【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は光学素子に関する。用語「光学素子」は、意図された1つ以上の機能を示す、あらゆる種類の光学機器、光学部品または光学装置などを意味する。例えば、前記光学素子は、シートまたはフィルムの形態を有することができる。前記光学素子は、例えば、入射光を互いに偏光状態が異なる2種類以上の光に分割することができる素子とすることができる。
【0008】
光学素子は液晶層を含む。光学素子に含まれる液晶層は、下記一般式1の条件を満足することができる。
【0009】
[一般式1]
X<8%
【0010】
一般式1において、Xは前記液晶層の初期位相差値対して前記液晶層を80℃で100時間または250時間放置した後の前記液晶層の位相差値の変化量の絶対値の百分率である。
【0011】
前記Xは、例えば、「100×(|R
0−R
1|)/R
0」で計算される。前記において、R
0は、前記液晶層の初期位相差値であって、R
1は前記液晶層を80℃で100時間または250時間放置した後の前記液晶層の位相差値を意味する。前記Xは、例えば、7%以下、6%以下または5%以下とすることができる。前記位相差値の変化量は下記実施例で提示した方法で測定することができる。
【0012】
一例として、液晶層は、面内の遅相軸方向の屈折率と面内の進相軸方向の屈折率の差が0.05〜0.2、0.07〜0.2、0.09〜0.2または0.1〜0.2の範囲とすることができる。面内の遅相軸方向の屈折率は、液晶層の平面において最も高い屈折率を示す方向の屈折率を意味し、進相軸方向の屈折率は、液晶層の平面上において最も低い屈折率を示す方向の屈折率を意味する。通常に光学異方性の液晶層において進相軸と遅相軸は互いに垂直する方向に形成される。前記のそれぞれの屈折率は、550nmまたは589nmの波長の光に対して測定した屈折率とすることができる。前記屈折率の差は、例えば、Axomatrix社のAxoscanを利用して製造社のマニュアルに従って測定することができる。
【0013】
液晶層は、また、厚さが約0.5〜2.0μmまたは約0.5〜1.5μmとすることができる。
【0014】
前記屈折率の関係と厚さを有する液晶層は、適用される用途に適合な位相遅延特性を実現することができる。一例として前記屈折率の関係と厚さを有する液晶層は、光分割用光学素子に適合することができる。
【0015】
液晶層は、重合性液晶化合物を含むことができる。例えば、液晶層は重合性液晶化合物を重合した形態で含むことができる。用語「重合性液晶化合物」は、液晶性を示す部位、例えば、メソゲン(mesogen)骨格などを含み、また重合性官能基を1つ以上含む化合物を意味する。また、「重合性液晶化合物が重合された形態で含まれること」は前記液晶化合物が重合されて液晶層内で液晶高分子の骨格を形成している状態を意味する。
【0016】
液晶層は、また重合性液晶化合物を非重合された状態で含むか、または重合性非液晶化合物、安定剤、比重合性非液晶化合物または開始剤などの公知の添加剤をさらに含むことができる。
【0017】
一例として液晶層に含まれる重合性液晶化合物は、多官能性重合性液晶化合物と単官能性重合性液晶化合物を含むことができる。
【0018】
用語「多官能性重合性液晶化合物」は、前記液晶化合物から重合性官能基を2個以上含む化合物を意味する。一例として多官能性重合性液晶化合物は重合性官能基を2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜5個、2〜4個、2〜3個または2個を含むことができる。また、用語「単官能性重合性液晶化合物」は、前記液晶化合物から1つの重合性官能基を含む化合物を意味する。
【0019】
多官能性及び単官能性重合性化合物を一緒に使用すると、液晶層の位相遅延特性を効果的に調節することができ、また実現された位相遅延特性、例えば、位相遅延層の光軸や位相遅延値を安定的に維持することができる。用語「光軸」は、光が該当領域を透過する際の遅相軸または進相軸を意味する。
【0020】
液晶層は、単官能性重合性液晶化合物を、多官能性重合性液晶化合物を100重量部に対して0重量部を超え100重量部以下、1〜90重量部、1〜80重量部、1〜70重量部、1〜60重量部、1〜50重量部、1〜30重量部または1〜20重量部に含むことができる。
【0021】
前記範囲内において多官能性及び単官能性重合性液晶化合物の混合効果を極大化することができ、また、前記液晶層が前記接着剤層と優れた接着性を示すことができる。本明細書において、特に規定しない限り、単位「重量部」は重量の比率を意味する。
【0022】
一例として前記多官能性または単官能性重合性液晶化合物は、下記化学式1に示す化合物とすることができる。
【0023】
【化1】
【0024】
化学式1において、Aは単一結合、−COO−または−OCO−であって、R
1ないしR
10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であるか、R
1ないしR
5に隣接する一対の2個の置換基またはR
6ないしR
10に隣接する一対の2個の置換基は互いに連結されて−O−Q−Pに置換されたベンゼンを形成するが、R
1ないしR
10のうちの少なくとも1つは−O−Q−Pまたは下記化学式2の置換基であるか、R
1ないしR
5に隣接する2個の置換基またはR
6ないしR
10に隣接する2個の置換基のうちの少なくとも一対は互いに連結されて−O−Q−Pに置換されたベンゼンを形成し、前記においてQはアルキレン基またはアルキリデン基であって、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0025】
【化2】
【0026】
化学式2において、Bは単一結合、−COO−または−OCO−であって、R
11ないしR
15は、それぞれ独立的に、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基または−O−Q−Pであるか、R
11ないしR
15に隣接する一対の2個の置換基は互いに連結されて−O−Q−Pに置換されたベンゼンを形成するが、R
11ないしR
15のうちの少なくとも1つが−O−Q−Pであるか、R
11ないしR
15に隣接する一対の2個の置換基は互いに連結されて−O−Q−Pに置換されたベンゼンを形成し、前記においてQは、アルキレン基またはアルキリデン基であって、Pは、アルケニル基、エポキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの重合性官能基である。
【0027】
化学式1及び2で隣接する2個の置換基が互いに連結されて−O−Q−Pに置換されたベンゼンを形成するということは、隣接する2個の置換基が互いに連結されて全体的に−O−Q−Pに置換されたナフタリン骨格を形成することを意味する。
化学式2においてBの左側の「−」は、Bが化学式1のベンゼンに直接連結されることを意味する。
【0028】
化学式1及び2で用語「単一結合」は、AまたはBに表示される部分に別の原子が存在しない場合を意味する。例えば、化学式1でAが単一結合の場合、Aの両側のベンゼンが直接連結されてビフェニル(biphenyl)構造を形成することができる。
【0029】
化学式1及び2でハロゲンとしては、例えば、塩素、ブロムまたはヨードなどが例示されることができる。
【0030】
用語「アルキル基」は、特に規定しない限り、例えば、炭素数1ないし20、炭素数1ないし16、炭素数1ないし12、炭素数1ないし8または炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖アルキル基を意味するか、または、例えば、炭素数3ないし20、炭素数3ないし16または炭素数4ないし12のシクロアルキル基を意味する。前記アルキル基は任意に1つ以上の置換基で置換されることができる。
【0031】
用語「アルコキシ基」は、特に規定しない限り、例えば、炭素数1ないし20、炭素数1ないし16、炭素数1ないし12、炭素数1ないし8または炭素数1ないし4のアルコキシ基を意味する。前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖または環状とすることができる。また、前記アルコキシ基は任意に1つ以上の置換基で置換されることができる。
【0032】
用語「アルキレン基」または「アルキリデン基」は、特に規定しない限り、例えば、炭素数1ないし12、炭素数4ないし10または炭素数6ないし9のアルキレン基またはアルキリデン基を意味する。前記アルキレン基またはアルキリデン基は、例えば、直鎖、分枝鎖または環状とすることができる。また、前記アルキレン基またはアルキリデン基は任意に1つ以上の置換基で置換されることができる。
【0033】
用語「アルケニル基」は、特に規定しない限り、例えば、炭素数2ないし20、炭素数2ないし16、炭素数2ないし12、炭素数2ないし8または炭素数2ないし4のアルケニル基を意味する。前記アルケニル基は、例えば、直鎖、分枝鎖または環状とすることができる。また、前記アルケニル基は任意に1つ以上の置換基で置換されることができる。
【0034】
化学式1及び2でPは、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であるか、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基とすることができ、他の例示ではアクリロイルオキシ基とすることができる。
【0035】
本明細書において、特定官能基で置換されうる置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エポキシ基、ヨード基、オキセタニル基、チオール基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基またはアリール基などが例示されるが、これに限定されない。
【0036】
化学式1及び2で少なくとも1つ以上存在しうる−O−Q−Pまたは化学式2の残基は、例えば、R
3、R
8またはR
13の位置に存在することができる。また、互いに連結されて−O−Q−Pに置換されたベンゼンを構成する置換基は、例えば、R
3及びR
4であるか、またはR
12及びR
13とすることができる。化学式1の化合物または化学式2の残基において−O−Q−Pまたは化学式2の残基以外の置換基または互いに連結されてベンゼンを形成している置換基以外の置換基は、例えば、水素、ハロゲン、炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖のアルキル基、炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、炭素数4ないし12のシクロアルキル基、炭素数1ないし4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基とすることができ、他の例示では、塩素、炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖のアルキル基、炭素数4ないし12のシクロアルキル基、炭素数1ないし4のアルコキシ基、炭素数1ないし4の直鎖または分枝鎖アルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基またはシアノ基とすることができる。
【0037】
重合性液晶化合物は水平配向された状態で液晶層に含まれることができる。一例として重合性液晶化合物は、水平配向状態で重合されて液晶層に含まれることができる。用語「水平配向」は、液晶化合物を含む液晶層の光軸が液晶層の平面に対して約0〜約25度、約0〜15度、約0〜10度、約0〜5度または約0度の傾斜角度を有する場合を意味する。
【0038】
液晶層は、入射光、例えば前記偏光子を介して入射された光を互いに異なる偏光状態を有する2種以上の光に分割するように形成することができる。そのために、例えば、液晶層は、互いに異なる位相遅延特性を有する第1及び第2領域を含むことができる。本明細書において「第1領域と第2領域の位相遅延特性が互いに異なるということ」は、第1及び第2領域が両方とも位相遅延特性を有する領域の状態で第1及び第2領域が互いに同一であるかまたは相違する方向に形成される光軸を有し、また位相遅延数値も互いに異なる領域の場合及び互いに同一位相遅延数値を有しながら相違する方向に形成される光軸を有する場合が含まれる。他の例示では、「第1及び第2領域の位相遅延特性が相違するということ」は、第1及び第2領域のうちのいずれか1つの領域は位相遅延特性を有する領域であって、他の領域は位相遅延特性がない光学的に等方性である領域の場合も含まれる。このような場合の例としては、液晶層が液晶化合物を含む領域と含まない領域をすべて有する形態とすることができる。第1または第2領域の位相遅延特性は、例えば、液晶化合物の配向状態、液晶層の屈折率関係または液晶層の厚さを調節して制御することができる。
【0039】
第1領域(A)と第2領域(B)は、例えば、
図1のように、互いに共通方向に延長するストライプ状に隣接して交代に配置されるか、または
図3のように、格子パターンに互いに隣接して交代に配置されることができる。
【0040】
光学素子が立体映像を表示するものとして用いる場合、前記第1及び第2領域のうちのいずれか1つの領域は左眼用映像信号偏光調節領域(以下、「LC領域」と称する。)であって、他の1つの領域は右眼用映像信号偏光調節領域(以下、「RC領域」と称する。)とすることができる。
【0041】
第1及び第2領域を含む液晶層によって分割される、互いに異なる偏光状態を有する2種以上の光は、例えば、実質的に互いに垂直する方向を有する直線偏光された2種の光を含むか、または左円偏光された光及び右円偏光された光を含むことができる。
【0042】
本明細書において角度を定義しながら、垂直、水平、直交または平行などの用語を用いる場合、特に規定しない限り、前記のそれぞれは実質的な垂直、水平、直交、または平行を意味することで、例えば、製造誤差(error)または偏差(variation)などを勘案した誤差を含むものである。したがって、例えば、前記のそれぞれの場合、約±15度以内の誤差、約±10度以内の誤差または約±5度以内の誤差を含むことができる。
【0043】
一例として、第1及び第2領域のうちのいずれか1つの領域は、入射光の偏光軸を回転させずにそのまま透過する領域であって、他の領域は、入射光の偏光軸を他の領域を透過した光の偏光軸に対して直交する方向に回転させて透過させることができる領域とすることができる。このような場合には、前記液晶層で重合性液晶化合物を含む領域は、第1及び第2領域のうちのいずれか1つの領域だけに形成されることができる。前記において液晶層が形成されない領域は、空いた空間であるか、グラスまたは光学的等方性である樹脂層または樹脂フィルムまたはシートが形成されたものとすることができる。他の例において、第1及び第2領域のうちのいずれか1つの領域は、入射光を左円偏光された光に変換して透過させることができる領域であって、他の領域は、入射光を右円偏光された光に変換して透過させることができる領域とすることができる。この場合、前記第1及び第2領域は互いに同一位相遅延数値を示せながら互いに異なる方向に形成された光軸を有する領域であるか、1つの領域は入射された光をその波長の1/4波長ほど遅延させることができる領域であって、他の1つの領域は入射された光をその波長の3/4波長ほど位相遅延させることができる領域とすることができる。
【0044】
一例として、第1及び第2領域は、互いに同一位相遅延数値、例えば入射された光をその波長の1/4波長ほど位相遅延させることができる値を有し、また互いに異なる方向に形成される光軸を有する領域とすることができる。前記に互いに異なる方向に形成される光軸がなす角度は、例えば約90度とすることができる。
【0045】
第1及び第2領域が互いに異なる方向に形成される光軸を有する領域の場合、第1及び第2領域の光軸のなす角度を二等分する線は、後述する光学素子に含まれる偏光子の吸収軸と垂直または水平をなすように形成されることができる。
【0046】
図3は、
図1または
図2に示す第1及び第2領域(A、B)が互いに異なる方向に形成された光軸を有する領域の場合の光軸の配置を説明するための例示的な図である。
図3を参照すると、第1及び第2領域(A、B)の光軸のなす角度を二等分する線は、(θ1+θ2)の角度を二等分する線を意味する。例えば、θ1及びθ2が同一角度であると、前記二等分線は、第1及び第2領域(A、B)の境界線(L)と水平をなす方向に形成されることができる。また、前記において第1及び第2領域の光軸のなす角度、すなわち(θ1+θ2)は、例えば、90度とすることができる。
【0047】
光学素子は基材層をさらに含むことができる。基材層をさらに含むと、前記液晶層は前記基材層の一面に形成されることができる。基材層は、単層または多層構造とすることができる。
【0048】
基材層としては、例えば、ガラス基材層またはプラスチック基材層を用いることができる。プラスチック基材層としては、TAC(triacetyl cellulose)またはDAC(diacetyl cellulose)などのようなセルロース樹脂;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin polymer);PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリル樹脂;PC(polycarbonate);PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)などのポリオレフィン;PVA(polyvinyl alcohol);PES(poly ether sulfone);PEEK(polyetheretherketon);PEI(polyetherimide);PEN(polyethylenemaphthatlate);PET(polyethyleneterephtalate)などのポリエステル;PI(polyimide);PSF(polysulfone);またはフッ素樹脂などを含むシートまたはフィルムが例示される。
【0049】
基材層、例えば、プラスチック基材層は、前記液晶層に比べて低い屈折率を有することができる。例示的な基材層の屈折率は、約1.33〜1.53の範囲である。基材層が液晶層に比べて低い屈折率を有すると、例えば、輝度向上、反射防止及びコントラスト特性向上などに有利である。
【0050】
プラスチック基材層は、光学的に等方性であるか、あるいは異方性とすることができる。基材層が光学的に異方性の場合、基材層の光軸は前述の第1及び第2領域の光軸のなす角度を二等分する線と垂直または水平になるように配置されることができる。
【0051】
基材層は、紫外線遮断剤または紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線遮断剤または吸収剤を基材層に含ませると、紫外線による液晶層の劣化などを防止することができる。紫外線遮断剤または吸収剤としては、サリチル酸エステル(salicylic acid ester)化合物、ベンゾフェノン(benzophenone)化合物、オキシベンゾフェノン(oxybenzophenone)化合物、ベンゾトリアゾール(benzotriazol)化合物、シアノアクリレート(cyanoacrylate)化合物またはベンゾエート(benzoate)化合物などのような有機物または酸化亜鉛(zinc oxide)またはニッケル錯塩(nickel complex salt)などのような無機物が例示される。基材層内の紫外線遮断剤または吸収剤の含量は特に限定されないが、目的効果を考慮して適切に選択することができる。例えば、プラスチック基材層の製造過程において前記紫外線遮断剤または吸収剤を、基材層の主材料に対する重量比率で約0.1〜25重量%位に含ませることができる。
【0052】
基材層の厚さは特に限定されないが、目的する用途によって適切に調節することができる。
【0053】
例示的な光学素子は、基材層と液晶層との間に配向層をさらに含むことができる。例えば、
図4を参照すると、光学素子は、液晶層101、配向層102及び基材層103を順次含むことができる。配向層は、液晶層の液晶化合物を配向する役割をする層とすることができる。配向層としては、この分野で公知の通常の配向層、例えば、インプリンティング(imprinting)方式で形成された配向層、光配向層またはラビング配向層などが用いられる。前記配向層は任意的な構成であって、場合によっては、基材層を直接ラビングするか、延伸する方式で配向層なく配向性を付与することができる。
【0054】
光学素子は偏光板をさらに含むことができる。偏光板201は、例えば、
図5のように、前記液晶層101に付着されることができる。
【0055】
偏光板は偏光子を含むことができる。本明細書において用語「偏光子」と「偏光板」は互いに区別される対象を指称する。すなわち、用語偏光子は、多様な方向に振動しながら入射される光から一方の方向に振動する光を抽出することができる機能性素子、フィルムまたはシートその自体を意味し、用語偏光板は、前記偏光子を少なくとも含む積層体を意味する。偏光板に偏光子とともに含まれる他の素子、フィルムまたはシートの例としては、後述する偏光子保護層などが含まれる。偏光板の偏光子は所定方向に形成される光吸収軸と前記光吸収軸に垂直した光透過軸を含むことができる。偏光子では、例えば、PVA(poly(vinylal cohol)偏光子のような通常の偏光子を用いることができる。
【0056】
偏光板において偏光子の一面または両面には偏光子保護層が形成されることができる。偏光子保護層としては、TACまたはDACなどのようなセルロース系フィルム、非結晶性ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、脂環式ポリイミドフィルムまたは環状オレフィンポリマー(COP)フィルムなどは樹脂フィルムであるか、紫外線などの電磁気波で硬化される樹脂層などが例示される。
【0057】
偏光板は接着剤層または粘着剤層により液晶層と付着される。例えば、液晶層が偏光板の偏光子と付着する場合には接着剤層が使用され、液晶層が偏光板の他の層、例えば、前記偏光子保護層と付着する場合には粘着剤層が使用される。また、偏光板の表面、例えば、前記液晶層と対向する表面と反対側の表面には粘着剤層が形成されることができる。偏光板と液晶層が粘着剤層によって付着する場合には、説明の便宜上、前記偏光板と液晶層を付着させる粘着剤層を第1粘着剤層と称し、偏光板の液晶層と対向する表面と反対側の表面に形成される粘着剤層は第2粘着剤層と称する。
図6は、例示的な光学素子であって、第2粘着剤層302、偏光板201、第1粘着剤層または接着剤層301及び液晶層101を順次含む構造の素子を示す。
【0058】
前記において第2粘着剤層は、光学素子を光学機器に付着するための粘着剤層とすることができる。前記において光学機器としては、例えば、液晶表示装置の液晶パネルや立体映像表示装置の映像表示素子が例示されることができる。
【0059】
前記接着剤層は、グラス転移温度が36℃以上、37℃以上、38℃以上、39℃以上、40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上または90℃以上とすることができる。前記グラス転移温度を有する接着剤層で液晶層と偏光子とを付着すると、耐久性が優れる光学素子を提供することができる。前記のような接着剤層は液晶層の位相遅延特性を安定的に維持することができる。前記グラス転移温度の上限は特に限定されないが、例えば、約200℃、約150℃または約120℃とすることができる。
【0060】
接着剤層は、また厚さが6μm以下、5μm以下または4μm以下とすることができる。このような厚さで液晶層との接着性及び液晶層の位相遅延特性の耐久性が適切に維持されることができる。接着剤層の厚さの下限は、例えば、0.1μm、0.3μmまたは0.5μmとすることができる。
【0061】
一例として、接着剤層は活性エネルギー線硬化型接着剤層とすることができる。前記接着剤層は活性エネルギー線の照射により硬化された接着剤組成物を含むことができる。用語「接着剤組成物または粘着剤組成物の硬化」は、組成物に含まれる成分の物理的または化学的作用または反応により接着性または粘着性が発現される過程を意味する。前記において「活性エネルギー線硬化型」は、前記硬化が活性エネルギー線の照射により誘導される類型の接着剤または接着剤組成物を意味する。前記において「活性エネルギー線」の範疇には、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR)、紫外線(UV)、X線及びガンマ線は勿論、アルファ粒子線(alpha−particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、ニュ−トロンビーム(neutron beam)または電子線(electron beam)のような粒子ビームが含まれることができ、通常には紫外線または電子線などが用いられる。
【0062】
接着剤層は、ラジカル重合性化合物または陽イオン重合性化合物を含むことができる。一例として、前記ラジカルまたは陽イオン重合性化合物は、重合された形態で接着剤層に含まれることができる。前記においてラジカル重合性化合物は、ラジカル反応、例えば活性エネルギー線の照射によるラジカル反応により重合されて接着剤を形成することができる化合物を意味することができ、陽イオン重合性化合物は、陽イオン反応、例えば活性エネルギー線の照射による陽イオン反応により重合されて接着剤を形成することができる化合物を意味する。前記各化合物は接着剤組成物に含まれ、前記組成物の硬化反応を介して接着剤を形成することができる。
【0063】
前記接着剤組成物は、例えば、ラジカル重合性化合物または陽イオン重合性化合物のうちのいずれか1種類のみを含むか、または2種類をすべて含むことができる。
【0064】
陽イオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物、オキソラン(oxolane)化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン(thiirane)化合物、チオビニルエーテル化合物、スピロソエステル(spirortho ester)化合物、エチレン性不飽和化合物、環状エーテル化合物または環状チオエーテル化合物などが例示され、例えばエポキシ化合物が用いられる。
【0065】
陽イオン重合性エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物または芳香族エポキシ化合物などが例示されることができる。エポキシ樹脂としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂またはフェノールノボラック型エポキシ樹脂などが例示されることができる。前記エポキシ樹脂は、重量平均分子量(Mw;Weight Average Molecular Weight)が1000〜5000または2000〜4000の範囲とすることができる。本明細書において重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定された標準ポリスチレンに対する換算値を意味し、特に規定しない限り、用語「分子量」は「重量平均分子量」を意味する。分子量を1000以上とし、接着剤層の耐久性を適切に維持することができ、5000以下として組成物のコーティング性などの作業性も効果的に維持することができる。
【0066】
脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ基を1つ以上含む化合物を意味する。用語「脂環式エポキシ基」は脂肪族飽和炭化水素環を有し、前記環を構成する2個の炭素原子がもエポキシ基を構成している官能基を意味する。
【0067】
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロへキシルメチルエポキシシクロヘキサンカカルボキシレート系化合物;アルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカカルボキシレート系化合物;ジカルボキシ酸のエポキシシクロへキシルメチルエステル系化合物;ポリエチレングリコールのエポキシシクロへキシルメチルエーテル系化合物;アルカンジオールのエポキシシクロへキシルメチルエーテル系化合物;ジエポキシトリスピロ系化合物;ジエポキシモノスピロ系化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド化合物;エポキシシクロペンチルエーテル化合物またはジエポキシトリシクロデカン化合物などが例示され、具体的には、7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプタン−3−カルボキシ酸と(7−オキサ−ビシクロ[4、1、0]ヘブト−3−イル)メタノールとのエステル化物;4−メチル−7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプタン−3−カルボキシ酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4、1、0]ヘブト−3−イル)メタノールとのエステル化物;7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘプタン−3−カルボキシ酸と1、2−エタンジオールとのエステル化物;(7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘブト−3−イル)メタノールとアジピン酸のエステル化物;(4−メチル−7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘブト−3−イル)メタノールとアジピン酸のエステル化物;または(7−オキサビシクロ[4、1、0]ヘブト−3−イル)メタノールと1、2−エタンジオールのエーテル化物などが用いられる。
【0068】
一例として、脂環式エポキシ化合物としては、2官能型エポキシ化合物、すなわち2個のエポキシを有する化合物として、前記2個のエポキシ基がすべて脂環式エポキシ基の化合物を用いることができる。
【0069】
脂肪族エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基ではない脂肪族エポキシ基を有するエポキシ化合物が例示されることができる。例えば、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボキシル酸のポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価カルボキシル酸のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボキシル酸のポリエステルポリカルボキシル酸のポリグリシジルエーテル;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により得られるダイマー、オリゴマーまたはポリマー;またはグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと異なるビニル系単量体のビニル重合により得られるオリゴマーまたはポリマーが例示され、例えば脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテルが用いられるが、これに限定されない。
【0070】
前記において脂肪族多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4の脂肪族多価アルコールが例示され、例えば、エチレングリコール、1、2−プロパンジオール、1、3−プロパンジオール、2−メチル−1、3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2、4−ペンタンジオール、2、4−ペンタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、2−メチル−2、4−ペンタンジオール、2、4−ジエチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、7−ヘプタンジオール、3、5−ヘプタンジオール、1、8−オクタンジオール、2−メチル−1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、1、10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタンオール、シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなどの脂環式ジオール;トリメチルオルエタン、トリメチルオルプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチルオルプロパンなどが例示されることができる。
【0071】
また、前記において、アルキレンオキシドとしては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレンオキシドが例示され、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどが用いられる。
【0072】
また、前記において、脂肪族多価カルボキシル酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3、8−ジメチルデカン二酸、3、7−ジメチルデカン二酸、1、20−エイコサメチレンジカルボキシル酸、1、2−シクロペンタンジカルボキシル酸、1、3−シクロペンタンジカルボキシル酸、1、2−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1、3−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボキシル酸、1、4−ジカルボキシルメチレンシクロヘキサン、1、2、3−プロパントリカルボン酸、1、2、3、4−ブタンテトラカルボキシル酸、1、2、3、4−シクロブタンテトラカルボキシル酸などが例示されるが、これに限定されない。
【0073】
脂肪族エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ基を含まなく、また3個以上のエポキシ基または3個のエポキシ基を含む化合物を用いることが、硬化性、耐候性及び屈折率特性などを考慮下した場合に適切であるが、これに限定されない。
【0074】
芳香族エポキシ化合物としては、分子内に芳香族基を含むエポキシ化合物として、例えば、ビスフェノールA系エポキシ、ビスフェノールF系エポキシ、ビスフェノールSエポキシまたはブロム化ビスフェノール系エポキシのようなビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のようなノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールエポキシ樹脂またはレソルシノールグリシジルエーテルなどが例示されることができる。
【0075】
陽イオン重合性化合物としては、さらに陽イオン重合性官能基を有するシラン化合物が例示され、このような化合物は、例えば、接着剤の表面エネルギーを調節して接着力を向上させることができる成分として用いられる。シラン化合物としては、例えば、下記化学式3に表示される化合物が用いられる。
【0076】
[式3]
Si(R
1)
n(R
2)
4−n
【0077】
化学式3においてR
1は、ケイ素原子に結合される陽イオン重合性官能基であって、R
2は、ケイ素原子に結合される官能基として、水素、ヒドロキシ基、アルキル基またはアルコキシ基であり、nは1ないし4の数である。
【0078】
陽イオン重合性官能基としては、ビニル基のようなアルケニル基、グリシジル基またはオキセタニル基などのような環状エーテル基(cyclic ether)またはビニルオキシ基などや前記アルケニル基、環状エーテル基またはビニルオキシ基を含む官能基などが例示されることができる。
【0079】
化学式3において、nは、例えば1または2とすることができる。
【0080】
前記シラン化合物としては、分子鎖の末端がアルコキシシル基で封鎖される低分子量のシリコン樹脂であるシロキサンオリゴマーの分子内に前記陽イオン重合性官能基が導入されるオリゴマータイプのシラン化合物も用いることができる。
【0081】
前記ラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基またはメタクリロイル基などのようなラジカル重合性官能基を有し、重合されて接着剤を形成することができる化合物を用いることができる。
【0082】
一例として、前記ラジカル重合性化合物は、アクリルアミド系化合物とすることができる。アクリルアミド系ラジカル重合性化合物としては下記化学式4に示す化合物が例示されることができる。
【0083】
【化4】
【0084】
化学式4においてR
1及びR
2は、それぞれ独立的に水素、アルキル基またはヒドロキシアルキル基であるか、R
1及びR
2が連結されて窒素を含むヘテロ環構造を形成し、R
3は水素またはアルキル基である。
【0085】
用語「ヘテロ環構造」は、特に規定しない限り、少なくとも2個以上の互いに異なる原子を環構成原子に含む環状化合物の構造を意味する。化学式4の場合、ヘテロ環構造は、例えば、R
1及びR
2が連結される前記化学式1の窒素を含んで3〜20個、3〜16個、3〜12個または3〜8個の環構成原子を含むことができる。前記窒素以外に、前記ヘテロ環構造に含まれる原子としては、炭素、酸素または硫黄が例示され、ヘテロ環構造を形成する限り、前記R
1及びR
2が連結される化学式4の窒素外にさらに窒素原子を含むことができる。前記ヘテロ環構造は炭素炭素二重結合のような不飽和結合を含まないこともあって、必要に応じて1個以上含むこともあり、任意に1つ以上の置換基によって置換されることができる。
【0086】
化学式4の化合物としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドまたはN−アクリロイルモルフォリンなどが例示されるが、これに限定されない。
【0087】
ラジカル重合性化合物としては、さらにヘテロ環状アセタール構造を含む化合物が例示されることができる。本明細書において用語「ヘテロ環状アセタール構造」は、2個の酸素原子が単一結合によって1つの同一の炭素原子に結合される構造を含むヘテロ環構造を意味する。すなわち、前記化合物は、例えば、ヘテロ環状アセタール構造を含む官能基及び前記ラジカル重合性官能基を同時に含む化合物とすることができる。前記化合物は、例えば、組成物の粘度を調節するための希釈剤としての役割をすることができ、また前記液晶層との接着力を向上させるため用いることができる。
【0088】
ヘテロ環状アセタール構造は、4〜20個、4〜16個、4〜12個または4〜8個の環構成原子を含むことができ、任意に1つ以上の置換基によって置換されることができる。
【0089】
ヘテロ環状アセタール構造としては、下記化学式5または6に示す構造が例示されることができる。よって、前記ラジカル重合性化合物は、下記化学式5または6の化合物から誘導される1価残基をラジカル重合性官能基とともに含むことができる。
【0090】
【化5】
【0091】
【化6】
【0092】
化学式5または6において、R
4及びR
5はそれぞれ独立的に水素またはアルキル基を示し、Q、P、R及びTは、それぞれ独立的に炭素原子または酸素原子であるが、Q、P、R及びTのうちの2個は酸素原子であって、A及びBはそれぞれ独立的に炭素数1ないし5のアルキレン基またはアルキリデン基を示す。
【0093】
ヘテロ環状アセタール構造を含むラジカル重合性化合物としては、下記化学式7に示す化合物が例示されることができる。
【0094】
【化7】
【0095】
化学式7においてR
6は、水素またはアルキル基を示し、R
7は、前記化学式5または6の構造から誘導される1価残基または前記1価残基で置換されるアルキル基である。
【0096】
化学式7に示す化合物としては、(2−エチル−2−メチル−1、3−ジオキソラン−4イル)メチルアクリレート((2−ethyl−2−methyl−1、3−dioxolane−4−yl)methyl acylate)、(2−イソブチル−2−メチル−1、3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート((2−isobutyl−2−methyl−1、3−dioxolane−4−yl)methyl acylate)または(1、4−ジオキサスピロ[4、5]デク−2−イル)メチルアクリレート((1、4−dioxaspiro[4、5]dec−2−yl)methyl acylate)などが例示されるが、これに限定されない。
【0097】
ラジカル重合性化合物としては、さらに下記化学式8ないし10のうちのいずれか1つに表示される単量体が例示されることができる。
【0098】
【化8】
【0099】
【化9】
【0100】
【化10】
【0101】
化学式8ないし10において、Rは水素またはアルキル基であって、A、B、T、U及びWはそれぞれ独立的にアルキレン基またはアルキリデン基であり、Qはアルキル基またはアリール基であり、nは0ないし5である。
【0102】
用語「アリール基」は、特に規定しない限り、ベンゼンを含むかまたは2個以上のベンゼンが縮合されるか、結合される構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価残基を意味する。前記アリール基は、例えば、炭素数6〜22、炭素数6〜16または炭素数6〜13のアリール基とすることができ、例えば、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などとすることができる。
【0103】
化学式8において、nは、例えば、0〜3または0〜2の数とすることができる。化学式8の化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これに限定されない。
【0104】
化学式9として、Tは、例えば炭素数1〜4のアルキレン基とすることができ、前記化合物としては、例えば、ベータ−カルボキシエチル(メタ)アクリレートなどが例示されることができる。また、化学式10の化合物においてQは、例えば、炭素数1〜4のアルキル基であって、U及びWは、例えば、それぞれ独立的に炭素数1〜4のアルキレン基とすることができる。このような化合物としては、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどとすることができるが、これに限定されない。
【0105】
ラジカル重合性化合物としては、さらに下記化学式11に示す化合物が例示され、このような化合物は、例えば接着剤の耐久性の向上のために用いることができる。
【0106】
【化11】
【0107】
化学式11において、Rは水素またはアルキル基であって、Pは脂肪族飽和炭化水素環状化合物から来由される1価残基である。
【0108】
化学式11において、1価残基は、脂肪族飽和炭化水素環状化合物、具体的には炭素原子が環状に結合されている化合物として、芳香族化合物でない化合物またはその化合物の誘導体から由来する1価の残基を意味する。前記脂肪族飽和炭化水素環状化合物は、例えば、炭素数3〜20、炭素数6〜15または炭素数8〜12の脂肪族飽和炭化水素環状化合物とすることができる。このような1価残基としては、例えば、イソボルニル基(isobornyl)、シクロへキシル基、ノルボルナニル基(norbornanyl)、ノルボルネニル基(norbornenyl)、ジシクロペンタジエニル基、エチニルシクロヘキサン基、エチニルシクロヘキセン基またはエチニルデカヒドロナフタレン基などが例示され、一例としてはイソボルニル基が用いられるが、これに限定されない。
【0109】
ラジカル重合性化合物としては、またイソシアネート官能性アクリル酸エステル化合物が用いられる。前記化合物では、イソシアネート基及びアクリル基を同時に含む化合物であると、特に制限なしにあらゆる化合物を用いることができる。前記化合物としては、例えば、イソシアネート官能性脂肪族アクリル酸エステル化合物(isocyanate−functional aliphatic acrylic ester)を用いることができ、例えば下記化学式12に示す化合物を用いることができる。
【0110】
【化12】
【0111】
化学式12において、Rは、水素またはアルキル基を示し、Lは、2価炭化水素基を示す。
【0112】
化学式12において、2価炭化水素基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基を用いることができ、具体的には炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の2価脂肪族炭化水素基が用いられる。前記2価炭化水素基には、例えば、直鎖状、分枝状または環状アルキレン基またはアルキニルレン基;直鎖状、分枝状または環状アルケニルレン基;または直鎖状、分枝状または環状アルキニルレン基が含まれる。前記炭化水素基は、例えば炭素数1〜8の直鎖状または分枝状アルキレン基またはアルキニルレン基とすることができる。
【0113】
前記化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートなどが例示され、(メタ)アクリロイルオキシ(C1−8)アルキルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシ(C1−4)アルキルイソシアネートまたは(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが例示されるが、これに限定されない。前記において、(C1−8)アルキルは、炭素数1、2、3、4、5、6、7または8の直鎖型、分枝鎖型または環状アルキルを意味し、(C1−4)アルキルは、炭素数1、2、3または4の直鎖型、分枝鎖型または環状アルキルを意味する。
【0114】
イソシアネート官能性アクリル酸エステル化合物としては、例えば、下記化学式13に示す化合物を用いることができる。
【0115】
【化13】
【0116】
化学式13において、Rは、水素またはアルキル基を示し、Zは、4価炭化水素基を示す。
【0117】
4価炭化水素基としては、例えば4価の脂肪族炭化水素基を用いることができ、具体的には炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4の4価脂肪族炭化水素基が用いられる。例えば、直鎖状、分枝状または環状アルカン(alkane);直鎖状、分枝状または環状アルケン(alkene);または直鎖状、分枝状または環状アルカン(alkyne)から誘導される4価炭化水素が含まれる。前記炭化水素基は、例えば、炭素数1〜8の直鎖状または分枝状アルカンから誘導される4価炭化水素基とすることができる。
【0118】
前記化合物としては、Laromer LR9000(BASF(製))の名称で流通している化合物などが例示される。
【0119】
ラジカル重合性化合物としては、さらにテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート(tetrahydrofurfuryl(meth) acrylate)または(メタ)アクリロイルモルフォリン((meth)acryloyl morpholine)などのようなヘテロ環残基を有する化合物も用いることができる。
接着剤としては、陽イオン重合性化合物として、脂環式及び/または脂肪族エポキシ化合物を主成分に含み、必要に応じてオキセタン化合物または前記陽イオン重合性官能基を有するシラン化合物を希釈剤または添加剤として含む陽イオン硬化型接着剤組成物;ラジカル重合性化合物として前記アクリルアミド系化合物を主成分に含み、必要に応じて他のラジカル重合性化合物を副成分に含むラジカル硬化型接着剤組成物;ラジカル重合性化合物として、前記化学式8〜10のうちのいずれか1つとして示す化合物を主成分に含み、必要に応じて他のラジカル重合性化合物を含む接着剤組成物または前記エポキシ樹脂、または前記脂環式エポキシ化合物と脂肪族エポキシ化合物との混合物と前記化学式8〜10のうちのいずれか1つとして示すラジカル重合性化合物を含む混成硬化型接着剤組成物を硬化された状態で含む接着剤が用いられるが、これに限定されない。
【0120】
接着剤組成物に含まれる各成分及び各成分の比率の選択は、前記グラス転移温度などを考慮して適切に選択することができる。
【0121】
接着剤を形成する接着剤組成物は、また重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤は接着剤組成物に含まれる成分によって適切な種類が選択されることができ、例えば、陽イオン重合開始剤及び/またはラジカル重合開始剤が用いられる。
【0122】
ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾイン系、ヒドロキシケトン化合物、アミノケトン化合物またはホスフィンオキシド化合物などのような開始剤を用いることができ、例えば、ホスフィンオキシド化合物などを用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2、2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1オン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4、4'−ジエチルアミノ−ベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノ−アントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2、4−ジメチルチオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ−安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイン)−フェニル−ホスフィンオキシド及び2、4、6−トリメチルベンゾイン−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどが例示されるが、これに限定されない。
【0123】
また、陽イオン重合開始剤としては、例えば、活性エネルギー線の照射により陽イオン重合を開始することができる成分を放出する開始剤として、オニウム塩(onium salt)または有機金属塩(organometallic salt)系列のイオン化陽イオン開始剤または有機シランまたは潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系列であるか、その外の非イオン化化合物などのような非イオン化陽イオン開始剤などが例示されることができる。
【0124】
前記接着剤組成物は、また、必要に応じて、熱硬化剤、触媒、UV硬化剤、低分子量体、シランカップリング剤、散乱体、紫外線安定剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、光増減剤及び可塑剤などの1種または2種以上のような添加剤をさらに含むことができる。
【0125】
光学素子において、液晶層と偏光板は接着剤層に直接付着されることができ、必要に応じて偏光板と接着剤層との間または液晶層と接着剤層との間にプライマー層をさらに含んで付着されることができる。この場合に用いることができるプライマー層の種類は特に限定されないが、一般に接着性向上のために用いる多様な種類がすべて使用できる。
【0126】
液晶層と偏光板とが第1粘着剤層によって付着されると、第1及び第2粘着剤層のうちの少なくとも1つは25℃で貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.03MPa以上、0.04MPa以上、0.05MPa以上、0.06MPa以上、0.07MPa以上、0.08MPa、0.08MPa超過、または0.09MPa以上とすることができる。さらに、液晶層と偏光板とが接着剤層によって付着される場合には、第2粘着剤層が前記範囲の貯蔵弾性率を有することができる。第1及び/または第2粘着剤層が前記範囲の貯蔵弾性率を有する場合、その貯蔵弾性率の上限は特に限定されない。例えば、前記貯蔵弾性率は、0.25MPa以下、0.2MPa以下、0.16MPa以下、0.1MPa以下または0.08MPa以下とすることができる。前記光学素子において、少なくとも第2粘着剤層は、前記範囲の貯蔵弾性率を有することができ、他の例示では0.08MPaを超過する貯蔵弾性率を示すことができる。
【0127】
第1及び/または第2粘着剤層が前記貯蔵弾性率を表すと、光学素子が優れた耐久性を示し、したがって、例えば前記液晶層の位相遅延特性が長期間の間、そして過酷な条件下で安定的に維持され、安定的な光分割特性を示すことができ、光学素子を適用した光学機器において光漏れなどのような副作用を防止することができる。また、光学素子の硬度特性が向上され、外部の圧力や傷つきなどに対して優れた抵抗性を示し、再作業性も適切に維持されることができる。
【0128】
第1及び/または第2粘着剤層は、厚さが25μm以下、20μm以下または18μm以下とすることができる。粘着剤層が前記厚さを有すると、前記耐久性、硬度特性及び再作業性などがさらに向上されることができる。粘着剤層は厚さが薄いほど優れた物性を示すものであって、その厚さの下限は特に制限されないが、工程性などを考慮し、例えば、約1μm以上または約5μm以上の範囲で調節することができる。
【0129】
粘着剤層は、アクリル粘着剤、シリコン粘着剤、エポキシ粘着剤またはゴム系粘着剤などを含むことができる。
【0130】
粘着剤層がアクリル粘着剤を含む場合、前記粘着剤は、例えば、熱硬化性成分、活性エネルギー線硬化性成分または熱硬化性成分と活性エネルギー線硬化性成分をすべて含む粘着剤組成物を硬化させて形成することができる。
【0131】
熱硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、多官能性架橋剤によって架橋された状態のアクリル重合体を含むことができる。
【0132】
多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体としては、例えば、分子量が50万以上のアクリル重合体を用いることができる。重合体の分子量を50万以上にし、過酷条件下において優れた耐久性を有する粘着剤層を形成することができる。前記分子量の上限は特に限定されないが、例えば、耐久性や組成物のコーティング性を考慮し、250万以下の範囲で調節することができる。
【0133】
一例として、前記アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び架橋性単量体を重合単位で含む重合体とすることができる。
【0134】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレートを用いることができ、粘着剤の凝集力、グラス転移温度または粘着性を考慮し、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートなどが例示され、前記のうちの1種または2種以上が用いられる。
【0135】
前記重合体は、また架橋性単量体を重合単位でさらに含むことができる。前記重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体80〜99.9重量部及び架橋性単量体0.1〜20重量部を重合単位で含むことができる。前記において「架橋性単量体」は、アクリル重合体を形成する他の単量体と共重合されることができ、共重合後に重合体に架橋性官能基を提供することができる単量体を意味する。前記架橋性官能基は、後述する多官能性架橋剤と反応して架橋構造を形成することができる。
【0136】
架橋性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基またはアミノ基のような窒素含有官能基などが例示されることができる。粘着樹脂を製造する際に、前記のような架橋性官能基を付与することができる共重合性単量体は多様に公知されている。架橋性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのようなヒドロキシ基含有単量体;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシアセト酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などのカルボキシル基含有単量体または(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどの窒素含有単量体などが例示され、前記のうちの1種または2種以上の混合を用いることができるが、これに限定されない。
【0137】
前記アクリル重合体には、必要に応じて他の多様な単量体を重合単位で含むことができる。
【0138】
例えば、アクリル重合体は、下記化学式14に示す化合物を重合単位でさらに含むことができる。
【0139】
【化14】
【0140】
化学式14において、Rは水素またはアルキル基を示し、Aはアルキレン基またはアルキリデン基を示し、R
16はアルキル基またはアリール基を示し、nは1ないし6の数を示す。
【0141】
化学式14の化合物は、例えば、粘着剤層が、後述する活性エネルギー線成分の架橋構造を含む場合、前記架橋構造と熱硬化性成分の架橋構造との相溶性を高め、粘着剤層の物性を適正範囲に維持させるのに有効である。
【0142】
化学式14においてnは、他の例示では、1〜25、1〜15または1〜6とすることができる。
【0143】
化学式14の単量体としては、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルまたはフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルなどが例示されることができる。
【0144】
化学式14の化合物が含まれる場合、その比率は目的に応じて適切に調節することができ、例えば、他の単量体の重量の10〜50重量部で含ませることができる。
【0145】
前記重合体は前記外にも、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのような窒素含有単量体;スチレンまたはメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート;またはビニルアセテートのようなカルボキシル酸ビニルエステルなどのような任意の単量体を重合単位としてさらに含むことができる。このような追加的な単量体は、全体重量の比率が他の単量体の20重量部以下の範囲で調節することができる。
【0146】
アクリル重合体は、上述の各成分を必要に応じて選択及び配合した単量体の混合物を溶液重合、光重合、バルク(bulk)重合、懸濁(suspension)重合または乳化(emulsion)重合のような重合方式に適用して製造することができる。
【0147】
粘着剤層内において、前記のようなアクリル重合体を架橋させる多官能性架橋剤としては、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤及び金属キレート架橋剤のような一般的な熱硬化性架橋剤が例示されることができる。前記においてイソシアネート架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはナフタリンジイソシアネートなどの多官能性イソシアネート化合物であるか、あるいは前記多官能性イソシアネート化合物をトリメチロ−ルプロパンなどのようなポリオール化合物と反応させた化合物などが例示されることができる。エポキシ架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチルオルプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N'、N'−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選択された1つ以上が例示され、アジリジン架橋剤としては、N、N'−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N'−ジフェニルメタン−4、4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタルロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルフォースピンオキシドからなる群から選択された1つ以上が例示され、金属キレート架橋剤としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウムまたはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位する化合物などが例示されるが、これに限定されない。
【0148】
熱硬化性成分を含む粘着剤組成物またはその組成物で形成された粘着剤層内に前記多官能性架橋剤は、例えば、前記アクリル重合体100重量部に対して0.01〜10重量部または0.01〜5重量部で含まれることができる。架橋剤の比率を0.01重量部以上に調節して粘着剤の凝集力を効果的に維持し、さらに10重量部以下に調節すると、粘着界面に層間薄利や励起現象が発生する現象を防止し、耐久性を好適に維持することができる。しかしながら、前記の比率は、目的する弾性率などの物性や粘着剤層などに他の架橋構造が含まれるか否かによって変更されることができる。
【0149】
活性エネルギー線硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造を含むことができる。前記粘着剤層は、例えば、活性エネルギー線の照射により重合反応に参加することができる官能基、例えば、アルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などを1つ以上含む化合物を配合して粘着剤組成物を製造した後に、その組成物に活性エネルギー線を照射して前記成分を架橋及び重合させることで形成することができる。前記において、活性エネルギー線の照射により重合反応に参加することができる官能基を有する化合物の例としては、前記アクリル重合体の測鎖にアクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基などの官能基を導入した重合体;ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートまたはポリエーテルアクリレートなどのように、当業界において、いわゆる活性エネルギー線硬化型オリゴマーとして知られる化合物または後述する多官能性アクリレートなどが例示されることができる。
【0150】
熱硬化性成分及び活性エネルギー線硬化性成分を含む粘着剤組成物で形成された粘着剤層は、前記多官能性架橋剤で架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造及び前記重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造を同時に含むことができる。
このような粘着剤層は、いわゆる相互浸透高分子ネットワーク(Interpenetrating Polymer Network;以下、「IPN」)を含む粘着剤である。用語「IPN」は、粘着剤層内に少なくとも2個以上の架橋構造が存在する状態を意味することができ、一例として前記架橋構造は、互いに縛られた状態(entanglement)、または連結(linking)または浸透(penetrating)している状態で存在することができる。粘着剤層がIPNを含むと、過酷条件下で耐久性が優れ、さらに作業性や光漏れまたはクロストークの抑制能が優れた光学素子が実現されることができる。
【0151】
IPNを含む粘着剤層には、前記多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体で実現される架橋構造の多官能性架橋剤及びアクリル重合体としては、例えば前記熱硬化性成分を含む粘着剤組成物の項目で記述した成分が用いられる。
【0152】
重合された活性エネルギー線重合性化合物の架橋構造の前記活性エネルギー線重合性化合物としても、前述した化合物が用いられる。
【0153】
一例として、活性エネルギー線重合性化合物は多官能性アクリレートとすることができる。多官能性アクリレートとしては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、制限なく用いられる。
【0154】
一例として、多官能性アクリレートとしては、分子内に環構造を含むものを用いることができる。多官能性アクリレートに含まれる環構造は炭素環式構造または複素環式構造;または単環式または多環式構造のいずれでも良い。環構造を含む多官能性アクリレートとしては、トリス(メタ)アクリルロキシエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート構造を有する単量体及びイソシアネート変性ウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネート単量体及びトリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物など)などの6官能型アクリレートなどが例示されるが、これに限定されない。
【0155】
IPNを含む粘着剤層内において前記架橋構造を形成している活性エネルギー線重合性化合物は、例えば、アクリル重合体100重量部に対して、5〜40重量部で含まれるが、これは必要に応じて変更することができる。
【0156】
前記粘着剤層には、上述の成分に追加として、この分野において公知の多様な添加剤が含まれることができる。
【0157】
例えば、活性エネルギー線硬化性成分を含む組成物の場合、前記成分の重合反応などを促進するための光開始剤などをさらに含むことができる。また、前記粘着剤層は、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止制、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤及び可塑剤からなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0158】
粘着剤層は、例えば、前述の各成分を配合して製造された粘着剤組成物をバーコーターまたはコンマコーターなどの手段で塗布し、硬化させる方式が用いられる。さらに、粘着剤組成物を硬化させる方法も特に限定されず、例えば、アクリル重合体及び多官能性架橋剤の架橋反応が進行されるように、適正温度で組成物を維持する方式と活性エネルギー線硬化性化合物の重合が可能になるように活性エネルギー線を照射する工程を介して硬化させることができる。適正温度での維持及び活性エネルギー線の照射が同時に要求される場合、前記工程は順次または同時に進行することができる。前記において活性エネルギー線の照射は、例えば、高圧水銀ランプ、無電極ランプまたはキセノンランプ(xenon lamp)などを用いて行うことができ、照射される活性エネルギー線の波長や光量などの条件は、前記活性エネルギー線硬化型化合物の重合が適切に行われる範囲で選択することができる。
【0159】
光学素子において前記第1または第2粘着剤層は、前述した類型の粘着剤のうちから適切な種類を選択して形成することができる。一例として前記第2粘着剤層は、少なくとも前記IPNを含む粘着剤層とすることができ、前記第1粘着剤層は、熱硬化型成分の架橋構造、すなわち多官能性架橋剤によって架橋されたアクリル重合体を含む架橋構造を有する粘着剤層であるか、または前記IPNを含む粘着剤層とすることができる。
【0160】
第1または第2粘着剤層の貯蔵弾性率及び種類は、光学素子の具体的な構造によりさらに適切な種類が選択されることができる。
【0161】
光学素子には、表面処理層が形成されることができる。例えば、光学素子は一面に表面処理層が形成される基材層(以下、保護基材層)をさらに含むことができる。前記一面に表面処理層が形成される保護基材層の他面、すなわち表面処理層が形成されない面は、例えば、前述した基材層(以下、第1基材層)、すなわち前記配向層の下部に形成される基材層に粘着剤層(以下、第3粘着剤層)で付着されることができる。
【0162】
前記において保護基材層として前述した第1基材層と同一範疇内で選択される基材層が用いられる。
【0163】
前記構造において第2粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.05MPa以上、または0.08MPa超えるか、0.08MPaを超え、0.25MPa以下の範囲、0.09MPa〜0.2MPaまたは0.09MPa〜0.16MPaの粘着剤層とすることができる。第2粘着剤層は、前記IPNを含む粘着剤層とすることができる。
【0164】
前記構造において、第1粘着剤層は、前記熱硬化性成分の架橋構造を含む粘着剤層またはIPNを含む粘着剤層とすることができる。第1粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.05MPa以上または0.08MPaを超えることができる。第1粘着剤層が熱硬化性成分の架橋構造を含む粘着剤層であれば、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa〜0.08MPaまたは0.04MPa〜0.08MPaの範囲で調節され、IPNを含む粘着剤層であれば、25℃での貯蔵弾性率が0.08MPaを超え、0.25MPa以下の範囲、0.09MPa〜0.2MPaまたは0.09MPa〜0.16MPaの範囲で調節されることができる。
【0165】
前記において、第3粘着剤層は前記第1または第2粘着剤層と同一範疇の貯蔵弾性率及び架橋成分を有する粘着剤が用いられる。
【0166】
一例として、第3粘着剤層としては、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.05MPa以上または0.08MPaを超えるか、0.08MPaを超え、0.25MPa以下の範囲、0.09MPa〜0.2MPaまたは0.09MPa〜0.16MPaの粘着剤層であって、IPNを含む粘着剤層が用いられる。
【0167】
他の例において、前記表面処理層は、前記第1基材層の表面、例えば、第1基材層において液晶層または配向層が形成される表面とは反対側表面に形成されることができる。このような場合、前記保護基材層や第3粘着剤層は光学素子に形成されない。
【0168】
このような構造において、前記第2粘着剤層は、25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa以上、0.05MPa以上、または0.08MPaを超えるか、0.08MPaを超え、0.25MPa以下の範囲、0.09MPa〜0.2MPaまたは0.09MPa〜0.16MPaの粘着剤層とすることができ、前記第1粘着剤層は25℃での貯蔵弾性率が0.02MPa〜0.08MPaまたは0.04MPa〜0.08MPaの粘着剤層とすることができる。前記において、第2粘着剤層は、前記IPNを含む粘着剤層であって、第1粘着剤層は前記熱硬化性成分の架橋構造を含む粘着剤層とすることができる。
【0169】
表面処理層としては、高硬度層、AG(Anti−glare)層またはSG(Semi−glare)層のような羞明防止層またはAR(Anti reflection)層またはLR(Low reflection)層のような低反射層などが例示されることができる。
【0170】
表面処理層は、基材層の1つの主表面または両方の主表面に形成されるか、必要な場合には基材層の側面を含む全体表面に行われる。
【0171】
前記高硬度層は、500gの荷重下における鉛筆硬度が1H以上、または2H以上の層とすることができる。前記鉛筆硬度は、例えば、KSG2603で規定された鉛筆芯を用いてASTMD3363の規格によって測定することができる。
【0172】
前記高硬度層は、例えば、高硬度の樹脂層とすることができる。前記樹脂層は、例えば、常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化された状態で含むことができ、一例としては、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化された状態で含むことができる。高硬度層の説明において「硬化された状態」とは、前記各樹脂組成物に含まれる成分が架橋反応または重合反応などを介して樹脂組成物がハード(hard)な状態に転換された場合を意味する。また、前記において常温硬化型、湿気硬化型、熱硬化型または活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、前記硬化状態が常温下で誘導されるか、あるいは適切な湿気の存在下、熱の印加または活性エネルギー線の照射により誘導されることができる組成物を意味する。
【0173】
この分野においては、硬化された状態で上述の範囲の鉛筆硬度を満足することができる多様な樹脂組成物が知られていて、平均的技術者は適合する樹脂組成物を容易に選択することができる。
【0174】
一例として、前記樹脂組成物は、主材として、アクリル化合物、エポキシ化合物、ウレタン系化合物、フェノール化合物またはポリエステル化合物などを含むことができる。前記において「化合物」は、単量体性、オリゴマー性または重合体性の化合物とすることができる。
【0175】
一例として、前記樹脂組成物であって、透明性などの光学的特性が優れ、黄変などに対する抵抗性が卓越なアクリル樹脂組成物、好ましくは活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂組成物を用いることができる。
【0176】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物は、例えば、活性エネルギー線重合性の重合体成分と反応性希釈用単量体を含むことができる。
【0177】
重合体成分としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エーテルアクリレートまたはエステルアクリレートなどのように業界において、いわゆる活性エネルギー線重合性オリゴマーとして知られる成分であるか、または(メタ)アクリル酸エステル単量体などのような単量体を含む混合物の重合物が例示されることができる。前記において(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、ヘテロシクリック(メタ)アクリレートまたはアルコキシ(メタ)アクリレートなどが例示されることができる。この分野においては、活性エネルギー線硬化型組成物を製造するための多様な重合体成分が知られていて、前記のような化合物が必要に応じて選択されることができる。
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物に含まれる、反応性希釈用単量体としては、活性エネルギー線硬化型官能基、例えば、アクリロイル基またはメタクリロイル基などを1個または2個以上有する単量体が例示され、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体や多官能性アクリレートなどが用いられる。前記において多官能性アクリレートとしては、前記粘着剤の項目で記述した化合物から適切な種類を選択することができる。
【0178】
活性エネルギー線硬化型アクリル組成物を製造するための前記成分の選択や選択された成分の配合の比率などは特に限定されないが、目的する樹脂層の硬度及びその他の物性を考慮して調節することができる。
【0179】
AG(Anti−glare)層またはSG(Semi−glare)層としては、例えば、凹凸面が形成された樹脂層または粒子を含む樹脂層として前記粒子が前記樹脂層とは相違する屈折率を有する粒子の樹脂層を用いることができる。樹脂層としては、例えば、前記高硬度層の形成に用いる樹脂層を使用することができる。羞明防止層を形成する場合には、樹脂層が必ず高硬度を示すように樹脂組成物の成分を調節する必要はないが、高硬度を示すことができるように樹脂層を形成しても良い。
【0180】
樹脂層に凹凸面を形成する方式は特に制限されない。例えば、前記樹脂組成物のコーティング層を目的する凹凸構造を有する金型と接触させた状態で前記樹脂組成物を硬化させるか、あるいは樹脂組成物に適切な粒径の粒子を配合してコーティング及び硬化させて凹凸構造を実現することができる。
【0181】
羞明防止層は、さらに樹脂層とは屈折率が相違する粒子を用いて実現することができる。
【0182】
一例として、前記粒子は、例えば、樹脂層との屈折率の差が0.03以下または0.02〜0.2とすることができる。屈折率の差が小さすぎると、ヘイズを誘発することが難しく、反対に大きいすぎると、樹脂層内での散乱が多く発生されてヘイズを増加させるが、光透過度またはコントラスト特性などの低下が誘導されるので、これを考慮して適切な粒子を選択することができる。
【0183】
樹脂層に含まれる粒子の形状は特に限定されないが、例えば、球形、楕円形、多面体形、無定形またはその他の形状を有することができる。前記粒子は、平均直径が50〜5、000nmとすることができる。一例としては、前記粒子であって、表面に凹凸が形成される粒子を用いることができる。このような粒子は、例えば、平均表面の粗さ(Rz)が10〜50nmまたは20〜40nmであるか、及び/または表面に形成された凹凸の最大高さが約100〜500nmまたは200〜400nmであり、凹凸との間の幅が400〜1、200nmまたは600〜1、000nmとすることができる。このような粒子は、樹脂層との相溶性やその内部における分散性が優れる。
【0184】
前記粒子においては、多様な無機または有機粒子が例示されることができる。無機粒子としては、シリカ、非結晶質チタニア、非結晶質ジルコニア、インジウムオキシド、アルミナ、非結晶質亜鉛オキシド、非結晶質セリウムオキシド、バリウムオキシド、カルシウムカーボネート、非結晶質チタン酸バリウムまたはバリウムサルフェートなどが例示され、有機粒子としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの有機系素材の架橋物または非架橋物を含む粒子が例示されるが、これに限定されない。
【0185】
樹脂層に形成される前記凹凸構造または前記粒子の含量は特に制限されない。前記凹凸構造の形状または前記粒子の含量は、例えば、AG層の場合、前記樹脂層のヘイズ(haze)が約5〜15%、7〜13%または約10%程度になるように調節され、SG層の場合、ヘイズが約1〜3%程度になるように調節されることができる。前記ヘイズは、例えば、セプン社のHR−100またはHM−150などのようなヘイズメートル(hazemeter)を使用して製造社のマニュアルに従って測定することができる。
【0186】
AR(anti reflection)層やLR(low reflection)層のような低反射層は、低屈折物質をコーティングして形成することができる。低反射層を形成することができる低屈折物質は広く知られているので、それをすべて前記光学素子に適切に選択して使用することができる。低反射層は、低屈折物質のコーティングを介して反射率が約1%以下になるように、形成することができる。
【0187】
表面処理層の形成には、また、韓国公開特許第2007−0101001号、第2011−0095464号、第2011−0095004号、第2011−0095820号、第2000−0019116号、第2000−0009647号、第2000−0018983号、第2003−0068335号、第2002−0066505号、第2002−0008267号、第2001−0111362号、第2004−0083916号、第2004−0085484号、第2008−0005722号、第2008−0063107号、第2008−0101801号、または第2009−0049557号などに公知された素材を使用することができる。
【0188】
表面処理層は、単独で形成されるか、あるいは2個以上を組み合わせて形成することができる。組み合わせの例としては、基材層の表面に、まず高硬度層を形成し、その表面にさらに低反射層を形成する場合が例示される。
【0189】
光学素子は、さらに下記一般式2の条件を満足することができる。
【0190】
[一般式2]
Y≦200nm
【0191】
一般式2において、Yは光学素子を前記第2粘着剤層でグラス基板に付着し、60℃及び10%の相手湿度で150時間、300時間または500時間の間維持した後に、測定した前記光学素子の横または縦長の変化量である。Yは、また例えば、170nm以下、150nm以下、130nm以下、110nm以下、90nm以下、70nm以下、50nm以下または40nm以下とすることができる。前記Yは、その値が低いほど光学素子が優れた耐久性及び寸法安全性を有することを意味するので、下限は特に制限されない。
【0192】
本出願は、さらに立体映像表示装置に関する。例示的な立体映像表示装置は前記光学素子を含むことができる。
【0193】
一例として、前記立体映像表示装置は、左眼用映像信号(以下、L信号)と右眼用映像信号(以下、R信号)を生成することができる映像表示素子をさらに含むことができる。光学素子の液晶層は前述の第1及び第2領域を含むことができる。光学素子は、前記液晶層の第1及び第2領域のうちのいずれか1つの領域は前記L信号が透過されることができ、他の1つの領域は前記R信号が透過されるように配置された状態において前記第2粘着剤層で前記表示素子に付着されることができる。
【0194】
光学素子は、R及びL信号が表示素子から出射されて前記光学素子の偏光板を先に透過した後に再び前記液晶層の各領域に入射されるように配置されることができる。
【0195】
立体映像表示装置は、前記光学素子を光分割素子として含む限り、この分野に公知された多様な方式がすべて適用されて製造することができる。
【0196】
図7は、例示的な前記装置であって、観察者が偏光めがねを着用して立体映像を観察することができる装置を例示的に表示する。
【0197】
図7に示すように、前記装置は、例えば、光源401、偏光板402及び前記映像表示素子403を含み、第2粘着剤層302、偏光板201及び液晶層101を順に含む光学素子が、前記第2粘着剤層302により前記表示素子403に付着されている構造とすることができる。
【0198】
光源401としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などにおいて一般に用いる直下型またはエッジ型バックライトを使用することができる。
【0199】
表示素子403は、行、列または行列方向に配列される複数の単位画素を含む透過型液晶表示パネルとすることができる。前記画素は、1個または2個以上が組み合わせされてR信号を生成する右眼用映像信号生成領域(以下、RG領域)とL信号を生成する左眼用映像信号生成領域(以下、LG領域)を形成することができる。
【0200】
RG及びLG領域は、
図8のように、それぞれ共通方向に延長されるストライプ上を有しながら互いに隣接して交代に配置されるか、
図9のように、格子パターンをなしながら互いに隣接して交代に配置されることができる。前記光学素子の液晶層101において前記第1及び第2領域はそれぞれLCまたはRC領域であって、前記RG及びLG領域の配置形態を考慮してRG領域から伝達されるR信号は偏光板201を介してRC領域に入射され、L信号は偏光板201を介してLC領域に入射されることができるように配置されることができる。
【0201】
映像表示素子403は、例えば光源401側方向から順に配置された第1透明基板、画素電極、第1配向膜、液晶層、第2配向膜、共通電極、カラーフィルタ及び第2透明基板などを含む液晶パネルとすることができる。前記パネルの光入射側、すなわち光源401側には偏光板402が付着されていて、その反対側には前記光学素子が付着されることができる。偏光板402に含まれる偏光子と前記光学素子の偏光板201に含まれる偏光子は、例えば両者の吸収軸が互いに所定の角度、例えば90度をなすように配置されることができる。これにより、光源401から射出される表示素子403を介して透過するか、あるいは遮断されることができる。
【0202】
駆動状態において、表示装置8の光源401から無偏光された光が偏光板402側に出射されることができる。偏光板402に入射された光のうちから、前記偏光板402の偏光子の光透過軸と平行な方向に偏光軸を有する光は、偏光板402を透過して表示素子403に入射されることができる。表示素子403に入射されてRG領域を透過した光はR信号となり、LG領域を透過した光はL信号となって光学素子の偏光板201に入射される。
【0203】
偏光板201を介して液晶層101に入射された光のうちでからLC領域を透過した光とRC領域を透過した光は互いに異なる偏光状態を有する状態でそれぞれ排出される。このように互いに異なる偏光状態を有するR信号とL信号は偏光めがねを着用している観察者の右眼及び左眼にそれぞれ入射され、これにより観察者は立体映像を観察することができる。