(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前後方向と、前記前後方向と直交する幅方向とを有し、着用者の排泄口に対向して配置される排泄口当接域の中心を含む中央領域と、前記中央領域よりも後方に位置し、かつ前記着用者の臀部に対向して配置される後部領域と、を備える吸収性物品であって、
液透過性の表面シートと、
液不透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体と、
前記表面シート及び前記吸収体が前記吸収性物品の厚み方向に圧縮された圧搾溝とを備え、
前記圧搾溝は、前記排泄口当接域の中心と前記吸収体の前記幅方向の外側端部との間において、前記中央領域と前記後部領域とに跨がって配置され、前記前後方向に沿って延びる1対の内側圧搾溝と、前記1対の内側圧搾溝よりも前記幅方向の外側に配置され、かつ、前記前後方向に延びる1対の外側圧搾溝とを有し、
前記後部領域の前記外側圧搾溝には、前記幅方向の外側に向かう凸形状を有する突出部が形成されており、
前記外側圧搾溝の前記突出部と前記内側圧搾溝との間の前記幅方向の間隔は、前記中央領域における前記外側圧搾溝と前記内側圧搾溝との間の前記幅方向の間隔よりも大きく、
前記後部領域の前記外側圧搾溝は、前記前後方向において前記突出部の前側に括れ部を有しており、
前記括れ部は、前記前後方向において前記括れ部の前後の外側圧搾溝よりも、前記幅方向の内側に括れる形状を有することを特徴とする吸収性物品。
前記圧搾溝は、前記1対の内側圧搾溝に連続するように配置されており、前記幅方向において前記吸収体を横断し、かつ、前記後部領域に形成された横断圧搾溝を有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の実施形態に係る吸収性物品について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0011】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
[実施形態の概要]
実施形態に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向と直交する幅方向とを有し、着用者の排泄口に対向して配置される排泄口当接域の中心を含む中央領域と、前記中央領域よりも後方に位置し、かつ前記着用者の臀部に対向して配置される後部領域と、を備える。吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体と、前記表面シート及び前記吸収体が前記吸収性物品の厚み方向に圧縮された圧搾溝とを備える。前記圧搾溝は、前記排泄口当接域の中心と前記吸収体の前記幅方向の外側端部との間において、前記中央領域と前記後部領域とに跨がって配置され、前記前後方向に沿って延びる1対の内側圧搾溝と、前記1対の内側圧搾溝よりも前記幅方向の外側に配置され、かつ、前記前後方向に延びる1対の外側圧搾溝とを有する。前記後部領域の前記外側圧搾溝には、前記幅方向の外側に向かう凸形状を有する突出部が形成されている。前記外側圧搾溝の前記突出部と前記内側圧搾溝との間の前記幅方向の間隔は、前記中央領域における前記外側圧搾溝と前記内側圧搾溝との間の前記幅方向の間隔よりも大きい。
【0013】
実施形態では、後部領域の外側圧搾溝には、幅方向の外側に向かう凸形状を有する突出部が形成されている。外側圧搾溝の突出部と内側圧搾溝との間の幅方向の間隔は、中央領域における外側圧搾溝と内側圧搾溝との間の幅方向の間隔よりも大きいため、外側圧搾溝を起点として外側圧搾溝に対して幅方向の外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる角度(以下、立ち上がり角度)は、後方ほど緩やかになる。これによって、排泄口よりも後方の臀部において、吸収性物品のフィット感を向上するとともに、体液(経血など)の後方への漏れを抑制することができる。
【0014】
[実施形態の詳細]
(吸収性物品)
以下において、実施形態に係る吸収性物品1について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
図1は、吸収性物品1の平面図であり、
図2は、吸収性物品1の背面図である。
図3は、
図1に示すA−A断面図である。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。
【0015】
第1に、
図1〜
図3に示すように、吸収性物品1は、長手方向L及び幅方向Wを有する。長手方向Lは、着用者の前後方向に沿って延びる方向であり、幅方向Wは、長手方向Lと直交する方向である。
【0016】
吸収性物品1は、液体を透過する液透過性の表面シート10と、液を透過しない液不透過性の裏面シート20と、表面シート10と裏面シート20との間に配置される吸収体30とを有する。
図1及び
図2では、吸収体30は、破線で示されていることに留意すべきである。
【0017】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30の表面を覆っており、着用者の肌に当接する側(肌当接面側)に設けられる。
【0018】
表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0019】
裏面シート20は、体液等の液体を透過しない液透過性のシートである。裏面シート20は、少なくとも吸収体30の裏面を覆っており、着用者の下着に当接する側(非肌当接面側)に設けられる。裏面シート20は、例えば、表面シート10の長さと略同一の長さを有する。
【0020】
裏面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。裏面シート20は、不透液性且つ透湿性であることが望ましく、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練したものを延伸処理した微多孔性シートによって構成することができる。
【0021】
吸収体30は、長手方向L(前後方向)に沿って延びる形状を有しており、表面シート10及び裏面シート20よりも略一回り程度小さいサイズを有する。幅方向Wにおける吸収体30の幅は、成人女性の股間隔に対応しており、概ね50〜80mmである。吸収体30は、ホットメルトなどの接着剤によって裏面シート20に接着される。また、吸収体30と表面シート10とは、ホットメルトなどの接着剤によって接着されている。
【0022】
吸収体30は、経血などの体液を吸収可能な材料によって形成される。吸収体30は、例えば、親水性繊維、パルプを含む。吸収体30は、親水性繊維又は親水性粉体をエアレイド法によって積層して形成されてもよく、親水性繊維又は親水性粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートであってもよく、ティッシュ(例えば、目付15g/m
2)上に高吸収ポリマーを混入した粉砕パルプを配置し、ティッシュで包むことによって形成されていてもよい。
【0023】
実施形態に係る吸収体30は、綿状パルプや合成パルプ等を坪量100〜300g/m
2程度に積層したパルプを保護紙(図示せず)で包むことによって構成されている。なお、吸収体30は、全体としてほぼ均一な厚みを有していてもよく、非均一な厚みを有していてもよい。保護紙は、パルプの形状を保持するためのものであり、保護紙としては、例えば、クレープ紙やティッシュペーパーなどを用いることができる。
【0024】
実施形態において、吸収体30は、着用者の排泄口に対向して配置される排泄口当接域の中心を含む中央領域RXと重複するように設けられる。排泄口当接域の中心は、中心Cとして表されている。は、排泄口当接域の中心と一致することに留意すべきである。
【0025】
例えば、ウイング部(後述するウイング部40)を有する吸収性物品については、長手方向Lにおける中心Cの位置は、長手方向Lにおけるウイング部の中心と一致する。一方で、ウイング部を有していない吸収性物品については、長手方向Lにおける中心Cの位置は、幅方向において吸収体の幅が最も狭い位置と一致する。
【0026】
例えば、ウイング部(後述するウイング部40)を有する吸収性物品については、長手方向Lにおける中央領域RXの範囲は、長手方向Lにおけるウイング部の範囲(すなわち、後述する領域RAと同様の範囲)である。一方で、ウイング部を有していない吸収性物品については、長手方向Lにおける中央領域RXの範囲は、幅方向の内側に吸収体が括れている範囲である。
【0027】
第2に、
図1に示すように、吸収性物品1は、ウイング部40と、フラップ部50と、括れ部60とを有する。なお、
図1において、長手方向Lにおいて、ウイング部40が設けられる領域が領域RAとして表されており、フラップ部50が設けられる領域が領域RBとして表されており、括れ部60が設けられる領域が領域RCとして表されている。
【0028】
実施形態において、排泄口当接域の中心を含む領域を中央領域RXと称する。中央領域RXは、上述したように、領域RAと同様である。また、中央領域RXよりも後方に位置し、かつ、着用者の臀部に対向して配置される領域を後部領域RYと称する。後部領域RYは、中央領域RXよりも後方の領域であればよい。ここでは、後部領域RYは、領域RB及び領域RCをを含む。
【0029】
ウイング部40は、吸収体30に対して幅方向Wの外側に配置される。ウイング部40は、非肌当接面側に折り返されて、下着を巻き込んで吸収性物品1を下着に固定するように構成されている。ウイング部40は、吸収体30(中央領域RX)から幅方向Wの外側に延出している。
【0030】
ウイング部40は、長手方向Lにおいて前側の端部を構成する前側端部40Fと、長手方向Lにおいて後側の端部を構成する後側端部40Rとを有する。また、ウイング部40において最も幅方向Wの外側に位置する部位をウイング最大幅位置40WMと称する。ウイング部40は、前側端部40F及び後側端部40Rは、ウイング最大幅位置40WMよりも幅方向Wの内側に位置する。
【0031】
実施形態において、前側端部40Fは、後側端部40Rよりも幅方向Wの内側に位置する。従って、前側端部40Fを通る折り目を起点として長手方向Lに沿ってウイング部40を下着の非肌当接面側に折り返した状態では、前側端部40Fよりも後側端部40Rの方が下着の非肌当接面側に巻き込まれる幅が長くなる。
【0032】
フラップ部50は、ウイング部40の後方に配置されており、吸収体30に対して幅方向Wの外側に配置される。フラップ部50は、吸収体30よりも幅方向Wの外側に延出した領域である。また、フラップ部50において最も幅方向Wの外側に位置する部位をフラップ最大幅位置50WMと称する。実施形態において、フラップ部50は、後述する括れ部60の後側端部から後方に延びている。
【0033】
フラップ部50の前側端部は、後述する括れ部60の後側端部である。フラップ部50の後側端部は、吸収性物品1の後側端部の近傍において前後の領域よりも内側に括れた部分である。実施形態では、フラップ部50の後側端部は、後述する凹み部80の後側端部70Rと一致する。但し、フラップ部50の後側端部は、吸収性物品1の後側端部と一致していてもよいし、吸収性物品1の後側端部と一致していなくてもよい。
【0034】
実施形態において、フラップ部50は、第1フラップ括れ部51と、第2フラップ括れ部52と、第1フラップ部53と、第2フラップ部54と、第3フラップ部55とを有する。
【0035】
第1フラップ括れ部51は、第1フラップ括れ部51の前後の部位と比べて、幅方向Wの内側に括れている。同様に、第2フラップ括れ部52は、第2フラップ括れ部52の部位と比べて、幅方向Wの内側に括れている。第2フラップ括れ部52は、第1フラップ括れ部51よりも後方に設けられている。
【0036】
第1フラップ部53は、括れ部60の後側端部60Rから第1フラップ括れ部51までの領域である。第1フラップ部53は、後側端部60Rから後方に向かうにつれて、幅方向Wの外側に張り出している。第1フラップ部53において最も幅方向Wの外側に位置する部位を第1最大幅位置53WMと称する。第1最大幅位置53WMは、第1フラップ括れ部51よりも幅方向Wの外側に位置する。第1最大幅位置53WMは、長手方向L(前後方向)において第1フラップ部53の中心よりも後方に位置する。
【0037】
第2フラップ部54は、第1フラップ部53の後側端部(第1フラップ括れ部51)から第2フラップ括れ部52までの領域である。第2フラップ部54は、第1フラップ括れ部51から後方に向かうにつれて幅方向Wの外側に張り出している。第2フラップ部54において最も幅方向Wの外側に位置する部位を第2最大幅位置54WMと称する。第2最大幅位置54WMは、第2フラップ括れ部52よりも幅方向Wの外側に位置する。第2最大幅位置54WMは、長手方向L(前後方向)において第2フラップ部54の中心よりも後方に位置する。
【0038】
第3フラップ部55は、第2フラップ部54の後側端部(第2フラップ括れ部52)からフラップ部50の後側端部までの領域である。第3フラップ部55は、第2フラップ括れ部52から後方に向かうにつれて幅方向Wの外側に張り出している。第3フラップ部55において最も幅方向Wの外側に位置する部位を第3最大幅位置55WMと称する。第3最大幅位置55WMは、第3フラップ部55において最も幅方向Wの外側に位置する。第3最大幅位置55WMは、長手方向L(前後方向)において第3フラップ部55の中心よりも後方に位置する。ここで、第3最大幅位置55WMは、フラップ部50の最大幅位置を構成することに留意すべきである。
【0039】
括れ部60は、ウイング部40とフラップ部50との間に設けられる。括れ部60は、ウイング最大幅位置40WM及びフラップ最大幅位置50WMよりも幅方向Wの内側に向けて括れている。
【0040】
実施形態において、括れ部60は、ウイング部40とフラップ部50との間において、最も幅方向Wの内側に位置する幅狭位置60WNを含む領域である。括れ部60は、幅狭位置60WNの近傍の領域であればよく、例えば、長手方向L(前後方向)において幅狭位置60WNから5mmの領域であってもよい。
【0041】
実施形態において、吸収性物品1が下着に装着された状態において、括れ部60よりも前方のウイング部40が下着の非肌当接面側に折り返され、括れ部60よりも後方のフラップ部50が着用者の身体に対向するように配置される。従って、括れ部60には、ウイング部40を折り返しす折り目の端部が位置しており、このような端部を起点として捻れが生じることに留意すべきである。
【0042】
第3に、
図1及び
図3に示すように、吸収性物品1は、サイドシート71と、中間シート72とを有する。
【0043】
サイドシート71は、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に配置されており、表面シート10の両側に配置される。サイドシート71は、表面シート10と同様に、吸収体30よりも肌当接面側に配置される。
【0044】
具体的には、サイドシート71は、吸収体30の側縁の一部、ウイング部40及びフラップ部50を覆っており、フラップ部50及びウイング部40の肌当接面側に配置される。なお、サイドシート71は、表面シート10の一部と考えてもよい。
【0045】
サイドシート71の材料は、表面シート10と同様の材料の中から選ぶことができる。但し、サイドシート71は、サイドシート71を乗り越えて吸収性物品1の外側へ体液(経血など)が流れることを防止するために、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。
【0046】
実施形態では、サイドシート71は、エアースルー不織布によって構成されている。エアースルー不織布は、不織布に熱風を吹き付け、吹き付けた熱風が貫通することによって嵩が回復されるため、柔らかく肌触りがよい。従って、フラップ部50の質感を向上させることができる。身体に沿ってフラップ部50を配置した際に、フラップ部50の質感を向上させ、装着感をより向上させることができる。
【0047】
中間シート72は、ウイング部40及びフラップ部50において、サイドシート71と裏面シート20との間に設けられる。幅方向Wにおける中間シート72の外側端部は、幅方向Wにおける吸収体30の外側端部よりも幅方向Wの外側に配置されている。具体的には、中間シート72は、ウイング部40の一部と、フラップ部50の一部と、括れ部60とに配置されている。なお、接着剤等を介して中間シート72と吸収体30とを密着させることにより、吸収体30と中間シート72とを一体化して、吸収体30の面積を広く見せるような視覚的効果を発揮できる。
【0048】
実施形態において、中間シート72は、エアースルー不織布によって構成されている。エアースルー不織布は、不織布に熱風を吹き付け、吹き付けた熱風が貫通することによって嵩が回復されるため、柔らかく肌触りがよい。従って、身体に沿ってフラップ部50を配置した際に、装着感をより向上させることができる。
【0049】
上述したように、ウイング部40を下着の非肌当接面側に折り返した状態において、括れ部60で捻れが生じ易い。このような捻れが生じる括れ部60に中間シート72を配置することによって、捻れによってフラップ部50が硬くなることを抑制し、肌に対する刺激を低減することができる。
【0050】
中間シート72を設けることによって、中間シート72が配置されている領域と中間シート72が配置されていない領域との境界で厚み差や剛性差が生じる。従って、フラップ部50は、中間シート72の端部を起点として変形しやすい。
【0051】
また、吸収性物品1は、長手方向Lに沿った折り目や幅方向Wに沿った折り目を起点として折り畳まれた状態でフィルムや不織布によって個別に包装される。このように折り畳まれた吸収性物品1は、折り畳まれた際の折り癖が残り、吸収性物品1を平面状に展開し難くなることがある。
【0052】
しかしながら、例えば、繊維の自由度が比較的高いエアースルー不織布によって中間シート72を構成することによって、折り癖が付きにくく、吸収性物品1を容易に装着することが可能となる。このような観点から、中間シート72は、吸収性物品1が折り畳まれる際に形成される折り目を跨っていることが望ましい。
【0053】
中間シート72は、少なくともサイドシート71と接着剤を介して間欠的に接合される。実施形態において、中間シート72は、スパイラル状に配置されたホットメルト接着剤を介して表面シート10及び裏面シート20に接着される。中間シート72と表面シート10等とを間欠的に接合することによって、表面シート10に対して中間シート72を部分的に相対移動でき、柔らかい質感を維持することができる。
【0054】
なお、吸収性物品1では、表面シート10、サイドシート71、中間シート72及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。
【0055】
裏面シート20において、下着と接触する表面には、複数の領域において接着剤が塗布された接着部が設けられている(
図2参照)。接着部は、吸収体の裏面側に設けられ、下着のクロッチ部に吸収性物品1を固定するための中央接着部75と、ウイング部40の裏面側に設けられ、クロッチ部を巻き込んでウイング部40を固定するためのウイング接着部76と、フラップ部50の裏面側に設けられ、下着の後身頃に対してフラップ部50を開いた状態で固定するためのフラップ接着部77とを有する。
【0056】
使用前の状態では、接着剤は、図示しない剥離シートに接している。剥離シートは、使用前に接着剤が劣化することを抑制する。剥離シートは、吸収性物品1の装着時に着用者によって剥離される。
【0057】
なお、剥離シートを有していない吸収性物品については、吸収性物品を個別に包装する包装シートによって、吸収性物品1の装着前に接着剤が劣化することが抑制されていてもよい。接着剤と包装シートが接する場合には、包装シートの表面には、接着剤の接着力を低下させることなく、接着剤を剥離可能とする処理を施すことが望ましい。
【0058】
また、ウイング接着部76及びフラップ接着部77は、中間シート72が配置された領域に設けられている。中間シート72を設けることによって、裏面シート20を補強することができる。従って、低目付の材料によって裏面シート20を構成した場合であっても、裏面シート20の強度を保ち易くなり、吸収性物品1の着用後に吸収性物品1を下着から剥がす際に、裏面シート20の破れが抑制される。
【0059】
第4に、
図1及び
図3に示すように、吸収性物品1は、凹み部80と、圧搾溝90とを有する。
【0060】
凹み部80は、厚み方向Tにおいて凹む形状を有する。凹み部80は、フラップ部50及び括れ部60に設けられる。
図3に示すように、表面シート10側から裏面シート20側に向けて、サイドシート71、中間シート72及び裏面シート20を厚み方向Tに向けて圧縮することによって、凹み部80が形成される。
【0061】
実施形態では、凹み部80において、表面シート10の一部を構成するサイドシート71側から裏面シート20側に向けて、サイドシート71、中間シート72及び裏面シート20が圧縮されている。表面シート10側から裏面シート20側への圧縮によって凹み部80を形成することによって、凹み部80を形成する際に、表面シート10を構成するフィルムの破れが抑制される。
【0062】
凹み部80は、括れ部60の幅狭位置60WNから後方に向かって延びている。凹み部80の前側端部80Fは、括れ部60の幅狭位置60WNであり、凹み部80の後側端部70Rは、フラップ部50の後側端部である。なお、前側端部80Fは、括れ部60に設けられていればよく、幅狭位置60WNと一致していてもく、幅狭位置60WNと一致していなくてもよい。後側端部70Rは、フラップ部50の後側端部と一致していてもく、フラップ部50の後側端部と一致していなくてもよい。
【0063】
凹み部80は、ウイング部40が下着の非肌当接面側に折り返された状態において、下着の非肌当接面側においてフラップ部50が折り返される起点となる。凹み部80を起点としてフラップ部50が折り返されることによって、凹み部80よりも幅方向Wの外側においてフラップ部50の肌当接面が着用者に対向する。凹み部80は、表面シート10側から裏面シート20側への圧縮によって形成されるため、表面シート10側から裏面シート20側に向けて凹んでいる。従って、凹み部80を起点としてフラップ部50が折り返されやすい。
【0064】
また、凹み部80は、括れ部60から後方に向かうにつれて幅方向Wの内側に向かって延びる。従って、ウイング部40が折り返され、かつ、凹み部80を起点としてフラップ部50が折り返された状態において、非肌当接面側に露出するフラップ部50の面積が少なくなる。
【0065】
凹み部80は、吸収体30を挟んで一対で配置されている。一対の凹み部80の間の距離は、フラップ最大幅位置50WMよりも前方において最も短い。凹み部80は、一対の凹み部80の間の距離が短くなった後に、後方に向かって幅方向Wの外側に向かって延びる。従って、後方の領域においてフラップ部50が広がりやすい。
【0066】
吸収性物品1が個別に包装される場合には、吸収性物品1を折り畳む際に形成される折り目を跨るように、凹み部80を形成することが望ましい。吸収性物品1を折り畳む際に形成される折り目を跨って凹み部80が形成されるため、凹み部80を起点としてフラップ部50が折り畳まれる際に、凹み部80に沿って吸収性物品1の折り癖が延びるように吸収性物品1が変形する。従って、フラップ部50の変形を起点として凹み部80が安定して機能しやすい。
【0067】
実施形態において、フラップ部50には、フラップ凹み部が形成される。フラップ凹み部は、厚み方向Tにおいて凹む形状を有する。表面シート10側から裏面シート20側に向けて、サイドシート71、中間シート72及び裏面シート20を厚み方向Tに向けて圧縮することによって、フラップ凹み部が形成される。
【0068】
フラップ凹み部としては、第1フラップ凹み部81、第2フラップ凹み部82及び第3フラップ凹み部83が設けられる。第1フラップ凹み部81は、凹み部80から分岐して第1フラップ括れ部51に到達する。第2フラップ凹み部82は、凹み部80から分岐して第2フラップ括れ部52に到達する。第3フラップ凹み部83は、凹み部80から分岐して第3最大幅位置55WMの近傍に達する。
【0069】
第1フラップ凹み部81、第2フラップ凹み部82及び第3フラップ凹み部83は、後方に向かうにつれて幅方向Wの内側から幅方向Wの外側に延びる。後方に向かうにつれて幅方向Wの内側から幅方向Wの外側に延びるようにフラップ凹み部を形成することによって、吸収性物品1の装着時に生じる応力にフラップ凹み部が沿うため、フラップ凹み部を起点としてフラップ部50が自然と折り畳まれる。従って、フラップ部50が身体に対しても、下着に対しても無理なく適合しやすい。これによって、フラップ部50に無秩序な皺が生じにくく、違和感のないフラップ部50の変形が促進され、すっきりした装着感が得られる。
【0070】
圧搾溝90は、表面シート10及び吸収体30を厚み方向Tに圧縮された溝である。圧搾溝90は、排泄口当接域の中心Cと吸収体30の幅方向Wの外側端部との間において中央領域RXと後部領域RYとに跨がって配置される。圧搾溝90は、長手方向Lに沿って延びる1対の第1圧搾溝91と、第1圧搾溝91よりも幅方向Wの外側に配置され、長手方向Lに沿って延びる1対の第2圧搾溝92とを有する。
【0071】
第2圧搾溝92は、中央領域RXに対して前方及び後方において端部を有する。ここでは、第2圧搾溝92の前側の端部を前側端部92Fと称し、第2圧搾溝92の後側の端部を後側端部92Rと称する。言い換えると、第2圧搾溝92は、後部領域RYに後側端部92Rを有する。
【0072】
実施形態では、第2圧搾溝92は、突出部92A及び括れ部92Bを有する。突出部92Aは、第2圧搾溝92の後部領域RYに形成されており、幅方向Wの外側に向かう凸形状を有する。突出部92Aは、
図1に示すように、後方にいくにつれて、幅方向Wの外側に向かってから幅方向Wの内側に向けっていてもよい。括れ部92Bは、長手方向L(前後方向)において突出部92Aの前側に設けられる。括れ部92Bは、長手方向L(前後方向)において括れ部92Bの前後の第2圧搾溝92よりも、幅方向Wの内側に括れる形状を有する。
【0073】
実施形態では、第2圧搾溝92の突出部92Aと第1圧搾溝91との間の幅方向Wの間隔W
2は、中央領域RXにおける第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔W
1よりも大きい。
【0074】
これによって、第2圧搾溝92を起点として第2圧搾溝92に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる角度(立ち上がり角度)は、後方ほど緩やかになる。これによって、排泄口よりも後方の臀部において、吸収性物品1のフィット感を向上するとともに、体液(経血など)の後方への漏れを抑制することができる。
【0075】
また、前後の部位よりも幅方向Wの内側に括れている括れ部92Bが突出部92Aの前側に設けられているため、第2圧搾溝92を起点として第2圧搾溝92に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる応力が括れ部92Bで終端する。従って、括れ部の後方において立ち上がり角度がさらに緩やかになる。
【0076】
第2圧搾溝92の括れ部92Bと第1圧搾溝91との間の幅方向Wの間隔は、長手方向L(前後方向)において括れ部92Bの前後の第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔よりも小さいことが好ましい。これによって、第2圧搾溝92を起点として第2圧搾溝92に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる応力が括れ部92Bで終端しやすい。従って、括れ部の後方において立ち上がり角度がさらに緩やかになる。
【0077】
実施形態において、括れ部92Bの前方において、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間の幅方向Wの間隔は、一定であることが好ましい。すなわち、括れ部92Bの前方において、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91は、平行であることが好ましい。これによって、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91とサイドシート71との重複が回避される。サイドシート71は疎水性を有するため、このような重複の回避によって、サイドシート71の疎水性に起因する体液の吸収の阻害が抑制される。
【0078】
なお、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91を幅方向Wの内側に向かうように形成することによって、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91とサイドシート71との重複を回避することが考えられるが、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91の幅方向Wの内側において、吸収体30が体液を吸収する領域が減少してしまう。従って、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91を幅方向Wの内側に向かうように形成することは好ましくない。
【0079】
実施形態では、圧搾溝90は、第3後側圧搾溝93と、第3前側圧搾溝94と、第4後側圧搾溝95と、第4前側圧搾溝96とを有する。
【0080】
第3後側圧搾溝93は、長手方向Lにおいて、第4後側圧搾溝95よりも内側(前側)に設けられる。第3後側圧搾溝93は、ウイング部40の前側端部40Fよりも後方に設けられることが好ましい。さらには、第3後側圧搾溝93は、第2圧搾溝92の後側端部92Rに対して後方に設けられることが好ましい。同様に、第3前側圧搾溝94は、長手方向Lにおいて、第4前側圧搾溝96よりも内側に設けられる。第3前側圧搾溝94は、ウイング部40の前側端部40Fよりも前方に設けられることが好ましい。さらには、第3前側圧搾溝94は、第2圧搾溝92の前側端部92Fに対して前方に設けられることが好ましい。
【0081】
実施形態において、第3後側圧搾溝93は、中央領域RXに対して後方(後部領域RY)において、1対の第1圧搾溝91と連続するように配置されており、吸収体30を横断する横断圧搾溝である。第3後側圧搾溝93は、1対の第1圧搾溝91と連続であってもよく、1対の第1圧搾溝91と非連続であってもよい。
【0082】
また、第3前側圧搾溝94は、中央領域RXに対して前方において、1対の第1圧搾溝91と連続するように配置されており、吸収体30を横断する横断圧搾溝である。第3後側圧搾溝93は、1対の第1圧搾溝91と連続であってもよく、1対の第1圧搾溝91と非連続であってもよい。
【0083】
このように、中央領域RXに対して後方(後部領域RY)において、圧搾溝90が第3後側圧搾溝93を含むため、排泄口に当接する中央領域に排出され、後方に伝播する体液を第3後側圧搾溝93で吸収・保持し、第3後側圧搾溝93よりも後方へ体液が伝播することを抑制できる。よって、吸収性物品の後方での漏れを抑制できる。
【0084】
また、1対の第1圧搾溝91と連続するように配置された第3後側圧搾溝93が第2圧搾溝92の後側端部92Rに対して後方に設けられるため、吸収体30によって吸収された体液(経血など)の拡散を第2圧搾溝92によって抑制できない場合であっても、1対の第1圧搾溝91及び第3後側圧搾溝93によって体液の拡散を抑制することができ、防漏性が向上する。また、1対の第1圧搾溝91及び第3後側圧搾溝93の内側領域を十分に確保しやすく、第3後側圧搾溝93の前方において吸収体30によって吸収された体液(経血など)を吸収する領域が十分に確保しやすい。
【0085】
同様に、中央領域RXに対して前方において、圧搾溝90が第3前側圧搾溝94を含むため、吸収体30によって吸収された体液(経血など)の後方への伝達が第3前側圧搾溝94によって抑制される。
【0086】
また、第3前側圧搾溝94が第2圧搾溝92の前側端部92Fに対して前方に設けられるため、吸収体30によって吸収された体液(経血など)の拡散を第2圧搾溝92によって抑制できない場合であっても、1対の第1圧搾溝91及び第3前側圧搾溝94によって体液の拡散を抑制することができ、防漏性が向上する。また、1対の第1圧搾溝91及び第3前側圧搾溝94の内側領域を十分に確保しやすく、第3前側圧搾溝94の後方において吸収体30によって吸収された体液(経血など)を吸収する領域が十分に確保しやすい。
【0087】
第4後側圧搾溝95は、第3後側圧搾溝93に対して後方(後部領域RY)において、1対の第2圧搾溝92と連続するように配置されており、後方に向けて凸形状のU字形状を有する。但し、第4後側圧搾溝95は、1対の第2圧搾溝92と非連続であることに留意すべきである。ここでは、第4後側圧搾溝95の前側の端部を前側端部95Fと称する。なお、U字形状とは、前方が開放された形状であればよく、U字形状の曲率等については特に限定されるものではない。U字形状とは、角張った形状であってもよい。
【0088】
第4後側圧搾溝95の前側端部95Fは、第2圧搾溝92の後側端部92Rよりも幅方向Wの外側に設けられており、かつ、第2圧搾溝92の後側端部92Rに対して前方に設けられることが好ましい
第4前側圧搾溝96は、第3前側圧搾溝94に対して前方において、1対の第2圧搾溝92と連続するように配置されており、前方に向けて凸形状のU字形状を有する。但し、第4前側圧搾溝96は、1対の第2圧搾溝92と非連続であることに留意すべきである。ここでは、第4前側圧搾溝96の後側の端部を後側端部96Rと称する。なお、U字形状とは、前方が開放された形状であればよく、U字形状の曲率等については特に限定されるものではない。U字形状とは、角張った形状であってもよい。
【0089】
第4前側圧搾溝96の後側端部96Rは、第2圧搾溝92の前側端部92Fよりも幅方向Wの外側に設けられており、かつ、第2圧搾溝92の前側端部92Fに対して後方に設けられていてもよい。
【0090】
このように、第4後側圧搾溝95の前側端部95Fは、第2圧搾溝92の後側端部92Rよりも幅方向Wの外側に設けられており、かつ、第2圧搾溝92の後側端部92Rに対して前方に設けられる。すなわち、幅方向Wにおいて第4後側圧搾溝95及び第2圧搾溝92が重複する部分がある。従って、吸収体30によって吸収された体液(経血など)の幅方向Wへの伝達が抑制される。
【0091】
同様に、第4前側圧搾溝96の後側端部96Rは、第2圧搾溝92の前側端部92Fよりも幅方向Wの外側に設けられており、かつ、第2圧搾溝92の前側端部92Fに対して後方に設けられていれば、幅方向Wにおいて第4前側圧搾溝96及び第2圧搾溝92が重複する部分がある。従って、吸収体30によって吸収された体液(経血など)の幅方向Wへの伝達が抑制される。
【0092】
実施形態では、第3後側圧搾溝93及び第4後側圧搾溝95がウイング部40の前側端部40Fよりも後方に設けられるため、第1圧搾溝91及び第2圧搾溝92の折り目を起点とする応力によって生じる変形が第3後側圧搾溝93及び第4後側圧搾溝95によって終端する。これによって、立ち上がり角度が後方ほど緩やかになる。
【0093】
同様に、第3前側圧搾溝94及び第4前側圧搾溝96がウイング部40の前側端部40Fよりも後方に設けられるため、第1圧搾溝91及び第2圧搾溝92の折り目を起点とする応力によって生じる変形が第3前側圧搾溝94及び第4前側圧搾溝96によって終端する。これによって、立ち上がり角度が前方ほど緩やかになる。
【0094】
(フィット感)
第1に、比較例に係るフィット感について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4は、中央領域RXにおける幅方向Wの断面を示す図である。
図5は、中央領域RXに対して後方の部位(実施形態に係る突出部92Aが設けられる部位)における幅方向Wの断面図である。
【0095】
比較例に係る吸収性物品においては、外側圧搾溝が突出部(実施形態に係る突出部92A)を有しておらず、内側圧搾溝と外側圧搾溝との幅方向Wの間隔は、長手方向Lにおいて不変である。
【0096】
図4及び
図5に示すように、内側圧搾溝を起点として、内側圧搾溝に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる。同様に、外側圧搾溝を起点として、外側圧搾溝に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる。
【0097】
図4に示すように、中央領域RXにおいては、着用者(排泄口)と吸収性物品1との密着性が高い。一方で、
図5に示すように、中央領域RXに対して後方の部位においては、外側圧搾溝を起点とする立ち上がり角度が前方と同様の角度で維持されるため、着用者(臀部)と吸収性物品1との密着性が低い。すなわち、着用者(臀部)と吸収性物品1との間に空間が形成される。
【0098】
第2に、実施形態に係るフィット感について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6は、中央領域RXにおける幅方向Wの断面を示す図である。
図7は、中央領域RXに対して後方の部位(実施形態に係る突出部92Aが設けられる部位)における幅方向Wの断面図である。
【0099】
上述したように、実施形態に係る吸収性物品1においては、第2圧搾溝92が突出部92Aを有しており、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との幅方向Wの間隔は、突出部92Aが設けられる部位において拡がっている。
【0100】
図6及び
図7に示すように、第1圧搾溝91を起点として、第1圧搾溝91に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる。同様に、第2圧搾溝92を起点として、第2圧搾溝92に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる。
【0101】
図6に示すように、中央領域RXにおいては、着用者(排泄口)と吸収性物品1との密着性が高い。また、
図7に示すように、中央領域RXに対して後方の部位においては、第2圧搾溝92を起点とする立ち上がり角度が小さいため、着用者(臀部)と吸収性物品1との密着性が高い。言い換えると、
図5に示す空間が形成されずに、吸収性物品1のフィット感が向上し、体液の後方への漏れも抑制される。
【0102】
詳細には、
図8に示すように、着用者の腿によって中央領域RXが幅方向Wの内側への応力がかかった場合において、中央領域RXに対して幅方向Wの外側に設けられる1対の第2圧搾溝92の間隔が狭まったとしても、後方にいくほど、第2圧搾溝92を起点とする折り目の応力が幅方向Wの外側に逃げる。従って、第2圧搾溝92を起点とする立ち上がり角度が後方ほど緩やかになる。
【0103】
このような作用は、主として、突出部92Aと第1圧搾溝91との間の幅方向Wの間隔W
2が中央領域RXにおける第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔W
1よりも大きいことによって得られる。また、括れ部92Bが突出部92Aの前側に設けられていることも、このような作用に寄与している。
【0104】
(吸収性物品の製造方法)
以下において、実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の一部について説明する。なお、説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。
【0105】
第1ステップにおいて、表面シート10を生成する(表面シート生成工程)。上述したように、表面シート10は、サイドシート71を含んでいてもよい。
【0106】
第2ステップにおいて、表面シート10を構成する各シートを接合する(表面シート接合工程)。例えば、表面シート10を構成する各シートを熱溶着によって接着する。
【0107】
第3ステップにおいて、吸収体30を成型する(吸収体成型工程)。具体的には、成型ドラムによって吸収体30の材料となるパルプを成型して吸収体30を成型する。なお、第1ステップ及び第2ステップが行われる順序は、第3ステップの後であってもよい。
【0108】
第4ステップにおいて、表面シート10及び吸収体30を接合する(接合工程)。
【0109】
第5ステップにおいて、吸収体30及び表面シート10を厚み方向Tに圧縮して、圧搾部を形成する(第1圧搾工程)。
【0110】
第6ステップにおいて、第5ステップで形成された中間生成物に裏面シート20を接合する(裏面シート接合工程)。
【0111】
第7ステップにおいて、サイドシート71、中間シート72及び裏面シート20を厚み方向Tに圧縮して、凹み部80を形成する(第2圧搾工程)。
【0112】
第8ステップにおいて、第7ステップで形成された中間生成物に接着剤を塗布する(接着剤塗布工程)。
【0113】
このようなステップによって、実施形態に係る吸収性物品1を製造することができる。
【0114】
(厚みの測定方法)
吸収性物品1の厚みは、例えば、以下の方法で測定することができる。まず、吸収性物品を液体窒素に含浸させて、吸収性物品1を凍結させる。次いで、剃刀によって凍結させた吸収性物品1を切断した後、切断した吸収性物品1を常温に戻して解凍する。そして、切断面における吸収性物品1の厚みを電子顕微鏡(キーエンス社製 VE7800)によって測定する。
【0115】
(密度及び目付の測定方法)
吸収体30の目付及び密度は、例えば、以下の測定方法によって測定することができる。包装体によって包装された吸収性物品1においては包装体を開封し、折り畳まれた吸収性物品1を展開して、目付及び密度を測定する部分の厚み及び面積を測定する。次いで、目付及び密度を測定する部分を吸収性物品1から切り出し、切り出した部分の重量を測定する。次いで、切り出した部分から表面シート10及び裏面シート20等、吸収体30以外の部分を取り除き、吸収体30の重量を測定する。吸収体30の重量と、目付及び密度を測定する部分の面積とに基づいて目付を算出する。目付及び厚みに基づいて、密度を算出する。
【0116】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。実施形態では、特に触れていないが、中央領域RXの第2圧搾溝92には、幅方向Wの外側に向かう凸形状を有する中央突出部が形成される。このようなケースにおいて、上述した突出部92Aは、中央突出部よりも幅方向Wの外側に向かう凸形状を有する。これによって、第2圧搾溝92を起点とする立ち上がりが適切に抑制される。
【0117】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。実施形態では、特に触れていないが、突出部92Aの溝幅は、第1圧搾溝91の溝幅よりも小さくてもよい。或いは、第2圧搾溝92のの溝幅は、全体として、第1圧搾溝91の溝幅よりも小さくてもよい。これによって、第2圧搾溝92を起点とする立ち上がりがさらに抑制される。
【0118】
[変更例3]
変更例3において、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔は、
図9に示すように、以下のように変化する。中央領域RXと後部領域RYとに跨がる領域RPにおいて、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔は略同じである。言い換えると、領域RPにおいて、第2圧搾溝92及び第1圧搾溝91は略平行である。領域RPの前端は、中央領域RXの前端よりも後方である。領域RPの後端は、後部領域RYの後端よりも前方である。
【0119】
領域RPよりも後方の領域RQにおいて、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔は拡がる。領域RQの前端は、領域RPのの後端と一致する。領域RQの後端は、括れ部92Bが設けられる領域RRの前端と一致する。
【0120】
領域RQよりも後方の領域RRにおいて、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔は狭まる。領域RRは、括れ部92Bが設けられる領域である。
【0121】
領域RRの後方の領域RSにおいて、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔は拡がる。領域RSは、突出部92Aが設けられる領域である。ここで、領域RSにおける第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔(上述した間隔W
2)は、領域RQにおける第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔よりも大きいことに留意すべきである。
【0122】
このように、領域RQにおいて第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔が拡がった上で、領域RQよりも後方の領域RR(括れ部92Bが設けられる領域)において、第2圧搾溝92と第1圧搾溝91との間隔は狭まる。これによって、第2圧搾溝92を起点として第2圧搾溝92に対して幅方向Wの外側に設けられる部位が着用者側に立ち上がる応力がさらに効果的に括れ部92Bで終端する。従って、括れ部の後方において立ち上がり角度がさらに緩やかになる。
【0123】
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0124】
実施形態では、幅方向Wにおける中間シート72の内側端部は、幅方向Wにおける吸収体30の外側端部よりも幅方向Wの内側に配置されており、中間シート72及び吸収体30は、厚み方向Tにおいて重なっている。しかしながら、例えば、幅方向Wにおける中間シート72の内側端部は、幅方向Wにおける吸収体30の外側端部よりも幅方向Wの外側に配置されており、中間シート72及び吸収体30は、厚み方向Tにおいて重なっていなくてもよい。
【0125】
中間シート72及び吸収体30が厚み方向Tにおいて重なっていない場合には、吸収体30と中間シート72との間の領域には、中間シート72や吸収体30が配置されていないため、このような領域の剛性は低い。従って、このような領域は、その周囲の領域に比べて変形しやすい。従って、ウイング部40を下着の非肌当接面側に折り返した際に、中間シート72と吸収体30との間の領域が変形して、捻れによって生じる皺や折り癖がフラップ部50自体に形成されることを抑制できる。
【0126】
また、例えば、凹み部80の後側端部は、必ずしもフラップ部50の後側端部に位置してなくてもよく、フラップ部50の後側端部とずれていてもよい。また、フラップ部50の着用者に対する当接面は、必ずしもエアースルー不織布によって構成されていなくてもよい。また、中間シート72は、必ずしもエアースルー不織布によって構成されていなくてもよく、更には、中間シート72は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0127】
実施形態に係る凹み部80は、線状であるが、例えば、間欠的に配置された複数のドット状の集合体によって構成されていてもよい。また、実施形態に係る凹み部80は、表面シート10を構成するサイドシート71側から裏面シート20側に圧縮されて形成されているが、例えば、裏面シート20側からサイドシート71側に圧縮されて形成されていてもよい。