特許第6027905号(P6027905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6027905
(24)【登録日】2016年10月21日
(45)【発行日】2016年11月16日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20161107BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20161107BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20161107BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161107BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20161107BHJP
【FI】
   H01L25/08 Z
   H01L21/92 602E
   H01Q1/38
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-16676(P2013-16676)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-150102(P2014-150102A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】窪田 和之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 朋治
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−324231(JP,A)
【文献】 特開2009−158742(JP,A)
【文献】 特開2011−40703(JP,A)
【文献】 特開2006−237276(JP,A)
【文献】 特開2007−227897(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0026601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/065
H01L 21/60
H01L 25/07
H01L 25/18
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板接合された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続するはんだボールと、
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に配置された電子部品と、
前記第1基板の第1面に接して前記第1基板の第1面上に形成された第1配線部と、
前記第1基板の第1面と該第1面と反対側の第2面との間を貫通し、前記第1配線部及び前記はんだボールと電気的に接続された第1貫通電極と、
前記第2基板の第1面に接して前記第2基板の第1面上に形成された第2配線部と、
前記第2基板の第1面と該第1面と反対側の第2面との間を貫通し、前記第2配線部及び前記はんだボールと電気的に接続された第2貫通電極と、
前記第1基板の第2面に接して前記第1基板の第2面上に形成され、前記第1貫通電極と接続されるとともに前記はんだボールと接続された第1配線パターンと、
前記第2基板の第2面に接して前記第2基板の第2面上に形成され、前記第2貫通電極と接続されるとともに前記はんだボールと接続された第2配線パターンと、を有し、
前記はんだボールと前記第1配線部と前記第1貫通電極と前記第2配線部と前記第2貫通電極と前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの全てが前記電子部品と電気的に接続されたアンテナとして機能することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に接合された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続するはんだボールと、
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に配置された電子部品と、
前記第1基板の第1面に接して前記第1基板の第1面上に形成された第1配線部と、
前記第1基板の第1面と該第1面と反対側の第2面との間を貫通し、前記第1配線部及び前記はんだボールと電気的に接続された第1貫通電極と、
前記第1基板の第2面に接して前記第1基板の第2面上に形成され、前記第1貫通電極と接続されるとともに前記はんだボールと接続された第1配線パターンと、
前記第1基板の第2面に対向する前記第2基板の第2面に接して前記第2基板の第2面上に形成され、前記はんだボールと電気的に接続された第2配線パターンと、を有し、
前記はんだボールと前記第1配線部と前記第1貫通電極と前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの全てが前記電子部品と電気的に接続されたアンテナとして機能することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板に接合された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続するはんだボールと、
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に配置された電子部品と、
前記第1基板の第1面とは反対側の面であって、前記第2基板に対向する前記第1基板の第2面に接して前記第1基板の第2面上に形成され、前記はんだボールと電気的に接続された第1配線パターンと、
前記第1基板の第2面に対向する前記第2基板の第2面に接して前記第2基板の第2面上に形成され、前記はんだボールと電気的に接続された第2配線パターンと、を有し、
前記はんだボールと前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの全てが前記電子部品と電気的に接続されたアンテナとして機能することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記はんだボールを複数有し、前記第1配線部を複数有し、前記第1貫通電極を複数有し、前記第2配線部を複数有し、前記第2貫通電極を複数有し、前記第1配線パターンを複数有し、前記第2配線パターンを複数有し、
複数の前記はんだボールと複数の前記第1配線部と複数の前記第1貫通電極と複数の前記第2配線部と複数の前記第2貫通電極と複数の前記第1配線パターンと複数の前記第2配線パターンとの全てが前記アンテナとして機能し、
隣接した一対の前記はんだボールは、前記複数の第1配線部のうち、前記隣接する一対のはんだボールに対応する一対の前記第1貫通電極に接続された1つの前記第1配線部を介して接続され、
異なる隣接した一対の前記はんだボールは、前記複数の第2配線部のうち、前記異なる隣接した一対のはんだボールに対応する一対の前記第2貫通電極に接続された1つの前記第2配線部を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記はんだボールを複数有し、前記第1配線部を複数有し、前記第1貫通電極を複数有し、前記第2配線パターンを複数有し、
複数の前記はんだボールと複数の前記第1配線部と複数の前記第1貫通電極と複数の前記第2配線パターンとの全てが前記アンテナとして機能し、
隣接した一対の前記はんだボールは、前記複数の第1配線部のうち、前記隣接する一対のはんだボールに対応する一対の前記第1貫通電極に接続された1つの前記第1配線部を介して接続され、
異なる隣接した一対の前記はんだボールは、前記複数の第2配線パターンのうち、前記異なる隣接した一対のはんだボールに直接接続された1つの前記第2配線パターンを介して接続されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記はんだボールを複数有し、前記第1配線パターンを複数有し、前記第2配線パターンを複数有し、
複数の前記はんだボールと複数の前記第1配線パターンと複数の前記第2配線パターンとの全てが前記アンテナとして機能し、
隣接した一対の前記はんだボールは、前記複数の第1配線パターンのうち、前記隣接した一対のはんだボールに直接接続された1つの前記第1配線パターンを介して接続され、
異なる隣接した一対の前記はんだボールは、前記複数の第2配線パターンのうち、前記異なる隣接した一対のはんだボールに直接接続された1つの前記第2配線パターンを介して接続されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記はんだボールは、コアボールと、前記コアボールの周囲を被覆するはんだとを有するコア付きはんだボールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記はんだボールの少なくとも一部は、前記電子部品と同じ高さにあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電子部品は、前記第1基板の第2面と前記第2基板の第2面との間に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、能動素子や受動素子などの電子部品が実装されてなる半導体装置には様々な構造のものがある。近年、例えば、高周波(RF)通信部や制御部、水晶振動子などを含む無線通信モジュールを有する半導体装置は様々な分野で多用されるようになってきている。このような半導体装置は、アンテナを用いて無線通信を行うため、高周波通信部等と電気的に接続されるアンテナを有している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、従来のアンテナ120を有する半導体装置100の平面図を示している。
図12に示すように、従来の半導体装置100は、配線基板110と、その配線基板110に実装されたRFICチップ131及び制御用ICチップ132とを有している。
【0004】
図13は、従来の配線基板110の平面図を示している。図13において、R11はRFICチップ131が実装される領域(以下、「RFIC実装領域R11」とする)、R12は制御用ICチップ132が実装される領域(以下、「制御用IC実装領域R12」とする)をそれぞれ示している。
【0005】
図13に示すように、配線基板110は、基板本体111と、接続パッド112〜115と、端面電極116と、配線117〜119と、アンテナ120とを有している。基板本体111の側面には、複数の切り欠き部111Xが形成されている。切り欠き部111Xは、半円筒形状とされており、基板本体111の上面から下面に亘るように形成されている。
【0006】
接続パッド112,113は、RFIC実装領域R11に対応する基板本体111の上面に形成され、RFICチップ131と電気的に接続される。接続パッド112は、配線117を介して、端面電極116と電気的に接続されている。また、接続パッド113は、配線118を介して、接続パッド115と電気的に接続されている。
【0007】
接続パッド114,115は、制御用IC実装領域R12に対応する基板本体111の上面に形成され、制御用ICチップ132と電気的に接続される。接続パッド114は、配線119を介して、端面電極116と電気的に接続されている。
【0008】
アンテナ120は、図14に示すように、基板本体111の上面に形成された配線部121と、基板本体111の下面に形成された配線部122と、上記切り欠き部111Xに形成された接続部123とを有している。これら配線部121,122及び接続部123は互いに電気的に接続されている。そして、アンテナ120は、図12に示したRFICチップ131と電気的に接続されている。
【0009】
このようにアンテナ120の一部(つまり、接続部123)を基板本体111の側面に設けることにより、基板本体111の上面のみにアンテナを形成する場合に比べて、基板本体111の上面におけるアンテナ120の占有面積を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−324231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記配線基板110では、アンテナ120の配線長が基板本体111の厚さに依存することになる。このため、基板本体111が薄くなると、接続部123によってアンテナ120の配線長を十分に確保することができなくなり、長い配線長が必要な低周波アンテナの設計が困難となる。この場合に低周波アンテナを設計するためには、基板本体111の上下面に形成される配線部121,122を長く形成する必要があり、配線部121,122の占有面積が大きくなってしまう。このため、基板本体111が薄くなった場合には、基板本体111の面方向のサイズを縮小することが難しく、配線基板110の小型化を図ることが困難になるという問題があった。さらに、配線基板110の小型化を図ることが困難であるため、配線基板110を備えた半導体装置100の小型化を図ることが困難になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、第1基板と、前記第1基板接合された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続するはんだボールと、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に配置された電子部品と、前記第1基板の第1面に接して前記第1基板の第1面上に形成された第1配線部と、前記第1基板の第1面と該第1面と反対側の第2面との間を貫通し、前記第1配線部及び前記はんだボールと電気的に接続された第1貫通電極と、前記第2基板の第1面に接して前記第2基板の第1面上に形成された第2配線部と、前記第2基板の第1面と該第1面と反対側の第2面との間を貫通し、前記第2配線部及び前記はんだボールと電気的に接続された第2貫通電極と、前記第1基板の第2面に接して前記第1基板の第2面上に形成され、前記第1貫通電極と接続されるとともに前記はんだボールと接続された第1配線パターンと、前記第2基板の第2面に接して前記第2基板の第2面上に形成され、前記第2貫通電極と接続されるとともに前記はんだボールと接続された第2配線パターンと、を有し、前記はんだボールと前記第1配線部と前記第1貫通電極と前記第2配線部と前記第2貫通電極と前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの全てが前記電子部品と電気的に接続されたアンテナとして機能する
【発明の効果】
【0013】
本発明の一観点によれば、小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、一実施形態の半導体装置を示す概略断面図(図2及び図3における1a−1a概略断面図)、(b)は、一実施形態の半導体装置を示す概略断面図(図2及び図3における1b−1b概略断面図)。
図2】一実施形態の半導体装置の一部を示す概略平面図。
図3】一実施形態の半導体装置の一部を示す概略平面図。
図4】一実施形態の第1基板を示す概略平面図。
図5】一実施形態の第2基板を示す概略平面図。
図6】一実施形態の第2基板を示す概略平面図。
図7】一実施形態のアンテナを示す概略断面図(図2及び図3における7−7概略断面図)。
図8】(a)〜(c)は、一実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
図9】変形例の半導体装置を示す概略断面図。
図10】変形例の半導体装置を示す概略断面図。
図11】変形例の半導体装置を示す概略断面図。
図12】従来の半導体装置を示す概略平面図。
図13】従来の配線基板を示す概略平面図。
図14】従来のアンテナを示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、一実施形態を添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを省略している。
【0016】
まず、半導体装置10の構造について説明する。なお、本実施形態では、アンテナ30として逆F型アンテナを2つの配線基板(第1基板20及び第2基板40)に設けた場合を例に挙げて説明する。
【0017】
図1に示すように、半導体装置10は、第1基板20と、第2基板40と、第1基板20と第2基板40とを電気的に接続するコア付きはんだボール60とを有している。第1基板20及び第2基板40には、コア付きはんだボール60を含むアンテナ30が形成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、第1基板20の上面には能動素子である半導体チップ70が実装されている。半導体チップ70としては、例えばCPU(Central Processing Unit)チップ等の制御用ICチップを用いることができる。以下の説明では、半導体チップ70を制御用ICチップ70とも称する。
【0019】
図1及び図3に示すように、第2基板40の上面には能動素子である半導体チップ71と受動素子72とが実装されている。半導体チップ71としては、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)チップを用いることができる。以下の説明では、半導体チップ71をRFICチップ71とも称する。受動素子72としては、例えばチップキャパシタ、チップインダクタやチップ抵抗を用いることができる。なお、受動素子72に接続される配線については図示を省略している。また、図1に示すように、第2基板40の下面には、外部接続端子75が形成されている。外部接続端子75は、マザーボード等の実装基板と電気的に接続するための端子である。外部接続端子75としては、例えばはんだボールを用いることができる。
【0020】
次に、図1及び図4を参照して第1基板20の構造について説明する。なお、図4は、図1に示した第1基板20の上面側を平面視した図である。図4において、R1は制御用ICチップ70が実装される領域(以下、「制御用IC実装領域R1」と称する)を示している。
【0021】
第1基板20は、第1基板本体21と、第1基板本体21の上面21Aに形成された接続パッド22、配線23、グランド配線24及び接続部25と、第1基板本体21の下面21Bに形成された接続パッド26と、上記アンテナ30とを有している。第1基板本体21としては、その第1基板本体21の上面21A及び下面21Bにそれぞれ形成された接続部25及び接続パッド26が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分である。このため、第1基板本体21の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、第1基板本体21の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各配線層と各絶縁層に形成されたビアとによって上記接続部25と接続パッド26とが電気的に接続されている。第1基板本体21としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。このような第1基板本体21の厚さは、例えば0.2〜1.0mm程度とすることができる。
【0022】
接続パッド22は、制御用IC実装領域R1に対応する第1基板本体21の上面21Aに設けられている。接続パッド22は、制御用ICチップ70と電気的に接続されるパッドである。接続パッド22は、配線23を介して、接続部25と電気的に接続されている。これら接続パッド22、配線23及び接続部25は一体に形成されている。接続パッド22及び接続部25は例えば平面視略円形状に形成され、配線23は例えば平面視略帯状に形成されている。接続パッド22、配線23及び接続部25の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0023】
グランド配線24は、第1基板本体21の上面21Aにおいて、図中の上下方向に延びるように平面視略帯状に形成されている。グランド配線24は、アンテナ30と電気的に接続されている。なお、グランド配線24は、グランド電位とされている。グランド配線24の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0024】
接続部25は、第1基板本体21の上面21Aの周縁部に形成されている。図1に示すように、接続部25は、第1基板本体21を厚さ方向に貫通する貫通電極27と電気的に接続されている。貫通電極27は、第1基板本体21の上面21Aと下面21Bとの間を貫通する貫通孔21X内に形成されている。この貫通電極27は、貫通孔21X内を充填している。また、貫通電極27は、その上端部が上記接続部25と接続され、下端部が接続パッド26と接続されている。これにより、貫通電極27を通じて接続部25と接続パッド26とが電気的に接続される。この接続パッド26は、コア付きはんだボール60に接合され、そのコア付きはんだボール60を通じて第2基板40の接続パッド47Bと電気的に接続されるパッドである。なお、図示は省略するが、接続パッド26は、例えば平面視略円形状に形成されている。
【0025】
貫通電極27及び接続パッド26の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。なお、本例では、貫通孔21X内を銅などの導電材料で充填する貫通電極27を形成するようにしたが、例えば貫通孔21X内にめっきスルーホールビアである貫通電極を形成するようにしてもよい。
【0026】
なお、上述した配線23、グランド配線24及び接続部25は、実際にはソルダレジスト層で被覆されているが、各部材の断面構造を分かりやすくするために、上記ソルダレジスト層の図示は省略している。
【0027】
次に、図5及び図6を参照して第2基板40の構造について説明する。なお、図5は、図1に示した第2基板40の上面側を平面視した図であり、図6は、図1に示した第2基板40の下面側を平面視した図である。図5において、R2はRFICチップ71が実装される領域(以下、「RFIC実装領域R2」と称する)を示し、R3は受動素子72が実装される領域(以下、「受動素子実装領域R3」と称する)を示している。
【0028】
第2基板40は、第2基板本体41と、第2基板本体41の上面41Aに形成された接続パッド42,43,44、配線45、グランド配線46及び接続パッド47A,47B,47Cと、第2基板本体41の下面41Bに形成された接続パッド50と、上記アンテナ30とを有している。第2基板本体41としては、その第2基板本体41の上面41A及び下面41Bにそれぞれ形成された接続パッド47A〜47Cのうち少なくとも接続パッド47Bと接続パッド50とが基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分である。このため、第2基板本体41の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、第2基板本体41の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各配線層と各絶縁層に形成されたビアとによって上記接続パッド47Bと接続パッド50とが電気的に接続されている。第2基板本体41としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。このような第2基板本体41の厚さは、例えば0.2〜1.0mm程度とすることができる。
【0029】
接続パッド42,43,44は、RFIC実装領域R2に対応する第2基板本体41の上面41Aに設けられている。接続パッド42〜44は、RFICチップ71と電気的に接続されるパッドである。これら接続パッド42〜44は、例えば平面視略円形状に形成されている。
【0030】
また、接続パッド47A,47B,47C(以下、総称する場合は「接続パッド47」という。)は、第2基板本体41の上面41Aの周縁部に形成されている。接続パッド47A〜47Cは、コア付きはんだボール60と接合されるパッドである。これら接続パッド47A〜47Cは、例えば平面視略円形状に形成されている。なお、接続パッド42〜44,47A〜47C及び配線45の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0031】
接続パッド42は、配線45を介して、接続パッド47Aと電気的に接続されている。接続パッド47Aは、コア付きはんだボール60を通じて図1に示した第1基板20の接続パッド26と電気的に接続されている。このため、接続パッド42は、配線45、接続パッド47A、コア付きはんだボール60、接続パッド26、貫通電極27、接続部25及び配線23を介して、接続パッド22と電気的に接続されている。これにより、RFIC実装領域R2に実装されるRFICチップ71は、接続パッド42、配線45、接続パッド47A、コア付きはんだボール60、接続パッド26、貫通電極27、接続部25、配線23及び接続パッド22を介して、制御用IC実装領域R1に実装される制御用ICチップ70と電気的に接続される。
【0032】
接続パッド43は、配線45を介して、接続パッド47Bと電気的に接続されている。図1に示すように、接続パッド47Bは、第2基板本体41を厚さ方向に貫通する貫通電極51と電気的に接続されている。貫通電極51は、第2基板本体41の上面41Aと下面41Bとの間を貫通する貫通孔41X内に形成されている。この貫通電極51は、貫通孔41X内を充填している。また、貫通電極51は、その上端部が上記接続パッド47Bと接続され、下端部が接続パッド50と接続されている。これにより、貫通電極51を通じて接続パッド47Bと接続パッド50とが電気的に接続されている。また、接続パッド50は、外部接続端子75と電気的に接続されるパッドである。図6に示すように、接続パッド50は、第2基板本体41の下面41Bの周縁部に形成されている。
【0033】
貫通電極51及び接続パッド50の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。なお、本例では、貫通孔41X内を銅などの導電材料で充填する貫通電極51を形成するようにしたが、例えば貫通孔41X内にめっきスルーホールビアである貫通電極を形成するようにしてもよい。
【0034】
接続パッド44は、グランド配線46を介して、接続パッド47Cと電気的に接続されている。この接続パッド47Cは、コア付きはんだボール60、接続パッド26(図1(a)参照)及び貫通電極27(図1(b)参照)を介して、第1基板20のグランド配線24(図4参照)と電気的に接続されている。このため、接続パッド44は、グランド配線46、接続パッド47C、コア付きはんだボール60、接続パッド26、貫通電極27、グランド配線24と電気的に接続されている。これにより、RFIC実装領域R2に実装されるRFICチップ71は、接続パッド44、グランド配線46、接続パッド47C、コア付きはんだボール60、接続パッド26、貫通電極27を介して上記グランド配線24と電気的に接続される。なお、グランド配線46は、グランド電位とされている。グランド配線46の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0035】
図3及び図5に示すように、各接続パッド47A〜47C上には、コア付きはんだボール60が接合されている。各コア付きはんだボール60は、上記第1基板20の接続パッド26(図1(a)参照)にも接合されている。すなわち、各コア付きはんだボール60は、第1基板20と第2基板40との間に介在して設けられ、その一端が接続パッド26に接合され、他端が接続パッド47A〜47Cに接合されている。コア付きはんだボール60は、第1基板20と第2基板40とを接続(接合)する接続端子として機能するとともに、第1基板20と第2基板40との間の距離(離間距離)を規定値に保持するスペーサとしても機能する。このコア付きはんだボール60の高さは、RFICチップ71の厚さ及び受動素子72の厚さよりも高く設定されている。また、コア付きはんだボール60の高さは、第1基板本体21及び第2基板本体41の厚さよりも高く設定されている。例えば、コア付きはんだボール60の高さは0.8〜1.2mm程度とすることができる。
【0036】
コア付きはんだボール60は、球形状の銅コアボール61の周囲をはんだ62で覆った構造を有し、はんだ62が接合材として機能し銅コアボール61がスペーサとして機能する。すなわち、コア付きはんだボール60は、はんだ62によって上記接続パッド26と接合されるとともに、はんだ62によって上記接続パッド47A〜47Cと接合されている。
【0037】
コア付きはんだボール60は、アンテナ30の一部として含まれるコア付きはんだボール60A,60B,60C,60D,60E,60Fを有している。
なお、上述した配線45及びグランド配線46は、実際にはソルダレジスト層で被覆されているが、各部材の断面構造を分かりやすくするために、上記ソルダレジスト層の図示は省略している。
【0038】
次に、図2図7を参照して、アンテナ30の構造について説明する。本例のアンテナ30は、逆F型アンテナである。このアンテナ30は、第1基板20及び第2基板40にそれぞれ形成されたグランド配線24,46と電源線(図示略)とに電気的に接続されている。
【0039】
アンテナ30は、第1配線部31A〜31Cと、第1貫通電極32A〜32Eと、第1配線パターン33A〜33Eと、第2配線部34A〜34Cと、第2貫通電極35A〜35Eと、第2配線パターン36A〜36Fと、コア付きはんだボール60A〜60Fとを有している。
【0040】
第1配線部31A〜31C(以下、総称する場合は「第1配線部31」という。)は、第1基板本体21の上面21Aに形成されている。第1貫通電極32A〜32E(以下、総称する場合は「第1貫通電極32」という。)は、上記貫通電極27と同様に、第1基板本体21を厚さ方向に貫通する貫通孔21X内に形成されている。第1配線パターン33A〜33E(以下、総称する場合は「第1配線パターン33」という。)は、第1基板本体21の下面21Bに形成されている。なお、本例の第1配線パターン33は、図示は省略するが、例えば平面視略円形状に形成されている。
【0041】
第2配線部34A〜34C(以下、総称する場合は「第2配線部34」という。)は、第2基板本体41の下面41Bに形成されている。第2貫通電極35A〜35E(以下、総称する場合は「第2貫通電極35」という。)は、上記貫通電極51と同様に、第2基板本体41を厚さ方向に貫通する貫通孔41X内に形成されている。第2配線パターン36A〜36F(以下、総称する場合は「第2配線パターン36」という。)は、第2基板本体41の上面41Aに形成されている。なお、本例の第2配線パターン36は、例えば平面視略円形状に形成されている。コア付きはんだボール60A〜60Fは、第1基板20と第2基板40との間に設けられている。なお、第1配線部31、第1貫通電極32、第1配線パターン33、第2配線部34、第2貫通電極35及び第2配線パターン36の材料としては、例えば銅や銅合金を用いることができる。
【0042】
第1配線部31Aは、2つの第1貫通電極32A,32Bに接続されている。この第1配線部31Aは、図4に示すように、第1貫通電極32A,32Bとそれぞれ接続される接続部C1,C2と、それら接続部C1,C2を接続する配線部W1とを有している。これら接続部C1,C2及び配線部W1は一体に形成されている。接続部C1,C2は例えば平面視略円形状に形成され、配線部W1は例えば平面視略帯状に形成されている。
【0043】
図7に示すように、上記第1貫通電極32Aは、第1配線パターン33Aを介して、コア付きはんだボール60Aと電気的に接続されている。そして、コア付きはんだボール60Aは、第2配線パターン36A及び第2貫通電極35Aを介して、第2配線部34Aと接合されている。このため、第1配線部31Aは、第1貫通電極32A、第1配線パターン33A、コア付きはんだボール60A、第2配線パターン36A及び第2貫通電極35Aを介して、第2配線部34Aと電気的に接続されている。なお、図6に示すように、第2配線部34Aは例えば平面視略円形状に形成されている。
【0044】
一方、図7に示すように、第1貫通電極32Bは、第1配線パターン33Bを介して、コア付きはんだボール60Bと電気的に接続されている。このコア付きはんだボール60Bは、第2配線パターン36B及び第2貫通電極35Bを介して、第2配線部34Bと電気的に接続されている。このため、第1配線部31Aは、第1貫通電極32B、第1配線パターン33B、コア付きはんだボール60B、第2配線パターン36B及び第2貫通電極35Bを介して、第2配線部34Bと電気的に接続されている。
【0045】
第2配線部34Bは、2つの第2貫通電極35B,35Cに接続されている。この第2配線部34Bは、図6に示すように、第2貫通電極35B,35Cとそれぞれ接続される接続部C11,C12と、それら接続部C11,C12を接続する配線部W11とを有している。これら接続部C11,C12及び配線部W11は一体に形成されている。接続部C11,C12は例えば平面視略円形状に形成され、配線部W11は例えば平面視略帯状に形成されている。図7に示すように、上記第2貫通電極35Cは、第2配線パターン36C、コア付きはんだボール60C、第1配線パターン33C及び第1貫通電極32Cを介して、第1配線部31Bと電気的に接続されている。このため、第2配線部34Bは、第2貫通電極35C、第2配線パターン36C、コア付きはんだボール60C、第1配線パターン33C及び第1貫通電極32Cを介して、第1配線部31Bと電気的に接続されている。
【0046】
第1配線部31Bは、2つの第1貫通電極32C,32Dと接続されている。この第1配線部31Bは、図4に示すように、第1貫通電極32C,32Dとそれぞれ接続される接続部C3,C4と、それら接続部C3,C4を接続する配線部W2とを有している。これら接続部C3,C4及び配線部W2は一体に形成されている。接続部C3,C4は例えば平面視略円形状に形成され、配線部W2は例えば平面視略帯状に形成されている。図7に示すように、第1貫通電極32Dは、第1配線パターン33D、コア付きはんだボール60D、第2配線パターン36D及び第2貫通電極35Dを介して、第2配線部34Cと電気的に接続されている。このため、第1配線部31Bは、第1貫通電極32D、第1配線パターン33D、コア付きはんだボール60D、第2配線パターン36D及び第2貫通電極35Dを介して、第2配線部34Cと電気的に接続されている。
【0047】
第2配線部34Cは、2つの第2貫通電極35D,35Eに接続されている。この第2配線部34Cは、図6に示すように、第2貫通電極35D,35Eとそれぞれ接続される接続部C13,C14と、それら接続部C13,C14を接続する配線部W12とを有している。これら接続部C13,C14及び配線部W12は一体に形成されている。接続部C13,C14は例えば平面視略円形状に形成され、配線部W12は例えば平面視略帯状に形成されている。図7に示すように、上記第2貫通電極35Eは、第2配線パターン36E、コア付きはんだボール60E、第1配線パターン33E及び第1貫通電極32Eを介して、第1配線部31Cと電気的に接続されている。このため、第2配線部34Cは、第2貫通電極35E、第2配線パターン36E、コア付きはんだボール60E、第1配線パターン33E及び第1貫通電極32Eを介して、第1配線部31Cと電気的に接続されている。
【0048】
第1配線部31Cは、図4に示すように、上記第1貫通電極32Eと接続される接続部C5と、配線部W3,W4と、接続部C6とを有している。これら接続部C5,C6及び配線部W3,W4は一体に形成されている。接続部C5,C6は例えば平面視略円形状に形成され、配線部W3,W4は例えば平面視略L字状に形成されている。
【0049】
上記配線部W3は、接続部C5とグランド配線24とを電気的に接続している。これにより、アンテナ30全体がグランド配線24に接続されている。また、配線部W4は、配線部W3と接続部C6とを電気的に接続している。これにより、接続部C5は、配線部W3,W4を介して、接続部C6と電気的に接続されている。接続部C6は、図示しない第1貫通電極32及び第1配線パターン33を介して、図3に示したコア付きはんだボール60Fと電気的に接続されている。このコア付きはんだボール60Fは、図5に示した第2配線パターン36Fの接続部C21と電気的に接続されている。
【0050】
第2配線パターン36Fは、上記接続部C21と、RFIC実装領域R2内に形成された接続部C22と、それら接続部C21,C22を接続する配線部W21とを有している。これら接続部C21,C22及び配線部W21は一体に形成されている。接続部C21,C22は例えば平面視略円形状に形成され、配線部W21は例えば平面視略帯状に形成されている。接続部C21は、RFIC実装領域R2に実装されるRFICチップ71と電気的に接続される。これにより、アンテナ30全体がRFICチップ71と電気的に接続されることになる。
【0051】
なお、上述した第1配線部31A〜31C、第2配線部34A〜34C及び第2配線パターン36Fの配線部W21は、実際にはソルダレジスト層で被覆されているが、各部材の断面構造を分かりやすくするために、上記ソルダレジスト層の図示は省略している。また、図7に示した接続パッド26,47及びコア付きはんだボール60は、例えば制御用ICチップ70とRFICチップ71との間で信号をやり取りする信号配線との接続に使用したり、ダミーパッド及びダミー接続端子として使用したりする。ダミーパッド及びダミー接続端子として使用する目的は、第1基板20と第2基板40との間の接合強度を向上させ、第1基板20及び第2基板40を相互に平行に接合させることである。また、図7に示した接続パッド50は、例えばRFICチップ71等と実装基板との間で信号をやり取りする信号配線との接続に使用したり、ダミーパッドとして使用したりする。ダミーパッドとして使用される場合には、例えば、半導体装置10と実装基板との間の接合強度を向上させ、半導体装置10及び実装基板を相互に平行に接合させるために、ダミーパッド(接続パッド50)上に外部接続端子75が形成される。
【0052】
次に、上記半導体装置10の作用について説明する。
アンテナ30の一部に、第1基板20と第2基板40とを接合するとともに第1基板20と第2基板40とを電気的に接続する接続端子であるコア付きはんだボール60を利用するようにした。これにより、コア付きはんだボール60の高さ(つまり、第1基板20と第2基板40との間の高さ)をアンテナ30の配線長として利用することができるため、アンテナ30の配線長を容易に長く確保することができる。ここで、コア付きはんだボール60の高さは、第1基板本体21及び第2基板本体41の厚さよりも高く形成されている。このため、従来のように基板本体111の厚さ方向の長さを利用してアンテナ120を形成する場合に比べて、アンテナ30の配線長を長く形成することができる。したがって、長い配線長が必要な低周波アンテナを設計する場合であっても、第1配線部31及び第1配線パターン33や、第2配線部34及び第2配線パターン36の占有面積が増大することを抑制することができる。換言すると、第1配線部31等の占有面積を小さくした場合であっても、第1基板本体21及び第2基板本体41等の積層方向の長さを利用することで、アンテナ30の配線長を所望の長さ(例えば、低周波数に対応した長さ)に設定することができる。これにより、第1基板20及び第2基板40の面方向のサイズを小さくすることができるため、第1基板20及び第2基板40を小型化することができ、ひいては半導体装置10を小型化することができる。
【0053】
次に、半導体装置10の製造方法について説明する。
まず、図8(a)に示すように、第1基板20及び第2基板40を準備する。これら第1基板20及び第2基板40は、公知の製造方法により製造することが可能であるため、ここでは図8(a)を参照しながら簡単に説明する。
【0054】
第1基板20は、例えば、銅張積層板(Copper Clad Laminated:CCL)に貫通孔21Xを形成し、電解めっきやペースト充填等の方法により貫通孔21X内に第1貫通電極32等を形成した後、サブトラクティブ法により第1配線部31及び第1配線パターン33等を形成することによって製造される。同様に、第2基板40は、例えば、銅張積層板に貫通孔41Xを形成し、電解めっきやペースト充填等の方法により貫通孔41X内に第2貫通電極35等を形成した後、サブトラクティブ法により第2配線部34及び第2配線パターン36等を形成することによって製造される。その後、第1基板20の第1基板本体21の上面21Aに制御用ICチップ70を実装(例えば、フリップチップ実装やワイヤボンディング実装)する。また、第2基板40の第2基板本体41の上面41AにRFICチップ71及び受動素子72を実装(例えば、フリップチップ実装やはんだ実装)する。
【0055】
また、図8(a)に示した工程では、第1基板本体21の下面21Bに形成された第1配線パターン33上及び接続パッド26上に、コア付きはんだボール60を搭載(接合)する。例えば第1配線パターン33上及び接続パッド26上に、適宜フラックスを塗布した後、コア付きはんだボール60を搭載し、230〜260℃程度の温度でリフローして固定する。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。
【0056】
そして、RFICチップ71及び受動素子72が実装された第2基板40の上方に、制御用ICチップ70が実装されコア付きはんだボール60が搭載された第1基板20を配置する。具体的には、図8(a)に示すように、第1基板本体21の下面21Bと、第2基板本体41の上面41Aとを対向させて、コア付きはんだボール60と接続パッド47及び第2配線パターン36とが対向するように位置決めされる。
【0057】
続いて、図8(b)に示す工程では、接続パッド47上及び第2配線パターン36上に、コア付きはんだボール60を接合する。具体的には、まず、接続パッド47及び第2配線パターン36上に適宜フラックスを塗布する。その後、第1基板20を、コア付きはんだボール60を間に挟んだ状態で第2基板40の上に配置し、それら重ね合わされた第1基板20及び第2基板40をリフロー炉で230〜260℃程度の温度で加熱する。これにより、コア付きはんだボール60のはんだ62が溶融し、コア付きはんだボール60が接続パッド47及び第2配線パターン36に接合される。これにより、第1配線部31、第1貫通電極32、第1配線パターン33、コア付きはんだボール60、第2配線パターン36、第2貫通電極35及び第2配線部34が互いに電気的に接続され、アンテナ30が形成されることになる。なお、本工程では、第1基板20を第2基板40に対して押圧しながらリフローが行われるが、コア付きはんだボール60の銅コアボール61がスペーサとして機能し、第1基板20と第2基板40との間の間隔は所定の距離に維持される。
【0058】
そして、図8(c)に示す工程では、接続パッド50上に外部接続端子75を形成する。例えば接続パッド50上に、適宜フラックスを塗布した後、外部接続端子75(ここでは、はんだボール)を搭載し、240〜260℃程度の温度でリフローして固定する。その後、表面を洗浄してフラックスを除去する。以上の製造工程により、本実施形態の半導体装置10が製造される。
【0059】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)アンテナ30の一部に、第1基板20と第2基板40とを接合するとともに第1基板20と第2基板40とを電気的に接続する接続端子であるコア付きはんだボール60を利用するようにした。これにより、コア付きはんだボール60の高さ(つまり、第1基板20と第2基板40との間の高さ)をアンテナ30の配線長として利用することができるため、アンテナ30の配線長を容易に長く確保することができる。その結果、第1基板20及び第2基板40の面方向のサイズを小さくすることができるため、第1基板20及び第2基板40を小型化することができ、ひいては半導体装置10を小型化することができる。
【0060】
このようにコア付きはんだボール60の高さをアンテナ30の配線長として利用することにより、第1基板20及び第2基板40の面方向のサイズを大型化させることなく、アンテナ30の配線長を長くして、アンテナ30の特性を向上させることができる。
【0061】
(2)さらに、上記コア付きはんだボール60に加えて、第1基板本体21に形成された第1貫通電極32と、第2基板本体41に形成された第2貫通電極35とをアンテナ30の一部に利用するようにした。これにより、コア付きはんだボール60の高さに加えて、第1基板本体21及び第2基板本体41の厚さをアンテナ30の配線長として利用することができるため、アンテナ30の配線長をより容易に長く確保することができる。その結果、第1基板20及び第2基板40の面方向のサイズをより小さくすることができるため、第1基板20及び第2基板40を容易に小型化することができ、ひいては半導体装置10を容易に小型化することができる。
【0062】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、第1基板20と第2基板40とを接続する接続端子としてコア付きはんだボール60を用いるようにした。これに限らず、コア付きはんだボール60の代わりに、スプリング性を有した接続端子(スプリング接続端子)や、柱状の接続端子である金属ポスト等を上記接続端子として用いるようにしてもよい。この場合には、スプリング接続端子や金属ポスト等がアンテナ30の一部として利用される。これにより、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0063】
図9は、第1基板20と第2基板40とを接続する接続端子としてスプリング接続端子80を用いた半導体装置10Aを示している。
図9に示すように、スプリング接続端子80は、第1基板20と第2基板40との間に介在して設けられている。スプリング接続端子80は、その一端が接続パッド26及び第1配線パターン33に接合され、他端が接続パッド47及び第2配線パターン36に接合されている。スプリング接続端子80は、スプリング部81と、接合部82,83とを有している。これらスプリング部81及び接合部82,83は一体的に形成されている。スプリング接続端子80は、適当な弾性(ばね性、曲げ性)を有した金属材料からなり、均一な厚さを有した金属薄板をスタンピング等により打ち抜き加工し、曲げ加工を施すことで作製することができる。上記金属薄板の材料としては、例えばベリリウム銅(Cu−Be)、りん青銅(Cu−Sn)、コルソン材(Cu−Ni−Si−Mg、Cu−Ni−Si、Cu−Ni−Co−Si−Cr等)などの銅をベースとした合金を用いることができる。
【0064】
接合部82は、第1基板本体21の下面21Bに形成された接続パッド26及び第1配線パターン33に接合されている。例えば、接合部82は、接続パッド26及び第1配線パターン33にはんだ接合されている。この接合部82は、スプリング部81の上端に繋がり、そのスプリング部81よりも幅が広く、且つ平坦な形状に形成されている。
【0065】
接合部83は、第2基板本体41の上面41Aに形成された接続パッド47及び第2配線パターン36に接合されている。例えば、接合部83は、接続パッド47及び第2配線パターン36にはんだ接合されている。この接合部83は、スプリング部81の下端に繋がり、そのスプリング部81よりも幅が広く、且つ平坦な形状に形成されている。
【0066】
スプリング部81は、接合部82と接合部83との間に配置されている。スプリング部81は、外側に(つまり、接合部82,83に対し遠ざかる方向に)湾曲するように形成されている。例えば、スプリング部81は、側面視したときにC字状や逆C字状に形成されている。この形状により、スプリング部81は、高さ方向(第1基板20及び第2基板40の積層方向)に弾性変形することができる。スプリング部81のばね定数は、例えば0.6〜0.8N/mm程度とすることができる。
【0067】
このような半導体装置10Aでは、アンテナ30の一部にスプリング接続端子80が利用されている。すなわち、アンテナ30は、第1配線部31、第1貫通電極32、第1配線パターン33、第2配線部34、第2貫通電極35、第2配線パターン36及びスプリング接続端子80を有している。そして、スプリング接続端子80によって、第1基板20に形成された第1配線部31、第1貫通電極32及び第1配線パターン33と、第2基板40に形成された第2配線部34、第2貫通電極35及び第2配線パターン36とが電気的に接続されている。
【0068】
このようにアンテナ30の一部にスプリング接続端子80を利用することで、そのスプリング接続端子80が有する湾曲形状をアンテナ30の配線長として利用することができるため、アンテナ30の配線長を容易に長く確保することができる。
【0069】
・上記変形例では、スプリング接続端子80の両端部を接続パッド26,47、第1配線パターン33及び第2配線パターン36に接合するようにした。これに限らず、スプリング接続端子80の一方の端部(例えば、接合部83)のみを接続パッド47及び第2配線パターン36に接合し、他方の端部(例えば、接合部82)に対して接続パッド26及び第1配線パターン33を押圧することにより、第1基板20と第2基板40とを電気的に接続するようにしてもよい。
【0070】
・上記実施形態では、コア付きはんだボール60の導電性コアボールとして銅コアボール61を用いるようにした。これに限らず、銅コアボール61の代わりに、例えば金やニッケル等の銅以外の金属により形成した導電性コアボールを用いるようにしてもよいし、樹脂により形成した樹脂コアボールを用いるようにしてもよい。あるいは、コア付きはんだボール60の代わりに、導電性コアボールや樹脂コアボールを省略した、はんだボールを用いるようにしてもよい。
【0071】
・上記実施形態及び上記各変形例におけるアンテナ30の構造は特に限定されない。例えば、図10に示すように、上記実施形態のアンテナ30から第2貫通電極35及び第2配線部34を省略した構造を有するアンテナ30Aに変更してもよい。このアンテナ30Aは、第1配線部31A〜31Cと、第1貫通電極32A〜32Eと、第1配線パターン33A〜33Eと、第2配線パターン37A〜37Cと、コア付きはんだボール60A〜60Fと、図3に示した第2配線パターン36Fとを有している。そして、第1基板20に形成された第1配線部31A〜31C、第1貫通電極32A〜32E及び第1配線パターン33A〜33Eが、コア付きはんだボール60を介して、第2基板本体41の上面41Aに形成された第2配線パターン37A〜37C,36Fと電気的に接続されている。このようなアンテナ30Aを有する半導体装置であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0072】
・また、上記アンテナ30Aから第1配線パターン33A〜33Eを省略した構造のアンテナに変更してもよい。この場合には、例えば第1貫通電極32A〜32Eの下端面にコア付きはんだボール60A〜60Eをそれぞれ接合する。
【0073】
・また、上記変形例とは反対に、上記実施形態のアンテナ30から第1配線部31及び第1貫通電極32を省略した構造を有するアンテナに変更してもよい。あるいは、上記実施形態のアンテナ30から第1配線部31、第1貫通電極32及び第2配線パターン36を省略した構造を有するアンテナに変更してもよい。この場合には、例えば第2貫通電極35A〜35Eの上端面にコア付きはんだボール60A〜60Eをそれぞれ接合する。
【0074】
・また、図11に示すように、上記アンテナ30から第1配線部31A〜31C、第1貫通電極32A〜32E、第2貫通電極35及び第2配線部34を省略した構造を有するアンテナ30Bに変更してもよい。このアンテナ30Bは、第1配線パターン38A〜38Cと、第2配線パターン37A〜37Dと、コア付きはんだボール60A〜60E,60Gとを有している。このようなアンテナ30Bでは、第1配線パターン38A〜38Cが、コア付きはんだボール60A〜60E,60Gを介して、第2配線パターン37A〜37Dと電気的に接続されている。そして、例えば第2配線パターン37DがRFIC実装領域R2まで延在され、そのRFIC実装領域R2に実装されるRFICチップ71と電気的に接続される。なお、アンテナ30Bは、図示は省略するが、グランド配線と電源線とに電気的に接続されている。このようなアンテナ30Bを有する半導体装置であっても、上記実施形態の(1)の効果と同様の効果を奏することができる。
【0075】
・上記実施形態及び上記各変形例における第1貫通電極32を第1基板本体21の側面(又は、第1基板本体21の側面に形成された切り欠き部)に形成するようにしてもよい。
【0076】
・上記実施形態及び上記各変形例における第2貫通電極35を第2基板本体41の側面(又は、第2基板本体41の側面に形成された切り欠き部)に形成するようにしてもよい。
【0077】
・上記実施形態における第1基板20と第2基板40との間を樹脂材で封止するようにしてもよい。すなわち、第1基板20と第2基板40との間の空間に樹脂材を充填するようにしてもよい。上記樹脂材としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、樹脂材としては、例えばエポキシ系樹脂にシリカ(SiO)等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。また、上記樹脂材としては、例えばトランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などにより形成されたモールド樹脂を用いることができる。
【0078】
・上記実施形態及び上記各変形例では、逆F型アンテナであるアンテナ30を有する半導体装置に具体化したが、逆F型アンテナ以外のアンテナ(例えば、逆L型アンテナ)を有する半導体装置に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0079】
10,10A 半導体装置
20 第1基板
21 第1基板本体
21A 上面(第1面)
21B 下面(第2面)
40 第2基板
41 第2基板本体
41A 上面(第2面)
41B 下面(第1面)
30,30A,30B アンテナ
31,31A〜31C 第1配線部
32,32A〜32E 第1貫通電極
33,33A〜33E 第1配線パターン
34,34A〜34C 第2配線部
35,35A〜35E 第2貫通電極
36,36A〜36F 第2配線パターン
37A〜37D 第2配線パターン
38A〜38C 第1配線パターン
60,60A〜60G コア付きはんだボール(接続端子)
70 半導体チップ(電子部品)
71 半導体チップ(電子部品)
72 受動素子(電子部品)
80 スプリング接続端子(接続端子)
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図14