(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Hetがフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々が非置換であるか、またはHalおよび/もしくはAによって単置換もしくは二置換されている、
請求項1に記載の化合物、またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのそれらの混合物。
請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物および/またはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物、ならびに、任意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
腫瘍、腫瘍成長、腫瘍転移および/またはAIDSの処置のための使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物あるいはそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体または立体異性体、あるいはすべての比率でのそれらの混合物を含む、医薬。
治療的に有効な量の式Iで表される化合物を、1)エストロゲン受容体モジュレーター、2)アンドロゲン受容体モジュレーター、3)レチノイド受容体モジュレーター、4)細胞毒性薬、5)抗増殖剤、6)プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoA還元酵素阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤および10)さらなる血管新生抑制剤の群からの化合物と組み合わせて投与する、腫瘍の処置のための使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体または立体異性体を含む、医薬。
【背景技術】
【0006】
本発明は、有用な特性を有する新規な化合物、特に医薬の調製のために使用することができるものを見出す目的に基づいた。
式Iで表される化合物ならびにそれらの塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物が極めて有用な薬理学的特性を有し、一方良好に耐容されることが、見出された。
【0007】
特に、それらは、アンタゴニストまたはアゴニストとしての細胞増殖/細胞成長力阻害作用を示す。したがって、本発明の化合物を、腫瘍、腫瘍成長および/または腫瘍転移の対抗および/または処置のために使用することができる。
抗増殖作用を、増殖アッセイ/成長力アッセイにおいて試験することができる。
【0008】
したがって、本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容し得る塩を、固形癌、例えば癌腫(例えば肺、膵臓、甲状腺、膀胱もしくは結腸のもの)、骨髄疾患(例えば骨髄性白血病)または腺腫(例えば絨毛結腸腺腫)を含む癌の処置のために投与する。
【0009】
腫瘍はさらに、単球性白血病、脳、泌尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭ならびに肺腺癌および小細胞肺癌を含む肺癌、膵癌および/または乳癌を含む。
当該化合物はさらに、HIV−1(ヒト免疫不全ウイルス1型)によって誘発された免疫不全の処置において有用である。
【0010】
癌様の過剰増殖疾患は、脳癌、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、食道癌、婦人科癌、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病であると見なすべきである。特に、癌様の細胞成長は、本発明の標的を表す疾患である。したがって、本発明は、前記疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性化合物としての本発明の化合物、ならびに前記疾患の処置および/または予防のための医薬の調製のための本発明の化合物の使用、ならびに前記疾患の処置のための方法であって、本発明の1種または2種以上の化合物の、かかる投与を必要としている患者への投与を含む、前記方法に関する。
【0011】
本発明の化合物が抗増殖性作用を有することを、示すことができる。本発明の化合物を、過剰増殖疾患を有する患者に投与して、例えば腫瘍成長を抑制し、リンパ増殖性疾患と関連する炎症を低減し、組織修復による移植片拒絶または神経学的損傷を抑制するなどする。本化合物は、予防的または治療的目的に適している。本明細書中で使用する「処置」の用語を、疾患の予防および既往歴の処置の両方を指すために使用する。増殖/成長力の予防を、例えば腫瘍成長を防止するための、顕性の疾患の発生の前の本発明の化合物の投与によって達成する。あるいはまた、当該化合物を、患者の臨床症状を安定化するかまたは改善することにより、進行中の疾患の処置のために使用する。
【0012】
宿主または患者は、あらゆる哺乳動物種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは、実験的調査のために興味深く、ヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0013】
特定の細胞の本発明の化合物での処置に対する感受性を、in vitro試験によって決定することができる。典型的には、細胞の培養物を、様々な濃度における本発明の化合物と共に、活性剤が細胞死を誘発するかまたは細胞増殖、細胞成長力もしくは遊走を抑制することを可能にするのに十分な期間にわたって、通常約1時間〜1週間にわたってインキュベートする。in vitro試験を、生検試料からの培養した細胞を使用して行うことができる。処理の後に残留する細胞の量を、次に決定する。
【0014】
用量は、使用する特定の化合物、特定の疾患、患者の状況などに依存して変化する。治療的用量は、典型的には、標的組織中の所望されない細胞集団を低減させ、一方患者の生存能を維持するのに相当に十分である。処置を一般的に、相当な低減、例えば細胞負荷の少なくとも約50%の低減が生じるまで継続し、所望されない細胞が身体において本質的にもはや検出されないまで継続してもよい。
【0015】
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の調節解除と関連する多くの疾患がある。関連する状態は、以下のものを含むが、それらには限定されない。本発明の化合物は、平滑筋細胞および/または炎症細胞の血管の内膜層中への増殖および/または遊走があり、例えば新生内膜閉塞性病変の場合において当該血管を通っての制限された血流をもたらす様々な状態の処置に適している。関連する閉塞性移植片血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、移植術後の冠血管疾患、静脈移植片狭窄、ペリアナストマチック(perianastomatic)補綴再狭窄、血管形成術後の再狭窄またはステント留置などを含む。
【0016】
式Iで表される化合物はまた、とりわけホスホイノシチド依存性キナーゼ1(PDK1)を含む、特にセリン/トレオニンキナーゼタイプのプロテインキナーゼのレギュレーター、モジュレーターまたは阻害剤として作用する。本発明の化合物は、セリン/トレオニンキナーゼPDK1、IKKεおよびTBK1の阻害においてある作用を示す。
【0017】
PDK1は、PKB、SGK、S6KおよびPKCアイソフォームを含むAGCプロテインキナーゼファミリーの部分群をリン酸化し、活性化する。これらのキナーゼは、PI3Kシグナル伝達経路に関与し、基礎的な細胞機能、例えば生存、成長および分化を制御する。PDK1は、このように種々の代謝的、増殖および生命維持効果の重要なレギュレーターである。
【0018】
本発明の化合物はまた、TGFβ受容体Iキナーゼ阻害特性を示す。
【0019】
多数の疾患は、TGF−β1過剰産生と関連している。細胞内TGF−βシグナリング経路の阻害剤は、線維増殖性疾患のための好適な処置である。特定的には、線維増殖性疾患は、未制御のTGF−β活性と関連する腎臓障害ならびに、糸球体腎炎(GN)、例えばメサンギウム増殖性GN、免疫性GNおよび半月体形成性GNを含む過剰な線維症を含む。他の腎臓の状態は、糖尿病性腎症、間質性腎線維症、シクロスポリンを施与される移植患者における腎線維症およびHIV関連腎症を含む。
【0020】
コラーゲン血管障害は、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、硬化性皮膚炎、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、モルフェアまたはレイノー症候群の発生に関連したものを含む。過剰のTGF−β活性に起因する肺線維症は、成人呼吸促迫症候群、特発性肺線維症、ならびにしばしば自己免疫疾患と関連する間質性肺線維症、例えば全身性エリテマトーデスおよび硬化性皮膚炎、化学的接触またはアレルギーを含む。線維増殖性特性と関連する別の自己免疫疾患は、関節リウマチである。
【0021】
線維増殖性状態と関連する眼疾患は、網膜復位術中に生じる増殖性硝子体網膜症、眼内レンズ挿入術を伴う白内障摘出術および緑内障後(post-glaucoma)ドレナージ手術を含み、TGF−β1過剰産生と関連する。
【0022】
WO 2010/000364 A1には、腫瘍の処置のための他のアザインドール誘導体が記載されている。
WO 2009/071577には、神経学的、精神医学的および胃腸疾患の処置のための他のオキサジアゾール誘導体が記載されている。
【0023】
WO 2010/020308には、腫瘍の処置のための他のアザインドール誘導体が記載されている。本発明の化合物は、WO 2010/020308(表I)からの化合物と比較して、予期されない長所を有する。
他のアザインドール誘導体は、US 2008/0021217およびWO 2006/004984に開示されている。
【0024】
KKεおよびTBK1は、互いに、および他のIkBキナーゼに対して高度に相同のセリン/トレオニンキナーゼである。2種のキナーゼは、固有の免疫系において不可欠な役割を果たす。二重らせんRNAウイルスは、Toll様受容体3および4ならびにRNAヘリカーゼRIG−IおよびMDA−5によって認識され、TRIF−TBK1/IKKε−IRF3シグナリングカスケードの活性化をもたらし、その結果、タイプIインターフェロン応答がもたらされる。
【0025】
2007年に、Boehm et al.は、IKKεを、新規な乳癌癌遺伝子として記載した[J.S. Boehm et al., Cell 129, 1065-1079, 2007]。354種のキナーゼが、Ras形質転換表現型を反復するそれらの能力に関して、MAPKキナーゼMekの活性化された形態と一緒に調査された。IKKεは、ここで協同性癌遺伝子であると確認された。
【0026】
さらに、当該著者は、IKBKEが多数の乳癌細胞系および腫瘍試料において増幅され、過剰発現されることを示すことができた。乳癌細胞におけるRNA干渉による遺伝子発現の低減によって、アポトーシスが誘発され、その増殖が害される。Eddy et al.は、同様の研究結果を2005年に得、それは乳癌疾患におけるIKKεの重要性を強調する[S.F.Eddy et al., Cancer Res. 2005; 65 (24), 11375-11383]。
【0027】
TBK1の前腫瘍形成(protumorigenic)効果は、2006年に初めて報告された。251,000のcDNAを含む遺伝子ライブラリーの選別において、Korherr et al.は、典型的に固有の免疫防御において血管新生促進因子として関与する、3種の遺伝子であるTRIF、TBK1およびIRF3を正確に識別した[C.Korherr et al., PNAS, 103, 4240-4245, 2006]。2006年に、Chien et al. [Y.Chien et al., Cell 127, 157-170, 2006]は、TBK1−/−細胞が発癌性Rasを使用して限定された程度に形質転換され得るに過ぎないことを公表し、それは、TBK1のRasを媒介とした形質転換における関与を示唆する。
【0028】
さらに、彼らは、TBK1のRNAi媒介ノックダウンがMCF−7およびPanc−1細胞においてアポトーシスを誘発することを示すことができた。Barbie et al.は最近、TBK1が、変異したK−Rasを有する多数の癌細胞株において本質的に重要であることを公表し、それは、TBK1介在が対応する腫瘍に治療的に重要であり得ることを示唆する[D.A.Barbie et al., Nature Letters 1-5, 2009]。
【0029】
プロテインキナーゼによって生じた疾患は、かかるプロテインキナーゼの異常な活性または活動亢進によって特徴づけられる。異常な活性は、以下のいずれか:(1)通常はこれらのプロテインキナーゼを発現しない細胞における発現;(2)所望されない細胞増殖、例えば癌をもたらす増大したキナーゼ発現;(3)所望されない細胞増殖、例えば癌、および/または対応するプロテインキナーゼの活動亢進をもたらす増大したキナーゼ活性、に関する。
【0030】
活動亢進は、あるプロテインキナーゼをコード化する遺伝子の増幅、または細胞増殖疾患と相関し得る活性レベルの発生のいずれかに関する(すなわち細胞増殖疾患の1つまたは2つ以上の症候の重篤度は、増大するキナーゼレベルに伴って増大する)。プロテインキナーゼの生物学的利用能はまた、このキナーゼの1組の結合タンパク質の存在または不在によって影響され得る。
【発明の概要】
【0031】
本発明の化合物を使用して処置することができる最も重要なタイプの癌は、結腸直腸癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫ならびに腎細胞癌および子宮内膜癌、特にまたPTENが変異する癌のタイプ、とりわけ乳癌、前立腺癌および神経膠芽腫を含む。
【0032】
さらに、本発明の化合物を使用して、ある既存の癌化学療法および放射線療法において相加効果または相乗効果を達成し、および/またはある既存の癌化学療法および放射線療法の効能を回復することができる。
【0033】
式Iで表される化合物はまた、これらの化合物、さらに薬学的に使用可能な誘導体の水和物および溶媒和物を意味するものと解釈される。
【0034】
本発明はまた、これらの化合物の光学的に活性な形態(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、それらの相互の引力のために生成する、不活性溶媒分子の化合物上へのアダクションを意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば一水和物もしくは二水和物またはアルコラートである。
本発明は、当然また本発明の化合物の塩の溶媒和物に関する。
【0035】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ化合物を意味するものと解釈される。
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の有効な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm.
115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0036】
「有効量」の表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師によって求められているかまたは所望されている生物学的または薬学的応答を生じる、医薬の、または薬学的に活性な化合物の量を示す。
さらに、「治療的に有効な量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、またはまた疾患、状態もしくは障害の進行の低減
を有する量を示す。
「治療的に有効な量」の表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0037】
本発明はまた、式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物の使用に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0038】
本発明は、式Iで表される化合物およびその塩、ならびに式Iで表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体の調製方法であって、
【0039】
a)式Iで表され、式中
R
1は、Hであり、
R
2は、請求項1に示した意味を有する、
化合物の調製のために、
式II
【化2】
式中、R
3は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
R
2−N=C=S III、
式中、R
2は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応させ、
あるいは
【0040】
b)式Iで表され、式中
R
1は、A、CH
2CN、CH
2CONH
2、CH
2CONHA’、CH
2CONA’
2、CH
2COOH、CH
2COOA’またはCH
2COHet
1を示し、
R
2は、請求項1に示した意味を有する、
化合物の調製のために、
式IV
【化3】
式中、R
2およびR
3は請求項1に示した意味を有し、Rはアミノ保護基を示す、
で表される化合物を、
式V
R
1−L V
式中、Lは、Cl、Br、I、トシラートまたはメシラートを示す、
で表される化合物と反応させ、
アミノ保護基を、同時に、またはその後切断し、
かつ/または式Iで表される塩基もしくは酸を、その塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0041】
本明細書中で、ラジカルR
1、R
2およびR
3は、他に明確に示さない限り式Iについて示した意味を有する。
【0042】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7または8個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
【0043】
Aは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
【0044】
A中の1つまたは2つのCHおよび/またはCH
2基はまた、N、OもしくはS原子によって置き換えられていてもよい。Aは、したがってまた、例えば2−メトキシエチルまたは2−ヒドロキシエチルを示す。
【0045】
Aは、さらに好ましくは、1〜8個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1つまたは2つの隣接していないCH
2および/またはCH基は、O、Nおよび/もしくはS原子によって置き換えられていてもよく、かつ/または1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよい。
【0046】
A’は、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルを示す。
Cycは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、さらにシクロヘプチルを示す。
【0047】
Arは、例えばフェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−メチルスルホニルフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ジメチルアミノフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−アミノカルボニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、
【0048】
さらに好ましくは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−もしくは3,4,5−トリクロロフェニル、p−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0049】
Alkは、2、3、4、5または6個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルケニルを示す。
Arは、好ましくは、非置換であるか、またはHal、A、(CH
2)
2CN、(CH
2)
2COOH、(CH
2)
2COOA、(CH
2)
2OH、(CH
2)
2OA、COHet
1、O(CH
2)
2R
4、NO
2、CONHHet
1、NHCOCyc、CONH(CH
2)
2CONH
2、CONH(CH
2)
2CONHA’、CONH(CH
2)
2CONA’
2、CONH
2、CONHA’、CONA’
2、NHCOAlk、CONHCH(R
4)CONH
2、CONH(CH
2)
nCONHHet
1、CONH(CH
2)
nCOHet
1および/もしくはCONH(CH
2)
nCycによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す。
【0050】
さらなる置換とは無関係に、Het
1は、例えば2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0051】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、
【0052】
さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルを示す。
【0053】
複素環式ラジカルはまた、部分的に、または完全に水素化されていてもよい。
【0054】
非置換Het
1は、したがってまた、例えば2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、
【0055】
さらに好ましくは2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたはまた3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを示すことができる。
【0056】
Het
1は、さらに好ましくはピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロイソインドリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニルまたはピラジニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはAによって単置換もしくは二置換されている。
【0057】
さらなる置換とは無関係に、Hetは、例えば2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニル、
【0058】
さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または−5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、
【0059】
さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−もしくは−5−イルまたは2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルを示す。
【0060】
Hetは、さらに好ましくはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHalおよび/もしくはAによって単置換もしくは二置換されている。
【0061】
Halは、好ましくはF、ClまたはBr、ならびにI、特に好ましくはFまたはClを示す。
【0062】
本発明にわたって、1回よりも多く出現するすべてのラジカルは、同一であっても異なっていてもよく、すなわち互いに独立している。
式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有していてもよく、したがって種々の立体異性体形態で存在し得る。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0063】
したがって、本発明は特に、少なくとも1つの前述のラジカルが前に示される好ましい意味の1つを有する、式Iで表される化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群を、以下の従属式Ia〜Igによって表すことができ、これは式Iに適合し、ここで、より詳細に表示しないラジカルは、式Iに対して示される意味を有するが、ここで、
【0064】
Iaにおいて、Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHalおよび/もしくはAによって単置換もしくは二置換されており、
【0065】
Ibにおいて、Het
1は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロイソインドリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニルまたはピラジニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはAによって単置換もしくは二置換されており、
【0066】
Icにおいて、R
1は、H、A、CH
2CN、CH
2CONH
2、CH
2CONHA’、CH
2CONA’
2、CH
2COOH、CH
2COOA’またはCH
2COHet
1を示し、
R
2は、(CH
2)
nAr、COAr、(CH
2)
nHet、Cyc、AlkまたはAを示し、
R
3は、CH
3または(CH
2)
nNHCOOA’を示し、
R
4は、フェニルを示し、
【0067】
Alkは、2〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルケニルを示し、
Aは、1〜8個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1つもしくは2つの隣接していないCH
2および/もしくはCH基は、O、Nおよび/またはS原子によって置き換えられていてもよく、かつ/または1〜7個のH原子は、Fおよび/もしくはClによって置き換えられていてもよく、
A’は、1〜4個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、
Cycは、3〜7個のC原子を有するシクロアルキルを示し、
【0068】
Arは、非置換であるか、またはHal、A、(CH
2)
2CN、(CH
2)
2COOH、(CH
2)
2COOA、(CH
2)
2OH、(CH
2)
2OA、COHet
1、O(CH
2)
2R
4、NO
2、CONHHet
1、NHCOCyc、CONH(CH
2)
2CONH
2、CONH(CH
2)
2CONHA’、CONH(CH
2)
2CONA’
2、CONH
2、CONHA’、CONA’
2、NHCOAlk、CONHCH(R
4)CONH
2、CONH(CH
2)
nCONHHet
1、CONH(CH
2)
nCOHet
1および/もしくはCONH(CH
2)
nCycによって単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
【0069】
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピロロピリジニル、プリニル、インドリルまたはインダゾリルを示し、その各々は、非置換であるか、またはHalおよび/もしくはAによって単置換もしくは二置換されており、
【0070】
Het
1は、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロイソインドリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリダジニルまたはピラジニルを示し、その各々は、非置換であるか、またはAによって単置換もしくは二置換されており、
【0071】
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、0、1または2を示す、
ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体であり、すべての比率でのそれらの混合物を含む。
【0072】
式Iで表される化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[有機化学の方法]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には公知であり、前述の反応に適する周知の反応条件下で、製造される。また、ここで、本明細書では詳細には述べない、自体公知の変法を使用することができる。
【0073】
式Iで表され、式中
R
1は、Hであり、
R
2は、請求項1に示した意味を有する
化合物を、
好ましくは、式IIで表される化合物を式IIIで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
式IIおよびIIIで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかしながら、それらが新規である場合には、それらを、自体知られている方法によって調製することができる。
【0074】
使用する条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30°〜140°、通常0°〜110°、特に約60°〜約100°である。
【0075】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのは、tert−ブタノールである。
【0076】
式Iで表され、式中
R
1は、A、CH
2CN、CH
2CONH
2、CH
2CONHA’、CH
2CONA’
2、CH
2COOH、CH
2COOA’またはCH
2COHet
1を示し、
R
2は、請求項1に示した意味を有する、
化合物を、
好ましくは式IVで表される化合物を式Vで表される化合物と反応させることにより得ることができる。
式IVおよびVで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかしながら、それらが新規である場合には、それらを、自体知られている方法によって調製することができる。
使用する条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30°〜140°、通常0°〜110°、特に約60°〜約100°である。
【0077】
好適な不活性溶媒は、例えば炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのは、DMFである。
【0078】
当該反応を、一般的に酸結合剤、好ましくは有機塩基、例えばDIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンの存在下で行う。
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属の、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムもしくはセシウムの弱酸の他の塩の添加はまた、有利であり得る。
【0079】
アミノ保護基Rを、同時に、またはその後除去する。
【0080】
表現「アミノ保護基」は、一般的用語において知られており、アミノ基を化学反応に対して保護(ブロック)するのに適しているが、所望の化学反応が分子中の他の個所において行われた後に除去するのが容易である基に関する。かかる基の典型例は、特に、非置換または置換アシル、アリール、アラルコキシメチルまたはアラルキル基である。
【0081】
アミノ保護基が所望の反応(または一連の反応)の後に除去されるので、それらのタイプおよび大きさは、さらに重大ではない;しかしながら、好ましいのは、1〜20個、特に1〜8個の炭素原子を有するものである。表現「アシル基」を、本プロセスに関して最も広い意味において理解するべきである。それは、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族または複素環式カルボン酸またはスルホン酸から誘導されたアシル基、ならびに特にアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルおよび特にアラルコキシカルボニル基を含む。
【0082】
かかるアシル基の例は、アルカノイル、例えばアセチル、プロピオニルおよびブチリル;アラルカノイル、例えばフェニルアセチル;アロイル、例えばベンゾイルおよびトリル;アリールオキシアルカノイル、例えばPOA;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、BOCおよび2−ヨードエトキシカルボニル;アラルコキシカルボニル、例えばCBZ(「カルボベンゾキシ」)、4−メトキシベンジルオキシカルボニルおよびFMOC;ならびにアリールスルホニル、例えばMtr、PbfおよびPmcである。好ましいアミノ保護基は、フェニルスルホニル、p−トリルスルホニル、SEM[ベータ−(トリメチルシリル)エチル]、さらにシリル基、例えばTIPS(トリイソプロイルシリル)またはTBDMS(tert.−ブチルジメチルシリル)、ベンジル、p−メトキシベンジルまたはo−ニトロ−ベンジルである。
【0083】
式Iで表される化合物を、それらの官能的誘導体から、−使用する保護基に依存して−例えば強酸を使用して、有利にはTFAまたは過塩素酸を使用して、しかしまた他の強無機酸、例えば塩酸または硫酸、強有機カルボン酸、例えばトリクロロ酢酸、またはスルホン酸、例えばベンゼンもしくはp−トルエンスルホン酸を使用して遊離させる。追加の不活性溶媒の存在は可能であるが、常に必要ではない。
【0084】
好適な不活性溶媒は、好ましくは有機、例えばカルボン酸、例えば酢酸、エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、アミド、例えばDMF、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、さらにまたアルコール、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノール、および水である。前述の溶媒の混合物は、さらに好適である。TFAを、好ましくはさらなる溶媒の添加を伴わずに過剰に使用し、過塩素酸を、好ましくは酢酸および70%過塩素酸の比率9:1における混合物の形態において使用する。切断のための反応温度は、有利には約0〜約50°、好ましくは15〜30°(室温)である。
【0085】
BOC、OBut、Pbf、PmcおよびMtr基を、例えば、好ましくはジクロロメタン中のTFAを使用して、またはジオキサン中の約3〜5NのHClを使用して15〜30°で切断することができ、FMOC基を、ジメチルアミン、ジエチルアミンまたはピペリジンをDMFに溶解した約5〜50%溶液を使用して15〜30°で切断することができる。
【0086】
トリチル基を使用して、アミノ酸ヒスチジン、アスパラギン、グルタミンおよびシステインを保護する。それらを、所望の最終生成物に応じて、TFA/10%チオフェノールを使用して切断し、トリチル基を、すべての前記アミノ酸から切断する;TFA/アニソールまたはTFA/チオアニソールを使用する際に、His、AsnおよびGlnのトリチル基のみを切断し、一方それは、Cys側鎖上に残留する。
Pbf(ペンタメチルベンゾフラニル)基を使用して、Argを保護する。それを、例えばジクロロメタン中のTFAを使用して切断する。
【0087】
水素化分解的に除去可能な保護基(例えばCBZまたはベンジル)を、例えば触媒(例えば貴金属触媒、例えば有利には担体、例えば炭素上のパラジウム)の存在下での水素での処理によって切断することができる。ここでの好適な溶媒は、上に示したもの、特に、例えばアルコール、例えばメタノールもしくはエタノール、またはアミド、例えばDMFである。水素化分解を、一般的に約0〜100°の温度および1〜約200barの圧力で、好ましくは20〜30°および1〜10barで行う。CBZ基の水素化分解は、例えばメタノール中の5〜10%Pd/C上で、または20〜30°でメタノール/DMF中のPd/C上で(水素の代わりに)ギ酸アンモニウムを使用して、良好に成功する。
【0088】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、それらの最終的な非塩形態で使用することができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順によって、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るそれらの薬学的に許容し得る塩の形態で使用することを包含する。式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩の形態は、大部分、慣用的な方法によって製造される。式Iで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることによって生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0089】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩が、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびそれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびそれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することによって、酸付加塩を生成することができる。
【0090】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩は、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0091】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩を含むが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0092】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される式Iで表される化合物の塩は、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩を含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0093】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C
1〜C
4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C
1〜C
4)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C
10〜C
18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C
1〜C
4)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを使用して四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を使用して製造することができる。
【0094】
好ましい上述の薬学的塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンを含むが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0095】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることによって製造する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することによって、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0096】
上述のとおり、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0097】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることによって製造する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することによって、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0098】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0099】
上述に関し、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、式Iで表される化合物をその塩の1種の形態で含む活性化合物を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性化合物に対して、前に使用されていた活性化合物の遊離形態または活性化合物のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、このように解釈されることが明らかである。活性化合物の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性化合物に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性化合物の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0100】
本発明はさらに、式Iで表される少なくとも1種の化合物および/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、および任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0101】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性化合物を含む投与単位の形態で投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含んでもよく、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性化合物を含む投薬単位の形態で投与してもよい。好ましい投与単位処方物は、前に示されるように、毎日の用量もしくは部分的用量、または活性化合物のこの対応する部分を含むものである。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を使用して製造することができる。
【0102】
医薬処方物を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。このような処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を使用して、例えば活性化合物を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることによって製造することができる。
【0103】
経口投与のために適合された医薬処方物を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして投与することができる。
【0104】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することによって製造する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同時に存在してもよい。
【0105】
カプセルを、上記のように散剤混合物を製造し、成形したゼラチン殻をそれで充填することによって製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固体形態でのポリエチレングリコールを、充填操作の前に散剤混合物に添加することができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0106】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどを含む。これらの投与形態において使用される潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを含む。崩壊剤は、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどを含む。錠剤を、例えば散剤混合物を製造し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を添加し、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることによって処方する。
【0107】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および任意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することによって製造する。散剤混合物を、それを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、それをふるいを通して押圧することによって顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、それを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0108】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加することによって潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0109】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で製造し、したがって所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することによって製造することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを使用して製造する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることによって処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に添加することができる。
【0110】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することによって製造することができる。
【0111】
式Iで表される化合物ならびにそれらの塩、互変異性体および立体異性体をまた、リポソーム送達系、例えば小さな単層小胞(small unilamellar vesicles)、大きな単層小胞(large unilamellar vesicles)、および多層小胞(multilamellar vesicles)の形態で投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0112】
式Iで表される化合物ならびにそれらの塩、互変異性体および立体異性体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することができる。当該化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。当該化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0113】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性化合物を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0114】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所用軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性化合物を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に使用することができる。あるいはまた、活性化合物を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0115】
目への局所的適用のために適合された医薬処方物は、点眼剤を含み、ここで活性化合物を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンディー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0116】
担体物質が固体であって鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗い粉末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、すなわち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入によって投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0117】
吸入による投与のために適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーによって発生し得る。
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0118】
非経口投与のために適合された医薬処方物は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、それによって処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含むことができるもの、を含む。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与してもよく、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態で貯蔵してもよい。レシピに従って製造される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0119】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において普通である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでいてもよい。
【0120】
式Iで表される化合物の治療的に有効な量は、例えば、動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には処置する医師または獣医師によって決定される。しかし、腫瘍性成長、例えば結腸癌または乳癌の処置のための本発明の化合物の有効な量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳動物)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳動物についての1日あたりの実際の量は、通常は70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり単一の用量として、またはより通常は1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分もしくは6回分)で投与し、したがって合計の1日用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0121】
本発明はさらに、式Iで表される少なくとも1種の化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物、および少なくとも1種の他の医薬活性化合物を含む医薬に関する。
【0122】
本発明はまた、
(a)式Iで表される化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物の有効量、
ならびに
(b)さらなる医薬活性化合物の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0123】
当該セットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、各々は、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、式Iで表される化合物ならびに/または、それらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体(すべての比率でのそれらの混合物を含む)の有効量、ならびに、さらなる医薬活性化合物の有効量を含む。
【0124】
使用
本化合物は、癌疾患の処置および抑制における哺乳動物のための、特にヒトのための医薬活性化合物として好適である。
本発明はさらに、腫瘍、腫瘍成長、腫瘍転移および/またはAIDSの処置のための使用のための、式Iで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0125】
本発明はさらに、線維症、再狭窄、HIV感染症、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症の処置のための使用のための、および/または創傷治癒の促進のための、式Iで表される化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な塩、互変異性体および立体異性体、ならびにすべての比率でのそれらの混合物に関する。
【0126】
本発明は、式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、癌の処置または防止のための医薬の調製のための使用を包含する。処置のための好ましい癌腫は、大脳の癌腫、尿生殖路癌腫、リンパ系の癌腫、胃癌、喉頭癌および肺癌腸癌の群から生じる。癌の好ましい形態のさらなる群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫および乳癌である。
【0127】
また包含されるのは、式Iで表される化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容し得る塩、互変異性体および立体異性体の、哺乳動物における腫瘍によって誘発された疾患の処置および/または抑制のための医薬の調製のための使用であり、ここでこの方法に対して、治療的に有効な量の本発明の化合物を、かかる処置を必要としている病気になった哺乳動物に投与する。治療的量は、特定の疾患に従って変化し、過度の努力を伴わずに当業者によって決定することができる。
【0128】
特に好ましいのは、疾患の処置のための使用であり、ここで当該疾患は固形腫瘍である。
固形腫瘍は、好ましくは扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群から選択される。
【0129】
固形腫瘍は、さらに好ましくは肺腺癌、小細胞肺癌、膵癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
好ましいのは、さらに血液および免疫系の腫瘍の処置のための、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択された腫瘍の処置のための使用である。
【0130】
本発明はさらに、本発明の化合物の骨病理の処置のための使用に関し、ここで骨病理は、骨肉腫、骨関節炎およびくる病の群から由来する。
【0131】
式Iで表される化合物をまた、処置されている状態に対するそれらの特定の有用性について選択される他の周知の治療薬と同時に投与してもよい。
【0132】
本化合物はまた、既知の抗癌剤との組み合わせに適している。これらの既知の抗癌剤は、以下のものを含む:エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞毒性薬、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤およびさらなる血管新生抑制剤。本化合物は、放射線療法との同時の投与に特に適している。
【0133】
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、機構とは無関係にエストロゲンの受容体への結合を妨げるかまたは阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例は、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY 117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646を含むが、それらには限定されない。
【0134】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、機構とは無関係にアンドロゲンの受容体への結合を妨げるかまたは阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例は、フィナステリドおよび他の5α還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾールおよび酢酸アビラテロンを含む。
【0135】
「レチノイド受容体モジュレーター」は、機構とは無関係にレチノイドの受容体への結合を妨げるかまたは阻害する化合物を指す。かかるレチノイド受容体モジュレーターの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを含む。
【0136】
「細胞毒性薬」は、主として細胞機能に対する直接の作用によって細胞死をもたらすか、または細胞縮瞳を阻害するかもしくは妨げる化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、干渉物質、微小管重合阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤を含む。
【0137】
細胞毒性薬の例は、チラパザミン、サーテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム(dibrospidium chloride)、パミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン、ポルフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリシジニルスペルミン(diarisidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ベサントレン(bisantrene)、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン、アムルビシン、抗新生物薬、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシン(WO 00/50032を参照)を含むが、それらには限定されない。
【0138】
微小管重合阻害剤の例は、パクリタクセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキセル、リゾキシン、ドラスチン、イセチオン酸ミボブリン、アウリスタチン(auristatin)、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797を含む。
【0139】
トポイソメラーゼ阻害剤は、例えばトポテカン、ヒカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エクソベンジリデンカルトロイシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)−ジオン、ラルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
【0140】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001ならびに代謝拮抗薬、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビンオクホスフェート、ホステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキシド、ペメトレキセド、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b]−1,4−チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スウェインソニン、ロメテレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ(methioninase)、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾンを含む。
【0141】
「抗増殖剤」はまた、「血管新生抑制剤」の下で列挙したもの、例えばトラスツズマブ以外の成長因子に対するモノクローナル抗体および腫瘍抑制遺伝子、例えばp53を含み、それを、組換えウィルス媒介遺伝子導入を介して送達することができる(例えば米国特許第6,069,134号を参照)。
【0142】
in vitroでの腫瘍細胞の増殖/成長力に対する薬理学的阻害剤の作用の証拠
1.0 背景
本実験記載において、腫瘍細胞増殖/腫瘍細胞成長力の活性化合物による阻害を、記載する。
細胞を、好適な細胞密度においてマイクロタイタープレート(96ウェル様式)中に播種し、試験物質を、濃度系列の形態において加える。血清含有培地中での培養のさらに4日後に、腫瘍細胞増殖/腫瘍細胞成長力を、Alamar Blue試験システムによって決定することができる。
【0143】
2.0 実験手順
2.1 細胞培養
例えば商業的に入手できる結腸癌細胞株、卵巣細胞株、前立腺細胞株または乳房細胞株など。
細胞を、培地中で培養する。数日の間隔で、細胞を、培養皿からトリプシン溶液の補助によって剥離させ、好適な希釈において新鮮な培地中に播種する。細胞を、摂氏37°および10%CO
2で培養する。
【0144】
2.2.細胞の播種
180μlの培養培地の容積における培養物/ウェルあたりの所定の数の細胞(例えば2000個の細胞)を、マイクロタイタープレート(96ウェル細胞培養プレート)中に、多チャンネルピペットを使用して播種する。細胞を、その後CO2インキュベーター中で培養する(37℃および10%CO2)。
【0145】
2.3.試験物質の添加
試験物質を、例えばDMSOに溶解し、その後対応する濃度において(所望により希釈系列において)細胞培養培地中で使用する。希釈ステップを、活性化合物の効能および濃度の所望の拡散に依存して適合させることができる。細胞培養培地を、試験物質に対応する濃度において加える。試験物質の細胞への添加を、細胞の播種と同一の日に行うことができる。このために、各場合において、前希釈(predilution)プレートからの20μlの物質溶液を、培養物/ウェルに加える。細胞を、さらに4日間、摂氏37°および10%CO
2で培養する。
【0146】
2.4.色反応の測定
各場合において、20μlのAlamar Blue試薬を、ウェルあたり加え、マイクロタイタープレートを、例えばさらに7時間、CO2インキュベーター中で(37℃および10%CO2で)インキュベートする。プレートを、蛍光フィルターを有する読取機において540nmの波長で測定する。プレートを、測定の直前に穏和に振盪することができる。
【0147】
3.評価
培地対照(細胞および使用する試験物質なし)の吸光度値を、すべての他の吸光度値から減ずる。当該対照(試験物質を有しない細胞)を、100パーセントに等しく設定し、すべての他の吸光度値を、それに関連して設定する(例えば対照の%において):
計算:
100*(細胞および試験物質を有する値−培地対照の値)
(細胞を有する値−培地対照の値)
IC
50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1の補助によって決定する。
【0148】
4.0 PDK1の阻害に対する試験
実験的バッチを、384ウェル/微量滴定プレートを有するフラッシュプレート(flashplate)システムにおいて行う。
【0149】
各場合において、ウェルあたり50μlの慣用の実験溶液中のPDK1試料His
6−PDK1(□1−50)(3.4nM)、PDK1基板ビオチン−bA−bA−KTFCGTPEYLAPEVRREPRILSEEEQEMFRDFDYIADWC(400nM)、4μMのATP(0.2μCiの
33P−ATP/ウェルを有する)および試験物質を、30℃で60分間インキュベートする。試験物質を、対応する濃度において(所望により希釈系列において)使用する。対照を、試験物質なしで行う。反応を、標準的な方法を使用して停止し、洗浄する。キナーゼの活性を、合併した放射能によってトップカウント(top count)において測定する。非特異性キナーゼ反応(ブランク値)を決定するために、実験的バッチを、100nMのスタウロスポリンの存在において行う。
【0150】
5.0 評価
ブランク値(スタウロスポリンの存在において試験物質の使用なし)の放射能(毎分の分解)を、すべての他の放射能値から減ずる。対照(試験物質を有しないキナーゼ活性)を、100パーセントに等しく設定し、すべての他の放射能値(ブランク値を減じた後)を、それに関連して設定して表す(例えば対照の%において)。
計算:
100*(試験物質を有するキナーゼ活性の値−ブランク値)
(対照の値−ブランク値)
=対照の%
IC
50値(50%阻害)を、統計プログラム、例えばRS1の補助によって決定する。本発明の化合物のIC
50データを、表1に示す。
【0152】
本発明の化合物のIC
50データを、表1に示す。
【0153】
IKKε−キナーゼ試験(IKKエプシロン)
キナーゼアッセイを、384ウェルフラッシュプレートアッセイとして行う。
1nMのIKKε、800nMのビオチン化IκBα(19−42)ペプチド(ビオチン−C6−C6−GLKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE)および10μMのATP(0.3μCiの
33P−ATP/ウェルを有する)を、50μlの合計容積(10mMのMOPS、10mMの酢酸マグネシウム、0.1mMのEGTA、1mMのジチオトレイトール、0.02%のBrij35、0.1%のBSA、0.1%のBioStab、pH7.5)において、試験物質と共に、または試験物質なしで30℃で120分間インキュベートする。反応を、25μlの200mMのEDTA溶液を使用して停止し、30分後に室温で吸引しながら濾別し、ウェルを、100μlの0.9%のNaCl溶液で3回洗浄する。キナーゼ反応の非特異性比率(ブランク)を、3μMのEMD 1126352(BX−795)を使用して決定する。放射能を、Topcountにおいて測定する。IC
50値を、RS1を使用して計算する。
【0154】
TBK1−キナーゼ試験
キナーゼアッセイを、384ウェルフラッシュプレートアッセイとして行う。
0.6nMのTANK結合キナーゼ(TBK1)、800nMのビオチン化MELK誘導ペプチド(ビオチン−Ah−Ah−AKPKGNKDYHLQTCCGSLAYRRR)および10μMのATP(0.25μCiの
33P−ATP/ウェルを有する)を、50μlの合計容積(10mMのMOPS、10mMの酢酸マグネシウム、0.1mMのEGTA、1mMのDTT、0.02%のBrij35、0.1%のBSA、pH7.5)において、試験物質と共に、または試験物質なしで30℃で120分間インキュベートする。反応を、25μlの200mMのEDTA溶液を使用して停止し、30分後に室温で吸引しながら濾別し、ウェルを、100μlの0.9%のNaCl溶液で3回洗浄する。キナーゼ反応の非特異性比率(ブランク)を、100nMのスタウロスポリンを使用して決定する。放射能を、Topcountにおいて測定する。IC
50値を、RS1を使用して計算する。
【0155】
TGFベータ媒介効果の阻害の阻害剤の効能の決定のためのin-vitro(酵素)アッセイ
例として、阻害剤がTGFベータ媒介成長阻害を解消する能力を、試験する。
肺上皮細胞系Mv1Luの細胞を、定義された細胞密度において、96ウェルマイクロタイター(microtitre)プレート中に播種し、標準条件の下で一晩培養する。翌日、培地を、0.5%のFCSおよび1ng/mlのTGFベータを含む培地と交換し、試験物質を、定義された濃度において、一般的に5倍ステップを有する希釈系列の形態において加える。溶媒DMSOの濃度は、0.5%で一定である。さらに2日後、細胞のクリスタルバイオレット染色を、行う。クリスタルバイオレットの固定された細胞からの抽出の後、吸収を、550nmにて分光光度法で測定する。それを、存在する付着細胞の、およびしたがって培養中の細胞増殖の定量的尺度として使用することができる。
【0156】
HPLC/MS方法:
装置:Agilent 1200シリーズ
カラム:Chromolith SpeedROD RP-18e、50×4.6mm
2
流量:2.4ml/分
溶離剤A:水+0.05%のギ酸
溶離剤B:アセトニトリル+0.04%のギ酸
波長:220nm
方法:極性
勾配:
0分:4%のB、2.8分:100%のB;3.3分 100%のB;3.4分 4%のB
質量分析:正のモード
m.p.=融点
MS(ESI):質量分析(エレクトロスプレーイオン化)
【0157】
以下のスキーム1は、どのようにして本出願から化合物を調製することができるかの概観を示す。
スキーム1
【化4】
【0158】
商業的に入手できる5−ブロモ−7−アザインドール 1を、メチルピラゾールボロン酸エステルに、鈴木条件の下でカップリングさせて、2を得る。この試薬を、ブロモメチルピラゾールおよびピナコラトジボランから調製する。インドール誘導体2を、3位においてフリーデル・クラフツ条件の下でアシル化して、中間体3を得る。ヒドラジンとの反応によって、ヒドラジド4が得られ、それをイソチオシアネートと反応させて、オキサジアゾール5を得る。イソチオシアネートは、いくつかの場合において商業的に入手できるか、または文献から知られているプロセスによって調製することができる。5中のインドールNHを、好適な条件の下で選択的に保護して、6を得ることができる[以下のE)を参照]。保護基を、次に架橋窒素の誘導体化を伴う最適化された反応条件の下で直ちに切断することができる。あるいはまた、5中のR
1を、保護基を使用せずにさらに反応させることができる(以下のF)を参照)。
【0159】
A)
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン 2の合成
25gの5−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン 1および40gの1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールを、350mlのDMFに溶解し、20gのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを、保護ガスの下で加える。190mlの2N炭酸ナトリウム溶液の添加の後、バッチを100℃で12時間撹拌する。すべての揮発性成分を真空中で除去し、残留物を酢酸エチルと水との間で分割する。不溶性成分を濾別する。水性相の抽出の後、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で1/4の容積に蒸発させる。0℃で12時間後に生成した結晶バッチを濾別し、第1の固体画分と合わせ、22.7gの化合物2を得る;HPLC−MS:Rt=1.400分;[M+H+]:199.1。
【0160】
B)
2,2,2−トリクロロ−1−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]エタノン 3の合成
76.3gのAlCl
3を、600mlのジクロロエタンに、アルゴンの下で懸濁させ、上で調製した22.7gの生成物2を、分割して包含させる。この添加中に、オレンジ色溶液は、色が暗褐色に変化する。10分後、19.2mlのトリクロロアセチルクロリドを、ゆっくり滴加する。反応バッチをここで、水浴を使用して冷却する。添加が完了した際に、混合物をRTでさらに6時間撹拌し、その後懸濁液を吸引により濾別し、フィルターケークをジクロロメタンおよび水で洗浄する。フィルターケークをフラスコ中に移送し、水を氷水で冷却しながら注意深く加える。ベージュ色固体を吸引により濾別し、同様にすすぎ、その後70℃で真空乾燥キャビネット中で3時間乾燥し、20.6gを得る。酸性の母液を氷水中に注ぎ、懸濁液を同様に上に記載したように吸引により濾別し、乾燥し、10.3gを得る。母液を12時間放置し、沈殿した生成物を吸引により濾別し、乾燥し、0.4gを得る。固体を合わせる;HPLC−MS:Rt=2.132分;[M+H+]:345.0。
【0161】
C)
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボヒドラジド 4の合成
上で調製した8gのトリクロロエタノン 3を150mlのメタノールに懸濁させ、34mlのヒドラジン水和物を5〜10℃にてゆっくり滴加する。添加が完了した際に、混合物をRTでさらに1時間撹拌する。液体コンポーネントの半分を、その後真空中で除去し、残留物を0℃に冷却する。沈殿した結晶を吸引により濾別し、メタノールで洗浄する。残留物を、その後80℃で真空中で乾燥し、5.4gのヒドラジド 4を得る。HPLC−MS:Rt=1.263分;[M+H+]:257.1
【0162】
D)
(3−フルオロベンジル)−{5−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミン(確認例表からの番号48、一般的スキーム1からの代表例5の例として)の合成
100mgの上で調製したヒドラジド 4および67mgの3−フルオロベンジルイソチオシアネートを、5mlのtert−ブタノールに溶解し、次に100℃で10分およびその後60℃で1時間撹拌する。反応混合物をその後蒸発乾固させ、5mlのアセトニトリルおよび112mgのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。懸濁液を還流において1.5時間加温する。
【0163】
RTに冷却した後に、結晶を吸引により濾別し、アセトニトリルで洗浄し、50℃で真空乾燥キャビネット中で乾燥し、114mgの表題化合物を無色固体として得る。(分析は表を参照。)
【0164】
E)
((2−クロロフェニル)−{5−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)アセトニトリル(確認例表からの番号49)の合成
a){5−[1−ベンゼンスルホニル−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}−2−クロロフェニル)アミン(一般的スキーム1からの物質6の例としての)の合成
1.3gの(2−クロロフェニル)−{5−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミンを、15mlのDMFに60℃で溶解する。溶液をRTに再冷却した際に、1.4mlのトリエチルアミンおよび40mgのジメチルアミノピリジンを加える。この溶液を次に0℃に冷却し、その後0.5mlのベンゼンスルホニルクロリドを滴加する。添加が完了した際に、バッチをRTでさらに4時間撹拌する。未溶解の成分を濾別した後、残留する溶液を完全に蒸発乾固させ、残留物を酢酸エチルと水との間で分割し、結晶が短時間の後に沈殿する。生成物を吸引により濾別し、第2の結晶バッチと合わせ、1.3gの表題化合物を得る。HPLC−MS:Rt=2.567分;[M+H+]:532.1
【0165】
b)[{5−[1−ベンゼンスルホニル−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}−(2−クロロフェニル)アミノ]アセトニトリルの合成
上のa)の下で調製した250mgの{5−[1−ベンゼンスルホニル−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}−2−クロロフェニル)アミン、400mgのヨードアセトニトリルおよび400μlのN−エチルジイソプロピルアミンを、5mlのDMF中で合わせ、反応混合物を100℃で2時間加温する。RTに冷却した後に、バッチを酢酸エチル/水間で分割し、水相を抽出して枯渇させ、合わせた有機相を乾燥し、蒸発させる。残留物を、酢酸エチルを使用したシリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製し、230mgの非結晶質生成物を得る。HPLC−MS:Rt=2.442分;[M+H+]:571.1
【0166】
c)b)の下で上で調製した230mgの[{5−[1−ベンゼンスルホニル−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}−(2−クロロフェニル)アミノ]アセトニトリルを、5mlのメタノールに溶解し、80mgの炭酸カリウムを加える。この混合物を、50℃で1時間撹拌する。溶媒をその後真空中で除去し、残留物を酢酸エチルと水との間で分割する。水相の枯渇的抽出の後、合わせた有機相を乾燥し、蒸発させる。残留物を少量のメタノールに溶解し、結晶する生成物を吸引により濾別し、60mgの生成物をベージュ色結晶として得る。(分析は表を参照。)
【0167】
F)
a)メチル3−クロロ−4−{5−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イルアミノ}ベンゾエートの合成(番号18、表から)
D)と同様にして、280mgの表題化合物(分析は表を参照)を、190mgのヒドラジドおよび170mgのイソチオシアネートから得る。
【0168】
b)3−クロロ−N−シクロヘキシル−4−{5−[5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イルアミノ}ベンズアミドの合成(番号66、表から)
上で調製した1.8gのエステルを、30mlのメタノールに溶解し、2mlの32%水酸化ナトリウム溶液を加える。反応混合物を50℃にて4時間撹拌する。反応が完了した際に、バッチを、37%HClを使用してpH=3に調整し、沈殿する結晶を吸引により濾別する。80℃にて真空中で乾燥することによって、1.6gの対応する酸が得られる。
【0169】
c)上で調製した100mgの酸および115mgのシクロヘキシルアミンを、3mlのT3P中で合わせる。この混合物を、密閉した容器中で80℃で1時間撹拌する。液体成分を真空中で除去し、残留物を分取HPLCによって精製し、20mgの生成物を無色固体として得る(分析は表1を参照)。
【0170】
以下の化合物を、同様にして得る:
【表2】
【0193】
WO 2010/020308からの比較の化合物
【表25】
【0194】
表I
PDK1の阻害
本発明の化合物およびWO 2010/020308からの比較の化合物のIC
50
【表26】
【0196】
PDK1(酵素)の阻害の場合において、従来技術からの化合物(番号88、89、90、95)は、本発明の化合物より低い活性を有する。
【0197】
以下の例は、医薬に関する:
例A:注射バイアル
100gの式Iで表される活性化合物および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性化合物を含む。
【0198】
例B:座剤
20gの式Iで表される活性化合物の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性化合物を含む。
【0199】
例C:溶液
1gの式Iで表される活性化合物、9.38gのNaH
2PO
4・2H
2O、28.48gのNa
2HPO
4・12H
2Oおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を製造する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0200】
例D:軟膏
500mgの式Iで表される活性化合物を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0201】
例E:錠剤
1kgの式Iで表される活性化合物、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性化合物を含むようにする。
【0202】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0203】
例G:カプセル
2kgの式Iで表される活性化合物を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性化合物を含むようにする。
【0204】
例H:アンプル
1kgの式Iで表される活性化合物を60lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性化合物を含む。