特許第6027480号(P6027480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ハイテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特許6027480-軌道検測方法及び装置 図000002
  • 特許6027480-軌道検測方法及び装置 図000003
  • 特許6027480-軌道検測方法及び装置 図000004
  • 特許6027480-軌道検測方法及び装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027480
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】軌道検測方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 35/04 20060101AFI20161107BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20161107BHJP
   B61K 9/08 20060101ALI20161107BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20161107BHJP
   E01B 35/08 20060101ALI20161107BHJP
   E01B 35/10 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   E01B35/04
   G01B11/24 A
   B61K9/08
   G01B11/16 Z
   E01B35/08
   E01B35/10
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-74721(P2013-74721)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198958(P2014-198958A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大曽根 淳
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 猛
(72)【発明者】
【氏名】河合 真太郎
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−201103(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/011386(WO,A1)
【文献】 特開2001−114104(JP,A)
【文献】 米国特許第05753808(US,A)
【文献】 特開平02−078905(JP,A)
【文献】 特開2000−097626(JP,A)
【文献】 特開2001−033247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/00−37/00
B61K 9/08
G01B 11/00−11/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに沿って走行する車両を構成する枠体又は前記車両に別途設けられる枠体に取り付けられた2次元レーザ変位検出器を用いて、前記レールの変位等を検出する軌道検測方法において、
斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の上面又は下面に設けられた第1のターゲット手段に対して、前記枠体の側面に設けられた第1のレーザ変位計手段を用いて前記斜面にレーザ光を照射することによって、前記斜面までの距離を測定し、
前記第1のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の上下方向の撓みを算出し、
斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の側面に設けられた第2のターゲット手段に対して、前記枠体の上面又は下面に設けられた第2のレーザ変位計手段を用いて前記第2のターゲット手段の前記斜面にレーザ光を照射することによって、前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離を測定し、
前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記上下方向に垂直な左右方向の撓みを算出し、
前記上下方向及び前記左右方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することを特徴とする軌道検測方法。
【請求項2】
請求項1に記載の軌道検測方法において、
前記2次元レーザ変位検出器が前記枠体の両端部及び中央部の3箇所に設けられ、
前記第1のターゲット手段が前記枠体の前記両端部にそれぞれ設けられ、
前記第1のレーザ変位計手段が前記枠体の前記中央部の側面であって、前記両端部の前記第1のターゲット手段の前記斜面にそれぞれレーザ光を照射するように2個設けられ、
前記枠体の前記両端部の前記第1のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記両端部の上下方向の撓みを算出し、
前記上下方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することを特徴とする軌道検測方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の軌道検測方法において、前記第1のターゲット手段及び前記第2のターゲット手段が直角二等辺三角形状をしていることを特徴とする軌道検測方法。
【請求項4】
レールに沿って走行する車両を構成する枠体又は前記車両に別途設けられる枠体に取り付けられた2次元レーザ変位検出器を用いて、前記レールの変位等を検出する軌道検測装置において、
斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の上面又は下面に設けられた第1のターゲット手段と、
前記枠体の側面に設けられ、前記第1のターゲット手段に対してレーザ光を照射することによって、前記第1のターゲット手段の前記斜面までの距離を測定する第1のレーザ変位計手段と、
斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の側面に設けられた第2のターゲット手段と、
前記枠体の上面又は下面に設けられ、前記第2のターゲット手段に対してレーザ光を照射することによって、前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離を測定する第2のレーザ変位計手段とを設け、
前記第1のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の上下方向の撓みを算出し、前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記上下方向に垂直な左右方向の撓みを算出し、前記上下方向及び前記左右方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去する制御手段と
を備えたことを特徴とする軌道検測装置。
【請求項5】
請求項に記載の軌道検測装置において、
前記2次元レーザ変位検出器が前記枠体の両端部及び中央部の3箇所に設けられ、
前記第1のターゲット手段が前記枠体の前記両端部にそれぞれ設けられ、
前記第1のレーザ変位計手段が前記枠体の前記中央部の側面であって、前記両端部の前記第1のターゲット手段の前記斜面にそれぞれレーザ光を照射するように2個設けられ、
前記制御手段が前記枠体の前記両端部の前記第1のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記両端部の上下方向の撓みを算出し、前記上下方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することを特徴とする軌道検測装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の軌道検測装置において、前記第1のターゲット手段及び前記第2のターゲット手段が直角二等辺三角形状をしていることを特徴とする軌道検測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いてレールの変位を測定する軌道検測方法及び装置に係り、特に測定器を搭載した梁の撓みによる測定精度低下を有効に防止することのできる軌道検測方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の安定輸送には車両の軌道、架線、電気供給用サードレール等のような車両の運行に関する周辺構造物である電車線路設備等の測定管理が必要である。電車線路設備のうち、主に軌道(レール)の形状を測定する場合は、軌道検測車に配置されたレーザ変位計から測定光をレールに照射することによって、レールの形状を測定している。レーザ変位計として2次元レーザ変位検出器を使用し、車体枠の左右及び前中後に2次元レーザ変位検出器を設置し、各左右レールの通り、高低狂い等を測定する軌道検測装置として、引用文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−169610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2次元レーザ変位検出器による測定精度を向上するためには、基準となる車体枠の剛性を保ち、その変位を抑えることが必要である。車体枠の剛性を保つために補強などを行った場合、自重の増加に伴って垂直方向の撓みが減少しないことが判明している。従って、車体剛性を高めた専用モーターカー又は専用牽引式台車を用いていた。一方、特許文献1に記載の軌道検測装置には、車両端にレーザ投光部、中央部及び反対車端に受光部を設けることによって車体の撓みを検出する方法が記載されている。特許文献1に記載された撓み検出方法は、レーザ投光部近傍のみが撓むとレーザ光が傾くため受光部での撓み変位量が実際の撓みと異なる可能性があった。
【0005】
本発明は、変位検出器の取り付けられる枠の撓みを正確に検出し、変位検出器よる測定精度を向上することのできる軌道検測方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る軌道検測方法の第1の特徴は、レールに沿って走行する車両を構成する枠体又は前記車両に別途設けられる枠体に取り付けられた2次元レーザ変位検出器を用いて、前記レールの変位等を検出する軌道検測方法において、斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の上面又は下面に設けられたターゲット手段に対して、前記枠体の側面に設けられたレーザ変位計手段を用いて前記斜面にレーザ光を照射することによって、前記斜面までの距離を測定し、前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の上下方向の撓みを算出し、前記上下方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することにある。
これは、2次元レーザ変位検出器の取り付けられている枠体の上下方向における撓みを、その枠体の端部の上面又は下面に設けられたターゲット手段と、このターゲット手段の斜面までの距離を測定するレーザ変位計手段とを用いて算出するようにしたものである。ターゲット手段を枠体の上面又は下面に取り付けることによって、ターゲット手段の斜面が枠体の上面又は下面に対して所定の角度で傾斜することになる。枠体に上下方向の撓みが発生すると、ターゲット手段も上下方向に移動する。この移動に伴ってレーザ変位計手段からターゲット手段の斜面までの距離が変化するので、変化した距離と斜面の角度とに基づいて上下方向の撓みを算出している。算出した撓みによる影響をレールの変位等から除去することによって、2次元レーザ変位検出器による測定精度を向上させることができる。
【0007】
本発明に係る軌道検測方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の軌道検測方法において、前記2次元レーザ変位検出器が前記枠体の両端部及び中央部の3箇所に設けられ、前記ターゲット手段が前記枠体の前記両端部にそれぞれ設けられ、前記レーザ変位計手段が前記枠体の前記中央部の側面であって、前記両端部のターゲット手段の前記斜面にそれぞれレーザ光を照射するように2個設けられ、前記枠体の前記両端部の前記ターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記両端部の上下方向の撓みを算出し、前記上下方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することにある。これは、2次元レーザ変位検出器を枠体の両端部及び中央部の3箇所に設けている。ターゲット手段を枠体の両端部に設けられた2次元レーザ変位検出器に、レーザ変位計手段を枠体の中央部に設けられた2次元レーザ変位検出器に、それぞれ対応付けて設けている。従って、レーザ変位計手段及びターゲット手段を用いて算出した枠体の両端部の上下方向の撓みがそのまま2次元レーザ変位検出器における上下方向に撓みとなるので、その撓みに基づいてレールの変位等を補正することによって2次元レーザ変位検出器の測定精度を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る軌道検測方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の軌道検測方法において、斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の側面に設けられた第2のターゲット手段に対して、前記枠体の上面又は下面に設けられた第2のレーザ変位計手段を用いて前記第2のターゲット手段の前記斜面にレーザ光を照射することによって、前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離を測定し、前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記上下方向に垂直な左右方向の撓みを算出し、前記左右方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することにある。これは、前記第1又は第2の特徴に記載した軌道検測方法におけるターゲット手段及びレーザ変位計手段と同じ構成のものを枠体の長手方向から見て右回り又は左回りに約90度回転させて配置することによって、上下方向に垂直な左右方向の撓みを算出するようにしたものである。これによって、2次元レーザ変位検出器の取り付けられた枠体の上下左右の撓みによる影響を有効に除去して、2次元レーザ変位検出器の測定精度を飛躍的に向上させることができる。
【0009】
本発明に係る軌道検測方法の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の軌道検測方法において、前記ターゲット手段及び前記第2のターゲット手段が直角二等辺三角形状をしていることにある。これは、ターゲット手段が直角二等辺三角形状をしているので、枠体の上面若しくは下面又は側面に取り付けられた場合、その斜面が45度となるので、レーザ変位計手段からターゲット手段の斜面までの距離がそのまま上下方向の撓みとして算出できるようになり、演算処理を簡略化することができる。
【0010】
本発明に係る軌道検測装置の第1の特徴は、レールに沿って走行する車両を構成する枠体又は前記車両に別途設けられる枠体に取り付けられた2次元レーザ変位検出器を用いて、前記レールの変位等を検出する軌道検測装置において、斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の上面又は下面に設けられたターゲット手段と、前記枠体の側面に設けられ、前記ターゲット手段に対してレーザ光を照射することによって、前記斜面までの距離を測定するレーザ変位計手段と、前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の上下方向の撓みを算出し、前記上下方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去する制御手段とを備えたことにある。これは、前記軌道検測方法の第1の特徴に対応した軌道検測装置の発明である。
【0011】
本発明に係る軌道検測装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の軌道検測装置において、前記2次元レーザ変位検出器が前記枠体の両端部及び中央部の3箇所に設けられ、前記ターゲット手段が前記枠体の前記両端部にそれぞれ設けられ、前記レーザ変位計手段が前記枠体の前記中央部の側面であって、前記両端部のターゲット手段の前記斜面にそれぞれレーザ光を照射するように2個設けられ、前記制御手段が前記枠体の前記両端部の前記ターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記両端部の上下方向の撓みを算出し、前記上下方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することにある。これは、前記軌道検測方法の第2の特徴に対応した軌道検測装置の発明である。
【0012】
本発明に係る軌道検測装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の軌道検測装置において、斜面が前記枠体の中央を向くように前記枠体の端部の側面に設けられた第2のターゲット手段と、前記枠体の上面又は下面に設けられ、前記第2のターゲット手段に対してレーザ光を照射することによって、前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離を測定する第2のレーザ変位計手段とを設け、前記制御手段が前記第2のターゲット手段の前記斜面までの距離に基づいて前記枠体の前記上下方向に垂直な左右方向の撓みを算出し、前記左右方向の撓みによる影響を前記レールの変位等から除去することにある。これは、前記軌道検測方法の第3の特徴に対応した軌道検測装置の発明である。
【0013】
本発明に係る軌道検測装置の第4の特徴は、前記第1、第2又は第3の特徴に記載の軌道検測装置において、前記ターゲット手段及び前記第2のターゲット手段が直角二等辺三角形状をしていることにある。これは、前記軌道検測方法の第4の特徴に対応した軌道検測装置の発明である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、変位検出器の取り付けられる枠の撓みを正確に検出し、レーザ変位計よる測定精度を向上することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る軌道検測装置を搭載した車両全体の概略を上側から見て示す図である。
図2図1の軌道検測装置を搭載した車両を紙面下側から見た側面図である。
図3図1の軌道検測装置を搭載した牽引台車を紙面右側から見た前方図である。
図4】本発明の軌道検測装置において車体枠等の撓みを検出する撓み測定装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の軌道検測方法及び装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る軌道検測装置を搭載した車両全体の概略を上側から見て示す図である。図2は、図1の軌道検測装置を搭載した車両を紙面下側から見た側面図である。図3は、図1の軌道検測装置を搭載した牽引台車を紙面右側から見た前方図である。図1では、車両本体を点線で示し、車両の下側の構成を図示してある。
【0017】
車両10は、平行する2本の走行レール3L,3R上を2つの車軸81,82の両端に設けられた4つの車輪71R,71L,72R,72Lを介して走行するように構成されている。車両10には、摩耗、左右高低、左右通り、軌間、水準、平面性の各演算を行う軌道検測装置4と、車両10の傾きを測定するジャイロ装置5とが搭載されている。距離パルス発生器6は、車軸82に端部に設けられ、車両10の移動距離に応じたパルスを発生し、それを軌道検測装置4に出力する。
【0018】
車両10の2本のフレーム枠23R,23L間には、図示していないが、梁等によって結合されている。フレーム枠23R,23Lの下側には、2次元レーザ変位検出器21〜26が設置されている。すなわち、車両10は、左右高低、左右通りを算出するために2次元レーザ変位検出器21〜26を車両10の左右前中後のそれぞれ6箇所に配置している。2次元レーザ変位検出器21〜26は、内軌側及び外軌側のそれぞれ上方から所定角度θだけ傾斜した斜めに設置され、走行レール3R,3Lの測定を行う。軌道検測装置4は、2次元レーザ変位検出器21〜26からの出力に基づいてレール断面形状のプロファイルを作成する。このとき、軌道検測装置4は、ジャイロ装置5からの信号に応じて摩耗、左右高低、左右通り、軌間、水準、平面性の各演算を行う。なお、上述の各種データは、図示していない記憶装置等に保存される。
【0019】
図4は、本発明の軌道検測装置において車体枠等の撓みを検出する撓み測定装置の概略構成を示す図である。車体枠23Lは、車両10の下側に設置されるものであり、中空角材から構成され、梁として機能するものである。撓み測定装置は、車体枠23L,23Rの中空角材の空洞内に設けられている。図4では、車体枠23Lのみを示す。車体枠23Lの下側には、図2及び図4に示す通り、レールの高さと通り変位を測定する2次元レーザ変位検出器21,23,25が取れ付けられている。車体枠23Lの内部には、梁としての車体枠23Lの垂直方向の撓みを測定するレーザ変位計41,42と、そのターゲット43,44とが設けられている。
【0020】
車体枠23Lは、車両10の全長とほぼ同じ長さで構成される。車体枠23Lのほぼ中央にレーザ変位計41,42が設置されている。車体枠23L内であって、レーザ変位計41の左側端部にターゲット43が設置されている。車体枠23L内であって、レーザ変位計42の右側端部にターゲット44が設置されている。2次元レーザ変位検出器21,23,25は、レール3Lの両側面と上面の垂直水平位置を測定する。2次元レーザ変位検出器21,23,25のうち、両端の2次元レーザ変位検出器21,25を基準に2次元レーザ変位検出器23の値を演算し、レールの高さと通り狂いを測定する。
【0021】
レーザ変位計41,42は、車両枠23L内のほぼ中央付近に剛体板40を介して取り付けられている。従って、レーザ変位計41,42は、この剛体板40によって撓みの影響を受けることはない。レーザ変位計41,42は、各々ターゲット43,44までの距離を測定する。ターゲット43,44は、車両枠23Lの両端部付近に各々配置し、レーザ変位計41,42からの光軸に対して約45度の角度の平面を有する。
【0022】
図4において、レーザ変位計41,42を用いた車両枠23Lの垂直方向の撓み測定の一例を説明する。図4の右側のターゲット44における垂直撓み量が下方向にAとなると、ターゲット44は点線に示すように下方向に移動し、右側のレーザ変位計42からターゲット44までの距離は値aだけ伸びることになる。このときの水平方向の値aと垂直方向の値Aとは、互いに等しくなる。同様に図4の左側のターゲット43における垂直撓み量が下方向にBとなると、ターゲット43は点線に示すように下方向に移動し、左側のレーザ変位計41からターゲット43までの距離は値bだけ伸びることになる。このときの水平方向の値bと垂直方向の値Bとは、互いに等しくなる。これは、ターゲット43,44が共に45度の角度の平面を有するためである。
【0023】
このように車両枠23Lに高低狂が発生した場合の演算方法について説明する。このときの2次元レーザ変位検出器21の高さを値dとし、2次元レーザ変位検出器計23の高さを値fとし、2次元レーザ変位検出器25の高さを値eとする。撓みの無い場合の高低狂いは((d+e)/2)−fとなる。
【0024】
一方、垂直方向に上述のようなA及びBの撓みが存在する場合、このときの2次元レーザ変位検出器21の高さを値Dとし、2次元レーザ変位検出器計23の高さを値Fとし、2次元レーザ変位検出器25の高さを値Eとすると、高低狂いは(((D+A)+(E+B))/2)−Fとなる。これによって、車体枠23Lの撓みを正確に検出し、2次元レーザ変位検出器21,23,25よる測定精度を飛躍的に向上することができる。
【0025】
上述の実施の形態では、口の字型の箱状の構造である車両枠内に撓みを検出するためにレーザ変位計及びターゲットを設ける場合について説明したが、車両枠をI字型断面構造のもので構成し、その側面にレーザ変位計及びターゲットを設けるようにしてもよい。また、上述の実施の形態では、車両枠内に垂直方向の撓みを検出するためにレーザ変位計及びターゲットを設ける場合について説明したが、レーザ変位計を車両枠の下面又は上面に、ターゲットを車両枠の側面に設ける、すなわちこれらの約90度回転させて設置することによって、車両枠の水平方向における撓みを検出するようにしてもよい。また、車両枠の垂直方向及び水平方向における撓みを同時に検出するようにしてもよい。上述の実施の形態では、車両枠に2次元レーザ変位検出器を設け、車両枠内にレーザ変位計及びターゲットからなる撓み検出器を設ける場合について説明したが、図4に示すような2次元レーザ変位検出器、レーザ変位計及びターゲットを搭載した枠を別途車両や専用モーターカー又は専用牽引式台車等の下面側に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
3R,3L…走行レール
10…牽引台車
101…リニアガイド制御部
102…変位計制御部
103…A/D変換部
104…速度補正部
105…データ位置決め部
106…座標変換部
107…プロファイル作成部
108…演算部
109…保存部
11〜16…リニアガイド
111…垂直線
21〜26…2次元レーザ変位検出器
23R,23L…フレーム枠
4…軌道検測装置
41…レール頭頂面内軌側端部
42…上首部
5…ジャイロ装置
6…距離パルス発生器
71R,71L,72R,72L…車輪
81,82…車軸
91〜93…梁
図1
図2
図3
図4