(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記評価関数計算手段は、前記輪郭の重心間の距離が小さい前記無線通信局間ほど前記誤差の二乗の重みが大きくなるように重み付けして前記評価関数を計算することを特徴とする請求項1に記載の無線通信局位置推定装置。
それぞれ異なる敷地内に存在し、該敷地内のいずれの位置に存在するかが未知である複数の無線通信局の位置を推定する無線通信局位置推定装置が行う無線通信局位置推定方法であって、
複数の前記無線通信局間の受信信号強度情報を前記無線通信局から受信する信号強度受信ステップと、
前記受信信号強度情報から前記無線通信局間の距離を推定する距離推定ステップと、
前記敷地の輪郭内に初期の推定位置を設定し、前記距離推定ステップにより推定した距離と、前記推定位置から算出した前記無線通信局間の距離との誤差の二乗和を評価関数として計算する評価関数計算ステップと、
前記評価関数が収束条件を満たすまで、前記輪郭内において前記無線通信局の推定位置を現在の推定位置からランダムな方向に遷移させながら、前記評価関数を計算する収束ステップと、
前記評価関数計算ステップと前記収束ステップとを繰り返すことによって、前記評価関数が前記収束条件を満たした時点の各無線通信局の前記推定位置の組み合わせを予め決められた数だけ収集する評価結果収集ステップと、
収集した前記推定位置の組み合わせを該推定位置の座標値に基づいて予め決められた数のクラスタに分類し、分類した前記クラスタの中から最も多くの前記推定位置の組み合わせが属する前記クラスタを選択し、選択した前記クラスタ内の前記推定位置の平均値、もしくは、選択した前記クラスタ内の前記推定位置のうち前記評価関数の値が最小となる推定位置を最終的な推定位置とするクラスタ分析ステップと、
前記最終的な推定位置を前記無線通信局の位置として出力する位置出力ステップと
を有することを特徴とする無線通信局位置推定方法。
それぞれ異なる敷地内に存在し、該敷地内のいずれの位置に存在するかが未知である複数の無線通信局の位置を推定する無線通信局位置推定装置が行う無線通信局位置推定方法であって、
前記敷地の輪郭内に初期の推定位置を設定し、前記推定位置から算出した前記無線通信局間の距離に基づく伝搬減衰量と、実測の前記無線通信局間の伝搬減衰量との差分の分散を評価関数として計算する評価関数計算ステップと、
前記評価関数が収束条件を満たすまで、前記輪郭内において前記無線通信局の推定位置を現在の推定位置からランダムな方向に遷移させながら、前記評価関数を計算する収束ステップと、
前記評価関数計算ステップと前記収束ステップとを繰り返すことによって、前記評価関数が前記収束条件を満たした時点の各無線通信局の前記推定位置の組み合わせを予め決められた数だけ収集する評価結果収集ステップと、
収集した前記推定位置の組み合わせを該推定位置の座標値に基づいて予め決められた数のクラスタに分類し、分類した前記クラスタの中から最も多くの前記推定位置の組み合わせが属する前記クラスタを選択し、選択した前記クラスタ内の前記推定位置の平均値、もしくは、選択した前記クラスタ内の前記推定位置のうち前記評価関数の値が最小となる推定位置を最終的な推定位置とするクラスタ分析ステップと、
前記最終的な推定位置を前記無線通信局の位置として出力する位置出力ステップと
を有することを特徴とする無線通信局位置推定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1では、端末位置を推定するために基準となるPHS基地局の位置情報が既知であることが前提となっている。すなわち、配置位置が既知である基地局の位置情報からの距離を導出し、複数の既知の位置情報に基づいて算出した距離から位置が未知である端末の位置を推定するものである。
【0005】
しかしながら、一般ユーザの宅内の無線LANアクセスポイントにおいては、位置情報が管理されておらず、基準となる位置情報が存在しないため、三点測位によって無線通信局の位置を推定することができないという問題がある。また、無線の電波伝搬は構造物や什器などによって反射、回折等が発生し複雑に重なり合い信号強度の揺らぎが大きくなるため、信号強度から無線通信局間の距離を推定し、そこから位置を推定すると大きな誤差が生じてしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、家屋などの敷地内に存在することが分かっている無線通信局について、敷地内のどの位置に無線通信局が存在するかを推定することができる無線通信局位置推定装置、無線通信局位置推定方法及び無線通信局位置推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、位置が未知である無線通信局の位置を推定する無線通信局位置推定装置であって、複数の前記無線通信局間の受信信号強度情報を前記無線通信局から受信する信号強度受信手段と、前記受信信号強度情報から前記無線通信局間の距離を推定する距離推定手段と、前記無線通信局が存在する建物の輪郭内に初期の推定位置を設定し、前記距離推定手段により推定した距離と、初期の前記推定位置から算出した前記無線通信局間の距離との誤差の二乗和を評価関数として計算する評価関数計算手段と、前記評価関数が収束条件を満たすまで、前記輪郭内において前記無線通信局の推定位置を遷移させながら、前記評価関数を計算する収束手段と、前記評価関数が前記収束条件を満たした時点の前記推定位置を前記無線通信局の位置として出力する位置出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明は、位置が未知である無線通信局の位置を推定する無線通信局位置推定装置であって、前記無線通信局が存在する建物の輪郭内に初期の推定位置を設定し、前記推定位置から算出した前記無線通信局間の距離に基づく伝搬減衰量と、実測の前記無線通信局間の伝搬減衰量との差分の分散を評価関数として計算する評価関数計算手段と、前記評価関数が収束条件を満たすまで、前記輪郭内において前記無線通信局の推定位置を遷移させながら、前記評価関数を計算する収束手段と、前記評価関数が前記収束条件を満たした時点の前記推定位置を前記無線通信局の位置として出力する位置出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、前記評価関数計算手段は、前記輪郭の重心間の距離が小さいほど前記誤差の二乗の重みが大きくなるように重み付けして前記評価関数を計算することを特徴とする。
【0010】
本発明は、予め決められた数の位置推定結果を繰り返し処理よって収集する評価結果収集手段と、収集した前記位置推定結果を予め決められた数のクラスタに分類し、分類した前記クラスタの中から予め決められた選択基準に従って前記クラスタを選択し、選択した前記クラスタ内の前記位置推定結果から最終的な位置推定結果を求めるクラスタ分析手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明は、位置が未知である無線通信局の位置を推定する無線通信局位置推定装置が行う無線通信局位置推定方法であって、複数の前記無線通信局間の受信信号強度情報を前記無線通信局から受信する信号強度受信ステップと、前記受信信号強度情報から前記無線通信局間の距離を推定する距離推定ステップと、前記無線通信局が存在する建物の輪郭内に初期の推定位置を設定し、前記距離推定ステップにより推定した距離と、初期の前記推定位置から算出した前記無線通信局間の距離との誤差の二乗和を評価関数として計算する評価関数計算ステップと、前記評価関数が収束条件を満たすまで、前記輪郭内において前記無線通信局の推定位置を遷移させながら、前記評価関数を計算する収束ステップと、前記評価関数が前記収束条件を満たした時点の前記推定位置を前記無線通信局の位置として出力する位置出力ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、位置が未知である無線通信局の位置を推定する無線通信局位置推定装置が行う無線通信局位置推定方法であって、前記無線通信局が存在する建物の輪郭内に初期の推定位置を設定し、前記推定位置から算出した前記無線通信局間の距離に基づく伝搬減衰量と、実測の前記無線通信局間の伝搬減衰量との差分の分散を評価関数として計算する評価関数計算ステップと、前記評価関数が収束条件を満たすまで、前記輪郭内において前記無線通信局の推定位置を遷移させながら、前記評価関数を計算する収束ステップと、前記評価関数が前記収束条件を満たした時点の前記推定位置を前記無線通信局の位置として出力する位置出力ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、コンピュータを、前記無線通信局位置推定装置として機能させるための無線通信局位置推定プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、家屋などの敷地内に存在することが分かっている無線通信局について、敷地内のどの位置に無線通信局が存在しているかを推定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による無線通信局位置推定装置を説明する。
図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は、無線通信局位置推定装置として動作するコンピュータサーバ(以下、サーバという)である。符号2−1〜4は、位置推定対象の無線通信局(例えば、基地局や固定的に使用される端末)が存在する家屋や店舗等の建物である。符号3−1〜4は、位置を推定する対象の基地局である。ここでは、位置を推定する対象の無線通信局が無線LANアクセスポイント等の基地局であるものとして説明する。
【0017】
符号4は、基地局3−1〜4のいずれかと無線通信回線を確立し、無線通信を行う端末である。符号5は、サーバ1と基地局3−1〜4それぞれとを通信可能するためのネットワーク(NW)である。符号6は、基地局3−1と基地局3−4との間にある電波を遮蔽する遮蔽物である。なお、サーバ1は、基地局3−1〜4をバックボーンのネットワークに接続するためのサーバが基地局の位置を推定する機能を備えた構成であってもよいし、基地局の位置を推定する専用のサーバであってもよい。
【0018】
次に、
図2を参照して、
図1に示すサーバ1及び基地局3−1〜4の詳細な構成を示すブロック図である。4台の基地局3−1〜4は、同様の構成を備えているため、
図2においては、基地局3−1のみについて詳細な構成を図示した。
図2において、符号11は、基地局3−1〜4から信号強度情報を受信する信号強度受信部である。符号12は、受信した信号強度情報を蓄積する処理を行う信号強度蓄積部である。符号13は、信号強度蓄積部12が、基地局間の信号強度情報を蓄積しておくための記憶装置によって構成された基地局間信号強度情報データベース(以下、データベースをDBという)である。
【0019】
符号14は、基地局3−1〜4が存在する建物2−1〜4それぞれの輪郭情報が予め記憶された基地局輪郭情報データベース(以下、データベースをDBという)である。符号15は、基地局3−1〜4が存在する建物2−1〜4の輪郭情報から輪郭の重心を求めて予め記憶した基地局重心情報データベース(以下、データベースをDBという)である。符号16は、基地局間信号強度情報DB13のから信号強度情報を読み出し、基地局間の距離を推定する基地局間距離推定部である。符号17は、基地局3−1〜4の初期位置を設定する基地局初期位置設定部である。
【0020】
符号18は、予め定めた評価関数を計算する評価関数計算部である。符号19は、初期位置に設定した基地局を近傍に移動させる計算を行う近傍計算部である。符号20は、予め定めた評価関数を計算する評価関数計算部である。符号21は、評価関数の評価を行う評価部である。符号22は、計算処理の収束を判定する収束判定部である。符号23は、評価結果を収集する評価結果収集部である。符号24は、評価結果のクラスタ分析を行うクラスタ分析部である。
【0021】
符号25は、クラスタ分析を行った結果得られる基地局位置情報を記憶する基地局位置情報データベース(以下、データベースをDBという)である。符号26は、端末4から送信された信号の信号強度情報を記憶する端末信号強度情報データベース(以下、データベースをDBという)である。符号27は、基地局位置情報と端末信号強度情報から端末に位置情報を計算する端末位置情報計算部である。
【0022】
符号31は、信号強度を測定するための信号送信を指示する強度測定用送信指示部である。符号32は、信号強度を測定するための信号送信の指示に応じて、所定の強度測定用信号をアンテナ36を介して送信する信号送信部である。符号33は、アンテナ36を介して信号を受信する信号受信部である。符号34は、信号受信部33において受信した信号の強度を測定する信号強度測定部である。符号35は、信号強度測定部34において測定した信号強度の情報をネットワーク5を介してサーバ1へ送信する信号強度送信部である。
図2に示す基地局3−1〜4は、基地局が基地局として動作するために普通に備える公知の機能・構成を必要に応じて兼用してもよいし、専用の構成を新たに備えていてもよい。
【0023】
次に、
図3を参照して、
図2に示すサーバ1が、信号強度に基づいて基地局3−1〜4の位置を推定する処理動作を説明する。
図3は、
図2に示すサーバ1が、信号強度に基づいて基地局3−1〜4の位置を推定する処理動作を示すフローチャートである。まず、基地局3−1〜4それぞれの信号受信部33は、他の基地局の信号送信部32からの強度測定用信号を受信する。そして、信号強度測定部34のそれぞれは、信号受信部33において受信した信号強度を測定する。
【0024】
信号強度送信部35は、受信した信号を送信した基地局を識別する基地局IDと、信号強度測定部34において測定した信号強度の組み合わせの情報をサーバ1に送信する。また、基地局間の信号強度情報を頻度を高く取得するために、強度測定用送信指示部31から信号送信を指示し、信号送信部32から宛先のないブロードキャスト無線信号を発出し、他の基地局はこのブロードキャスト信号を受信して信号強度を測定する。
【0025】
次に、サーバ1の信号強度受信部11は、基地局3−1〜4それぞれから送信された基地局IDと信号強度情報を受信し、信号強度蓄積部12へ受け渡す。これを受けて、信号強度蓄積部12は、受信した信号強度と基地局IDの情報を関係付けて基地局間信号強度情報DB13に蓄積する(ステップS1)。このとき、信号強度蓄積部12は、受信した情報が、端末IDと信号強度の情報であった場合には、これらの情報を端末信号強度情報DB26に蓄積する。
【0026】
次に、サーバ1は、信号強度蓄積部12による信号強度の情報を蓄積する動作と並行して、サーバ保守者からの指示などをトリガにして、指定した基地局の位置推定動作を開始する。基地局間距離推定部16は、指示された基地局とその基地局の通信エリア内に存在する他の基地局を抽出し、それらのすべての基地局間の信号強度情報を基地局間信号強度情報DB13から抽出する。例えば、
図1に示す基地局3−1の位置推定を指示した場合、基地局3−1の通信エリア内に存在する基地局3−2、3−3、3−4を抽出し、基地局3−1〜4においてそれぞれの基地局間の信号強度情報を抽出する。
【0027】
基地局間距離推定部16は、抽出した信号強度情報から、信号強度の距離減衰を推定する計算式を用いて各基地局間の距離を推定する(ステップS2)。距離減衰を推定する計算式は、例えば、ITU−R勧告P−1238−7で示された(1)式を適用可能である。
L
total=20log
10f+Nlog
10d+L
f(n)−28 ・・・(1)
ここで、L
totalは伝搬損失(dB)、dは距離(m)、fは周波数(MHz)、Nは周波数に依存する係数、Lfは床の枚数に依存する関数である。
【0028】
次に、基地局初期位置設定部17は、基地局輪郭情報DB14から各基地局の建物の輪郭情報範囲内から推定位置の初期値を設定する(ステップS3)。輪郭情報とは、例えば世帯の範囲内で基地局が設置されるときは、戸建て家屋の外壁周囲の情報であり、共同住宅であれば隣接世帯との境目を囲う情報である。その中で現在推定位置の初期値の選択は、基地局重心位置情報DB15に記憶されている基地局輪郭情報の重心位置を初期値とする。初期値の選択は、この方法に限るものではなく、他の方法であってもよい。
【0029】
次に、評価関数計算部18は、各基地局間の信号強度から推定した距離と、現在推定位置(初めは初期値)から計算した各基地局間の距離の誤差二乗和を計算する(ステップS4)。この計算が各基地局の推定位置を評価する関数となる。この計算値が小さいほど良い位置推定結果となる。
【0030】
次に、近傍移動計算部19は、対象の基地局のうち、ランダムにいずれか一つの基地局を選択し、その基地局の現在推定位置から近傍遷移させるためのいずれかの方向をランダムに選択する。近傍遷移させる距離は本手法の収束状況に合わせて設定すればよい。選択する方向は2次元で位置推定する場合は360度のいずれか、3次元で推定する場合は球面方向のいずれかとなる。近傍遷移は、基地局輪郭情報DB14と照合し近傍遷移先が選択した基地局の輪郭内に収まる位置となるようにする。そして、評価関数計算部20は、近傍遷移させた現在推定位置を元にして、評価関数計算部18による処理と同様に、各基地局間の信号強度から推定した距離と、近傍遷移後の現在推定位置から計算した各基地局間の距離の誤差二乗和を計算する(ステップS5)。
【0031】
次に、評価部21は、評価関数計算部18と評価関数計算部20それぞれの計算結果を照合し、評価関数計算部18の計算結果が小さいとき、近傍遷移前の現在推定位置をそのまま現在推定位置とし、評価関数計算部20の計算結果が小さいとき、近傍遷移後の現在推定位置を新しい現在推定位置とする(ステップS6)。また、評価関数計算部18及び評価関数計算部20の計算において、計算する二乗値に対して、基地局重心情報DB15から算出した基地局の重心間の距離に応じて重みづけしてもよい。この重みづけの値は、基地局間が近いほど伝搬減衰から距離を推定する式の信頼性が高まることから、重心間の距離が小さいほど誤差二乗の重みが大きくなるような関係式によって計算する。
【0032】
次に、収束判定部22は、評価関数の収束度合を判定する(ステップS7)。収束の判定は、評価関数の計算結果が所定回数続けて予め定めた値以上の変化がなかった場合などの収束条件を用いて行う。収束条件を満たさない場合は、現在推定位置の評価と近傍遷移後の推定位置の評価の比較から繰り返し行う(ステップS8)。収束条件を満たすとき、その時の現在推定位置を各基地局の推定位置として内部に保持する(ステップS9)。そして、評価結果収集部23は、予め決められた数の位置推定結果を繰り返し処理よって収集する(ステップS10)。
【0033】
次に、クラスタ分析部24は、収集した位置推定結果を予め決められた数のクラスタに分類する。その理由は、上記の評価関数による結果は、基地局間の距離を元に位置の推定を行うため、推定に用いる基地局の数と各基地局に与えられた輪郭の形によっては、複数の確からしい位置の組み合わせが生じるからである。例えば、
図4に示す共同住宅のように3世帯が隣接しておりそれぞれの世帯に1局ずつ基地局が設置されていたとする。サーバ1では各基地局間の距離から位置関係を最尤推定するので、推定位置1A、2A、3A(
図4に示す○印)の組み合わせと、推定位置1B、2B、3B(
図4に示す△印)の組み合わせの両方のトポロジに収束する可能性がある。そのため、複数回推定を行いその結果をクラスタ分析部24によって複数のクラスタに分類し、その中から事前に規定したルールに従ってクラスタを選択し、そのクラスタ内の結果から最終的な推定結果を算出する(ステップS11)。クラスタ分析部24は、最終的な推定結果の情報を基地局位置情報DB25に記憶する。
【0034】
クラスタ分類する際の1回の推定結果を示すパラメータは、例えば各基地局の推定した座標値、すなわち3次元ならば、(基地局数×3)個のパラメータとして分類することが考えられる。また、事前に規定したクラスタの選択方法として、最も多くの結果が属するクラスタを選択する方法や、例えば世帯1の基地局の位置が推定位置1Aに近いという情報が入手できたとき1A、2A、3Aの組み合わせが確からしいということがわかる、というように別の情報を利用してひとつの基地局の座標を固定することによってクラスタを選択するといった方法が適用できる。また、選択したクラスタ内の結果群から最終結果を抽出する方法は、選択したクラスタ内の結果の平均値をとる方法や、評価結果から最も確からしいとした結果を選択する方法を用いてもよい。
【0035】
また、評価関数を、現在推定位置を元に算出した基地局間の距離から伝搬減衰量を推定した値と、実測の基地局間の減衰量、との差分の分散としてもよい。すなわち、すべての基地局間について、推定した位置が正解と仮定したときに推測される距離減衰量と実測の距離減衰量について比較し、分散を測ることによって最も矛盾の少ない推定位置の組み合わせを見つけることとなる。また、このとき距離減衰を推定する式における、距離に対する減衰量の傾きを示す値を変数として同時に最尤推定を行ってもよい。
【0036】
なお、基地局は他の基地局からだけでなく端末4からの信号強度も同時に受信することが可能であるため、端末位置情報計算部27は、端末4からの信号強度情報と、基地局位置情報DB25に記憶されている基地局の位置推定結果に基づいて、端末4の位置を推定するようにしてもよい。例えば、
図1において、サーバ1において4つの基地局3−1〜4の位置が推定される。それと同時に、基地局3−2、基地局3−3、基地局3−4では端末4からの信号強度情報が取得できるため、座標が既知である基地局3−1〜4から端末4の距離を伝搬減衰式から推定して、複数の座標が既知の基地局3−1〜4からの距離に基づいて三点測位で位置を推定することが可能になる。
【0037】
また、前述した推定方法では、基地局の情報だけでなく、固定的に利用している無線端末を疑似的に基地局と捉え、同様の手法によって位置を推定するようにしてもよい
【0038】
このように、それぞれ既知の輪郭情報の範囲内に設置された複数の基地局装置の該範囲内における位置を推定する方法において、各基地局装置から、他の基地局装置の送信した無線信号の受信信号強度を入力し、信号強度の減衰から距離を求める数式を用いて推定した基地局装置間の距離に基づいて、各基地局装置の位置を推定した推定結果を複数求め、該複数の推定結果の分布を特徴の近い複数のカテゴリに分類し、該複数のカテゴリから所定のルールに従って1つのカテゴリを選択し、該選択したカテゴリに含まれる推定結果に基づいて最終的な推定結果を求めるようにした。
【0039】
これにより、各基地局が設置されている場所の輪郭情報を基地局探索の制限情報として付与することによって、発見的手法による最尤探索で基地局位置の解を算出することができる。一般ユーザの宅内の無線LANアクセスポイントのように、位置座標が管理されておらず、基準となる位置情報がない場合であっても、各基地局装置の位置を推定することができるようになる。また、ある2台の基地局間に信号強度測定の妨げになるような遮蔽物が存在するとき、評価関数は他のすべての基地局間の距離の誤差二乗和から最適化されるため、特定の例外的な遮蔽の影響を回避することができる。さらに、推定した基地局間の距離と信号強度が伝搬減衰式で導出した値からかい離する場合、遮蔽物が存在する事実と、その遮蔽物による損失の値を推定することができる。また、基地局の位置推定には基地局間の信号強度を用いているために、端末の通信に影響を及ぼさずに基地局の位置推定を可能にする。
【0040】
なお、
図1における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより無線通信局位置推定処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0041】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0042】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行っても良い。