(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高性能サーバや高速ネットワーク機器などの電子機器に用いられる半導体チップ(ICチップ)の処理能力は年々向上している。また、ICチップの処理能力向上に伴って、ICチップ同士やICチップと通信モジュールとの間の信号伝送速度は高速化の一途を辿っている。例えば、これまでの信号伝送速度は10[Gbit/s]程度が主流であったが、近い将来には25[Gbit/s]程度にまで高速化されると予想されている。
【0003】
上記のような状況の下、信号伝送装置の低消費電力化、小型化および冷却能力の向上などが望まれている。例えば、信号伝送速度が25[Gbit/s]程度に高速化されると、信号伝送距離が10cm程度であっても信号波形を整形のための補償回路が必須となり、信号伝送装置の消費電力が増大するとともに補償回路を実装するためのスペースを確保する必要もある。また、通信モジュールの発熱量も増大するので、通信モジュールの冷却機構も必然的に大型化する。
【0004】
上記のように、ICチップの処理能力向上に伴って信号伝送装置に対する様々な要求が発生しているが、ここでは通信モジュールの冷却機構に着目する。通信モジュールの冷却機構の一例としてヒートシンクがあり、従来の信号伝送装置は、ヒートシンクの態様に基づいて次のように大別することができる。すなわち、従来の信号伝送装置は、複数の通信モジュールのそれぞれに対して個別にヒートシンクが設けられたタイプ(特許文献1参照)と、複数の通信モジュールに対して共通のヒートシンクが設けられたタイプとに大別することができる。そこで、以下の説明では、前者を“個別型”、後者を“集合型”と呼んで区別する場合がある。
【0005】
もっとも、いずれのタイプの信号伝送装置においてもヒートシンクは通信モジュールの上に配置されている。具体的には、個別型の信号伝送装置では、それぞれの通信モジュールの上面にヒートシンクの伝熱板が載置されており、各伝熱板の上に複数の放熱フィンが立てられている。一方、集合型の信号伝送装置では、複数の通信モジュールの上面にそれらモジュールを一括して覆うようにヒートシンクの伝熱板が載置されており、共通の伝熱板の上に複数の放熱フィンが立てられている。すなわち、個別型と集合型は、通信モジュールの上方にヒートシンクの放熱フィンが配置されている点では共通している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一の実施形態)
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜
図3に示される信号伝送装置1Aは、ICチップ2が搭載される基板(マザーボード)3に搭載された複数の通信モジュール10と、それら通信モジュール10を冷却するための冷却機構を構成するヒートシンク20とを備えている。ヒートシンク20は、平面形状が略矩形の伝熱板21と、伝熱板21の表面に一体成形された放熱手段としての放熱フィン22とを備えている。
【0021】
本実施形態では、ICチップ2の一辺の近傍に、該一辺と伝熱板21の一辺とが平行となるようにヒートシンク20が配置されている。また、ヒートシンク20の伝熱板21の上には、ICチップ2に近接している一辺に沿って4つの通信モジュール10が一列に配置されている。それぞれの通信モジュール10は、2つの主面のうちの一方が伝熱板21の表面と対向する向きで伝熱板21の上に配置されている。そこで以下の説明では、通信モジュール10の2つの主面のうち、伝熱板21の表面と対向する面を“底面”または“モジュール底面”と呼ぶ。また、通信モジュール10の2つの主面のうち、底面またはモジュール底面と反対側の面を“上面”または“モジュール上面”と呼ぶ。
【0022】
図4に示されるように、それぞれの通信モジュール10は、モジュール基板11と、モジュール基板11に搭載された光パッケージ12と、光パッケージ12から延びる通信ケーブルとしての光ファイバ13と、これらを収容する略矩形のモジュールケース14とを備えており、モジュールケース14の底板によって通信モジュール10の底面14aが形成され、天井板によって上面14bが形成されている。
【0023】
通信モジュール10の底面14aには板状の第一のコネクタ(モジュール側コネクタ15)が設けられている。モジュール側コネクタ15は、モジュール底面14aの一辺の近傍に該一辺に沿って直線的に形成されており、その表面には不図示の接続端子が設けられている。モジュール側コネクタ15の接続端子は、モジュール基板11に形成された不図示のプリント配線を介して光パッケージ12と電気的に接続されている。
【0024】
一方、
図1,
図2に示されるように、基板3の実装面3a上であって、ICチップ2とヒートシンク20との間の領域には、モジュール側コネクタ15が接続される複数の第二のコネクタ(基板側コネクタ4)が設けられている。それぞれの基板側コネクタ4には、モジュール側コネクタ15を抜き差し可能な上方開口の溝4aが長手方向に沿って直線的に形成されており、溝4aの内面には不図示の接続端子が設けられている。基板側コネクタ4の接続端子は、基板3に形成された不図示のプリント配線を介してICチップ2と電気的に接続されている。
【0025】
通信モジュール10は、モジュール側コネクタ15が基板側コネクタ4の上方から該コネクタ4の溝4aに差し込まれることにより、基板3に実装される。また、モジュール側コネクタ15が基板側コネクタ4の溝4aに差し込まれると、互いのコネクタ15,4に設けられている接続端子同士が接触して電気的に導通する。これにより、ICチップ2と、通信モジュール10とが電気的に接続され、信号の送受信が可能となる。なお、通信モジュール10(光パッケージ12)は、ICチップ2から出力される電気信号を光信号に変換して光ファイバ13に入力し、光ファイバ13から出力される光信号を電気信号に変換してICチップ2に入力する。すなわち、通信モジュール10は、ICチップ2に入出力される信号をE/O変換およびO/E変換する。
【0026】
通信モジュール10について上記のような実装構造を採用する場合、通信モジュール10は基板3に対して片持ち支持される。このため、
図4に示されるように、基板3の実装面3aとモジュール底面14aとの間に隙間30が生まれる。具体的には、基板3の実装面3aとモジュール底面14aとの間には、基板側コネクタ4の高さよりも高い隙間30が生まれる。
図4では、基板側コネクタ4の高さが(h1)、隙間30の高さが(h2)として示されている。すなわち、基板3と通信モジュール10との間には、基板側コネクタ4の高さと同じか、それ以上の高さの隙間(デッドスペース)30が生まれる。本実施形態では、この隙間(デッドスペース)30を利用してヒートシンク20が配置されている。以下、具体的に説明する。
【0027】
図1〜
図3に示されるように、ヒートシンク20は、平板状の伝熱板21と、伝熱板21の所定領域に形成された複数の放熱フィン22とを備えている。伝熱板21および放熱フィン22は、熱伝導性に優れた金属(例えば、アルミニウムや銅など)によって一体成形されている。
【0028】
図1,
図2に示されるように、伝熱板21の一部は基板3と通信モジュール10との間に配置(挿入)されている。換言すれば、通信モジュール10はヒートシンク20の伝熱板21の上に載せられている。この結果、
図3に示されるように、伝熱板21の表面には、それぞれの通信モジュール10の底面14a(
図4)と平面視において重複する領域と、その領域の周囲の領域であって、通信モジュール10の底面14a(
図4)とは重複しない領域とが存在する。
図5中に、通信モジュール10の底面14a(
図4)と重複する領域(第一領域23)を一点鎖線で示す。
図5に示されるように、伝熱板21の表面には通信モジュール10の数と同数の第一領域23が存在しており、それら第一領域23の周囲には、通信モジュール10の底面14a(
図4)と重複しない領域(第二領域24)が拡がっている。
【0029】
図4に示されるように、伝熱板21上の第一領域23は、そこに搭載された通信モジュール10の底面14aと重複し、かつ、底面14aと熱的に接続されている。具体的には、通信モジュール10内の主な発熱源である光パッケージ12とモジュールケース14の底板内面とは、熱伝導シート16を介して接している。また、モジュールケース14の底板外面(モジュール底面14a)と伝熱板21の第一領域23とは、熱伝導シート17を介して接している。したがって、光パッケージ12から発生した熱は、熱伝導シート16を介してモジュールケース14の底板に伝わる。モジュールケース14の底板に伝わった熱は、熱伝導シート17を介して伝熱板21の第一領域23に伝わり、次いで第二領域24に拡散する。換言すれば、通信モジュール10から発生した熱は、下方(基板3に対して垂直な方向)に導かれた後に横方向(基板3に対して平行な方向)に導かれる。
【0030】
図5に示されるように、伝熱板21の第二領域24には、上記のようにして第二領域24に拡散した熱を空気中に放熱する放熱手段として多数の放熱フィン22が設けられている。多数の放熱フィン22は、互いに平行に並ぶ複数の放熱フィン22を含む5つの放熱フィン群22A〜22Eを形成している。また、伝熱板21の長手方向一端側に位置している放熱フィン群22Aと、これに隣接する放熱フィン群22Bとの間には隙間25が設けられている。以下同様に、伝熱板21の長手方向他端側に位置している放熱フィン群22Eと、これに隣接する放熱フィン群22Dとの間にも隙間25が設けられている。また、放熱フィン群22Bおよび放熱フィン群22Dと、これら放熱フィン群22B,22Dに挟まれている放熱フィン群22Cとの間にもそれぞれ隙間25が設けられている。
【0031】
図3に示されるように、それぞれの通信モジュール10は、平面視において2つの放熱フィン群に跨って配置されている。具体的には、通信モジュール10aは、放熱フィン群22Aと放熱フィン群22Bとに跨っている。通信モジュール10bは、放熱フィン群22Bと放熱フィン群22Cとに跨っている。通信モジュール10cは、放熱フィン群22Cと放熱フィン群22Dとに跨っている。通信モジュール10dは、放熱フィン群22Dと放熱フィン群22Eとに跨っている。すなわち、1つの通信モジュール10に対して2つの放熱フィン群が割り当てられている。
【0032】
さらに、通信モジュール10aから引き出されている光ファイバ13は、放熱フィン群22Aと放熱フィン群22Bとの間の隙間25を通して外部に引き出されている。以下同様に、通信モジュール10bから引き出されている光ファイバ13は、放熱フィン群22Bと放熱フィン群22Cとの間の隙間25、通信モジュール10cから引き出されている光ファイバ13は、放熱フィン群22Cと放熱フィン群22Dとの間の隙間25、通信モジュール10dから引き出されている光ファイバ13は、放熱フィン群22Dと放熱フィン群22Eとの間の隙間25を通してそれぞれ外部に引き出されている。なお、それぞれの隙間25は、ヒートシンク20上に光ファイバ13を引き出すためのスペースを形成するとともに、隣接する放熱フィン群の間で乱流を発生させて冷却効果を高める役割を果たしている。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る信号伝送装置1Aでは、1つのヒートシンク20の上に複数の通信モジュール10が配置されている。すなわち、本実施形態に係る信号伝送装置1Aは、集合型の信号伝送装置である。よって、ICチップ2の周囲に複数の通信モジュール10を高密度に配置することができるという集合型のメリットは何ら損なわれていない。
【0034】
さらに、本実施形態に係る信号伝送装置1Aでは、通信モジュール10から発生した熱の大部分は、通信モジュール10の上方において空気中に放出されるのではなく、該モジュール10の下方に導かれた後に横方向に導かれる。よって、通信モジュール10から発生した熱を該モジュール10の周囲に設けられた放熱フィン22の表面から空気中に放出することができる。換言すれば、通信モジュール10から発生した熱を空気中に放出するための放熱フィンを該モジュールの上方に設ける必要がない。したがって、本実施形態に係る信号伝送装置1Aは、放熱フィンが通信モジュールの上方に設けられた集合型の信号伝送装置に比べて高さが低く抑えられる。
【0035】
加えて、通信モジュール10から発生した熱を通信モジュール10の周囲に設けられている放熱フィン22に導くための伝熱板21が基板3と通信モジュール10との間の隙間30に配置されている。すなわち、基板3と通信モジュール10との間のデッドスペースの有効活用により信号伝送装置1Aの高さがさらに低く抑えられている。
【0036】
また、通信モジュール10が伝熱板21によって覆われていないので、通信モジュール10の保守が容易である。例えば、複数の通信モジュールが伝熱板によって一括して覆われている形態では、それら通信モジュールの1つにでも不具合が発生すると、伝熱板(ヒートシンク)を取り外さなければならない。一方、本実施形態の信号伝送装置1Aでは、ヒートシンク20を取り外すことなく、不具合が発生した通信モジュール10のみを交換したり、点検したりすることができる。さらに、通信モジュール10から発生した熱の大部分は、伝熱板21を介して通信モジュール10の周囲にある放熱フィン22へ導かれるが、通信モジュール10の上方が開放されている本実施形態の信号伝送装置1Aでは、通信モジュール10から発生した熱の一部が通信モジュール10の上面14bからも放出される。すなわち、本実施形態の信号伝送装置1Aでは、通信モジュール10の上面14bおよび底面14aの双方から熱が放出され、通信モジュール10がより効率的に冷却される。
【0037】
また、基板3と通信モジュール10との間の隙間30に配置された伝熱板21は通信モジュール10を下方から支持する役割も果たしている。もっとも、伝熱板21による支持がなくとも通信モジュール10が十分に支持される場合には、伝熱板21によって通信モジュール10を支持する必要はない。
【0038】
(第二の実施形態)
以下、本発明の第二の実施形態について
図6を参照しながら詳細に説明する。もっとも、
図6に示される信号伝送装置1Bは、第一の実施形態に係る信号伝送装置1Aと基本的に同一の構成を備えている。本実施形態に係る信号伝送装置1Bと第一の実施形態に係る信号伝送装置1Aとの相違点は、信号伝送装置1Aにおける冷却機構が空冷式であるのに対し、信号伝送装置1Bにおける冷却機構は液冷式である点である。そこで、信号伝送装置1Aと共通する構成については同一の符号を用いることで説明に代え、重複する説明は適宜省略する。また、以下の説明では、必要に応じて
図1〜
図5を参照する。
【0039】
図6に示される信号伝送装置1Bに設けられているヒートシンク20は、平面形状が略矩形の伝熱板21と、伝熱板21上に冷媒通路を形成する水冷パイプ32とを備えている。
【0040】
本実施形態に係る信号伝送装置1Bにおける通信モジュール10の実装構造は、第一の実施形態に係る信号伝送装置1Aにおけるそれと同一である。すなわち、
図6に示される通信モジュール10は、モジュール側コネクタ15が基板側コネクタ4に接続されることにより、基板3に対して片持ち支持されている。よって、基板3と通信モジュール10との間には、
図4に示される隙間30と同様の隙間が存在しており、この隙間に伝熱板21の一部が配置(挿入)されている。したがって、
図6に示されるように、伝熱板21の表面には、平面視において通信モジュール10の底面14a(
図4)と重複する第一領域23と、通信モジュール10の底面14aとは重複しない第二領域24とが存在する。なお、
図6には1つの第一領域23のみが示されているが、実際には
図6に示される伝熱板21の表面にも
図5に示される第一領域23と形状および数が同一の第一領域23が存在している。
【0041】
水冷パイプ32は、伝熱板21の第二領域24に配置されて伝熱板21を横断している。具体的には、伝熱板21の第二領域24には、伝熱板21の長手方向に沿って保持溝33が一体成形されており、水冷パイプ32は保持溝33の内側に嵌め込まれて保持されている。
【0042】
図6では、水冷パイプ32の一部分(伝熱板21を横断している部分)のみが図示され、その他の部分の図示は省略されている。実際には、水冷パイプ32の不図示の部分には、ポンプおよび熱交換器が少なくとも設けられており、不図示のポンプの作用により、冷媒としての冷却水が循環される。
【0043】
本実施形態に係る信号伝送装置1Bにおいても、通信モジュール10と伝熱板21とは、
図4に示される構造と同一の構造によって熱的に接続されている。よって、光パッケージ12から発生した熱は、熱伝導シート16、モジュールケース14および熱伝導シート17を経由して伝熱板21の第一領域23に伝わった後に第二領域24に拡散する。第二領域24に拡散した熱は、水冷パイプ32内を循環する冷却水との間の熱交換によって回収される。熱を回収した冷却水は不図示の熱交換器において熱を放出した後に再び水冷パイプ32内を循環する。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る信号伝送装置1Bと第一の実施形態に係る信号伝送装置1Aとは、冷却機構の方式を除いて共通の構成を有する。よって、本実施形態に係る信号伝送装置1Bは、第一の実施形態に係る信号伝送装置1Aと同一の効果を有する。さらに、液冷式の冷却機構は空冷式の冷却機構に比べて一般的に冷却能力が高い。また、液冷式の冷却機構は、空冷式の冷却機構に比べて、温度制御などが容易かつ正確であるという利点がある。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第一の実施形態および第二の実施形態では、ヒートシンク20の伝熱板21が基板3と通信モジュール10との間の隙間30に配置されていた(
図4)。しかし、
図7に示されるように、ヒートシンク20の伝熱板21が通信モジュール10の上に配置される実施形態もある。かかる実施形態では、伝熱板21の裏面に通信モジュール10の上面14bと重複し、該上面14bと熱的に接続される第一領域23が形成される。また、伝熱板21は、側面視においてクランク状に屈曲され、通信モジュール10の上面14bと重複しない第二領域24は第一領域23よりも低い位置に形成され、その第二領域24に放熱フィン22が設けられる。したがって、
図7に示される信号伝送装置1Cの高さは、放熱フィン22が通信モジュール10の上に設けられている場合に比べて低くなる。
【0046】
なお、ヒートシンク20の伝熱板21が通信モジュール10の上に配置される実施形態では、
図4に示される熱伝導シート16,17の配置が適宜変更される。具体的には、
図4に示される熱伝導シート16は、同図に示される光パッケージ12とモジュールケース14の天井板内面との間に配置される。また、
図4に示される熱伝導シート17は、同図に示されるモジュールケース14の天井板外面(モジュール上面14b)と、
図7に示される伝熱板21の第一領域23との間に配置される。これにより、光パッケージ12から発生した熱は、熱伝導シート16を介してモジュールケース14の天井板に伝わる。その後、モジュールケース14の天井板に伝わった熱は、熱伝導シート17を介して伝熱板21の第一領域23に伝わり、第二領域24に拡散する。すなわち、通信モジュール10から発生した熱の大部分は、そのまま上方へ放出されるのではなく、伝熱板21を介して横方向(基板3に対して平行な方向)へ導かれた後に放熱フィン22の表面から放出される。この点において、
図7に示される実施形態と第一の実施形態および第二の実施形態とに違いはない。
【0047】
これまでに説明した実施形態では、モジュール側コネクタ15がモジュール底面14aの一辺に沿って直線的に形成されており、モジュール側コネクタ15が差し込まれる基板側コネクタ4も直線的に形成されていた。このため、
図4に示されるように、モジュール側コネクタ15が基板側コネクタ4に差し込まれると、通信モジュール10および基板側コネクタ4は、側面視において略L字状の外観を呈する。したがって、
図5に示されるように、基板3と通信モジュール10との間の隙間30(
図4)に配置される伝熱板21の一辺が真っ直ぐであっても、該一辺を基板3と通信モジュール10との間の隙間30に挿入することができる。一方、モジュール側コネクタ15や基板側コネクタ4が非直線的に形成されている場合には、これらコネクタ15,4との干渉を避けるために、基板3と通信モジュール10との間の隙間30に挿入される伝熱板21の一辺は非直線的な形状(例えば、櫛歯形状)に加工される。すなわち、これまでに説明した実施形態には、伝熱板21を複雑な形状に加工する必要がないという利点もある。もっとも、モジュール側コネクタ15や基板側コネクタ4が非直線的に形成されており、これに応じて伝熱板21の一辺が非直線的な形状に加工されている形態が本発明の技術的範囲から排除されるものではない。
【0048】
図4に示される熱伝導シート16,17は、熱伝導性に優れたグリースなどに置換することができる。もっとも、熱伝導シートやグリースなどが存在しなくても十分な熱伝導率が得られる場合には、熱伝導シートやグリースなどを省略することもできる。
【0049】
添付図面に示されている通信モジュール10、放熱フィン22、水冷パイプ32などの配置、個数、形状などは一例に過ぎず、これらは必要に応じて適宜変更することができる。例えば、
図1などに示されているICチップ2の四辺を取り囲むようにヒートシンク20の伝熱板21を配置し、その伝熱板21の上にICチップ2の四辺を取り囲むように複数の通信モジュール10を配置することもできる。もちろん、ICチップ2の二辺または三辺に沿って通信モジュール10を配置することもできる。いずれにしても、複数の通信モジュールに対して共通の伝熱板が設けられる本発明の信号伝送装置では、隣接する伝熱板同士の干渉を避ける必要がないので、複数の通信モジュールをICチップの周囲に高密度で配置することができ、各通信モジュールとICチップとの間の信号伝送距離を可及的に短くすることができる。