(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような製造装置において、マニホールド及びインジェクタ支持部は例えばステンレススチールやアルミニウムなどの金属で作製され、インジェクタ支持部の先端部に接続される継手及びガス配管もまた金属で作製されている。一方、インジェクタは、反応管内で高温に加熱されるため、融解温度が高く純度が高い材料で作製されることが好ましいという理由から、例えば石英ガラスで作製される。この場合、石英ガラス製のインジェクタと、金属製のガス配管とが継手により接続されることとなる(石英ガラス製パイプ用の継手については例えば特許文献1及び2に開示されている)。
【0006】
ここで
図1を参照しながら、石英ガラス製のインジェクタと金属製のガス配管とを接続する継手の一例を説明する。
図1に示すように、継手部材200は、スリーブ220及びナット240を有している。スリーブ220は、インジェクタJの一端が挿入可能なパイプ状の部材であり、大きな外径を有する大径部220Lと、大径部220Lの外径よりも小さい外径を有する中径部220Mと、中径部220Mの外径よりも小さい外径を有する小径部220Sとを有している。また、小径部220Sの先端部には金属製のガス配管Lが溶接されている。
【0007】
ナット240は、底部240Bを有する筒形状を有する部材であり、その内径は、スリーブ220の大径部220Lの外径よりも大きい。また、ナット240の内周面には、ネジ山220N(
図1(c)参照)が形成され、ナット240の底部240Bにはスリーブ220の中径部220Mが挿入可能な開口が形成されている。
【0008】
インジェクタ支持部140Aの先端部から突出したインジェクタJに、Oリング300、スペーサリング320、及びOリング340を嵌め込んだ後、スリーブ220の中径部220M及び小径部220Sが挿入されるナット240を、インジェクタ支持部140Aの先端部に形成されたネジ山にねじ込んでいくと、スリーブ220の大径部220LがインジェクタJの先端部に向かって移動し、インジェクタJの先端部がスリーブ220内に挿入される。ナット240を更にねじ込むと、スリーブ220の大径部220LによりOリング340が押圧され、このOリング340によりスペーサリング320が押圧され、スペーサリング320によりOリング300が押圧される。このため、Oリング340が、スリーブ220の大径部220Lの端面とインジェクタJの外周面とに強く密着し、スリーブ220及びインジェクタJの内部が外部から気密にシールされる。
【0009】
ところで、製造装置の例えばメンテナンスの際には、インジェクタ支持部140Aから継手部材200のナット240を外すことにより、ナット240、スリーブ220、及びガス配管Lが製造装置から取り外される。この際、本発明の発明者らの検討により、以下の問題が起こり得ることが明らかとなった。
図1(b)に示すように、ナット240を緩めていくと、ナット240はインジェクタJの先端部から遠ざかるように移動する。このとき、スリーブ220は、ナット240とともに移動することなく、スリーブ220の大径部220LがOリング340を押し付ける位置(
図1(b)に示す位置)に留まる場合がある。これは、例えばOリング340がインジェクタJの外周面と、スリーブ220の大径部220Lの端面とに張り付いてしまうことから起こり得る。ここで、ナット240を更に緩めていくと、例えばガス配管Lの自重などによって、スリーブ220をインジェクタJに対して傾ける力がスリーブ220に働く場合がある。
図1(c)に示すように、スリーブ220がインジェクタJに対して傾くと、スリーブ220によって、石英ガラス製のインジェクタの先端部が欠けたり割れたりするおそれがある。
【0010】
また、ガス配管Lを外すときだけでなく、例えばメンテナンス後にガス配管Lを取り付ける場合にも、スリーブ220がインジェクタJに対して傾いたり、スリーブが局所的にインジェクタにぶつかったりする場合があるため、インジェクタの先端部が欠けたり、割れたりすることがある。この場合、石英のパーティクルが発生し、ガスの供給と共に、パーティクルが製造装置の反応管内に搬送され、反応管内に収容されるウエハが汚染されることとなる。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑み、インジェクタの先端部に欠けや割れが発生するのを抑制可能
な基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、第1の外径を有する第1外径部と、前記第1の外径よりも小さい第2の外径を有する第2外径部とが中心軸の方向に沿って並ぶ筒形状を有するスリーブ部材;内径が前記第1の外径よりも大きく、内周面に第1のネジ山が形成される有底筒形状を有し、前記第1の外径よりも小さく前記第2の外径より大きい内径を有する開口を底部に有するナット部材;及び前記開口に挿入された前記第2外径部の外周の少なくとも一部を覆う、前記ナット部材の前記底部の外面に接触可能な制限部材であって、前記ナット部材の前記底部の内面に接触可能な前記第1外径部と共に、前記中心軸の方向に前記ナット部材と相対的に前記スリーブ部材が移動するのを制限する当該制限部材;を備え、前記制限部材と前記ナット部材の前記底部の外面との間
及び前記第1外径部と前記ナット部材の前記底部の内面との間に隙間が形成されて
おり、前記第1外径部が前記ナット部材の前記底部の内面に接触可能に形成され、かつ、前記制限部材が前記ナット部材の前記底部の外面に接触可能に形成されている継手部材
と、前記第1のネジ山に対応する第4のネジ山が外周面の先端部に形成される円筒形状を有する雄ねじ部と、前記雄ねじ部が取り付けられる金属製のチャンバと、前記雄ねじ部に挿入され、前記スリーブ部材の材料よりも脆弱な材料で作製されるパイプと、を備える基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態によれば、インジェクタの先端部に欠けや割れが発生するのを抑制可能
な基板処理装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0019】
図2を参照しながら、本発明の実施形態による継手が設けられた基板処理装置を説明する。
図2は、その基板処理装置を示す一部断面図である。図示のとおり、基板処理装置10は、円筒形状を有し、ベース部12上に気密に載置されるマニホールド14と、環状部材14Rを介してマニホールド14により支持され、有天井の円筒形状を有する内管16と、マニホールド14により、マニホールド14に対して気密に支持される外管18と、を備える。
【0020】
マニホールド14の外壁には、円筒形状を有し、マニホールド14の直径方向の延長線上に延びるインジェクタ支持管14Aが取り付けられている。インジェクタ支持管14Aの内部には、石英ガラス製のインジェクタJが、その先端部がインジェクタ支持管14Aの先端部から突出するように挿入されている。インジェクタJは、内管16の内側においてL字状に屈曲して内管16の内周面に沿って上方へ延びている。インジェクタJには、図示しない複数のガス吐出孔が形成されており、ガス吐出孔から所定のガスが、内管16内に収容される半導体ウエハ(図示せず)などの基板に対して供給される。また、インジェクタ支持管14Aの外周面の先端部には、ネジ山14Nが形成されており、これにより、継手部材20がインジェクタ支持管14Aの先端部に取り付けられる。
【0021】
図3(a)を参照すると、継手部材20は、スリーブ22、ナット24、及びサポートナット26を有している。スリーブ22、ナット24、及びサポートナット26は、例えばステンレススチールなどの金属により作製され得る。
スリーブ22は、中心軸CAに沿った貫通孔THを有する円筒形状を有している。この貫通孔THの内径は、インジェクタJ(
図2)の外径よりも僅かに大きい。このため、インジェクタJの先端部がスリーブ22内へ挿入され得る。また、スリーブ22には、大きな外径を有する大径部22L(第1外径部)と、大径部22Lの外径よりも小さい外径を有する中径部22M(第2外径部)と、中径部Mの外径よりも小さい外径を有する小径部22Sとがこの順に設けられている。大径部22Lの先端部には、その外周から内周に向かって傾斜する傾斜端面SSが形成されている。また、スリーブ22の中径部22Mの外周面にはネジ山22Nが形成されている。
【0022】
ナット24は、一端側に底部24Bが設けられた有底の円筒形状を有している。底部24Bには開口24Hが形成されており、この開口24Hの内径は、スリーブ22の中径部22Mの外径よりも僅かに大きい。このため、スリーブ22がナット24に挿入される場合、スリーブ22の大径部22Lがナット24の内部に収容される一方、中径部22M及び小径部22Sがナット24の開口24Hから外へ突出する。しかも、開口24Hの内径が、中径部22Mの外径よりも僅かに大きいため、スリーブ22のナット24に対する遊びを最小限度に抑え得る。
また、ナット24の他端側の内周面には、インジェクタ支持管14Aの先端部に形成されるネジ山14N(
図2)に対応したネジ山24Nが形成されている。これにより、ナット24ひいては継手部材20がインジェクタ支持管14Aの先端部に取り付けられる。すなわち、内周面にねじ山24Nが形成されるナット24が雌ネジに相当し、先端部にネジ山14Nが形成されるインジェクタ支持管14Aが、ナット24に対する雄ネジに相当する。
【0023】
サポートナット26は、円筒状又は環状の形状を有しており、スリーブ22の中径部22Mが挿入されるのを許容する内径を有している。また、サポートナット26の内周面には、スリーブ22の中径部22Mに形成されるネジ山22Nに対応するネジ山26Nが形成されている。スリーブ22の中径部22Mに対してサポートナット26をねじ込むことにより、サポートナット26がスリーブ22に取り付けられる。
【0024】
ナット24の開口24Hに対し、スリーブ22の中径部22M及び小径部22Sをナット24の内側から挿入して、中径部22M及び小径部22Sをナット24から突出させ、小径部22Sにサポートナット26を嵌め込み、サポートナット26を中径部22Mにねじ込むことにより、
図3(b)に示す継手部材20が構成される。
【0025】
ここで、サポートナット26と、ナット24の底部24Bの外面との間には、僅かな隙間が形成されており、ナット24は、サポートナット26に妨げられることなく回転することができる。また、サポートナット26がスリーブ22に取り付けられたとき、ナット24の内部に収容されているスリーブ22の大径部22Lは、僅かな隙間が残されるものの、ナット24の底部24Bの内面に接触することができる。すなわち、大径部22Lがナット24の底部24Bの内面に接し、スリーブ22の中径部22Mに取り付けられたサポートナット26がナット24の底部24Bの外面に接することにより、スリーブ22のナット24に対する移動が制限されている。
【0026】
次に、継手部材20をインジェクタ支持管14Aに取り付けることにより、インジェクタJと所定のパイプPとを接続する手順について説明する。
まず、
図3(b)に示す継手部材20の小径部22Sの先端部に所定のパイプPを溶接する(
図4(a))。このパイプPは、例えば基板処理装置10(
図2)において使用されるプロセスガスの供給源(不図示)に接続されている。また、パイプPには、例えば開閉バルブや流量調整器が設けられ、これにより基板処理装置10に対してプロセスガスを所定の流量で供給することができる。
【0027】
次に、マニホールド14(
図2)の内側からインジェクタJをインジェクタ支持管14Aに挿入する。次いで、
図4(b)に示すように、インジェクタJにおけるインジェクタ支持管14Aの先端部から突出する部分にOリング30と、スペーサリング32と、Oリング34と(
図2)をこの順に取り付ける。ここで、スペーサリング32は環状形状を有し、両先端部には、外周から内周に向かって傾斜する傾斜端面が形成されている。
【0028】
この後、
図4(c)に示すように、インジェクタ支持管14Aの先端部に対してナット24をねじ込んでいくと、スリーブ22の大径部22Lがナット24の底部24Bの内面に押され、スリーブ22もまたインジェクタJに向かって移動していく。
図4(d)に示すようにナット24が締め込まれると、インジェクタJの先端部がスリーブ22内に僅かに挿入されると共に、Oリング34が、スリーブ22の大径部22Lの傾斜端面と、スペーサ32の傾斜端面とによって、インジェクタJの外周面に押し付けられる。このため、Oリング34は、2つの傾斜端面とインジェクタJの外周面との3箇所に密着し、これにより、インジェクタJ及びパイプPの内部の空間と外部の空間とが隔離される。また、Oリング30が、インジェクタ支持管14Aの傾斜端面と、スペーサリング32の傾斜端面と、インジェクタJの外周面とに押し付けられ、これにより、インジェクタJ及びパイプPの内部の空間と外部の空間とが更に確実に隔離される。
【0029】
以上のようにして、インジェクタJ及びパイプPの内部の空間と外部の空間とが隔離れるとともに、インジェクタJの内部の空間とパイプPの内部の空間とが連通し、よってインジェクタJとパイプPとが接続される。
【0030】
次に、本実施形態による継手部材20によりもたらされる効果(利点)について説明する。継手部材20をインジェクタ支持管14Aから外す場合、
図5(a)に示すようにナット24を緩めていくと、ナット24は、インジェクタJの中心軸の方向に沿った方向にインジェクタ支持管14Aから遠ざかっていく。ここで、中径部22Mに取り付けられたサポートナット26がナット24の底部24Bの外面により押されるため、スリーブ22は、ナット24と共に同じ方向に移動する。これにより、スリーブ22の大径部22LがインジェクタJの先端部から離間する(
図5(b))。しかも、スリーブ22の大径部22Lがナット24の底部24Bの内面に近接し、スリーブ22のナット24に対する相対的な移動が制限されるため、
図1に示すスリーブ220とは異なり、インジェクタJの中心軸に対してスリーブ22が傾くことはない。したがって、スリーブ22の大径部22LがインジェクタJの先端部に局所的に接したり、ぶつかったりすることはなく、インジェクタJの先端部がスリーブ22により欠けたり割れたりすることが抑制される。このようにして、スリーブ22が傾くことなく、ナット24(継手部材20)がインジェクタ支持管14Aから取り外される(
図5(c))。
【0031】
なお、
図1のスリーブ220にフレキシブルチューブが接続されている場合には、フレキシブルチューブが柔軟なため、ナット260を緩めてもスリーブ220に大きな力が加わることはなく、したがってスリーブ220が傾くことはないとも考えられる。しかし、例えば、フレキシブルチューブ内に反応ガスが凝縮するのを防止する目的で、フレキシブルチューブにテープヒータなどを巻き付ける場合には、フレキシブルチューブが柔軟に曲がらなくなるばかりでなく、テープヒータによってフレキシブルチューブに力がかかり、スリーブ220にも力がかかる場合がある。したがって、スリーブ220の大径部220LがインジェクタJの先端部に局所的に接したり、ぶつかったりすることにより、インジェクタJが欠けたり、割れたりすることになり得る。しかしながら、この場合であっても、本実施形態による継手部材20によれば、スリーブ22が傾くのが抑制されるため、インジェクタJの先端部が欠けたり、割れたりするのを避けることが可能となる。
【0032】
また、継手部材20をインジェクタ支持管14Aに取り付ける際、インジェクタ支持管14Aの先端部にナット24をねじ込んでいくと、ナット24の底部24Bの内面が、大径部22Lに接してスリーブ22を押すため、スリーブ22は、インジェクタJの先端部に近づいていく。このとき、スリーブ22の中径部22Mに取り付けられたサポートナット26により、スリーブ22がインジェクタJに近づくのが制限されている。仮にサポートナット26が無いとすれば、パイプPに働く力によっては、スリーブ22がナット24から飛び出してインジェクタJの先端部にぶつかる場合がある。この場合、インジェクタJの先端部が欠けたり、割れたりしかねない。しかし、本実施形態の継手部材20によれば、そのような破損(欠けや割れ)の発生を抑えることができる。
【0033】
(変形例)
次に、本発明の実施形態による継手部材20の変形例について説明する。この変形例における継手部材21は、上述の継手部材20のサポートナット26と異なるサポートナット27を有している点で、継手部材20と異なり、他の構成はほぼ同一である。
【0034】
図6(a)を参照すると、継手部材21は、ナット24と、スリーブ22と、サポートナット27とから構成されている。サポートナット27は、C字状の側面形状を有し、互いに組み合わせられる2つのサポート部材27L及び27Rを有している。サポート部材27L及び27Rには、スリーブ22の小径部22Sに対応する溝部27aと、スリーブ22の中径部22Mに対応する溝部27bとが形成されている。また、サポート部材27Lの2つの平坦な端面にはネジ穴27Mが形成されており、サポート部材27Rには、2つの平坦な端面の各々に対してほぼ垂直に延びてサポート部材27Rを貫通し、ネジ穴27Mに対応する貫通孔27Hが形成されている。
【0035】
溝部27aで小径部22Sを受け、溝部27bで中径部22Mを受けるように、サポート部材27L及び27Rを組み合わせ、貫通孔27Hを通してネジ27S(
図6(b))を挿入し、ネジ穴27Mに対してネジ27Sを締めると、
図6(b)に示すように、サポートナット27がスリーブ22に対して固定される。これにより、サポートナット27は、上述のサポートナット26と同様に、スリーブ22がナット24に対して移動するのを制限することができる。したがって、この変形例による継手部材21によっても、上述の継手部材20と同様の効果(利点)が発揮される。
なお、サポートナット27がナット24の回転(ねじ込み)を妨げないように、スリーブ22のナット24に対する移動が制限される限りにおいて、サポートナット27とナット24との間に僅かな隙間を残してもよいことは、上述の実施形態と同様である。
【0036】
また、継手部材20ではスリーブ22にパイプPを溶接する前に、サポートナット26を予めスリーブ22に嵌め込む必要があったが、変形例の継手部材21によれば、ナット24をインジェクタ支持管14Aに取り付けた後に、スリーブ22に対してサポートナット27を取り付けることができる。したがって、変形例の継手部材21によれば、既存の継手に対して後発的に取付け、インジェクタJの欠けや割れを抑制できるという利点がある。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変形例を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々に変形し、変更することができる。
【0038】
例えば、スリーブ22の中径部22Mの外周面に凹部(穴部)を形成し、この凹部に対応する凸部をサポートナット26の内周面に形成してもよい。これによれば、サポートナットの凸部をスリーブ22の中径部22Mの凹部に嵌め込むことにより、サポートナット26をスリーブ22に取り付けることができる。この場合、サポートナット26は、柔軟性を有する樹脂により作製されると好ましい。なお、上述の凹部は、スリーブの小径部の外周面を一周する閉じた溝部であってよく、これに対応する凸部が、サポートナットの内周面を一周する閉じた突起部であってもよい。また、変形例のサポートナット26の内面に凸部を形成し、これを中径部22Mの凹部に嵌め込むことにより、サポートナット26をスリーブ22に取り付けてもよい。
【0039】
また、サポートナット26をスリーブ22の小径部22Sに取り付ける代わりに、スリーブ22に溶接されるパイプにサポートナット26を取り付けてもよい。この場合、サポートナット26は、スリーブ22の中径部22Mの外径よりも大きい内径を有する第1の円筒部と、パイプに設けられたネジ山に対応するネジ山が内周面に形成される第2の円筒部とを有していることが好ましい。この場合、第1の円筒部は、中径部22Mに対して隙間を残しつつ、中径部22Mを覆うこととなる。
【0040】
また、変形例におけるサポートナット27のサポート部材27L及び27Rは、C字状の側面形状を有していたが、その形状に限定されるものではない。スリーブ22に対して確実に取り付けられる限りにおいて、サポート部材27L及び27R例えば板状であってもよい。また、取付けを容易にするため、サポート部材27L及び27Rの各々の一端に蝶番などを取付け、他端を開閉可能としてもよい。さらに、ネジ穴27Mと貫通孔27Hとを利用して、ネジ27Sでサポート部材27L及び27Rを組み合わせたが、例えばサポート部材27L及び27Rの外周面に粘着テープなどを貼り付けることにより、サポート部材27L及び27Rを組み合わせてもよい。
【0041】
また、サポートナット26が、ネジ山や、凸部及び凹部との組み合わせなどによりスリーブの中径部22Mに取り付けられる場合には、サポートナット26はスリーブ22に対して着脱可能である。ただし、これに限定されることなく、スリーブ22の中径部22Mに対してサポートナットを溶接してもよい。ただし、Oリング34(
図4)が、スリーブ22の大径部22Lの傾斜端面に張り付いてしまった場合に、スリーブ22の大径部22Lをナット24から突出させることができれば、Oリング34を傾斜端面から容易に外すことができる。この観点からは、サポートナット26はスリーブ22に対して着脱可能であることが好ましい。
【0042】
また、上述の実施形態においては、スリーブ22には、大径部22L、中径部22M、及び小径部22Sが形成されているが、スリーブ22は大径部22L及び中径部22Mだけを有していてもよい。また、大径部22Lと中径部22Mとの間に、外径が中径部22Mの外径よりも小さくなるような溝が設けられていてもよい。
【0043】
また、上述のサポートナット26及び27は円筒状の形状(環状の形状を含む)を有しているが、これに限定されることはない。例えば、サポートナット26を側面から見た場合に(
図3(a)に示す中心軸CAに沿って見た場合に)、サポートナット26は、多角筒形状を有して良い。さらに、側面視多角筒形状の場合、その外面は、ほぼ十字状又は歯車状の凹凸を有しても良い。また、スリーブ22の中径部22Mの外周面に、その法線方向に延びる1又は複数のネジ穴を形成し、このネジ山に対応するボルトをサポートナット26及び27の代わりに用いても良い。
【0044】
また、上述の実施形態においては、石英ガラス製のインジェクタJとステンレススチール製のパイプとを継手部材20により接続する場合を説明した。しかし、石英製ガラスに限らず、脆弱な材料で作製されるパイプと、異なる材料で作製されるパイプとを接続する場合にも、本発明の実施形態による継手部材20を用いることができる。
【0045】
また、上述の実施形態においては、縦型の基板処理装置を例にとり、内管16及び外管18を支持するマニホールドの外壁に取り付けられたインジェクタ支持管14Aを通してインジェクタJを内管16内に導入する場合を説明した。しかし、例えば枚葉式又はセミバッチ式の金属製のチャンバの側壁を通して石英製のインジェクタを導入する場合にも、本発明の実施形態による継手が好適に使用され得る。
【0046】
さらに、インジェクタから反応管(又はチャンバ)内にガスを供給し、反応管(又はチャンバ)内に収容される基板を処理する基板処理装置だけでなく、液体が供給される基板処理装置に対しても、本発明の実施形態による継手は好適に使用され得る。
【0047】
上述の実施形態においてはスペーサリング32が用いられたが、他の実施形態においてはスペーサリング32を使用しなくてもよい。この場合、インジェクタ支持管14Aの傾斜端面と、スリーブ22の大径部22Lの傾斜端面とにより、Oリング30(又は34)が挟まれる。
【0048】
ナット24の内部においてスリーブ22の大径部22Lとナット24の底部24Bの内面との間に、リング状のスペーサ部材を配置してもよい。この場合、大径部22Lは、ナット24の底部24Bの内面にスペーサ部材を介して間接的に接することとなる。これにより、スリーブ22のナット24に対する移動が制限される。また、スペーサ部材の代わりに、ベアリングを含むリテーナをスリーブの大径部22Lとナットの底部24Bの内面との間に設けてもよい。