のセンサモジュール200は、異常データが検出されるとセンサモジュール200の各部に接続される異常データ検出時用の二次電池280を有することで、図7に示すような電力不足を解消している。
【0067】
本実施形態のセンサシステム100は、例えばヘルスケアの分野や医療分野等に適用することができる。
【0068】
例えば本実施形態のセンサシステム100をヘルスケアの分野に適用した場合、センサモジュール200のセンサ210を加速度センサとし、ユーザの衣服等に装着させる。ホスト300は、センサ210から送信される検出データに基づきユーザの歩数等を管理しても良い。この場合ホスト300は、例えばユーザが持ち運び可能な携帯端末等であっても良い。
【0069】
また例えば本実施形態のセンサシステム100を医療分野に適用した場合、センサモジュール200のセンサ210を温度センサとし、患者の皮膚に付着させても良い。この場合ホスト300は、センサモジュール200から送信される検出データを患者の体温データとして管理しても良い。
【0070】
また本実施形態のセンサシステム100は、上述した分野以外にも適用できる。本実施形態のセンサシステム100は、環境発電により二次電池270、280を充電することができるため、例えば二次電池を充電することができない環境でセンシングを行う場合等にも適用できる。
【0071】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、異常データが連続して続いて場合のみ異常時用の二次電池をセンサモジュール200の各部に接続する点が第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態のとの相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0072】
図8は、第二の実施形態のセンサモジュールの動作を説明するフローチャートである。図8のステップS801からステップS804までの処理は、図4のステップS401からステップS404までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0073】
ステップS802において検出データが異常データであった場合、異常値判断部232は、所定回数連続して異常データを検出しているか否かを判断する(ステップS805)。ステップS805において所定回数連続して異常データを検出した場合、接続指示部234は、電源制御部262に対して二次電池280をセンサ210、ADC220、MCU230、RF出力部240、メモリ250と接続させるように指示する。電源制御部262は、接続指示部234の指示に応じて接続制御部263により二次電池280を接続させ(ステップS806)、後述するステップS808へ進む。
【0074】
ステップS805において、所定回数連続して異常データを検出していない場合、接続指示部234は、電源制御部262に対し、二次電池280をMCU230とRF出力部240と接続させるように指示する。電源制御部262は、この指示を受けて接続制御部263により二次電池280を接続させ(ステップS807)、後述するステップS808へ進む。
【0075】
ステップS808からステップS818までの処理は、ステップS406からステップS416までの処理と同様であるから説明を省略する。
【0076】
以上のように本実施形態では、連続して異常データを検出しない場合は、異常データの出力に必要な最低限の構成であるMCU230とRF出力部240のみを二次電池280と接続させる。よって本実施形態では、二次電池280の残容量の低減を最小限に抑えることができる。
【0077】
また本実施形態では、ステップS807において二次電池280にMCU230とRF出力部240を接続した後に、二次電池270に接続されたセンサ210、ADC220、メモリ250をスリープ状態としても良い。
【0078】
また本実施形態では、ステップS805において所定回数連続して異常データを検出していない場合に、MCU230は二次電池270が使用可能か否かを判断し、二次電池270が使用可能である場合にステップS807へ進んでも良い。また二次電池270が使用不可であった場合は、ステップS806へ進んでも良い。
【0079】
二次電池270が使用可能か否かを示す情報は、電源制御部262が二次電池270の残容量に基づき所定間隔毎にMCU230へ供給しても良い。
【0080】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0081】
100 センサシステム
200 センサモジュール
210 センサ
220 ADC
230 MCU
240 RF出力部
250 メモリ
260 発電部
270、280 二次電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8