(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貫通孔は、前記コア層の一方の面側の開口部から前記コア層内に形成された頂部にかけて平面方向の断面積が連続的に減少する第1の孔と、前記コア層の他方の面側の開口部から前記コア層内に形成された頂部にかけて平面方向の断面積が連続的に減少する第2の孔と、を有し、
前記第1の孔の頂部と前記第2の孔の頂部とが前記コア層内で連通し、前記貫通孔内で平面方向の断面積が最も小さい前記内方突出部を形成している請求項1乃至4の何れか一項記載の配線基板。
コア層に、前記コア層を貫通すると共に、前記コア層の一方の面側の開口部及び前記コア層の他方の面側の開口部よりも平面視において内壁面が内方に突出した内方突出部を備えた貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔内の前記内方突出部上に電子部品を仮配置する工程と、
前記電子部品を前記内方突出部側に押圧して前記貫通孔に収容し、前記内方突出部が前記電子部品の電極のみと接して前記電子部品を保持する工程と、を有する配線基板の製造方法。
前記貫通孔を形成する工程において、前記貫通孔の前記コア層の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状は、前記電子部品の平面形状よりも大きく形成され、かつ、前記内方突出部の内側の領域の平面形状は前記電子部品の平面形状よりも小さく形成され、
前記電子部品を保持する工程において、前記電子部品を前記内方突出部側に押圧することにより前記内方突出部が変形して前記電子部品の側面をなす前記電極と接する請求項10乃至12の何れか一項記載の配線基板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する図であり、
図1(a)は断面図、
図1(b)は
図1(a)の電子部品近傍を拡大した平面図である。但し、
図1(b)において、貫通孔11x及び電子部品12以外は、図示が省略されている。
【0012】
図1を参照するに、配線基板10は、コア層11と、電子部品12と、樹脂部13と、配線層14と、配線層15と、貫通配線16と、絶縁層17と、配線層18と、ソルダーレジスト層19と、絶縁層20と、配線層21と、ソルダーレジスト層22とを有する。
【0013】
なお、配線基板10において、便宜上、ソルダーレジスト層19が形成される側を一方の側(一方の面)、ソルダーレジスト層22が形成される側を他方の側(他方の面)と称する場合がある。
【0014】
配線基板10の中央部近傍にはコア層11が配されている。コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、0.2〜1.0mm程度とすることができる。
【0015】
コア層11には、コア層11を厚さ方向に貫通する貫通孔11xが設けられている。貫通孔11x内には電極12aを備えた電子部品12が収容されており、貫通孔11x内の電子部品12の周囲には樹脂部13aが充填されている。樹脂部13aは、コア層11の一方の面及び他方の面から各々突出する突出部を備えている。樹脂部13aの材料としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。
【0016】
電子部品12は、例えば、キャパシタである。キャパシタの一例としては、セラミックチップキャパシタを挙げることができる。セラミックチップキャパシタとしては、一例として、直方体のキャパシタ本体の長手方向の両端に電極が形成されたものを用いることができる。
【0017】
電子部品12の平面形状は、例えば、矩形状であり、その寸法は、例えば、1.0mm(幅W
1)×0.5mm(奥行きW
2)程度とすることができる。電子部品12の厚さは、例えば、0.2〜1.0mm程度とすることができる。但し、電子部品12はキャパシタには限定されず、例えば、インダクタ、抵抗、サーミスタ、水晶振動子、半導体素子等であってもよい。又、電子部品12は2つの電極12aを有する形態には限定されず、3つ以上の電極を有していてもよい。
【0018】
貫通孔11xは、コア層11の一方の面から形成された第1の孔11x
1と、コア層11の他方の面から形成された第2の孔11x
2とを有する。第1の孔11x
1は、コア層11の一方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる断面形状(厚さ方向の断面形状)が逆台形状の孔である。又、第2の孔11x
2は、コア層11の他方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる断面形状(厚さ方向の断面形状)が台形状の孔である。
【0019】
第1の孔11x
1と第2の孔11x
2の各々の頂部がコア層11内(例えば、コア層11の厚さ方向の中央部近傍)で連通して貫通孔11xを形成している。なお、第1の孔11x
1と第2の孔11x
2の各々の頂部が連通した部分は、コア層11の一方の面側の開口部及びコア層11の他方の面側の開口部よりも平面視において内壁面が環状に内方に突出した内方突出部11x
3を構成している。
【0020】
内方突出部11x
3は、コア層11の厚さ方向の中央となる貫通孔11xの内壁面に設けられている。なお、本願において、中央とは、コア層11の厚さ方向の中心から±20%以内を指す。つまり、内方突出部11x
3は、コア層11の厚さ方向の中心から±20%以内の位置にある貫通孔11xの内壁面に設けられている。
【0021】
換言すれば、貫通孔11xにおいて、コア層11の一方の面側の開口部及びコア層11の他方の面側の開口部の各々から内方突出部11x
3にかけて、断面積(平面方向の断面積)が連続的に減少する。貫通孔11xにおいて、内方突出部11x
3が最も断面積の小さい部分(小面積部)となる。
【0022】
つまり、貫通孔11xの断面(厚さ方向の断面)は、コア層11の一方の面側の開口部から内方突出部11x
3(小面積部)にかけての傾斜面と、コア層11の他方の面側の開口部から内方突出部11x
3(小面積部)にかけての傾斜面とを有する。
【0023】
貫通孔11xにおいて、コア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の平面形状は任意に決定することができる。貫通孔11xは電子部品12を収容するための孔であるから、貫通孔11xの平面形状は、例えば、電子部品12の平面形状と略相似形とすることができる。例えば、電子部品12の平面形状が略矩形状であれば、貫通孔11xの平面形状も略矩形状とすることができる。
【0024】
但し、電子部品12を貫通孔11xに挿入しやすくするために、貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状は、電子部品12の平面形状よりも大きく形成されている。貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状は、例えば、矩形状であり、その寸法は、例えば、1.5mm(幅W
3)×1.0mm(奥行きW
4)程度とすることができる。この場合、貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部と電子部品12の外縁部との間には、各々平面視において幅0.25mm程度の環状の隙間が形成される。
【0025】
貫通孔11xの内方突出部11x
3は、電子部品12の側面と環状に接し、電子部品12を保持している。後述する配線基板10の製造工程の説明で明らかになるように、内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状は、電子部品12挿入前には、電子部品12の平面形状よりも小さく形成されている。これにより、電子部品12を貫通孔11xに挿入して押圧すると、貫通孔11xの内方突出部11x
3が変形して電子部品12の側面と環状に接し、電子部品12を保持することができる。
【0026】
なお、貫通孔11xにおいて、内方突出部11x
3は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍に位置するが、中央部近傍からコア層11の一方の側又は他方の側にずれてもよい。つまり、内方突出部11x
3は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍から垂直方向に多少ずれても問題はない。
【0027】
又、第1の孔11x
1の軸部及び第2の孔11x
2の軸部が水平方向に多少ずれても問題はない。又、電子部品12の挿入(
図3(a)参照)に支障がなければ、第1の孔11x
1の開口部の面積と第2の孔11x
2の開口部の面積が多少異なっていても問題はない。
【0028】
又、貫通孔11xにおいて、一方の側の開口部から内方突出部11x
3に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)は、直線状であっても曲線状であってもよい。又、貫通孔11xにおいて、他方の側の開口部から内方突出部11x
3に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)は、直線状であっても曲線状であってもよい。
【0029】
なお、本実施の形態では、貫通孔11xの平面形状を電子部品12の平面形状と略相似形としたが、貫通孔11xの平面形状を円形や楕円形等としてもよい。この場合には、電子部品12の角部や側面の一部が、円形や楕円形等の貫通孔11xの内方突出部11x
3と接し保持される。
【0030】
コア層11の一方の面には、第1金属層14a及び第2金属層14bを有する配線層14が形成されている。又、コア層11の他方の面には、第3金属層15a及び第4金属層15bを有する配線層15が形成されている。配線層14及び15の各々の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層14及び15は、各々所定の平面形状にパターニングされている。配線層14と配線層15とはコア層11を厚さ方向に貫通する貫通孔11yの内壁面に形成された貫通配線16により電気的に接続されている。
【0031】
なお、貫通孔11yを介して電気的に接続される部分の配線層14の第1金属層14a、配線層15の第3金属層15a、及び貫通配線16は一体的に形成されているが、ここでは、便宜上、貫通孔11x内に形成されている部分を貫通配線16として説明する。又、貫通配線16よりも絶縁層17側に形成されている部分を配線層14の第1金属層14a、貫通配線16よりも絶縁層20側に形成されている部分を配線層15の第3金属層15aとして説明する。
【0032】
貫通孔11yに形成された貫通配線16の内側部分には樹脂部13bが充填されている。樹脂部13bは、コア層11の一方の面から突出し、樹脂部13bの一端面は第1金属層14aの一方の面と略面一とされている。第2金属層14bは、樹脂部13bの一端面及び第1金属層14aの一方の面を被覆するように形成されている。又、樹脂部13bの一端面は、樹脂部13aの一端面と略面一とされている。
【0033】
又、樹脂部13bは、コア層11の他方の面から突出し、樹脂部13bの他端面は第3金属層15aの他方の面と略面一とされている。第4金属層15bは、樹脂部13bの他端面及び第3金属層15aの他方の面を被覆するように形成されている。又、樹脂部13bの他端面は、樹脂部13aの他端面と略面一とされている。
【0034】
第1金属層14a、第2金属層14b、第3金属層15a、第4金属層15b、及び貫通配線16の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。樹脂部13bの材料としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を用いることができる。なお、樹脂部13a及び13bを合わせて樹脂部13と称する場合がある。
【0035】
絶縁層17は、コア層11の一方の面に配線層14及び樹脂部13aの突出部を覆うように形成されている。絶縁層17の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂等を用いることができる。又、絶縁層17の材料として、例えば、ポリイミド系樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂等を用いてもよい。又、絶縁層17として、ガラス繊維や炭素繊維等の織布や不織布に熱硬化性のエポキシ系絶縁性樹脂やポリイミド系絶縁性樹脂を含浸させた部材を用いてもよい。
【0036】
絶縁層17は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層17の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。なお、絶縁層17は、本発明に係る絶縁層の代表的な一例である。
【0037】
絶縁層17及び樹脂部13aには、絶縁層17及び樹脂部13aを貫通し電子部品12の電極12aを露出するビアホール17xが形成されている。又、絶縁層17には、絶縁層17を貫通し配線層14の一方の面を露出するビアホール17yが形成されている。ビアホール17xは、ソルダーレジスト層19側に開口されていると共に、電子部品12の電極12aによって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。ビアホール17yは、ソルダーレジスト層19側に開口されていると共に、配線層14の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。
【0038】
配線層18は、絶縁層17の一方の側に形成されている。配線層18は、ビアホール17x内に充填されたビア配線、ビアホール17y内に充填されたビア配線、及び絶縁層17の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール17x内に充填されたビア配線は、電子部品12の電極12aと直接電気的に接続されている。又、ビアホール17y内に充填されたビア配線は、配線層14と直接電気的に接続されている。配線層18の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層18を構成する配線パターンの厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。なお、配線層18は、本発明に係る配線層の代表的な一例である。
【0039】
ソルダーレジスト層19は、絶縁層17の一方の面に、配線層18を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層19は、例えば、感光性樹脂等から形成することができる。ソルダーレジスト層19の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
【0040】
ソルダーレジスト層19は、開口部19xを有し、開口部19x内には配線層18の一部が露出している。開口部19x内に露出する配線層18は、半導体チップ等(図示せず)と電気的に接続されるパッドとして機能する。そこで、開口部19x内に露出する配線層18を第1パッド18と称する場合がある。
【0041】
必要に応じ、第1パッド18の一方の面に金属層を形成したり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層の厚さは、例えば、0.03〜10μm程度とすることができる。
【0042】
絶縁層20は、コア層11の他方の面に配線層15及び樹脂部13aの突出部を覆うように形成されている。絶縁層20の材料や厚さは、例えば、絶縁層17と同様とすることができる。絶縁層20は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。なお、絶縁層20は、本発明に係る他の絶縁層の代表的な一例である。
【0043】
絶縁層20及び樹脂部13aには、絶縁層20及び樹脂部13aを貫通し電子部品12の電極12aを露出するビアホール20xが形成されている。又、絶縁層20には、絶縁層20を貫通し配線層15の一方の面を露出するビアホール20yが形成されている。ビアホール20xは、ソルダーレジスト層22側に開口されていると共に、電子部品12の電極12aによって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。ビアホール20yは、ソルダーレジスト層22側に開口されていると共に、配線層15の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。
【0044】
配線層21は、絶縁層20の他方の側に形成されている。配線層21は、ビアホール20x内に充填されたビア配線、ビアホール20y内に充填されたビア配線、及び絶縁層20の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール20x内に充填されたビア配線は、電子部品12の電極12aと直接電気的に接続されている。つまり、配線層21は、電子部品12の電極12aを介して、配線層18と電気的に接続されている。又、ビアホール20y内に充填されたビア配線は、配線層15と直接電気的に接続されている。配線層21の材料や厚さは、例えば、配線層18と同様とすることができる。なお、配線層21は、本発明に係る他の配線層の代表的な一例である。
【0045】
ソルダーレジスト層22は、絶縁層20の他方の面に、配線層21を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層22は、例えば、感光性樹脂等から形成することができる。ソルダーレジスト層22の厚さは、例えば15〜35μm程度とすることができる。
【0046】
ソルダーレジスト層22は、開口部22xを有し、開口部22x内には配線層21の一部が露出している。開口部22x内に露出する配線層21は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続されるパッドとして機能する。そこで、開口部22x内に露出する配線層21を第2パッド21と称する場合がある。
【0047】
必要に応じ、第2パッド21の他方の面に金属層を形成したり、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施したりしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。金属層の厚さは、例えば、0.03〜10μm程度とすることができる。
【0048】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2〜
図5は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0049】
まず、
図2(a)に示す工程では、コア層11の一方の面に第1金属箔14M(パターニングされていないプレーン状の金属箔)、他方の面に第2金属箔15M(パターニングされていないプレーン状の金属箔)が形成された積層板を準備する。但し、第1金属箔14M及び第2金属箔15Mが形成された積層板に代えて、金属箔を有しないコア層11自体を出発材料としてもよい。
【0050】
コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、0.2〜1.0mm程度とすることができる。第1金属箔14M及び第2金属箔15Mとしては、例えば、各々銅箔等を用いることができる。第1金属箔14M及び第2金属箔15Mの各々の厚さは、例えば、12〜40μm程度とすることができる。
【0051】
そして、準備した積層板に、第1金属箔14M、コア基板11、及び第2金属箔15Mを貫通する貫通孔11yを形成する。貫通孔11yは、例えば、ドリル等を用いて機械的に形成できる。貫通孔11yの直径は、例えば、80〜250μm程度とすることができる。貫通孔11yを形成後、デスミア処理を行い、貫通孔11yの内壁面に付着したコア層11に含まれる樹脂の残渣を除去することが好ましい。
【0052】
次に、
図2(b)に示す工程では、貫通孔11yの内壁面を被覆する貫通配線16を形成する。貫通配線16は、例えば、以下のようにして形成できる。まず、無電解めっき法等により、第1金属箔14Mの一方の面、貫通孔11yの内壁面、及び第2金属箔15Mの他方の面を被覆する第1導電層を形成する。次に、第1導電層を給電層とする電解めっき法により第1導電層上に第2導電層を形成する。これにより、貫通孔11y内には、貫通孔11yの内壁面を被覆する貫通配線16(第1導電層及び第2導電層からなる)が形成される。第1導電層及び第2導電層の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。
【0053】
第1金属箔14Mの一方の面及び第2金属箔15Mの他方の面にも第1導電層及び第2導電層が形成されるが、これらは、後述する工程でパターニングされて、各々配線層14及び15の一部となる。なお、
図2(b)では、図面の簡略化のため、第1金属箔14M、第1導電層、及び第2導電層を含めて金属層14N、第2金属箔15M、第1導電層、及び第2導電層を含めて金属層15Nとしている(他の図についても同様)。
【0054】
次に、
図2(c)及び
図2(d)に示す工程では、金属層14N、コア層11、及び金属層15Nを貫通する貫通孔11xを形成する。貫通孔11xを形成するには、まず、
図2(c)に示すように、金属層14Nを介して、コア層11の一方の面側に紫外線レーザ(UVレーザ)を照射し、コア層11の一方の面側に第1の孔11x
1を形成する。なお、紫外線の波長範囲は、200nm〜400nm程度とすることが好ましい。
【0055】
但し、一回の紫外線レーザ(UVレーザ)の照射で形成できる開口部径は5μm程度が限度である。そこで、貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部の平面形状を、例えば、1.5mm(幅W
3)×1.0mm(奥行き)程度とするためには、紫外線レーザ(UVレーザ)の照射を複数回行う必要がある。つまり、紫外線レーザ(UVレーザ)の照射を複数回行って複数の貫通孔を互いに連通するように形成し、所望の形状の開口部を形成する必要がある。
【0056】
第1の孔11x
1は、コア層11の一方の面側の開口部の面積がコア層11の他方の面側に形成された開口部の面積よりも大となる断面形状(厚さ方向の断面形状)が逆台形状(テーパ状)の孔となる。但し、最終的に貫通孔11xが形成されれば、
図2(c)に示す工程において、第1の孔11x
1はコア層11を貫通しなくてもよい。この場合には、第1の孔11x
1は、コア層11の一方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる断面形状(厚さ方向の断面形状)が逆台形状(テーパ状)の孔となる。
【0057】
次に、
図2(d)に示すように、金属層15Nを介して、第1の孔11x
1に対応する部分のコア層11の他方の面側に紫外線レーザ(UVレーザ)を照射し、コア層11の他方の面側に第2の孔11x
2を形成する。第2の孔11x
2は、コア層11の他方の面側の開口部の面積がコア層11内に形成された頂部の面積よりも大となる断面形状(厚さ方向の断面形状)が台形状(テーパ状)の孔となる。第2の孔11x
2において、紫外線レーザ(UVレーザ)の照射を複数回行って複数の貫通孔を互いに連通するように形成し、所望の形状の開口部を形成する必要がある点は、第1の孔11x
1の場合と同様である。
【0058】
図2(d)に示す工程により、第1の孔11x
1と第2の孔11x
2の各々の頂部がコア層11の厚さ方向の中央部近傍で連通し、貫通孔11xが形成される。第1の孔11x
1と第2の孔11x
2の各々の頂部が連通した部分には、コア層11の一方の面側の開口部及びコア層11の他方の面側の開口部よりも平面視において内壁面が環状に内方に突出した内方突出部11x
3が形成される。
【0059】
コア層11の一方の面に対する第1の孔11x
1の内壁面の傾斜角及びコア層11の他方の面に対する第2の孔11x
2の内壁面の傾斜角は、後工程で電子部品12が挿入しやすいように適宜決定できるが、例えば、60〜85°程度とすることができる。内壁面の傾斜角は、照射するレーザ光のパワーや焦点距離等を最適化することにより調整できる。
【0060】
なお、
図2(d)に示す工程の後、デスミア処理を行い、貫通孔11xの内壁面に付着したコア層11に含まれる樹脂の残渣を除去することが好ましい。
【0061】
図2(d)に示す工程において、貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状は、後述する工程で挿入される電子部品12の平面形状よりも大きく形成されている。貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状は、例えば、矩形状であり、その寸法は、例えば、1.5mm(幅W
3)×1.0mm(奥行き)程度とすることができる。
【0062】
又、
図2(d)に示す工程において、内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状は、後述する工程で挿入される電子部品12の平面形状よりも小さく形成されている。内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状において、幅W
5は、例えば、電子部品12の幅W
1よりも200〜400μm程度小さくすることができる。
【0063】
又、内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状において、奥行き(紙面に垂直な方向)は、例えば、電子部品12の奥行きW
2よりも200〜400μm程度小さくすることができる。但し、内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状を電子部品12の平面形状よりどの程度小さくするかは、コア層11を構成する絶縁性樹脂の硬度等を考慮して適宜決定できる。
【0064】
なお、貫通孔11xにおいて、内方突出部11x
3は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍に位置するが、中央部近傍からコア層11の一方の側又は他方の側にずれてもよい。つまり、内方突出部11x
3は、コア層11の厚さ方向の中央部近傍から垂直方向に多少ずれても問題はない。又、第1の孔11x
1の軸部及び第2の孔11x
2の軸部が水平方向に多少ずれても問題はない。又、電子部品12の挿入(
図3(a)参照)に支障がなければ、第1の孔11x
1の開口部の面積と第2の孔11x
2の開口部の面積が多少異なっていても問題はない。
【0065】
又、貫通孔11xにおいて、一方の側の開口部から内方突出部11x
3に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)は、直線状であっても曲線状であってもよい。又、貫通孔11xにおいて、他方の側の開口部から内方突出部11x
3に至る部分の内壁面の断面形状(厚さ方向の断面形状)は、直線状であっても曲線状であってもよい。なお、本実施の形態では、貫通孔11xの平面形状を電子部品12の平面形状と略相似形としたが、貫通孔11xの平面形状を円形や楕円形等としてもよい。
【0066】
なお、
図2(c)及び
図2(d)において紫外線レーザ(UVレーザ)を用いる理由は、金属は紫外線レーザ(UVレーザ)の照射する波長帯の光の吸収率が高いため、比較的小さな出射パワーでも金属を貫通できるためである。銅は紫外線レーザ(UVレーザ)の照射する波長帯の光の吸収率が特に高いため、金属層14N及び15Nの材料として銅を用いる場合に特に有効である。
【0067】
次に、
図3(a)に示す工程では、貫通孔11x内に電子部品12を挿入(仮配置)する。電子部品12の挿入(仮配置)は、例えば、電子部品のマウンターを用いて行うことができる。前述のように、内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状は挿入される電子部品12の平面形状よりも小さく形成されているため、電子部品12は内方突出部11x
3上に仮配置される。
【0068】
又、前述のように、貫通孔11xのコア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状は、電子部品12の平面形状よりも大きく形成されている。つまり、貫通孔11xにおいて、電子部品12を挿入する部分はテーパ形状とされている。そのため、マウンターによる電子部品12の搭載位置が貫通孔11xの中心からずれた場合でも、電子部品12はテーパ形状の部分に誘い込まれて、貫通孔11x内に正確に挿入(仮配置)できる。
【0069】
次に、
図3(b)に示す工程では、電子部品12を内方突出部11x
3側に押圧する。これにより、貫通孔11xの内方突出部11x
3が変形して電子部品12の側面と環状に接し、電子部品12が保持される。換言すれば、内方突出部11x
3が電子部品12をかしめる支点となり、電子部品12が貫通孔11x内に固定される。
【0070】
次に、
図3(c)及び
図3(d)に示す工程では、樹脂部13a及び13bを含む樹脂部13を形成する。樹脂部13aを形成するには、まず、
図3(c)に示すように、貫通孔11x内の電子部品12の周囲にエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を流し込み、更に、金属層14Nの一方の面及び金属層15Nの他方の面から各々絶縁性樹脂等を突出させる。その後、加熱により絶縁性樹脂等を硬化させる。
【0071】
又、樹脂部13bを形成するには、まず、
図3(c)に示すように、貫通孔11y内の貫通配線16の内側にエポキシ系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂等を流し込み、更に、金属層14Nの一方の面及び金属層15Nの他方の面から各々絶縁性樹脂等を突出させる。その後、絶縁性樹脂等を硬化させる。
【0072】
そして、
図3(d)に示すように、金属層14Nの一方の面及び金属層15Nの他方の面から各々突出した絶縁性樹脂等を研磨し平滑化する。これにより、樹脂部13a及び13bの一端面は、金属層14Nの一方の面と略面一となり、樹脂部13a及び13bの他端面は、金属層15Nの他方の面と略面一となる。
【0073】
次に、
図4(a)に示す工程では、樹脂部13aの一端面、樹脂部13bの一端面、及び金属層14Nの一方の面を被覆する金属層14Pを形成する。又、樹脂部13aの他端面、樹脂部13bの他端面、及び金属層15Nの他方の面を被覆する金属層15Pを形成する。金属層14P及び15Pの材料としては、例えば、銅等を用いることができる。金属層14P及び15Pの厚さは、例えば、15〜45μm程度とすることができる。
【0074】
金属層14Pは、例えば、以下のようにして形成できる。まず、無電解めっき法等により、樹脂部13aの一端面、樹脂部13bの一端面、及び金属層14Nの一方の面を被覆する第3導電層を形成する。次に、第3導電層を給電層とする電解めっき法により第3導電層上に第4導電層を形成する。
【0075】
これにより、樹脂部13aの一端面、樹脂部13bの一端面、及び金属層14Nの一方の面を被覆する金属層14P(第3導電層及び第4導電層からなる)が形成される。金属層15Pも金属層14Pと同様の方法により形成できる。なお、
図4(a)では、図面の簡略化のため、第3導電層及び第4導電層を一体的に金属層14Pとして示している。金属層15Pについても同様である。
【0076】
次に、
図4(b)に示す工程では、配線層14及び15を形成する。具体的には、配線層14となる部分の金属層14N及び14P上にレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層(図示せず)に覆われていない部分の金属層14N及び14Pをエッチングで除去して、第1金属層14a及び第2金属層14bを有する配線層14を形成する。なお、第1金属層14a及び第2金属層14bは、各々金属層14N及び14Pがパターニングされたものである。樹脂部13aの一端は、コア層11の一方の面から突出する。
【0077】
又、配線層15となる部分の金属層15N及び15P上にレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層(図示せず)に覆われていない部分の金属層15N及び15Pをエッチングで除去して、第3金属層15a及び第4金属層15bを有する配線層15を形成する。なお、第3金属層15a及び第4金属層15bは、各々金属層15N及び15Pがパターニングされたものである。樹脂部13aの他端は、コア層11の他方の面から突出する。
【0078】
次に、
図4(c)に示す工程では、コア層11の一方の面に配線層14及び樹脂部13aの突出部を覆うようにフィルム状の樹脂等をラミネートし、絶縁層17を形成する。又、コア層11の他方の面に配線層15及び樹脂部13aの突出部を覆うようにフィルム状の樹脂等をラミネートし、絶縁層20を形成する。フィルム状の樹脂としては、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等を用いることができる。
【0079】
或いは、フィルム状の樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて絶縁層17及び20を形成してもよい。絶縁層17及び20の各々の厚さは、例えば、15〜35μm程度とすることができる。絶縁層17及び20の各々は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0080】
次に、絶縁層17及び樹脂部13aに、絶縁層17及び樹脂部13aを貫通し電子部品12の電極12aを露出するビアホール17xを形成する。又、絶縁層17に、絶縁層17を貫通し配線層14の一方の面を露出するビアホール17yを形成する。又、絶縁層20及び樹脂部13aに、絶縁層20及び樹脂部13aを貫通し電子部品12の電極12aを露出するビアホール20xを形成する。又、絶縁層20に、絶縁層20を貫通し配線層15の一方の面を露出するビアホール20yを形成する。
【0081】
ビアホール17x、17y、20x、及び20yは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール17x、17y、20x、及び20yを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール17x、17y、20x、及び20yの内壁面に付着した樹脂の残渣を除去することが好ましい。
【0082】
次に、
図5(a)に示す工程では、絶縁層17の一方の側に配線層18を形成する。配線層18は、ビアホール17x内に充填されたビア配線、ビアホール17y内に充填されたビア配線、及び絶縁層17の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。ビアホール17x内に充填されたビア配線は、電子部品12の電極12aと直接電気的に接続される。又、ビアホール17y内に充填されたビア配線は、配線層14と直接電気的に接続される。
【0083】
同様に、絶縁層20の他方の側に配線層21を形成する。配線層21は、ビアホール20x内に充填されたビア配線、ビアホール20y内に充填されたビア配線、及び絶縁層20の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。ビアホール20x内に充填されたビア配線は、電子部品12の電極12aと直接電気的に接続される。又、ビアホール20y内に充填されたビア配線は、配線層15と直接電気的に接続される。
【0084】
配線層18及び21の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層18及び21の各々の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。配線層18及び21の各々は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。なお、配線層18及び21上に更に任意数の絶縁層及び配線層を積層してもよい。
【0085】
次に、
図5(b)に示す工程では、絶縁層17の一方の面に配線層18を被覆するソルダーレジスト層19を形成する。ソルダーレジスト層19は、例えば、液状又はペースト状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂を、配線層18を被覆するように絶縁層17の一方の面にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えば、フィルム状の感光性のエポキシ系絶縁性樹脂を、配線層18を被覆するように絶縁層17の一方の面にラミネートすることにより形成してもよい。同様にして、絶縁層20の他方の面に配線層21を被覆するソルダーレジスト層22を形成する。
【0086】
そして、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することでソルダーレジスト層19に開口部19xを形成する(フォトリソグラフィ法)。又、ソルダーレジスト層22に開口部22xを形成する(フォトリソグラフィ法)。なお、開口部19x及び22xは、レーザ加工法やブラスト処理により形成してもよい。開口部19x及び22xの各々の平面形状は、例えば、円形状とすることができる。開口部19xの直径は、例えば、50〜100μm程度、開口部22xの直径は、例えば、400〜1200μm程度とすることができる。
【0087】
必要に応じ、開口部19x及び22xの各々の底部に露出する配線層18の一方の面及び配線層21の他方の面に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。或いは、開口部19x及び22xの各々の底部に露出する配線層18の一方の面及び配線層21の他方の面に、金属層の形成に代えて、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施してもよい。
【0088】
図5(b)に示す工程で配線基板10が完成するが、更に、
図5(c)に示すように、配線基板10に接合部30を介して半導体チップ40を搭載し、配線基板10と半導体チップ40との間にアンダーフィル樹脂50を充填して半導体パッケージとしてもよい。接合部30としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0089】
なお、
図2〜
図5では、1個の配線基板10を作製する例を示したが、複数の配線基板10となる部材を作製後、それを切断して個片化し、複数の配線基板10を得る工程としても構わない。又、配線基板10に電子部品を収容するための複数の貫通孔を形成し、各貫通孔に電子部品を収容した構造としても構わない。この際、各貫通孔には同一の電子部品を収容してもよいし、異なる電子部品を収容してもよい。
【0090】
このように、第1の実施の形態では、コア層11に、コア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部よりも平面視において内壁面が内方に突出した内方突出部11x
3を備えた貫通孔11xを形成する。貫通孔11xは、コア層11の一方の面側の開口部及び他方の面側の開口部の各々の平面形状が電子部品12の平面形状よりも大きく形成されている。つまり、貫通孔11xにおいて、電子部品12を挿入する部分はテーパ形状とされている。そのため、マウンターによる電子部品12の搭載位置が貫通孔11xの中心からずれた場合でも、電子部品12はテーパ形状の部分に誘い込まれて、貫通孔11x内に正確に挿入(仮配置)できる。
【0091】
又、貫通孔11xは、内方突出部11x
3の内側の領域の平面形状が挿入される電子部品12の平面形状よりも小さく形成されている。そのため、貫通孔11x内に挿入(仮配置)された電子部品12を内方突出部11x
3側に押圧することにより、貫通孔11xの内方突出部11x
3が変形して電子部品12の側面と環状に接し、電子部品12を保持(固定)できる。
【0092】
又、第1の実施の形態では、貫通孔11xの形成に金属(特に銅)による光の吸収率が高い紫外線レーザ(UVレーザ)を用いるため、金属層(特に銅層)を介してレーザ光を照射しても、容易に金属層を貫通して貫通孔11xを形成できる。
【0093】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、樹脂部13を設けない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0094】
[第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の構造について説明する。
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。
図6を参照するに、配線基板10Aは、配線層14、配線層15、及び貫通配線16が、配線層24、配線層25、及び貫通配線26に置換された点、樹脂部13が設けられていない点が、第1の実施の形態に係る配線基板10(
図1参照)と相違する。
【0095】
配線基板10Aにおいて、コア層11の一方の面には、配線層24が形成されている。又、コア層11の他方の面には、配線層25が形成されている。配線層24及び25の各々の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層24及び25は、各々所定の平面形状にパターニングされている。配線層24と配線層25とはコア層11を厚さ方向に貫通する貫通孔11yを充填する貫通配線26により電気的に接続されている。
【0096】
なお、貫通孔11yを介して電気的に接続される部分の配線層24、配線層25、及び貫通配線26は一体的に形成されているが、ここでは、便宜上、貫通孔11x内に充填されている部分を貫通配線26として説明する。又、貫通配線26よりも絶縁層17側に形成されている部分を配線層24、貫通配線26よりも絶縁層20側に形成されている部分を配線層25として説明する。
【0097】
配線層24、配線層25、及び貫通配線26の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層24、配線層25、及び貫通配線26は、各々複数の層から構成されていてもよい。
【0098】
絶縁層17は、コア層11の一方の面に、配線層24を覆い、第1の孔11x
1の電子部品12の周囲を充填するように形成されている。又、絶縁層20は、コア層11の他方の面に、配線層25を覆い、第2の孔11x
2の電子部品12の周囲を充填するように形成されている。つまり、絶縁層17及び20は、第1の実施の形態の樹脂部13aの機能を兼ねている。
【0099】
[第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造方法について説明する。
図7及び
図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0100】
まず、
図7(a)に示す工程では、コア層11に、コア層11を貫通する貫通孔11yを形成する。貫通孔11yは、例えば、ドリル等を用いて機械的に形成できる。貫通孔11yは、例えば、レーザ加工法等により形成してもよい。貫通孔11yの直径は、例えば、80〜250μm程度とすることができる。貫通孔11yを形成後、デスミア処理を行い、貫通孔11yの内壁面に付着したコア層11に含まれる樹脂の残渣を除去することが好ましい。
【0101】
次に、
図7(b)に示す工程では、コア層11の一方の面に配線層24、コア層11の他方の面に配線層25、貫通孔11yを充填し配線層24と配線層25とを電気的に接続する貫通配線26を形成する。配線層24及び25の各々の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層24及び25は、各々所定の平面形状にパターニングされている。配線層24、配線層25、及び貫通配線26の各々の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層24、配線層25、及び貫通配線26は、各々複数の層から構成されていてもよい。
【0102】
具体的には、例えば、コア層11の一方の面、貫通孔11yの内壁面、及びコア層11の他方の面に、無電解めっき法により銅等からなる第1めっき層を形成する。次いで、第1めっき層上に配線層24及び25(配線パターン部分及び貫通孔11y部分)を形成する領域を露出するレジストパターンを形成する。次いで、例えば、第1めっき層を給電層とする電解めっき法により、レジストパターンから露出する第1めっき層上に銅等からなる第2めっき層を析出し、かつ、貫通孔11y内を第2めっき層で充填する。次いで、レジストパターンを除去し、更に、第2めっき層から露出する第1めっき層を除去する。これにより、第1めっき層及び第2めっき層からなる配線層24、配線層25、及び貫通配線26が形成される。
【0103】
次に、
図7(c)に示す工程では、第1の実施の形態の
図2(c)及び
図2(d)に示す工程と同様にして、コア層11を貫通する貫通孔11xを形成する。なお、本実施の形態では、金属層を介してレーザ光を照射しないため、貫通孔11xの形成に紫外線レーザ(UVレーザ)を用いてもよいし、CO
2レーザ等の紫外線レーザ(UVレーザ)以外のレーザを用いてもよい。次に、
図8(a)に示す工程では、第1の実施の形態の
図3(a)及び
図3(b)に示す工程と同様にして、電子部品12を貫通孔11x内に固定する。
【0104】
次に、
図8(b)に示す工程では、コア層11の一方の面に、配線層24を覆うようにフィルム状の樹脂をラミネートする。又、コア層11の他方の面に、配線層25を覆うようにフィルム状の樹脂をラミネートする。そして、コア層11の一方の面及び他方の面にラミネートしたフィルム状の樹脂を加熱しながらコア層11方向に加圧し、軟化した樹脂の一部を貫通孔11xの電子部品12の周囲に充填し、その状態で硬化させる。
【0105】
これにより、コア層11の一方の面に、配線層24を覆い、第1の孔11x
1の電子部品12の周囲を充填する絶縁層17が形成される。又、コア層11の他方の面に、配線層25を覆い、第2の孔11x
2の電子部品12の周囲を充填する絶縁層20が形成される。なお、フィルム状の樹脂のラミネートに代えて、液状又はペースト状の樹脂を塗布後、硬化させて絶縁層17及び20を形成してもよい。絶縁層17及び20の材料や厚さ等は、第1の実施の形態で説明した通りである。
【0106】
なお、
図8(c)に示すように、絶縁層17として、補強材17zに熱硬化性のエポキシ系絶縁性樹脂やポリイミド系絶縁性樹脂を含浸させた樹脂フィルムを用いてもよい。同様に、絶縁層20として、補強材20zに熱硬化性のエポキシ系絶縁性樹脂やポリイミド系絶縁性樹脂を含浸させた樹脂フィルムを用いてもよい。補強材17z及び20zとしては、例えば、ガラス繊維や炭素繊維等の織布や不織布等を用いることができる。
【0107】
図8(c)の場合、絶縁層17及び20を構成する樹脂成分のみが貫通孔11x内に充填され、貫通孔11xの両開口部を補強材17z及び20zで閉塞することになる。よって、貫通孔11xの両開口部からの電子部品12の突出を抑制できる。なお、
図8(b)又は
図8(c)に示す工程では、電子部品12の厚さをコア層11の厚さの±20%程度とすることにより、貫通孔11x内を絶縁層17及び20を構成する樹脂成分で十分に充填できる。
【0108】
図8(b)又は
図8(c)に示す工程の後、第1の実施の形態の
図4(c)〜
図5(c)に示す工程と同様にして、配線基板10A(
図6参照)及び配線基板10Aに半導体チップを搭載した半導体パッケージが完成する。
【0109】
なお、第1の実施の形態の変形例1において、
図7(a)及び
図7(b)に示す工程に代えて、
図8(d)に示す工程を採用してもよい。
図8(d)に示す工程では、第1の実施の形態の
図2(a)〜
図4(b)に示す工程と同様にして、コア層11の一方の面に配線層14、他方の面に配線層15、貫通孔11yの内壁面に配線層14と配線層15とを電気的に接続する貫通配線16を形成する。又、貫通配線16の内側部分に樹脂部13bを充填する。但し、第1の実施の形態とは異なり、この時点では貫通孔11xは形成しない。
図8(d)に示す工程の後、
図7(c)以降の工程を実行することにより、配線基板10A(
図6参照)に対応する配線基板が製造される。
【0110】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、第1の実施の形態の変形例1において、更に、コア層上に絶縁層及び配線層を多層に積層する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0111】
図9は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。
図9を参照するに、配線基板10Bは、コア層11の一方の面の配線層18とソルダーレジスト層19との間に、絶縁層31、配線層32、絶縁層33、配線層34が追加された点が、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板10A(
図6参照)と相違する。又、コア層11の他方の面の配線層21とソルダーレジスト層22との間に、絶縁層35、配線層36、絶縁層37、配線層38が追加された点が、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板10A(
図6参照)と相違する。
【0112】
絶縁層31は、配線層18を覆うように形成されている。又、絶縁層35は、配線層21を覆うように形成されている。絶縁層31及び35の材料や厚さは、例えば、絶縁層17と同様とすることができる。絶縁層31及び35は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0113】
絶縁層31には、絶縁層31を貫通し配線層18の一方の面を露出するビアホール31xが形成されている。ビアホール31xは、絶縁層33側に開口されていると共に、配線層18の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。又、絶縁層35には、絶縁層35を貫通し配線層21の他方の面を露出するビアホール35xが形成されている。ビアホール35xは、絶縁層37側に開口されていると共に、配線層21の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。
【0114】
配線層32は、絶縁層31の一方の側に形成されている。配線層32は、ビアホール31x内に充填されたビア配線、及び絶縁層31の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール31x内に充填されたビア配線は、配線層18と電気的に接続されている。又、配線層36は、絶縁層35の他方の側に形成されている。配線層36は、ビアホール35x内に充填されたビア配線、及び絶縁層35の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール35x内に充填されたビア配線は、配線層21と電気的に接続されている。配線層32及び36の材料や厚さは、例えば、配線層18と同様とすることができる。
【0115】
絶縁層33は、配線層32を覆うように形成されている。又、絶縁層37は、配線層36を覆うように形成されている。絶縁層33及び37の材料や厚さは、例えば、絶縁層17と同様とすることができる。絶縁層33及び37は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0116】
絶縁層33には、絶縁層33を貫通し配線層32の一方の面を露出するビアホール33xが形成されている。ビアホール33xは、ソルダーレジスト層19側に開口されていると共に、配線層32の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。又、絶縁層37には、絶縁層37を貫通し配線層36の他方の面を露出するビアホール37xが形成されている。ビアホール37xは、ソルダーレジスト層22側に開口されていると共に、配線層36の一方の面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。
【0117】
配線層34は、絶縁層33の一方の側に形成されている。配線層34は、ビアホール33x内に充填されたビア配線、及び絶縁層33の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール33x内に充填されたビア配線は、配線層32と電気的に接続されている。又、配線層38は、絶縁層37の他方の側に形成されている。配線層38は、ビアホール37x内に充填されたビア配線、及び絶縁層37の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール37x内に充填されたビア配線は、配線層36と電気的に接続されている。配線層34及び38の材料や厚さは、例えば、配線層18と同様とすることができる。
【0118】
このように、コア層11の一方の面及び他方の面に積層される絶縁層及び配線層の数は任意に決定できる。又、
図10に示すように、配線基板10Bに接合部30を介して半導体チップ40を搭載し、配線基板10Bと半導体チップ40との間にアンダーフィル樹脂50を充填して半導体パッケージ10Cとしてもよい。
【0119】
ここで、貫通孔11xの内方突出部11x
3と電子部品12との接触状態について説明する。第1の実施の形態及びその変形例では、貫通孔11xの内方突出部11x
3が電子部品12の側面と環状に接し電子部品12を保持すると説明した。しかし、これには限定されず、内方突出部11x
3と電子部品12との状態は、例えば、
図11に示すようにしてもよい。
【0120】
図11は、
図1のA−A線に沿う断面図である。つまり、
図1のA−A線に沿う平面方向の断面を、コア層11の一方の面側から視た図である。但し、
図11では、内方突出部11x
3及び電子部品12のみを図示し、他は図示を省略している。
【0121】
電子部品12がキャパシタである場合、内方突出部11x
3がキャパシタの本体部分(電極12aを除く部分)と嵌合すると、本体部分の側面が削れ、キャパシタの容量が変動するおそれがある。そこで、
図11(a)に示すように、内方突出部11x
3をキャパシタの電極12aの部分のみと嵌合させることにより、キャパシタの本体部分の側面が削れないため、キャパシタの容量の変動を防止できる。
【0122】
又、
図11(b)や
図11(c)に示すように、内方突出部11x
3の平面形状を円形(楕円形も含む)や多角形(本例では8角形)にすると、内方突出部11x
3の4点で電子部品12と嵌合するため、電子部品12の位置決め及び保持を好適に行うことができる。なお、
図11(b)や
図11(c)の場合にも、
図11(a)の場合と同様に、内方突出部11x
3はキャパシタの電極12aの部分のみと嵌合しているため、キャパシタの容量の変動を防止できる。
【0123】
このように、内方突出部11x
3は、電子部品12の一部のみに接していてもよい。
【0124】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0125】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、金属層を介して紫外線レーザ(UVレーザ)を照射して貫通孔を形成する例を示したが、予め金属層をパターニングした後、金属層の形成されていない領域(樹脂領域)にレーザを照射して貫通孔を形成してもよい。この場合には、紫外線レーザ(UVレーザ)を用いてもよいし、CO
2レーザ等を用いてもよい。何れのレーザを用いた場合にも、
図1等に示す形状の貫通孔11xが形成される。