特許第6025909号(P6025909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6025909マスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6025909
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】マスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/70 20120101AFI20161107BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20161107BHJP
   G03F 7/22 20060101ALI20161107BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   G03F1/70
   G02B5/30
   G03F7/22 Z
   G02F1/1337 505
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-89670(P2015-89670)
(22)【出願日】2015年4月24日
(62)【分割の表示】特願2013-521709(P2013-521709)の分割
【原出願日】2011年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-187731(P2015-187731A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0090604
(32)【優先日】2010年9月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0072018
(32)【優先日】2010年7月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、シン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キュン キ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ウォン チュル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムーン ソー
(72)【発明者】
【氏名】コ、ドン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ス ヤン
【審査官】 赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−201273(JP,A)
【文献】 特開平10−153707(JP,A)
【文献】 特開2001−159713(JP,A)
【文献】 特開平08−248618(JP,A)
【文献】 特開2006−201538(JP,A)
【文献】 特開2009−145539(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/086474(WO,A1)
【文献】 特開2005−033179(JP,A)
【文献】 特開2006−293197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86;7/00−7/24
G02B 5/30;27/00−27/64
G02F 1/13;1/1333;1/1337;
1/137−1/141
G03B 35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールツーロール(Roll to Roll)工程に使用されるロールと;
前記ロールに巻き取られる基材フィルムと;
露光のために光を発生させる光源と;
前記光源の出射側に設置され、前記光源で発生する光を偏光させる偏光板と;
前記基材フィルムにパターンを形成し、所定の厚さ及び幅を有するように開口された複数個のガイドスリットが形成されるマスクと;を含み、
互いに対向する前記マスク及び前記基材フィルムの面が曲面であり、
前記ガイドスリットの幅は、立体映像表示装置の表示パネルの左眼用映像または右眼用映像を生成する単位画素幅と同一であり、
前記ガイドスリットの間隔は、前記立体映像表示装置の表示パネルの左眼用映像または右眼用映像を生成する単位画素幅と同一の数値であり、
前記ガイドスリットは、下記数式を満たすように設計されることを特徴とする光学フィルタ製造装置。
[数式]
t≧5a
(t:ガイドスリットの厚さ、a:前記マスクと前記基材フィルムとの間隔、0<a≦50mm)
【請求項2】
前記基材フィルムの全面積に対して均一に光が照射され得るように集光する集光板をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項3】
前記光源は、ショットアーク型放電ランプであることを特徴とする請求項またはに記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項4】
前記光源は、UVランプであり、前記UVランプと基材フィルムとの間には、冷却装置が設置されることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項5】
前記光源は、複数個が複数列に配置されて、互いに異なる列に位置する光源は、一部が互いに重畳するように配置されることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項6】
前記互いに異なる列に位置する光源は、2/3が重畳するように配置されることを特徴とする請求項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項7】
前記ガイドスリットの内壁は、下部に行くほど、幅が狭く形成されることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項8】
前記ガイドスリットの内壁には、光の直進度を高めるための全反射コーティングが行われることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項9】
前記ガイドスリットは、一定の間隔を持って複数列が配置されることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の光学フィルタ製造装置。
【請求項10】
互いに異なる列に位置するガイドスリットは、互いに交互に配置されることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の光学フィルタ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルタ製造装置に関し、より詳細には、ロールツーロール工程で偏光素子を利用して液晶表示素子の配向膜や硬化型液晶を使用した光学基材フィルムの配向膜などを光配向させるのに用いられるマスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶表示素子や視野角補償基材フィルム層の配向膜に配向能を付与する方式として、配向膜に一定波長の偏光光を照射して配向させる光配向技術が広く使用されている。従来、光配向膜用の偏光光照射装置として、韓国特許公開第2006−0053117号、韓国特許公開第2009−0112546号などでは、線形状の光源である棒形状ランプにワイヤグリッド偏光素子を組み合わせる方法が行われていた。
このような光配向技術は、液晶パネルの大型化とともに大型化されていて、これにより、光配向膜に偏光光を照射する光照射装置の光照射領域も大面積化、高照度化している。
【0003】
このように広い面積を高い照度で照射するためには、光照射装置の光源もそれほど大型化されなければならないが、配向を決定する偏光の方向が入射光の入射角に依存するので、光源が大型化されれば、光照射領域のうち入射角の不均一が発生するようになり、これにより、偏光軸の不均一を引き起こすようになり、照射領域別に配向方向が均一ではなく、所望しない方向に配向される問題をもたらす。
【0004】
また、ロールツーロール(Roll to Roll)工程の場合、光照射領域が曲面である場合が多いが、この場合、照射領域が増えるほど、曲面による光照射領域内の偏光軸の不均一問題が発生するようになる。
【0005】
大面積に均一な偏光分布を有するためには、高度に平行化された光を偏光素子に入射させなければならないが、大面積に対応した高度で平行な光を作ることは、大型化装置が必要であり、装置内部の光路の長さが長くなり、光の強さが低下するので、処理時間が長くなり、生産性の低下をもたらすという問題がある。これにより、平行光を形成するためには、大型化装置なしに光学特性を具現することが難しく、そのため、ロールツーロール工程が不可能となり、生産性が顕著に低下する結果をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、前述したような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、大面積を均一に露光することができながらも、高度で平行な光の照射が可能であり、均一な配向性能を付与することができ、また、大面積の光配向を効率的に行うことができるマスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、高速のロールツーロール工程で簡単な構成を通じてパターンの均一度を向上させ、直進度を高めることができるマスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置を提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、以上で言及した目的に限定されず、言及していない他の技術的課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、本発明によるマスクは、基材フィルムにパターンを形成するロールツーロール(Roll to Roll)工程に使用されるマスクにおいて、前記マスクには、所定の厚さ及び幅を有するように開口された多数個のガイドスリットが形成されることを特徴とする。
【0010】
前記ガイドスリットは、下記数式を満たすように設計されることを特徴とする。
[数式]
t≧5a
(t:ガイドスリットの厚さ、0<a≦50mm)
【0011】
前記ガイドスリットは、下記数式を満たすように設計されることを特徴とする。
[数式]
b=wa/t≦単位画素幅の1/5
(t:ガイドスリットの厚さ、a:マスクと基材フィルムの間隔)
【0012】
前記ガイドスリットの内壁は、下部に行くほど、幅が狭く形成されることを特徴とする。
【0013】
前記ガイドスリットの内壁には、光の直進度を高めるための全反射コーティングが行われることを特徴とする。
【0014】
前記ガイドスリットは、一定の間隔を持って多数列で配置されることを特徴とする。
【0015】
互いに異なる列に位置するガイドスリットは、互いに交互に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の態様によれば、本発明による光学フィルタ製造装置は、ロールツーロール(Roll to Roll)工程に使用されるロールと;前記ロールに巻き取られる基材フィルムと;露光のために光を発生させる光源と;前記光源の出射側に設置され、前記光源で発生する光を偏光させる偏光板と;前記基材フィルムにパターンを形成し、所定の厚さ及び幅を有するように開口された多数個のガイドスリットが形成されるマスクと;を含むことを特徴とする。
【0017】
前記基材フィルムの全面積に対して均一に光が照射され得るように集光する集光板をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
前記光源は、ショットアーク型放電ランプであることを特徴とする。
【0019】
前記光源は、UVランプであり、前記UVランプと基材フィルムとの間には、冷却装置が設置されることを特徴とする。
【0020】
前記光源は、多数個が多数列で配置されるが、互いに異なる列に位置する光源は、一部が互いに重畳するように配置されることを特徴とする。
【0021】
前記互いに異なる列に位置する光源は、2/3が重畳するように配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、直進化された光を使用する光源としてショットアーク型放電ランプなどを使用することによって、大面積を均一に露光することができながらも、高度で平行な光の照射が可能であり、均一な配向性能を付与することができ、大面積の光配向を効率的に行うことができるという効果がある。
【0023】
マスクに多数個のガイドスリットが形成されていて、基材フィルムとマスクが所定の間隔で離隔された状態でも光の直進度が向上するので、パターンの均一度が良好であり、製造工程が単純化されることによって、生産性及び工程効率が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例による光学フィルタ製造装置を示す構成図である。
図2】本発明の一実施例による光学フィルタ製造装置の光源配置を示す構成図である。
図3】本発明によるマスクの形状を概略的に示す斜視図である。
図4】本発明によるマスクの他の例の形状を概略的に示す斜視図である。
図5】本発明によるマスクのガイドスリットの厚さと幅、及びガイドスリットと基材フィルムの間隔の間の関係を示す構成図である。
図6a】マスクにガイドスリットを形成しない場合と形成した場合のパターン形状を比較した写真である。
図6b】マスクにガイドスリットを形成しない場合と形成した場合のパターン形状を比較した写真である。
図7a】マスクと基材フィルムの間隔によるパターン形状を比較した写真である。
図7b】マスクと基材フィルムの間隔によるパターン形状を比較した写真である。
図7c】マスクと基材フィルムの間隔によるパターン形状を比較した写真である。
図7d】マスクと基材フィルムの間隔によるパターン形状を比較した写真である。
図8】本発明による立体映像表示装置の表示パネルの画素配置を例示的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明によるマスク及びこれを含む光学フィルタ製造装置の一実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1を参照すれば、本発明による光学フィルタ製造装置1において光を照射する装置は、大きく、露光のために光を照射する光源10と、基材フィルム50の全面積に対して均一に光が照射され得るように集光する集光板20と、光源10の出射側に設置される偏光板30と、基材フィルム50にパターンを形成するためのマスク40とを含む。また、光源10で照射された光は、ロールツーロール(Roll to Roll)工程のロール60に巻き取られた基材フィルム50に照射される。以下では、それぞれの構成要素について図面を参照して説明する。
【0027】
まず、光源10は、配向性能を付与するためのものであって、直進化された光を照射することができることが必要である。後述するが、マスク40を通じて基材フィルム50に光を照射する過程でマスク40とロール60との間隔が遠くなるほどパターンが正確で且つ均一に形成されにくい。また、マスク40とロール60との間隔が遠くなるほどパターン幅も不均一であり、基材フィルム50にむらが生ずるなどの問題があるので、本実施例では、直進化された光を照射する光源10が要求される。
【0028】
勿論、以下に説明するように、マスク40とロール60との間隔が一定に維持され得るように設計されたら、直進化された光源10を使用する必要がなく、棒形状のランプや既存の高圧水銀重合ランプのように光が広がって行く光源10の使用も可能である。しかし、マスク40とロール60との間隔を一定距離だけ最小化しなければ、パターンが不均一に形成される問題が発生し得るので、直進化された光を使用することが好ましい。
【0029】
直進化された光を使用する光源10として、UVランプの一種であるショットアーク型放電ランプを使用することができる。ショットアーク型放電ランプ以外の高圧水銀ランプなどの放電ランプを使用すれば、光が全方向に広がるので、基材フィルム50に光が照射されるとき、垂直方向に照射されなければ、微小領域間に異なる配向を形成しようとする場合、領域別に配向方向が変わるという問題が発生することができる。偏光光の照射時に光が垂直方向に照射される直進化された光を使用することは、マスク40と基材フィルム50の密着可否及び微小領域間の境界を決定づけることができる重要な要素であるので、ショットアーク型放電ランプを使用すれば、マスク40と基材フィルム50との間隔に余裕が生ずるだけでなく、光源10の光量が高圧水銀ランプより大きいため、ライン作業時に生産性の向上をもたらすことができる。
【0030】
また、UV硬化用ランプとしては、発光される波長によって中圧あるいは高圧水銀紫外ランプ、メタルハライドランプまたはガリウムUVランプなどが使用され、液晶及び配向膜を硬化するには、約100mW/cm以上の照度を有する高圧水銀高圧水銀紫外ランプが通常的に使用され、紫外線照射をするとき、液晶層の表面温度が液晶温度範囲以内となるように基材フィルムと紫外線ランプとの間にコールドミラー(cold mirror)やその他の冷却装置を設置することもできる。
【0031】
一般的に使用する高圧水銀ランプの場合、石英ガラス製の発光管内に高純度の水銀と不活性ガスが封入されたものであって、365nmをメイン波長として使用しており、ランプ形態によって全面散乱される特性を有している。その他、棒形状のランプの代わりに、ランプから光を反射する断面に卵円形である筒形状の集光鏡を備えたランプ(直進光ランプ)を使用することもでき、LEDやLDを多数個配置し、光源10として使用することもできる。
【0032】
一方、従来の技術によれば、光源が幅方向に多数個が配置され、基材フィルムの移動方向に沿って平行に多数列で配置される。このように光源が配置されれば、一部の光量の差異に起因して配向方向が変わるか、帯形状のむらが発生するおそれがある。
【0033】
したがって、本実施例では、図2のように、互いに異なる列に位置する光源10の間に一部が互いに重畳するように配置した。このように光源10が配置される場合には、光量の不均一によるむら及び光軸の不均一を無くすことができる。また、前記光源10は、図2のように、互いに異なる列に位置する光源10の間に約2/3が重畳することが好ましい。勿論、前述した数値に限定されるものではなく、互いに異なる列に位置する光源10の間に1/2など多様な比率で重畳することができる。
【0034】
次に、集光板20は、光量を均一に基材フィルム50に照射するために設置される部分である。放電ランプである光源10を使用しても、放電ランプに備えられるランプ笠によって光が照射される部分に光量の不均一が存在することができる。言い換えれば、ランプ笠に反射し、基材フィルム50に照射される光量と直接基材フィルム50に照射される光量に差異があるので、パターンが不均一に形成されることができる。したがって、これを解決するために、光源10の前端に集光板20を設置し、光が基材フィルム50の全面積に対して均一に照射され得るようにする。
【0035】
偏光板30は、偏光のために設置される部分であって、通常的にブリュースター角で配置されたガラス板や、ワイヤグリッド偏光板などが使用されることができる。
【0036】
次に、図3を参照すれば、本発明によるマスクは、所定の厚さで開口された多数個のガイドスリット42が形成される。前記ガイドスリット42は、マスク40の一方に沿って多数個が平行に形成されるものであって、光の直進度を高めて、パターンの均一度を向上させる。
【0037】
具体的に説明すれば、ロールツーロール工程では、パターン形成のための露光時に基材フィルム20が曲面に沿って移動するベルトに沿って移送される。実質的にロールツーロール工程で、パターン形成時に基材フィルム20とパターン形成のためのマスク10は、所定の間隔を持って進行するが、マスク10と基材フィルム20との間隔によって偏光が所望の位置に正確に照射されずに、それにより、パターンの正確性が低下するという問題がある。
【0038】
また、マスクを使用する光学フィルタを製造する場合、マスク10が、配向膜が形成された基材フィルム20から一定の距離をもって位置するが、この場合、照射される偏光がマスク10と基材フィルム20との間を進行しながら拡散することができる。したがって、所望の領域全部に均一な強さの偏光を照射することが難しく、その結果、配向膜パターンの境界部が不明確になり、第1光配向領域と第2光配向領域との間の境界面に配向が形成されない未配向領域が発生するという問題がある。
【0039】
これを解決するために、本実施例では、マスク40に所定のガイドスリット42を形成したものである。このようにガイドスリット42が形成されていて、これにより、光が照射されることによって光の直進度が向上し、基材フィルム50に形成されるパターンの均一度が高くなる。言い換えれば、マスク40と基材フィルム50が所定間隔で離隔された状態でも光の直進度が向上することができるという利点がある。
【0040】
一方、図3に示されたガイドスリット42は、1列だけで配置されるものではなく、多数の列で配置されることができる。また、多様なパターンを形成するために多数の列で配置されたガイドスリット42は、互いに交互に配置されることができる。例えば、図4のように、1列のガイドスリット42が形成された部分は、2列のガイドスリット42が形成されていない部分と延長線上に配置されるように形成されることができる。
【0041】
ここで、光の直進度を向上させてパターンを均一に形成するためには、前述したガイドスリット42の厚さt、幅w及びマスク40と基材フィルム50の間隔a(以下、間隔aという)を適切に設計することが重要である。具体的に説明すれば、マスク40を基材フィルム50に付着させた状態で露光が行われる場合、ガイドスリット42の厚さtが小さくなっても関係ないが、ロールツーロール工程でパターンを形成するためには、間隔aがあるしかなく、ガイドスリット42の厚さtが増加すれば、間隔aがある程度あっても、パターン形成が可能である。
【0042】
このようにガイドスリット42の厚さtを厚くすれば、間隔aを多少大きくしても、パターン形成が可能であるという長所がある。しかし、無条件にガイドスリット42の厚さtを大きくすれば、光の透過度が低下し、光量の低下に起因して配向が良好な行われない短所があるので、適切にガイドスリット42の厚さtを設計することが必要である。
【0043】
一方、図5には、本発明によるマスクのガイドスリットの厚さと幅、及びガイドスリットと基材フィルムとの間隔の関係を示す構成図が示されている。
【0044】
これを参照すれば、ガイドスリット42の厚さtと幅w、及びガイドスリット42と基材フィルム50の間隔aが表示されている。また、ガイドスリット42の上端の一側から対角方向に下端の一側に連結して延長した線を第1ベースラインL1と定義する。具体的に、第1ベースラインL1は、ガイドスリット42の左側の上端から右側の下端を連結するように延長した線である。また、ガイドスリット42の一方の側面に沿って延長した線を第2ベースラインL2と定義する。
【0045】
以上で定義した第1ベースラインL1と第2ベースラインL2が基材フィルム50と会う地点間の距離を最大離脱距離bと定義し、図5に表示した。すなわち、最大離脱距離bというのは、ガイドスリット42を通過する光が直進経路を脱して基材フィルム50に照射される最大距離と見られる。すべての光がガイドスリット42の側面と平行に通過し、基材フィルム50のパターン領域Sに照射されることが好ましいが、ロールツーロール工程の特性上、図5の第1ベースラインL1のように、パターン領域Sの外側に照射される場合をも考慮しなければならない。
【0046】
したがって、本実施例では、このように正常にパターンが形成される部分を脱して照射される光の範囲を最小化し、パターンを均一に具現しようとする。このために、設計仕様を導出した結果、最大離脱距離bが立体映像表示装置の単位画素(pixel)幅の1/5以下であることが好ましい。これは、最大離脱距離bの値が単位画素幅の1/5を超過すれば、クロストーク(crosstalk:他方のチャネルの電気信号によって生ずる一方のチャネルの所望しない信号の発生)が大きく形成される問題があるからである。以上で説明した設計条件を数式で表現すれば次の通りである。
【0047】
まず、図5の位置関係を通じて比例式を立てれば、下記[数式1]の通りである。
【0048】
[数式1]
t:w=(t+a):(w+b)
【0049】
前記[数式1]を最大離脱距離bに対して整理すれば、下記[数式2]の通りである。
【0050】
[数式2]
b=(a/t)*w
【0051】
前記[数式2]から最大離脱距離bと単位画素幅の関係を数式で表現すれば、次の通りである。
【0052】
[数式3]
b=wa/t≦単位画素幅の1/5
【0053】
以上のように導出された[数式3]によってガイドスリット42の厚さt、幅w及び間隔aを設定し、[数式3]に代入して計算された最大離脱距離bが単位画素幅の1/5以下なら、基材フィルム50にパターンを特性低下なしに具現することが可能であると見られる。
【0054】
ここで、単位画素幅は、実際にガイドスリット12の幅wと同一なので、前記[数式3]は、次のように整理されることができる。
【0055】
[数式4]
a/t≦1/5
【0056】
[数式4]をtに対して最終的に整理すれば、次の通りである。
【0057】
[数式5]
t≧5a
【0058】
ここで、間隔aは、0<a≦50mm範囲内で設計されることが好ましい。これは、前述した範囲を脱するように間隔aが設計される場合には、正常なパターンを具現しにくいからである。前記間隔aは、例えば、0.001mm、0.01mm、0.1mmまたは1mm以上に設計されるか、40mm、30mm、20mm以下などに設計されることができ、例示した上限線及び下限線の多様な組合で行われることができる。
【0059】
一方、図6a及び図6bには、マスクにガイドスリットを形成しない場合と形成する場合のパターン形状を比較した写真が示されている。図6aは、マスクにガイドスリットを形成しない場合であり、図6bは、ガイドスリットを形成する場合である。
【0060】
これを参照すれば、同一の条件(マスクと基材フィルムとの間隔が同一)の下でマスクにガイドスリットを形成する場合(図6b)が、ガイドスリットを形成しない場合(図6a)に比べてパターンが明確で且つ均一に形成されることを確認することができる。したがって、ロールツーロール工程に使用されるマスクにガイドスリットを形成することは、パターンの均一度の向上に大きく寄与するという点は、図6a及び図6bを通じて裏付けられる。
【0061】
次に、図7a〜図7dには、ガイドスリットがマスクと基材フィルムの間隔によるパターン形状を比較した写真が示されている。図7aから図7dに行くほど、マスク40と基材フィルム50の間隔が大きくなったことを順次に示すものである。
【0062】
これを参照すれば、マスク40と基材フィルム50の間隔の小くなるほど、パターンが明確で且つ均一に形成され、間隔が大きくなるほど、パターンが正常に形成されないことを確認することができる。また、間隔が極めて大きくなった場合(図7d)は、パターンがほとんど消えることを確認することができる。
【0063】
前記[数式2]によれば、間隔aが大きくなるほど、最大離脱距離bが大きくなるので、最大限間隔aを減らすことによって、最大離脱距離bを小さくして、均一なパターン形成が可能である。
【0064】
また、ガイドスリット42の幅wは、立体映像フィルタのパターン幅と同一に設計されることができる。例えば、マスク40を通じてパターンが形成された光学フィルタが立体映像表示装置の光学フィルタなら、ガイドスリット42の成すピッチは、前記立体映像表示装置の表示パネルで左眼用映像または右眼用映像を生成する単位画素(pixel)の幅の2倍であることができる。前述したように、立体映像表示装置は、例えば、図8に示されたように、左眼用映像を生成するための単位画素(図8のUL)及び右眼用映像を生成するための単位画素(図8のUR)がストライプ状に交互に配置されている表示パネルを含むことができるが、本発明のフィルムが上記のような立体映像表示装置に適用される光学フィルタに使用される場合、上述したピッチPは、前記単位画素(ULまたはUR)の幅(図8のW1またはW2)の2倍の値と同一の数値を有するのが好ましい。
【0065】
本発明において前述した「同一」は、本発明の効果を損傷させない範囲での実質的同一を意味するもので、例えば、製造誤差(error)または偏差(variation)などを勘案した誤差を含むものである。すなわち、前記ピッチが単位画素の幅の2倍と同一であるというのは、約±60μm以内の誤差、好ましくは約±40μm以内の誤差、より好ましくは約±20μm以内の誤差を含むものである。
【0066】
上記で、また、ガイドスリット42間の間隔は、立体映像表示装置の表示パネルにおいて左眼用映像または右眼用映像を生成する単位画素の幅(例えば、図8のW1またはW2)と同一の数値を有することが好ましい。上記で単位画素の幅と同一の数値は、前述した実質的な同一を意味し、例えば、約±30μm以内の誤差、好ましくは約±20μm以内の誤差、より好ましくは約±10μm以内の誤差を含むものである。本発明のマスク40は、前記間隔をこのように調節し、さらに高精度の配向パターンを有し、未配向領域が最小化される光学フィルタを形成することができる。
【0067】
また、本発明によるマスク40は、ロールツーロール工程に使用されるロールの曲率半径に相当して、マスク40自体が、平面でなく、曲面形状を有してもよい。このようにマスク40がロールと対向する面が曲面で形成されれば、マスク40とロールとの間隔が一定に維持され、基材フィルム50に均一なパターンを形成することができるようになる。また、前記マスク40においてロールと対向する面は、ロールと同一の曲率を有する曲面が形成されることが好ましい。
【0068】
また、本発明によるマスク40は、光の直進度を向上させるためにガイドスリット42の形状を変更してもよい。すなわち、図3では、ガイドスリット42の対向する内壁が互いに平行に形成されたが、下部に行くほどその幅が細くなるように形成してもよい。
【0069】
また、本発明によるマスク40は、ガイドスリット42の内壁に光の全反射のための物質がコーティングされ、光の直進度を向上させるように構成されてもよい。
【0070】
本発明の権利範囲は、前述した実施例に限定されず、請求範囲に記載された内容により定義され、本発明の技術分野における通常の知識を有する者が請求範囲に記載された権利範囲内で多様な変形と変更を行うことができることは自明である。
【符号の説明】
【0071】
10 光源
20 集光板
30 偏光板
40 マスク
42 ガイドスリット
50 基材フィルム
60 ロール
図1
図2
図3
図4
図5
図8
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d