(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
(チャージポンプ回路の構成例)
集積回路等の電子デバイスに入力される電源電圧等を昇圧して高い電源電圧を生成する回路として、チャージポンプ回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図11は、チャージポンプ回路の構成を示す図であり、特許文献1からチャージポンプ回路部分を抽出したものである。
図11のチャージポンプ回路は、フライングキャパシタCq、出力キャパシタCvg、MOSトランジスタによる複数のスイッチs1〜s4を備えている。複数のスイッチs1〜s4は、電荷をフライングキャパシタCqに蓄積し、この蓄積した電荷を出力キャパシタCvgに転送するようにスイッチング動作する。
【0003】
P型MOSトランジスタによるスイッチs1は、入力電圧VCが印加される入力電圧端子T1とフライングキャパシタCqのノードCHとの間に設けられている。N型MOSトランジスタによるスイッチs2は、グラウンド電圧PGNDが印加されるグラウンド端子T2とフライングキャパシタCqのノードCLとの間に設けられている。P型MOSトランジスタによるスイッチs3は、入力電圧VMが印加される入力電圧端子T3とフライングキャパシタCqのノードCLとの間に設けられている。P型MOSトランジスタによるスイッチs4は、フライングキャパシタCqのノードCHと出力端子T4との間に設けられている。出力キャパシタCvgは、出力端子T4とグラウンド電圧との間に設けられている。出力キャパシタCvgに蓄えられている電荷による出力電圧VGが、出力端子T4から導出される。
【0004】
スイッチs1のゲートには、クロックCKNの反転信号が入力される。このため、スイッチs1は、クロックCKNがハイレベルの期間に、オン状態になる。
スイッチs2のゲートには、クロックCKNが入力される。このため、スイッチs2は、クロックCKNがハイレベルの期間に、オン状態になる。
スイッチs3のゲートおよびスイッチs4のゲートには、クロックCKの反転信号が入力される。このため、スイッチs3およびスイッチs4は、クロックCKがハイレベルの期間に、オン状態になる。
【0005】
(チャージポンプ回路の動作例)
図11のように構成されたチャージポンプ回路は、以下のように動作する。すなわち、まず、クロックCKNがハイレベルの期間において、スイッチs1およびスイッチs2がオン状態になる。スイッチs3およびスイッチs4はオフ状態である。すると、入力電圧端子T1とグラウンド端子T2との間に入力電圧VCが印加され、矢印Y11および矢印Y12の電流経路に沿って、フライングキャパシタCqに電荷が蓄えられる。
【0006】
次に、クロックCKがハイレベルの期間において、スイッチs3およびスイッチs4がオン状態になる。スイッチs1およびスイッチs2はオフ状態である。すると、入力電圧端子T3の入力電圧VMがフライングキャパシタCqのマイナス側電極に印加され、矢印Y21および矢印Y22の電流経路に沿って、フライングキャパシタCqに蓄えられていた電荷が出力キャパシタCvgに転送される。
【0007】
図12は、
図11のチャージポンプ回路の動作例を示す波形図である。
図12は、クロックCKN、および、クロックCKのレベルを示している。本例では、クロックCKとクロックCKNとは位相が180度異なる。
図12において、クロックCKNがハイレベルの期間は、充電期間(Charge)であり、クロックCKがハイレベルの期間は、転送期間(Transfer)である。
上述したように、クロックCKNがハイレベルの期間は、スイッチs1、s2がオンしてフライングキャパシタCqに電荷が蓄えられる充電動作が行われる。この充電される電荷は、
図12の斜線模様部分に対応する。
【0008】
次に、クロックCKがハイレベルの期間は、スイッチs3、s4がオンしてフライングキャパシタCqに蓄積されていた電荷が放電されて出力キャパシタCvgに転送される放電動作が行われる。この放電される電荷は、
図12の格子模様部分に対応する。
上記動作を繰り返すことで、出力端子T4には、入力電圧VC及びVMよりも高い、昇圧された出力電圧VGが出力される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述したチャージポンプ回路の容量素子であるフライングキャパシタCqを集積回路上に実現すると、フライングキャパシタCqの各電極と半導体基板との間に寄生容量が形成される。
図13は、寄生容量も含めたチャージポンプ回路の回路図である。
図13において、寄生容量Cplは、フライングキャパシタCqの低電圧側のノードCLと半導体基板、つまりグラウンドとの間に形成される寄生容量である。寄生容量Cphは、フライングキャパシタCqの高電圧側のノードCHと半導体基板との間に形成される寄生容量である。
【0011】
このような構成において、スイッチs1、s2がオンすると、矢印Y11、Y12およびY22bの電流経路に沿って、寄生容量Cphと入力電圧端子T1に印加される入力電圧VCによって、フライングキャパシタCqに電荷が充電される。また、矢印Y21bの電流経路に沿って、寄生容量Cplからグラウンドへ電荷が放電される。次に、スイッチs3、s4がオンすると、矢印Y21、Y22およびY22aの電流経路に沿って、ノードCLに印加される入力電圧VMによって、フライングキャパシタCqの電荷が出力キャパシタCvgと寄生容量Cphとに転送される。また、入力電圧端子T3の入力電圧VMにより、矢印Y21aの電流経路に沿って、寄生容量Cplに電荷が充電される。
【0012】
図14は、
図13のチャージポンプ回路の動作例を示す波形図である。
図14は、クロックCKN、および、クロックCKのレベルを示している。本例では、クロックCKとクロックCKNとは位相が180度異なる。
図14において、クロックCKNがハイレベルの期間は、充電期間(Charge)であり、クロックCKがハイレベルの期間は、転送期間(Transfer)である。
上述したように、クロックCKNがハイレベルの期間にスイッチs1、s2がオンしてフライングキャパシタCqに電荷が蓄えられる。この電荷は、
図14の斜線模様部分に対応する。また、寄生容量Cplからグラウンドへ電荷が放電される。このグラウンドへ放電される電荷は、
図14のドット模様部分に対応する。
【0013】
次に、クロックCKがハイレベルの期間にスイッチs3、s4がオンしてフライングキャパシタCqに蓄積されていた電荷が出力キャパシタCvgと寄生容量Cphとに転送される。この電荷は、
図14の格子模様部分に対応する。
以上の動作において、スイッチs3、s4がオンしてフライングキャパシタCqから寄生容量Cphに充電された電荷は、スイッチs1、s2がオンしたときに再びフライングキャパシタCqに戻される。しかし、スイッチs3、s4がオンして入力電圧VMから寄生容量Cplに充電された電荷は、スイッチs1、s2がオンしたときにグラウンドへ放電されてしまう。つまり、寄生容量Cplに蓄えられたエネルギーは、スイッチs2のオン抵抗によって熱エネルギとして消費されてしまう。つまり、寄生容量Cplに流れる電流は、昇圧動作とは関係ない無効電流である。
【0014】
(一般的な容量素子のレイアウト例)
ここで、集積回路上に実現するキャパシタとしては、一般に、フリンジキャパシタ、ポリシリコン層を用いたpoly−poly CAPや、金属層(Metal)、絶縁体層(Insulator)、金属層(Metal)の連続構造によって形成されるMIM CAPなどが知られている。
【0015】
図15は、フリンジキャパシタと呼ばれている容量素子のレイアウト例を示す斜視図である。この容量素子は、一方の電極を形成する金属配線と他方の電極を形成する金属配線とを櫛形形状に形成し、各電極の櫛が入れ子になっている。また、この容量素子は、上下二層に形成された電極が、ビアホール(Via hole)によって接続された構成になっている。なお、
図15において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
【0016】
半導体基板100に近い側である一層目(下層)には、ノードCHの電極に対応する金属配線201と、ノードCLの電極に対応する金属配線301とが略平行に設けられている。そして、ノードCHの電極に対応する金属配線201から、金属配線301の方向に向かって金属配線202、203がそれぞれ延びている。金属配線202と金属配線203とは、略平行に設けられている。また、ノードCLの電極に対応する金属配線301から、金属配線201の方向に向かって金属配線302、303がそれぞれ延びている。金属配線302と金属配線303とは、略平行に設けられている。なお、ノードCHの電極に対応する金属配線201と、ノードCLの電極に対応する金属配線301とは電気的に接触していない。
【0017】
半導体基板100から遠い側である二層目(上層)には、ノードCHの電極に対応する金属配線401と、ノードCLの電極に対応する金属配線501とがほぼ平行に設けられている。そして、ノードCHの電極に対応する金属配線401から、金属配線501の方向に向かって金属配線402、403がそれぞれ延びている。金属配線402と金属配線403とは、略平行に設けられている。また、ノードCLの電極に対応する金属配線501から、金属配線401の方向に向かって金属配線502、503がそれぞれ延びている。金属配線502と金属配線503とは、略平行に設けられている。なお、ノードCHの電極に対応する金属配線401と、ノードCLの電極に対応する金属配線501とは電気的に接触していない。
【0018】
上述した一層目の金属配線201と二層目の金属配線401とは、ビアホール31、32、33および34によって電気的に接続されている。同様に、上述した一層目の金属配線301と二層目の金属配線501とは、ビアホール41、42、43および44によって電気的に接続されている。
このように構成された容量素子において、ノードCHの電極に対応する金属配線201〜203および401〜403と、ノードCLの電極に対応する金属配線301〜303および501〜503との間に容量が形成され、この容量をチャージポンプ回路のフライングキャパシタCqとして用いることができる。
【0019】
ところで、
図15のように構成された容量素子において、半導体基板100からの距離が近い、最下層に、ノードCLの電極に対応する金属配線が存在すると、寄生容量Cphと同等の寄生容量Cplが現れる。したがって、このような容量素子をチャージポンプ回路のフライングキャパシタCqとして用いると、ノードCLに接続された電極から半導体基板100に見える寄生容量Cplが大きくなる。寄生容量Cplが大きくなると、チャージポンプ回路の無効電流が増え、つまりエネルギの損失が大きくなる。
【0020】
特に、近年半導体プロセスの微細化に伴い、容量素子の半導体基板に対する寄生容量が増しているため、このような無効電流によるエネルギの損失は無視できない問題である。
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、一方の電極と半導体基板との間の寄生容量が小さな容量素
子を用いたエネルギの損失が小さなチャージポンプ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のある態様による
チャージポンプ回路は、第1のノードと第2のノードとを有する容量素子と、前記第1のノードを基準電圧端子に接続し、前記第2のノードを第1の入力電圧端子に接続して前記容量素子に電荷を充電する充電動作と、前記第1のノードを第2の入力電圧端子に接続し、前記第2のノードを出力電圧端子に接続して前記容量素子に充電された電荷を前記出力電圧端子に放電する放電動作とを実現するための複数のスイッチと、を備え、前記基準電圧端子は前記第1の入力電圧端子及び前記第2の入力電圧端子よりも低電圧であるチャージポンプ回路であって、前記容量素子は、第1の導電層と、前記第1の導電層と同一平面上で、前記第1の導電層の側面の少なくとも一部を囲むように形成された第2の導電層と、前記第2の導電層に接続され、前記第1の導電層と半導体基板との間に平面視で前記第1の導電層を覆うように形成された第3の導電層と、を有し、前記第1の導電層は、前記第1のノードに接続されて第1の電極を形成し、前記第2及び第3の導電層は、前記第2のノードに接続されて第2の電極を形成していることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、一方の電極の下部を他方の電極が覆うように導電層を形成し、かつ、一方の電極の側面の少なくとも一部を囲むように導電層を形成して容量素子を構成し、一方の電極と半導体基板との間の寄生容量を小さくすることができる。
また、前記第1のノードを基準電圧端子に接続し、前記第2のノードを第1の入力電圧端子に接続して前記容量素子に電荷を充電する充電動作と、前記第1のノードを第2の入力電圧端子に接続し、前記第2のノードを出力電圧端子に接続して前記容量素子に充電された電荷を前記出力電圧端子に放電する放電動作とを実現するための複数のスイッチと、を備えたチャージポンプ回路を構成すれば、寄生容量の小さな電極を低電圧側のノードとし、無効電流を抑え、エネルギの損失を小さくすることができる。
前記第1及び第2の導電層は、櫛形状であり、前記第1及び第2の導電層の櫛が互いに入れ子になるように形成されていてもよい。この構成によれば、一方の電極の側面の少なくとも一部を囲むように導電層を形成でき、半導体基板との間の寄生容量を小さくすることができる。
【0023】
前記第1及び第2の導電層は、渦巻形状であり、前記第2の導電層の渦巻よりも内側に前記第1の導電層の渦巻が入れ子になるように形成されていてもよい。この構成によれば、一方の電極の側面の少なくとも一部を囲むように導電層を形成でき、半導体基板との間の寄生容量を小さくすることができる。
前記第2の導電層に接続され、前記第1の導電層の上方に平面視で前記第1の導電層を覆うように形成された第4の導電層を更に備え、前記第2乃至第4の導電層が、前記第2のノードに接続されて前記第2の電極を形成してもよい。この構成によれば、第1の導電層の上部から半導体基板への寄生容量を小さくすることができ、半導体基板との間の寄生容量をより小さくすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、一方の電極の下部を他方の電極が覆うように導電層を形成し、かつ、一方の電極の側面の少なくとも一部を囲むように導電層を形成して容量素子を構成したため、一方の電極と半導体基板との間の寄生容量を小さくすることができる。また、本発明によれば、チャージポンプ回路において、寄生容量の小さな電極を低電圧側のノードとしたため、無効電流を抑え、エネルギの損失を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に参照する各図において、他の図と同等部分は同一符号を付し、同等部分の説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による容量素子の構成を示す斜視図である。なお、
図1において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
【0028】
図1において、第1の実施形態による容量素子は、ノードCLの電極に対応する金属配線600と、半導体基板100との間に、平板状の金属配線200を設けて導電層を形成した構成になっている。さらに、平板状の金属配線200は、ビアホール31〜34を介して、ノードCHの電極に対応する金属配線401に接続されている。金属配線401は、金属配線600と同じ層に形成されている。また、金属配線401には、同じ層に形成された金属配線402が接続されている。この金属配線402は、金属配線401の端部から、金属配線600の側面の一部を囲むように延びた形状になっている。そして、金属配線401と金属配線200とはビアホール31〜34によって電気的に接続され、さらに金属配線401は金属配線402と電気的に接続されている。
【0029】
つまり、第1の実施形態による容量素子では、ノードCLの電極に対応する金属配線600と半導体基板100との間に平板状の金属配線200を設けて導電層を形成している。このとき、金属配線200は、平面視で金属配線600を覆うように形成されている。
さらに、第1の実施形態による容量素子では、ノードCLの電極に対応する金属配線600の側面の一部を、ノードCHの電極に対応する金属配線402が囲む構成になっている。このような構成になっているため、第1の実施形態による容量素子によれば、ノードCLの電極に対応する金属配線600と半導体基板100との間の寄生容量Cplを小さくすることができる。
【0030】
(形成方法)
図1の他に、
図2および
図3を参照して、第1の実施形態による容量素子の形成方法について説明する。
図1〜
図3においては、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
まず、
図2のように、半導体基板100の上方に、平板状の金属配線200を形成する。その後、
図3のように、金属配線200の上方に、ビアホール31〜34を形成する。さらに、その上方に金属配線401および金属配線402を形成するとともに、これら金属配線401および402と同じ層に平板状の金属配線600を形成する。以上により、
図1を参照して説明した容量素子を得ることができる。
【0031】
なお、
図4のように、金属配線401と同じ層に形成された金属配線404を追加してもよい。
図4は、
図3の構成の変形例を示す図である。
図4において、金属配線404は、金属配線401に接続されている。この金属配線404は、金属配線401の端部から、金属配線600の側面の他の一部を囲むように延びた形状になっている。そして、金属配線401と金属配線200とはビアホール31〜34によって電気的に接続され、さらに金属配線401は金属配線402と電気的に接続されている。このような構成になっているため、
図4の容量素子によれば、ノードCLの電極に対応する金属配線600と半導体基板100との間の寄生容量Cplをより小さくすることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態による容量素子の構成を示す斜視図である。なお、
図5において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
図5において、第2の実施形態による容量素子は、ノードCLの電極に対応する金属配線501〜503と、半導体基板100との間に、平板状の金属配線200を設けて導電層を形成した構成になっている。さらに、平板状の金属配線200は、ビアホール31〜34を介して、ノードCHの電極に対応する金属配線401に接続されている。金属配線401は、金属配線501〜503と同じ層に形成されている。また、金属配線401には、同じ層に形成された金属配線402が接続されている。
【0033】
ノードCHの電極に対応する金属配線401と、ノードCLの電極に対応する金属配線501とは略平行に設けられている。そして、ノードCHの電極に対応する金属配線401から、金属配線501の方向に向かって金属配線402、403がそれぞれ延びている。金属配線402と金属配線403とは、略平行に設けられている。また、ノードCLの電極に対応する金属配線501から、金属配線401の方向に向かって金属配線502、503がそれぞれ延びている。金属配線502と金属配線503とは、略平行に設けられている。なお、ノードCHの電極に対応する金属配線401と、ノードCLの電極に対応する金属配線501とは電気的に接触していない。
【0034】
このように、金属配線401〜403と、金属配線501〜503とは、同じ層に形成され、櫛形状電極の櫛歯部分が互いに入れ子状態になっており、櫛形電極をかみ合わせた構成を有している。
この第2の実施形態による容量素子では、ノードCLの電極に対応する金属配線501〜503と、半導体基板100との間に、平板状の金属配線200を設けて導電層を形成している。このとき、金属配線200は、平面視で金属配線501〜503を覆うように形成されている。
【0035】
さらに、第2の実施形態による容量素子では、ノードCLの電極に対応する金属配線502、503の側面の一部を、ノードCHの電極に対応する金属配線401〜403が囲む構成になっている。このような構成になっているため、第2の実施形態による容量素子は、第1の実施形態の場合よりも、寄生容量Cplを小さくでき、かつ、小面積で各電極間の容量値すなわちフライングキャパシタCqの容量を大きくすることができる。
図5を参照して説明した第2の実施形態による容量素子は、
図2および
図3を参照して説明したように、半導体基板100の上方に平板状の金属配線200を設け、さらに、ビアホール31〜34を設け、さらに金属配線401〜403、および、金属配線501〜503を設けることによって、形成することができる。
【0036】
なお、
図6のように、金属配線401と同じ層に形成された金属配線404を追加してもよい。
図6は、
図5の構成の変形例を示す図である。
図6において、金属配線404は、金属配線401に接続されている。この金属配線404は、金属配線401の端部から、金属配線502の側面の一部を囲むように延びた形状になっている。そして、金属配線401と金属配線200とはビアホール31〜34によって電気的に接続され、さらに金属配線401は金属配線404と電気的に接続されている。このような構成になっているため、
図6の容量素子によれば、ノードCLの電極に対応する金属配線501〜503と半導体基板100との間の寄生容量Cplをより小さくすることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態による容量素子の構成を示す斜視図である。なお、
図7において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
図7において、第3の実施形態による容量素子は、ノードCHの電極に対応する金属配線400と、ノードCLの電極に対応する金属配線500とが平行に並んだ状態で渦巻形状になっている。そして、この渦巻形状において、ノードCHの電極に対応する金属配線400よりも、ノードCLの電極に対応する金属配線500が内側に位置している。この結果、金属配線400と金属配線500とは、金属配線400の渦巻の内側に、金属配線500の渦巻が入れ子になっている位置関係になっている。
【0038】
さらに、第3の実施形態による容量素子では、金属配線400および500と、半導体基板100との間に、平板状の金属配線200を設けて導電層を形成している。このとき、金属配線200は、平面視で金属配線400および500を覆うように形成されている。
さらに、第3の実施形態による容量素子では、金属配線が渦巻形状になっているので、ノードCLの電極に対応する金属配線500の側面の大部分が、ノードCHの電極に対応する金属配線400で囲まれた構成になる。
【0039】
このような構成になっているため、第3の実施形態による容量素子は、第1の実施形態の場合よりも、寄生容量Cplを小さくでき、かつ、小面積で各電極間の容量値すなわちフライングキャパシタCqの容量を大きくすることができる。
図7を参照して説明した第3の実施形態による容量素子は、
図2および
図3を参照して説明したように、半導体基板100の上方に平板状の金属配線200を設け、さらに、ビアホール31〜34を設け、さらに金属配線400、および、金属配線500を設けることによって、形成することができる。
【0040】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態による容量素子の構成を示す斜視図である。なお、
図8において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
この第4の実施形態は、
図4の構成において、ノードCLの電極に対応する金属配線600の上方を覆うように、金属配線700を追加した構成である。金属配線700と金属配線401とはビアホール41〜45によって電気的に接続されている。このような構成になっているため、
図8の容量素子によれば、ノードCLの電極に対応する金属配線600の上部から半導体基板への寄生容量を小さくすることができ、ノードCLの電極に対応する金属配線600と半導体基板100との間の寄生容量Cplをより小さくすることができる。
【0041】
(第5の実施形態)
図9は、本発明の第5の実施形態による容量素子の構成を示す斜視図である。なお、
図9において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
この第5の実施形態は、
図6の構成において、ノードCLの電極に対応する金属配線501〜503の上方を覆うように、金属配線700を追加した構成である。金属配線700と金属配線401とはビアホール41〜45によって電気的に接続されている。このような構成になっているため、
図9の容量素子によれば、ノードCLの電極に対応する金属配線501〜503の上部から半導体基板への寄生容量を小さくすることができ、ノードCLの電極に対応する金属配線501〜503と半導体基板100との間の寄生容量Cplをより小さくすることができる。
【0042】
(第6の実施形態)
図10は、本発明の第6の実施形態による容量素子の構成を示す斜視図である。なお、
図10において、説明の都合上、酸化膜の図示は省略してある。
この第6の実施形態は、
図7の構成において、ノードCHの電極に対応する金属配線400およびノードCLの電極に対応する金属配線500の上方を覆うように、金属配線700を追加した構成である。金属配線700と金属配線400とはビアホール41〜44によって電気的に接続されている。このような構成になっているため、
図10の容量素子によれば、ノードCLの電極に対応する金属配線500の上部から半導体基板への寄生容量を小さくすることができ、ノードCLの電極に対応する金属配線500と半導体基板100との間の寄生容量Cplをより小さくすることができる。
【0043】
上述した第4の実施形態から第6の実施形態までの容量素子は、ノードCHの電極を成す金属配線を最下層の導電層(メタル層)で実現し、その直上の導電層でノードCLの電極を成す金属配線を実現し、さらにその直上の導電層でノードCLの電極を平面視で覆うようにノードCHの電極を成す金属配線を実現した。
しかし、これらの構成に限らず、ノードCHの電極を成す金属配線を最下層の導電層(メタル層)で実現し、その導電層よりも上の異なる階層の導電層でノードCLの電極を成す金属配線を実現し、この金属配線よりも上の導電層でノードCLの電極を平面視で覆うようにノードCHの電極を成す金属配線を実現してもよい。つまり、ノードCLの電極を成す金属配線を異なる複数の階層の導電層で形成して、ノードCLの電極を平面視で覆い且つ挟み込むようにノードCHの電極を実現してもよい。この場合も、第4の実施形態から第6の実施形態までの容量素子と、同様の効果が得られる。
【0044】
(チャージポンプ回路)
上述した第1の実施形態から第6の実施形態までの容量素子は、チャージポンプ回路のフライングキャパシタCqとして用いることができる。具体的には、上述した第1の実施形態から第6の実施形態までの容量素子を、
図11および
図13を参照して説明した、チャージポンプ回路のフライングキャパシタCqとして用いることができる。第1の実施形態から第6の実施形態までの容量素子を用いれば、寄生容量Cplをより小さくすることができる。このため、
図13の矢印Y21bの電流経路に沿って、グラウンドへ放電される電荷が小さくなり、エネルギの損失を小さくすることができる。
【0045】
(まとめ)
以上説明したように、チャージポンプ回路のフライングキャパシタ等に用いられる容量素子において、一方の電極の下部を他方の電極が覆うように導電層を形成し、かつ、一方の電極の側面の少なくとも一部を囲むように導電層を形成して容量素子を構成することにより、一方の電極と半導体基板との間の寄生容量を小さくすることができる。また、このような容量素子を、チャージポンプ回路に用い、寄生容量の小さな電極を低電圧側のノードとすることにより、無効電流を抑え、エネルギの損失を小さくすることができる。