特許第6027330号(P6027330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6027330電圧発生回路、半導体メモリ、及び電圧制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027330
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】電圧発生回路、半導体メモリ、及び電圧制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/07 20060101AFI20161107BHJP
   G11C 16/06 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   H02M3/07
   G11C17/00 632C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-81156(P2012-81156)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-212010(P2013-212010A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊郎
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−234389(JP,A)
【文献】 特表平06−510390(JP,A)
【文献】 特開2003−263232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 3/44
G11C17/00−17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を昇圧して高電圧を生成するチャージポンプ部と、前記高電圧が所定の上限電圧値を超えないように前記チャージポンプ部の動作を制御する制御部と、を有する電圧発生回路であって、
前記制御部は、
ソース端に前記高電圧が印加されており、ゲート端に負極性の電圧が印加されており且つドレイン端が第1のラインに接続されている第1のトランジスタを含み、前記高電圧が前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧を超えた場合に当該ブレークダウンによって前記第1のトランジスタに流れる電流を、前記高電圧の電圧値に対応した検出電流として前記第1のラインに送出する高電圧検出部と、
前記上限電圧値に対応した電流値を有する基準電流を生成する基準電流生成部と、
ドレイン端に前記第1のラインが接続されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第2のトランジスタと、ドレイン端に前記基準電流が供給されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第3のトランジスタとを含み、前記検出電流が前記基準電流より大なる場合に前記チャージポンプ部を停止させるチャージポンプ制御信号を生成する比較判定部と、を有することを特徴とする電圧発生回路。
【請求項2】
前記ブレークダウン電圧は前記上限電圧値よりも低いことを特徴とする請求項1記載の電圧発生回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧は、前記第2のトランジスタのブレークダウン電圧よりも低いことを特徴とする請求項1又は2記載の電圧発生回路。
【請求項4】
ブレークダウン電圧を低下させる負極性のシフト電圧を前記負極性の電圧として生成するシフト電圧生成部を含むことを特徴とする請求項3記載の電圧発生回路。
【請求項5】
複数のメモリセルが配置されているメモリセルアレイと、電源電圧を昇圧して高電圧を生成するチャージポンプ部及び前記高電圧が所定の上限電圧値を超えないように前記チャージポンプ部の動作を制御する制御部を含む電圧発生回路と、データ書込時に前記高電圧に応じた書込電圧を前記メモリセルに印加するドライバと、を有する半導体メモリであって、
前記電圧発生回路は、
ソース端に前記高電圧が印加されており、ゲート端に負極性の電圧が印加されており且つドレイン端が第1のラインに接続されている第1のトランジスタを含み、前記高電圧が前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧を超えた場合に当該ブレークダウンによって前記第1のトランジスタに流れる電流を、前記高電圧の電圧値に対応した検出電流として前記第1のラインに送出する高電圧検出部と、
前記上限電圧値に対応した電流値を有する基準電流を生成する基準電流生成部と、
ドレイン端に前記第1のラインが接続されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第2のトランジスタと、ドレイン端に前記基準電流が供給されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第3のトランジスタとを含み、前記検出電流が前記基準電流より大なる場合に前記チャージポンプ部を停止させるチャージポンプ制御信号を生成する比較判定部と、を更に含むことを特徴とする半導体メモリ。
【請求項6】
電源電圧を昇圧して高電圧を生成するチャージポンプ部と、ソース端に前記高電圧が印加されており、ゲート端に負極性の電圧が印加されており且つドレイン端が第1のラインに接続されている第1のトランジスタと、ドレイン端に前記第1のラインが接続されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第2のトランジスタと、ドレイン端に前記高電圧の上限電圧値に対応した基準電流が供給されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第3のトランジスタと、を有する電圧発生回路の電圧制御方法であって、
前記高電圧が前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧を超えた場合に前記第1のトランジスタから前記第1のラインに送出された電流を、前記高電圧の電圧値に対応した検出電流とし、当該検出電流が前記基準電流より大となる期間だけ前記チャージポンプ部を停止せしめることを特徴とする電圧制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積装置、又は半導体メモリに形成される電圧発生回路、特に生成した出力電圧の電圧値を検出し、その検出結果に基づいて出力電圧を制御するようにした電圧発生回路、及びその電圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリ等の不揮発性メモリには、データを書き込む為の書込電圧を生成する電圧発生回路が設けられている。このような電圧発生回路として、チャージポンプ回路によって書込用の電圧を生成させ、この電圧が所定の基準電圧よりも高くなった場合にチャージポンプ動作を停止させるようにしものが提案されている(例えば、特許文献1の図1参照)。ところで、書込用の電圧は高電圧となるので、この電圧が基準電圧よりも高いか否かを判定する為の比較器として高耐圧のものを用いる必要があり、回路規模が大になるという問題があった。尚、抵抗等によってその電圧を低下させたものを比較器に供給することも考えられるが、この際、電力消費量が増加するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−353392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小規模な構成で且つ低消費電力にて所定の高電圧を生成することが可能な電圧発生回路、半導体メモリ及び電圧制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電圧発生回路は、電源電圧を昇圧して高電圧を生成するチャージポンプ部と、前記高電圧が所定の上限電圧値を超えないように前記チャージポンプ部の動作を制御する制御部と、を有する電圧発生回路であって、前記制御部は、ソース端に前記高電圧が印加されており、ゲート端に負極性の電圧が印加されており且つドレイン端が第1のラインに接続されている第1のトランジスタを含み、前記高電圧が前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧を超えた場合に当該ブレークダウンによって前記第1のトランジスタに流れる電流を、前記高電圧の電圧値に対応した検出電流として前記第1のラインに送出する高電圧検出部と、 前記上限電圧値に対応した電流値を有する基準電流を生成する基準電流生成部と、ドレイン端に前記第1のラインが接続されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第2のトランジスタと、ドレイン端に前記基準電流が供給されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第3のトランジスタとを含み、前記検出電流が前記基準電流より大なる場合に前記チャージポンプ部を停止させるチャージポンプ制御信号を生成する比較判定部と、を有する。
【0006】
本発明に係る半導体メモリは、複数のメモリセルが配置されているメモリセルアレイと、電源電圧を昇圧して高電圧を生成するチャージポンプ部及び前記高電圧が所定の上限電圧値を超えないように前記チャージポンプ部の動作を制御する制御部を含む電圧発生回路と、データ書込時に前記高電圧に応じた書込電圧を前記メモリセルに印加するドライバと、を有する半導体メモリであって、前記電圧発生回路は、ソース端に前記高電圧が印加されており、ゲート端に負極性の電圧が印加されており且つドレイン端が第1のラインに接続されている第1のトランジスタを含み、前記高電圧が前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧を超えた場合に当該ブレークダウンによって前記第1のトランジスタに流れる電流を、前記高電圧の電圧値に対応した検出電流として前記第1のラインに送出する高電圧検出部と、前記上限電圧値に対応した電流値を有する基準電流を生成する基準電流生成部と、ドレイン端に前記第1のラインが接続されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第2のトランジスタと、ドレイン端に前記基準電流が供給されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第3のトランジスタとを含み、前記検出電流が前記基準電流より大なる場合に前記チャージポンプ部を停止させるチャージポンプ制御信号を生成する比較判定部と、を更に含む。
【0007】
本発明に係る電圧制御方法は、電源電圧を昇圧して高電圧を生成するチャージポンプ部と、ソース端に前記高電圧が印加されており、ゲート端に負極性の電圧が印加されており且つドレイン端が第1のラインに接続されている第1のトランジスタと、ドレイン端に前記第1のラインが接続されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第2のトランジスタと、ドレイン端に前記高電圧の上限電圧値に対応した基準電流が供給されており且つソース端に前記負極性の電圧が印加されている第3のトランジスタと、を有する電圧発生回路の電圧制御方法であって、前記高電圧が前記第1のトランジスタのブレークダウン電圧を超えた場合に前記第1のトランジスタから前記第1のラインに送出された電流を、前記高電圧の電圧値に対応した検出電流とし、当該検出電流が前記基準電流より大となる期間だけ前記チャージポンプ部を停止せしめる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、チャージポンプ部で生成された高電圧が上限電圧値を超えないようにすべく、この高電圧がブレークダウン電圧を超えた場合に当該ブレークダウンによって流れる電流を検出電流として送出するトランジスタを設け、かかる検出電流が、上限電圧値に対応した基準電流より大となる期間だけチャージポンプ部を停止させている。
【0009】
よって、かかる構成によれば、チャージポンプ部で生成された高電圧自体と基準電圧との大小比較を行う場合に比して、耐圧の低い比較器を用いることができるので、装置の小規模化を図ることが可能となる。
【0010】
また、上記構成によれば、チャージポンプ部で生成された高電圧がトランジスタのブレークダウン電圧を超えている間だけ検出電流の送出が為されるので、かかる高電圧がトランジスタのブレークダウン電圧よりも低い間は検出電流の生成は為されない。よって、チャージポンプ部で生成された高電圧の電圧値の大小に拘わらず、常に検出電流の生成を行う場合に比して消費電力の低下を図ることが可能となる。
【0011】
また、これら検出電流と基準電流との大小比較を行う比較判定部には上記したブレークダウンによって生成された検出電流が流れ込むトランジスタが存在するが、このトランジスタのブレークダウン電圧は、検出電流の送出元のトランジスタのブレークダウン電圧よりも高くなっている。これにより、チャージポンプ部で生成された高電圧が上昇して上限電圧値に到るまでの間、検出電流の送出元のトランジスタの方だけにブレークダウンを生じさせることが可能となる。よって、比較判定部に含まれるトランジスタのブレークダウンに伴う大電流の流入が防止されるので、チャージポンプ部として電流供給能力の低い小規模なものを用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る電圧発生回路が含まれる半導体メモリ10の概略構成を示すブロック図である。
図2】電圧発生回路40の内部構成を示すブロック図である。
図3】高電圧検出部42及び比較判定部44の内部構成を示す回路図である。
図4】トランジスタQ1及びQ3各々のブレークダウン時の電圧・電流特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、チャージポンプ部(41)で生成された高電圧(HV)が所定の上限電圧値(VLIM)を超えないように制御するにあたり、この高電圧(HV)がブレークダウン電圧を超えた場合に限り当該ブレークダウンによって流れる電流を検出電流(Idtc)として送出するトランジスタ(Q1)を設け、この検出電流が、上限電圧値に対応した電流値を有する基準電流(Iref)より大となる期間だけチャージポンプ部を停止させる。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明に係る電圧発生回路が含まれる半導体メモリ10の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、半導体メモリ10は例えばフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリであり、メモリセルアレイ1、コントローラ2、ロウドライバ3、及びカラムドライバ4を有する。
【0016】
メモリセルアレイ1には、複数のビット線と、各ビット線に交叉した形態で複数のワード線とが並置されており、これらビット線及びワード線による交叉部に、情報データの記憶を為すメモリセル(図示せぬ)が形成されている。
【0017】
コントローラ2は、読出又は書込指令に応じて、読出又は書込アドレスを示すアドレス情報をロウドライバ3に供給すると共に、書込電圧又は読出電圧をメモリセルに印加させるべき書込又は読出アクセス信号をカラムドライバ4に供給する。
【0018】
ロウドライバ3は、コントローラ2から供給された書込又は読出アクセス信号、及びアドレス情報に応じて、メモリセルアレイ1に形成されている一対のワード線を選択して所定の選択電圧を供給する。これにより、かかる選択電圧が供給された一対のワード線に接続されているメモリセルがデータの読出又は書込対象となる。
【0019】
カラムドライバ4は、コントローラ2から供給された読出アクセス信号に応じて、データ読出用の読出電圧をメモリセルアレイ1のビット線に印加する。また、カラムドライバ4には、情報データをメモリセルに書き込む為の高電圧HVを発生する電圧発生回路40が搭載されている。カラムドライバ4は、コントローラ2から供給された書込アクセス信号に応じて、電圧発生回路40で生成された高電圧HVに基づき情報データに対応した書込電圧を生成し、これをメモリセルアレイ1のビット線を介してメモリセルに印加する。
【0020】
図2は、電圧発生回路40の内部構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、電圧発生回路40は、チャージポンプ部41と、高電圧検出部42、シフト電圧生成部43、比較判定部44及び基準電流生成部45からなる制御部と、を有する。
【0022】
チャージポンプ部41は、複数のコンデンサ及びスイッチング素子(図示せぬ)からなり、比較判定部44から供給されたチャージポンプ制御信号CPENが論理レベル「1」を表す場合に限り、以下の如きチャージポンプ動作を行う。すなわち、チャージポンプ部41内では、上記したコンデンサの一端に論理回路用の電源電圧VDDを印加させてこれを充電し、引き続きコンデンサの他端に電源電圧VDDを印加することによりコンデンサを放電させる。かかる充電及び放電動作を繰り返し実行することにより、上記コンデンサの一端の電圧が上昇し、電源電圧VDDよりも高い電圧に到る。一方、比較判定部44から、上記したチャージポンプ動作の停止を促す論理レベル「0」のチャージポンプ制御信号CPENが供給された場合、チャージポンプ部41は、このチャージポンプ動作を停止する。よって、この間、上記コンデンサの一端上の電圧が徐々に低下して行く。
【0023】
チャージポンプ部41は、上記したコンデンサの一端上の電圧を高電圧HVとして出力すると共に、これを高電圧検出部42に供給する。
【0024】
シフト電圧生成部43は、所定の負極性のシフト電圧(−Vt)を生成しこれを高電圧検出部42及び比較判定部44に供給する。尚、シフト電圧(−Vt)は、例えば−0.7〜−0.9ボルトである。
【0025】
高電圧検出部42は、かかる高電圧HVが上限電圧値VLIMよりも低い所定電圧、つまり、後述するトランジスタのブレークダウン電圧よりも大となった場合にだけ、その高電圧HVに対応した電流値を有する検出電流Idtcを生成し、これを比較判定部44に供給する。
【0026】
基準電流生成部45は、チャージポンプ部41で生成された高電圧HVの上限電圧値VLIMに対応した電流量の基準電流Irefを生成し、これを比較判定部44に送出する。
【0027】
比較判定部44は、上記した検出電流Idtcと、基準電流Irefとの大小比較を行い、検出電流Idtcの方が大なる場合にはチャージポンプ動作を停止させるべき論理レベル「0」のチャージポンプ制御信号CPENをチャージポンプ部41に供給する。一方、基準電流Irefが検出電流Idtc以上の電流値を有する場合には、比較判定部44は、チャージポンプ動作を促す論理レベル「1」のチャージポンプ制御信号CPENをチャージポンプ部41に供給する。
【0028】
よって、上記した高電圧検出部42、シフト電圧生成部43、比較判定部44及び基準電流生成部45からなる制御部は、上記した高電圧HVが上限電圧値VLIMより低い場合にはチャージポンプ動作を実施させる一方、この高電圧HVが上限電圧値VLIMより高い場合にはチャージポンプ動作を停止させるべくチャージポンプ部41を制御する。このような構成により、電圧発生回路40は、上限電圧値VLIMを超えない程度に高電圧の状態を維持させた高電圧HVを生成するのである。
【0029】
ここで、図2に示す電圧発生回路40では、高電圧検出部42及び比較判定部44として、図3に示す如き回路構成を採用している。
【0030】
図3において、高電圧検出部42は、nチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のトランジスタQ1からなる。トランジスタQ1のソース端子には上記したチャージポンプ部41で生成された高電圧HVが印加されており、そのゲート端子には上記したシフト電圧生成部43で生成された負極性のシフト電圧(−Vt)が印加されている。また、トランジスタQ1のバルク端子とドレイン端子とが互いにラインL1に接続されている。かかる構成により、高電圧検出部42は、上記した検出電流IdtcをラインL1を介して比較判定部44に供給する。尚、トランジスタQ1は、そのソース端子に印加された高電圧HVが、ゲート端子に印加されているシフト電圧(−Vt)を基準としたブレークダウン電圧以上になるとブレークダウンするように構築されている。この際、トランジスタQ1のブレークダウン電圧は、高電圧HVの上限電圧である上限電圧値VLIMよりも低い。
【0031】
比較判定部44は、nチャネルMOS型のトランジスタQ2〜Q5及びpチャネルMOS型のトランジスタQ6、Q7を含む電流検出回路CDと、比較器CMと、からなる。
【0032】
電流検出回路CDにおいて、トランジスタQ2のソース端子とトランジスタQ3のドレイン端子とが互いに上記ラインL1に接続されている。トランジスタQ3のバルク端子及びソース端子には、上記したシフト電圧(−Vt)が印加されており、そのゲート端子はラインL2を介してトランジスタQ2のドレイン端子、トランジスタQ6のドレイン端子、及び比較器CMの非反転入力端子に接続されている。トランジスタQ4のソース端子はラインL3を介してトランジスタQ5のドレイン端子に接続されている。尚、基準電流生成部45から送出された基準電流Irefは、かかるラインL3を介してトランジスタQ4のソース端子及びトランジスタQ5のドレイン端子に供給される。トランジスタQ5のバルク端子及びソース端子には、上記したシフト電圧(−Vt)が印加されており、そのゲート端子は、ラインL4を介してトランジスタQ2及びQ4各々のゲート端子、Q2のドレイン端子、トランジスタQ5のドレイン端子、及び比較器CMの反転入力端子に夫々接続されている。トランジスタQ6及びQ7各々のゲート端子には接地電圧GNDが印加されており、各ソース端子には電源電圧VDDが印加されている。
【0033】
かかる構成により、電流検出回路CDのラインL2には、高電圧検出部42から供給された検出電流Idtcに対応した電圧値を有する検出電圧V1が生成される。また、電流検出回路CDのラインL4には、上記基準電流Irefに対応した電圧値を有する基準電圧V2が生成される。電流検出回路CDは、これら検出電圧V1及び基準電圧V2を比較器CMに供給する。
【0034】
比較器CMは、検出電圧V1と基準電圧V2との大小比較を行い、検出電圧V1の方が大なる場合にはチャージポンプ動作を停止させるべき論理レベル「0」のチャージポンプ制御信号CPENを生成しこれをチャージポンプ部41に供給する。一方、基準電圧V2が検出電圧V1以上の電流値を有する場合には、比較器CMは、チャージポンプ動作を促す論理レベル「1」のチャージポンプ制御信号CPENを生成し、これをチャージポンプ部41に供給する。
【0035】
以下に、図3に示す構成による詳細な内部動作について説明する。
【0036】
先ず、トランジスタQ6のゲート端子には接地電圧GNDが固定供給されているので、このトランジスタQ6はオン状態固定となる。よって、かかるトランジスタQ6を介して電源電圧VDDがトランジスタQ3のゲート端子に固定供給され、このトランジスタQ3もオン状態固定となる。
【0037】
ここで、上記した高電圧HVの印加に伴いトランジスタQ1のソース・バルク間電圧が、そのゲート端子に印加されているシフト電圧(−Vt)を基準としたトランジスタQ1のブレークダウン電圧以上になると、このトランジスタQ1がブレークダウンする。かかるブレークダウンによって、トランジスタQ1は、図4の実線に示す如く、上記高電圧HVに対応した検出電流Idtcの生成を開始し、これをラインL1上に送出する。この際、かかる検出電流IdtcはトランジスタQ4に流れ込み、検出電流Idtcに対応した電圧値の検出電圧V1が比較器CMに供給される。その後、チャージポンプ部41のチャージポンプ動作によって高電圧HVが増加すると、それに伴い検出電流Idtc図4に示すように増加して行く。よって、かかる検出電流Idtcの上昇に従って検出電圧V1も増加する。この際、検出電流Idtc図4の破線に示す如き基準電流Iref以上になると、比較器CMは、論理レベル「0」のチャージポンプ制御信号CPENをチャージポンプ部41に供給することによりチャージポンプ動作を停止させる。
【0038】
以上の如く、図3に示す比較判定部44では、チャージポンプ部41から送出された高電圧HVを高電圧検出部42で電流に変換して得られた検出電流Idtcと、基準電流Irefとの大小比較によりチャージポンプ部41の動作及び停止を制御するようにしている。
【0039】
よって、図3に示す構成によれば、チャージポンプ部41で生成された高電圧HV自体と基準電圧との大小比較を行う場合に比して、耐圧の低い比較器を用いることができるので、装置の小規模化を図ることが可能となる。
【0040】
また、図3に示す高電圧検出部42では、高電圧HVがトランジスタQ1のブレークダウン電圧を超えた場合にだけ、高電圧HVに対応した検出電流Idtcを生成するようにしている。よって、チャージポンプ部41で生成された高電圧HVがトランジスタQ1のブレークダウン電圧よりも低い場合には、高電圧検出部42において検出電流Idtcの生成は為されないので、消費電力の低下を図ることが可能となる。
【0041】
尚、図3に示す構成によると、チャージポンプ部41で生成された高電圧HVは、トランジスタQ1を介して電流検出回路CDのトランジスタQ3にも印加され、このトランジスタQ1から送出された検出電流IdtcがトランジスタQ3に流れ込む。ここで、トランジスタQ3のゲート端子には正極性の電圧が印加されている一方、トランジスタQ1のゲート端子には、ブレークダウン電圧を低電圧側にシフトさせるべく負極性のシフト電圧(−Vt)が印加されている。これにより、トランジスタQ1のブレークダウン電圧は、トランジスタQ3のブレークダウン電圧よりも低くなる。よって、図4の実線に示す如きトランジスタQ1におけるブレークダウン発生後の高電圧HVに対する検出電流Idtcの増加特性は、図4の一点鎖線にて示す如きトランジスタQ3の増加特性をシフト電圧(−Vt)の分だけ低電圧側にシフトしたものとなる。
【0042】
従って、図4に示す如く、この高電圧HVが上限電圧値VLIMに到るまでの間、トランジスタQ1及びQ3の内のQ1だけにブレークダウンを生じさせることが可能となる。これにより、トランジスタQ3のブレークダウンに伴う大電流の流入が防止されるので、チャージポンプ部41として電流供給能力の低い小規模なものを用いることが可能となる。
【0043】
また、図3に示す一例では、高電圧検出部42は、単一のpチャネルMOS型のトランジスタQ1で構成されているが、nチャネルMOS型のトランジスタを採用しても良い。また、高電圧検出部42としては、pチャネル又はnチャネルMOS型のトランジスタQ1を直列又は並列に複数個接続したものを採用しても良い。
【符号の説明】
【0044】
40 電圧発生回路
41 チャージポンプ部
42 高電圧検出部
43 シフト電圧生成部
44 比較判定部
45 基準電流生成部
CD 電流検出回路
CM 比較器
Q1〜Q7 トランジスタ
図1
図2
図3
図4