(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6029173
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】セラミックパッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/08 20060101AFI20161114BHJP
H03H 9/02 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
H01L23/08 C
H03H9/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-19116(P2013-19116)
(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公開番号】特開2014-150209(P2014-150209A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】梅田 均
【審査官】
秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−87433(JP,A)
【文献】
特開2012−124187(JP,A)
【文献】
特開2011−9400(JP,A)
【文献】
特開昭62−232187(JP,A)
【文献】
特開2010−73711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/08
H03H 9/02
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体と、該集合体の外周囲にダミー部を設ける多数個取り基板に備える分割用溝で分割されてなるセラミックパッケージにおいて、
前記個片体のセラミックパッケージに区分される前記分割用溝の少なくとも一方の主面側の少なくとも一つの前記区分内に前記分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、該第1の分割用溝に連続させて該第1の分割用溝より前記分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝を有すると共に、前記多数個取り基板における上面の前記第1の分割用溝の溝幅と、前記第2の分割用溝の溝幅が同一幅を有することを特徴とするセラミックパッケージ。
【請求項2】
請求項1記載のセラミックパッケージにおいて、前記第2の分割用溝の深さが前記第1の分割用溝の深さから10〜130μm有することを特徴とするセラミックパッケージ。
【請求項3】
個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体の外周囲にダミー部を設ける多数個取り基板に前記集合体から前記個片体にするための分割用溝を少なくとも一方の主面に設け、前記分割用溝に沿って分割して前記個片体を作製するセラミックパッケージの製造方法において、
未焼結の複数枚のセラミックグリーンシートのそれぞれに孔開け成形加工と、導体金属印刷加工を行って導体印刷パターンを形成した後、それぞれの前記セラミックグリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら加圧して積層体を形成する工程と、
前記積層体の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光を照射して、前記積層体の内層に設けられた前記導体印刷パターンの中の表層から最も近い第1の内層表面に備える前記導体印刷パターンに前記第1のレーザ光が到達しない深さの浅い第1の分割用レーザ溝と、該第1の分割用レーザ溝に連続させて前記第1のレーザ光よりエネルギーを増加させる第2のレーザ光を照射して、照射口での溝幅が前記第1の分割用レーザ溝の溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用レーザ溝を前記第1の内層内に、又は前記第1の内層を超えて形成する工程と、
前記第1、第2の分割用レーザ溝が形成された前記積層体を還元雰囲気中で前記セラミックグリーンシートと前記導体金属を同時焼成して導体配線と、前記個片体を区分する前記分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、これに連続させて前記分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝を設ける焼成体からなる前記多数個取り基板を形成する工程を有することを特徴とするセラミックパッケージの製造方法。
【請求項4】
個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体の外周囲にダミー部を設ける多数個取り基板に前記集合体から前記個片体にするための分割用溝を少なくとも一方の主面に設け、前記分割用溝に沿って分割して前記個片体を作製するセラミックパッケージの製造方法において、
未焼結の複数枚のセラミックグリーンシートのそれぞれに孔開け成形加工と、導体金属印刷加工を行って導体印刷パターンを形成した後、それぞれの前記セラミックグリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら加圧して積層体を形成する工程と、
前記積層体を還元雰囲気中で前記セラミックグリーンシートと前記導体金属を同時焼成して導体配線を設ける焼成体を形成する工程と、
前記焼成体の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光を照射して、前記焼成体の内層に設けられた前記導体配線の中の表層から最も近い第1の内層表面に備える前記導体配線に前記第1のレーザ光が到達しない深さの浅い第1の分割用溝と、該第1の分割用溝に連続させて前記第1のレーザ光よりエネルギーを増加させる第2のレーザ光を照射して、照射口での溝幅が前記第1の分割用溝の溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用溝を前記第1の内層内に、又は前記第1の内層を超えて設ける前記多数個取り基板を形成する工程を有することを特徴とするセラミックパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品を収納するためのセラミックパッケージ及びその製造方法に関し、より詳細には、個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体から個片体とするための分割用溝を設けるセラミックパッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品を収納するためのセラミックパッケージを作製するには、複数枚の大型のセラミックグリーンシートが用いられている。それぞれのセラミックグリーンシートには、所望する位置に設ける貫通孔に導体金属ペーストを充填して上、下層での電気的導通を形成するための貫通孔成形加工や、電子部品を収納するためのキャビティ部を形成するための孔開け成形加工等を行った後、セラミックグリーンシートの中のそれぞれの個片体に電気的導通や、個片体間の電気的導通を形成するために導体金属ペーストを用いてスクリーン印刷機で印刷してそれぞれのセラミックグリーンシートに導体印刷パターンを形成している。そして、それぞれのセラミックグリーンシートは、重ね合わせて加熱しながら加圧して密着させて積層体に形成している。更に、この積層体には、集合体から個片体にするために、個片体のセラミックパッケージの複数個が配列するように長尺の切り刃の刃先を縦方向と、これと直交する横方向に押し当てて、切り刃長さ方向において同じ深さからなる一直線状の断面視してV字状の押圧溝をマトリックス状に形成している。この押圧溝を設けた積層体は、セラミックグリーンシートと導体金属を還元雰囲気中で同時焼成して表面及び内層に導体配線を設け、表層に個片体にするための分割用溝を備えた焼成体に形成している。
【0003】
上記の焼成体には、表面及び内層に形成した導体配線や、めっき用導体配線を介して電解めっきで外部に露出している導体金属部分にめっき被膜を形成して個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体としている。あるいは、この焼成体には、外部に露出している導体金属部分にめっき被膜を形成した後、所望部分に金属部品をろう付け接合し、更にめっき被膜を形成して個片体のセラミックパッケージがマトリックス状に複数個配列する集合体としている。
【0004】
なお、集合体には、上記するような、焼成前のセラミックグリーンシートの積層体に押圧溝を形成した後、焼成することで分割用溝を形成する以外に、押圧溝を設けない焼成体の表面にレーザ加工や、ダイシング加工等で分割用溝を形成するものがある。また、分割用溝には、焼成前のセラミックグリーンシートの積層体にレーザ加工機のレーザ光を照射して分割用レーザ溝を形成した後、焼成することで分割用溝が形成される場合がある。このレーザ光の照射による分割用レーザ溝は、レーザ光自体の進行方向、又は積層体を載置させるテーブルの進行方向における照射によって、セラミックグリーンシートの積層体の縦、横方向に同じ深さからなる穴が連続する一直線状に形成されている。
【0005】
この分割用溝をレーザ加工で形成する従来のセラミック基板の製造方法には、セラミックグリーンシート上に個片基板に分割するためのスクライブブレイクラインを形成するに際し、レーザビームを上記セラミックグリーンシート面に照射して、スクライブブレイクラインを形成するセラミック基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合の焼成することで形成される分割用溝は、溝長さ方向において同じ深さからなる穴が連続する一直線状となっている。
【0006】
また、従来のセラミック部品の製造方法には、複数のセラミック部品を連結してなる多数個取り用のセラミック焼結体を作製し、そのセラミック焼結体を分割することにより、複数のセラミック部品を個片化するセラミック部品の製造方法であって、焼結後にセラミック焼結体となるべき未焼結セラミック成形体に、焼結後に導体部となるべき未焼結導体を接触させて配置した状態で、レーザ照射により未焼結セラミック成形体を加工することにより、分割用溝を形成するレーザ加工工程と、レーザ加工工程の後に未焼結セラミック成形体及び未焼結導体を同時に焼結させてセラミック焼結体を作製する焼成工程と、焼成工程の後にセラミック焼結体を分割用溝に沿って分割することにより、複数のセラミック部品を個片化する分割工程とを含むセラミック部品の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この場合の焼成することで形成される分割用溝は、上記の特許文献1の場合と同様に、溝長さ方向において同じ深さからなる穴が連続する一直線状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−232187号公報
【特許文献2】特開2010−73711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述したような従来のセラミックパッケージ及びその製造方法には、次のような問題がある。
(1)分割用溝は、焼成前のセラミックグリーンシートの積層体に切り刃で押圧して押圧溝を形成したり、焼成体にレーザ加工や、ダイシング加工等で分割用溝を形成したりする場合には、分割用溝の深さによっては内層に形成した導体配線や、めっき用導体配線を切断することがあり、電気的な導通が取れなくなっている。また、分割用溝は、深さを浅くすると、個片体にするときの分割性がわるくなり、正常な個片体の形状とすることができなくなる。
(2)分割用溝を焼成前のセラミックグリーンシートの積層体に切り刃で押圧溝を形成した後、焼成することで形成される分割用溝を有するセラミックパッケージは、近年のセラミックパッケージの外形寸法の小型化、厚みの肥大化と、これに反してのキャビティ部寸法の大型化によって、隣接するセラミックパッケージの間の狭い土手幅部に比較的深さの深い押圧溝を必要とするが、セラミックグリーンシートの積層体の土手幅部に押圧溝を形成するときに切り刃の進入によってキャビティ部側に土手部が押し出されて変形が発生し、焼成することで形成される分割用溝で分割するセラミックパッケージを正常な形状にすることが難しくなっている。
(3)分割用溝を焼成前のセラミックグリーンシートの積層体に切り刃で押圧溝を形成した後、焼成することで形成される分割用溝を有するセラミックパッケージは、キャビティ部の変形を防止するために、押圧溝の深さを浅くすると分割用溝の深さが浅くなり、分割用溝での分割が困難であったり、分割用溝で分割するセラミックパッケージを正常な形状にすることが難しくなっている。
(4)分割用溝を焼成前のセラミックグリーンシートの積層体にレーザ光を照射させて分割用レーザ溝を形成した後、焼成することで分割用溝を形成するセラミックパッケージの製造方法や、特開昭62−232187号公報、特開2010−73711号公報で開示されるセラミックパッケージの製造方法は、レーザ光を照射させて形成する分割用レーザ溝が溝長さ方向において同じ深さからなる穴が連続する一直線状となっており、分割用レーザ溝の深さを浅くすると分割用溝の分割性を確保することができなくなるために、分割用レーザ溝の深さをできるだけ深くするようにしている。しかしながら、この分割用レーザ溝は、全体の深さを深くし過ぎると積層体の内層の導体印刷パターンにレーザ光が到達する部分が発生し、この部分で導体配線の断線を引き起こしたり、導体金属の粒子の飛び散りによる積層体表面の異物付着や、導体配線の短絡を引き起こすこととなり、セラミックパッケージの不良品発生を引き起こす原因となっている。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、集合体から正常な個片体に分割できる分割用溝を有するセラミックパッケージ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的に沿う本発明に係るセラミックパッケージは、個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体と、集合体の外周囲にダミー部を設ける多数個取り基板に備える分割用溝で分割されてなるセラミックパッケージにおいて、個片体のセラミックパッケージに区分される分割用溝の少なくとも一方の主面側の少なくとも一つの区分内に分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、第1の分割用溝に連続させて第1の分割用溝より分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝を有すると共に、多数個取り基板における上面の第1の分割用溝の溝幅と、第2の分割用溝の溝幅が同一幅を有する。
【0011】
上記のセラミックパッケージは、第2の分割用溝の深さを第1の分割用溝の深さから10〜130μm有するのがよい。
【0012】
前記目的に沿う本発明に係るセラミックパッケージの製造方法は、個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体の外周囲にダミー部を設ける多数個取り基板に集合体から個片体にするための分割用溝を少なくとも一方の主面に設け、分割用溝に沿って分割して個片体を作製するセラミックパッケージの製造方法において、未焼結の複数枚のセラミックグリーンシートのそれぞれに孔開け成形加工と、導体金属印刷加工を行って導体印刷パターンを形成した後、それぞれのセラミックグリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら加圧して積層体を形成する工程と、積層体の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光を照射して、積層体の内層に設けられた導体印刷パターンの中の表層から最も近い第1の内層表面に備える導体印刷パターンに第1のレーザ光が到達しない深さの浅い第1の分割用レーザ溝と、第1の分割用レーザ溝に連続させて第1のレーザ光よりエネルギーを増加させる第2のレーザ光を照射して、照射口での溝幅が第1の分割用レーザ溝の溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用レーザ溝を第1の内層内に、又は前記第1の内層を超えて形成する工程と、第1、第2の分割用レーザ溝が形成された積層体を還元雰囲気中でセラミックグリーンシートと導体金属を同時焼成して導体配線と、個片体を区分する分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、これに連続させて分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝を設ける焼成体からなる多数個取り基板を形成する工程を有する。
【0013】
前記目的に沿う本発明に係るセラミックパッケージの製造方法は、個片体のセラミックパッケージが複数個配列する集合体の外周囲にダミー部を設ける多数個取り基板に集合体から個片体にするための分割用溝を少なくとも一方の主面に設け、分割用溝に沿って分割して個片体を作製するセラミックパッケージの製造方法において、未焼結の複数枚のセラミックグリーンシートのそれぞれに孔開け成形加工と、導体金属印刷加工を行って導体印刷パターンを形成した後、それぞれのセラミックグリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら加圧して積層体を形成する工程と、積層体を還元雰囲気中でセラミックグリーンシートと導体金属を同時焼成して導体配線を設ける焼成体を形成する工程と、焼成体の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光を照射して、焼成体の内層に設けられた導体配線の中の表層から最も近い第1の内層表面に備える導体配線に第1のレーザ光が到達しない深さの浅い第1の分割用溝と、第1の分割用溝に連続させて第1のレーザ光よりエネルギーを増加させる第2のレーザ光を照射して、照射口での溝幅が第1の分割用溝の溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用溝を第1の内層内に、又は第1の内層を超えて設ける多数個取り基板を形成する工程を有する。
【発明の効果】
【0014】
上記のセラミックパッケージは、個片体のセラミックパッケージに区分される分割用溝の少なくとも一方の主面側の少なくとも一つの区分内に分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、第1の分割用溝に連続させて第1の分割用溝より分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝を有すると共に、多数個取り基板における上面の第1の分割用溝の溝幅と、第2の分割用溝の溝幅が同一幅を有するので、セラミックパッケージのキャビティ部の変形を防止すると共に、内層の導体配線に断線等の不具合を与えることのない分割用溝で分割でき、所望する正常な形状のセラミックパッケージを提供できる。また、分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、これに連続する分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝との多数個取り基板における上面の溝幅が同一幅であるので、個片体の外形形状を損なうことなく分割用溝で分割できる正常な形状のセラミックパッケージを提供できる。
【0015】
特に、上記のセラミックパッケージは、第2の分割用溝の深さを第1の分割用溝の深さから10〜130μm有するので、分割用溝の深さを浅くして分割性が低下した第1の分割用溝の分割性を、第1の分割用溝に連続する分割用溝の深さを深くして分割性に優れるようにした第2の分割用溝で補って、セラミックパッケージの厚みの薄いものから厚いものまでの分割用溝の分割性を確保しながら分割用溝で分割できる正常な形状のセラミックパッケージを提供できる。
【0016】
上記のセラミックパッケージの製造方法は、未焼結の複数枚のセラミックグリーンシートのそれぞれに孔開け成形加工と、導体金属印刷加工を行って導体印刷パターンを形成した後、それぞれのセラミックグリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら加圧して積層体を形成する工程と、積層体の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光を照射して、積層体の内層に設けられた導体印刷パターンの中の表層から最も近い第1の内層表面に備える導体印刷パターンに第1のレーザ光が到達しない深さの浅い第1の分割用レーザ溝と、第1の分割用レーザ溝に連続させて第1のレーザ光よりエネルギーを増加させる第2のレーザ光を照射して、照射口での溝幅が第1の分割用レーザ溝の溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用レーザ溝を第1の内層内に、又は前記第1の内層を超えて形成する工程と、第1、第2の分割用レーザ溝が形成された積層体を還元雰囲気中でセラミックグリーンシートと導体金属を同時焼成して導体配線と、個片体を区分する分割用溝の深さを浅くする第1の分割用溝と、これに連続させて分割用溝の深さを深くする第2の分割用溝を設ける焼成体からなる多数個取り基板を形成する工程を有するので、レーザ光によって積層体に歪みを残すことなく分割用レーザ溝が容易に形成でき、焼成後のセラミックパッケージのキャビティ部の変形を防止できると共に、レーザ光によって深さに段差を設ける分割用レーザ溝が容易に形成でき、焼成後の内層の導体配線に断線等の不具合を与えることのない分割用溝で分割できる正常な形状の個片体を容易に得ることができるセラミックパッケージの製造方法を提供できる。また、深さを浅くする第1の分割用レーザ溝と、これに連続する深さを深くする第2の分割用レーザ溝との上面における溝幅が同一幅であるので、焼成後の個片体の外形形状を損なうことなく分割用溝で分割できる正常な形状のセラミックパッケージの製造方法を提供できる。
【0017】
上記のセラミックパッケージの製造方法は、未焼結の複数枚のセラミックグリーンシートのそれぞれに孔開け成形加工と、導体金属印刷加工を行って導体印刷パターンを形成した後、それぞれのセラミックグリーンシートを重ね合わせ、加熱しながら加圧して積層体を形成する工程と、積層体を還元雰囲気中でセラミックグリーンシートと導体金属を同時焼成して導体配線を設ける焼成体を形成する工程と、焼成体の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光を照射して、焼成体の内層に設けられた導体配線の中の表層から最も近い第1の内層表面に備える導体配線に第1のレーザ光が到達しない深さの浅い第1の分割用溝と、第1の分割用溝に連続させて第1のレーザ光よりエネルギーを増加させる第2のレーザ光を照射して、照射口での溝幅が第1の分割用溝の溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用溝を第1の内層内に、又は第1の内層を超えて設ける多数個取り基板を形成する工程を有するので、レーザ光によって焼成体に歪みを残すことなく分割用溝が容易に形成でき、セラミックパッケージのキャビティ部の変形を防止できると共に、レーザ光によって深さに段差を設ける分割用溝が容易に形成でき、焼成体の内層の導体配線に断線等の不具合を与えることのない分割用溝で分割できる正常な形状の個片体を容易に得ることができるセラミックパッケージの製造方法を提供できる。また、深さを浅くする第1の分割用溝と、これに連続する深さを深くする第2の分割用溝との上面における溝幅が同一幅であるので、焼成体の個片体の外形形状を損なうことなく分割用溝で分割できる正常な形状のセラミックパッケージの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)〜(C)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係るセラミックパッケージ集合体と、その外周にダミー部を備える多数個取り基板の斜視図、A−A’線拡大縦断面図、B−B’線拡大縦断面図である。
【
図2】(A)〜(D)はそれぞれ同セラミックパッケージの製造方法の説明図である。
【
図3】(A)〜(D)はそれぞれ同セラミックパッケージの他の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施するための形態について説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)〜(C)に示すように、本発明の一実施の形態に係るセラミックパッケージ10は、セラミック基板の多層構造からなる個片体のセラミックパッケージ10がマトリックス状に複数個配列する集合体20と、この集合体20の外周囲にダミー部21を設ける多数個取り基板22から形成されるようになっている。そして、セラミックパッケージ10は、多数個取り基板22の縦方向と、これと直交する横方向に碁盤の目のように備える断面視してV字状の分割用溝11で分割されてなっている。このセラミックパッケージ10は、アルミナ(Al
2O
3)や、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックにタングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の導体金属で様々なパターンからなる導体配線12を設けた形態からなり、半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品13の収納部であるキャビティ部14に電子部品13を実装し、蓋体(図示せず)を接合させて電子部品13をキャビティ部14内に中空状態で気密に封止するためのものである。
【0020】
この個片体のセラミックパッケージ10は、多数個取り基板22の中でダミー部21と集合体20、及び集合体20の中で個片体にするために設けられている分割用溝11の少なくとも一方の主面側の少なくとも一つの個片体に区分する区分内に、この分割用溝11の深さを浅くする第1の分割用溝11aを有している。また、この個片体のセラミックパッケージ10は、第1の分割用溝11aに連続させて第1の分割用溝11aより分割用溝11の深さを深くする第2の分割用溝11bを有している。これと共に、この個片体のセラミックパッケージ10は、平面視する多数個取り基板22における上面の第1の分割用溝11aの溝幅と、第2の分割用溝11bの溝幅が同一幅からなる分割用溝11を有している。
【0021】
なお、上記の第1の分割用溝11aの深さは、特に、その深さを限定するものではないが、これが設けられた部位の内層の第1の導体配線12aを第1の分割用溝11aで断線しているものであってはならない。また、上記の第2の分割用溝11bの深さは、特に、その深さを限定するものではないが、これが設けられた部位の内層の第2の導体配線12bを第2の分割用溝11bで断線しているものであってはならない。
【0022】
上記のセラミックパッケージ10は、第2の分割用溝11bの深さが第1の分割用溝11aの深さから10〜130μm深い深さを有しているのがよい。この第2の分割用溝11bの深さは、第1の分割用溝11aの深さから10μmを下まわる場合には、多数個取り基板22としての分割用溝11としての分割性が得られなくなり、集合体20からの正常な個片体のセラミックパッケージ10の形状が保てなくなっている。特に、第1の分割用溝11aの深さが浅く、セラミックパッケージ10の厚みが厚いときには、多数個取り基板22としての分割用溝11の分割性が極端に悪くなり、集合体20からの正常な個片体のセラミックパッケージ10の形状が保てなくなっている。また、第2の分割用溝11bの深さは、第1の分割用溝11aの深さから130μmを超える場合には、分割用溝11として分割する前に分割用溝11の破壊が発生し、集合体20からの正常な個片体のセラミックパッケージ10の形状が保てなくなっている。
【0023】
次に、
図2(A)〜(D)を参照しながら、上記のセラミックパッケージ10の製造方法を説明する。
このセラミックパッケージ10の製造方法では、個片体のセラミックパッケージ10が複数個配列する集合体20の外周囲にダミー部21を設ける多数個取り基板22に、集合体20から個片体のセラミックパッケージ10にするための分割用溝11を少なくとも一方の主面に設けるようになっている。そして、セラミックパッケージ10の製造方法では、碁盤の目のように設けられたこの分割用溝11に沿って分割することで、個片体のセラミックパッケージ10が作製されるようになっている。
【0024】
図2(A)に示すように、このセラミックパッケージ10の製造方法では、未焼結の複数枚のセラミックグリーンシート30が用いられている。このセラミックグリーンシート30を、例えば、アルミナを用いて作製する場合には、アルミナ粉末にマグネシア、シリカ、カルシア等の焼結助剤を適当量加えた粉末を準備し、この粉末にアジピン酸ジオクチル、トリメリクト酸トリオクチル等の可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダー、及び、トルエン、キシレン、アルコール類等の溶剤を加え、十分に混練した後、脱泡して粘度2000〜40000cpsのスラリーとしている。そして、スラリーは、ドクターブレード法等によって、例えば、厚さ0.25mmのシート状に形成し、更に、適当な大きさにカットして複数枚のセラミックグリーンシート30としている。このセラミックグリーンシート30は、個片体のセラミックパッケージ10がマトリックス状に多数個配列する集合体20と、集合体20の外周囲にダミー部21が形成できるような大きさとなっている。
【0025】
このセラミックパッケージ10の製造方法では、図示しないが、それぞれのセラミックグリーンシート30の所定位置に、複数個の個片体のセラミックパッケージ10用としての上下層の電気的導通を形成するためのビア導体用貫通孔や、電子部品13を搭載するためのキャビティ部14用の貫通孔等を打抜き金型や、パンチングマシーン等を用いて穿設する孔開け成形加工を行っている。次いで、それぞれのセラミックグリーンシート30には、タングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属からなる導体ペーストを用いるスクリーン印刷で、図示しないがビア導体用貫通孔への充填や、表面への導体パッドや、導体配線12等のパターン形成の導体金属印刷加工を行って導体印刷パターン31を形成している。そして、
図2(B)に示すように、このセラミックパッケージ10の製造方法では、それぞれのセラミックグリーンシート30を所定の順序に重ね合わせ、所定の温度で加熱しながら、所定の圧力で加圧して積層し、積層体32を形成する工程を有している。
【0026】
次に、
図2(C)に示すように、セラミックパッケージ10の製造方法では、積層体32の少なくとも一方の主面にレーザ光33を照射することで分割用レーザ溝34を形成するようになっている。このレーザ光33は、特に、その種類を限定するものではないが、汎用のマーキング用等として用いられるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)や、小文字のマーキング用等として用いられるYVO
4(イットリウム・バナデイト)、あるいは炭酸ガスレーザー等からなるレーザ光33を用いることができる。そして、セラミックパッケージ10の製造方法では、積層体32の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光33aを照射して、積層体32の内層に設けられた導体印刷パターン31の中の表層から最も近い第1の内層35表面に備える導体印刷パターン31に第1のレーザ光33aが到達しない深さの浅い第1の分割用レーザ溝34aを形成する工程を有している。更に、この第1の分割用レーザ溝34aに連続させて、セラミックパッケージ10の製造方法では、第1のレーザ光33aよりエネルギーを増加させる第2のレーザ光33bを照射して、照射口での溝幅が第1の分割用レーザ溝34aの溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用レーザ溝34bを第1の内層35内に、又は第1の内層35を超えて形成する工程を有している。
【0027】
なお、上記の第1のレーザ光33aと、第2のレーザ光33bは、その照射の順序を限定するものではなく、例えば、第2のレーザ光33bの照射が先で、これに連続させて第1のレーザ光33aを照射するものであってもよい。また、第1の内層35は、
図2(C)では、第1の内層35を最上層から2番目の層として示しているが、これに限定されるものではなく、最上層から3層目、あるいはこれ以上の層に存在する場合がある。更に、上記の第1の分割用レーザ溝34aと、第2の分割用レーザ溝34bは、その深さを変更させる方法を限定するものではないが、レーザ光33を照射するときのエネルギーを変更させることで第1の分割用レーザ溝34aの溝幅と、第2の分割用レーザ溝34bの照射口での溝幅を変更させることなく容易にそれぞれの深さを変更させることができる。そして、このレーザ光33を照射するときのエネルギーの変更は、例えば、レーザ装置の出力、周波数、レンズ焦点距離、入射光の倍率、走査回数、走査速度、アパーチャ径等のいずれか1つ、又は複数を調整させることで容易に行うことができる。
【0028】
次に、
図2(D)に示すように、セラミックパッケージ10の製造方法では、第1の分割用レーザ溝34aと、第2の分割用レーザ溝34bが形成された積層体32を還元雰囲気中の1550℃程度の温度でセラミックグリーンシート30と、導体金属を同時焼成している。そして、セラミックパッケージ10の製造方法では、導体配線11と、個片体のセラミックパッケージ10として区分する分割用溝11の深さを浅くする第1の分割用溝11aと、これに連続させて分割用溝11の深さを第1の分割用溝11aの深さより深くする第2の分割用溝11bを設ける焼成体36からなる多数個取り基板22を形成する工程を有している。この焼成体36は、焼成によって積層体32から約30%程度収縮した大きさになっている。なお、この焼成体36には、外部に露出する金属部分にNiめっき被膜及びAuめっき被膜を形成した後、分割用溝11で分割して個片体のセラミックパッケージ10としている。
【0029】
上記のセラミックパッケージ10の製造方法では、レーザ光33によって積層体32に歪みを残すことなく分割用レーザ溝34が形成でき、焼成後のセラミックパッケージ10の変形を防止できると共に、レーザ光33によって深さに段差を設ける第1、第2の分割用レーザ溝34a、34bが容易に形成でき、焼成後の内層の第1、第2の導体配線12a、12bに断線等の不具合を与えることのない第1、第2の分割用溝11a、11bで分割できる正常な形状の個片体のセラミックパッケージ10を容易に得ることができる。また、このセラミックパッケージ10の製造方法では、深さを浅くする第1の分割用レーザ溝34aと、これに連続する第1の分割用レーザ溝34aの深さより深さを深くする第2の分割用レーザ溝34bとの上面における溝幅が同一幅であるので、焼成後の個片体の外形形状を損なうことなく分割用溝11で分割できる正常な形状のセラミックパッケージ10を容易に得ることができる。
【0030】
次に、
図3(A)〜(D)を参照しながら、前記のセラミックパッケージ10の他の製造方法を説明する。
このセラミックパッケージ10の他の製造方法では、上記のセラミックパッケージ10の製造方法の場合と同様に、個片体のセラミックパッケージ10が複数個配列する集合体20の外周囲にダミー部21を設ける多数個取り基板22に、集合体20から個片体のセラミックパッケージ10にするための分割用溝11を少なくとも一方の主面に設けるようになっている。そして、セラミックパッケージ10の他の製造方法では、上記のセラミックパッケージ10の製造方法の場合と同様に、碁盤の目のように設けられたこの分割用溝11に沿って分割することで、個片体のセラミックパッケージ10が作製されるようになっている。
【0031】
図3(A)に示すように、このセラミックパッケージ10の他の製造方法では、上記のセラミックパッケージ10の製造方法の場合と同様にして作製された、未焼結の複数枚のセラミックグリーンシート30が用いられている。そして、上記のセラミックパッケージ10の製造方法の場合と同様に、このセラミックグリーンシート30は、個片体のセラミックパッケージ10がマトリックス状に多数個配列する集合体20と、集合体20の外周囲にダミー部21が形成できるような大きさとなっている。
【0032】
このセラミックパッケージ10の他の製造方法では、図示しないが、上記のセラミックパッケージ10の製造方法の場合と同様に、それぞれのセラミックグリーンシート30の所定位置に、複数個の個片体のセラミックパッケージ10用としての上下層の電気的導通を形成するためのビア導体用貫通孔や、電子部品13を搭載するためのキャビティ部14用の貫通孔等を打抜き金型や、パンチングマシーン等を用いて穿設する孔開け成形加工を行っている。そして、それぞれのセラミックグリーンシート30には、タングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属からなる導体ペーストを用いるスクリーン印刷で、図示しないがビア導体用貫通孔への充填や、表面への導体パッドや、導体配線12等のパターン形成の導体金属印刷加工を行って導体印刷パターン31を形成している。そして、
図3(B)に示すように、このセラミックパッケージ10の他の製造方法では、上記のセラミックパッケージ10の製造方法の場合と同様に、それぞれのセラミックグリーンシート30を所定の順序に重ね合わせ、所定の温度で加熱しながら、所定の圧力で加圧して積層し、積層体32を形成する工程を有している。
【0033】
次に、
図3(C)に示すように、セラミックパッケージ10の他の製造方法では、上記の積層体32を還元雰囲気中の1550℃程度の温度でセラミックグリーンシート30と、導体金属を同時焼成して焼成体36を形成する工程を有している。この焼成体36は、焼成によって導体印刷パターン31を導体配線12とすると共に、セラミックグリーンシート30が収縮して積層体32の大きさが約30%程度収縮した大きさとなっている。
【0034】
そして、
図3(D)に示すように、セラミックパッケージ10の他の製造方法では、焼成体36の少なくとも一方の主面にレーザ光33を照射することで分割用溝11を形成するようになっている。このレーザ光33は、特に、その種類を限定するものではないが、汎用のマーキング用等として用いられるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)や、小文字のマーキング用等として用いられるYVO
4(イットリウム・バナデイト)や、炭酸ガスレーザー等からなるレーザ光33を用いることができる。そして、セラミックパッケージ10の他の製造方法では、焼成体36の少なくとも一方の主面に第1のレーザ光33aを照射して、焼成体36の内層に設けられた導体配線12の中の表層から最も近い第1の内層35表面に備える第1の導体配線12aに第1のレーザ光33aが到達しない深さの浅い第1の分割用溝11aを形成する工程を有している。更に、この第1の分割用溝11aに連続させて、セラミックパッケージ10の他の製造方法では、第1のレーザ光33aよりエネルギーを増加させる第2のレーザ光33bを照射して、照射口での溝幅が第1の分割用溝11aの溝幅と同一幅で、且つ深さを深くする第2の分割用溝11bを第1の内層35内に、又は第1の内層35を超えて設ける多数個取り基板22を形成する工程を有している。そして、多数個取り基板22には、外部に露出する金属部分にNiめっき被膜及びAuめっき被膜を形成した後、分割用溝11で分割して個片体のセラミックパッケージ10としている。
【0035】
なお、上記の第1のレーザ光33aと、第2のレーザ光33bは、その照射の順序を限定するものではなく、例えば、第2のレーザ光33bの照射が先で、これに連続させて第1のレーザ光33aを照射するものであってもよい。また、第1の内層35は、
図3(C)では、第1の内層35を最上層から2番目の層として示しているが、これに限定されるものではなく、最上層から3層目、あるいはこれ以上の層に存在する場合がある。更に、上記の第1の分割用溝11aと、第2の分割用溝11bは、その深さを変更させる方法を限定するものではないが、レーザ光33を照射するときのエネルギーを変更させることで第1の分割用溝11aの溝幅と、第2の分割用溝11bの照射口での溝幅を変更させることなく容易にそれぞれの深さを変更させることができる。そして、このレーザ光33を照射するときのエネルギーの変更は、例えば、レーザ装置の出力、周波数、レンズ焦点距離、入射光の倍率、走査回数、走査速度、アパーチャ径等のいずれか1つ、又は複数を調整させることで容易に行うことができる。
【0036】
上記のセラミックパッケージ10の他の製造方法では、レーザ光33によって焼成体36に歪みを残すことなく分割用溝11が形成でき、セラミックパッケージ10の変形を防止できると共に、レーザ光33によって深さに段差を設ける第1、第2の分割用溝11a、11bが容易に形成でき、焼成体の内層の第1、第2の導体配線12a、12bに断線等の不具合を与えることのない第1、第2の分割用溝11a、11bで分割できる正常な形状の個片体のセラミックパッケージ10を容易に得ることができる。また、このセラミックパッケージ10の他の製造方法では、深さを浅くする第1の分割用溝11aと、これに連続する第1の分割用溝11aの深さより深さを深くする第2の分割用溝11bとの上面における溝幅が同一幅であるので、個片体の外形形状を損なうことなく分割用溝11で分割できる正常な形状のセラミックパッケージ10を容易に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のセラミックパッケージ、及びその製造方法で作製されるセラミックパッケージは、導体配線の断線がなく、所望するキャビティ部形状内に正確に搭載させる半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品を正常に作動させることができ、所望する外形形状でボード等の実装用配線基板に実装密度を上げて実装でき、携帯電話や、パソコン等の様々な電子装置に組み込んで用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
10:セラミックパッケージ、11:分割用溝、11a:第1の分割用溝、11b:第2の分割用溝、12:導体配線、12a:第1の導体配線、12b:第2の導体配線、13:電子部品、14:キャビティ部、20:集合体、21:ダミー部、22:多数個取り基板、30:セラミックグリーンシート、31:導体印刷パターン、32:積層体、33:レーザ光、33a:第1のレーザ光、33b:第2のレーザ光、34:分割用レーザ溝、34a:第1の分割用レーザ溝、34b:第2の分割用レーザ溝、35:第1の内層、36:焼成体