特許第6026785号(P6026785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6026785-水性組成物 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6026785
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】水性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20161107BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20161107BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20161107BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20161107BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20161107BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20161107BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20161107BHJP
【FI】
   A61K8/63
   A61K8/55
   A61K8/67
   A61K8/04
   A61Q17/04
   A61Q19/02
   A23L33/10
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-129876(P2012-129876)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-116880(P2013-116880A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年4月15日
(31)【優先権主張番号】特願2011-239677(P2011-239677)
(32)【優先日】2011年10月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】荒河 純
(72)【発明者】
【氏名】金澤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓一
(72)【発明者】
【氏名】苗村 匡美
(72)【発明者】
【氏名】本間 俊之
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0075946(US,A1)
【文献】 特開2006−036716(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2004−0027829(KR,A)
【文献】 特開2004−131502(JP,A)
【文献】 特開2002−179516(JP,A)
【文献】 特開2002−322016(JP,A)
【文献】 特開2007−332066(JP,A)
【文献】 特開2002−226402(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/043736(WO,A1)
【文献】 TECA,株式会社マツモト交商,2009年 9月 1日,http://www.matsumoto-trd.co.jp/product/pdf/concept/a18.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A23L 5/40− 5/49
31/00−33/29
A23L 2/00− 2/40
DB名 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/ BIOSIS(STN)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アジアチン酸、マデカシン酸、及びアジアチコシドから選択される少なくとも1種の5環性のトリテルペンと、レシチンと、を含む分散粒子を含有し、前記5環性のトリテルペン量に対する前記レシチン中のリン脂質量が質量基準で2倍〜10倍の範囲にあり、且つ前記分散粒子の体積平均粒子径が10nm〜70nmである水性分散物と、アスコルビン酸リン酸マグネシウムと、を含む水性組成物であって、前記レシチンが、レシチン中のリン脂質含量が70質量%以上であり、且つ、該リン脂質中のフォスファチジルコリン含量が10〜60質量%であるレシチンである、水性組成物。
【請求項2】
前記水性分散物の含有量が0.0001質量%以上0.1質量%以下である請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
前記アスコルビン酸リン酸マグネシウムの組成物中における含有量が0.1質量%以上8質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の水性組成物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性組成物を含むメラニン生成抑制剤。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性組成物を含む化粧料。
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性組成物を含む機能性食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクアレンを出発物質として生合成されるC30の化合物をトリテルペンという。トリテルペン類は環の結合様式により、ダンマラン系、ホパン系、オノセラン系、ラノスタン又はシクロアルタン系の4種に大別される。このうち、ダンマラン系のトリテルペンは、ダンマラン、オイファンなどの4環性、ルパン、オレアナンなどの5環性ものがあり、最も多くの化合物を含むグループであり、これに含まれる化合物には、薬理作用、生理活性を有するものが多く知られている。
【0003】
特に、化粧料に用いることで、抗炎症、保湿、美白、抗シワ、抗菌などの機能性を発揮する植物エキスの主成分にダンマラン系の化合物が多く、さらに、5環性で且つ置換基にカルボキシル基を有する化合物が特に有用な機能を有していることが知られている(非特許文献1参照)。これらのカルボキシル基を有する5環性トリテルペンは、通常、植物エキスからエタノール等の溶媒を用いて有効成分を抽出して、医薬品、化粧料や機能性食品などに用いられる。
【0004】
5環性トリテルペンを主成分とするこれらの植物エキス類は、機能性に優れているが、一般には水に難溶性で、油への溶解性も低いため化粧料等に配合する際の大きな制約となっていた。特に、ローション、エッセンス等の透明化粧料に配合すると透明性を損なうため、配合量はきわめて少量に限定されており、透明性を維持したまま十分な配合量を達成することが強く望まれていた。
【0005】
また、この種のトリテルペン類を透明化のためにナノ分散物とすると、保存経時による粒子成長が大きい傾向にあり、保存中に濁りが上昇して透明性が著しく損なうことが問題となる。また、粒子成長が起こると粒子の凝集や沈降も起こり、極端な場合、有効成分が相分離してしまうという問題があり、これらの問題を根本的に解消することが望まれていた。
【0006】
これらの問題を解決する方法として、例えば、200nm以下の油滴を有する水中油滴型エマルションを形成すると共にラメラ状の液晶被膜を形成し、これを安定化させる方法が提案されているが、この方法では、5環性のトリテルペンを含み粒径100nm以下の水中油滴型エマルションを形成することは困難であり、かつ多量の油脂を必要とするため、高濃度化も困難であった(特許文献1参照)。
【0007】
また、ツボクサ抽出物とリン脂質を含有し、乳化剤形を有する化粧料が、特許文献2に開示されており、ツボクサ抽出物などの有効成分が肌の柔軟性を向上させるとされている。しかしながら、特許文献2には、当該化粧料における分散粒子の微細化、透明性、保存安定性の向上、及び分散粒子粒径と美白効果等との関係の検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2650881号公報
【特許文献2】特開2008−115111号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】田中信壽 著「トリテルペン及びトリテルペン系サポニン」、「天然物化学」改訂第6版、南江堂、1985年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンを含む微細な分散粒子が、水性媒体中に安定に分散され、且つ、透明性、保存安定性、及び該5環性のトリテルペンに由来する効果に優れた水性分散物を含む水性組成物、メラニン生成抑制剤、化粧料及び機能性食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む
<1> アジアチン酸、マデカシン酸、及びアジアチコシドから選択される少なくとも1種の5環性のトリテルペンと、レシチンと、を含む分散粒子を含有し、前記5環性のトリテルペン量に対する前記レシチン中のリン脂質量が質量基準で2倍〜10倍の範囲にあり、且つ前記分散粒子の体積平均粒子径が10nm〜70nmである水性分散物と、アスコルビン酸リン酸マグネシウムと、を含む水性組成物であって、前記レシチンが、レシチン中のリン脂質含量が70質量%以上であり、且つ、該リン脂質中のフォスファチジルコリン含量が10〜60質量%であるレシチンである、水性組成物。
【0018】
<2> 前記水性分散物の含有量が0.0001質量%以上0.1質量%以下である<>に記載の水性組成物。
> 前記アスコルビン酸リン酸マグネシウムの組成物中における含有量が0.1質量%以上8質量%以下である<>又は<>に記載の水性組成物。
【0019】
<1>〜<>のいずれか1項に記載の水性組成物を含むメラニン生成抑制剤。
<1>〜<>のいずれか1項に記載の水性組成物を含む化粧料。
<1>〜<>のいずれか1項に記載の水性組成物を含む機能性食品。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンを含む微細な分散粒子が、水性媒体中に安定に分散され、且つ、透明性、保存安定性、及び該5環性のトリテルペンに由来する効果に優れた水性分散物を含む水性組成物、メラニン生成抑制剤、化粧料及び機能性食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例9、比較例4〜5において行なったメラニン生成抑制効果確認の結果を示すグラフである。
図2】実施例15、比較例6〜8において行なったメラニン生成抑制効果確認の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明において「水相」とは、溶媒の種類にかかわらず「油相」に対する語として使用する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても本工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該
当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0024】
[水性分散物]
本発明の水性分散物は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンと、レシチンと、を含む分散粒子を含有し、前記5環性トリテルペン量に対する前記レシチン中のリン脂質量が質量基準で2倍〜10倍の範囲にあり、且つ前記分散粒子の平均粒子径が10nm〜70nmである水性分散物である。
【0025】
本発明の水性分散物は、水相である水系媒体中に油相である分散粒子が分散された水中油滴型(O/W型)の分散物である。
【0026】
本発明の水性分散物は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンが、微細な分散粒子に含まれて水性媒体中に安定に分散され、且つ、保存安定性に優れた水性分散物である。即ち、本発明においては、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基、を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンがレシチンと共に分散粒子に含まれ、且つ、該5環性トリテルペン量に対するレシチン中のリン脂質量が所定の範囲であることにより、従来では充分な水分散性を得ることができなかった当該5環性のトリテルペンが安定に水性媒体中に分散され、且つ、その分散性が安定に持続することから保存安定性に優れた水性分散物となる。
【0027】
また、本発明における分散粒子は、平均粒子径が10nm〜70nmという微細な分散粒子であることから、本発明の水性分散物は高い透明性を有するものとなる。
【0028】
また、本発明に含まれるカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンが有する機能の一つとして、メラニン生成抑制機能があり、当該5環性のトリテルペンが本発明の水性分散物に含有されることで、メラニン生成抑制機能をより向上させることができる。
【0029】
本発明の水性分散物は、化粧料、機能性食品などの種々の用途に適用することができ、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基、を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンの機能に応じた種々の機能(例えば、美白、抗炎症、抗シワなど)が、充分且つ持続的に発揮される。本発明の水性分散物は、透明化粧料などの透明性が要求される用途においても特に好適に適用することができる。
【0030】
<<分散粒子>>
本発明における分散粒子は、水性分散物における油相(分散相)を構成するものであり、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンと、レシチンと、を含む。
【0031】
(5環性トリテルペン)
本発明の水性分散物に含有される分散粒子(油相)は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペン(以下、単に「5環性トリテルペン」と略称する場合がある。)を含む。
【0032】
本発明における5環性トリテルペンは、水にも油にも溶けない難溶性の化合物であることから、水中に均一に分散することが難しく、さらに水中での結晶化が著しいことから、分散させたとしても、分散状態を安定に保つことが極めて困難であった。このため、従来、所期の機能を発揮させるのに充分な濃度の5環性トリテルペンを含む水性分散物は、得ることができなかった。
一方、本発明の水性分散物においては、5環性トリテルペンを含む微細な分散粒子を含有することで、所期の機能を発揮させるのに充分な高濃度にて5環性トリテルペンを配合することでき、且つ、保存安定性にも優れた水分散物を得ることが可能となった。
【0033】
本発明における5環性トリテルペンは、天然物、合成品のいずれであってもよいが、主に植物エキスから得ることができる。
【0034】
本発明における5環性トリテルペンとしては、酸型、配糖体型、又は脂肪酸エステル型の5環性トリテルペンなど、基本骨格にカルボキシル基又はその誘導体を置換基として有する5環性トリテルペンが挙げられ、本発明においてはこれらのトリテルペンのいずれについても適用することができる。
【0035】
本発明の水性分散物における5環性トリテルペンは、分散粒子中に1種のみが単独で含まれていてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
【0036】
ここで、酸型の5環性トリテルペンとは、カルボキシル基を置換基として基本骨格に有する5環性トリテルペンである。また、配糖体型の5環性トリテルペン及び脂肪酸エステル型の5環性トリテルペンは、カルボキシル基の誘導体を置換基として基本骨格に有する5環性トリテルペンであり、前者は、基本骨格が有するカルボキシル基が糖変性されたものであり、後者は、基本骨格が有するカルボキシル基が、脂肪酸エステル型変性されたものである。
【0037】
配糖体型の5環性トリテルペンにおいて、配糖体を構成する糖としては、単糖、2糖、又はオリゴ糖が好ましい。その例としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アラビノース(以上単糖)、マルトース、スクロース、ラクトース(以上2糖)、マルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ラフィノース、スタキオース(以上オリゴ糖)などが挙げられる。
脂肪酸エステル型において、5環性トリテルペンのカルボキシル基とエステル化させるアルコールとしては、炭素数1〜20までの飽和又は不飽和と直鎖又は分岐とを組み合わせた全てのアルコール等が挙げられる。
【0038】
薬理活性の観点からは、本発明における5環性トリテルペンとしては、酸型又は配糖体型の5環性トリテルペンであること好ましい。
【0039】
また、酸型及び配糖体型の5環性トリテルペンは、所望とする機能の相補的な発現及び分散粒子の分散安定性の観点からは、酸型及び配糖体型の5環性トリテルペンを少なくとも1種ずつ併用することがより好ましい。
【0040】
酸型及び配糖体型の5環性トリテルペンを併用する場合における、酸型及び配糖体型の含有比率は特に限定されないが、酸型/配糖体型の比率(モル比)が、9/1〜1/9であることが好ましく、機能性と安定性の観点からは、7/3〜3/7であることがより好ましい。
【0041】
植物エキスから得ることができる酸型の5環性トリテルペンの例としては、ツボクサエキスに含まれるアジアチン酸、マデカシン酸;ローズマリーエキスに含まれるウルソール酸、オレアノール酸、ベツリン酸;シソ葉エキスに含まれるオレアノール酸、ウルソール酸、トルメント酸;甘草エキスに含まれるグリチルレチン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、植物エキスから得ることができる5環性トリテルペンとしては、上記の如き酸型の5環性トリテルペンの他に、糖と結合した配糖体型の5環性トリテルペンが挙げられる。該配糖体型の5環性トリテルペンは、植物体内における貯蔵形態(ヘテロサイドという)として多く存在する形態であり、加水分解や酵素分解により容易に、酸型トリテルペン(サポゲニンまたはアグリコン)を生成することが知られている。
【0043】
配糖体型の5環性トリテルペンの例としては、ウルソール酸配糖体、オレアノール酸配糖体、アジアチコシド、マデカッソシド、ベツリン酸配糖体、グリチルリチン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
脂肪酸エステル型の5環性トリテルペンの例としては、具体的には、ウルソール酸メチル、ウルソール酸エチル、ウルソール酸イソプロピル、ウルソール酸ブチル、ウルソール酸ベンジル、オレアノール酸メチル、オレアノール酸エチル、オレアノール酸プロピル、オレアノール酸ブチル、オレアノール酸ステアリル、オレアノール酸オレイル、ベツリン酸メチル、ベツリン酸エチル、ベツリン酸プロピル、ベツリン酸ブチル、ベツリン酸ステアリル、アジアチン酸メチル、アジアチン酸エチル、アジアチン酸プロピル、アジアチン酸ブチル、アジアチン酸ステアリル、グリチルレチン酸プロピル、グリチルレチン酸エチル、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸イソステアリルなどが上げられる。
【0045】
本発明における5環性トリテルペンとしては、化粧品、医薬品、機能性食品に広く用いられている代表的な植物エキスであるツボクサエキスに由来する5環性トリテルペンを、好適に用いることができる。
【0046】
ツボクサエキスは、セリ科の多年草であるセンテラ・アジアチカ由来のエキスである。センテラ・アジアチカは、薬草として古くから世界各地で使用されており、日本では、通称「ツボクサエキス」と呼ばれるが、ヴァイオレット・マロン(レユニオン島)、ゴツ・コラ又はインディアン・ペニワート(インド)、センテラ・レパンダ(北米)、タラペトラカ(マダガスカル)など多数の通称がある。
【0047】
ツボクサエキス又は該エキスに含まれる成分を使った多数の製品が上市されている。
ツボクサエキスの生物化学的な活性は、アジアチン酸、マデカシン酸などの酸型トリテルペンとそれらの配糖体型である、アジアチコシド、マデカッソシドから成っている(特表2009−514907号公報参照)。センテラ・アジアチカはの抗炎症効果、鎮静効果、抗菌効果は古くから知られ、西洋ハーブとして創傷治癒剤として汎用されてきた、近年、コラーゲン産生促進効果や抗チロシナーゼ活性による美白効果等が明らかになり、化粧料素材としても多く用いられている(F.Bonte etal,PLANTA MEDICA,(60)133-135(1994)参照)。
【0048】
また、ローズマリー、セイジ、赤シソ、青シソなどのシソ科植物のエキスには、ウルソール酸やオレアノール酸が多く含まれている。特に、ウルソール酸は、葉や果実の表面に含まれ紫外線などの外的刺激から守る働きがある。また、ウルソール酸には、コラーゲンファイバーの復元を助ける作用があり、化粧料に適用した場合においては、アンチリンクルや肌の弾力向上に効果があることが認められている。
【0049】
透明性、保存安定性の観点から、本発明の水性分散物に含まれる5環性トリテルペンは、ツボクサエキス、ローズマリーエキス、シソ葉エキス又は甘草エキスに含まれる成分であることが好ましく、ツボクサエキス又はローズマリーエキスに含まれる成分であることがより好ましい。また、美白効果等の5環性トリテルペンに由来する効果向上性の観点からは、本発明の水性分散物に含まれる5環性トリテルペンとしては、ツボクサエキスに含まれる成分であることが最も好ましい。
【0050】
本発明における5環性トリテルペンとしては、既述した5環性トリテルペンに包含されるものの中でも、下記一般式(1)で表されるトリテルペンが好ましい。
【0051】
【化3】
【0052】
一般式(1)中、R〜R13は、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、−C2n+1、又は−C2nOHを表し、nは1〜5の整数を表す。Xは、水素原子又は−(Sac)を表し、Sacは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、又はアラビノースから選択された糖を表し、mは1〜10の重合度を表す。
【0053】
一般式(1)中、R〜R13としては、それぞれ、下記に示す基であることがより好ましい。
としては、水素原子、又はヒドロキシル基が好ましい。
としては、水素原子であることが好ましい。
としては、−C2n+1又は−C2nOH(n=1〜5)が好ましく、−CH又は−CHOH(n=1)がより好ましい。
としては、−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、−CH(n=1)がより好ましい。
としては、水素原子又はヒドロキシル基が好ましい。
としては、水素原子が好ましい。
としては、−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、−CH(n=1)がより好ましい。
としては、−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、−CH(n=1)がより好ましい。
としては、−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、−CH(n=1)がより好ましい。
10としては、ヒドロキシル基又は−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、ヒドロキシル基又は−CH(n=1)がより好ましい。
11としては、水素原子が好ましい。
12としては、水素原子又は−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、水素原子又は−CH(n=1)がより好ましい。
13としては、水素原子又は−C2n+1(n=1〜5)が好ましく、水素原子又は−CH(n=1)がより好ましい
【0054】
一般式(1)中、Xとしては、水素原子又は−(Sac)(m=1〜3)が好ましい。Xが、−(Sac)(m=1〜3)である場合、Sacとしては、グルコースであることがより好ましい。
【0055】
一般式(1)におけるR1〜R13、及びXの組み合わせとしては、上述したR1〜R
13及びXの好適な態様を組み合わせたものがより好ましい。
【0056】
本発明における5環性トリテルペンの好適な態様としては、前記一般式(1)で表されるトリテルペンのうち、下記一般式(2−1)で表される酸型トリテルペンと下記一般式(2−2)で表される配糖体型トリテルペンとの混合物が挙げられる。
【0057】
【化4】
【0058】
一般式(2−1)又は(2−2)中、R10a及びR12aは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。Yは、水素原子又はヒドロキシル基を表す。Sac及びmは、一般式(1)におけるSac及びmと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0059】
一般式(2−1)で表される酸型トリテルペンの例には、アジアチン酸、マデカシン酸等が含まれる。また、一般式(2−2)で表される配糖体型トリテルペンの例には、アジアチコシド、マデカッソシド等が含まれる
【0060】
一般式(2−1)で表される酸型トリテルペンと、一般式(2−2)で表される配糖体型トリテルペンとの混合物における混合比率(モル比)としては、9/1〜1/9であることが好ましく、機能性と安定性の観点からは、7/3〜3/7であることがより好ましい。
【0061】
以下に、一般式(1)で表されるトリテルペンの例示化合物(化合物1〜8)を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
【化5】
【0063】
上記例示化合物中、化合物3、4、6及び8は、Xが「−(Sac)m」である態様であり、「Glu」はグルコースを示し、Gluの添え字は重合度「m」を示す。
【0064】
化合物1〜8に示す各化合物の詳細は以下の通りである。
化合物1:アジアチン酸、SIGMA−ALDRICH社製の市販品として入手できる。
化合物2:マデカシン酸、ツボクサエキスから抽出することにより入手できる。
化合物3:アジアチコシド、SIGMA−ALDRICH製の市販品として入手できる。
化合物4:マデカッソシド、ツボクサエキスから抽出することにより入手できる。
化合物1、2、3及び4は、ツボクサエキスに含有されることが知られている。
【0065】
化合物5:ウルソール酸、東京化成工業(株)製の市販品として入手できる。
化合物6:ウルソール酸配糖体、薬学雑誌110(12)958−963(1990)での合成方法に準じ、市販品のウルソール酸を用いて合成できる。
化合物7:オレアノール酸、東京化成工業(株)製の市販品として入手できる。
化合物8:オレアノール酸配糖体、薬学雑誌110(12)958−963(1990)での合成方法に準じ、市販品のオレアノールを用いて合成できる。
【0066】
本発明における5環性トリテルペンとしては、植物エキスから抽出された抽出物をそのまま適用することができる。この場合、植物エキス中では、通常、構造の異なるトリテルペン類が複数種混ざって含まれていることから、分散粒子には複数種の5環性トリテルペンが混在することとなる。このような、植物エキスから抽出された抽出物を用い、分散粒子中に植物エキス由来する複数種の5環性トリテルペンを含ませる態様も、本発明の水性分散物を化粧料や機能食品に実際に適用する場合において好適である。
【0067】
また、本発明における5環性トリテルペンは、公知の合成方法により準じて合成できる他、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、バイエルヘルスケア社製のTECA(商品名)、丸善製薬(株)製のツボクサエキスもしくはセキセツソウエキスなどが挙げられる。
【0068】
本発明の水性分散物における5環性トリテルペンの含有量は、水性分散物の全質量に対し、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.05質量%〜5質量%であり、分散物における5環性トリテルペンの高濃度化と分散安定性の観点からは、更に好ましくは0.1質量%〜3質量%である。
【0069】
また、本発明における分散粒子における5環性トリテルペンの含有量は、9質量%以上34質量%以下が好ましく、15質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
【0070】
(他の油相成分)
本発明の水性分散物における分散粒子(油相)は、前記5環性トリテルペンの他に、本発明の効果を損なわない限りおいて、他の油相成分として、種々の他の油性成分を含むことができる。
【0071】
他の油性成分の例としては、化粧品、食品などに使用した際に有用な効果を示す油性成分が挙げられる。そのような油性成分は、化学構造面からは、油脂類、炭化水素類、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、高分子類、油溶性色素類、油溶性蛋白質類などに分類することができる。また、他の油性成分としては、それらの混合物である、各種の植物油、動物油も含まれる。
【0072】
これらの他の油性成分の具体的な例としては、ヤシ油、オリーブ油、コーン油、ホホバ油などの油脂類、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸類、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セタノールなどの高級アルコール類、コレステロール、フィトステロールなどのステロール類、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル類、スクワラン、水添ポリデセン、水添ポリイソブテンなどの炭化水素類が挙げられる。
【0073】
また、特徴のある機能を有する油性成分としては、βカロテン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、リコピン、ルテインなどのカロテノイド類、トコフェロール、トコトリエノールなどのビタミンE類、コエンザイムQ10などのユビキノン類、EPA、DHA、リノレン酸などのω−3油脂類なども含むことができる。
【0074】
更に、保湿機能を持った油性成分の例としては、セラミドI、セラミドII、セラミドIII、セラミドV、セラミドVIなどの活性セラミド類、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミドなどのスフィンゴ糖脂質類、スフィンゴミエリン類、疑似セラミド類なども含むことができる。
【0075】
トリテルペン、レシチン以外の他の油性成分を含む場合、その含有量は、5環性トリテルペンを含む分散粒子に含まれる全油性成分中、20質量%以下であることが好ましい。他の油性成分の含有量は、目的とする機能に応じて設定される。
【0076】
(レシチン)
本発明における分散粒子は、レシチンを含有する。
本発明においてレシチンとは、各種のリン脂質を主成分とする脂質混合物を意味する。
本発明におけるレシチンに主成分として含まれるリン脂質の例としては、フォスファチジルコリン(PC)、フォスファチジルエタノールアミン(PE)、フォスファチジルイノシトール(PI)、及びフォスファチジン酸(PA)が挙げられるが、これに限定されない。
【0077】
本発明において、前記5環性トリテルペン量に対する前記レシチン中のリン脂質量は、質量基準で2倍〜10倍の範囲であり、より好ましくは2倍〜8倍の範囲であり、更に好ましくは3倍〜6倍の範囲である。
前記5環性トリテルペン量に対する前記レシチン量が、質量基準で2倍〜10倍の範囲であることで、水相を構成する水性媒体中に、5環性トリテルペンを含む分散粒子を安定に分散させることができる。前記5環性トリテルペン量に対する前記レシチン量が、2倍未満では、充分な分散性が得られず、10倍を超えると、安定性が不十分となる。
【0078】
レシチンは、グリセロリン脂質の一種で、自然界の動植物のすべての細胞中に存在しており、生体膜の主要構成成分である。従って、あらゆる動植物からレシチンを取り出すことは可能である。工業的には、大豆と卵黄を原料として得られたものが挙げられた、大豆由来のレシチンを大豆レシチン、卵黄由来のレシチンを卵黄レシチンと呼んでいる。
【0079】
レシチンは、その安全性と、油を水に分散させてエマルションを作る乳化力から、食品や化粧品用の乳化剤としてよく用いられる。また、医薬品においても、皮膚や粘膜から物質を透過吸収する浸透作用を利用して、医薬用リポソームの材料、静脈注射用脂肪乳剤、痔や皮膚病の治療薬などに利用されている。食品や化粧料用途には、主にコストの観点から大豆レシチンが多く用いられている。
【0080】
大豆レシチンは、大豆油精製工程で副生する油滓を乾燥、精製することにより製造される。通常、リン脂質含量が70質量%以下であるペースト状レシチンは、大豆粗油を30質量%程度含むが、安価なため、特に食品分野ではほとんどこのペースト状のレシチンが用いられる。また、近年では、リン脂質自体の生理活性や、より高度な乳化剤へのニーズから、高度精製、分別、改質、酵素分解などの技術が加えられ、性能、機能の異なる種々のレシチン群が作られている。
【0081】
高度精製レシチンは、上記ペースト状レシチンから、アセトン等の溶媒を用いて脱油し、粉末化したもので、一般にレシチン含量が90質量%以上となっている。この高度精製レシチンの例としては、フォスフォリポン20(リポイド社)、レシオンP(理研ビタミン)、SLPホワイト(辻製油)、エマルメティック300(ルーカスマイヤーコスメティックス社)などが市販されている。
【0082】
分別レシチンは、上記高度精製レシチンに対して、各種溶媒への溶解度差を利用したり、蒸留等の操作を行なうことにより、特定のリン脂質の含有量を高めたものであり、一般には、フォスファチジルコリン含量を高めたものが市販されている。フォスファチジルコリン含量を高めた分別レシチンの例としては、フォスフォリポン50(PC含量:45質量%)、フォスフォリポン85G(PC含量:80質量%)、フォスフォリポン90G(PC含量:94質量%)(以上、リポイド社)、エメルメティック900(PC含量:50質量%)、エメルメティック930(PC含量:95質量%)(以上、ルーカスマイヤーコスメティックス社)、SLP−PC70、SLP−PC90(以上、辻製油(株)製)などが市販されている。
【0083】
改質レシチンとしては、大別すると、水素添加レシチンと酵素分解レシチンがある。
これのうち、水素添加レシチンは、レシチン構造中の脂肪酸ポリエン酸を酸化や光安定性向上のために、水素添加処理を行って飽和脂肪酸に変換したものである。水素添加レシ
チンは、化粧料や医薬品に好ましく用いることができる。水素添加レシチンの例としては、エマルメティック320(ルーカスマイヤーコスメティックス社)、SLPホワイトH(辻製油(株)製)などがある。フォスファチジルコリン含量を高めた上に、水素添加処理を行ったものの例としては、エマルメティック950(ルーカスマイヤーコスメティックス社)、SLP−PC92H(辻製油(株)製)、フォスフォリポン90H(リポイド社)などが市販されている。
【0084】
一方、酵素分解レシチンとは、通常グリセリンに結合している2位の脂肪酸のエステル結合を酵素によって選択的に分解したもので、通常のレシチンと区別するためにリゾレシチンと呼ばれる。リゾレシチンは元のレシチンと比較して、水溶性が向上し、一般に乳化力も向上する。この酵素分解処理は、最初のペースト状レシチンに対して行い、それを高度精製するのが通常であるが、分別レシチンに対して酵素分解処理を行うこともある。代表的なリゾレシチンとして、SLPホワイトリゾ(辻製油(株)製)が挙げられる。
【0085】
また、別な酵素処理レシチンとして、リン酸と塩基の間のエステル結合を分解するものも作られている。この処理を行うことで、リン脂質から塩基が除かれ、フォスファチジン酸の形になることで強いアニオン性を示すようになる。このタイプの酵素処理レシチンの例としては、PAナガセ、リゾリン脂質ナガセH(ナガセケムテックス(株)製)などが市販されている。
【0086】
本発明には、上記したレシチンのいずれも使用することができる。
上記したレシチンの中でも、経時安定性の観点から、レシチン中のリン脂質含量が質量70%以上であり、且つ該リン脂質中のフォスファチジルコリン含量が10〜60質量%の範囲にあるものが好ましい。レシチン中のリン脂質含量が80質量%以上であり、リン脂質中のフォスファチジルコリン含量が20〜40質量%の範囲にあるレシチンが更に好ましい。
【0087】
(分散粒子の粒子径)
本発明における分散粒子の体積平均粒子径は、10nm〜70nmであり、好ましくは10nm〜60nmであり、より好ましくは10nm〜50nmである。
本発明における分散粒子の粒子径には、粒径範囲及び測定の容易さから、動的光散乱法により求めた体積平均粒径を適用する。
【0088】
動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられる。
本発明における分散粒子の体積平均粒子径は、ナノトラックUPA(日機装(株))を用いて測定した値であり、具体的には、以下のよう計測した値を採用する。
即ち、粒子径の測定方法は、本発明の水性分散物を純水で10倍に希釈し、室温(25℃)にて、測定を行う。分散媒屈折率として1.333(純水)、分散媒の粘度として純水の粘度を使用したときの体積平均粒径として求めた。
【0089】
<<水相組成>>
本発明の水性分散物は、油相である前記分散粒子が、水相である水系媒体(分散媒)中に分散されたものである。
【0090】
本発明の水性分散物において、水相を構成する水系媒体は、少なくとも水を含むものであり、更に、必要に応じて水溶性の物質を適宜添加することができる。
【0091】
(多価アルコール)
本発明の水性分散物における水相(分散媒)は、多価アルコールを含有してもよい。多価アルコールは、水性分散物の防腐性向上や粘度調節の目的で用いることができる。
【0092】
多価アルコールとしては、二価以上のアルコールであれば特に限定されずに用いることができる。多価アルコールの具体例としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、ソルビタン、トレハロース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等が挙げられる。
【0093】
多価アルコールは、単独又は複数種の混合物の形態で用いることができる。
多価アルコールは、水に対して任意の割合で混合して用いることができ、好ましくは水相の全質量中の80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
【0094】
(水溶性添加剤)
また、本発明の水性分散物における水相(分散媒)は、他の水溶性添加剤を含有してもよい。該水溶性添加剤の例としては、以下に示すような、非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤、水溶性の塩類、多糖類、タンパク質、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、色素、香料等が挙げられる。
【0095】
水に対するこれらの水溶性添加剤の添加量は、水性分散物の安定性の観点から、好ましくは20質量%以下であり、10質量%以下とすることがより好ましい。
以下、本発明に好適な水溶性添加剤の例について説明する。
【0096】
〜非イオン性界面活性剤〜
非イオン性界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中では、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0097】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい例としては、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、ヘキサグリセリンモノパルミチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンモノパルミチン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
【0098】
ショ糖脂肪酸エステルの好ましい例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステルがより好ましい。
【0099】
非イオン性界面活性剤の添加量は、分散物の全質量に対して、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%、更に好ましくは0〜1質量%である。また、5環性トリテルペンに対しては、好ましくは0〜300質量%、より好ましくは0〜30質量%である。
【0100】
イオン性界面活性剤の例としては、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、モノアルキルリン酸塩、脂肪酸塩が挙げられる。
【0101】
水溶性の塩類としては、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等が用いられる。
多糖類としては、マルトデキストリン、オリゴ糖、イヌリン、アラビアガム、キトサン、シクロデキストリン、クラスターデキストリン等が挙げられる。
【0102】
タンパク質としては、各種アミノ酸類、オリゴペプチド、ゼラチン、水溶性コラーゲン、カゼイン等が挙げられる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム等の塩基、塩酸等の酸、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液等の緩衝液を用いることができる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、クエン酸モノグリセリ
【0103】
また、本発明の水性分散物には、必要に応じて水相中に、予め少量の水溶性有機溶媒を添加しておくこともできる。この場合の水溶性有機溶媒の添加量は、分散物の経時安定性の観点から、分散物の全質量に対して、20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
ド等が挙げられる。
【0104】
〜アスコルビン酸リン酸マグネシウム〜
本発明における好適な水溶性添加剤の一つは、アスコルビン酸リン酸マグネシウムである。アスコルビン酸リン酸マグネシウムはビタミンC誘導体の一種であり、化学的に高い安定性を有する成分である。アスコルビン酸リン酸マグネシウムは、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸2‐リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムと表記されることもある。
【0105】
アスコルビン酸リン酸マグネシウムは、皮膚内に吸収されると生体内のホスファターゼにより速やかにアスコルビン酸に転換され、メラニンの生成を阻害する効果を有することが知られている。
本発明者らは、本発明の水性分散物において、更にアスコルビン酸リン酸マグネシウムが含有されることで、5環性トリテルペンが有する種々の機能と共に、メラニン生成抑制効果が相乗的に強まるという新しい知見を見出した。
アスコルビン酸リン酸マグネシウムを含有する本発明の水性分散物は、メラニン生成抑制効果が要求される化粧料などの種々の用途に好適に適用することができる。
【0106】
(水性分散物のpH)
本発明の水性分散物のpHは、分散粒子の安定性の観点から、pH4以上11以下であることが好ましく、より好ましくはpH5以上8以下である。
【0107】
本発明の水性分散物は、以下に説明する本発明の水性分散物の製造方法により好適に製造することができる。
【0108】
[水性分散物の製造方法]
本発明の水性分散物は、カルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペンと、レシチンとを、水性媒体に混合して懸濁液を得ること(以下、混合工程とも称する。)、該懸濁液を、20℃以上80℃以下の温度で、100MPa以上の圧力下で分散処理すること(以下、高圧分散工程とも称する)を含む。
【0109】
本発明の水性分散物の調製は、少なくとも、混合工程及び高圧分散工程の2段階の工程を有するが、更に必要に応じて他の工程を有していてもよい。
【0110】
(混合工程)
先ず、1段目の混合工程では、本発明におけるカルボキシル基及びカルボキシル基から誘導される基からなる群から選ばれる置換基を少なくとも1つ有する5環性のトリテルペン(5環性トリテルペン)と、レシチンと、を水性媒体中に混合して懸濁液を得る。5環性トリテルペン及びレシチンと共に、必要に応じて、油相に含まれる任意の他の油性成分を混合してもよい。
5環性トリテルペン、レシチン、他の油性成分の詳細は、既述の通りである。
また、本工程に用いる水系媒体は、本発明の水性分散物における水相を構成する水系媒体として既述したものを用いることができる。
混合工程により、5環性トリテルペンとレシチンとを含む均一な懸濁液が得られる。
【0111】
また、本発明における好適な水溶性添加剤として、アスコルビン酸リン酸マグネシウムを用いる場合、その添加態様としては特に限定されず、混合工程における混合を行う前に5環性トリテルペン及びレシチンと共に水性媒体中に添加する態様、混合工程における混合が行われている際に液中に添加する態様、混合工程後に得られた懸濁液に添加する態様、後記する高圧分散工程後に得られた水性分散物に添加する態様のいずれであってもよい。
【0112】
混合工程に適用される混合手段としては、市販のいずれの混合手段を用いてもよい。
混合手段の例としては、例えば、マグネチックスターラー、家庭用ミキサー、パドルミキサー、インペラーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー等が挙げられる。これらの混合手段の中でも、より強い剪断力を有するホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー等を用いることがより好ましい。
混合手段により撹拌しながら、水性媒体に、5環性トリテルペンとレシチンとを順次添加することで、均一な懸濁液を調製できる。
【0113】
また、混合工程においては、分散粒子の凝集を解す目的で、上記の混合手段に加えて、超音波付与手段を用いて、超音波を付与することも好ましい。超音波付与手段を備えた混合手段としては、超音波ホモジナイザーを用いることが好ましい。
【0114】
超音波ホモジナイザーの例としては、超音波ホモジナイザーUS−600、同US−1200T,同RUS−1200T、同MUS−1200T(以上、(株)日本精機製作所製)、超音波プロセッサーUIP2000,同UIP−4000、同UIP−8000,同UIP−16000(以上、ヒールッシャー社製)等が挙げられる。これらの高出力超音波照射装置は25kHz以下、好ましくは15〜20kHzの周波数で使用される。また、他の混合手段として、外部からの撹拌部を持たず、低エネルギーしか必要としない、スタチックミキサー、マイクロチャネル、マイクロミキサーなどの方法も用いることができる。
【0115】
1段目の工程である混合工程における温度は、0℃以上90℃以下の任意の温度で実施することが可能であるが、好ましくは20℃以上80℃以下の温度である。
【0116】
(高圧分散工程)
次に、2段目の高圧分散工程においては、混合工程により得られた懸濁液を、20℃以上80℃以下の温度で、100MPa以上の圧力下で分散処理する。このような高圧分散処理を経ることにより、体積平均粒子径が10nm〜70nmの範囲にある微細化された分散粒子が得られる。
【0117】
高圧分散工程に適用される分散手段としては、高圧ホモジナイザーが用いられる。高圧ホモジナイザーは、攪拌方式と比べて大きな剪断力を与えることができるために、微細化が可能である。高圧ホモジナイザーとしては、種々の装置が市販されている。
【0118】
高圧ホモジナイザーには大きく分けて、固定した絞り部を有するチャンバー型高圧ホモジナイザーと、絞りの開度を制御するタイプの均質バルブ型高圧ホモジナイザーがある。前者のチャンバー型高圧ホモジナイザーの例としては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、スターバースト((株)スギノマシン製)等が挙げられる。後者の均質バルブ型高圧ホモジナイザーとしては、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等が挙げられる。
【0119】
高圧ホモジナイザーは、流路の中に非常に狭いチャンバー部や絞り部を備え、狭い流路にポンプを用いて強制的に液を送ることで、絞り部の前後で非常に大きな圧力差を生じ、この圧力差を駆動エネルギーとして、液は狭い管路を音速に匹敵する速度で移動するために、流路壁との間で大きな剪断力が発生し、これが分散力となるのである。加える圧力と
生成する剪断力は比例関係にあり、高圧を加えれば加えるほど、分散に使われる剪断エネルギーは高くなる。しかし、剪断力が全て分散に使われるわけではなく、高圧になればなるほど、エネルギー効率としては低下して熱に変換される割合が増える傾向にあることが知られており、高圧にも限界はある。
【0120】
本発明の製造方法では、分散性(微細化)の観点から、圧力は100MPa以上であり、より好ましくは150MPa以上である。圧力の上限については、高圧分散処理が実施可能な圧力であれば特に限定はされないが、温度上昇に伴う成分の劣化を防止する観点からは、400MPaが高圧側の限界である。また、市販の装置を用いた場合には、機器設計上の観点から300MPaが高圧側の限界である。
【0121】
高圧分散処理における分散回数は1回でもよいが、分散液全体の均一性を高めるためには、2回以上が好ましく、より好ましくは2回〜5回である。
【0122】
高圧分散処理前の温度は、20℃〜80℃に設定することが好ましく、より好ましくは40℃〜70℃である。
【0123】
高圧分散工程における高圧分散処理の直後においては、冷却手段を用いて得られた分散液を迅速に冷却し、所定の温度に下げることが好ましい。冷却手段としては、市販の熱交換器などの任意の冷却装置を用いることができる。
【0124】
(その他の工程)
また、本発明の製造方法においては、必要であれば、滅菌工程を有することができる。
滅菌工程は、本発明の製造方法におけるいずれの段階で行なってもよいが、高圧分散工程の後、できるだけ速やかに実施することが好ましい。
【0125】
滅菌工程における滅菌の方法としては、例えば、乾熱滅菌、蒸気滅菌などの加熱による方法、電子線滅菌、電離放射線による滅菌、高周波による滅菌などの電磁波による方法、EOG滅菌などのガス滅菌、過酸化水素低温プラズマ滅菌、化学滅菌剤など化学作用による方法、濾過滅菌など分離除去による方法が挙げられる。本発明の製造方法においては、加熱滅菌(乾熱滅菌、蒸気滅菌)及び濾過滅菌が好ましい。
【0126】
(粉末組成物の調製)
上記のようにして得られた本発明の水性分散物は、保管性を高めるために、分散物として製造された後に乾燥を行って得られた粉末組成物の形態としてもよい。
【0127】
本発明の水性分散物を、粉末組成物の形態とする場合には、上記により得られた水性分散物を噴霧乾燥等の乾燥手段により乾燥させる工程を追加することで、粉末組成物の形態とすることができる。
【0128】
乾燥手段としては、公知の乾燥手段を用いることができ、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、高周波乾燥、超音波乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。これらの手段は単独で用いてもよいが、2種以上の手段を組み合わせて用いることもできる。
【0129】
乾燥手段としては、凍結状態にある材料から氷を昇華させて水分を除去する凍結乾燥が好ましい。市販の凍結乾燥機の例としては、凍結乾燥機VD−800F(タイテック(株))、フレキシドライMP(FTSシステムズ社)、デュラトップ・デュラストップ(FTSシステムズ社)、宝真空凍結乾燥機A型((株)宝エーテーエム)、卓上凍結乾燥機FD−1000(東京理化器械(株))、真空凍結乾燥機FD−550(東京理化器械(株))、真空凍結乾燥機((株)宝製作所)等が挙げられるがこれらに限定されるもので
はない。
【0130】
また、乾燥手段として、生産効率と品質を両立する観点からは、噴霧乾燥法が好ましい。市販の噴霧乾燥機の例としては、噴霧乾燥機スプレードライヤSD−1000(東京理化器械(株))、スプレードライヤL−8i(大川原化工機(株))、クローズドスプレードライヤCL−12(大川原化工機(株))、スプレードライヤADL310(ヤマト科学(株))、ミニスプレードライヤB−290(ビュッヒ社)、PJ−MiniMax(パウダリングジャパン(株))、PHARMASD(ニロ社)等が挙げられる。また、例えば流動層造粒乾燥機MP−01((株)パウレック)、流動層内蔵型スプレードライヤFSD(ニロ社)等のように。乾燥と造粒とを同時に行ってもよい。
【0131】
粉末組成物の形態とした本発明の水性分散物を、分散液の形態に再度調製するには、粉末組成物に所望とされる濃度に応じた水を添加し、再分散させればよい。
【0132】
[水性組成物]
本発明の水性組成物は、本発明の水性分散物を用いた好適な応用態様の一つであり、上述した本発明の水性分散物とアスコルビン酸リン酸マグネシウムを含む水性媒体とを混合して得られるものである(以下、本発明の水性組成物とも称する。)。
【0133】
本発明の水性組成物は、本発明の水性分散物とアスコルビン酸リン酸マグネシウムとを組み合わせたことで、5環性トリテルペンが有する種々の機能と共に、メラニン生成抑制効果が相乗的に強まった組成物となる。従って、本発明の水性組成物は、化粧料などのメラニン生成抑制効果が要求される用途に好適に用いることができるが、本発明の水性組成物の用途はこれに限定されない。
【0134】
本発明の水性組成物において、本発明の水性分散物は水性組成物の全質量に対して、0.0001質量%以上10質量%以下の含有量となるように用いることが好ましく、0.0005質量%以上1質量%以下の含有量となるように用いることがより好ましい。水性分散物の含有量が0.001質量%以上であると、本発明の効果がより十分に得られ、0.5質量%以下であると、水性組成物の生体への適用性がより向上する。
【0135】
本発明に適用しうるアスコルビン酸リン酸マグネシウムの詳細は既述の通りである。
本発明の水性組成物の全質量に対するアスコルビン酸リン酸マグネシウムの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。アスコルビン酸リン酸マグネシウムの含有量が0.1質量%以上であると、本発明の効果がより十分に得られ、8質量%以下であると、水性組成物の生体への適用性がより向上する。
【0136】
また、本発明の水性組成物においては、上述した本発明の水性分散物の中でも、ツボクサエキスに由来する5環性トリテルペンを含む水性分散物を用いることが好ましい。ツボクサエキスに由来する5環性トリテルペンを含む本発明の水性分散物とアスコルビン酸リン酸マグネシウムとを組み合わせることで、メラニン生成抑制効果が顕著に強まる。
【0137】
本発明の水性組成物は、既述した本発明の水性分散物の製造方法において、混合工程及び高圧分散工程を経て得られた水性分散物と、アスコルビン酸リン酸マグネシウムを含有する水性媒体とを混合することにより得ることができる。ここで用いる水性媒体は、少なくも水とアスコルビン酸リン酸マグネシウムを含み、更に、水性組成物の用途に応じて選択される各種の任意成分を含んでもよい。
本発明の水性分散物とアスコルビン酸リン酸マグネシウムを含有する水性媒体との混合手段は特に限定されず、常法により混合すればよい。
【0138】
[化粧料]
本発明の化粧料は、上述した本発明の水性分散物又はその好適な態様の一つである水性組成物を含むものである。
本発明の水性分散物は、5環性トリテルペンを含む微細な分散粒子が水性媒体中に安定に分散され、且つ保存安定性に優れた水性分散物であることから、これを含有する化粧料は、5環性トリテルペンの機能に応じた種々の機能(例えば、美白、抗炎症、抗シワなど)を、長期間安定に備えることができる。また、透明性が要求される場合においても、優れた透明性が発揮され、且つ、それを長期間保持することができる。
また、本発明の化粧料が、本発明の水性組成物を含むものである場合には、5環性トリテルペンと共にアスコルビン酸リン酸マグネシウムが含有されることにより、5環性トリテルペンが有する種々の機能と相俟って、顕著なメラニン生成抑制効果が得られる。
【0139】
化粧料の例としては、スキンケア化粧料(化粧水、美容液、乳液、クリーム、クリームパック・マスク、パックなど)、日焼け止め化粧料、口紅やファンデーションなどのメークアップ化粧料、洗髪用化粧品、フレグランス化粧品、液体ボディ洗浄料、防臭化粧品、オーラルケア化粧料、などを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
化粧料における5環性トリテルペンの含有量には特に制限はないが、5環性トリテルペンによる機能を効果的に発揮可能とする観点から、0.0001質量%以上含有されていることがより好ましい。
本発明の化粧料を化粧品に使用する場合、必要に応じて、化粧料に添加可能な他の成分を適宜添加することができる。
【0140】
[機能性食品]
本発明の食品は、上述した水性分散物又は水性組成物を含むものである。本発明の水性分散物又は水性組成物は、5環性トリテルペンを含む微細な分散粒子が水性媒体中に安定に分散され、且つ保存安定性に優れたものであることから、これを含有する食品は、5環性トリテルペンの機能に応じた種々の機能を、長期間安定に備えることができる。
【0141】
機能性食品の例としては、栄養ドリンク、滋養強壮剤、嗜好性飲料、冷菓などの一般的な食品類のみならず、錠剤状・顆粒状・カプセル状の栄養補助食品なども好適に使用される。
機能性食品における場合には、本発明における5環性トリテルペンの含有量は、製品の種類や目的などによって異なり一概には規定できないが、製品に対して、0.0001質量%以上含有されていればよい。添加量が0.001質量%以上であれば目的の効果の発揮が期待できる。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0143】
[実施例1]
(水性分散物の調製)
グリセリン67gと精製水28gとを均一に混合し、レシチン(商品名:SLP−ホワイト;辻製油(株)製)4g、TECA(商品名)(バイエルヘルスケア社製、5環性トリテルペンであるアジアチン酸、マデカシン酸、アジアチコシドを含む混合物)1gを混合する。その後、パドルを用いて、70℃で30分間攪拌溶解し、懸濁液Aを得た。
【0144】
得られた懸濁液Aを、超高圧分散機(商品名:スターバーストミニ、(株)スギノマシン製)に、60℃の温度を保ったまま、200MPaの圧力で5回通過させて、高圧分散処理を行ない、実施例1の水性分散物である透明分散液Aを得た。
【0145】
(水性分散物の評価)
<分散粒子の粒子径測定>
得られた透明分散液Aを精製水で10倍に希釈し、動的光散乱式粒径測定機(商品名:ナノトラックUPA、日機装(株)製)にて分散粒子の体積平均粒子径を測定したところ、粒子径は19nmであった。なお、測定方法の詳細は、前述の通りである。
【0146】
<透明性の評価>
調製直後の透明分散液Aの透明性を目視で観察したところ、白濁の無い優れた透明性を有するものであった。
【0147】
<保存安定性の評価>
〜評価A〜
透明分散液Aを、80℃で30分間加熱した後、上記「分散粒子の粒子径測定」と同様にして、分散粒子の粒子径を測定したところ、粒子径は21nmであった。
更に、透明分散液Aの透明性を目視で観察したところ、加熱前の透明分散液Aと同程度の透明性が保たれていた。
【0148】
〜評価B〜
透明分散液Aを、40℃で2ヶ月貯蔵した後に、上記「分散粒子の粒子径測定」と同様にして、分散粒子の粒子径を測定したところ、粒子径は23nmであった。
更に、透明分散液Aの透明性を目視で観察したところ、貯蔵前の透明分散液Aと同程度の透明性が保たれていた。
【0149】
[実施例2]
(水性分散物の調製)
グリセリン67gと精製水28gとを均一に混合し、レシチン(商品名:SLP−ホワイト、辻製油(株)製)4g、ローズマリーエキス粉末(商品名:ローズマリーT3コンプレックス、サビンサ製、5環性トリテルペンであるウルソール酸、ベツリン酸、オレアノール酸を含む混合物)1gをホモミキサーで混合した。その後、マグネチックスターラーを用いて、70℃で30分間攪拌溶解し、懸濁液Bを得た。
【0150】
得られた懸濁液Bを、超高圧分散機(商品名:スターバーストミニ、(株)スギノマシン製)に、60℃の温度を保ったまま、200MPaの圧力で8回通過させて、高圧分散処理を行ない、実施例2の水性分散物である透明分散液Bを得た。
【0151】
(水性分散物の評価)
<分散粒子の粒子径測定>
得られた透明分散液Bを精製水で10倍に希釈し、動的光散乱式粒径測定機(商品名:
ナノトラックUPA、日機装(株)製)にて、実施例1における「分散粒子の粒子径測定」と同様にして分散粒子の体積平均粒子径を測定したところ、粒子径は、26nmであった。
【0152】
<透明性の評価>
調製直後の透明分散液Bの透明性を目視で観察したところ、白濁の無い優れた透明性を有するものであった。
【0153】
<保存安定性の評価>
〜評価A〜
透明分散液Bを、80℃30分間の間加熱した後、実施例1における「分散粒子の粒子径測定」と同様に分散粒子の粒子径を測定したところ、粒子径は31nmであった。
更に、透明分散液Bの透明性を目視で観察したところ、加熱前の透明分散液Bと同程度の透明性が保たれていた。
【0154】
〜評価B〜
透明分散液Bを、40℃で2ヶ月貯蔵した後に、実施例1における「分散粒子の粒子径測定」と同様にして、分散粒子の粒子径を測定したところ、粒子径は、42nmであった。
更に、透明分散液Bの透明性を目視で観察したところ、貯蔵前の透明分散液Bと同程度の透明性が保たれていた。
【0155】
[実施例3〜6、比較例1〜3]
(水性分散物の調製)
実施例1において水性分散物の調製に用いた組成を、下記表1に記載の組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3〜6及び比較例1〜3の水性分散物を調製した。
【0156】
(水性分散物の評価)
<分散粒子の粒子径測定>
得られた各水性分散物について、実施例1における「分散粒子の粒子径測定」と同様にして、分散粒子の粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0157】
<1μm以上の粒子径を有する分散粒子の有無>
得られた各透明分散液について、1μm以上の粒子径を有する分散粒子の有無を、動的光散乱式粒径測定機(商品名:ナノトラックUPA、日機装(株)製)により確認した。結果を表1に示す。
【0158】
<透明性の評価>
調製直後の各透明分散液の透明性を目視で観察した。結果を表1に示す。
【0159】
<保存安定性の評価>
得られた各分散液を、50℃で1ヶ月貯蔵した後に、各分散液の目視で観察し、保存安定性を評価した。評価基準は、沈殿や凝集体が発生していないものを「分散」とし、沈殿が生じているものを「沈殿」とした。結果を表1に示す。
【0160】
【表1】
【0161】
表1に記載される5環性トリテルペン及びレシチンの詳細は以下の通りである。
【0162】
<5環性トリテルペン>
・TECA(商品名):バイエルヘルスケア社製、酸型及び配糖体型の5環性トリテルペンの混合物)
・化合物1、5〜8は、5環性トリテルペンの例示化合物として前掲した化合物1、5〜8に対応する構造を有する化合物であり、本実施例においては、以下のものを使用した。
化合物1:アジアチン酸、SIGMA−ALDRICH社
化合物5:ウルソール酸(東京化成工業(株)製)
化合物6:ウルソール酸配糖体、薬学雑誌110(12)958−963(1990)での合成方法に準じ、ウルソール酸(東京化成工業(株)製)を用いて合成した。
化合物7:オレアノール酸(東京化成工業(株)製)
化合物8:オレアノール酸配糖体、薬学雑誌110(12)958−963(1990)での合成方法に準じ、オレアノール酸(東京化成工業(株)製)を用いて合成した。
【0163】
<レシチン>
・SLP−ペースト(商品名):リン脂質含量61質量%、辻製油(株)製
・SLP−PC70(商品名):リン脂質含量92質量%、フォスファチジルコリン含量72質量%、辻製油(株)製
・SLP−ホワイトリゾ:リン脂質含量96質量%、フォスファチジルコリン含量7質量%、辻製油(株)製
・SLP−ホワイト:リン脂質含量97質量%、フォスファチジルコリン含量28質量%、辻製油(株)製
・SLP−ホワイトH:SLP−ホワイトを水添したもの、辻製油(株)製
【0164】
[実施例7、8]
(水性分散物の調製)
実施例1において水性分散物の調製に用いた組成を、下記表2に記載の組成となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施7及び8の水性分散物を調製した。
【0165】
(水性分散物の評価)
得られた各水性分散物について、実施例6と同様にして、分散粒子の粒径測定、1μm以上の粒子径を有する分散粒子の有無、透明性の評価、保存安定性の評価を行なった。結果を、下記表2に示す。
【0166】
【表2】
【0167】
に記載される5環性トリテルペン及びレシチンの詳細は以下の通りである。
【0168】
<5環性トリテルペン>
・グリチルレチン酸:和光純薬工業(株)製
・グリチルレチン酸配糖体:グリチルリチン、和光純薬工業(株)製
・ベツリン酸:和光純薬工業(株)製
・ベツリン酸配糖体:薬学雑誌110(12)958−963(1990)に記載の合成方法に準じて、ベツリン酸(和光純薬工業(株)製)を用いて合成した。
【0169】
<レシチン>
・SLP−ホワイト:辻製油(株)製
・SLP−ホワイトH:辻製油(株)製
【0170】
[実施例9、比較例4〜5]
実施例1で得られた透明分散物Aと同じ組成を有する透明分散物を調製し、これを実施例9とした。
実施例1で行なった工程を経ずにTECAをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させたDMSO溶解液を調製し、これを比較例4の比較用溶解液とした。
実施例1の透明分散物Aの調製において、高圧分散圧力工程の圧力70MP、60℃、分散回数:2回、粒子サイズ86nmの分散液(比較例5)を調製した。
各分散液又は溶解液におけるTECAの濃度が0.03質量%、DMSO 1.0質量%となるように、水を添加して調整し、これを用いて、下記の評価方法により、メラニン生成量を測定し、メラニン生成抑制効果の確認を行った。メラニン生成抑制効果に優れることで、優れた美白効果を期待できる。
結果を示すグラフを図1に示す。
【0171】
〜評価方法〜
試験には、メラノサイト含有ヒト3次元培養表皮モデル「LabCyte MELANO−MODEL24」(J−TEC製)を使用した。本製品は、ヒト正常表皮細胞とヒト正常表皮メラノサイトとを共培養し、重層化させたヒト3次元培養表皮モデルである。本試験は、製品添付の取扱説明書に従って行った。
培養カップを寒天培地から取り出し、取扱説明書に記載の標準プロトコルに従い付属の改良メラニン産生促進培地を用いて培養表皮を培養した。実施例9、比較例4、比較例5の各試料液を検体として、それぞれ50μLを、各培養カップ内の培養表皮表面に添加し、14日間培養を行った。培養期間中は、指定の培地による培地交換とカップ内の検体交換を2〜3日毎に行った。14日間培養後、プロトコルに従い、細胞生存率の測定(MTT法)及びメラニン量の定量を行った(検体の添加はn=3にて行った)。なお、上記改良メラニン産生促進培地のみを用いて培養を行なったものをコントロールとした。
【0172】
〜結果〜
以上の評価により得られた結果を図1のグラフに示す。
比較例4のDMSO溶解液では、メラニン量の減少する傾向が見られたが、コントロールとの有意差はなかった(p>0.1)。
比較例5の分散液では、メラニン量が有意に減少した(p<0.05)。
実施例9の分散液では、メラニン量が有意に減少しており(p<0.01)、その作用は比較例5の分散液より強かった。
これらの結果から、実施例9の分散液は、比較例5の分散液及び比較例4のDMSO溶解液と比較して、優位にメラニン生成を抑制することが証明された。
【0173】
[実施例10〜14]
下記表3に示す組成を有する化粧料を常法により調製した。各実施例の組成は、全量100質量%である。
【0174】
【表3】
【0175】
[実施例15、比較例6〜8]
実施例15、比較例6〜8に用いた被験試料の調製方法を下記に示す。
実施例1で得られた透明分散物Aを終濃度0.1質量%(TECAの終濃度0.001質量%)、アスコルビン酸リン酸マグネシウム(L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩n水和物;和光純薬製)を終濃度6質量%となるように10v/v%牛胎児血清含有MEM培地(GIBO)で希釈して調製し、これを試験試料である実施例15の水性組成物とした。
比較例6〜8については、アスコルビン酸リン酸マグネシウム及び/又は分散物B(1質量%のTECAを水に分散させた分散物)を、下記表4に示した終濃度となるように10v/v%牛胎児血清含有MEM培地(GIBCO)で希釈して調製して、試験試料である水性組成物を得た。
なお、TECAは、実施例3で用いたものと同じである。
10v/v%牛胎児血清含有MEM培地(GIBCO)をコントロールとした。
【0176】
【表4】
【0177】
これらの被験試料(コントロール、比較例6〜8及び実施例15の水性組成物)を用いて、下記評価方法(メラニン生成抑制実験)を行い、メラニン生成量を測定し、メラニン生成抑制効果の確認を行った。メラニン生成抑制効果に優れることで、優れた美白効果を期待できる。
【0178】
<メラニン生成抑制実験>
(1)細胞播種・被験試料の添加
マウスB16メラノーマ細胞を10vol%牛胎児血清含有MEM培地(GIBCO)で12ウェルプレートに190,000細胞/ウェルで播種した。培地に2mmol/Lとなるようにテオフェリン(和光純薬製)を添加し、上記にて得られた各被験試料を添加した。
(2)メラニン量の評価
細胞増殖試験後の各細胞懸濁液を遠心分離して細胞を回収した。回収された細胞に、10v/v%ジメチルスルホキシドを含有する1mol/L水酸化ナトリウム水溶液300μLを添加して細胞を溶解し、得られた溶解液の400nmの吸光度を測定した。
メラニン量は、各溶解液の吸光度をコントロールの吸光度を100%としたときの相対値として算出したメラニン量比率(%)により評価した。
【0179】
以上の評価により得られた結果を、図2のグラフに示す。
図2に示されるように、比較例6、7では、メラニン量がコントロールに比べて減少しているものの、メラニン量比率は50%を超えている。
また、比較例8では、アスコルビン酸リン酸マグネシウムとツボクサ抽出物を併用しているため、メラニン量比率は50%を下回り、効果が強まっていることがわかる。
一方、実施例15では実施例1で得られた透明分散物Aとアスコルビン酸リン酸マグネシウムを併用しており、メラニン量が飛躍的に減少したことがわかる。そのメラニン生成抑制作用は比較例8よりも顕著であり、メラニン量比率は35%まで減少した。
これらの結果から、驚くべきことに実施例1の分散液とアスコルビン酸リン酸マグネシウムとを含有してなる実施例15の水性組成物は、メラニン生成抑制効果が相乗的に強まることが確認された。
【0180】
[実施例16]
下記組成を有する保湿クリームを常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・実施例4で調製した水性分散液 0.5
・セトステアリルアルコール 3.0
・グリセリン脂肪酸エステル 2.0
・モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.0
・モノステアリン酸ソルビタン 1.0
・N−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム 0.5
・ワセリン 5.0
・ジメチルポリシロキサン(100mPa・s) 3.0
・トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 20.0
・アスタキサンチン 0.05
・乳酸 1.0
・ジプロピレングリコール 10.0
・クエン酸ナトリウム 0.5
・リン酸アスコルビルマグネシウム 0.1
・酸化チタン 0.1
・香料 適量
・エデト酸2ナトリウム 0.03
・パラオキシ安息香酸エチル 0.05
・精製水 残量
【0181】
[実施例17]
下記組成を有する清涼飲料水を常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・果糖ブドウ糖液糖 30.0
・オレンジ果汁 20.0
・実施例5で調製した分散液 1.0
・クエン酸ナトリウム 0.5
・乳化剤 0.5
・香料 適量
・精製水 残量
【0182】
[実施例18]
下記組成を有するサンスクリーンを常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・実施例1で調製した水性分散液 0.5
・シクロペンタシロキサン 20.0
・ジメチコン 10.0
・酸化チタン 5.0
・t−ブチルメトキシベンゾイルメタン 1.0
・水酸化アルミニウム 1.0
・イソステアリン酸 0.5
・セスキオレイン酸ソルビタン 1.0
・グリチルレチン酸ジカリウム 0.5
・トマト果実エキス 0.5
・アスタキサンチン 0.5
・水溶性コラーゲン 1.0
・クエン酸ナトリウム 0.5
・トコフェロール 0.5
・アロエエキス 0.1
・香料 適量
・パラオキシ安息香酸エチル 0.05
・精製水 残量
図1
図2