(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「(メタ)アクリル」との表記は「アクリル」及び「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表記は「アクリレート」及び「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」との表記は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリロキシ」との表記は「アクリロキシ」及び「メタクリロキシ」を意味する。
【0015】
<反射粒子>
本発明の反射粒子は、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む樹脂を含有する樹脂粒子である。
【0017】
一般式(1)中、Rは、ビニル基を除く重合性基を表し、Arは、芳香族基を表し、Wは、単結合又は2価の連結基を表す。
【0018】
一般式(1)で表される化合物の屈折率が高いことにより、該化合物に由来する構成単位を含む樹脂(以下「特定樹脂」と称する。)を含有する本発明の反射粒子は、反射率が高いと考えられる。そして、本発明の反射粒子を適用した表示媒体及び表示装置は、白表示の反射率が高い。
【0019】
一般式(1)で表される化合物の屈折率としては、1.64以上が望ましく、1.65以上がより望ましく、1.69以上が更に望ましい。
一般式(1)で表される化合物の屈折率は、アッベ屈折計(例えば、アタゴ社製DR−M4)を用いて、空気中/温度20℃/測定波長589nmで測定される、相対屈折率である。
【0020】
以下に、本発明の反射粒子を構成する成分について説明する。
【0021】
〔特定樹脂〕
特定樹脂は、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む樹脂である。
【0023】
Rは、ビニル基を除く重合性基を表す。
ビニル基を除く重合性基としては、ラジカル重合可能な基が望ましく、例えば、スチリル基、α−メチルスチリル基、アクリロイル基(CH
2=CH−C(O)−)、メタクリロイル基(
CH2=C(CH3)−C(O)−)、アクリルアミド基(CH
2=CH−C(O)−NH−)、メタクリルアミド基(
CH2=C(CH3)−C(O)−NH−)が挙げられる。中でも、スチリル基、α−メチルスチリル基、アクリロイル基、及びメタクリロイル基が望ましく、Arで表される芳香族基の共役に参加し得る観点でスチリル基及びα−メチルスチリル基がより望ましく、さらに重合性の観点でスチリル基が特に望ましい。
【0024】
Rがスチリル基又はα−メチルスチリル基の場合、ベンゼン環が有するエチレン性不飽和基と、Wで表される単結合又は2価の連結基との配向は、オルト、メタ、及びパラのいずれでもよい。
【0025】
Arは、芳香族基を表す。
芳香族基の環構造は、単環、縮合環、並びに、単環及び縮合環が単結合した多環のいずれでもよく、単環及び縮合環は、炭化水素環及び複素環のいずれでもよい。
単環及び縮合環は、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、及び水酸基から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよく、炭素数1以上4以下のアルキル基及び炭素数1以上4以下のアルコキシ基は、更に、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)及び水酸基から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
【0026】
縮合環としては、例えば、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、テトラセンが挙げられる。
複素環としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含む環が挙げられ、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾールが挙げられる。
【0027】
Arとしては、ベンゾチアゾール基、フェニル基、フェニルベンゾチアゾール基(2−フェニルベンゾチアゾールのベンゼン環(単環)から水素原子が1個取れた基)、及びナフチル基(1−ナフチル基及び2−ナフチル基)が望ましく、ベンゾチアゾール基、フェニル基、及びフェニルベンゾチアゾール基がより望ましく、ベンゾチアゾール基及びフェニル基が更に望ましい。
Arがフェニルベンゾチアゾール基の場合、該基中の単環と、Wで表される単結合又は2価の連結基との結合位置は、ベンゾチアゾール基の結合位置を1位とした場合の2位、3位、及び4位のいずれでもよい。
【0028】
Wは、単結合又は2価の連結基を表す。Wで表される2価の連結基としては、例えば、以下の連結基及びこれらを2個以上(望ましくは2個)組み合せた連結基が挙げられる。
【0033】
Wで表される2価の連結基としては、以下の連結基及びこれらを2個以上(望ましくは2個)組み合せた連結基が望ましい。
【0035】
Wとしては、Arで表される芳香族基の共役に参加し得る観点で、又は、Rで表されるビニル基を除く重合性基とArで表される芳香族基との間に起こり得る共役を阻害しない観点で、単結合、下記構造式で表される連結基のいずれか、及び下記構造式で表される連結基のいずれか2個を組み合せた連結基が望ましく、単結合、エチニレン(−C≡C−)、及びエーテル結合(−O−)がより望ましく、エチニレンが更に望ましい。
Arがフェニル基及びナフチル基の場合、Wは、単結合よりも2価の連結基が望ましく、2価の連結基としては、下記構造式で表される連結基のいずれか、及び下記構造式で表される連結基のいずれか2個を組み合せた連結基が望ましく、エチニレン、及びエーテル結合がより望ましく、エチニレンが更に望ましい。
【0037】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下のM−1〜M−16の化合物が挙げられる。
【0040】
一般式(1)で表される化合物としては、
Rが、スチリル基、α−メチルスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、及びメタクリルアミド基のいずれかであり、
Arが、ベンゾチアゾール基、フェニル基、及びフェニルベンゾチアゾール基のいずれかであり、
Wが、単結合、下記構造式で表される連結基、及び下記構造式で表される連結基を2個組み合せた連結基のいずれかである、
組合せが望ましい。
【0042】
〔その他の成分〕
反射粒子は、特定樹脂以外の樹脂、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂を含有していてもよい。ただし、特定樹脂が、全樹脂の80質量%以上を占めることが望ましく、90質量%以上を占めることがより望ましく、100質量%を占めることが更に望ましい。
【0043】
反射粒子は、白色度の調整を目的に、白色顔料、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛を含有していてもよい。
【0044】
本発明の反射粒子は、例えば、表示媒体において表示画像の背景色をなす粒子として適用し得る。本発明の反射粒子は、電解応答性の低い粒子群(つまり電界に応じて移動し難い粒子群、非泳動粒子群)であってもよく、電解応答性の高い粒子群(つまり電界に応じて移動する粒子群、泳動粒子群)であってもよい。
【0045】
反射粒子の平均粒径は、特に制限はなく、用途に応じて望ましい範囲を決定してよい。例えば、100nm以上5000nm以下の範囲が挙げられ、200nm以上1000nm以下が望ましい範囲として挙げられる。この範囲とすることで、分散性に優れ、且つ良好な反射率を示す粒子とすることができる。
【0046】
本発明の反射粒子は、以下に説明する、第1実施形態に係る反射粒子又は第2実施形態に係る反射粒子であることが望ましい。
【0047】
<第1実施形態に係る反射粒子>
第1実施形態に係る反射粒子は、前記一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位を含む樹脂(特定樹脂)を含有するコア粒子と、該コア粒子の表面に付着した分散剤と、を有する。
係る構成の反射粒子は、表面に分散剤を有することにより、表示媒体において分散媒への分散性に優れる。
【0048】
〔コア粒子〕
コア粒子は、特定樹脂を含有する。コア粒子は、前述のごとく、その他の樹脂や白色顔料を含有していてもよい。
【0049】
特定樹脂は、一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位以外に、その他の重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。その他の重合成分としては、例えば、後述する重合成分(B)が挙げられる。
【0050】
特定樹脂に占める一般式(1)で表される化合物の質量割合は、80質量%以上が望ましく、90質量%以上がより望ましく、100質量%が更に望ましい。
なお、上記の質量割合は、特定樹脂を合成する際の、重合成分の仕込み量の割合である。
【0051】
特定樹脂の重量平均分子量は、500以上100万以下が望ましく、1000以上80万以下がより望ましく、5000以上50万以下が更に望ましい。
【0052】
〔分散剤〕
分散剤としては、ジメチルポリシロキサン骨格を主鎖又は側鎖に有するポリマー(以下「シリコーン鎖含有ポリマー」と称する。)が望ましく、ジメチルポリシロキサン骨格を側鎖に有するポリマーがより望ましい。
【0053】
シリコーン鎖含有ポリマーとしては、例えば、シリコーン鎖を有する重合成分(「シリコーン鎖含有重合成分(A)」)と、その他の重合成分(「重合成分(B)」)との共重合体が挙げられる。
【0054】
−シリコーン鎖含有重合成分(A)−
シリコーン鎖含有重合成分(A)としては、ジメチルポリシロキサン骨格を有する化合物(「シリコーンマクロモノマー」)が挙げられ、シリコーンマクロモノマーとしては、片末端に(メタ)アクリレート基を有するジメチルシリコーン化合物、及び、両末端に(メタ)アクリレート基を有するジメチルシリコーン化合物が挙げられる。
片末端に(メタ)アクリレート基を有するジメチルシリコーン化合物としては、例えば、下記一般式(11)で表される化合物、下記一般式(12)で表される化合物、及び下記一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
両末端に(メタ)アクリレート基を有するジメチルシリコーン化合物としては、例えば、下記一般式(14)で表される化合物が挙げられる。
【0056】
一般式(11)中、R
1は、水素原子又はメチル基を表し、R
2は、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数1以上4以下のフルオロアルキル基を表し、nは、0以上1000以下の整数を表し、xは、1以上3以下の整数を表す。
【0058】
一般式(12)中、R
1は、水素原子又はメチル基を表し、R
3、R
4及びR
5はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数1以上4以下のフルオロアルキル基を表し、m及びnはそれぞれ独立に、0以上1000以下の整数を表し、xは、1以上3以下の整数を表す。
【0060】
一般式(13)中、R
1は、水素原子又はメチル基を表し、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数1以上4以下のフルオロアルキル基を表し、l、m及びnはそれぞれ独立に、0以上1000以下の整数を表し、xは、1以上3以下の整数を表す。
【0062】
一般式(14)中、R
1及びR
11はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、nは、0以上1000以下の整数を表し、x及びyはそれぞれ独立に、1以上3以下の整数を表す。
【0063】
一般式(11)で表される化合物としては、例えば、JNC社製のサイラプレーンFM−0711、サイラプレーンFM−0721、サイラプレーンFM−0725;信越化学工業社製のX−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475;が挙げられる。
一般式(12)で表される化合物としては、例えば、Gelest社製のMCS−M11が挙げられる。
一般式(13)で表される化合物としては、例えば、Gelest社製のRTT−1011が挙げられる。
一般式(14)で表される化合物としては、例えば、信越化学工業社製のX−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164Eが挙げられる。
【0064】
−重合成分(B)−
重合成分(B)としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であれば特に制限されない。帯電基を有しない化合物、カチオン性の帯電基を有する化合物、及びアニオン性の帯電基を有する化合物から、重合成分(B)として使用する化合物を選択することにより、分散剤の帯電性を制御し得、それによって、反射粒子の帯電性を制御し得る。
【0065】
帯電基を有しない重合成分(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;が挙げられる。
【0066】
カチオン性の帯電基を有する重合成分(B)及びアニオン性の帯電基を有する重合成分(B)としては、後述する着色粒子用の樹脂の合成に供する、カチオン性基を有する単量体及びアニオン性基を有する単量体が挙げられる。
【0067】
シリコーン鎖含有ポリマーに占めるシリコーン鎖含有重合成分(A)の質量割合は、10質量%以上が望ましく、20質量%以上がより望ましい。10質量%以上(より望ましくは20質量%以上)であると、シリコーン鎖による分散剤としての効果が得られ易い。
なお、上記の質量割合は、シリコーン鎖含有ポリマーを合成する際の、重合成分の仕込み量の割合である。
【0068】
シリコーン鎖含有ポリマーの重量平均分子量は、500以上100万以下が望ましく、600以上50万以下がより望ましく、700以上10万以下が更に望ましい。この範囲とすることで、粒子の分散性が良好で、且つ低粘度な分散液を得ることができる。
【0069】
シリコーン鎖含有ポリマーの市販品としては、例えば、信越化学工業社製KP−541、KP−545が挙げられる。
【0070】
第1実施形態に係る反射粒子は、例えば、以下の方法で製造し得る。
即ち、一般式(1)で表される化合物を分散可能な分散媒(例えば、ジメチルシリコーンオイル)中で、分散剤の存在下、一般式(1)で表される化合物を重合させ特定樹脂を形成し、続いて特定樹脂及び分散剤を凝集させ、表面に分散剤が析出した樹脂粒子を作製する。より具体的には、実施例に記載の方法を採用してよい。
【0071】
<第2実施形態に係る反射粒子>
第2実施形態に係る反射粒子は、前記一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位と、マクロモノマーに由来する構成単位と、を含む樹脂を含有する。マクロモノマーとは、重合性官能基を有するオリゴマー(重合度2以上300以下程度)及びポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。
係る構成の反射粒子は、該粒子を構成する特定樹脂がマクロモノマーに由来する長い主鎖又は側鎖(望ましくは側鎖)を有することにより、表示媒体において分散媒への分散性に優れる。
【0072】
〔マクロモノマー〕
マクロモノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートマクロモノマー、スチレンマクロモノマー、シリコーンマクロモノマーが挙げられ、シリコーンマクロモノマーが望ましい。
【0073】
アルキル(メタ)アクリレートマクロモノマーとしては、具体的には、東亜合成化学工業社製のMM−8SMA、AA−6、AS−6、AB−6、AN−6S等が挙げられる。
【0074】
シリコーンマクロモノマーは、ジメチルポリシロキサン骨格を有する化合物であり、前記一般式(11)で表される化合物、前記一般式(12)で表される化合物、前記一般式(13)で表される化合物、及び前記一般式(14)で表される化合物が望ましい。これらの具体例としては、JNC社製のサイラプレーンFM−0711、サイラプレーンFM−0721、サイラプレーンFM−0725;信越化学工業社製のX−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475;Gelest社製のMCS−M11;Gelest社製のRTT−1011;信越化学工業社製のX−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E;が挙げられる。
【0075】
特定樹脂に占めるマクロモノマーの質量割合は、5質量%以上50質量%以下が望ましく、10質量%以上40質量%以下がより望ましい。5質量%以上であると、マクロモノマーに由来する長い主鎖又は側鎖(望ましくは側鎖)の分散効果が得られ易い。一方、50質量%以下であると、反射粒子の反射率が高く維持される。
なお、上記の質量割合は、特定樹脂を合成する際の、重合成分の仕込み量の割合である。
【0076】
特定樹脂は、一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位及びマクロモノマーに由来する構成単位以外に、その他の重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。その他の重合成分としては、例えば、前述の重合成分(B)が挙げられる。重合成分(B)として使用する化合物を選択することにより、特定樹脂の帯電性を制御し得、それによって、反射粒子の帯電性を制御し得る。
ただし、その他の重合成分に由来する構成単位を含む場合でも、その質量割合(特定樹脂を合成する際の、重合成分の仕込み量の割合)は、10質量%未満が望ましく、5質量%未満がより望ましい。
【0077】
特定樹脂の重量平均分子量は、500以上100万以下が望ましく、1000以上80万以下がより望ましく、5000以上50万以下が更に望ましい。
【0078】
第2実施形態に係る反射粒子は、例えば、以下の方法で製造し得る。
即ち、一般式(1)で表される化合物及びマクロモノマーを溶解又は分散可能な溶剤中で、一般式(1)で表される化合物及びマクロモノマーを共重合させ特定樹脂を形成し、続いて特定樹脂を凝集させ、樹脂粒子を作製する。より具体的には、実施例に記載の方法を採用してよい。
【0079】
<粒子分散液>
本発明の粒子分散液は、本発明の反射粒子を含む粒子群と、該粒子群を分散するための分散媒と、を有する。
前記粒子群は、本発明の反射粒子のみを含む粒子群でもよく、白色以外の色を呈する粒子(以下「着色粒子」と称する。)を更に含む粒子群でもよい。
【0080】
〔着色粒子〕
着色粒子は、正又は負に帯電しており、電界に応じて分散媒中を移動する粒子(泳動粒子)である。画像表示装置における表示色の変化は、着色粒子の分散媒中の移動によって生じる。
着色粒子は、色及び帯電特性が異なる2種類以上の粒子を含むものでもよい。ここで「帯電特性が異なる」とは、帯電極性及び帯電量の一方が異なること、又は、帯電極性及び帯電量の双方が異なることを意味する。
【0081】
着色粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の樹脂粒子;樹脂粒子の表面に着色剤を固定した粒子;樹脂中に着色剤を含有する粒子;絶縁性の金属酸化物粒子(例えば、ガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の粒子);プラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子;が挙げられる。
【0082】
着色粒子の製造に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
着色粒子の製造に使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体、架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0083】
着色粒子の製造に使用される代表的な樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックスが挙げられる。
【0084】
着色粒子の製造に使用される樹脂としては、粒子を帯電させるために、帯電基を有する高分子が好適である。
帯電基を有する高分子は、例えば、カチオン性基又はアニオン性基を有する高分子である。カチオン性基により粒子に正帯電極性が付与され、アニオン性基により粒子に負帯電極性が付与される。
帯電基としてのカチオン性基としては、例えば、アミン基、4級アンモニウム基が挙げられる(これら基の塩も含む)。帯電基としてのアニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、及びリン酸塩基が挙げられる。
【0085】
帯電基を有する高分子として、具体的には、例えば、帯電基を有する単量体の単独重合体、帯電基を有する単量体と他の単量体(帯電基を有しない単量体)との共重合体が挙げられる。
帯電基を有する単量体としては、カチオン性基を有する単量体(以下、カチオン性単量体)、アニオン性基を有する単量体(以下、アニオン性単量体)が挙げられる。
【0086】
カチオン性単量体としては、例えば、以下の単量体が挙げられる。
N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オクチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;N−メチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−フェニルメチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−p−メトキシ−フェニルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類;ビニル−N−エチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類。
【0087】
カチオン性単量体としては、例えば、以下の含窒素複素環式化合物も挙げられる。
N−ビニルピロール等のピロール類;N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類;N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類;N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類;N−ビニルインドール等のインドール類;N−ビニルインドリン等のインドリン類;N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピロジン等のピリジン類;(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類;N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類;4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類。
【0088】
アニオン性単量体としては、例えば、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、例えば、 (メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、及びこれらの無水物;カルボン酸のモノアルキルエステル;カルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテル等のカルボキシル基を有するビニルエーテル類、及びその塩;が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートが挙げられる。
【0089】
他の単量体としては、例えば、水溶性単量体(例えばヒドロキシル基を有する単量体)が挙げられ、具体的には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0090】
着色粒子の製造に使用される着色剤としては、有機顔料、無機顔料、油溶性染料等が挙げられる。具体的には、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性紛;カーボンブラック;酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤;が挙げられる。着色剤としては、より具体的には例えば、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3が挙げられる。
【0091】
着色剤の使用量は、着色粒子を構成する樹脂に対し10質量%以上99質量%以下が望ましく、30質量%以上99質量%以下がより望ましい。
【0092】
着色粒子は、必要に応じて、帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知の材料が使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子が挙げられる。
【0093】
着色粒子の表面には、必要に応じて、外添剤を付着させてもよい。外添剤の色は、着色粒子の色に影響を与えないように、透明であることが望ましい。
外添剤としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物等の無機粒子が挙げられる。外添剤は、着色粒子の帯電性、流動性、及び環境依存性等を調整するために、これらをカップリング剤やシリコーンオイルで表面処理してもよい。
カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタン系カップリング剤、ニトリル系カップリング剤等の正帯電性カップリング剤;窒素原子を含まない(窒素以外の原子で構成される)、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤等の負帯電性カップリング剤;が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル等の正帯電性シリコーンオイル;α−メチルスルホン変性シリコーンオイル等の負帯電性シリコーンオイル;ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の無帯電性シリコーンオイル;が挙げられる。
【0094】
外添剤の一次粒子は、1nm以上100nm以下が望ましく、5nm以上50nm以下がより望ましい。
【0095】
外添剤の外添量は、着色粒子の粒径と外添剤の粒径の兼ね合いで調製することが望ましい。外添剤の添加量が多過ぎると、着色粒子表面から外添剤の少なくとも一部が遊離し、これが他の種類の着色粒子の表面に付着して、所望の帯電特性が得られない。一般的には、外添剤の量は、着色粒子100質量部に対して、0.01質量部以上3質量部以下が望ましく、0.05質量部以上1質量部以下がより望ましい。
【0096】
外添剤は、複数種類の着色粒子のいずれか1種にだけ添加してもよいし、複数種又は全種類の着色粒子に外添してもよい。全着色粒子の表面に外添剤を添加する場合は、着色粒子表面に外添剤を衝撃力で打込んだり、着色粒子表面を加熱して外添剤を着色粒子表面に強固に固着したりすることが望ましい。これにより、外添剤が粒子から遊離し異極性の外添剤が凝集した凝集体を形成することが抑制され、延いては画質劣化が抑制される。
【0097】
着色粒子の体積平均粒径は、0.05μm以上20μm以下が望ましく、0.1μm以上10μm以下がより望ましい。なお、着色粒子の大きさは、特に制限はなく、用途に応じて、望ましい範囲を決定することができる。
【0098】
着色粒子の濃度は、所望の表示色が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、例えば、0.01質量%以上50質量%以下であることがよい。
そして、着色粒子の濃度は、画像表示装置の一対の基板間に封入された状態での粒子分散液中の濃度としても上記範囲であることがよい。なお、画像表示装置において着色粒子の濃度は、所望の色相を得るために、一対の基板間の距離に応じて調整することが有効である。即ち、画像表示装置の一対の基板間の距離が大きいほど着色粒子濃度を低くし、前記距離が小さいほど着色粒子濃度を高くする。
【0099】
着色粒子を製造する方法としては、従来公知のいずれの方法を採用してもよい。例えば、樹脂を加熱溶融させた後に顔料や帯電制御剤を添加して混合し分散させ、冷却した後、粉砕機を用いて粒子を調製し、分散媒に分散する方法が適用される。また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やエマルジョン凝集法により顔料や帯電制御剤を含む粒子を調製し、分散媒に分散する方法が適用される。また、樹脂、顔料、電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を攪拌しながら冷却し、凝固及び析出させて粒子を作製する方法が適用される。また、分散及び混練のための粒状メディアを装備した容器(例えば、アトライター、ボールミル)に材料を投入し、この容器を望ましい温度範囲(例えば80℃以上160℃以下)に保持し、材料を分散及び混練して粒子を作製する方法が適用される。
【0100】
〔分散媒〕
分散媒は、絶縁性液体であることが望ましい。ここで「絶縁性」とは、体積固有抵抗値が10
11Ωcm以上であることを意味する。
【0101】
絶縁性液体としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンや、これらの混合物が好適に挙げられる。
【0102】
これらの中でも、分散媒としては、シリコーンオイルが望ましい。シリコーンオイルとしては、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル)が望ましく、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
【0103】
分散媒には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防腐剤等を添加してもよいが、上記で示した特定の体積固有抵抗値の範囲となるように添加することが望ましい。
【0104】
分散媒には、帯電制御剤として、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤(各種ベタイン型界面活性剤)、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加してもよい。
【0105】
ノニオン性及びイオン性の界面活性剤としては、具体的には以下が挙げられる。
ノニオン性活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第一級乃至第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等が挙げられる。
【0106】
帯電制御剤の含有量は、全粒子固形分に対して0.01質量%以上20質量%以下が望ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより望ましい。帯電制御剤の含有量が0.01質量%以上であると、帯電制御効果が発揮され易く、20質量%以下であると、分散媒の過度な電導度の上昇が抑制される。
【0107】
分散媒は、高分子が添加されていてもよい。この高分子としては、高分子ゲル、高分子ポリマー等でもよい。
【0108】
分散媒は、反射粒子の沈降を抑制する観点で、温度25℃下の比重が、0.6g/cm
3以上1.2g/cm
3以下であることが望ましく、0.7g/cm
3以上1.1g/cm
3以下であることがより望ましく、0.7g/cm
3以上1.0g/cm
3以下であることが更に望ましい。
【0109】
分散媒の粘度は、温度20℃下において、0.1mPa・s以上100mPa・s以下であることが望ましく、0.1mPa・s以上50mPa・s以下であることがより望ましく、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることが更に望ましい。
分散媒の粘度の調整は、分散媒の分子構造、分子量、組成等を調整することによって可能である。
【0110】
<表示媒体、表示装置>
第1の本発明の表示媒体は、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、該一対の基板間に封入された、本発明の粒子分散液と、を備える。
第1の本発明の表示装置は、第1の本発明の表示媒体と、該表示媒体が備える一対の基板間に電圧を印加する電圧印加手段と、を備える。
【0111】
第2の本発明の表示媒体は、少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、該一対の電極間に設けられた、本発明の粒子分散液を有する領域と、を備える。
第2の本発明の表示装置は、第2の本発明の表示媒体と、該表示媒体が備える一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、を備える。
【0112】
以下、本発明の表示媒体及び表示装置の一例である実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0113】
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
図2は、本実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
図1及び
図2は、1つのセルに注目した図である。以下、説明を簡易化するために、この1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0114】
本実施形態に係る表示装置10は、
図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、電圧印加部16の駆動を制御する制御部18と、を含んで構成されている。
【0115】
〔表示媒体〕
表示媒体12は、画像表示面を構成する表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を所定の間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、並びに、各セル内に封入された分散媒50、着色粒子群34、及び反射粒子群36を含んで構成されている。
【0116】
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域である。
セル中には分散媒50が封入され、分散媒50中に着色粒子群34及び反射粒子群36が分散している。
【0117】
着色粒子群34は、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を移動する。
以下、着色粒子群34は、所定の色を有すると共に、予め正又は負に帯電処理されて調製されているものとして説明する。
【0118】
反射粒子群36は、電解応答性の低い粒子群(つまり電界に応じて移動し難い粒子群、非泳動粒子群)であってもよいし、電解応答性の高い粒子群(つまり電界に応じて移動する粒子群、泳動粒子群)であってもよい。反射粒子群36は、表示画像の背景色をなす粒子群として適用し得る。
以下、反射粒子群36は、非泳動粒子群である場合を説明するが、これに限定されることはない。
【0119】
表示装置10は、反射粒子群36を構成する粒子として、本発明の反射粒子を適用しており、表示媒体12に封入されている粒子分散液(分散媒50、着色粒子群34、及び反射粒子群36を含む粒子分散液)として、本発明の粒子分散液を適用している。
【0120】
セル中に封入されている全成分に占める着色粒子群34の質量割合(着色粒子群34の濃度)は、所望の色相が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、セルの厚さ(即ち、表示基板20と背面基板22との距離)に応じて調整する。即ち、所望の色相を得るために、セルが厚くなるほど濃度を低くし、セルが薄くなるほど濃度を高くする。一般的に、着色粒子群34の濃度は0.01質量%以上50質量%以下である。
【0121】
セルは、表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24によって区画されていることが望ましく、これにより、表示媒体12は画素毎の表示が可能となる。
セルの大きさは、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど表示媒体12の解像度は高く、通常、表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下程度である。
【0122】
〔基板〕
表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成である。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を順に積層した構成である。
【0123】
表示基板20は透光性を有する。ここで「透光性」とは、可視光の透過率が60%以上であることを意味する。背面基板22は、透光性を有していても有していなくてもよい。
【0124】
支持基板38及び支持基板44の材料としては、ガラス、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0125】
表面電極40及び背面電極46は、例えば、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の金属の酸化物;ITO(酸化インジウムスズ)等の複合酸化物;金、銀、銅、ニッケル等の金属;ポリピロール、ポリチオフェン等の有機材料;を材料とする、単層膜、混合膜、又は複合膜である。表面電極40及び背面電極46の厚さは、例えば、100Å以上2000Å以下であることがよい。
表面電極40及び背面電極46は、例えば、マトリックス状又はストライプ状に形成されていてもよい。
【0126】
表面電極40及び背面電極46は、それぞれ独立に、支持基板38及び支持基板44に埋め込んでもよい。
表面電極40及び背面電極46は、それぞれ独立に、表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
【0127】
表示基板20と背面基板22は、いずれか一方に電極を設け、アクティブマトリクス駆動をさせてもよい。
【0128】
支持基板38及び支持基板44は、アクティブマトリックス駆動を実施するために、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。この場合TFTは、配線の積層化及び部品実装が容易であることから、表示基板20ではなく背面基板22に形成することが望ましい。
【0129】
〔表面層〕
表面層42及び表面層48は、表面電極40及び背面電極46上にそれぞれ形成されている。表面層42及び表面層48を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化性アクリル樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。
【0130】
表面層42及び表面層48は、上記樹脂と電荷輸送物質を含んで構成されていてもよく、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を含んで構成されてもよい。
【0131】
〔間隙部材〕
間隙部材24は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、光硬化性樹脂、ゴム、金属で構成される。
【0132】
間隙部材24は、表示基板20及び背面基板22の一方又は双方に、一体的に形成されていてもよい。この場合、支持基板38又は支持基板44を、エッチング処理、レーザー加工処理、プレス加工処理、又は印刷処理等で加工して、間隙部材24を形成する。
【0133】
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、表示媒体12に表示される表示画像に悪影響を及ぼさない観点から無色透明であることが望ましく、その場合には、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、アクリル等の透明樹脂で構成されることが望ましい。
間隙部材24は粒子状であってもよく、その場合、ポリスチレン、ポリエステル、アクリル等の透明樹脂粒子やガラス粒子で構成されることが望ましい。
ここで「透明」とは、可視光の透過率が60%以上であることを意味する。
【0134】
表示基板20と背面基板22とを、間隙部材24を介して固定するには、ボルトとナットの組合せ、クランプ、クリップ、固定枠等の固定手段を適用する。ほかに、接着剤、熱溶融、超音波接合等により固定してもよい。
【0135】
〔表示装置〕
表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、電圧印加部16の駆動を制御する制御部18とを含んで構成されている(
図1参照)。
【0136】
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。また、 電圧印加部16は、制御部18に信号授受可能に接続されている。
以下、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
【0137】
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する。
【0138】
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
【0139】
次に、表示装置10の作用を説明する。
以下、分散媒50が透明であり、着色粒子群34が正帯電であり、反射粒子群36が無帯電であるものとして説明する。この場合の表示媒体12は、反射粒子群36により白色の背景色を表示し、着色粒子群34の移動によってその呈する色を表示する。
下記動作は、説明上、着色粒子群34が背面基板22側へ付着した状態(
図2(A)に示す状態)からの動作について説明する。
【0140】
まず、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように電圧を所定時間印加することを指示する初期動作信号を、制御部18が電圧印加部16へ出力する。電極間に印加される電圧が上昇すると、正帯電の着色粒子群34が表示基板20側へと移動して、表示基板20に至る(
図2(B)参照)。そして、電極間への印加を終了すると、着色粒子群34が表示基板20側で拘束され、着色粒子群34の呈する色が、反射粒子群36の呈する白色を背景色とし表示基板20側から視認される。
【0141】
次に、電圧の極性を反転させて、表面電極40が正極となり背面電極46が負極となるように電圧を所定時間印加することを指示する初期動作信号を、制御部18が電圧印加部16へ出力する。電極間に印加される電圧が上昇すると、正帯電の着色粒子群34が背面基板22側へと移動して、背面基板22に至る(
図2(A)参照)。そして、電極間への印加を終了すると、着色粒子群34が背面基板22側で拘束される一方で、反射粒子群36の呈する白色が、表示基板20側から視認される。着色粒子群34は反射粒子群36に隠蔽され、着色粒子群34の呈する色は視認され難くなる。
【0142】
制御部18が電圧印加部16へと出力する、電圧印加時間を示す情報は、予め制御部18内のROM等のメモリに記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、前記情報を読み取るようにすればよい。
【0143】
このようにして、表示装置10では、着色粒子群34が表示基板20又は背面基板22に到達して付着することで表示が行われる。
【0144】
本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10は、表示基板20が表面電極40を備え、背面基板22が背面電極46を備え、これらの電極間(即ち基板間)に電圧を印加して、該基板間を着色粒子群34を移動させて表示する態様を説明したが、これに限られず、例えば、表示基板20が表面電極40を備え、間隙部材が電極を備え、これらの電極間に電圧を印加して、表示基板20と間隙部材との間を着色粒子群34を移動させて表示する態様であってもよい。
【0145】
本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10は、着色粒子群34として1種類(1色)の粒子群を備える態様を説明したが、これに限られず、帯電極性が異なる又は閾値電圧の異なる組合せで、2種類(2色)以上の粒子群を備える態様であってもよい。
具体的には、例えば、着色粒子群34として、正帯電性の第1粒子群、負帯電性の第2粒子群、及び、正帯電性で第1粒子群の粒子とは閾値電圧が異なり且つ粒径が大きい第3粒子群を備える態様が挙げられる。
【0146】
<表示媒体(表示装置)を備えた電子機器等>
本発明の表示媒体(表示装置)は、電子機器、展示用媒体、カード媒体等に備えられる。
具体的には、本発明の表示媒体(表示装置)は、例えば、画像の保存及び書換えが可能な、電子掲示板、電子回覧版、電子黒板、電子広告、電子看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、複写機やプリンタと共用できる電子ドキュメントシート、ポータブルコンピューター、タブレットコンピューター、携帯電話、スマートカード、署名機器、時計、棚ラベル、フラッシュドライブに備えられる。
【実施例】
【0147】
以下に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
以下において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0148】
<一般式(1)で表される化合物の合成>
〔モノマーM−1の合成〕
脱水トリエチルアミン30mLに溶解した4−ブロモスチレン35.0g(191mmol)、フェニルアセチレン28.5g(279mmol)、ヨウ化銅(I)0.44g(2.32mmol)、及びトリフェニルホスフィン0.57g(2.18mmol)を混合し、窒素置換しながら室温で1時間攪拌した。続いて、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド1.39g(1.98mmol)を加えて70℃で76時間攪拌した。沈殿物を濾過で除いた後、溶媒を減圧留去した。ヘキサンで希釈して水、2N塩酸、及び飽和NaCl水溶液で分液操作を行い、シリカゲルカラムで精製することで、モノマーM−1を28.1g得た。
【0149】
〔モノマーM−4の合成〕
攪拌子、窒素導入管、及び冷却管を備えた200mL三口フラスコに、p−ビニル安息香酸25.0g(168.5mmol)を入れ、窒素置換しながら0℃に冷却した。塩化チオニル83.3g(700.2mmol)を30分かけて滴下したのちに、室温で4時間攪拌した。さらに40℃で1時間反応させたのちに、減圧下で2時間攪拌してp−ビニル塩化ベンゾイルを得た。
【0150】
攪拌子、窒素導入管、及び冷却管を備えた500mL三口フラスコに、2−アミノチオフェノール21.1g(168.5mmol)とNMP110mLを入れ、窒素雰囲気で0℃に冷却した。p−ビニル塩化ベンゾイル28.1g(168.5mmol)を30分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。その後、ジブチルヒドロキシトルエンを触媒量添加し、100℃に昇温して1時間反応させた。室温に放冷したのちに反応溶液を水に注いで精製物を析出させた。1NのNaOH水溶液を加えてpH7に調整し、濾過にて固体を回収した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、モノマーM−4を18.6g得た。
【0151】
〔モノマーM−13の合成〕
それぞれの口に、攪拌羽、窒素ラインに繋いだ還流管、及び平栓を装着した1L三口フラスコに、4−(クロロメチル)スチレン51.7g(339mmol)、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール70.0g(308mmol)、炭酸カリウム63.8g(462mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド4.34g(15.4mmol)、及びDMSO616mlを入れ、3回窒素置換を行った後、窒素フローし、50℃の水浴中で2時間攪拌した。4−(クロロメチル)スチレン1.4g(9.2mmol)を追添し、さらに50℃で1時間攪拌した後、水1.5Lに再沈した。固体を吸引濾過で回収し、カラムクロマトグラフィーで精製することでモノマーM−13を得た。
【0152】
〔モノマーM−14の合成〕
攪拌子、窒素導入管、及び冷却管を備えた200mL三口フラスコに、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾール15g(66.0mmol)、THF40mL、及びトリエチルアミン15mLを入れ、0℃に冷却した。メタクリル酸クロリド9.66g(92.4mmol)を30分かけて滴下し、室温で3時間攪拌した。析出物を濾別し、酢酸エチルと水で分液操作を2回行い、有機層を取り出し減圧濃縮した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノマーM−14を18.2g得た。
【0153】
〔モノマーM−16の合成〕
攪拌子、窒素導入管、及び冷却管を備えた200mL三口フラスコに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン15.0g(34.2mmol)、THF40mL、及びトリエチルアミン15mLを入れ、0℃に冷却した。メタクリル酸クロリド5.0g(47.9mmol)を30分かけて滴下し、室温で3時間攪拌した。析出物を濾別し、酢酸エチルと水で分液操作を2回行い、有機層を取り出し減圧濃縮した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノマーM−16を15.1g得た。
【0154】
<分散剤の合成>
〔分散剤D−1(シリコーン鎖含有ポリマー)の合成〕
冷却管、窒素導入管、及び攪拌棒を取り付けた200mL三口フラスコに、サイラプレーンFM−0721(JNC社製)20g、スチレン80g、及びトルエン150gを入れて混合し、窒素気流下で75℃に加熱した。トルエン1gに溶解した過酸化ラウロイル0.4gを加えて2時間反応させた後、トルエン0.5gに溶解した過酸化ラウロイル0.2gを加え、さらに6時間反応させた。反応液を放冷した後にメタノールに再沈殿させて分散剤D−1を得た。
【0155】
〔分散剤D−2〜D−5(シリコーン鎖含有ポリマー)の合成〕
重合成分を表1に示したとおりに変更した以外は、分散剤D−1と同様の方法で、分散剤D−2〜D−5を合成した。
【0156】
【表1】
【0157】
<第1実施態様に係る反射粒子の作製>
〔実施例1:粒子P−1の作製〕
冷却管、窒素導入管、及び攪拌棒を取り付けた200mL三口フラスコに、モノマーM−1を10.0g、分散剤として(アクリル酸アルキル/ジメチコン)コポリマー(信越化学工業社製KP−541)0.36g、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−96L−1cs)30.0g、及びトルエン10.0gを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら75℃に加熱した。溶液が均一になったのを確認し、トルエン0.2gに溶解した過酸化ラウロイル0.1gを加えて2時間攪拌した。続いて、トルエン0.2gに溶解した過酸化ラウロイル0.05gを加えてさらに6時間反応させ、白色の懸濁液を得た。遠心分離によって粒子を沈降させ、上澄みを除いた後にジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−96L−2cs)を加える操作を4回繰り返すことでジメチルシリコーンオイルに分散した粒子P−1を得た。
【0158】
〔実施例2〜9:粒子P−2〜P−9の作製〕
モノマーと分散剤とを表2に示したとおりに変更した以外は、粒子P−1の作製と同様の方法で、粒子P−2〜P−9を作製した。
【0159】
〔比較例1〜2:粒子P−C1〜P−C2の作製〕
モノマーと分散剤とを表2に示したとおりに変更した以外は、粒子P−1の作製と同様の方法で、粒子P−C1〜P−C2を作製した。
【0160】
<第2実施態様に係る反射粒子の作製>
〔実施例11:粒子P−11の作製〕
冷却管、窒素導入管、及び攪拌棒を取り付けた200mL三口フラスコに、モノマーM−1を10.0g、マクロモノマーとしてサイラプレーンFM−0721(JNC社製)4.3g、及びアイソパーM(イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製)39.6gを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら60℃に加熱した。溶液が均一になったのを確認し、アイソパーM0.2gに溶解した過酸化ラウロイル0.1gを加えて2時間攪拌した。続いて、アイソパーM0.2gに溶解した過酸化ラウロイル0.05gを加えてさらに6時間反応させ、白色の懸濁液を得た。遠心分離によって粒子を沈降させ、上澄みを除いた後にジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−96L−2cs)を加える操作を4回繰り返すことでジメチルシリコーンオイルに分散した粒子P−11を得た。
【0161】
〔実施例12〜19:粒子P−12〜P−19の作製〕
モノマーとマクロモノマーとを表3に示したとおりに変更した以外は、粒子P−11の作製と同様の方法で、粒子P−12〜P−19を作製した。
【0162】
〔比較例11〜13:粒子P−C11〜P−C13の作製〕
モノマーとマクロモノマーとを表3に示したとおりに変更した以外は、粒子P−11の作製と同様の方法で、粒子P−C11〜P−C13を作製した。
【0163】
表3に記載したマクロモノマーの詳細は、以下のとおりである。
・FM−0721:サイラプレーンFM−0721、JNC社製、一般式(11)で表される化合物。
・FM−0725:サイラプレーンFM−0725、JNC社製、一般式(11)で表される化合物。
・FM−0711:サイラプレーンFM−0711、JNC社製、一般式(11)で表される化合物。
・x−22−164B:信越化学工業社製、一般式(14)で表される化合物。
・MM−8SMA:東亜合成化学工業社製、ステアリルメタクリレートマクロモノマー。
【0164】
<シアン粒子の作製>
サイラプレーンFM−0711(JNC社製)95部、メタクリル酸メチル3部、及びグリシジルメタクリレート2部を、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−96L−1cs)50部と混合し、重合開始剤としてアゾビスバレロニトリル0.5部を添加して重合を実施し、エポキシ基を有するシリコーン系高分子を作製した。重量平均分子量は60万であった。
そして、上記シリコーン系高分子の3質量%シリコーンオイル溶液を準備した。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−96L−2cs)を使用した。
【0165】
次に、N−ビニルピロリドンとN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートとの共重合体(質量比9:1、重量平均分子量6万)をラジカル溶液重合で合成し、帯電基を有する高分子を得た。
水分散顔料溶液(Ciba社製ユニスパース、シアン色、顔料濃度26質量%)1部に、帯電基を有する高分子の10質量%水溶液3部を混合し、この混合溶液をシリコーン系高分子の3質量%シリコーンオイル溶液10部に混合し、これを超音波破砕機で10分間攪拌して分散・乳化し、懸濁液を調製した。
この懸濁液を減圧(2KPa)及び加熱(70℃)して水分を除去し、帯電基を有する高分子及び顔料を含む着色粒子が分散したシリコーンオイル分散液を得た。この分散液を100℃で3時間加熱して、シリコーン系高分子を結合させた。
次に分散液中に粒子固形分中のN,N−ジエチルアミノエチルアクリレートのモル量の50%に相当する臭化ブチルを添加し80℃で3時間加熱し、アミノ基の4級化処理を行なった。
その後、遠心分離装置を用いて粒子を沈降させ、ジメチルシリコーンオイルでの洗浄と沈降を繰り返し、精製を行った。
こうして、粒子の固形分量5質量%のシアン粒子分散液を得た。シアン粒子の体積平均粒子径をレーザー光散乱・回折式粒度測定装置(堀場製作所製LA−300)で測定した結果、380nmであった。
分散液中のシアン粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を観察して評価したところ、正帯電であった。
【0166】
<評価>
各実施例及び各比較例の反射粒子について、以下の評価を行った。
なお、評価に供する空セルは以下のとおりに作製した。
電極として厚さ50nmのITO(酸化インジウムスズ)をスパッタリング法で成膜したガラス基板上に、フッ素樹脂(旭硝子社製Cytop)の溶液をスピンコートして、130℃で1時間乾燥させて、膜厚が80nmの表面層を形成した。このようにして作製した表面層付きITO基板を2枚用意し、表示基板及び背面基板とした。次に、50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして、互いの表面層を対向させて背面基板に表示基板を重ね合わせ、クリップにて固定し、セルとした。
【0167】
〔屈折率〕
M−1、M−4、M−13、M−14、M−16、2−ビニルナフタレン、及びスチレンをそれぞれ、濃度10質量%、濃度30質量%、濃度50質量%となるようにジメチルアセトアミドに溶解した。各濃度の試料の屈折率(%)を、アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)を用いて、空気中/温度20℃/測定波長589nmで測定し、濃度に対する屈折率の傾きから濃度100%の屈折率を算出した。結果を表2及び表3に示す。
【0168】
〔平均粒径〕
反射粒子の平均粒径(nm)は、ナノトラックUPA(日機装株式会社製)を用いて測定した。結果を表2及び表3に示す。
【0169】
〔帯電量〕
反射粒子の分散液を、固形分濃度が20%となるように調製し、評価用セルに封入して素子サンプルを得た。そして、ファンクションジェネレータ(エヌエフ回路設計ブロック社製電源をNATIONAL INSTRUMENTS社製LabVIEWで駆動)により±15Vの電圧を素子サンプルの電極間に印加し、電流計(KEITHLEY社製)及び光学測定装置(Ocean Optics社製USB2000)により反射粒子の帯電量を調べた。反射粒子の帯電量(初期の帯電量)(nC/cm
2)は、0V−15Vの矩形波を印加し、電流値が一定になった時間までの電荷量を積算して得た。結果を表2及び表3に示す。
【0170】
〔反射率〕
反射粒子の分散液を、固形分濃度が20%となるように調製し、評価用セルに封入して素子サンプルを得た。そして、表示基板側から、反射濃度を分光測色計(X−Rite社製X−Rite939)で測定し、白表示の反射率(%)とした。評価基準は以下のとおりで、D以下が実用上問題となるレベルである。結果を表2及び表3に示す。
A:45%超
B:42%超45%以下
C:38%超42%以下
D:33%超38%以下
E:33%以下
【0171】
〔分散性〕
反射粒子の分散液、シアン粒子の分散液、及びジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製KF−96L−2cs)を、反射粒子の固形分濃度が20質量%、シアン粒子の固形分濃度が1質量%となるように混合した。この混合分散液を、評価用セルに封入して素子サンプルを得た。
素子サンプルを実験台に対して垂直に設置し、室温で2日間静置した。その後、素子サンプルを肉眼及び光学顕微鏡(キーエンス社製ズームレンズVH−Z100。倍率700倍)にて観察し、反射粒子の沈降の程度を確認した。評価基準は以下のとおりで、Cが実用上問題となるレベルである。結果を表2及び表3に示す。
A:光学顕微鏡による観察でも、反射粒子の沈降は認められなかった。
B:肉眼による観察では、反射粒子の沈降は認められなかったが、光学顕微鏡による観察で、反射粒子の沈降が認められた。
C:肉眼による観察でも、反射粒子の沈降が認められた。
【0172】
【表2】
【0173】
【表3】
【0174】
表2及び表3に示す結果から分かるとおり、本実施例は、比較例に比べて、白表示の反射率が高かった。