(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光変換部材が発光する前記円偏光である緑色光と前記円偏光である赤色光が、いずれも半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
前記バックライトユニットが発光する前記無偏光の青色光が、半値幅が30nm以下である発光強度のピークを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の液晶表示装置について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中、ピークの「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
【0016】
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニット、光変換部材、偏光分離部材、液晶セルおよび表示側偏光子がこの順で配置され;
前記バックライトユニットが430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する無偏光の青色光を発光する光源と、
430〜480nmの波長帯域の右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光を無偏光の青色光に変換して反射する反射部材と、を備え;
前記光変換部材が、該光変換部材に入射する前記無偏光の青色光により、
500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である緑色光、および、
600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である赤色光、
を発光する円偏光発光蛍光材料を含み;
前記偏光分離部材が、
該偏光分離部材の法線方向から入射する前記無偏光の青色光を右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光である青色の透過光と他の一方の円偏光である青色の反射光に分離し、500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光を透過する反射偏光子と、
前記円偏光である青色の透過光、前記円偏光である緑色光および前記円偏光である赤色光をそれぞれ直線偏光である青色光、直線偏光である緑色光および直線偏光である赤色光に変換するλ/4板と、
をバックライト側からこの順で備え;
前記表示側偏光子の吸収軸が、前記直線偏光である青色光、前記直線偏光である緑色光および前記直線偏光である赤色光の振動方向と平行であることを特徴とする。
このような構成により、本発明の液晶表示装置は正面輝度が改善され、部材点数の削減による部材厚さの薄膜化もできる。無偏光の青色のバックライトを用い、無偏光の青色光のうち一方の円偏光を透過し、他の一方の円偏光を反射できる偏光分離部材と、無偏光の青色光が入射すると緑色と赤色の円偏光を発光する円偏光発光蛍光材料を含む光変換部材と、青色と緑色と赤色の円偏光をそれぞれ直線偏光に変換できるλ/4板とを組み合わせて用いることにより、液晶セルよりもバックライト側におけるバックライト光の吸収を抑制して、光利用率を高めることができる。
また、表示側偏光子の透過軸が、上述の直線偏光である青色光、上述の直線偏光である緑色光および上述の直線偏光である赤色光の振動方向と平行であるため、上述の直線偏光である青色光、上述の直線偏光である緑色光および上述の直線偏光である赤色光はいずれもバックライト側偏光板がなくとも偏光状態が揃って液晶セルに入射することができる。
【0017】
まず、本発明の液晶表示装置の構成について図面を用いて説明する。
図1〜
図4に、本発明の液晶表示装置の概略図を示した。
図1に示した本発明の液晶表示装置51は、バックライトユニット31、光変換部材16、偏光分離部材5、液晶セル42および表示側偏光子46を含む。
【0018】
バックライトユニット31は430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する無偏光の青色光を発光する青色光源31Aと、430〜4800nmの波長帯域の右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光を無偏光の青色光に変換して反射する反射部材とを備える。バックライトユニット31は面光源とするための導光板31Bなどを備えることが好ましい。
【0019】
偏光分離部材5は、該偏光分離部材5の法線方向から入射する無偏光の青色光32の右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光である青色の透過光と他の一方の円偏光である青色の反射光に分離し、500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光を透過する反射偏光子14と、前記円偏光である青色の透過光、前記円偏光である緑色光および前記円偏光である赤色光をそれぞれ直線偏光である青色光、直線偏光である緑色光および直線偏光である赤色光に変換するλ/4板12と、をバックライト側からこの順で備える。
本発明の液晶表示装置は、
図1や
図2に示すように後述のバックライト側偏光子3や、後述のバックライト側偏光板1を含まない構成としてもよい。その場合、
図1に示すように液晶セル42と偏光分離部材5が直接接していたり、または不図示の接着剤層を介して積層していたりしてもよく、
図2に示すように液晶セル42と分離して(空気層を介して)偏光分離部材5を配置してもよい。
偏光分離部材5の具体的な構成としては、
図1〜
図4に示した反射偏光子14およびλ/4板12をバックライト側からこの順に有する構成が好ましい。反射偏光子14としては、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層を用いることができる。但し、偏光分離部材5は、
図1〜
図4に示した構成に限定されるものではない。
【0020】
λ/4板12は、前記円偏光である青色の透過光、前記円偏光である緑色光および前記円偏光である赤色光をそれぞれ直線偏光である青色光、直線偏光である緑色光および直線偏光である赤色光に変換するために、λ/4板12の遅相軸と前記表示側偏光子46の吸収軸とのなす角が45°であるように配置されることが好ましい。
偏光分離部材5として、反射偏光子14であるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層と、λ/4板12の遅相軸と前記表示側偏光子46の吸収軸とのなす角が45°であるように配置されたλ/4板12をバックライト側からこの順に有する構成では、該偏光分離部材5に入射する無偏光の青色光32は反射偏光子14であるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を通過するときに反射中心波長において右円偏光および左円偏光のうち一方が反射され、もう一方が透過する。反射偏光子14を通過したコレステリック液晶相を固定してなる光反射層で反射された方向とは異なる方向の円偏光はλ/4板12に入射し、λ/4板12によって直線偏光に変換されて、青色の透過光(偏光分離部材を透過した直線偏光である青色光)33として偏光分離部材5から液晶セル42または任意に設けられたバックライト側偏光板1に向かう。
反射偏光子14であるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層によって反射された右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光は、青色の反射光(偏光分離部材で反射された円偏光である青色光)34として、光変換部材16またはバックライトユニット31に進む。
バックライトユニット31に進んだ偏光分離部材5で反射された青色の反射光34(偏光分離部材で反射された円偏光である青色光)は、バックライトユニット31を構成する反射部材31Cや、その他の任意の部材、例えば導光板31Bの界面によって反射または散乱されて、再帰反射された無偏光の青色光37として、光変換部材16または偏光分離部材5に向かう。
一方、反射偏光子14であるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層は、あわせて500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光、具体的には後述の光変換部材が発光する円偏光である緑色光35を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光、具体的には後述の光変換部材が発光する円偏光である赤色光36を透過するため、反射偏光子14であるのコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を通過した光変換部材が発光する円偏光である緑色光35および光変換部材が発光する円偏光である赤色光36は、λ/4板12に進む。光変換部材が発光する円偏光である緑色光35および光変換部材が発光する円偏光である赤色光36は、λ/4板12によってそれぞれ直線偏光に変換されて、直線偏光である緑色光(偏光分離部材を透過した直線偏光である緑色光)38および直線偏光である赤色光(偏光分離部材を透過した直線偏光である赤色光)39として、偏光分離部材5から液晶セル42または任意に設けられたバックライト側偏光板1に向かう。
【0021】
光変換部材16は、該光変換部材16に入射する無偏光の青色光により、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である緑色光35、および、600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である赤色光36、をそれぞれ発光する円偏光発光蛍光材料17Gおよび17Rを含む。
光変換部材16に入射する無偏光の青色光としては、バックライトユニットからの入射光である無偏光の青色光32と;バックライトユニット31を構成する反射部材31Cおよびその他の任意の部材によって再帰反射された青色光37を挙げることができる。
なお、光変換部材16中の円偏光発光蛍光材料17Gおよび17Rは、青色の反射光(偏光分離部材で反射された円偏光である青色光)34によって励起されて円偏光である緑色光35および円偏光である赤色光36をそれぞれ蛍光発光してもよい。
【0022】
図3〜
図4に示した任意に設けられてもよいバックライト側偏光子3は、バックライト側偏光子3の透過軸(不図示)が、上述の青色の透過光(偏光分離部材を透過した直線偏光である青色光)33、上述の直線偏光である緑色光(偏光分離部材を透過した直線偏光である緑色光)38および上述の直線偏光である赤色光(偏光分離部材を透過した直線偏光である赤色光)39の振動方向と平行であるように配置されることが好ましい。また、バックライト側偏光子3と表示側偏光子46の吸収軸が直交すること、すなわちバックライト側偏光子3と表示側偏光子46の透過軸が直交することが好ましい。
バックライト側偏光子3の少なくともどちらか一方の面に偏光板保護フィルムを積層配置したものをバックライト側偏光板1と呼び、バックライト側偏光板の構成としては特に制限はなく公知の構成を採用することができ、例えば、偏光板保護フィルム(インナー側)2、偏光子3および偏光板保護フィルム(アウター側)4の積層体の構成とすることができる。また、例えば、インナー側には偏光板保護フィルムを設けず、偏光子の上に直接粘着剤や、塗膜を設けるインナーレス構成とすることができる。また更に、アウター側の偏光板保護フィルムとして、またはアウター側の偏光板保護フィルム4の代わりに、前述の偏光分離部材5を用いる事ができる。すなわち、偏光分離部材5が、バックライト側偏光板中に含まれるアウター側の偏光板保護フィルム4を兼用することができる。
【0023】
本発明の液晶表示装置51は、偏光分離部材5およびバックライト側偏光子3が、直接または不図示の接着層やアウター側の偏光板保護フィルム4を介して隣接して配置されていてもよく(
図3参照)、空気層を介して分離して配置されていてもよい(
図4参照)。本発明の液晶表示装置51は、偏光分離部材5およびバックライト側偏光板1がアウター側の偏光板保護フィルム4を介して隣接して配置されたことが、偏光分離部材5の光学性能を精確に制御しやすくなり、バックライトユニットが発光した無偏光の青色光32や、再帰反射された無偏光の青色光37の光利用率を向上させてより輝度を向上させたり、紫外光や短波長の青色光の光漏れを抑制したりする観点から好ましい。
【0024】
図1〜
図4に示した表示側偏光子46は、該表示側偏光子46の吸収軸が、上述の青色の透過光(偏光分離部材を透過した直線偏光である青色光)33、上述の直線偏光である緑色光38および上述の直線偏光である赤色光39の振動方向と平行であるように配置される。
すなわち、上述の青色の透過光33と、上述の直線偏光である緑色光38と、上述の直線偏光である赤色光39の振動方向は同じ方向となる。
表示側偏光子46を含む表示側偏光板44としては特に制限はなく公知の構成を採用することができ、例えば、
図1〜
図4に示したように偏光板保護フィルム(アウター側)45、表示側偏光子46および偏光板保護フィルム(インナー側)47の積層体の構成とすることができる。
【0025】
本発明の液晶表示装置51は、光変換部材16および偏光分離部材5の間に、さらに不図示の輝度向上フィルムが配置されてもよく、該輝度向上フィルムとしては、公知のプリズムシートや拡散板を挙げることができる。ただし、本発明の液晶表示装置において、輝度向上フィルムの配置位置は限定されることはなく、光変換部材16とバックライトユニット31の間に配置してもよい。
【0026】
次に、本発明の液晶表示装置を構成する各部材について、好ましい態様を説明する。
【0027】
<バックライトユニット>
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する無偏光の青色光を発光する光源と、430〜480nmの波長帯域の右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光を無偏光の青色光に変換して反射する反射部材と、を備える。
バックライトとしては、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わないが、本発明の液晶表示装置は、バックライトユニット全体が面光源であることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが光源またはエッジライト方式の場合は導光板の後部に、光源から発光されて偏光分離部材で反射された光の反射(繰り返しの再帰反射)をする反射部材を備える。反射部材は、液晶表示装置の明るさを向上させることができ、光源から発光されて偏光分離部材で反射された光の偏光状態がその方向および偏光状態をランダム化され再循環されるものである。このような反射部材としては特に制限は無く、公知のものを用いることができ、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットの光源は、前記430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を発光する青色発光ダイオードを有することが好ましい。
【0028】
バックライトユニットは、その他、公知の拡散板や拡散シート、プリズムシート(例えば、BEFなど)を備えていることも好ましい。その他の部材についても、特許3416302号、特許3363565号、特許4091978号、特許3448626号などに記載されており、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
【0029】
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが発光する無偏光の青色光の発光中心波長が440〜460nmの波長帯域にあることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが発光する無偏光の青色光が、半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有することが好ましく、半値幅が80nm以下である発光強度のピークを有することがより好ましく、半値幅が70nm以下である発光強度のピークを有することが特に好ましい。
本発明の液晶表示装置は、バックライトユニットが発光する無偏光の青色光の発光中心波長と、偏光分離部材に含まれる反射偏光子の反射中心波長との差が50nm以内である(が一致する)ことが好ましい。具体的には、バックライトユニットが発光する無偏光の青色光の発光中心波長と、反射偏光子として用いられるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層の反射中心波長との差が50nm以内であることがより好ましい。前記バックライトユニットが発光する前記無偏光の青色光の発光中心波長が440〜460nmの波長帯域にあり、前記コレステリック液晶相を固定してなる光反射層の反射中心波長が440〜460nmの波長帯域にあり、前記バックライトユニットが発光する前記無偏光の青色光の発光中心波長と前記コレステリック液晶相を固定してなる光反射層の反射中心波長との差が50nm以内であることが特に好ましい。本明細書中、2つの波長が「一致」するとは、2つの波長が完全に波長が一致する場合に限定されるものではなく、2つの波長が光学的に許容し得る程度のズレを有している場合も含む。バックライトユニットが発光する無偏光の青色光の発光中心波長と、偏光分離部材に含まれる反射偏光子の反射中心波長との差は、50nm以内であることが好ましく、20nm以内であることがより好ましく、10nm以内であることが特に好ましい。また、本明細書中、発光中心波長とは、発光強度のスペクトルのピークが最大値をとる波長のことをいう。また、本明細書中、反射中心波長とは、反射率のスペクトルのピークが最大値をとる波長のことをいう。
【0030】
<光変換部材>
本発明の液晶表示装置は光変換部材を含み、光変換部材は、該光変換部材に入射する前記無偏光の青色光により、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である緑色光、および、600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である赤色光、を発光する円偏光発光蛍光材料を含む。
光変換部材が発光する光の偏光状態は、例えばAxometrics社のAxoscanで偏光測定することで計測することができる。
光変換部材に含まれる円偏光発光蛍光材料は1種のみであっても2種以上であってもよいが、少なくとも光変換部材に入射する前記無偏光の青色光により、500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である緑色光を発光する円偏光発光蛍光材料と、光変換部材に入射する前記無偏光の青色光により、600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である赤色光を発光する円偏光発光蛍光材料が含まれることが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、光変換部材が発光する上述の円偏光である緑色光と上述の円偏光である赤色光が、いずれも半値幅が100nm以下である発光強度のピークを有することが好ましく、半値幅が80nm以下である発光強度のピークを有することがより好ましく、半値幅が70nm以下である発光強度のピークを有することが特に好ましい。
【0031】
円偏光発光蛍光材料としては、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。例えば、生体において鉄イオンの貯蔵・制御を担っている球殻状タンパク質フェリチン(籠状タンパク質)の内部で合成した化合物半導体を用いる事が出来る。化合物半導体の結晶成長が進む際に、フェリチンの内壁を構成するαヘリックス性(右巻きらせん構造)を持つタンパク質の分子構造を足場とすることで、タンパク質が持つ分子の右巻きの立体構造が化合物半導体に転写される。これにより円偏光発光性を示す化合物半導体の量子ドットが得られることが知られている。
【0032】
円偏光発光(CPL:Circularly Polarized Luminescence)とは、光学活性分子から発せられる右円偏光と左円偏光の発光強度の差分を指すものである。
円偏光発光(CPL)を示す物質としては、生物発光、発光性希土類や光学活性共役高分子などが知られている。また化合物半導体では、GaAsなどが円偏光レーザーで励起すると円偏光発光を示す報告がある。化合物半導体ナノ微粒子では特開2009−242501号公報に記載があり、具体的には、籠状タンパク質であるフェリチンのコア内で調整したCdSが高い円偏光発光(CPL)を示すことが実施例で開示されており、この文献に記載の内容は本発明に組み込まれる。
前記籠状タンパク質としては、フェリチンから金属酸化物のコアが抜けたアポフェリチンが好ましく、化合物半導体ナノ微粒子の表面にタンパク質を化学修飾させる場合は任意のタンパク質を用いてもよい。
【0033】
フェリチンは、単量体24個のタンパク質で構成された直径12nmの球状のタンパク質外殻部分と、当該外殻部分の中心部分であって生体内のFeイオンを吸収して酸化物の形で保持せしめた直径6nm程度のコア部分とを有する構造である。前記アポフェリチンは上記したFeの他、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)など種々の金属からなる微粒子をコアに蓄えることもできる。フェリチンはコア部分に、2種類以上の元素からなる化合物半導体のナノ微粒子を作製できる。なお、特開2009−242501号公報によれば、籠状タンパク質を微粒子形成の反応場としても用いて円偏光発光蛍光材料を作製すると、籠状タンパク質(アポフェリチン)内部の不斉場の効果により円偏光発光を示す。
フェリチンは自己集合能を持つために均一な膜として形成しやすく、かつ、外殻のタンパク質はUVオゾン熱処理などで分解・除去しやすいという特徴を有する。フェリチンの自己集合能を活かしてフェリチンの半導体基板上での吸着位置を制御し、フェリチンの外殻タンパク質を選択的に除去すれば、コアである金属酸化物を二次元マトリックス状に配列させた構造物を製作することができる。すなわち、前記籠状タンパク質中、アポフェリチンは、自己整合能をもつために高い密度で配置できる点、またフェリチンのタンパクは形状や大きさのばらつきが非常に少ない点、さらに作製プロセスも簡便なため製造コストが安価にできる点などの利点を有するため、好ましい。また、アポフェリチンを用いた場合、その内部空間の直径は約7nm以下であり、ナノメータオーダーの大きさの化合物半導体ナノ微粒子を効率的に作製することができるため、好ましい。
籠状タンパク質がアポフェリチンである場合、前記化合物半導体粒子に用いられる化合物半導体は、II−VI型の化合物半導体が好ましく、特に好ましくは、CdS又はZnS又はInPである。
【0034】
化合物半導体ナノ微粒子の表面にタンパク質を化学修飾させた場合にも、フェリチン内で合成された化合物半導体ナノ微粒子と同じように、化合物半導体ナノ微粒子は不斉場の効果により円偏光発光を示す。
タンパク質によって表面修飾された化合物半導体ナノ微粒子から成る円偏光発光蛍光材料を用いる場合、前記化合物半導体粒子に用いられる化合物半導体は、II−VI型の化合物半導体またはIII−V型の化合物半導体であることが好ましい。
【0035】
円偏光発光蛍光材料の蛍光波長は、蛍光体の粒子径を変更することによって、制御することができる。
また、円偏光発光蛍光材料に対して、レーザー照射することにより、円偏光発光波長を制御してもよい。円偏光発光波長の調節は、化合物半導体ナノ微粒子を内包した円偏光発光蛍光材料にレーザー照射することで、円偏光発光蛍光材料内部の化合物半導体ナノ微粒子が光酸化反応を起こした結果として長波長シフトを起こす。この円偏光発光蛍光材料の波長制御方法を用いることで、円偏光発光蛍光材料の円偏光発光波長を長波長シフトさせることができる。なお、円偏光発光性ナノ微粒子に対して、レーザー照射することにより、蛍光波長を短波長シフトさせることも可能である。
【0036】
円偏光発光蛍光材料を含む光変換部材としては、これらの円偏光発光蛍光材料を含むフィルム、または、これらの円偏光発光蛍光材料を分散させた接着層であることが好ましい。前記円偏光発光蛍光材料を有する光変換部材が、円偏光発光蛍光材料を分散させた後に延伸されてなる熱可塑性フィルムも用いることができる。
【0037】
<偏光分離部材>
本発明の液晶表示装置は、前記偏光分離部材が、該偏光分離部材の法線方向から入射する前記無偏光の青色光を右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光である青色の透過光と他の一方の円偏光である青色の反射光に分離し、500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光を透過する反射偏光子と、前記円偏光である青色の透過光、前記円偏光である緑色光および前記円偏光である赤色光をそれぞれ直線偏光である青色光、直線偏光である緑色光および直線偏光である赤色光に変換するλ/4板と、をバックライト側からこの順で備える。
【0038】
(反射偏光子)
前記反射偏光子は、偏光分離部材の法線方向から入射する前記無偏光の青色光を右円偏光および左円偏光のうち一方の円偏光である青色の透過光と他の一方の円偏光である青色の反射光に分離し、500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光を透過する。
すなわち、バックライトユニットから発光された430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する無偏光の青色光や、バックライトユニットで再帰反射された光に対して選択的に反射機能を奏し、500〜600nmの波長帯域の少なくとも一部の光に対して反射機能を奏さず、600〜650nmの波長帯域の少なくとも一部の光に対して反射機能を奏さないことが好ましい。
【0039】
反射偏光子は、反射中心波長が430〜480nmの波長帯域にあることが好ましく、反射中心波長が440〜460nmの波長帯域にあることがより好ましい。
430〜480nmの波長帯域に反射中心波長を有する反射率のピークは、半値幅が100nm以下である反射率のピークであることが好ましく、半値幅が80nm以下である反射率のピークであることがより好ましく、半値幅が70nm以下である反射率のピークであることが特に好ましく、半値幅が20nm以下である反射率のピークであることがより特に好ましく、半値幅が10nm以下である反射率のピークであることがさらにより特に好ましい。
【0040】
前記反射偏光子が500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光を透過するとは、500〜600nmおよび600〜650nmの全波長帯域において透過率が100%である態様に限定されるものではなく、液晶表示装置において光学的に許容される程度に500〜600nmおよび600〜650nmの波長帯域中の所望の波長での透過率が高ければよい。例えば、前記反射偏光子が、上記の430〜480nmの波長帯域の反射率のピーク以外に可視光領域において反射率のピークを有さないことが好ましい。
具体的には、前記反射偏光子が、光変換部材から発光された430〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ表示側偏光子の吸収軸と平行な振動方向の直線偏光である青色光の少なくとも一部を透過することが好ましく、上述の青色光の発光中心波長の光を透過することがより好ましく、上述の青色光の発光ピークの全部を透過することが特に好ましい。前記反射偏光子は、430〜480nmの波長帯域において最大の反射率のピークが20%以下であることが好ましく、430〜480nmの波長帯域において最大の反射率のピークが10%以下であることがより好ましく、430〜480nmの波長帯域において最大の反射率のピークが5%以下であることが特に好ましい。
また、前記反射偏光子が、光変換部材から発光された500〜600nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である緑色光の少なくとも一部を透過することが好ましく、上述の緑色光の発光中心波長の光を透過することがより好ましく、上述の緑色光の発光ピークの全部を透過することが特に好ましい。前記反射偏光子は、500〜600nmの波長帯域において最大の反射率のピークが20%以下であることが好ましく、500〜600nmの波長帯域において最大の反射率のピークが10%以下であることがより好ましく、500〜600nmの波長帯域において最大の反射率のピークが5%以下であることが特に好ましい。
前記反射偏光子が、光変換部材から発光された600〜650nmの波長帯域に発光中心波長を有し、かつ円偏光である赤色光の少なくとも一部を透過することが好ましく、上述の赤色光の発光中心波長の光を透過することがより好ましく、上述の赤色光の発光ピークの全部を透過することが特に好ましい。前記反射偏光子は、600〜650nmの波長帯域において最大の反射率のピークが20%以下であることが好ましく、600〜650nmの波長帯域において最大の反射率のピークが10%以下であることがより好ましく、600〜650nmの波長帯域において最大の反射率のピークが5%以下であることが特に好ましい。
【0041】
前記反射偏光子は、該反射偏光子に入射した500〜600nmの波長帯域の光の偏光状態と該反射偏光子から出射される500〜600nmの波長帯域の光の偏光状態が実質的に同じとなることが好ましく、具体的には該反射偏光子に入射した500〜600nmの波長帯域の円偏光の方向と該反射偏光子から出射される500〜600nmの波長帯域の円偏光の方向が同じ向きであることが好ましい。
前記反射偏光子は、該反射偏光子に入射した600〜650nmの波長帯域の光の偏光状態と該反射偏光子から出射される600〜650nmの波長帯域の光の偏光状態が実質的に同じとなることが好ましく、具体的には該反射偏光子に入射した600〜650nmの波長帯域の円偏光の方向と該反射偏光子から出射される600〜650nmの波長帯域の円偏光の方向が同じ向きであることが好ましい。
【0042】
前記偏光分離部材の全体膜厚は1〜130μmであることが好ましく、1〜70μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましく、1〜8μmであることがより特に好ましい。
【0043】
−コレステリック液晶相を固定してなる光反射層−
本発明の液晶表示装置は、前記反射偏光子がコレステリック液晶相を固定してなる光反射層であり、前記コレステリック液晶相を固定してなる光反射層が430〜480nmの波長帯域に反射中心波長を有し、前記反射中心波長において右円偏光および左円偏光のうち一方を反射して他の一方を透過し、500〜600nmの波長帯域のうち少なくとも一部の緑色光を透過し、600〜650nmの波長帯域のうち少なくとも一部の赤色光を透過することが好ましい。
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層は、該コレステリック液晶相を固定してなる光反射層に入射した430〜480nmの波長帯域の無偏光の光に対して、右円偏光および左円偏光の一方を反射または透過(出射)する。430〜480nmの波長帯域のうち、一部の波長帯域(例えば440〜460nm)においてほぼ一定で波長に対し最大値がフラットかつ立ち上がりが急峻な1つの反射率のピークを有し、その他の波長(例えば430nm以上440nm未満や460nmを超えて480nm以下)は反射率0%であるような反射スペクトルであるコレステリック液晶相を固定してなる光反射層もこの態様に含まれる。
【0044】
前記コレステリック液晶相を固定してなる光反射層を含むすべてのコレステリック液晶相を固定してなる光反射層の合計膜厚が2〜12μmであることが好ましく、2〜5μmであることがより好ましく、2〜4μmであることが特に好ましい。
【0045】
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層は2種以上組み合わせてもよいが、前記偏光分離部材の合計膜厚を薄くする観点から、前記コレステリック液晶相を固定してなる光反射層のみを用いることが好ましく、その他のコレステリック液晶相を固定してなる層を有さないことが好ましい。
【0046】
反射中心波長すなわち反射率のピークを与える波長は、コレステリック液晶相を固定してなる光反射層のピッチまたは屈折率を変えることにより調整することができるが、ピッチを変えることはキラル剤の添加量を変えることによって容易に調整可能である。具体的には富士フイルム研究報告No.50(2005年)pp.60−63に詳細な記載がある。
430〜480nmの波長帯域に反射中心波長を有するコレステリック液晶相を固定してなる光反射層の積層方法としては特に制限は無い。例えば、右旋回性のキラル剤を用いたコレステリック液晶相を固定してなる光反射層、または、左旋回性のキラル剤を用いたコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を塗布し、必要に応じて乾燥、硬化することで本発明の光反射部材とすることができる。
【0047】
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層の製造方法としては特に制限はないが、例えば、特開平1−133003号公報、特許3416302号、特許3363565号、特開平8−271731号公報に記載の方法を用いることができ、これらの公報の内容は本発明に組み込まれる。
以下、特開平8−271731号公報に記載の方法について説明する。
【0048】
コレステリック液晶としては、適宜なものを用いてよく、特に限定はない。液晶層の重畳効率や薄膜化などの点より液晶ポリマーの使用が有利である。また複屈折の大きいコレステリック液晶分子ほど選択反射の波長域が広くなって好ましい。
【0049】
前記の液晶ポリマーとしては、例えばポリエステル等の主鎖型液晶ポリマー、アクリル主鎖やメタクリル主鎖、シロキサン主鎖等からなる側鎖型液晶ポリマー、低分子カイラル剤含有のネマチック液晶ポリマー、キラル成分導入の液晶ポリマー、ネマチック系とコレステリック系の混合液晶ポリマーなどの適宜なものを用いうる。取扱性等の点よりは、ガラス転移温度が30〜150℃のものが好ましい。
【0050】
コレステリック液晶相を固定してなる光反射層の形成は、支持体に必要に応じポリイミドやポリビニルアルコール、SiOの斜方蒸着層等の適宜な配向膜を介して直接塗布する方式、透明フィルムなどからなる液晶ポリマーの配向温度で変質しない支持体に必要に応じ配向膜を介して塗布する方式などの適宜な方式で行うことができる。支持体としては、偏光の状態変化を防止する点などより位相差が可及的に小さいものが好ましく用いうる。また配向膜を介したコレステリック液晶相を固定してなる光反射層の重畳方式なども採ることができる。
【0051】
なお液晶ポリマーの塗布は、溶剤による溶液や加熱による溶融液等の液状物としたものを、ロールコーティング方式やグラビア印刷方式、スピンコート方式などの適宜な方式で展開する方法などにより行うことができる。形成するコレステリック液晶層の厚さは、選択反射性、配向乱れや透過率低下の防止等の点より、0.5〜100μmが好ましい。
【0052】
(λ/4板)
前記偏光分離部材は、前記円偏光である青色の透過光、前記円偏光である緑色光および前記円偏光である赤色光をそれぞれ直線偏光である青色光、直線偏光である緑色光および直線偏光である赤色光に変換するλ/4板を備える。
前記偏光分離部材は、前記λ/4板の遅相軸と前記表示側偏光子の吸収軸とのなす角が45°であることが好ましい。
また、前記λ/4板が下記式(1)〜(3)を満たすことが好ましい。
式(1) Re(λ) = λ/4 ± 10nm
(式(1)中、λは前記円偏光である青色光の発光中心波長(単位:nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
式(2) Re(λ) = λ/4 ± 10nm
(式(2)中、λは前記円偏光である緑色光の発光中心波長(単位:nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
式(3) Re(λ) = λ/4 ± 10nm
(式(3)中、λは前記円偏光である赤色光の発光中心波長(単位:nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
また、前記λ/4板が下記式(1’)〜(3’)を満たすことがより好ましい。
式(1’) Re(λ) = λ/4 ± 5nm
(式(1’)中、λは前記円偏光である青色光の発光中心波長(単位:nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
式(2’) Re(λ) = λ/4 ± 5nm
(式(2’)中、λは前記円偏光である緑色光の発光中心波長(単位:nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
式(3’) Re(λ) = λ/4 ± 5nm
(式(3’)中、λは前記円偏光である赤色光の発光中心波長(単位:nm)を表し、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
【0053】
前記λ/4板が更に下記式(2A)を満たすことがより好ましく、前記λ/4板が更に下記式(1A)、(3A)、(4A)を満たすことが特に好ましい。
式(1A) 450nm/4−25nm<Re(450)<450nm/4+25nm
式(2A) 550nm/4−25nm<Re(550)<550nm/4+25nm
式(3A) 630nm/4−25nm<Re(630)<630nm/4+25nm
式(4A) Re(450)<Re(550)<Re(630)
(式(1A)〜(4)中、Re(λ)は波長λnmにおける面内方向のレターデーション(単位:nm)を表す。)
λ/4板は、単層であっても、2層以上の積層体であってもよく、2層以上の積層体であることが好ましい。
【0054】
λ/4板は、反射層を通り抜けた円偏光を直線偏光に変換するための層である。同時に、厚さ方向のリタデーション(Rth)を調節することで、斜め方位から見た場合に発生する正の厚さ方向の位相差をキャンセルすることが可能となる。
従って、λ/4板の厚さ方向のリタデーション(Rth)は、0に近い値であれば好ましく、負の値を有することが更に好ましい。
前記λ/4板は、下記式(1A’)〜(4A’)を満たすことがより好ましい。
式(1A’) 450nm/4−15nm<Re(450)<450nm/4+15nm
式(2A’) 550nm/4−15nm<Re(550)<550nm/4+15nm
式(3A’) 630nm/4−15nm<Re(630)<630nm/4+15nm
式(4A’) Re(450)<Re(550)<Re(630)
前記λ/4板は、下記式(1A’’)〜(4A’’)を満たすことが特に好ましい。式(1A’’) 450nm/4−5nm<Re(450)<450nm/4+5nm
式(2A’’) 550nm/4−5nm<Re(550)<550nm/4+5nm
式(3A’’) 630nm/4−5nm<Re(630)<630nm/4+5nm
式(4A’’) Re(450)<Re(550)<Re(630)
【0055】
λ/4板の製造方法としては特に制限はないが、例えば、特開平8−271731号公報に記載の方法を用いることができ、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
以下、特開平8−271731号公報に記載の方法について説明する。
【0056】
位相差フィルムの重畳体からなる1/4波長板としては、例えば単色光に対して1/2波長の位相差を与えるものと、1/4波長の位相差を与えるものとの組合せで複数の位相差フィルムをそれらの光軸を交差させて積層したものがあげられる。
【0057】
前記の場合、単色光に対して1/2波長又は1/4波長の位相差を与える位相差フィルムの複数枚をそれらの光軸を交差させて積層することにより、複屈折光の屈折率差(△n)と厚さ(d)の積(△nd)で定義されるリタデーションの波長分散を重畳ないし加減できて任意に制御でき、全体としての位相差を1/4波長に制御しつつ波長分散を抑制して、広い波長域にわたり1/4波長の位相差を示す波長板とすることができる。
【0058】
前記において位相差フィルムの積層数は任意である。光の透過率などの点より2〜5枚の積層が一般的である。また、1/2波長の位相差を与える位相差フィルムと1/4波長の位相差を与える位相差フィルムの配置位置も任意である。
【0059】
また位相差フィルムの重畳体からなる1/4波長板は、波長450nmの光におけるリタデーションをR
450、波長550nmの光におけるリタデーションをR
550とした場合に、R
450/R
550が1.00〜1.05でリタデーションが大きい位相差フィルムと、前記の比が1.05〜1.20でリタデーションが小さい位相差フィルムとを、それらの光軸を交差させて積層したものなどとしても得ることができる。
【0060】
前記の場合もリタデーションが異なる位相差フィルムを光軸を交差させて、就中、直交させて積層することにより、各位相差フィルムにおけるリタデーションの波長分散を重畳ないし加減できて制御でき、特にリタデーションを短波長側ほど小さくすることができる。
【0061】
ちなみに前記による1/4波長板の具体例としては、ポリビニルアルコールフィルムを延伸処理してなる位相差フィルム(波長550nmの光におけるリタデーション:700nm)と、ポリカーボネートフィルムを延伸処理してなる位相差フィルム(波長550nmの光におけるリタデーション:560nm)を、それらの光軸が直交するように積層したものなどがあげられる。かかる積層物は、波長450〜650nmにわたってほぼ1/4波長板として機能する。
【0062】
位相差フィルムは、上記の如く例えば高分子フィルムを一軸、ないし二軸等で延伸処理する方法などにより得ることができる。その高分子の種類については特に限定はなく、透明性に優れるものが好ましく用いられる。その例としては、ポリカーボネート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子などがあげられる。
【0063】
特に、R
450/R
550が1.00〜1.05の位相差フィルムは、例えばポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子の如く、吸収端が200nmの波長付近にある高分子などを用いて形成することができる。
【0064】
またR
450/R
550が1.05〜1.20の位相差フィルムは、例えばポリカーボネート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子の如く、吸収端が200nmよりも長波長側にある高分子などを用いて形成することができる。
【0065】
式(1)〜(3)を満たすλ/4板は、以下のλ/2板及びλ/4板の積層体として調製したものも用いることができる。
前記λ/2板及びλ/4板として用いられる光学異方性層について説明する。本発明の位相差は、光学異方性層を含んでもよく、光学異方性層は液晶化合物を主成分とする硬化性組成物の1種又は複数種から形成することができ、液晶化合物のうち、重合性基を有する液晶化合物が好ましく、前記硬化性組成物の1種から形成されているのが好ましい。
式(1)〜(3)を満たすλ/4板に用いられるλ/4板は、支持体自身で目的のλ/4機能を有する光学異方性支持体であってもよいし、ポリマーフィルムからなる支持体上に光学異方性層等を有していてもよい。すなわち、後者の場合、支持体上に他の層を積層させることで所望のλ/4機能を持たせる。光学異方性層の構成材料については特に制限されず、液晶性化合物を含有する組成物から形成され、該液晶性化合物の分子の配向によって発現された光学異方性を示す層であっても、ポリマーフィルムを延伸してフィルム中の高分子を配向させて発現させた光学異方性を有する層であっても、双方の層を有していてもよい。すなわち、1枚又は2枚以上の二軸性フィルムによって構成することができるし、またCプレートとAプレートとの組合せ等、一軸性フィルムを2枚以上組合せることでも構成することができる。勿論、1枚以上の二軸性フィルムと、1枚以上の一軸性フィルムとを組み合わせることによっても構成することもできる。
ここで、「λ/4板」とは、特定の波長λnmにおける面内レターデーションRe(λ)が
Re(λ)=λ/4
を満たす光学異方性層のことをいう。上式は可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていれば良いが、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が
115nm≦Re(550)≦155nm
であることが好ましく、120nm〜145nmであることがより好ましい。この範囲であると、後述するλ/2板と組み合わせたときに、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
【0066】
式(1)〜(3)を満たすλ/4板に使用されるλ/2板は、支持体自身で目的のλ/2機能を有する光学異方性支持体であってもよいし、ポリマーフィルムからなる支持体上に光学異方性層等を有していてもよい。すなわち、後者の場合、支持体上に他の層を積層させることで所望のλ/2機能を持たせる。光学異方性層の構成材料については特に制限されず、液晶性化合物を含有する組成物から形成され、該液晶性化合物の分子の配向によって発現された光学異方性を示す層であっても、ポリマーフィルムを延伸してフィルム中の高分子を配向させて発現させた光学異方性を有する層であっても、双方の層を有していてもよい。すなわち、1枚又は2枚以上の二軸性フィルムによって構成することができるし、またCプレートとAプレートとの組合せ等、一軸性フィルムを2枚以上組合せることでも構成することができる。勿論、1枚以上の二軸性フィルムと、1枚以上の一軸性フィルムとを組み合わせることによっても構成することもできる。
ここで、式(1)〜(3)を満たすλ/4板に用いられる「λ/2板」とは、特定の波長λnmにおける面内レターデーションRe(λ)が
Re(λ)=λ/2
を満たす光学異方性層のことをいう。上式は可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていれば良い。さらに、本発明ではλ/2板の面内レターデーションRe1がλ/4板の面内レターデーションRe2に対し実質的に2倍であるように設定される。
ここで、「レターデーションが実質的に2倍である」とは、
Re1=2×Re2±50nm
であることを意味する。ただし、
Re1=2×Re2±20nm
であることがより好ましく、
Re1=2×Re2±10nm
であることがさらに好ましい。上式は可視光域のいずれかの波長において達成されていれば良いが、波長550nmにおいて達成されていることが好ましい。この範囲であると、前記したλ/4板と組み合わせたときに、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
【0067】
λ/4板を透過した直線偏光の方向は、バックライト側偏光板の透過軸方向と平行となるよう積層される。
λ/4板が単層の場合には、λ/4板の遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向のなす角は45°になる。
λ/4板がλ/4板とλ/2板の積層体の場合には、夫々の遅相軸方向と偏光板の吸収軸方向のなす角は、次のような位置関係となる。
【0068】
前記λ/2板の波長550nmにおけるRthが負である場合には、該λ/2板の遅相軸方向と前記偏光子層の吸収軸方向とのなす角が75°±8°の範囲であることが好ましく、75°±6°の範囲であることがより好ましく、75°±3°の範囲であることがさらに好ましい。さらにこのとき、前記λ/4板の遅相軸方向と前記偏光子層の吸収軸方向とのなす角が15°±8°の範囲であることが好ましく、15°±6°の範囲であることがより好ましく、15°±3°の範囲であることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
【0069】
また、前記λ/2板の波長550nmにおけるRthが正である場合には、該λ/2板の遅相軸方向と前記偏光子層の吸収軸方向とのなす角が15°±8°の範囲であることが好ましく、15°±6°の範囲であることがより好ましく、15°±3°の範囲であることがさらに好ましい。さらにこのとき、前記λ/4板の遅相軸方向と前記偏光子層の吸収軸方向とのなす角が75°±8°の範囲であることが好ましく、75°±6°の範囲であることがより好ましく、75°±3°の範囲であることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
【0070】
本発明に使用される光学異方性支持体の材料について特に制限はない。種々のポリマーフィルム、例えば、セルロースアシレート、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等を利用することができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は前記ポリマーを混合したポリマー等から1種又は2種以上のポリマーを選択し、主成分として用いてポリマーフィルムを作製し、上記特性を満足する組合せで、光学フィルムの作製に利用することができる。
【0071】
λ/2板及びλ/4板がポリマーフィルム(透明支持体)と光学異方性層との積層体である場合、光学異方性層は、液晶性化合物を含有する組成物から形成された層を少なくとも一層含んでいることが好ましい。即ち、ポリマーフィルム(透明支持体)と液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層との積層体であることが好ましい。透明支持体には光学異方性が小さいポリマーフィルムを用いてもよいし、延伸処理などにより光学異方性を発現させたポリマーフィルムを用いてもよい。支持体は光透過率が80%以上であることが好ましい。
【0072】
前記λ/2板及びλ/4板が有してもよい光学異方性層の形成に用いられる液晶性化合物の種類については特に制限されない。例えば、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋や熱架橋によって固定化して得られる光学異方性層や、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって当該配向を固定化して得られる光学異方性層を用いることもできる。なお本発明では、光学異方性層に液晶性化合物が用いられる場合であっても、光学異方性層は、該液晶性化合物が重合等によって固定されて形成された層であり、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。重合性液晶性化合物は、多官能性重合性液晶でもよいし、単官能性重合性液晶性化合物でもよい。また、液晶性化合物は、ディスコティック液晶性化合物でもよいし、棒状液晶性化合物でもよい。
【0073】
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、反応性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いて形成することがより好ましく、少なくとも1つは1液晶分子中の反応性基が2以上あることがさらに好ましい。液晶化合物は二種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。
棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019や特開2007−279688号に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号や特開2010−244038号に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
【0074】
前記光学異方性層において、液晶化合物の分子は、垂直配向、水平配向、ハイブリッド配向及び傾斜配向のいずれかの配向状態に固定化されていることが好ましい。視野角依存性が対称である位相差板を作製するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤面がフィルム面(光学異方性層面)に対して実質的に垂直であるか、又は、棒状液晶性化合物の長軸がフィルム面(光学異方性層面)に対して実質的に水平であることが好ましい。ディスコティック液晶性化合物が実質的に垂直とは、フィルム面(光学異方性層面)とディスコティック液晶性化合物の円盤面とのなす角度の平均値が70°〜90°の範囲内であることを意味する。80°〜90°がより好ましく、85°〜90°が更に好ましい。棒状液晶性化合物が実質的に水平とは、フィルム面(光学異方性層面)と棒状液晶性化合物のダイレクターとのなす角度が0°〜20°の範囲内であることを意味する。0°〜10°がより好ましく、0°〜5°が更に好ましい。
【0075】
前記λ/2板及びλ/4板が、液晶性化合物を含有する光学異方性層を含む場合、該光学異方性層は一層のみからなっていてもよいし、二層以上の光学異方性層の積層体であってもよい。
【0076】
前記光学異方性層は、棒状液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物等の液晶性化合物と、所望により、後述する重合開始剤や配向制御剤や他の添加剤を含む塗布液を、支持体上に塗布することで形成することができる。支持体上に配向膜を形成し、該配向膜表面に前記塗布液を塗布して形成することが好ましい。
【0077】
配向膜の表面に前記組成物を塗布して、液晶性化合物の分子を配向させるのが好ましい。配向膜は液晶性化合物の配向方向を規定する機能を有するため、本発明の好ましい態様を実現する上で利用するのが好ましい。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光層や支持体上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。
【0078】
ポリマーの例には、例えば特開平8−338913号公報明細書中段落番号[0022]記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。 前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより、配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0079】
配向膜のラビング処理面に前記組成物を塗布して、液晶性化合物の分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させることで、前記光学異方性層を形成することができる。
配向膜の膜厚は、0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0080】
光学異方性層を支持する透明支持体(ポリマーフィルム)の面内のレターデーション(Re)は0〜50nmであることが好ましく、0〜30nmであることがより好ましく、0〜10nmであることがさらに好ましい。上記の範囲であると、反射光の光漏れを視認されない程度まで低減できるため好ましい。
【0081】
また、該支持体の厚さ方向のレターデーション(Rth)はその上または下に設けられる光学異方性層との組み合わせによって選択することが好ましい。それによって、斜め方向から観察したときの反射光の光漏れ、及び色味付きを低減することができる。
【0082】
ポリマーの例には、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、ポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有するポリマーが好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
【0083】
透明支持体の厚さは10μm〜200μm程度のものを用いることができるが、好ましくは10μm〜80μmであり、20μm〜60μmであることがより好ましい。また、透明支持体は複数枚の積層からなっていてもよい。外光反射の抑制には薄い方が好ましいが、10μmより薄いと、フィルムの強度が弱くなり、好ましくない傾向がある。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
【0084】
なお上記では、支持体上に光学異方性層を設けた積層体構造であるλ/2板またはλ/4板について説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではなく、1枚の透明支持体の片面にλ/2板とλ/4板が積層されたものであってもよく、または1枚の透明支持体の片面にλ/2板が積層され、もう一方の片面にλ/4板が積層されたものであってもよい。さらに、λ/2板またはλ/4板は、延伸ポリマーフィルム(光学異方性支持体)単独からなっていても、液晶性化合物を含有する組成物から形成された液晶フィルムのみからなっていてもよい。液晶フィルムの好ましい例も、前記光学異方性層の好ましい例と同様である。
【0085】
前記λ/2板及びλ/4板は長尺状フィルムの状態で連続的に製造されることが好ましい。このとき、λ/2またはλ/4の遅相軸角は、前記長尺状フィルムの長手方向に対して15°±8°、または75°であることが好ましい。このようにすることで、後述する光学積層体の製造において、前記長尺状フィルムの長手方向と偏光膜の長手方向を一致させてロールトゥロールによる貼り合せを行うことが可能になり、貼り合せの軸角度の精度が高く、生産性の高い円偏光板や楕円偏光板の製造が可能になる。なお、光学異方性層が液晶性化合物から形成される場合には、光学異方性層の遅相軸の角度はラビングの角度で調整できる。また、λ/2板またはλ/4板が延伸処理したポリマーフィルム(光学異方性支持体)から形成される場合は、延伸方向によって遅相軸の角度が調整できる。
【0086】
(偏光分離部材の貼合方法)
本発明の液晶表示装置は、偏光分離部材と、液晶セルまたはバックライト側偏光子とが、直接、接着層を介して、または、偏光板保護フィルムを介して隣接して配置されたことが好ましい。
また、偏光分離部材は、反射偏光子およびλ/4板がバックライト側からこの順で、直接接触して、または、接着層を介して積層したことが好ましい。
部材統合により、部材膜厚の薄層化や部材間隙の空気層での界面反射ロス低減、液晶表示装置製造時や製造後に発生する可能性がある部材間への異物混入による表示不良をなくすことができる。
【0087】
これらの部材を貼合する方法としては、公知の方法を用いることができる。仮支持体上に設けられたコレステリック液晶相を固定してなる光反射層を、液晶セル、バックライト側偏光子の上に転写することにより積層し、仮支持体を必要に応じて剥離して、前記偏光分離部材を形成することが好ましい。また、ロールtoパネル製法を用いることもでき、生産性、歩留まりを向上する上で好ましい。ロールtoパネル製法は特開2011−48381号公報、特開2009−175653号公報、特許4628488号公報、特許4729647号公報、WO2012/014602号、WO2012/014571号等に記載されているが、これらに限定されない。
【0088】
これらの部材どうしを直接接触して積層させる方法としては、各部材の上に他の部材を塗布により積層する方法を挙げることができる。
【0089】
また、これらの部材どうしの間には、接着層(粘着剤層)が配置されていてもよい。
粘着剤層としては、例えば、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質のことを表し、いわゆる、粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。本発明に用いることのできる粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤や、ポリビニルアルコール系接着剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0090】
前記接着層に用いられる粘着剤の例としては、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂をあげることができる。これらは単独もしくは2種以上混合して使用しても良い。特に、アクリル系樹脂は、耐水性、耐熱性、耐光性等の信頼性に優れ、接着力、透明性が良く、更に、屈折率を液晶ディスプレイに適合するように調整し易い等から好ましい。アクリル系粘着剤としては、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、アクリルアミド、アクリルニトリル等のアクリルモノマーの単独重合体もしくはこれらの共重合体、更に、前記アクリルモノマーの少なくとも1種と、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン等の芳香族ビニルモノマーとの共重合体をあげることができる。特に、粘着性を発現するエチレンアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の主モノマー、凝集力成分となる酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアミド、スチレン、メタクリレート、メチルアクリレートなどのモノマー、さらに接着力向上や、架橋化起点を付与するメタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸等の官能基含有モノマーからなる共重合体で、Tg(ガラス転移点)が−60℃〜−15℃の範囲にあり、重量平均分子量が20万〜100万の範囲にあるものが好ましい。
【0091】
硬化剤として、例えば金属キレート系、イソシアネート系、エポキシ系の架橋剤が必要に応じて1種あるいは2種以上混合されて用いられる。このようなアクリル系粘着剤は、後述するフィラーを含有した状態で、粘着力が100〜2000g/25mmの範囲になるよう配合されると実用上好ましい。接着力が100g/25mm未満では耐環境性が悪く、特に、高温高湿時に剥離の生じる恐れがあり、逆に、200g/25mmを超えると貼り直しができなかったり、できても粘着剤が残るという問題が生じる。アクリル系粘着剤の屈折率(JIS K−7142によるB法)は、1.45〜1.70の範囲、特に、1.5〜1.65の範囲が好ましい。
【0092】
粘着剤には、屈折率の調整のためにフィラーが含有される。フィラーとしてはシリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等有機系の透明または白色顔料等をあげることができる。アクリル系粘着剤を選択したときは、シリコンビーズ、エポキシ樹脂ビーズがアクリル系粘着剤に対する分散性が優れ、均一で良好な屈折率が得られることから好ましい。また、フィラーは、光拡散が均一な球状のフィラーが好ましい。
このようなフィラーの粒子径(JIS B9921)は、0.1〜20.0μm、好ましくは1.0〜10.0μmの範囲が望ましい。特に、0.5〜10μmの範囲が好ましい。
フィラーの屈折率(JIS K−7142によるB法)は、粘着剤の屈折率に対して0.05〜0.5の差があることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3が良い。
拡散粘着層におけるフィラーの含有量は、1.0〜40.0質量%、特に、3.0〜20質量%であることが望ましい。
【0093】
<バックライト側偏光板、表示側偏光板>
次に、バックライト側偏光板および表示側偏光板について説明する。
本発明の液晶表示装置が有する偏光板は、偏光子およびそのどちらか一方の面に配置された偏光板保護フィルムを含むことが好ましく、偏光子およびその両側に配置された二枚の偏光板保護フィルム(以下、保護フィルムとも言う)からなることがより好ましいが、バックライト側偏光板のアウター側の偏光板保護フィルムとして前述の偏光分離部材を用いてもよく、バックライト側偏光板のインナー側の偏光板保護フィルムは使用しなくてもよい。前述の偏光分離部材をバックライト側偏光板のアウター側の偏光板保護フィルムとして用いず、偏光分離部材を偏光板保護フィルムとは独立した部材として用いる場合、本発明ではより薄膜化するために保護フィルムをより薄く(60μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは25μm以下)することが好ましい。アクリル樹脂などの保護レジンを塗布、乾燥、硬化したハードコート(20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下)を使用することがより好ましい。
保護層を設けない偏光子を用いることがより薄手化の実現にはさらに好ましい。
本発明においては、二枚の偏光板保護フィルムの内、液晶セル側に配置されるインナー側の偏光板保護フィルムとして、VA、IPS、TN、OCBモードの液晶表示装置の場合位相差フィルムが用いられることがより好ましいが、IPSモードの場合は位相差が略ない光学補償フィルムを使用することが好ましく、インナー側の偏光板保護フィルムを使用しないことが、より薄手化の実現には好ましい。
【0094】
(偏光子)
前記偏光子としては、ポリマーフィルムにヨウ素が吸着配向されたものを用いることが好ましい。前記ポリマーフィルムとしては、特に限定されず各種のものを使用できる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系フィルムや、これらの部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルムに、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、偏光子としてのヨウ素による染色性に優れたポリビニルアルコール系フィルムを用いることが好ましい。
【0095】
前記ポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。
【0096】
前記ポリマーフィルムの材料であるポリマーの重合度は、一般に500〜10,000であり、1000〜6000の範囲であることが好ましく、1400〜4000の範囲にあることがより好ましい。更に、ケン化フィルムの場合、そのケン化度は、例えば、水への溶解性の点から、75モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%以上であり、98.3〜99.8モル%の範囲にあることがより好ましい。
【0097】
前記ポリマーフィルム(未延伸フィルム)は、常法に従って、一軸延伸処理、ヨウ素染色処理が少なくとも施される。さらには、ホウ酸処理、洗浄処理、を施すことができる。また前記処理の施されたポリマーフィルム(延伸フィルム)は、常法に従って乾燥処理されて偏光子となる。
【0098】
一軸延伸処理における延伸方法は特に制限されず、湿潤延伸法と乾式延伸法のいずれも採用できる。乾式延伸法の延伸手段としては、たとえば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等があげられる。延伸は多段で行うこともできる。前記延伸手段において、未延伸フィルムは、通常、加熱状態とされる。延伸フィルムの延伸倍率は目的に応じて適宜に設定できるが、延伸倍率(総延伸倍率)は2〜8倍程度、好ましくは3〜7倍、さらに好ましくは3.5〜6.5倍とするのが望ましい。
【0099】
ヨウ素染色処理は、例えば、ポリマーフィルムをヨウ素およびヨウ化カリウムを含有するヨウ素溶液に浸漬することにより行われる。ヨウ素溶液は、通常、ヨウ素水溶液であり、ヨウ素および溶解助剤としてヨウ化カリウムを含有する。ヨウ素濃度は0.01〜1質量%程度、好ましくは0.02〜0.5質量%であり、ヨウ化カリウム濃度は0.01〜10質量%程度、さらには0.02〜8質量%で用いるのが好ましい。
【0100】
ヨウ素染色処理にあたり、ヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。ヨウ素染色処理にあたっては、ヨウ素溶液の濃度、ポリマーフィルムのヨウ素溶液への浸漬温度、浸漬時間等の条件を調整することによりポリマーフィルムにおけるヨウ素含有量およびカリウム含有量が前記範囲になるように調整する。ヨウ素染色処理は、一軸延伸処理前、一軸延伸処理中、一軸延伸処理後の何れの段階で行ってもよい。
【0101】
前記偏光子のヨウ素含有量は、光学特性を考慮すると、例えば、2〜5質量%の範囲であり、好ましくは、2〜4質量%の範囲である。
【0102】
前記偏光子は、カリウムを含有するのが好ましい。カリウム含有量は、好ましくは0.2〜0.9質量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜0.8質量%の範囲である。偏光子が、カリウムを含有することによって、好ましい複合弾性率(Er)を有し、偏光度の高い偏光フィルムを得ることができる。カリウムの含有は、例えば、偏光子の形成材料であるポリマーフィルムを、カリウムを含む溶液に浸漬することにより可能である。前記溶液は、ヨウ素を含む溶液を兼ねていてもよい。
【0103】
乾燥処理工程としては、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥等の従来公知の乾燥方法を用いることができる。例えば加熱乾燥では、加熱温度は20〜80℃程度であり、乾燥時間は1〜10分間程度である。また、この乾燥処理工程においても適宜延伸することができる。
【0104】
偏光子の厚さとしては特に限定されず、通常は1〜100μm、好ましくは3〜30μm、より好ましくは、5〜20μmである。
【0105】
偏光子の光学特性としては、偏光子単体で測定したときの単体透過率が43%以上であることが好ましく、43.3〜45.0%の範囲にあることがより好ましい。また、前記偏光子を2枚用意し、2枚の偏光子の吸収軸が互いに90°になるように重ね合わせて測定する直交透過率は、より小さいことが好ましく、実用上、0.00%以上0.050%以下が好ましく、0.030%以下であることがより好ましい。偏光度としては、実用上、99.90%以上100%以下であることが好ましく、99.93%以上100%以下であることが特に好ましい。偏光板として測定した際にもほぼこれと同等の光学特性が得られるものが好ましい。
【0106】
(偏光板保護フィルム)
前記保護フィルムのうち、液晶セルと反対側に配置される保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れる熱可塑性樹脂が用いられる。この様な熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。
特に本発明の液晶表示装置は、バックライト側偏光板が、偏光子と該偏光子の両表面に配置された2枚の偏光板保護フィルムを有し、バックライト側偏光板のアウター側の偏光板保護フィルムとして前述の偏光分離部材を用いない場合は、2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも偏光分離部材側(液晶セルと反対側)の偏光板保護フィルムがセルロースアシレートフィルムであることが好ましい。
【0107】
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としでは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリプロピルセルロース、ジプロピルセルロース等が挙げられる。これらのなかでも、トリアセチルセルロースが特に好ましい。トリアセチルセルロースは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。トリアセチルセルロースの市販品の例としては、富士フィルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等が挙げられる。
【0108】
環状ポリオレフィン樹脂の具体的としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及び、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物等が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。
【0109】
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品
名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品律
「APEL」が挙げられる。
【0110】
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
【0111】
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系が挙げられる。
【0112】
(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
【0113】
保護フィルムの厚さは適宜に設定し得るが、一般には強度や取扱い等の作業性、薄層性等の点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
【0114】
Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション、及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH、又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。測定されるフィルムが、1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)が算出される。なお、この測定方法は、後述する光学異方性層中のディスコティック液晶分子の配向膜側の平均チルト角、その反対側の平均チルト角の測定においても一部利用される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH、又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)、及び式(B)よりRthを算出することもできる。
【0115】
【数1】
なお、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは、面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzは、nx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・・・・式(B)
【0116】
測定されるフィルムが、1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH、又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。また、上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0117】
なお、本明細書では、「可視光」とは、380nm〜780nmのことをいう。また、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
また、本明細書において、角度(例えば「90°」等の角度)、及びその関係(例えば「直交」、「平行」、及び「45°で交差」等)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
【0118】
本明細書において、位相差フィルム等の「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。
また、本明細書において、位相差領域、位相差フィルム、及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
また、本明細書で「正面」とは、表示面に対する法線方向を意味し、「正面コントラスト(CR)」は、表示面の法線方向において測定される白輝度及び黒輝度から算出されるコントラストをいい、「視野角コントラスト(CR)」は、表示面の法線方向から傾斜した斜め方向(例えば、表示面に対して、極角方向60度で定義される方向)において測定される白輝度及び黒輝度から算出されるコントラストをいうものとする。
【0119】
(接着層)
前記偏光子と保護フィルムの貼り合わせには、偏光子ならびに保護フィルムに応じて、接着剤や粘着剤等を適宜採用することができる。この接着剤および接着処理方法としては特に限定されるものではないが、例えば、ビニルポリマーからなる接着剤、あるいは、少なくともホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤からなる接着剤などを介して行うことができる。このような接着剤からなる接着層は、水溶液の塗布乾燥層などとして形成しうるが、その水溶液の調製に際しては、必要に応じて、架橋剤や他の添加剤、酸等の触媒も配合することができる。特に偏光子としてポリビニルアルコール系のポリマーフィルムを用いる場合には、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤を用いることが、接着性の点から好ましい。さらには、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む接着剤が耐久性を向上させる点からより好ましい。
【0120】
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されるものではないが、接着性の点から平均重合度100〜3000程度、平均ケン化度は85〜100モル%程度が好ましい。また、接着剤水溶液の濃度としては特に限定されるものではないが、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。前記接着層の厚みとしては、乾燥後の厚みにおいて30〜1000nm程度が好ましく、50〜300nmがより好ましい。この厚みが薄すぎると接着力が不十分となり、厚すぎると外観に問題が発生する確率が高くなる。
【0121】
その他の接着剤として、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポ
キシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂を用いることができる。
【0122】
<液晶セル>
液晶セルの構成については特に制限はなく、一般的な構成の液晶セルを採用することができる。液晶セルは、例えば、対向配置された一対の基板と、該一対の基板間に挟持された液晶層とを含み、必要に応じて、カラーフィルター層などを含んでいてもよい。液晶セルの駆動モードについても特に制限はなく、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等の種々のモードを利用することができる。
【0123】
本発明の液晶表示装置に利用される液晶セルは、VAモード、OCBモード、IPSモード、又はTNモードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、及びPSA(Polymer−Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、及び特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
【0124】
液晶表示装置の一実施形態は、対向する少なくとも一方に電極を設けた基板間に液晶層を挟持した液晶セルを有し、この液晶セルは2枚の偏光板の間に配置して構成されることが好ましい。液晶表示装置は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行う。さらに必要に応じて偏光板保護フィルムや光学補償を行う光学補償部材、接着層などの付随する機能層を有する。
【0125】
<他の部材>
また、本発明の液晶表示装置は、他の部材を含んでいてもよい。例えば、カラーフィルター基板、薄層トランジスタ基板、レンズフィルム、拡散シート、ハードコート層、反射防止層、低反射層、アンチグレア層等とともに(又はそれに替えて)、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層等の表面層が配置されていてもよい。
【0126】
(カラーフィルター)
本発明における画素は、光源が500nm以下の可視のBを用いている場合、RGB画素形成方法としては、公知の種々の方法を用いて形成させることができる。例えば、ガラス基板上にフォトマスク、およびフォトレジストを用いて所望のブラックマトリックス、およびR、G、Bの画素パターンを形成することもできるし、また、R、G、Bの画素用着色インクを用いて、所定の幅のブラックマトリクス、及びn個置きに前記ブラックマトリクスの幅よりも広いブラックマトリックスで区分された領域内(凸部で囲まれた凹部)に、インクジェット方式の印刷装置を用いて所望の濃度になるまでインク組成物の吐出を行い、R、G、Bのパターンからなるカラーフィルターを作製することもできる。画像着色後は、ベーク等することで各画素及びブラックマトリックスを完全に硬化させてもよい。
カラーフィルターの好ましい特性は特開2008−083611号公報などに記載されており、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
例えば、緑色を示すカラーフィルターにおける最大透過率の半分の透過率となる波長は、一方が590nm以上610nm以下であり、他方が470nm以上500nm以下であることが好ましい。また、緑色を示すカラーフィルターにおいて前記最大透過率の半分の透過率となる波長は、一方が590nm以上600nm以下であることが好ましい。さらに緑色を示すカラーフィルターにおける最大透過率は80%以上であることが好ましい。緑色を示すカラーフィルターにおいて最大透過率となる波長は530nm以上560nm以下であることが好ましい。
前記光源ユニットが有する光源は、600nm以上700nm以下の波長領域における発光ピークの波長が620nm以上650nm以下であることが好ましい。前記光源ユニットが有する光源は、600nm以上700nm以下の波長領域に発光ピークを有し、前記緑色を示すカラーフィルターにおいて、前記発光ピークの波長における透過率は、最大透過率の10%以下であることが好ましい。
前記赤色を示すカラーフィルターは、580nm以上590nm以下における透過率が最大透過率の10%以下であることが好ましい。
【0127】
カラーフィルター用顔料として、青ではC.I.Pigment Blue 15:6に補色顔料C. I .Pigment Violet 23を用いられる。赤では、C. I. Pigment Red 254に補色としてC. I. Pigment Yellow 139を用いられる。緑色用の顔料としては、通常C. I. Pigment Green 36(臭化銅フタロシアニングリーン)、C. I. Pigment Green 7(塩化銅フタロシアニングリーン)に、補色用顔料としてC. I. Pigment Yellow 150やC .I. Pigment Yellow 138等が用いられる。これらの顔料の組成を調整することで制御可能である。補色顔料の組成を比較例に対して少量ながら増量することで、長波長側の半値波長を590nmから600nmの範囲に設定することが可能である。なお、現在は、一般的に顔料を用いているが、分光を制御でき、プロセス安定性、信頼性が確保できる色素であれば、染料によるカラーフィルターであってもよい。
【0128】
(ブラックマトリックス)
本発明の液晶表示装置は、各画素の間にブラックマトリックスが配置される。ブラックストライプを形成する材料としては、クロム等の金属のスパッタ膜を用いたもの、感光性樹脂と黒色着色剤等を組み合わせた遮光性感光性組成物などが挙げられる。黒色着色剤の具体例としては、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタン、黒鉛などが挙げられ、中でも、カーボンブラックが好ましい。
【0129】
(薄層トランジスタ)
本発明の液晶表示装置は、さらに薄層トランジスタ(以下、TFTとも言う)を有するTFT基板を有することが好ましい。
前記薄層トランジスタが、キャリア濃度が1×10
14/cm
3未満である酸化物半導体層を有することが好ましい。前記薄層トランジスタの好ましい態様については特開2011−141522号公報に記載されており、この公報の内容は本発明に組み込まれる。
【実施例】
【0130】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0131】
[実施例1]
<偏光板1の準備>
バックライト側偏光板のフロント側偏光板保護フィルムとして市販のセルロースアシレート系フィルム「TD60」(富士フイルム社製)を用いた。
バックライト側偏光板のリア側偏光板保護フィルムとして、セルロースアシレート系フィルム「TD60」(富士フイルム社製)を用いた。
特開2006−293275号公報の[0219]〜[0220]と同様にして、偏光子を製造し、上記2枚の偏光板保護フィルムを偏光子の両面にそれぞれ貼り合わせて、偏光板1を製造した。
【0132】
(広帯域λ/4板の形成)
特開2003−262727号公報の[0020]〜[0033]と同様にして、広帯域λ/4板を準備した。広帯域λ/4板は、基材の上に2層の液晶性材料を塗布、重合後に、基材から剥離して得られた。
得られた広帯域λ/4板のRe(450)は110nm、Re(550)は135nm、Re(630)は140nm、膜厚は1.6μmであった。
得られた広帯域λ/4板と、上記にて製造した偏光板1を、屈折率1.47のアクリル系接着剤を用いて貼り合わせた。
【0133】
(コレステリック液晶相を固定してなる光反射層を用いた反射偏光子の形成)
支持体の上に、富士フイルム研究報告 No.50(2005年)pp.60−63を参考に、用いたキラル剤の添加量を変更して、コレステリック液晶相を固定してなる反射偏光子を塗布により1層形成した。
得られたコレステリック液晶相を固定してなる反射偏光子を、コレステリック(B)とした。コレステリック(B)の最大反射率のピークの反射中心波長は445nm、半値幅は70nm、膜厚は2.5μm、液晶のΔn=0.12、平均屈折率は1.57であった。また、コレステリック(B)は右旋性のキラル剤を用いており、右円偏光を反射する。
また、液晶のΔn=0.17を用いた場合、反射中心波長は450nm、半値幅は100nm、膜厚は2.5μmを実現できた。
【0134】
<偏光分離部材の形成>
上記にて形成した膜厚1.6μmの広帯域λ/4板の上に、上記にて形成した膜厚2.5μmのコレステリック(B)である反射偏光子のみを支持体から剥がして転写し、偏光分離部材と偏光板1の積層体を形成した。得られた偏光分離部材の合計膜厚は4.1μmであり、下記表1に記載した。
【0135】
<光変換部材の形成>
光変換部材として、特開2009−242501号公報を参考に、CdSからなる化合物の微粒子をアポフェリチン内に形成させ、青色発光ダイオードの無偏光の青色光が入射したときに、中心波長550nm、半値幅80nmの緑色光の円偏光を蛍光発光する円偏光発光蛍光材料を作製した。
波長の制御は、ナノ微粒子の直径サイズを調整する事により可能であり、その方法としては、レーザ照射による小粒径化や、反応液中のアンモニア濃度の調整が挙げられるが、ここでは反応液中のアンモニア濃度を調整することで、目標の波長の蛍光材料を得た。
また、CdSからなる化合物の微粒子をアポフェリチン内に形成させ、青色発光ダイオードの無偏光の青色光が入射したときに、中心波長610nm、半値幅80nmの赤色光の円偏光を蛍光発光する円偏光発光蛍光材料を、緑色光の円偏光発光蛍光材料を作成したときと同様に、反応液中のアンモニア濃度を調整する事で作製した。
これらの円偏光発光蛍光材料を用いて、円偏光蛍光シートRGを以下の方法で作製した。
基材として、イソフタル酸を6mol%共重合させたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、「非晶性PET」という)のシートを作製した。非晶性PETのガラス転移温度は75℃である。非晶性PET基材と円偏光発光蛍光材料分散層からなる積層体を以下のように作製した。ここで円偏光発光蛍光材料分散層はポリビニルアルコール(以下、「PVA」という)をマトリクスとして、作製した緑色光の円偏光発光蛍光材料と赤色光の円偏光発光蛍光材料を含む。ちなみにPVAのガラス転移温度は80℃である。
重合度1000以上、ケン化度99%以上のPVA粉末4〜5%濃度、及び上記で作製した緑色光の円偏光発光蛍光材料、赤色光の円偏光発光蛍光材料それぞれ1%濃度を水に溶解した、蛍光材料含有PVA水溶液を準備した。また厚み200μmの非晶性PET基材を準備した。次に、上記した厚み200μmの非晶性PET基材に蛍光材料含有PVA水溶液を塗布し、50〜60℃の温度で乾燥し、非晶性PET基材上に厚み25μmの蛍光材料含有PVA層を製膜した。この非晶性PETと蛍光材料含有PVAの積層体を円偏光蛍光シートRGと呼ぶ。
【0136】
<液晶表示装置の製造>
市販の液晶表示装置(パナソニック社製、商品名TH−L42D2)を分解し、バックライト側偏光板を上記にて製造した偏光分離部材と偏光板1の積層体に変更し、偏光分離部材とバックライトユニットの間に上記にて製造した円偏光蛍光シートRGを配置し、バックライトユニットを以下のB狭帯域バックライトユニットに変更し、実施例1の液晶表示装置を製造した。
用いたB狭帯域バックライトユニットは、光源として青色発光ダイオード(日亜B−LED:Royal Blue、主波長445nm、半値幅20nm、以下B光源とも言う)を備える。また、光源の後部に光源から発光されて前記偏光分離部材で反射された右円偏光の青色光を、無偏光の青色光に変換して反射をする反射部材を備える。
【0137】
[実施例2]
<液晶表示装置の製造>
市販の液晶表示装置(パナソニック社製、商品名TH−L42D2)を分解し、バックライト側偏光板を剥がし、液晶セルを露出させた。実施例1で形成した広帯域λ/4板を、液晶セルの上に屈折率1.47のアクリル系接着剤を用いて貼り合わせた。
その後、広帯域λ/4板の上に、実施例1で形成した膜厚2.5μmのコレステリック(B)のみを支持体から剥がして転写し、偏光分離部材を形成した。
偏光分離部材とバックライトユニットの間に実施例1で製造した円偏光蛍光シートRGを配置し、バックライトユニットを実施例1と同様のB狭帯域バックライトユニットに変更し、実施例2の液晶表示装置を製造した。
【0138】
[比較例1]
実施例1の液晶表示装置の製造において、偏光分離部材と偏光板1の積層体の代わりに、実施例1で製造した偏光板1を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の液晶表示装置を製造した。
【0139】
[比較例2]
実施例1の液晶表示装置の製造において、偏光分離部材と偏光板1の積層体の代わりに、厚み25μmの誘電体多層膜(商品名DBEF、スリーエム・カンパニー社製、下記表1には従来DBEFと記載)を偏光板1に接着剤層を設けて貼り合わせた積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の液晶表示装置を製造した。
誘電体多層膜(商品名DBEF)は、紫外〜青〜緑〜赤領域の300〜450〜550〜630nmまでほぼ一定で波長に対しフラットなピークの反射率であった。
【0140】
[評価]
各実施例および比較例の液晶表示装置を以下の基準にしたがって評価した。
【0141】
(正面輝度)
液晶表示装置の正面輝度(白色輝度)を、特開2009−93166号公報に記載の方法で測定した。その結果を下記表1に記載した。
なお、液晶表示装置の正面輝度は実用上、200cd/m
2以上であることが必要であり、210cd/m
2以上であることが好ましく、220cd/m
2以上であることがより好ましい。
【0142】
(色再現域)
液晶表示装置の色再現域(NTSC比)を、特開2012−3073号公報に記載の方法で測定した。その結果を下記表1に記載した。
なお、液晶表示装置の色再現域(NTSC比)は80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%以上であることが特に好ましい。
【0143】
(外光反射率)
液晶表示装置の外光反射率を、特開2009−186605号公報に記載の方法に従い、測色計(ミノルタ社製、CM−2022)で測定した。その結果を下記表1に記載した。
なお、液晶表示装置の外光反射率は10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
【0144】
(正面コントラスト(CR))
液晶表示装置の正面コントラストを、特開2009−93166号公報に記載の方法で測定した。
その結果を下記表1に記載した。
なお、液晶表示装置の正面コントラストは300以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1100以上であることが特に好ましい。
【0145】
【表1】
【0146】
上記表1より、本発明の液晶表示装置は、正面輝度が改善されたことがわかった。
一方、比較例1および2より、本発明の構成を満たす偏光分離部材を用いない場合は、正面輝度が低いことがわかった。具体的には、比較例1より、偏光分離部材を全く用いない場合は、正面輝度が著しく低いことがわかった。比較例2より、本発明の構成を満たす偏光分離部材の代わりに、誘電体多層膜(DBEF)を1種のみ用いた場合は、正面輝度が低いことがわかった。
なお、上記表1より、本発明の液晶表示装置の好ましい態様では、色再現域、外光反射率、正面コントラストも良好となることもわかった。