【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の研磨方法の第一の態様は、研磨テーブル上の研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度を制御しながら研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、研磨パッドの制御目標温度である
第1設定温度を設定した後に研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視し
ながら基板を研磨パッドに押圧して基板上の膜の研磨を行うメイン研磨ステップを行い、前記基板の膜厚が所定の膜厚に達したことを膜厚測定器が検知した時に前記メイン研磨ステップを終了し、前記研磨パッドの設定温度を前記第1設定温度とは異なる第2設定温度に変更して仕上げ研磨ステップへ移行し、該仕上げ研磨ステップにおいて研磨パッドの温度を監視しながら基板を研磨パッドに押圧して基板上の膜の研磨を継続し、前記メイン研磨ステップにおいて研磨パッドの温度が
前記第1設定温度の範囲に到達した後、前記
第1設定温度の範囲外となる時間が連続して所定時間を超えた場合
、または、前記仕上げ研磨ステップにおいて研磨パッドの温度が前記第2設定温度の範囲に到達した後、前記第2設定温度の範囲外となる時間が連続して所定時間を超えた場合に、研磨異常と判断することを特徴とする。
本発明によれば、研磨パッドの制御目標温度である設定温度を設定した後に研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度制御を開始し、研磨パッドの温度を監視する。そして、研磨パッドの温度が設定温度の範囲に到達した後、前記設定温度の範囲外となる時間が連続して所定時間を超えた場合には、研磨パッドの温度制御が正常に行われていない研磨異常と判断する。
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、前記
第1設定温度の範囲外とは、
第1設定温度の上限値または下限値の範囲外であ
り、前記第2設定温度の範囲外とは、第2設定温度の上限値または下限値の範囲外であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨異常と判断した時に、インターロックをかけ、次の基板の研磨を行わないことを特徴とする。
【0010】
本発明の研磨方法の第二の態様は、研磨テーブル上の研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度を制御しながら研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、
研磨パッドの制御目標温度である第1設定温度を設定した後に研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視しながら基板を研磨パッドに押圧して基板上の膜の研磨を行うメイン研磨ステップを行い、前記基板の膜厚が所定の膜厚に達したことを膜厚測定器が検知した時に前記メイン研磨ステップを終了し、前記研磨パッドの設定温度を前記第1設定温度とは異なる第2設定温度に変更して仕上げ研磨ステップへ移行し、該仕上げ研磨ステップにおいて研磨パッドの温度を監視しながら基板を研磨パッドに押圧して基板上の膜の研磨を継続し、研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視し、温度制御の開始時刻から所定時間経過後に研磨パッドの温度が
前記第1設定温度または前記第2設定温度の目標温度に達しない場合に研磨異常と判断することを特徴とする。
本発明によれば、研磨パッドの制御目標温度を設定した後に研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視する。そして、温度制御の開始時刻から所定時間経過後に研磨パッドの温度が目標温度に達しない場合には、研磨パッドの温度制御が正常に行われていない研磨異常と判断する。
【0011】
本発明の好ましい態様によれば、前記温度制御は、予め設定された温度を中心とした上限値及び下限値の範囲内になるようにPID制御し、前記PID制御された流量の圧縮空気を前記研磨パッドに吹き付けることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨パッドの温度を、予め設定された温度を中心とした上限値及び下限値の範囲内になるように制御し、前記研磨パッドの温度の監視は、前記温度制御を開始してから前記下限値に到達する時間として予め設定した時間の経過時に、前記研磨パッドの温度と前記下限値とを比較し、前記下限値に到達していない場合に研磨異常と判断することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨パッドの温度を、予め設定された温度を中心とした上限値及び下限値の範囲内になるように制御し、前記研磨パッドの温度の監視は、前記温度制御を開始してから前記下限値に到達するまでの所要時間を計時し、この所要時間と前記温度制御を開始してから前記下限値に到達する時間として予め設定した時間とを比較し、所要時間の方が予め設定した時間より長い場合に研磨異常と判断することを特徴とする。
【0012】
本発明の研磨方法の第三の態様は、研磨テーブル上の研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度を制御しながら研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、研磨パッドの制御目標温度である
第1設定温度を設定した後に研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視し
ながら基板を研磨パッドに押圧して基板上の膜の研磨を行うメイン研磨ステップを行い、前記基板の膜厚が所定の膜厚に達したことを膜厚測定器が検知した時に前記メイン研磨ステップを終了し、前記研磨パッドの設定温度を前記第1設定温度とは異なる第2設定温度に変更して仕上げ研磨ステップへ移行し、該仕上げ研磨ステップにおいて研磨パッドの温度を監視しながら基板を研磨パッドに押圧して基板上の膜の研磨を継続し、前記第1設定温度を
前記第2設定温度に変更してから所定時間経過後に研磨パッドの温度が
前記第2設定温度に達しない場合に研磨異常と判断することを特徴とする。
本発明によれば、研磨パッドの制御目標温度を設定した後に研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視する。その後、前記研磨パッドの設定温度を研磨中に変更し、設定温度を変更してから所定時間経過後に研磨パッドの温度が変更後の設定温度に達しない場合には、研磨パッドの温度制御が正常に行われていない研磨異常と判断する。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨パッドの温度を、予め設定された温度を中心とした上限値及び下限値の範囲内になるように制御し、前記研磨パッドの温度の監視は、前記温度制御を開始してから前記下限値に到達する時間として予め設定した時間の経過時に、前記研磨パッドの温度と前記下限値とを比較し、前記下限値に到達していない場合に研磨異常と判断することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨パッドの温度を、予め設定された温度を中心とした上限値及び下限値の範囲内になるように制御し、前記研磨パッドの温度の監視は、前記温度制御を開始してから前記下限値に到達するまでの所要時間を計時し、この所要時間と前記温度制御を開始してから前記下限値に到達する時間として予め設定した時間とを比較し、所要時間の方が予め設定した時間より長い場合に研磨異常と判断することを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記研磨異常と判断した時に、インターロックをかけ、次の基板の研磨を行わないことを特徴とする。
【0014】
本発明の実施形態によれば、研磨テーブル上の研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨装置において、研磨パッドに向けて気体を噴射する少なくとも1つの気体噴射ノズルと、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルを保持するとともに前記気体噴射ノズルに気体を供給する気体供給部とを備え、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの直下の点を通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いている。
【0015】
上記実施形態によれば、半導体ウエハ等の基板の研磨中に、気体供給部から気体を少なくとも1つの気体噴射ノズルに供給し、少なくとも1つの気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射することにより、研磨パッドの表面(研磨面)を冷却することができる。したがって、CMPプロセスに応じて研磨パッドの表面を最適な温度に制御することができ、研磨レートの向上を図ることができるとともにディッシングやエロージョンを防止して段差特性の向上を図ることができる。
【0016】
上記実施形態においては、少なくとも1つの気体噴射ノズルの直下の点をそれぞれ通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いている。このように、少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向を前記回転接線方向に対して研磨パッドの回転中心側に傾けることにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、研磨パッド上の基板研磨領域はドーナツ状(円環状)であり、このドーナツ状領域に沿って気体を噴射できるように、回転接線方向よりも研磨パッドの回転中心側にノズルを傾けることで、基板研磨領域を効率良く冷却するためである。
【0017】
本発明の実施形態によれば、研磨テーブル上の研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨装置において、研磨パッドに向けて気体を噴射する少なくとも1つの気体噴射ノズルと、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルを保持するとともに前記気体噴射ノズルに気体を供給する気体供給部とを備え、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記研磨パッドの表面に対して垂直ではなく、前記研磨パッドの回転方向側に傾いている。
【0018】
上記実施形態によれば、半導体ウエハ等の基板の研磨中に、気体供給部から気体を少なくとも1つの気体噴射ノズルに供給し、少なくとも1つの気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射することにより、研磨パッドの表面(研磨面)を冷却することができる。したがって、CMPプロセスに応じて研磨パッドの表面を最適な温度に制御することができ、研磨レートの向上を図ることができるとともにディッシングやエロージョンを防止して段差特性の向上を図ることができる。
【0019】
上記実施形態においては、少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、研磨パッドの表面に対して垂直ではなく、研磨パッドの回転方向側に傾いている。このように、少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向を研磨パッドの回転方向側に傾けることにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、傾けることにより被吹き付け面積を垂直の場合に比べて大きく確保できるためである。また、垂直に吹き付ける場合には跳ね返りによるスラリー飛散も懸念されるが、傾けることでスラリー飛散を抑えることができる。さらに、気体噴射方向を研磨パッドの回転方向側に傾けることにより、気体噴射によるスラリーの流れへの影響を低減することができる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの前記研磨パッドの表面からの高さを調整可能である。
上記実施形態によれば、気体噴射ノズルの研磨パッドの表面からの高さを調整することにより、気体噴射ノズルを最適な高さ位置に配置することができる。したがって、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記気体噴射ノズルの気体噴射方向の前記回転接線方向に対する角度は、15°〜35°に設定されている。
上記実施形態によれば、気体噴射ノズルの気体噴射方向の前記回転接線方向に対する角度を15°〜35°に設定することにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、基板研磨領域において被吹き付け面積の確保が可能となることと、35°以上だとスラリー滴下位置に乱れを生じさせるためである。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記気体噴射ノズルの気体噴射方向と前記研磨パッドの表面とのなす角は、30°〜50°に設定されている。
上記実施形態によれば、気体噴射ノズルの気体噴射方向と研磨パッドの表面とのなす角を、30°〜50°に設定することにより、研磨パッドを高い冷却能力で冷却することができる。この理由は、被吹き付け面積が確保でき、かつ風量も効果的に作用させることができる角度範囲だからである。30°よりも小さいと、被吹き付け面積は大きくなるが、風量が低下して冷却効果が低減する。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御する制御弁と、前記研磨パッドの温度を検出する温度計と、前記研磨パッドの制御目標温度である設定温度と前記温度計により検出された研磨パッドの検出温度とを比較して前記制御弁の弁開度を調整することにより、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御するコントローラとを備えた。
上記実施形態によれば、少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御弁によって制御するとともに研磨パッドの温度を温度計により検出し、研磨パッドの制御目標温度である設定温度と前記温度計により検出された研磨パッドの検出温度とを比較して前記制御弁の弁開度を調整することにより、少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御することができる。したがって、CMPプロセスに応じて研磨パッドの表面を最適な温度に制御することができる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、前記コントローラは、前記研磨パッドの設定温度と前記研磨パッドの検出温度との差に基づきPID制御により前記制御弁の弁開度を調整することにより、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御する。
上記実施形態によれば、コントローラは、複数種のPIDパラメータから所定のルールに基づき所定のPIDパラメータを選択し、パッド温度情報に基づいて選択したPIDパラメータを用いて研磨パッド面上の温度を制御するので、基板の研磨レートを最適且つ一定に保つことができ、これにより研磨時間を短縮することができる。また、この結果、スラリー使用量並びに廃液量の低減を図ることができる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、研磨テーブル上の研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、気体供給部から気体を少なくとも1つの気体噴射ノズルに供給し、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射し、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの直下の点を通り、研磨パッドの回転中心を中心とする同心円を描き、同心円上の前記直下の点における接線方向を研磨パッドの回転接線方向と定義すると、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記回転接線方向に対して前記研磨パッドの回転中心側に傾いている。
【0026】
本発明の実施形態によれば、研磨テーブル上の研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、気体供給部から気体を少なくとも1つの気体噴射ノズルに供給し、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから研磨パッドに向けて気体を噴射し、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの気体噴射方向は、前記研磨パッドの表面に対して垂直ではなく、前記研磨パッドの回転方向側に傾いている。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルの前記研磨パッドの表面からの高さを調整する。
本発明の実施形態によれば、前記気体噴射ノズルの気体噴射方向の前記回転接線方向に対する角度は、15°〜35°に設定されている。
本発明の実施形態によれば、前記気体噴射ノズルの気体噴射方向の前記研磨パッドの表面に対する角度は、30°〜50°に設定されている。
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御弁によって制御するとともに前記研磨パッドの温度を温度計により検出し、前記研磨パッドの制御目標温度である設定温度と前記温度計により検出された研磨パッドの検出温度とを比較して前記制御弁の弁開度を調整することにより、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御する。
本発明の実施形態によれば、前記研磨パッドの設定温度と前記研磨パッドの検出温度との差に基づきPID制御により前記制御弁の弁開度を調整することにより、前記少なくとも1つの気体噴射ノズルから噴射される気体の流量を制御する。
【0028】
本発明の実施形態によれば、研磨テーブル上の研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度を制御しながら研磨パッドに研磨対象の基板を押圧して基板の被研磨面を研磨する研磨方法において、研磨パッドの制御目標温度である設定温度を設定した後に研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視し、温度制御の開始時刻から設定温度に到達するまでの所要時間を計時し、この所要時間と予め設定した時間を比較し、所要時間の方が長い場合に研磨異常と判断する。
上記実施形態によれば、研磨パッドの制御目標温度である設定温度を設定した後に研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度制御を開始し、研磨パッドの温度を監視する。そして、温度制御の開始時刻から設定温度に到達するまでの所要時間を計時し、この所要時間と予め設定した時間を比較し、所要時間の方が長い場合には、研磨パッドの温度制御が正常に行われていない研磨異常と判断する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、前記研磨パッドの設定温度を研磨中に変更し、設定温度を変更してから変更後の設定温度に到達するまでの所要時間を計時し、この所要時間と予め設定した時間を比較し、所要時間の方が長い場合に研磨異常と判断する。
上記実施形態によれば、研磨パッドの制御目標温度である設定温度を設定した後に研磨パッドに向けて気体を噴射して研磨パッドの温度制御を開始して研磨パッドの温度を監視する。そして、研磨パッドの設定温度を研磨中に変更し、設定温度を変更してから変更後の設定温度に到達するまでの所要時間を計時し、この所要時間と予め設定した時間を比較し、所要時間の方が長い場合には、研磨パッドの温度制御が正常に行われていない研磨異常と判断する。