(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6031002
(24)【登録日】2016年10月28日
(45)【発行日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】端面観察装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20161114BHJP
G02B 6/24 20060101ALI20161114BHJP
B08B 11/00 20060101ALI20161114BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B6/24
B08B11/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-138398(P2013-138398)
(22)【出願日】2013年7月1日
(65)【公開番号】特開2015-11286(P2015-11286A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 城治
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄三
(72)【発明者】
【氏名】橋本 悦
(72)【発明者】
【氏名】葉玉 恒一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雄一
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−219602(JP,A)
【文献】
特開平10−019728(JP,A)
【文献】
特表2005−533293(JP,A)
【文献】
米国特許第05961441(US,A)
【文献】
特開2010−082435(JP,A)
【文献】
特開2005−192931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニングテープと前記クリーニングテープが摺動可能に取り付けられたテープ摺動ガイド機構とを有する端面清掃部と、
光源と、画像受像部と、少なくとも1つのレンズと、前記少なくとも1つのレンズの内の被検体の端面の直近に配置された第1のレンズと前記光源とを光学的に接続した第1の伝搬光路を形成する第1の光学系と、前記被検体の端面画像が前記画像受像部に結像するよう前記第1のレンズと前記画像受像部とを光学的に接続した第2の伝搬光路を形成する第2の光学系とを有する端面観察部と、
前記端面清掃部および前記端面観察部の先端部を所定の位置まで導く案内機構であって、前記端面清掃部および前記端面観察部が前記案内機構の内壁に沿って移動することで、前記端面清掃部および前記端面観察部の先端部を交互に前記所定の位置まで移動可能にする前記案内機構と、
を備え、前記第1の光学系および第2の光学系は、プリズムを含み、前記端面観察部は、前記第1の光学系の少なくとも前記第1のレンズおよび前記プリズムのみ前記案内機構に対して移動することを特徴とする端面観察装置。
【請求項2】
前記第1の光学系は、バンドルファイバを含むことを特徴とする請求項1に記載の端面観察装置。
【請求項3】
前記第2の光学系は、バンドルファイバを含むことを特徴とする請求項1に記載の端面観察装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの端面状態の観察を行う端面観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信において、光コネクタは各種ネットワーク装置や光ファイバ間を接続するための必要不可欠な部品であり、光コネクタでの損失を低減することは良好な光通信を実現する上で非常に重要である。光コネクタにおける損失要因は主に、コネクタ端面におけるゴミ、異物の付着や汚れである。そのため、従来から光コネクタの接続時にはコネクタ端面の清掃や観察が重要な作業になっている。
【0003】
光コネクタは、雄コネクタであるプラグと、雌コネクタであり、ネットワーク装置などでプラグの差し込み口となるレセプタクルとから構成される。
【0004】
これまでに、これら光コネクタのプラグ、レセプタクルそれぞれついて、クリーナや端面観察装置が提案されている。例えば、レセプタクル内のコネクタ端面用のリーナテープを備えたクリーナ(特許文献1参照)やレセプタクル内のコネクタ端面の観察装置(特許文献2参照)などがある。
【0005】
光コネクタの清掃作業と観察作業はコネクタ接続時などに交互に繰り返し行う作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−219602号公報
【特許文献2】特開平10−19728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、清掃装置と観察装置とは別装置で提供されるものであるため、それぞれの装置を使用した清掃作業、観察作業に加えて、それら装置の交換作業が必ず発生することから、作業全体が繁雑になるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、端面観察装置と、端面観察作業以外の作業を行う装置とを一体化した端面観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、端面観察装置であって、クリーニングテープと前記クリーニングテープが摺動可能に取り付けられたテープ摺動ガイド機構とを有する端面清掃部と、光源と、画像受像部と、少なくとも1つのレンズと、前記少なくとも1つのレンズの内の被検体の端面の直近に配置された第1のレンズと前記光源とを光学的に接続した第1の伝搬光路を形成する第1の光学系と、前記被検体の端面画像が前記画像受像部に結像するよう前記第1のレンズと前記画像受像部とを光学的に接続した第2の伝搬光路を形成する第2の光学系とを有する端面観察部と、前記端面清掃部および前記端面観察部の先端部を所定の位置まで導く案内機構であって、前記端面清掃部および前記端面観察部が前記案内機構の内壁に沿って移動することで、前記端面清掃部および前記端面観察部の先端部を交互に前記所定の位置まで移動可能にする前記案内機構と、を備え、前記第1の光学系および第2の光学系は、プリズムを含み、前記端面観察部は、前記第1の光学系の少なくとも前記第1のレンズおよび前記プリズムのみ前記案内機構に対して移動することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の端面観察装置において、前記第1の光学系は、バンドルファイバを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の端面観察装置において、前記第2の光学系は、バンドルファイバを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、端面観察装置と、端面観察作業以外の作業を行う装置とを一体化することで、操作性の向上や作業時間の短縮等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態1に係る端面観察装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係る端面観察装置の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係る端面観察装置の構成を示す図である。
【
図4】レセプタクルの光コネクタ端面を本発明の実施形態3に係る端面観察装置で観察している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る端面観察装置は、コネクタ端面の観察機構として中央部に軸方向に貫通する穴が設けられたレンズを用い、そのレンズの穴に光コネクタ清掃用のクリーナが設けられている。このクリーナは、コネクタ端部の光ファイバ端面にクリーニングテープを押しつけ、クリーナ端面の面内の一軸上で摺動させる構造を持つ。クリーニングテープの摺動ガイド機構は、コネクタ端部においてコネクタ開口の径より細径である。またクリーニングテープはコネクタ中央の光ファイバ端面近傍部に押しつけられ、摺動により端面の異物を除去する。本発明の実施形態に係る端面観察装置では、クリーニング機構と観察機構とが一体化し、それらを同時に使用することも可能となっている。
【0017】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1(a)〜(f)に、本発明の実施形態1に係る端面観察装置の構成を示す。
図1(a)、(c)、(e)において1点鎖線で示したものは観察、清掃される光コネクタ200である。端面観察装置100は、光コネクタ200の端面を清掃する清掃部110、光コネクタ200の端面を観察する観察部120、および清掃部110と観察部120を光コネクタ200端面中央位置に導く案内機構130からなる。
【0019】
清掃部110は、端面を清掃するクリーニングテープ111、およびテープ摺動ガイド機構112を備え、図示していないが、テープ摺動ガイド機構112と共に、クリーニングテープ111を一定の方向に摺動する摺動機構を備えている。光コネクタ200の端面を清掃する場合には、光コネクタ200の端面中央に対向するように配置し、摺動装置により端面に押しつけられたクリーニングテープを摺動させる。
【0020】
観察部120は、光コネクタ200の端面を照らす照明光の光源121、光コネクタ中央の端面像を受像素子122に結像するよう配置されたレンズ124、125、および光コネクタ200の端面と光源121および受像素子122とをそれぞれ光学的に接続するレンズ124、125を含む伝搬光路を備え、光コネクタ200の端面を観察する場合には、光コネクタ200の端面中央に対向するように配置する。
【0021】
実施形態1では、清掃部110および観察部120を光コネクタ200の端面中央に対向する位置まで移動させるために案内機構130を用いている。
【0022】
図1(c)に、本発明の実施形態1に係る端面観察装置の清掃部110、観察部120および案内機構130のクリーニング時の配置を示す。この場合、清掃部110を案内機構130の内壁に沿って光コネクタ端面中央位置に移動させ、観察部120を清掃部110と物理的に干渉しない後方の位置に待避させる。
【0023】
図1(e)に、本発明の実施形態1に係る端面観察装置の清掃部110、観察部120および案内機構130の観察時の配置を示す。この場合、清掃部110を観察部120と物理的に干渉しない後方の位置に待避させ、端面像が受像素子122に結像する位置まで観察部を案内機構130の内壁に沿って光コネクタ200に近づける。
【0024】
図中には清掃部110、観察部120を案内機構130に沿って移動させる駆動機は示していないが、操作者の手動による押し込み動作とばねによる回復動作を組み合わせたものや、モータなどの電動機構を用いることができる。
【0025】
実施形態1では、観察部120における端面像の伝搬光路と端面照明光の伝搬光路の一部にバンドルファイバ123を用いている。バンドルファイバを用いることで伝搬光路を曲げることが可能になり、バンドルファイバ123の曲げ形状にほとんど依存せず像を伝搬することができる。そのため、端面近傍と受像素子近傍のレンズ124、125等の光学部品の位置合わせだけを精度高く調整すれば、その他の部分の精度を緩和でき、観察部120の移動精度が緩和や、さらには移動機構自体の構造を簡略化できる。
【0026】
(実施形態2)
図2(a)〜(d)に、本発明の実施形態2に係る端面観察装置の構成を示す。実施形態2では、観察部120は、光ファイバ200の端面側に配置されるレンズ124、受像素子122側に配置されるレンズ125、光源121a、121b、受像素子122、に加え、端面像を伝搬する光路を折り曲げるプリズム126、127より構成される。
【0027】
図2(c)に、本発明の実施形態2に係る端面観察装置の端面を観察する際の配置を示す。レンズ124、125、プリズム126は1つの筐体に固定されて一体となっており、それらの位置関係を保ったまま一緒に移動させることができる。一方、プリズム127、受像素子122は案内機構130に固定されている。端面像は、レンズ124、125、プリズム126、127を介して受像素子122に伝搬される。
【0028】
このように実施形態2では、受像素子122を移動する必要がないので移動機構を簡略化することできる。
【0029】
(実施形態3)
図3(a)〜(d)に、本発明の実施形態3に係る端面観察装置の構成を示す。実施形態2ではレンズ124、125、プリズム126を一体にして移動させたが、実施形態3では、レンズ124、プリズム126を1つの筐体に固定して一体とし、プリズム127と受像素子122との間にレンズ125を配置している。一方、レンズ125、プリズム127、光源121a、121b、受像素子122は案内機構130に固定されている。
【0030】
実施例2、3では、レンズ124、125の焦点距離は、レンズ間距離および端面像の拡大比率に応じてそれぞれ設定される。
【0031】
図4に、レセプタクルの光コネクタ端面を本発明の実施形態3に係る端面観察装置で観察している状態を示す。レセプタクルでは、割スリーブ300と呼ばれる筒状の部材の中に光コネクタ200が配置される。そのため端面観察装置100の先端部の最外径を割スレーブ300の内径以下にすることにより、割スリーブ300内に進入しレセプタクル内の光コネクタ200の端面のクリーニングおよび端面観察が可能になる。
【0032】
以上のように、実施形態1〜3いずれにおいても、光コネクタ近傍の最外径をコネクタ径以下にすることで、レセプタクル、プラグいずれの光コネクタにおいても、クリーニング機構と一体化可能な端面観察装置100を構成することができる。
【0033】
また、実施形態1〜3では、端面像の伝搬光路に2枚のレンズを配置したが、対物レンズ1枚で受像素子上に結像するような光学系としても良い。
【符号の説明】
【0034】
100 端面観察装置
110 清掃部
111 クリーニングテープ
112 ガイド機構
120 観察部
121 光源
122 受像素子
123 バンドルファイバ
124、125 レンズ
126、127 プリズム
130 ガイド機構
200 光コネクタ
300 割スリーブ